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1958-03-20 第28回国会 衆議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 足鹿  覺君    理事 大平 正芳君 理事 黒金 泰美君    理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 平岡忠次郎君       井出一太郎君    奧村又十郎君       川野 芳滿君    吉川 久衛君       小泉 純也君    杉浦 武雄君       高瀬  傳君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    長井  源君       南條 徳男君    古川 丈吉君       宮澤 胤勇君    山手 滿男君       山本 勝市君  早稻田柳右エ門君       有馬 輝武君    井上 良二君       石野 久男君    石村 英雄君       神田 大作君    田万 廣文君       横錢 重吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (主計局次長) 佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         食糧庁長官   小倉 武一君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      泉 美之松君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 三月二十日  委員足立篤郎君、有馬英治君、遠藤三郎君、中  山榮一君、平野三郎君、山手滿男君及び阿部五  郎君辞任につき、その補欠として早稻田柳右エ  門君、宮澤胤勇君、長井源君、南條徳男君、小  泉純也君戸塚九一郎君及び神田大作君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員小泉純也君戸塚九一郎君、長井源君、南  條徳男君、宮澤胤勇君及び早稻田柳右エ門君辞  任につき、その補欠として平野三郎君、山手滿  男君、遠藤三郎君、中山榮一君、有馬英治君及  び足立篤郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十九日  生命保険料所得税控除額引上げに関する請願  外一件(南條徳男紹介)(第二〇四七号)  同(永井勝次郎紹介)(第二〇六八号)  同(田中正巳紹介)(第二一一二号)  同(本名武紹介)(第二一四五号)  旧国鉄共済組合年金改善に関する請願保科善  四郎君紹介)(第二〇四八号)  節句用飾物及び人形類物品税撤廃に関する請  願(内藤友明紹介)(第二一一三号)  サーカスの入場税改正に関する請願小西寅松  君紹介)(第二一三九号)  綱鉄事務机等免税点引上げに関する請願(足  鹿覺紹介)(第二一四〇号)  コンパクト課税最低限引上げに関する請願(足  鹿覺紹介)(第二一四一号)  双眼鏡及びケースに対する物品税撤廃に関する  請願足鹿覺紹介)(第二一四二号)  運動具に対する物品税撤廃に関する請願(池田  清志君紹介)(第二一四三号)  不渡防止対策に関する請願河野密紹介)(  第二一四四号)  酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部改正に関する請願足鹿覺紹介)(第二一  八二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第八号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九号)  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇号)  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一四号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一五号)  食糧管理特別会計における資金設置及びこれ  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第一六号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第五八号)  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八二号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九六号)      ————◇—————
  2. 足鹿覺

    足鹿委員長 これより会議を開きます。  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案食糧管理特別会計における資金設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案及び厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。井上良二君。
  3. 井上良二

    井上委員 ただいま議題となりました食糧管理特別会計法資金を設ける法案に関連しまして、二、三質問を申し上げたいのですが、この法案によりますと、食管特別会計運営健全化するために一般会計から百五十億円を繰り入れる、こういうことであります。それは、すでに三十二年度補正予算処置をした、ところがこの法的根拠を法文化しなければならぬ重大な目的を、運営健全化というようなきわめて抽象的なことでぼかしておりまして、終戦前からずっと今日まで続けて参りました食糧管理特別会計が、今日まで特別の資金ワクを持たずに運営したのに、さほど大きな支障を見ておりません。ただ根本的には、私ども予算委員会農林委員会、また本委員会等でたびたび議論いたしております通り、国は今日なおかつ食糧統制をいたしておるのでありますが、この食糧統制は、御存じの食管法によりまして食糧統制をやっておる、これは国の食糧政策としてやっておる。しかるにこれに関連する一般行政費というものは。ほとんど一般会計負担をしておらぬ。たとえば国民年間安定した価格で配給をしなければならぬ義務を背負わされておる政府としましては、やはり出来秋をめがけまして、一時にこれを買い上げなければならぬ、そのために必要以上に集荷費倉敷金利費輸送費、こういうものが非常にかさまってきておる。これはもし自由競争自由販売であります場合は、かようなものは非常に変ってくる。それは、ことごとく国の食糧政策国民生活安定向上の必要から起ってくる国の行政の一環としてやっているにかかわらず、国が一般会計からこれらの経費負担をしていないというところに、この食糧管理特別会計運営の上に無理があるということを私どもは今まで指摘してきている。この根本問題に対して何らメスを加えず、一般会計からその運営の不円滑な重要な要素になっておるものについての財政上の責任を負わず、これでもって、昨年から本年へかけて多少わが国の経済余裕ができ、財政上予想以上の自然増があったからということで、補正予算でもって、まだ決算もしていない三十二年度の赤字を目当てに資金ワク設定する、かような全くその場の一人よがりの資金設定のこの法案は、ものの本質をわきまえぬつけ焼刃的なもので、なかなか簡単にそうはいかぬ。だから、根本的にただいま質問をいたしておりますように、食糧管理を国の行政として行なっている以上は、当然一般会計から負担すべき財政上の責任がある。それを何も負担せないでその負担する道はないと考えておりますか。これは大蔵大臣に聞かなければならぬところだけれども、おらぬ。坊政務次官に御答弁願います。
  4. 坊秀男

    坊政府委員 井上委員の御指摘通り、現在の食糧需給関係から申しまして、食糧につきましては、統制建前をとっておるわけでございます。従いまして、食糧行政上、食管特別会計というものが設定されておりまして、食糧会計につきましては、食管会計でやっておるわけでございますが、この食管会計につきまして、従前からの例といたしましては、常に赤字が出るというような傾向をたどってきておりますが、何とかしてそういうことがないように、これを健全化していきたいというような建前から、今度食糧管理特別会計法を改正いたしまして、そうしてこれらの会計内容健全化するために、今度の法律案でもって資金繰り入れる、こういうように考えましてやったのが、今度の資金繰り入れ法案でございます。
  5. 井上良二

    井上委員 これは、資金繰り入れ法案と違うのです。あなたも大蔵次官をやっておって、そんなことわかっておるだろう。これは、資金設定する法案なんです。毎年々々出してくる資金繰り入れ法案と違うのです。よろしいですか。だから問題は、何ゆえにここに資金設定の新しいかような制度を設けなければならぬか、その原因は、国の食糧行政として、国民経済発展向上の上から必要だということで、食糧統制をやっておる。それなら当然国が食糧統制行政費というものは負担すべきです。一度に買い上げて、これを安定した価格で配給しなければならぬために、自然に起る正常な経費というものは、当然これは国が一般会計から負担すべきだというのが、われわれの建前です。この建前が誤まっておるかどうかということをわれわれは聞いておる。われわれは誤まってないと思うから、それは一般会計負担すべきだ、食管会計でそんなむちゃなことをすべきじゃない、そんなむちゃなことをするから、運営が困難になって赤字が出てくるのです。それを私は聞いておる。私の言うことは間違っておるか、そこを聞いておる。
  6. 坊秀男

    坊政府委員 井上委員のおっしゃいますように、行政費等は、これは一般会計負担すべしというような御議論も非常にありまして、まことにもっともな議論ともいわれておりますが、しからばその行政費の中のどれだけが果して行政費か、そうして、この行政費の中のいかなる部分一般会計において持つべきかどうかというようなことにつきましては、農林、大蔵省におきまして非常に検討をしておるような過程にあるわけでございますが、そういうような点につきましては、一つ事務当局から詳細に説明させますから、御了承願います。
  7. 井上良二

