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横山委員 私は、
日本社会党を代表いたしまして、
社会党提出の修正案に賛成し、
政府提出の原案に対して反対をするものであります。
今回の
税制の
改正法律案は、
予算編成のときと同様に、まことにその経過について感心しないものがあるのであります。何となれば、昨年九月ごろの
明年度予算編成大綱におきましては、
減税のことについては何らも触れず、その後において相続税、続いてにわかに
間接税、さらに必要に応じて
入場税、
最後に当面の
減税というふうに、きわめて幾変遷をたど
つておるのでありまして、それがために
調査会におきましても、根本的な
改正、根本的な
検討もし得られず、枝葉末節の
改正にとどま
つた観がございまして、でき上
つたものを見ましても、そのことごとくといっていいほど低額所得者には縁もゆかりもないものであります。特に一
萬田大蔵大臣の提案ともいうべき
減税預金がそうでありまして、本件に関しましては、奇妙なことに、
社会党のみならず、与党の中にもこれに対して重大なる疑義があるというのであります。今日の預貯金の利子等につきましては、その定期制預貯金については無税という恩典があるのみでなく、幾重にも恩恵が施されておるのでありまして、ここに新たに二年間預貯金をし、あるいは株を買
つて塩つけにしておいた人々に対しては、三分に相当する金を税金から負けてやろうというのは、これは、恩恵にしてもあまりにも過大といわなければなりません。一体この世の中に、ニカ年間金を預けていける人はどういう人であろうかといいますと、かりに
限度額六千円を例にと
つてみますならば、六千円を税金からまけてもらうためには、二十万円も預貯金をする、
収入の一割を貯金するとして、この人は年間二百万円、月にして十七万円以下の
収入の持主であります。こういう人は、
経営者か、あるいは金持ちでありまして、そういう人は、金を遊ばせておくようなことはないのでありまして、せいぜい税金を負けてもらうのだから、事業につぎ込んでお
つた金を預貯金に回すか、株を買うかする振りかえにすぎないのであります。
政府がかねや太鼓で
政策貯金を増加しろといったところで、結局
貯蓄の総額は、一向ふえないものといわなければなりません。しかも
政府は、この
預金者保護に名をかりて、一方では、勤務先
預金は適用しない、正規の金融機関でなければいけないといい、他方では、取
扱い証券業者を厳選するということになり、あるいは適用銘柄も内面指導ということでありますから、実は金融機関に奉仕し、中小
証券業者や小規様の株主等に
差別待遇を与えるものというべきでありまして、証券市場に混乱をもたらすでありましようし、大
資本や金融機関を擁護する
政府の正体が見えたりといわなければなりません。しかも、課税の公平の
原則からいいましても、これは
明らかに今日までの
方向と逆行をするものであります。法人税がまたそうであり、
中小企業擁護のスローガンを
政府から聞くこと久しいものでありますが、一体今日、
不況に真に苦しんでいる者はだれかといいますと、
資本も乏しく、昼はひねもす夜は夜もすがら汗して働く零細企
業者でありまして、一率に二%といいながら、実は百万以上、二百万以下には七%の重点
減税でありますし、高額になればなるほどその
減税率は大になるのであります。従って、私どもは、
社会党の主張のごとく、五十万までは三〇%に断行すべきことが、今日最も叫ばれておる
中小企業擁護の道であると考えておるのであります。
関税定率法にいたしましても、今日の国際的な、国策的な立場、
政府から言われておる立場から考えましても、もうこの辺で、根本的な
改正をすべきものでありまして、いたずらに時限立法を延長するというような姑息の手段につきましては、私どもの賛成するところではありません。
所得税の
改正は、今回はまことに事務的
改正ともいうべく、問題の本質を取り違えているのであります。
以上のごとく、租税の
原則に逆行するやり方よりも、
生活費に課税をしない公平の
原則に立って租
税制度をきめる、こういう建前からいうならば、先ほどわが党が提案いたしましたように、標準家族三十二万円までは無税という立場を、声を大にして私どもは主張いたしたいところであります。皮肉なことには、一
萬田大蔵大臣の
税制は、口に低額所得者の
減税を唱えながら、今日までそのいたして参りましたところは、常に大
資本中心であり、
政策減税であるのでございまして、これでは、日ごろの公約に全く背反しているといわなければなりません。
今や、
不況の
度合いはきわめて深刻であります。今後まだこれは継続するでありましよう、
減税をしたらインフレになり、また財源に困る、こういうような御
意見がございますが、一方においてはたな上げをしておいて、財源がないということは聞えない話でありまして、
不況の中で何をすべきかは、岸総理
大臣の御親友のアイゼンハワーが、
減税を断行して
不況を克服しようとする腹を持っておることを、よくよく総理並びに
大蔵大臣は考えるべきであると思うのであります。
ここに私どもから提案をいたしました修正案につきまして、
政府及び与党が十分に考えられ、そうして、満場一致賛成せられることを望みたいのでありますが、私どもの主張に対して、特別の御賛成を願いたいところであります。
ここに
日本社会党を代表いたしまして、修正案に賛成し、原案に対して反対をいたすものであります。