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1958-02-27 第28回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十七日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 足鹿 覺君    理事 大平 正芳君 理事 黒金 泰美君    理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 平岡忠次郎君 理事 横山 利秋君       足立 篤郎君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    川野 芳滿君       吉川 久衛君    小西 寅松君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    夏堀源三郎君       古川 丈吉君    前田房之助君       有馬 輝武君    石野 久男君       石村 英雄君    春日 一幸君       神田 大作君    竹谷源太郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君  委員外出席者         外務事務官         (経済局次長) 佐藤 健輔君         大蔵事務官         (為替局企画課         長)      柏木 雄介君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      金子 一平君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部長)    中西 泰男君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 二月二十七日  委員井上良二君辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八二号)  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第八五号)  道路整備特別会計法案内閣提出第八六号)  糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九一号)  たばこ専売法の一部を改正する法律案内閣提  出第九二号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九六号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三一号)      ————◇—————
  2. 足鹿覺

    足鹿委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず去る二十一日付託に相なりました厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案道路整備特別会計法案糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案たばこ専売法の一部を改正する法律案及び同じく二十二日に付託に相なりました相続税法の一部を改正する法律案の六法律案につきまして、政府委員より提案理由説明を聴取することといたします。大蔵政務次官坊秀男君。     —————————————     —————————————
  3. 坊秀男

    ○坊政府委員 ただいま議題となりました厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案外五法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  最初に、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  まず厚生保険特別会計法の一部改正について御説明申し上げます。  政府におきましては、第二十二回国会において、政府管掌健康保険給付費の異常な増高等に伴う支払い財源の不足を埋めるため、昭和三十年度以後七カ年度間、毎年度、一般会計から十億円を限度として、厚生保険特別会計健康勘定繰り入れることができる措置を講じたのであります。しかして、昭和三十一年度及び昭和三十二年度におきましては、この一般会計からの繰り入れ昭和三十三年度以後に繰り延べたのでありますが、昭和三十三年度におきましても、別に借入金等によりこれを処理することといたしましたことに伴い、一般会計からの繰り入れを、さらに、昭和三十四年度以後に繰り延べることとしようとするものであります。  次に、船員保険特別会計法の一部改正について御説明申し上げます。  船員保険におきましても、第二十二回国会において、療養給付等の部門における給付費の異常な増高等に伴い、その財源の一部に充てるため、昭和三十年度以後六カ年度間、征年度一般会計から二千五百万円を限度として、船員保険特別会計繰り入れることができる措置を講じたのでありますが、昭和三十一年度及び昭和三十二年度におきましては、健康保険の例に準じ、一般会計からの繰り入れ昭和三十三年度以後に繰り延べたのであります。しかして、昭和三十三年度におきましても、健康保険におけると同様、一般会計からの繰り入れを、さらに昭和三十四年度以後に繰り延べることとしようとするものであります。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  この法律案は、地方財政健全化を推進するため、別途、今国会に提案することとしております地方交付税法の一部を改正する法律案において、地方交付税の額を所得税法人税及び酒税の収入額のそれぞれ百分の二十六から百分の二十七・五に引き上げることに伴い、一般会計から、この会計繰り入れる金額について、これに即応して所要の改正を行おうとするものであります。  次に、道路整備特別会計法案につきまして申し上げます。  政府は、今国会に、別途道路整備緊急措置法案を提案して御審議を願つているのでありますが、わが国の道路事情に顧み、同法案に規定するところによりまして、昭和三十三年度から新たに道路整備五箇年計画を作成して、道路緊急整備をはかることといたしております。この計画の実施に要する国が支弁する経費の財源といたしましては、揮発油税収入額を充当することといたしますとともに、財政の許す範囲内におきまして、必要な財源措置を講ずるものといたしておるのでありますが、本事業に関する政府の経理につきましては、一般会計と区分して明確を期することが適当であると考えられますので、新たに道路整備特別会計を設置することといたしまして、この法律案を提案いたしました次第であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、この会計におきましては、国が直轄で行う道路整備事業に関する経理及び国以外のものが行う道路整備事業に対する負担金等の交付に関する経理を行うものとし、あわせて国が直轄で行う道路整備事業に密接に関連のある付帯工事及び受托工事に関する経理をも行うこととしております。  第二に、この会計におきましては、一般会計からの繰入金、都道府県の負担金及びこれにかかる利息、地方公共団体負担金の納付の特例に関する法律規定により納付された地方債証券償還金及び利子、付帯工事等にかかる国以外のものの負担金建設大臣が徴収する受益者負担金受託工事にかかる納付金借入金並びに付属雑収入をもってその歳入とし、道路整備事業に要する費用附帯工事に要する費用受託工事に要する費用借入金償還金及び利子、一般会計への繰入金並びに附属諸費をその歳出として経理することといたしております。  第三に、道路整備事業に要する費用で国が負担するもの並びに道路整備事業に要する費用財源に充てるための借入金のうち国が負担するものの財源に充てるための借入金償還金及び利子の金額は、一般会計からこの会計繰り入れることとし、道路整備事業または付帯工事にかかる国以外の者の負担金及び受託工事にかかる納付金のうち、これらの事業または工事について一般会計が支弁した経費に相当する額は、この会計から一般会計繰り入れることといたしております。  第四に、この会計においては、道路整備事業に要する費用財源に充てるため必要があるときは、予算をもって国会の議決を経た金額を限度として、この会計負担において借入金をすることができることといたしておりますが、その限度額のうち、その年度内に借り入れをしなかった金額がありますときは、その額を限度として、かつ、歳出予算繰り越し額財源として必要な金額の範囲内で、翌年度において借入金をすることができる、ことといたしております。  以上申し述べましたほか、この会計の予算及び決算の作成及び提出、予備費の使用、剰余金の処理、余裕金預託等この会計の経理に関しまして必要な事項を規定いたしております。  なお、この会計の設置に伴う経過的措置といたしまして、昭和三十二年度以前の一般会計道路整備に関する費用にかかる予算により取得した機械その他の資産で国が道路整備五カ年計画に基き引き続き道路整備に関する事業に使用する必要のあるもの、その他一般会計に属する資産及び負債は、この会計に帰属させることといたしております。  次に、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます  この会計におきましては、三十億円の資本及び三十億円を限度とする一時借入金等合計額六十億円を原資とし、これをもって、一生糸年度生糸生産量約三十万俵のおおむね一割に相当する三万俵を最低価格で買い上げることにより、当該数量を市場から引き上げ、最低価格を割るような糸価の暴落を防止し、また、最高価格をこえるような糸価の暴騰を防止するのに必要な生糸を保有することとしております。しかるに、昭和三十二年度におきましては、糸価の好転を見ず、最低価格による買上数量が増大し、同年度末におきましては、相当の保有量を見込まれる状況にあり、しかも、最近の生糸需給状況を勘案すれば、この保有量が早期に売り渡されることは、期待しがたいので、その買い入れに要した原資は、当分の問固定し、今後の生糸買い入れの原資として使用し得るには至らないものと考えられます。このため、昭和三十三年度以降において糸価の安定をはかるために必要な量の生糸買い入れ原資に不足を来たすおそれがありますので、今回、この会計の一時借入金等限度額を従来の三十億円から五十億円に引き上げ、生糸買い入れ原資の確保に資することとした次第であります。  次に、たばこ専売法の一部を改正する法律案につきまして、申し上げます。  この法律案は、今国会に別途提出しております地方税法の一部を改正する法律案におきまして、市町村たばこ消費税税率が引き上げられることとさているのに伴い、日本専売公社が売り渡す製造たばこ小売定価中に含まれる市町村たばこ消費税税率を百分の九から百分の十一に引き上げようとするものであります。  最後に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  相続税については、現行課税方式によれば、遺産分割状況により著しく税負担が異り、農家、中小企業等一般遺産分割が困難な相続の場合に、その負担が相対的に重くなりがちであること、税務執行の面で、遺産分割状況の確認が困難なため時に税務執行の行き過ぎがいわれるとともに、中には遺産分割を仮装する事例も見受けられること等の欠陥が指摘されており、また、現行相続税負担がなお重く、特に中小財産階層においてかなり重いものとなっていること等の現状から、つとにその根本的再検討が要望されていたのであります。  政府は昨年来この問題を取り上げ、税制特別調査会にも諮つて慎重な検討を行なつた結果、その改正案を立案した次第でありますが、今回の改正案は、相続税について現行遺産収得税体系を維持しつつ、遺産の総額と法定相続人の数とにより相続人の納付する相続税の総額が決定されるような制度とするとともに、相続税基礎控除を大幅に引き上げ、中小財産階層に適用される税率を緩和して、その負担の軽減をはかる等、相続税制度合理化中小財産階層相続税負担の軽減をはかろうとしているのであります。  次に法律案の内容についてその概要を申し上げます。  第一は、相続税課税方式を改めたことであります。すなわち現行相続税は、各相続人のそれぞれの取得財産につき五十万円を基礎控除した後の課税価格に対して累進税率を適用して計算することとなっており、遺産の分の状況によって、税負担が著しく異なってくるのでありますが、今回の改正案では、遺産の総額から一定の基礎控除行なつた後の価額を法定相続人が民法の相続分に従って相続するものとした場合の相続税の総額を計算し、これを各相続人の実際の取得財産の価額に応じて配分して各人の相続税額を計算する方式を採用することとしており、これによって、現行遺産取得税の長所を生かしつつ、これまで指摘されたような遺産分割状況によって税負担が著しく異なる欠陥を是正しようとしているわけであります。  第二は、相続税基礎控除を大幅に引き上げてさきに述べた相続税の総額を計算する場合に百五十万円に法定相続人一人につき三十万円を加算した金額を基礎控除することとしていることであります。現行相続税は、遺産を取得した人ごとに五十万円を控除して課税することとしているため、農家、中小企業等遺産分割が困難な相続の場合には、比較的少額の遺産についても相続税が課税されることとなっておりますが、今回の改正案によれば、このような問題もほとんど解消される見込みであり、これによって相続税課税見込人員は、現行の約五万五千人に対して約一万五千人と大幅に減少する見込みであります。  第三は、相続税税率についてその累進度を緩和したことであります。これにより相続税負担は、さきに述べた課税方式改正及び基礎控除の引き上げと相待って、特に中小財産階層相続税負担が大幅に軽減されることとなるのであります。  第四は、配偶者控除及び未成年者控除について改正行なつたことであります。すなわち、現行法では、これらの控除は、それぞれ課税価格から控除する方式をとつているのを税額控除方式に改めるとともに、配偶者控除については、一定の限度を設け、この控除高額財産階層にとつて著しく有利な制度とならないように配意し、また、未成年者控除については、特に中小財産階層においてその控除の利益が大きくなるように引き上げることとしております。  なお、現行の制度が財産分割状況により税負担が異なるため、改正前後の負担を正確に比較することは困難でありますが、通常の財産相続の形態において見ると、現行法では遺産百万の場合は約三万五千円、二百万円の場合は約十二万円、三百万円の場合は約二十五万円の負担となっているのが、改正案ではいずれも課税されないこととなり、遺産五百万円の場合は、現行法で約五十三万円、約一一%であるのか改正案では約二十万円、約四%の負択と、また遺産一千万円の場合は、現行法で約百四十六万円、約二五%であるのが改正案では約百六万円、約一一%とそれぞれその負担が大幅に軽減されることとなる見込みであります。  第五は、相続税負担改正に即応して、贈与税基礎控除及び税率について改正を加えたことであります。すなわち、基礎控除現行の十万円から二十万円に引き上げ、少額の贈与財産に対する税率の緩和をはかるとともに、相続税負担との関連において税率全般の調整をはかることとしているのであります。これによって贈与税課税見込み人員は、現行の約十六万人に対して約四万八千人と大幅に減少する見込みであります。  以上のほか、相続税及び贈与税負担の軽減がはかられる反面、贈与分割して行われた場合と一時に行われた場合との間の負担の公平をはかる措置として、贈与税について新たに年十万円をこえる贈与が行われた場合にこれを三年間累積して課税する制度を設けるとともに、生前贈与相続財産に加算する期間を相続開始前三年まで延長し、また退職手当非課税限度法定相続人一人につき五十万円に引き上げ、その他相続税法について所要の規定整備をはかることとしております。  なお、この改正案は、昭和三十三年一月一日以後相続、遺贈または贈与があった場合の相続税及び贈与税について適用することとして、おります。  以上六法律案の提案の理由とその概要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
  4. 足鹿覺

    足鹿委員長 これにて提案理由説明は終了いたしました。本案に対する質疑は、次会に譲ることといたします。     —————————————
  5. 足鹿覺

    足鹿委員長 次に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますから、これを許します。平岡忠次郎君。
  6. 平岡忠次郎

    平岡委員 外国為替資金特別会計法の一部改正案関連しまして、アルゼンチンオープン勘定協定につき、若干の質問をいたしたいと思います。つきましては、一九五三年の四月にオープン勘出協定成立して以来の今日までに至る概要を、まずお聞きしたいと思います。
  7. 酒井俊彦

    酒井政府委員 お話にありましたように、一九五三年以来の日ア・オープン協定状況でございますが、これば、数字で申し上げますと、一九五三年の十二月は、日本側の千九百五十九万八千ドルの入超バランスでございます。次の一九五四年十二月におきましては、二千十七力一千ドルと入超バランスになっております。ところが五五年の十二月になりますと、日本側の四千七百十八万八千ドルという出超勘定になっております。それから五六年の十二月末における残高は、五千七百七十八万ドルの日本側出超になっておるわけでございます。で、一九五七年九月末をもちましてオープン協定は締め切つたのでありますが、その経過措置といたしまして、従来のオープンを通じての契約についても、やはりそれ以後も行なって参りましたので、結局十二月末現在におきましては、五千十六万九千ドルの出超になつたわけであります。
  8. 平岡忠次郎

    平岡委員 いろいろこまかいことはあとから質問しますが、最初にお聞きしたいのは、対アルゼンチンオープン勘定協定成立時に条約として国会批准を求めたかどうか。
  9. 酒井俊彦

    酒井政府委員 これは、オープン協定という決済方式に関する協定でございますので、しかも、これは年々の決済をしていく短期の決済方式でございますので、行政協定として国会批准を求めるという手続はいたしておりません。
  10. 平岡忠次郎

    平岡委員 オープン勘定協定をもって、あなた方は執行協定と考えていると思うのです。執行協定であるなら、これに先行する条約が何かあると思うのですが、それは何でしょうか。
  11. 酒井俊彦

    酒井政府委員 オープン協定は、外国為替資金特別会計法第五条によりまして、外国為替資金ば、外国為替等の売買に運用するという規定がございます。それで、一つの運用方法であるということが第一であります。それから、外国為替及び外国貿易管理法二十六条に、居住者と非居住者間の債務の発生ということにつきましての規定がございます。それで、大蔵大臣許可したもの以外はいけないという規定がございますが、その規定を受けまして、政令において、大蔵大臣がその権限によって、つまり外国為替資金特別会計法権限によって、そういう取りりきめをすることについては許可は要らない。大蔵大臣が自身でやりますので、それは必要としないということを定めております。従いまして、オープン協定外国為替運用の大要をとりきめましたもので、国会承認は必要としない、かように考えております。
  12. 平岡忠次郎

