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1958-04-10 第28回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 足鹿  覺君    理事 淺香 忠雄君 理事 大平 正芳君    理事 黒金 泰美君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 井上 良二君    理事 横山 利秋君       奧村又十郎君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    前田房之助君       森   清君    山本 勝市君       石野 久男君    石村 英雄君       春日 一幸君    久保田鶴松君       山本 幸一君    横錢 重吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (銀行局長)  石田  正君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局検査部         長)      渡辺  誠君         参  考  人         (日本銀行考査         局長)     篠原 周一君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 四月九日  委員山手滿男辞任につき、その補欠として首  藤新八君が議長指名委員に選任された。 同日  委員首藤新八辞任につき、その補欠として山  手滿男君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員有馬輝武君、神田大作君、田万廣文君、及  び横路節雄辞任につき、その補欠として村隆  一君、石山權作君山本幸一君及び木原津與志  君が議長指名委員に選任された。      ————◇—————
  2. 足鹿覺

    足鹿委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  本日は、千葉銀行貸付業務の問題について、日本銀行考査局長篠原周一君が参考人として出席しておられます。参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。  では、これより大蔵大臣並びに参考人に対し質疑に入ります。春口一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 私は、ただいまから、千葉銀行が行なっております金融の状況につきまして、特に、本日は主としていわゆるレインボー事件なるものを中心といたしまして、政府並びに参考人に所要の質問を行いたいと存ずるものであります。  さて、この千葉銀行の問題でありますが、この銀行は、戦後「財界騒動記」に幾多の話題を提供したことによりまして、わが国の金融界におきましても異様な存在として目されておる銀行であるのであります。しかるところ、昭和三十一年五月、古川致知氏が、「千葉銀行第二十五期定時株主総会に直面して株主に訴ふ」なる。パンフレットを印刷いたしまして、これを株主外一般に配付をいたしました。さらにその不良、不当貸付なるものの内容につきまして、当時総会の席上において、頭取古荘四郎彦氏との間に論議が展開されたことによりまして、これを契機としてようやく一般社会問題となり、はたまたこれが契機となりまして、各種の刑事問題として、現に大きく発展しつつあるところであります。かくて本年三月二十四日、東京地検特捜部千葉銀行大口貸付先である株式会社レインボー、これに手入れを行いまして、社長坂内ミノブ氏、代表取締役宗田謙三氏を詐欺容疑で逮捕するに至りましたが、またここ数日前の新聞報道によりますと、東京地検は、本事件参考人といたしまして、頭取古荘四郎彦氏を不日召喚することを決定したおもむきが報道されております。ここに千葉銀行は、預金額三百四十億を擁しておる、従いまして、これは特に千葉県下におきます代表的な金融機関でありますから、こういうようなさまざまな報道をめぐりまして、預金者の不安は次第に深刻に相なっておると思うのであります。また関係取引先も、さまざまな疑心暗鬼に包まれておると思うのであります。わが大蔵委員会は、金融制度所管いたします国権最高機関といたしまして、金融機関事業経営完璧をはかり、もって預金者の安全を確保するの至上の責務をになうておると思うのであります。こういうような見地に立ちまして、委員会といたしましては、この際、これらの事件実態を明らかにすることによって、政府をして適切なる措置を講ぜしめたいというのが、本日のこの調査の趣旨であるのであります。政府並びに日本銀行参考人におかれましては、このような理解と御決意の上に立って、十分真実に対するところの御答弁をお願いいたしたいと存ずるのであります。  そこで、私はまず第一番にお伺いをいたしたいことは、千葉銀行事件に関しましては、本日までさまざまな記事報道等が行われて参っております。銀行局長は、当然直接の監督責任者であらせられますか、これらの世評については、関心が深かろうと存ずるのであります。従いまして、これらの記事あるいは報道というものについて、どの程度目お通しになっておるのであるか。私が本件調査のために資料といたしましたいわゆる文献なるものを、ここに持ってきておりますが、ただいま申し上げましたところのいわゆる古川メモ、このパンフレット、それから三鬼陽之助氏が著わされております「財界騒動記」、それから昨年の七月刊行されております「中央公論」の「怪談千葉銀行」、その他最近の「週刊新潮」、そのほかには森脇将光氏がいわゆる情報収集ということで、これまた著わしておられます「二時五十五分の客」、それからこのレインボーのヒロインであります坂内ミノブ氏が書いておられますいわゆる「資本の谷間」、こういうような幾つかの文献が出されておるのであります。銀行局長は、自分の所管事柄として、これらの資料については、当然目をお通しに相なっておると思うのでありますが、私がこれから質問をいたします、事柄内容を、政府並びに日本銀行がどの程度その全貌について知っておるか、あるいはまた知っていないか、これによりまして、私の質問の形式もやや変ってくると思うのであります。こういうようなものを、すでに全部目をお通しになっておるのでおるか、あるいはこういうようなものは、全然御承知になっていないのであるか、御承知になっておるものがありといたしましたならば、私がただいま申し上げましたそれぞれの資料の中でどれどれは見たが、どれどれは知らないという、何かその点のところをまずあらかじめ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  4. 石田正

    石田政府委員 お示しになりましたものの中におきまして、率直に申しまして、読んだものもございますし、読まないものもございます。私、昨年の十一月から銀行局に変ったのでございますが、その後のことにつきましては、できるだけ目を通すように努めておりますけれども、それ以前のものにつきましては、目を通していないものもございます。
  5. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、まず第一番にお伺いをいたしますが、昭和三十一年五月、千葉市における千葉放送社長千葉銀行株主でありまする古川氏の、「千葉銀行第二十五期定時株主総会に直面して株主に訴ふ」というこのパンフレットの中には、一億円以上の貸付先二十九件が掲げられておるわけであります。これは、一つ銀行局検査部長が御出席になっておりますれば、銀行局検査部長からお伺いをいたしたいのでありますが、このパンフレットに明示してありまする貸付明細は、当時の銀行貸付残高の事実に大体該当するものでありますか、それともまた、これは全然荒唐無稽のものでありますか、あるいは著しく相違点があるのであるか。大体当時の銀行貸付残高と、このパンフレットに指摘いたしておりまする事柄とは、事実関係はどうなっておりますか、この点、お伺いいたします。
  6. 渡辺誠

    渡辺説明員 千葉銀行につきましては、検査は三十年の一月と、それから昨年三十二年の二月に検査いたしたわけでございます。検査の際には、検査着手時点中心といたしまして、個々貸し出しにつきまして調査いたしておるわけでございますが、古川氏のパンフレットに書き出されております大口貸し出しに関する計数は、当初の検査時点が異なっておりますので、これを正確であるかどうかということを比較することはいたしませんでしたし、またできなかったのであります。  それから本文で、いろいろな見方や考え方が述べられておりますが、これにつきましては、これは古川氏個人の考え方が主となっておるものと思われるのであります。
  7. 春日一幸

    春日委員 私がお伺いをいたしておりますのは、この文書の問題ではございません。すなわち、このパンフレットの中に掲げてありまする、いわゆる一億円以上の貸付先なるものの金額相手先、これは、大体その事実に符号するものであるか、あるいは事実と著しく相違するものであるか。ただこの一点だけをお伺いをいたしておるのであります。銀行検査部長であられますから、従いまして、これらの問題が実際はどうであるかということは、当然御調査に相なっておると思うのであります。その点を伺っておるのであります。御答弁を願います。
  8. 渡辺誠

    渡辺説明員 銀行検査は、本旨といたしまして、外部発表しないということで、また検査は、信義上も発表いたしかねる性質のものでありまして、銀行検査と、それからそのリストに載っております数字とが符号するかどうかというふうな点については、はなはだ申しわけないことでございますが、答弁いたしかねるわけであります。
  9. 春日一幸

    春日委員 これは、私どもが今社会問題になっており、そうしてさまざま大きな経理問題にも発展いたしておりまする事柄について、すなわち、政府が必要にして十分なる措置をとることのための国政調査を、この国会の側としていたしておるのでございます。私は、今あなたに、不良貸付明細発表しろと迫っておるのではございません。すでにここにそのパンフレットというものが、半ば公刊の形で社会に流布されておるのでございまして、すでにこれは、関係者については周知事項であるのでございます。従いまして、私は、この中に明細が書いてありますから、あなたが御答弁にならないとするならば、私はこの一つ一つを読み上げて、この通りか違っておるのかと言うて、あなたに質問することも、あるいは不可能ではないと存じます。私は、そういうようなやり方をしないで、ここに書いてあることは、検査部長責任において検査された当時、大体その事実関係は、こんなものであったのか、あるいははなはだしく相違するものであったのか。相違するものであるとするならば、これは間違っておるのだから、世の中の人々理解は改めてもらわなければならない、こういうことになるのでありましょうし、大体合致したものであるならば、これはこれ、こういうことで審議を前へ進めていかなければならぬ問題と考えるのでございます。私は、一つ一つ貸付先並びにその金額についてあなたに問うておるのではございません。ここに書いてある内容と、検査された当時における実態とは大体合致するものか、はなはだしく相違しておるものであるか。ただこの点だけをお伺いをするのでございます。私も、本委員会責任において、この内容を今ここでつまびらかにしようとは考えません。ただこれは、荒唐無稽パンフレットか、あるいは相当信憑性のあるものかどうか。われわれがやはり判断する上において、それは有効な資料であると考えますので、この一点についての御答弁を願いたいと思います。
  10. 渡辺誠

    渡辺説明員 古川文書につきましては、昨年二月に行われました検査結果と、私の方は、比較対照した表を実は作って持っておるのでございます。しかしながら、先ほども申し上げました通り、どうしても検査外部秘匿をしなければならぬ、本質上そういうふうな性質のものでございますから、私といたしましては、何とも申し上げようはないのであります。
  11. 春日一幸

    春日委員 この中には、政界に相当関係のある人々がずっと掲げてある、あるいはさらに、その他のリストにおきましては、現閣僚に関係のあるさまざまなものもここにあるわけであります。けれども、それは、漸次調査を進めていく過程において必要であるとすれば、われわれの調査をいたしました点と、あなたの方の検査された点が合っておるか合ってないかを符合せしめる必要を生じた場合において、私は具体的に述べていきたいと思うのでありますが、冒頭に申し上げました通り、本日はレインボー事件に集約いたしまして、まずこの点から問題をほぐしていきたいと考えておりますので、レインボーに対する昭和三十一年五月における貸借関係について、具体的にお伺いをいたします。  これによりますと、貸付総額は、当時六億九千三百万円とある、大体こんな状態でありましたか。あなたの方が、三十年の一月の二十六日に調査された当時における貸付残高についてお伺いいたします。これは、新聞においてでずっと書かれておりますから、今さらあなたの方が秘匿される必要性、あるいは秘密性というものはすでになくなっておるかと思うのであります。この点についてお伺いいたします。
  12. 渡辺誠

