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1958-03-26 第28回国会 衆議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十六日(水曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 足鹿  覺君    理事 淺香 忠雄君 理事 大平 正芳君    理事 黒金 泰美君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 井上 良二君    理事 横山 利秋君       有馬 英治君    池田 清志君       遠藤 三郎君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    吉川 久衛君       久野 忠治君    杉浦 武雄君       高瀬  傳君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    平野 三郎君       古川 丈吉君    前田房之助君       松澤 雄藏君    山手 滿男君       山本 勝市君    石野 久男君       石村 英雄君    春日 一幸君       久保田鶴松君    竹谷源太郎君       横路 節雄君 出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (主計局次長) 佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  八木 利真君         日本国有鉄道参         与         (審議室幹線調         査室調査役)  遠藤 鉄二君         参  考  人         (日本銀行総         裁)      山際 正道君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 三月二十六日  委員足立篤郎君、川野芳滿君、中山榮一君及び  石野久男辞任につき、その補欠として池田清  志君、久野忠治君、松澤雄藏君及び森三樹二君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員池田清志君、久野忠治君及び松澤雄藏君辞  任につき、その補欠として足立篤郎君、川野芳  滿君及び中山榮一君が議長指名委員に選任  された。 同日  理事田廣文辞任につき、その補欠として井  上良二君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月二十五日  生命保険料所得税控除額引上に関する請願(  南條徳男紹介)(第二二〇九号)  同(松浦周太郎紹介)(第二二一〇号)  同外一件(川村善八郎紹介)(第二二三一号)  同(永井勝次郎紹介)(第二二三二号)  同外二件(岡田春夫紹介)(第二二五六号)  同(椎熊三郎紹介)(第二二五七号)  同(田中正巳紹介)(第二二九一号)  同(森三樹二君紹介)(第二二九二号)  国の債権管理等に関する法律の一部改正に関  する請願神田大作紹介)(第二二九九号)  同外一件(福井盛太紹介)(第二三〇〇号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  道路整備特別会計法案内閣提出第八六号)  糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九一号)  金融に関する件      ――――◇―――――
  2. 足鹿覺

    足鹿委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  本日は参考人として、山際日本銀行総裁出席しておられますが、参考人には、御多用のところ御出席をいただきありがとうございました。  それでは質疑に入ります。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 石村委員からも御質問があるようでありまするが、私はきわめて概括的ではございますが、山際参考人にお伺いをしたいと思います。  要すれば、きのうすでに参議院山際さんには所見をお述べになりましたので、なるべく輻湊するのを避けたいと思いますけれども、今日の日本経済情勢が、政府の言っておりますような緊縮予算輸出中心というものの基礎が必ずしもそういうことではないのではないか。つまり国際均衡は、最近の月々の状態を見れば、もうすでに改善されておって、これは健全な国際均衡の道をたどっておるのではないか、これが、最近ちまたにほうはいとして起っております第一の問題であります。  それから第二番目の問題として、いかに国際均衡を重視するといえども国内的な均衡、つまり中小企業者立場、それから働く者の立場からいって、一体いつまでこの状況を踏襲するのであろうか。本委員会で、大蔵大臣が明らかにいたしましたことは、日によって漸次違ってはおりますものの、七月まではがまんしてもらいたい、七月からは、言うなればアメリカ経済好転をするから、七月からは何とかよくする方向に持っていく、こういうことでありましたが、その七月も、最近の政府側のものの言い方は、さらに延びる、こういうことであります。従いまして、中小企業者や一般の勤労者の中には、政府の言っておることは当てにならぬ。かたがた先ほど申しましたように、国際均衡改善をされてきたのであるから、この際内需を抑圧するということは考えるべき段階ではないか、こういう意見が、まさにそれこそあちらこちらからほうはいとして出ておるわけであります。山際さんは、きのう参議院予算委員会におきまして、この世論と私は言うのでありますが、この世論に対しまして、水をかけると申しますか、それではいかぬのだ、こういう御意見のようであります。きわめて抽象的ではありますが、私のお尋ねしたいことは、どういうことでいかぬのか。今の国際的な収支改善をどう思っていらっしゃるのか。また国内におけるそういう人々のほうはいとした苦痛の声を、どういうふうに思っていらっしゃるのか。それは、基本的にこれからも変えないとおっしゃるのか。基本的には変えても、具体的には運用の道を開いておくというお考えであるのか。これは、本来政府側にお伺いするところではございましょうが、しかし金融界におきまして、日本銀行におけるその地位、職責というものがきわめて重要でございますから、山際参考人にその点について御所見を承わりたいと思うわけであります。
  4. 山際正道

    山際参考人 お答えを申し上げます。昨年春以来、にわかに国際収支が悪化いたしました。これを中心として、この情勢を防遏いたしますために、いわゆる金融引き締め操作を始めたわけでございますが、自来すでに十カ月余りを経過いたしております。この間国民各位関係方面の非常な御苦心、御努力によりまして、幸いにも国際収支の問題は、御承知のように、昨年の九月以来実質的に、また十月以来は形式的にも黒字を現出いたしまして、今なおその情勢を続けております。そのほかの経済諸指標におきましても、たとえば物価情勢、あるいは銀行券流通状況等から見ましても、逐次改善の跡が認められますことは、まことに仕合せであると思うのであります。そこでお話しのように、だいぶ国際収支改善されてきておるのであるから、もうここらでこの問題に対する重要性というものは、多少かげんしてもよくはないかというようなお尋ねがあったわけでございますが、現在の国際収支状況を具体的に申しますと、昨年来、形式的には九月以来一億三千二百万ドル、実質的には約二億ドルの黒字を続けております。それは二月末の数字でありますが、おそらく三月も、四千万ドル前後の黒字で終るかと思います。しかし、この国際収支状況がいかにしてもたらされたかということを考えますと、これまた大体世論は一致しておると思うのでありますが、輸出増進によってもたらされたというよりは、輸入の減少によってこの黒字は生じておるというのが、大体の判断だと思うのでございます。引き締め段階は、昨年中、流通部門における調整を終え、また投資の抑制も大体においてその効果を発揮し、今御承知のように、生産調整段階で非常な苦労が重ねられておるわけになっておるのであります。この国際収支の見方と、それから今の国内情勢推移とを考えまして、私が感じておりますことは、二つあるのであります。  その第一点は、必ずしも現在の国際収支黒字の発生しておる状況が安定的である、前途必ずこれでいけるという目安を立てるには少しく十分でないのではないかという点でございます。それは、主として今続けられております生産水準と、その材料となります輸入原材料との均衡の問題でありまして、なるほど最近は、生産が縮小されつつありますから、輸入された原材料の食いつぶしは少くはなっておりますけれども、依然としてある程度の食いつぶしが行われつつある。食いつぶしによって物価その他の関係が押えられておる、こういう情勢が、まだまだ取り去られてはいないと思うのであります。従いまして、もう少しこの生産調整が進みまして、そして輸入原材料の在庫と輸入の規模と、これらが見合いまして、安定的に前途見通しが立つというためには、いま少しく努力を続ける必要があるのではないかというのが第一点でございます。  第二点といたしましては、最近の大蔵省の発表によりますと、現在の日本外貨保有高は、約十億ドルということになっております。この十億ドルのうちには、御承知のように、インドネシアの賠償債権、そのほか俗にいう焦げつき債権も入っての数字でございます。従いまして、現実に直ちに外貨として動員し得べき数字ということになりますと、相当これを引いて考えねばならぬと思うのであります。的確な数字を申し上げることをはばかりますけれども、私は、現実に直ちに動員し得る資金というものは、おそらくその半ばをこえることそう多額ではなかろうと思うのであります。反面におきまして、御承知のように日本の国の経済は、非常に多くの部分を海外から輸入いたしませんと成り立たぬ経済であります。領土は狭く、人口は多く、資源に乏しいのでありまして、わずかに輸入された原材料を加工いたしまして、それを輸出して生活を立てる、そういう宿命的な地位にあるのであります。その輸入せられる品目は、単に各種の工業原材料にとどまらず、食糧さえも相当の多額のものを輸入せなければならぬということに相なっておるのであります。御承知のように最近の、たとえば昨年中の主食輸入だけをとりましても二億六千数百万ドル、これが、幸いに連年の豊作でございますから、この程度で済んだと思うのでございますが、一番近い過去の、たとえば昭和二十九年の例を見ますと、これが不幸にして凶作でございました。その際に、主食輸入は、実に四億七千万ドルに達したのでございます。のみならず、工業原材料等輸入もございまして、総額六十億ドルをこえる日本貿易をまかないます運転資金といたしましては、現在保有いたしております外貨は、あまりにも少な過ぎるという気がいたします。のみならず、この外貨が現状を維持しておりますのも、たとえば昨年の九月に一億二千五百万ドルを国際通貨基金から借り入れておるのであります。そのほか、あるいは世界銀行、あるいは輸出入銀行等からの外貨信用供与等も相当あるのでございまして、これらに対する支払いも逐年参るわけでございますから、これに対する備えも考慮する必要がある。彼此勘案いたしますと、今の外貨保有状況は、むろんこれは、一気に十分なだけを備え続けるということは非常に無理があろうかと思いますけれども、それにいたしましても、なお今日の状態では少な過ぎるという不安を持っておるのであります。従いまして、全体といたしましては、なお国際収支黒字を実現するように、輸出努力はむろんのこと、生産調整等によって生産水準輸入原材料との均衡を確保する、こういう線について、さらに一そうの努力をまだまだ傾けなければならぬ時期だと考えておるわけでございます。  第二のお尋ねは、国際収支の問題はさておいて、もうそろそろ国内均衡と申しまするか、内需振興等に意を用いる段階であるという説もあるけれども、どういうふうに考えるかというお尋ねと了承いたしましたが、私は、この日本経済的な国柄から申しましても、先ほど申し上げましたように、国際収支の安定的な見通しが立たないうちに内需振興して、国内景気振興ということに役立たせるということは、はなはだ危険を包蔵すると思うのであります。このような国におきましては、国際収支均衡が保持されまして初めてそこに国内均衡も保持される、自然国民生活の安定的な発展期待できる、かような状況にあると考えておるわけでございます。  しからば、生産調整等に伴う景気の後退をいつごろになったら上昇の方へ導くことができるかというお尋ねでございまするが、むろん景気観測ということは、実は非常にむずかしいことでございます。あまりにも変化しやすい経済条件がたくさんございまするので、また単に国内のみならず、海外のそれらの条件も非常に変りやすい状況でありまするから、これに対する結論というものは、これはなかなかむずかしい。御承知通り、民間におきましても、すでにいろいろな説ができておるわけでございます。ただ私が考えておりまするところは、海外情勢好転いたしませんと、なかなか輸出増進ということは十分に期待できない。期待できませんと、ただいま申し上げましたような国柄において、大きく国内経済が伸びていくということも非常にむずかしいのではないか、かように思うのでございます。米国経済立ち直りということが国際経済情勢立ち直りの基本になりますることは、御承知通りと存じますが、これさえもなかなか諸説ふんぷん、できれば早くということは、政府の非常に努力しておられるところのようでありまするけれども、結果はだんだん長引くという説の方が多くなりつつあるような状況でございます。  そこで、今まで集められておりまする材料等から判断いたしますると、私は、ただいま行われておりまする生産調整ということは、まず今の企業家努力熱意金融機関貸し出し態度というものが続けられるという前提に立ちまするならば、大体において来年度の第一・四半期中にはそのめどを立て得るんではないかと考えておるのであります。ただ御承知のように、最近金融緩和期待とか、あるいは底入れ観とかいういろいろな観測が行われておりまして、もしこれがために、この生産調整努力が多少ともゆるむとか、あるいは金融機関貸し出し態度が多少とも放漫になるとかいうことがございまするならば、遺憾ながらこの第一・四半期で終るだろうと思う調整も、あるいは一月あるいは二月延びんとも限らぬ情勢になろうと思います。ここ両三カ月の推移というものは、深甚なる注意をもって注視する必要があると考えておるわけであります。  さらに引き締め政策継続中小企業雇業勤労者等に及ぼす影響についてのお尋ねでございますが、この点は、昨年引き締め政策をとりまする最初から、実は私どもの最も悩んだ点でございます。とかく経済変動の大きいときに、そのしわ中小企業に寄りやすい。ことに金融引き締め政策をとれば、中小企業金融の方にとかく梗塞が起りやすいという傾向、これは私は否定いたしません。従って、これに対して極力これを防遇する手段を考えながら進まざるを得ないというところで、特段にこの配意は深くいたして参ったのであります。金融機関等ともしばしば会合いたしまして、中小企業金融に対する熱意というものを落さぬように、できるだけその要望に沿う。いやしくも中小なるがゆえに不当に金融がつかぬというような事態を生ぜしめないように、極力配意をいたして参ったのであります。政府におかれましても、この点は、いわゆる緊急総合対策のうちでも特に重視されまして、財政資金その他の配分をできるだけ厚くするという方向で、専門中小金融機関の活動に期待をされておりました。また各金融機関もその趣旨を体して、できるだけのことはやっているように思うのでございます。そのほか勤労者の問題にいたしましても、この間において、企業閉鎖等のために、あるいはその職を失うという人も出て参っておりますことは、これは実に残念なことでありますが、ただ大きな筋を通しませんと、国民生活自身の基盤が保てないという大きな見地から、実はやむを得ざる犠牲としてこれを見ているのでありますが、しかも今申し上げましたように、できるだけその影響を緩和する、たとえば一時いわれましたような黒字倒産とか、連鎖反応による倒産とかいうことで離散失職のうき目を見るようなことは万ないように、できるだけの配意を続けて参っているつもりでございます。元来が国際収支逆調でありまして、いわば低い姿勢においてこの危機を乗り切らねばならぬという大きな筋でございます。それらの十分な配意はもちろん必要でありますけれども、大勢は、今申し上げましたような推移で進めるほかないかと思うのであります。大体今後の景気見通しについて、あるいは下期好転説等もいろいろございます。まあ大事をとると申しますか、あるいは慎重に考えると申しますか、そういう御主張もあろうかと思いますが、私は、景気下降が終れば直ちにそれが上昇に転ずるという性質の経済現象ではなかろうと思うのであります。下降カーブが終りますれば、しばらくはそのまま横ばいと申しますか、底固めと申しますか、さような状態が続き、しかる後それが漸次上昇に移る、こういうことだろうと思うのであります。なべ底型と俗に申しておりますが、そういったような景気の動きのカーブをとるのではないか、かように考えているわけであります。しからば、いつごろその上昇カーブを示すだろうかという点、これは、非常に観測がむずかしいのでございます。海外景気というものが非常に大きく日本経済に作用するという点から見ますと、米国が一生懸命今経済の立て直しに努力をいたしております。これは、相当効果を上げてくるとは思いますけれども、しかし、それにも時間がかかりましょうし、またかりにアメリカ経済立ち直りをいたしましても、その影響を受けたヨーロッパ、あるいは日本というようなものが、貿易増進期待でき、世界貿易が立ち直ってくるというためには、やはりそこに何がしかの時間的なズレを考慮する必要があるのではないかという観点から、少くともおそくも歳末には、私は上昇の態勢に経済を持っていきたいものだ、またそれは期待できるのではないかというふうに考えまして、過日もさような趣旨の御答弁を申し上げた次第であります。
  5. 横山利秋