    平岡委員 結果としてオープン勘定協定の弊害がたくさん出てきておるのです。そこで、死児のよわいを数えることはないのですけれども、こういう跡始末だけが国会承認を、受ける等の手続とつて、この成立において、これが単なる執行協定だということで、少し軽はずみに取り扱われた感を免れ得ないと思うのです。確かに法律的には、先行する外国為替資金特別会計法によるものでありますけれども、これには、実質的にはずいぶん議論が多いと思うのです。しかし、ここでは、その点は一応差しおきまして、あなた方のおっしゃる執行協定たるオープン勘出協定、これを是認した上で、私は質問したいと思うのです。この執行協定たるオープン勘定協定の中に支払い延期または分割支払い等の特約があったとしても、実際に延期または分割支心仏いのやむなきに立ち至って、いわば孫協定ともいうべき債権処理のためのたな上げ、あるいは分割払い協定日ア間に合意され、これが実施に移されることは、財政法の第八条の債権効力の変更の事案として、法律に基いた国会承認手続をとるべきではないかと思っておるのですが、この点はどうでしよう。財政法の第八条は「国の債権の全部若しくは一部を免除し又はその効力を変更するには、法律に基くことを要する。」と規定しています。従いまして、インドネシアの焦げつき債権放棄の場合と同様、アルゼンチンとの暫定協定についても、法律上の手続をとるべきであると考えておりますが、政府の見解はどうでしよう。
  13. 酒井俊彦

    酒井政府委員 先ほど申し上げましたように、アルゼンチン債権処理につきまして、ドル払いを認めておる。これは、もちろん暫定協定でございまして、御承知の通り、今正式に協定を交渉中でございます。しかし、暫定協定につきましては、財政法第八条との関係の御質問でございますが、政府といたしましては、これを外国為替及び外国貿易管理法規定に基きまして、先ほど申し上げましたように、主務大臣に授権されておるというふうに観念いたしております。これは、もう一度申し上げますと、外国為替及び外国貿易管理法第二十六条一項は、「政会で定める場合を除いては、非居住者に対する債権を取得した者は、当該債権期限の到来又は条件の成就後遅滞なく、これを取り立てなければならない。」という規定がございます。それに基きまして、為替管理令十条の一項四号には、主務大臣指定または許可があった場合には、債権取り立て期限の延長が認められるということでございます。同時にその次の三項で、当該指定、または許可取り立て延期、延べ払いということについては、当該指定または許可にかかる事項が善意でかつやむを得ないものであることということを確認した上で、こういう措置をとれるわけであります。そこで、その次に同じく外国為替管理令の二十六条三項で、大蔵大臣は、為替特別会計法規定に基きまして——これば第五条でございます。政令規定によって許可または承認を受けるという行為をする場合におきましても、その行為または取引は、許可または承認を受けないですることができるという規定が二十六条にございます。そういう意味で、暫定協定につきましては、やはりこれは授権された範囲内で行政協定処理できるというふうに解釈いたしております。
  14. 平岡忠次郎

    平岡委員 これが、インドネシアの場合においては免除しましたね。片や、まあたな上げですね。延期するわけです。分割払いにするわけです。ちようど財政法の八条の前段の事項が、インドネシアの場合には当てはまる。後段の事項アルゼンチンの場合に当てはまると思うのだが、あなたの議論をもってするならば、インドネシアの焦げつき債権処理国会法律として提案したり、あるいは議定書承認という形で提案する必要もないように思うのです。その扱い方かけ離れを、どういうふうにあなたはお考えですか。
  15. 酒井俊彦

    酒井政府委員 今度のインドネシア賠償残高放棄につきまして、これは権利放棄でございますから、財政法八条の関係から申しましても、はっきり権利放棄するということについては、国会の御承認を得る必要があると考えております。ただアルゼンチンの場合は、ただいま申し上げましたように、外貨の運用の態様をきめるという外国為替特別会計法規定を根拠にいたしまして、どんなふうにして最も日本側に有利に取り立てるかということでございまして、これは、為替管理法におきまして、大蔵大臣が授権されている事項であります。しかし、アルゼンチンにつきましても、もし万一アルゼンチン債権放棄するというようなことになれば、これはおっしゃる通り国会承認を得る必要があると思います。アルゼンチンの場合は、債権がなくなっていないということが、根本的な違いだと思います。
  16. 平岡忠次郎

    平岡委員 最初のあなたのお答えは、これは暫定協定であるからという点のお答と、その他管理法等規定によって、その必要はないと思うと、二つ答えられたと思うのです。そこで、暫定協定であつて本協定ではない、現在まだ協定は進行中だ、こういう御解釈があなたの答弁の力点ですか。
  17. 酒井俊彦

    酒井政府委員 私が申し上げましたのは、むしろ財政法八条との関係におきまして私ども為替管理法関係、あるいは外国為替資金特別会計法、これによりまして、こういう債権取り立て方法をどうするかということを、一応授権されておるということに、重点を置いて申し上げたつもりであります。なお、今暫定協定であるということは、アルゼンチンについては事実でございまして、それは、むしろ法律の解釈というよりも、事実を申し上げたにとどまるのであります。
  18. 平岡忠次郎

    平岡委員 それではお伺いしますけれども、対ア・オープン勘定協定において、日本国の債権効力が現在著しく変更されておる、この事実を、お認めですか。
  19. 酒井俊彦

    酒井政府委員 債権効力と申しますとあれですか、一挙にバランスの全部を回収することはむずかしいので、一応分割払いを暫定的に認めておるという点では、多少おっしゃるところはございます。
  20. 平岡忠次郎

    平岡委員 授権されたということを別にしまして、この実体自身も、効力の変更とあなた方は御認識になるかどうかを、はっきりしておきたいのです。
  21. 酒井俊彦

    酒井政府委員 おっしゃるような意味におきましては、効力の変更ということはできるかと思います。
  22. 平岡忠次郎

    平岡委員 そうしますと、授権された為替管理法範囲内で、まだ経過中でもあり、授権もされておるのだからというのですけれども、その授権されていることを是認した上でも、ここに債権効力に変更を来たしたという事実が発生すれば、やはり第八条の後段の制約に基いて、あなた方が法律に基くところの処理をおとりにならなければならぬと私どもは解釈しているのですか、どうでしょうか。
  23. 酒井俊彦

    酒井政府委員 その点は、また繰り返しになりますけれども、外国為替及び貿易管理法に基く大蔵大臣権限、それから外為資金特別会計規定による大蔵大臣権限、そういうものによりまして、債権の回収について、善意かつやむを得ない事態であるという場合は、これを認めてよろしい、しかも、それは許可を受けることを要しないという規定がございますので、そういう規定に基きまして、暫定協定ではございますが、これに御承認を求めなくてもよろしい、かように考えております。
  24. 平岡忠次郎

    平岡委員 私は、財政法の八条につきまして、ほんとうにこれにちようど当てはまる事案として、片やインドネシアの免除がある、片や債権の変更がある、こういうふうに、ちようどそのケースに当てはまるものとしましては、この対アたな上げ協定ですか、暫定にせよ、これは進行すれば、正式の協定になるでしようが、いずれにしても、この第八条の事案として、国会承認を求むべき手続が踏まれなきゃならぬと思うのです。そこでお聞きしておるわけなんですが、あなたの方は、今御答弁がありました。そこで、外務省の佐藤経済局次長が見えておりますなら、あなたの方の御見解をお伺いしたい。
  25. 佐藤健輔

    ○佐藤説明員 お答え申します。今為替局長から申し上げましたように、外務省といたしましても、大蔵大臣権限においてできますことを基礎とした話し合いでございますので、特に憲法によります議会の御承認は要らない、こういう解釈をとつております。
  26. 平岡忠次郎

    平岡委員 授権されておれば、一切それは要らぬのですか。
  27. 酒井俊彦

    酒井政府委員 これは、財政法第八条におきまして、おっしゃるように、効力変更をするには法律に基くことを、要するとなっておりますが、その法律自体は、外国為替管理及び外国貿易管理法規定と、それから外為資金特別会計法、そういう法律に基いてやつておりますので、財政法八条の関係におきまして、これがよろしいということになると思います。
  28. 平岡忠次郎

    平岡委員 繰り返して言うようですが、それならインドネシアの場合は、それが債権の免除であるから、放棄であるから、法律的な手続を踏むことが必要だ、そういう区別をされておるけれども、そうすると、根拠が薄くなると思うのです。そこをもう少し的確に御説明いただきたい。
  29. 酒井俊彦

    酒井政府委員 現行為替管理法及び外為特別会計法において、債権放棄することは許されておりません。従いまして、今度のインドネシアの場合は、債権放棄するのでありますから、従って法律の根拠がない、それで協定国会にお出しして、御承認を、求めた上で放棄をするという関係になると思います。
  30. 平岡忠次郎

    平岡委員 法律論とすれば、あなたの方で、辛うじてなんですが、合法性を確保できるかもしれません。しかし、実態的にオープン勘定協定の始末が、単に問題のインドネシアアルゼンチン、韓国だけでなしに、なお台湾政府、それからエジプトの問題、こういう点に全部問題が出ておる。具体的に言いますならば、このインドネシアの一億七千七百万ドルは別としましても、アルゼンチンの場合は、ことしの一月末で五千七十万ドル、幹国が四千七百十九万ドル、それに台湾の二千三百七十万ドル、エジプトの千二百六十二万ドル、これがあなた方のいわゆる非流動的債権になっておると思うのです。そうすると、たとえばイギリスとの間の支払い協定というような問題は、これは別ですが、このオープン勘定協定の場合におきましては、これが日本国と相手国間の、この政府間におきまして債権債務関係が発生し、相手国の債務不履行の場合には、結局国民の負担となるべきものであります。少くともオープン勘定協定については、性質上当然国会承認を経べきものと私は考えます。先ほどのあなた方の法律論は別として、こういうイギリスとの支払い協定とかいうこととは全然違うのですね。そこで、実態がそうであるならば、あなた方は、進んでアルゼンチンの問題につきましても、法律的な手続を踏むべきだと思ったのですけれども、今度アルゼンチンでは、二十三日に大統領選挙が行われました。その結果のほどは知りません。しかし、あなた方の暫定協定の見通しが、第一回の五百五万ドルですか、利子と元本が払われてきた、ここまではいいのですが、これがまた焦げつかないとも限りません。そういう不安の見通しがあるのですから、やはりちゃんと国会にその手続を踏まれた方がいいと思うのです。法律的にはせぬでもいいということになりましようが、財政法の八条の制約もありますし、この点は、ざつくばらんに、やはり事前に国会手続をとられた方がいいと思うのです。  それから先ほどあなたの方は、力点をそこに置かれてはおりませんでしたが、暫定協定で、まだ本協定でないという議論は、これは当らぬと思うのです。要するに、債権効力の変更の発生した事実こそ大切なんです。そのことからいいますれば、まだ暫定協定であつて、本協定が妥結されておらぬからということは、これは大して意味がないと思うのです。効力の変更のあった事実、それに基いてすみやかにそういう処置をとらるべきだと思うのです。その点につきましてあなた方はどういうように考えておりますか。
  31. 酒井俊彦

    酒井政府委員 お尋ねの前段の問題でございますが、オープン協定が、往々にして結果としてそういうことになるということは、仰せの通りでありまして、従いまして、われわれも、オープン勘定というものは漸次閉鎖していきたいということで、過去において十五、六ありましたのを、現在六つくらいに整理しております。なお本年中にできればオープン協定というものは廃止していきたい、現にアルゼンチンも廃止したわけであります。そういう意味におきまして、法律論を離れて、多少そういう問題が出てくるということはございます。従って、なるべく今後はオープンというような形をとらないし、むしろ現在あるものも、そういう、減らしていきたいということを考えております。  それからアルゼンチンの問題につきましてでございましたが、これは、ただいま申し上げましたようなことで、暫定協定を結んでおるわけであります。まあ正式協定で延べ払いをやります場合に、もし財政法八条に引つかかるような、あるいはそのほかいろいろな、国会承認を受けなければならぬような状態のものができましたならば、これは、もちろん御承認を受けることになると思います。ただ、先ほどから申しましたように、債権取り立てをこういうふうに繰り延べていくということは、法律上一応授権されている、また実情といたしましても、それを私どもがいけないのだということになりますと、実際問題として、支払い能力が相手国にありませんので、一ぺんにとつてくることはできません。インドネシアの場合なんか、ことに国交もなかった時代でございますので、そういう関係もありまして、これは、善意かつやむを得ない事情であるというふうに考えておるわけであります。
  32. 平岡忠次郎

    平岡委員 あなたは、こうした弊害の事例にかんがみて、今後オープン勘定協定は一切やらぬぞ、こういうことで反省もしておる、こういうお答えでした。そこで私はお伺いします。ただいま第四次協定を取り結ぶために、中国に対しまして関係団体、国会議員も含んでおりますが、これが中国に参っておりまして、中国の従来の第四次協定に対する要望事項が、すでに公開せられております。それによりますと、日本と第四次通商協定を結ぶときの決済関係につきまして、オープン勘定協定というものを要望しております。現実には、三百万ポンドないし五百万ポンドのスイングを認め合う、このことを要望してきておるのです。で、私どもの理解に従いますれば、政府は、その点は非常に逡巡しておりますけれども、対中共との貿易は必然のコースなんです。鉄鋼関係でも、今度ある妥結点に達したように新聞では報道されておる。こういう見通しを見ますと、この対中共貿易の決済問題は、そろそろ政府としても十分腹をきめる心がまえを持つ段階にあろうと思います。そこでお伺いしたいのは、オープン勘定協定は、対中共貿易の決済方式としても全然考えておらぬ、こういうことですか。
  33. 酒井俊彦

    酒井政府委員 この問題につきまして、大蔵省の事務当局に関する限りの考え方は、オープン協定という形ではなしに行きたい。さきにソ連と協定をいたしましたように、ああいう銀行のコルレス関係で一件々々決済をしていきたい。トレード・プランというものはできるでありましようけれども、これは、決済面におきましては、オープン勘定協定という形はとりたくないというのが、実は大蔵省事務当局の考え方であります。
  34. 平岡忠次郎

    平岡委員 政府の見解をお伺いします。
  35. 酒井俊彦

    酒井政府委員 これは、大体政府の見解でございます。
  36. 平岡忠次郎

    平岡委員 あなたに聞いているのではない。坊政務次官です。
  37. 坊秀男

    ○坊政府委員 為替局長のお答え申し上げました通り、大体それが政府の見解でございます。
  38. 平岡忠次郎

    平岡委員 あつものにこりてなますを吹く、アルゼンチンとかインドネシアに対する経験にこりまして、すべてそういう道をふさぐというのですね。それは、積極的な解決じゃないです。しかし、政府としては、今言つたように、あつものにこりてなますを吹くという、そういうことも織り込んで、全体を見まして、なおかつオープン勘定協定で今度新しく新たな国との通商協定に入ることは好ましくない、そういう態度であるかもしれませんが、もしそうだとするならば、商売ですから、相手方も条件を出します。こちらも条件を出すのです。そして商売をして、なおかつ最後の代金の受取りまで確保することが商売ですから、従来政府がやつてきたように、何でも統計上輸出の数字さえ伸びればよろしい、焦げつきが、日本の外貨保有九億六千万ドルですか、その三分の一に達するような事態を招来しておいて、大体輸出の統計上の数字を誇示しているということは、私どもは、国民とともに不本意でございます。そういうことからしまして、この中共問題に対しまして、あなた方はもっと積極的な一つの腹がまえがなければならぬと思う。そこで、今明らかにされたことは、オープン勘定協定はせぬということ、しかし取引ですから、相手方も条件を出してくる、その条件というのは、やはり三百万ポンドないし五百万ポンドのスイングを認めてくれ、結論的には一方的になるかもしれません。これは、相互の国かお互いにスイングを認め合うということになりましようが、しかし、そのことはいずれにしましても、先方の取引条件のうちにそうしたスイングを求めてきた場合に、オープン勘定協定にもよらず、しかも向うの条件を入れ得る余地というものは、どういう方式がありますか。
  39. 酒井俊彦