    井上委員 それは、事務当局の問題じゃない。計数その他の問題を聞いておるのじゃないのです。いわゆる食糧管理政策において、国の行政の上の責任を当然政府が持たなければならぬ、その行政費負担してないというところに問題がある。私が言うておる通り年間一定価格で配給しなければならぬ責任政府にある、一定量を配給しなければならぬ責任がある、そういうところから、出来秋を目がけて、一度に供出、集荷をさせなければならぬという非常な無理が行われるのですね。そのために、集荷費であるとか、集荷奨励費であるとか、あるいは早場米奨励金であるとか、あるいはまた保管料、これに伴う金利輸送料というものが余分にかかるのです。その余分にかかるものを食管会計の中の損益決算に入れて、そこで赤字が出たからということで、全部食管の大きな負担におっかぶせて、毎年々々資金繰り入れ法案をここへ出してきておる、こういう形ですよ。だから、この根本の問題を解決せなければいかぬじゃないかというのが、わしの意見なのです。これは、事務的な問題とは違うのですよ、政治的にこれをどうするかという問題です。だから、あなたの所見を聞いておる。あなた一人で答弁ができなければ、大蔵大臣に相談して答弁するというならまだわかるが、事務当局の方から答弁させるというのでは、筋道が違うのじゃないか。
  8. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまお話の中に、出回り期における金利倉敷という具体的な問題についてもございましたので、それに関連して、若干私どもの検討したところを申し上げます。御指摘がございましたように、食糧管理になっております関係上、またこれまでの食糧需給上、できるだけ出来秋に米を集荷するということで、いろいろ措置を講じたこともございますし、また早場米奨励金等も、そういう意味での措置であるというふうな一面も持っております関係上、金利あるいは保管料という政府負担になっている部分が、間接統制なり自由のときに比べれば格段に多いということは御指摘通りでございます。しからばその自由な場合、あるいは間接統制に比べまして、政府負担になっている金利倉敷一般会計負担すべきかどうかということになりますと、なお問題がございます。と申しますのは、これは簡単明瞭なことで、申し上げるほどのこともないのでありますが、自由であろうと統制であろうと、米は一どきにできるわけでございまして、それを年間になしくずしにするわけでございますから、その間の金利倉敷については、生産者か、消費者か、中間業者か、だれかが負担をしておるというわけでありまして、政府が一律的に負担しなければならないということには必ずしもならないわけでございます。従いまして、理屈上それは行政費であるというふうに割り切るわけにはなかなか参らないかと思うのでございます。それから金利などにつきましても、なるほど金利もその間かかるわけでございますが、一般金利に比べますと、政府資金でやっておる関係上、特段に安い金利になっておりまして、それが期間としては長うございますけれども、その間の金利は、いわば国庫余裕金との関係もございまして、低い金利になっております。従いまして、政府が、やっておるもので、特に高い金利消費者にかけておるわけではないといったようなこともございまして、なかなか簡単に割り切るわけには参らないという点がございますので、今回金利倉敷等についての一部につきましては政府負担というふうに、いまだ割り切れていないというのが現状でございます。その他の経費につきましても、一般会計特別会計かという負担の問題ついては、論議になり得る、また当然論議すべき事項が、相当の金額のもので若干ございます。しかし、性格は違いますけれども、今申し上げましたような多少ずつ論点を変えれば、両論成り立ち得るようなものが実は多うございまして、どうも一律的に一般会計負担だというふうに割り切るわけには参らないのでございます。たとえば今運賃お話も出ましたけれども、これは、だれがやっても運賃はかかるのでございますから、いろいろ御批判もございますけれども、自由なり間接統制の時代に比べますれば、計画的な輸送をやっておるのでありますから、むしろ運賃だけをとってみますれば、おそらく二重輸送なり、交錯輸送なり、あるいは二段輸送なりといったことが非常に省かれておりますので、この点は合理化されておるにもかかわらず、なお運賃部分について政府負担すべきかどうかということになりますと、やはりこれは問題がございまして、なかなか一般の納得し得るような線を引くことができないというのが現状でございます。しからばと申しまして、食糧管理のコスト全体を全部消費者が当然負担すべきだということを刻々にやって参りますことも、なかなか事実上困難でございますので、特別会計全体として合理化に努めると同時に、やむを得ず出る赤字は、そのつど一般会計から繰り入れる、こういうようなことで処理する、これはおおむね従来そういういき方をしたわけでございますが、今回その間に調整資金というものを設けて、その間の関係を若干円滑にするというような工夫をこらして、今申しましたような、いろいろな見解の分れるところでございますので、そういうふうな措置が適当ではないか、こういうような判断をいたしたわけであります。
  9. 井上良二

    井上委員 私から特にこの問題をやかましく取り上げますのは、この食糧管理法の第一条、目的に「本法ハ国民食糧確保及国民経済ノ安定ヲ図ル」ということが、原則的にはっきり打ち出されておる。このために、また国が今日までどれだけ食糧を確保して国民経済安定向上してきたか、はかり知れぬ大きなものがある。そのゆえに、国もまた食管赤字は、そのつど一般会計から繰り入れ補正をしてきておるということがございますが、だから問題は、昭和二十年以来毎年今日まで、ほとんど赤字が出ておるといわれておるし、今年も出ておる。かような赤字が累積しておりますのに、根本的な食糧管理をやっておる国の行政上の責任というものは、最終的に何ら責任を負うていないというところに、私は問題があると思う、それをやっておかないから、いや米価が高過ぎるの、消費者価格が安過ぎるのということで、いつも問題がそこへしわ寄せされている。どちらかが犠牲になって、いつも問題がしぼられてくるということに私はなりはせぬかと思う。そしてまた昭和二十年以来、資料によりますとほとんど毎年というていいほど、特に昭和二十四年、二十五年、二十六年、この三カ年だけが損失でないだけで、あとはほとんど毎年損失になっておる。かような損失が累年続いてきておりますのに、この場合は、一向こういう資金設定要求がされなかった。すでに当時見返り資金の問題があり、その他それに類する資金設定の国家的ないろいろな資金需要要求はあったわけであります。ところがその当時何ら食管会計においては、さような資金需要要求がなかった、それを本年突如としてかような資金設定要求があったのでございますが、そのおもなる目的というのは一体何ですか、法文上われわれはそれを一体どう理解していいのですか、はなはだその設置目的というものが明確でないということを、私は言わざるを得ない。しかも、先ほど大蔵政務次官の御答弁によると、何か赤字が毎年続くので、そこで今度こういう資金設定をいたして、食管経理運営を円滑にやりたい、こういうお話である。それなら、毎年一応一般会計なら一般会計から所要の資金繰り入れるという法律にすべきである。これは、この法案によると、臨時的な法案である。本年及び来年度の食管赤字を予想して、百五十億をめどとした資金設定というふうに、臨時的に解釈されるようなやり方をしてきておるのであります。だから、本来の流れていく支出を他の目的にやっていこうとする、資金設置の従来の意味と、今度のこの食管資金設定意味というものは、三十二年度、三十三年度の赤字がこれだけ予想される、そして三十二年度の自然増収がこれだけあるから、この自然増収をもってこれだけ今の間に埋めておこう、こういう手取早いでき心からやっておるにすぎない、そういうにおいがはっきりしておる。系統的にこの食管赤字が出るというのなら、毎年予算の許される範囲内において繰り入れていくというふうに法案を直すべきである。そうじゃありませんか、大蔵政務次官どうですか。
  10. 坊秀男

    坊政府委員 食管内容、あるいは食糧管理やり方につきましては、御指摘通りいろいろと改善もしていかなければならない点が多々あるであろうと思います。しかしながら本年にとりました措置というものは、さしあたって食糧管理特別会計赤字が出たならば、これを取りくずすというような目的をもって、また食糧管理特別会計内容健全化と申しますか、そういう目的をもって作られたものでございまして、将来のことにつきましては、食糧管理特別会計内容、また一般会計財政の状況といったようなものを考えまして、そうして適切な措置をとるということであろうと思います。
  11. 井上良二

    井上委員 それは、はなはだ国会の審議をちょろまかすことおびただしい。と申しますのは、従来あなたの方からは、毎年この食管赤字補正については、食管会計資金に充てるために一般会計から繰入金をする法律で、この委員会承認を得、本会議承認を得て処置をしてきたのです。従来それで一向差しつかえないのです。何でことしに限って、ことしと来年度の赤字を予想して、たとえばことし三十二年度に予想される赤字が九十六億二千八百万円、三十三年度に予想される赤字が四十二億八千八百万円、大体この両方合せて百五十億という資金めど設定をしたような印象が強い。もしあなたが今説明されるように、本年及び来年度に若干の赤字が出るから、そこで資金設定をいたしましたということならば、これははなはだもってけしからぬことで、食管法附則第二項によれば、食管赤字補てんは、原則として決算確定後、すなわち、七月三十一日に行われます決算確定後の主計簿締め切り後でなかったならば、この赤字補てんはできないことになっている。そこでやむにやまれず、本年は金が余るから、まだ確定はしないけれども資金額設定しておいてやろう、こういう御都合主義によってやったのじゃありませんか。それよりほかに考えようがないじゃありませんか。
  12. 坊秀男

    坊政府委員 御意見でございまするが、赤字補てんするという目的でのみこれを作ったものではありません。詳しいことは事務当局から答弁いたさせます。
  13. 井上良二

    井上委員 そんなむちゃなことはない。赤字補てんする以外に、何を目的としてやっているのですか。大蔵政務次官からそれを説明して下さい。
  14. 坊秀男

    坊政府委員 食管特別会計運転資金を豊かにいたしまして、そしてその内容を充実せしめるという目的で作ったのでございますが、たまたま何と申しますか、赤字と見合うような金額になったのであります。
  15. 井上良二