    横山委員 要すれば国際均衡の長期的な健全な発展がなければいかぬ、こういうお話のように伺いました。最後にお話のあったように、アメリカ景気というものが相当重要なウエートを持っていることを思えば、そのアメリカ景気が最近ますます不況になり、そうなるとお話中心の柱の、いつごろ景気改善されるか、第一・四半期の終りには期待いたしたいとおっしゃっていることも、私は不安定な気がするわけです。今アメリカ景気が悪いにかかわらず、いろいろな努力があって、日本国際収支は九月、十月、十一月、十二月、一月、ずっと黒字基調をたどっておる。この黒字基調というものを、単に輸入が引き締められたんだから、束縛された形の黒字基調だというような御意見に伺うのでありますが、また一説は、当時の国際収支の不均衡というものが、思惑的な輸入、あるいは過大な設備投資であって、それが健全な基調に戻ったんだ。だから、今日の輸入状況、数量というものは、そうアブノーマルなものでなくて、かえってノーマルな状況になっているんだ、こういう考え方がきわめて各方面にあるわけであります。私は、この説に近いのであります。しかし、この説をもってしても、私どもの見解をもってすれば、おっしゃるように、アメリカ経済が不安定な状況であるならば、根本的に貿易構造改善をはからなければだめではないか、アメリカにすべてを期待することよりも、さらに貿易構造の根本的な再検討をして、そしてもっと健全な興易継続できるような仕組みのところと長期的な関係を結ばなければだめではないか、こういう意見をまた私どもとしては抱懐をしておるのであります。アメリカに非常な期待を持っておられるように拝聴をいたすのでありますが、それでは、根本的な貿易構造改善にはならぬのではないか、この点について、まず一つ伺いをいたしたいのであります。  それからもう一つは、先ほど中小企業について、昨年来配意を用い、政府にも、それから銀行筋にも、いろいろ要請をし連絡をしたとおっしゃるのでありますが、日本銀行がつい先日発表されました三十二年度の全国銀行貸出増加状況をまとめられたのを拝見をいたしますと、昨年じゅうに全国銀行貸出が九千五百九十九億円、戦後最高の増加額を記録してわります。ところがその内訳は、運転資金はほぼ前年並みのふえ方であったのに対し、設備資金は、前年の増加額の一・七倍に及んでおる。中小企業向け貸し出しは著しく増勢がにぶったが、大企業向けは、逆に前年増加額の一・八倍もふえ、総貸出増加額の九割を占めた。業種号では、繊維、輸送用設備電気向けふえ方が多く、特に大企業設備資金中心増勢が活発であったことが目立っておる、こういう発表日銀でなされておるわけであります。このことは、本委員会においても数次にわたって議論をされました。そうして、日本銀行にも御協力をお願いいたしまして、昨年の金融引き締めしわ寄せ中小企業に寄らないように、いろいろと配意をいたしたのであります。しかるところその結果を見ますと、まさに中小企業を食って、大企業が巨大な設備投資をしておるという結果しか出ておらないのであります。この意味から、この間も一萬田大蔵大臣が本委員会におきまして、こういう去年のようなやり方ではだめではないかと考える、いっそのこと、もっと大企業に銭を貸して、その銭が中小企業に普通の経済的な状況において流れることを考えたらどうかというような、全く私ども考えていないようなことを発言をされております。私どもは、この際こういう問題の根本的改善をいたしますためには、どうしてもやっぱり資金調整をさらに強化をしなければ何にもならぬのではないかという感じがいたすわけであります。その仕組みは別といたしましても、去年のこの実績に顧みて、山際塚考人としては、どういうことをお考えになるのであろうか。言うはやすく、中小企業しわ寄せを防止する道はけだしかたいのであります。しかし去年と比べて、本年はさらに一段と中小企業やその傘下に働く労働者に対して、集中的なしわが寄るものと考えなければなりません。去年のようなやり方継続をして、さらにまたこの日銀発表のような経過をたどることを、私はひたすらおそれるのであります。この点について、山際さんの御意見を承わりたいと思います。
  6. 山際正道

    山際参考人 第一は、ただいまの貿易構造ではなかなか輸出の達成ということは容易でなかろう、ついては、その根本的な再検討をする必要がなかろうかというお尋ねでございます。貿易問題、ことに輸出振興については、私はさらに検討をし改善を要する点がはなはだ多いと考えます。これは、政府におかれても鋭意輸出会議その他において、この貿易促進のことは具体的に御検討の様子であります。私は、ひたすらに有効なる対策が組まれることを期待いたしております。ただお話しのように、貿易構造の根本的問題として、従来あまり多く貿易が行われていなかった地域の方に、多く新市場を開拓する必要があるではないかというようなお話につきましては、関連をする政治的な、もしくは外交的な問題がはなはだ多いと思います。これは、私どもの関する領域からはずれておるかと思いますけれども、私は、それらの政治的な案件が、貿易見地から申しますならば、なるべく円満に解決せられまして、新市場も拡大され、貿易振興されるということは、まさに経済上望ましいことだと考えておる次第でございます。今申し上げました通り政府におかれて、その点はせっかく御検討のように承わっておる次第でございます。  次に、昨年度の全国金融機関貸出状況を見ると、いかにも昨年は大企業、ことにその設備資金の供給が多くて、なかなか中小企業方面への資金の放出が十分ではなかったではないかというお尋ねでございます。昨年のそもそも引き締め政策を生じましたゆえんのものも、御指摘の通り、主として大企業における、むろん中小企業もありましたけれども、過剰投資の結果が、遂に国際収支をささえ切れなくなったために起った問題であったのであります。その当時は、いかにも企業が盛んに建設を行いまして、その結果、大企業はまた大企業で、いわゆる関連産業を通じて、その資金中小企業方面に流れるという関係中小企業中小企業で、また相当の利潤をあげるというようなことで、実は神武景気なる名称によって、その事態が示されておったわけであったのであります。それがにわかに変化いたしました結果、大企業投資も極力抑制せられ、一面そのしわ中小企業に寄ることをおそれまして、なるべくその方の金融疏通について、特段の配意をするという態勢であったのが、最近の事態であったと思うのであります。この点に関しまして、中小企業方面資金が流れるために、あるいは大企業に対する支払いはそれを条件とするとか、あるいは極力その支払いの促進をはかるというような努力の余地も、なお相当あろうと思います。私どもといたしましても、それはその方面努力をいたしております。同時にまた、独立の中小企業方面に対しましても、前段申し上げましたように、できるだけの配意をいたしまして、経営堅実なるにかかわらず、その巻き添えを食うというようなことのございませんように、極力配意をいたしており、また今後も一そう努力をいたしたいと考えております。これを根本的に改善するためには、産業の構造を変える必要があるではないかというお尋ねもございましたが、これもなかなかむずかしい問題でございますが、通産省等においても、産業合理化審議会その他において、いろいろ御検討に相なっておろうかと思います。私が申し上げますよりも、政府の御努力の結果に期待をいたしたいと思っておるわけでございます。  なお資金の流出について、一種の資金調整をやる必要があるように思われるけれども、どうだろうかというお尋ねでございます。この点は、資金調整というと語弊がありますけれども、私は、三十三年度においては、特に投資資金需要についてできるだけこれを抑制しなければならぬという事実は、すでに考えております。これは、昨日も参議院においてその考えを申し上げたわけでございますが、一応投資の抑制は行われましたものの、企業家本来の性格といたしまして、企業拡張、合理化、その他建設を進めたいという気持はなかなか多いのであります。しかも三十三年度は、いわゆる重点産業がその建設計画においてピークに達するに近い時期でございます。鉄鋼は、たしかピークであったと思いますが、電力は、ピークに近い時代が三十三年度であったと思います。従いまして、重点産業方面における資金の需要は、三十二年度に比しておそらくふえると考えます。しかのみならず、一般産業の方面におきましても、過般通産省から示されました数字によりますと、通産省所管の各業種の投資規模というものの総計は、むしろ三十二年度の見込みをこえて、それを上回っておるという結果が出ておるのでございます。従いまして、三十三年度においては、この問題をどう調整するか、むろんこれらの建設投資は蓄積された資金の範囲内においてまかなわれなければ、いわゆるインフレ状態になるし、それを避ければ建設が進まぬということになるわけでありますから、この調整をどうするかということが、相当重要な課題だと私は思います。  それに対しまして、御承知通り、目下政府におかれても、通産省の産業合理化審議会、あるいは大蔵省の資金審議会等において、一方において蓄積を進め、かつこれを測定すると同時に、各種の投資需要をその蓄積の範囲に調整をするように、せっかく昨今非常な努力を傾けておられることでありますし、私は、ぜひともこれは十分な成果を上げていただきたいと思っておるのであります。そのほか民間におきましても、過去のいろいろの経済大転換の経過の反省に伴い、たとえば銀行協会におきましても、同様趣旨委員会を開きましてその対策考えておりますし、また経済団体連合会等においても、特別の委員会を作って、その資金調整考えておるようであります。官民あわせてかような空気が出ておりますので、ぜひともこれが実りまして、三十三年度は適当な姿に調整ができますることを私は希望し、かつ期待をいたしておる次第でございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 今の二点の問題ですけれども、あとの方の問題について、現状においてもさらに中小企業改善をする余地があると思うし、それから根本的な資金調整の方は、それぞれの産業界、金融界が相談をしておると思うからというお話であります。しかしそのことは、なぜそれが去年できなかったのであろうか、なぜ去年やってもこういう結果しか現われないのだろうかというお答えにはなっていない。去年ずいぶんやかましく本委員会でも行い、前大蔵大臣であった池田さんと本委員会の主要メンバーとがお話し合いをいたしまして、かかることがないようにいたしたわけでありますが、それが改善ができずに逆の現象を来たしておるからには、ここで真に中小企業やその傘下の労働者等に対してしわ寄せがいかないようにするためには、よほどの考えが必要ではないか、こう思うのです。今相談をしていらっしゃるお方の中には、失礼ながら、中小企業を真に代表する人が入っておりません。そういうところでこのようなことのないようにということは、その人的機構にも、それから方法論にも、私はくつを隔てて足をかくような気がして、その効果期待しがたいと思うのでありますが、ほかに山際参考人としてお考えになっていらっしゃるか、または今後検討なさろうとしている点はないのかという点が、私のお伺いしたかったことであります。  それから第一の問題であります。私の聞き方が悪かったかもしれませんが、要すれば、アメリカ経済というものが、政府側立場からいえば、案に相違して不況がさらに深刻化する、そういう状況の中で、アメリカ経済好転を待って、日本経済金融緩和が、直接的でないにしても大きなウ工ートを持って行われるのだ、そういうふうに私は政府側の説明、それから山際さんの説明でも伺っておるわけです。そうだとしたならば、いつの日にか日本国内均衡というものは、あるいは働く人々の生活改善というものは、よくし得られるのであるか。これはあらぬ頼みをしておいて、結局は多くの病人を殺してしまうことにもなりはしないか。それよりも、今輸入というものの見方というものが、二つの見方もあることであるし、まさに黒字基調であるし、まさに今の日本は供給過剰の状況にあるのであるし、必ずしも日本経済が、今日までいわれておるところのいわゆる底の浅いものばかりともいえないところでもあろう。いわんや病人は、次々とあまり待たせるうちに死んでしまうから、この際これを若干の手直しをしても、改善方向期待感を持たして、いい方向にやることによって、日本経済は危機に陥ることはもはやない。なぜならば、今日、数ヵ月の貿易収支からいうならば、これはまさに健全な基調ではないかと考えられる節があるのではないか、こういう点であります。私は、本来的にいえば、貿易構造を変えていかなければと政府も言っておる点に立っても、根本的な改善はされないと思うけれども、それは、今山際さんのおっしゃるように政治問題であって、おっしゃるように、政府の政策としてはなかなかむずかしいとするならば、これまたよけいに、国内均衡規模の問題を、この際相当のウエートをもってやるべきときではないか、こういうふうに考えるわけです。ですから、貿易構造の根本的改革の意見も、お伺いした私の言い方が、山際さんに質問するのには不適当であったかもしれませんが、要すれば、私の結論としては、国内均衡の点を重視をしなければ、国際的均衡、特にアメリカの不況の改善を待つというやり方については、これは問題があるのではないかということであります。  それから関連して、私の質問はこれで終りますが、最後に結論的にお伺いしたいのです。きのう参議院でおっしゃった問題の中で、去年の緊急施策は、経済の不均衡を是正するためにとった措置だから、投資抑制、生産調節が進み、国内的な均衡状態が安定的に回復すれば、公定歩合引き下げの機会が出てくる、こういうふうに御説明があったように新聞で見ました。結論的にお伺いしたいのは、どういう条件においてこの公定歩合の引き下げなり、あるいは国内均衡規模の拡大の方向へ進むことをお考えになっておられるのか、これが最後のお伺いしたい点であります。前段の点につきましては、質問の仕方が悪かったかもしれません。そういう意味でお伺いしたのであります。
  8. 山際正道

    山際参考人 私は、現在の公定歩合、その他国内の金利は、なお異常に高いということは、認めております。しかし、これは、そもそも昨年起りました国際収支関係における非常な不均衡を是正するがために、やむを得ずとられた措置であると思うのであります。しからば、いつの日にこれが回復をするか、いわゆる正常化をするか、こういう問題に相なろうかと思います。そのことは、裏を返せば、国際収支、それから国内均衡、これが表裏をなして、全体が経済として安定的な状態に入るということが、すなわち金利、なかんずく公定歩合の正常化を実現し得る時期だと思うのであります。前段も申し上げました通り、今引き締め政策は、漸次効果を表わしておりまして、生産調整をその最後の段階として、鋭意努力をいたされておるわけであります。その結果として特に私どもが注意をいたしておりますることは、物資の需給関係均衡を得るということ、また一面には、資金の需給関係均衡を得るということ、こういう状態まで国内情勢を均斉させていくということが、すなわち公定歩合等も正常化し得る段階に達し得るというふうに考えておるのであります。むろん神武景気の当時に比べますれば、それらの均衡水準は、おそらく俗にいう低い姿勢の均衡だろうと思います。しかしながら、私は、国民経済が将来どんどん発展をしていきまするためには、一応これらの安定した均衡状態まで持ち返しまして、さらにそのかたい土台の上に飛躍をするということでなければ、建設はできないと考えます。一時の対症療法をやるよりも、相当これは根本的な療法をいたしまして、土台を固めるということがこの際必要なるがゆえに、現在の政策がとられておるというふうに考えておるのでございます。私は、これらの点がよく理解をされまして、現在の最後の段階考えておる生産調整が進みまして、物資の需給の上からも、また資金需給の上からも、安定的な状態が出ますことを一日もすみやかに実現いたしたいものと念願をいたして、努力をいたしておるわけでございます。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員長 石村英雄君
  10. 石村英雄

    石村委員 総裁には時間もないようですから、一、二点だけお尋ねしますが、総裁の御説明によりますと、生産調整、こういうことを大きく言っていらっしゃるわけですが、生産調整という言葉は、端的に今日の貿易輸出状況という前提のもとにおいて考えた場合に、現在の国内生産状況をもう少し下げるということが生産調整になるという意味なのですか、少し抽象的でわかりにくいですから、具体的に御説明願いたいと思います。
  11. 山際正道

    山際参考人 現在の段階におきまして、御指摘の通り、大部分の商品については、生産過剰の状態にあると思います。むろん過剰の程度につきましては、業種によって非常に変っております。これはやむを得ざるところでありまするが、要するに各般の努力によって経営の合理化も行われ、それからまた操業の短縮等も、それぞれの産業の種類に応じた適当な度合いに保持され、自然すでに生じた滞貨等もある程度の期間においては売りさばき得るというめどが立ち、かくて需給が調整され、ひいてはその価格の安定を見る、こういうことを総括いたしまして、私は生産調整という言葉で表現をいたしておるわけでございます。
  12. 石村英雄