    酒井政府委員 オープン協定につきましては、おっしゃるように、その焦げつきが出まして、その処理が国民の負担になるという点が非常にございます。で、おっしゃるように、ただ輸出の統計数字が出ればいいのだというものではございませんで、商売でございますから、その金が確実に返るということが必要でございます。同時に、オープン協定というのは、大体両国間の貿易かバランスをするということを中心に考えております。まあ一時的な出入りがあるからスイングを設けよということでざいますが、この場合、両者をバランスさせるためには、日本としては、場合によっては高いものを買わなくちやならぬというような弊害も別に出て参ります。そういったような意味から、オープン協定というのはできるだけ避けたい。決済といたしましては、ソ連との通商協定のように、やはりコルレスを通じて現金決済をしていきたい。この場合、多少の出入りがあるところにつきましては、たとえば為替のユーサンスを与えるとか、こういう方法が考えられると思います。いずれにいたしましても、オープン協定はいろいろな面で、おっしゃるように弊害がございますし、ただ数字が伸びて、輸出が出たというだけで、金がとれなければ問題になりません。高いものを買わされる。そういう意思味で、今後はオープン協定は作つていかないというのが、私どもの腹でございます。
  40. 平岡忠次郎

    平岡委員 では、今後は、むろん中共との貿易協定が取り結ばれるにしても、キャッシュ・ベーシスでいくのだ、ただしユーザンスは妨げない、この辺が妥協の余地のあるところであろうと思う。現在中共との決済は、ポンドであろうと思う。ポンドは、現在三カ月が最高のユーザン八の期間であると思っております。そうですね。
  41. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ポンドにつきましては、先般四カ月から三カ月になりました。それから、なお先ほど中共貿易についてのユーザンスの問題がございました。これは、今実行しているわけではございませんので、今後日中通商協定のでき工合、その他実情に即しまして慎重に考慮したいという程度でございまして、現在認めておるわけではございません。
  42. 平岡忠次郎

    平岡委員 ユーザンスが先ごろまでは四カ月であった、ドルは三カ月、ポンドは四カ月、それが三カ月に改訂せられております。これは行政的な措置であろうと思う。そこで私は、中国側の条件に折り合うために、日本のキャッシュ・ベーシスもくずさぬ、そこで妥協点としてユーザンスの方式を用いる。そうすれば、日本側としてもキャッシュ・ベーシスの基本的ベースをくずさないでいけるということ、中国側においては、事実上のそこのクレジット、これがユーザンスを通して得られるということ、こういうことになりますと、これは私、試案的に一つ申し述べますと、三カ月ということでなしに、これをかりに六カ月のユーザンスを認めるということ、——これは試案ですから、あなた方聞いておいてもらえばいい。たとえば為替銀行をあなた方が見ておれば、日本と中国の貿易のバランスがどういうふうにいっているということは、それで刻々つかめるわけですね。そうすると、一カ月におきまして、五十万ポンドの日本からの輸出超過になると仮定しまして、六カ月間のユーザンスで、一カ月当て五十万ポンドの限度だけを一応政府の方として容認していくということになりますれば、六カ月目は、一カ月五十万ポンドですから三百万ポンドになります。七カ月目は一カ月目が落ちますから、やはり三百万ポンドの限度において、その点にさしたる弊害が起つてこない。こういう点は、やはり現実に考慮すべきであろうと思うのです。ただキャッシュ・ベーシスであるということ、それだけなら、商売はしなければ危険がないのですから、危険を避けるために商売をしないという消極的なことになります。しかし、商売をしていくという積極的な立場をとつて、なおかつそこの危険を未然に防ぐ、こういう処理を考えるならば、私はポンド為替は三カ月にユーザンスを限定するということに固執しなくてもいいと思うのです。そういう方式で来るべき対中共貿易の決済問題に対しまして、政府は腹をきめておいてほしい。鉄鋼の輸出とか、そういうものがすでに合意を見ておるらしいですから、その問題は、すぐあなた方の実際上の処置を要求してくると思うのです。この場合に、私がかりに申し上げました、今のような事柄を大蔵当局、あるいは政府当局はお考えになるかどうか、これをお伺いします。
  43. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ユーザンスを与えるかどうかということは、コルレス契約がどういうふうに結ばれるか。オープンというのは、私どもはいかぬと思っておりますが、その場合に、コルレス契約がどういうふうに結ばれるか、そうして、どういう事態になるかということを慎重に検討した上でありませんと、こういうユーザンスを与えるかどうかということもわからないと思います。同時に、やるといたしました場合にも、一般的に申しまして、ユーザンスは三カ月になっておりますので、中共だけ六カ月にして、あと一般原則をくずすということは、これはまた波及するところが大きくてよくないのじゃないか、これは、もつぱら金融の問題でございますが、一般的にいって、原則は三カ月ということで押えていきたいと思っております。
  44. 平岡忠次郎

    平岡委員 対中共貿易の決済方式ですが、結局政府とすれば、やはりポンド決済ということでいくのか、それならぺイアブル・イン・ロンドンですか、要するにロンドン決済ということ、ポンド決済ということ、それからダイレクトのコルレスですね。中共の為替関係は何銀行ですか、人民銀行が中央銀行ですから、中国銀行ですか、それとも日本の為替諸銀行とダイレクトにコルレスを開かしめる、こういう御意見ですか。
  45. 酒井俊彦

    酒井政府委員 決済方式としては、大体おっしゃったような過程でやるのがいいのじゃないかと私は考えております。今の御意見の通りにする方がいいのじゃないかと思います。
  46. 平岡忠次郎

    平岡委員 大蔵大臣は、先ごろ円為替を大いに進めていく、こういうことをおつしやいましたが、当座はそういうことは考えておりませんな、中国貿易に関しましては。
  47. 酒井俊彦

    酒井政府委員 円為替の問題につきましては、将来そういう問題が起つてくるかもしれませんが、円為替を導入するということは、為替管理の基本的な問題に関連いたして参ります。ことに、これは対外的な決済のみならず、円為替を使うということになりますと、輸入面その他で通貨価値と申しますか、円の価値それ自身の問題につながつて参りますので、これはよほど慎重にやらなければいかぬと思います。ただ、だんだんとインドの円クレジットとか、いろいろな例が出て参りました。これは円為替ではございませんが、将来にはあるいはそういう事態がくるかもしれぬ、従って、慎重に根本問題として考えておるわけでございます。
  48. 平岡忠次郎

    平岡委員 最後に、例の信用状なしのDP、DAの問題ですが、この政府の統一的御見解をお示し願いたい。
  49. 酒井俊彦

    酒井政府委員 統一的見解というお話でございますが、実は標準決済規則を変えまして、今までは現行のLCベースであったのでございますが、先般貿易為替懇談会を開きまして、その際皆さんの御意見をお聞きし、それからまた関係各省の御意見も調整いたしまして、一応DP、DAというのは、標準決済に入れることにいたしました。もっとも、まだその手続としては進んでおりませんけれども、方針としては、そういうこと、至急に進もうじゃないかということになつたわけでございます。
  50. 平岡忠次郎

    平岡委員 DP、DAも取り入れていく、こういう方針はいいですよ。しかし、それに伴いまして、為替金融とか輸出保険のその点に対する緩和、そういう措置が伴わなければ、あなたの方でそう言われても、実際上は何ら実効を期し得られないと思うのですが、こういう問題に対するあなた方の御用意はどういうことなんですか。
  51. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいま申し上げましたのは、LCベースをはずすということではないのでございまして、やはり取引でございますから、厳格なLCべースを基準にする。しかし、厳格にそのほかのものは一切いかぬというわけにも参りませんので、DP、DAは標準決済規則として認めるということになつたわけでございます。これは、おっしゃるように金融問題でございますけれども、やはり一流銀行のしつかりしたLCのついておりますものとDP、DAとは、金融の面におきましては、どうしてもそこに差が出るということになろうと思います。ただ標準決済規則を改正しまして、それを一つ一つDP、DA、だから許可を受けろということを言わないだけでございます。
  52. 平岡忠次郎

    平岡委員 言わないだけ。あんまり意味はありませんな。
  53. 酒井俊彦

    酒井政府委員 現実の問題として、DP、DAのために許可を相当数申請してきております。これが、やはり輸出貿易関係手続が非常に繁雑である、この輸出振興の叫ばれる際に、そういう手続面の繁雑さを除いてやろう、それだけでも業者の方は助かるのではないかという意味で、標準決済規則に入れたわけでございます。
  54. 平岡忠次郎

    平岡委員 それは、輸入商社の力の問題だ、取引銀行の評価の問題であるとは思うけれども、まあDP、DAまで緩和されるならば、やはりそれに裏づけられる為替金融、輸出保険等の十全な活用をもってそれを補完していく、こういうことは、ぜひとも必要だと思うのですね。やりつぱなしで、一つだけやつて、あとはかまわぬということは、輸出振興——これは輸入でしようが、貿易振興の策としてはきわめて不十分だと思うのです。しかも、こういういろいろな問題ができたときに、これはオープン勘定ではないですから、取引関係者に対するリファンドが当然求められますね。そういうことですから、政府としても、補完的な処置はやはり力関係にまかせるということではなしに、積極的にこれを推挽していく、こういう覚悟でなければいけないと思いますね。実際上、やられている人たちが、この問題にむしろ一番重点があるのですよ。ですから、あなたの方で宙ぶらりんのことでなしに、補完的にこういう問題も一切積極的に解決していく、積極的に緩和していく、こういう方向をとらなければならないと思うのですが、政務次官どうですか。政府はどういうようにお考えですか。
  55. 酒井俊彦

    酒井政府委員 事がはなはだ技術的な問題に属しますので、私からお答えさせていただきますが、もちろん輸出を伸ばすための金融ということにつきましては、輸出金融全般の問題として、何とか措置をとるということは必要であろうかと思います。しかしながら、決済条件としては、これは平岡さんも十分御承知のように、LCベースよりはDP、DAの方が悪いのでございまして、同じ金融の取扱いの中で、一流銀行のLCのあるものとそうでないものは、やはり金融的に若干区別がつくということは、仕方がないことでございます。ただ申しましたのは、私どもはそういう手続を簡素化する。一方金融面は、輸出金融全般の問題としてどう考えるかということは、十分考えなければいかぬと思っております。
  56. 平岡忠次郎

    平岡委員 円為替の問題ですが、対印借款のケースと、それからパキスタンに対する世界銀行の解除ですか、この違いはどこにあるのですか。
  57. 酒井俊彦

    酒井政府委員 対印借款の場合は、円クレジットと言っております。現に輸出入銀行が、個別のケースにつきまして、ケース・バイ・ケースで、インド政府が持ってこられたものについて円のファイナンスをするわけでございます。しかし、それを返すときには、指定通貨たる外貨を円にかえて払え、こういうことを言っております。
  58. 平岡忠次郎

    平岡委員 もらえますか。
  59. 酒井俊彦

    酒井政府委員 もらえます。ですから、返済金は日本の指定通貨、おそらくインドですから、ポンドで日本におきましてかわり円を作つて、それを輸出入銀行に払い込む、そういう規定になっております。  それから世界銀行の円の解除の問題でございますが、これも、やはり解除いたしました場合に、その返済に当りましては、相手国が日本で円を買い付けて、その円を世界銀行に返済することになります。この場合、返済時に日本に外貨が入ることになます。世界銀行との間におきましては、日本が解除いたしましたものについて、後にこれを補てんします場合には、外貨で埋めてくれるはずであります。
  60. 平岡忠次郎

    平岡委員 外貨で埋められますか。
  61. 酒井俊彦

    酒井政府委員 おそらく同じように円でもちろん返すにしましても、指定通貨たる外貨を持ってきて、円を調達して埋めてもらう。返済の場合には、指定通貨であるポンドとかドルとかいうものを、一応日本に売つて、それでできた円でもって世銀の解除の分を埋めていくということになるだろうと思います。
  62. 平岡忠次郎

    平岡委員 日本で世界銀行に出資していますね。二本建で、円でも出資しております。その分については、パキスタン側に世界銀行がクレジットを与える。従って、日本から輸出された品物に対して円の決済はあるのだ。だけども、それによって日本の必要とする外貨はもらえないわけですね。
  63. 酒井俊彦

    酒井政府委員 パキスタンが世銀に返す場合でございますが、こちらは、円で世銀に解除しておりますが、この円を返す場合に、パキスタンが現実に円を持っておりませんから、パキスタンが指定通貨たる外国為替を日本に売つて、円を調達して返す、かようなことになると思います。
  64. 平岡忠次郎

    平岡委員 日本に売つて出すのが、ちょっとおかしいね。何かさつぱり分らない。説明して下さい、何か違つたようです。
  65. 柏木雄介

    ○柏木説明員 御説明いたします。世銀が円を貸す場合には、世銀は、日本銀行に持っております円勘定から円を払い出して貸すわけでございます。従って、円を返済する場合には、日本銀行にあります世銀の円勘定に円を払い込む。その円を、債務国たるパキスタンとかその他の国がどうやつて獲得するかという問題でございます。それにつきましては、為替管理法によりまして、円を融資するについては、一々許可にかけております。その許可をする場合には、現在の考え方としましては、外貨を持ってきて円を獲得した場合だけを認めようかと思っております。
  66. 平岡忠次郎

    平岡委員 それはそれといたしまして、パキスタンの方に、円クレジットが世界銀行から与えられる。その円で、日本の商品をパキスタン側は買うわけですね。ですから、日本側でどういう利点があるかということになれば、大体こういうものはプラント輸出で延べ払いになるような性質の輸出であろうと思うのでありますが、その点が、一応キャッシュで支払われる。そういう点で、日本の輸出業者自体、支払いの点でも軽減されるだろうし、すぐ金をもらえるから、この点は利点だろうと思うのです。しかし、そのことから、今度は輸出価格がたたかれておる。そうすると、他の普通のノルマルの方式による輸出の価格というものは、それに押されて引き下げられるという弊害が出てきそうな気がするが、そういうことはありませんか。だから、得な点とすれば、延べ払いがキャッシュをもって払われるということ、ただし、そういうことから、必然的に今度は値段に対して相当サービスしなければならぬ。そのサービスした値段に押されて、他のノルマルな日本の貿易関係の輸出単価というものは、今度はカットされてきはせぬか、こういう欠点を持つであろうと思う。こういう点の見通し、あなた方の御見解はどうですか。
  67. 酒井俊彦

    酒井政府委員 世銀の解除円で向うへ投資します場合、おっしゃるように、円ですから、日本で買つたものを輸出して、それを世界銀行が延べ払いの格好にして、しかも業者は円が入るわけであります。業者の取引は、それで完結をするのであります。つまりさっき申し上げましたように、円での契約でございますから、それによって一般的な外貨建の取引が非常に条件悪くなるというようなことは、おそらくないのじゃないかと思います。
  68. 平岡忠次郎

    平岡委員 大体最初オープン勘定協定について、これは法律論は別問題として、実態的に、われわれ日本の経済が貿易に依存する程度が高いだけに、大いにこれば検討しなければならぬ、こういう趣旨から質問したのです。しかし、その点は、法律的な問題としては何ら憂慮すべきものがないというあなた方のお答えであります。しかし、実態論としては依然として残ります。それで、この問題は、次の討論等の機会に申し述べることにしまして、私の質問は、これできようは終ることにします。
  69. 足鹿覺

    足鹿委員長 春日一幸君。
  70. 春日一幸

    ○春日委員 私、わが国の外国映画輸入制度、これについて、政府の見解をお伺いいたしたいと思うのであります。  第一番にお伺いをいたしたいことは、現行外国映画輸入制度が創設されました当時のいきさつ、それから現行制度に対する適否の判断についてでありますが、政府は、これを適当な制度であると思っておるか、あるいはすみやかにこれを改正しなければならぬと考えておるか、まずこの見解をお伺いしたいと思います。
  71. 酒井俊彦