    渡辺説明員 どうもはなはだ申しわけないのでありますが、個々貸し出しにつきまして、検査部から御説明申し上げる自由を持っておりませんものですから、御了承願います。
  13. 春日一幸

    春日委員 私は、何ら御答弁が願えないということなら、国会に与えられております機能を果すことができ得ないのであります。従いまして、私は、やはりその当時における貸付残高がどうであったかということを知りたいと思うのであります。どういう手続を踏めば、この貸付残高について事実をお述べ願うことができるのでありますか、この点について、その手続について銀行局長からお伺いいたしたいと思います。
  14. 石田正

    石田政府委員 これは、検査部長から申し述べております通りに、個々貸付につきまして、残高がどういうふうになっておるかということ申し上げることは、差し控えるのが適当ではないかというふうに思っております。どういう手続をとったらよろしいかというお尋ねでございますが、われわれといたしましては、やはり検査秘密でございますから、従いまして、そういうことは出さないというふうにさせていただきたいと思っております。
  15. 春日一幸

    春日委員 私は、やはり一切の行政は、法律規則に基いておると思うのであります。法律によってあなた方に権限を与えておりますけれども法律に準拠することなくしてあなた方に執行の自由、裁量の自由は与えてはおりません。従いまして、御調査になりました事柄秘匿事項であるとするならば、その準処する法律がありましょうし、あるいはその秘匿事項を解除することの手続も、また法律の明文にあるところでございます。従いまして、いかなる法律の準拠によって秘匿されておるか、それから秘匿事項であるならば、これはいかなる手続を踏むことによって、国会国権最高機関としてその真相を知ることができるのであるか、これを所管局長から御答弁願います。
  16. 石田正

    石田政府委員 検査をいたしますることは、これは、法律に基いて執行するわけでございますが、その結果得ましたことは、やはり公務員の職務上の秘密に属するわけでございます。これは、公務員法によりまして、その秘密というものは守らなければならないということになっておる次第でございます。
  17. 春日一幸

    春日委員 公務員法秘密ということならば、これは、簡単な問題である。これは、上司によってその許可を受ければ、その秘匿事項は述べることができると思うのであります。従いまして、銀行行政最高責任者大蔵大臣でありますから、大蔵大臣がそれは差しつかえない、これを許容いたしますれば、当然お述べ願い得ると思うのでありますが、この点について、いかがでありますか。
  18. 石田正

    石田政府委員 仰せの通りであります。
  19. 春日一幸

    春日委員 そこで、大蔵大臣にお伺いをいたしまするが、この問題は、すでに刊行物として一般に流布されておりますし、さらに現在、貸付残高につきましては、これは地検の捜査、あるいはその他新聞情報その他によって明らかにされておるところでございます。従いまして、これは何らもはや秘密性というものがなくなってしまっておる、自然の形でこれが解除されてしまっておる事柄であろうと存ずるのでございます。御承知通り、私が本日伺っております事柄は、その真のねらいは、預金者の安全を確保することにある、取引関係者疑惑を一掃することにあるのでございます。従いまして、やはり問題の基礎となりまする貸付残高等につきましては、私は他のことを言っておるのではない、ただ問題が、刑事事件、その他いろいろと発展をいたしております、あるいは特別背任罪等容疑をかけられておりまする事柄について、ただ一点レインボーに集約して質問いたしておるのでございます。そういうわけでありますから、これは、もはや公務員秘密といたしまして、なるほど担当官では、独断で御答弁が願えない法律の建前になっておるかもしれませんが、事実関係においては、もはや秘密事項ではないと思いまするし、なお国政調査を行うに当りまして、必要欠くべからざる資料一つであろうと考えますので、この際御答弁を願いたいのでありますが、この点について、答弁されることをお許し願うわけには参りませんか、お伺いいたします。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵省としまして、この検査権によりまして銀行検査いたしております。従いまして、今局長等から御説明がありましたように、この検査によって、相手方のいろいろな秘密ということも承知いたしております。これを一々検査しておるからというゆえをもって発表するということは、これはいたすべきことではないと私は思います。特に今日この千葉銀行は、非常に預金者との関係におきましても、その他においてもデリケートな状態にあります。監督者であり、検査権を持って検査をいたしておるものが、その内容について、通常発表をいたしておる以上のことについてこの際に発表いたすことは、これは適当ではないというふうに私は考えております。
  21. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、検察当局からそういう資料要求がありましても、御提出にはなりませんか、大蔵大臣にお伺いいたします。
  22. 石田正

    石田政府委員 これは、やはり主務大臣の意向がありますれば、向うへ出すわけであります。そういう工合に今のところいたしております。
  23. 春日一幸

    春日委員 これは、申し上げたいことは、立法、司法行政の三権分立の形で国の秩序は保たれておると思うのであります。私どもは、刑事上の問題についてここで触れようとはいたしておりません。けれども行政上の問題は、ここで研究する以外、調査する以外に他の場所はないのであります。だから私は、司法関係については資料を出すけれども行政上の関係については資料を出さぬ、こういうことは許されないではありませんか。少くとも大蔵大臣も、国会議員の一人といたしまして、国権最高機関たる国会要求というものが一体何であるか、この点は、十分御尊重願わなければならぬと思う。検察庁には出すけれども国会なんかには出さぬ、そこに一体何らかの合理性のある理由があるのでありますか。国会には出す必要はないが、検察庁なら出さねばならぬというその理由について、一つ答弁を願いたい。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が特に申し上げたいことは、私ども銀行検査をいたしておるのは、いわゆる銀行行政でありまして、銀行が健全なる経営をし、預金者も保護される、そういうことが行われているかどうかというような見地から検査をいたしております。その内容について特にただす必要があるとすれば、やはりそれは、直接に銀行自体について聞くべきでないかと私は考える。その銀行自体があるのに、それを差しおいて、監督者である大蔵省内容についてこうこうと言うことは、私は行き過ぎでないかと考えます。
  25. 春日一幸

    春日委員 そういうばかげたことはありません。私は、なお経過を大臣に申し上げておかなければなりませんけれども、われわれは、これをあやまつことなく全貌を明らかにいたしたいと考えて、従いまして、銀行当事者笹田頭取にも参考人としての御出頭を求めました。当日の連絡では、出ますと言って回答しながら、某所から圧力が加わって、出るべからずということで、目まいがするなどという診断書が添えられて出頭が拒否されました。それから、御本人がだめならば、これにかわる銀行責任者に御出頭を願おうということで、他の専務、常務という方に出席を求めました。当時の連絡では、出ましょうという連絡があったにかかわらず、いずこからか大きな圧力が加えられて、また当日になって出席ができない。その理由たるや、支店を巡視せんければならぬとか、あるいは貸付業務のために出張せんければならぬという、そういう理由に足らざる理由をもって、実に国会を無視した、軽視した、おごり高ぶった態度でもって出席されていない。私は、もはやこの問題については、国会の威信をいかにしてこれをつなぐかという重要な段階にあろうと思うのであります。この問題は、当然議運、その他決算委員会等において継続的に取り扱われて参るでありましょうが、私たち本人から聞けと言ったところで、出て来ないじゃありませんか。私たち証人喚問とか、その他の手続については、万やむを得ずして昨日そのことを諮ったのだけれども、自民党の諸君は、いかなる意思があったのか、とにかく参考人なら出て調べていただこうと言っておきながら、参考人で出て来ないから、憲法六十二条に基いて証人喚問ということにしたら、これを多数の暴力をもって否決してしまった。多数の数をもってこれを押し切ってしまった。全くむちゃである。全くわれわれの審議権というものは、数々の陰謀によってかくのごとく執行がはばまれている。遺憾千万である。今あなたは、それならば、一つこれは本人にお聞きになった方がいいだろう、銀行当事者から述べるべきだと言われたが、本人は出て来ない。出て来なければ、何もそんなことはこだわることはないと思うから、私は、当然検査部長検査の結果として掌握されている事柄だから、そんなようなことは、お互いに好意的にその資料を提供し合って、金融行政完璧をはかることのために努力されてはいかがですか。何もかも知らぬ存ぜぬということでは、まるで千葉銀行一心同体じゃありませんか。世人の疑惑は一そう深まるばかりじゃないですか。御答弁を願いたい。
  26. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、お考えを願いたいことは、私ども銀行監督行政上の責任者といたしまして、今日さような御要求のような発表をいたしますことは、預金者初め一般によろしくない、よい影響を与えないという見地に立っているわけでありまして、従いまして、これはまた、御意見はいろいろありましょうが、行政最高責任者としては、そういう見地に立っている次第であります。
  27. 春日一幸

    春日委員 問題は問題として残しまして、時間をとられてはかないませんから、先に前進いたします。  検査部長伺いますが、三十年一月二十六日に定期検査が行われたはずでありますが、そのとき金融関係法規に照らされまして、問題となりました点は何々でありますか。この点を一つ答弁願いたい。
  28. 渡辺誠

    渡辺説明員 私は、当時まだ検査部長ではございませんでしたが、検査の際、金融法規関係違反があったかどうかという点につきましては、ただいま即刻取り調べまして御報告申し上げたいと思います。
  29. 春日一幸

    春日委員 本日は、この千葉銀行事件についてとにかく国政調査を行うために、検査部長出席を求めておる。千葉銀行事件について、レインボー事件についてということであなたの方へ連絡がしてあるはずです。従って、あなたの方が調べられたことについてわれわれが伺うということは、当然あなたの方では準備あってしかるべきだ。そのことを、あなたは準備もなしにここへ出てきたのですか。不勉強ではありませんか。
  30. 渡辺誠

    渡辺説明員 レインボーにつきましては、貸し出しがございました。その内容についても、審査をいたしました。しかしながら、法規違反というふうな事実はないと承知しております。
  31. 春日一幸

    春日委員 そのときの検査においては、法規違反がないならば、ないと、初めから答弁して下さい。
  32. 渡辺誠

    渡辺説明員 失礼いたしました。私は、千葉銀行全般について法規違反があったかどうかというふうな御質問であったと了解いたしましたので、回答を違えまして、失礼いたしました。
  33. 春日一幸