    石村委員 抽象的に御説明になれば、そういうことになると思うのですが、現在の時点で生産調整と言われるときには、一定の目安があるのじゃないかと思うのです。その目安というものを、たとえば、鉱工業生産生産指数がどの程度まで下れば調整が行われたと判断し得るが、その目安をどこに置いていらっしゃるのか、もしそれがあれば御説明願いたいと思います。
  13. 山際正道

    山際参考人 私ども立場に対する御質問としては、非常にこれは難問であります。生産水準がどの程度までくれば、それで需給の調整、また在庫の調整、価格の安定を期し得るかという問題でございまするが、これは、産業別に非常に差があるのじゃないかと私は思います。ことにその方の専門でもございませんために、私は、それを具体的に申し上げることは、その知識もございませんが、おそらくこれは産業指導の見地から、通産省等において積極的に今鋭意御努力に相なっておることだろうと考えております。
  14. 石村英雄

    石村委員 日本銀行として、まだ生産調整ができていないという御判断をなさるのは、個々の産業において需給のバランスがとれたかとれぬかという個々の問題を見ておきめになることで、全般の方向としてどの程度までという、そういう指標というものは全然ないのだ、こういうことになるわけでありますか。
  15. 山際正道

    山際参考人 全体の生産指数で、たとえば一三〇になればいいとか、一二五になればいいとかということは、これは、私どもとしてはなかなか申し上げがねる点であります。私どもは、むしろ具体的に、銀行の窓口にいろいろ資金需要がございます。いろいろ検討いたしてみますと、それは、いわゆる滞貨金融であるとか、あるいは減産資金の需要であるとかいったように、私が今申し上げたような意味おける生産調整のための資金需要というものは、相当強いのでございます。中には、むろん金融の対象として融資し得るものもございまするし、まだその段階までは来ていないというものもございます。それらは、その個々の事情に応じて金融の方途を講ずるという立場で、今のお話に従いますれば、むしろ具体的に個々のケース・バイ・ケースに考えておる、かように御承知を願いたいと思います。
  16. 石村英雄

    石村委員 いま一つ、ごく常識的なというか、変なことをお尋ねしますが、今日の、昨年の春以来の金融政策を、一般に金融引き締め政策だ、こういう表現をいたしております。これは、もちろん金融引き締め政策だと表現して間違いであるとは私は考えませんが、しかし考えようによると、引き締め政策というか、あるいは現象としては、引き締り現象というか、金融情勢を判断する上にここが大事なんじゃないかと思うのです。従って、それに対する対策というものを、ただ表面の引き締め政策だという判断のもとに、対策なり何なりを考えることと、それといま一つは、金融自体が、引き締めというよりは、むしろ引き締ったんだという判断のもとにいろいろ考えるのとは非常に対策というものが変ってくるのじゃないかと思うのです。この点に対する日銀総裁のお考えをお示し願いたいと思います。
  17. 山際正道

    山際参考人 ただいま御指摘の点は、俗に言う金融引き締め政策を分析いたしますると、まさに仰せの通り、二つの要素があると思います。それは、意識的に金融を引き締め、たとえば銀行の貸し出しを抑制する、資金需要を断わるといったような点もございますと同時に、今の日本外貨喪失の状態から、当然に締るべくして金融が締っておる、こういう点も非常に多いと思うのであります。私どもといたしましては、その二つの要素は、常に念頭に置かねばならぬ。貿易増進によってこの政策の終止を期待いたしておるゆえんのものは、輸出増進いたしますると、自然に金融がゆるむということであります。またさればと申しまして、今銀行の窓口における資金需要というものは、投資需要、滞貨融資その他の観点においてなかなか強いのでございます。たとえばコール・レートにいたしましても、相当の高位にある。これは、一面において非常な資金の需要がありますのに対して、日本銀行が締めておる、貸し出しの要求に応じないという点が、相当また作用をなしておると思うのです。私の理想は、今日以後、輸出振興中心といたしまして、自然にこの引き締りの状態がゆるんでくる、また銀行等の貸し出し態度も堅実になりまして、しいて日本銀行貸し出しの抑制等のための引き締め政策を続ける必要もなくなる、こういう状態が相待ちまして、平常化し得るものではないか、かように考えております。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員長 まだあとに井上君の質疑の通告がありますので、簡単に願います。
  19. 石村英雄

    石村委員 ごく簡単にお尋ねしますが、資金調整ということが各方面からしきりにいわれておるわけで、表面的に見れば、確かに資金調整は必要だと思いますが、この資金調整というものを本格的にするためには、今日の金融制度を改めないと資金調整ということはできないのじゃないか、こう考えるわけであります。現在大銀行が、貿易から始めて、設備投資であろうが運転資金であろうが、何もかも千手観音のようにすべての産業活動に普通銀行が手を出しておる、このことを制度的に改めない以上は、資金調整ということは非常にむずかしいのではないか、このようにも考えますが、総裁はいかにお考えでありますか。
  20. 山際正道

    山際参考人 資金の需給に急激なアンバランスを生ぜしめないためにわれわれとして考慮を要する点は、いろいろあろうと思います。そのうちの何がしかは、おそらく御指摘のように、金融制度の問題として考究を要することもあろうかと思うのであります。御承知のように、最近金融制度調査会が始まっておりまして、各般の金融制度が次々に検討をされております。やはり過去の経験にかんがみまして、これらのこともまたいずれの日かその議題となることもあろうかと思いますが、私は現在の段階においては、狭い意味の資金調整ということにつきましては、官民協力の態勢のもとに、いわゆる自主的にその基本を定めて実行をするということが最も実情に適し、かつ円滑に効果をあげるゆえんだと考えております。ただいま申し上げました政府の冬審議会、民間の各委員会等の成果は、まさにその要請にこたえつつあるものだと思うのでございまして、できればそれらで十分な結論をあげますようにひたすら期待もし、また手伝いもいたしておるような次第でございます。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員長 井上良二君。井上君に申し上げますが、総裁は十二時前に帰りたいというのを、十二時五分までというのでお打ち合せいたしておりますから、それをお含みの上御質問願います。
  22. 井上良二

    ○井上委員 簡単にお伺いいたします。先般、三十三年度予算の審議に当りまして、大蔵大臣は、われわれ委員の質問に対しまして、本年の景気見通しについては、大体三月一ぱいで生産調整の大よそのめどがつく、四月、五月、六月とこの三カ月の間に大体底入れの調整をいたしまして、七月ごろから漸次景気上昇していくという一つの明るい見通しを持っておる、こういう景気見通しの答弁をされておるのです。ところが、ただいま日銀総裁の話によると、この年末までは大体景気は横ばい、なべ底景気を続けていって、年末ごろになれば多少世界景気好転するであろうから、日本にもこれが影響してきて、上昇していくのじゃないか、だから、年末までは景気上昇するという見通しは早い。こういう政府、特に財政当局の大蔵大臣景気見通しと、政府の中央金融の総元締めであります日銀総裁との景気見通しの上における非常な食い違いが見えております。これは非常に重要なことでございますから、われわれ今後十分検討しなければなりませんが、日銀総裁の、景気は年末から来年の春にかけないと上昇見通しが明確化されない、その裏づけとする意見としましては、やはり生産調整がなかなか思うような軌道に乗らぬではないか、といいますのは、一つは世界景気の全体の低調化、特にわが国に影響してきます輸出の不振が非常な影響をいたしてきて、なかなか生産調整がうまくいかぬのではないか、その生産調整全体が軌道に乗らぬ限りは、資金需要に対しても見通しが明確に立てられぬ、そういう全体の上から、輸出の上においても不安定である、そういう全体の不安定が解除されない限りは、公定歩合を下げるわけにはいかない、こういう意見の上に立っておるようでありますが、そうしますと、さきに横山君からも質問をいたしておりました、われわれもまた一番重要に関心を持って伺いましたこの生産調整に関する政府側意見とあなたの意見と、また食い違っておる。政府側意見が、昨日予算委員会においてのわが党の質問に対しましても、政府側では、生産調整は慢性化している、いつになったら生産調整を解除するとか緩和するとか、そういうことは今明確に言えない、一種の慢性状態を続けていくのではないか、こういう一つ意見を通産大臣が述べておるのです。ところがあなたは、いつの日かこの生産調整は必ず行われるものという一つ見通しを立てておりますから、そこで、一体生産調整を行う基準は何か、生産は何ぼまでを妥当とするかというその基準を示せという質問に対して、各産業それぞれ、おのおの生産の規模が違い、実情が違うから、今ここにこの産業、この産業、この企業、この企業とそれぞれ内容及び需要供給の関係が違うので、すぐそれをどうするということにいかぬというお話でありますが、少くとも生産調整がある一定の段階では妥結できる、解消できる、そうして平常な生産上昇への軌道に乗せるには、輸出はどいう線まで伸びればいいか、三十一億五千万ドルのあの線でなければならぬとするのが、そこらの点がもう少し明権に打ち出されませんと、政府の言うております慢性化していくという考え方と非常に違ってきます。これらをもう少し明確にされたいと思います。
  23. 山際正道

    山際参考人 冒頭に、大蔵大臣の三十三年度の予算の御説明当時でのお話がございましたが、実は私は、どういう条件のもとにどういうお話がございましたか、新聞以外には承知をいたしておりません。自然そのことに敷衍をいたしまして私がお答えすべき立場でもないように思いますが、私の現在の考え方といたしましては、前段に申し上げております通り、内外の景況からいたしまして、まず先ほど申し上げましたような経過をたどるのではないか、少くともこの覚悟は必要だということを、実は考えておるのです。むろん景気が一日も早く立ち直りますには、もしそれが現実的な基礎の上に立つものでありますならば、これはだれしも願うておるところで、われわれが一日も早くそういう状態を実現することに最善の努力を払うべきは当然であります。ただ諸般の情勢考えまして、まずおそくともその程度の目安を持つ、その覚悟を持つということが必要ではないか、かような意味において申し上げたわけでございます。  それから生産調整の問題は、なかなかこれははかどらないので、生産過剰の状態というのは一種の慢性化するのではないかという御懸念でございます。この点に関しましては、私はかようなことは放置すべきことではないと考えます。これでは、もういつまでたっても経済界は安定いたしませず、また最も弱い企業は、これはもう整理倒産をいたして参ることしかないのであります。さようなことでは、日本経済の安定的な基礎を建設することがますますおくれるばかりでございますので、ぜひともこれは、ある程度期間内に生産調整を終り、しかして再出発ができるような状態に持っていくことが、これは政策としてもぜひとも実行せらるべきところと思いまするし、また私は、それは可能だと考えております。むろんこれは、前段申し上げましたように、企業家自身の考え方、その企業努力熱意等も必要であります。また一面において、金融機関が安易なる態度をもって臨むということが、かえってそれをおくらせるということにもなろうと考えますので、政府の施策、また民間関係方面の施策が十分呼吸が合いまして、なるべく早くこの段階を終えまして、そしてここに上昇の時期を一日も早く迎えるということにすべての施策が向けられるべきであり、またそのことが可能であると考えております。
  24. 井上良二

    ○井上委員 そういうお説教的な抽象論を聞いておるのではないのです。問題はあなたは可能だと言う。そうすれば、日本の国民生活の限度がたとえばこの程度、それから輸出はこの程度、これに合わせれば、生産過剰はこの年度には解決するというめどを明確にしなければならない。目安を明確にしてもらわないと、ただいいかげんな抽象的な議論では、国民は、一般的には、中小企業全体においては金融の緩和、利率の引き下げを望んでおるのですから、利率の引き下げ、金融の緩和のできない根本原因は、今あなたの説明せられたような理由によるのですから、それなら、その理由を明確にしなければならない、抽象論では困るのです。だから、あなたの方で、具体的に生産調整が明確に軌道に乗るにはこうこういう条件において、乗るのだという自分は確信と自信を持っておるという具体的な目安、めどを明確にしてもらわなければ困る、こういうのです。
  25. 山際正道

    山際参考人 御疑問の点の大部分は、私は政府の御方針なり御施策に属するものであると思うのであります。私からお答えするのはいかがかと思います。しかし、ぜひこの点は、急速に官民の努力によりまして実現したいと思っております。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員長 これにて参考人に対する質疑は終りました。  参考人には、御多用中のところ、長時間にわたり御出席をいただき大変ありがとうございました。(拍手)  午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十六分開議
  27. 足鹿覺

    足鹿委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、内閣より修正の申し出があり、昨二十五日、本院におきましてこれに承諾を与えました。この際、政府委員より、修正部分につきまして趣旨の説明を聴取することといたします。大蔵政務次官坊秀男君。     ―――――――――――――    糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案中修正  第十一条の改正規定中「五十億円」を「七十億円」に改める。     ―――――――――――――
  28. 坊秀男

    ○坊政府委員 ただいま議題となりました糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  糸価安定特別会計における生糸の買い入れが昨春以来相当進捗し、その保有する生糸の一部は、政府が保有するのみで、さしあたり売却する見通しがなく、その結果、糸価安定のために通常必要と考えられる資金の一部が保有中の生糸にくぎづけされ、糸価安定の機能が減殺されるおそれがありましたので、さきに糸価安定特別会計法の一部を改正して、その借入金の限度額を現行の三十億円に二十億円を加えて、五十億円に引き上げる法律案を国会に提出して、その審議を仰いでおりましたが、その後糸価の低迷に伴って、三十三年一月以来さらに生糸の買い入れが進み、借入金の限度額を引き上げて五十億円としても、なお生糸買い入れ資金に不足を生ずるおそれが生じ、これをさらに二十億円引き上げて七十億円とする必要がありますので、現在提案中の糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案の修正を提案する次第でございます。  以上が修正の趣旨であります。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員長 次に、道路整備特別会計法案をあわせて一括して議題とし、質疑を続行いたします。横路節雄君。
  30. 横路節雄

    ○横路委員 建設大臣にお尋ねをいたしますが、財政法の第四条に、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」こうなっておるわけです。私は、今度の道路整備特別会計におけるところのこの借り入れというのは、そういう意味では、財政法第四条の一般原則からは反しておると思う、これは、当然揮発油税をもって充てるべきであって、この特別会計法案の第十条に、「この会計において、通路整備事業に要する費用のうち地方負担金の額に相当するものの財源に充てるため必要があるときは、」こうなっておる。必要があるときは――ほんとうは揮発油税でやるべきなんです。その「必要があるときは、政令で定めるところにより、この会計の負担において、借入金をすることができる。」私は財政法第四条からいって、この道路特別会計における第十条の借入金というものは、原則に反すると思うのです。これはどうでしょう。当然これは揮発油税をもって充てるべきであって、地方負担金について借り入れをするということは、財政法第四条の違反ですよ。いかがですか。
  31. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答えいたします。財政法の原則はそうなっておりますけれども法律をもって、ただし書きにおいて、議決を経ればいいことになっておりますので、この特別会計法が認められることになりますれば、抵触しないと解釈いたしております。なおまた予算総則において、法律上認められることになりますれば、矛盾ないということになっておるそうでありまして、私、よくその点わかりませんが、十分法制局その他関係当局で協議したので、ありますから、矛盾がない、かように解釈いたしております。
  32. 横路節雄