    酒井政府委員 外国映画の輸入につきましては、昔と申しますか、占領当時におきまして、実は指令部で割当をいたしておりました。それは、やはり戦前の日本の外国映画の輸入本数、あるいは前年の配給実績、それからまた米国内における映画の製作本数といったようなものを基準にして定めておつたようであります。引き継ぎましたときには、大体外国映画全般として二百十五本というものを輸入しておったわけであります。その後日本側に移りまして、外貨事情もだんだん悪くもなりましたし、それを、ボーナス用を含めまして、百八十五本ということに三十本ばかり減らしたわけであります。その中で、米国映画の占めまする割合は、当初指令部から引め継ぎましたときには、百五十本でございました。それを今日は百二十二本というふうに落しております。現在のやり方といたしましては、従来のいきさつも全然無視するわけには参りません。従って、過去の配給収入等を基準にいたしましてこれを分けておりますが、現在は、割当といたしましては総体百六十六本、そのうちグローバルが百二十二本、それから非ドルが四十四本という分け方をいたしております。今日は特別割当はいたしておりません。ですから、グローバルは世界どこからでもよろしい、非ドルというのは、ドル地域を除いた映画本数、これは主としてヨーロッパその他の映画でございますが、四十四本であります。なおほかに、毎年優秀映画というものを審査いたしまして、優秀映画を入れましたものにつきましては、そのボーナスといたしまして、今年は四本を認めまして、その四本だけ別に入れる権利を認める。それから日本の映画が外国に輸出されました場合、その輸出のメリットを認めまして、輸出ボーナスといたしまして、さらに十五本割り当てております。それで、合計しまして、先ほど申しましたように百八十五本という結果になつたのでありますが、これに要する予算といたしましては、今年度三十二年度予算で、八百五万ドル組んでおります。なお現行の割当の方法かいいかどうかという問題になりますと、おっしゃるようにいろいろ問題がございます。ございますが、現在のように外貨が非常に不足いたしまして、だんだんに本数を締めてきたという場合には、なかなか改善というのはむずかしいのでありまして、実は、さっき申し上げました二百十五本を百六十六本に減らしましたときに、むしろグローバルといいますか、米国映画の方の減らし方を少し大きく見た。配給収入からいきますと、非ドル関係の配給収入ば、米国映画に比して少いのでありますが、それを適用いたしますと、ますますアメリカ映画の方が大きくなるという関係もございまして、これは、一応非ドルの分は固定いたして輸入させております。現准の割当制度が万全のものであるというふうには、私どもさらさら考えておりません。現状におきましては、こういう外貨事情のもとでは、やむを得ないのではないというふうに見ております。
  72. 春日一幸

    ○春日委員 私は、ただいまの局長の御答弁は、不謹慎きわまると思うのです。満足すすべきものではないけれども、やむを得ない、そんなばかなことがありますか。満足すべきものではないというのは、欠陥に満ちている、あるいは不公正な内容をさまざま含んでいるということなんです。そういうことは一日も早く是正することが、その衝にある者の責任といわなければなりません。いかに困難であろうとも、そのことをなさずして、あなた方は国民に対してその職責が果せますか。私は、満足すべきものではないということは、多くの欠陥があるということであると思う。欠阻を是正する努力を払わないということがありますか。  それはそれとして、私は政務吹官にお伺いいたしたい。ただいま局長が御答弁された通り昭和二十五年の米軍占領当時、時の大蔵大臣と米国映画輸出協会のジョンストン氏、この人との間に、占領治下において契約を取りかわされたその契約条件が、本日まで八カ年間無批判に踏襲されているというところに問題がある。私が指摘したいことは——占領治下においては、さまざまな行政があった、制度があった、けれども、それはわが国が独立を取り戻したことを契機として、ポツダム政令を初めとして、その他多くの政令法律、命令、これが日本の実情に即するように大幅の改正がされて今日に至っている。こういうような諸情勢下において、外国映画の、特にこの対米関係の諸問題が、占領治下においてジョンストン氏と契約されたものが、その後そのまま斧鉞を加えることなく、さらにその間において、日本の業者側からさまざまな陳情と苦情が政府に寄せられているにもかかわらず、これに対して、本日まで何らこたうることなく、これが放任されてきている。これは、われわれ国民として納得すべき事柄ではないと思う。この問題について、政務次官は、これば政治的立場から、日本の独立を完成しなければならぬ、独立を達成するためには、経済の自立だ、経済にかかわるところの諸問題は、占領治下と独立後においては変つているのだから、実情に即したところの修正改善が行われてしかるべきだと思う。そのことをあえてなさざる理由、またなし得ないとすればその理由、それをこの機会に明らかにいたされたいと思います。
  73. 坊秀男

    ○坊政府委員 春日委員の御意見のように、占領治下において契約されたということには、わが国にとりましては、いろいろと改善すべき点があるであろうと私も思います。そこで、これらの是正すべき点を一日も早く改善するのが当然じゃないかという春日委員の御意見でございますが、政府といたしましても、むろんそれを全然無視してかかっておるというわけではございませんが、先ほどから為替局長がお答え申し上げました通り、外貨の事情その他の点も考慮いたしまして、直ちにおっしゃる通りのことにはなってはおりませんが、今後大いにこれは研究をいたしまして、その他の占領治下における幾多の矛盾に満ちた事柄と同様に、改善をしていきたいと考えております。
  74. 春日一幸

    ○春日委員 私が政務次官に特に御留意を願いたいことは、この問題は、本委員会の長い間の懸案であります。従いまして、ただおざなりの質疑応答ということではなくして、この質疑応答を通じて問題の核心を明らかに摘出して、改善すべきことがあるとするならば、その改善に踏み切つていく。こういう、答弁のための答弁でもなく、私も質問のための質問ではなくして、それは、国民の側から寄せられておる非難を私が率直に申し上げて、そうして、あなたが日本国の立場において、また国際関係をも加味して、そしてどういう改善がなし得るかを明らかにする、こういう意図を持って質疑応答を進めていきたいと考えておるわけでありますから、その考え方で御答弁を願いたいと存ずるわけであります。たとえば、為替局長からお話のありました通り、こういうような割当制度ができたということは、当然わが国における外貨事情である。あるいは、一つには、邦画産業育成保護というような要素も含まれておるでありましょう。しかしながら、さりとて、現行割当制度が占領当時に契約されたその条件のままに置かれていることは納得できない。これは申し上げるまでもなく、アメリカ商社が八〇%、日本商社が二〇%、しかも、その実績のあるもののみ。ボーナス割当ありといえども、それは、輸出し得ざるものについては、現行制度が踏襲される限り、第三者の介入の余地なからしめている。これは全く企業独占である。独占禁止法が何を規定しておるかは、次官も御承知の通りであります。自由にして公正なる競争の原則。けれども、映画の配給、特に輸入映画については、昭和二十五年以前にその実績のないものについては、これは全然介入することができない。こういう独占形態のあり方というものがよろしいかよろしくないか。しかも、ジョンストン氏と時の大蔵大臣との占領治下にある力関係において、余儀なく屈服されたその条件のもとに、これはアメリカ資本、アメリカ映面H会社の得ておるところの特殊権益ですが、その上にすわつて、外国商社が日本の利益を独占している、収奪している。そして、その当時わずかに便乗しておった一部日本商社が、その実績の上にあぐらをかいて、巨大な利益を独占しておる。こういうようなことは、すみやかに改善をせなけれ、はならぬと思うが、この点について、政務次官の御見解はいかがでありましようか。
  75. 坊秀男

    ○坊政府委員 春日委員の御意見通りです。この契約には、わが国にとりましては、改善せなければならぬ事情が非常にあるということは、私ももう痛切に感じております。しかしながら、その事情につきまして——春日委員は、こういうところを非常に御研究なさつておりますが、私は、その矛盾のあることはよくわかりますが、実態につきましては、今日まだそれほどつまびらかにいたしておりません。そこで、これらの点につきましては、事務当局とも十分話し合いをいたしまして、よく検討の結果、できる限り適当なる手段を考えてみたいと考えております。
  76. 春日一幸

    ○春日委員 政務次費の御答弁は、まことに誠実で、私は非常に満足いたしました。私は、昨年、大蔵委員会から派遣された経済視察団で、アメリカ国内における対日輸入制限の諦運動について、いろいろと情勢を見てきたのでありますけれども、アメリカの国会は、そのアメリカ国民の要望にこたえて、そのことが、すなわち日本の輸出の進出がアメリカの国内産業を圧迫するというような場合には、その非難にこたえて所要の立法を行なっておる。政府はまた、それに協力をしてきておるわけであります。御承知の通り、日本のあの燕地帯のスプーン、フオーク等、その他さまざまな商品の対日輸入制限立法が、上院に一、下院に二十六上程されておつた。アメリカは、日本の品物がよく出ていけば、そのこと自体がアメリカ国民の利益を侵害するということで、直ちに輸入制限措置を現実にとつておる。現に対米向け繊維製品については、わが国業界において、自主的規制が行われておる。あるいはその後毛織物製品も、みんな自主規制をしておる。しなければ、向うは制限立法をして、法律をもってこれを阻止するんだ、こういうことで、日米通商協定があろうとも、アメリカは、アメリカの国民とその産業を保護するという立場で、独自の措置を日本に向つて講じてきておる。こういうような情勢下において、日本は何一つこういうような不当な問題について、日本国民の立場において自主的な措置を講じていないということが、今日アメリカの国会をして、ああいうふうな排日的な動きをむしろ盛んならしめておる一つの原因ではないかと思うのです。だから、日本の国会も、不当、不公正なことについては、その自主的な判断において、適切な措置を講じなければならぬと思う。私は、こういう意味合いにおいて、今日施行されております現行外国映画輸入割当制度のごときは、最も不公正なものの一つであり、全く日本的な一つのケースではないかということを指摘したい。政務次官も、はなはだ不当なことで、納得しがたい、しかし、具体的にはどういう措置かあるか、さらに研究したいということでありますが、私は、そういう意味で、この際私の意見並びに業会の意見を総合して、私の所見を申し述べてみたい。  なるほど互恵通商の立場から、なお日米経済提携の立場から、一方的なことを言つたつてこれはできません。けれども、第三者が見て、これならば合理的だとか、だれが見ても、これならば納得できるというような線は、私は大胆にアメリカ側に提示すべきであろうと思う。アメリカだつて、自由にして公正を標榜しておるのでありますから、日本もその大確信の上に立って、アメリカに問題の交渉を提起していけば、アメリカが納得しないはずはないと思う。アメリカが納得しなければ、世界の世論にさらすべきである。私は、そういう意味で、私の所信を申し上げるならば、少なくとも日本において、これだけの大資本を投じての映画常設館があり、そうしてアメリカとしても、映画は文化交流のために日本に出したいということは、アメリカの国際政策、文化政策であろうし、そうして日本としては、これまた健全娯楽として重要な政策的意味を持つ事柄でありますから、やはりその日本の映画館なり、そういうような事業の成り立つ態勢において、輸入契約というものが締結されてしかるべきであろうと思うのです。だから私は、製作するアメリカ側、そうして日本への輸入の実績を持っておるところのアメリカ側の立場を尊重して、同時にまた、日本がこの巨大な資本を投じて上映のためのそういう映画館を作り、所要の行政措置が講じられておるという、こういう立場をも考慮して、アメリカからの輸入は、現在の二〇対八〇というような片寄つたものじやなくして、占領下における要するに軍の威力、圧力によって押しつけられたあんなばかげたパーセンテージではなくして、フィフティ・フィフティの立場で、日本側五〇、アメリカ側五〇、こういうような立場でこの協定を改訂するというようなことならば、これは言って言い得ることであり、世界の何人が聞いてももっともであり、合点のいくことであろうと思う。この点について、酒井さんからでもけつこうですが、私の具体的な一つの提案、しかも、これは私の即興的な考えではなく、少くとも全国の映画業界の人たちが、この問題をずっと本委員会に陳情しておる。その人々の意見によれば、これは、専門的ないろいろな検討を加えて、これならば適切妥当であろう、諸外国の事例もおおむねこれに準じておる、こういうことであります。この際、このフィフティ・フィフティの提唱をアメリカに対して行なってみてはどうかと思うが、これに対する政府の所信はいかがでありますか。
  77. 酒井俊彦

    酒井政府委員 おっしゃるお話は、ごもっともでございます。実は、外国映画の収入でございますが、これは、劇場の入場料金を一〇〇%といたしますと、そのうち二〇%入場税で日本の政府が取ります……。
  78. 春日一幸

    ○春日委員 私はそれを聞いておりません。私のお伺いしたことだけを聞きたい。
  79. 酒井俊彦

    酒井政府委員 これは、フィフティ・フィフティの問題に関係がございますので……。
  80. 春日一幸

    ○春日委員 本数についてフィフティ・フィフティはどうであるか、本数ですよ。
  81. 酒井俊彦

    酒井政府委員 これは、日本の国内産業の保護という意味からは、昭和二十五年当時におきまして、輸入映画と日本映画とは、その本数がほぼ同数でございました。今日は、外国映画の方が本数が減り、逆に日本映画の方が五百本以上できるというふうなことになっておりまして、同じ比率でいったのでは、日本の国内映画産業の保護ということができませんので、むしろ外国映画の輸入割合はずっと切り下げる……。
  82. 春日一幸

    ○春日委員 ちょっと待って下さい。私の質問に答えてもらわなければだめだ。私の言うのは、日本映画の生産数量と外国映画の輸入数量とフイフティ・フィフティにしろと言っておるんじゃないのだ。アメリカから百本輸入許可を与えるならば、その輸入権利を日本の業者にも五十本、それからアメリカの業者にも五十本、こういう工合にフィフティ・フィフティにしろということを言っておるのです。現在は八十本・二十本になっておるから、これを五十本・五十本に直したらどうか、これは公正な主張じゃないか、この点についてのみお答え願いたい。
  83. 酒井俊彦

    酒井政府委員 質問の御趣旨はよくわかりました。現在は、御承知のように、百二十二本のうち、百一本がメージャー十社に割り当てられておることは、事実であります。これは、しかしながらいろいろ問題がございます。私どもも、陳情を伺つておりますけれども、何か客観的な基準でもってこれを割当するより仕方がないということになりますと、やはり過去における配給収入の実績というような客観的なデータをつかんで押して参りませんと、なかなか問題は解決しないんじゃないか。その客観的基準をどこに置いたらいいかということは、これは、私どもも今後十分研究しなければならぬ問題だと思っております。
  84. 春日一幸

    ○春日委員 客観的な基準とおっしゃるが、実績ということになれば、これは現行制度が実績の基準の上に立っておる。当時アメリカの軍政下にあったというこの日本の劣勢が、アメリカの過分な主張をして容認せざるを得なくならしめたわけですね。だから、日本が独立を完成したのだから、こういう機会に機会均等の立場を取り戻すべきである。そういう意味において、現実の日本の外貨事情において、ある程度の輸入制限を必要とするというこの政策が、また日本の自主的な判断、必要に基いてなされているわけである。しかし、一定量はアメリカから輸入をするんだ、これは、アメリカのこういうような映画を日本国民は見ることを欲しておるのだから、日本国民のその意欲にこたえて、その欲望にこたえて、これを満たしていくために百本なら百本輸入するんだ。ところが、その生産者であるところのアメリカに対しても、やはりある程度の利益、立場、これは認めてやらなければならぬから、その五十本は、アメリカ側の商社において輸入なさい、けれども、日本側は為替政策において輸入を制限しなければならぬのだから、自由に輸入することはできない。従って残りの五十本は、日本の独自の見解において——それを上映するための諸施設が要る、これは、日本側の資本によってこれがなされておる、すなわち日本側の犠牲においてそういうような投資が行われておる実情にかんがみて、その輸入映画上映から上ってくる利潤を、製作者と上映者がフィフティ・フィフティに相分つという意味において、残りの五十本は日本商社で輸入しなさいということにするのが、今基準は何もないけれども、これは一つおか目八目というか、腰だめで判断するのが、大体理論においても適正妥当な基準ではあるまいか、こういうことですね。要するに、自由に輸入させれば自由競争でやっていくけれども、外貨事情のために自由に輸入させることができないとするならば、政策的に百本入れたら、フィフティ・フィフティにするということは、これはもう独自の決定による以外にはないのであります。実績によれば、やはりアメリカに歩がよくなってくるという形になってくるでしようが、実績といったところで、自由為替時代の実績を、このような管理政策をとつて、しかも抑制政策をとろうとするときに適用してもしようがないじゃないか、ぺースが違うのだから、そうい意味で、この業者たちが陳情しておる。この日本国民の陳情しておることに政府はこたえて、これは、アメリカの国民がアメリカの政府国会に陳情しておることにこたえているアメリカの国会やアメリカの政府と同じように、日本国の政府は、日本国民の要望にこたえて、そういう交渉を展開してはどうかというのです。その点について御答弁願いたい。
  85. 酒井俊彦

