運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-04-17 第28回国会 衆議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十七日(木曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 内田 常雄君 理事 笹本 一雄君    理事 島村 一郎君 理事 長谷川四郎君    理事 加藤 清二君 理事 松平 忠久君       川崎 秀二君    川野 芳滿君       神田  博君    齋藤 憲三君       櫻内 義雄君    松岡 松平君       村上  勇君    横井 太郎君       井手 以誠君    田中 武夫君       多賀谷真稔君    帆足  計君       水谷長三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  前尾繁三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  伊東 正義君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君         通商産業事務官         (重工業局長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (軽工業局長) 森  誓夫君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         通商産業事務官         (石炭局長)  村田  恒君         中小企業庁長官 川上 為治君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 喜衛君  委員外出席者         議     員 淵上房太郎君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    川瀬 健治君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月十六日  委員横井太郎辞任につき、その補欠として森  清君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森清辞任につき、その補欠として横井太  郎君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員有馬英治君及び淺沼稻次郎辞任につき、  その補欠として川崎秀二君及び井手以誠君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員川崎秀二辞任につき、その補欠として有  馬英治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空機工業振興法案内閣提出第一五三号)  水洗炭業に関する法律案楢橋渡君外二十六名  提出衆法第一九号)  小売商業特別措置法案内閣提出、第二十六回  国会閣法第一五七号)  商業調整法案水谷長三郎君外二十三名提出、  第二十六回国会衆法第六号)  通商産業基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。まず、航空機工業振興法案議題とし、審査を進めます。  本案につきましては、すでに質疑を終局いたしております。これより討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。  よって、航空機工業振興法案について採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  4. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって、本案原案通り可決すべきものと決しました。  この際、田中武夫君外七名より、本案に対し、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付したい旨の提案がなされております。田中武夫君に発言を許します。田中武夫君。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、自民党委員各位の御同意を得まして、ただいま全会一致で可決になりました航空機工業振興法案に対して、附帯決議を社会、自民両党共同提出いたしたいと存じます。  まず、その案文を読み上げます。    航空機工業振興法案に対する附帯決議  一、本法目的は、民間輸送用航空機等国産化促進による航空機工業振興を図るところにあるので、政府は、この趣旨に従って、本法運用を行うべきである  二、政府本法目的を達成するため、航空機工業の技術の向上及び経営基盤確立等について、適切な振興助成策を講ずる共に、特に当面最も緊急を要する中型輸送機設計研究及び試作等について、その合理的促進を図るための機構整備資金確保等について、特段考慮を払うべきである。 以上でございます。  本附帯決議案提出につきましての趣旨を、簡単に御説明申し上げ、皆さんの御賛同を得たいと思うわけでございます。  まず、附帯決議案の第一項目でございますが、この項につきましては、すでに本法案審議の間において、その政府委員あるいは大臣委員との間の質疑応答において、いろいろと論議がなされましたように、われわれといたしましては、民間輸送用航空機国産化推進の必要は、十分認めるのでありますが、今日、まだわれわれの頭では、航空機という言葉の中には、直ちに軍事用航空機というようなことを連想するのであります。そこで、本法が、民間輸送機国産化だ、そのまた振興助成であると言いながら、その陰に隠れて軍用機国産あるいはその振興に利用せられるのではないか、こういう点を心配しておるのであります。また一面、今日のようなミサイル時代にあって、航空機という言葉で、直ちに軍事用を連想することはどうか、という御意見もあろうと思いますが、今日われわれが、航空機という言葉軍事、そして戦争ということを連想するほど、われわれは、航空機軍用に供せられた結果の恐しい体験を、身をもって知っておるからであります。従いまして、政府は、本法運用に当りましては、あくまで本法趣旨にのっとってしていただきたいと思うのであります。  なお、本附帯決議案の中の「民間輸送用航空機等」と、すなわち、この「等」という言葉が、他の航空機等を意味するかというような疑問もありますが、はっきりここで申し上げておきたいことは、民間輸送用航空機等であって、その「等」は、航空機の部品を表わすもので、軍用機も含むというのでは絶対にないということを、政府においては、十分銘記していただきたい、かように思うわけでございます。  第二項でございますが、これも本法審議の際、いろいろ質疑応答の間に現われた点でございます。われわれといたしましては、第一の項目が十分に厳守せられ、その上に立って、民間航空機国産化及びその振興について、政府としては、特に助成する必要があると思いますが、なお、一面、日本の総予算等との関係もあって、一産業にのみ重点を置くということもどうかと思うので、そういう点をもあわせて御考慮下さいまして、必要なものは出す。だが、それは乱費せられないように、特に御注意していただきたいと思うわけでございます。  以上、簡単ではございますが、本附帯決議案提出趣旨説明をいたしまして、委員各位の御賛同をお願いする次第であります。
  6. 小平久雄

    小平委員長 お諮りいたします。本案に、ただいま御提案通り附帯決議を付するに、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際、前尾通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許します。前尾通商産業大臣
  8. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいま航空機工業振興法案につきまして、適切な附帯決議がつけられましたことを、感謝いたします。本法運用は、もちろん提案しました趣旨から申しまして、すでにいろいろ御説明申し上げております通り民間輸送用航空機ということを中心にして考えて参ったものでございます。従いまして、本法運用に当りましても、その点は十分注意をいたすつもりであります。  また、先ほどお話もありましたように、この振興策につきましては、航空機特殊性にかんがみて、あくまで合理的な機構整備とか、資金確保について、特段考慮を払うつもりであります。又、他産業との関係につきましても、ただいまお話しの通り十分留意をいたしまして運用する考えでございます。
  9. 小平久雄

    小平委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  11. 小平久雄

    小平委員長 次に、水洗炭業に関する法律案議題とし、審査に入ります。  本案につきましては、すでに質疑を終局いたしております。これより討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。  よって、水洗炭業に関する法律案について採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  13. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって、本案原案通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。本案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  15. 小平久雄

    小平委員長 次に、小売商業特別措置法案及び商業調整法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。通告があります。これを許します。松平忠久君。
  16. 松平忠久

    松平委員 昨日、商業関係政府並びに社会党提案説明があったのであります。これに関連しまして、これと密接な関係のある例の中小企業団体組織法が、昨年の臨時国会で通過し、本年四月一日から施行になっているので、この法律施行後の状態について若干質問をしたいと思うのであります。  小売商も、団体組織法に関連をしまして、中小企業等協同組合法の一部を修正しまして、いわゆる小組合を作るようになったのであります。私は、この小組合を作ることによって、今日の小売商は、ある程度防衛策をとることができる、こういうように思うのであります。この小組合を作った場合、法律には、この小組合に対して、税法上もしくは金融上の特別の措置を講ずる、こう一項がありまして、政府は、小組合を作る場合、もしくは小組合を作らんとして、実際上はまだ作っておらぬものに対しまして、税法上特別の措置をとらなければならぬ、こういうふうにわれわれは理解しておるのであります。そして政府は、小売商等が同業組合的の小組合を作る、あるいは地域的にそういうものを作る場合には、何らか金融上特別のワクを設けて融資に便ならしめることをしなければならぬのでありますが、通産省は、この小組合に対して、金融的にいかなる措置を今日とっておるか。まだ小組合はできておらないと思うのでありますが、できた場合には、どういうふうにするのか。この点について、政府の所信を伺いたいと思います。
  17. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 われわれとしましても、先般の国会におきまして小組合制度が設けられまして、それに対して租税及び金融上、特別の措置をとるよう、努めていかなければならぬというのでいろいろ検討いたしておったのであります。ただ、御承知のように、現在の税制からいいますと、特別の措置と申しましても、この規定にぴったり合うものは、むずかしい問題でありまして、いろいろ考えてはおるのでありますが、結局、問題は、国税ではなしに、地方税のことが問題になっております。地方税につきましては、事業税軽減その他について、いろいろわれわれとしましても、努力をいたしたのでありますが、これは国税地方税関係考えながら、また地方財政というものを考えながら、審議会等を設けまして、来年度において根本的に考えていこう、こういうことに相なりました。従って、事業税軽減等についても、見送るというようなことに相なりました。従って、とりあえずのところは、一つには、法人税軽減税率適用範囲を広げる。これも、この規定にはぴったりいたしておりませんが、そういう恩恵を受けられる小組会の方も多かろうというふうに考えて、その適用範囲を広げるという措置をいたました。また自転重税荷車税というものにつきまして、これらの廃止によりまして、額は非常に少いので、もちろん問題にはならぬと思いますが、しかしとりあえずそういうものを廃止して、この小組合に所属されると想定される方々の税の軽減に資したということでありまして、問題は、将来に向って検討し、適切な措置を講じていきたい、かように考えておるわけであります。また金融につきましても、ただいまいろいろ特別なワク等の問題につきまして、検討をいたしておるのでありますが、これも実質的には、従来から極力小組合に所属されるような方々金融というものを、主眼点に置いて考えてきましたことは事実であります。何らかの特別な制度を設けたいということで、検討いたしておるのであります。また、今般御審議を願って、衆議院を通過させていただきました信用保険公庫というようなものも、五十万円以下の場合におきましては、保険料率を下げまして、おそらくこれに該当するような階層の方々について、一般市中金融機関から借り入れをされる場合に、極力便宜をはかり、徹底させたいというので、五十万円以下につきましては、御希望もありましたので、保険料率を極力引き下げるということをいたしておるのであります。さらに、制度的には、もう少し検討させていただきたい、かように考えます。
  18. 松平忠久

    松平委員 今の大臣答弁によると、税法上の問題は来国会、つまり来年度からこれを何とか実施するようにしていきたい、こういう話でありますが、金融の問題については、これに何も立法措置を要しませんので、やろうと思えば、すぐできる、こういうふうに思うのあります。そこで、金融については、先般、川上長官とも話したときに、何とかこれをやっていこう、早く一つ構想を実現していこう、こういう話であったわけであります。そこで、これは信用保険制度の話もありましたが、私は、そういうことではなくて、国民金融公庫か、あるいは商工中金かに、小組合というものができた場合には、これこれのものは小組合融資をするのだという、特別のそういうワクを作る。こういうような構想でいくならば、小組合を作る価値があるというので、早く小組合というものも出てくると思うのです。ところが、小組合というものを作って、そういうものの届出が済んでから、その上で金融措置考えていくというようなことであっては、私はなかなか小組合自体も、組織化されてこない、こういうふうに思います。そこで、小組合を作れば、これこれの組織を作れば、その組織によってこういう特典があるのだということを見せて、初めて、そういうものを作ろうかということになる。たとえば、小売商にいたしましても、三人以下の雇い人を使ってやっておるというようなものが集まってそれを作ることができる、こういうふうに思うのであります。従って、金融については、すでに具体的な構想があって、そうして小組合には、本年度はおよそどの程度融資の別ワクを設けるのだ、こういう何らかの具体策をお示し願わなければならぬと思うのでありますが、その点については、どういうふうに進んでおるのか、具体的な進捗状態を知らしていただきたいと思います。
  19. 川上為治

