○加藤(清)
委員 私も、このことに関連して、一問だけ質問をいたし、あとは
川崎委員が
準備していらっしゃるようですから、そちらに譲りたいと存じます。
この小売市場が非常に難渋しているという点につきまして、これは救わなければならないという空気は、本
委員会数年来の気持でございまして、この点については、与野党完全に一致しているので、社会党も、決して人後に落ちないのでございます。ところが、実際にこの小売市場が難渋しているところの原因は、あまたありますけれ
ども、もし、その原因を、よそから圧迫を受けているという面にのみ集約して
考えてみますと、百貨店法がかご抜け法案になったことが、第一である。それに引き続いて、スーパー・マーケットというのが至るところにできている。第三は、今の小売市場である、かように
考えておりますし、その対策が至急講ぜられなければ、永久に
小売商業を安定させることはできないと
考えておりますが、この点について、まず
大臣の御所見を承わりたいのでございます。ただ、とりあえずこれを制限する場合に、
政府としては、百貨店とか、スーパーとか、小売市場とかいう大きな原因を、ほおかむりをして、たな上げしておいて、ただ
協同組合にのみこの制限の目を向けていらっしゃるようでございます。これほど小売市場、スーパーが乱立して困るという場合に、憲法がどうとかこうとか言いながら、
協同組合の方に向けては、憲法違反はおろか、厚生
大臣許可の権限、過去の実績までも削減しよう、こういうふうに出ていらっしゃるようでございますが、この点、
中小企業庁の長官の精神を調査し、鑑定しなければならないのではないかと思うのですが、精神分裂症でないところの御
答弁を、
一つお聞きしたいのでございます。
次に、
先ほど員外利用は規制するという
お話でございました。その原因は、米子にあるということでございますが、今の市場についての
答弁と、まことに矛盾した話だと思われるのであります。なるほど、米子においては、
協同組合がばっこしているということを聞いております。それは、ある
程度善後
措置をとらなければならないだろうと思われる筋もございます。だからというて、
日本全国にわたっているところの
協同組合や購買会を、制限しなければならないという理由には、ならないのではないか。特にそれを制限された暁において、いかなる悪影響が出るかの問題について、果してどのような調査研究が行われておりますか。この小売市場を圧迫しているところの勢力は、どの分野が一番大きいか、順番はどうであるか、その量はどのくらいであるかというデータを、
一つ御
提出願いたいと思うわけでございます。そのデータがなければ、今、
審議されているところの
法律は、
審議することができないと思う。幸い、
中小企業庁の長官は、かつて
鉱山局長をやられたから、御存じのところで例を上げてみますが、昔は城下町であり、寺町であった、今日は工場町ができている。その工場は山の中にできた、あるいは人里離れたところにできている。その工員の生活を保障するには、まず、工場を作る前に、宿舎を作らなければならぬ。宿舎を作る前に、消費物資を扱う店を作らなければならぬ。これが、今日の工場設営の基本条件になっている。そういう場合に、長官御存じでございましょうが、もし炭鉱における
協同組合を規制したら、どういうことになりますか。あなたのよく御存じの神岡鉱山を規制したら、一体どういうことになるか。私のよく知っているトヨタの自動車工場、あそこは普通工員で扱えるものは工員が扱っておりますが、工員が扱えないところのミシンとか時計とかいうものは、小売屋さんを中に入れて
協同組合を形成しているのです。それがいけないということであれば、ここで御厄介になっている小売屋さんは、みんな外にあふれなければならぬ、こういう結果が生じます。しかも、ここで員外利用を規制したら、どういうことになるか。トヨタの工場ができたおかげで、周辺に集まって見えたところの
方々は、一体どこで何を買うのです。酒屋に三里、とうふ屋に二里ということで、挙母の町に買いに行けというのですか。とんでもない話だ。幸い、
川崎秀二さんがここにいらっしゃるから、おわかりでございましょうが、伊勢路へ行ってもそうだ。もし、あそこにあるところの糸へんの工場の中で、購買会や生協が、もう次から次と制限を受けてできないということになったら、この女工さんの風紀を、一体どうやって取り締ります。どういう規則で取り締ります。よる夜中、必要になった綿を脱柵して買いに行かなければならぬことになりますよ。それでもよろしゅうございますか。そういう問題を、よく
考え合せてみると、米子の問題があったおかげで、全国に規制したということになれば、悪影響の方がはるかに大きいと思いますが、この点について、生協が悪い、購買会が悪いというならば、その悪影響を及ぼしているところの現在のデータと、あなたたちが今
提出しておるところの法案が行われた後において予想し得る悪影響を、
一つ出していただきたいと思います。
ついでに、
大臣にお尋ねしておきますが、もし、員外利用の規制であるとか、あるいは購買会、生協の中の
整備を行うことが、通産
大臣でできるというならば、厚生
大臣とのこの許可の権限は、一体どういうことになるのか。それから、もし、それが行えるというならば、農業
協同組合や漁協は、一体どうするつもりであるか。農業
協同組合や漁協の方がむしろ町中にありますから、これに及ぼす影響の方が、はるかに大きいと思いますが、これも
一つ科学的データを御
提出願いたいのでございます。
まだありますけれ
ども、きょうは一問ですから、これでやめておきますが、
小売商業は助けなければならぬ。しかし、助けるに事欠いて方向を誤まりますと、悪影響の方が大きく、国民生活、あるいは山村、農村における消費者に対して、非常な迷惑を及ぼし、やがて、工場の経営を難渋させるという結果が生じて参ることは、さきの
委員会における参考人の
意見をもってしても、明らかでございますが、この点、いかがお
考えでございましょうか。私は、むしろ難渋しているのは、大都会の
小売商業である。大都会の
小売商業が難渋している最も大きい原因は、デパート、スーパー・マーケット、小売市場である。これをもっとはっきりと見きわめて、その原因を除去することにウエートを置かれることの方が、
小売商業を、より一そう安定させるところの方途であると思いますが、
大臣、これはいかがお
考えでございましょう。