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1958-02-12 第28回国会 衆議院 大蔵委員会税の執行に関する調査小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十二日(水曜日)     午後一時二十五分開議  出席小委員    小委員長 淺香 忠雄君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    高見 三郎君       石村 英雄君    春日 一幸君       神田 大作君    横山 利秋君  出席政府委員         国税庁長官   北島 武雄君  小委員外出席者         大蔵委員長   足鹿  覺君         大蔵事務官         (国税庁長官官         房総務課長)  狩谷 亨一君         大蔵事務官         (国税庁長官官         房人事課長)  高柳 忠夫君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      金子 一平君         大蔵事務官         (国税庁税部         所得税課長)  亀徳 正之君         参  考  人         (全国税職員労         働組合執行委         員長)     坂根  茂君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 二月十二日  小委員平岡忠次郎君同日辞任につき、その補欠  として神田大作君が委員長の指名で小委員に  選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  税の執行に関する問題      ――――◇―――――
  2. 淺香忠雄

    ○淺香小委員長 これより会議を開きます。  税の執行に関する諸問題について調査を進めます。本日は、税の執行上における労働問題について、全国税職員労働組合執行委員長坂根茂君が参考人として出席しておられます。  参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  それでは質疑の通告がありますので、これを許します。横田利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 税の執行の小委員会も、回を重ねることもう五、六回にわたったのでありますが、この間の問題について、労働問題ということになっておりますけれども、この間懸案となっておりました問題をまず国税庁から御報告願いたいと存じます。それと申しますのは、先日の小委員会におきまして、大阪付近における納税協会のあり方について若干の疑義が生じまして、国税庁調査を要求しておいたわけであります。その結果をまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 北島武雄

    北島政府委員 去る一月十六日の税の執行に関する調査小委員会におきまして、横山先生から、まず納税協力会組織目的業務等次会までに調べてくれ、こういうお話がございましたので、私どもさっそく調べまして、ただいま手元にございますので、これを御報告申し上げます。  まず問題は、大阪国税局管内の問題でございますが、大阪国税局管内では、各税務署を単位といたしまして、納税協会という名称を持っているものが現在七十二ございます。大阪国税局管内税務署は八十四ございますが、そのうち七十二の税務署管内に、それぞれ一つ納税協会というものがございます。この始まりを調べてみますと、一番初めは昭和十八年から始まったようでありまして、引き続き戦後に至りまして、二十二、三年、四、五年ごろまでにかけまして設立されたものでございます。納税協会組織は、各税務署所轄内の法人個人会員となっておりまして、その目的といたしましては、いわゆる納税協力団体でございましょうが、ある納税協会目的をちょっと読んでみますと、「広く会員に対し税務知識普及徹底を期するとともに、税務に関し民意の暢達をはかり、官民相互の円滑な連絡協調に努め、租税道義の高揚に資することにあり」というような目的が掲げてあります。ほかの納税協会においても、大体同様の目的のようでございました。従いまして、事業は、税務官庁協力機関といたしまして、税務署との緊密な連絡に努め、税務行政に対し、意見または希望の申し入れをもって民意を通ずるというのが第一点であります。  第二は、各種税法の研究、講演質疑応答などをいたしまして、会員に対する納税知識普及に努め、税務経理普及に秘めるというような内容であります。この会員といたしましては、さきに申しました管内法人個人でございますが、加入いたします場合に若干の入会金――大きな金額ではないようでありますが、ある納税協会では、入会金は百円ということになっております。それから毎年維持費といたしまして会費をとっておるわけでありますが、これもある納税協会の例によりますと、法人大小従業員大小に応じまして、年額六百円ないし一万二千円払っておるようであります。それから個人は、これもある納税協会におきましては、四百八十円ということになっております。そこで、ちょうど現在までに七十二あるわけでありますが、前回の小委員会におきまして、あるいはこの納税協会の者が、査察があった場合に、いち早くその情報をキャッチしまして、査察ブローカー的な仕事をやっているのではないかというような加納さんのお話もありましたし、それからまたある納税協会におきまして、管内税務署長連名の文書で納税者入会勧誘を行なっておるとか、それから各税務署庁舎の中に事務所を設けて、堂々と支部の看板を掲げているというようなことが、この間のお話に載っておりました。この関係を調べてみますと、実はまず施設便宜供与の問題でございますが、現在あります七十二の納税協会のうち、最初三十四程度協会につきましては、さしあたり事務所のもうけもございませんので、税務署庁舎の一部を貸しておったようであります。坪数にいたしましてごくわずかな坪数、二、三坪程度のものであったのでございますが、それがだんだん庁舎から出ていただきまして、現在では、七十二の協会のうち、十四の協会がまだ税務署の一部を借りております。この点につきましては、昨年の九月二十日付の官庁綱紀粛正についての閣議決定趣旨にかんがみまして、昨年の十月、長官通達をもちまして、税理士会等団体に対して、庁舎等施設の一部を貸与したり、備品等物品を供与したりすることは必要最小限度にとどめて、乱にわたらぬよう指示いたしました。大阪国税局からも、さらに管下の税務署長に対しまして、同様の趣旨通達を発しております。ただ庁舎から出ることにつきましては、さしあたり全部一どきに出るわけにはいきませんので、次第に漸を追うてできるだけ早い機会にこの十四の協会も将来税務署から出ていただこう、こういう方針ではございます。  それから、納税協会税務署長連名納税者入会勧誘状を発送しているというような御指摘でございましたが、これは、調べてみますと、二つ税務署におきまして実はその例がございました。一つ税務署におきましては、三十一年四月以降、税務署長連名納税者加入を勧奨いたしておったのでございますが、これはおもしろくないことでありますので、昨年八月以降は、署長名を削除した形式に改めております。それからまたもう一つ税務署におきましては、昨年の五月に、その納税協会独立事務所を設けたのを機会に、すなわち税務署か  ら出まして、独立事務所を設けたのを機会といたしまして、納税知識普及徹底をはかる一方策として、署長名で約二百枚程度加入勧誘状管内納税者に発送した事実がございます。他の納税協会におきまして、一様にすべて税務署長連名でもって納税者入会勧誘しておるということではございません。調べてみますと、たまたまわずかな数字ではありましたが、ございました。しかし、これは、税務署長といたしましては、善意に出たこととは認められます。税務署といたしましては、最初から納税税務行政に協力してもらっておる団体というつもりで、従来の実績からいっても、相当顕著な実績を上げてくれておるという気持もありましょう、きわめて単純な好意的な見地から、署長連名勧誘状を出したということのようでございますが、事柄といたしましては、おもしろいことではございません。えてしてこういうことが疑惑を招くもとでございますので、今後はこういうことのないように、厳重にいたしたいと思っております。  以上が大体御質問に応じましてお答え申し上げる点でございますが、なお税務署内に納税協会看板を掲示しておるのがあるという御指摘でございましたが、これも、ある二つ税務署で事実その例がありました。それはいずれも、ある税務署におきましては二十三年の十二月以降、他の税務署におきましては三十二年の五月以降、署内から協会看板を撤去しております。これは、税務署内にこういう看板を出すことは、必ずしも悪いとは申せないと思いますが、もとを申せば、やはりそういう団体税務署の中におるということに問題がありますので、今後できるだけ早い機会におきまして、税務署から出ていただくつもりでおります。  以上簡単に御報告申し上げまして、なお御質問によりましてお答え申し上げます。
  5. 横山利秋

    横山委員 御調査によりますと、私ども大蔵委員会として要望しておる線に沿って行動していらっしゃることは事実のようであります。しかし承わりますれば、九月の二十日に通牒が出て、その閣議決定なり長官通達というものが完全に実行されていないという事実を、私は知るのであります。おっしゃる通りに、この部屋を貸しておるということが、大した坪数ではないといたしますならば、そのくらいの坪数のところを撤去するのにどうしてそんなに日にちがかかるのかということに、私は疑問を抱くわけです。従って看板の問題だとか、あるいは部屋の問題とか、連名の問題、形の上で浮き上った問題よりも、その背後にあるものの考え方と申しますか、その方を、私は先般申しましたように重要視するわけであります。その意味から、私は、きょうはあまり時間がないようでありますから、簡単に私の要望したい点を申し上げます。  第一は、国税庁関連ある外郭団体、あるいは関連団体と明朗な協力関係一つ持続してもらいたいということであります。承わりますと、この納税協会の設立も、その趣旨目的に問題のあるものではないと思います。しかし、想像いたしまするに、知識普及とか、講演とか、連絡協調とか、あるいは意見希望税務署に言うということがだんだんと高じまして、まず第一に人的構成として、退職された税務高級職員がこの幹部になられる。その顔がまず仕事にものをいうということになっておると想像し、かつそのような事態を私も聞いておるわけであります。その人的関係から、だんだんと建物なり、あるいは電話なり、看板なり、書面なりということに発展をすると思うのであります。従いまして、この種のいろいろな団体があるのでありますが、それぞれ存在理由があるでありましょう。あるでありましょうけれども一つ団体が特に退職高級官僚が多いからというようなことで、結果的に不当な便宜供与になったり、あるいは不当な税務行政に対する介入になったりすることがあっては断じてならないと思うのであります。従いまして、今後この種の団体につきましては、存在理由があるにせよ、あなたの方としては、明朗な協力関係改善するというふうにしてもらいたいことが第一点であります。  それから第二番目には、それに関連をしまして、国税庁を退職された職員皆さんの心がまえの問題であります。私は、先般名古屋、大阪査察についての現地調査に参加をいたしました。そうしてありのまま納税者の声を特に聞く機会を設けられたのであります。もちろん納税者諸君意見がすべて私は真実であり、かつすべて間違いがないというふうに判断するものではありません。しかしながら、その直接の意見を聞いて私どもお互いに感じましたことは、やっぱり先ほどちょっと触れましたように、税についての専門的立場から税務署と交渉し接触される人と、それから今日までの経験と申しますよりも、人的な関係、顔のつながりで仕事をしていらっしゃる人たちがあるような気がいたすのであります。従いまして、あらゆる段階におきまして、昔の先輩なりあるいは同僚皆さんが、それぞれ税務関連する仕事をしていらっしゃると思うのでありますが、退職されたその人々がより仕事の中で研さんをし努力をし、公正な立場でその知識経験を生かしていかれるように、あなたの方としても、善意ある立場で特殊な便宜を行うことが決してないように指導をし連絡をしていただきたい。特にこの点は申し上げておきたいと思うわけであります。  それから第三番目に、不法行為といいますか、不当行為といいますか、会計検査院、行政管理庁の結論を見ましても、あるいは最近新聞にちらほらいたします問題につきましても、今なお税務関連をいたしまして、とかくの問題が多いのを心から遺憾としておる次第であります。このようなことは、納税者に対する信頼感を喪失させるものでありまして、たとい最近数が多少減ったといえども、考えなければならぬ問題であろうかと思うのであります。従いまして、この場合においては罪を憎んで人を憎まないものではありますけれども、その寄って来たる根本的な問題までタッチをされて、長官として善処されんことを私は要望いたしたいと思うのであります。  第四番目は、先ほど出ました例の問題であります。この庁舎とか電話とか看板とか、そのほか形の上で出ております問題は、今申しましたようなことが累積をされてきておるのでありますから、単にもうじきこれが片づくというのではなくして、この際思い切って、この問題を契機にして、明瞭な関係もとに戻すという意味においては、長官の一刀両断的な措置が私は望ましいのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  以上意見を述べまして、長官感想を承わりたいと思います。
  6. 北島武雄

    北島政府委員 ただいま横山さんから御指摘ございました四点は、いずれも私ども深く肝に銘ずるところであります。一々ごもっともな点ばかりでございまして、私どもとして、これに対して全く同感の意を表するわけでございます。今後御趣旨のような方向へ一つ行きたいと思います。たとえば納税協力団体にいたしましても、やっている事柄はよろしい、それからおい立ちもいいのでございますが、えてしてやはり慣習、因襲の久しきにわたりますと、ボウフラのわくようなこともありましょうし、私どもとしては、極力そういうようなことのないように気をつけておるわけでございますから、今回の御指摘機会に、災いをもって福となすという気持でもって、大阪納税協会方々なり大阪国税局管内職員方々にも、一つそのつもりでやってもらいたいと思っております。  ただ先般加納さんから御指摘ありましたことにつきましては、大阪国税局で調べてみますと、事実でない点も相当あるようであります。たとえば査察を開始すると、いち早く情報が漏れる、このような機密保持について遺憾があるというような点につきましては、これは、もう私も全然そういうようなことのないことを信じております。大阪国税局においても、そういうことは絶対ないと言っております。しかし、いやしくも瓜田にくつを入れずということがございますので、今後とも一つそういう疑いのないように指導いたして参りたいと思っております。これをもって私の感想を終ります。
  7. 横山利秋

    横山委員 長官の御答弁としてはさもあろうと思います。従いまして、私としては、この査察に関しましては、なお多くの意見があるわけでありますが、しかし、今の問題は、今までよりも今後の問題が大事でありますから、長官のお言葉を信頼いたしまして、この問題については後刻に譲りたいと思います。  この際、一つ国税庁及び政府皆さんに申し上げておきますが、一つ委員長からも政府側にお伝えを願いたい点がござでいます。それは、本税の執行に関する調査小委員会が五回、六回と回を経まして、そしていろいろと証人の喚問なり、あるいはごく非公式ではありますが、納税者を呼びまして、いろいろ個人的な問題にある場合にはわたることもやむを得ないのでありますが、そういうことを調査いたします。私どもはその調査に関しまして、それが個人的な問題には触れないように、より大筋の問題としてその御意見を承わるのであります。しかし、往々にしてこれが国税庁あるいは政府のちょっと好ましからぬことに相なるかとも思うわけであります。繰り返して申しますが、いかにして税の執行を民主化たらしさめ、納税者信頼を持たせしめ得るかということが私ども調査焦点でありますから、その点を十分に御理解を願っておかなければなりません。私も先ほど申しましたように、調査をいたしました納税者の声がすべて一二〇%真実であるとは申しません。私どもは私どもなりにいろいろと見解を持ち、さらにそれを裏づけする調査をいたすのでありますから、私ども調査関連をいたしまして、召喚をいたしました人々調査をいたしました個人的な納税者、それらの言論の自由、行動の日出につきましては、私ども責任を持たなければならぬのであります。ただに私ども責任を持つのみならず、調査を受けられる結果となる国税庁ないしは政府当局者におきましても、私ども調査趣旨を十分に尊重をされまして、この点について遺憾なきを期していただきたいと思います。やや抽象的なものの言い方をいたしましたが、私の申し上げようとしておる真意はおわかりのことだと思いますから、その点を、十分一つ政府部内においても徹底をしておいていただきたいと思うわけであります。  第二番目の御質問をいたしたいと存じます。それは税の執行に当って、最近どうしても私どもとしては看過することかできないことは、国税関係職員の労働問題であります。この納税ということは、国民の三大義務の一つとかっていわれたものでありますけれども納税者気持としては、どうしても今日の税法及び税の運用に対する十分な信頼をまだ取り戻すまでに至っておりません。従いまして、その前線部隊におります税務署職員諸君は、その意味におては非常に苦境に立ち、あるいは誤解を生ずることも間々多かろうっと思うわけであります。いわんや他の国家公務員と違いまして、その職員の一人一人がそれぞれの納税者法人個人に対する徴収の、ある意味においては全責任を持って折衝いたすのでありますから、よけいに責任重大であります。その重大なる国税庁職員の労働問題が最近いろいろと紛争をかもしておるということは、ひとえに国税庁内部における問題のみならず、国家としても看過しがたいところであります。従いまして、時間があまりございませんが、以下簡単に要点をお伺いいたしますから、一つ長官並びに参考人のお方においてはは、具体的に、簡単に要領よく御答弁が願いたいと思うわけであります。  まず最初長官にお伺いいたしたいことは、ここ一年以来、税務署職員に対して国税庁として行いました処分者の数及びその理由はどんなものであったかということであります。
  8. 北島武雄