    川上政府委員 この前もお話を申し上げましたように、私どもとしましては、小組合につきましては、特に金融の面から援助をするということが、一番いい方法ではないかというふうに考えまして、いろいろその検討もいたしておるのですが、何分、法律施行しましたのが四月の一日でございまして、そう日子もたっておりませんし、また組合設立についてのいろいろな指導方針も、この前通知を出したというような状況になっておりますので、大体、小組合というのが、今後どういう事業について、どれくらいできてくるだろうか、そういう判断についても、まだ今のところ、全く五里霧中だというような状況にあります。私の方としましては、この小組合設立がどういう状況になってくるであろうかということを、もう少し検討しまして——先ほど申し上げました商工中金なり、あるいは中小企業金融公庫なり、そうした方面から、どういう形で融資をしたらいいだろうかということを、現在まだ検討しておるわけであります。今、お話がありましたように、そういう小組合がどういうふうになってくるかということを考える前に、一応、商工中金なりの中にワクを設けて、そのワクをちゃんと出せば、むしろ小組合というものは、どんどんできてくるのじゃないかというようなお話も、一応ごもっともだと思うのですが、実は、施行しましてから、まだわずか半月程度だというような状態になっておりますので、もう少し様子を見て、私どもとしましては、場合によりましては、はっきりしたワクを作って、各方面にこれを通知して、小組合に対しまして、特別な便宜を与えていくというようなことも、実施していきたいというように考えておるわけでございます。今のところは、まだそこまで実は準備が至っておりません。
  20. 松平忠久

    松平委員 この法律は、昨年の十一月に臨時国会を通ったので、施行が本年四月一日ということになっているだけで、従って、半年も前に、もうすでに法律は通った。こういうわけであるから、施行までに五カ月の準備があったはずであります。従って、この準備期間中において、各地方庁等関係部課長等を集めて、こういう法律であるから、これはこのようにしてやっていくのだ、今政令の準備の段階はこうだというような連絡を、事前にしておくべき性質のものであったのではなかろうかと私は思います。ところが、この小組合は、火災共済組合制度とともに、当時の共同修正によってできたのであって、政府自体提案をしたのでもなんでもない。つまり、共同修正で、議員提案の形でこういうものが生まれたのであります。しかし、当時のいきさつを見れば、あなたの方の小笠政務次官等は、これにことごとく賛成で、小平委員長賛成でできたものです。みんながこれをやっていくべきだという一致した意見であったわけであります。それは川上君も、当時傍聴しておったから、よく知っておるはずである。だから、これは議員修正によって生まれたもだから、通産省としては、まま子扱いにするという気持があるのかないのか知らぬけれども、ややそういうふうな印象を、われわれは、今のあなたの答弁から受けるわけです。もし、さようなことがあるとすれば、これは国会軽視ということになるわけです。そこで、四月一日から施行でありますが、一体どの程度にテンポを進めて、小組合を作ることを指導しようという積極性があるのかないのか。やはりこれは中小企業庁において、こういうものを作っていくという積極性がなければ、私はできないと思う。しかも、その積極性というものは、今申しました財政的な、金融的な裏づけがあるのだということを示しながら、指導をしていくということでなければならぬのでありますが、これを作っていくその指導計画と申しますか、個々の具体的な計画として、何月にはどういうことをする、何月にはどういうことをするというような立案ができておるのかどうか、そういう腹案があるのかどうか、これを伺いたいと思います。
  21. 川上為治

    川上政府委員 何月には幾ら作るとか、何月にはまた幾ら作るというような計画は、実は私の方としましては持っておりません。ただ、国会修正されて作ったものであるから消極的であるというようなことは、私どもとしましては、全然考えておりません。私どもとしましては、国会修正の点を十分尊重いたしまして、積極的にこういう小組合は作らしていくように、持っていきたいというふうに考えております。というのは、かつて、十数年前におきましても、やはりこういう小組合制度というのがあったわけでありまして、特に零細企業につきましては、小組合を作って、そうして、場合によっては商工組合単位にするとか、あるいは現在の協同組合単位にするとか、そういうふうに扱った方が非常に便利な場合もありますし、またその方が、零細企業のためにも役立つものと、私ども考えておりますので、私どもとしましては、努めて積極的にこの問題は考えておるわけでございます。実はもう昨年の暮れに法律が通ったのですから、六カ月も何をぼやぼやしていたのかということになるわけで、これは非常に相済まないと思っておりますけれども商工組合の問題とか、あるいは火災共済組合の問題とか、あるいは保険交付の問題とか、いろいろな問題がございましたので、おしかりをこうむるのはやむを得ないことだとは思っておりますが、私どもとしましては、今申し上げましたように、こういう小組合については、やはり積極的に作らしていきたい。はっきり申し上げますと、地方の方から、小組合を作りたいというような要請が、実はまだそれほど出ておりませんので、これは私の方のPRが足りなかったと言えば、それまでですが、どうもそういう点が、まだはっきりしておりませんので、私どもとしましては、法律施行が先般ありましたので、もう少し様子を見て、今の金融機関のいろいろなワクについては、考えていきたいと思っておるわけであります。
  22. 松平忠久

    松平委員 やはりPRが足りないということがあると思うのです。ことに、一般小売商とかが多いのですが、そういうような人たちは、法律の内容もよく知らないだろうし、どういうふうにすれば組合が作れるのか、また組合を作ったらどういう特典があるのかということも、よく知らないのじゃないかと思う。そこで、小組合を作るにはこうやって作るのだ、作る要件、それから、これを作った場合にはこういう特典があるのだ、同時に、自己防衛という立場からいって、小売商たちはこの制度をよく利用して、そうして自分の商売の維持と向上をはかっていく、こういうことにさせなければならぬと思うのですが、そういう小組合を作って、斉地方商工会議所等を通じてPRしていく、こういうことが私は必要だと思うのです。そういうことを、及ばずながら、私の党としてはやろうという計画になっておりますが、政府自体も、それをやっていく必要があると思う。その点、PRについては、どういうふうにお考えですか。
  23. 川上為治

    川上政府委員 実は今までも数回にわたりまして、地方の、あるいは県の指導員とか、そういう人たちを集めて、商工組合あるいは小組合火災共済制度、こういう一連のものにつきましては、十分いろいろな話もして、積極的にこれに対して協力するように、また地方においては、そういう指導をするようにという話は、してきておるわけですが、ただ、現実の問題として、こういう恩典があるからということについては、まだそれほどはっきりしたことは申してないわけであります。というのは、共同施設とか、そういう問題については、問題はありませんけれども、税金の問題については、先ほど大臣からお話がありましたように、非常にむずかしい問題がありまして、今後の問題として十分検討しなければならぬ。それからあとは、金融の問題になりますと、特に商工中金ワクを設けるというような問題になってくるわけですが、金利を負けるというような問題になりますと、これまたいろいろ問題がありますので、やはりワクを作って、そのワクの中で優先的に小組合の方に出していくということが、当面一番考えられる方法ではないかというふうに、私ども考えますので、そういうことは、一応地方の係の者に対しては、話はしてあるのですが、実はこれはなまけて申しわけありませんけれども、そう非常に積極的にというところまでは、まだ行動が至ってないわけでありまして、この点は、これから十分気をつけて、積極的に指導するように持っていきたいというふうに考えております。
  24. 松平忠久

    松平委員 その次に、大臣にちょっとお伺いいたしたいのですが、税法上の問題はきわめてむずかしいということを、当時もわれわれは考えておったのです。それで、小組合であるから特別に税金を負けてやる、こういう制度は、今日の税法上からはできない。税金は公平でなければならぬ、こういう原則に反すると思いますが、小組合を作るようないわゆる小売商においては、大体三人程度使っておる人たちについては、特に勤労事業といいますか、主人自体が、労働者と同じような格好で働いておるわけです。そういう意味から、当時の構想としては、いわゆる事業所得の中に特別の控除制度を設ける。つまり、勤労事業控除とでもいうか、名前をつけて、相当額控除をするというようなことによって所得税を減免していく、こういう措置がとれないものかということを、われわれ、当時考えておったわけであります。それによって、地方税も当然そういう減免の措置がとられるわけでありますが、今、大臣考えて、来年度いわゆる小売商等を含めての勤労事業に従事しておる人たちに対する税金の減免ということは、どういうような構想をもって大蔵省と折衝したいというお考えであるか、構想がありましたら、この際お聞かせ願いたいと思う。
  25. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいまお話のような行き方が、一つ考え方であり有力な考え方だと思っております。それにいたしましても、組合に対する特別の措置という規定には、該当しないかと思うのであります。しかし、規定にぴったり該当するというような措置は、非常に困難だと思います。ただいまお話しのような控除制度というようなものを、もう少し突き進めて考えていきたい、かように考えております。
  26. 小平久雄

    小平委員長 長谷川君。
  27. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 中小企業庁長官にお伺いいたします。小売商業特別措置法案につきまして、消費生活協同組合、こういうものを、そもそも作らなければならなかったという理由というものは、私は、もう今日においては、ないと思う。すなわち、日本の経済の実態というものは、世界の中でも二つの不思議だと、エコノミストが喝破しているごとく、一つはドイツの経済力であり、一つ日本産業経済力というものを、実に世界の人類が驚異的に驚いているという現実の上に立って、果して生活協同組合というようなものが必要であるかどうか。そもそも生活協同組合というものは、過去、戦後というときに、日本の国民生活が非常に落ちて、そうして、いかにしたならば、お互いがこれを分け合って生活ができるか、食っていくことができるか、こういうような点に重点が置かれて、生活協同組合というものが、ここに誕生するに至ったのであります。今日、今申し上げたような日本の現実の経済の上に立って、私は、こういうようなものは不必要である、こう考えております。しかるに、今度の法案を見ましても、私は、あなたの出した法案に満足がいきません。どうしてこういうようなものを、今日になって持続しなければならないか。私は、この消費生活協同組合というものを、不必要であると考えておるのですが、あなたは、この法案によって規制ができ、これによって小売業者に影響がないかあるか。どの程度あるか、またある程度押えられ得るという考え方を持つかどうか。その点について、あなたの御説明を伺います。
  28. 川上為治

