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1958-04-16 第28回国会 衆議院 商工委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十六日(水曜日)     午前十時三十二分開議出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 笹本 一雄君 理事 島村 一郎君    理事 長谷川四郎君 理事 加藤 清二君    理事 松平 忠久君       川野 芳滿君    神田  博君       齋藤 憲三君    櫻内 義雄君       篠田 弘作君    福田 篤泰君       村上  勇君    横井 太郎君       佐々木良作君    佐竹 新市君       田中 武夫君    多賀谷真稔君       帆足  計君    水谷長三郎君  出席政府委員         防衛庁参事官         (装備局長)  小山 雄二君         通商産業政務次         官       白浜 仁吉君         通商産業事務官         (重工業局長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (石炭局長)  村田  恒君         中小企業庁長官 川上 為治君  委員外出席者         議     員 淵上房太郎君         議     員 井手 以誠君         通商産業事務官         (重工業局防衛         産業参事官)  金谷榮治郎君         通商産業事務官         (重工業局航空         機武器課長)  赤澤 璋一君         通商産業事務官         (石炭局鉱害課         長)      佐藤 京三君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    川瀬 健治君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部指導課長) 小林 健夫君         運輸事務官         (航空局監理部         総務課長)   町田  直君         運 輸 技 官         (航空局技術部         長)      關口規矩二君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 四月十五日委員大倉三郎辞任につき、その補欠として高瀬傳君が議長指名委員に選任された。同日委員高瀬傳辞任につき、その補欠として大倉三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十五日外国為替及び外国貿易管理法簡素化に関する陳情書(第九二九号)  水洗炭業に対する法的措置に関する陳情書(第九六〇号)  中小企業信用保険公庫保険料引下げ等に関する陳情書  (第九六四号)  輸出入取引法改正に関する陳情書(第九六五号)  中小企業育成強化に関する陳情書(第九六六号)  小売商振興のための法律制定に関する陳情書外一件(第九六八号)  小売商業特別措置法制定促進に関する陳情書外二十件(第九六九号)  同(第一〇一一号)  国産車使用に関する陳情書(第九七〇号)  日本貿易振興会法成立に関する陳情書(第九七一号)  電気料金暫定措置延長等に関する陳情書(第九七八号)  東北の電気料金暫定措置延長等に関する陳情書(第九八〇号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  航空機工業振興法案内閣提出第一五三号)  水洗炭業に関する法律案楢橋渡君外二十六名提出衆法第一九号)  小売商業特別措置法案内閣提出、第二十六回国会閣法第一五七号)  商業調整法案水谷長三郎君外二十三名提出、第二十六回国会衆法第六号)      ――――◇―――――
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  航空機工業振興法案を議題とし、審査を進めます。  質疑を継続いたします。松平忠久君。
  3. 松平忠久

    松平委員 航空機工業振興法案について、今まで同僚各位質疑応答があったのですが、若干ダブる面もあると思いますけれども、関連していることについて、以下質問したいと思います。  まず第一に、質問したいと思いますことは、この法案自体は、民間航空機輸送機助成法案というような性質のものであるわけですが、この中でお伺いしたいのは、試作をしまして、適当なものができた場合においては、こ、れを量産するというのが、目標であると思いますし、また第十二条でしたか、助成規定もあるわけですが、一体当局は、日本航空の将来というものについて、つまり、航空機産業の将来というものについて、どういう一つ構想図を描いて、この法案をお出しになったのか。言葉をかえて言えば、三年後において、民間航空機は、大体どの程度需要があり、どの程度それに見合うだけの建設ということを考えておるか。さらに進んでは、その後五カ年くらいの計画を立てなければならぬと思うのですが、その際における、つまり、試作機の域を脱した後におけるところの国家の助成程度と申しますか、そういうものを、一応承わっておきたいと思うのです。
  4. 岩武照彦

    岩武政府委員 この航空機製造事業の現在は、御承知のように、軍用機生産あるいは修理がほとんど大部分でございます。ところが、御承知のように、軍用機の方は、発注されまする機数も、おのずから前途が見えており、新しく新型戦闘機等もきまりまして、これも大体二、三年くらいの生産期間しかないような状態で、あとは、もうできた飛行機修理ということしかない。従って、非常に仕事の量が減って参るわけです。ところが、他方、現在国内にあります民間輸送機現状を見ますと、日本航空ローカル線あたりにはDC3あるいは4といった機種をかなり使っている。それから全日本航空輸送の方も、DC3が一番多い機種であります。ところが、御承知のように、このDC3、4といった主力の輸送機種類は、現在ダグラス会社でも生産しておりません。従って、ある期間たてば、命数がきますが、そのときのあとがまがない。他方世界的に見ましても、プロペラ機よりも、むしろターボ・プロップというジェット機の系統に移行しておりますので、何かここで新しい機種を求めて、これをローカル線輸送に使うということが、必然的に必要になるわけです。  それからもう一つは、航空輸送人員の方を調べてみますと、世界各国ともに、大体年率二割近い上昇率でふえております。一割六、七分というのが、大体世界をならべての傾向でございますが、日本では、これが異常に高くふえております。一昨年と昨年と比較いたしますと、三割以上もふえているというような状況で、飛躍的に航空で用足しをする人員の数がふえつつあるようでございます。これは、国内のいろいろな地形の関係、他の交通機関関係もありますが、この傾向は、今後ますますふえるばかりである。  他方飛行場も、かなり昔の軍用飛行場を、農地等に返しておりますが、しかし、まだ要所々々には、相当残っている。この飛行場を、そのまま使う飛行機種類が望ましいわけになってきます。そういうことから考えまして、今後の航空機の中で、輸送機に対する需要は非常にふえて参るということは、必至でございます。これを、何かの形で外国から輸入するとなりますと、これは非常にもったいない話で、一機当り五十万ドルから七十万ドルぐらいするだろうと思っております。今申し上げましたローカル線の、今後の航空機需要考えてみますと、もうここ二、三年たちまして、三十七年あたりからあと四年間に、大体百機をこすのではないかと思っております。そういたしますれば、今申し上げました機数だけでも、もう五千万ドルから七千万ドル、これに部品を入れますと、まごまごすると一億ドルという外貨を使わざるを得なくなってくる。これは非常にもったいない話です。  他方国内航空機産業技術的なレベル、あるいは設備現状等考えてみますと、御承知のように、戦前は、日本でもかなり優秀な輸送機生産しておりました。MCとか、あるいはダグラスDC3も数百機それぞれ生産しておったわけで、その技術も残っておりますのに加えまして、戦後、軍用機の方の生産を通じまして、ジェット機あるいはそれに類しまする高速、高性能飛行機に対する生産加工技能等戦前に比べまして、はるかに上回って参った、従って、ある程度近代的な飛行機をものにするという素地は、実はできつつあるわけでございます。そこで、このふえまする国内輸送機に対しまする需要、向上して参った国内生産技術あるいは設備状況等から、この際こういうローカル線輸送を主体にした航空機生産を、ぜひ推進する必要があるというふうに考えておるわけであります。三十二年度予算から始めまして中型輸送機設計研究費補助という予算を計上して参っておりますのも、こういう航空事業の将来性に対しまする国の一つの方向であるわけでございます。  なお、この予算的措置をさらに強力に推進いたしますために、御審議を願っておりますような法案を用意したわけでございますが、この法案も、かなり簡単なものでございますが、先々の設計研究進行状況、ことに量産態勢に入りまする格好になりますれば、またこれに対しまして所要改正、あるいは補充が必要かと考えております。  お尋ねのありましたように、量産に人つたときに、どういう措置を講ずるかというお話でございますが、これは、分的確にこれこれをする予定だということを、明確にお約束する段階に、まだ入っておりませんけれども、一応考えられますのは、でき上った飛行機価格あるいは使用等に対しまして、ある程度国から積極的に使用を勧奨する、あるいは普及せしめることは当然でありますが、その機構あるいはその価格といたしまして、何らかこの機種採用に便利ならしめる措置は要るかと考えております。これが、積極的に補助金という形でありますか、あるいは輸入に対します関税あるいは外貨割当の制限という形でありますか、その辺は、もう少しでき上りまする飛行機価格なり性能状況を見きわめませんと、的確な見通しは立ちませんけれども、何らかそういうふうな積極、消極いずれかの方法で、国がせっかく力を入れて国産化いたしました飛行機採用普及につきましての措置は、十分要ると考えております。  それからなお、申しおくれましたが、東南アジア方面の現在就航しておりまする飛行機の現況を、種類別に申し上げますと、現在の東南アジアでの各国旅客輸送、ことに定期輸送でありますが、この機数は、大体現在三百機をこしておりまするが、その中で約半数、百六十機がDC3と4でございます。ことに、大部分DC3でございます。これは日本よりも、むしろもう少し徹底してダグラスを使っているわけであります。従いまして、この種の中型輸送機日本国産化ができまして、これがある程度性能競争力を持ちますれば、これは国内もさることながら、かなり輸出にもきくのではないかというふうに考えております。そういたしますと、これは、一つ輸出産業という面も出てくるのではないだろうかと思っております。そういう際には、輸出振興措置につきましても、またいろいろと格段の取扱いをしなければならぬだろうかというふうに考えております。
  5. 松平忠久

    松平委員 そこで、今度は具体的にお伺いしたいのですが、政府が必要な資金の確保に努めるという条項があるわけでありますが、これは三年後においてそういう状態が起ってくるのか、あるいは試作をしている間にも、そういうことが起ってくるのか。まずこの点を、簡単に一つ伺いたい。
  6. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは、試作をしている段階でも、起ってくるわけであります。御承知のように、国の補助金は、大体所要経費の半額でございますから、残り資金につきましては、やはり別の財団法人を作っておりますが、その構成会社から寄付するわけでございます。その寄付が容易にできまするように、金融上あるいは税制上の措置も要るかと考えております。それらにつきましても、及ばずながら努力したいと考えております。また、これが完成いたしましたあとは、もちろん開銀資金その他にたよりたいと考えております。
  7. 松平忠久

    松平委員 先ほどの御答弁の中に、三十六、七年度になると、大体百機近く民間航空機輸送機が要るだろうというお話がありましたが、その中には、軍用機というか、防衛庁で使う輸送機というものも入っているのかどうか。もし入っていないとすれば、一体防衛庁では、別にどの程度輸送機を買う計画があるのか、それを伺いたいと思います。
  8. 岩武照彦

    岩武政府委員 防衛庁輸送機というのは、C46という機種でございますが、これは現在たしか三十機余り持っているはずでございます。これもかなり古い型で、世界生産はやめているようでございますので、この代替機種の問題は、当然起りますが、これは一体どういうのを使いますか、まだ防衛庁代替計画がないようでございます。将来この中型輸送機量産が始まりまして、これを防衛庁輸送機に置きかえるというならば、あるいはこの機種採用することになるかと思います。先ほど申し上げました百機といいますのは、これは主として国内ローカル線需要、それから輸出の面を大体考えた筋でございます。防衛庁の方も、できれば使ってもらいたいと思いますが、これはまだ防衛庁側計画の問題もありますし、またでき上ります飛行機性能等が、向うで採用に適するかどうかという検討は、もう少しあと段階考えませんと、これは何機防衛庁で使うのだということは、まだ国としてきめる段階ではないようでございます。
  9. 松平忠久

    松平委員 その百機のうち、大体輸出にどの程度見込んでおられるのかということをお答え願った上に、さらにお伺いしたいのは、航空機というものは、第一、一機五、六十万ドルという場合において、エンジン部分と、今度日本で作ると予想されておる機体、それとの値段のパーセンテージのようなものは、どういうふうになっておるのかということを知りたいのです。  第二点は、飛行機墜落する場合の事故というものは、機体というものに何らか故障があって墜落する場合が多いのか、あるいはほとんどがエンジン故障ということで墜落するのか、この二つの点をお伺いします。
  10. 岩武照彦

    岩武政府委員 エンジン値段は先ほども申し上上げました程度の大きさの飛行機でございますれば、大体十万ドル程度でございます。申し上げました五十万ドル、七十万ドルといううちには、それが入った金額でございます。それから輸出の方の見通しでございますが、これはそのときの状況もございますから、はっきりと百機のうち幾らが輸出だということは、なかなかむずかしい問題でございますが、大体過半数国内ローカル線で使える。だから五、六十機からあるいは七十機見当——これは運輸省航空整備の方の計画とにらみ合せまして、大体過半数、つまり六割から、うまくいけば七割はこの機種が使えるのではないかと思います。残り輸出見当じゃないか、こういうふうに考えております。  それから、飛行機墜落事故お話でございます。これは、輸送機事故は、最近ほとんどございません。例の日航機が七年前に三原山に追突した事故、これはどうも操縦上の問題のように、われわれ聞いておるのでございます。あるいはお尋ねは、防衛庁機の方の問題かとも思いますが、これはいろいろな原因はあるようでございますが、おしなべて申しますと、やはり操縦関係した事柄の原因が多いようでございます。ただし、操縦と申しましても、そのときの天候の条件も入っておるようでございます。あるいは、管制状況も入っておるかとも思います。機体あるいはエンジンということに原因しました事故は、割合少いようでございます。ただ、機体エンジン等関係しました事故のうちでは、やはりエンジン関係の方が多いようでございます。それから機体の方では、足といいますか、離着陸するときのタイヤを出す装置の不円滑な操作等もあるようでございます。それからなお、落しましたが、昨年伊丹の飛行場輸送機事故がありましたが、これはエンジン関係事故のようであります。
  11. 松平忠久

    松平委員 少しこまかいことを伺うようですが、今、アメリカからいろいろな青写真を持ってきて、飛行機を作っておる。あれは全部英語で書いてあるように思うのですが、今度試作する日本試作機の場合は、一体言葉は何語を使う予定ですか。全部日本語採用するというお考えであるか、あるいは、もう日本語になっておる英語は、採用してもいいかもしらぬが、そこのところは、どういうふうに考えておるか、私は今の日本飛行機というものは、全部アメリカ式になってしまって、まるっきりもう飛行機に関する限りは、アメリカ植民地だと思うのです。だから、日本が独自にやっていくというなら、すべてもう、ほんとうに言葉から変えていく必要があるのではないか。さもなければ、この調子でいったら、労務者も、英語がわからなければ、航空会社では雇ってくれないのではないかと思うのです。そこはどういうふうに指導していこうとお考えになっておるか、それを伺いたい。
  12. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは実は工場生産管理の問題になりますので、役所の方でこういうことでということは、的確にはお答えがむずかしいかと思いますが、かなり日本語化した英語もあるわけでございます。「エンジン」「プロペラ」のごときは、もう日本語化しており、また「翼」とか「胴体」などということは、そのまま日本語を使っております。それで、現在でも、富士重工で国産化した中間ジェット練習機は、かなり日本語を使っております。今後できる中型輸送機も、工場生産管理その他から見ますれば、適当な部分ではやはり日本語を使い、また日本語化した英語は、適当に使ってけっこうだと思います。ただ輸出との関係もございますから、全部が全部、あまりかたい日本語でやりますと、かえって将来の発展の阻害にもなりますので、そこらあたりは、ある程度常識に即して指導するのが適当かと思います。
  13. 松平忠久