    北島政府委員 まず昭和三十二年度におきまして処分の行われました状況につきまして、数字的に御説明申し上げます。  昨年の五月九日以来最近までにおきまして、国家公務員法上の懲戒処分、すなわち停職、減給、戒告の処分を受けましたものが合せて百二十件、ほかに、これは国家公務員法上の懲戒処分ではございませんが、訓告というのがございます。訓告が七十七件、合せて百九十七件という数字に上っております。これは、まことに私どもとしては残念な事柄でございます。私どもといたしましては、職員給与等勤務条件改善に関する問題につきましては、できるだけ職員組合との間におきまし  て話し合いを続けて参りまして、その解決に努力して参ったのでございます。ところが、昨年春以来、どうも全国税職員労働組合運動方針転換を行なったもののごとくでございまして、従来のごとく、当局側とじっくり話し合おうという態度を捨てまして、業務規制、それから完全休養闘争といった、主として末端税務署におきまして、勤務時間内の職場大会の開催あるいはピケによりまして、職員一般納税者の入署を阻止する、あるいはまた勤務中の職員の執務を妨害するなど、国家公務員法及び人事院規則に違反する違法な実力行使を各地において行なって参ったのでございます。国税庁といたしましては、まことに残念なことではございますが、組合運動関連いたしまして、このような違法行為の行われることのないよう、あらかじめその自重を要望いたして参ったのでございますが、このような違法な事態が引き続き発生いたしましたために、遺憾ながら国家公務員法に照らしまして、このような処分をいたした次第でございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 次にお伺いしたいことは、国税庁として、職員に対する労働対策の基本的な考え方はどういうものであるかということであります。今お話を願ったところによりますれば、労働組合が第一に運動方針転換をして、話し合いを避けて、そして末端実力行使をしておるから処分をした、こういう相手側行動に対する御意見でございますが、しからば国税庁としては、職員に対する労働対策の基本的な考えはどういうものであるか、これをお伺いいたします。
  10. 北島武雄

    北島政府委員 私ども五万の税務職員は、一体となって税務行政を行なっているものでございまして、もともと同僚でございます。お互い職場環境明朗化勤務条件改善等につきましては、歴代国税庁におきまして意を用いて参っておるわけでございます。私もこのためにできるだけのことはいたしたいと思っておるわけであります。従いまして、私どもといたしましては、組合側として、法のもとにおいて、正当な手続によって交渉が行われることを切に希望するわけであります。しかし、残念ながら、昨年来、従来の経済闘争方式転換いたしまして、私どもの見るところでは、どうやら政治闘争方式に変ってきているように思われます。できるだけ話し合いの上にお互い職場環境改善いたしていこうということよりも、若干の税務署におきましていわゆる権力闘争をやる。たとえば係長以上はみな敵だ、この敵の支配を排除せよというような方針で参っておるようであります。これは「全国税」という機関紙を見ればはっきりわかるのであります。こういうようなことは、私どもまことに残念なことだと思っております。できるだけ早く組合もとルールに戻りまして、国家公務員法上、あるいは人事院規則上、適法なルールの上におきまして話し合いが行われることを、私どもとしても望んでおるのであります。職員組合の健全な発展につきましては、決して私どもこれを阻害するとかいうような気持は毛頭持っておりません。むしろこれにつきましてできるだけ御援助、御協力申し上げたいと思っておるわけであります。
  11. 横山利秋

    横山委員 時間があると、参考人坂根さんから十分にお話を聞くといいのでありますけれども、あまり時間がありませんから、問題の焦点を私が質問をいたしますから、坂根さんから焦点に沿って御答弁が願いたい。  今長官お話によりますと、きわめて重要に思われるのは、あなたの方が昨年来運動方針転換をされたと、長官が認識をされておることであります。それは事実であるかどうかということが第一であります。  それから第二番目は全国税組合は、当面何を一体求めておられるのか、どういう点を、政府なりあるいは国税庁に要求しておられるのか。その二点をまずもってお伺いしたいと思います。
  12. 坂根茂

    坂根参考人 全国税坂根でございます。ただいまの横山先生の御質問にお答えをいたしたいと思います。  第一点は私ども運動方針転換をいたしたのかどうか、こういう御質問でありますが、この点は方針転換と申しますか、そういう点では確かに事実でございます。ただそれは、なぜそのように方針転換をしたか。今長官からも、経済闘争から政治闘争、こういう非常に何と申しますか、私ども真意でないところの御答弁がありましたけれども、問題は、国税庁労務管理の政策が、三十一年ごろから、詳しく申しますと、三十年の一月にさかのぼるわけでありますが、私ども国税税務署に働いておる職員に対する扱い方が、非常に変化をいたしました。これは労務管理方針転換ということが言えると思うわけでありますが、従いまして、それに対応すると申しますか、組合のやり方も変ったということは言えるわけです。どういうわけで国税庁の方が変ったかと申しますと、実は私ども組合運動も十年の歴史を持っておるわけでありますけれども、その中でいろいろな変遷がありました。それで、二十九年のころまではよく当局と話し合いをいたしまして、いろいろと問題の解決に当るということに私どもも努力をしてきたわけであります。ところがその後、三十年あるいは三十一年のころでありますけれども、これまで約束をしてきた事項につきまして、国税庁がことごとくこの約束を破棄をするという態度に出てきておるわけであります。その実例を申し上げますと、たとえば私ども国税庁当局のやり方の中に、特別昇給制度というのがございます。これらにつきまして、従来の組合国税庁当局の間の約束は、これは、ただ成績主義だけでは非常に実情に即さない点もある、従いまして、気の毒な人の救済に充てるというふうな約束があったわけでありますけれども、それらにつきましても一方的に破棄をする。それから従来は、当局と組合の間に妥結事項について確認書をかわすというようなこともありました。そういったことにつきましても、先ほど申しました以降、一方的にこれを破棄してくる。それから組合活動の自由という問題につきましても、従来勤務時間内にいろいろの活動をする自由も認めておったわけでありますけれども、これらについても一方的に破棄をしてくる。こういうふうな形で、私ども立場から申し上げますと、ほんとうに権力的なやり方に変ってきたところに、私ども方針もまた変らざるを得ない、こういうふうな立場に立っております。この点、非常に短時間で説明できないことを遺憾に思いますけれども、大体第一点は以上です。  それから第二点につきましては、これは、先ほど長官からもお話がありましたけれども、団交をしたいと思っておるということでありますが、これこそ私どもの当面の第一の目標でありまして、団体交渉を開きたいと思っているわけであります。ところが国税庁当局は、先般来の処分をした人間は団交の対象にしないということでありまして、大へん理不尽なことであるわけであります。私どもは少くとも理論的に、自主的に組合を結成いたしておりまして、役員を選ぶ自由というものは侵すことのできない私どもの自由である。そういう自由と権利を持っているわけであります。ところが国税庁は免官をした人を――なるほど職員の身分というものは、免官の辞令で消すことができるかもしれませんが、役員の資格あるいは役員という立場国税庁の辞令でもって否認するということは、まことに理不尽なことであります。従いまして、私どもとしては、常に団体交渉を開いて話し合いで解決をしようという態度に出ているわけでありますが、常に国税庁当局によってその団交が拒否をされ続けておるということであります。これは、私どもの当面大きな要求になっております。それから私どもの具体的ないろいろな要求の内容でありますが、これは、昨年御承知のように給与法の改悪が行われましたけれども、私どもの生活は決してよくなっておりません。一例を申し上げますと、月給日に五千円札一枚しか入っておらないという職員の数も相当数に上るような状態です。それから最も私どもが憤慨をいたしておりますのは、やり方が非常に競争心をあおるというやり方でやって参りまして、賃金制度の上でも競争心をあおる。このことは、そのまま徴税競争にかり立てるといいますか、税取り競争にかり立てるといいますか、そういう政策の現われであるわけでありまして、私どもは、そういう競争心をあおるというやり方はやめてもらいまして、生活も一つ豊かにしてもらうということを要求しております。それから労働の条件でありますけれども、これは一言で申し上げますと、国税庁のやり方は、ほんとうに点数競争にかり立てる、みんなを競争させるという一点に集中されておるわけです。あらゆることに点数をつける、A、B、Cをつける、そういう形で、その成績のいい者は昇給をさせたりあるいは昇格をさせる。あるいは国税庁とか大きな税務署に転勤をさせる、こういうような形で、反対に成績が悪いと目された者は、妻子を置いて二重生活をせざるを得ないようなへんぴな地に一片の辞令で転勤をさせる、こういうようなことで、非常に成績競争にかり立てて徴税強化を行うというような方針になっておりまして、私どもは、私どもの労働の条件をよくするために、そういう競争心をあおるようなやり方はやめてもらいたい。このことは、またほんとうに税務行政納税者のものになるといいますか、納税者のために行われるということに欠くことのできないことだと思いますが、そういう点が二点。  それから第三点は、私ども組合活動の自由に対して、最近非常に露骨なやり方をしてきております。その例は、先ほどもちょっと申し上げましたが、従来慣行として認められておりました組合活動の自由と権利に対しまして、これを非常に排撃をするという形であります。一例を申し上げますと、最近熊本局の局長が全部の税務署を回って組合の誹謗、中傷の演説を二時間も三時間もぶって歩くということで組合をこわす、こういうふうなつぶしてしまうというようなやり方をいたしております。それからまた職場の中におきまして、税務署長やあるいは課長、係長に命令をいたしまして、――課長、係長は組合員でありますけれども、これらの人たちまでも動員をして、組合の破壊工作とデマ、宣伝を非常にやっておるというところに、私どもの非常に遺憾とするような事態になっておるわけであります。そういう一切の不当干渉、妨害と申しましょうか、これを一つやめてもらいたい。組合活動の自由というものはもちろん、従来も認めておりましたような既得権もこれは認めてもらわなくちゃなりませんし、これはたとい税務署に働いておる事務労働者でありましても、当然労働者としての権利というものは認められていいものではないか、こういう観点から要求をいたしておるわけです。  なお長後に申し上げますが、私ども税務器の職員組合活動も、もちろん私どもの生活をよくいたしたい、もっと労働の条件をよくいたしたい、こういう観点から運動をいたしておりますが、そのことは、またひっきょうするに納税者国民の権利が尊重され、税務行政の確立ということになくてはならない、あるいはそういうことに向っておる運動だというふうに理解をいたしておりまして、私どもの権利がほんとうに守られる、生活が保障されるということは、税務行政というものがほんとうに国民のものになる大前提ではないか、こういうふうに考えております。  それから最後につけ加えたいのでありますが、非常に国税庁の競争心をあおるという政策の現われが、ごく最近大宮の税務署に起ったわけでありますが、これは、よく現在中小企業に特に問題になっております所得税の問題をめぐりまして、国税局から税務署に出張した係官が、要するに所得した金額をふやせ、言葉をかえて申しますと、この税額をよけいにふやせということで、税金をふやせないような職員だったら寝ていた方がいいじゃないか、そんな者はやめてしまえということで、いわゆる伸びでしりたたきをしておるという実例もあります。このほかたくさん実例がありますが、このように、私どもを非常に競争にかり立てて徴税を強化するという今の政策のもとで、私ども運動が正しく、税務行政のほんとうの意味の民主化ということで、ささやかながら続けておる、こういう状況です。  若干長くなりましたけれども、以上でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 相当こまかい点について聞きたい点がありますけれども、大筋の問題で双方の御意見を聞きたいと思うのです。  今お二人からお伺いしましたところによりますと、重大な点で二つ問題があると思うのです。一つは、長官組合運動方針転換をしたことに問題があるとおっしゃる。組合の方は、それ以前に、国税庁の方で政策が変ったからそうせざるを得なかったのだ、これが重大な食い違いであります。第二番目は、両方とも団体交渉を求めておるのに団体交渉が行われないという点であります。私は、ここにやはり一番基本的な問題があると思います。第一のどちらが一体先であるかということです。もとより労働問題は、単に国税庁だけの方針でなく、政府の労働政策にも関連をいたすところではありますけれども、しかしながら、直接接触をしていらっしゃるお二人の方で、そっちが先だ、こっちが先だといっておるというところに、私は実に重要な問題があると思うのであります。今どちらが先かということを議論いたしますのは、少し水かけ論のたぐいにもなりますから多くは申しませんが、かりに私も一つ意見を持っておるわけですが、客観的にこれを聞いたにいたしましても、そういうことなら、責任のなすり合いはやめなさいと、こう言いたいのです。そうすると第二番目の、双方求めておるのになぜ団体交渉が行われないかという点であります。長官は、経済闘争をやってもらいたい、ところが組合政治闘争をやるからいかぬのだとおっしゃる。政治闘争長官がおっしゃるのはどういう意味か知りませんけれども、私が感じますのに、百九十七名という膨大な職員懲戒処分がこの一年間に行われたといたしまするならば、労働組合としては、そういう懲戒を受けた人たちを援護するという気持になるのは、労働者としては当然の気持ではないか。そこに権利の問題、また組合の基本権の問題が存在をするように思うわけです。しかしそうだといたしましても、今国税庁ないしその職員に円満に徴税の仕事を実行していただくためには、いかなる理由があるにしろ、双方とも話し合いも何もせずに、下の方で、長官のおっしゃるように、あるいは組合のおっしゃるように、摩擦がこの分でいきますと増大するばかりであるという事態は、何としても私は看過できないと思うのです。団体交渉をし得ない原因は双方にあろうと思いますが、しかし、それを乗り越えて団体交渉をしなければならぬのであります。していただかなければならぬと私は思うのであります。その点について、長官の御意見はいかがなものであるか。
  14. 北島武雄