    酒井政府委員 御意見は、傾聴に値すると思うのであります。われわれも、今後そういう面で研究しなくちやならぬと思っておりますが、ただ、過去の配給収入の実績は過去の実績じゃないか、それを基準にするのはけしからぬというお話でございますが、実際に、日本人がどういう映画を一番好んで見るかということになりますと、やはり配給収入の実績ということが相当ものを言うわけでございます。実情といたしましては、アメリカ側のメージャーの輸入した映画がやはり一番観客を動員し、収入を安定させるということで、どうしてもそちらの方に輸入が片寄つて参ることは、現状では仕方がないと思っておりますが、しかし、それはおっしゃるように、できるだけそれを打開したいと思っております。世界各国の各地におきまして、アメリカ映画はずいぶん進出しておりますが、やはりこの問題は、日本と同じように、向うのメージャーの連中が、ヨーロッパ各国でも相当こういったような割当を受けております。取り分につきましても、大体日本と同じ条件ということを出しております。これは、映画輸入業者と製作者との間の力関係がございますので、漸次これを何とか解決をしたいと思いますが、今すぐにそれができない実情でございますので、いずれまた外貨予算でもふえました場合には、そういう点を考慮して、実情に即するように漸次改善していきたいと思っております。
  86. 春日一幸

    ○春日委員 これはだめだ。政務次官にお伺いをいたしますが、私と局長の質疑応答を通じて、政務次官もだんだんとおわかりになつたと思うのだが、結局日本の外貨事情で、本数制限をしなければならぬ必要がある、その制限されたる本数が、現在は八〇対二〇の関係で、日本側に二十本、アメリカ側に八十本という比率で制限がされておるわけでございます。つまり制限された割当が行われておる。私の旨うことは、この比率が想定されたのが、占領治下において、力関係で日本が不当に屈服させられたきらいがあるとすれば、これは、独立が完成されたんだから、自中的な判断に基いて、そういうような不公正な問題はすみやかに修正される必要があろうと思うし、このことは、アメリカに反省を求めて、そうして相手方に納得してもらえるべき筋合いのものであると思いますが、政務次官は、この点についていかが考えられておりますか。
  87. 坊秀男

    ○坊政府委員 御意見のように、占領治下にきめられた実績、すなわちその八十対二十といったようなものをそつくりそのまま実績として考えていくというようなことは、不当なことであろうと思います。御意見通りでございます。そこで、それを実績一本やりで考えていくということは不当ではございますけれども、その閲、今春日委員もおつしやられたように、外貨の事情とか、あるいは国際関係といったようなものも、これも全然無視してしまうといわわけには私は参るまいと思う。そこで、それらの諸般の事情を勘案いたしまして、そうして、今の実情に即するように持っていくべく検討しなければならない、かように考えております。
  88. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、この外貨事情ということは、とにかく外貨の消粍を映画輸入について抑制することだ。こんなことは国際関係じゃない。日本の自主的な判断だ。日本の外貨が減ることをとめるということは、日本の自主的判断でみんなやられておるから、こんなことは、アメリカとは全然関係がございません。ですから、これはフィフティ、フィフティにしようと思えば、することができることなんです。ただ国際関係、日米経済協力の関係、あるいは友好親善の立場からいかがかという問題でありますけれども、今の二十対八十を改めて五十対五十、つまりアメリカに譲歩を求めて日本の主張を貫こうとすることには困難性がある、これは私もわかると思う。しかし、今アメリカかどういう工合にやつておるかということを為替局長御存じないはずはない、たとえばベニヤだつて、これ以上出したら輸入制限をすると脅かされて、結局輸出承認制をとつてしまつた。スプーン、フォークまたしかり、レースまたしかり、みんなチェック・プライス、フロア・プライスを作つて、そうして自主的な制限措置を講じて、アメリカのどうかつといいましようか、それに脅かされて、日本では輸出制限をしている。しかも向うとの輸入と輸出との関係は、日本が輸出が四億ドルちょっとでしょうか、アメリカとの関係で、日本が四億ドルの輸入超過の関係になっておるのです。それだから、外貨事情から考えれば、これは日本がはなはだ不利だから、不当だから、日本の国民はこれでは納得できない、国会も納得しない。だから、八十、二十というのはでたらめ過ぎておつて、どうしても納得できぬから、五十、五十に直してくれ、こういう主張ができぬばずはないじやありませんか。この点に問題を集約して御答弁を願います。
  89. 酒井俊彦

    酒井政府委員 合板その他の動きについては、先生のおっしゃる通りでございます。映画につきましては、先ほど来申し上げましたように、そういうお考えは、私領聴いたしまして今後研究をするつもりでおりますが、何さまアメリカ映画の市場性が非常に強いということと、それからアメリカのメージャー系は、輸入権を相手方にやらぬということになっておりますので、それを制限いたしますと、今度アメリカ映画の本数は減つてくる。減つてもいいのですが、日本の観客の見たがつている映画、それからまた動員し得る一番大きな映画は、やはりメージャーの映画が中心なんでございます。これならば、大体日本で安定してみんな各劇場が使えるものでございますから、できるだけやはりメージャーのものを使いたい。ところがメージャーの方では、輸入権を相手国の輸入業者には絶対に与えないという方針をとる。これは、ヨーロッパに対しても同じでございます。従って、この態勢をくずすということをいたしますと、アメリカの映画も締め出せという格好になるわけであります。ちなみに戦前におきましては、外国映画全体におけるアメリカ映画の輸入比率が八二%でございまして、今日は六七%、になっております。そういう実情でございますので、お話はよくわかりますけれども、今急にあすから直すということは、なかなか実際問題として困難であるということを申し上げておきます。
  90. 春日一幸

    ○春日委員 私のお伺いしたことについては、私は冒頭に申し上げましたように、この問題のあり方を漫然と論議し合うというのではない。私はこの質疑応答を通じて、この問題の解決をはかつていきたい、あるいは解決への方向のめどをつけたいといことでありますから、その気持で御協力を願いたい。私の質問の的をはずしたようなことを言われてみると、問題をいたずらに混迷せしめるだけでありますから、この点を一つ明確にお願いをいたしたいと思うのです。  私は、それならお伺いしますが、アメリカが日本に有利を意図するということは、アメリカに不利をしいるということなんです。これは、むろん相手方のおることですから、不利をしいられて、イエス・オーケーといって、直ちに応諾するばか者はありませんよ。そういうようなときには、それではもう日本に輸出しないとか、さらに難題を吹つかけてくると思うのです。それが交渉なんです。だから、国際交渉というものは、それだけに困難があるけれども、しかしその衝にある者は、全国民の福祉のためにその問題を解決しようとして努力するのだから、その決意の上に立ってやつてもらわなければいかぬ。相手方が言うても聞かぬだろうからやめておくのだ、こんなことなら、何も外交交渉なんかありやしない。そんなものは、ただ事務があるだけなんです。そういうことであつてはならない。相手方に応諾の困難性があればあるほど、非常な決意を持って臨んでいく。私が申し上げたいことは、アメリカだつて、文化交流については、映画にまさるものはないと思っているに違いない。だから、アメリカがアメリカ文化を日本に注入したいということは、これは、アメリカ自体その意欲の中に私はあるだろうと思う。それは、私どもにとつて一つの力ではないか。悪かったらやめてもらうということならば、やめてもらつてもいいでしよう。ごく少しにして、その間にヨーロッパ映画なり、あるいは中国映画なり、ソ連映画なり、国民が健全娯楽を求め、海外事情を知りたいと思うならば、日本へ売つてくれる映画を買つて、その間暫定的に——これは交渉なんだから、相手が痛くもかゆくもなければ交渉に応じない。けれども、これは痛ければやはり交渉に応じてくる。だから、日本に対して無理難題を吹つかけるから、日本はアメリカの映画は買い得ないのだ、やらないのだということになりますと、アメリカ映画を見られないとしたつて、日本国民は納得すると思うのだ。そういう意味で、暫定的に一年や半年、あるいは二年や三年アメリカ映画を見ることができないとしても、その間に、古い映画のプリントで満足しておるよりしようがないし、そのくらいの決意を持って交渉に当るにあらざれば、こういうような不当な不平等条約みたいなものを改善することはできないのですよ。困難だからやめておくといったら、なおさら困難になります。そういう意味で、これが不当だということならば、あるいはこれは不当にアメリカに利益せしめて、日本はそれに反比例して不利をしいられているということになるとするならば、この際、日本国民の利益のために、交渉をして、この不平等な条件改善のために政府がその衝に当るという、それだけの決意があつてしかるべきだと思のですが、坊君の決意はいかがでありましようか。
  91. 坊秀男

    ○坊政府委員 春日委員の御意見は、まことにごもっともなことでございまして、そういうふうに持っていかなければならないということは、私も考えます。しかし、それを急に実現するということは、先ほどから為替局長が申し上げております通り、いろいろな事情もありますが、しかし、春口委員の御意見の方向に沿ってこれを実現すべく研究をし、かつ検討をしていかなければならない問題であると思います。
  92. 春日一幸

    ○春日委員 さすが政務次官は、責任ある、また日本国民的な気魄に満ちた御答弁で、私は非常に敬意を表します。しかし、事務当局が考えられておる考え方というものは、その政務次官の気魂にはなはなだ遠きうらみがあるような気がして、遺憾に存じます。どうか事務に堕することなく、マンネリズムに堕することなく、現状のものにつきましては、こんなものはかりに取りきめられただけのことなんですから、こんなものは変更できないもんじゃない。真理ですら条件付であり、可動なものである。いわんや取りきめなんか、相手方が納得したら変えたらいい。納得しなかったらやめたらいい。それだけの決意がなければ、私は問題の解決はできないと思うのです。そういう決意の上に立って、一つ自主的な判断で権威ある交渉を展開していただきたい。これを強く要望する。  それから次は、現在の輸入方式の改善について、重ねて政府の所見をお伺いするのでありまするが、御承知の通り、欧州映画ば買取版制ですね。アメリカの映画は歩合制ですね。だから、これを一つ改善をして、欧州同等の買取式に持っていったならばいかがでしよう。と申しますることは歩合制度というものは、何と申しましょうか、何となく勘定が明確に立たない。外貨の消耗を抑制すると言っておるけれども、現実には抑制されていない。その外賃は、わずか二、三年の間にいつしかドルに変つて、みんなアメリカに行ってしまつておる。外貨予算というものは八百万ドルとか九百万ドルとか、暫定的に区取りきめても、日本に蓄積されるところの円というものは、いつしか外貨に変貌して、わずか二、三カ年のうちにアメリカに行ってしまつておる。だから、これを逆算して参りますると、結局その対米映画のドルの消粍率は、計画されておりまするアマゥントの大体倍になって帰っていっておる。現にその蓄積円の毎年度における現在高というものは、ほとんど大差がない。昭和二十五年度の末において二十七億円程度であったものが、今日だつてその通りなんです。その問の累積は、百何十億というものがあるわけだけれども、それは、あるときは教会への寄付だとか、あるときは電源開発への融資とかいうような形で、いつしかこれがドルに巧妙に変貌して、アメリカに帰っていってしまつておるのですね。だから、そういうような実態をもほんとうに見破つて、そうして、真に日本が外貨節約のためにこの制度実施するということであるならば、そのタイミングに、時限的にも実質的に消耗にならないような、抜け穴をふさぐための措置を講じなければならぬ。抜け穴をふさぐの措置は何であるか。これは買取版制以外にはないと思うのです。そのときには、今後は契約を結ぶ過程において、一定計画アマウントというものがきちつとつかめる。ところが、こういうような歩合制度だと、円がどれだけもうかるかわからない。もうかった円ば、ドルとしてここに蓄積されて、そうして、それはいろいろな交渉によってドルに変貌して、アメリカに行ってしまう。そういうわけでありまするから、こういうような不確定な為替管理といいましようか、不確定な為替計一面というものは、その効率の非常に低いものである。あるいはその目的を達しがたいものである。だから、日本が為替管理のために、真に外国映画の輸入を管理せんと欲するならば、これは、買取制というものを強行する以外にないと思う、現にヨーロッパ映画は、みな買取制がしけておるのだから。しかし、アメリカにはアメリカの事情があり、アメリカの主張があつて、それは、一律にこれを押しつけることは困難であろうけれども、これもまた交渉の余地がある。しかし、世界じゅうこれでやつておるんだから、アメリカ側としては譲歩できないというなりば、せめてはアメリカとヨーロッパ諸国との契約条件と同じような条件、アメリカとヨーロッパ諸国とはフイアティ・アィフティですね、水揚げの五〇%を配給会社がとつて、そうして五〇%を映画館に与えるというフィフティ・フィフティになっておる。私は、昨年大蔵委員会から参りましたとき、特に西ドイツの制度を調べて参つたのでありますが、西ドイツは、一つの団体協約で、五七%が館主の収入になって、配給協会や撮影会社の計算は、四三%以上とつてはならぬ。とり得ない形で制度ができておるのです。四ドイツのことは、御参考にあとで御検討願いたいのです。特に西独の制度を、日本における外貨消耗がこの映画事業を通じてあまりに消耗するので、参考のために申し上げます。今委員長席にすわつておられる黒金君あたりと西ドイツに参りましたときに、西ドイツにおける映画フィルム配給協会と各映画館との関係、あるいは映画撮影会社との関係等を調べて参つたら、結  には、映画館の取り分を五七%、それから、そこで中間の協会やなんかがそれぞれの手数料をとつて、配給会社の利潤というものは、マイナス・アルファというそれより正縮されたものだ。ところが日本では、七〇%とられるでしよう。物によっては、悪いものでは六〇%というのがあるけれども、フィフティ・フィフティというようなものは日本にはない。これまたこの契約制度というものが、不当に相手をしてのさばらしめておるこのことは、政府の腰が弱いからなんです。あなたの方は、アメリカのいうことは何でも聞いておる。そうして、業者の非難に対しては、これは何とも仕方がない、国際関係だから何ともしようがないといって、耳をかさない。ばかなことがありますか。国際信義というものがあるから、日本がとつぴなことをいっては通らないし、相手の感情を悪くするだけです。友好親善を保持しつつ、なおかつ日本の経済条件の改善を要求するということは、これは世界に例がある。ヨーロッパ諸国では、アメリカの映画会会社との間の水揚げ利潤の分配ということについては、フィフティ・フィフティが慣例となっており、特に西ドイツにおいては、こういうような団体協約によりまして、五七%が映画館に確保できる、こういうのが実行されておりますね。私は、こういうような実情等から考えて、これは世論を喚起して、アメリカに反省を求めて、こういうような屈辱的な契約方式というものはこの面においても改善を必要とすると思うのです。この点に対して、局長さん御答弁を願います。
  93. 酒井俊彦