    松平委員 私はこういうことを聞いておるのです。日本飛行機墜落原因の大きな部分は、やはり英語を使っておるからだ、こういうことを言うのです。つまり航空管制にしても何にしても、英語でもってぺらぺらしゃべって、パイロットがわからぬ。こういうわけでもって、防衛庁なんか、やられておるところは非常に多い。この言葉は、私は、将来きわめて大事だと思う。それから、外国輸出するといっても、東南アジアでは英語を知っておる人ばかりではなくて、これは東南アジアの方では、インドネシア語とかインド語を使わなければいかぬと思う。そうなると、そこらのところの指導は、ただ単なる常識ではなくして、少し考えた方での常識にしてもらいたい、こういうふうに私は思うのです。  もう一つ、これに関連して伺いたいのは、飛行機を製作する場合だけでなくて、現在の航空管制は、運輸省所管だろうと思うのですが、あれはどうなっておりますか。基本語英語だけですか、それとも日本語を使ってもいいようになっておるのか。
  14. 岩武照彦

    岩武政府委員 今の生産段階お話の問題は、これは御意見はごもっともだと思っております。できますれば、そういう形で指導したいと思います。  それから管制の方の言葉でございますが、これは管制も、いろいろな段階があるようでありまして、日本の空に入ってくるときの、いわば第一次的な管制から、現実飛行場の離着陸に関しまする各飛行場管制もあるようであります。これが現在は、両方とも英語が使われております。それが、場合によっては、かなり操縦者の負担になって、あるいはそのために、かなり操縦者の訓練とかあるいは現実操縦に、いわば障害になっていることは事実のようでございます。いつからこれに日本語を併用することになりますか、これは運輸省当局にお聞きしませんとわかりませんが、ただ国際空港になりますると、各国飛行機も入ってくると思います。やはり一番わかりやすい英語が便利だということは、いわれておるようでございます。しかし、国際空港でない飛行場管制等は、これはまたそれぞれのやり方もあるかと存じます。具体的なことは、一つ運輸省に聞き合せた上で御返事したいと思います。
  15. 松平忠久

    松平委員 それから、十一条の、国有施設使用するという規定があるのですが、この場合「政令で定めるところにより、」というのだけれども、政令は、どういう政令一体予想されておるのか、構想があったら、伺いたいと思います。
  16. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは試作研究段階試験施設でありまして、主としましては風洞ジェットエンジン試験台でございます。現在、航空技術研究所、これは総理府の所管になっておりますが、ここにあります各種の風洞、これは一部は建設中であります。  それから運輸省研究所にありまする風洞、それから東大の航空研究所、これは昔の理工研でありますが、ここにあります。これはもっぱら研究用の小さな風洞であります。場合によりましては、ある種のものは防衛庁風洞あるいはエンジン試験台、こういうのを使うようなこともありますが、そういうものを具体的に並べるつもりであります。たとえば、何々試験所の何風洞、たとえば遷音速風洞であるとか、あるいは何とか風洞とかいうふうに、具体的に指定したいと考えております。
  17. 松平忠久

    松平委員 それから、もう一つ伺いたいのは、試作費補助金交付方法です。これは何々研究所というものに一括交付するようなお話だったのだが、それがまたその研究所からある特定会社ひもつきのような工合で配分されるということになるのか、この交付方法を、現在やっている方法と、将来どうするのかということをお伺いしたいと思います。
  18. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは現在、財団法人輸送機設計研究協会という団体を作っております。これに機体を作っております六社が参加しております。そして、そこで試験なり設計するテーマを、お互いに相談いたしましてきめまして、それのテーマごとに、各社の専門技術家が、いわば分科会といった形で参加いたしまして、研究やり方、それからできましたレポートの検討等を行うわけであります。具体的な研究はあるいはそのうちの特定の社の研究室でやることもございまするし、あるいは先ほど申しましたように、国の試験所施設を利用いたしまして、特定の社の設計研究部員が担当することもございます。そうしまして、そういう経費を、国があとで実績を精査いたしまして渡す、こういうことになっております。大体のねらいは、全体としましては半額前後になるわけでございます。従いまして、残る部分は、先ほど申しましたように、その研究に参加いたしております財団法人会員会社が分担することになっております。
  19. 松平忠久

    松平委員 そうすると、その配分権は、通産省にあるのか、あるいはその研究所にあるのか、そこはどういうふうに解釈したらよろしゅうございますか。
  20. 岩武照彦

    岩武政府委員 この財団法人に対します監督権といたしましては、毎年度当初に事業計画提出させまして、それに云々しかじかのテーマについて、どういうやり方で、どこで研究なりあるいは試作をやるということを記載させまして、それを役所検討の上、いいところがあれば抜き出すことになっております。それからなお、さらに具体的なやり方につきましては、技術委員会等もございますので、そこで相当に検討するのでございますが、そういうことを、もう少し公けの機関で公明にやった方がいいわけで、つまり、国の総力をあげましてやった方がいいわけでございます。そこで、今度の法律に、航空機工業審議会という審議会を設けまして、そこで学識経験者専門の方に公けに討検してもらいまして、研究テーマ、進め方あるいは結果の検討等を行なっていただく、こういう考えでおるわけであります。従って、通常の補助金適正化法とか、あるいは補助金交付の指令であります監督のほかに、もう少し技術的な見地も入れまして、いわば明るみに出して検討しようというのが、この法案審議会のねらいでございます。これによりまして、国として正式に権威ある方法でこの仕事を進めて参りたい、こういうわけでございます。
  21. 松平忠久

    松平委員 もう一つ、ついでに伺いたいのは、その場合、ちょっと今、私の質問に対して、ピントがはずれておるように思うのですが、この補助金を出す場合には、審議会に諮った上で、一括その研究所交付するということになるのか、もしくは審議会段階もしくは通産省で、これこれに幾ら、これこれに幾らというふうなテーマをきめてやるのか、そこはどういうふうなやり方になるのですか。
  22. 岩武照彦

    岩武政府委員 補助会の具体的な金額につきましては、この審議会等で検討いたしますのは、あるいはいささか不適当な点もあると思いますので、これは役所の事後の監督権で処理いたしたいと思っております。ただ、大別いたしましても、一種類試験あるいは研究ではございませんので、基本的な設計の研究もございましょうし、風洞試験もございましょうし、あるいは木型の試作等もございましょう。そういう大部門別の大ワクといったものにつきましては、これはあるいは審議会等で概定はした方がいいかと思っておりますが、これはもちろん概定でございます。具体的に補助金の金額を確定いたしますのは、これはあくまで行政の方の、つまりわれわれの方の精算払いのときにおきまして、証憑書類その他を精査いたしまして行いたい、こう考えております。
  23. 松平忠久

    松平委員 これは、この前同僚委員からも質問があったのですが、その試作品が軍用機に転用されるおそれがあるかどうか、これが一つ心配になっているわけです。そこで、これはもうあくまで民間航空機試作だという建前だと私は思うのですが、その点を、念のために伺っておきたいのだけれども、それらの、つまり監督と申しますか、補助金の使途が、軍用機の方の研究にも流用されるおそれがもしありとすれば、何かこれをチェックするようなことをお考えになっておるかどうか。
  24. 岩武照彦

    岩武政府委員 軍用機の方は、現在生産しておりますもの、あるいは将来生産いたしますものも、この輸送機みたいに、基本の設計から研究してかかるということは、もう日本ではやっておりませんで、でき上ったものを青写真でもらって、それを見ながら作ってしまう、あるいは組み立ててしまうというのが現状でございます。従って、木型の試作をするとかいうようなことは、軍用機ではほとんどない問題でございます。いわば軍用機の方では、アメリカでいろいろ試作研究したことを、この木型は一つ日本でやろう、それに対して国がめんどうを見るわけでございますので、おのずからテーマも違いますし、もう一つは、実際の仕組みといたしまして、各社の技術陣が集まりまして共同研究をやるわけでございますから、いわば相互の監視と申しますか、そういうものもありまして、それが軍用機関係した研究の費目に流れることは、事実問題として、ほかの社が許さぬだろうと思います。そういう形で、おのずからテーマが違うほかに、各社の、いわば相互牽制もきいておりますから、まずそのおそれは絶対にないと思っております。もう一つは、かりに軍用機ということがありましても、われわれの方で、どこの社で何をやるかということは、航空機会社も少いので、はっきりつかめますから、役所の方の監督権からしましても、その辺の区分を、はっきりさせることになりますし、また補助金の対象になります研究は、それに要しました証憑書類その他もちゃんと整備させますので、まず御懸念のようなことはないと考えております。
  25. 松平忠久

    松平委員 防衛庁担当の政府委員を呼んでもらいたいと思うのですが、多賀谷君が急いでおりますので、これで質問を留保しまして、ここで洗炭の方を議題にしてもらいたいと思います。     —————————————
  26. 小平久雄