    春日委員 それではお伺いいたしますが、次いで昭和の三十二年二月一日、定期検査が行われました。このときは、特に二十七日間にわたって綿密な検査が行われたことが記録に残っておるわけであります。このときは、レインボー関係はすでに一般世人も知るところでありまするから、これは、問題の事柄であったろうと存ずるわけであります。従いまして、当然検査当局は、法規に照らした何らかの措置をとったはずだと思うのでありますが、当時政府のとった措置は、本件に関して何々でありましたか。この機会に御答弁願いたい。
  34. 渡辺誠

    渡辺説明員 レインボーにつきましては、十分に検査日数の許す範囲、人手の許す範囲内で、その可能な限り調査をいたしました。その結果、レインボー関係貸し出しにつきましては、大至急回収整理をするようにということを厳重に申しました。
  35. 春日一幸

    春日委員 それでは、そのような政府の警告や指示に対して、銀行はいかに対処いたしましたか。これが一つ。  その対処した結果、事実問題として、その結果はどうなったか。今どうなっておるか。その二点について御答弁願いたい。
  36. 渡辺誠

    渡辺説明員 銀行は、この点につきましては、非常に苦慮いたしまして、検査部の指示に対しまして極力努力をいたしております。なお検査部といたしましては、毎月報告を徴しまして、また関係者出頭説明を求めまして、その回収状況を十分に見ておるわけでございます。
  37. 春日一幸

    春日委員 その結果、事実関係は、本日いかが相なっておりますか。これを伺います。
  38. 渡辺誠

    渡辺説明員 銀行の方は、担保処分等極力努力中でございます。担保は、各種ございまして、こういう事態になってきますと、ますます処分がむずかしいというふうな状況になっておりますので、苦慮いたしておる割には進展しておりませんが、検査以降貸し増しはございませんし、それから若干の回収もございます。
  39. 春日一幸

    春日委員 これは、また後に問題の核心の問題といたしまして、お伺いをいたしたいのでありますが、あなたの方は、そういうような厳重なる警告を発しておる、指示をいたしておるとのことであります。ところが、この資料によりますと、昭和三十一年五月の当時においては、貸付残は六億九千万であった。ところが、あなたの方の監督と検査と、さまざまな職務権限の行使を通じて、今日改善の実が上っておるかどうか、問題はそこにあると思うのであります。検察庁その他、いろいろな調査の結果によって報告されておるところによりますと、今日の貸出残が六億九千万から減っておることならば、これは、私は銀行検査当局を信頼していいと思う。あるいは日本銀行大蔵省を信頼していいと思う。ところが、逆に倍近い十一億五千万として、減るどころか逆にふえてきておるということについて、われわれははなはだ合点がいかない。これは、いかなる理由に基くものでありますか。当然あなたの方は、検査権を通じて、この間の経緯がつまびらかになっておると思うが、五億何千万でも、すでに警告を受けたのに、今日十一億五千万の残を持つに至った理由は何でありますか、この点を伺います。
  40. 石田正

    石田政府委員 千葉銀行の問題になっておりますところの問題でございますが、これは、率直に申しまして、千葉銀行検査の結果におきまして、われわれの目から見て、適正を欠くように思われる貸し出しにつきましては、検査の結果に基きまして、その是正方を求めておるわけでございます。ただ三十年の一月に検査をいたしまして、そのときに示達いたしまして、そういう貸し出しの整理を示達したのでございますが、その後三十二年の二月に検査をいたしました結果におきましては、普通の銀行でありますれば、大体減っていく傾向にありますのが、この銀行につきまして、貸し増しがあったということがはっきりいたしました。去年の二月の検査以後におきましては、先ほど検査部長が申しておりますような工合に、普通の示達をしただけということでなくて、大口のものにつきましては、毎月その貸し出しの実績を見るという措置を講じまして、貸し増し増を警戒し、また実情を把握するように努めておる、かような次第であります。
  41. 春日一幸

    春日委員 この点は、何ら明確になりません。これは、またあとで問題をそのことだけに触れてお伺いしたいと思います。  この際大蔵大臣伺いますが、昭和二十二年三月一日、大蔵省告示第三十七号で公布されております金融機関金融通準則、これはなお効力を持っておるものでありますか、いかがでありますか、この点をおいいたします。
  42. 石田正

    石田政府委員 依然効力はございます。
  43. 春日一幸

    春日委員 それでは、もう一つ伺いをいたしますが、この金融準則の基準法規となりますものは、金融緊急措置令であろうかと思いますが、この金融緊急措置令なるものは、なお効力があると思いますが、いかがでありますか。
  44. 石田正

    石田政府委員 この金融緊急措置令は、依然まだ効力があります。
  45. 春日一幸

    春日委員 重ねてお伺いをいたしますが、金融機関金融通準則に違反をいたした銀行業務は、この法律の第六条に該当するかと思うのであります。そうなりますか、法律関係をお伺いいたします。——そういたしますと、この金融緊急措置令第六条には、融資の制限及び禁止事項がございます。そこには「大蔵大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ金融機関其ノ他大蔵大臣ノ指定スル者ニ対シ資金ノ融通ヲ制限シ又ハ禁止スルコトヲ得」という条項があるのであります。従いまして、この金融準則の基準法令というものは、この第六条にその渕源を持つものでありますか、伺います。
  46. 石田正

    石田政府委員 その部分に関しては生きていると思います。
  47. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、さらにお伺いをいたしますが、この金融機関金融通準則に違反をした貸し出しは、すなわち緊急措置令の第十一条に該当する事柄であろうかと考えます。従いまして、法律の構成といたしましては、三年以下の懲役、こういうような刑事罰を受けるような形に相なっておるのでありますか、ただ法律関係だけ伺っておきます。
  48. 石田正

    石田政府委員 お話の金融緊急措置令というものは、戦後の法律でございまして、御承知通りの状況のもとにできたものでございます。それで、その規定の全般というものは、ほとんど現在におきましては、その効果がないというふうに認められます。ただ資金融通準則だけが残っておる形になっておりまして、これもいろいろとどうするかと考えておるところであります。今のお話の法律問題につきましては、罰則の問題でございますので、もう少し時間をいただきまして、研究いたした結果、申し上げた方がよろしいかと思います。
  49. 春日一幸

    春日委員 局長答弁はけしからぬではないか。そんなことを聞いておらぬ。私は、法律はあした改廃されたとしても、本日ただいまの段階においてはこの法律によってことごとく秩序が保たれていかなければならぬ。今あなたの御答弁によりますと、この準則についても、将来どうしようかと考えておる。あたかもこれは、千葉銀行自体を暗に弁護せんがごとき、まことに行政官として、あるいは銀行行政の監督の責任者として、何たる暴言を弄するものであるか。けしからぬではありませんか。少くとも立憲法治国であるから、法律によらざれば、何人といえども、何事もなすことができない。それに、今この法律をどうしようかと考えておるということは、何たることか。それじゃ、これをみんな破ってもいいのですか。私が最初に答弁を求めたときは、あなたは、これは効力を本日持っておる、こういっておられるではないか。しかもその渕源するところの法律は、金融緊急措置令である。これも生きておるといっておる。封鎖預金問題やその他の問題は、もう自然解除になっておるけれども、この融通準則が生きておるからこそ、この金融緊急措置令というものは、その後国会において正規の手続をとって、本日その法律の効力というものは確保されておる。そういう段階において、今のこの融通準則をどうしよう、こうしようと考えておる。聞きもしないことを、暗に千葉銀行を弁護せんとするような魂胆を持って、そういう答弁をするということは、不謹慎ではありませんか。悪い法律なら直して、直すまではこの法律に準拠するにあらざれば、この銀行業務を行うことは許されていない、大蔵大臣、どうお考えでありますか。
  50. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、何もある特定の銀行を擁護するとか、そういうふうなことは毛頭だれも考えておりません。ただ、今の御指摘の法律は、昭和二十二年、いわゆる終戦直後のときにおける融資準則で……。私がこれから言うことをお聞きしてからにしていただきたい。私は、ただ昭和二十二年の法律ということを言うただけなんですから、これから先お聞きしてから……。そうせぬと、私は何も御答弁できなくなりますよ。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員長 静粛に願います。
  52. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、昭和二十二年にできた準則であります。これを考える場合にどれという区別はありませんが、一般的に法律の解釈というものは、やはり客観的な社会情勢の変化に応じて解釈をするということは、法律解釈の原則論と思います。私は、大学におるときに、そういう法律解釈論を習っておるのですが、これは、私は無理じゃないと思う。法律自体を変えることはいいのですよ。変えることがむろん一番賢明だが、それがないときには、法律解釈に社会的な解釈という余地は必ずあるのです。ある程度ゆとりのある解釈をしても差しつかえない。そうしないと、社会というものはどうも動かない。法律にも死文的な法律があるということがよくいわれるように、いわゆる適応しない法律も残っておる。こういうこともあり得るのですから、これは、私は何もここで断定はしませんけれども、考える余地があるということを申し上げて、十分検討を加えて参りたいと思います。
  53. 春日一幸

    春日委員 それはおかしい。たとえば、どろぼうをやってはいけない、どろぼうをやった者は懲役だという法律があるとする。ところが、世の中の何といいましょうか、道義がすたれて混乱状態のときには、どろぼうをやっても法律執行しない、やってもいい。強姦、これもやむを得ぬ。そのときの社会情勢によって、禁止事項も宥恕されることがあるということをおっしゃっておるのですか。
  54. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そうではないのです。言いかえますれば、法律の改廃がおくれておりまして、その法律解釈を文字通りにすれば、かえってその社会に適応しない、こういうことはよくあるのです。しかして、これは法律解釈で、それは意見もありますよ、流派もありますが、そういう解釈はつとに認められている解釈であると私は思います。
  55. 春日一幸

    春日委員 ややこしいから、この点を明確にいたしておきます。そういうような答弁をされたところで、天下の何人も、法律家も、あるいは政治家も社会人も法律というものが解釈によって白や黒に分つようなものとは思いません。その法律がその社会の実情に沿わない場合においては、すべからく改正すべきであって、法律をそのままにして、解釈によって、あるものは有罪、あるものは無罪というようなことになるべきものじゃない。だから、そんな論議は無益なことである。そこでこの際、私は一点だけ明確にしておきたいのでありますが、金融機関金融通準則というものは、今なお効力があるかということ、ないならばないとおっしゃい、あるならばあると言って下さい。伺います。
  56. 石田正