    北島政府委員 まず国税庁が、この一両年来労務管理方針を変えたから組合方針転換したのだ、こういう話でございます。これは、私どもそういうことは全然ございません。また約束を破棄したというようなこともございません。なお詳細な点につきましてもし御必要がございますれば、当時からずっと担当いたしております人事課長等から御説明を申し上げさせることにいたします。  なお団体交渉をいたずらに拒否しているのではないかという問題でございます。この点は、私もまことに残念なことに思っております。当局の方針といたしましては、職員組合側から交渉の申し込みがありましたときは、でき得る限りこれに応ずる方針でございます。各国税局におきましてもその通りにいたしております。ただ私どもといたしましては、職員組合との交渉でございますので、やはりそれは職員であって、かつ適法に人事院に登録されておる代表者でなければならぬと考えております。職員でない方とは、実は残念ながら交渉はできないという立場をとっておるわけでございます。不幸にして免職の処分を受けた方は、残念ながら職員ではございません。その方々が一緒になって交渉をすることは、私どもとしては困る。ですから、もし免職者を除いての交渉ならばいつでも喜んで応ずる、こういう態度でございます。もちろん各局におきましては、免職者のない組合も相当ございますので、各地方の国税局の単組におきましては、局長との適法な交渉が持たれておるわけであります。国税庁におきまして、いわれなく組合交渉を拒否しておるものではございません。二十一年中におきましては、数えあげてみますと、七十四回の国税庁長官組合との交渉が行われたように記録になっております。それから三十二年中は十回行われております。このように私どもは、適法な正当な手続によって組合交渉、団体交渉の申し込みがありました場合には、喜んでこれに応ずるものでございます。それは、ただいままで申しました一昨年七十四回、昨年の中途まででございますが、十回というものが物語っておるわけであります。しかし、その後残念ながら組合執行部に官を免ぜられた方、すでにもはや国税職員でない方、こういう方々がまじって交渉することは私どもしては困る、こういう立場をとっております。なお私の気持といたしましては、組合側が正当なルールに乗ってくればいつ何時でも喜んで交渉に応ずるわけであります。ただ交渉の題目といたしましては、組合は、実は昨年の初めごろまでは昇給昇格という問題を非常に大きな関心事、いわば最大の関心事として、もっぱら昇給率、級別の定数とか昇格者の交渉が中心でございました。ところが昨年度後半からは、昇給昇格は廃止せよ、一律にベース・アップを力をもってかちとる、こういうふうな方針でございますので、私どもといたしましては、どうも今の御要求には何としても応じかねる、こういう気持でございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 理論的な問題であなたとここで議論をするならば、私もかつて国鉄におりまして、懲戒処分を受けて首を切られた人間であります。当時の裁判所との話し合いや、あるいは国鉄当局との話し合い、そういう経験をした人間でありまして、理論的には、今あなたのおっしゃったことを一つ一つ破砕する根拠を持っていますし、現に一昨日でありましたか、予算委員会における石田労働大臣とわが党の多賀谷真稔委員との論争においても、国際的な立場、つまりILOの条約によって国際的に認められておる労働者の結社及び団結権の自由に関する権利、しかも日本はこれの批准をまだしていないのであります。国際的に批准をしろと言われておるのであります。条約は決定しておるのでありますから、今日日本政府がそういう言い方をしておるのは誤まりである、明らかに誤まりなんであります。従いまして、論理的に今あなたと議論をいたしますならば、私はことごとくあなたの論理を破砕することができるのであります。しかし私が今言おうとしておりますことはそういう論理の問題よりも、今当面する国税数万人の職員の問題として、現実の労働問題として、それで北島さんよろしいであろうかということであります。あなたは、国税庁職員労働組合というその組織を認めていらっしゃる。それなるがゆえに、あなたの論理をもってしても、その組合と交渉するに何らやぶさかなことはないと言っておられる。その国税職員諸君が民主的に選出された者が、委員長であり副委員長であり書記長であり委員である。あなたのおっしゃる論理をそのまま進めていけば、おれが解属した者を組合から追い出せということであります。追い出したら交渉してやるということであります。明らかにそれは組合の人事、組合の内部運営に対する介入になるのであります。それがあなたの方として議論の余地のあるところでありましても、現に今職場において紛争が起り、そうして世間もこの話を聞くならば、なぜ一体話し合いをすなおにやらないかということに議論が向うことは、私は当然であろうかと思うのであります。理屈を申せば、懲戒処分をした者がそこにおってはいかぬとかいくとかいう議論があるでありましょうが、しかしかりに理屈を抜きにして、その人たちがまん中におったところで、どういう違いがあるのか。単にそれはあなたが理屈を――失礼な話でございますが、もてあそんでおるのではなかろうか。しょせん将来、それは組合員が民主的にどうあれかしと選択をしていく問題ではなかろうか、それが労働法の、また労働の実際的な問題ではなかろうか、こう思うわけであります。今あなたが拒否を続けて、そのために交渉が何ら行われないということであるならば、これは得るものと失うものとを比べてどんなものであろうか、こう思うわけであります。実際的な労働問題として処理をする用意はないのか、重ねてお伺いをいたします。
  16. 北島武雄

    北島政府委員 これは、釈迦に説法で、はなはだなまいきな言葉かもしれませんけれども国家公務員法九十八条二項におきましても、国家公務員職員がそれぞれ任意に団体組織して、そして適法に選んだ職員の代表者と当局が交渉するわけであります。職員でない方と私どもは交渉はいたしかねるわけであります。この点につきましては、いろいろまた御意見もあるようでございますが、私どもといたしましては、やはり守るべきところは守らなければならぬだろう、こう存じております。従いまして、はなはだ残念ではございますが、職員でない者を入れて交渉するということは、これは国家公務員法に反する、こう考えております。
  17. 横山利秋

    横山委員 しからばお伺いをいたしますが、あなたの先任者ということになりますが、しかしあなたも今長官でありますから、その責任者でありましょうが、百九十七名という大量の懲戒を受けた人々は、全くこれは間違いのない問題であろうか一私も、みずからの体験や、あるいは国鉄その他の労働者の懲戒の実態を見まして、これがすべて正しいものだとは思われないのであります。そこには多くの感情がひそみ、多くの間違いがあり、それがために取り消された者もあるわけであります。たとえば、幸い参考人として出席された坂根さんが――個人的なことを引き合いに出しては恐縮ではございますが、一応そこにいらっしゃいますから、御両所にお伺いしたいのでありますが、坂根さん、あなたはいかなる理由をもって処分を受けられたか、あなたの聞いていらっしゃる自分の処分理由はどういうものであるか、お伺いをいたします。
  18. 坂根茂

    坂根参考人 ただいまの御質問にお答えしたいと思います。これは、何か国税庁から送達されました処分理由通知書と申しますか、それによりますと、私の場合、宇都宮税務署におきまして職場大会が行われましたけれども、これの指揮者として、指導的役割を演じたということが第一点のようです。それから第二点は、時間内に職場で何か二、三分演説をした。こういう大体二点になっておるようです。そういうふうな理由でありまして、問題は今の実例でわかりますように、他省庁の労使の慣行と比べてみますと、まことに大蔵省、特に国税庁関係の労使関係というものは、いろいろ御質問されておるような状態になっておりますが、一口で、なぜこうなったかということについて、先ほど長官から約束を破棄した事実なし、この点についてはいろいろと時間をかけて討論をいたしてもよろしいわけでございますけれども、要は世上一般にいわれておりますように、大蔵官僚の全く冷酷無比なやり方というものが一つ。それからしゃくし定木の法律一点ばりですべてを処理をする。そして権力、命令に従わせるという現在のやり方が非常に職場の方を苦しめ、従ってまたみんなが憤激をする、こういう根本的な問題になっておるのではないか、こういうふうに思います。
  19. 横山利秋

    横山委員 段を追うて聞いて参りますから、私の質問にお答え下さればけっこうであります。今のあなたのお話によりますと、宇都常の職場大会で、あなたが現地指導をされたこと、それからあなたが勤務時間中に職場で演説をされたことが理由だとおっしゃいますが、国税庁の方では、そのように解雇の理由をしておられるか、そのほかに理由があるか、お伺いします。
  20. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 ただいま二、三分というふうな時間の制約がございましたが、時間についてはたびたび、そうして相当長時間にわたる場合もありました。宇都宮の闘争はかれこれ一カ月以上にわたっております。その間しばしば被処分者は、ただいまのような理由のことがあったので処分をいたしました。
  21. 横山利秋

    横山委員 一カ月というのはどういう意味ですか。
  22. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 処分理由書に、三十二年の六月二十二日に十時から正午ごろまでの間、約二時間、多数の職員の先頭に立って署長に面会を強要し、そして署長室に乱入するような行為がありました。それから七月の十五日及び十六日には、勤務時間中にみだりに演説を行なっております。
  23. 横山利秋

    横山委員 坂根さんにお伺いしますが、今のことは事実であるか、どうかということと、かりに事実であるとすれば、あなたはどういう資格でそれを行われたか、副委員長というものはどういうものであるか、あなたが組織の決定以外に自分で独断でそういうことをなさったかどうか、それとも組織の決走、使命をもってそういうことをなさったか、これをお伺いいたします。
  24. 坂根茂

    坂根参考人 ただいまの点、第一点の事実であるかどうかということでありますが、これは、やがてまた法廷等でも明らかにしたいと思っておりますけれども、六月二十二日には、確かに署長に面会を求めましたが、署長はまた面会をいたしております。その間、記録も残っておりますけれども、そういう事実もありまして、署長の方が面会に応じておるような実例もあります。  それから第二号の七月の十六、十七日でございますか、この日は、また何か連絡で参りまして、確かに私の記憶では、もちろんこれは多数の証人もおりますけれども、ちょうど時間中のことでありますから、当時国税局から派遣されておりました間税部長と団体交渉を開く問題についての経過の報告を、全く、二分か三分ですね、そう長時間やっておれるものではありませんし、二、三分というのが果して正確かどうかというのは問題があるかもしれませんが、私の記憶と感じを申し上げますと、その通りです。  それから第二点は、どういう資格かということでありますが、当時私は、大蔵省全体の労働組合の事務局長を兼務いたておりまして、ちょうど大蔵省全体の組合の事務局の方に仕事をしておったわけでありますが、当時全国税の中央闘争委員会の決定に基きまして、派遣をされたということで、決して個人の意思で動いたという事実は少しもありません。
  25. 横山利秋

    横山委員 人事課長さん、あなたの今のお話によれば、坂根さんが、私が首切られた理由は、こういうふうに聞いておるということにつけ加えられたことは、ほんの少しで、いや、二、三分でない、ぎょうさんな時間だということのようでありますが、そうだといたしますと、それだけで解雇をされたのであるならば、これはきわめて簡単むぞうさにやられたように思うのであります。しかも坂根さんの話を聞きますと、あなたが首を切る理由にした、宇都宮の大会で署長に面会を強要した、その署長はその面会を受けて話し合っておるとするならば、その署長をあなたはどうしましたか。署長は、その坂根さんの面会に対して応じて、これを受けて団体交渉なり話し合いをした、こうおっしゃる。それからその資格たるや、坂根個人でなくして、組織責任者として行ったならば、それを決定した組織の最高責任者である委員長の命令によってこれをしたということになるのではありませんか。いかがです。
  26. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 当時の模様では、署長が通常の人事院規則で定めておるところの交渉手続によって坂根氏と交渉を持ったという事実はございません。同日十時には、坂根氏に対しては退去要求が出ております。それを排除して、みだりに署長室へ侵入して、署長署長室におるのをつかまえたという状況でございます。  それから機関の責任であって、坂根個人責任でないのではないか、こういう御質問でございますが、われわれは通常交渉の間においても、それは組合内部の問題であって、官側がとやかく言うことは、組合に対する不当干渉だと、こういうことを常に申されております。従いまして、坂根氏の行動が機関の行動であるかそうでないかということを判断することは、非常に困難だと思います。処分はそういう機関の指令に基いた行動であるかどうかということではなしに、公務員法で定める違法の事実に基いて処分をしたものであります。
  27. 横山利秋

    横山委員 あなたは、一体国税庁の人事課長として労働問題を担当せられておると思うのでありますが、きわめて軽率な御意見をおっしゃるのだと私は思うのです。かりに相手が、私は機関の責任者だ、いや個人だとおっしゃったところで、交渉の相手側として個人と交渉なさる必要はないでしょう。あなたは個人団体交渉をなさるはずはありません。個人に対してあなたがいろんなことをおっしゃるはずはないわけであります。どう見たって、坂根でなくして、それは全国税庁職員労働組合の副委員長であればこそ、宇都宮に行き、職員もそれに対応し、所長もそれに対して退去を要求するということになるじゃありませんか。私は、今あなたとこういうように話をしているのだけれども、あなたは、長官のうしろにおられる人事課長として話をする、これはどこへ行ったって、当然のことであります。それを、坂根氏の行動個人であると立証する証拠は何がありますか。
  28. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 御承知かと思いますが、現行の国家公務員法は、組合活動に対する処分行為というふうなことは規定がございません。それで、職員に対する懲戒権者の処分行為というものは、いわゆる国家公務員職員としての行為が公務員法に触れるということで、処分事由になっております。
  29. 横山利秋

    横山委員 国家公務員法は、職員が団結して、そうして折衝する権利を認めておるわけであります。その権利に伴う問題については、これを免責規定にしております。こういう立場に立たなければ、国家公務員法が、職員の団結権を認めておるという根拠は何もない、そうじゃありませんか。あなたが、この人がこういう行動をした、その人はどういうつもりでそれをやったのか、だれがそれを命令したのか、だれがそういうふうにやれと言うたのか、これは個人が、国税職員が勝手勝手にやっておるものではありませんよ。中央闘争委員会なるものがあり、国税庁職員労働組合というものがあり、その協議決定に基いて行動をしておる。そういう厳然たる事実を全部知らぬ顔をして、それによって行動した者は、みんな個人の問題だというふうな理解というものは、まことに私は不穏当千万なものだと思うわけです。今のあなたの回答によれば、そんなことおれの知ったことじゃない、動いた坂根はあくまで個人であって、副委員長でもなければ、何でもなかった、こういうふうに理解をされるわけですか。
  30. 北島武雄