    小平委員長 次に、水洗炭業に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川四、郎君。
  27. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 非常に明文化された法案でございますが、二、三承わっておきたいと思います。提案者に御質問申し上げます。  水洗炭事業の実情等について、お伺いするのですが、水洗炭事業というものは、本法律案の第二条の定義によりますと、ボタを水洗して石炭を採取する事業及び石炭を水洗いする事業となっております。ボタを水洗いして石炭を採取するものと、石炭を水洗いするものと、二つを水洗炭業と言うことの内容を、まず一点、承わってみたいと思います。
  28. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 御答弁申し上上げます。ボタを水洗いすることにより石炭を採取する事業と、石炭を水洗いする事業との差異でございますが、これは、一回抗内から採掘いたしましたのを廃石として堆積しておく、これをボタといいます。それを、あらためて石炭を採取するために水洗いをする事業、これは前者の方であります。後者の方は、山元から直接に原炭そのものをその事業場に持っていきまして選別する、こういう事業であります。でありますから、後者の方は、どちらかといえば、普通選炭機にかけて選別するのを、そのまま原炭を持ってきて、水洗いという原始的な方法によって選別する、こういう式のものであります。
  29. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 現にそのような種類のものが、御地の方というか、福岡県にあるというのでありますが、現実に山から川まで運んできて、水洗いをしておる事業をなしておる者がありますか。
  30. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 品位の悪い場合には、そのままでは、原炭としても売れません。それかといって、選炭設備をするだけの余裕がないという場合には、水洗いの方式で、きわめて原始的ではありますけれども行なっておる。  それから、その採掘する業者と水洗いする業者は、必ずしも一致していない、ほとんど別でありますが、その採掘する業者の一部を請け負って、水洗いしておるという場合もあるわけであります。
  31. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ボタから石炭を採取する場合、その歩どまりは、大体二割ぐらいと聞いておりましたが、このように歩どまりの悪い水洗炭業に、このような法律を施行した場合、果して事業が健全化するという御自信があるかどうか。私は、かえって事業というものがやりにくくなったり、つぶれるものが出てきはしないかと思うのですが、その点についての見通しは、いかがでございましょうか。
  32. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この法案は、事業そのものを規制する法案ではないわけです。その点につきましては、たとえば、今度合理化法の一部改正で、坑口開設の許可が延長されましたが、これはいわば事業を規制するのであります。ところが、ここに出しておりますのは、事業そのものを規制するのではなくて、その作業方法を規制するということと、それから賠償を明確にして、被害者の保護をするというのが目的でございまして、事業そのものを規制するわけではございませんから、それに基いて、直ちに失業者が出るというわけではございません。しかしながら、御説のように、法が要求しております施設あるいは賠償そのままを払えば、採算がとれないではないかという点は、確かに憂慮される面でございますけれども、それらの施設につきましては、融資のあっせん等、いろいろ方法を講じまして、そうして行政のよろしきを得れば、そう失業者が出ないのではないか、こういうように考えるわけであります。たとえば、今、ある河川で作業を行なっておりますのを、この事業所では、とてもたんぼに水を流したり、あるいは土砂を流す。だから、位置を変えろ、こういうように位置の変更を指示いたしますと、それによって被害が著しくなくなる。こういう面も出ておりますので、行政さえよろしければ、それほど失業者は出ないのではないだろうか、かように考えております。
  33. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ただいまの御説明を承わりますと、少し相違がありませんか。事業というものを規制するのではないのだ、その方法を規制するのだというお話でございます。そうすると、法律そのものに間違いがないかどうか。つまり、ボタというものの水洗をするという事業そのものに対しての規制だけであって、提案者の御説明に間違いはありませんか。
  34. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 第一に目的に書いておりますように、「その作業方法の規制等」と、こういうことでございまして、むしろ事業の絶対量を少くするという意味ではありません。作業方法を規制する、こういう意味でございます。
  35. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 これは、非常に議論の多いところだと思う。私たちは、よく現場を見ておりませんから、わかりませんが、いずれにしても、これはどうしても河川を利用して事業を営まなければならない業だと私は思う。方法ということになると、よくあなた方、提案者の方がおっしゃる、零細な人たちが相寄り相集まってだと私は思うのだが、一つの鉱業権を持つことのできない人たちが、つまり零細な人が、このような事業をやっておるのだと思う。事業というか、営業といおうか、側かやっておるのだと思うのだが、そうなってくると、その事業の方法というだけでは、ちょっと考えられないのじゃないかと思う。従って、この提案者には、社会党の方もたくさんおりますが、こうなってきたときに、これを強く規制をされまして失業者が出てきた場合、あなた方がまた旗振りをして、政府云々というようなことは、これにはございませんか、どうでしょうか。
  36. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 事業の規制と作業方法の規制といいますと、言葉の違いもありますが、また定義の仕方もいろいろあると思いますけれども、私たちが考えておりますのは、たとえば石炭合理化法のように、採算のとれない炭鉱は規制するのだ、こういう意味ではありません。採算がとれさえすれば、この洗い炭というのは、どんどん伸びていくわけでありまして、そういう意味の規制はないわけです。ですから、石炭行政そのものからいって、規制はないわけです。ただ、作業方法を規制する、こういう意味で使ったわけでございます。  それから労働行政の面でございますけれども、若干あるいは失業者になるという状態も起らないとも限りませんけれども、今、申しましたように、行政のよろしきを得るということと、もう一つは労働行政から見ますと、これらの労働者は、不完全就業者でありまして、むしろ、今政府が言っております就労を完全化するという面からいきますと、貢献するのではないか、かように考えます。たとえば、基準監督署なんかが調査あるいは監督に参りましても、いつ始まったともなく、またいつ終ったともなく消えてなくなっておる。そこでなかなか監督が行き届かない。そこで、そういう面からいいますと、登録制等を設けまして、そうして雇用条件、労働条件を改善するという意味におきましても、この法案は、労働行政からいいましても、一歩前進ではないか、われわれはこういうように考えております。
  37. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 解散も近いことは御承知の通りであり、次期政権を担当するのも、責任ある政党として、われわれが責任ある政治を行わなければならない。そのときに当って、かくのごとき種類のものから失業云々ということに対して、議会の問題等になってはならない問題だ。その点を、私は念を押しておくわけであります。次に移ります。本法案の第四章の賠償に関する規定であります。第十六条以下の賠償規定では、水洗炭業者の賠償責任を、鉱業法上の鉱業権者に準じて、無過失賠償主義をとっておりますが、鉱業権というような権利のない水洗炭業者に、このような業務を課するのは、まことに私は酷ではないか、こういうふうに考えられます。このような義務を課した法理論的根拠について、法律専門のあなたに承わりたいのですが、こういう法理論としての根拠を承わりたい。さらに、これに続きまして政府から承わりたいことは、第四章の規定についての意見をお聞かせ願いたい。
  38. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 鉱業法の鉱害賠償規定が、いわゆる無過失賠償責任といいますか、絶対責任を負わしているゆえんのものは、これは鉱業権があるから、権利があるからその代償として負わしているというものではないと思います。これはやはり民法の不法行為論では救済できないから、しかも被害が著しいから、こういう絶対責任を負わしているのだろうと思います。そういう点から考えて参りますと、この水洗炭業と鉱業とは、どう違うかといいますれば、いわば水洗炭業というものは、広い意味の鉱業の関連事業でございます。ところが、この水洗炭業というのは、鉱業法の外にある。さらにまた、鉱山保安法の外にあるわけであります。ですから、いわば鉱業法、鉱山保安法の中の精神を、必要最小限度に取り入れたわけであります。そういう意味におきまして、この十六条の規定を入れたわけでありますが、鉱業の場合と違うのは土地の掘さくによる陥落という事実がほとんどないということと、鉱煙の排出ということがない、こういう点が違うだけでありまして、ほかは賠償義務を規定しております鉱業法の百九条の事由と、何ら相違はないわけであります。そういう意味から言いましても、鉱業法では賠償責任があるけれども、水洗炭業法にはそれらの責任がないということは、被害者の立場からいいましても、法の不均衡であると考えまして、こういう規定を置いたわけでございます。
  39. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 第四章の賠償に関しますところの御質問にお答え申し上げます。水洗炭業者というような非常に零細な業者に対しまして、鉱業法上の無過失賠償責任を課することは、酷ではないかという御意見でございますが、確かに、そういう面も考えなければならないと存じますけれども、純粋に法律の問題として考えました場合に、今回提案されました法律の中で、鉱業法から外へ出ているもの、言いかえますと、鉱業法では規定してなくて、この法律で新しく規定されているものは、ボタの採取に対する賠償責任と、いま一つは都道府県知事が紛争のあっせんをする、この二つの規定が新しくこの法律によって加えられている  点でございます。一般的に申しまして、一つの行為に対しまして無過失賠償責任を課することが、適当であるかどうかということは、その行われます行為による損害の影響とか、その他の事情を考えまして、その損害の公平妥当な負担の分配をはかるという観点から考慮すべき一つの立法政策上の問題でありますので、ただ一がいに、無過失賠償責任を課することがいいかどうか、これは一般的には問題であろうと思いますが、水洗炭業者がボ夕山をくずしまして、その崩壊に基いて被害を引き起す場合を考えますと、これに対する措置として、ボタの採取行為につきましても、鉱業法からさらに一歩を出まして、無過失賠償責任を課するということは、一つ方法として考えられることではないか、こういうように存じます。
  40. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 水洗炭業者が、他人に大きな迷惑をかけるのであるならば、もっと正面から、はっきりと強い規制を加えればよいと私は思う。そこ  で、この種のことをおやりになっている県は、福岡県だけか。それとも、他の鉱業県に、かくのごとき事態があるかどうかということを、まず承わりた  い。   その次に、提案者にお伺いをするの  ですが、第一条では、水洗炭業の健全なる運営を確保してやるのだと規定し  ておきながら、一方において、どうも水洗炭業者が実質的にやれないような規定のようにも、私は考えるのです  が、事のよしあしということは別として、いささかどうも提案者の意図には少しずるい点がありはしないか、こう  いうふうにも考えます。もし、あたたかいものの見方をしてやるというのであるならば、すなわち、第十六条の第一号のボタの採取による損害も、無過失賠償責任にするということは、どうもひど過ぎる規定のように思いますがいかがですか。この辺のところの、提案者と政府の見解を、一つはっきりしておいてもらいたいと思うのです。
  41. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先ほど石炭局長より、鉱業法百九条よりはみ出た点はボタの採取の点だ、こういうお話がありましたが、私は必ずしもそうではないと思うのです。と申しますのは「捨石若しくは鉱さいのたい積」というのがあります。要するに、捨石を堆積する、これは無過失賠償責任の範囲だ、こういうのがある。ところが、これによって生ずる損害は、どういうことかといいますと、これはくずれて落ちるという行為であります。それによって被害が起きるわけであります。ところが、ボタをとることによって、くずしながら被害が起るというのと、被害から見ますと同じことなのであります。ただ、鉱業権者の場合は、ボタの採取という仕事がございませんから、比較的こういう事案が起らないのですが、ボタを堆積しておるのを取りくずすときの被害というものは、同じものでありまして、私たちは鉱業法から出ておるものではない、かように確信をしておるわけであります。
  42. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 全然異なった意見とは、私、存じませんが、少し窮屈な解釈をいたしますと、ただいまの捨石の堆積に該当いたしますのは、第十六条の第三号にあります「排出される土砂のたい積」が、これに該当すると考えられます。従って、ボタの採取というものは、鉱業法上の無過失賠償責任の中に、完全に含まれているというようには、解釈できないのではないかということを申し上げた次第でございます。しかしながら、今、多賀谷委員お話がございましたように、起っております被害の影響の態様といたしましては、同じものが起ってくるということは、私ども同じ意見であります。  それから、いま一つお尋ねの、この問題は福岡県だけの問題か、あるいはそれ以外の地域にもあるかというお尋ねでございますが、この福岡県以外のものにつきましては、佐賀県にございます。また、若干長崎県の方にもございます。それで、私どもの方で、昨年七月に、福岡県を対象として調べたのでございますが、その場合に、福岡県には業者の数が約五百五十、従業員数が約六千五百名前後、それによって水洗炭として出ておりますものが、毎月五万トンないし六万トン程度である、こういうふうに私どもの調査ではなっております。
  43. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 私は、先ほども申し上げて、くどいようですが、今お聞きしますと、大体従業者六千五百名というのですが、私は、別に福岡県の方の事情もよく知りません。いずれにしても、石炭と炭鉱については、あなたが一番御専門家であり、従って、法的にも最も詳しいお方でありまして、私たちは最も崇拝し尊敬をしておるのでございます。でありますから、間違いはないと思うのですけれども、いつもあなた方がおっしゃるように、失業問題等については、常に考慮し、われわれも考慮しておるけれども、行き足らない点があった場合には、常におしかりをこうむっておるのでございますから、その点だけは、重ねて一つ間違いのないように、政府の施策が悪かったから失業者群が出たのだということのないように、一つ御言明を願わなければならぬ。これなんです、私の一番心配するところは。そういう点からいくと、まだ納得のいかない、少し不可解な点もありますが、次に移ります。  第二章の、登録制度に関する規定について伺うわけですが、本法案が公布されますと、水洗炭業を営む者は、都道府県知事に登録の申請をして、登録を受けなければなりませんが、第七条の規定を見ますと、本法案は、一応表面は登録制度をとっておりますが、実質的には許可制と同じようになっているのではないかと思うが、その点はいかがでしょうか。私は、第七条の規定を少し強化すれば、事業の健全化どころか、実質的に水洗炭事業というものは、ほとんどできなくなると思うのですが、提案者の御意見をお伺いいたします。
  44. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 第七条の登録の拒否を厳格に行うときには、これはいわば事業を廃止しなければならない、こういう御心配があると思います。今申しましたように、水洗炭業というのを、全然法律のワク外に置いているというところに、大体問題があるわけです。それで、今、規制法案か、あるいは保護育成法案かということをおっしゃいましたけれども、むしろ日本の石炭政策がどちらにいっておるかということの方が、より問題でありまして、一体日本の石炭政策において、こういう低品位炭利用という問題、ことに最近のごとく電力用炭の需要が拡大いたしまして、低品位炭でもよいという状態になってきました場合において、いつまでも法のワク外に置いておくことがいいかどうかという点にも、やはり問題があると思います。そこで、私たちは、これらの業者は、やはり法の範囲内に置くことが必要ではないか、こういうように考えており、融資等のあっせんの条項も入れたわけであります。そこで、御心配の点は、確かにあると思いますけれども、一応これに対する指導を行い、あるいは第四条の一項四号、五号に書いてございますが、水洗施設あるいは沈澱池その他の防止施設、こういうものが十分処置ができるならば、あるいは河川に臨むところの作業場の位置を十分考慮されるならば、比較的被害は防止できる、かように考えておるわけであります。でありますから、業者の方が、位置とそういう施設さえできれば、登録の拒否ということは、ほとんど行われないだろう、かように確信しておるわけであります。
  45. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 日本のエネルギー体系、構造につきましても、そういう点から考えて参りますと、全くお説ごもっともだと考えられます。しかし、生産の面、消費の面、そういうような点につきまして、常に苦慮しておることは、政治は、一つの体系づけた方法考えてみましても、なかなかそれにマッチした現実の政治が行われておらないということは、御承知の通りであります。しかし、お互いわれわれは、常に現実とマッチした高能率の問題のエネルギーに対しましても、常にそれらの点については考えておるけれども、その一方において、これを体系化していこうというところに、常に矛盾というものが現われてきております。こういう矛盾の中に入って、いかにアジャストしていくかということが、われわれが苦労しているところなのであります。でありますから、私はこれについて、その点も十分にお考えになっておられる点だと考えます。  次に移ります。私が考えてみると申し上げた通りでありまして、水洗炭業者の規制に関する法律のように、おそらく提案者も、規制法と事業法とのチャンポンだというような今の御答弁であったと思います。規制する方がよいのならば、もっと堂々とそういう見解を発表して、目的に対してやっていかなければならない、こういうふうに私は考える。それは日本のエネルギー全般の上になり、石炭の生産国内のにらみ合せ、こういう上に立って堂々とやっていっても、決して差しつかえない。またあなたがおっしゃるように、反面には、この人たちに融資のワクも開いておるというお話でございますけれども、融資をしたからといって、零細なものは、融資によって私は生きられる道があるとは信じません。業者というものは、金を貸したから、生きられるのではなく、金を貸したから、この不況そのものが打開できるものではないと思うのです。要は、この人たちは、今後、たとえばこれができなくなった場合には他に転業するのが当然だと私は考えます。であるから、その当然であるのに対するあなた方のあたたかい指導、それ以上の指導を、私は望んでやまないわけでございます。私は現地へ行ってみなくても、これによって、河川というものがいかなる程度になっておるかということは、想像がつきます。申し上げるまでもなく、全量の二割は、つまりその目的とするものが出てこないのでございます。八割は河川に流されるということになれば、おそらく河川というものは、今日もう相当に埋め尽されて、そうしてそれによる水害、被害は、私は想像できると思います。決して、私はこの法案そのものに対して云々でなく、申し上げたような点に、十分御考慮を願わなければならない、こう考えるのであります。  もう一点承わらなければならない点は、正誤の件でございますけれども、正誤がこれだけ出た法案というのは私は今日まで見たことがない。しかも、これだけ短かい法案で。さらに、その中には、正誤として認めることのできないものもありはしないだろうか。今国会冒頭における大蔵大臣の正誤においてさえも、国会が二日間麻痺状態になったことは御承知の通りと思う。こういう点について、提案者はどういうふうにお考えになっておられるか。正誤というものは、まさに世の中にはあるべきものであると私は考える。なくてはならない。けれども、事例がありますので、そういう事例についても、あなたのお考え一つお述べ願いたいと思います。
  46. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 正誤表の前に、一言申し上げておきますが、私たちは、水洗炭業に関する法律案として、この法案に実は満足しておるわけではありません。なぜかと申しますと、こういった水洗炭業を、今後のあり方として、いかにして持っていくかという点については、いろいろ議論があります。合理化法の線からいいまして、非常に採算の悪いものは、石炭は規制すべきだという観念からいいますならば、むしろ洗炭業法の規制、こういうふうに打ち出すべきでありましょう。また低品位炭活用とか、あるいはまた国家資源の愛護という面からいいますと、あるいはまた増産態勢という面から考えますと、むしろこれは助長政策をとるべきだ、こういうように考えられるわけであります。しかし、まだ今これらのものに対する政府の確たる対策がございませんので、とりあえずこの程度法案にいたしたわけでございまして、まあこのまま放置するわけには参りませんから、とりあえずこの程度法案にいたしたということを御了承願いたいと思います。  それから、正誤の件ですが、実はこれは法制局当局、しかも参議院の法制局が原案を作りましたのを、衆議院の法制局へ持っていったということと、忙しさということで、まことに申しわけないことをしたわけであります。しかし、この正誤表をよく見ますと、実は正誤でなくて、修正ではないかというような点がございますけれども、ほかの方では修正になっておるのですが、条文整理上、その個所だけが訂正できてない、こういうような点がほとんどでございまして、御了承願いたいと思います。
  47. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 法案なんてものは、大体役人が法案を作るものじゃなくて、われわれの手によって作らなければならないのが、おそらく国会の原則である。しかし、そういう点について云々申し上げるものではありません。  私も、もう少しお聞きしたい点も二、三あるわけでございますが、一応この点で打ち切っておきまして、以下、次に質問を許していただいて、逐条的にもう少しやってみたいと考えるのであります。
  48. 小平久雄