    川上政府委員 生活協同組合が、現在必要であるかないか。この問題につきましては、私は、やはり現在法律によりましても、消費生活協合組合制度というのは設けられておりますし、また、特に零細なといいますか、勤労従業員につきましては、非常に大きな役割を果しておるのじゃないかというような考えを持っておるわけでありまして、これが健全なる発達については、私どもとしましては、必要なことではないかというふうに考えておるわけでございます。しかし、現在、所によりまして、あるいは組合によりまして、非常に行き過ぎた行動をとっておるところがありはしないかというふうに考えておるわけでございまして、たとえば、よく例に出ますが、鳥取県の米子市における消費生協、あるいはまた大牟田等における消費生協、その他いろいろな例がありますけれども、そういう地方におきましては、ややもすれば、行き過ぎたところがあるのじゃないかというふうに考えられるのであります。従いまして、そのために、その地方の中小の小売業者が非常に参っておる、そうして非常に問題を起しておるというようなところがございますので、そういうものにつきましては、やはりある程度小売の方との調整をして、両方とも成り立つような措置をとるべきではないかというふうに、私ども考えるのであります。  そこで、この法律によりましては、第一に、現在この消費生協について、一番問題になっておりますのは、員外利用です。この員外利用をそのままほうっておきますと、それこそ一般の小売業者がつぶれてくるというようなことになりますので、その員外利用につきまして、相当の制限をすべきであるというふうに、私ども考えるのでありまして、その一つ方法としましては、現在、員外利用します場合においては、これは厚生省なり、あるいはその地方庁の許可を得なければならぬのでありますけれども、その許可をする際の基準としまして、対中小小売業者との関係というものを考えて許可をするということには、なっていないのであります。従って、今後におきましては、この法案によりまして、そういう場合におきましては、中小企業者との関係考慮して許可をするということにすれば、今度新しいものが認められる場合において、相当その点において、両者の間に調整ができるのではないかというふうに考えるのが一つであります。もう一つは、現在、許可を受けないで、実はいろいろ員外販売をやっておるというようなことが、方々でいわれておるわけでございます。従いまして、許可を受けないものについては、これは員外販売をしないものであるということを、はっきりいろいろな形においてさしておく必要があるのではないかというふうに考えるのでありまして、たとえばこの法案の第三条の一、二、三号にありますような、こういう措置をはっきりさして、そして員外販売はやらないのだということを、やはりはっきりし、同時に、また、員外販売をやらないような、そういういろいろな具体的な措置をとるというようなことにすべきではないか。そういうことによって、この消費生協の方で、いろいろ行き過ぎだといわれておる点が、ある程度規制をされまして、一般の小売業者との関係が調整されてくるのではないかというふうに、私ども考えておるわけでございます。
  29. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 大体、小売商というものは、常に税金で悩まされており、またその税金も、税務署のおっつけというか、それによって税金を強要されておると同様でございます。こういう点から考えましても、生協というものに対し、課税はどうなっておるかという点までも、考えておかなければならない。課税はどうなっているか。この生協などというものは、課税されておらない。ちゃんと税金を払っているのは、ほんのわずかなところで、払っているといえば名目だけだ、こういうような点も考えられる。  さらに、大臣一つ承わりたいのですが、事業税という点について、あなたの所管ではない、大蔵省でございますが、大臣のお考え一つ述べていただきたいと思うのです。私は、小売商、つまり中小商工業者に対する事業税というものは、二重税だから、これはどうしても撤廃するのが、最も妥当であると考えております。大臣は、この点について、どうお考えであるかという点が一点と、もし大臣が、妥当だとわれわれと同様のお考えであるとするならば、来年度の事業税、つまり予算という点につきましては、特にお考えおきを願って、あなたの今日までの体験の上、中小企業者の育成という点に重点を置いて、今日まで御活動なすっておるあなたでございますから、これらに対しての態度を明らかにして、これらに、大蔵省への援護をやってもらいたい、われわれとともにこれに当ってもらいたいということをお願いするのですが、これらの二点について、大臣のお考えをお述べ願いたいと思います。
  30. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 事業税は、御承知のように、租税の体系からいいますと、所得税の補完税というふうに考えられており、また資産と勤労の両方からその所得が出てくるのだというふうに、考えられておるわけであります。これを地方税にしますか、国税にしますか、これはまたいろいろ別個の観点から、考えていかなければなりませんが、しかし、私は、税制の理論として、事業税が全く所得税と重複しておって成り立たないものだとは、考えておらぬのであります。また、この事業税の範囲は、現在、農業は全然入れておりませんが、以前は、地租との関係で、営業税という時代には、商工業のみにかけられておったのでありますが、現在の固定資産税というようなもの等、あらゆる負担を総合して考えた場合に、どういうふうにいくべきかということは、非常に根本的な問題であろうかと思います。ただ、私は、現在の事業税は、非常に高率であって、もう少し率を下げていかなければならぬ。補完税であります意味からいたしますと、どうももっと低率で補完していくべきものだと思いますし、また、今までは、御承知のように事業税地方の財源になっており、それが地方財政の窮迫からいたしまして、かなり高率のままに置かれておることにつきましては、いなめない事実だと思いますので、事業税軽減を極力進めていきたいかように考えておるわけでございます。
  31. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 川上長官に、ただ一点だけお伺いしておきます。簡単でよろしゅうございますから、御答弁願います。  政府提案小売商業特別措置法案と、社会党提案のとがあります。社会党提案の中には、「命令」という言葉がたくさん使われておるわけでございますが、この「命令」という点について、あなたはどうお考えになっているか。これについては、法制局のお考え等も、十分承わっておると思うので、社会党案の「命令」という点について、御説明を願います。
  32. 川上為治

    川上政府委員 商業調整法案について、私から御答弁申し上げるのは、いかがかと思うのですが、命令につきましては、私どもの方としましては、なるべく少い方がいいのじゃないかと考えるわけでございます。ただ、基本的には、やはり新規開業についての許可制が、実は非常に問題でございまして、私の方としましては、この小売市場の登録制の問題につきましては、許可にひっかけておりません。これは無制限登録でございます。しかしながら、実際問題としましては、今申しました具体的な例としまして、小売市場を許可制にすることの方が、私は個人的に申し上げますと、ベターではないかと考えるのですが、やはり憲法上の原則であります営業の自由を拘束するという問題がありまして、政府部内におきましても、これを許可制にすることは、実は法律論的に、なかなかむずかしいという問題がございましたので、私どもとしましては、この市場につきましては、実は登録制にいたしておるわけでございます。その他、あるいは大企業が小売をやる場合においても、これを許可制にすることは、先ほど申し上げました市場の許可制と、全く相通ずる問題でありまして、営業の許可制は、憲法上大きな問題に関することでありますので、今の私ども政府部内の見解としましては、やはりそこまでいくのは、むずかしいことじゃないかと考えまして、こういう法案を出しておるわけでございます。
  33. 松平忠久

    松平委員 関連。ただいまの川上長官答弁によりますと、憲法上の問題があるから、許可制を法文化していくことは困難だということだったのですが、たとえば、ただいま問題になっております市場の問題でありますが、市場の乱立は、小売商を非常に圧迫するということがありますと同時に、市場自体の乱立で、市場同士の過当競争が、今日、非常に問題になっておるわけです。そこで、この場合に、ただ、政府が言うように、登録をしただけで、一体市場の乱立を防げるかどうか。何らかそこで市場の乱立を規制するというのであるならば、これは命令条項によって規制するよりほかに、方法はない。ただ無制限に登録をするのだということだけでもって、市場の規制はできないと思う。市場が乱立して非常に困るような、たとえば大阪とか名古屋といったある特定の地域を限って、そこだけは許可制を暫定的にしくというようなことは、私は憲法も禁止しておらないと思う。これは、われわれも、法制局の意見を十分確かめておりますけれども、全般的に、日本国中全部、市場を許可制にするというような、そういう立法は、私は憲法に抵触する疑いがあると思うのです。しかしながら、公序良俗その他の憲法の範囲内において、ある特定の地域だけ、あるいは特定の場所と申しますか、そういうことを対象にして禁止事項というものができる、こういう見解を私ども持っているわけです。従って、市場の乱立をどうやって防ぐか。一体、登録だけで防げるかどうか、この点について、見解を伺いたいと思うのです。
  34. 川上為治

    川上政府委員 この法案の登録制によりましては、市場の乱立というものを十分防ぐことはできない。これは、私も率直にそういうふうに考えます。ですから、許可制の方が、その点においては、はるかにべターだというふうに考えますが、ただ、法律によって登録することになりますと、常に市場の実態をつかむということにもなりますし、同時にまた、不正な取引がありますと、今までよりも、さらに積極的にこれを取り締るというような措置を、この法律によりまして講じておりますから、従来よりも、小売市場の不正な取引を押え、そして一般の小売業者なり、あるいはまた市場におります小売商を紛糾させないというような点に、ある程度役立つのではないかというふうに考えておるわけでございます。これを、特定な地域についてだけ許可制にするというような問題については、私どもとしましても、実はそういう気持をもって、いろいろ政府部内で相談をしたのですが、特定の地域だけ限定してやればいいではないかという気持も持っておるのですが、たとい特定な地域でありましても、これを許可制にするということが、非常に憲法上問題でありますし、営業の自由の原則というものと、公益上どの程度大きなプラスになるかということを、天びんにかけた場合に、そういういろいろ議論から、やはりとりあえずの措置としては、現状においては、登録制だけでいいじゃないかというようなことに、実はなったわけでございまして、その点については、今後におきまして、市場の実態をもう少し見まして、われわれとしては、さらに積極的に考えていきたいと思っておるわけであります。
  35. 松平忠久

    松平委員 今の答弁ですが、登録制でも、ある程度規制できるのだというような考えをもって答弁されておるようだけれども、登録制をしいたところで、全然市場の乱立など防げるはずがない。百貨店法にいたしましても、どうも公益上まずいというのでもって、特別の条件をつけて許可制にする制限規定を設けたということでありまして、これは憲法違反でもなんでもないわけです。それと同じような意味合いで、どうしても、これは乱立で非常に一般小売商が困る、もしくは市場同士が非常に過当競争で倒れるというようなことがあったら、国家は、むしろこれを公益上保護していかなくてはならぬということになるし、登録ではだめだということになるならば、特定の地域を指定して、その特定の地域においては規制の制限をつけるような、法律でもってこれをしばるということをするより、私は方法がないと思う。ただ、登録だけしてほったらかしておくのであったら、これは無為無策ということになるわけです。従って、今、川上長官お話だと、しばらく静観して実情を見るというようなことを言っておったけれども、それでは解決できないと思うのだが、何らかあなた方は、市場の乱立について、それが小売商に影響を与える、もしくは市場同士が非常に困る、こういうことについて、登録制だけではなくて、もっと積極的なほかの方法というものは考えられないものか。何か知恵を出してもらいたいと思うのだけれども、現在どの程度にそれを考えているか、伺いたい。
  36. 川上為治

    川上政府委員 いろいろ知恵をしぼりまして考えたのですが、どうも小売市場の登録制が、全然役に立たぬというふうには、私は考えておりません。今まではこういう制度はないのですから、登録という制度を設けて、その実態を常に把握をしておる。そして行き過ぎがありますと、第五条なり、第六条なりで、公取等によりまして相当この不正な取引を押える。その不正な取引を押えるということによって、私は相当市場間の調整というものも、できてくるのではないかという気持を持っておりますので、全然これで何も役に立たぬというふうには、私どもとしましては、考えていないわけでございます。今、先生からお話がありましたように、しかし、自分たちとしては、これは大したことはないのだと思う、だから、どうしても何か許可制ということに、特別な地域についてはすべきじゃないかという点については、先ほど来、いろいろお話し申し上げましたように、法律論的にいろいろ疑問がありますので、私どもとしましては、もう少しこれを、一応やってみまして、その上で、もっとそういう点を解明して、さらにその実態をつかんで、今後善処すべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 関連。  ただいまの川上長官の御答弁は、一貫性を欠いておる。と申しますのは、最初は、市場を許可制にすることは、憲法の営業自由、こういう点に抵触する疑いがある、こういうふうに言われる。だが、あとの答弁では、一応やってみて、事態を見てから考える、こう言うのです。それでは、やってみて、登録制ではだめだったら、あえて憲法違反を知りつつやるというのか。それでは今の、最初の登録制でいい、許可制にするならば憲法の営業自由の権利に抵触する疑いがあるのだということは言いわけであって、どうも一貫性を欠いておる。しかし、私は、きょうここでこの討論はやめたいと思う。それよりか、私は先に、最初の松平委員の質問に関連をして、中小企業団体組織法施行の問題について、一、二お伺いしたいと、こう思っておったのです。あとで川崎委員の、何か特別な緊急な質問もあるそうでございますので、詳しいことは後日に譲るとして、簡単に中小企業団体組織法施行に関して、一、二の点だけをお伺いしたいと思います。  その前に、長谷川四郎委員に申し上げたいのですが、わが党提出の商業調整法についての質問ならば、あらためて提出者であるるわれわれに対して、してもらいたい。そうするなら、御納得のいくように、われわれから御答弁申し上げる、そういうことを申し上げておきます。  そこで、川上長官にお伺いいたしますが、私、本委員会において、今国会の初めごろだったと思いますが、中小企業団体組織法は、重要な法律である。従って、これの施行令は相当重要性を持つので、できるならば施行令の立案せられた場合に、本委員会において一応説明してもらいたい、こういうことを申し上げ、長官、御了承になったはずであります。だがしかし、初め五月と言っておったが、一カ月早まったせいかもしれませんが、四月一日施行を前にして、三月二十五日閣議において決定、すでに実施せられております。その間にあって、われわれの希望しておりました、いわゆる本委員会において、重要であるから、要綱ができますならば、一応説明していただきたい、こう申し上げたことが、できなかった理由は那辺にあったか、お伺いいたします。
  38. 川上為治