    石田政府委員 金融緊急措置令は、形式上は生きておる、法律上の問題ですから。それから融通準則も生きておる。こういうことをはっきり申し上げたわけであります。それから条文の問題といたしまして、罰則という条文の中身になりますと、まだ検討を要するところがございますから、個々の条文の解釈につきましては、もう少し勉強しましてから申し上げた方が間違いがない、こう申し上げたわけであります。
  57. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、金融機関金融通準則の総則の第六項によれば「金融機関は、企業の資金効率、融資目的の達成等について常時調査し、融通が適当でないと認められるものは、資金の回収、契約条件の変更その他の適当な措置を講じなければならない。それから「金融機関は、融資を受けた企業が当初の借入目的以外に資金を使用したときは、その資金を遅滞なく回収しなければならない。」それから「金融機関は、既に融資をしている企業から新たに資金融通の申込を受けたときは、前に融通した資金の使用状況を調査しなければならない。」とあります。そこで伺いますが、千葉銀行は、少くともこのレインボー事件については、この融通準則を順守しておるか、少くともレインボー事件についてはどうであったか、順守していなかったか、順守しておるか、この点は、銀行検査官の当然検査されたときの重大な検査内容であったと思うのであります。この三つの制限について、いかなる関係でありましたか、伺います。
  58. 渡辺誠

    渡辺説明員 レインボーにつきましては、先ほど申し上げました通り、適正でない取扱いが認められましたから、厳重な回収を命じまして、銀行も、この趣旨に従って、現在鋭意努力中でございます。
  59. 春日一幸

    春日委員 順守していなかったということ、それから回収もしていないということ、こういう二つの事柄は、少くとも準則違反でございましょう。この準則違反ということは、第六条によって法律違反になってくる。法律違反するから、十一条の関係によって、刑事罰処分の関係になってくると思うのです。しかし、私は、そんなことを聞いているのじゃない。この場所は行政調査でありますから、あなたに伺っておくのだか、少くともこの融通準則の第四項にはことごとく違反しておるのだが、違反しておりましたが、違反しておりませんか、この点を明確にお伺いいたします。これは二十二年からの準則ですよ。
  60. 渡辺誠

    渡辺説明員 これは、違反しておるかどうかということは、非常に微妙な点でございまして、なかなか判定がむずかしいと思います。しかしながら、この回収につきましては、厳重に督促し、注意しておるわけであります。
  61. 春日一幸

    春日委員 違反であったか、違反でないかということは、検査できないのですか。昭和三十二年のときの検査は、あなたの方は、二十七日間にわたってこれを調査しているのですよ。そのとき、これが融通準則に照らして違反であるか違反でないかということの判断もできなかったのですか。これはどうなんです、一体何を検査したのですか。そして一体何を命令したのですか。
  62. 渡辺誠

    渡辺説明員 レインボーに対する融資は、不適正な取扱いが認められておりましたので、先ほど申し上げました通り、回収を厳重に行うようにと指令いたしたのであります。
  63. 春日一幸

    春日委員 それでは、問題を一つ角度を変えて伺いますが、このレインボー関係融資は、業種別、使途別にいかなる優先順位の範疇の中にあるのか、これを伺おうじゃありませんか。この資金融通準則というものがある、ことごとくその融資というものは、いずれかの範疇に入る。従いまして、レインボーの十一億五千万円にはさまざまあるでありましょう。証券関係もあろうし、喫茶店関係もあろうし、生地屋関係もあろう、そのいずれに位するか。それで、私は伺いまするがレインボー関係の融資は、業種別、使途別にいかなる優先順位の範疇に入るのか、これを伺います。——これは御答弁ができない。まことにもって遺憾千万であるのみならず、これは、国民の疑惑は高まりますぞ。大臣、こういうことでは、あなたの責任は重大です。新しい事態に対して、もう一ぺん不信任を問わなければならない。そこで、私は、この際日本銀行に伺う。日本銀行は、資金融通準則の第六項目によって、監査及び報告の権限があなた方に与えられておる。第一号によりますると、「この準則の実施状況に関しては、大蔵省において監査する外、日本銀行をして常時監査せしめる。」それから「この準則の実施状況を監査するため必要な報告は、大蔵省において徴する外、日本銀行をして徴せしめる。」こういうことになっておる。従いまして、篠原考査局長伺いたいのでありますが、これは、一体どういう関係になっておりますか。すなわち、この千葉銀行から融資を行なっておるところについては、準則に基いて、あなたの方にはこれだけの権限と義務がある。そこで、ただいま申し上げました資金融通準則の第四項の規定に照らして、この融通はこれに違反するものであるかどうか。これは、あなたの方に当然監査権が与えられ、監査の義務をあなたの方に負わしておる。だから、当然そのことについては、それぞれの判断がなされておると思うが、いかに判断されたか、その判断に基いて、いかなる執行を行なったか、これを日本銀行から伺います。
  64. 篠原周一

    篠原参考人 ただいまの件につきましては、私どもの方には、今の融通準則については、各銀行から月に一回、いわゆる甲種と乙種、丙種とかいうふうの業種別の融資の総額の報告がございます。それから私ども銀行に考査に参ります場合に、その報告について、いろいろ話を聞くというふうな方法でやっておるわけでございます。特に千葉銀行についての関係でございますけれども、私どもは、今申し上げましたような月々の報告と、それから私どもが考査に行きまして、そのときにいろいろ事情を聞く、こういうような方法でやっておる次第でございます。
  65. 春日一幸

    春日委員 あなたの方のやり方を聞いておるのじゃないですよ。あなたの方のやり方は、法律できめてあるから、そんなことは聞かぬでもわかっておるんだ。私があなたに伺いたいのは、このレインボー事件について、あなたの方は、この第六項目によって、当然その実施状況について、これを監査する権限がある。国家と日本銀行との関係をいうならば、それは、国家に負うところの義務ですよ、それをやらなければならぬ、預金者の安全を確保するために必要なる義務である。従って、あなたの方は、監査しておるのだから、監査の結果、この十二億になんなんとする膨大な資金は、この融資準則の第四項に照らして適切であるという判断をしたのか、適切であるとするならば、これは何もする必要はない。しかし、適当でないとするならば、それに続くところの何らかの措置というものがとられていくべきである。今これを銀行局長に聞いたけれども答弁がない、あなたの方で、別途やっておるところがあったら伺いたい。何にもやっていないということであれば、それはそれとして、私どもは了承しておきます。どういう工合ですか。
  66. 篠原周一

    篠原参考人 ただいま私どもがやります方法を申し上げたのでございますけれども個々の点について、適正であるとかないとかいうふうなことについては、私どもとしても、申し上げることは差し控えたいと思います。ただ、私どもが参りまして、各銀行いろいろ見ましたようなときに、先ほどもお話がございましたように、やはりその貸し出しが非常に固定しておるとか、あるいはどうも経済的に動いていないとかいうようなことがありますれば、いろいろ御注意を申し上げる、こういうような態度でやっておるわけであります。
  67. 春日一幸

    春日委員 これは、実際あいまいもことして、日本銀行も大蔵当局も、まるで千葉銀行をかばう、これではしようがないじゃありませんか、全くの話が。国会から呼び出しても来やせぬ、そして、これは憲法の規定によって召喚しようとすれば、多数で否決してしまう、何たることですか。天をも人をもおそれざる、暴虐非道の銀行経営のあり方といわねばならぬ。こんなばかなことが許されていいと思いますか。少くともあなた方は、国家の官吏じゃありませんか、少くとも国家の中央銀行の考査局長としての責任上、もう少し是は是、非は非、破邪顕正の正しい立場に立って、私は御答弁願わなければならぬと思う。そこで、私は、それならば、この問題はあくまでも明らかにしていかなければならぬから、具体的に伺いますが、別表準則上では、問屋卸売商業ならば、これは運転資金が順位が乙になっておる、設備資金は丙になっておる。貿易業なら、運転資金が乙であって、設備資金が丙、その他の商業ならばいずれも丙だ。それから料理店、レインボーのような喫茶店、そういうものはみんな丙だ。そういうことになってくれば、事業設備資金の乙なるものは、これは「現下経済再建上差当り事業設備の補修改良のみを必要とするものであって、その資金の供給は事情によってこれをなすことを適当とするもの」、丙というものは、これは全部差し控えなければならないのです、貸してはならぬというものになっておるんですね。だとすれば、甲なんというものは一つもないんですよ。十億とか十二億というような巨大な融資というものは、あれは少くとも生活必需産業とか、基幹産業とか、現実の問題として、おのずからその順位というものはあるはずなんです。これは一体どうでありますか、そんな丙に対して十二億も貸しても、何ともないのですか、準則には何も触れないのですか、そこに並んでおる人、だれか答弁できませんか。
  68. 渡辺誠

    渡辺説明員 丙に貸し出してはいけないというには全然なっておりませんで、融通準則の第五の三には、「別表産業資金貸出優先順位表上丙に属する産業の事業設備の補修改良又は復旧に要するに資金並びに運転資金の供給は、真に必要やむを得ない場合に限りこれをなすものとし、この貸出残高の増加額は当該月の総貸出残高の増加額の百分の十五に相当する金額をこえてはならない。但し、やむを得ない事由がある場合において右の限度をこえて貸出をなさんとするときは、日本銀行に協議をすること。」こういうように、昭和二十四年の八月に改正になっておるわけでございまして、百分の十五の範囲内では、銀行の判断でできる。それからそれをこえて貸し出さんとする場合には、日本銀行の協議を必要とするということになっておるわけでございます。
  69. 春日一幸

    春日委員 それでは、この問題は、やはりペンディングな問題といたしまして、さらにこれは継続して精査を加えることといたします。  そこで伺いますが、この六の二によりますと、「大蔵大臣は必要と認めるときは、金融機関に対して資金の融通を禁止し、又は融通した資金の回収若しくは担保権の実行」すなわち、これは処分するということですね、これを「命ずることができる。」とありますけれども千葉銀行の融資先、特にこのレインボーについて、この六の二によるところの命令、これを発したことはありますか、あるいはレインボー事件について、そういう措置を取り得なかったとするならば、取り得ないところの理由、これを一つ述べていただきます。
  70. 渡辺誠