    ○横路委員 今大臣お話しのように、財政法第四条では、原則としてそうなっておる。赤字公債の発行その他については、原則としてはやらぬようになっておる。しかし、公共事業その他については、借入金については、国会の議決があればなすことができるとなっておりますが、この法案の第十条では、先ほど私が申し上げましたように、「道路整備事業に要する費用のうち地方負担金の額に相当するものの財源に充てるため必要があるときは、」と書いてある。この法律の建前からいけば、揮発油税をもって全部道路特別会計をまかなうべきなんです。それでなければ、一般会計からの繰り入れで……。それを「必要があるとき」とわざわざ書いてあることは、これは原則でないのです。揮発油税でやるべきものを、なぜ一体原則をこわして、地方負担金について、資金運用部資金から、揮発油税でなお赤字が出る場合においては、負担することができる、借り入れすることができるとするのか。だから、これは赤字借り入れなんだ。原則に反することなんだ。大蔵政務次官、どうですか。ガソリン税を上げたときの話はそうではない。ガソリン税を上げたときは、ガソリン税を上げることによって、道路整備を全部拡充するということをきめた。こんな借り入れするなんてことは、きめていないのです。
  33. 坊秀男

    ○坊政府委員 原則としては、ただいま横路委員の御指摘の通りであります。ただ、しかし特別会計法案を御審議願って、そうして通過さして、成立させていただくということによりまして、財政法違反とか、そういったようなことではないということは、事前におきまして、法制局その他とよく相談いたしております。
  34. 横路節雄

    ○横路委員 重ねて聞きますが、今の第四条の第二項には、「前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。」となっておる。これは出してないじゃないですか。借入金について、償還計画は国会に出してないですよ。明らかにこれは財政法違反じゃないですか。財政法第四条第二項には、償還の計画を同時に出さなければならぬとなっておる。それがない限りは、審議できませんよ、国会に提出してないんだもの。
  35. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、財政法第四条はもちろん財政上の大原則をうたっております。そしてまたそのただし書きで、建設的な性質を持っておるようなもの、投資的な性質を持っておるようなものについては、場合によってはできる、こういう規定を置いておるわけであります。この財政法の精神を受けまして、今回道路整備五カ年計画を実現いたす目的のために、特にこの特別会計法において借入金をできるような道を開くように条文を設けて、御審議を願っておるわけであります。直接には、これは特別会計法の規定によって、借り入れをいたすことになるわけでありますが、その償還計画表なるものはその予算参照書の五百五十七ページに、一応添付いたしてございます。
  36. 横路節雄

    ○横路委員 今の点についてお尋ねをしますが、第四条の借り入れの問題については、今私から申し上げたように、これは赤字借入金なんだ。本来から言えば、これは揮発油税でまかなうべきものだ。しかし、揮発油税で足りない場合に、やむを得ないから、地方負担金分については資金運用部資金から借り入れをする。原則としては、これは揮発油税でやることになるのが建前でしょう。これはどうなんです。揮発油税について大蔵委員会において論議した場合においては、初めからそうなっておる。これはどうなんです。
  37. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 財源のおもなるものは、もちろん揮発油税でございます。そういう意味において、原則的に揮発油税が財源であるということは、御意見通りだと思います。
  38. 横路節雄

    ○横路委員 お話通りであるということになると、揮発油税でまかなうべきであって、従って、赤字借り入れをするというのは原則に反するんだということになるわけですね
  39. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただし、今回の法律をもちまして借入金の道をも開かしていただいておるわけでありまして、それによりまして借入金をすることができる、こういうことになります。
  40. 横路節雄

    ○横路委員 そうするとあなたの方では、財政法第四条において、原則としてはそういうようになっておるけれども、道路特別会計法のこれが認められれば、と言う。ですから、そういう意味では、原則としては揮発油税をもって充てるべきだが、やむを得ない赤字がやや生ずるから、そういう意味で、これは赤字借入金という全く特殊の場合である、こういう意味ですね。
  41. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 実はこういう制度は、ダムの特別会計等においても、その道が開かれて、すでに認められておるわけでございまして、われわれは、地方分担金見合いの借入金は、いわゆる赤字借り入れ、こういうような考え方は持っておりません。この特会計法の第二項におきまして、それ外の借り入れをする道を開いております。それは赤字借り入れという言葉が適当かどうか知りませんが、不足の場合において、この道路のような、建設的なものであるということで、借り入れができるという道を開いたわけであります。
  42. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、あなたの方では、多目的ダムに関する特別会計のところで、それが認められているから、従って、これについても、別にそういう意味では例外規定ではない、こういうことでございますが、それでは、私の方で一つお聞きしたいことがあるのです。第十条の第四項ですが、ここに「地方負担金及びこれに係る法第四条の利息並びに第三条に規定する地方債証券の償還金及び利子は、第一項の規定による借入金の償還金及び利子の財源に充てるものとし、当該財源に充ててなお残余があるときは、その残余の金額は、道路整備事業に要する費用のうち国が負担するものの財源に充てなければならない。」こうなっているわけですね。私はきのうもお尋ねしたのだが、あなたの方では、これは資金運用部資金から六分で借りて、そうして地方負担金五千二億については、地方から六分五厘で取ると言っておりますが、その方針には変りはありませんか。
  43. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいま変える気持はございません。
  44. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、それは、今まで特別会計で全部そうしているから、そうやっているという意味ですね。
  45. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 従来特別会計で六分五厘でやっておるわけでございますが、これは特別会計に限らず、一般会計をも通じまして、いわゆる負担金の納付について特別の法律がございまして、それの政令に基きまして六分五厘という規定をしておるわけであります。従いまして、これは、この特別会計だけの問題としてではなくして、全体として六分五厘というただいまの政令の規定に従ってやって差しつかえないというふうに考えたわけであります。
  46. 横路節雄

    ○横路委員 それでは、あなたにお尋ねしますが、ここにありますところの特定土地改良工事特別会計、これは、地改良法に基いてやる土地改良事業ですが、これは、今のあなたの話とは違うのです。これは、やはり資金運用部資金から年六分で借りている、これはいわゆる地方負担分です。そうして地方からは年六分で返してもらっている。これは、一体どういう意味ですか。
  47. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 実は、全体として六分五厘の原則でございますが、土地改良特別会計はほかの特別会計と違いまして、少しく特殊の事情があるのでございます。それは、一応府県が負担をいたしますが、その府県が負担をいたしましたうちのそのまた二分の一は、農民が負担をして府県に納めて、府県を通じて国に返す、こういうことになっております。そこで、農民の負担というものはできるだけ軽くしたいというのが、土地改良特別会計が設置せられますときの当初から方針でございます。従いまして、負担のうちの半分を占めるところの農民につきましては五分五厘の負担をさせ、残りの二分の一の府県の分は六分五厘で負担させる。そして、農民と府県の分を合せて平均して府県が返すのは六分であるということで、予算上六分になっております。しかし、いわゆる自治体としての府県自体に対するものには、やはり原則通りになっております。
  48. 横路節雄

    ○横路委員 あなたは、今地方負担分並びに受益者の農民の負担分を合せて国に返す場合には、都道府県が六分で返しておる。あなたの方は、一般原則はそうだというが、一般原則は、特定他目的ダム建設工事特別会計で六分五厘としたのです。一般的だというけれども、この特定多目的ダム建設工事特別会計でやったんであって、土地改良法については、やはり国に返してくるときには、最終的には、だれが納めるかということなんです。最終的には、国に対しては府県は六分で納めておる。これはおかしいじゃないですか。
  49. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 これの原則は、別に特定ダムで全体の原則をきめたのではございませんで、地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律、これは昭和二十八年の法律百十一号でございますが、この法律に基く政令がございまして、それの第一条におきまして、利率を年六分五厘とするということを定めておるわけなんです。従いまして、それが全体の原則になる。そして、ダムの場合にも同様のことをやっておる。こういうことを申し上げたわけであります。
  50. 横路節雄

    ○横路委員 建設大臣にお尋ねしますが、今ここで道路特別会計というのを設けようとしているわけだが、今まで、道路特別会計ではなしに、一般会計の場合には、国の直轄事業については、地方の負担分については、当該年度は利子なんか払ってないのです。それを今度わざわざ特別会計にして、そうしてその年度から六分五厘の利子を取るというのは、これは地方財政関係からいけば、道路特別会計を作ったことによって、明らかにはるかに後退したことになる。今まで道路に関しては、一般会計のときには、地方負担分については、当該年度は利子をつけていないのです。なぜ一体ことしは、当該年度から六分五厘を取るようにしたのです。あなたの方では、道路事業を整備するのだと言うが、これは、明らかに整備ではなしに逆になるのだ。あなたは、そういうことを御存じないのですか。僕は、建設大臣は、あまりそういうことは御存じないのでないかと思う。一般会計においては、今までは、地方負担分については、当該年度は利子を取っていない。今度大蔵省では、その年度から六分五厘を取ると言っておる、こういうむちゃなやり方がありますか。どうですか、建設大臣。
  51. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 道路整備五ヵ年計画を改定したゆえんのものは、御承知のように、最近における経済発展に対しまして、道路関係が非常におくれておるために、経済全体の発展の隘路をなしておる。これを推進するために、この道路整備五ヵ年計画を立てるとともに、これが特別会計である場合におきましては、地方負担金の量も含めて実施することが、事業遂行上最も適当である、かように考えまして、地方負担分も、交付公債に当る部分を特別会計に入れてやる、こういうふうにいたしたのであります。そうなりますと、今度地方の負担金を特別会計に入れる場合におきましては、ただいま大蔵事務当局から言われましたごとくに、ダム特別会計、あるいは特定土地改良に関する特別会計の例にのっとってやったということでありまして、地方においても、その道路の整備が促進されるということは、全体として地方自治体の利益となる、かように考えておる次第であります。
  52. 横路節雄

    ○横路委員 私が建設大臣に聞いておるのは、後退したんじゃないかというのです。今までだって、国の直轄事業については、地方のそれぞれの負担区分に応じてやっている。やっておりますけれども、しかしその償還については、当該年度は利子を取っていないのです。それを今度、当該年度から六分五厘を取るようになったことは、わざわざ特別会計を設けたために、それだけ地方の財政負担がふえてきたんじゃないか。そのことは地方からすれば、何も特別会計を設けないでもらって、一般会計でやった方が、その年度の六分五厘の利子だけでも地方財政は余裕が浮くのです。おかしいじゃありませんかと私は聞いておるのです。あなたは、特別会計を設けたんだから、一般に取るのは当りまえだ、こう言うが、私の方はそうではない。特別会計を設けて六分五厘を取るということは、一般会計のときには、国の直轄工事についての地方の負担分については、当該年度は利子を払っていないのです。それをわざわざ特別会計を設けて、その当該年度から六分五厘の利子を取るようにすることは、道路整備事業からいって、地方の財政負担を増すことであって、それは逆じゃないか。私の言うのは、特別会計を設けるなら設けて、あなたの方でやるというならばやってよろしい。しかし、利子を取るというのはおかしいじゃないか、これは当然やめるべきだと、こう言っているのです。どうですか、おかしいじゃありませんか。
  53. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは、そういう議論も成り立つでありましょうが、特別会計を設定して、全体として推進するためには、やはり特別会計に入れる交付公債に対する取扱いは、やはり全体との調整をとっていかなければならない。そういう観点において、その部分から見れば、若干後退のようになるかもしれませんけれども、事業を遂行するために、そういうふうな措置をとることはやむを得ないことだと考えております。
  54. 横路節雄

    ○横路委員 今建設大臣から、事業を遂行する上からやむを得ないという観点は、国の事業をやるという点から見ればやむを得ないでしょうが、地方財政全般からいえば、建設大臣の言うようなわけにいかぬのです。今まで当該年度は利子をとってない。それで何でも仕事をやってきた。国の直轄事業についてやり、国の負担分についてやってきた。それをわざわざ特別会計を設けて、利子をとるのはやむを得ないと言うが、地方財政全般からいって、これはわれわれとして納得できない、これが、この特別会計法案の第一の疑点なんです。あとでゆっくりこれは自治庁側に聞きますが、これは大問題です。そこで、私は大蔵政務次官お尋ねしますが、国は勝手だと思う。今ちょうど予算委員会では、第三次補正予算をやっている。第三次補正予算の場合に、御承知のように、三十一年度の決算で確定をした義務教育費国庫負担について幾らになっておりますか、足りない分の五十一億をやっている。あれは、今まで地方が金を借り入れて払ってきたのです。あなたの方では、五十一億に見合うもの並びに利子については、地方は今まで借り入れをして金を払ってきたのでありますから、地方に対して利子をつけて返していますか。
  55. 坊秀男

    ○坊政府委員 つけておりません。
  56. 横路節雄

    ○横路委員 委員長も、よくお聞きいただきたいと思う。今のは勝手ではございませんか。三十一年度の決算について、いわゆる半額は国が持ち、半額は地方交付税その他でやるということになって三十一年度の決算は確定したが、全国で五十一億も義務教育費国庫負担が足りなくて、地方は払った。今度第三次補正でそれを埋めるときに、地方は利子をつけて払っておったのだが、その利子を見ないで、元金だけやっておる。言いかえたならば、大蔵省は地方に対して利子を詐欺しているようなものではありませんか。そうして今度は一般会計で今まで、地方の負担分については、当該年度は利子をつけないでよかったものを、今度は利子を六分五厘くれと言う、これは強盗じゃありませんか。三十一年度の決算の五十一億については、利子を一銭も払わないで、全部地方に負担させて、今度は一般会計で、今まで当該年度の利子を払わなくてよかったものを、わざわざ特別会計にして払えという、これはどうですか。地方に対して利子を払わないで、今度は地方に対して利子を払えと言っておる。おかしくありませんか。あなたは、全然地方財政のことを考えていないじゃありませんか。払うべき利子は払わぬ、とるべき利子はとってしまう、こういうやり方はどうなんですか。
  57. 坊秀男

    ○坊政府委員 御指摘の通りでございますが、その間のいきさつにつきましては、事務当局から説明いたさせます。
  58. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 非常にむずかしい問題でして、ごもっともな点もあると思いますが、しかし、この地方と国の出入りと申しますか、国の負担の入れ繰りの問題は、全体として考えなければならぬと思います。これを全体として見るということは、なかなかむずかしい問題がございます。一般会計の負担金については、また逆にいえば、国が地方からいただく分もだいぶ時期をずらしていただいておるというようなことで、出すもの入るもの、これは種々さまざまでありまして、こまかい計算はなかなかむずかしいと思います。そういう意味におきまして、これはいろいろと問題はあります。今後大いにまた研究をしなければならぬ問題があると思いますが、しかし、本件に関する場合におきましては、従来一般会計にありました時代には、お説のように、次年度の四月一日からということになっておったのであります。しかし、今回いわゆる事業をできるだけ進捗させるという見地から、特別会計を作りましたが、どういう点の便宜があるかというと、やはり借入金の道を講ずることができたということで、実際問題として、従来道路のワクが小さかったために、地方がむしろ自分の負担でやらなければならぬところを、できるだけ国もめんどうを見て促進をしてやれるという形になってきたわけであります。そういう意味においては、私は全体として、この特別会計の設置ということは、地方に対して利益じゃないかと思うのであります。そこで、従来一般会計で負担しておったものがどうしてこういう特別会計になったかということは、お説の通りに、今回はこの特別会計を設けまして、そうして、道路整備の目的のために特別の負担金を借り入れをもってまかなうということになった結果生じた利子でありまして、従いまして、従来一般会計にありましたような大ざっぱな考え方で経理ができなくなっております。特別会計としての出入りをきっちりとしなければならないという建前から、地方のそういう負担金のために借り入れたものの利子は、やはり地方で負担してもらわなければ困るという建前になったわけであります。同様のことは、特別会計を設置いたしました場合のダムにも生じたわけでありまして、そういうようなことからして、非常に大きな利点がありますので、そういう前提に立ちまして、こういう点が、特別会計の経理上やむを得ずとられておるということになっておるわけであります。
  59. 横路節雄