    川上政府委員 この施行令につきましては、実は非常におくまして、私どもも、長い間検討しましたが、また通産省各局なり、あるいは農林省なり、その他の方面といろいろ検討しまして、非常におくれたわけであります。そこで、これは先生から、この国会の初頭にお話がありまして、私どもといたしましては、この施行令については、重要な問題でありますから、そのお尋ねがあれば、私の方でいつでも説明を申し上げますということを、申し上げましたことは、これは事実でございます。そこで、非常におくれて、三月の二十日過ぎにようやくいろいろな点が話し合いがついたというような状況になっておりまして、私どもの方としましては、さっそくこの委員会に実は出席しまして、いろいろお話を申し上げる機会を考えていたのですが、とりあえずこの政令をお配りするということを、閣議決定の前に私ども考えまして、実はその時分にお配りしたはずでございます。それで、実は何か質問もございますかと思っておったのですが、そのままになっておりまして、実は今日になったわけでございまして、その点は、一つ御了承を願いたいと思うのであります。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 今さら、あえて申し上げるのではないのですが、なるほど、もらいました。もらったときに、私は、これは原案であるか決定版かと聞いたら、すでに三月二十五日閣議において決定を見たものでありますと、こういうことを委員部の方から聞きました。従って、それ以後にわれわれが手に入れたということだけを明確にしておきます。従って、この小売商二法案の審議に関連して、いろいろと政令についても御質問したい、こう思っていますが、時間の都合があるそうですから、これは一、二の点だけをお伺いして、あとに譲りたいと思います。  まず、お伺いしたいことは、すでに発足を見ております中小企業安定審議会のメンバー、これの選任の基準であります。この中小企業安定審議会のメンバーいかんによって、商工組合の認可その他に重要な影響がある。中小企業団体組織法の運営は、一に中小企業安定審議会のメンバーにかかると申し上げても、過言でないと思います。従いまして、中小企業安定審議会のメンバーを、新聞で拝見いたしましたが、この選定の基準は、どういう点に置かれてなされたか、お伺いいたします。
  40. 川上為治

    川上政府委員 まず安定審議会のメンバーにつきまして、私どもが一番考えましたのは、従来、役所の者が、委員として相当入っておりますが、これは今回はもうなるべくやめたい、役所の方はきわめて少くしたい、そうして、なるべく民間方々を入れたいというのが、第一点であります。それから、できれば委員長も、これは会長と申しますか、これも民間から出すべきである。今では通産次官がその委員長になっておりますけれども、それよりも、やはり民間の方に会長になってもらいたい、これが第二。それから、このメンバーにつきましては、広く民間方面から入れるべきだというふうに考えましたのが、第三点であります。そこで、この中小企業団体組織法につきましては、いろいろな御議論がありましたし、これは消費者の立場だけではなくして、あるいは大企業の立場、あるいは貿易の立場、あるいは中小企業の中でも、問屋なり、あるいは小売なり、あるいは製造業なり、そういういろいろな関係がありますので、私どもといたしましては、なるべくそうした方面を公平に一つ選ぼうという点が第四点であります。もう一つは、やはりこれは東京だけの方を選ぶということはどうかと思う。広く全国の方々を選ぶ方がよくはないだろうかというふうに考えた点が第五点であります。それからもう一つとしましては、やはり経営者と申しますか、いろいろな組織の代表を入れるというのがいいのではないだろうか。そうでないと、ただ組織の代表と申しましても、あまり利害関係にとらわれるという方々は、なるべく少くした方がいいのではないかということもいろいろ考えたわけでございます。そういう基準を設けまして選びましたのが、これはまだお配りしてないかもしれませんが、新聞に出ておりますように、ああいうメンバーになったわけでございます。もちろんあのメンバーの中で、いや、これはどうかと思う、あるいはこれはどうかと思う、もっと別な人を出した方がいいという御意見もあったかもしれませんけれども、われわれとしましては、いろいろ検討しまして、大体あの程度が妥当なところではないだろうかというふうに考えたわけであります。  それから、実は、この委員以外に、専門委員というのがありますが、専門委員につきましては、私どもとしましては、今後適当な方がおれば、随時そういう人を選びまして、そしてこの委員会において発言していただきまして、そしてあらゆる方面に公平な、バランスのとれた措置を、今後とっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまの御答弁のように、できるだけ民間人を多く入れて、民主的な運営をやっていきたい、こういう趣旨には、賛成であります。今の御答弁によると、今後適当な人があれば、推薦をすれば、メンバーとして入る可能性があるというように理解しますが、それでいいですか。
  42. 川上為治

    川上政府委員 本委員につきましては、法律によりまして、三十五名という限定がございます。従いまして、どなたかやめないと、新しく突っ込むということはできないわけであります。しかし、法律によりまして、専門委員というのを選ぶことができることになっておりますが、その専門委員については、数字の限定がございませんので、われわれとしましては、必要によりまして、随時専門の方を委員として任命したいというように考えております。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 委員に、中小企業団体組織法の適用に当っての関係者を網羅することは、当然だと思うのです。特にわれわれが考えておりますのは、いわゆる中小企業者といわれる中にあっても、比較的大きいところと、いわゆる零細企業といわれるところがある。この中小企業といわれる人たちの代表の中にあって、比較的大きいところと零細企業との割合、それから委員の割合、それから商業と工業、この関係委員の振り分け、それから消費者の代表と目される人たちは、どういう人が入っておるのか。たとえば、消費生活協同組合等は入っているのかどうか。そういう点を、お伺いいたします。
  44. 川上為治

    川上政府委員 各界の代表は、これはどこの代表で、人数は何名だということにつきましては、まだはっきりしたものを、きょうは持ってきておりませんが、私の方としましては、実はいろいろな方面方々を網羅しておるつもりでございます。ただ、最後にお話のありました消費生活協同組合の代表者が入っておるかどうかという点につきましては、消費生活協同組合の代表者の人は、入っておりません。ただ、消費者関係につきましては、たとえば婦人団体の代表者を入れるとか、あるいは労働組合の代表者というのは、消費者の代表ということに、はっきり言えますかどうかは疑問としまして、総評あるいは総同盟、そうした関係の方等も入っております。それから学識経験者の方々も、たとえば大学の先生たちも入れてございます。それに、消費者関係だけを非常にたくさんにするということも、実は疑問がございまして、私どもは、この法律を作りますまでの経過におきまして、たとえば、一般の小売価格、消費者に直接影響のあるものについては、よほどの事由がない限りやらないのだということも、再三申し上げておりますし、価格協定というものは、やはり貿易とか、そうした方面について考えなくてはならぬ問題であって、たとえば、強制加入の問題にしましても、あるいは統制の面についても、値段の問題について直接消費者と接しております面については、ほとんどやるべきじゃないのだというような頭を持っておりましたので、消費者の代表者をたくさん入れるということも、一般の貿易の関係とか、あるいは一般の製造業の関係とか、そういうようなつり合いもありまして、今回は大体その程度にとどめておるわけでございます。ただ、先ほども申しましたが、専門委員というものは、随時必要があれば認められることになっております。もし、そういうふうな問題が起きまして、この安定審議会において、どうも一方に少し意見が片寄っているのじゃないかというようなことになりますれば、そういう方も任命しまして、われわれとしましては、この委員会のいろいろな審議が、一方に片寄らぬように注意していきたいというふうに考えております。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長から、やめろとこういうものをもらいましたので、簡単にしたいと思いますから、答弁も簡単でけっこうです。  この審議会のメンバーにつきましては、まだお伺いしたい点もございます。ただ、私が申し上げたいことは、関係者を網羅することが必要である。しかしながら、中小企業団体組織法目的自体が、中小企業の過当競争を廃止してその安定をはかろう、こういうことですから、中小企業者といわれるメンバーの人の多いのが、当然だと思うわけです。しかし、いろいろとお伺いしたいと思いますが、後に譲ります。ただ、もう一つだけお伺いしたいのは、政令の第三条の組合交渉についてでありますが、実はこういうように、各条項ともに疑問があるわけです。だから、先ほど申しましたように、立案に当っては、条項ができれば説明してもらいたいと言っておったのですが、おそくなっているので、あらためてまた各条御質問したいと思っておりますが、第三条を一つお伺いいたします。組合交渉は、やはりわれわれが団体を代表して、すなわち、商工組合を代表しての交渉である。従って、名前は組合交渉だが、団体交渉である、こういうふうに理解しておるわけです。そうしますならば、もちろん手続上三日前に通知をするということは、混乱を防ぐというか、交渉をスムーズにやるために、ある一定期間前に申し込むということはよいと思います。だがしかし、必ずしも三日前に申し込まなければ交渉ができないというようなことでも、窮屈ではなかろうかと思う。また、五名というように人員が制限せられておる。これはあくまでも商工組合の団体の、自分たちの利益を代表して交渉に当る人であるから、三名でよい場合もあるし、七名を必要とする場合もあろうと思う。そういうことは、その商工組合組織自体が民主的、自主的に選ぶべきではなかろうか。それを、政令をもって制限することはどうかと思う。こういう考え方を貫くならば、もちろん、通産省なり中小企業庁長官が、労働運動にまでタッチしようとは考えておられないと思いますが、労働組合の団体交渉のやり方等についても、こういった考え方が出てくるのではないか、こういうように思いますが、労働組合であれ、商工組合であれ、同じ民主的な団体であるということ、民主的な組織であるという点については変りはないのです。そういう代表の選び方については、政令であまりとやかく言わない方がいいのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  46. 川上為治

    川上政府委員 この問題につきましては、国会のこの前の審議最中におきましても、むしろ逆な意見もいろいろございまして、なるべくこういう交渉ことは、一つ円満にいくようにやってくれというような意見もありまして、当時、私ども委員会におきまして答弁しましたこととしましては、この人数につきましても、三名程度にしたいということを申し上げておいたのですが、しかし、その後、いろいろ考えてみますと、三名程度ではどうもまずいと思うから、まあ五名程度ということに、実は逆にふやしたわけでございます。それから、三日前にやるという問題につきましても、最初からぱっと予告なしに交渉するということもどうかと思いますので、紳士的と申しますか、一応三日前に文書をもって通知をして、その上で話し合いをした方がよくはないかというふうに考えたわけでございます。私は、決して今後、労働組合と経営者との交渉について、人数を制限するとか、そういうような大それた気持は、毛頭持っていないのでありまして、私どもとしましては、やはり中小企業者と大企業との関係、あるいはその他の関係業者との関係を、なるべく一つ円満に交渉ごとを持っていきたいという気持から、こういうことにしたわけでございます。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長の顔を立てて、質問は後日に譲ります。一言だけですが、緊急必要な場合、やはり三日をおかなければいけないか。これに対して、特例を設ける必要はないか。私はあると思うのですが、どうでしょうか。
  48. 川上為治

    川上政府委員 一応この施行令においては、特例は設けておりません。しかし、そういう事態が、今後ちょいちょいありまして、われわれの方としても、どうしてもそういう場合においては認めなくちゃならぬということになりますれば、その際、この施行令を改正するとか、そういう措置考えなくちゃならぬと思っておりますが、今のところでは、そういう特例は考えておりません。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 商売はあくまでも緊急を要する場合がありますから、将来は十分考えてもらいたいと思います。
  50. 横井太郎