    渡辺説明員 検査の結果に基きまして、この資金の融通を大蔵大臣命令で禁止するということは、これは、なかなか容易ならざることでございますので、貸し出してはいかぬというふうな口頭的な注意もいたしております。それから融通した資金の回収もしくは担保権の実行、これも正式に、その後の貸し出しについては申すまでもありませんが、全般的に通達も出しておりますし、なおレインボー関係につきましては、ただいま申し上げました通り、毎月その実行状況を監視しておるということでございます。
  71. 春日一幸

    春日委員 これは、一体何が何だかわからぬではありませんか。資金準則というものが預金者の安全を確保し、かつはその金融機関の公共性にかんがみて、こういうような資金を活用することによって、国民経済の健全なる発展に資するということにあるわけであります。あなたの方が、この法律に基いて、これを巌粛に執行する義務があるんですよ。規則はこういうふうになっておるけれども、あなたの方から、現実には貸していかぬというような命令はできませんとか、あるいは担保権を執行せよというようなことは、いっても、なかなかできませんのでという答弁でございましょう、一体そんなことで、銀行金融秩序というものは、確保できると思いますか、今の答弁であなたは満足ですか。
  72. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が昨年七月に大蔵大臣になりましたときに、これは、銀行のおそらく二月に執行した検査でしょうが、大体全体の報告を聞きました。それで、私は、これではよろしくないという見地に立ちまして、今問題になっておる件につきましては、その他もあったと思いますが、すみやかに回収をすべしということを、当局者を私自身呼びまして、そしてそれをするかせぬかによって、さらに自分としては考えがあるからというふうに申しておる。ところがその結果、幹部のみにおきまして、責任を持って一つこれが回収計画を立てるから、これはしばらく自分たちのところにおいてやることを認めてほしい、こういうような話で、私は、それでは協力しておやりなさい、まあこれだけは、一応私は当初の重大な警告だから、それをほんとうにやるなら認める。それが今日に至って、具体的なレインボー事件となって現われておるわけであります。私は、そういう点について、非常に遺憾に存じておるわけであります。
  73. 春日一幸

    春日委員 これは、あとに関連質問がありますから、この一点だけについて、まとまりをつけておきたいと思うのでありますが、この融通準則に違反するような貸し出しが行われておれば、あとは貸してはいかぬという命令を発しておかなければならぬ。その次には、貸した金を回収せよという命令を発しなければならぬ。回収もできないということであるならば、処分権の執行命令を出さなければならぬ。法律は読んで字の通りですから、あるいはレインボーであろうと、ビルディングでも何でも担保物件に入っておるから、担保物件を処分すれば回取できましょう。そうすれば、その金は、中小企業であろうと、あるいは重点産業であろうと、その資金準則に基いたところの資金の活用というものはできるはずだ。なぜその処分権を発動しないのです。担保権を執行することを命ずることができるということは、せなければならぬということになるわけなんだ。貸したやつを、不良貸付だから回収をしろ、その通り回収してくれば、処分権も何も執行する必要はないだろう。けれども、回収の実が何ら上っていないから、のみならずだんだん加わっていくばかりです。われわれの調査したところによりますと、とにかく三十一年の五月は六億九千万であったものが、今倍になっておるんですよ。あなたの方の監督だ、日本銀行調査だ、考査だといったって、それはカワズの頭に小便、どこ吹く風で、どんどん貸し増し貸し増しでふえていって、今十一億五千万円、そのままほうっておいたら三十億にも五十億にもなる、まるで金融政府状態だ。あなたの方が、この際回収しようと思っても回収できないとすれば、担保物件を処分せよ。なぜこの命令を発しない、この答弁はどうなんですか。
  74. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ごもっともな御意見でございますが、一つ事柄を処分する方法いかんによって、銀行に非常な大きな影響を与える。そしてその結果が、預金者全体の利益にも反する。従いまして、こういう事件の扱いにつきましては、やはりそのときにおる責任者責任を持って、一つこれが整理案を立ててやるということでありますれば、一応それにやらせるのが私は行き方として正しい、かように考えております。これは、先ほど御答弁申し上げましたように、昨年七月に、私がなりました直後でありますから、八月ぐらいになりましょう、そういうときであると思います。それで、経営についてとかくの話もあったのでありますが、その後重役陣みんな協力して、一つほんとうに回収しよう。これは、どうしてもなかなか一挙には、事柄はここまできておるのは悪いのでありますが、これをどうしようということについて、やはりやり方は慎重でなくてはならぬ、こういう見地から、私は、先方の整理案、回収に期待をいたしております。
  75. 春日一幸

    春日委員 それでは、このことだけ一つ調査を願いたい。われわれが調査したところによると、なぞ私どもが不審に思って調査をしたかといいますと、少くとも問題になったら減るというのが、良識ある銀行家の態度であろうと思うのだ。六億円、こんなものはけしからぬじゃないかというふうに株主が問題にしたなら、これは四億になり三億になって減っていくべきものだ。ところが、それがばかに、倍にもふえておるから、私は不思議に思っていろいろ調査を進めてみると、そうすると、こういうような事実関係が明らかにされた。ということは、レインボーが手形をばっと発行するのです、めちゃくちゃに。そうすると、それが千葉銀行がその支払い場所に指定される。あと残金はあらせぬ。あらせぬけれども、さあこれをどうしよう、これからどうしようというて、それぞれ係で話があると、頭取が、まあそれは払っておけや、うちでかぶっておけやというようなことで、借りも貸しもないめちゃくちゃの手形を乱発してくると、そうすると、それをみんな千葉銀行はかぶって落としておる。これは、いわゆるのみというのがやられておる。ですから、うちは古荘天皇で、何ともなりません、こういうことである。私は、この際銀行検査官にお伺いをしておきたいのだが、そういうような貸し出し手続も何も踏まないで、あるいは金融準則によって定められておるところのいろいろの審査を経ないで、ずっとそのレインボーが振り出した手形は、ことごとくこれは千葉銀行がのんでおって、そしてこういうような膨張を来たした、こういわれておるのだが、果してその事実関係はどうであるか。この点を一つ調査を願って、いずれこの問題は、長きにわたって、本日から継続審査がされると思うので、これは、昼からでも明朝でもいいから、この点について、事実関係一つ御報告を願いたい。関連質問があるようでありますから、従いまして、私はあとに引き継いで、また質問をいたします。
  76. 横錢重吉

    横錢委員 今、春日委員が、行政上、法規上の問題からただしましたが、私の方からは、少しく具体的な問題で御質問いたしたいと思います。  この三十年の一月二十六日、大蔵省が臨時検査を行なったときには、相当の問題点があったわけです。そこで、いわゆる株主に訴えた古川パンフレットによれば、これは、六億九千万円というのに多少色を変えて出してある。しかし、大蔵省調査をしたときにはそうではなかった。実際の数字というものは、レインボーに対しては三億五千万円、東京三信物産株式会社に対しては七千七百万円、東信貿易株式会社に対して三億七百万円、このほかに東京支店にはみなし金があった。当時現金としてあるべき金の中から、一億円がレインボーに対して行っておった。これを現金扱いにしておったのが検査当時にあった。この当時にまた坂内ミノブは、旧性吉田ミノブを名乗っておる。今述べたところの会社は、いずれもこの吉田ミノブに対して貸し出しをしてあったわけです。この事実を検査当局は指摘しておる。そうして、その結果、あなたの方で千葉銀行に対して、これこれのものをやらなければならないということで指定をした中に、こういうことがある、それは、当時の貸出額は二百十億八千万円であった。このうち大蔵省検査の結果、第二分類に入って焦げつきに指定されておったものが五十三億五百五十八万八千七十五円あった。第三分類で、全く回収不能のものとしてあなたの方で指定したものが、七億三千百八十一万二千八百七十一円あった。そのほかに、直ちに償却を命じたものが八千六百四十一万七千六百二十円、合計して預金総額が二百六十億円のうちの四分の一、三割が焦げつきになっておった。こういうような事実をあなた方は知っておりながら、どういうふうに処置をしてきたのか。また同時にこのときの利益は、償却前の利益として計上したのが二億ある。この二億のうちの約九千万円というものは、貸付の形式をとって、架空の利子収入をあげてこれを糊塗した。こういうようなことも、あなたの方では、当時の状態検査した結果知っておる。このパンフレットというものは、当時の貸付係長をしておった渡辺というのが、一千万円の公金を拐帯逃亡したときに、この文書を配付して、おれをつかまえるなら千葉銀行の内情を暴露するぞといってまいた。これが後日、古川パンフレットとなって全部に配られたものだ。この原本というものは、これはそうめったにあるものではなくて、これは私だけであります。こういうような事実はあるのである。この事実があったかないか、それに対して、あなた方がどう対処されたか、これを承わりたい。
  77. 渡辺誠

    渡辺説明員 われわれその検査書類なるものが、偽物であるか本物であるかということにつきましては……。なお当時の検査につきましては、改善すべき事項は十分にさしておりまして、銀行側に回収整理を命じております。
  78. 横錢重吉

    横錢委員 答弁ができにくかろうと思うので、さらにもう少し続けますが、当時あなた方は、担保に対しても御検討になった。レインボーに対する貸付という点は、非常に問題になっておったので、レインボーの担保についても、評価価値というようなことを行なっておる。その中で、レインボーの担保というものは、現在入っておるものは、繊維品が二億円、これは渋沢倉庫に入っておる。それから証券類で約七、八千万円、貴金属で三億円余り、不動産で七億余り、こういうようなものが入って、現在のレインボーに対する貸付になっておる。そこで、この表面はこうであるが、三十一年に大蔵省の方から、繊維品というものは、五年も七年もかかえておったのでは、古くなって価値が下るから処分をしろ、そういうように指示をし処分させた。このとき渋沢倉庫に入っていた繊維品の五箱の中には、驚くなかれ古荘頭取用というのが、この五箱の中に入ってきたのをあなた方は知っているはずだ。そうしてこの二億円の価値というものは、現在は二千万円ないし三千万円の価値しかないというふうに踏まれておる。不動産では、七億円の不動産のうち、担保がいかに甘く評価されているかという点の例では、大島町元町の坪山六十三番地の山林六万坪を千五百万円で評価した。ところが、これが坪五円見当しかしない。そうすると、これはせいぜい五十万が百万にしかならない。そういうものが千五百万円で評価をされている。また貴金属が三億余りで評価されておるが、実際にこれを貴金属商に評価さした結果というものは、三千三百万円と出ておる。一割にしかなっていない。そうして、これに対して銀行当局が驚いてこれをどうしようか、その結果、この頭取は、それきりの価値しかないものならば、これはレインボーに払い下げてやって、レインボーにもうけさしてやればまた回収ができるだろうからやれというので、これを強行された。そこで、この担保の部分のうち七百万円の一部解除を行なった。この七百万円の一部解除を東京都民銀行の小切手でもって振り込まれる、この小切手が不渡りだ、こういうふうにしてその損害を出されておる。この損害は、東京の当時の能重支店長のときに行なったのだが、しかし支店長では、担保権に対する解除権というものはない。支店長の現在のワクというものは、二十万円しか専決処分として与えられていない。担保に対する解除のあれはないのだが、こういうような実態を行なっているということ、これをあなた方の方では、検査の結果了承しておられるはずなんです。これを、一体どういうふうに今日考えられておるのか。この点、一つ承わりたい。
  79. 渡辺誠