    小平委員長 齋藤憲三君。
  49. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私は、よくこの法律はわかりませんが、とにかく賛成、反対を決定しなければならない立場にありますので、二、三、この水洗炭業に関する法律案について、概括的に御質問申し上げたいと思うのであります。あるいは提案者の御答弁を得る必要がなく、政府当局の御答弁を得る方がいいのかもしれません。どちらへ参りますかわかりませんが、適当に御回答を願いたいと思うのであります。  第一にお伺いいたしたいのは、私は石炭地区でありませんので、石炭の加工業というものには、ほとんど認識も経験もございませんので、幼稚な質問になるかもしれませんが、ボ夕山というものの鉱業法的な観念というものは、一体どういうものか。これは鉱業法に規定された鉱物として取り扱うのか、またはそうでないのか、どちらでありますか。
  50. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 ボ夕山は、鉱業法上の鉱物には含まれないわけでございますが、その点につきまして、先般、地すべり防止法が審議されました際に、建設委員会でも、しばしばその法律上の性格の御質問を受けたのであります。ただいままでの政府の有権的な解釈といたしましては、あくまでボ夕山そのものは一つの動産である。従って、ボ夕山だけを分離して、それを譲渡その他の行為の対象とすることができる、こういうふうに現在までの解釈はなっております。
  51. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 そうしますと、ボ夕山はやはり坑口から搬出をした加工業者の所有する動産であるのですか。
  52. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 鉱業権者が、まだ現実にそのボ夕山を完全に自己の所有として管理しております場合には、これは鉱業権者のものでございます。しかしながら、鉱業権者の所有から離れまして、それが独立の売買あるいは譲渡の対象となった場合には、これを加工しておりまする業者の責任において管理されるものと考えます。
  53. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 そうしますと、ただいま福岡県、佐賀県等にありますボタ山というものの所有権は、一体どうなっておりますか。
  54. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 これは、そのそれぞれの処分が、どういうふうにされておるかということによって、その所有権あるいはその管理権が、鉱業権者に属しておるか、あるいは加工業者に属しておるか、二つに分れております。さらにまた、全然管理者不明のものが存在するわけであります。管理者不明のボ夕山について、それから発生してくる災害を防止するために、この国会で、地すべり防止法をお通しになったわけでありますが、それ以外の管理者が明らかなものにつきましては、それぞれその態様に従いまして、鉱業権者が責任を持つか、あるいは加工権者が責任を持つか、その二つの態様に福岡県、佐賀県のものも分れております。
  55. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 鉱業法によりますと、法定鉱物を採取する権利というものは、鉱業法によって規定されておって、その鉱業法に規定されておるところの法定鉱物以外のものが、ズリまたはその他の形において廃棄せられた場合は、これは国家の所有に帰属すると考える方が適当なのじゃないか。だから、所有権がないということはないので、それはボタ山が加工業者の権利以外に、なった場合には、これはもとの国有に帰る。そうすると、これを掘るということは、採石法か何かでもってやらなければ、それに手をかけるわけにいかないというのが、法的な考えのように、ちょっと今考えると、そう思うのですが、これに対して、当局はどうですか。
  56. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 旧鉱業法におきましては、未開発の鉱物は国の所有とするという規定がございました。これは現在の鉱業法では、削られておるわけでありますが、このボ夕山の所有、つまりボ夕山に対します加工業者あるいは鉱業権者が、その管理権を放棄しております場合は、直ちに国の所有に属するかどうかという点は、ボ夕山は、あくまで動産でございまして、動産であるという意味におきまして、管理権を放棄したために、それが直ちに国の所有になるということにはならないと思います。
  57. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これは本法律案で、根本的に審議する問題であるかどうか、わかりませんが、とにかく鉱業法に規定されておるところのものは法定鉱物を採取するところの権利である、これは明白であります。それでありますから、ズリというものは、鉱業権者がそのズリに対して価値を認める場合は、自分が金をかけて掘ったのであるから、これは自分の動産として所有することができるかもしれない。しかし、これは自分の所有でないとして放棄したものは——もともと国有地を、国家から与えられた権利によって、法定鉱物を採取するという建前でそれを採取するのであるから、これは不要なものであるとして所有権を放棄すれば、その所有権というのは、国に帰るのは当りまえだと私は思う。もともと国のものなのだから。それが、今度うず高く積み上げられておるということは、所有権のないものは、当然国家が管理せらるべきものであって、それを掘る場合はそれは当然他の法律によって掘るべきものであるということよりも、採石法か何かの法律によって掘るのか、私は当然じゃないかと思うのですか、わからなければ、あとで調べて答弁されてもいいですが、もう一度その点を……。
  58. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 ボ夕山が、管理権が放棄されまして、相当古い年数がたちますと、土地と附合して一体となる場合がございます。この土地と附合して一体となりました場合には、これは鉱物とみなして、鉱業法の適用を受けるわけであります。それ以外の、三十年も四十年もたちまして、やはり土地と一体となって、もう全然がけのような形になってしまう、そういうものを掘ります場合には、一面において地すべり防止法の適用を受けますけれども、やはりこれは土石採取法なり何なり、そういうものの法律規定によって、採取の権利というものが規制さるべきものである、こう考えます。
  59. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 ちょっとわからぬが、他の鉱山においては、ズリの中に入っておるところの法定鉱物を採取する場合には、やはりそれは法定鉱物中に指定せられたところの鉱物として、採取権を指定しなければやれないはずだ。それとボ夕山との関連性は、どういうふうになっておるのか。
  60. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 ただいま申し上げましたように、鉱業法第三条の第二項に、土地と附合して一体となりました場合には、これは法定鉱物として、鉱業法の適用を受けるとあるわけです。従って、鉱業法による許可がなければ、これが採取できないわけであります。しかしながら、土地と附合して一体となっておりません場合には、これは動産として、すなわち、自由に処分ができるという建前で、これまでの法制局との話し合いでは、そういうふうな解釈になっております。
  61. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 まだ納得いきませんから、私もこの次まで調べてきます。  それから、なお、お伺いいたしたいと思うのですが、この水洗炭業に関する法律案の提案説明を、私、出席いたしませんで、伺うことができませんでしたが、大体この水洗炭業に関する法案提出の趣旨は、水洗によって微粉炭の回収その他の石炭を回収することができるということと、従来、ボ夕山がどんどん法律なしにくずされていくというと被害が起きるということ、そういう点を加味して、これを法制化して損害を防ぐと同時に、規律ある法律下におきまして低品位炭を回収する、こういう建前の法律だと思うのですが、提案者はいかがでありますか。
  62. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その通りであります。
  63. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これは、私の調べが正確であるかどうかはわかりませんが、今日の日本における坑口出炭というものは、石炭に換算して七千二百万トンある。カロリーは平均でもって四千六百カロリー、それが昭和三十一年度の坑口出炭量であります。それが商品的には、幾らに石炭が踏まれておるかというと、わずか四千八百万トン。膨大なものが、ボ夕山か、あるいは水洗によって流亡している。これは、水洗炭に関する法律というものが出てきましたから云々するのではありませんが、従来から、昭和三十一年坑口出炭七千三百万トンが、商品化されておるのが、わずかに四千八百万トン。そうすると、大体二千五百万トンというものが微粉炭として流れておるか、ボタ山の中に積み込まれてしまっている。今、長谷川委員からも御質問がございましたが、炭主油従という言葉が出てきたことですね、石炭の増産というものを積極化する、そういうことで、この間も石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案というものがここで可決された。その合理化臨時措置法の一部改正を見ますと、いわゆる採掘鉱区に規制を加えるという鉱業法の根本をゆすぶるような臨時措置法まで出てきている。これは、まあ私も必要なことだから、目をつぶった方がいいと考えて、目をつぶったのですが、いやしくも臨時措置法でもって、鉱業法の根本をゆすぶるような規定をするということは、重大問題です。しかも、今、提案の説明に当っている多賀谷委員の質問に対しましては、通産大臣は、そういうことをも加味して、根本的に鉱業法を改正するという意味の答弁があったように、私は記憶しておるのですが、そういうことを聞くと、これは私、ずいぶん大きな問題だと思う。それは、今問題でありませんけれども、まあ後日の問題に譲りますが、そういうふうに考えますと、この水洗ということは、単に六千人や七千人の零細加工業者を相手にして、論議すべきところの問題ではなくして、もっと国家的に見て、これは非常に重大な問題だと私は思う。しかし、法律案は、そういう臨時的に、今、零細者がいろいろむちゃなことをやる。ボタ山がくずれるのもとんちゃくなく、どこに被害が及ぶのもとんちゃくなく、どんどん自分の生活のために水洗業をやる。これは危険であるから、法律をもって取り締ろうというのであれば、一応私は、この法律に対して納得することはできる。しかし、こういうことによって、その坑口出炭の四割にも及ぶような流亡低品位炭、あるいは微粉炭に対しては、何らの措置をも当局は講じないということであったならば、私らは、こういう法律よりも、もっと根本的な法律を出してもらいたい。こういうふうに考えるのでありますが、そういうところに対して、一体当局はどう考えるのでありますか。
  64. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 エネルギーの根本的な対策として、ただいまの齋藤委員の御指摘は、私ども全然同じように考えております。言いかえますと、年々膨大なエネルギーが逃げていっておる。この逃げていっておるところのエネルギーを集約いたしまして、これをほんとうに国の経済に役に立つような方向に持っていくということは、きわめて肝要だと思います。これは、単に一水洗炭業者を取り締るとかいうような問題よりも、もう一段これを建設的に持っていく大きな問題だと考えております。ただ、残念ながら、これまで精炭として指定統計の上に現われている以外に、今申し上げましたような、相当膨大な分量が捨てられておりますが、全部が全部捨てられておるわけではございませんで、その中で、いわゆる雑炭として、業者が現に売っておるものも、含まれておるわけでございます。しかしながら、その残余のものは、川に流れるか、あるいはボタ山に積まれておるという現状でございます。これを、一体どういうふうに利用していくかという問題でありますが、これは、いわゆる未利用資源を、いかに有効に使っていくかという問題でございまして、これに対して、今まで適当な手が打たれてこなかったのは、それを消費するところの部門で、なかなか大口な需要というものが出てこなかったわけです。しかしながら、最近の傾向といたしましては、低品位炭を使います発電というものが、非常に伸びて参っております。そしてまた、相当大きな計画が、九州地区におきましても、今計画されておるわけでございまして、そういう意味においても、微粉炭の回収、また非常に将来の膨大な計画になりますけれども、極端な場合には遠賀川の中にためられておるところの未利用資源というものを、全面的に利用いたしまして、これを大きく低品位炭の発電と結びつけていくというふうな構想も、今研究中でございまして、さしあたっては、たとえば、日本炭鉱がやっておりますように、日本炭鉱の低品位炭と三池の炭とを混炭いたしまして、これを中部電力、あるいは九州電力に売っておる、こういう方向をどんどん進めていきたいと思います。また最近におきます沈澱バッグから微粉炭の回収、それからフローテーション、それ以外に超音波によります微粉炭の回収の技術が、非常に進んで参ってきております。これが工業的に完全に実施されます場合には、画期的な考案だ、こういうふうに考えております。
  65. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 実は政府がとっております昭和五十年度の石炭需要見込みにおきましても、あるいは供給の見通しにおきましても、精炭が七千二百万トンのほかに、雑炭八百万トンを加えておるわけです。そこで八百万トンが、全部は水洗という形で出てこないと思いますが、かなり大きな部面を占めておるのではないか、かように思うわけであります。  さらにまた、これは零細企業の形態でなくて、最近はだんだん大規模な形態になってきておる。ことに子会社等を設けて、水洗専門にやらせておるという炭鉱も出てきたわけであります。そこで、こういった火力用炭の石炭が、低品位でも間に合うというような状態、あるいは低品位炭利用というような状態になりますと、やはりこういったものを、法の外に置くということは、石炭政策上も、よくないのではないか。むしろ、法の中に入れて保護し、あるいはまた調整していくという必要があるのではなかろうか、われわれはこう考えておるわけであります。しか関し、そこまで政府の方がまだ踏み切っておられませんので、われわれは、とりあえずこの法案を出した、こういう経緯でございます。
  66. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 御提案の趣旨は、よくわかりました。  そこで、一問だけ、最後に政府当局に申し上げて、御回答を得ておきたいと思いますが、水洗によるボタ山の整理その他の水洗炭業法律というものに、どれだけの希望をつなぎ得るかという問題でございます。これはおそらく、私はよくわかりませんが、ボタ山を水でそのまま洗ったのでは、微粉炭は水と一緒に流亡してしまう。結局ボタをクラッシュして、そうしてボタ山の中に含まれておるところの低品位炭をとる。そういうことになりますと、ボタ山を粉砕する、そうして水で洗う。その水の中に含まれるところの石炭以外のものによっての河川の悪影響というものは、おびただしい状態になっていくのではないか。そういうものに対する補償その他の危険防止の責任というものは、一体どこが負うのでありますか。
  67. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 ただいまお話しのように、一番大きな災害というものは、水質を汚濁していくということが、非常に大きな問題でございます。さらに、もう一歩手前に、これも今お示しがございましたように、クラッシュすることによって崩壊して参ります。崩壊によるいろいろな災害の発生、この二つの点が、ボタ山に関連します災害の大きなものでございますが、その場合に、水洗微粉炭の回収あるいはボタ山からの採取、そういうものを鉱業権者の責任においてやっておる場合には、それによって生じて参る鉱害は、鉱業権者の責任でございます。さらに、鉱業権者の許可を得ない、全然無許可でもって、鉱業権者との契約がなしに勝手にボタ山からこれを採取して水洗いするという場合には、これは当然水洗炭をやっておりますその業者の責任でございます。従って、それに対する鉱害等につきましては、それぞれの鉱業権者あるいは加工業者のいずれかがその責任を持たなければならぬ、こう考えております。
  68. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私も、突然で、よく自分の考え方がまとまらぬのですが、ボタ山というものは、非常に膨大なものである。それが、もしクラッシュして、水洗をやって、その石炭の回収が採算的に合うということになると、これは大規模でやられるわけです。当然そう考えなければならぬ。今度は法律規定によって、五十万円以内の保証金を積んでどんどんやる。そのときに、クラッシュして水洗をやる。その水の中に含まれるところの岩石の状態というものは、これは混濁した水では、自然に沈滞していくわけです。その水が非常に多くなると、河川の底が上ってくるわけです。そういうものに対しての危険防止というものは、一体どこでやることになるのですか。
  69. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 河川に対します被害の大きなものは、ただいま申し上げましたように、第一に水質を汚濁する問題でございます。この水質汚濁につきましては、目下、別途御相談を申し上げております。水質汚濁防止法によります基準というものがきめられて、今後、水質を汚濁するものに対する措置が打たれる、こう考えております。  もう一つの、河川の底がどんどん上ってくるという問題につきましては、鉱業権者が、そのボタからの回収をやっております場合には、鉱業権者に、当然その鉱害復旧の責任があるわけであります。また水洗炭業者が、自分たちの責任においてやっております場合には、当然水洗炭業者の責任において、原状復旧その他の責任を持つわけでございます。ただ、問題は、水洗炭業者のような零細なものが、果してそれだけのことをやり得るかどうかということは、経済的な問題としても、あるいは社会的な問題としても、今後、相当問題が残されると考えております。
  70. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 実は、単に水質を汚濁するということだけでは、現在の鉱業法も、賠償を要求していないのです。それで、これは忍容の義務があるといいますか、そういう程度になっておる。ところが、それが川底を埋める、こういうことになりますと、今、お話しのように、鉱業権者の賠償責任が追及される、こういうことに一般鉱業法ではなっておるようであります。そこで、水質汚濁防止法案というのが、今とやかく言われておるのですが、この水洗業法は、そういった面は、現行の範囲内と考えておるわけであります。鉱業権者以上の賠償を水洗業者に負わすという意図はない、また法律もそれを要求しておるものではございません。  それから、実は一般鉱害でございますと、政府補助金、その他の賠償の方法に対して、いわば責任を国家が一部分負担するとか、あるいは地方団体が負担するという規定がありますけれども、現在の水洗業者にはありません。しかし、これらも、今後こういう法律を足がかりにして、やはり鉱業権者並みの補助金とか、その他補助をいただきたい、かように考えておるわけです。
  71. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 最後に、希望だけを申し上げて質問を終りますが、先ほど石炭局長からも、お話がございましたが、最近のこの水洗炭、微粉炭回収に対する科学技術的な進歩は、お説の通り、いろいろ考案されて、私の聞き及んでおりますところにおいては、ほぼ所期 の目的を達しておるということを聞いておるのであります。日本炭礦ですか、どこでございますか、大型の微粉炭回収装置をつけて、私の手元に参っておりまするデータによりますと、百二十トンの原料水でもって、一時間に二十四トンの微粉炭の回収能力を持っておる。これを実際に運転してみて、八十トンの原料水でもって原料炭として十二トン、うち回収炭七トン、廃石水五トンという結果も出ておると  いうわけでありますが、私のこの実験を見ました結果によりましても、微粉炭の回収のみならず、混濁水の清浄化も、超音波の応用によって完全に近い結果が上っておる。私は、あえてこの法律を云々するものではございませんが、水洗炭業によって、微粉炭の回収及び低品位炭の回収、それから、それによるところの被害の防止をやるという建前において法律を作っても、実際にその効率的な運行をはかるところの具体的方法がなければ、やはり法律というものは死文に化する。私のおそれることは、こういうような水洗炭業に関する法律案ができて、これから膨大な未利用的な状態になっておるところのボタ山、あるいは坑口から出るところの微粉炭の回収をはからんとするところの議員立法、政府当局も、そういうことまでお考えになっておると思うのでありますが、そういうことに対して、適切なる施策があったならば、これを一つ勇敢に応用して、この効率的な効果も上げると同時に、微粉炭及び低品位炭の回収をはかって、出炭能率も向上せしめるというふうに、一つお取り計らいになることが、最もいいのではないか。私はこう考えておるのですが、果してそういう点に関して、どれだけの御関心と御決意があるのか、一つ承わっておきたい。
  72. 村田恒