    横井委員 私は、松平委員の関連の質問でございますから、ただ一点だけお伺いします。と申しますことは、食品市場の乱立防止の問題でございます。登録制をやってみるということでありますが、建てることについて、非常に悪質な食品市場があるのであります。私は名古屋でありますが、名古屋市においては、食品市場の建て売りをやるのです。食品市場を建てて、建てた瞬間は、とにかく小売屋さんが入る。入るから、初めははやらせなければならぬというので、はやらせる手段を講じて、お客さんが殺到するような方法を講じて、とりあえずは宣伝をやってはやらせる。はやらせるから、この市場ははやると思っておりますと、建て売りをやった男は、はやるにまかせて高い値段で売って逃げてしまう。そして、その金でもって、またほかの新しい建物を建てて同じようなことをやる。従って、こんなものがどんどん出てくると、単なる登録制でどんどん登録されたら、困ってしまう。そこで、この問題が持ち上りました昨年の春、名古屋市は、二百六十だったが、今日は二百八十になった。法律ができてはいかぬからというので、建て売り屋はどんどん建てた。そういうふうに悪質なものは、登録ぐらいでは防止できない。許可制にしてもらわなければ、防止できないと思うのです。長官は、法制局が云々と言われたが、実際のあなた方の腹は、これでは、登録ぐらいではだめだという腹なのでございましょうこれを一ぺんお伺いしたいと思う
  51. 川上為治

    川上政府委員 全体からながめないで、中小企業対策だけの問題から考えますと、私自身も、小売市場については、特別な地域を限って、許可制にした方がよくはないかという気持は、持っておるわけでありますが、しかし、それは中小企業の立場から言っておるのでありまして、全体の、たとえば法律論的に見ますと、憲法の問題とか、営業自由の原則の問題とか、あるいはその他のいろいろな問題がございますので、こういう法案を実は出しておるわけでごげいます。
  52. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私も、このことに関連して、一問だけ質問をいたし、あとは川崎委員準備していらっしゃるようですから、そちらに譲りたいと存じます。  この小売市場が非常に難渋しているという点につきまして、これは救わなければならないという空気は、本委員会数年来の気持でございまして、この点については、与野党完全に一致しているので、社会党も、決して人後に落ちないのでございます。ところが、実際にこの小売市場が難渋しているところの原因は、あまたありますけれども、もし、その原因を、よそから圧迫を受けているという面にのみ集約して考えてみますと、百貨店法がかご抜け法案になったことが、第一である。それに引き続いて、スーパー・マーケットというのが至るところにできている。第三は、今の小売市場である、かように考えておりますし、その対策が至急講ぜられなければ、永久に小売商業を安定させることはできないと考えておりますが、この点について、まず大臣の御所見を承わりたいのでございます。ただ、とりあえずこれを制限する場合に、政府としては、百貨店とか、スーパーとか、小売市場とかいう大きな原因を、ほおかむりをして、たな上げしておいて、ただ協同組合にのみこの制限の目を向けていらっしゃるようでございます。これほど小売市場、スーパーが乱立して困るという場合に、憲法がどうとかこうとか言いながら、協同組合の方に向けては、憲法違反はおろか、厚生大臣許可の権限、過去の実績までも削減しよう、こういうふうに出ていらっしゃるようでございますが、この点、中小企業庁の長官の精神を調査し、鑑定しなければならないのではないかと思うのですが、精神分裂症でないところの御答弁を、一つお聞きしたいのでございます。  次に、先ほど員外利用は規制するというお話でございました。その原因は、米子にあるということでございますが、今の市場についての答弁と、まことに矛盾した話だと思われるのであります。なるほど、米子においては、協同組合がばっこしているということを聞いております。それは、ある程度善後措置をとらなければならないだろうと思われる筋もございます。だからというて、日本全国にわたっているところの協同組合や購買会を、制限しなければならないという理由には、ならないのではないか。特にそれを制限された暁において、いかなる悪影響が出るかの問題について、果してどのような調査研究が行われておりますか。この小売市場を圧迫しているところの勢力は、どの分野が一番大きいか、順番はどうであるか、その量はどのくらいであるかというデータを、一つ提出願いたいと思うわけでございます。そのデータがなければ、今、審議されているところの法律は、審議することができないと思う。幸い、中小企業庁の長官は、かつて鉱山局長をやられたから、御存じのところで例を上げてみますが、昔は城下町であり、寺町であった、今日は工場町ができている。その工場は山の中にできた、あるいは人里離れたところにできている。その工員の生活を保障するには、まず、工場を作る前に、宿舎を作らなければならぬ。宿舎を作る前に、消費物資を扱う店を作らなければならぬ。これが、今日の工場設営の基本条件になっている。そういう場合に、長官御存じでございましょうが、もし炭鉱における協同組合を規制したら、どういうことになりますか。あなたのよく御存じの神岡鉱山を規制したら、一体どういうことになるか。私のよく知っているトヨタの自動車工場、あそこは普通工員で扱えるものは工員が扱っておりますが、工員が扱えないところのミシンとか時計とかいうものは、小売屋さんを中に入れて協同組合を形成しているのです。それがいけないということであれば、ここで御厄介になっている小売屋さんは、みんな外にあふれなければならぬ、こういう結果が生じます。しかも、ここで員外利用を規制したら、どういうことになるか。トヨタの工場ができたおかげで、周辺に集まって見えたところの方々は、一体どこで何を買うのです。酒屋に三里、とうふ屋に二里ということで、挙母の町に買いに行けというのですか。とんでもない話だ。幸い、川崎秀二さんがここにいらっしゃるから、おわかりでございましょうが、伊勢路へ行ってもそうだ。もし、あそこにあるところの糸へんの工場の中で、購買会や生協が、もう次から次と制限を受けてできないということになったら、この女工さんの風紀を、一体どうやって取り締ります。どういう規則で取り締ります。よる夜中、必要になった綿を脱柵して買いに行かなければならぬことになりますよ。それでもよろしゅうございますか。そういう問題を、よく考え合せてみると、米子の問題があったおかげで、全国に規制したということになれば、悪影響の方がはるかに大きいと思いますが、この点について、生協が悪い、購買会が悪いというならば、その悪影響を及ぼしているところの現在のデータと、あなたたちが今提出しておるところの法案が行われた後において予想し得る悪影響を、一つ出していただきたいと思います。  ついでに、大臣にお尋ねしておきますが、もし、員外利用の規制であるとか、あるいは購買会、生協の中の整備を行うことが、通産大臣でできるというならば、厚生大臣とのこの許可の権限は、一体どういうことになるのか。それから、もし、それが行えるというならば、農業協同組合や漁協は、一体どうするつもりであるか。農業協同組合や漁協の方がむしろ町中にありますから、これに及ぼす影響の方が、はるかに大きいと思いますが、これも一つ科学的データを御提出願いたいのでございます。  まだありますけれども、きょうは一問ですから、これでやめておきますが、小売商業は助けなければならぬ。しかし、助けるに事欠いて方向を誤まりますと、悪影響の方が大きく、国民生活、あるいは山村、農村における消費者に対して、非常な迷惑を及ぼし、やがて、工場の経営を難渋させるという結果が生じて参ることは、さきの委員会における参考人の意見をもってしても、明らかでございますが、この点、いかがお考えでございましょうか。私は、むしろ難渋しているのは、大都会の小売商業である。大都会の小売商業が難渋している最も大きい原因は、デパート、スーパー・マーケット、小売市場である。これをもっとはっきりと見きわめて、その原因を除去することにウエートを置かれることの方が、小売商業を、より一そう安定させるところの方途であると思いますが、大臣、これはいかがお考えでございましょう。
  53. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 現在の集合された販売といいますか、百貨店式に販売をするということは、非常に便利でありまするが、一面にまた小売商業を圧迫する、あるいはほかのいろいろな弊害が出てくるわけであります。百貨店法は、一面におきましては、かなり営業の自由あるいは独禁法の精神に相反するものだというふうな考え方も、従来はあったのでありますが、これは大企業で営まれておりますので、百貨店法というような法律が制定されたのであります。ところで、また百貨店法も、実施していきますと、いろいろな抜け道といいますか、これにひっかかるようないろいろな方法が、最近講じられてきて参っております。これは、事態の推移に従って、それに対応する法律の改正なり、いろいろなことを考えていかなければならぬと思います。また、小売市場の問題につきましては、百貨店に次いで、いろいろ最近問題が起ってきたわけであります。しかし、現在の憲法なりあるいは独禁法なり、そういう法の精神からいいますと、直ちに規制するということは、困難な状況にあるわけでございます。しかし、これは不変のものではないので、いろいろ事態が推移しまして、弊害が明らかになってくるということになりますと、一面また社会の公共福祉というような問題が起って参りますので、いろいろ段階を追って、それに対する対策を講じていかなければならぬ。一定不変のものではないと、私は思っておるのであります。また、法律の解釈なり精神も、その事態の推移に応じて、適用なりあるいは除外というようなことも考えられていくべきものだというふうに思っておるのであります。また、小売商業の場合に、あるいは生協あるいは農協、そういうようなものの関係におきましては、所管は、私の方ではありませんで、生協は厚生省、あるいは農協は農林省というように、許可権は向うにあるわけでありますが、それらのものとの関係も、やはり事態の推移に応じて考えていかなければなりません。また、同じ場合におきましても、ただいまお話しのように、地方なり都会において非常に事情が違う。従って、ある程度弾力的な運用のできるような方向に持っていく、そうして適切な措置がやれるようにしていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  54. 川上為治

    川上政府委員 この法案が実施されるということになりますれば、先ほどお話がありました非常に悪い影響がありはしないか。特に山村地帯におきましては、買うところがなくなってしまって、何里も離れたところまで行かなければならぬ。そういうようなお話がありましたが、私どもは、毛頭そういうようなことは考えていないわけでありまして……。
  55. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 内容を言わないけれども、切符制度にするのでしょう。証明書を持っていかなければならないでしょう、内容はそうなっていますよ。
  56. 川上為治

    川上政府委員 それは「必要があると認めるときは、」ですから、別に大して影響もないところについて、一々私の方でこういう措置を講ずることでありませんで、どうしてもいろいろな問題が起きて、そのために一般小売商が非常に困っておる、ばたばたつぶれていくというようなところについては、調整をやりたいというように考えておりますから、先生がおっしゃいましたような、そういう悪影響は、私の方はないものと考えておるわけであります。特に炭鉱地帯、これは、私は石炭の行政をやりましたので、ある程度はわかっておりますが、そういうところにおいて、どうしても生協がなければならぬ、あるいは購買会がなければならぬというような地区においては、別に小売商との間に、非常に紛争が起きておるということは、私はあまり聞いておりませんので、そういうところを、別に考えているのではありません。     —————————————
  57. 小平久雄