    渡辺説明員 三十二年二月一日現在で検査を行いました際は、もちろん貸し出しの一件々々につきまして、その担保の状況も審査いたして、厳重に担保の査定も行なっております。また貴金属、繊維等につきましても、これは現物を確認しておりますが、ただ検査官におきましては、その鑑識が非常にむずかしいわけでございまして、従って銀行の評価よりも非常に低い評価で評価しておるというふうに私は報告を受けております。
  80. 横錢重吉

    横錢委員 今のような、この一部解除を、他のかわり担保なしに行うということ、それから現実の評価額が三億円のものに対して三千三百万円と出た場合、これは、当然銀行としてとるべき正当な態度があったはずだと思う。あるいはまた、今指摘した大島町の六万坪の山林にしましても、これは溶岩だらけのところであって、売買価格というものはきわめて安いものなのだ。こういうようなものをことさら高く評価をしたという陰には、いろいろな問題があるわけです。それは、一体どういうふうな問題があるかというと、これは、銀行当局で知っているか知ってないかわからないから、こういうような事実について、どう考えるかという点で意見をただしたい。それは、三十年の四月、某代議士が、日本橋の某証券会社に行って五千万円の金を頼んで、これをレインボーに対して十五日間借りてやった。この決済は、予手でもって東京支店で行う。続いて四月三十日には二千万、五月の九日に一千万、五月の十三日に千五百五十三万、五月の二十六日に三千万、五月の二十八日に一千万、六月の一日に三千万、合計一億六千五百五十三万円を、レインボーが同じ証券会社から借りておる。そこで、この金は何らの担保なしに、保証だけで借りた。この保証が千葉銀行の古荘頭取個人の、坂内ミノブがもしも返済できない場合には私が返済します、という保証状を入れて借りておる。こういう事態を一体どういうふうにお考えになられるか。
  81. 渡辺誠

    渡辺説明員 ただいまのお話では、私ども事実をはっきり確認することができないのでございますが、巷間そういううわさも聞いておりますけれども、事実を確認いたしません以上は、ちょっと意見を申し上げかねると存じます。
  82. 横錢重吉

    横錢委員 なかなか答弁ができないだろうと思うのです。しかし、今レインボーの問題と、この千葉銀行のみならず、その他に貸付が非常に多いので、これは見なければいかぬ。また実際問題として、今日レインボーの女社長と古荘頭取は、もはや単純な関係ではないというように一部にすでにうわさされておる。従って、これを裏づけするものが少くも一億六千万に上る金に対して何らの担保なしに個人が保証をするというやり方、これを見たならば、単純な関係でないということが裏書きされるのではないか。こういうふうに思われる。三十二年の十二月の二十五日、古荘四郎彦氏個人振り出しの約手一千万円。これを東銀座七の二、東日本貿易株式会社社長久保正男、ここにおいて月一割の利子でもって割り引いて九百万円を受け取る、同社の業務部長の稲垣四郎というものが東京支店に現われて、古荘頭取と了承の上であるからして、これを割り引いてもらいたいというので出てきた。そこで、これに対して支店長は、そういう手形を割るわけにはいかぬという良心的な裁量によって、これを返却した。割引をしなかった。そこで、古荘頭取が激怒をした。ここで支店長は他に左遷をされた。そのあとにすわったのは、腹心の支店長がすわったわけです。これが三十三年の一月二十五日、一カ月の手形であるからして、この日までには支店長がかわっておる。腹心であるからこの約手を落しておる。この約手を落したものが、またレインボーの貸借となっておる。こういうことに対して、これを正常な銀行頭取の行為と見のがすことができるのかどうか、こういう点について承わりたい。  さらに同様の点がもう一つあるのであります。これを見ると、三十一年に、日本橋の某商会から古荘が頼まれて、レインボーは一千万円の融資を、日歩十五銭でこれを行なった。これは、借用人が坂内ミノブ、連帯保証人が古荘四郎彦、三十二年十二月下旬まで片づかない。某商会は、これを銀座の某金融会社に回したので、これを交換に出された。そこで、交換になってから、これをどういうふうに決済したかという問題が出てきた。そこで、これが三十二年の十二月の三十一日午後二時、いわゆる二時五十五分のお客様だ。ここにこの手形の交換にきた際に、これは、千葉銀行の東京支店の銀行員二人がついて、その手形をとりにきた。手形だけではいけないので、そこに個人の保証をしたところの保証状をよこしてもらいたい、こういうふうに言うて、この手形も同時に受け取る態勢で、一切の金を準備いたした、こういうような事実もまたあるわけです。この点に関して、銀行局長検査部長大蔵大臣はどういうふうに考えておるか。
  83. 石田正

    石田政府委員 今お話の三つの問題でございますが、これは、その通りでありますかどうかわかりません。従いまして、それに対してどういうふうなことをやるか、それをもとにいたしまして申し上げるというのはいかがと思います。
  84. 井上良二

    ○井上委員 関連して。ただいまの答弁は、はなはだ遺憾に思います。これは、何もいいかげんにあなた方においでを願って、この問題を糾明しているのとは違うのです。この影響はきわめて大きいから、慎重に具体的事実をあげて、あなた方の政治的な責任ある答弁を願っているわけです。さきに検査部長は、そういうことは巷間うわさを聞いたという答弁をされている。うわさを聞いたら、検査部長は、直ちにそういう事実があるかどうか確かめなければいかぬ。あなたは確かめる責任がある。預金者の何百億もの金を扱っておって、頭取が勝手に自由に手形をどんどん割引する、そういう不法な行為が許されるかどうか、背任的な行為をやっているじゃありませんか。それをあなたに聞いている。それを、事実を知らぬなんて言わさぬ。はっきり巷間うわさを聞いたというなら、そのうわさを確かめなければならない。銀行頭取はやはり公法人ですよ。そういういいかげんなだらしのない答弁をされたら困る。もう少しはっきり責任ある答弁をして下さい。どうですか。
  85. 渡辺誠

    渡辺説明員 ただいま横錢委員からお話のございました点は、私は、具体的にはそういううわさも実は聞いておりませんが、まあ古荘頭取個人の保証で、そういうふうな事実があったというふうな話は聞いております。なお検査の際には、それらの点につきましても、十分に確かめてございまするが、やはり検査内容にわたりますものですから、御説明申し上げかねます。
  86. 横錢重吉

    横錢委員 三十三年の三月三十一日に、千葉銀行東京支店の中において、加藤商会の佐藤真裕四十六才が、支店長の前に現われて服毒自殺をはかった事件がある。これは、新聞に報導された通りである。その事件によるならば、これは、田尻支店長の言では、心当りは全くない。薬をのんできていると言われても、半信半凝だった。銀行取引の内容については、お話しできない。そのほかに、加藤商会は目下整理中で、千葉銀行には約一千万円の負債があり、そんなこんなで、社長はノイローゼ気味だったと同氏は語っている。こういうようなことで、銀行から金を借りたものが、三月三十一日に金を返せないので、この支店のところに来て自殺をはかった、こういうような事件になっておるのだが、これには裏がある。これはどういうことかというと、三十年の八月、加藤考三からレインボーが三千九百五十万円を借りておる。このときは、古荘四郎彦が保証人になって、これは公正証書まで作成した。しかも、それがいまだに解決していない。三十年の八月、中外印刷の社長渡辺一郎から、一億五千万円相当の不動産を提供させて、抵当権を四千万円入れて、約手で四千万円を融資した。だから銀行の形は、渡辺一郎氏の担保で、渡辺一郎氏の約手で貸し出したように表面はなっておる。しかし、この金は全部レインボーに入っている。このとき渡辺一郎氏に対して古荘氏から、半年以内にこの担保を無傷、無欠点で返すという保証書を渡してある。三十一年二月、中央区宝町にあるところの土屋ビル、これは時価約一億円、これを提供させて、四千万円の抵当を入れて、四千万円の約手でこれを融資した。この加藤孝三氏に対しても、古荘氏は保証状を、入れておるわけです。こういうようにして四千万円の金を回しておるわけです。その後加藤孝三は、三十一年十二月二十五日、詐欺事件を起して、検挙をされて没落した。その後任となったのが佐藤真裕氏である。従って佐藤氏としたならば、古荘氏の一札をとってあるから、返済を迫ったが、古荘氏はこれを返さない。そこで借金で首が回らなくなって、そこでその履行を迫ったが、履行されない。自分の方はあべこべに迫られる。その思い余った結果が、ここに支店長の前での自殺になって現われてきた。そしてその焦げつきが、二億円のうちのまだ約一億円が焦げつきで決済されない。このような事実があることに対して、検査部長銀行局長が御存じであるとすれば、これを一体どういうふうに処置をし、どういうふうな考え方を持っておられるか、この点について承わりたい。
  87. 渡辺誠

    渡辺説明員 ただいまお尋ねがございました加藤考三氏関係につきましては、レインボーをめぐりましていろいろな貸借関係があったということは、検査の際承知しております。しかしながら加藤氏と佐藤氏との関係については、われわれは存じませんでした。
  88. 横錢重吉

