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石野委員 これは、論争するわけではありませんけれども、ただいま言われた御答弁では、私はなかなか納得しにくいのです。といいますのは、たとえば、ことし
収納した
葉タバコですぐ収入が出てこない、だから、国庫に対する納付金と
収納価格等との
関係はあまりないのだ、こうおっしゃられたのでありますが、しかし、そうじゃないと思うのです。なるほどその年にすぐ
収益にならないかもしれない。しかし、これは輪年で、少くとも二年か三年の後にはくるわけです。それで、あらかじめあなた方の原価計算の予定の原価の中に入っておるということが言えるわけです。それを無視しては、あなた方の事業計画は成り立たない。同時に、もう一つは物価の変動がある。物価の変動に伴って、タバコ
価格の変動もやはり当然出てくるわけであります。そういう問題を考えますと、必ずしも国庫へ納付する益金と
収納価格との
関係は、ないというような簡単な理論で割り出すわけにはいかないわけです。これは、当然
関係がある。ただ、その
関係のランクがすぐに直接であるか、一枚どこか飛んでおるか、間を置いておるかというだけであって、当然
関係があります。それからまた、非常に
収納価格が減れば、
耕作意欲が減ってきて、原料確保ができない。これは当然です。ただしかし、総裁の言われるようなことは、非常に極端な場合を言っておる。今私の言っておる問題は、その極端な場合ではなくて、ちょっと見ては
生産価格を補っておるように見えるけれども、事実は、そこでわずかばかりの損が出ておる。——わずかではない、相当
程度の損が出ておる。ただ、たまたまタバコ
耕作者は、タバコ
耕作だけ専業でやっておらないから維持できておる。別に本業としての麦も作れば、場合によれば稲も作っておる。主として山間地ですから、稲を作らない人は多いのですが、とにかくそうした他の作物によって生計を営むということがあって、現金収入のおもなものをここへ持ってきておるから、そういう点で、そういう欠点が出ていないだけであって、これがもしタバコだけの専業者だということになったら、当然少しでも問題が出てくるわけです。あなたのおっしゃるように、非常に極端な例を言えば、それは、あなたの言う
通りになりますけれども、現実の問題としましては、こういうような多角経営をやっておる中でタバコ
耕作をやっておる農民でありますから、若干の不満足な
価格でも営農をやっていけるし、生計もやっていけるという
事情にあるのですから、こういう点は、総裁、よく農民の立場を理解しなければならないと思います。それに対して、あなたが不当な
価格であれば、もうやっていけないし、葉っぱという原料を安全に確保することができないというような理屈は、これは非常に一方的だと思います。私は、この御答弁の中から察知することは、相変らず専売局と
耕作者との間のいわゆる力の
関係が、はっきり出ていると思うのです。ここでは、
耕作者の
意見はほとんどない。ほとんどは、専売局の一面的な立場だけからの
意見しか出ていない。
耕作者はどうあろうとも、専売公社としては、とにかく原料だけを確保すればいいのだという
建前が出ておって、非常に不親切な態度が、総裁の答弁の中にあると私は思うのです。これは、改めてもらわなければいけないと思います。それから再
生産の問題につきましても、これは主食の問題などとだいぶ違うことはよくわかっております。しかし、今日の農業は、別に米を作るとか、あるいは麦を作らなければ生きていけないというわけではなくて、農民は、今日一番大切な現金をいかにして取得するかという問題です。何を作ったっていいのですが、現金が収入できれば、米はどこからでも買える。だから、自分の投下した
生産手段と自分のそこへ出したところの労働力が、いかにしてここで確保されるかという問題から、われわれは再
生産を確保するということを言う。だから、そういう問題についても、総裁はもう少し考え方を改めなければいかぬと思う。そういう
意見はともかくといたしまして、私は総裁にお聞きしたいのは、あなたは、
耕作者組合と公社との
関係をどういうようにおつかみになっておられるか、考えておられるかということについて御
意見を承わりたい。