○春日
委員 私はこの問題と関連をいたしまして、今あなたが、官報にこれを掲載することによって効果があるかないか、比較的疑わしいというようなお説がありましたけれ
ども、
制度として国民に対して権利義務を課するような法律、政令というような国の取りきめについては、ことごとく官報に掲載するということが
制度になっている。従って全国の官公署は、その官報をみな購読をしておるのであります。少くとも行政機関は、それを知る機会を得て、その行政機関では、それぞれ末端の国民組織に対してこれを流していく、こういう
制度になっておるのだから、これに知らしめなければだめだ、こういうことなんです。私は、
国税庁の
通達というものについては、非常に疑義を持っておる。だから、あなたの方が庁内において独断的にお作りにな
つたこの
通達についても、私たちは大へん疑義がある。これは結果的には、国民との関係において法律と同等の機能を持っておるものなんです。そもそも法律というものは、てにをはの狂いもないように、衆議院ならば法制局、
内閣提出ならば
内閣法制局、こういうところで、きちつと他の法律との関係において
間違いがないかどうかを検討し、さらにこれを
国会において精査
審議して、そうしてこれが完全無欠なものとして、とにかく国民との関係において、弊害なからしめんためのいろいろな段階が経られておる。ところが、この法律と同じ効果を持つところの
国税庁の
通達というものは、あなた方が勝手に作るわけなんです。私は、別にあなた方の機能、あるいは見識を疑うわけではないけれ
ども、しかし実例を述べろと言われるならば、私は幾つかの異例を持っておるわけなんだが、
国税庁長官通達が、法律違反の
通達を出したことは一再ならずある。私たちが本
委員会の公開論議を通じて、これを明らかにした問題もあるし、あるいはわれわれの個別の折衝において、
通達を撤回せしめた例は幾つもある、こういうわけで、私は
国税庁長官の
通達というものの取扱いについては、これは法制的に根本的な問題として検討を必要とすると思うけれ
ども、私は暫定的な、中間的な処理といたしましては、少くとも法律の精神、あるいは法律のそれぞれの条文、これと相もとるところはないかどうか。これは、少くとも本
委員会ぐらいにはその素案を示されて、そうして法律に準ずる十分な
審議検討を経て、そうした後において
通達を発せられるような方式を、今後とられた方がしかるべきではないかと
考えるわけなんです。私は、か
つて事業組合に対する間
税部の
通達が、法律によって国民に与えられておる権利を剥奪したことによる法律違反を指摘した。その結果、これはまさしく法律違反の
通達であったから、取り消して別の
通達を出すという連絡を受けたこともある。その他今までの長官
通達の中に、不備、欠陥、法律違反事項、実情に沿わざるもの、こういうものが幾つもある。しかも、それが国民に対して財産権上の権利義務を新しく負わしめているというところに重大なる疑義がある。私は、こういう意味で、まず第一番に明らかにしておきたいことは、そういうような性格の
通達であるから、国民に十分知らしめることのために必要なる
措置を講ずることと、その具体的な
一つの構想としては、当然これは官報掲載事項として、その必要は手段を尽すこと、それからもう
一つは、みだりに
通達を発すべきではない、国民に権利義務を新しく課したり、あるいはこれをやめたりするような場合にはこういう
通達を出そうと思うが、
国会の御意見はいかかであろうか、あるいはまた
間違つたところはないかどうか精査を請う、こういう意味で、今までの慣例の中においても、そういういい慣例はないわけではない。たとえば物品税の免税点等の問題についても、法律の精神と経済情勢の実情に照らしていかがなものであろうと、これは
国会側の意見を聞かれ、そうして
政府側の所見も述べられて、おおむね妥当な線をそこから導き出して、そうしてこれが執行に移されておる。従って、そういうような問題は、できるだけ不公平のないような、均衡をはかった
措置がとられておると思うのです。そういう意味で私は今後すべからくこの
通達は——あなたの方が一方的に勝手に書いてめちやくちやに乱発する、
間違つてお
つたら取り消す、
委員会で
質疑があったら、ああそうでしたかといってまた書き直すというようなことでは——これは法律にかわるところの
国税庁長官の
通達なんですよ。今まで、とにかく税金を納めてお
つた諸君が納めなくてもいいことになってきたり、あるいは納めないでいた者が、
通達でもって納めなければならぬような形になってくる。新しい権利の発生、新しい義務の発生、こういうような問題は全く法律事項と同じなんであります。これは、法律に準ずる取扱いをなされなければならぬと私は思うが、この問題について、坊君の意見はいかがでありますか。