    井上委員 この資金は、食管会計買い入れ代金、売払代金の操作にこれを一時使うことになりますか。もしそういうことだったら、ほかの方との関係がえらいことになっていきますよ。
  16. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいま政務次官からお答えがございましたように、資金運転資金という作用を営むわけでございますから、必ずしも現金あるいはそれに準ずるものとして、そういうものとしてのみ保有しておるというわけではございませんで、それは食糧管理全般資金繰りの一部として運用されるということに相なるわけでございます。
  17. 井上良二

    井上委員 それですと、食管特別会計は、本国会に対して食管特別会計予算というものを提出しておる、この予算との関係はどうなるのです。
  18. 小倉武一

    小倉政府委員 予算との関係と申されましても、いろいろあると思います。お尋ねの趣旨は必ずしも判明をいたしませんけれども、三十三年度の調整勘定をごらんになっていただきますと、予定貸借対照表がございますが、その中に資金という欄がございます。その資金として、五十三億余りのものが貸方に載っておるわけでございますが、それは法律もございますように、百五十億のうち三十二年度の損はこの資金を取りくずして調節ができるようになっておりますので、そういう予定のもとに、取りくずすという前提のもとに、残額をここに計上いたしておるわけであります。資金というふうに費目はなっておりますが、これはもちろん現金でなくても差しつかえないものでございます。
  19. 井上良二

    井上委員 私の聞いておりますのは、御承知の通り、この予算書というものは当初予算として出されてくるのです。そして今度この資金設定法案に伴う百五十億の資金は、三十二年度の補正予算としてここに提出されてきたのです。そうなってくると、どだいややこしいことになってくる。ですから、そんな説明をしたらえらいことになる。だから、われわれ法案を審議する者の最も常識的な、便宜的な関係から申しますならば、何とあなた方が抗弁をしましょうとも、これはやはり三十二年度の赤字九十六億二千八百万円、三十三年度赤字四十二億八千八百万円を大体めどにして資金設定がされたというのが、常識的な見方であります。それを、いろいろつつかれるとうるさいから、経営の健全化のために使います、こう抽象的に逃げるだけであって、本質はそこにある。従って、そういう赤字めどにする資金設定ならば、例年本委員会に精査を求めて参ります通り食管会計赤字補てん一般会計から繰り入れをするというあの法律で十分間に合うのです。これで米を買わなければならない。一方において食糧証券発行限度がとめられ、あるいは食糧証券需給がはなはだ円滑にいかないから、そこで一般会計から金を借りて、米を買う金にこれを使おう、また運賃倉庫料金利等の支払いにこれを充当いたします、こういう事態になっておるということならば、私どもまた了解をいたします。しかし、業務勘定あるいは米麦等買い入れ勘定等を見ましても、別に一つ大きななにがない。従来と同じ経理やり方を追うてきているにすぎない。そうなりますと、この百五十億というものがことさらに他の勘定費目に充当されていくとは考えられない。結局は、帳じりの足らぬところへ埋め合せしていく、そのやり方しかないじゃありませんか。そういうことなら、ことさらこんな資金設定を必要としないし、もし資金設定を必要とするならば、毎年不足を生じますことが予想されるこの特別会計においては、毎年一般会計から財政上の許す範囲をもって繰り入れるということを法文に明らかにしておく必要があります。当然のことであります。それをせずにこんなふうにしたのでは、かえって屋上屋を重ね、百五十億をもうすでに決算前に繰り入れるということになれば、この調整勘定というものがいかに大ざっぱであるか、いかに大胆に計上されているか。初めから調整資金に所要の資金を与えて、その勘定をしてくれ、目当ての金はここへちゃんと渡しておくから——そんなうまい経理をするところはどこへ行ったってありませんよ。そういうばかな特別会計なんていうものは、これはあまりにも絹ふとんに抱かれているような行き方ですよ。これはいきませんよ。どうですか。
  20. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまの食糧管理特別会計法その他これまでやって参りました慣例等によりますと、食糧管理特別会計損失の処理の仕方といたしましては、お言葉にございましたように、特別会計法の附則の第二項によりまして、決算確定を待って填補することができるという規定がございます。これまでは、この規定によって填補してきたこともございます。しかし、これだけでやってきたわけではございませんので、お話にございましたように、決算確定を待たないで、見込みの損失を特別法を制定いたしまして填補するという行き方もございました。この二通りでやってきたわけでございます。  ところで決算上の損失補てんするということでございますれば、予算上の措置だけで特別の法律は要らないわけでございますが、決算を待ってやるということでございますると、その間相当時間を要するわけでございます。お話のありましたように、七月末になりまして決算を大蔵省に提出するということに相なっておるのでございますから、少くともその時分でないと決算確定しない。予算措置を講ずるとすればその後になります。たまたまその時分は、国会がないときが通例でございますので、そういたしますと、損が出る年の一年近い期間を経た後に損の処理がやっとできることに相なりまして、そういう方法で処理する行き方では、必ずしも特別会計法といたしましては健全なやり方ではないと思われるわけでございます。のみならず、法律上の基礎があるからと申しまして、決算上の損だからと申しまして、安易に埋めていくということもいかがかと考えられる節がございます。そういうわけで、あの附則の規定も、必ずしもその損失填補の方法としての原則をうたっているわけではないように、規定の上からも見受けられるわけであります。従いまして、そういう規定に依存するよりは、できるだけ損が見込まれますればそれに見合う程度以上のものを資金としていただいておいて、それで、損が出た上で、その損を資金で処理できるというふうないき方にした方が、特別会計といたしましてもより健全ではないかというような今回の趣旨でございまして、お話のように、しからばと申しまして、調整資金があるからといって、安易に損を出しまして調整資金を取りくずすというふうに考えておるわけでは毛頭ございません。
  21. 井上良二

    井上委員 お急ぎのようですから、一点だけで終ることにいたしますが、問題は、百五十億という巨額が一般会計から繰り入れられるということになりますと、何か別に大したことでないように考えているかしりませんけれども、百五十億というのは、われわれ国民の税金なのです。それだけの税金を新しく徴収するということを考えたときに、容易ならぬ大きな財源です。ですから、これが新しく今度資金ワクとして設定されて使われるということになりましたのでは、相当私どもとしては、真剣にその用途、目的、結果というものについて、あらゆる角度から検討をしておく責任が負わされておることは当然であります。しかし、何かしらえらく急ぎますものですから、私としては、これ以上質問はいたしませんが、ただこの法案が成立し、あるいは予算が通過いたしましたならば、一体すぐこの食管会計に入りますか。そうして、入った場合に、食管会計はこの金をどこへ保管をするのですか、中金に置いておくのですか、どこへこの金を置いておくのですか、その点を明らかに願いたい。
  22. 小倉武一

    小倉政府委員 中金その他の市中銀行等に預託しておくとか、ないし預金しておくというようなことはございません。膨大な借入金で現在運用しているわけでございますから、形の上ではその借入金の一部が減って、この資金が使われるということになるわけでございます。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員長 ほかに質疑はありませんか。——質疑がないようでありますから、四法律案に対する質疑はこれにて終了することといたします。  次に、補助金等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。横錢重吉君。
  24. 横錢重吉

    横錢委員 補助金等の臨時特例に関する法律案が、さらにまた本年一回だけ認められようとしておるわけです。しかし、これは本来臨時特例というものは、一回だけに限るものである。これが二十六年以来、毎年々々ことしだけことしだけというようなことで過ごされておることは、非常に遺憾なことだと思うのであります。これは行政のしりぬぐいを立法府が行なっているようなものでありまして、根本的に間違いでもありますし、同時にまた、補助金を受けるところの受給機関に対して対策を立てさせることができ得ない、その場当りの政策ということになるのであります。こういうような考え方に対しては、私どもは反対せざるを得ないわけであります。ここに反対の意思を表示いたしまして、討論を終ります。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員長 これにて討論は終局いたしました。続いて採決に入ります。  採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  26. 足鹿覺

    足鹿委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  なお食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案食糧管理特別会計における資金設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案及び厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案の三法案につきましては、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入ることにいたします。採決いたします。三法案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認めます。よって三法律案はいずれも原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を付したいと存じます。案文を朗読いたします。    食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   食糧管埋特別会計調整資金設置する趣旨は、同会計赤字食糧証券の増発によって泳ぐことを避け、同会計運営健全化を図ろうとすることにあるものであるから、今後とも同会計調整資金を超過する赤字を生ずる事態が予見されるようなときには、財政事情の許す限り、あらかじめ一般会計からの同資金への繰入等必要な措置を講じ、調整資金設置の趣旨を没却することのないよう政府において十分善処せられたい。   右決議する。 以上であります。  本附帯決議案を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認めます。よって附帯決議を付することに決しました。  なおこの際お諮りいたします。ただいま可決いたしました四法律案に対する委員会報告書の作成並びに提出等の手続につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————
  30. 足鹿覺