    横錢委員 そういうふうにしてレインボーに回った金は、何に使われたかというと、これは、全部徹底的な消費に使われてしまった。坂内ミノブは、まれに見るところの、日本に百年に一人、千年に一人しか出ないような大へんな消費家です。どのくらい使っておるかというと、先日地検から押収された千二百本の洋酒というものがある。これは、高島屋から一ぺんに二百万円も買った。商売用ならともかく、自分のうちで飲むところの洋酒を一ぺんに二百万円も買った。それから自分のうちにある犬が、シェパードをまぜて十二頭いる。そして一匹の犬に、月に二万円あまりかかる、合計で二十四万円。これは、へたな銀行頭取や専務と同じような給料を犬に払っておる。それから目黒区上目黒の神徳という植木屋から、一ぺんに三十六万円の植木ばちを買った。これは一銭も払わない。それから令子という娘があるが、この令子さんが毎日衣装をかえて、この衣装代に月に百万円かけておる。そして、これをしまうところのたんすが、五十何本になっておる。こういうような徹底したところの消費をしておる。そこで、この金はいろいろ苦労をして、最後には銀行頭取が金を回す立場から借りる立場に変ってしまっておる。そして、無理な月一割の高利を借りてまでも、こっちの方につぎ込むというような今日の状態が展開されておるわけです。こういうようなことが、もう今日に始まったのではなしに、相当長い期間について行われてきて、検査をすべきあなた方が、この検査を怠っておる。そうして検査の結果について答弁を求めるならば、これを隠蔽する。預金者の保護ということに名をかりて、一切を隠蔽して、明らかにしないのだが、こういうふうなことで、ほんとうに千葉銀行の再建ができるとお考えになりますか。千葉銀行は、今三百二十四億円の預金が、一日に一億円以上も減っておる。こういうような中においては、すみやかに預金者の不安を解消する、千葉銀行の再建を早くするということ、これが大蔵当局、日銀当局に課せられた使命でなければならぬはずだと思うのです。われわれは参考人を呼んで、事実は事実としてただして、千葉銀行はつぶしてはいかぬ、預金者に不安を与えてはいかぬ、こういう見地から、早くこの立ち直りをさせたい、こういうふうに考えて、いろいろな問題を出すのだが、隠してしまう。隠してしまって、くさいものにふたをして、それで通るのならば済むけれども、これほどの内容があって、これは隠しきれるものではない。従ってあなた方は、今私が述べた中でも、商法四百八十六条の特別背任罪の疑いを持たれるような点もあれば、あるいはまた銀行法二十三条の監督権、あるいは処分権にもさわるような問題も、この問題の中からたくさん出ておるはずです。従って、そういうふうな点について、あなた方が決断をすべき時期が来ておる。こういう問題に対して、大蔵大臣いかに考えるか。
  89. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、検査の結果等につきまして、大体の報告と承知いたしております。従いまして、その報告によりましても、先ほど私が申しましたように、昨年の八月ごろ、やはり抜本的に建て直しをしなくてはなるまい、こういう考えにあったのであります。それで、このことにつきましては、十分銀行当局者にも通じてある。ただその際において、この事柄について、自分たちで全責任を持って回収をはかるから、しばらく時をかしてもらいたい、こういうのがありましたので、私は、その結果を待ちまして、自分の所信を断行したい、かように考えておるときに、今回の事柄に発展を見ておるわけでありまして、お説のように、私は、すみやかにやはり銀行建て直しのために、根本的な措置をとるべきであろう、かように考ておる次第であります。
  90. 春日一幸

    春日委員 関連して。この際、政府に対して調査要求し、その調査の結果について、本委員会資料として御提出を願いたい事柄が二つあります。  まず第一は、過ぐる三月三十一日に締め切られた千葉銀行株主名簿についてであります。私どもが本件の調査の過程において探知し得たところによりますと、古荘頭取は、検察当局レインボーへの手入れ、それから不当貸し出しに関する新聞報道等、株主に相当の影響を与えておるであろうことを察知されまして、このために、来たる五月の千葉銀行株主総会に備える意図を持って、いわゆる頭取親衛隊の役割を果す新株主の設定を行なつたということであります。それは、過ぐる三月三十一日株主名儀の書きかえを締め切る際に、実に百名ともいいますし、百十名とも称しますが、新株主を特に作った。この百名の特殊の使命を持つ株主が、たまたまその住所が同一場所になっておるということで、これは、御調査を願えれば、一目瞭然たるものがあるとの趣きであります。私は、暴力の追放を金看板にされております岸内閣が、こんなことを等閑に付せられることは断じてないとは思うが、しかしながら、いわゆる株主の権利がかくのごとき暴力によって妨害されるということは、本委員会の権威においても断じて許されるべき事柄ではない。従いまして、こういうような総会用の株主を特に新しく作ったというような事実があるかどうか。私が申し上げたいのは、三月三十一日の名儀書きかえのときに、住所が同一であるところの新株主百名ないし百十名の書きかえが行われておる事実があるかどうか。この点を一つ調査の上、あとの委員会資料の御提出を願いたい。それが一点。  それから他の一点は、坂内さんの伊皿子の屋敷、これに第一相互から一億円借りられておるということであります。この伊皿子の屋敷は、第一相互に担保に入っているということです。それで、第一相互が坂内さんに貸した一億円は、千葉銀行が第一相互に資金設定、言うならば、これは導入預金でありましょうか、とにかく千葉銀行が第一相互に一億円の資金を導入して、そうして第一相互から坂内さんがこの一億円を借りておる。担保関係は伊皿子の家が第一相互に入っておることによって、これらの関係がつまびらかになる事柄でありますが、これは、相互銀行法その他銀行の指導要綱等があって、相互銀行が同一企業体に対してどの程度貸し得べきか、限界はおのずからあると思う。従って、こういう事実があるかどうか。この二点を、午後の委員会までに御調査の上、資料として御提出あらんことをお願いいたしておきます。
  91. 井上良二

    ○井上委員 ちょっと関連して。ただいま横錢君が質問をいたしました件は、今大蔵大臣から御答弁がございましたが、銀行法第二十三条には「銀行ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スベキ行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ業務ノ停止若ハ取締役、監査役ノ改任ヲ命ジ又ハ営業ノ免許ヲ取消スコトヲ得」という明文がここに規定されておりますが、これを一体何ゆえに適用しないのですか。違反行為の明らかな事実がたくさんあり、また検査の結果、明らかに厳重注意を喚起し、処置を願わなければならぬ事項がたくさんあることが発見されておる。自来約一年以上たってもなお改善されず、逆に検察当局の手入れを見なければならぬ実情になってきておる。かようなことは、明らかに銀行当局の監督の不行き届きであり、また業務上における銀行法その他の法令を逸脱することは明白でありますから、この二十三条を適用すべきであるのに、何ゆえに適用しないのか。大蔵大臣は、適用する意思がありますか、ありませんか、明らかにはっきり御答弁を願いたい。
  92. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点につきましては、先ほど御答弁申し上げたのであります。一つ貸し出しの解決のためにどういうふうな方法をとるか。その方法いかんによって、かえって銀行全体の信用を落し、そのために預金者に迷惑を与えるということは適当ではないのでありまして、問題は、ある段階においてどういうような方法によるべきかということであると思うのであります。従いまして、先ほどから申しますように、私といたしましては、報告に基きまして、責任者に十分な注意を与え、そうしてとにかく自分たちにおいて、これの処置を十分やる。これは、向うの理事者全部で十分協力してやるからという話もありまして、それなら一応処置するのも適当でないという私の考えに立ちまして、それを見た上で、さらに次の段階をききたい、かようにいたしておるときに、かような段階になったのであります。やはりたくさんの預金者を持っておるこういう銀行の業務につきましては、こういうふうなある不当な特別な貸し出しがある場合、あるがゆえに、これを解決するためにどういうような方法をとるか、非常にこれは考えなければならぬ、慎重な考慮を要する問題でありますので、先般から申しますように、なるべく責任のある者が責任を持って解決する、その点だけは認めてやった方がよかろう、その結果がどうしてもいかぬということであれば、さらにこれは、銀行のために最も適当とする手段をとらなくてはなるまいというふうに考えたわけであります。
  93. 井上良二

    ○井上委員 ただいま横錢君から質問がございました通り千葉銀行には約三百億近い預金がある。しかもこの事件が起って以来というものは、預金者は不安を抱いて、一々その預金が引出されておるのです。非常に預金者に不安を与えておるという現状、しかも大蔵委員会がここにこの問題を取り上げた以上は、今晩の夕刊から明日の朝刊に大々的記事が出るのです。これは明確だ。出ないというたって出ます。そうなりましたときは、これは、即刻に大臣としては、腹をくくって処置をせなければならないという事態がきておることは、明らかです。それに、問題になってから一年このかたになっておるのに、まあ何とか話し合いで世間にわからぬようにという、預金者の不安を除去し、正常な金融の運営をやっていただくようにいろいろ御指導願うという、あなたの大臣としての思いやりは、私はよくわかります。しかし、事態は、そうい事態になっていないということです。緊急に手を打たなければならない事態になっているということです。それを日送りに延ばせば延ばすほど、いろいろ政治的な疑惑がうわさにうわさを生んで、ますます不安をつのらすことになりはしませんか。あなたは、そういう態度でこの問題が解決するとお思いになりますか。逆に、あなた自身大蔵大臣としての行き過ぎた行為が、この問題で、取り上げられておりはせぬかといううわささえ生んでおるのですよ。これは、重大な一つの問題です。あなたがここで決断をもって、大蔵大臣に命ぜられた明確な任務を遂行するときに、あなたに対し、また大蔵省に対して、預金者は大きな期待と信頼を寄せ、不安を除去することができるのです。それを、逆な方向をとれば、ますます不安はつのっていって、大へんな事態を招いてきます。ただいま横錢君から相当詳細な内容についての話がありました。この事態は、ゆゆしい問題ですよ。この問題は、あなたとしては、相当真剣に責任を負うて処置をとらるべきものじゃないですか。大蔵大臣というものは、もっと真剣に考えていただきたい。私は、時間をかすべきではないと思います。ぜひこの際、大臣として政治的な責任を持った答弁を願いたい。
  94. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私としましては、責任を持って真剣に考えておるのでございます。ただ、この際最も必要なことは、預金者を動揺させるというようなことは、これは、皆さん方のお力も拝借して避けなければならぬ。だから、そういうふうな点を十分考慮しつつ、決して、これを便々と、何とかなるだろう、そういう態度はとっておりません。私は責任を持って解決いたします。
  95. 横錢重吉