    小平委員長 この際、理事の協議により、通商産業基本施策に関する件について、調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。よって、通商産業基本施策に関する件について、調査を進めます。  質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。川崎秀二君。
  59. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 政局は、非常に緊急な段階に入っておりますので、この際、それまでに重要な二、三の案件につきまして質問をいたして、政府のこれに対する態度をはっきりしていただきたいと思うのであります。先ごろ、中国と日本との間に、鉄鋼の協定が生れましたことは、非常にわが国の鉄鋼製品の販路が大きくなったこととして、きわめて注目せられのでありますが、その反面、これに刺激された動きもあるように感ぜられるのであります。私が、この際、通産大臣にお伺いいたしたいことは、アメリカでは、近ごろ鉄鋼製品の不買運動というものが、漸次高まりつつあるやに聞いておる。これはこまかにまだデータを調べておりませんけれども、ボストンであるとか、あるいはフィラデルフィアであるとか、ないしはデトロイト等の各新聞が、すでに相当な報道をしておるそうであります。それから在日アメリカ官辺筋によっても、米国は、日本に対して、鉄鋼問額に対する強硬な措置に出んとしておるという情報もあります。われわれは、これをだんだん調べておりますけれども、まず私がお伺いしたいのは、通産省では、今どのような情報に接受しておるか、それに対する対策は、どういうふうにとられようとしておるのか。まずその点をお伺いをして、あなた方の持っておられるデータと突き合せて、私の質問を展開していきたいと思うのであります。
  60. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 アメリカで鉄鋼製品の不買運動の動きがある。これは、私の聞いておりますのは、ベルギーとか、そういうような、日本に限らず、そういう問題に対して関税の引き上げというようなことの法案が出ておるというふうに聞いておるのであります。実は、詳細を私としましては存じません。もちろん、そういう動きがあれば、それに対処しまして、十分なPRをやっていかなければなりません。しかし、ただいま申し上げましたような情報でありまして、あるいは、さらに直接調査しなければならぬと思います。ただいま私の知っておりますことは、その程度の情報であります。
  61. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 一昨年来、インドと日本の鉄鉱協力というものは、かなり進んで今日まできておるわけですが、たとえば、ルールケラ鉄鉱山へのICA資金というものは、ぜひ日本側からアメリカに借款をするように橋渡しをしておることがあるわけですが、これは、今どういうふうな進捗状態を見せておりますか。
  62. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ルールケラの投資、並びに、それによりまして、日本側が将来——これはだいぶ先にはなりますが、鉄鉱石をたしか二百万トンずつ入れるというような話が、ずっと以前からありましたが、中絶いたしております。そこで昨年鉄鉱使節団に行って調べてもらいました。また先般、鉄鋼業界から、永野氏を団長として使節団に行ってもらいました。一応、話の妥結を見まして、日本としましては、八百万ドルの投資をし、それは極力日本の車両とか品物で、延べ払い方式によって協力する。またアメリカのICA資金、大統領資金の二千三百万ドルでしたか、借り入れの申し込みをする。その残余につきましては、インド側が調達する。こういうような話し合いがございまして、すでに大統領資金に対する申し込みにつきましては、われわれは賛成であるという日本の意思を表明いたしまして、そうしてアメリカ側に申し込んでおる。私は、おそらく日ならずして成立するものだというふうに考えております。
  63. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 一つずつ伺って、それに対する最近の私の得ておる情報を申し上げて、しかる後に対策をお伺いしたいと思うのです。ただいまのは、永野さんが行かれて、そういうような話し合いに一応落ちつかれたように聞いておるのですが、これが、今回の中国との鉄鋼協定によって、アメリカ側の態度が相当に変化するおそれがある。これは今問題の中共政府対国民政府の貿易関係という問題と、同じようなケースをたどりそうなにおいがしておるので、それに対しては、当然政府として、早目にアメリカの了解なり、あるいは中国側との間にきめられたところの鉄鋼協定がくずれない線を、主体制を持って打ち出すべきじゃないかというのが、私の質問せんとする議論の態度なのです。しかし、いろいろとこれからデータをあげまして質問をしてみたいと思うのですが、それならば、その次にお伺いしたいのは、世界銀行あるいは輸出入銀行に対する鉄鉱借款の交渉というものは、今日はどういう推移をたどっておるものか、これも一つ伺っておきます。
  64. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 世界銀行に対しまする、あるいはまた輸出入銀行に対しまする借款の問題につきましては、すでにアメリカから調査団が参りまして、調査をいたしておるのであります。輸出入銀行については、私はそんなに問題はないのじゃないかと思っております。世界銀行の鉄鉱の借款につきましても、電力借款が成立いたしますと、その後引き続いて審議をされ、また非常にこれは有望でありまして、これまた成立するものだ、こういうふうに考えております。
  65. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 そこでお伺いしたいのですが、私、きのうあたりも、アメリカの関係者にも会い、在日官辺筋から、いろいろな情報をとってみると、ややアメリカが、中間選挙を目前にしてのアメリカの国内における商社の動きというものと、符節を合わした日本に対する牽制政策のようにも思え、終局点というものは、それほど心配をすることはないかとも思うのですが、事態の発展いかんによっては、どういう態度をアメリカがとるかもわからぬ。今日の日本の鉄鋼輸出というものは、何といっても自由主義諸国が大部分であるわけですから、従って、今回中共への年間輸出の見込みが非常にふえたからといって、そのことによって、他の面を失うということになるならば、これは非常に重大な結果を鉄鋼業界にももたらし、このことは、ひいてわが国の経済に大きなひびを入れるわけです。そこで、アメリカ側が、今この業界の陳情あるいは最近における中国と日本との鉄鋼協定後に対する一つの牽制政策としてでも考えておると見られるものは、日本の鉄鋼正常輸入量を、大幅に制限するという考え方もありましょう。鉄鉱石の中共買付に対する牽制として、まず第一にそれをやるということは、考えられるけれども、しかし、これは日米親善の基本線でありますから、そういう手には、私は出てこないと思う。問題は、むしろ国際協力局、すなわちICAが持っておるところの資金によっての対日鉄鋼買付というものは当分の間行わないとか、あるいはこれにひとしい措置をとるとかということが、第一の私どもの懸念であります。それから第二には、先ほど私が指摘をした目印協力、ルールケラ鉄鉱山のICA資金の借款申し入れを、この際拒否しようというような動きも、かなり強くなってきておると思うので、これをやられるとすれば、今日の鉄鋼業界は、甚大な被害を受けると思うのです。通産大臣が、これに対して、慎重というよりは、むしろ情報を知らぬような答弁をされておるのは、一つの政策だとは思うけれども、しかし、そういうことに対処して、最初からやはり打つ手はきちんと打っておかなければならぬのではないか。こういう問題が惹起をするおそれがあると私は思う。あなたが持っておられる情報では、そういうことが非常に感度が低いようです。現に朝海大使あたりの情報では、そういうことが起り得る可能性があるということを、私は指摘してきておると思うのです。もしそういう事態に立ち至れば、これはきわめて重大なことで、もしそれが、アメリカだけではなしに、南ヴェトナムだとか、あるいはフイリピン、セイロン、カンボジアだとか、ブラジル、アルゼンチンなどという自由主義諸国全体に波及をして、一つの政策的な動きになるということになれば、この日本鉄鋼品のボイコット運動というものは、相当に日本としては考えなければならぬ情勢に立ち至ると思うのです。この際、もし知っておられれば、正式にそういう情報はあるけれども日本側として、公式なルートとしては、かくかくの手を打っておるということを、御言明を願って、一般経済界に与えておるところの、ひそかなる不安というものを、通産大臣は払拭すべきだと思うのでありますけれども、それらの問題について、御見解を承わっておきたいと思うのであります。
  66. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 インドの鉄鉱石あるいは中共の鉄鉱石を入れるということにつきましては、われわれ、極力今後推進していきたいと思います。しかし、そのために、アメリカから入れます鉄鉱石が減るというものではなしに、鉄鉱石は需要がだんだんふえていきますので、五カ年計画考えましても、極力あらゆる方面から入れることを考えていかなければならぬ、こういう状況にあるのでありまして、そのために、日米の貿易にいろいろ問題が起るというものではないと思います。また鉄鋼を中共に輸出するということにつきましても、あるいは民間側からいろいろな議論が出るおそれはなしとしないと思いますが、少くとも、アメリカ政府としては、何もそれに対して文句があるわけではありません。しかし、ただいまお話しのような動きがあるとすれば、これはもちろん、われわれとしましては、何らそういう心配のない点を十分説明し、それに対する対処は怠ってはなりませんが、ただいまアメリカの幹部諸公が、これに対してどうこうというふうに考えておることはないと、私は信じております。
  67. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 私は、専門家でないから知りませんけれども、鉄鉱石需要というものは、それは全体としては、だんだんふえておるとは思いますけれども、本年は中共から鉄鉱石を六十万トンですか、新しい買付をすることになったのじゃないですか。そうすると、アメリカから買うものは減るのじゃないですか。どうなんですか。あまりよく知らぬけれども……。
  68. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 先般の中共と鉄鋼業界との契約によりますと、第一年度においては、粘結炭が四十万トン、こうなっております。粘結炭の方は、大体毎年約四十万トンぐらいは買っておりますから、増減はございません。鉄鉱石は、新しく入るわけでありますが、鉄鉱石というものは、スポット買いというふうなことはほとんどないわけで、諸外国との契約は、かなり長期契約になっておりますので、すぐに一方の契約を破棄してどうというわけには、割にいきにくい商品であります。そこで需要の伸びに従って、あるいは契約の更改などを考えて、業界としては考えておるわけであります。従いまして、各国との現在の関係が悪化しても、中共から輸入するという考え方は、全然していないようでありまして、そう摩擦はないというように、われわれ確信しておるわけであります。
  69. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 そうすると、アメリカから、本年はどのくらい買い入れるのですか。それから問題の点は、滞貨もあります。従って、実際に買い入れるというのは、今年は中共との関係もあって減小するのではないですか。全然、そういうことはありませんか。
  70. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 何なら、あとで具体的な数字をお示しいたしますが、もちろん、今かなりの在庫もあります。従いまして、中共の方からも、もっと売りたいという希望に対して、第一年度四十万トン程度で押えざるを得ないことになったのであります。そうして、現在の輸入を大いに減らすという考え方は、これは先般中共に行かれました業界の代表者は、全然考えていないようであります。従来の各国との関係を維持しつつ、需要の増加分を中共から入れるというような考え方に立っております。
  71. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 今、中共の方に重点をかけられた答弁をしたが、私が聞いておるのは、中共から四十万トンということによってかどうか知らぬが、在庫との関係もあって、アメリカからの本年の鉄鉱石の輸入は減るのではないかということを聞いておるのですが、その数字はどうですか。
  72. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 はなはだ申しわけありませんが、今ちょっと数字を覚えておりませんが、そんなに減らぬと思っております。