    ○横路委員 話を聞いていると、あなたは、道路特別会計によって地方も非常に得しているというようなことを言っているが、それは違う。そういうことを言ってはいかぬ。道路法の一部を改正する法律案の附則第二条、費用の負担の特例のところに何と出ているか。「昭和三十三年度における指定区間内の一級国道について建設大臣の行う維持その他の管理(修繕を除く。)に要する費用については、第五十条第二項本文中「国及び都道府県がそれぞれその二分の一を」とあるのは、「国がその三分の一を、都道府県がその三分の二を」」負担するということになっておる。特別会計を作ることによって、利子はとられる、今までそれぞれ国が二分の一、都道府県が二分の一のものを、わざわざ国が三分の一、都道府県が三分の二というように負担区分の特例を設けて、一体特別会計を作ったから、これでもって地方の方は安心して道路の整備ができるだろう、そういう言い方はどこから出てくるのですか、建設大臣、いかがですか。
  60. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 従来の一級国道についても、維持補修は県で全部負担しておりました。これを今度の法律におきましては、二分の一の原則にいたしましたが、本年は三分の一ということになっておるのであります。これは、地方に対しては決して損にはならないのでありまして、利益になる、かように考えております。
  61. 横路節雄

    ○横路委員 今度は、一つ自治庁の財政局長にお尋ねいたします。道路整備特別会計法第十条の今の利子の問題ですが、これは、地方財政全般の点からいって、なかなか容易でないと私は思う。こういうようなことは、地方財政全般について、全国都道府県の地方財政計画を担当するところの、地方財政について責任を持っておる自治庁としては、納得しておりはしないだろうと思いますが、一体あなたの見解はどうですか。大蔵省に遠慮しないで、率直に言ってもらいたい。
  62. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 国の事業について、今度借入金を作りましたのですが、その利子の負担をどうするか、これについては、横路委員のおっしゃいましたように、一つの問題があろうと思います。問題は、結局その利子をだれが負担するか、借り入れ制度を作ることは、道路事業を緊急に整備するための一つの方策ですから、これはもちろん異存はありませんが、その利子の負担をだれがするかということは一つの問題で、これは、今のところ政令で定めるということに実はなっております。全部地方が負担すべきものなのか、あるいは全部国が負担すべきものなのか、あるいはそこらは国と地方とが適当に配分すべきものなのか、そういう問題点があり得るのでありまして、自治庁といたしましては、全部国が負担しろという理屈も成り立たぬわけではないと考えます。少くとも道路事実の負担区分が、現在地方が四分の一、国は四分の三ということになっておりますから、その負担区分に応じて利子の負担もせざるを得ないのじゃないか、その程度は地方も負担せざるを得まいという考え方も持っておるのでありますが、その率をどうするかということは、今後政府部内でなお相談してきめる問題点になっておるのでございます。
  63. 横路節雄

    ○横路委員 今自治庁の財政局長は、これから政府部内で相談してきめるというが、大蔵省は、六分五厘取ると言っておる。取ると言っておるのですが、どこに相談するのですか。今あなたは、一般的にいえば、国が全部利子を負担するという原則も成り立つし、しかしまあ半々ということもあるだろうし、あなたの真意はどこなんですか。それはなお政令でやるのだということになれば――利子の負担区分については、政令でゆだねるのだ、しかし、あなたの方では、ほんとうは言い分があるのだということになれば、大蔵省では六分五厘、自治庁の方では取らないことにしている、それとも三分二厘五毛ずつにするのですか、そこらはどうなるのですか、大蔵省、どうなるのですか。建設大臣、どうなるのですか。今の地方負担金の分ですね、これは、ことし五十二億借り入れをするわけでしょう。その六分五厘については払えと大蔵省は言っておる。自治庁の方では、原則としては全部国で持ってもらうということだってあるのだ、しかし、仕方がなければ半分々々ということもある、これはその政令にゆだねるのだ、こう言っておるのです。あなたの方では、これはどうなさるのですか、自治庁の方ではああ言っているけれども、自分の方としては、絶対六分五厘取るというのか、そこらのところは、大蔵省と自治庁と相談して、大蔵省の方に六分五厘を負担してもらうというのか、それはどうなんです。
  64. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 政令で定めるのは、利子そのものをどうするかということでなく、いつからこれをやるかということ、それから次年度にどうするかということの問題が協議されることと考えております。従いまして、利子を国と地方でどう配分して負担するかということではないと思います。利子そのものについてはきめておりますが、その適用の期間の問題が政令で定められる、さように私は考えております。
  65. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、主計局次長、その政令は、翌年度からやるというのですか、その「政令で」というのは、何をどうするというのですか。
  66. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 地方から利子を取る場合に、利子が六分五厘であるということは、原則が別に定まっておるわけでありまして、従いまして、ここで六分五厘にするとかしないということを特に定めるのではなくして、ここにございますように「負担金の額及び当該負担金に係る政令で定める利息」これは非常にわかりにくい表現でありますが、当該負担金にかかわる利息、負担金に関係のある利息がある場合においては、それを政令でもって定める、こういう気持でございます。それで、その場合に、しからばどういう問題があるかと申しますと、従来から納付の特例に関する法律によりまして、翌年度の四月一日からは、納付証券によりましておのずと利息がかかって参るわけであります。問題は初年度でありまして、初年度の分は、証券によって納付をするわけではございませんので、それで、もし初年度の利息を地方が負担するという原則が定まった場合においては、この政令においてそれを明らかにするということをここに含んでいるわけであります。
  67. 横路節雄

    ○横路委員 政令でというのは、政府の方ではよく法律を出しておいて、あとめんどうなことは政令で政令で、こうなっておるのです。そこで今の点ですが、これは、政令で翌年度からやるようにするというのですか、具体的にいえばどうするというのですか、長々しい説明は要らぬのです、結論だけ言ってくれればいい、どうするというのですか。
  68. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 三十三年度の予算におきましては、地方に負担していただくという前提でこれが組まれておるわけでございます。従って、三十三年度に関する限りは、地方が負担するのでありますから、この政令で明らかになるわけであります。
  69. 横路節雄

    ○横路委員 自治庁の財政局長、それでは、あなたの言った、これから大蔵省とよく相談をして、政令で、全部国の方に持ってもらうか、あるいは三分二厘五毛ずつ持つかという話は、全然だめじゃないですか。大蔵省はがんとして、政令でもって三十三年度からちゃんと六分五厘払ってもらうのだ、何としてもそれは曲げられないと言っている。曲げられないものを、何をあなたの方でこれから大蔵省と相談をして、政令をきめる場合に、折衝の余地があるのか。一体、あなたは地方財政全般について責任をお持ちであって、六分五厘を三十三年度から取られることを、黙って見ておるわけですか。
  70. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今の問題は、道路整備緊急措置法の四条の問題で、道路整備五ヵ年計画に基いて国が直轄で行う一級国道、二級国道の整備に要する費用につきまして、地方公共団体が負担すべき負担金の額をどうするか、こういう問題で、今お尋ねのところは、後段の方にある「当該負担金に係る政令で定める利息」こういうことになっておるわけでございます。それで、借入金五十数億につきまして、初年度の利息がおそらく一億二千万円くらいあるのじゃないかと思いますが、そういう金額の利息について、一体、政令で定める利息で地方が持つべきものは幾らあるか、こういう議論があるのでございまして、大蔵省の方では、今、それは全部地方で持つべきじゃないかという気分の御答弁がありましたが、これは、私は、やはり地方はそのうちで、地方が一般の道路費について四分の一負担しておるのだから、四分の一分を負担して、その他の部分は、通常の国の負担率に従って国が負担せられるのが筋ではないか、そういうのが現在の自治庁の考え方でございまして、結局政令を作る場合には、関係省の話を合せて作らなければなりませんので、自治庁といたしましては、そういう考え方でこの問題を運んでもらいたいという考えを持っておるのでございます。
  71. 横路節雄

    ○横路委員 今話を聞いて、私は、やはりこの法案の審議は、ここで一つ休憩をしてもらって――今の話を委員長もお聞きの通り、大蔵省としては、五十二億幾らかについて、六分五厘ですからその利子が一億二千万円、それをみなもらうと言っているが、自治庁としては、これは絶対納得できない、地方の負担分が四分の一だから、まあ四分の一といえばどういう計算になるか、今わかりませんが、今おっしゃる通り言うならば、一億二千万円の四分の一ということになれば、三千万円程度の地方負担はやむを得ない、こう言っておる。政令にゆだねるといっても、委員会で正式に、大蔵省はがんとして、政令でもって六分五厘で一億二千万円取ると言っている。自治庁は、地方財政全般からいって、そういうことはできませんと言っている。それがここで明らかになっておる以上、このままではこれの審議は進められないですよ。これは、やはり政府部内で意見をまとめてきていただきたい。これは、あげて政令なんだから、そんなことはお前らの知ったことじゃないというのは、あとになって問題になるなら別ですが、今この特別会計法案の審議のさなかに、やはり同じ政府部内において意見がいよいよ違っておるという点がはっきりしておるのに、このまま審議はできないです。できないですから、委員長は、この際やはり休憩をされて、政府の方で意見をまとめてここで答弁されなければ、この審議はできないですよ。この大蔵委員会は特別会計法案をやっているのですから、それを委員長、善処して下さい。それでなければ審議は進められないですよ。
  72. 足鹿覺

    足鹿委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  73. 足鹿覺

    足鹿委員長 速記を始めて。  暫時休憩いたします。     午後二時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十八分開議
  74. 足鹿覺

    足鹿委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際根本建設大臣より発言を求められておりますから、これを許します。根本建設大臣。
  75. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま問題になりました件について、自治庁の事務当局から発言されたことにつきまして、若干政府としてここに意思表示をする必要があると思いますので、発言を許さしていただきます。  道路整備緊急措置法第四条の規定により政令を定める場合における問題でありますので、この政令を定める場合におきましては、地方財政の状況を十分に勘案いたしまして、自治庁の意見をも尊重して善処いたす所存でありますから、さよう一つ御了承を願います
  76. 横山利秋

    横山委員 関連をいたしまして、少し大臣の所信をただしておきたいと思います。私は、今の質疑応答を聞いておりまして、本来こういう問題については、事務当局でいち早く折衝しておかなければならぬ。一体事務次官は何をしておったかという感じがするわけであります。聞けば、建設省の事務次官の石破さんは、最近どうも鳥取の方へお帰りになる機会が非常に多い。どういう御用事だか知らぬけれども、鳥取においては、もっぱら県知事に立候補なさる事前運動であるといううわさが一ぱいであります。この間私拝見いたしますと、建設委員会におきまして、わが党の三鍋委員の質問に答えて、政務次官は、いや、予算上の重要な用事で、何か視察を命ぜられた、こういう御答弁でありました。まあ表面はそうでありましょうが、ちょうど行かれるころは、予算が通るか通らぬかという直前でもあり、かたがたお行きになって、現地でいろいろとお話をされた言葉が、こちらの方へはね返ってきておるのでありますが、あろうことかあるまいことか、社会党がそういう文句を言っているそうだ、けれども、おれは堂々とやってやる、また選挙運動に来るということを側近筋に言われた、それが方々へ伝わっているのであります。今日こういうようなことが起りますのは、まことに私は遺憾千万だと思うのですが、これは、全く芳ばしい話ではないのであります。大臣がまさか事務次官に、選挙運動の便宜を与えているとは思いませんけれども、人のうわさには戸が立たぬものでありまして、石破事務次官の行動にあっては、厳重なといいますか、一つ御反省を願って、かかるうわさが立たないように願いたいと思うのでありますが、大臣の御意見伺いたいと思うのであります。
  77. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 石破事務次官が知事選挙に出るために、私はその事前運動のために出張することを許してくれというようなことは全然ございません。また従いまして、私は、そういう意味においての事態はないものと考えております。なおまたうわさは、口を閉ざすことはできないということでありますが、私には、本人からはもとよりのことまたその他の諸君からも、石破君が知事に立候補するからという意思表示は何ら受けておりません。もしそのために辞職をしたいということであれば、おそらく何らかの意思表示があるはずでございますが、全然ございませんから、御指摘の通り、それはうわさにすぎないだろうと存じております。なおまたそういうようなうわさがございますれば、これは好ましくないことでありまするから、選挙運動をやっているかのごとき誤解を受けるような行為は、とらせないようにいたします。
  78. 横路節雄

    ○横路委員 ただいま建設大臣の御答弁で、道路整備緊急措置法案の第四条の地方公共団体の負担金の額の特例については、一応御答弁があったのですが、さらに私は、自治庁にお尋ねしたいのです。同じく本法案の第五条、国の負担金の割合の特例等の問題ですが、この五条には、「昭和三十三年度における地方公共団体に対する道路の舗装その他の改築又は修繕に関する国の負担金の割合又は補助金の率については、道路法及び道路の修繕に関する法律の規定にかかわらず、改築については四分の三、修繕については二分の一の範囲内で、政令で特別の定をすることができる。」こういうことになっているのです。「範囲内で、」と、こうなっていますが、改築については四分の三、修繕については二分の一を国がということになると、地方は、改築については四分の一、修繕については二分の一ということになるが、地方公共団体の負担の総額は、大体幾らになるのですか。
  79. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 三十三年度の地方費の負担は百八十三億、そのほかに交付公債で払うべき金額五十三億、合計二百三十六億、これが地方の負担でございます。
  80. 横路節雄

    ○横路委員 それでは、今度は大蔵省側にお尋ねしますが、ここのこの法文には、「改築については四分の三、修繕については二分の一の範囲内で、政令で特別の定をすることができる。」こうなってるわけです。これは、あなたの方の得意らしいです。何でも政令で、政令の範囲内でという言葉がございますが、これは、さらに圧縮するというのですか。四分の三、二分の一というのが明確なのか、どうなんですか。範囲内というと、大体幅のある言葉ですが……。
  81. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 これは、言葉の通り範囲内でありまして、これ以下のものもあります。
  82. 横路節雄

    ○横路委員 以下の場合もあるのですか、どういう場合ですか。
  83. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 地方道の改良については、三分の二でございます。
  84. 横路節雄

    ○横路委員 すると、こうなりますね。改築は四分の三、修繕については二分の一というのが、地方道路の改良については三分の二。
  85. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 そうです。これらは政令で定めるわけです。
  86. 横路節雄