    酒井政府委員 最初にお話が出ました定額制の問題でありますが、これは、私どもも、できればそういうふうな定額制にしてしまいませんと、蓄積円がたまつて、これがいつかまた出てしまうということになりますから、なるべくそつちに持っていきたいという気持がございます。しかしながら、ヨーロッパ映画につきましても、現在四十四本のうち、十六本はすでに歩合制ということになっておりますし、ことにフランス映画等は、だんだん歩合制でなければ困るということをいってきております。なおアメリカ映画の中にも、十一本定額制というのがございます。その辺のことは、私どもも真剣に今後考えていきたいと思っております。それから配給主の取り分でございますが、これは、先ほどちょっと申し上げかけて途中になつたのでございますが、映画館の収入の中で、日本の劇場がとりますのが四〇%、それから税金が二〇%かかります。従って、残り四〇%は輸入取扱者及び製作者に波されるわけでありまして、この映画館側の取り分の四〇%と、輸入扱い者側及び製作者側の四〇%を比べますと、これはフィフティ・フィフティの計算になっております。その外国側のとります四〇%のうち、三割はこちらのメージャーの支社が使い、七割が輸入、製作業者の取り分ということになっております。
  94. 春日一幸

    ○春日委員 私の申し上げたいことは、やはり対外収支の逆調を克服するための、外貨の消粍の抑制ということでこの制度があるのでございましょう。だから、その目的を的確に達成することのためには、やはりこれは買取方式でないと、どれだけ蓄積円がたまるかわからない。その蓄積されたものは、結局その契約の条項に従って、何年かの間に円で流れていってしまう。だから、膨大な水揚げがあれば、これは、結局膨大なドルの消耗に直結するのですね。だから、そういうような危険を内在しておるところのこの契約方式というものは、この為替管理が式の効率を的確ならしめるためには不適当なものである。そこで、あなたは今、ヨーロッパの映画だつてこういうような歩合制をとられておるから、アメリカの契約についても、必ずしも非難すべきではないと、あるいはアメリカのものだつて、買取制がなきにしもあらずだから、従って、このことは一がいに非難するには当らないというようなことを言われた。アメリカの十何本の買取制になっておるといっておられるから、百何本のうちの大多数のものが、こういう歩合制度で現実に輸入されてきておる。私は、少数異例のことを言っておるのではない。この百何本の輸入がこういう形によって日本の円を吸い上げ、その円をいつしか外賃に変貌させてアメリカに流出していくという、この点をついておるのですから、あなたは、アメリカの映画会社の立場に立って、弁護的な立場で問題を論じてはならぬ。日本国政府の中において、この制度を、妥当だと考えておるものがあるというようなことは、——あるいはこういうような論議は、新聞を通じてアメリカに伝わるかもしれない。日本国内においても、政府国会もこぞつてこれを非難しておるというようなことが、アメリカに対するこの交渉を日本に有利ならしめる。私は、あなたに腹にもないことを言えとは言わないけれども、あなたは、日本の官吏たる見識において答弁されなければならぬ、私はそのことを警告しておきます。そこで、あなたに申し上げるのは、外貨を消耗せしめないというための管理政策、輸入制限方式だとするならば、これは、ヨーロッパ側は買取制が原則だし、それを向うは応諾している。これが歩合制度になっておることは、少数異例である。だから、アメリカのものをこういう買取方式に交渉を進めていくということは、計画貿易、管理貿易、その他その目的を達成するという出ためにも、有効な手段であると考えるが、この点についてどうか、こういう工合にお伺いしておる。これに対する政府の態度、見解を、一つ政務次官からお述べ願いたいと思います。
  95. 坊秀男

    ○坊政府委員 先ほどから申し上げております通り、映画輸入の実情につきましては、私はつまびらかにしておりませんけれども、歩合制でもって輸入しておる。しかも、そのために蓄積円が雪だるまのようにたまつておるというようなことは、これは、日本なり日本の業者といたしましても、決して好んでやつておることではない。そういうようなことは、できるだけ変えていかなければならないということは、考えておるだろうと思いますけれども、何しろ相手のあることでありまして、かつまた商慣習その他もありますので、現在のところは、春日委員の御指摘の通り、非常にわれわれにとつて不利なる実情が存在しておるわけでございますが、かようなことは、一日も早く改善していかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  96. 春日一幸

    ○春日委員 御努力を切にお順いいたしたいと思います。  そこで、次にお伺いをいたしたいことは、米国商社に対する輸入契約許可の改善について、政府の御所見をお伺いいたしたいと思う。現在の制度は、大蔵大臣が輸入許可を与えられるときの条件として、その配給会社の米国商社の取り分の三〇%を日本国内において消費することを認める。そうして七〇%を本国の取り分として、区分経理をすることを認めておる、そういう工合でありますか。
  97. 酒井俊彦

    酒井政府委員 そういう契約で出て参りますものを許可いたしております。許可方式が、輸入につきまして、こういうものを輸入したいというので契約書を添えて出てくるわけでございまして、それに対して、大蔵大臣許可を与えておるわけであります。
  98. 春日一幸

    ○春日委員 私は、そこがはなはだ不合理だと思う。国税庁もおいでを願つておるが、私は、これはあまりに不公正だと思う。これを一口に言うならば、アメリカ商社の脱税に対して協力するところの、脱税を教唆扇動するところの方式ではないかと極言しても、私は言い過ぎではないと思うのです。申し上げるならば、日本において三〇%の保有を認めて、残分は本社分としてこれを蓄積するなり送るなりすることを認めておる。一つの会社というものは、経理が一体なんです。日本において損をすれば、アメリカの会社において補完せなければならぬ。損すれば、破産せなければならぬ。だから、本国から送らなけれならぬ。もうかつても木国へ送るんだから、一心同体のもの、だ。胴体と手足のごときものなんだ。ところが、そこから上るところの利潤を区分をして、国内において三〇%を認める。それから本社勘定として七〇%を認めていく。のことの結果、税法上どういう関係か現われて参りますか。われわれの理解する範囲内においては、日本国内に営業所を有するところの法人の所得は、百分の四十で課せられるわけですね。それから日本の国土内において営業所を有せざるるものについては、原則が百分の二十であり、これについては、特別の措置担か講ぜられて百分の十五になっている。七割については、要するに百億円もうかったとすると、七十億円については、百分の十五の税率しか適用できない。それから残されたところの、日本国内において保有することを認められるところの三十億についてのみ、百分の四十の法人税税率が適用される。今度はそれは二%減るわけです。そうすると、日本に営業所を有するところの、日本にある米国商社の支社は、人件費を使う、給料を使う、それから本社か七〇%所得をするに必要なるところの宣伝費、一切の経費をこの三〇%の中から消耗するから、ことごとく赤字になってしまうだろうと思う。そうすると、おそらく百分の四十の法人税の納税の義務ということは、赤字経理になって、課税の対象になるべき所得が残存しないから、ほとんど起つてこないわけです。すなわち百億円もうかつて、その中で三十億円だけが所得であつて、七十億円は本国へ送る。本国の所得については、百分の十五になれば、こんなものはむちやくちやになってしまうじゃないか。国税庁にお伺いをいたしますが、私が今申し述べたような区分率になっておりますか、いかがでありますか。
  99. 中西泰男

    ○中西説明員 お答え申し上げます。今お話のありました七、三の割合の七の分につきましては、配給機構といたしまして、いずれも日本には支社ないしは子会社がございますが、支社につきましても、七割分はその親会社である別人格になっております配給会社に渡す、こういう関係になっておりまして、日本にあります支社のその本社というものは、きわめて名目的なものでありまして、七割の源泉だけとり、課税分は、その親会社たる配給会社に帰属すべき所得、こういう関係になっております。
  100. 春日一幸

    ○春日委員 私は、これは重大な疑義があると思う。申し上げるまでもなく、わが国の税制制度ば租税法定主義といって法律によらざれば両人も税金を課せられる心配もなく、また負けられるという権利もない。一体これは、いかなる税法上の根拠によって、こういうような行政措置が認められているのであるか、この点、国税庁からお伺いをいたします。私が申し述べたいことは、これは、本来日本国においてこういう所得が発生をしたのだから、本来ならば、これは日本国に事業場を有するところの経済行為によって発生し所得なんだ。だから、これは、日本の支社においてことごとぐ課税されることが至当であると考える。百歩退いて、本社との関係において、あるいは役務の提供、その他の関係等において相当複雑な内容がありとしても、七割をそういうような不当な所得区分、課税区分をするということになれば、これは、法律によらさればそんなことは執行し得ない。租税特別措置法なり、あるいは何らかの税法上の法定された基準がなければ、勝手に大蔵省の為替局がそういうことを認めたからといって、そんなことは税法上適用される性質のものではないと思う。所得のあるところに課税する、実質課税の原則というものにこれは反すると思う。一体その七〇%が本社に帰属すべしという税法上の理論は何でありますか。幾ら官庁であろうと、たとえば国立の官公署がそういうことをきめたからといって、税務署はそんなものは認めるはずはない。為替局がそんなことをきめたからといって、国税庁がそんな徴税の手かげんをするということは、税法上の違反である。いかなる税法上の根拠によってかくのごとき課税方法を認めておるのか、この点を明らかにされたい。
  101. 金子一平

    ○金子説明員 お答え申し上げます。ただいま中西調査査察部長から説明がありましたように、外国映画の配給につきましては、パラマウントならパラマウントという映画の製作会社がアメリカにあります、日本における配給は、パラマウントの一子会社、同一系統の会社ではありますが、全く別の人格の会社を日本に設置するか、あるいは日本法人の場合もございます。それからアメリカに配給会社を別にこしらえまして、その子会社が日本に来ている場合もあるわけでございますし、支社が日本にある場合もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、七割は製作会社が取る、三割は日本における配給を独占しておる配給会社が取る、こういう契約をかわしておるわけでございます。そこで、課税の問題といたしましては、日本にある子会社、配給会社、この配給会社の取り分になっております三割につきましては、先ほど春日先生から御指摘のありましたように、四割の課税になる、七割は直接製作会社が取る、こういう契約になっておるわけであります。この分に対しましては、日米間の租税条約の第七条によりまして「税率は、百分の十五をこえてはならない。こういうことになっておるわけであります。日米租税条約の第七条に映画フイルムの使用云々、こういう書き方をいたしております。そこで、もし配給会社が製作会社からの包括的な代理権を持っておるような会社であるということになりますと、今パラマウントならパラマウントの日本にある配給会社を、パラマウントの製作会社の支社と同様に見まして、これを条約上では但久的施設といっておりますが、日本の法人税が課税できるわけになります。ところが、同じ条約の第二条のC項の末尾におきまして、単に資本的に同じ系統であるということだけで包括的代理権を持っておる恒久的施設だと見てはいかぬという規定が別々にできております。こういった点から、法的に法人税を課税する配給会社の取り分の中に七〇%が入るのだというふうに見ることができないわけでございます。  なおつけ加えて申し上げておきたいと思うのでございますが、百分の十五を非常に軽い、百分の四十の法人税に比べたら非常に軽いじゃないかというお話もございますが、これは、結論的には申し上げられませんけれども、経費をどういうふうに見るかというような点から見ますと、その引くべき経費について考えますると、百分の十五は低過ぎるということは言えないのじゃないかというような感じもいたすのでございます。
  102. 春日一幸

    ○春日委員 私がお伺いしておるのは、租税法定主義で、しかも実質課税の原則から言えば、所得のあるところに課税するというのが原則です。だから、その所得の区分率をしようと思えば、法律によらなければならぬ。たとえば、社会保険診療報酬に対する医師の収入は、これは二八%が経費であつて、七二%が所得である。これは、そのままぴたりと説明としては合わないかもしれないが、これも法律によっておる、法律事項である。ですから、製作会社なるものと、国内におけるそれの特殊会社の支社といっても、その上支社のそういうような課税のやり方が形式上の法人体においてその合法性がありとしても、実体的には一心同体だから、そんなことは大体許さるべきでない。しかし形式上、法律上別個の法人体として保税の適用税率の区分がなし得るとしても、しかしその経済行為によってあげたところの収益なるものが、本社が七〇%、それから日本にある法人が三〇%だという認定は、一体いかなる法律の基準によって認定しておるか、こういうことをお伺いしておる。それを御答弁願いたい。
  103. 金子一平

    ○金子説明員 七割、三割の配分は、製作会社たる本社、それから配給会社との間の契約によってできております。従いまして、課税の問題といたしましては、その契約による配分の上に乗つかつてそれを認めざるを得ない、こういうことでございます。
  104. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、あらゆる事業についてその方式は適用されますか。法律の前には国民は平等でなければならぬ。その方式が適用されるとするならば、たとえば粉ミルクに一つ例をとつてみます。フィリピンならフィリピンに本社を置く、そうしてそれが非常な利益が上つたとする、ここから発生するところの利益の七〇%、これはフィリピンにある本社の勘定とする、そうして残された利潤の三〇%、これがかりに日本におけるブランチの所得分とする、そういうことが輸入条件になっておつた場合には、税法上そういうような税率の適用をすることができますか。
  105. 金子一平

    ○金子説明員 本社と支店との関係の場合は、場合によりましてそういう配分の契約をいたしましてもなんでございますけれども、しかし今申しましたのは、全然別の法人格を持っておる会社の場合でございまして、資本的にはかりに同一系統といたしましても、パラマウントの製作会社の支店、あるいは支社、そういう場合には、租税条約では見てはいけないと書いてある場合でございます。この七割、三割がかりにもし公正な契約であったならば、私はやはりそれは認めざるを得ない、かように考えます。
  106. 春日一幸

    ○春日委員 これは、おかしいじやありませんか。七割、三割の所得配分率を条件とするところの輸入契約でなければ、輸入の許可を与えないでしよう。だから、そういうことが適切妥当であるかというような判断を国税庁に与えていないんじゃないのですか。そういう判断をし得る余地を国税庁に与えていないじゃないですか。結局それでなければ輸入しないといっている。そうじゃありませんか、あなたは、今判断することによって、あるものは適用する、適用しないと言つたけれども、判断の余地が介在している余裕がないじゃないですか。そういう条件のもとでなければ、外国映画の輸入は許可しないと言つた。さらに私は注意を喚起したいことは、私は、冒頭から政務次官に申し上げている通りに、現行制度というものが日本国の権威において適切、公正、妥当なものであるかどうかということを、本委員会の論議を通じて明らかにいたしたいという立場において論議をしておる。だから、そういうような詭弁的な、こじつけ的な解釈ではなくして、ほんとうに徴税の基本的な原則に照らして、日本国内における経済活動によってそういう所得があった場合、その中の所得の七〇%を故意に特別の力関係において——それは申し上げるまでもなく、昭和二十五年の占領治下において、米国映画輸出協会の会長であるところのジョンストン氏と大蔵大臣との間に話が結ばれて、これが今日まで無批判に屈服を余儀なくされてきておる。この制度に日本国民はふんまんをぶちまけておる。そのことを、あなた方があたかも合理性のあるかのような答弁をするということになってくると、あなた方は一体何者であるか、私はあなた方の人格と見識を疑わざるを得ない。これは、政府であろうと与党であろうと、そういうような偏見を捨てて、正しい徴税の基本的なあり方に照らして、これが矛盾であるならば矛盾だ、矛盾でないならは矛盾でないと、国民が納得できるような答弁をしなければならぬと思う。私の申し上げたいことは、日本の国内において所得を発生したら、原則というものは実質課税、所得のあるところに課税をするのだから、その所得者が課税されなければならぬ。ところがここにややこしい問題があつて、買取制でないからその所有権が明確でない。経済行為の実態があるものは支社であり、その中の相当の要素が製作会社が影響力を与えておるのだから、従ってその所得者が何者であるかということが的確に割り切れないから、そのことを口実にして、今のところアメリカの本社関係が七〇%、それからいわゆる支社関係、親子関係であり、実態はー心同体であるべきものが、形式的にそういう別個の法人格を持っておるから三〇%というふうに所得が区分されておる。その区分されておるところには法的根拠は何もない。ただ、その真の所得者がだれであるかということが明確でないから——その経済行為を行なって、買取制でないから、その所得を発生せしめたところの当事者が何者であるか明確でないわけだ。すなわち、そのもの自体の所有物というものを明確に割り切つていないから、そういう場合に、これは七〇%が適当であるかどうか、五〇%が適当であるかどうか、あるいは日本側に七〇%とみなすことが適当であるかは大いに判断と検討を必要とする事柄だと思うのです。あるいは、これは法律によって基準を作る必要がある事柄であるけれども、そのことが特にこの際この映画だけのためになし得ないとするならば、この基準率については相当検討を要する事柄である。少くとも五十・五十ということは当然のことである。日本国における経済活動によってそういう所得が上つた以上は、これが逆であつてしかるべきだと思うが、さらに譲つたとしても、われわれはフィフティ・フィフティであるということが当然であると思う。しかるに現実は、二十五年にジョンストン氏と時の大蔵大臣とが占領下の力関係において余儀なくこういうような不利な条件、不公正、不平等な条件を強制されておる。これは、今修正すべき段階であろうと思うが、こういうような制度というものの税法上の妥当性、あるいは合理性というようなものがあったら、日本国民の納得できるように、日本国民の官吏として一つ述べてもらわなければいかぬと思うのです。この事柄をあなたが当りまえのことだと言われるならば、今後の外交交渉の中に、アメリカ側は大きな一つの力として、日本に不利な条件をしいるでありましょう。そういうような見通しの上に立って、日本国民の徴税行政の責任者の一人として、いかにあるべきか、良心的な日本国民としての態度をもって御答弁願いたい。
  107. 金子一平