    ○村田(恒)政府委員 低品位炭の利用は、この数年間で非常に進歩して参りまして、すでに御承知と思いますけれども、低品位炭を利用いたしました具体例といたしましては、常磐共同火力発電、三井、三菱、住友の製塩の事業、それから、今計画中のものとしては、三菱の高島の自家発電、それから古河の好間の自家発電、それから北炭夕張のコークスの製造、太平洋炭礦の流動乾留によります都市ガスの供給、あるいはコーライトよりの豆炭の製造、離別炭礦の豆炭の製造、こういったようなものが、すでに続々手がつけられておりまして、さらに九州地区に、大規模な低品位炭を利用する火力発電の建設計画中であります。こういう意味において、新しい石炭化学、低品位炭こいうものの将来の大きな発展が見ら有るわけであります。われわれといたしましては、この未利用資源を、いかに旧用していくかという重大な政策と、それから炭鉱の経営そのものを有利ならしめるという点から、低品位炭の利用というものを、精力的に推進したいと考えておるわけであります。ただいま、まことに夢のような計画かもしれませんが、つい四、五日前から研究を始めましたのが、先ほど申し上げました遠賀川に、ドイツの方法を利用いたしまして、あすこの水洗微粉炭を回収していくということを研究中でございます。それで遠心分離機によって分離の容易な場合と、容易でない場合と二つございます。その場合の研究をさせるために、最近専門家を派遣いたしまして、詳細な報告をとっております。これらの線に沿って、今後とも低品位炭の有効利用ということを進めたい、こう考えております。
  73. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 その今の、ドイツに技師を派遣して、遠賀川の混濁水を清浄化するということは、見当はずれです。何もドイツにそんなことを聞きにいかなくても、日本にだってある。そんなばかなことを言うから、事がこんがらがって、私は質問をやめようと思っても、質問をしなければならないことになる。そういう不認識でおるから、私は当局に対して、万全の信頼をささげるわけにいかないということになる。ドイツの超音波の研究と、日本の超音波の研究というものは、一体どっちが進んでおるか、調べたらいい。それから微粉炭混濁水が清浄化されるということは、遠心分離機でできるかできないか。そんなことは、過去の結論で、できないということになっておる。これはどうしても超音波か、あるいはそういうものでなければいけないということで、その研究が進んで、日本の超音波によるところの混濁水の清浄化というものは世界特許をとっておる。そういうものを知らずに、技師をドイツに派遣して、遠賀川の水をきれいにしようなんていうことを考えるから、外貨というものが外国に流亡するということになる。一体、あなた方は、当局に立っておって、日本技術を十分に検討せずして、いきなり外国々々といって外国走りをするから、笑いを後世に残すことになる。一つよく十分調査をして、日本技術をもって遠賀川の水をきれいにして、遠賀川にアユのすむような計画をお立てになった方が、私は、夢物語としては、日本に当てはまると思う。ドイツの技術を持ってきて、遠賀川にアユがすむようにしたって、何にもならない。  それだけを申し上げておきます。     —————————————
  74. 小平久雄

    小平委員長 次に、昨三十二年十二月二十日、それぞれ本委員会に付託されました第二十六回国会、内閣提出にかかる小売商業特別措置法案及び同じく第二十六回国会、水谷長三郎君外二十三名提出にかかる商業調整法案の両案を、一括議題として審査に入ります。  まず両案について順次その趣旨の説明を求めます。川上中小企業庁長官。     —————————————     —————————————
  75. 川上為治

    ○川上政府委員 小売商業特別措置法案につきまして、その大要を簡単に御説明申し上げます。  この法律案におきましては、四つの点につきまして、規定しておるわけであります。  第一の問題につきましては、現在の各会社のやっております購買会、この購売会が、一般の中小の小売業者に対しまして、いろいろと悪い影響を与えておりますので、それを取り締るというのが第一点であります。  第二点につきましては、現在、消費生活協同組合というものが、法律によってできておるわけでございますけれども、この消費生活協同組合が、ややもすれば、員外販売とか、そういうようなことによりまして、一般の中小企業者であります小売商と、いろいろ摩擦を起しておりますので、これに対しまして、ある程度の規制をするということであります。  第三点につきましては、小売市場につきましては、現在、全く自由に置かれておるわけでございますけれども、これがまた、特に関西地方におきましては、小売市場がお互いに無用の競争をいたしまして、そのために小売市場に入っております小売業者のみならず、その周辺の小売業者に対しまして、いろいろと悪い影響を与えておりますので、これについてある程度の規制をするということであります。  それから第四点につきましては小売商と卸売業者、あるいはその製造業者等々、いろいろ摩擦を生じておる面が相当ございますので、これに対しまして、都道府県知事が、そういう紛糾が生じました場合は、そのあっせんに乗り出さなければいけないという四つの点から、この法律案はできておるわけであります。  第一の一般の購買会につきましては、現在、これはあらゆる会社において、購買会を持っておるわけでございますが、現在のところは、全く野放しになっておるわけでございまして、何らの規制もないわけでございます。従いまして、これらの購買会の中には、大々的に員外販売をやっておるのでありまして、そのために、その付近の小売業者は、非常にみじめな状況になっておるのであります。たとえば、一例を申し上げましても、石川県の小松市とか、ここの購買会につきましても、員外利用が約四〇%というような大きな割合になっております。その他、こういうものが方々にあるわけでございまして、そのために一般の小売業者が困っておりますので、私どもの方としましては、第一点は、こういう購買会が、員外利用をいたしまして、そのために、小売業者といろいろ摩擦を生じ、小売業者の利益を非常に害しておるというような場合におきましては、都道府県知事が員外利用を禁止することができるという規定一つ置く。それからもう一つは、この都道府県知事におきましては、これが実効を確保するために所要措置をはかる。たとえば員外利用について、員外利用をさせないということを、はっきり事業場に明示しておくとか、あるいはまた、従業員が買いにくる場合におきましては、証明書を持ってこなければ販売できないとか、あるいはまた、この購買会が販売をする場合におきましては、利用券と引きかえでなければ販売ができないとか、そういうような規制を、私どもの方としましてはやりまして、そして購買会と一般の小売業者の調整をやりたいというのが第一点であります。私どもといたしましては、一般の従業員に対する購買会の販売事業について、不当な制限をするという意味では毛頭ありません。これはどこまでもこの購買会の設立の趣旨から考えて、員外利用というものを十分に取り締っていきたいという考え方でございます。第二点につきましては、消費生活協同組合につきましても、現在方々で問題を起しておるのでありまして、たとえば、先ほど申し上げました購買会と同じような例が、鳥取県の米子の生協でありますとか、あるいは岩手県の釜石の生協でありますとか、その他相当方々にこういう生協が、法律の趣旨によって認められましたそれ以上の員外販売をやって、そのために、一般の小売商といろいろ問題を起しておりますので、私どもの方としましては、この消費生協に対しましても、現在、法律はございますけれども、この法律によって、さらにある程度の規制をしたいということでありまして、第一点は、現在消費生協が員外利用をする場合においては、許可制になっております。しかしながら、許可をする場合におきましては、小売業者との関係を全然考慮に入れないで、単に員外販売することによって、その生協の組合員に対しまして悪い影響があるかどうかということを判断いたしまして、員外利用の許可をしておるのでありますが、私どもの考えといたしましては、やはり一般の小売業者との関係を考慮して、許可をしてもらいたいということであります。第二の問題といたしましては、先ほど購買会のところで申し上げましたような、この員外利用の許可を受けていないものが、員外利用をしておることについての取締り、そういうことをさせないような取締りをしたいというふうに考えておるのであります。  それから、第三の問題につきましては、小売市場の登録制の問題であります。先ほども申し上げましたように、関西地方でいろいろ問題を起しておりますので、私どもの方といたしましては、小売市場を、実は許可制にしたいというような気持を持っていたのですが、いろいろ法律的な問題として、これはなかなか不可能であるというふうに考えましたので、さしあたり登録制ということにいたしまして、この小売の市場をすべて登録いたしまして、登録しないものは、小売市場を開業することができないということにいたしたわけであります。しかし、これは制限登録ではなくて、全く無制限の登録ということにいたしておるわけですが、ただ、小売市場につきましては、都道府県知事が、この市場においていろいろと不公正な取引をしておるというような場合におきましては、公正取引委員会に対しまして、必要な措置をとってもらいたいという請求をすることができる。そういう請求がありましたならば、公正取引委員会の方におきましては、その小売市場の中の小売商に対しまして、不公正な取引をしてはいけないという指示をすることができる。もしそれに違反した場合におきましては、公正取引委員会所要の手続によりまして、いろいろな措置をとるということにいたしたいと考えておるのであります。  第四点につきましては、現在、あるいは大企業が小売の方に乗り出すとか、あるいは問屋の方が小売を兼業して、大々的に小売をやるとか、そういうようなことによりまして、いろいろ小売商との間にトラブルが生じておりますので、そのトラブルが生じた場合におきましては、都道府県知事が、これに対しまして、いろいろあっせんに努めなければならぬというものであります。  この四点からこの法律はできておるわけであります。何とぞこの点を十分御検討していただきまして、これがすみやかに可決いたしますように、お願いしたいと思います。
  76. 小平久雄