    北島政府委員 どうも言葉のあやからの問題だと私は考えております。坂根氏がそういう態度をとるのは、もちろん組合執行委員長としてやられたのでありましょう。しかしその行為が、同時に国家公務員法として違反しておれば、これは処分の対象になるのは当然じゃないかと思います。もし組合の副委員長としての行動ならば、国家公務員法上何ら法律違反にならぬというのが、私どもちょっとわからぬのでございますが、その点もし何でしたら、お教え願いたいと思いますが。
  31. 横山利秋

    横山委員 それじゃ私がお教えいたしましょう。坂根個人行動をした。どういう目的でそれは行動したのか、どういう決定に沿って行動したのか、これは長官、あなたはわからないわけはないでしょう。坂根が勝手にやったものであるとは、あなたも夢にも思ってないでしょう。どうです。異議ありませんね。坂根個人が勝手にやったものでないといたしますならば、その責任というものは、だれが負うべきかということであります。まず常識的に考えてごらんなさいよ。あなたが通牒を出した、通牒に従って職員行動した、それが通牒がかりに誤まっておったといたしますと、誤まっておったがために、その通牒通りに行動した職員指摘せられたといたします。指摘された行動をした職員が悪いのか、指摘されるような行動を命令した本人が悪いのか、どちらです。
  32. 北島武雄

    北島政府委員 どうもお話を承わっておりますと、むしろ組合が悪いのだというふうに受け取れるのですが、組合を罰する規定はどこにもございません。従って、組合の意思決定としてこういうことをやろうとして、しかも実際の行動におきまして、それが国家公務員法違反になったならば、これは、その行動された個人の方がやはり責任を負うべきじゃなかろうか。人は、それぞれ自分の意思に基いて行動するのでございます。かりに副執行委員長たる坂根個人さんかもしれませんけれども、やはり御自分の行動には、御自分で、国家公務員法にもし反すれば責任を持つべきであると私は考えます。
  33. 横山利秋

    横山委員 私の質問にまともに答えていない。あなたの場合を例に示しますよ。あなたが間違った通牒をした、その通牒によって税務職員行動した、それによって非違行為が摘出されたといたしますと、それはだれの責任かと私は聞いておるのです。
  34. 北島武雄

    北島政府委員 具体的にどういう場合でありましょうか。時と場合にもよることと思います。しかしもし違法な職務命令――違法なものは職務命令じゃございませんが、かりにそういう職務命令が出た場合には、これは下の者は従う必要はないわけでありまして、もし違法であっても、上の命令だからといってそれをやった人は、処分の対象になるのではなかろうか、それと同時に、そういう命令を出した長は責任を負うものと考えます。
  35. 横山利秋

    横山委員 違法であるかないかということは、あなたにしたところで、勝手に全く違法な通牒だと明瞭なものを出すはずがないのであります。けれども、間違っても、あるいはうっかりしても、それにひとしいようなものを出して、それに従った職員があって、それによって非違行為が摘出されたといたしましたならば、明かにこれはあなたの責任ですよ。政治的にもあるいは法律的にも、あなたの責任だと私は思う。下の職員がそういう間違った命令に従わないでもいいのですとあなたはおっしゃいました。きわめて私は重大な問題だと思うのであります。そういうことが、ほんとうにあなたが自分で正しいと思って――間違っておると思ったならば、別に命令に従わぬでもいい、極言すればそういうことじゃありませんか。そういうことをあなたがおっしゃるとすれば、これはきわめて重大な問題だと思いますが、今私はそれは話が発展いたしますから、その点は伏せておきますが、しかし下の責任であると同時に、私の責任だとおっしゃいました。坂根さんは、その意味合いでは、中央闘争委員会の決定に従って行動されたのですよ。あなたはそこに至って、坂根はそうだから、まあ行動は悪いけれども組合を罰することができませんから坂根処分したとおっしゃる。もうそこまであなたは論理を進めていかれた。そうすると、あなたが全責任坂根さんになすりつけたということになるわけですよ。ほんとうは、坂根個人行動では全部が全部ないけれども責任者をほかに罰するわけにいかぬから、個人に押しつけたのだ。個人責任にもすべきでことはないけれども、全部坂根に押しつけたのだ、こういうことになってきます。そうじゃありませんか。押し問答じゃない。ここのところが、私は今日の労働問題の中でお役所として考えなければならぬところではないかと思うわけです。今あなたが、逆に私に聞いて、組合を罰することができましょうか、組合が悪いとあなたはおっしゃっておるのじゃありませんか。こう言われましたけれども、私は、あなた方の言っておられるベースに乗って話を進めてみると、そういう矛盾ができてくるではないかと言いたいのです。そうでしょう。私の意見はまた別にありますよ。ありますけれども、あなたの意見に沿って、ベースに乗って話を進めてみても、坂根さんにおいてすべてを律するわけにはいかないではないか。それをあなたは、今まさにおっしゃったではないか。私は委員長責任だと思います。もしこれは、あなたがいかぬということであれば、委員長責任は免れがたいと思う。それでこそ組織です。それでこそまた役所です。また団体というものが保たれるのであります。団体の決定は、もし間違っておるとしたならば、その最高責任者が責任を負わなければなりません。あなたは、どういうつもりで現地に派遣をされた、しかも中央指導部から責任を負わされて、指示を受けていった人を処分をしたのか。しかも、例が坂根さんばかりになって恐縮だけれども坂根さんの場合においては、人事課長はああおっしゃるけれども、現に署長は会って話し合いなり団体交渉に応じたではないか。これが応じなかったならば、議論はあなたの方も筋が通るであろうけれども、拒否したかどうか知らぬけれども、それに応じて話し合いをしたならば、話し合いはしたけれども、あれは処分するということでは、労働問題としては、あなたの方が筋が通りませんよ。労働問題というものは、火のないところに煙は立たぬと申します。かって私は渡邊さんに申したのですけれども署長さんが小使さんかあるいは女の人を給仕がわりに使って、ふろたきをさせたというところは、あれは宇都宮でしたね、そういう署長さんがおるところでこの問題は起ったのです。私は渡邊さんにも申したのだけれども職員にふろたきをさせたり、あるいは秘書がわりに自分の私用に使ったりすることをもって署長がけしからぬというほど私は気が小さくないけれども、そういうことは氷山の一角であろう。そういうことがいわれるような人ではだめだ。能力もあり、部下もかわいがる人であったら、かりに一週間に一ぺんか、あるいはたまにふろたきをさせたくらいで、職員署長を追放するなどと言うものじゃないと思う。だから、ふろたきをさせた、私用に使ったということで、あなたの方がそんなことを言わんでもいいじゃないかということ自体は、根本を見誤まっている。その署長のところでこういう問題が起きて、そこで現地指導をしたという理由坂根さんを首切るというのは、片手落ちもはなはだしいではないか、私はそう思う。従って、今かりにこの坂根さんを例にして、百九十七名の一斑として処分問題を論じましたけれども、私は考えるのです、処分理由は、ドアを破ったとか、面会を強要したとか、あるいは職場の中で五分なり十分なり一時間なり演説をしたということだけではなかろうと、逆にあなたに言いたい。そういう形だけのことで人一人、二十年も働き、十年も税務署で勤めた人を簡単に処分することはいかがなものであろうか。あなたは今この委員会で、まことに不幸にも首を切ったと申しました。けれども、天下にこたえる理由として、面会を強要したから、勤務時間内で二十分演説したからといって、十年も二十年も働いておる人を簡単に首切れるものではありませんよ。そういうことであったならば、まことに官僚のやり方としては、冷酷むざんなものだと私は思うのです。もっとほかに理由があるとするならば、逆にそれを聞きたい。もっと理由がほかになければ、かかる解雇というものはまことに不穏当きわまるものです。その焦点になった署長はどうしましたか。その署長は首を切りましたか。かりにそこで問題が起ったとしたならば、根本の原因、導火線となった署長は、まことに部下の統率もよろしきを得ず、そういう事態を惹起した責任を免れがたい、これこそまさに懲戒免職をしてしかるべきではありませんか、どうしましたか。
  36. 北島武雄

    北島政府委員 ただいまお話のございました問題の税務署長は、その後退職いたしております。ただ私ども考えられますのは、署長にもちろん不徳な点があったと思います。これは私、昔からよく知っている署長ではございますが、しかし、決してそういう悪い署長ではないと思っております。ただ不幸にして、これは私あとで聞いたことでよくわからないのですが、元来が群馬県の男でありまして、相当荒っぽい口をきく男であります。それが、隣の県の栃木県とは相当気風が違うのに、やはり群馬県のようなつもりでふだんからふるまいがあったようであります。これが、栃木県の人にやはりぴんとこなかった点があったように私は思います。しかし宇都宮で事が起りましたのは、単にそれだけではなくて前からの――五月に先ほど申しました全国税運動方針転換がございまして、六月十三日から七月末までの間におきまして、大阪、金沢、関東、中国、札幌、高松、熊本、各地方におきまして、今言ったようなピケを張って職員の登庁を阻止するとか、あるいは時間内の職場大会の強行などが行われておったのでありまして、そのうちの一環として、関東信越におきまして、宇都宮税務署が特に目標になったというように私ども実は理解しております。しかし署長におきまして、やはり土地柄をわきまえない不徳な点があったことは事実でございましょう。しかし問題は、やはり署長をやめさせるということではなくて、もっと根本に、深いところに今度の宇都宮の動きがあったように私は思っております。
  37. 横山利秋

    横山委員 それは、雑談としてならばわかりますけれども、こういうところで、群馬県の男は気が荒っぽいから、栃木県に行ったら合わなかったらしいというようなことは、長官としておっしゃることではありませんよ。お役人ならば、どこへ行くのも当りまえです。どこへ行っても部下をかわいがり、そして統率よろしきを得るということは、当りまえのことでございます。今後群馬県の人間は他県へ転勤させないとあなたは約束しますか、そうすれば、委員長を首切らなくて済みますよ。群馬県の人間が栃木県へ行ったために、副委員長が首を切られ、ほかの人間も処分を受けた。この人間はいい人間だけれども、荒っぽい人間だからしようがなかった、こういうばかげた答弁がありますか。  それからもう一つ、あなたの答弁の中に、当時は、あちらこちらいろんなことがありましたという、やや私の質問に似たような答弁がありました。それもまた至って何かつけたりのような感じがするわけであります。そういたしますと、一体坂根参考人を解雇した理由というものは、全くだんだんぼやけてくるような気がするわけであります。こういうようなことで、今後ともそうでありますけれども行動をした、ちょうどそこにおった、しかもその人は組織の決定として派遣された。支部長なるがゆえに、分会長なるがゆえに、あるいは班の役員なるがゆえに、責任上みんなのために行動をする、そういう行動をした人を処分する。しかもそういう考えで処分をなさるということは、これは大いに考えなければなりません。  同時に私が指摘しておきたいのは、ほかのお役所と違って、あなたのところはすぐおまわりさんを出動させるという点であります。どうしてこんなにあなたの方はおまわりさんを利用なさるのか。事は労働問題であります。おまわりさんを頼むということは、場合によってはないではない。しかし私の承知したところによりますと、千葉の税務署におきましては、解雇された役員が来ているとか、本部が来ている、それに退却命令を出したが出て行ってもらわれないために、おまわりさんを呼んで出て行ってもらったという話だそうであります。まことにこれも子供じみた話だと思う。税務署の中といえば、あなたのうちの中ではありませんか。それを、わざわざ小さなトラブルに一々おまわりさんを頼むという気が知れぬのであります。私は何もいわゆる国税一家とか、あるいは国鉄一家とか、そういうことを強調するわけではありませんが、もしあなたが冒頭におっしゃった、国税職員は私ども同僚であり、後輩であり、そうしてただならぬ人情の関係であるといたしましたならば、警察官の動員というのは、少くともほかの官庁がどうしてもやらなければならぬときにやっておるくら  いにとどむべきではないか。何かといえばすぐおまわりさんという権力的なものの考え方を、税務署から、国税庁の部内から払拭しなければならない。私ども当小委員会は、税の執行と特調の問題をひっさげて、税務行政の中から権力的なものを払拭したい、それを念願しておるのであります。幸いにも北島さんは新任のお方で、しかも前から存じ上げておるのですが、人格温厚な方であります。この機会に、そういう権力のものの考え方を払拭して、納得と説得をもって話に当るというあなたの新聞に載っておりました就任の方針を、労働問題の中にも生かしてもらいたいと私は思うのであります。いかにあなたの認識のように、全国税労働組合が万が一にもあなたの認識の通りだといたしましても、しょせん人間と人間との関係であり、労働者の中にも、かりに今日苦しくとも、まじめに働いておればよくなるという認識と希望さえ生まれれば、かりに万が一にも一人、二人の急進的なお方があったといたしましても、大衆というものは、それになびくものではありません。これは、私の経験上申し上げることであります。ところが肝心のあなたの方が、国税というものはてんからあかぬのだときめてかかって、そして――あなたは首を振っていらっしゃるけれども国税労働組合というものはあかぬのだとあなたは思っていらっしゃる。人は違いますよ。こういう考えで人を律し、何かといえばおまわりさんを呼び、何かといえば行動をした人を中心に、まあ気の毒だけれどもあいつを首切ってやれということでは、税務職員の中からあなたに対する納得、理解、敬愛の念というものは生まれてこないと私は確信をするのです。従って労働問題は、結局忍耐が必要であります。別にあなたにばかり言うわけではありません。このことは、私はこの際組合の方にもお願いをしたいところであります。特に折衝の責任者として、あなたに先ほどから申し上げましたが、第一には、団体交渉に応じてもらいたい。団体交渉がかりにいかなかったら、話し合いに応じなさい。窓口でけんかをしておって一切話し合わない。あなたはそうでない、あの人がいなければ会うといいますけれども組合としては、その人が大事なんであります。なぜならば、民主的に役員として選出をしておる今日であるからであります。これがどうなるかは将来に、職員の諸君に持ちなさい。それだけの忍耐と度量をあなたは持つべきであります。こういうことによって、多少の問題があっても、団体交渉を開き、団体交渉の過程で、これを一歩でも二歩でも話し合いをし、認識を双方が深めるということなくして、下部で起った問題を処分々々でもって連続いたしますならば、一体いつの日に国税の労働関係というものは確立をするか、これはあなたに聞きたいくらいであります。おそらくはあなたの方としては、こういうことは今のところは考えられません、労働組合の自治的改善を待ちたいとおっしゃるでありましょうが、相見互いのことであります。あなた方が一方的に組合に押しつけるべき筋合いのものではありません。あなた方自身からそういう窓口を開いていかなければ、それは相対的のもので、あるから解決しない。  以上いろいろと申しましたが、要するに当面の問題としては、団体交渉を開いていただく、そうしてその中で千万の問題を話し合いをしてもらうこと。その中には解決しない問題もあるでありましょう。しかし話し合えば解決していく問題は、私は決してないとは言わない。以上、私の一番の要望を申し上げましたが、それについて長官の誠意ある御答弁を承わりたいと思います。
  38. 北島武雄