    足鹿委員長 次に、所得税法等の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案酒税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の五法律案議題とし、質疑を続行いたします。横錢重吉君。
  31. 横錢重吉

    横錢委員 時間がないようですから、ごく簡単に質問いたします。  今、東京証券界に起っておる東洋精糖の株を横井産業が買い占めて、この結果取引の停止状態が起っておることについて、理財局長はこれを知っておるか、この点お尋ねいたします。
  32. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま御指摘の東京証券取引所におきます東洋精糖の株の取引状況につきましては、私どもも重大な関心を持ちましてこれを重視いたしております。まず御質問につきましては、私は承知いたしまして、重大な関心を示しておる次第であります。
  33. 横錢重吉

    横錢委員 現在取引停止になっておる状況は、横井産業がこれを買い占めて、その結果売手の方に実株がないため、ここに取引停止になっておるのだが、大体これは、現在の取引所の運営からいくと、合法的なものである、こういうように思うのであるが、一応この横井産業のやっておるやり方というものは、従来の証券界に対して、非常な禍根を残すようなやり方をしておるのであり、いわゆる証券界のギャングとか、この背景をなす人をさして強盗慶太とか、こういうような非情な言葉をもっていわれるのは、通常の行為ではなくて、非常に悪らつなる手段をもってこの点を行うというところに、こういうような批評が出るのでありまするが、しかしこれを行なっておること自体、合法的なのか非合法的なのかという点については、局長はどういう見解を持っておられますか。
  34. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま御指摘の東洋精糖の株式の取引状況でありますが、取引停止というふうな御発言でございましたが、これは、非常に異常なる状態にございまして、証券取引所におきましては、これに対する対策を適時打っております。私どもは、先ほど申し上げましたように重大な関心を持っておりますが、どこまでもこれは特定の一つの会社の株式でございまして、これが取引を正常化するということにつきましては、あくまでも証券取引所におきまして自主的にこれを解決すべきものと心得まして、その成り行きについて注視をいたしておるという次第でございます。  なお今日行われております行為が、いろいろな法令の見地からいって適法であるかどうかというふうな点につきましても、私どもといたしましては、目下のところ、これは一応法律のらち内において行われておる、かように考えておる次第であります。
  35. 横錢重吉

    横錢委員 横井産業が東洋精糖の株を、私の知る限りでは百三十万株買い占めておる。しかもここに売手と買手との関係に立って、横井産業がこれを買って、金を積んで、株の要求をしておる。そのことから、逆に売手が日歩を払わなければならぬ。そこで、一日の日歩が五十銭という高利を払っておる。最近、これは少し話し合いがついて、十銭に下げたと聞いておるのでありますが、ともかくこの五十銭もの高い日歩を払った結果が、五月初旬までに大体三千万円という巨額な利得を横井産業はするというように伝えられておるのであります。これは、今局長の言う通りの、一応現在の法律のワクの中においては合法的であるというように認めざるを得ない。その合法的な中においてかかる事態が起っておるということは、まさに異常な事態であるし、なかなか問題の大きいことと思うのでありますが、ただいま私の言いましたような点は、やはり事実であるかどうか。
  36. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 大体御指摘のような事実につきましては、われわれも承知をいたしておるのでありますが、ただ正確にその取引に伴う利益がどこに帰属したかというふうな点につきましては、私どもも直接調査をいたしておるわけではございませんので、その点につきましては、一応の推察でお答えを申し上げる以外にないと思うのであります。  御指摘のように東洋精糖の株につきまして、売方、買方との出合いが一致いたしませんために、売方が高い逆日歩を負担して参りましたことは、御指摘通りでございます。そこでこの点につきましては、最近、すなわち三月十七日でありますが、取引所におきましてこの日歩の歩合、レートにつきまして検討を加えた結果、従来の五十銭ということが適当ではない、これは三月十七日から十銭に引き下げるべきであるということを判断いたしまして、さような措置をとったわけであります。従って、従来取引関係におきまして買方が相当の利益を得ておったような事態は、これによって是正されていくような形になっております。
  37. 横錢重吉

    横錢委員 この問題の解決に当って、東洋精糖の方の対策として伝えられるところは、三億からの資本金を十億程度に増資をして、増資によって横井産業からの重役の割り込みを逃げよう、こういうように聞くのであります。そこで、その内容に立ち至る必要はないのでありますが、問題は、増資によって今日受けておるところの被害者、これが一切問題が解決がつく方法で増資が行われるかどうかということにあると思うのです。増資をしたとしましても、これが市場に形だけを出して、実際には縁故割当といいますか、こういうふうな方法で行なった場合には、現在問題となっております関係者の損害というものは、私は解消しないだろうと思うのでありますが、この点に関しては、増資をめぐって解決がつくというふうに考ておられるかどうか。
  38. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほども申し上げましたように、この事案につきましては、いわば業界の内部におきましての特定の会社の取引の問題でございますので、あくまでも業界が自主的にこれを解決していくことを、われわれは期待いたしております。ただ今横錢委員が御指摘の増資の話、増資の計画等につきましても、われわれもこれを聞いております。伝えられるところによりますと、お話のように、大体十億円見当にいたしまして、新規の株の発行というふうなことも計画されておるやに聞いておるのでありますが、そういう場合におきましては、発行株数が増加をいたすというふうなことが解決の糸口になりまして、業界が今日いろいろと努力をいたしておりますところの、自主的な解決の方策もおのずからついてくるのではないか、こういうふうにわれわれとしては期待をいたしておる次第であります。
  39. 横錢重吉

    横錢委員 この問題が合法的に行われて、しかも合法のワクの中においてこういうような、言うならばギャングに近いような方法で混乱が起るということは、決して望ましい状態ではないと思う。従って、こういうような被害が合法のワク内で起るとしたならば、今日の取引の制度そのものに欠陥があるか、あるいはまたこの制度を続けなければならないとしたならば、こういうような行為に対しては何らかの規制行為、これが当局において、あるいは証券界において行われなければならないと思うのでありますが、この点に関しては、どういうふうにお考えでありますか。
  40. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 御指摘の点につきましては、こういう具体的なケースが起りますたびに、われわれとしても重大な関心を示すという意味で、このことだけという意味ではございませんで、ここに信用取引制度というもののあり方、またはその運営の方法等につきまして十分検討の余地あり、こういう意味におきまして、われわれとしては重大な関心を持っておるわけでございます。お話しの通り、この東洋精糖の株式を対象にいたしましての異常なる取引関係というものは、いろいろと問題を示唆いたしておると思います。まずこの会社の資本金ないし株数というものが、いわゆる信用取引の銘柄としては適当なものという判断のもとに上場されて参ったと思うのでございますが、これに対しまして、昨年以来の取引の状況から見ますると、なお今お話の出ましたように増資をして、新規の株を発行しなければならぬというふうなことは、やはりそこに一つの問題を示唆しておるように思うのであります。従いまして、将来の問題といたしましては、この信用取引のあり方、あるいは信用取引の対象としての株式の適格性というふうなことを判断いたします際には、こういう具体的な事例を参考にいたしまして、証券界またわれわれとしても、今後とも十分検討をしていかなければならぬ、こういうふうな一つの材料として、私はこの問題からもいろいろ研究をしてみたいというふうに考えております。
  41. 横錢重吉

    横錢委員 この問題に対して、解決のための大臣勧告を出す考え方があるかどうか。
  42. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほどたびたびお答え申し上げましたように、一つの特定の会社の株式の取引でございますし、また起っております事態につきまして、証券界が自主的に解決をする道もございますことでございますから、私どもといたしましては、目下のところ、行政当局がこれに介入することは不適当である、こう判断をいたしております。
  43. 横錢重吉