    ○横路委員 第五条の二項の「昭和三十四年度以降における前項の国の負担金の割合又は補助金の率については、別に法律で定めるところによる。」これは出していないわけですね。これからお出しになるんでしょうが、これは、どういうことになるのですか。別に定めるということになれば、変更するというわけですか。これは、国の方でさらに多く負担してあげるということですか。四分の三だから、五分の四にするということじゃないですか、どういうことですか。
  87. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 道路整備の推進に当りまして、地方の財政状況と国の財政状況を勘案して、円滑に五ヵ年計画を推進するということが眼目でございます。ところで、いわゆる一般道路法に規定いたしておりますのは、補助金並びに負担分は、ここで規定しておるより少いのでありまするが、これは、御承知のように、今日の地方財政が非常に窮迫しておる、そういう理由をもちまして、他の公共事業費について特例法があると同じく、道路に対する財源の措置法についても、特別な高率補助並びに国の負担分を多くしているのであります。これが昭和三十三年度までの時限立法でございます。従いまして、三十三年度においては、この特例法に基くのでありまするが、三十四年度につきましては、一応この法律が切れるわけでありますから、そのときに当りまして、三十四年度については、地方財政並びに国の財政全体を考慮しまして、別に法律をもって定める、こういうことにいたしておりまするので、今から下げるとか上げるとかいうことは想定しておらないのでございます。
  88. 横路節雄

    ○横路委員 これは、法文としてこういう体裁も必要なのかもしれませんが、この法案の特別会計というものは、作ればずっと生きていくというふうに存ずるのであります。その場合に、三十四年度以降における国の負担金の割合、または補助金の率がわからないで、三十三年度だけの特例による国の負担金、補助金の率だけでもって、私はこの特例法案をよろしいと認めるわけにいかないのであります。不確定要素を非常に含んでるわけであります。この点は、私は建設大臣からもっと率直に、三十三年度における五ヵ年間の時限立法は本年で切れるんだから、年度以降については、国としてはこうする、こういう点がなければ、今あなたの言うように、来年度地方財政がよくなるかよくならないかわからないから、そのときまた検討しようということであれば、特別会計については、三十四年度からやればいいわけです、三十三年度までは五ヵ年間の時限立法でやるんですから。それをわざわざことしから特別会計をもってやるという以上は、やはり来年度以降についてもしなければ、あなたの方で先ほどお話がございましたところの償還に関する問題でも、やはり一定の計画をもってやっている場合には、当然この負担金と補助金の率が問題になるのです。ですから、そういう意味で、建設大臣からもっと率直にお話をしていただきたい。全然お話がないということになると、これはまた、法案の審議は非常に渋滞をするということになります。どうぞ一つ……。
  89. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 別に法律をもって定めるという理由については、ただいま申し上げた通りでありまして、問題は、この五ヵ年の道路整備緊急措置法に基きまして、またこれを財政上裏づけするところの特別会計法の財源措置によって、事業を円滑に推進するということが本来の目的でございます。そこで、負担率並びに補助率の問題につきましては、地方財政がこれによって著しく圧迫を受けたために、せつかく国の財政措置ができましてもできないという状況は、これはあり得ないことであります。そういう意味におきまして、先ほどの第四条の政令に定める場合と同じように、これは、政府一体となりましてこの問題が措置されることでありまするが、私としては、一般的に予想される、皆さんが御心配になっておる、国の財源措置はできても地方財政が果してこれを受け入れるかどうか、その問題点を非常に御心配になっていると思うのでありまして、従いまして、この点については、十分地方財政の今後の見通し、これをも勘案して、三十四年度以降の補助率並びに分担の率をきめるわけでありまして、これは、先ほど同様に、今後十分に地方財政の状況も勘案してきめるということになる次第でございます。
  90. 横路節雄

    ○横路委員 今の答弁では、やはり抽象的なわけですが、これは、特例でないとどうなるんですか。三十三年度の特例はこうなってますが、特例でなければどうなっているんでしたかね。
  91. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 特例でないと、地方の負担がずっと多くなります。道路法の一般法になりますと。
  92. 横路節雄

    ○横路委員 ちょっと恐縮ですが、道路局長、これは、特例でなければどうなっているんですか。
  93. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 道路法に規定してあります負担率は、国道につきまして三分の二でございます。それで、特別な場合につきまして四分の三ということになっております。それから都道府県道に対しまする補助でございまするが、これは、二分の一ということになっております。
  94. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、直轄で行う一級国道の新設、改築費は、国が三分の二、府県が三分の一、それから第二番目の府県知事が行う一級国道の新設、改築は、国と府県がその二分の一を負担する、そうですね。
  95. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 さようでございます。
  96. 横路節雄

    ○横路委員 わかりました。そこで、私がお尋ねをしたいのは、この第五条について、三十三年度に関してこれは特例だ、そうすると、今あなたの言うように、道路法の一般によってこの費用の負担区分はきまっているわけです。今一般的に懸念されていることは、今あなたがお話しになり、私がお聞きをした一級国道の新設、改築については、国が三分の二、都道府県が三分の一、こういうことにまたまた来年度からやるのではないか、こういうように懸念をしているわけです。この点は、道路局長、どうなんですか、法律の原則としては、この第五条は特例なんだから、昭和三十三年度に限ってとこうなっているんだから、それが終ったら、一般的な負担区分によって、本来からいえば、直轄で行う一級国道の新設並びに改築については、国が三分の二、府県が三分の一ということになるわけですか。
  97. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 別に法律で定めることになっておるわけでございますが、法律が定められなければ、道路法の補助率、負担率に返るわけであります。
  98. 横路節雄

    ○横路委員 私は、そこで自治庁にお尋ねしますが、問題は、やはり地方公共団体に対する国の補助率の問題が非常に大きいわけです。そこで、先ほどあなたの方から、昭和三十三年度では、この第五条によってこの補助率を適用した場合において、百八十三億の地方分、それから交付公債で五十三億、二百三十六億になっておる、こう言うが、この昭和三十三年度の国の負担区分並びに補助率でやれば、一応予定している昭和三十四年度の地方分は、交付公債を入れてどういうことになりますか。昭和三十三年度の特例による国の負担分で、昭和三十四年度におけるところの道路整備事業によってやれば、地方の負担はどうなりますか。
  99. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは、結局五カ年計画がまだきまっておりませんで、明年度以降どういう計画で仕事をやるか、これが確定せぬ限りは、正確な数字は申し上げかねるのでありますが、現在五カ年間でやる五千六百億、かりにこれを前提にして、まさか明年度には、その残りの四ヵ年の四分の一ということには私はおそらくならぬのではないか、おそらく漸増するという形になるのだろうと想像しますが、残りの四分の一をかりにやったと仮定いたしますと、地方費の負担は、交付公債を除きまして、純負担が二百九億という計算に一応なり、増二十六億、交付公債が七十九億になりまして、これがことしより二十六億の増、合せると五十二億の増になります。これは全く仮定の数字でございますから、はっきりしません。
  100. 横路節雄

    ○横路委員 そこで、重ねてお尋ねしますが、今の財政局長の御答弁は、この五条による昭和三十三年度の国の負担区分並びに補助率をそのまま適用した場合において、なお今年度より五十二億ふえる。今のお話は、二百九億が地方負担で交付公債が七十九億、合計二百八十八億、これが、特例がなくなって、今道路局長の言うように、道路法による一般の負担区分を適用されて、直轄で行う一級国道の新設、改築は、国が三分の二、府県が三分の一、府県知事が行う一級国道の新設、改築は、国と府県がその二分の一を負担する、こういう道路法本来の原則による負担区分になると、今一応あなたの方で言われた来年、昭和三十四年度の負担区分、地方負担が二百九億、交付公債七十九億、合計二百八十八億というのが一体幾らになりますか、三分の二の補助率と二分の一に下ると。その点、お尋ねします。
  101. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これも全く仮定の数字でございますが、さっきと同じ前提で、今後四年間に残った仕事を均分にやる、これも、直轄事業と補助事業との割合がどうなるかによってもまた違うわけですが、そういう全くの仮定を前提にしますと、補助事業の負担分では三百三十億、交付公債では百八億、合計しますると、地方負担分では百四十七億と交付公債分が五十五億、これは計算だけでございますが、二百億内外、そういう数字が出てきます。
  102. 横路節雄

    ○横路委員 もう一ぺん言って下さい。
  103. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 地方負担分では三百三十億、総額です。それですから、差引本年度からの増を見ますと百四十七億、交付公債は本年度より五十五億ふえるだろう、総計しますと、二百億前後になりはしないかと思います。
  104. 横路節雄

    ○横路委員 建設大臣、今お聞きの通りなんです。これは、先ほど建設大臣から、第四条については、政令で定める場合においては、地方財政の現状を勘案して、自治庁の意見を聞いてやる、こういうことになっているが、第五条について、これは今いみじくも春日君が、どうも三十三年度までだけやっているのは、やや選挙対策のにおいがきついじゃないかというささやき話がここでございましたが、これは、なぜ昭和三十四年度以降についても、三十三年度同様に、この負担区分でやらないのですか。この点は、あなたの方では、地方財政がよくなるという見通しの上に立っておるのだろうと思う。地方財政がよくなるという見通しの上に立っておればこそ、この特例法は三十三年度で、できれば三十四年度以降については特例をはずすか、特例をはずした場合においても一般原則でいくか、別に法律を定めるについても、見通しとしては、地方財政はよくなるであろうという立場に立つであろと思うのです。その場合に、今あなたの方で、これを三分の二の負担、それから二分の一の補助ということにいたしますと、地方が三分の一、二分の一ということになると、昭和三十四年度の地方財政計画からいって、一応これは、地方負担区分だけで百四十七億の増になり、さらに交付公債においては約五十五億の増になって、合計二百億内外の地方負担分の増になるということが、これまた明らかなんです。これはどうなさいますか。こういうように地方財政が、今の補助率、昭和三十三年度の補助率と、これを元に戻した場合においては、昭和三十四年度においては、地方財政の負担は、道路において二百億だけ地方負担が増すということになる。これはえらいことじゃないですか。これでもやはり三十三年度の特例は本年度限りやって、来年度からまた元に戻すというわけですか、建設大臣、どうですか。
  105. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど御答弁申し上げたように、現在の特例法は、時限立法で本年限りであるから、それはそれといたしておるわけであります。三十四年度以降については、ただいま自治庁から一応の計数が出た、こういう事情も十分に勘案し、この整備計画を円滑に実施し得る内容を持つ法律といたさなければならぬと思います。従いまして、先ほど申し上げましたように、三十四年度から特例法そのものは一応廃止することになりますけれども、特例法と同様の内容を持つところの法律にするか、あるいはそれ以上になるか、それ以下になるかは、地方財政と全体の国の財政との総合的な観点に立ってきめられることでありますので、地方財政が非常に窮迫してどうにもならないというような状況下において、道路法の本法に返して、あとは仕事ができょうができまいがかまわないということは、内閣としては絶対にあり得ないことと私は信じております。
  106. 横路節雄

    ○横路委員 財政局長にお尋ねしますが、今建設大臣から御答弁あって、あなたもお聞きのように、来年度以降において地方財政計画が非常に好転すれば、国の負担分は下げて、地方負担をふやす。それから地方財政の方が思うように好転しない場合においては、現状にとどめるか、別にそう法律で定めるというのだから、今日の四分の三は五分の四にするかもしれない、現に言葉の裏は、そう言っているわけですな。そこで、あなたの方で、一つ率直にお話しをしていただきたいのは、来年度この地方財政の四分の三を三分の二にして、今日の地方負担の四分の一を三分の一に、それから補助率の地方負担を二分の一にした場合において、思うように地方財政が好転しますかね。今自治庁の方では、やかましく、お前の方は再建整備団体ではないか、人並みに給料を払って不届きだ、人並み以下に下げろといって、あなたの方はしきりに指示している。これは、この法案を審議する上に非常に大事なんですよ。何が大事かといえば、建設大臣の方が、地方財政いかんによっては、この補助率、負担区分については十分考慮しますと言っている。一応ここであなたの方から、昭和三十四年度以降における地方財政全般について一つお話をしていただきたいと思います。あなたの答弁いかんによっては、この率は何ぼでも上ったり下ったりする。
  107. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 明年度以降の地方財政の見通しを申し上げることは、私も非常に困難でございまして、これは、結局国全体の財政計画の見通しがどうなるか、こういうことできまってくるのかと思います。私といたしましては、まさかそう破天荒によくなることは考えられない。それは、現状を基礎にして、多少は伸びるだろうと思いますけれども、そうやけによくなるということは、ありはしないのではないだろうか、これは全くの推定でございます。
  108. 春日一幸

    ○春日委員 ちょっと関連して明らかにしておかなければいけないので伺っておきますが、この間衆議院の予算委員会で、地方財政計画の見通しが述べられたわけなのです。国民所得の増に伴うて、地方財政においても相当の伸びがあるであろう、しかし、本大蔵委員会大蔵大臣から明確に述べられておることは、最もすみやかな機会に事業税を減策することのための税法の改正を行わなければならぬということが強く述べられておるわけです。予算委員会においても、この問題は強く述べられたわけなのです。この問題は、私は今特別会計法とも重大な関連を持つと思うのですが、とにかく地方財政にゆとりが生ずれば、その場合は、何事も差しおいてなさなければならないことは、事業税の減免なのです。余裕が生じたら事業税を減ずることによって、関係者の負担を軽からしめていく、こういうことがあるわけなのです。従いまして、この道路負担区分の問題等についても、これは非常に重大な関係があるわけなのです。結局税法の改正と道路費用の負担の問題とは、いずれがあとか先かということは、これはまた、その場合において論じられるではありましょうけれども、ただふえるというだけでこの問題が論じられるべきではないと私は考える。従って、この際私は、あなたにお伺いしておきたいと思うのだが、もし余裕を生じたら、地方財政の伸びがあったら、その場合自治庁としては、最も先になさなければならぬことは何と考えておるか、今までのいろいろな経過もあるでありましょうが、この機会に、一つ自治庁の財政当局としての今までの見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  109. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは、また非常にむずかしい問題になって、私一存で簡単に答弁できかねるところだと思うのでございますが、地方財政計画につきましては、最近従来のようなどん底から次第に浮び上りつつあるということは、私は事実だろうと思います。そういう意味におきまして、だんだんよくなってきておることは事実でございますが、それなら何もかもよくなったかといえば、従来から見れば、よくなったということは言えますけれども、実質的にレベルが上ったかといえば、総体的に申しまして、そういう段階ではない、現にまだ相当赤字もかかえておりますし、それから再建団体などにおきましては、いろいろ仕事も押えて、無理をさしております。その上に、税の問題が出ましたが、税につきましても、いろいろ超過課税をやったり、法定外の独立税をやったり、その他、場合によってPTAとかその他に、つまり税外の負担を住民に転嫁しておるというふうないろいろな問題があるのでございまして、ほんとうに財政を健全にするためには、歳入の面においても歳出の面においても、まともなものにするということが基本的だろうと思うのでございます。そういう意味におきまして、税につきまして、いろんな税について減免の論議があったわけでございますが、ともかくも本年度においては、むしろ財政は安定させる必要がある。こういうことで、いろいろ問題のあることは、今後総合的に、来年度以降の財政再建の見通し考え検討すべきだということで、おそらく予算委員会でも答弁があったのだろうと考えております。われわれといたしましても、そういうことで、総合的に考えるべきものじゃないか。それで、一体ゆとりがあれば、どこにその金を回すかということになれば、私もそう簡単に申し上げかねるのでございますが、税の負担の公平化と申しますか、均衡化と申しますか、そういうものも考えなくちゃならない要件の一つでございましょうし、それからなお、今持っておる赤字をとにかく解消するということも当然考えなくちゃなりませんし、それから非常に押えられた事業も、ある程度引き上げるということも考えなくちゃならぬ問題でございまして、そこらはもう少し総体的に検討いたしまして、自治庁の考え方をまとめなくちゃならない、こういうふうに考えております。
  110. 横路節雄