    北島政府委員 ただいま労働運動に対する長い御体験をお持ちの横田さんから、るるお話がございました。私どもも非常に傾聴すべき御意見だと存じます。私どもも、何も好んで処分をいたすものではございませんし、また好んで警察官の力を借りるというものではございません。できるだけそういうことは避けていった方かよろいのでありまして、私自身の性格から申しましても、そういう権力的な行ないはできるだけ慎しみたい。ただ時と場合によりまして、やむを得ずそういうこともやはりあり得るのでございます。その点は、一つ今後におきまして私ども十分注意はいたします。私ども行動も、やはり世の識者の納得を得るものでなければならぬ、こういうふうに考えておるものでありまして、ただいまの御忠告はありがたく拝聴いたして、今後において十分反省いたします。
  39. 淺香忠雄

    ○淺香小委員長 関連質問を許します。奧村又十郎君。
  40. 奧村又十郎

    ○奧村小委員 横山君の今までの御質問は、非常にいい御質問でありますが、私は、今の御両所の御答弁では、この大事な問題に、もう一つ欲を言えば、物足りないと感じますので、関連してお尋ねをいたします。今の御質問事項は、税務執行の盲点と申しますか、悩みと申しますか、今の税務執行の一番大きな因った問題で、おそらく国税庁御当局、また全国税職員組合もお困りのことと思うのでお尋ねいたします。  それは、国税庁長官あるいは大蔵大臣が現在の全国税職員組合を認めて、これを相手にして税務職員と納得ずくの話し合いを進めていこうとする誠意が長官にあるのか。また全国税も、そこをもう一つその気持があるのか――いやこれは大事なところなんです。これはわれわれ大蔵委員会の者も反省しなければいかぬが、現在の税法というものは、どうも残念ながら朝令暮改であって、かなり複雑難解であって、この税法を現実に執行していこうということは、税務職員としてはなかなか困難な仕事であります。しかも率直に言うならば、国民の納税意欲も高いとは言えぬ。これを納得させて、この税法通りに適正な税務執行をやっていこうというものは、よほどしっかりしたりっぱな税務職員でなければできぬことであります。従って、税務執行上の一番のねらいは、五万の税務職員を一人一人りっぱな税務職員に育て上げる、これが税務行政の一番大事なことだと思う。そこで今日の時代でありますから、やはり団結権を認めて、できた組合を相手にして、納得ずくで話し合いをしていくということはどうしても避けられぬ。そこで、そういう気持国税庁長官がやっておられるのかどうか。もしそういうお気持でやっておるのであるとするならば――私は抽象論はきらいであります。やっておるものであるならば、今度のこの坂根君の解雇ということは、果して妥当なものかどうか。坂根君のやったことは――私は今そばで聞いておった程度で詳しいことはわからぬが、宇都宮でやったことなどは、おそらく坂根君でなくても、ほかの全国税組合役員であっても、おそらくやったであろうというふうなことであれば、これはあるいは法規上厳密に言えば抵触するかもしれぬけれども全国税を認めていこうとするならば、もう少しおおらかな気持で見てやるべきではなかったか。そうでなければ、当局の言いなりになるいわゆる御用組合でなければ、国税庁長官は認めないのだ、こういうことになっては、組合というものの存立の意義はなくなる。そこに私は問題があろうと思います。そこで問題は、一体坂根君が、当の御本人はここにおられるが、坂根君が組合活動として宇都宮でやったことが門違いでなかったか、また組合活動としてやったことについて、何も解雇されるほどのことはないのだ、もし自分でなくとも、ほかの組合役員でもこういうことはあっただろうということなのかどうか。もしそういうことであるとするならば、これは組合全体の行き過ぎであるし、坂根君以外の者なら、これほどむちゃなことはやらなかった、こういうことなのか、そこが私は問題であると思うので、坂根君の心境を聞いておきたい。
  41. 坂根茂

    坂根参考人 最後の点が私に対する御質問かと思いますのでお答えいたしたいと思いますが、私が行ったから、こういうことになったのかというふうな御質問かと思うのでありますけれども、その点はそうは理解しておりません。要は、若干申し上げますと、私ども組合も、ちょうど戦後ずっと十年やっておるわけでありますが、一時GHQとそれから当時の大蔵官僚との結託と申しますか、それによって組合がつぶされた経験があるわけです。その後二十四年の未層有の徴税強化、あるいは二十五年のシャウプ税制勧告による改正になるわけですが、それから六年、七年、八年と大へん苦労いたしまして、ほんとうに労働強化で、結核患者が実に百人中十五人にも近い、これはオール官庁、全国のあらゆる職場でその例を見ないほどの結核患者が続出するという苦い経験をいたしております。そういう中からやはり組合というものが再び組織をされまして、何としても生活を守り、職場を明るくし、健康を守らなければいかぬ、こういう形で今組合が再組織されつつあるわけです。最初に申し上げましたように、三十一年ごろまでは、ほんとうに国税庁当局といろいろと問題を解決して当っておったのですが、ちょうど勤務評定の問題が紛争の種になりまして、実は当時長官は阪田長官でありましたが、組合の理解と納得を得てから後に勤務評定をやるということであったのですが、全国的にだれもがこの勤務評定をやめてもらいたいという反対をしているのにかかわらず、これを権力で強行した、そこのところが、私ども国税庁当局の間の紛争の一つの転機になっているわけですが、それ以降のやり方というのは、さらに勤務評定の権力強行をきっかけとしまして、点数制といいますか、成績主義、競争主義で職場を非常に締めつける、みんな無理をする。一方組合に対しては、先ほど政治闘争というお言葉がありましたが、あれは赤だとか、あるいはどうだとか、いろいろな誹謗、中傷これ努めて、組合の私ども立場から申し上げますと、組合をぶっつぶす、こういうふうな形のやり方に国税庁がやり方を変えてきております。なるほど今のお言葉にも出ましたけれども、ごく最近の局長会議における長官の訓辞の中にも、健全な組合ならいいということを言っておりますけれども、要は、御用組合ならいいということじゃないかということが私ども全国のみんなの気持であるわけであります。従いまして、従来勤務評定の紛争が起る前までは、時間内に三分や五分話す、一時間くらい話すことも率直にいって認められておった、そういう慣行もあったわけですけれども、それがその後一切無視されてくるという情勢の中で、しかも勤務評定の紛争をめぐって、ほんとうに従来であればささいなことであるのがきっかけとなって、当時三十一年の春でありますけれども、それ以降国税庁のやり方が弾圧ということに向ってきて、それに対してどうしても職場の方は、仕事も苦しくなりますし、残業もよけいにもなりますし、決して生活もよくなっておりませんから、どうしても組合運動が活発になる。それで私どもは、再びあのような、私どもの暗黒時代の結核患者が続出するような事態に戻りたくない、これが全国五万人の願望であるわけです。そういう形で、国税庁のやり方が非常に激しい弾圧でありますから、組合は逐次再組織が進んでおるという情勢であります。  ですから、御質問の要点にお答えをすれば、要は、そういう私どもの苦しみと国税庁当局のやり方との関連に立ってこの紛争が起り、かつ処分が出た、こういうことになっておりますが、問題は、私ども全国五万人の下級の税務職員気持というものは、国税庁の冷酷無比な法規一点ばりのやり方に非常に憤激をしておる。そういうわけで、いろいろな行動も、現在――きょうも職場で、いろいろとそれはそれなりに自分たちの職場をよくするということで要求も出されておると思いますけれども、そういう一環でありまして、ですから、私が行ったために云々というようなことももちろんございませんで、組織の意思として従来認められておったようなことをやったにすぎないという、大へん明確でないかもしれませんが……。
  42. 奧村又十郎

    ○奧村小委員 時間の関係もあるし、なるべく事実を、お尋ねしたことの要点だけをお願いしたいのです。  私ども国税庁なり国税局の出先を調べてみると、超過勤務手当が満足に支払われていないということをよく聞かされるのですが、今のところは、職員組合の方で、超勤手当あるいは旅費などは大体正常に支給されておるのですか、どうですか。
  43. 坂根茂

    坂根参考人 お答えいたします。この問題は、奧村先生に大へんいろいろと御指導いただいた時期があったのですが、当時は、超過勤務手当の未払いというようなことも大分ありまして、現在におきましても、たしか紹過勤務手当が未払いで、かつ超勤をやらされている職場がまだあります。まだありますが、全体として、私ども五万職員気持は、超過勤務をしなくて済むような職場にしたいということで、いろいろ世論調査をやったりなどいたしますと、もうこういう少しばかりの金で残業をするのも実にかなわぬというような形に考え方が出されてきておりまして、現在は、むしろ超過勤務はしないというような形で進んできさております。
  44. 奧村又十郎

    ○奧村小委員 坂根君の解雇の理由については、どうも不明確な点が多いと思うが、ほかの百九十六名の解雇の事情を調べてみれば、おそらく坂根君の場合も類推できると、思うから、私はなお聞きたいことがあるけれども、これは省略して、国税庁長官にお尋ねするが、国税庁長官として、この全国税職員組合を現在までのやり方で育成できると思いますか。つまり少しわあわあ騒げば、責任者というか、先頭に立った者を国家公務員法で首にする。首にしたならば、それはもう役員になれぬのだから、相手は別になるということであれば、結局は骨抜きになってしもうて、いわば御用組合の役員でなければ相手にしないということにこれは結論上なってしまう。そこを、やはり大きな愛情を持って育成していかなければ、この問題は解決できぬと思う。従って、それは全税も反省してもらわなければならぬが、国税庁の方ももっと大きく反省しなければならぬ点がある。というのは、私は地方を回っても、ほかの役所と比べると国税庁は上に厚く下に薄い、つまりいわゆる冷たいという感じをどうしても受ける。だから、そういう印象のある間は、やはり全税もどうしても刺激的になるんだから、あくまでもやはり国が使用者として、使用人たる全税職員を一人々々人格を認めてりっぱな税務職員に育て上げるについては、せっかくあるこの組合を、まず多少の難点はあっても認めて、育成するという気持がなかったら、私はこの問題は断じて解決できぬと思う。その点、長官のお気持を承わりたい。
  45. 北島武雄

    北島政府委員 私も、全国税職員労働組合が健全な発達をせられることをこいねがうことにおいては、人後に落ちるものではないと思います。従いまして、私自身の気持といたしましては、できるだけ大きな気持で、愛情を持ってお互いに処していきたいという気持があるということは、申し上げてけっこうだと思います。また諸先生も、そういう私の態度はおわかり願えると思います。ただ残念ながら、今までの場合におきまして、遺憾ながら国家公務員法に違反するような行為が現われました場合に、やはり職場秩序の確立という見地から、私どもはこれを将来やめていただかなければならぬというつもりで前々から流しておるにもかかわらず、そういうことが行われました場合には、これは処分をせざるを得ないのであります。実は泣いて馬謖を切るという気持でございます。これは、私になりましてから、実は一回でございますけれども、歴代の長官も、何も好んで処分したわけではないと私は思います。私は、できるだけ全国税職員労働組合が今後昔のような線に戻って、正しい健全な発達をされるようにこいねがうことを一つ申し上げまして、お答え申し上げます。
  46. 奧村又十郎

    ○奧村小委員 坂根さんに最後にお尋ねいたしておきますが、昨年の当委員会で法案審議の際に問題に出たのですが、東京国税局の一税務職員として朝日新聞に投書を出しておった。これは、株式配当のいわゆる名義貸しについて、一証券会社一口十五万円までは免税にする、こういう政府の措置に反対して、税務職員として、われわれは職務を全うするために、わずかな学生のアルバイトの給料とか、ごくわずかな所得も逃がしてはならぬと調べておるのに、一方において、十五万円までは頭から名義貸しは免税する、調べないというふうなことでは、いかにも税務職員というものは今日弱い者いじめをしておるような感じがして、まじめな仕事はできにくいという声があって、私もそれをここで読み上げたことがあるのですが、そういう税務行政の民主化、つまり税務職員がこの税法を心から執行するならば、これは公平な税法なんだ、その公平な税務行政をやっておるのだという自信を職場で持っておるかということを、お尋ねいたします。
  47. 坂根茂

    坂根参考人 ただいまの問題につきまして、お答えいたしたいと思います。これは、ごく最近ある地方の税務署であった実例でありますけれども、所得税の調査が行われまして、あとよく検討会というのがあります。これは、国税局から係官が派遣されまして、そうしてその税務署の係員とで、昨年の所得決定額が幾ら、ことしの調査額が幾らという形でそれの検討をやるわけですけれども、この席上、こういう話がありました、三十万円以上の所得者の伸びが一二%しかない、ところが三十万円未満の所得者の分が一八%でありますか、前年度対比伸びておる。その場合に、上の方からどういうふうに指示されたかと申しますと、三十万円以上をよく調査をして引き揚げろということよりも、むしろ三十万円以下の小さな点をさらに再調査しろというふうに指示されたということを聞きまして、今の税務執行が、もちろん税制のいろいろな問題がある点が多いと思いますけれども、非常に下の方に重く来ているということをみな感じております。それからいろいろと調査上の指示なり何かなされる場合に、所得税の例でよくあるわけですが、幾らずつ一つふやしてくれというようなことを上から指示がある。と調査者としましては、相当程度調べてきたのに、結局上の指示からかぶされてしまうという実例もありますように、非常にそういった公平な税務行政が行われていないというふうに思っておる者が大多数だと思います。なお最近水戸税務署で、世論調査をいたしましたところ、所得税と法人税の係員が二十何名かおりますが、ほんとうに人間として矛盾を感じないで仕事ができるかどうかという質問に対しまして、一人を除いて全員が、今の税務のやり方に人間として全く矛盾を感じておるという回答をしております。その実例からも、私どもの職場でどういう気持で働いているかということを御推察願えるのじゃないかと思います。
  48. 奧村又十郎