    横錢委員 今一つの会社であるから不適当であると言われるが、このケースは、今までにも、白木屋を初め幾つかのところに例があったわけです。従って、またこれをほかの者がやろうとすればできる例でもある。今日の信用取引の中にあいている大きな欠陥だと思うのです。従って、この点は単に今のような点で逃げるだけでなしに、信用取引の現在の方法に対して、もしもこういうギャングが現われた場合にはどう処置すべきかということは、これほど欠陥がある以上は、もう制度化しておかなければいかぬと思うのであります。この点に関して、一つ十分御検討をいただきたい。なおかつ、この問題がさらにまだ解決がつかないような見通しがあったならば、これは大臣勧告を出してでも強行して、取引を正常にするための方法を一日も早くとるべきではないかということを申し上げて、この点、打ち切っておきます。  次に主税局長に、やはり証券界に関係して一つ伺いますが、所得税法の六十一条、施行細則二十六条、この中に、証券等で利益あるいは利息、こういうふうなものがあった場合に、各関係の支払い機関は、五千円までは免税点が設けられておる。この免税点に関して、今日預金に対しては相当の恩典を施す法案が出ておりますし、かつまた利子所得と配当所得は大体同じような観点から見られなければいかぬと思うのですが、そういう利子所得と配当所得との課税の均衡というような意味合いから見ても、この五千円の免税点というものは、これを引き上げる時期にきておるのではないか、こういうふうに思うのだが、この点に関しては、どう考えておられるか。
  44. 原純夫

    ○原(純)政府委員 利子所得と配当所得とをどういうふうに対照して考えるかということは、なかなか重要な問題でございまして、結論的に申し上げますれば、ただいま一部世上でいわれておりますように、これらを相比肩するものといいますか、同じように扱うべきものというようには、必ずしも私どもは考えておりません。つまり両者いずれも資産所得として、昨日井藤博士からもお話がありました通り、所得の中では一番担税力の強い性質のものであります。ただ資本蓄積の必要というようなことから、特に戦後の混乱期、資本が非常に欠陥した時代には、特別な手を打つという意味でいろいろな特別措置がとられてきて、現在もまだ特別措置が残存しているということでございます。利子と配当では、やはり配当の方が利子よりももっと総合課税、そしてきちんと負担をはかって公平にかけなければならぬという要請がより強い、利子にもそれがあるわけであります。一般の所得に比べればさらに強くあるわけですが、どちらかというと、そういう感触で私どもは見ております。従いまして、資料提出限度の五千円、一万円の問題でありますが、これを動かすかどうかという問題は、確かに情勢が変って参りますれば、何も配当を優遇しようとかいうことではなくて、あまりにこまかいものは処置しない、かたがた配当控除という制度もありますし、実益も実際上ないというようなことから行われておる省略限度でありますから、それらの事実にがんがみて、それらの条件が変って参りますれば検討するということはあり得ることで、私どももそういう要望もありますので、検討はしようと思っております。ただ御案内の通り、これは一年分のなにについて、翌年の一月に調書を出してもらうということになっておりますので、国会会期中あるいは年度末までに処置せなければならぬということではございませんので、十分資料をそろえて検討いたしました上で、結論を出したいと思っております。
  45. 横錢重吉

    横錢委員 これは、今私申し上げましたように、諸般のものが免税点の引き上げに向っておりますし、その他のものもまた上っておる状況であるし、貯蓄組合法によると、非課税の限度が、制定当時においては十万円であったのが、倍の二十万円に上っておる、かつまたこれがさらに三十万円にまで上ろう、こういうような情勢であるので、それらの点に関してもあわせて考慮されるべきではないか。今の点では、すぐやるというふうにも見えないが、やはり考慮の対象となるという点について、強く色合いが出ておると思うのですが、さらにもう少しこの点に関して検討しておる内容を、一つお聞かせいただきたい。
  46. 原純夫

    ○原(純)政府委員 ただいま申しましたように、これは措置するといたしましても、来年一月に資料提出の時期が来る、そのときに間に合うように措置すればいいということなので、ただいまぼつぼつ今までの資料を整理いたしておりますが、何分いろいろお願いいたしております法案類、またそれに伴う政令の案というようなことに追われまして、ただいままだ取りまとめて申し上げるほどのところまで参っておりませんので、しばらく時間をいただいて、後刻適当なときに申し上げたいと思います。
  47. 横錢重吉

    横錢委員 じゃもう一点だけ……。農業所得の課税について、来年度の税収見込みに対して、特に引き上げるような考え方を持っていないかどうか。これは、先日私が習志野の開拓団に行きましたときに、農業の課税反当が年々ふえてきておる。農業収入というものは、御承知のようにほとんどふえていないし、昨年などは、野菜の大暴落でひどい目にあっておる。にもかかわらず、前々年においては、開拓団でありましたが、一反の見積りが九千円と見積られておる、昨年はこれが一万四千円に上った、来年度はこれが一万七千円に上るという内示があったのです。こういうように、実際の収入はふえないのに税収見込みだけがふえてかけ上ってくるということは、単にこの開拓団だけでなしに、その他のところにも適用される問題だと思うのです。こういうふうな考えが大蔵省の中にあるとするならば、重大な問題だと思うのですが、この点に関して、どう考えられますか。
  48. 原純夫

    ○原(純)政府委員 執行の方の問題でありますが、便宜、私からお答えいたします。  おっしゃる通り、所得の計算は、実際の収入、支出の基礎に立って行うべきでありますから、単純にことしは幾らふやしていこうというようなことでやるべきでないのは、もちろんであります。税務行政としても、決してそういう態度ではおらないということを確言申し上げてよろしいと思います。ただ、所得の計算は、何分非常にむずかしい問題でありますから、いろいろ納税者の側で御意見があるという場合はあろうと思います。お話の開拓地のような場合は、初めの間は収穫が少い、収益が少い、四、五年たっていく間にだんだんと収益がふえるということがありますから、それと普通の場合はだいぶ違うと思いますが、いずれにいたしましても、恣意的に伸ばしていこうというような気持は毛頭持っておりませんから、その辺は御了承いただきたい。またそういうようなやり方と思われるような点がありましたら、具体的に御指摘いただくというふうにしたいと思います。
  49. 横錢重吉

    横錢委員 時間がないので、この問題はもう少し時間をかけてやらなければならないし、また主税局長では、課税面なんでちょっと無理な点もありますので、いずれ国税庁長官を呼んでやりたいと思いますから、一応この辺で打ち切っておきます。
  50. 足鹿覺

    足鹿委員長 この際暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後四時六分開議
  51. 足鹿覺

    足鹿委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  所得税法等の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案酒税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の五法律案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。井上良二君。
  52. 井上良二

    井上委員 この際特に大蔵大臣に、先般来私が質問をいたしておきましたうちで、酒税法の改正案に関連してお尋ねしたい。先般大蔵大臣に私から、政府提出の改正案がそのまま消費者大衆に酒類の減税となり、負担がそれだけ軽くなるように、販売価格の方で、価格改訂の際考慮を願いたいという要望を、数回にわたって、執拗でございますけれども、きわめて重要でございますから、念には念を入れて御質問をいたしました。そこで、政府の方でもいろいろ業界の実態やその他を検討されまして、いよいよ国会の本案審議と相関連しまして、衆参両案で本案が成立しました場合は、当然四月一日から新しく価格改訂を行われるという準備をどんどん進めておるように承わっております。そこで、昨日も当面の責任者たる主税局長にこの間の事情を質問をいたしてみましたけれども、まだその点が明確でございません。大蔵大臣といたしましては、もうあと御存じの通り一週ないし二週後に控えておりまして、われわれも、実際政府の態度いかんによると態度をきめなければならぬ段階にきておりますから、この際、政府の方で明確に、私どもが主張いたしております通り、減税額がそのまま小売改訂価格となって改訂されますやいなや、それとも一部新聞が報道いたしております通り、清酒二級酒においては二十円小売価格を引き下げる、それから合成清酒においては十八円のところを十五円しか引き下げない、それからしょうちゅうにおいては、十五円のところを十円しか引き下げない、こういうことが報道されています。これは、減税に名をかって、製造メーカーの利益を擁護する最も露骨な現われでありまして、私ども消費者大衆の利益を代表する者といたしましては、断じてさような価格改訂には承服できないのであります。先般大蔵大臣質問いたしまして以来、相当日時もたっておりますから、大臣としましても、十分関係方面とそれぞれ御検討されていることと思いますので、この際、率直に御意見を承わりたいと思います。
  53. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今回減税の対象となりまする酒類の小売価格につきましては、今事務当局に慎重に検討さしております、私の考えとしては、今回の減税は、やはりこういう酒類を嗜好する大衆の負担をできるだけ軽くするというのが趣旨でありますから、従いまして、税の負担が軽くなるだけできるだけこの価格を下げるようにという方針を私は授けております。若干の問題があると思いますが、幸いに私の承知している限りでは、しょうちゅう等におきましても、一時澱粉が非常に高くて、製造コストも上っておったのでありますが、その後糖密の輸入等によって澱粉もよほど下ってきましたので、それらの点もよほど緩和しておりますので、御趣旨に沿うことができるのではなかろうかと思っておりますが、この点は、なお事務当局に検討さしております。私そのきまった報告にまだ接しておりませんが、方針は、こういうふうな方針を授けております。
  54. 井上良二