    ○金子説明員 法的根拠の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、日米租税条約の第三条におきまして、かりにアメリカに本社があつて、その支社が日本にあるという場合には、その支社に今の七割の取り分を帰属させて、日本の法人税が課税できる、こういうことになるわけでございます。ところが、日本にあるその支社に相当するものが、かりに別個の法人格を有する会社でありまして、しかも両者の間には資本的な関係はあるけれども、一応製作会社なら製作会社の包活代理権も何もないんだ、こういう場合におきましては、各国との国際的な租税条約の考え方といたしましては、その配給会社は製作会社の支社ということで、七割をそこへ取り込んで、法人税を課税してはいけないんだ、こういう考え方をとつております。その考え方に基きまして、条約の第二条におきまして、支社と見て課税をしてはいかぬという趣旨のことが書いてあるわけでございます。ただ考え方といたしましては、もし七割、三割の取り分がどうもおかしいんだというような場合におきましては、その七割、三割の取り分が、製作会社と配給会社との間に、特に一般の取引条件と違つたような苛酷な条件をつけられておるんだというような立証をすることができましたならば、この七割、三割の配分を否認するような立法措置を講ずる必要があるいはあるのではないかというふうに考えております。
  108. 春日一幸

    ○春日委員 それじやこの機会にお伺いしますが、かりに本来のとり方でとつたならば、すなわちこの逆でとつたならば、日本側が七割、アメリカ側が三割ということでとつたならば、一体一年間にどのくらい余分に税金がとれるか、これを一つ御答弁願いたい。
  109. 中西泰男

    ○中西説明員 後ほど計算いたしまして……。
  110. 春日一幸

    ○春日委員 私が申し上げたいのは、お互いこういう問題を解決するのは、実際においてこの委員会です。そして不合理なことや不公正なことが無批判に捨ておかれておつた。いうならば、これは重大な懸案なんです。だから、そういう意味で、不当、不公正なこういうものに対する課税は、かくあるべしということを何も対外関係、国際関係を顧慮されないで、徴税理論の原則から割り出して一つ意見書を御提出願いたい。それは、所管局長であるところの酒井君のところにも意見書を御提出願いたいと思う。これは、類推課税の方式等も先般ここで論議されたけれども、人的に、資本的にその支配に属しておる法人体の行う営業収益というものが、収益を享受する実体がだれであるかということを類推して課税できるというのは、これは現在の所得税法ですか、法人税法の中にあると私は記憶しておる。これは私の記憶で、明確でない。類推課税の原則によって、真の所得者に対して課税を行うのだが、その、区分が明確でない場合には、類推課税も現実にできる。いわんや今おつししやつたような、資本的にその系統に属し、とにかく転勤を命じたり、そこへ就任を命じたりして、人的、資本的にその支配に属しておるところの法人体が、その本社とどういう関係にあるかということは言うまでもない。これは実態なんです。こういうような制度によって、当然日本が税収入としてあげ得べきところの額が不当に脱税されておる。これは、日本国の税金をはなはだしくそこねておるではありませんか。こういう点に気づいて、いかにこれが課税されるべきであるかということを、私も検討するけれども、あなたの方でも十分に御検討願いたい。私の申し上げたいことは、この七〇%に一五%の税率を課し得るというこの取扱いの仕方、それから四〇%の法人税が適用し得るのはその所得の中のわずか四〇%であるという、こういう取扱いの仕方というものは、租税法定主義の見地から考えて、現在の税法、政令国税庁長官の通達、そのどこにも私はないと思う。あるならば、これは後刻資料として一つ御提出を願いたい。こういうような課税のやり方は、一体法律的な根拠がどこにあるのか。そしてまた法律、ばかりでなく、合理性が一体どこにあるのか。この点を一つ本委員会に対して文書でもって御提出を願いたい。少くともその税率の適用が、こういう工合一五%と四〇%とえらい違う。それを、ただそういう区分の仕方が、あなたの方で自主的判断でやつているならば、判断権が徴税当局に持たされておるのだから、その判断権があなたの方にあれば、そのことのよしあしは別として、類推課税によってやることもできる。けれども、その権限はあなたの方にはない。これは外国為替管理局長が、そういうような所得区分の方式を条件として付記して申請したものでなければ、輸入を許可しないということになっておる。こういうことで、徴税行政のために国家が国税庁に与えておる権限は、この為替局の行政を通じて、大きな歪曲というか、制限というか、こういうものが加えられておるということは、私は不当なことであると思う。従って私が今指摘いたしました事柄が、私の偏見であるか間違つた意見であれば、この点を指摘して、またあなたの方が合理性があり合法性があるならば、これを一つ文書によって御提出を願いたい。  さらに私は、時間もだいぶ迫つておりますから集約をいたしますが、今、輸入許可を与えられる際には、転売禁止の条件が付せられておるそうだが、この転売禁止の条件を犯した者については、一体どういうような措置とつておりますか、これを一つお伺いいたします。
  111. 酒井俊彦

    酒井政府委員 国内において転売禁止という条件はつけておりません。
  112. 春日一幸

    ○春日委員 それでは伺いますが、そういうクォーターを持っておるとします。ところがアメリカ映画は希少物資だ。需要があつても供給がない希少物資だ。これは、自分の政策によってそういうような形が現象として現われておるのです。それは、経済活動によるところの所得でも何でもない、国の政策からはからずも反射的に発生してきたところの希少価値というものです。従って、その価値というものは、今現実には膨大なものなのです。そのクォーターを実際転売して、しかも身分が保障されておる。このクォーターは、来年、再来年、再々来年というふうに、クォーターを二十五年に持っておつただけで、その男の所得というものは年々保障されておる。実際こんなばかげた不公正なことはないんです。こういうような不公正を起しておる所得に対しては、それぞれ行政上の措置法律上の措置がとられてきておる。去年ノリだとかカン詰だとかバナナとかいう特定物資に対する輸入特別措置法ができたのだが、不当、不公正な所得に対しては、税をもって徴するなり特殊な納付金政府が取るなり、いろいろな調整が行われて、そして国民に対する公正の原則から、術策をこらしてこれを補完することが講ぜられている。ところがあなたは、こういうようなクォーターを持っている者が、その上にあぐらをかいて年々膨大な利潤をせしめているという事実を知っておられるか。知っておるならば、そういうような事実を放置しておいても差しつかえないと考えておるか、いかがでありますか。
  113. 酒井俊彦

    酒井政府委員 具体的な話は、私まだ承知しておりませんが、もしそういう事実がありますならば、おっしゃるように何らか措置をする必要があるのじゃないかと考えます。はなはだ不公正な権利による所得の発生ということについては、御意見全く同感であります。
  114. 春日一幸

    ○春日委員 あなたがそれを知らぬというようなばかなことはないですね。少くともあなたは、大蔵省の中においては生え抜きの逸材だと聞いておる。こんな問題は、国会あたりにおいては常識だ。いわんや執行当局が知らぬはずはない。現実の問題として、具体的に、何のだれがしが何千万円金をもうけたかというようなことを私は言っておるのじゃない。そういうコンマ五とかコンマ、一・五とかいうような割当を受けた者は、輸入できないじやありませんか。だから、そういうようなクォーターをクオーター・ブローカーがあちらこちらから買い集めて、またそれに暴利を加えて、これをそれぞれの業者に売つておる。またそうでなければ、輸入ができないじゃないですか。コンマニ・五というような割当をして、どうやつて輸入をしますか。こんなことは常識になっておることなんですよ。だから、私は何のだれがしがどういう不当利得を得ておるということを質問するのじゃない。ただ問題はそういうクオーターの上にあぐらをかいて、その輸入権を不当な高値で売買することによって、不当利得というか、不道徳な利益をせしめておる者がある、こういうようなことを政府として見のがしておくということが、適当であるかどうかということなんです。適当でないとするなら、すみやかに措置を講じなければならぬが、こういう措置を考えておるか、この点を伺つておるのです。
  115. 酒井俊彦

    酒井政府委員 実は、先ほど具体的なことを知らないと申し上げたのですが、うわさとしてはそういうことを聞いております。これをどうするかということにつきましては、さっき申し上げましたように、これはあまりよろしいことでございませんので、措置をこれから検討したいと思っております。
  116. 春日一幸

    ○春日委員 私は、ほんとうにあなたに意趣、遺恨はないのですよ。あなたは善良な方で、私は何も毒舌をあびせる気持はないのだけれども、これは日本国会の貴重な一つの見解として、第三者に影響を与えるのです。だから、これはあなたもよく言葉を選んで御答弁を願わなければならぬ。こんなことは明確にけしからぬことなんだ。何にも自分は働かないで、何百万円、何千万円と所得が得られる。国民は、一生懸命働いても働いてもなお楽にならないで、みんなが困っておるのだ。実際生活は全く苦しくて乏しいのだ。そういうようなときに、この政策だけで特定者が膨大な利潤をせしめて豪奢な生活をしておるというようなことは、法律的に見たつてけしからんことだし、道徳的に見たつて、これは糾弾されなければならぬ。好ましからざることだなどという、そんな答弁を、なさるべきじゃないのです。だから、これを処置すべきだ。そういうようなものは、原則として転売を禁止しておるのだから、そうだったら、そういうようなことをした者は、今後はそのクォーターを剥奪する、なくする、二度と割当を行わない、こういうようなことをして、そうして実際のクォーターの割当を行使できる者に対しては、少くとも割当が行わるべきであると私は考えるのだが、この私の主張に対して、政務次官はいかにお考えでございますか。
  117. 坊秀男

    ○坊政府委員 よく実情を調査いたしまして、善処いたしたいと思います。
  118. 春日一幸

    ○春日委員 少くともそういう御答弁でなければならぬですね。実際バナナ屋さんがめちやくちやにもうけた、国民の非難が高まつた、特定物資輸入の特別措置もできた。それを気づいたら、すぐやつてもらいたいと思う。すみやかにそれをやつて、少くとも法制の原則を貫いてもらいたい。  そこで、時間の関係がありますから、最後に私は伺つておきますが、外国映画輸入審議会かなんかというものがありますか。それは、一体いかなる機能を持つものであるか。その性格は何であるか。それはいつできたか。そうして、その人選はいかなる基準によってなされたか。本日までの間にどういうように人選が変遷してきておるか。
  119. 酒井俊彦

    酒井政府委員 外国映画の委員会は、昭和二十九年の三月に、大蔵省の省議決定をもって設けたわけでありまして、これは部会が二つございます。一つは輸入部会、一つは審査部会でございます。輸入部会の方は、構成メンバーとしては、第三者的な人が三人と映画関係の方がお二人、五人で構成されております。それから審査部会の方は、映画評論家、一般の評論家、音楽批評家、音楽家、画家、劇作家といったようなもので、これはたしか十名で構成されております。輸入部会の方、つまり五人であります方に、当該年度につきまして、輸入方針をどうしたらいいだろうかということを大蔵大臣が事実上諮問をいたして意見を聞くわけであります。具体的に現在の委員のお名前を申し上げますと、経団連の常任理事の塚田公太さん、東京新聞の論説委員の福良俊之さん、国際ラジオセンター社長の長沼弘毅さん、大映社長の永田雅一さん、映配の社長の塩次秀雄さん、この五人で構成しております。  審査部会は、優秀映画を選定いたしましてボーナスを与える、その仕事をしていただいております。具体的な人名を申し上げますと、評論家として河盛好蔵さん、坂西志保さん、村岡花子さん、長沼弘毅さん、映画批評家として津村秀夫さんに飯島正さん、音楽批評家として野村光一さん、音楽家といたしまして佐藤美子さん、画家の宮本三郎さんに劇作家の内村直哉さん、この十人で構成しております。性格は、先ほど申し上げましたように、大蔵大臣の事実上の諮問機関でございます。
  120. 春日一幸

    ○春日委員 大蔵大臣のこれは単なる諮問機関なんですね。ところが、問題のうわさをそのままにお伝えすれば、これはまるで執行機関みたいだ。何事をなすにもここにはからねばならぬ。はかつて出たところの結論は、全くそのまま実施されておる。諮問機関というものは、国にさまざまありまするけれども、このくらいすさまじき権限を行使している諮問機関というものはないとすら酢評されておる。まるで政府というものは、責任をここに回避してしまつて、でくの坊になっている。いいですか。国民は政府に対しては、権限行使の信託を行っておるけれども、諮問機関というものは、こんなものは国民と何ら関係はない、単なる意見を述べるだけのことだ。単なるそれも参考意見として聴取するにとどまる。だから、あなたに申し上げたことは、執行を通じて国民の誤解を一掃してもらいたい。伺いますれば、昭和二十二年にこの制度ができて本日に至っておる。実に十二カ年もたつておる。八年であろうと十年であろうと同じことなんだが、やはり客観情勢がずっとかわつてきておるのですから、これは実情に即して、特にこれが重大な経済問題である限り、あるいは文化問題としても相当の変遷があるから、そのときに応じて、適切なるところの改変が加えられなくてはならぬと思う。  そこで、こういう業界の代表の中に論説委員の福良先生も入っておられるけれども、やはり庶民代表として、その映画を鑑賞する側からもいかなる見解、意見があるかということ、それからこれを常設するところの、たとえば映画館関係、興行界関係というようなものからも代表が出て、彼ら自体の意見を述べる、こういう構成でなければならぬと思う。これだと、輸入業者の直接利害関係を持っておる者によって構成されておる。一部少数者が第三者的立場において学識経験を述べる場合もあり得るが、大多数のものは輸入業者とか配給業者とか、しかも、それは実績を持っておるところのそういう利益関係に直結しておるものが、自分の利益のために意見を述べる。そして、それをそのまま無条件にあなた方が執行に移していく。こんな八百長の政治が行われていいと思いますか。少くともその諮問機関というものは、利害関係を有するものは極力排除しなければならぬ。あくまで利害関係のないものをもってして、公正なる意見というものが答申されるべきものであつて、そういうような事項を十分考えて構成されなければならぬと思う。  今あなたに伺つた範囲内でも、輸入協会の会長さんだとか、配給会社だとかなんとかというような連中ばかり、自分に不利なものを答申するはずはない。だから、彼らの既得権益がこれによって強調され、それにあなた方は盲従しておる。まるであなた方は、こういう機関の事務員みたい。そんなことで、どうして公正な行政ができますか。私は、この点強く政府に反省を求めたい。  ただ申し上げたいことは、今日の外国映画の輸入の方式というものは、はなはだしく不当なものであるということ、これは占領治下において、力関係においてはなはだしく不平等な、しかも日本がはなはだしく不利な立場において、こういうような契約が取り定められた。自来八カ年間にわたって、何らの修正が行われていないという、かくのごとき事態はすみやかに修正されなければならぬ。さらに、これにまつわるところの徴税方式というものも、法律によらずしてアメリカに脱税を許しておる。こんな事柄は、一日も看過さるべきではない。所得のあるものに課税することはあたりまえのこと、従って、この問題は、すみやかにこの国会論議を通じて公正なものに直さなければならぬ。私は、次の機会に、さらにこの問題について具体的な諸問題も含めて、一つ大臣の出席を求めて、責任ある御答弁を願いたいと思います。本日政務次官からお答えになりましたところの、研究してすみやかに善処するという御意見等については、すみやかに、お言葉通りすみやかにこれを実施されることを強く、要望いたしまして、私の質問を保留して終ります。
  121. 足立篤郎