    ○奧村小委員 水戸税務署何人の中で……。
  49. 坂根茂

    坂根参考人 これは、最近の職場の機関紙から見たわけですが、二十五名のうち二十四名かと思います。
  50. 淺香忠雄

    ○淺香小委員長 関連質問を許します。神田大作君。
  51. 神田大作

    神田(大)小委員 時間の関係もありますから簡単にお尋ねします。  今国税庁長官が泣いて馬談を切ったんだと言われましたが、一体国税庁では、何回泣いて馬謖を切るのか。ほかの官庁も、労働組合としての相当の活動をやっておりますけれども国税庁みたいに苛酷な首切りをやったところはどこにもないです。この前の渡邊長官が当時坂根君を首切ったときに、ここの委員会で私は申したのですが、一体この首切りはまことに根拠のない首切りであると同時に、宇都宮の闘争が行われた問題は、これは横山君からも質問があったでありましょうけれども、要するに、宇都宮の前の税務署長がまことに非民主的な行為が多かった。たとえて申しますると、時間中にマージャンをやっており、そしてマージャンの相手をしないような者は何か差別待遇をする、マージャンの相手をしてごきげんをとるような人は、署長が待遇をよくする、あるいはまた女の子に爪を切らしたり、小使さんにふろを沸かさせたりする。その反面、今度は職員に対しましては、徴税強化でもって、労働過重な行為をたくさんやらしておる、そういう数々の事実を一つ一つとって、こういう署長もとではわれわれは働けないのだ、そういう闘争だった。そこへ本部から坂根君も来て、一緒にやったのです。ところが警官が出動して、職場大会を時間内にやったとか――まあ時間内に食い込んだのは五分ぐらいでしょう、そういう問題です。私もずいぶん方々職場大会に行きますけれども税務労働組合ほど穏やかな職場大会なんか見たことがありません。それにもかかわらず、前もって警官を用意しておいて、それに弾圧を加えた。そうであるならば、坂根君を首切ったならば、なぜ宇都宮の署長処分しない。片方は処分をする、片方は当局者側だからこれを見過ごす、そういう不公平なやり方は、われわれは納得できない。もし坂根君を首切るならば、そういう問題を起す原因を作った署長処分する。署長はどこかに転任をさせまして、やがてどこか適当な職を見つけて退職したと聞いておりますけれども、これらの当局者に対しては何らの糾明をしないで、片方だけを糾明するというやり方は、さっき与党の委員からも申されましたように、労働組合を御用化し、労働組合の先頭に立って働く者をなくするという意図があるから、そういうえこひいきな措置をとったのではなかろうか。私は、今からでもおそくはないから、そういう行き過ぎた当局の首切りは是正さるべきだと思う。またあの当時の労働組合処分に対しましても、何か不公平な処分のあり方がわれわれには感じられる。現地に行ったからといって首を切る、現地に行かないからといってそのままにしておくというような、当局の一貫した方針がない。こういう意味合いにおきまして、この前の、この税務署の民主化闘争にかかわるところの労働者に対する処分はまことに不適当であり、行き過ぎであると考えますが、この点について、今の長官はどうお考えになりますか。
  52. 北島武雄

    北島政府委員 私は、その当時の事情はよくわかりませんが、国税庁へ参りましてその当時の事情をいろいろ聞いてみますと、ただいま先生がおっしゃったように、単に二、三分職場内の演説をやったとか、あるいは現地に行ったということだけで処分いたしておるのではございません。一月にわたって、職場の正常な運営を阻害するような行為にずっと引き続いて出ておるのであります。しかも、それは単に一個の署長排斥ということではなくて、もっとほかの意味合い――これはさっき申した通り、一種の政治闘争でございましょう。ほかの各局において行われました、その一環の現われでありまして、単に署長排斥という問題ではなかったと私は考えております。外部からごらんになりますと、単に二、三分であったとかいうような話が伝わりますと、ひどい、苛酷な処分じゃないかというふうにお思いになるかもしれませんけれども、実際におきましては、そのようなものではなかったようであります。一カ月以上にわたり、繰り返し繰り返し執拗に職場の秩序を麻痺させ、正常な業務の運営を阻害するような行為があったと私は考えております。
  53. 神田大作

    神田(大)小委員 時間もありませんから、それじゃ、私はあとの機会質問します。ただこれだけ言っておきたい。それは、なぜ繰り返し繰り返しそういうことが行われたかというと、当局側が、話し合いとか、そういうものに対して応じないという事態があったから、労働組合側がこれに対して抗議を申し込んだ。ちゃんと話し合いに応じさえすれば、解決する問題だった。またいま一つ、宇都宮の署長だけの問題じゃない、これはもちろんそうでしょう。そうでしょうけれども、先ほど言われたように、全国的に、国税職員に対するいろいろな待遇の問題、あるいは超過勤務の問題、団体交渉の問題、あるいは勤務評定の問題等について、当局と話し合いをして解決すべく努力すべきであったろうと思う。これはお互い労働組合ばかりが悪いとは、私は言い切れないと思うのです。そういうことで、私は繰り返して申し上げましても、あとの人に御迷惑をかけますから、あとの機会にやりますが、私は、どういう角度から見ても、これは苛酷な処分であったということだけは免れ得ないのじゃなかろうかと思うし、その点については、新しい温厚な長官労働組合と円満に今後の業務を話し合っていく上においても、非常に大事なことだろうと思いますので、その点の御認識をぜひ願いたいと考える次第です。
  54. 淺香忠雄

    ○淺香小委員長 足鹿覺君。
  55. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 私は、農業課税の問題で、一つ国税庁にお尋ねいたしたいと思います。申告も期日がだんだんと迫って参りまして、各あなた方の出先は、いろいろ苦労しておられると思う。そこで、私も先日実情に接する機会がありまして、いろいろ感じたわけでありますが、この際、そういった体験を通じて一つお尋ねしておきたいと思うのです。  まず標準による農業所得の計算のやり方でありますが、最近農業所得税の納入者は、一時に比べますと著しく減ってきておりまして、必ずしも一つの標準によらなくても、税務署の手さえあれば、実態に即応しておやりになるのが一番私はいいと思うのですが、従来から一つの農業所得の標準を定められまして、それによって行われているようであります。一番大事なことは、国の立場からいえば、各国税局間の均衡がうまくとられているかどうかということが、一番大事な点であり、また局の立場からいうならば、局の管内の各都道府県相互間の均衡がうまくとれているかどうか、また県内の場合には、幾多の税務署がありますから、この税務署間の均衡がうまくとれているかどうか、そうして末端にいきますと、各個人間の均衡、あるいは市町村相互間の均衡がうまくとれているかどうかということが、非常に実態に近い課税をしていく上において必要なことだろうと思うのです。ところが標準でいけば、当然画一に流れまして、そこにいろいろな現実との矛盾が起きてくるように思われます。問題は、各局ですでに標準の開示が行われておるようでありますが、各局の開示の状況、その反響はどういう状況でありますか。国税庁の方に集まってきた最近の状況を、一つこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  56. 金子一平

    ○金子説明員 足鹿先生の御質問にお答え申し上げます。標準率による課税の方法、これは実は従来長くとって参っております。今日全農家のうち一割程度の課税農家しかないというような現状では、むしろ個々的に調査をしたらどうか、こういうお話が第一点かと思います。課税農家がだんだんと減って参りますようなことになりますと、あるいはそういったことも考えられると思うのであります。しかし、やはりまだ一割と申しましても、町村によっては相当集中的に課税をしていただいているところもございまして、行政の便宜から申しますと、今申しましたような標準率によった方が好都合かと思うのであります。これは納税者の方も、それからまた税務官庁側といたしましても、その方が便利ではないか。ただ、やはり標準率はあくまで標準率であります。上になる方もあるし、下になる方もあるが、やはりその中庸というようなところに落ちつくわけであります。もしお話しのように標準率ではとうていやっていけない、これじゃとても課税が過酷に失するというような具体的なケースがございます場合におきましては、これは、特に経費の面で申しますと、年雇いの用人費でございますとか、あるいは大農具を使っておるようなところ、土地改良費に相当多額を使っておるという場合、これは現実には特別経費と申しまして、一般の標準率のほかに、経費を別ワクで引くような措置を講じております。そういったことでもなお引き足りない、どうも困るのだというようなことでございましたならば、それは記帳のある農家、と申しましても、農家で記帳の場合はごく少数だと思うのですが、客観的にやはり経費もかかっておるということが実証されれば、収支計算によりまして、標準率によらない課税もできる建前になっております。  それから第二点。国税局の間のバランスをどう見るか、あるいは局の段階で申しますと、管内の府県のバランス、あるいは所管のバランスをどういうふうに見るかという問題でございますが、これは、私どもも非常に大事な点だと存じまして、毎年年末の部長会議等におきまして、各局の管内にあります代表的な基準地、山間部、中間部、平坦部で標準率を分けておることは、御承知の通りであります。各局間の代表的な基準地を毎年きめております。その収入なり経費の大体の各局の見込みを持ち寄りましたものを、私の方で目を通します。もちろん年末でございますので、まだ作報の統計も発表になっておらないときでございますから、米は幾らというようなことは、私の方は具体的なものはきめておりませんが、大体の各局の傾向を見、また経費等につきましても、局間において引き方にアンバランスができませんように、たとえて申しますと、農薬でございますならば、農薬の一年間の売れ行きの状況から、大体ことしは何%くらい上っておるんじゃないか、あるいは肥料等につきましては、価格の値上りは何%くらいになっておるから、これはあまり低過ぎやせぬか、あるいは高過ぎやせぬかというような、一応の思想統一をやりまして、国税庁としてのバランスをとるわけであります。大体のそういった空気をのみ込んで各局員が直税部長と帰りまして、それから各局内におきまして、それぞれ府県なり、あるいは府県内の各署の収入と経費のバランスをとってきめる、かような格好になっております。ただいますでに標準率の開示済みの署も相当ございますが、一部まだ開示を終っていないところもございまして、全国的な反響等につきましては、まだ正確なものは入手できる段階に至っておりませんが、開示いたしましたところでは、特にこの点は非常に困るということをまだ言ってきておる局はございません。しかし今後どういうようになりますかわかりませんが、ただいまの現況で申しますと、そういう状況でございます。
  57. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 私は、中国の広島国税局の管内に住居しておる者なんですが、広島国税局では、大体局の内示を終りまして、それを各農業団体その他と調整をとる段階に入っておるようであります。申告の期日も近づいてきておるわけでありますし、私どもは、その局の内示されたものの根拠も知りたいし、また内示されたものに対して、どういうふうに民意が反映されておるかということも知りたいのです。それで、そういうことをお尋ねしておるのですが、開示の終った局、それから終らない局はどこの局ですか、それからいつごろになれば内示は終って、修正の実情等が明らかになるのですか。
  58. 金子一平

    ○金子説明員 ただいま開示が全部終りましたのは、関東甲信越国税局と広島国税局、かようなことになっています。その他の方は全面的に済んでいません。それで、一部開示しておるところはもちろんあると思います。たとえば、仙台管内で数県は済んでおる。しかし、ほかの県はまだ済んでいないために、局の方から私の方に報告が来ていないという格好になっております。それで、広島の方は、鳥取につきまして、収穫量の見方の問題で御意見のございましたことは、先生御承知の通りであります。関東甲信越の管内につきましては、新潟の県下で、経費の見方その他につきまして、若干の問題があったようであります。これは、昨日局の方と農業団体とが打ち合せをやったはずであります。
  59. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 他の国税局はいつごろまでに開示を終りますか。
  60. 金子一平

    ○金子説明員 大体申告期の二月十五日くらいまでには、全部開示を終ると思います。
  61. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 二月十五日と申しましても、もうほど近いわけでありますが、問題は、その所得標準の作り方が、開示されても、どうして作ったかということの説明がないのです。いやしくも開示をされるならば、それはこういう材料を使って、こういう考え方でやったんだ、どこに無理があるかというふうに話をされれば、事は非常に円満にいくと思うが、広島の場合も、開示の根拠は明らかにする必要はないという態度です。国税長官、少くとも開示される以上は、そういう態度では、よらしむべし知らしむべからずということで、これは開示の意味をなさぬと思うのです。長官どうですか。新任長官は、もう少し新味を開いて、今までのそういうやり方を改められるがいいと私は思うのですが、どうですか。
  62. 北島武雄

    北島政府委員 一部の国税局では、内容の説明を十分に申し上げないところがあるようでありますが、これは私はよいこととは思いません。標準率を開示する場合においては、できるだけそのよって来たる根拠を示しまして、そうして御批判を仰ぐのは当然だと思っております。できるだけそういうようにいたさせます。
  63. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 それなら、あなた方が各局へ示された標準の案を、資料としてまずわれわれに知らしめてもらうことはできるのでしょうか。われわれにも知らせぬようなことでは意味ないのです。
  64. 北島武雄

    北島政府委員 目下農業団体、市町村等と話し合い中のようでありまして、いずれ数日中にきまる局が多いと思います。きまりましたならば、その内容を御説明申し上げます。
  65. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 きまらなくても、広島と関東甲信越は大体開示しておられるのだから、何も秘密にされる必要はない。他の方は若干税務行政上問題があるかもしれぬが、もう開示の済んだところの資料は、当然われわれ税の執行委員会には提示せられる筋合いのものではないかと思うのです。他のものも、開示が十五日ごろまでに済むのなら、その資料を一ついただきたいと思うのですが、どうですか。
  66. 金子一平

    ○金子説明員 標準率は、先ほど申しましたように局で統一をとりまして、各税務署で作っております。従いまして、各署からこちらの方へとらないと、現実の最終的にきまったものはわからないわけであります。従いまして、今御指摘の資料は、局に連絡をいたしまして、各署からの代表的なものを集めまして御連絡を申し上げる、かようなことに相なりますので、御了承願います。
  67. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 それはそれで一ついただきますが、国税庁が標準率を作られた原本があるはずなんです。それはどうですか、長官御存じないですか。
  68. 金子一平