    横錢委員 この問題を扱うに当っては、銀行をつぶしてはいかぬ、預金者に不安を与えてはいかぬ、このことは、われわれが第一に念願をしておるところである。従って、そういうふうに考えて配慮しつつやっておるつもりです。のみならず、銀行から参考人を呼んで、自主再建をさせる道を与えよう、こういうような観点から行なったにもかかわらず、理屈にならない理屈をもって、参考人国会に来ないという、非常に国会を侮辱した問題がここに出てきておるわけです。これでは、果してあとの自主再建ができるかどうかという点に、多大の不安感がある。  もう一つには、預金者保護に名をかりて、実際の銀行の内部の問題は、これを出さなくてもよいのだ、どんなに中で爛熟しておる問題があっても、これは、預金者保護という金看板のために、一切のものが隠蔽されるということは、これもまた許されない問題である。今日すでに国会において取り上げるまでもなく、新聞に、雑誌にあるゆる点に千葉銀行内容の問題は報導されているのである。今私が申し上げたのも、実はその一部にすぎない問題だ。まだまだこれらの問題は、たくさんのところが隠れておる。今日レインボーに対する融資というものは十二億、十三億というような数字が上っておるが、この隠れておる部門を出しますと、実は十七億、十八億から二十億に達しておる。この数字を掘って見なかったならば、ほんとうにどこまで病根が入っておるのかわからない。しかも、この五月七日には株主総会を開く。その総会には、今春日委員が指摘したような配慮をして、あの千葉銀行の二階の会場には二百名しか入れないのに、百十名の株主総会のヴェテランを配置して、他の善良なる株主の発言を封じようという企図を、もうすでに持っておる。こういうようなことで迎えられる株主総会は、一体どういうものなんだ。しかも、これに対しては、銀行が全然知らない前に、頭取の名前をもって、こういうふうなものを与えておる。この中には、また問題とすべき点が一点ある。それは、三十一日付で、株式会社千葉銀行頭取古荘四郎彦より株主各位として出されておるものがある。それは、前文は同じような文句であるが、「種々の事件を掲載され各位に不尠御不安を御掛け致し誠に恐縮至極に存候え全く私の不徳の致す処と大に反省致し居り一日も早く御安心被下様努力致し居り候乍去今後も株主総会を前にして或は之れ以上の悪宣伝等も行はるる事も有之やも不計候得共当行は総ての点に万全の策を講じ御当局の御諒解も得御心配を御掛けする様のことは断じて無之銀行の基礎は安泰に候間何卒御迷ひなく従前通り御信用賜り度特に御願申上候」という文章なんです。これは、個人の資格で株主各位に配っておる。この中にある「御当局」とは一体どこをさすのか。これは、いろいろ考えてみると、銀行関係であるから、銀行局長、あるいは大蔵大臣がこれを与えたものであるかどうか。これらにつきましては、古荘頭取を絶対に頭取の地位からやめさせない、あるいは千葉銀行はこれでけっこうだ、こういうふうな内容のものを何らか大臣または局長が与えたことがあるかどうか、この点について伺っておきたい。
  96. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私、今初めてそういうものを承知したわけでございます。あるいは事務当局が承知しておるかもしれませんが、初耳です。当局という意味において、大蔵大臣が何らか了解を与えた、それは、私はありません。古荘頭取とそういう点について何ら交渉があったことはございません。
  97. 石田正

    石田政府委員 銀行局といたしましても、そういうことはございません。
  98. 横錢重吉

    横錢委員 銀行局がこれを了解を与えなかったならば、これは銀行法三十四条の第一の「業務報告書又ハ監査書ノ不実ノ記載、虚偽ノ公告其ノ他ノ方法二依リ官庁又ハ公衆ヲ欺罔シタルトキ」これに触れてくる。株主総会を開催するというきわめて大事なときに、大事な文句、それと了解されるようなものをもって、公衆を欺瞞したる行為に触れてくるという疑いがあるわけです。この点は、とくと一つ御検討をいただきたい。  そこで、さらに最後にもう一点大蔵大臣伺います。大蔵大臣は、昨年の十二月ないしは本年の一月、某代議士に多額の融資を頼まれて、古荘頭取に対し、特にこれを頼むという意味の親書を渡しておる。その内容はいかなるものであるか。いかなる意味をもってこれを行なったか、その点を承わりたい。
  99. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ある代議士に融通をしろというような手紙を出したことはありません。
  100. 横錢重吉

    横錢委員 あなたは、送った事実はございませんか。
  101. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 融通を頼んだことはありません。
  102. 横錢重吉

    横錢委員 融通でなければ、何らかの貸し増しをしてもらいたい、あるいは猶予をしてもらいたい、そういう意味の古荘氏に対する親書を送っているはずです。
  103. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうことはありません。
  104. 横錢重吉

    横錢委員 一萬田大蔵大臣から特にねんごろなる親書をもらったので、古莊四郎彦氏は、これを頭取の部屋に掲げて、来る人ごとにみんな見せておる。これは、二百万千葉県民だれ知らぬ者もない事実である。そういうようなことをやっておるのは、古莊氏がにせのものを見せたのか、あなたが今うそ偽わりを言っておるのか、これはきわめて重大なる問題であるから、しかと一つ御返答願いたい。
  105. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、融通について、何か融通を頼むというような意味のことは、具体的に融通をするというようなことについて文書を何ら出したことはありません。
  106. 横錢重吉

    横錢委員 融通するということを言われなかったならば、それでは、どういう内容のものをお書きになったのですか。
  107. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私、はっきりと何も今覚えておりませんが、金銭の融通というようなことに全然触れておりません。私は大体において人に紹介を与えることもやっておりません。どういうふうな内容でありますか、私今とくとはっきりしませんが、あるいはその当時におきまして、よろしく頼むくらいのことはあったかもしれません。よろしく頼むという意味は、融通ではありませんですよ。今私はっきり覚えておりませんが、多分私のは、その当時におきまして、従来から、多分融通に関係しないのですが、いろいろお世話になっておるからよろしくというようなことではなかったかと思います。これは考えてみます。
  108. 横錢重吉

    横錢委員 あなたが融通に対して書いたものもない、またはっきり記憶したものでもない、それならばこの親書を取り返しましたか。
  109. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 取り消したのではないのであります。これはあとで考えまして、どうも誤解を招くかもしれぬということに気がつきましたから、それで、これは何も融通の関係でも何でもないのだから、その点は一つ十分承知してほしい、こういうふうに申しました。取り返したわけではありませんが、特に取り返すというわけでもありません。
  110. 春日一幸

    春日委員 関連。私は、古荘氏がどういうような銀行経営をしてきたかということは、朝来の質疑応答を通じて、おおむねその全貌は明らかになってきたと思う。一口で言うならば、めちゃくちゃをおやりになっておるわけなんですね。ところが、そのめちゃくちゃをやらざるを得なかった理由というのは、私はさまざまあると思う。坂内氏との関係もあろうし、また銀行内部のいろいろなあり方もあるだろうと思うのですが、少くともその監督責任者たる大蔵大臣が、何のたれがしに対してよろしく頼むとか、そういうような親書をもって——特別金融ベースで貸せるものならば、そんなことを頼まなくたって貸すでしょう。そういうものに対して特別よろしく頼むという親書を出されれば、おのずからその影響力を受けられて、あるいは規則、法律、あるいは内部の規約、そういうようなものを厳粛に守り得ないような状態になるということは、これは大いに同情できると思う。少くともその金融機関の総元締めの、公正に運営さるべく指導、監督しなければならぬ大蔵大臣が、特定の個人のために親書をもって依頼を行うということは、何事でありますか。現実にそういうことが行われたならば重大な問題だと思う。しかもその相手が、問題の千葉銀行頭取の古荘さんではありませんか。そういうような問題の人に対して、監督し、指導し、あるいは処分権すら発動しなければならないかと思われるような段階にあるその当人に対して、何のたれがしに対してよろしく頼むという親書をお出しになったとすれば、事態は重大である。事実そういうことがあったのですか、お答え願いたい。
  111. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、特定の人に金を融通しろというような考えは全然ありませんし、またそういう意味もありません。ただ、しかしそういうふうに悪用されはしまいかということにすぐ気がつきましたから、そういうことは違うから間違いのないように、かように申したわけであります。
  112. 横錢重吉

    横錢委員 大臣がこれを否定しても、もうすでにあなたの手紙は、多くの人に回覧に供されておる。回覧と言っては語弊があるが、多くの人に見せられておる。一萬田大蔵大臣が古荘四郎彦氏にあてた文書内容もわかっておる。そこで、これが非常にまずい問題になって、あなたは取り返された。これがまずいものでなく、融通も頼まない、何でもない忘れてしまうようなものであったならば、何も取り返す必要はないのです。今この重要な段階にきて、あなたが指導し監督していかなければならない立場の問題の人に、かかることを起したということは、一体どういうわけであるか。これに関しては、この親書を発する前の十二月ごろに、柳橋の中州の某料亭において、あなたと唐澤法相と川島幹事長と、それから岸総理と、それからもう一人の某代議士と、これだけの者で会談をして、その結果、検察庁に対しては唐澤法相が責任を持つ、行政上の問題に対してはあなたが持つ、こういう話し合いをされて、その結果この親書を出しておるのではないですか。
  113. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは全くうそであります。これは全く違います。そういうようなことはありません。
  114. 横錢重吉

    横錢委員 これは、大蔵大臣や岸総理やその他の重要人物の名をあげて、こここにおいて会っておるということを私が言うからには、私も政治的責任をかけておる。あなたとしても、その点に対しては、重大な問題である。これに対してあなたは、単に会っておりませんというようなうそ、偽わりでは、見のがすわけにはいかない。あなたが会って、特にこの裏には、川島幹事長に対して、古荘氏の方から一千万円の政治献金が行われたということまですでに流れておる。そういうようなことを背景として、この会談が持たれておるということもまた事実なんです。これを簡単に、私はやっておりませんなどということでは通らない問題です。しかと御返答願いたい。
  115. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは全くありません。
  116. 横錢重吉

    横錢委員 しからば、ないとするならば、あなた方がここで会談したということを見ておる者、事実ここでもってどういうような会談をどの部屋でやったかも知っておる者がおる。しからば、ここでもってこの証人を呼んであなたと対決しましょう。委員長これは重大な問題です。大臣は知らぬ、私はやっておる、これは単に私が憶説をもって言うたということでは、大臣に対して汚名を着せることになる、あるいはまた私の意見が正しいとするならば、これを見たという証人を出して、この証人によって解決をつけなければならないと思う。従って、証人と一つ対決をさせていただきたい。この証人には、日本橋室町の森脇将光を証人として呼んでいただきたい。
  117. 足鹿覺

    足鹿委員長 暫時休憩をいたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————