  73. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 今のことは、一つ正確な数字で、一ぺん答弁をしていただきたいと思います。私の質問が、ほかの問題にわたりますから、その間に一つ整理して、答弁をしていただきたいと思います。  それから、今、大臣お話だと、アメリカ側に対する考え方というのは、非常に楽観的ですが、これは日米親善あるいは日米協力という形からすれば、アメリカは最後には、最高政策から、常に日本政府に対して有利な判定を下して、大統領裁断で押えるというのが今までの手です。私は、これは変らぬと思う。しかし、そのことにつけ込んで、今日の事態を甘く見てはいかぬ。民間政府は乖離しつつあるのであって、アメリカの鉄鋼業界は、政府に対して相当のプレッシャーをかけ始めておることを、私は指摘しておるわけです。そうすると、正常輸出の方は、かりになにされても、多少大統領の持っておるところの最高の決定によって、一時的にしても、報復措置としてICAの資金が流れないということになると——私は、今東南アジアに対する日本の鉄鋼業界の進出は、実際は非常にICAの裏づけが大きく作用しておるのではなかろうかというふうに考えるのです。その数字は、相当なものだと考えておるのですが、今ICA資金による貸付は千八十万ドル、鉄鋼素材四十九万五千トン、鉄鋼製品八百八十三万一千トン、アメリカ向け正常輸出と合せて二千七百八十万ドル、このうちICA資金による貸付千八十万ドルが、三分の二でも、あるいは二分の一でも制約されるということになると、そのことによって受ける打撃というものは、中共との新しい取引で伸びた分よりも、大きな打撃を受ける。こういうことになるわけですから、よほど注意をして今後の交渉をしていただきたいというのが、私の考え方であります。これに対して、通産大臣考え方は、ただいままでに申された答弁と同じであるか、もう少し綿密に一つ答弁を願いたいと思うのであります。
  74. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 もちろんICAの買付が、非常に日本の貿易といいますか、国際収支に役立っておりますことは、御承知の通りであります。従って、われわれとしましても、これに対しては、非常な関心を持っておるのであります。先般も、アメリカの商務次官が来られましたときにも、一時間以上にわたりまして、いろいろこの問題についても、話し合いをいたしまして、極力今後ふやしてもらいたいということを、要請しておったのでありますが、この鉄鋼の輸出によって、アメリカの当局の方で報復手段というような考え方を持っておるようには、私は考えておりません。今までいろいろ話し合ってきまして、向うの模様を考えましても、そういう話は出ておりません。業界では、あるいはいろいろなことが、商売上のかけ引きから言われておるかもしれませんが、政府の当局者として、そういうような考え方を持っておるようには、私は考えておりません。しかし、これはそういう動きがあれば、それに対して速急に手を打たねばならぬと思います。
  75. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 ただいまの問題は、あまり楽観されないで、何といっても、経済開発の中心の問題でもありまするし、また重要産業の核心でもあるわけですから、鉄鋼業界が、これがためにゆらぐということになれば、非常に重要な問題です。中共との鉄鋼協定というものが、新しく日本の進路を増した際でありますから、私は、その問題については、むしろ非常に歓迎はいたしておるのですが、やはりこういう問題は、比重を考えて、そして日本の対外政策とも密着したやり方が望ましい。政治は政治、商売は商売ではあるけれども、基本的な考え方を持って、だんだん販路を拡張する、本末を顛倒してはならぬということを申し上げたかったので、最近のアメリカ鉄鋼業界の動きに関連しての一つのマイナスな動きがある。これを完封するための手段として、政府はもっと外交交渉とも十分な連絡をとりつつ経済発展をしていただきたい、かように存ずるのであります。それから、今国会で、予算委員会でも指摘をいたし、最初から問題にしておった問題に、サウジ・アラビアの石油問題があります。これはその後、社会党の方々からも、再三にわたって追及が行われ、またわが党の長谷川四郎君あるいは笹本氏等からも、たびたび商工委員会におきまして、きわめて精細なる御議論があったようであります。私よりも、もっと詳しく御議論がありまして、非常に意を強くしておるのでありますが、最近、私は、このサウジ・アラビアの石油問題というものは、何かとどめをさされそうな形にまで発展をしていっておるのではないか。すなわち、これは、きょう外務省の諸君が、何か中近東問題で、経済局が全部休みだというので、ここに来られないのは、はなはだ残念であるし、あるいはまた、この問題に終止符的な悪い情報を出さなければならぬということで、逃げたのかもしれませんけれども、土田大使から最近二、三回公電が来ておる。それから山田次官等に会って、いろいろイランあるいは近東方面の石油問題を聞きましても、サウジ・アラビアの問題は、非常に悲観的な状態である。むしろ、これは打ち切りを早くした方がよかろう。という考え方が、強くなっておるのだそうでありますけれども、それにしても、実際、アラビア石油開発会社の資本金は、三十五億円というものをとにかくかけて、この間設立総会をしたばかりである。財界の、相当に日本で物事に対して自重をされつつ進まれる経団連の会長であるとか、あるいは東京電力の社長なども、戦争するよりは、一ぺん山下のホラに乗ってみようというような気持で、こういう石油会社の開発に手をつけたというのですけれども、私は、これを指導する通産省としては、ずいぶん落度のあった大問題じゃないかというふうに考えるのであります。まず伺っておきますが、今、クエート政府との交渉は、どういう段階であるか。これはこれほど国会の問題になっておるのですから、逐一あなたの方は情報をとらなければならぬと思うが、クエート政府と山下太郎氏のこのアラビア石油会社との利権をとるということは、非常に有望なのか有望でないのか、どういう段階に立っておるか、一つ率直に伺いたいと思う。     〔委員長退席、笹本委員長代理着席〕
  76. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 アラビア石油の問題につきましては、最近われわれも、現地で調査をしてもらっておるわけでありますが、土田大使の公電は、有望であるというふうに来ておりまして、その後、何ら公電には接しておりません。また、財界の方々の御意見も、私も聞いておりますが、ぜひやらせたい、こういうふうなことを言われておるのであります。また現在は、御承知のように、クエートの方は、断食に入りまして、それで交渉が途絶いたしておりますので、私がただいま聞いておりますところは、契約文のいろいろ交渉するために、ロンドンに行って話し合いをするというような最近の状況のように聞いておるのであります。いずれにいたしましても、断食が済みませんと進行しない、こういうふうに聞いております。
  77. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 それは、私の持っておる情報とは、全然違うのであります。あなたの今言われておるのは、いつごろの話ですか。
  78. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 十日前くらいまでは承知しております。その後、何ら報告を、私個人は受けておりません。その後の状況は、聞いておりませんが、しかし、ごく最近までの情報は聞いております。
  79. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 それはもう少し調査をされてなにしないと、あなたは、非常に有望だ、有望だと言っておいて、今度選挙があって、そのあとはどういうことになるかわかりませんが、はなはだ失礼な言い分をしても、私の立場からは、あなたに対して恐縮だから、そんなことは申し上げないけれども、責任者でなくなっても、とにかく今日は重要なポストにおられるわけですから、どうも一時は有利な情報があって、それが続いておるものと思うくらいなところでごまかすならばともかく、私が得ておる情報では、クエートはイギリスの保護領であるし、それから最近、英米の各会社が連盟をして、日本側に落札するようなことがあっては、自後一さいのものに協力しない、今までやっておった協力も破棄するというような申し入れをしておるので、クエート政府は、とても窮地に陥っておるばかりでなく、アメリカ側のインデペンデント・オイル・カンパニーというのでしたか、それからもう一つはシェル、この二つのうち、どちらかに落ちることは確実である。ただ、日本のアラビア会社に残されている道は、その取ったものと協力をして、すでにサウジアラビアとの間に日本が取っておるのですから、そこでやろうという活路しかないという情報が、一番信用の置ける情報ではないかと私は思うのですけれども、今、大臣の言ったことは、信用していいのですか、実際に。よろしゅうございますか。
  80. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 アメリカなりその他の国々が、非常に競争しておるという事実は、聞いております。また、現にこちらの会社に対しましても、何とかサウジ・アラビアの方の権利を譲ってくれぬかというような話も、ずいぶんあるということは、承知しておるのであります。今までのいきさつからいきますと、すでにアラビアの方の権利は得ておるのでありますから、そこに落ちるのが、一番妥当な線でなかろうか。従って、それについて極力邁進するというふうに聞いております。
  81. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 それはアラビア石油会社の言い分で、通産省の言い分ではないと思うのだ。アラビア石油会社は、そう言わなければ絶対に落ちてこない。もうすでに権利を取っておるのだから、クエート政府の方にも協力してもらいたい、可能性は十分だと、あなたの方に石油会社から打電があれば、それは一つの情報です。しかし、それは客観的な情報と言えないので、通産省としては、当然現地にいろいろな役人を派して、現在交渉している山下情報だけでなしに、広く情報を集めて判断をすべきだと思うのです。最近の土田大使の公電では、それとは違うのです。少くとも四月十一日ごろに、土田大使の公電で、何か情報が入っているはずです。それを、ぜひ一つこの際発表してもらおうと思って、外務省の連中を呼んだのです。ところが外務省は、きょうは中近東の問題があるから出ないという。せっかく交渉してもらったのに、それはどうしてもおかしい。私の方も、もう少しはっきりと党の方から言えばよかったので、少し手落ちがあったかもしれぬ。その意味で、私は非常に不安定であると思う。  それから、御存じのように、最近サウジ・アラビアでは、ある種の革命が起ったわけです。政変があった。これは全然対蹠的な政変、つまり、サウジ・アラビア王を打倒して、違う種類の政権ができたということではないのですけれども、対外交渉の各種の問題は、場合によっては打ち切られる可能性さえ非常に多いそうです。ことにサウジ・アラビアが、今まで各国とやっておったことで、一応権利を認めておきながら、それを破棄したという前例も、かなりあるそうであって、それがこのサウジ・アラビア王というものを、端倪すべからざる人間だといわせているのです。これは政治的な大きな問題でも、たとえば、去年アメリカと非常に深い関係に立ちながら、一挙にして、たなごころを返すがごとくエジプトと締盟したというような変化をも起す人ですから、その人が、今度は引退して、皇太子に統治権を譲らざるを得ない政治情勢になったとはいいながら、一そう経済問題については、不安定な要素ができてきておる。現に山下太郎氏が現地で話をしておることも、今までの大ぼらとは違って、かなり非観的な談話を現地の新聞に載せておるのです。その材料も、ここにありますが、あなたの方がとにかくオーソリティーであるから、各種の情報を集められていると思って、私は質問しているのですけれども、その程度では、非常にたよりないのです。ことに、このために、これから一年間二百万ドルずつ外貨の送金をしなければならぬということであるならば、外務省と早く連絡をとって、やめさすものなら、なるべく早くやめさした方がよい。むしろ日本の石油政策としては、イランのような豊饒な油田地帯、しかも政権が非常に確定しておって、方針が一貫をしているようなところとか、インドネシアとか、幾らでも買うところがあるのですから、こういう千年に一ぺんしかない大ばくちだといって、当ればよいかもしれぬけれども、当る可能性の非常に少いところに、外貨を使うことはないじゃないかというのが、私どもの提起した問題であり、この問題に論及される人は、だれでもその点を深く追及をされている。しかも、成立をしてみたところで、四十年後には取られてしまう。四十年後はだいぶ向うであるけれども、そういう不利な条件、しかも、何か二分の一権利というようなこともあって、実際このアラビア石油ほど不可解な——不安定で、最終的には、もうだめになりそうな勢いにあるのですから、通産省としては、もっと情報を集めて、果断な措置に出て、日本の財界が痛手をこうむる前に引き揚げる方がよいのではないかというふうに考えるのですが、これらの点について、通産大臣の御所見を承わっておきたいと思うのであります。
  82. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 土田大使の公電は、私、十一日ではない、もうちょっと早い公電だったと思いますが、その後に公電が来ておることは、承知いたしておりません。もしあれでしたら、さっそく調べてみます。それはそういうような考え方ではありません。  それから、ただいまお話しのように、レンタルは支払わなければなりませんが、これはクエート側との交渉がついてから出発するわけであります。クエート側との交渉の期間は発足しないわけであります。
  83. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 最後に、そういうような情勢で、もし最後的に来た情報が悪ければ、通産省としては、重大な決意をされるつもりがあるかどうかということを、伺っておきたいと思うのです。
  84. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 さっそく私も調査をいたします。そういうようなことであれば、これは当然考えていかなければなりません。
  85. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 それとは別個に、これは日本の経済界にとっては、非常に有利な情報だと思うのですが、けさの毎日新聞に、例のアラブ連合共和国のシリア州のラスタンというところと、マハーディというところのダム建設について、日本にも国際入札をさせるという情報が来たと載っておるようですが、これは何か詳しい資料はありませんか。きょう見たあれでは、ただ、技術とこれこれで、ダムの長さはどれだけだということばかりですが、日本に国際競争入札するようにしたのは、日本の技術を相当高く買って——何でもソ連の経済援助というものは、水門やなんかでは重要なことだと聞いておる。それに付随して、日本の他の技術を非常に高く買って、国際入札とは言うものの、日本に大きな利点があるようにも聞いておるのですが、その点で、通産当局はどういう観測をしておるのか、どういうものか、この際御発表を願いたい。