    ○金子説明員 お答えいたします。こちらの方では、具体的に税務署納税者に示すような標準率は作っておりません。各局が持って参りました一応の案をながめて、なるほどこれは土地改良費が高過ぎるなという程度の感触を漏らして、それをまた持ち帰ってもらうわけです。従って、私の方で全国的に統一した、この局は米の収穫量は幾ら、経費はこれにしろというようなきめ方はいたしておりません。これは全部各局にまかせまして、各局の責任において、税務署を指導して税務署でこしらえる、こういう建前になっておりますので、御了承いただきたいと思います。
  69. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 それならそれでよろしい。しいてもらわなくてもいいのです、ないとおっしゃるのなら。それなら各局の分をいつごろもらえますか。
  70. 金子一平

    ○金子説明員 十五日なら十五日、十六日におそらく開示を終ると思いますし、まあ各税務署の全部という必要もないと思いますので、代表的なものを、半月くらい余裕をいただけば取り寄せてごらんに入れたいと思います。
  71. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 半月なんと言わないで、広島と関東甲信越は済んでおるとおっしゃるのだから、とりあえずそれだけでも一つ……。
  72. 金子一平

    ○金子説明員 それでは、広島、甲信越はなるべく早くお渡しいたします。
  73. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 それを一つお約束願って、拝見さしていただきます。それから標準率を作られる場合に、税務署が各国税局の示した基準に従って標準村を指定して、去年から坪刈りもやられて、まことに熱心なことでけっこうでありますが、市町村が多く合併をいたしまして、多いところでは十五、六カ町村も合併したようなところが私の県内にもあるのです。小さいところでも、やはり四つや五つは合併しておるのです。ここに一つの資料を私は持っているのですが、これは中庸な合併村で、人口は大体八千から一万くらいのところでしょうか、それが大体十八筆やっておられる。そうすると、大体六カ町村くらいなものです。ですから、大体旧村単位でいくと、三部落くらいのことになると思うのです。もっと小さいところもある。それをもって、各標準村の算術平均で、一応県の基準反収なら基準反収、基準所得というものを出しておられるのです。ところが、不思議なことに、私の知っておる私のつい近くの西伯町という町ですが、その隣とまさに収量が一俵近くも違うのです。島根県と鳥取県と県が違うだけで一俵違う。これは大へんなことで、一俵の差というものは、農業技術上から見ますと、これはよくよくの災害とか何か特別の減収理由がないとないのです。ところが、われわれが見てもそう顕著な災害もないにかかわらず、税務署がかわると、つい地続きのところと一俵も反収が違うということになりますと、これはなかなか捨て置けない。だれでも目違いということはありますから……。どうせあなた方がやられるのだから、しろうとみたいなもので、大した坪刈りもやられないだろうが、それでも専門家もおられるので、まじめにやられたと思う、農業団体も立ち会っておりますから。県が違い、税務署の管轄が違うと、気候、風土、土壊、農業経営、形態、あらゆる面から見て差異のないところであって一俵も動くというようなことは、ちょっと常識的に納得できないのです。こういうことになりますと、はて、この標準率の作り方は一体何をしておられるのかというふうな疑問が起り、一般の農家なり納税義務者の中に、非常に疑わしいという気持を持つ者が出てくるのは当然でしょう。隣は一俵下っており、自分のところは一俵上っておるということになると、農村にとってはなかなか大へんな問題なんです。どうしてそういうことが起るかということを調べてみると、いや、災害があったという。では災害は何にあったかというので、政府の最近の統計資料によってずっと調べてみますと、全然災害らしいものがない。旱害も冷害も病害も虫害も何さら別に大した動きがないのに、実際はそういうふうに一俵からの開きが出てきておるということは、あなた方の標準所得の作り方の基礎になる反収の把握が非常にずさんということが指摘できるではないかと思うのです。ですから、ほんとうにあなたたちが標準を持って一つの課税の基準を定めようというならば、実情とあまり開かないような最善の措置を講ぜられないと、その課税に対して納税者が納得しない結果が出てくると思うのです。別に指導者のあるなしにかかわらず、このごろの農家は、それくらいの自覚と考え方を持っております。そこでいろいろ問題が発生してくるのです。こう言うと、いや、手が足らぬので、手をふやしてもらえばわれわれもやりますと言う。あまり手をふやすと、あなた方がよく調べ過ぎて税金が上るという点もあるので、税務労組があまり過労にならぬように、そしてよく実情を把握して、ほんとうに実態のもとに立った標準ではあるが、実情にそう遠からぬものでやれるような態勢というものなしに、局が一定の基準を示して末端に示されると、末端の出先は成績にかかわる。署長に、あなたのところの割当はなんぼあったかなと言うと、いやそんなものはございませんと言ってはおるが、事実は、何か割当に近いようなものがやはり示されておる。そうして、それを割ると、やはり署長の成績にも関係してくるでしょうし、署長の覚えもめでたくなくなるでしょうし、やはりそこは以心伝心で、だんだん末端に行ってはきびしいものになってくるのではないだろうかと想像されるのです。ここに標準率を作って課税していくことの私は矛盾を例年感じておるわけなんです。これをどう是正していくかということについて、今言ったような隣村で県が違う、税務署が違うために一俵も開く。開くような顕著な原因はないような問題に対して、これは調整されるのが当然なんですが、われわれのような少しうるさいのがおってわいわい言うと応ぜられるが、うるさいのがおらなければ、みんな泣き寝入りだ。あの地方の農民や農業団体は、やはり泣き寝入りますよ。そうすると、これは非常に遺憾な結果になると思うのです。  それで、今私が資料をいただきたいというのも、そういった意味で、あなた方がどういうものを根拠とし、そして一つの標準を定めておられるかということをほんとうに調べてみたい。そこからいろいろな矛盾の解決もつくのじゃないかという気になったので、別に秘密にされる必要はなかろうと思って申しあげておるのです。そういうことについてはどういうふうにして調整されますか。農業団体意見をしんしゃくしてきめるということに今なっておりますが、しかし実際やってみると、十を言ってなかなかその五調整がつくなんということはできませんな。まあ二か三くらいなものですよ。そういう実情なんです。たとえば子牛の収入の問題について、この県ではこういう特殊な事情がある、あるいは酪農については、二回の独占資本の乳業会社からの不当な値下げを受けておるということを主張しても、それは最近のことでしょうとかいうようなことで、もう管内一つの標準を示したから、あなたのところだけそういたすわけには参りません、こういうことになって、若干話のつく点もありますが、問題を持ち越すような場合も出てくる。そういうところに画一主義の弊害が出てくるんじゃないかと、私は体験を通じて思いますが、これをどういうふうに実情に見合ったように適正化していかれるか、そのお考えはどうでしょうな。こういう顕著な事実があるのです。
  74. 金子一平

    ○金子説明員 今御指摘のございました点は、私どもといたしましても、平素一番気を使っている点でございます。収穫量の捕捉につきましては、関係の市町村なり農業団体の長の方々の御意見を十分に参酌してきめるように申しております。足鹿先生からお話がございました局からの割当というようなことは、これはもう決してございません。やはりその地方々々の実際の所得をどうしてつかまえるかということに専心しておるわけでございまして、今後ともこの点につきましては、できるだけ手を尽していきたいと存じます。  それからこの隣接署とのバランス、府県の県境のバランスの問題でございますが、この点も、実は隣接署間では立ち会って調査をやるとかいうようなことをいたしまして、今御指摘のございましたようなことのないように、従来から注意をいたしておるのでございます。たまたま一俵近い違いがあったというような御指摘をいただいたのでございますが、こういった点につきましては今後とも特に局署に注意していきたいと思います。ただ酪農等の専業のものにつきましては、大体各国税局とも標準率というような方向よりも、むしろ収支計算をやってもらって課税をする、これは大きな専業のものにつきましてです。小さなものにつきましてはやむを得ず標準率で、売り上げに一定の所得の利益率をかけていくというような方法をとっているわけであります。今後こういった標準率の作り方、運用の仕方につきましては、十分一つ検討を重ねていきたい、かように考えます。
  75. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 私は、今言いました税務署がたまたま県境を隔てているというようなところから、そういう事態が起きてきたことを指摘したのですが、これを是正していくためには、やはり税務署が標準率を作られるについては、署別にある程度の実態をつかまれるにふさわしい標準田を作っていかれなければ、ほんとうのものは出ないと思うのです。しかし、それは経費の許さないところですし、あなた方はそんなことをしておったら、ほとんどそれだけで済んでしまうからできぬでしょうが、そこで統計調査関係のものを使われているようですが、統計調査部のものを使うことは、これは統計法によって厳禁されているはずですが、このごろは、ぬけぬけと統計調査部の資料によったとかいうことをおっしゃることは、これは私おかしいと思うのです。これは天下に公表した統計資料ですから、別にまあそれに基いたわけじゃない、ある程度参考にされる点はやむを得ないと思うのですが、それすらも、御存じのように、なかなかサンプリングの調査でして、これもなかなか実態がほんとうに今の日本の統計調査機構ではつかめないところに問題がある。そこで、農業災害補償法を改正しまして、今度は個人が保険金の自由選択、従って掛金料率の自由選択制ということを原則にして、本年の一月一日から法の改正をやったわけでして、私もこれにタッチしておりますので、少しは知っておりますが、その場合も、個人もとであるけれども、運用の面では部落でやらなければなるまいということになって、大体部落単位に実際は運用になるでしょう。これはまあある程度のものが出てくると思うですな。こういったようなことも、新しく収穫量の把握、あるいは災害率の把握というようなことについては、もう少しあなた方も工夫をされませんというと、非常に私は均衡が破れて、納税が不適正なものになりはしないかと思います。そういう点については、いずれあなた方の根拠を拝見して、今後私どもも建設的な立場において意見も申し上げますし、あなた方のお考えも徹底的に批判していきたいと思います。もっと工夫があってしかるべきじゃないかと思うのです、標準でいかれるというならば。  そこで、標準は建前でありますが、青色申告の問題がここに出てくるわけです。ところが、最近私が方々で聞くところによりますと、都会は都会、農村は農村で、青色申告をなるべくあなた方の指導は奨励しておられると私は思っておったのに、実際は、この青色はちょっとつけ落ちをやったり何かするというと、やめるような指導をしておられるそうですが、これはおかしいじゃないかと私は思う。その指導方針はどういう指導方針ですか。これが一番自主申告に基く適正課税になるし、信憑性のあるものです。最近は農業簿記も発達しておりますし、各都会の中小企業者でも、ちゃんと大福帳でなしに、簿記でやっておりますしね。それをちょっとつけるのがたまったとかなんとかいうと、それへいって、これはだめだというようなことで、これは自分で取り下げて申告しなさい、こういうような指導が行われているという話ですが、ほんとうにそういうことをやっておるのですか。
  76. 金子一平

    ○金子説明員 ただいま青色申告の指導方針についての御質問がございましたが、青色申告は、営業、農業を問わずにありますが、誠実なものはあくまで育成していく。ただ何と申しますか、税金を安くするための、形ばかりの青色申告ということで、記帳する意思も全然ない、能力も全然ない、申告のときだけ格好をつけるというような目に余るようなものは、取り消しをいたしますなり、あるいは途中でやめていただくことにしております。全体としての運営方針、あるいはものの考え方は、誠実なものはあくまで育てていく、幾らでも数をふやしていく。白色申告であるがための、先ほどから御議論のございましたこの標準率による一律課税、そういった納税者税務官庁側のトラブルは極力避けていきたい、かような気持で第一線を指導いたしております。
  77. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 いや、私が言うのは、大体農村は、ためておいて一ぺんにつけるものです。経営上、毎日記帳するというような実情にない場合が多いのですよ。ところがたまたま若干ためておったところへ、あなた方が指導と称して、あなた方の出先が行って、何だ、こんなものはもうやめてしまえ、だから取り下げの書面に判を押せというような指導までされておるというような話があるのです。この間帰って聞いてみましたら、半年もためておったという極端な事例をあげて、だからだめだというふうに言っておられましたが、それは極端な事例であって、大体青色はやらせない、なるべくやめさせようという指導じゃなかろうかと思われる節が、私もよう断定はしませんが、何かそういう印象を受けるわけです。これは、私は重大なことだと思いまして、出先の人々にもよく反省と注意を促してきたわけですが、そういうことがあってはならぬと私は思うのです。中央のあなた方と話をしておると、実に紳士的で、よく民情を把握して、実にうまいことやっておるようなお話なんだが、一たび出先の税務署へ行きますと、今ここであなた方と話しておるような、こういうなごやかなものではないのですよ。なかなか深刻な場面がありますよ。そこで私は言うわけです。どうも国税庁人々と話をしておると、非常によくわかったような話なんだが、末端へ行くと一つもわかっておらぬ。そこに取る方と取られる方との違いもあるというものでしょうが、あまりにも態度に開きがあり過ぎるのではないかと私は思うのです。今青色の問題については、奨励こそすれ、そんなことはしておらぬという話なんですが、実際は、そういう話をちょいちょい聞くのです。この青色に関連しまして、所得標準を作らずにやっておる町村なんか相当ありますか。どれくらいなものですか。
  78. 金子一平

    ○金子説明員 ちょっとお伺いいたします。青色だけでやっておるという意味でございますか。
  79. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 そういうところや、それから標準によらず……。
  80. 金子一平

    ○金子説明員 わかりました。ただいまの、標準率を作らないでやっている町村はどれくらいあるかという御質問でございますが、納税者の数が非常に少い山間部のような町村におきましては、標準率を作らないで、他の標準率を作っております町村の標準率に準拠いたしまして、大体あそこだったらここの何掛だろうとか、あるいはまたここだったら大体同じような率でよかろうというようなことで、町村の方々なり農業団体方々話し合いをいたしまして、ほんの数人しか納税者がいないというところでありますが、それをやっているところが現実にございますが、数は私どもただいま確かめておりません。  それから、青色申告の納税者の方だけで、標準率を作っていないというところは、私はまだ承知いたしておりません。しかし地方によりましては、相当の青色申告者の数のあるところがございます。しかし、それがために全面的に作っていないところがあるということは、まだ耳にいたしておりません。
  81. 足鹿覺