    小平委員長 次に、松平忠久君。     —————————————     —————————————
  77. 松平忠久

    松平委員 ただいま議題になりました昭和三十二年二月二十八日、衆法第六号をもって、水谷長三郎君外二十三名によって提案されました商業調整法案について、御説明申し上げたいと存じます。  わが党の考え方は、この商業調整法案のほかに、昨年可決されました中小企業団体の組織に関する法律中小企業組織法案、それから中小企業の産業分野の確保に関する法律案と同時に出しておりますが、これらの三つの法案を、一つは共同修正で通っておるわけでありますが、これらの関連法案というものが、やはり三位一体的に運営されて、初めて現在の中小企業の置かれておる悩み、そういうものを解決することができる、こういう立場に立っておるのであります。  今日におきましても、中小企業の実態は申すまでもなく、これはほとんど慢性的な不況に落ち込んでおります。すなわち、過度の競争とか、あるいは原料高の製品安、金融難、税金難、または設備の不備とか技術の後進性のほかに、いわゆる大資本の圧迫というような、数知れない重圧がありまして、これらの影響がことごとく中小企業へしわ寄せされてきておる。そうして、その根本原因というものは、やはり国の施策が非常に大きな影響を中小企業へ寄せておる、これが根本原因であると私は考えておるのであります。  そこで、御承知のように、昨年提案いたしましたものの中で、中小企業の組織に関する法律は、去る第二十七臨時国会において、両党の共同修正によりまして、中小企業団体の組織に関する法律として成立をしたことは皆さんも御承知の通りであります。そこで他の二つの法律を同時に成立せしめなければ、中小企業の安定を確保するというわけに参らない、かような立場に立っておりますので、商業調整法案ときわめて重要な関連のある中小企業の産業分野の確保に関する法律案自体も御説明を申し上げなければ、画龍点睛を欠く、かように考えておるのであります。  そこで、順序といたしまして、やはり今国会で継続審議中であるところの、中小企業の産業分野の確保に関する法律案を、簡単に御説明申し上げます。  この法律の目的とするところは、中小企業に適正な産業の分野を与えていく。この産業の分野に対しては、大企業がこれに進出していくことを規制しなければならない。つまり、中小企業の果すべき役割に対して、大企業がどんどん進出してくる、これを禁止していかなければならないという考え方に立っておるのであります。  そうして、その基準は、生産方式が、特に中小企業に適正であるというように思われる業種、そうして、従来の生産実績が、中くらいの規模以下の業種に対しては、原則的に中小企業がそういう分野に進出していくべきであって、大企業がそこへ入り込んでくるということは、法律によって規制しなければならぬ、これが骨子であります。しかしながら、現在においては、統計も非常に不備である。それから複雑な諸要素を検討する必要がありますので、当面は、中小企業安定法に指定する業種、それから機械工業振興臨時措置法によって指定されておる業種、または当然中小企業的な中くらいの規模でいいというような要件を備えていると考えられる業種、すなわち、たとえば手工業であるとか、あるいは地方的な特産であるとか、あるいは環境衛生に特に関係のあるというようなものが、中小企業としては適正な業種である、こういうふうに指定したい。そしてそれを大企業が圧迫するということを押えたい、こういうのであります。  しかし、この業種は、将来、経済の発展とともに、ますますこれを広げていかなければならぬが、とりあえずは、先ほど説明申しましたような業種というものを、特に保護を加えるべき対象の業種として指定をしたい、かように考えておるのであります。  こうして指定された業種に対しては、先ほど申したように、大企業が新しくその業種の事業を開始するとか、あるいは設備を拡張するとかいうことを禁止しておるのであります。また資本的に、人的に支配している中小企業たる子会社や、あるいは代理店等を通じて活動しようとする脱法行為もこれを許さない、こういうことを内容といたしております。  それから、指定業種については、現に行なっている大企業の事業活動が、中小企業の存立に重大な悪影響を与えるという場合には、主務大臣はこれに対して制限の命令を出すことができるようにしてあります。しかしながら、中小企業の保護を重視するあまりに、わが国の経済の近代的な発展を阻害したり、あるいは一般消費者大衆の利益を無視するというような結果になってはいけませんので、主務大臣は、中小企業者や大企業者、労働者、学識経験者、国会議員等によって、いわゆるこれらの国民各階層からの代表によって組織される審議会に諮って、そうして実施の公正を期するように審議会を設けることになっておるのであります。  そこで、今の問題の商業調整法でありますけれども、全文十三カ条の法律案でありますが、この法律案の目的は、卸売業と小売業及び小売業相互の事業分野というものを調整しなければならない。この調整によって適正な流通秩序を維持して、そうして一般小売業者を保護しようというのが、この法律案の目的であります。  しからば、この事業分野を調整するその基準、発生した場合はどうするかと申しますと、主務大臣が、その業種と地域とを指定することになっておるのであります。すなわち、これこれの業種あるいはこれこれの地域においては、先ほど申したように卸売業と小売業、あるいは小売業相互の事業分野というものを制限調整することを、主務大臣が行い得ることとしております。こうして指定された地域と業種についは、製造業者及び卸売業者に対し、その小売部門の新規開業あるいは拡張というものを禁じております。また同時に、資本的に、あるいは人的に支配する代理店等を通じて行うところのいわゆる脱法行為、これを禁じておることは、先ほど産業の分野を確保する法律案について御説明申したところと、同様であります。次に、公設市場あるいは私設市場の乱立が、最近特にひどくなってきておりますが、これらの市場の設備の拡張私設というようなものは、当該行政庁の許可事項としなければならぬ。そうして一般小売業者との間に過当な競争を行なって、小売業者を圧迫するというようなことにならないように留意をしなければならない。と同時に、最近は、御承知のように、公設市場もしくは私設市場同士の乱立が非常に多くありまして、市場間の過当競争ということが、非常に問題になってきておるのであります。しかし、これらも、今申しました市場の規制によりまして、市場間の過当競争をも、あわせて解決していきたいと考えておるのであります。  次に、消費生活協同組合法等特別の法律に基いて小売業を営んでおる組合と、一般小売業者との間に紛争が生じた、こういう場合には、その調整のために、行政庁は、中央または地方に商業調整審議会を設けることになっておりますが、この商業調整審議会によって、その意見を聞いて、必要な勧告を行なって、それらの紛争を解決していく、こういう規定になっておるのであります。  最近特に著しい百貨店の進出に対しては、百貨店法があるわけでありますが、しかし、この百貨店法の不備に乗じて、いろいろな脱法的なことが行われて、それによって、小売商を圧迫しておるわけでありまして、これについては、別途、本商業調整法案とは別な考え方で、これを規制して参らなければならぬというふうに考え、百貨店法の一部改正案が、すでにこの国会に提案されておって、現在継続審議中であることを、あわせてここで申し上げたいと存じます。  この法律が一般消費者に及ぼす影響は、きわめて大きいのでありますので、その運営の公正を期するためには、どうしても中央地方に、小売業者あるいは製造業者、卸売業者、消費者、労働者、学識経験者というような各界の人の代表を選びまして、これによって商業調整審議会というものを設けて、そうして主務大臣または都道府県知事の諮問機関とする旨をあわせて規定をいたしております。   かようにいたしまして、この商業の分野の調整をはかり、あわせて、先ほど申しましたように、大きな産業、大企業と中小企業との分野をあわせてこれを確保していく。こういうことと両々相待って、私たちは、現在悩んでおられるところの中小企業者の向上と発展に資していきたい、かような考え方でこの法律案の目的並びに内容ができておるのであります。  以上、簡単に提案の理由並びに内容の概要を御説明申し上げました。何とぞ皆さん方の慎重な御審議によって、すみやかに可決されんことをお願いいたします。
  78. 小平久雄

    小平委員長 両案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。     —————————————
  79. 小平久雄

    小平委員長 再び、航空機工業振興法案を議題とし、質疑を継続いたします。  なお質疑者に申し上げますが、防衛庁装備局長は、参議院の内閣委員会に出席を求められておるそうですから、まず装備局長に対する質疑をお願いいたしたいと思います。  松平忠久君。
  80. 松平忠久

    松平委員 防衛庁に、今回出ておる航空機工業振興法案に関連しまして、お伺いしますが、防衛庁におきましては、いわゆる軍用の輸送機、単で使う輸送機というものを、今日一年に何台ぐらいお使いになっているかということと、それから二、三年後において、いわゆる国産機ができた場合において、それを防衛庁採用するということをお考えになっておるのかどうか。また、その時期においては、一体どの程度輸送機というものを、防衛庁は一年に必要とされておるのかということを、まず伺いたいと思います。
  81. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 航空自衛隊で持っております輸送機は、御存じのC46という輸送機でありまして、現在三十五機持っております。目下、航空自衛隊は、整備の途上でございまして、終局的には、今われわれが持っております整備目標といたしましては、輸送機は三部隊、機数にしまして五十二機持ちたいという計画でございます。この五十二機に損耗を足しまして、現在持っておる三十五機を引きまして、約二十機程度のものが不足、もう二十機ばかりを整備したい、こういう勘定になります。五十二機から三十五機を引きますと、十七機でありますけれども、損耗三機を見ますから、二十機不足、こういう勘定をいたしておるわけであります。しこうして、この二十機につきましては、現在MAP協定に基きまして、毎年度アメリカに供与を要請しておりますが、現在米五九年度会計分として十一機、六〇年度、これはまだ出しておりませんが、六〇年度会計分として九機、これを要請するつもりでございます。十一機は、もうすでに要請済みであります。これに対しまして、これは来るか来ないか、決定いたしておりませんが、顧問団の内報では、十八機程度は供与できるのではないかという内報がございます。そうしますと、十八機だと二十機にちょっと足りないのでございますが、部隊運用、訓練計画その他のやり繰りによりまして、大体目標の機数は整えられるのではないか、こういう心づもりであります。  現在御提案になっております通産省の振興法案に関連いたしまして、防衛庁といたしましては、かりに国産のものを将来使うことになりましても、何と申しますか、いろいろ設計その他の点で、設計の改造とか、要するに、軍用の輸送機として相当変えてもらうという問題も起りますし、先ほど数字の点で申し上げましたように、われわれとしては、一応整備目標は供与でまかなえるという考え方をいたしておりますので、これを使う使わないということは、もちろん未決定でありますし、今のところは、防衛庁の事情をこの中に織り込んで考えるという段階に至っております。
  82. 松平忠久

    松平委員 もう一点お伺いしたいのは、軍用に供するところの輸送機と、民間輸送機というものは、技術的に、どこが一体違っておるのか。今のお話によりますと、設計等を直さなければならないのではないか、そういうお話であったわけです。しからば、どっか違っておるように思うのですが、どういうところが、一体技術的に、軍用と民間の場合とは違っておるのか、これを御説明願いたいと思います。
  83. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 軍用の方は、たとえば、迫撃砲みたような軽い大砲を積むとか、あるいは軽車両を積むとか、いろいろなことの要求がありまして、何といいますか、不格好だけれども、がんじょうなといいますか、機体その他の構造あたりからみましても、容量の大きいがんじょうな機構を要求する。民間輸送機の方は、スマートといいますか、そういうことを要求するということで、機体その他の構造で、相当変ってくると思います。
  84. 松平忠久

    松平委員 それから、今、御説明になった機数でありますけれども、三年後くらいのことを目標にいたしますと、損耗率というもの、あるいは航空自衛隊の拡張というようなことに関連して、一年に一体何機ぐらい自衛隊としては輸送機を必要とするのか、お伺いいたします。
  85. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 損耗の見方は、いろいろございますが、戦闘機あたりは一年間、これはアメリカの数字はちょっと大きいのですが、一二%の損耗を見ております。輸送機は六%ぐらいの損耗でございまして、先ほど申しましたように、二十五年までに五十二機整えたいわけですが、それに対する損耗は三機、約六%でございます。
  86. 松平忠久

    松平委員 それから、次に、今、防衛庁で使っておる輸送機は、墜落事故というような事例があったかどうか、それを伺いたいとともに、防衛庁における今までの墜落事故というものは、どういう機種に多かったかということを、お聞きしたいと思います。
  87. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 航空自衛隊に限らず、陸海空を通じまして、陸上自衛隊は、連絡機を相当たくさん持っております。海上自衛隊は、対潜機等を相当持っております。ここにあります統計を申しますと、各自衛隊が始まりましてから、ことしの一月十七日までの事故の総件数は百七十九件でございます。陸上自衛隊が四十二件、海上自衛隊が三十一件、航空自衛隊が百六件であります。これを原因別にばらしますと、原因が多少重複するものもありして、原因別の件数としては今の百七十九件に、原因が重複するものを両方に数えまして、二百七十一件になりますが、そのうちで、約四一%が、操縦士が悪いというわけではないのですが、操縦関係の過誤、それから五%が整備関係の過誤、それから二三%が運営関係、たとえば飛行許可とか、教官の指導が悪かったとか、地上誘導が悪かったとか、そういう運営関係のもの、それから資材機器関係の欠陥といいますか、これが一七%であります。その他気象、飛行場、通信その他の関係が一一%であります。それで、機材資材の欠陥は一七%で四八件になります。そのうちで、米国製と国産を分けますと、国産のものが八件、米国製のものが三十八件。その米国製の三十八件のうちで、機体の欠陥に基くものが十件、それからエンジンの欠陥に基くものが二十五件、計器等の欠陥に基づくものが十件、それからエンジンの欠陥に基づくものが二十五件、計器等の欠陥が三件。国産の八件のうちでは、機体関係三件、エンジン関係四件、計器関係一件、こういうことでございまして、事故の大半、相当部分操縦、運営といったものでございまして、機材機器等の関係につきましては、非常に厳格なレギュレーションといいまか、点検整備規則がございまして、また事故等がありました場合には、それを念を入れまして、時間をかけて点検を厳密にやるというようなことまたしまて、件数としては、割に少ないというような関係になっております。絶無とは申しませんが、今申し上げましたような状況でございます。
  88. 松平忠久

    松平委員 その事故の発生の分析でありますが、その場合の運転操縦による墜落事故というものが、ちょっと半分くらいになっておりますが、これは聞くところによると、航空管制というか、すべて英語を使ってやられるというわけでもって、操縦士があわててしまって、まごまごするということが、非常に大きな原因のように聞いておるわけであります。そこで、一体それらの実情というものを、どういうふうに判断されておるかということが第一点。  第二点といたしましては、機材の場合におきましても、日本で組み立てたものが八件、アメリカから来たものが三十八件というふうに、アメリカから来たものの方が、圧倒的に故障率が多いというわけでありますが、一体これはどういうわけでそういう数字が出てくるのか、その分析を一つしていただきたいと思うのです。
  89. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 操縦関係は、みな英語を使っております。航空自衛隊のみならず、陸上自衛隊等で操縦士になる者は、まず英語教育から始めていくわけであります。いろいろ飛行機が余っているとか、あるいは航空自衛隊の乗員が少いとかいわれることは、現在のところでは、そういうアンバランスが確かにございまして、それは教育関係で、非常に思わざる事故というか、初めの予想より落第していくのが、非常に多いわけであります。そのことは、教育段階では、徹底的にそれをやりまして、途中あらゆる段階で、不適格者を落していくということをやって、念を入れているものですから、そういう結果になるとも、逆に言つえば言えるわけであります。そういうことで、間違いのないようにいたしておりますが、操縦関係の中で、いろいろ分けますと、操縦関係の規則を自分が守らないとか、あるいはジェット機あたりでは、守れなかったというような関係事故が、大部分でございます。こういう場合にはこうするのだ、こうするのだ、ジェット機あたりでは、非常の場合には一分間にこういう動作とこういう動作をするというのが、きまっておるわけであります。それをやり切れなかったり、やらなかったというような事故が大部分でありまして、英語でやっている不便は、確かにございますが、そういうことのために、そういう事故の起らぬような努力はいたしているつもりでございます。それから機材機器の欠陥のうち、供与のものが大部分ということは、現在持っております飛行機のうちで、国産のものはだんだんあとから出てきまして、初めは全部供与だったという成り立ちがございます。現在のところでは、供与と国産を分けますと、陸海空を通じまして、総計千百六十三機、飛行機がございます。そのうち供与が七百八十三ですから、大部分供与で、購入が三百八十、購入のものにもヘリコプター等輸入がございますから、それを引きますと、純国産というものは、現在のところはまだ非常に少い。こういう関係で、そういう比率になっているのだろうと思います。
  90. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ただいまの松平委員の御質問に対するところの答弁に関連して、お伺いいたします。訓練を英語でやっている、そういうことについて不便であるということは、お認めになっているようですが、なぜ、英語でやらなければならないのか。不便であるということを承知しておられるならば、なぜ変えないのか、なぜ日本語でやらないのか。将来はどういうようにしていくおつもりか、これをお伺いいたします。
  91. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 これは、自衛隊のみならず、日本全体の航空の問題に関連するわけですが、現在は、まだ航空管制関係を向うがやっておるわけです。先方さんがまだやっておる。それから、民間機も自衛隊機も、みなこれを聞いて動かなければ、動けないような関係で、根本的にそういう問題がございまして、今、予算委員会等でも問題がございますが、これは逐次、こっちの自衛隊の者も、また航空局の者も向うにいろいろ訓練に行っておりまして、順次これをこっちに移す態勢を整えつつありますから、そういう態勢ができましたら、日本の側でコントロールする、そうすれば、日本語でやれるということになろうかと思います。
  92. 岩武照彦

