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井上委員 もう一点で終りますが、問題は、あなたらのような御
意見でございますと、なるほどしろうとわかりにはまことに簡単に了解されることで、原価が上ればマージンはそれだけもうかるし、下ればそれだけ少くなる、これは、普通の商品を扱っている場合はそうでございましょう。ところが、
政府から税金というものを完全に捕捉しなければならぬという任務を負わされて、これは、実は酒が完全に数量が確保されておる、もし途中でそれを割ったり、あるいはなくしたりしました場合は、それだけ自己
負担をしなければならぬ、税金は立てかえなければならぬ、こういうことになっておる。この税金を負けてくれるということなら、損耗を見るということなら、これはまた話は別だ。ところが卸、小売の段階における蔵出し後の数量に対しては、完全に確保されておって、途中で損耗が出ても、それは全部
責任を負わされておる、こういうことになっているのですから、そうなりますと、どんどん税金の引き下げに伴って製造原価が安くなるというのとは違って、税金が安くなっていくんだ、税金が安くなるという問題は、これは
国民の、
消費者の
負担が軽くなるのであって、それがために、卸、小売がそばづえを食って迷惑になるということになってきたら、今度は全国の卸小売屋は、減税ということになった場合は、赤旗を立てて反対に来ますよ。自分のマージンが削減されますからね。そうなりますと、これはえらいことになってきて、ついにわれわれとしては、卸、小売の段階の許可認可制度による指定商を撤廃しろという運動をやらなければならぬことになってしまう。そういうことも考えられますから、この卸、小売のマージンの算出におきましても、やはり公正な検討をされて、
消費者及び業者が納得する適正なマージンを十分御検討されたいという強い希望を、私は申し上げておきます。
最後に、ビールの問題でございますが、これは、私いろいろ検討いたしておりますけれ
ども、現在ビールは、原価が一本について二十三円六十銭くらいにしかついていない。これを一升に直すと、七十円くらいについておる。これを課税の対象からいきますと、ビールは五六%二の課税がされておりますから、その上にあります清酒一級五八%七、これのなにから見ますと、工場の原価、つまり原価が百七十九円についておる、この清酒一級酒は。それから考えてみても、いかに高いか。ビールの中身が安くて、しかもビールのアルコール分は、たしかあれは四度じゃないかと思っていますが、もっと高いのですか、私よくわかりませんがたしか四度か六度くらいだと考えておりますが、お酒は、御承知の
通り十五度から十六度が
通り相場ということになっておる。そうすると、お酒の半分にも達しないアルコール分を、もって、あとはほとんど水を売っておる、水に税金をかけておる。極端にいえばそういうことなのです。それで、大衆には、これは大衆酒ではなくて、上等酒として減税の対象からはずされておる。これは、農村の方ならば、御承知の
通りしょうちゅうなり、またはどぶ酒なり、それぞれございますから、何とか安い酒で適当にやっていきますけれ
ども、都市の働く大衆は、これから夏になってきますと、やはりビールを非常に愛好いたします。わきの慰安娯楽の手っとり早い機関がそう安くございませんから、どうしてもやはり自分の肉体的疲労を回復する最も手っとり早い嗜好品として、このビールが最も愛用されるのであります。そういうゆえんから、このビールを何とかしてもっと引き下げる必要があるのであります。そういう
意味合いで、私の方の党からは、御承知の
通りビールの税制改正の案を出しておるのでありますが、私
どもの考えでは、現在、三十二年度の
政府のビールの醸造の実績を調べてみますと三百四万石、それが本年度は三百二十万石、約十六万石の増を見込んでおります。この調子で、もし私
どもが主張いたします
通り、ビール一本の中身
価格百円という最も大衆が買いやすい
価格に引き下げますと、私
どもの計算によりますと、ざっと三百七十万石くらい売れ行きが自然に伸びる、こういう計算を実は立てておるのであります。そうしますと、それだけ売れ行き増になりますから、従って、減税をいたしましても、直接今年度の
予算に減収となって現われてこない、こういう計算を立てておるのであります。そういう見当から、いま一応
政府当局では、都市の働く大衆の夏期に多く愛用されるこのビールを、何とか他の清酒、しょうちゅう、合成酒と同様の取扱いを何で一体していただけないのか、もうそんな余地は考えてないのか。もし考えてないとするならば、来年度の税制改正の場合に、この問題について、
政府の方に十分検討する余地があるのかないのか、この二点について、
一つ大蔵大臣から明快な御
答弁を求めたいと思います。