    足鹿大蔵委員長 それでは、そういう村の事例を一つ資料としてぜひいただきたいと思うのです。それはいい資料になると思います。  私の申し上げたいことはまだたくさんありますが、大体聞きたいことはそういうようなことでありますが、最後に、これは私の考えなんですが、申し上げますと、必要経費の立て方の点について、水田に牛馬を使う場合は、これは必要経費に見るが、畑作地帯では従来見ておらぬのじゃないかというふうに聞いているのです。これは、この間も話しまして、畑に実際出て働いているものは考えるということでありましたので、一応了承しておりますが、畑であろうと水田であろうと何であろうと、見る見ないということは不穏当であると私は思うのです。ですから、これは当然大農具の関係において、必要経費に見るべき筋合いのものだと私は思いますが、そういった点で一つ問題があるということを御考慮願いたい。  それから肥料代の問題になりますと、あなた方は、農家がみな農業協同組合から肥料を買っておると思うと大間違いなんですよ。税務署などが、やはり協同組合で調べたらこれこれであった、だからこうだというのですが、必要経費の中では、御存じの通り、現金支出の一番大きいものは肥料代なんです。ところが今の農家は、組合の全面利用というものはやっているところもあるし、やっておらぬところもある。そうすると、いろいろの経過で、現金を持っている者は、農業協同組合外からたたいて、買って有利にやろうという、これは農村の実情なんですが、なかなかこれは、あなた方は調べがつかぬですよ。そこで表向きに出てくるものは、やはり組合関係の資料によって大体判断をされるから、必要経費の中で、肥料がわれわれの考えているよりも相当下回る、こういうことになるのです。そういうところにも、必要経費の算定の仕方の矛盾を私は非常に痛感しておりますが、必要経費のきめ方にあなた方としてはどういうお考えで臨んでおられますか。これは、今私が申し上げたような意味合いも含めて、いろいろの点からもう少しお考えになる余地があると思うのです。あまりこまかいことは、私はこれ以上申し上げませんが、そういった点で、所得標準を作る上においても、その基礎となるべき反収の把握についても不十分であるし、必要経費については、なるべくこれを低くしよう低くしようという傾向、反収はなるべく多く見ていこう多く見ていこうという傾向、それがどうもつきまとっているように思われる。これは、少し邪推かもしれませんが、取られる者の身になればそう思いますからね。ですから、そういう点で、さっき言いましたように、各局の開示が行われた後において、どういうふうに開示に対して修正が行われたか、その修正はどういう理由によって行われたかという最終的な資料を、私はことしはちょうだいしたいと思うのです。力のない、代弁者を持たない納税者は結局泣き寝人り、それからある程度ものを言い、組織を持っておるものは、あなた方の出先を動かすような資料を整えて、それぞれ話し合いをしていくものはそれで通るが、その能力のつない、準備のないものは結局泣き寝入りというようなことになることは、私は、この所得標準を作っていく立場からいって、首肯できぬです。ですから、たとえば農業団体なら農業団体が資料を出す場合においても、あなた方はその資料の出し方についても、あなた方の基準を、まずこういう基準によって示しておる、だから、これについては、あなた方の資料をこの様式に従って出せなら出せということになって、両方突き合せてみればある程度出ていきますが、農業団体は農業団体立場でやる、あなた方はよらしむべし、知らしむべからずで、秘密にやっていかれるから、結局その資料ももちぐはぐなものになって、公正妥当な結論が出るだけの内容を持っておっても、その資料が有効な働きを示さぬ、長いこと苦労して作った資料が、その役を果さぬというような場合も私はあると思うのです。標準率でいかれるならば、あなた方も、やはり一々再審査が出てきてトラブルを起すよりも、まず事前によくその関係の農民の信頼しておる団体と、その資料の作り方から様式をちゃんと整えて、そしてお互いが納得したものにおいて、こういう点において大きな食い違いがあるなら、結果的にはこういうことになるというふうに、よく突き合せた上でやっていかれるというふうになれば、私はある程度弊害が除去できるのじゃないかと思うのです。私も、最近この問題については少し遠のいておりまして、ことしの標準率の問題で、あまりにもその広島局の管内の各県の均衡がとれておらぬので、非常な関心を持って少し勉強をしてみましたが、どうも前のやり方よりもそう大した進歩がない。これじゃあなた方としては、少し御努力が足らないのじゃないかと思うのです。それで、新しいいき方を今後御検討になって、そして税の執行に――私の今例をあげたのは、ただ単に農村の一つの事例にすきませんが、都市においてもずいぶん悲惨な事例を聞いております。もっと税の執行の面において解決していかなければならないような方法をお互いに検討していかなければ、いかように税率を変え、どういうふうに税法が改正されても、実際においては収入を水増ししてみたり、必要経費はなるべく苛酷に見たりということで、運営面で、ちょろまかされるというと語弊がありますが、適当にあしらわれるということになりますと、その税法の改正そのものは運営によって魂が入らぬのじゃないかと思うのです。そういう点について、国税庁長官一つ御構想を立てていただいて、少くともよらしむべし、知らしむべからずじゃなしに、もっと明るいやり方を私はこの際考えていただかなければならぬと思うのです。その点について長官の御所見を承わりまして、まだあと福田さんも話があるそうですから、私の質問は終りますが、一つ御所見を承わりたいと思います。
  82. 北島武雄

    北島政府委員 ただいまの御質問は、非常にむずかしい問題でございまして、税務官庁といたしましては、古くて常に新しい問題でございます。税務官庁といたしましては、たんねんな資料によってできるだけ実態を把握し、そして適正な課税を行うというのが筋道でございます。田畑の所得標準につきましては、昔からただいまのような標準率――時によりまして、あるいは一石当りの標準率になったこともございますが、大体のやり方はずっと昔からきておるわけでございます。それには、税務署におきまして直接坪刈り調査、あるいは農家の飯米なり農家の在庫米の調査等をいたして、しかも市町村の長、あるいは農業団体の長の方々の御意見も十分承わって率を作っておるわけであります。ただ実際になりますと、あるいは署と署との間において必ずしも権衡のとれてない点もある。あるいはまた極端に申しますと、同じ署内においても権衡がとれない場合もなきにしもあらずであります。これは、税の執行の統制上の非常に大きなむずかしい問題であります。常にいかにしたら私ども税務署間においてつり合いがとれるか、また国税局間においてつり合いがとれるかというふうに工夫いたしておるわけでありますが、なかなか先生お話しのように、第一線のところに参りますと、あるいは人員の関係もございましょうし、あるいはまた場合によりましては、能力不足の場合もなきにしもあらずということで、往々にして御期待に沿わない点もあるわけであります。かような点につきましては、実は農業所得については、私ども非常に悩みを感じております。と申しますと、農業所得について種々手を入れて、さらにできるだけ公正な課税をするのが筋道でありますが、先ほどお話しのように、あまりに苛斂誅求されておるというような気持もある。私どもから申しますと、実は農業所得は、最近は課税の上では特にウエートが減っておりますので、その面においてそう大きな手数をかけるよりも、むしろできるだけ簡素化して、しかも適正な課税ができるような方法はないかという点で、実は悩んでおるわけであります。でき得べくんば農業所得の課税に従事する者は、より合理的な方法によって、簡素化された方法で課税ができるようにしたい、その人員をもって法人等の調査に向けたい、こういうふうに考えておるわけであります。私も、就任後間もなく直税部長とも話し合っておりまして、意見は全く一致しております。ただどういうふうにしてこれを持っていくか、むずかしい問題であります。今後十分検討したいと思います。そういう点で、所得調査のむずかしさは都市、農村を問わないわけであります。特にその方面については、非常にむずかしい問題でありますので、御了承願いたいと思います。気持といたしましては、できるだけ公正適実に、納税者の納得できるような方針をもって臨みたい、こういう考えは持っておるわけであります。
  83. 神田大作

    神田(大)小委員 私は委員会でいろいろとこの問題について質問したいと思ったのですが、まだ委員会もちょっと間があるようでありますから、今の足鹿さんの質問関連いたしまして、簡単に二、三質問いたしたいと思います。なお詳しくは委員会でお尋ねしたいと思います。  今長官は、温情あふるるお言葉でございますが、実際はどうであるかと申しますと、私はこういう実例を知っております。ある税務署で所得税が割り当った、いろいろとやってみたところが、何の関係かわかりませんが、一たんきまった所得税であるにもかかわらず、あとで徴税の割当が達せられないと思ったのだろうと思いますけれども、あなたの家では鶏が何羽ある、お前の家ではカキの木が何本あるのだといって、あとで調査に歩いて徴収をした、そういうふうに微に入り細にわたって徴税をやったことを私は聞かされておる。長官は、農業所得税に対してはできるだけ公平にやりたいといって、一たん税金をきめてから、査察的にあとで鶏何羽とか、お前のところはカキの本が何本あるというような、そういうこまかい点まで立ち入って農業所得税というものを取られるのかどうか。これは一つの例です。これは、長官のそういう気持があるならば、私は、抜本的に農業所得税の徴税について改善しなければならぬことがたくさんあると思う。これは足鹿さんが言われた点もあります。私は今広島の方で、とにかく去年よりも収量を多く見ておる、所得を多く見ておるというようなことも聞きました。この収量の問題も、私は統計事務所の統計が必ずしも正しいとは言いません。言いませんけれども、去年私が指摘したように、税務署さんの方の収量はそれよりも高い。低かったのは長野だけなんです。私が指摘したら、長野がまずいのであろう、こう反撃してきましたが、長野は、御承知の通り農民運動の激しいところでありますために、税務署との交渉というものがまことに緊密にいったので、そういう現象が現われてきたのだろうと思う。長野以外は、全部統計事務所の資料よりも収量が高かったという事実を見ましても、私は税務署さんも相当綿密な調査をしておられると思うけれども、それよりも、統計事務所にはとにかく専門的な人がたくさんおって、そうしてあれだけの機構をもって調査しておるのですから、税務署さんが坪苅りを少しくらいやるよりも正確だろうと思う。そういう意味合いにおきまして、収量の点においては過大に見る趣きがあるのじゃないかと思う。  それから次の問題ですが、経費の問題等においても、私が去年指摘したような点が果して改善されておるかどうか、私はまだ詳しくは調べておりませんから、わかりませんけれども、経費の問題、それから収量の問題等において、ぜひ一つ御考慮を願いたいと思うのであります。  いま一つは、農家所得税の専従者の控除です。これは、青色申告をやれば控除する、ところが白色申告では控除しない。私は白色であろうと青色であろうと、専従者というものは控除すべきであると思う。この点について、あなた方はどうお考えになるか、お尋ねしておきたい。
  84. 北島武雄

    北島政府委員 いろいろ御指摘がございましたが、神田先生のおっしゃった中で、割当課税をしているじゃないかというようなお言葉がちょっとありましたが、そういう点は全然ございません。一ぺん申告してきたものを、あとでさらに細部をあさって歩く、それは割当に満たなかったからそうやっているのだろうというようなお話、そういう点は全然ございません、もしそういうような誤解がありましたら、どうぞ一つ御払拭願いたいと思うのであります。ただ、そういうような印象を与えるような税務行政というものは、私は成功ではないと思いますので、できるだけそういうことはなくしていきたい。その気持は、先ほど足鹿先生に申し上げたところでございます。  それから反当りの収量が、どうも税務署の方が作報よりも高いのじゃないかという御指摘でございますが、この点は、ちょっと説明を要するのでございますが、税務署の作成いたします標準は、災害地を除いたところでございます。ところが作報の方は、災害地も含んでおる反当りの収穫、従いまして、一応税務署の方が高く出るという原因が一つございます。いま一つ税務署の作成いたします標準の反収は、市町村または農業委員会に備えつけております面積一反歩当りのものです、これに対しまして農林省の調査いたします反収は、実面積一反歩当りのものでございます。こういうことで、税務署の方が一見高く出て参るわけであります。  なお、青色申告に現在専従者控除を認めております。これを白色の申告者にも拡充したらどうかという御意見でございますが、私は、税の執行面に当る者でございまして、税制方面はちょっと意見を差し控えたいと思います。またこれに対しては、いろいろ各般の意見もあることと思います。
  85. 金子一平

    ○金子説明員 補足いたしまして、経費の問題について申し上げます。これは実は、たとえば農林省統計から出てくる生産費と比較いたしまして、税務署の見方が非常にからいじゃないかという御意見もときどき伺うのでございますが、税法上の経費の見方は、非常に窮屈になっておりまして、たとえば自己労力は経費に認めない、あるいは償却費は取得原価により、時価によらないのだというような点がございますために、必ずしも一致いたしておりませんが、しかし私どもといたしましては、できるだけ現実のものに近い経費を見たいということで、日ごろ努力いたしております。そういう点につきまして、また御意見を承わらしていただければ非常に仕合せに存ずるわけであります。  それから鶏何羽、カキの木何本といったようなことは、実は基本通達において、そういった昔の通達がそのまま残っておりますが、ああいったものは私は死文と解しております。また現にさような気持で第一線も考えております。そういった点の執行につきましては、今後十分注意いたしたいと考えております。
  86. 神田大作

    神田(大)小委員 聞くところによると、農業白書にも出ておりましたが、全国で十四万町歩のなわ延びがある。このなわ延びに課税をする。これは、県の統計か何かでは出てくるだろうが、個々の農家について、なわ延びをどう見てあなたたちは収量を勘案しているのか、これは大きな問題だと思う。私は、なわ延びのある田もあるだろうし、なわ延びのない田もあるだろうと思う。これを農業白書には、十四万町歩のなわ延びがあるからといって、それを課税対象の中に入れておるのかどうか、その点、一つお尋ねしたい。
  87. 金子一平

    ○金子説明員 お答え申し上上げます。関東信越の国税局の管内では、大体保有米の調査をやりまして反収を出しておりますような関係で、なわ延びは直接今の課税には結びついていない、かように考えております。
  88. 神田大作

    神田(大)小委員 それでは、それで了解しました。  ことしは全国的に豊作だといわれておるのですけれども、しかしながら部分的の凶作というのがあるのです。これは、現に私のところにも、凶作貧困農家の営農資金の貸付やら、予約米の減額補正の陳情が来ているのもあるのですが、豊作だといおれているときのいわゆる凶作というものは、なかなか正当に取り扱われないきらいがあるのです。特に栃木県が今減額補正をやっておるのでございますけれども、こういう点については特段の御考慮を願いたいということを申し上げまして、あとは委員会で、こまかい点は皆さんの方から資料が出てから御質問申し上げたいと考えているわけであますが、この凶作に対する考え方を御披露願いたい。
  89. 金子一平

    ○金子説明員 ただいまお話しの凶作地帯等の取り扱いにつきましては、十分慎重に、過酷にわたらざるように考慮して参りたい、かように考えております。
  90. 横山利秋

    横山委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は追って御通知することとし、これにて散会いたします。     午後四時二十九分散会