    岩武政府委員 答弁と関連して、先刻松平委員の御質問がありました事項と関係がございますので、今の田中委員の御質問に対して、あわせて御答弁いたしたいと思います。管制言葉関係は、運輸省の担当官の方に聞き合せました結果を、回答したいと思います。今、装備局長が申しましたように、管制は、逐次日本側に引き継ぐという準備を進めているようでございます。中央管制をやっています入間川のセンターが、明年の夏ごろから日本側に引き継ぐ準備をしております。それから各飛行場で使っているコントロール・タワーの言葉の問題でありますが、これは、先ほど来申しましたように、国際線関係は、各国飛行機が入りますので、これはやはり一番通用範囲の広い英語ということになるということでございまして、現在やっております。それから軍関係飛行場で、米軍と共同使用している飛行場も残っているようでございます。これはやはり最大公約数の英語の方を使うということになっております。それから、国内ローカル線でございますが、これは日本語を使うということで、その準備をしているようでございます。大体、そういう方向で、管制言葉も、逐次日本操縦士に便利な方向にいくかと思います。
  93. 田中武夫

    ○田中(武)委員 今の局長の御答弁で、大体はっきりしましたが、国際線関係英語でやる、これは性質上やむを得ぬと思うのですが、国内ローカル線は、日本語でやるようにしてもらいたい。それなら、自衛隊は一体どこのものです。自衛隊はどこの自衛隊です。この自衛隊は、国際間を飛ぶのですか。現在飛んでおりますか。民間機の国内線が日本語でやられるのに、なぜ自衛隊が、航空管制が向うであったとしても、国内を飛ぶのに、英語でやる必要がありますか。こういうところに、自衛隊の精神の問題があると思う。何のために英語でやらなければなぬのか。一体、自衛隊は、どこのものと認めますか。
  94. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 先ほど申し上げましたのは、現状を申し上げたわけでございまして、これは全体の、入間川の関係から来る関係でございまして、部分的には、逐次日本語に進む方が、もちろん便利でありますし、そういう方針でやるつもりでおりますが、現在のところはそうなっております。
  95. 田中武夫

    ○田中(武)委員 現状を申し上げた。それなら、現状においては、自衛隊は日本のものでないと理解していいのですか。そのうちに日本のものにしたい、こういう答弁のように考えられるが、それでいいですか。一体自衛隊の命令は、どこから出ておるのですか。
  96. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 自衛隊は日本のものでございます。ただ、これはきわめて技術的な、要するに、交通整理をやってもらうわけで、その交通整理の人が、英語しかやれなかったわけですから、交通整理に従う方も、英語を聞けなければ交通整理に従えないという現状だ、ということを申し上げたわけであります。
  97. 田中武夫

    ○田中(武)委員 交通整理を向うが英語で言うので、聞く方も英語を理解することが必要であることはわかる。だが、お互い日本人同士で操縦したりする場合に、なぜ英語を使うのか。
  98. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 たとえば、練習機では二人乗ります。機上通信機で二人連絡しておりますが、これなんか日本語でやっております。全部英語というわけではございません。
  99. 田中武夫

    ○田中(武)委員 どうも自衛隊については、できたそもそものおい立ちから、いろいろ性格上問題がある。それが、今日まだそういうように英語操縦しておる。いろいろ事故なんかも、そのために起きたのではないだろうか。あるいは、不便であるということは、はっきりしている事実であります。にもかかわらず、直ちに直そうという方向をたどっていない。こういうことなら、やはり自衛隊をあやつっておるのは、どこかほかにあるような気がする。そういうところから命令が出てくるから、英語で命令が出ておるように思う。将来、はっきりとそういうようにしなければならぬというお考えを伺いたい。
  100. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 これは、私、直接の関係所管じゃございませんが、大体の態勢は、そういう態勢に進んでおるわけでございまして、航空管制関係も、またレーダー・サイト関係も、自衛隊の方も、運輸省と一緒に向うへいろいろ器材の動かし方その他を練習に行っておるわけであります。だんだん人的な態勢が整って参るにつれまして、そういうふうになっていく。主として人的な態勢であります。運輸省からも、防衛庁からも、たくさん練習に行っております。
  101. 田中武夫

    ○田中(武)委員 たとえば、自動車を運転するにしても、「オーライ」とか「バック」とかいいますね。これは英語だが、すでに日本語になっておる。こういうものなら、いいと思うのです。うしろへ、うしろへと言うより、バック、バックの方がよくわかる。操縦する前に、ことさらにむずかしい英語を勉強しなければならぬということは、どうも納得がいかぬのです。たとえば部品等にしても、すでに日本語に消化してあるようなものは、盛んに本来の外語を使っておるが、それは、すでに日本語化せられたものです。それなら、今日とやかく言う必要はないと思うのだが、ことさらに英語を勉強しなければ、飛行機に乗れない、こういうことは、現在の自衛隊の性格からいって、どうも納得しかねる。だから、日本の自衛隊なら、将来日本語でやるようにしてもらいたいと思うのです。
  102. 松平忠久

    松平委員 先ほどの御答弁の中で、日本で組み立てられたものの数が割合少いから、事故のパーセンテージも少い、こういう御説明であったのでありますが、事実そういう分析でありますかどうですか。われわれ聞いているところによると、向うから供与を受けたという飛行機は、セコハンかなんかで、古いのじゃないか。日本でのは、新しく作ったのであるから、事故の発生率も少いのじゃないか。こういうのが、一般的に考えられている常識ですが、そのことはどうでしょうか。そういう原因というか、ものもあるのじゃなかろうかと思いますが……。
  103. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 先方から供与を受けます際には、先方は必ず規定のオーバー・ホールを全部やって——確かにC46等は、新型の飛行機とは申せません。型としては古い飛行機でございますが、飛行機そのものとしては、十分使用に耐え得るように、オーバー・ホールをちゃんとやって、すべて整備して供与してくれることになっております。ただ、整備のやり方が悪かったために事故を起したというのが、米国製のものにありますけれども、全般的には、そういう整備をしてくれることになっております。それと、もう一つは、ジェット機あたりの86は、国産もしておりますが、供与もありまして、供与も、向うで新しく発注して作ったものの供与を受けておるものも相当数ある。輸送機とか対潜機あたりは、確かに、型としては古いものを整備しておりますが、そのために、向うからのものが事故が多いということは、ないと思います。
  104. 松平忠久

    松平委員 防衛庁では、軍用機の国  産化ということは、今日の段階では、どういうふうに考えておられるか。つまり、今は民間航空機ですね、輸送機を国産の方向で試作していきたいというような、それに関連した法律案が出ておるわけですが、防衛庁は、一体日本軍用機を、これと同じような方向、もしくはテンポをもう少し早く国産化していく、こういうおつもりがあるのかどうか。今、どの程度段階であるか、これを伺いたい。
  105. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 防衛庁としましては主として防空関係の、要するに邀撃戦闘機といいますか、そういうもつのを主体にして考えておるわけであります。なかなか金のかかる問題でもありますので、そこもなかなか十分にいかない。率直に申して、なかなかほかに手が回らない。従って、国産の計画も、一番初めに乗ります初等の練習機のメンターというのを富士重工から——富士重工が向うのライセンスを買って国産をした、それを相当数買いました。その次には、中等の練習機は、向うの供与のT6を使っております。その次に乗るジェットの練習機、これを、アメリカの援助を約半額受けまして、二百十機国産しつつあります。その次は、F86Fという邀撃機を、これもアメリカの援助を半分得まして、これは三十五年までに三百機国産しつつあります。究極は、主として邀難戦闘機と、それにいきます段階の練習機、これを中心に考えておりまして、率直に申しまして、そのほかのところまで、とても手が回っておらぬ。さらに、このF86も、機能としては数年先を考えますと、多少時代おくれになるおそれもあるので、今度は、その次の戦闘機を国産にするという問題を、研究中であります。
  106. 松平忠久

    松平委員 もう一点、伺いたいと思いますが、防衛庁では、航空機研究あるいは国産化というか、そういうことに関して、今日どの程度補助金を出しておられますか。研究その他について、概略説明してもらいたいと思います。
  107. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 防衛庁は、発注する立場でございまして、たとえば33、86を何機とか、予算で毎年度何回かに分けてやっておりますが、注文する。その値段は、これは部品その他はアメリカからの供与がございますが、それを除いた国産の部品、労賃その他どうなるかということで、それを買っていくということでございます。
  108. 小平久雄