    井上委員 ちょうど大臣昨日こちらの方にお見えになりませんから……。政府がメーカー側の要望をいれて、生産費を採算の合う価格に改訂をしてやりたいというその気持は、一応私どもも了といたしますけれども、しかし政府が出してきております生産費計算は、はなはだ疑問の点が多く、十分検討いたしませんと、消費者大衆が納得してくれる生産者原価と、私ども妥当的にこれを承認するわけに参りません。最も私どもが遺憾に存じますのは、醸造されております清酒及び合成しょうちゅうにおきまして、製造能力の非常に少い、また市場に非常に名前の売れていない、どっちかといいますと弱小メーカーの醸造しました酒が、原価を切ってどんどん市場に販売され、消費者に直売されておる、その直売石数が百万石以上に達しておる、さらにまた委託醸造なるものを盛んに行わせまして、委託醸造の石当りの醸造代が大体六、七千円というところになっておるのです。これを一升当りの価格に直していきますと四、五十円にしか当りません。しかるに政府が出してきております一升当りの原料費だけでも、百円前後についておるのでありまして、二級酒において八十一円、一級酒において九十七円、特級酒において百六円、こういう数字が出ている、その間非常に大きな開きがある。一方どんどん市場に直売をして投げ売りをしておる。それで、どこの酒屋もつぶれたという話は聞かない。反対に、われわれの耳に入ってくるところによりますと、委託醸造をやりまして、かりに石七千円で請け負わせたといたしましても、政府が申します三百石が最低の醸造の引き合う経営規模だということから計算をいたしましても、委託醸造をさせただけで年間二百十万円がそのままふところに入ってくる、こういう状態になっている。そういうことから逆算していきますと、酒屋さんというものは、一体どういうやり方をしておるのであろうか、私ども消費者の方から言うと、まことに不安な要素がたくさん出てきます。そういうことが十分説明されずに、メーカーの言うことをそのまま、原料高だ。労賃の値上りだ、その他一般管理費の引上げだということでは、せっかく減税を期待して、減税されたら少しでも安い酒が飲めるということで淡い希望を持っております一般消費者大衆を、裏切ることもはなはだしいことになりますから、業者側が主張いたします原料高による製品安ということであるならば、それは別途に業者代表、あるいは学識経験者、または消費者代表を加えました総合的な原価計算算定の特別委員会でも作りまして、ここで十分消費者の納得する合理的価格を算定すべき機関を設けるべきである。そういうことをしないで、いきなりそれをやる場合には、何も国会の承認を得ないでもいいから、あるいは法律的な措置は要らないから、国税長官か大蔵大臣か知りませんけれども行政措置で勝手に値段を上げたり下げたりする、そういうことをされたのではたまったものではございません。これは、原価計算のいろいろな検討の結果、さような結論を出しておるのですから、この際、私はただいま申し上げます通り、業者側の主張を全然無視するわけではございませんが、いろいろ疑問の点が多いのでありますから、合理的に国民一般が納得するところに新しい酒の価格をきめるためには、メーカー、学識経験者、消費者代表をもって価格設定委員会を作られたらどうかと思いますが、大蔵大臣は、どうお考えになりますか。
  55. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 酒の製造者の方の価格、いわゆる生産者価格の決定につきましては、今お話のような点は、従来もそうでありますが、今回は特に十分検討を加えまして、単にメーカーがいろんなことを訴えるからといって、それを無批判に取り上げるということは毛頭ありません。そういうような訴えがあればあるほど、製造業者の実際のいろいろな客観的条件を十分見きわめて、合理的に価格決定をいたすつもりでありまして、その点も、事務当局に厳しく申し渡してあります。     〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕 ただいまそういうふうなことのために、消費者とか、またその他酒の生産価格をきめるのにもっと知識のある人々で委員会を作ってやったらどうかという御提案でありますが、これも、私は一つの案と思いますが、今までの実績に徴しますと、どうもなかなか意見が一致しないような点もありますので、そういう点については、とくと研究してみたい、かように考えております。
  56. 井上良二

    井上委員 現在までの清酒、合成酒及びしょうちゅう、ビール等の各酒類の生産販売価格、こういうものは、一体どういう機関で検討されてきめられておりますか。  それから、私が資料として要求してただいま提出せられておりますこの原価計算の資料は、いかなる根拠によって出されたのですか。と申しますのは、これは、業者側の意見を十分聞いたのじゃない、最も妥当とするところを検討して作ったのだ、こういうふうに伺うのでありますが、それなら、この提出された数字というものは、一体どういう機関の議を経て、どういう方面の意見、資料を中心にして積算の結果、かような数字になったというのでありますか、これを明確にされたい。これは、年間約二千億近い膨大な主税源になっておりますから、一兆円の税収のうちの実に二割を占めておるのでありますから、われわれ国民としては、相当大きな負担になっておりますので、簡単に見のがしては大へんですよ、大蔵大臣。  それから特に申し上げておきますが、私は何がゆえにこの問題をやかましく取り上げておるかと申しますと、とかく世間はうるそうございまして、たとえばしょうちゅうで、今度五円方メーカー側に肩がわりを認めてやる、減税のうちから五円方認める。合成酒では、三円方認めるということがいわれておる。それで、この総石数——本年しょうちゅうの生産石数百四十五万六千石ですか、これにかりに五円掛けました場合、百四十五万六千石が、今度五円方実に入りがよくなりますね。そのうち何割かを今度の選挙資金に献金するというようなことがうわさされておる。そういうことがうわさされるだけでも、私ども不愉快でならぬですよ。また業者にとっても、はなはだ迷惑であると思う。ですから、この際私は、減税はあくまですなおにそのまま国民のふところに入るようにしてやることが、大蔵大臣としては一番必要である。原価計算その他でどうしても上げてやらなければならぬのなら、それは別の機会に、別個に国民を納得させる資料をそろえて価格改訂をやったらいい、私は別個にやっていただきたい、その点は、特に強調しておきたいと思います。従って、私が今伺っておりますのは、これらの価格形成を積み上げてきましたのは、検討された機関は、どういう機関でやられておるのか。それから、この私ども委員会にお出しになりました資料は、いかなる検討の結果お出しになったか、これを御答弁願いたい。
  57. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今の御質問のうちで、たとえば政治資金云々というふうな、そういうことがあるようなことは、私は毛頭考えておりませんが、しかし、御趣旨の点については、ごもっともと思います。  この酒類の価格決定の手続につきましては、今主税局長から詳しく申し上げさせることにいたします。
  58. 原純夫

    ○原(純)政府委員 酒類のマル公は、物価統制令に基きまして、大蔵省告示で指定をいたしております。ちなみにそれの基礎——お手元に差し上げました資料にも、毎年の例が出ておりますが、基礎は何かということでありますが、これは、毎年々々こまかい実態調査をするというわけには参りませんので、ある時期に相当大がかりな調査をいたしまして、それをもとにしてその後の変動を加えていく。もちろん変動を加える際にいろいろな方面からのサイド・チェックをやるというようなことにいたしております。今のは、たしか二十七酒造年度ですから、二十七年十月から二十八年九月までの年度でありますが、この年度に相当詳しい調べをやったのです。その後毎年補完的な調査をいたしておりますが、その補完的な調査と、それから当時からのいろいろな価格構成諸要素の値上り、値下り、たとえば燃料であれば、燃料が何%上った、下った、労賃はどうだというようなことを調整いたしまして、改訂を行なっております、もちろんこの改訂につきましては、少しでも動けば動かすということをするわけにも参りませんので、ある程度の違いが出て参った場合に、上げたり下げたりするということにいたしておるわけであります。  なお、これが決定につきましていろいろな委員会、あるいは各方面の意見を聞くことももちろん必要で、私どもあらゆる機会にそれはできるだけ努めてやっておるつもりでありますが、率直に申しまして、生産者生産者で、なるべく高く売らせてくれ、卸は卸で、卸のマージンをふやしてほしい、特に戦時中卸、小売のマージンは相当きつく、縛ってあったというようなこともありますので、昔のマージン率に戻してくれというような要求が、卸小売から特に強く出ております。それら基礎的な条件を、やはり統制的な時代から自由な時代にだんだんなってくるにつれまして、ある程度調整をする、つまりマージン率は、非常にきつい時代よりも若干ずつは上げてきてはおります。そういうことはいたしておりますが、二十八年の基礎数字に毎年の調整を加えて、かつ各業界、あるいは消費者の声というようなものをいろいろ考えて、政府としての判断で最後はきめる。きめる機関は、御案内の通り、主として国税庁が作業をいたしまして、主税局もこの告示に載せます関係で、それに協力して検討を加えておるという状態でございます。
  59. 井上良二