    ○足立委員 輸入の問題に関連して、簡単に自動車の問題を伺つておきたい。新聞を見ますと、政府が数百台の外車を輸入することに決定したということが出て、私は実は驚いたわけです。為替局はこれをお認めになつたのか、またお認めになつたとすれば、その内容等につきまして御報告を願いたい。
  122. 酒井俊彦

    酒井政府委員 事は通産省の通商局の関係にございますので、後ほど実情を聞きまして御返事申し上げたいと思います。
  123. 足立篤郎

    ○足立委員 これは、その都度の輸入許可というのは、為替局は関係ないのですか。
  124. 酒井俊彦

    酒井政府委員 私どもは、外貨予算をきめまして、それをいかに公表し割り当てるかということは、通産省が実行しております。私どもは貿易外だけをやつております。
  125. 足立篤郎

    ○足立委員 私が特にここでお伺いするのは、去年から外貨節約の問題で、大蔵省としては基本的な方針をお出しになるし、為替管理は特に厳重にやつていらつしやる。こういう時代に突然九百五十台でしたか、観光用とか報道用とかいって、説明つきではありますが、報道が出ておる。これを為替局が知らぬというばかなことはないと思うのです。だから、お伺いしたわけなんですが、これは、大蔵省の基本的な金融引き締めにも関係する財政立て直しの緊急対策の一環なんです。これば政策的な問題だから伺つておる。
  126. 酒井俊彦

    酒井政府委員 具体的に割当をいつどういうふうに行なつたかということは、私ども存じていなかったのでありますが、毎年観光用とか、新聞関係の報道用とかいうので、若干の外車に割当を認めております。それがおそらく最近出たのじゃないかと思います。
  127. 足立篤郎

    ○足立委員 毎年のことは私もわかつているのですが、今申し上げた通り、去年から外貨節約の緊急対策をやつているわけです。その際には、不急不用なものの輸入は可及的押えるということなんです。特に自動車のごときは、いろいろスキャンダルも伴うし、去年もああいう問題のあったことは御承知の通りです。国内における自動車産業というものも非常に向上して参りまして、外国へも輸出するという段階にも来ておる。この際私どもは、どう考えても、感覚的にいって外車を輸入しなければならぬというのはどうも説明がつかないわけなんです。こういった政策的な重大な問題を含んでいるから、大蔵省として、当然これは関知していなければならぬし、大蔵省が認めなければ、おそらく毎年やつているからというので、通産省が勝手に許可できないと思うのですが、そのどうなっているのですか。
  128. 酒井俊彦

    酒井政府委員 それは 予算のときに十分議論をいたしまして、その予算をどういうふうに使うかということは、一切通産省におまかせしてあるわけであります。観光用と申しますと、外国人が参りました場合に、やはり日本の小型車ではちょっと困るという場合が間々ありますので、そういう意味から、少数のものを割当いたしておるように聞いております。
  129. 足立篤郎

    ○足立委員 今新聞で私どもの見るのは、三十三年度の問題なんですか。
  130. 酒井俊彦

    酒井政府委員 今日新聞記事に出ておつたそうでございますか、実は私まだそれを読んでおりません。もし今日のことでしたら、三十二年度の分だと思いますが、よく通産省と打ち合せて、調べてみます。
  131. 足立篤郎

    ○足立委員 三十二年度であると思ったからあえてきよう伺つたのです。つまり三十二年度で、むだなものの輸入は押えたはずなんだから、それをかつて三十二年度予算にあったから、包括権限を持っているからというので、通産省が勝手に許可したとすれば、これは政府の不統一を暴露するものだと私は思う。これは、やはり元締めは為替局で管理されなければならぬ問題なのです。あなたの方で十分御承知の上でお認めになつたと私は思っていた。そこでもう一点伺いますが、三十三年度は、一体こういうむだなものの輸入はやるのですか。
  132. 酒井俊彦

    酒井政府委員 三十三年度予算につきましては、これから輸出入のバランス、その他国内情勢等を考えまして、三月に外貨予算を閣僚審議会できめることになっております。ただいま、国際収支その他の見通しについて作業しておりますが、まだどういうものを幾ら入れるというのはきまつておりません。おっしゃるように、むだなものを入れるということは全然考えておりません。
  133. 足立篤郎

    ○足立委員 今為替局長のお話の中にちょっとありましたから、あえて申し上げておくのですが、観光用あたりにはどうしても外車が要るというようなお話ですが、日本でも今デラックスだとかスカイラインだとか、なかなかいいものができています。しかも、こういうものは外国でも歓迎されている。日本の道路の現状からすると、かえつて中型あるいは小型の方がいい場合もあるだろう。輸出振興の立場からいいましても、日本へ来て日本の車に乗つてみて、これは案外いいなということになれば、あるいは帰りに買つて帰ろうというお客さんもできるかもしれない。これは、外車でなければ観光客の接待ができないのだというような、敗戦国民的な卑屈な考えはやめて、国内においては堂々と日本の車に乗つてもらう、これでいいじゃないですか。外人が来るからといって、特に電車をつけかえるわけにはいかない、やはり日本の汽車に乗つてもらうのだから、自動車だけ外国の自動車でなければならぬということはないと思う。やはり国の産業を振興するという意味、また輸出を振興するという意味からしても、それくらいの腹はきめてもらいたい。私は意見として申し上げておきますが、三十三年度においては、とかく問題が起るのです。この外車輸入というのは、今映画のお話がありましたが、希少価値というのはますます出てくるわけです。年間通じて何百台としぼつてくれば、なおさら希少価値が出てくる、べらぼうなプレミアムがつく。そこにいろいろな問題が起つてくるので、これはいろいろな観点から考えてみておやめになつた方がいい、私は意見として申し上げておきます。
  134. 石野久男

    ○石野委員 関連して……。私は、この機会に為替局長にちょっとお尋ねしておきたいのですが、これは、愚にもつかない質問かもしれませんけれども、局長は為替管理をなるべくよくして、そうして外貨事情をよくしようという建前でお仕事をなさつておると思うのです。あなたの実務の中で、こうしたらむしろ外貨は逃げないだろう、こうしたら外貨を国家によくとめられるだろうというようなことを実務上感じられる点があったとすると、そういうことについて、やはり大臣などに意見具申をしておられたと思います。多分そうだろうと思いますが、そうじゃございませんか、どうですか。
  135. 酒井俊彦

    酒井政府委員 もちろんそういう見地でいたしておりますが、はなはだ申しわけないのでございますが、私為替に関係しましてから、まだ三カ月ぐらいでございまして、為替の問題について深く承知してないところもございます。いろいろな事柄が起りました場合に、為替の立場からこうしたらいいのではないかということは、大臣に始終申し上げておりますけれども管理方式全般につきまして最近やりましたことは、手続を簡素化して輸出促進に資して外貨をかせごうということで、簡素化したらどうかということで、大臣にいろいろ御意見を申し上げたことがございます。
  136. 石野久男

    ○石野委員 あなたは為替に十分なれていない、そういうなれていない方を為替局長政府はしておる。政府としては今足立委員からも言つたように、去年から盛んに政策を打ち出して、為替の事情をよくするための引き締めをやるというようなことをやつているわけです。これは次官に尋ねますけれども、あなたの場合、人事の関係かどうなっているか知らないけれども、十分にわかつていない局長をそういうところに置いておいて、これで国民に対する施策が十分にできるのですか、どうですか。
  137. 坊秀男

    ○坊政府委員 ただいま為替局長は、まだ、就任三カ月で通暁していないというような趣旨のことをお答えいたしましたが、私から見ますならば、大蔵省において——それは上には上はあると思いますけれども、大蔵省の現局長といたしましては、最も適任の為替局長だと思っております。ただ、しかしまだ就任三カ月でございますから、現状につきましては、二年も三年もやつておつたというようなことではありませんけれども、現局長といたしましては、最も適任な局長だと思っております。
  138. 石野久男

    ○石野委員 政府は最も適任だと思う、その方が謙譲の美徳を発揮されたかどうか知らぬけれども、少くとも国会で答弁されるときには、そういう謙譲の美徳は何の役にも立たない。むしろわれわれは、一ドルの金でさえも外に出したくない、できるだけ国の経済事情をよくしようという考え方で、政府の施策に対してなるべく協力していこうという考え方を持っておる。しかしそれにもかかわらず、為替局長が不確かなままで、自信を持たないままでやるというようなことであったのでは困る。これは率直に言って直ちに取りかえるべきです。また為替局長自身も、こういうところで礼儀ばつたようなことを言う必要はない。むしろわれわれは、自信のあるところを聞きたいわけだ。それで、私は春日委員からもよく聞いている、特に映画に関する問題を通じて感じますことは、確かに直税部長がよく説明された、所得に対する租税に関する二重課税の回避についての条約の問題で、春日委員が言うように、脱税行為に類するようなものが出ている。この問題は条約上の問題だから、法律に優先するということで、国税庁は取り扱つていると思いますが、しかし、その前に、アメリカから入れるところの映画というものに対する配分の問題が、それの根拠になってくるわけです。配分の問題は、何もこの条約によってちつとも制約されているものじゃない。こういう問題に対して為替局長が、あなた方の処置と、そうして意見具申等によって、そういうことを処理することによって、もっと有利にこの法律の被害から抜けることができるという実情は、しろうとが見たつてわかるのです。それに対して、あなたが意見が出ないということがおかしい。それが出ないということがあるからこそ、われわれは、何だか為替局長は、アメリカの映画会社のエージェントじゃないかという感じがする、そんなことじやだめです。私は、こういうことについてはもっと大胆に、あなたはこの国の政治を施行する機関の一つの長として、自信のある御答弁を出してもらわなければいかぬと思うのです。私は、そういうような意味から、先ほど春日委員がいろいろと尋ねておつたことと思うのです。あなたの答弁は、それに対してちつとも答えていない。そして、しかも私がお尋ねすると、あなたはどうもまだ就任早々で、十分な自信がないということになると、それはただ謙遜だけだというふうにはわれわれは取れない。春日委員に対するあなたの答弁と、あなたのその謙遜に類するであろう言葉と引き合せますと、それは、謙遜でも何でもなくて、事実がそうであるようにわれわれは受け取れる。もっと大胆に、自信に満ちた行政担当官としての仕事をやつてもらうべきだと思うのです。また、そういう立場から意見も述べるべきじゃないかと私は思う。私は、ここではもう保留された問題について、また後に展開される問題については触れませんけれども、あなた方がこの国会に来てわれわれに答弁するに当つての態度は、非常に卑屈です。なぜそういう卑屈な態度をとるかという問題は、これは、日本のこれから後のいろいろな施策にとつてきわめて大事な問題です。特に、これは次官に、この問題について明確なあなた方の省内に対する、あるいは行政上に対する考え方を打ち出してもらわなければ困ると思うのです。もう一度そういう問題に対する次官の態度を、私は聞いておきたい。
  139. 坊秀男

    ○坊政府委員 私がお答え申し上げましたことについて、石野委員に一言御了承を願いたいと思います。為替局長が謙遜で言つたのかどうだか知りませんが、私は、為替局長が謙遜の言葉で言つたのだとは申しておりません。石野委員十分御承知の通り、官僚機構と申しますものは、局長が必ずしも一から十まで全部知っておるというようなことでなくて、そのスタッフとともに研究していくということでございまして、たとえば、これは大蔵省だけではないと思いますけれども、主計局長をやつておつた人が、あるいは主税局長にかわるとか、主税局長をやつておつた人が理財局長に回るとかいうようなことがありまして、そういう人が転任早々にその局のことにつきまして、一から十まで全部その個人がこれをわきまえておるというようなことも、これはちょっとむずかしいことであろうと私は思います。しかしながら、その人の資質等から考えてみまして、私は、現局長が謙遜で言つたかどうだか、これは私、人の気持というものはわかりませんけれども、私どもの考えといたしましては、きようの答弁につきましては、それはいろいろと御批判がおありのことと思いますけれども、現局長の酒井君は、最も当を得たものであろうと私は確信しております。
  140. 石野久男

    ○石野委員 私は、人間ですから、何もかも全部一人の人が知っておらなければならぬということを言っていません。いろんな不備な点があればこそ、あなた方のうしろにたくさんの説明員なり何なりを連れてきておられる。だから、答弁するに当つては、十分にそういうことを練つてやるようにしてもらわぬといけない。少くともそういうようなことによって、弁解がましいことで答弁を切り抜けるようなことではいけないということを、態度として明確にしておいてもらわなければ困るので、そうでなければ、われわれはここで真剣に論議するなにがなくなってしまう。  わたしは、ここで一つだけ資料の要求をしておきたい。先ほど春日委員からも、アメリカ映画が今のような比率と別な形で、その利潤の配分の区取り方をした場合に、どういう結果が出るかということの資料の要求をしておりましたが、私は、もしこの映画が全部こういう条約に基くような処置をしなかった場合には、どれだけの税が日本に取れたかということ、これは、国税庁の方に一つ資料としてお願いしておきたい、そういう作業を一つやつてもらいたい。それからまたフィフティ・フィフティで取つた場合にはどういうような形になってくるかというようなことの資料も、一つ早急に作り上げて本委員会に出してもいらいたい。これを一つお願いして、私の一応関連質問を終ります。
  141. 石村英雄

    ○石村委員 関連して。外貨の割当に対して転売してプレミアムを取るという問題、これは、一昨年の通常国会のとき、羊毛に関係して私が申し上げ、またその間に脱税が行われておるというのは、これも国税庁がよく調べて追及するようにということも申し上げ、昨年のやはり二、三月ころにも、羊毛並びに綿花の関係で、このプレミアム問題をやつたのですが、大蔵省も通産省も国税庁も、一向これに対して明らかにしておらない。新聞を見れば、莫大なプレミアムをもって相かわらず取引をされておる、またその間の徴税関係もはっきりしていない。一つこの機会に、政務次官、徹底的に今国会中に明らかにしていただきたいと思います。
  142. 酒井俊彦

    酒井政府委員 今おっしゃった問題は、通産省の関係も相当ございますので、そちらと十分打ち合せをいたしまして、御返答申し上げます。
  143. 足鹿覺

    足鹿委員長 本日はこの程度にとどめ、次会ば来たる三月四日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時五十八分散会