    ○横路委員 建設大臣にお尋ねしますが、やはり私どもが一番懸念をしているのは、第五条の点なんです。今春日委員から質問がありましたように、地方財政全般が好転した場合においては、ほんとうは、できれば事業税の全廃、できなければ軽減ということになる。これは、ことしも自転車荷車税を全廃したことによって、五十二億だけ地方財政に穴があいて、これは、たばこ消費税について二%地方に還元するということで、これを穴埋めしているわけです。ところが、今大臣から、第五条についての負担区分並びに補助金については、地方財政が好転すれば、国の負担割合を下げたい、地方財政が思うように伸びなければ現状のままだ、さらに悪くなれば、もっと負担したい、こんなようなことになるという。この点は、私はもっと明確に、あくまでもこの特別会計を設置したときの精神に基いて、地方財政全般について悪影響を来たさないように、こういう建前でこの特別会計を設置するのだということが明確にならなければ、よくなるか悪くなるかということでやるということになれば、これは、何がよくなり、何が悪くなるかということも問題で、私たちからすれば、国の負担区分並びに補助率というものも、国が思い切ってこれを負担するということによって、地方財政が好転するわけですからね。そういう意味で、この点については、もっと明確に建設大臣から御答弁いただきたいし、答弁ばかりでなしに、所信を一つ明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
  111. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど来お答え申し上げておるように、道路整備を円滑に推進するためには国の資金だけではできませんし、どうしても地方の協力も求めなければならない、こういう観点に立っておるわけでありますが、同時にまた、地方が負担に耐えかねて計画が実施できないということになりますれば、せっかくこのような緊急措置法並びに特別会計法を設けたところの趣旨に反するわけでありまして、特に道路建設を担当するわれわれとしては、これは最も望ましくないことであります。従いまして、政府といたしましては、この緊急措置法を作る以上、地方財政の状況をも勘案して当然措置すべきものと信じております。また大蔵大臣も、この道路緊急整備については非常な熱意を示しておるのでございますから、地方財政と十分に見合せて三千四年度以降の別に法律を定める場合におきましては、十分地方財政の客観的情勢をも考えて措置されると思っておりますので、私も、その実現のために最善の努力を尽したいと考えております。
  112. 横路節雄

    ○横路委員 私は、これで終りますが、建設大臣に重ねて要望しておきます。今私が申し上げて、建設大臣から所信を明らかにされたわけですが、第五条第二項の昭和三十四年度以降における国の負担の割合、補助率については、最低限今回提案された第五条の、改築については四分の三、修繕については二分の一の範囲、これを厳に守らてもらって、さらにできるならば、地方負担を軽減する意味において、これを五分の四に、さらに三分の二というようにぜひ配慮されなければ、今日の地方財政は好転するわけもありませんし、そういう意味で、一級国道の方だけはりっぱになったが、そのわきの方の道はさっぱりよくならい。国道のところまでは長ぐつをはいていって、国道に行って初めて短ぐつをはくということになるおそれのないように十分配慮してもらわなければ、この特別会計を設置する意味がないと思いますから、その点は、十分考慮していただきたいと思います。  なお竹谷委員から質問があるそうでありますから、私は以上で終ります。
  113. 足鹿覺

  114. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 今本委員会道路整備特別会計法案が付議されておるわけでありますが、これは、岸内閣としてのおそらくただ一つくらの中身のある施策ではないかと思います。そういう大きな問題でありますが、一体本委員会に、この法案を審議する上において必要な資料が提出されておらない。この特別会計は、本年度だけでも七百億くらいに上ると思います。なお五カ年の整備計画では、これは一体何千億、あるいは何兆になるのであるか、その内容がどうであるか、そういうことがないので、この法案を審議するのに非常に資料が乏しい。私は、今ここで質問するのにも困るわけであります。ぜひ一つ資料を、出してもらいたいと思いますが、今質問を進める上からいって、まず道路整備五カ年計画の大体の総事業費、これは、地方団体の負担分も含めてどれくらいになるか。またその内容につきまして、最近自動車道が非常に発達し、日本道路公団が有料もしくは無料の自動車道を作っておりますが、自動車専用の道路の事業費が一体どれくらいになるのか、生まずそれをお尋ねしておきたい。
  115. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 今度の道路整備緊急措置法によってなすものと地方単独のものを合せまして、これは、経済の長期の見通しの観点に立ちまして、道路は、やはり国道、地方道相待ってバランスのとれたものでなければなりませんので、そこで、五ヵ年間に全体の道路投資額を九千億と目標を置いておる次第であります。そのうち地方単独の道路が、一千九百億と想定し、有料道路については一千五百億、残り五千六百億が一般道路、かように想心いたしておるのであります。さよういたしまして、一級国道については、この五カ年計画を含む大体七カ年で全部整備を終る、残余の問題については、なお五カ年間かかる、こういうふうな大体の想定をいたしておる次第でございます。この工事の内容については、まだ明確に構造令を規定してないから申し上げかねますけれども、大体主要道路につきましては、お示しのように、専用自動車道路ではないけれども、自動車が、最近長距離重量貨物がどんどん運ばれておりますので、それに耐え得る構造内容を持つということが前提条件でございまして、一級国道については、屈曲をずっと直しまして、橋は全部永久、全部舗装する、主要なる交差点は立体交差に持っていく、こういう内容を持っております。二級国道につきましては、改良の上、橋は全部永久、人家連担地区は舗装する。地方主要道路については、大体二級国道並み。こういうふうな内容を持っておるわけでございます。
  116. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 総額九千億円のうち、千五百億円を有料自動車道に使うというお話でしたが、聞くところによると、今、日本道路公団が着工しております名古屋――神戸間の、百キロくらいございますが、これに八百億円かかる、その他に七百億というのであるが、その他の中には、短かい路線のものもあり、また一部、名古屋・東京間の自動車道の仕事にも着工するんじゃないかと思うのですが、名古屋・東京間の自動車道に投ずる事業費は、一体千五百億円のうち幾らに見積っておられるのか、それをお尋ねしたい。
  117. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 この千五百億円は、有料道路でございまして、この中には、高速国道もございますし、その他の道路も含めてあります。お話のように、名古屋・神戸間につきましては、八百億円で完成させたいと考えておりますが、東京から名古屋の問につきましては、まだ調査の結果が出て参りません、三十三年度でさらに調査を進めなければならぬわけでございますが、その調査が済みましたならば着工いたしたい考えでございますので、約百億円をこれに見ております。
  118. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 神戸・名古屋間八百億ということであるがそうすると、これは一キロ当り四億五千万くらいかかるという計算になる。私、聞くところによると、これは、建設省が招聘したんだろうと思うが、昭和三十一年の夏、アメリカのワトキンスという専門家が来て、これは何千万かの金を使ってわざわざ呼んで、そうして自動車道の調査、研究をさした。そのときには名古屋・神戸間は、たしか五百五十億という考え方を建設省がしており、それは、妥当な評価である、計算である、こういうふうにワトキンスも認めたということを聞いておる。それが一挙に八百億円にふえたという理由がわからない。これは、一体どういうわけですか。
  119. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 お話のように、当初の計画は五百億でございました。その後この計画を検討いたしました結果、高架道路にする区間がふえて参りまして、それらの関係もあり、また路線を山側に移したところもございまして、これが建設費を高く食う結果となって、八百億となったものでございます。
  120. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私は、外国の例を詳しく調べたことはないが、アメリカあたりの自動車は、一キロ当り三億円以下くらいでできておる。だからワトキンスも、大体前の計算の名古屋・神戸間五百五十億というのを妥当と認めたのであろうと思う。ところが、約二倍の一キロ四億五千万、そうなりますと、東京・神戸間が、最初には千五百億が二千億でできるだろうというのが三千億あるいは三千五百億もかかるということになると、道路整備計画というものも、大きく財政的見地から考え直さなければならぬという問題も起きてくると思う。一体これはどういうわけか。少しぜいたくに工事をし過ぎるか、あるいは不必要なぜいたく品を作るのか、あるいは日本道路公団の施工法が悪いために、すなわち機械力の利用が足らなかったり、機械の使い方が下手だったり、あるいはもう少し頭をこらせば半分でできるものを、倍もかけるということになっていはしないかという心配がある。もう一つは、補償費、八百億のうち、田畑、宅地、山林の買収費に非常な金がかかると思うのだが、八百億のうち、百億以上もかかるということを聞いておる。これは、美田をつぶすのだから十分補償しなければならぬが、こういうことになると、なかなか容易なことではない。一体、どういうわけでワトキンスが妥当と認めたものを、二百五十億円も出たか。なおまた、整備計画をするときの、原案は、一千億くらいだという計算をしたそうです。それが、今度は八百億でできるということをおっしゃっているが、この八百億というのは、トンネルを作るべきところをやめることによって、どうも節約したように私は認める。そうなると、五百五十億円から一千億円、こういう倍も国費を費すということは考えなければならぬ。建設大臣、どうお考えです。これは、非常に大きな財政的負担になるわけです。
  121. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ワトキンスが計算した場合とだいぶ違ってきたのは、御承知のように、アメリカの方は割合に平坦地が多いことと、それから土地の買収費が相当少いということ、それから神戸・名古屋、この区間は、相当重量貨物が輻湊するというような関係上、どうしてもワトキンスが計算したよりは高くなっておるという状況でありまして、機械力その他できるだけ経費を節減することについては、十分に考慮を払って実施いたしたいと考えております。
  122. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 今建設大臣からわかり切った答弁があった。一体日本が山が多くて、アメリカは平地である、これは初めからわかっておる。最初の五百五十億でできるという計算をしたときと比べて、今突然日本に山ができたわけではない。しかし、それはそれとして、これは建設大臣、御検討願いたい。あまり高過ぎる。日本にぜいたくな、りっぱな高速自動車道を作ることはけっこうです。しかし、たとい五百五十億でも大へんな金である。できれば、安くて、しかも効率の高い、また日本の現状に即したものを、ひとり名古屋・神戸だけでなくて、全国に作らなければならぬ。そうだとすれば、ここにいわゆる模範的なものを作って、金がかかって、これでは大へんだからやめてしまうということになったのでは大へんである。だから、十分一つ検討を願いたい。  それから、今道路局長お話では、東京・名古屋間については今検討中だ、こういうように言う。実は東京・名古屋間については、去年国会を通った国土開発縦貫自動車道建設法によれば、中央道、いわゆる岐阜県、長野県、山梨県を経由するということになっておる。ところが、この法案が国会を通過するのに三、四年もかかったその理由は、中央道、すなわち長野県を通るか、東海道を通るかという、その議論のために、法律が国会を通過することがおくれたのでございますが、しかし、それが今なおくすぶっているようである。一体、道路局長は、調査の上と言っておられるが、これは、中央道をやめて東海道にしたいというので調査しているのか、それとも、国会の意思として通ったこの法律のうちで、中央道を通すという決定的な確信のもとに調査を進めているのかどうか、これが聞きたい、これがきまらなければ、ここに提案された道路整備緊急措置法とか、あるいは特別会計法とか、これはやってもむだなことになってしまう。根本をきめないで主要の通路、陸上輸送全体の計画はきまってこない。一面において国鉄は、ことしは新線建設費が九十億しかない中から十億円を削って、東海道複々線の建設のための調査費を五億も使う、こういうのでありますが、そういたしますと、東海道には交通機関が五本も十本もできる。一体これでいいのかという国道全体の問題もあるのでありますが、法律で通った、国会として決定している東京・名古屋間は中央道を通る、こういうことの建前で一体調査をしておるのか。それとも、これは工合が悪いから変えるかもしれないという考えで調査しているのか。その根本について、政府の見解がきまっており、法律を尊重した考え方で方針をきめて、それに基いて道路整備計画をやっておるのかどうか。それを、まずこの法案審議のためには、最初に承わっておかなければならぬ。
  123. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 中央自動車道については、お示しの通り、これは法律できまっております。ただし、これを高速自動車道として、有料道路としてやるかどうかは、調査の結果果して経済上ペイするかどうかという問題にからんでくるだろうと思います。しかし、中央道をやることについては、法律で定められていることでありまするから、これは、必ず実施しなければならないと考えております。  なお東海道線につきましては、現在の道路を改良するということは、既定方針でございまするが、さらにただいま御指摘の全体の輸送計画から見て、鉄道と、さらにバイパスとして高速自動車道路、有料道路を作るか、これは今後の研究に待たなければならないものと考えておる次第であります。
  124. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私が、今だんだん質問しようと思うことに、建設大臣は触れましたが、東海道に運輸省の方では広軌の複線を作る、それに建設省では、東海道に自動車道を建設するという、こういう考え方があるのかどうか。一方中央道の方は、必ずやるという方針がきまっておる。そうなりますと、国鉄、運輸省、それから中央自動車道、国土開発縦貫自動車道の問題と、そうして建設省が考えている東海道の自動車道、この三つの問題が今錯綜しているように思う。国鉄も建設省も、自分の道路あるいは鉄道が陸上交通機関として一番重要なものだと、こう思っているのは無理ないことと思いますが、名古屋・神戸間に今作りつつあるかなりぜいたくな高速自動車道は、アメリカ以上のりっぱなものだ。こうなりますると、自動車輸送というものは、長期経済計画にも書いてありまするが、車両の大型化、高速度化、自動車の非常な発達によりまして、鉄道に負けないような大量輸送に耐え得る、すなわち、それが今までは短距離でありましたが、長距離、中距離にもどんどん使われることは当然だ、これは外国の例でもわかり切っておる。そうなると、この自動車道と鉄道は一体として考えなければならぬ。そういうものを東京・神戸間に三本も作るということは、むだがないかどうか。またどこを最優先に作ったらいいかどうか。またその交通の幹線網と、今ここに提案されている国道、重要地方道の整備計画とがマッチしなければならぬ。今の道路を改修するのだから、別に基本問題がきまらなくてもやられると、建設大臣はあるいはおっしゃるかもしれませんが、今の道路といえども、今見ますと、自動車を通すのが主目的になっている。そうだとすれば、幹線の自動車道と当然に連絡した計画的なものでなければならぬ。だから、中央道か東海道が、そのどれをとるか。あるいはそれに対して、国道、重要地方道をどういうふうに配置するかということは、基本問題から考え直さなければならない。今の交通需要に応ずるだけではなく、国土全体の開発や、日本の社会、経済、人口の配分という将来の見通しのもとに計画されなければならぬと思う。せんだっての新聞に、道路政策閣僚懇談会というものができたということを報じておりますが、これは法令に基くものでなく、関係閣僚の懇談会であろうと思います。これは、建設大臣も御承知のように、今国土開発縦貫自動車道建設審議会があり、鉄道建設審議会があり、道路審議会がある。それぞれの輸送機関について三つの権威ある審議会ができている。これを調整するのはいかなる機関がするのか。今の交通関係の閣僚懇談会が調整するのか。それをはっきりお尋ねしたい。  それと、道路整備緊急措置法の第二条に、この道路整備計画は建設大臣が作って、ただ高速自動車については、運輸大臣に協議するだけである。建設大臣は、建設だけのことしか考えないとは申し上げませんが、日本全体の政治、経済、社会、文化のあらゆる面から日本の将来というものの見通しをつけ――日本経済、社会活動の動脈は輸送機関ですから、これがよくならなければ、いろいろな産業の配置もできないし、人口の配置もできない。最優先的に、政治経済の一番先にこの陸上交通計画というものをこの際はっきりと立てて、それに基いて道路整備計画を作らなければ、せっかく九千億の大金を投じて道路を整備しましても、むだになってしまう結果になる。私は、昨年同僚と東南アジアへ行ったついでにロンドンまで行きました。そのとき、聞くところによると、英国の道路は、全部舗装されておる。ロータリーというものが当時できたときには、革命的な交差点の施設であった。ところが、その後イギリスは今の専用自動車道のことは考えていなかったので、今は自動車が非常に多くなって、のろくて困り切っている。新たにアウトバーンを作っても金が要る、結局二重投資になるというので、非常に困っているということですが、こういうことを十分お考えになっておるかどうか。道路整備五カ年計画でやる仕事が、今のイギリスの舗装されたりっぱな道路のようにむだになる、二重投資になる。そういう危険を感じないかどうか。建設大臣の意見なり、これまでの状況お尋ねしたい。
  125. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 まず第一点は、道路と鉄道の総合的な見地に立って、交通運輸政策をどう考えるかという点でございます。御指摘のように、従来ややもすれば、道路は道路だけ、鉄道は鉄道だけという観点から、いろいろと審議、計画した傾向がなきにしもあらずでございます。そういう観点からいたしまして、先般われわれが提唱いたしまして、大蔵大臣経済企画庁長官、農林、建設、運輸、こういう関係閣僚による交通関係閣僚協議会を設けまして、そうしたいろいろの従来ある計画をどういうふうに調整し、かつ順位をつけてやるかということを協議して、全体のバランスをとった措置をいたしたいと考えておる次第でございます。これは、法律に基くものではございませんが、政府の道路交通政策に対する最も権威ある組織として運用して参り、これで策定されたものを政府の統一したところの全体的な意見としてまとめ上げたい、かように考えている次第でございます。  その次に、英国等におきまして、従来の道路を単に拡幅整備したというだけでは、経済の進展に伴いまして適当でない、むしろ新たに、従来の道路のほかに専用自動道路を作らなければならないという羽目に陥っておるのであるが、日本においてもそういう憂いはないかということの御質問でございます。これは、いろいろ御議論のあるところでございまして、われわれといたしましては、自動車専用道路をもやっていきまするが、何しろ現実日本の道路が非常におくれておりまするがために、先ほど御指摘になりましたように、高速自動車道路だけできても、これに相関連しまする地方道等が十分にこれに総合的に連絡しておらなければ、かえって地方の発展にならない、こういう御要望もありまするので、そういう点は、両者相関連して道路整備計画を立てて参りたい、さように考えておる次第でございます。
  126. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 運輸省あるいは国鉄にお伺いしたいのだが、今度東京・大阪間に広軌の複々線を建設する、こういう計画があるそうでありまするが、その事業費総額、それから何年間にどういうふうにやるのか、それによって貨物、旅客の輸送量の解決がどうなるか、簡単に御説明を願いたい。
  127. 八木利真