    井上委員 そうすると、それは主税局なり国税庁の間税部の方において必要な資料を集めて、大体前年度のいろいろな条件と比較対照して、机上的に数字でゆわえて、それで、本年はこれでよかろう、多少原料費は上げてやらなければならないというようなことで操作いたしておるのですか。私の伺っているのは、たとえば、酒造組合の方の意見はどうであるか、あるいは消費者団体側の意見はどうであるか、あるいは学識経験者の関係の、たとえばあなた方のお持ちになっております税制調査会の専門委員の人々の意見を聞くとか、全体的に各方面の意見を総合した結果、実際の基礎的数字はこれであるけれども、さらに専門家及び各方面の意見を総合した結果こうなるということの方が妥当性がありはせぬか。でないと、あなた方が全く独自的に、一方的にきめておるということになりますと、政治的圧力が加わりましたら、非常に危険なきめ方にならぬとも申されません。物価統制令によってきめておるのは、何ら法的根拠を要していないのですから、これは非常に危険が起つてくる。今度の大蔵大臣は酒屋でありませんし、酒屋の親戚もないと思いますが、前の大蔵大臣の中には、自分の生家は酒屋であり、また自分はかつて酒屋組合の方にいろいろ御協力をされておるという実績のある人もある。そういうことになってくると、大蔵大臣の意向一つでどちらへでも価格が動くようなやり方をされたのでは、たまったものじゃありません。ですから、少くとも国民が納得し、消費者が納得し得る最も厳正、公正な価格設定機関を設けるべきだ、こう考えますが、大蔵大臣の御所見はいかがですか。
  60. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵大臣がだれであるかということによって、酒類の価格が左右されるものでは絶対ないのでありますが、しかしながら、今お説のように、酒類の価格決定は、財政的にも、さらにまた国民生活の上にも重大な影響を持っておる点においては、私も異論がないのであります。従いまして、いかにすれば最も合理的な、かつ妥当な価格形成ができるかという点について、今までのやり方について、私は十分な検討と研究を加えてみることを申し上げておきます。
  61. 井上良二

    井上委員 もう一点、大臣に確かめておきたいと思います。私どももきょういろいろ与野党間の打ち合せをいたしまして、来週早々に、あなた方の御意見によりまして、この法案を衆議院で採決して参議院に送り込んで、参議院も早く御審査を願って、四月一日から価格が改訂されるように何とか私どもも協力したいと思っておりますが、そういう一つの制限された日程のもとにおきまして、大蔵大臣としては、衆議院の審査を促進する意味からも、一番問題になっております。今の減税分の中にメーカの負担は区分する、あるいはこれを含むという問題を、政治的にわれわれとしては、非常に重要視しておりますから、これに対する明確な答弁はいつできますか。いつしてくれますか。これをはっきりここでお約束願いたい。でないと、この法案に関連した税法全体の審議が、社会党自身としても取扱い上非常に党議をまとめにくいのであります。およそ日程もしぼられてきまして、さきに申し上げましたような日程になっておりますから、およそいつになったら大蔵省当局として具体案をお示し下さいますか、この際一つお示しを願いたいと思います。
  62. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、今やっている作業にも関連いたしますので、主税局長から答弁させます。
  63. 原純夫

    ○原(純)政府委員 これは、四月一日に減税がされる。そうすると、そのときに公定価格を変えなければならぬ。そのときに、他の要素も考えて変えるということでございます。そのぎりぎりのまぎわに閣議決定されるということになると思います。そういう意味で、きょうすぐとかなんとか言われるとできないと思いますが、新年度のための閣議は、官報登載の関係もあって、おそらく二十八日の閣議が最後ではなかろうかと思います。どうも問題が非常にむずかしいので、最後の閣議になるのじゃなかろうかというふうに私はただいま考えております。
  64. 井上良二

    井上委員 私の聞いておりますのは、閣議決定によって効力を発生いたす段取りになりましょうが、委員会として、この問題が明確になりませんと、この酒税法をこのまま通すわけには参らぬという立場になっているのです。そこで、局長も昨日何とか業界の方ともいろいろ打ち合せして、できるだけさようなことにならぬように何とか努力してみたいという話もあるわけですから、それらの点を私ども聞いているのです。そうしないと、審査がおくれてしまって、参議院の方の審議がこの年度内にできないことになったのでは、四月一日から実施にならないのです。だから、あなた方は来週なら来週までに、二十六日なら六日、五日なら五日までには与党とも話をし、また業界とも話をして、大体の見当がつけられるのじゃないか、私は絶対にそうせいという確約をここで要求しているのじゃない。いずれであろうとも、最終結論をいつ出してくれるかということによって、こっちの法案審議を促進する必要がありますから、それを伺っているのです。その手続を一つ
  65. 原純夫

    ○原(純)政府委員 御質問の御趣旨は、私どもも十分体して——減税で幾ら下る、これははっきりするわけです。一方税以外のコストはどれだけ上るか、下るか。今度は下るものはないと思いますが、上るものはしょうちゅうは幾ら、何は幾らということを、最後にきまる際ははっきり申し上げられると思います。なお製造者価格がそういうふうに変るのに従って、卸、小売のマージンはどうするということもはっきり申し上げます。ただマル公の決定は、政府の告示におゆだねになっておるわけで、私ども最後のマル公が見られなければ法案は通さぬと言われますと、これから酒税法はまた何度か改正がありますが、衆議院は三月十日に上げたいというような場合に、そういう時期にマル公を発表するということは、どうもよろしくない。これは、間接税の税率改正自体でも問題がありますが、マル公というものは、きめたらその日からやるというふうにやりませんと、いろいろな思惑が起り、変な裏のなにができます。そういうようなわけでありますから、御趣旨はよくわかるのですが、きちっとした数字は、閣議で決定して、世の中に出す際に出すということにさしていただきたいのであります。井上委員のおっしゃっておるお気持は、非常によくわかるので、実はこういう際に、消費者の利益を代表して強く言われるというなにが割合少い。業界が、製造者は製造者で、おれのところは上げてくれ、卸、小売は、おれのマージンはふやしてくれというような声は盛んに来るのですが、消費者が来て、自分たちの飲む酒の値段を十分減税の利益が行くようにしてくれというのは、実はあまり私どもには来ないのです。来ないけれども、私どもはそれを忘れちゃいかぬと常々思っております。特にこういう席で井上委員のようなお話がありますのは、そういう意味で、私どもとしてはまことにごもっともだと常々感じておることなんで、全然同感。そういう気持を深く含んでやらないと、おっしゃるように、業界に引っぱり回されるというようなことになると思っておりますから、そこは、十分気をつけていくつもりでありますが、ただいま申し上げましたような事由で、マル公が幾らになるということを事前にはっきり言えというのは、どうぞごかんべん願って、大体において、こういう気持でこんなふうなというような、少し隔靴掻痒かもしれませんが、その辺のところで一つごかんべんを願いたいと思います。
  66. 井上良二