  86. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 聞いておりません。
  87. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 今までの情報によると、在ダマスクス田村総領事、この人は、アラビア語が非常にできる人ですが、現地のいろいろな情報を探って、今度は正式にこれが入ったというのですが、アラブ連合共和国シリア州から、ラスタン・ダム及びマハーディ・ダムの水力発電設備工事を、六月十八日に国際入札にする。そうして、特にわが国の技術を重視して、これに参加されたいとの公電を日本の当局に出した。そのことが、きょうの毎日新聞の経済面にも載っております。そういう程度では、質問をしておっても、大へんたよりない話ですが、これは国際入札でやるということで、大へんな日本の国際進出になると思うので、大臣などはもう十分御承知だと思った。私が得た情報は、むしろ一週間ぐらい前です。だから、さっきのもおかしいですよ。さっきのアラビアの問題もおかしいですが、今ごろそんなことを言っているようじゃ、しょうがない。  それでは、ちょっとほかの問題を伺っておきますが、近ごろ神戸に入った中共からの輸入くず米の中に、北鮮産のものが大量に入っておるといわれますが、そういう事実は御承知ですか。
  88. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 現在北鮮からの輸入、あるいは北鮮への輸出につきましては、別段国際的ないろいろなむずかしい制約とか、そういうものはないわけでありますが、これは中共と大体同じような扱いをいたしておるのであります。南鮮との非常にデリケートな関係もありまして、建前としましては、輸出入とも認めないということに運用いたしておるのであります。時たま中共物資の中に、北鮮のものが混入してくることは、絶対ないということも言い切れないのであります。ただ、建前がそういう建前でありますので、業界には、できるだけ注意をするように申しておるようなわけであります。今、御指摘のようなことも、あるいは中共からの輸入として混入してきておるのではないかとも思うのですが、まだ実態を、私、はっきり存じませんけれども、建前といたしましては、北鮮からのものは認めないということであります。
  89. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 これは、何でも三十年の十月二十四日に次官会議できめて、閣議の了解を得ておることとして、北鮮との直接貿易は、韓国政府への政治的配慮から、貿易は行わないという建前があるそうですね。そこで、私は、将来だんだん中共との貿易が盛んになり、それから北鮮との貿易も、南鮮との国交回復後には、さらに世界の各国に対して、貿易だけは伸張していけという論者でありますから、必ずしも、北鮮のものを排撃せよということで、ここで議論を展開しているわけじゃないのだけれども、今は今、将来は将来ということを分けて努力すべきにもかかわらず、実際中共から入ってきておるもので、いわゆるスイッチ取引ということですか、そういうものが相当行われておるので、それは今、日韓会談をせっかく行なっておる際に、かなり韓国側に対して悪影響を与えておるように、京城方面からの通信もきておるし、また国内でも、問題にしておる向きもあるわけですから、ぜひこれは慎重に、そういう行為がありましたときには、厳重な抗議を申し入れられた方がよい。これは、中共との貿易を、直接だんだんふやそうということと、決して矛盾をしないことです。やはり国際的な不信行為といいますか、国際的な経済行為が正当でないものに対しては、私は当然通産省としては、抗議を申し入れてしかるべきだと思うのですが、これについて、通産大臣はどういうお考えですか。
  90. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいまお話しのような考え方で、われわれも北鮮貿易の点については臨んでおるわけです。ただ、国と国との交渉というようなものでもありません。従って、業界を十分指導し、業界からも、そういうことでは困るということでいかなければならぬ筋道のものじゃないかと思います。われわれも、従来から、少しやかましく言い過ぎるじゃないかと言われるほど、実は言っておるのですが、さらに今後も、そういう点について、十分注意していきたいと思います。
  91. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 それでけっこうですが、やかましく言うほど言っておるというけれども、事実知らなくては、やかましくは言えませんから、事実を認知をして、それの上に立ってやっていただきたい。  それからもう一つ、これは地域的なことで恐縮ですけれども日本の経済発展のためには、だんだん考え方が重点的になってきましたので、申し上げたいのですが、あなたの方で出しておられる昭和三十二年度工業地帯別産業立地条件調査、こういうものがありますね。     〔笹本委員長代理退席、委員長着席〕 これによりますと、日本の工場地帯をずっと分けて、細密な調査ができておる。これは、私は最近読んで、商工委員会と今まで関係がなかったわけですけれども、非常によい材料だと思っております。ただ、これによると、北海道からずっと分けてきて、工業地帯を二十六ほどに分けております。その中で、私はこういう構想を持っておるのです。というのは、日本の工業地帯というのは、こういうふうに分けてもいいが、京浜工業地帯、それから阪神工業地帯、北九州工業地帯というものは、鉄鋼を中心にしたあらゆる産業が集結をしておる。その意味では、世界的な水準にまで達しておる。ところが、ほかは、それぞれに特色はあるけれども、この領域には及ばないわけです。その次に有望なのは、何かといえば、これはわが田へ水を引くわけではないが、やはり名古屋の工業地帯を独立させないで、今、四日市、桑名というものが、とにかく関連産業が非常に多くなってきておる。ですから、伊勢湾臨海工業地帯として、第四の星にしたらどうかという考え方を持っておるし、中経連の連中とか、通産省の名古屋方面の連中は、赴任をしてあの地へ行ってみると、これは当然一帯として発展をさせれば、将来非常な有望な地域になる。わが国の工業水準を、はるかに引き上げていく立地条件に恵まれておる。それから産業形態にも恵まれておる。名古屋というものは、昔は繊維工業だけだったのですが、今は電気、鉄鋼というものが、ずっとそろっておるということから、一つこれは大きく伊勢湾臨海工業地帯として、こういうばらばらでなしに、日本の第四の星として取り上げて、これを総合的に開発をする意思はないか。予算委員会でも、基本的な問題だけは提起しておいたのですが、やはりこの商工委員会の問題でございますから、少し細密にわたってお伺いしたいと思うのですが、そういう構想を、まず持つべきではないかと思うのですが、通産大臣は、どういうお考えでございましょうか。
  92. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 名古屋を中心として、あの方面一帯として産業立地を考えていかなければならぬということにつきましては、もっともであり、また当然そうあるべきだと私は思います。今後の産業発展のいき方を考えます場合には、相当広域的に考えていかなければなりません。もちろん四日市、桑名、そういう方面は、これは名古屋の郊外地というと、はなはだ失礼でありますけれども、もう一体としたものであります。そのくらいの広域的な産業地常というものを考えて参りませんと、もちろん、また逆の方面におきましても、相当広い地域を考えていくということでないと、今後の日本産業構造から考えまして、小さい範囲で考えますと、非常に重複やいろいろな不経済な点が出てくるので、相当広い範囲で、名古屋を中心とした工業地帯を考えたい、こういうふうに思っております。
  93. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 もう一、二問、特に中心の問題をお伺いしておきたいのですが、名古屋工業地帯と、それから四日市の工業地帯のいろいろな産業を分けてみると、電力あるいは鉄鋼、それから繊維、陶器、製粉、ビールというような、多種多様なものが名古屋の方にあり、四日市は石油産業が中心で、他の関連産業が密集しておる。結局足りないのは、鉄鋼の中心である製鉄というものじゃないか。この製鉄所というものを、名古屋から四日市の付近に、いずれの地でもいいから一つ誘致をして、それによってむだをなくしていく。何といっても、名古屋は石炭から遠いのですけれども、四日市という良港があるわけですから、これを入れて、製鉄業というものを大きく伸展をさす余地があるのじゃないか。ところが、今日の経済五カ年計画では、まだこれが入っておらぬ。それは、いろいろな条件もございましょうけれども、これを、でき得れば早くというような気持があるかどうか、この際ぜひ伺っておきたいと思います。
  94. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 この前、予算分科会で、たしか申し上げておきましたように、名古屋の方は、お話しのように、かなり機械工業が発達しておりますから、製鉄業があっても、別段不思議じゃないと思います。むしろ、あった方がいいということもあるわけであります。ただ、御承知のように、製鉄業は、現在考えますれば、やはり銑鋼一貫工場で、大体百万トンくらいが単位でございます。そういたしますと、これは、一つは土地の問題としまして、やはり百万坪くらいの土地が要るわけでございます。そういう程度の土地が、廉価で入手し得るかどうか。それから、ああいうふうな非常に物の輸送の多い産業でございます。ことに、外国から鉱石あたりを輸入しますと、最近、鉱石造船が大型になっておりますので、四万トンの船といたしますれば、水深は小くとも十四、五メートル要るわけで、そういう埠頭設備と、それから水を使います。これは製品にもよりますが、大体製品トン当り二百立方メートルくらい使うかと思います。年に百万トンといたしますれば、大体それだけのものが要るわけでございます。そういう条件がそろいますれば、あの地帯は、相当規模の一貫工場の適地であろうと考えております。なお、金の話になりますけれども、大体トン当り七万円ぐらいのものを投資しますと、七百億ぐらいになりますので、そういう条件がそろいますれば、行けると思っております。  お話にあったように、現在の五カ年計画では、あの地区に製鉄所を作る計画は、実は考えておりません。しかし、日本の将来を考えますと、この次の五カ年計画あたりでは、やはり相当規模の製鉄事業の拡充を見ましょうから、その際には、おそらく今申し上げたような条件がそろいますれば、あの土地も選ばれる一つになるのじゃないか、こういうように考えております。
  95. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 今のお話で、大体これは満足するわけですけれども、工業用水の設備、その他今あげられた条件については、県当局だけではなしに、これは名古屋の非常な協力を得まして、一体となって推進をしておる。今度の予算でも、最初は国庫の補助が落ちておって、むしろこれはコマーシャル・ベースでやるべきだというような大蔵省の意見があったのを押し切って、新しい活路も見出したわけですから、そういう条件がずっと整っていくと、製鉄所の誘致ということには、土地の広さも、それから重耐度も、いろいろと要るとは思いますけれども、その意味で、この辺の地帯に製鉄所があるということが、結局、活を入れることになるというふうに私は思うのです。これは国策的な見地から、一つ通産省でも取り上げていただきたい。地域的な問題という考え方ではなしに、伊勢湾臨海地帯の工業に、最後の一つの締めくくりをするものは、やはり製鉄業である、こういう考え方で進んでいただきたい。また、そうでありましょうけれども、そこで、経済第二次五カ年計画の中には当然入ると思うのですが、その年度の初期に、そういうものを組み入れるような計画を考案していただけたらと思っております。しかし、それについては、何か太平興業というものが、通産省から依頼したのですか、あるいは経済企画庁から依頼されたのですか、調査を行なって、何か報告を出しておるそうですが、それはお知りですか。
  96. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 承知しております。あの報告でも、あの地帯は一つの有力な候補地と考えていいだろうというふうになっております。これはなおもう少し検討する余地があるわけですけれども先ほど申し上げましたように、将来の候補地の一つ考えられることは、間違いないであろうと思います。
  97. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 最後に、一つだけ通産大臣に伺っておきますが、合成ゴムの敷地の問題については、大体目鼻がつきましたですか。
  98. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 敷地につきましては、目鼻がついたようであります。
  99. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 どこになったのですか。
  100. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 先般、合成ゴムの会社と三重県の地元自治体との首脳部の会談が、たしか三週間前に話し合いがあって、条件その他も、大体の見当はきまったというふうに聞いております。
  101. 小平久雄

    小平委員長 本日はこの程度にとどめます。  次会は来たる二十二日午前十時十五分より開会する予定であります。  これにて散会いたします。     午後一時二十八分散会