    ○八木説明員 ただいま御質問のありました点にお答えいたしますが、第一に、ただいまお話のありました東海道の新幹線につきましては、ただいま委員会を設けましてなお検討中でありますが、ただいままでに検討されました結果におきましては東海道線は、実は一昨年の暮れもそうでありましたが、輸送の状況が逼迫して参りますと、東海道が詰まっておるということから、全国的に輸送を抑制しなければいけないような状態が出て参るのであります。そういう点をいろいろ検討いたしまして、東海道線に輸送力をつけるにはどういう方法でつけるがよろしいか、こういう点を検討するために、委員会を設けまして、現在までやっておるような次第であります。この点につきまして第一に問題が出ましたのは東海道の行き詰まりは非常に近い時期に参りますので、これがためには、新線を建設しなければいけない、こういう結論が出ております。その新線につきまして、こまかい点はなお委員会におきまして検討しておりますが、ただいまのところでは、この新線を作るにはおよそ二千億の金がかかる、このような計画が検討されておるわけであります。  行き詰まりの参りますのは、いろいろな資料によりまして検討しましたが、先ほどお話のありましたように、東海道に新しい道路ができるということも考慮に加えなければなりませんので、これも考慮に加えていろいろ見ましても、現在企画庁等で御検討になりました長期経済計画を考慮いたしますと、昭和三十七、八年ごろから、おそくとも四十年には東海道の輸送が全面的に行き詰まって参る、こういうようなことから、車海道線をぜひ増強する、その増強の方法といたしましては、新幹線でやるのが、輸送力をつけるのには最も適当な方法である、こういうようなことに現在なっておるのであります。
  128. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 今二千億かかる、そして、しかしそれは道路もできるのでというお話がありましたが、あなたの言う道路という意味は、この道路整備計画に基いて一級国道を改良する、この道路のことを言うのですか。それとも、自動車専用の新たな有料もしくは無料の道路ができる、こういうことの想定ですか、どちらですか。
  129. 八木利真

    ○八木説明員 東海道にできます道路といたしましては、先ほどから御議論になっておりましたように、新しい自動車道路ができる、それによってどれだけ貨物なり旅客が東海道から移っていく、こういうことを考えたのであります。
  130. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 建設大臣と大蔵政務次官お尋ねしたいが、そうなると、鉄道については、大阪・東京間二千億円、それから自動車道を、縦貫自動車道建設法案では中央道を作ることになっておりますが、もし必要だというので東海道に自動車道を作るという場合には、名古屋・神戸間の率で行くと三、四千億円かかり、合せて東海道だけで五、六千億の大金が要るわけです。これはなかなか容易じゃない。そうなると、一体建設大臣としても、この鉄道の計画とあわせて東海道の自動車道路においてどう考えたらいいのか。鉄道を先にやって、中央道をやって、国土開発のためには、むしろ距離の短かい中央道を通って、早く東海道と中央道と両方に交通網を作るのがいいのか。それとも、なおその上に東海道に自動車道を作るのか。そうなると、大蔵省としては財政的な負担に耐えられなくなる、こういうことになると、国家としてはどの事業をどうやるのか。日本の長期経済計画等の見通しと相待って、根本的な対策を私は講ずる必要があると思う。これについて、建設大臣と、それから財政的観点から大蔵省の意見を聞きたいと思う。昭和三十七、八年から四十年ごろになると、東海道に自動車道ができても、今の狭軌では足りない、もう一つ広軌の国鉄が必要だ、こういう今の国有鉄道の見解です。そうなりましたならば、この東京・大阪ないし神戸間の陸上交通という問題を三つやらなければならない、大へんな話だ。一体どれを優先的にやるか、鉄道を一本往復やる、自動車道は中央道が東海道を作るというならば、一体二本のうちでどっちを先に解決しなければならぬか、これは、建設大臣にお伺いしたい。大蔵省の方は、必要があれば三つ一緒になる、そんなことは一体財政的に可能なのか、昭和三十七、八年までには輸送は詰まってしまう。その問題を解決するために、財政上一体そういうことができる見通しがあるのかどうか。
  131. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、東海道線の経済発展に伴う輸送の需要増加に対して、鉄道と道路を、どういうような配分によって事業をやるべきかということについて協議するために、御承知のように関係閣僚協議会を設けまして、ただいま検討案といわれるところの運輸省関係の計画と、それから経済企画庁の、今後経済の伸張率に対応する輸送需要とを勘案しまして、道路と鉄道をどういうふうに現実に予算措置を講ずる方がより合理的であり、経済的であるかということを、今後検討いたす予定になっておるわけでございます。なおまた中央道と東海道通線は、先ほどお答えしたことで一応尽きているのでございますが、ただ御参考のために申し上げておきたいことは、単に神戸・大阪と東京だけの間の輸送ばかりではなく、その区間において、相当のこれは経済的に重要なる産業基地がありますので、その地区における輸送需要をどういうふうに勘案するか、こういう点も考慮していかなければならぬと存じております。
  132. 坊秀男

    ○坊政府委員 鉄道と自動車道を含めました縦貫道路の整備につきましては、いろいろ有力なる御意見もございまして、先ほど根本大臣がお答え申し上げました通り、これらの点につきましては、関係閣僚協議会の間で、慎重に今検討が重ねられておるわけでございますが、自動車道路等につきましては、東海道にするか中央道にするかといったような点については、まだ決定を見ていないようでございます。これらの協議会の決定によりまして、だんだん問題が最も有効なるものにしぼられてくるであろうと思いますが、むろん財政負担から申しては、大へんな大仕事でありましょうけれども、大蔵省といたしましては、それらの決定されました案につきまして慎重に検討をいたして、実現をはかりたいと思っております。
  133. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 建設大臣にお伺いしますが、交通関係閣僚協議会、それはいつまでに結論を得るものである、それで結論を得ないままこの法案が通って、着々事業が始まってしまう、むだができてやり直すということになっては大へんなことです。それから、一方において、国鉄では五億円も使って、東海道線の調査も始まる、一方中央道、東海道両方調査が始まる、事務当局が三つに分れてやり合ってけんかしているのが現状でしょう、御承知かどうか。だから、国の大方針をきめて、その方針に従って事務当局にそれぞれの仕事をやらせるようにしないと、非常に精力の浪費である、またお金のむだ使いになる、だから、その国家の方針――今の東海道か中央道かということがきまらない。また東海道の複々線をどうするかきまらぬ状態のままでたくさんの金を使い、一方五カ年の道路整備計画を始めるということになっては、英国の道路政策の誤まりの二の舞を演ずることになる。だから、閣僚協議会で早く方針をきめ、それを、それぞれの関係機関に示して、それに基いてやらせるようにする必要があると思う。私は、むしろそれがきまるまでは、こんな法律はまだ作らない方がいい。大へんな九千億の金を使わなければならぬ、そのうち十分の一がむだになっても九百億円損をする、名古屋・神戸間五百五十億円でできるものを、八百億円あるいは一千億円もかかるということになっては、これは、国民の膏血をどぶに捨てることになるのでありまして、一体いつごろまでにその交通関係閣僚協議会が基本的な陸上交通の方針を決定をされるのか。その決定をした上でこの道路整備計画に着手するのかどうか、それを一つはっきりお答え願いたい。
  134. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 竹谷さんの論じておられますのは、日本経済の伸びに対して輸送が隘路となっておるが、これを全面的に解消するためには、鉄道あるいは道路、これがバランスがとれて、しかも最も効果的なものをやれということについては、お示しの通りでございますが、現在のこの緊急整備五カ年計画の内容は、現状において非常に梗塞しておる、とりあえずやらなければならぬものを第一期の計画として、五カ年整備計画になっておるのであります。従いまして、これができましても、まだ輸送需要にこたえることができない。そのために、東海道線の鉄道の複々線、あるいはさらに縦貫道路なり、さらには東海道線に自動車専用道路を作らなければならぬということになりますので、従いまして、この整備計画ができてから後、さらに新たなる路線を鉄道か、あるいは道路にやってむだになるということは、これはないはずでございます。この点は、国民の最も要望しておる現実の隘路を打開するという意味において、これはむだにならないと考えております。  それから交通関係閣僚協議会の結論がいつ出るか、これは、この一、ニカ月で直ちに結論が出ることはなかなか困難じゃなかろうかと思います。竹谷さんも御指摘のように、鉄道と道路、しかもその需要の伸びと、さらにはまた、これをどういうふうに経済的にアレンジした方がいいかという問題でありますので、これは、慎重に検討いたさなければならぬと思いますから、この数日中とか、あるいは今月中とか、あるいは来月中ということは、なかなか困難であろうと存じます。
  135. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 最後に、建設大臣にもう一点お尋ねしておきたい。今までの道路は、人も歩けば車も、自転車も、馬も、サルも、ネコも歩くわけであります。(笑声)それで、この道路整備緊急措置法を見ると、何となしに、従来のそういう混合交通の道路にとらわれ過ぎた法律案ができておるように思う。これから陸上交通は、人間が歩いたり何かするということは非常に少くなって、大部分は自動車なり、あるいは空には飛行機が飛ぶようになるだろうと思う。だから、道路はもちろんのこと、これの中心になる自動車道なんかも、今までの道路という古い観念だけにとらわれないで、もう鉄道と同じに、貨物、それから人間も輸送する非常に重要なものになってきました。従いまして、幹線となる自動道に連結する国道なり重要地方道は、能率の高いもので、これと一体をなすものでなければならぬ。むろんおっしゃるように、この緊急措置法は、現在の隘路を打開するのに役立つことはもちろんのこと、そういう面が一面あります。しかし、幹線自動車道と連結して初めて全きを得るのであって、将来必ずそうなる。そういう点から、新たなる輸送路というものは、日本の将来の発展というものを考えつつ、新しい一つ企画をしてもらいたいというのが私の考えで、それにマッチするような道路整備計画をやってほしい。そうすれば完璧が期せられる、こういう考えから私は申し上げておる。そこで、建設省も従来の思想にこだわらないで、新しい航空機、あるいは自動車も輸送機関として今革命的な状況になっておる。これを頭に置いて、また将来の道路全体の総合的な発展なり、新しい計画に基く人口の動きや産業の開発というものの見通しをつけてやってもらいたい。そういう点、もっと限界を建設省は広くして、およそ日本の社会の、生産でも政治でも文化でもあらゆるものが利用しなければならぬこの輸送機関というものが、全部の政策の総合の基盤であるということをお考えの上、一つ立案をするし、また道路整備をやっていただくように、そういう点にぜひ一つ部下を監督していただきたい。それに対する御意見を承わりたい。
  136. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま御指摘の通り日本の従来の道路に関する観念が変っていかなければならぬと存じております。その意味におきまして、従来の国道の整備をいたす場合においても、ただ単に今までの道路そのものを拡幅するという思想ではありません。一応その従来の線は活用しておりますが、改良の場合においては、相当密集した土地、屈曲しておるところは、新たに路線を設定いたしまして、それにかえる政策をとっております。さよういたしまして、地点は、長距離の自動車が十分に相当のスピードをもって輸送でき得るという内容を持つところの構造令を作りまして、それにやっていくつもりでございます。なおそのほかに、お示しの自動車専用だけのものは、漸次財政の許す限りにおいて、これは開発的意味をも含めて、今後計画して参らなくちゃならぬと思いますが、何しろ現在の日本の道路の事情からすれば、現状の隘路をまず打開していかなければどうにもならないということで、この等一計画は、そこに一応の重点を置き、漸次竹谷さんが御指摘になりました線に沿うて、根本的な道路の新たなる構想をだんだん加えていく、かように努力して参りたいと思っております。
  137. 足鹿覺

    足鹿委員長 ほかに御質疑はありませんか。――御質疑がないようですから、両法律案に対する質疑はこれにて終了することといたします。  なお両法律案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決することといたします。  採決いたします。両法律案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認めます。よって両法律案は原案の通り可決いたしました。  なおこの際お諮りいたします。ただいま可決いたしました道路整備特別会計法案につきまして、附帯決議を付したいと存じます。案文を朗読いたします。    道路整備特別会計法案に対する附帯決議  昭和三十四年度以降の道路整備計画の実施に当つては国の負担金の割合及び補助金の率の決定等について地方財政の現状にかえりみ、不当の圧迫を加えざるよう留意すること。  以上であります。  本附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認めます。よって附帯決議を付することに決しました。  なおこの際お諮りいたします。ただいま可決いたしました両法律案に対する委員会報告書の作成並びに提出等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     ―――――――――――――
  141. 足鹿覺

    足鹿委員長 次に、理事辞任の件についてお諮りいたします。理事であります田万廣文君より理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました。  続いて理事補欠選任を行いますが、これは、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕」
  143. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長において井上良二君を理事指名いたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後四時四分散会      ――――◇―――――