    井上委員 大臣が他の用事で急いでおられるようでございますから、もう二点だけで終っておきます。その一つは、ただいま局長からもお話がございましたように、今度の価格改訂に関連して、卸、小売の価格が自動的に変るようだ、こういう御意見のようでございますが、これは、どうも私どもから考えると納得ができないのです。といいますのは、何やら酒の小売価格が、たとえば二級酒の場合は五百五円だから、その一割の場合は五十五銭になりますか、その見当でつけてあるのだから、これが四百八十五円になれば、当然四十八円になるのだ、こういうふうに何が歩合口銭になっているようなマージンのはじき出しというものは、これは妥当じゃないのです。酒税統制をしておるのは、税金を確保するという一点よりないのであるから、米が統制されているとかなんとかいうのは、それはつけたしであって、ほんとうは非常に大きな税収源になっております酒税を何とか滞らさぬで、確実に国家へ納めてもらおう、そのためには、酒を製造から小売まで国家の手で認可、許可した方がいい、こういう建前でやっておるのでございましょう。そうして、その酒税を一番大きく捕捉され、正確に押えられるところは小売の段階です。小売の人々が、酒税の全体を集金しておるにすぎない。小売が正価通り販売をせずに、正価通りの集金をしなければ、卸に払うこともできぬ、また卸は、メーカーへ払うこともできない。結局は、小売段階が税の徴収の一番重要な最先端の役割を果しておる。そこで一定の小売経営の規模を、これから先、たとえば千軒にしますか、あるいは二千軒にしますかわかりませんが、その小売店舖としての経営の規模というものがおそらくある。その規模によって、この店舗は、どのくらいのものを売らせれば大体どうなる、だから、これが妥当だという経営規模なり販売規模に応じましてのマージンが確立しておるということならいいけれども価格に右へならえということで口銭をつけてあるのだから、価格が安くなれば口銭が少くなるのだという、ここの場合だけは商業利潤できておる。そうして、原価の方にいくと違う、こういうことになっておって、まことにどうも厄介な説明でございまして、われわれとしては、ふに落ちないところが多いのですから、私どもすなおに——一番重要な国税徴収の最先端の任務を小売商が背負っておりますから、またその上をカバーしておるのが卸でありますから、そこらをあまりに機械的にものを考えずに、今日の労働事情、今日の中小企業の事情というものを全体的にお考え願って、許可、認可の仕事であるから、その点では相当保護されておるといえぬことはありませんが、そういう総合的な見地からこの問題は検討さるべきであって、機械的にこの問題を取り扱わるべきではない、こう考えますが、いかがでございますか。
  67. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今お話しのように、小売が大へん重要な役割を果しておることは、私も異論ありません。従いまして、やはりこれに応ずるマージンというものが小売商に確保さるべきである、私もそういうような考えを持っておるので、主税局長に、そういうことになっておるように、一つ具体的に説明させます。
  68. 原純夫

    ○原(純)政府委員 卸、小売のマージンにつきましては、先ほど申し上げましたように、戦争中あるいは戦後におきまして、酒が非常に希少物資であった時分は、商売として扱うにもやみ利益といいますか、実際かなりそういうなにがあった。そういうのは別として、マル公政策自体というものもきつかったわけですから、マージンをだいぶ押えたわけです。しかし、だんだん酒の需給もゆるんで、供給が相当多いというようなことになってきておりますから、マージンをやはり妥当なところに戻さなければいかぬというので、ずっと年来マージンの率は上げてきております。現在卸が六、七%、それから小売が一一%か一二、三%というようなところになっておりますが、大体他の食料品などと比べてまだだいぶ御不満があり、ごもっともだとは思いますが、非常にかけ離れてどうにもならぬということもない。大体酒類は、取扱いの金額も多いですから、利益の総額は割合に多いというようなことにもなってきております。そこで、今回もそういう意味で、卸、小売のマージンの率の調整というのは、まだ完全にはできていないというようなことから、卸、小売も、先ほどお話しのように、率を全然動かさないで、下っただけは割合で下げてしまうというまでのことにもできないのじゃないか。ただ仕入値は下るけれども、マージンは絶対額として全然下げちゃ困るということも、これはちょっといかがか。仕入れ価格が下ってもマージンを下げないと、マージンの率は逆に上ってくるわけです。それで、ある程度率は上るにしても、絶対額でマージンが全然下らないということにいくべきかどうかというのは、だいぶ疑問じゃないかというふうに考えております。大体今までの経緯もいろいろ考え、他の食料品との関係、戦前との関係、いろいろ考えて結論を出したいと考えておるわけであります。御意見の点は、十分含んで慎重に考えたいと思っております。
  69. 井上良二

    井上委員 もう一点で終りますが、問題は、あなたらのような御意見でございますと、なるほどしろうとわかりにはまことに簡単に了解されることで、原価が上ればマージンはそれだけもうかるし、下ればそれだけ少くなる、これは、普通の商品を扱っている場合はそうでございましょう。ところが、政府から税金というものを完全に捕捉しなければならぬという任務を負わされて、これは、実は酒が完全に数量が確保されておる、もし途中でそれを割ったり、あるいはなくしたりしました場合は、それだけ自己負担をしなければならぬ、税金は立てかえなければならぬ、こういうことになっておる。この税金を負けてくれるということなら、損耗を見るということなら、これはまた話は別だ。ところが卸、小売の段階における蔵出し後の数量に対しては、完全に確保されておって、途中で損耗が出ても、それは全部責任を負わされておる、こういうことになっているのですから、そうなりますと、どんどん税金の引き下げに伴って製造原価が安くなるというのとは違って、税金が安くなっていくんだ、税金が安くなるという問題は、これは国民の、消費者負担が軽くなるのであって、それがために、卸、小売がそばづえを食って迷惑になるということになってきたら、今度は全国の卸小売屋は、減税ということになった場合は、赤旗を立てて反対に来ますよ。自分のマージンが削減されますからね。そうなりますと、これはえらいことになってきて、ついにわれわれとしては、卸、小売の段階の許可認可制度による指定商を撤廃しろという運動をやらなければならぬことになってしまう。そういうことも考えられますから、この卸、小売のマージンの算出におきましても、やはり公正な検討をされて、消費者及び業者が納得する適正なマージンを十分御検討されたいという強い希望を、私は申し上げておきます。  最後に、ビールの問題でございますが、これは、私いろいろ検討いたしておりますけれども、現在ビールは、原価が一本について二十三円六十銭くらいにしかついていない。これを一升に直すと、七十円くらいについておる。これを課税の対象からいきますと、ビールは五六%二の課税がされておりますから、その上にあります清酒一級五八%七、これのなにから見ますと、工場の原価、つまり原価が百七十九円についておる、この清酒一級酒は。それから考えてみても、いかに高いか。ビールの中身が安くて、しかもビールのアルコール分は、たしかあれは四度じゃないかと思っていますが、もっと高いのですか、私よくわかりませんがたしか四度か六度くらいだと考えておりますが、お酒は、御承知の通り十五度から十六度が通り相場ということになっておる。そうすると、お酒の半分にも達しないアルコール分を、もって、あとはほとんど水を売っておる、水に税金をかけておる。極端にいえばそういうことなのです。それで、大衆には、これは大衆酒ではなくて、上等酒として減税の対象からはずされておる。これは、農村の方ならば、御承知の通りしょうちゅうなり、またはどぶ酒なり、それぞれございますから、何とか安い酒で適当にやっていきますけれども、都市の働く大衆は、これから夏になってきますと、やはりビールを非常に愛好いたします。わきの慰安娯楽の手っとり早い機関がそう安くございませんから、どうしてもやはり自分の肉体的疲労を回復する最も手っとり早い嗜好品として、このビールが最も愛用されるのであります。そういうゆえんから、このビールを何とかしてもっと引き下げる必要があるのであります。そういう意味合いで、私の方の党からは、御承知の通りビールの税制改正の案を出しておるのでありますが、私どもの考えでは、現在、三十二年度の政府のビールの醸造の実績を調べてみますと三百四万石、それが本年度は三百二十万石、約十六万石の増を見込んでおります。この調子で、もし私どもが主張いたします通り、ビール一本の中身価格百円という最も大衆が買いやすい価格に引き下げますと、私どもの計算によりますと、ざっと三百七十万石くらい売れ行きが自然に伸びる、こういう計算を実は立てておるのであります。そうしますと、それだけ売れ行き増になりますから、従って、減税をいたしましても、直接今年度の予算に減収となって現われてこない、こういう計算を立てておるのであります。そういう見当から、いま一応政府当局では、都市の働く大衆の夏期に多く愛用されるこのビールを、何とか他の清酒、しょうちゅう、合成酒と同様の取扱いを何で一体していただけないのか、もうそんな余地は考えてないのか。もし考えてないとするならば、来年度の税制改正の場合に、この問題について、政府の方に十分検討する余地があるのかないのか、この二点について、一つ大蔵大臣から明快な御答弁を求めたいと思います。
  70. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ビールを今回の減税の対象として、そうして今のお話のように、その値段を下げるということ、これは、私は一応やはりむろん考えられることで、そのこと自体に必ずしも不賛成ではないのでありますが、しかし、今回の税制改革は、主として、これはいろいろな見方がありますが、低額所得者のたしなむ酒類、こういうことに限定したいと思います。ビールも低額所得者がむろん飲むのでありますが、これは、何さま販路も広くあり、各層の人が嗜好する、こういうふうな関係もありますので、今回は減税の対象からはずしたのであります。しかし、今お説のように、熱心な御意見もありますので、来年度の間接税等の全般の検討を加える際におきましては、私は特に取り上げて検討を加えたい、かように考えています。
  71. 藤枝泉介

    ○藤枝委員長代理 次会は来たる二十五日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時散会      ————◇—————