    小平委員長 加藤清二君。
  109. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただいま審議されておりまする航空工業に関連しまして、防衛庁お尋ねしたいと思いますが、あなたの答弁のいかんによって、この法律に賛成するか、反対するかがきまるのですから、そのおつもりでどうぞ……。  この際、あなたに一つ最初に聞いてっおいてもらいたいことがあるのですが、このごろ、選挙運動が盛んに行われておる。そこで、地元へ行って聞いてみると、社会党というやつは、何でもかんでも反対する党だ、政府のやることは何でもかんでも全部反対するのだ、こういうことをまことしやかに宣伝している人がある。あなたは、そう思っておられぬでしょうが、当商工委員会においては、今国会においては、法律一つも反対しておりません。にもかかわりませず、何でもかんでも反対する、こういわれておる。ところが、最後の法律ですから、あなたの答弁いかんによっては、どうにでもいたします。何でもかんでも反対すると悪口を言われる以上は、一つくらいは反対せぬと申しわけないような気もするのだ。というのは、悪口を言う人の裏づけを作ってやらなければならぬからです。  そこで、第一番にお尋ねしたいのは、MAP協定で供与を受けているでしょう、これは何年続きますか。と申しますのは、こちらの原案には書いてあるのだ。どう書いてあるかというと、防衛庁へも機械はやがて納めます、と書いてある。ところが、あなたのさっきの答弁によると、MAP協定によって、ほとんど内地製造にかかわるところの輸送機は要りません、こういう話だ。その要りませんところの期間が、何年続きますかということが、聞きたいわけです。
  110. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 何年続くかという、はっきりした御答弁は、すぐ言える立場でもないわけですが、事実MAPにつきましては、昨年あたり、ただでやるということよりは、たとえば円価でもいいから、円価で積み立てておいて、それをまた東南アジア等にその円価を使って、日本で国産したものを出すというような構想もありまして、ただの供与ではなくて、有償供与といいますか、だんだんその方に切りかわっていくのではないかというような空気とか、いろいろな放送とか、いろいろな動きがあったことは事実であります。ただ、アメリカ側のことしの予算教書その他から見まして、ここ当分の間は、そういう動き、MAP無償供与が、がたりと落ちるということは、ないのじゃあるまいか。事実、軍事顧問団あたりの連絡でも、これは六〇会計年度——六〇会計年度というと、来年の七月から始まる会計年度でございますが、これ等も、事務的には来年の、昭和三十四年度の防衛計画がきまりまして、それに見合って出すわけでありますが、これ等につきましても、事務的にはいろいろ連絡しておいてもらいたい、こういうことを言っておりますので、そういうことは当分の間はないのではあるまいか、こう考えております。
  111. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 従ってMAP協定は継続する、内地で生産された輸送機は、軍隊では当分使わない、こういう御答弁ですか。
  112. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 昭和三十五年ぐらいまでは、防衛庁の方の整備目標も、それで大体つじつまが合うと思います。
  113. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それから先はどうなります。
  114. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 これは現在の防衛力整備目標というものが、三十五年、一部戦闘機、艦船その他については三十七年、それで一応できておりまして、その後の計画は実はまだできておらないわけであります。その全般的な計画につきましては、いずれ成案を得たら、国防会議その他で審議されることになっております。
  115. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 うそを言ってはいかぬです。小牧の航空基地を何に使うかという問題で、私は杉山さんにも会ったのです。木村君にも会っております。その折に、相当長期の計画が立っておる。そんな、機種をどれだけにふやすかどうかもわからずに、飛行場を確保するなどということをやられるはずのものではないのです。はっきりしておいてもらいたい。
  116. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 これは、先ほど申し上げました通り、計画が立っておりません。戦闘機その他は、三十七年まで立っておりますが、それ以後は立っておりません。
  117. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は、私の聞いているところだけ答えていただけばいいのです。それでは、防衛庁の陸幕、空幕、海幕等で計画されているということは、うそであるのか。それとも、調達する側のあなたの方に連絡なしに行われておるというのか、そのいずれでございますか。あなたは、計画はないとおっしゃる、片一方はあると言うのです。
  118. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 防衛庁の大体の方針は、長官がきめられるわけですが、内局の参事官、われわれどもは、絶えずそういう方針にはタッチさせてもらっているわけでございます。ただ、たとえば防衛計画あたり、内局でも、防衛局あるいは各幕その他で、それぞれいろいろ研究はしている案はあるかもしれません。ただ、そういうものを防衛庁の案としてきめるような作業は、まだ全然やっておりません。
  119. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 計画なしで、小牧の空港を軍用飛行場にしたい、こういうことですが、ただ研究程度のことで、小牧の飛行場を、国際空港でなくて軍用にしたい、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。はっきりしていただかぬと、あとで具体的に出ますよ。
  120. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 これは飛行場の  ことで、私、直接の所管ではないのですが、先般、内閣委員会でしたかに、運輸大臣と防衛庁長官が出られまして、いろいろ質疑応答がございまして、これは防衛庁としては、小牧の飛行場は使いたい。しかし防衛庁オンリーで使うというつもりはもちろんないので、民間と共用で使わしてもらいたいという考え方で、防衛庁長官と運輸大臣が、よく相談してきめることになっておるようであります。
  121. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私の聞いているところを、答えていただけばいいのです。  いいですか、小牧の飛行場を、ぜひ軍用に使いたいと言われる方々の内訳を聞いてみると、これこれの分くらいは飛行機がふえるはずである、従って、ここも軍用にしたい、こういうことを言っておられる。そうすると、それは計画があるわけです。私の聞きたいのは、その飛行機が内需で行われるのか、いわゆるアメリカからの供与で行われるのかということです。ところが、あなたは一九六〇会計年度まではわかっているが、そこからはわからないとおっしゃっている。そうでしょう。そこから先は、研究程度のものであるとおっしゃった。研究程度の問題で、飛行場の確保だけをしようとしていらっしゃるのか、ないしは、すでに幕僚の方では、研究程度のものではなしに、きちっとした計画があるけれども、それを調達するあなたの方に連絡がないのか、こう聞いている。国際空港と並用するとか、そんなことは問題  ではない。
  122. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 現在作っております86Fも、だんだんふえて参ります。それから86Dといいます全天候の戦闘機も、本年度の計画では六十機、あと何機続きますかわかりませんが、供与を受けることになっております。こういうもので、だんだん第一線航空機がふえて参るという事実がございます。それと見合っての計画でございます。
  123. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それだけでなくして、三十五年度以降の問題、それは、現にあなたの手元には計画がない、こういうことですね。もう一度、念を押しておきます。三十五年度以降、防衛庁飛行機をどれだけ供与を受けるか、買い入れるかという計画は立っていない、こういうことですね。
  124. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 それは、その通りでございます。
  125. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 次にお尋ねいたしますが、ただいまアメリカの方から、飛行機の売り込みといいますか、宣伝といいますか、盛んに来ておられるはずでございます。それは、ミサイル関係で、先方の戦術も変り、需要が変ったからでございます。ところが、生産を継続するためには、これをどこかにはかなければならないというので、今、アメリカから航空会社の相当重要な地位の方々が来ておられまして、すでに防衛庁とは、会談が済んだはずになっておる。済んだといっても、結論が出たということではございませんが、数回にわたって会談が行われているはずでございます。もちろん、日本にウエートを置いておりますが、日本のみならず、やがて日本が作ったものを売ろうとしているところの東南アジアヘも売ろうと、アメリカさんもすでに着々計画を実行に移していらっしゃる。これが現状だと私は思いますが、それについてお尋ねしたいのは、防衛庁としては、それにこたえなければならないのか。売り込みとか供与という名前できているのですが、それは断われるだけの用意があるのかないのか、こういう点です。
  126. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 お話は、防衛庁のF86Fに次ぐ次期の戦闘機の問題だろうと思います。
  127. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 戦闘機も輸送機も合せてです。輸送機も売り込みにきております。
  128. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 次期の戦闘機につきましては、先ほど申しました三十五年度末までの航空機については、三十七年度までの計画の中に、一定数を整えることになっておりまして、これを何にするかということを、長い間慎重に検討いたしまして、防衛庁としての要望を国防会議に出し、国防会議でF11F1Fというものに内定して、これでいろいろ準備をしてみろ、生産計画生産時期、生産機数その他について、いろいろ検討してみろという御内定をいただきまして、その作業を進めております。  輸送機につきましては、私どもも、いろいろこういう人が来ておるという話を聞いておりますが、防衛庁に勧めにきたというようなことは、聞いておりません。
  129. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 輸送機については、防衛庁はまだ何ら相談を受けていないとおっしゃるのでございますか。
  130. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 輸送機のおっしゃった売り込みというようなことについては、防衛庁は、輸送機については、とても手が回りませんで、そのように具体的に考えておりません。
  131. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それの交渉の申し入れがあったかなかったか。
  132. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 交渉というような話は、ございません。
  133. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 近き将来において、そういう問題があったら、どういう用意がございますか。
  134. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 防衛庁としては、先ほど申しましたように、邀撃戦闘機あたり仕事で、能力的にも、財政的にも、手一ぱいになっておりますので、輸送機は供与を受けたいという態度で進んでおりまして、とても輸送機を買うとか外国のものを作るとかいう話には、乗れないと思います。
  135. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 売り込みの話があっても、それに応ずる用意がない、こういうことですね。
  136. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 そういうことです。
  137. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 次に、先ほど、航空管制の問題で、なぜ英語を使うかという質問に対して、それは命令をする人が英語しかしゃべれないので、こちら側も英語をしゃべらなければならぬ、こういうお話でございました。この航空管制と同時に、今、それに相呼応するために、自衛隊の幕僚、特に優秀な人を選んで、アメリカへ留学をさせていらっしゃるはずでございます。そこで、昔の位でいうならば佐官級から尉官級、ときに将官級も行かれるようですが、これは短かいようです。ほんとうの研修生として半年なり一年なり行かれるのは、佐官、尉官級のところが多い。さて、これは、一体何を勉強に行かれるのでございますか。
  138. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 相互防衛援助協定の一環といたしまして、三幕僚監部の相当の人数を、たとえば、向うへ渡る旅費だけをこっちが持ちまして、向うの滞在費その他を全部向うで持って勉強するという制度がございまして、毎年——今では航空自衛隊が相当多いと思います。私の記憶では、一年に航空自衛隊だけで二十人ばかりの者が行っておりますが、これは、それぞれの部門によって、作戦の勉強をする人もありますし、兵站の勉強をする人もありますし、補給の勉強をする人もあります。それぞれいろいろな面に分れまして、向うの教育機関その他部隊で、実地について勉強しておる、こういう制度でございます。
  139. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その研究は、主として戦略、戦術上の問題であって、航空技術を勉強に行くということはまずない、かように解釈してよろしゅうございますか。
  140. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 航空に関しましても、操縦だとか、偵察だとか、戦闘だとか、そういう技術は、もちろんあります。生産会社あたりに行くという、そういう技術はございません。
  141. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その研究と、この航空管制とMAP協定の関連でございますが、あなたは先ほど、やがて徐々に日本流に切りかえていくのだ、こうおっしゃいましたが、一体日本流に切りかえられ得るところの領域というものは、こういう状況下にあって、どこの領域が日本流に切りかえられるのでございましょうか。
  142. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 先ほど申しましたのは、言葉の問題でございますが、ただ率直に申しまして、機械が、初めは全部向うのもの、それに伴う運用の問題も向うの制度、たとえば飛行機でいえば、整備の仕方、操縦の仕方というものは、向うのルールに基いて勉強してきたものでございますから初めは  間に合いませんで、たとえば本でも、英語そのままで勉強しておるというところを、日本語に書き直して、不工合なところは直していくというような意味で、日本流にだんだん仕立てていくという余地は多分にあります。これは、非常に変な話でございますが、中等の練習機で、航空自衛隊と海上自衛隊が同じ型の——少し違うのですが、飛行機を使っていて、その操縦やり方、たとえば着陸のやり方が、右回りとか左回りとか、いろいろ違うのでございます。そういうことは、一つも必要じゃないじゃないか。従いまして、自衛隊といたしましては、たとえば、操縦整備等の訓練も、各幕共通に統合教育をしていくというような態勢をとっておりまして、初めは統合教育と申しましても、教科書から多少違うものですから、そのまま勉強しておったわけですが、それをだんだん一まとめにして、不工合なところは、両者の長所を取り入れて変えていくというような方法で、日本流に仕立てていくという努力もしておりますし、だんだんそうなっていくということであります。
  143. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 航空機を製造する会社を作られるに当っては、やはりその会社が成り立つか成り立たないかという立場から、需要がどれほどあるかということを、まず私は知りたいのでございます。そこで、今の防衛庁のお答えでございますと、ほとんど防衛庁には当分の間需要なしと見て差しつかえないわけでございますね。  それでは、一つ運輸省の方に、その件についてお尋ねしたいと思いますが、現在大口需要としては、日ペリのかわりました全日本空輸と、それからジャパン・エア・ラインと、二つ日本にあるはずでございます。それが、一体どれだけの機種を持っているかという問題でございますが、私の調査いたしましたところによりますと、DC3が十五機、4が八機、それから6のA及びBを合せて八機、それからDC7、これが実は半ジェット機になっておりますが、7Cが四機発注が行われて、ただいま二機就航している。DC8は完全にジェット機になっておるようですが、これが注文はしてありますけれども、なお入っているのはほとんどない、一機入りかけだという状況のようです。それからコンベアでございますが、コンベア340はなくて440のいわゆる半ジェット機が二機輸入就航されている、こんなふうに聞いて参りましたのですが、現在日本航空と全日本空輸とで使われておりまする機種及び数量これは一体どんな程度でございましょうか。
  144. 關口規矩二

    ○關口説明員 ただいまおっしゃいました数字で、はっきりした数字が手元にございませんが、大体合っていると思います。ただ日航のDC7Cは、昨日でしたか一昨日でしたか、四機目が到着いたしまして、四機全部入っております。就航はまだ三機が就航していると思います。それからDC8につきましては、製造会社で、第一号機がほとんどでき上りに近くなったという状況でございまして、日本航空には、あと二年ちょっとしないと全部入らないことになっております。
  145. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 さて、そこで運輸省お尋ねしなければならぬことは、この航空路線が、一体どの程度に延びていくか、その延び方でございます。ローカルがどれほど延びて、国際をどれほど延ばすかという、その計画書がありましたら、時間の関係上、資料として御提出願えれば、それでもけっこうでございます。今ここで簡単に計画があれば、御発表願ってもけっこうでございます。
  146. 關口規矩二

    ○關口説明員 国際線につきましては、一応十カ年計画というものがございますので、あとで資料をお届けいたします。それから国内線につきましては具体的に何カ年計画というのは今ありません。しかし、大体あと十カ年たてば、五、六十機の飛行機を使うようになるのではないかという予想をいたしております。
  147. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 しかし、そうなって参りますと、この計画が、もうがたがたと音を立ててくずれていくような気がする。防衛庁は全然買わないと言う、内地の方では、十年間に五、六十機である。とんでもない話で、これはえらい計画を立ててますよ、大へんな計画ですよ。ところで、その売れない分をどこへ向けるかということですが、内地は、私はあなたのおっしゃるのは正しいと思う。機数がそのくらいだということは、オーバーホールすれば八千時間も持つのですし、消耗率は三%ですから、これはそんなにたくさん需要があるはずはないです。そこで、将来、ローカルにしても、あるいは国際線にしても、運輸省で、これならばよろしいといって、許可をおろされようとしている飛行機機種は、一体どんなものでしょうか。たとえば、先ほど申し上げましたように、もうDC3は古いから、6以上にするのだ、あるいは中型の方はコンベヤにするのだ、いろいろ御計画もあるでございましょうが、それは一体どうでございましょう。それも、もしおわかりにならなければ、あとで資料で提出して下さってもいいですよ。何もきょうこれで終りというわけじゃないのですからね。
  148. 關口規矩二

    ○關口説明員 国際線については、短距離なら短距離、長距離なら長距離という、いろいろなものがございます。しかし、国内線につきましては、今こういった飛行機が相当いいというようなことは、ちょっとまだ結論としては、はっきりと出せないように思っております。
  149. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、先ほど防衛庁に尋ねたと同じ点を、もう一度お尋ねしますが、盛んに輸送機の売り込みに来ておられますね、御存じでしょう。これは、アメリカとしては、無理からぬことだと思うのです。ミサイルの関係で、向うの需要が変ったのですからね。ところが、生産の方は、依然としてある程度の時期までは続けなければならない。工場の切りかえのできるまでは、これを生産していかなければならないのです。そこで、今、日本及び東南アジアを目標に、会社の重役が売り込みに来ているのです。その際に、相談があったかなかったか。なければ、将来あったらどうするか。やはり輸送機を買う用意があるかないか、こういうことでございます。
  150. 關口規矩二

    ○關口説明員 売り込みにつきましては、私たちのところにも多少は来ておつります。なお、会社その他に対しては、どの程度まで積極的な売り込みをしておるか、私、現在は存じておりませんが、ちょうど手ごろのものがあったら、買うか買わぬかという問題は、結局その場になってみないと、たとえば、国産でいいものができれば、それに切りかえていきますし、満足なものでなければ、やはり買わなければならないということになると思います。
  151. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 さすれば、その十年間に必要とするところの五、六十機を、必ず国産に切りかえてしまいますという答弁は、ここでは、ちょっとできないわけですね。
  152. 關口規矩二

    ○關口説明員 それはできません。
  153. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうすると、需要として必要な五、六十機のうちのある部門はやはり過去と同じように輸入が行われる、こう見なければならな  い。輸入が行われてくれば、内地需要五、六十機が減って、ほんとうに新しく設立される会社で製造された飛行機が、一体何機ぐらい内地航空会社に使われるかという点を、私は知りたい。これは、会社を作る以上、計画として立てておかなければならぬことです。
  154. 關口規矩二

    ○關口説明員 たとえば、ここで国産の飛行機ができたと仮定いたしますが、その場合でも、その飛行機の経済性、安全性その他について、よく検討しなくてはなりませんので、今一がいにどれだけの数字になるかということは、言えないと思います。ただ、それが非常によくマッチしたものであれば、逐次そういう外国飛行機を買うのはやめて、国産でやっていけるというふうに、自然になると考えております。
  155. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 抽象論じゃないのです。現在、こういう構造でこういう能力でということが、すでにここへ出てきているわけです。しかも、これは議員提案じゃない、政府提案です。この計画を立てられた方は、買手方の実権を握っていらっしゃる運輸省とは、当然のことながら、相談があったはずです。従って、よいものならば買いましょう、悪ければやめましょう、そういう抽象論では、これは生きた法律として通すわけには参らぬことになりますが、相談はなかったのでしょうか、あったのですか。
  156. 關口規矩二

    ○關口説明員 相談はあったのでありっます。
  157. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あったのでしょう。しからば、あなたはよくおわかりになっているし、これから作るものでございますから、こういう能力、こういうスタイルのものを作ってもらいたいということを、運輸省、つまり需要者側では、製造元に対して要求されるのが当然のことです。要求されたものができれば、これはもう買ってもらわなければならぬ。こういうことになるわけですが、そういうところまでの相談は、行われていないのでございますか。
  158. 町田直

    ○町田説明員 実は、私もあまり詳しく御答弁はいたしかねるのでございますけれども、何と申しましても、これからできます飛行機でございますので、その安全性などの点につきましては、一応十分に打ち合せはいたしてございますけれども、特に経済性その他の面につきまして、今後果してこういうものが民間航空使用して——もちろん民間航空は、一般の会社でございますので、経済的な面が非常に重要でございます。そういう面を照らし合せまして、果して完全に外国航空機に比べて有利に使い得るかどうかという点も、なお検討していかなければならぬという点はあると思います。従いまして、今後できてくる飛行機を全部、五十機なら五十機、六十機なら六十機、これにかえるということを、今ここではっきり申し上げられる段階ではないというふうに考えております。
  159. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは、こういうことであります。輸送機のどういうタイプのどういう性能のものを作るかという御相談、これは運輸省とも、もちろんやっておるわけでございます。その御意見等もしんしゃくしてやっておるようでございますが、ただ、なにせまだ青写真にもならないし、木型もないということで、試験飛行も済まない飛行機である。これを全部国産にかえるのだということを、今、運輸省監督官庁の方にお約束させられるということは、むずかしいことだと思っております。これは当然でございます。ただ、われわれの希望といたしましては、また国の補助金を出してやりますからには、そういうふうな安全性なり経済性に合ったものを作る、またそれに向って努力すべきことは当然でございます。使いものにならないものを作る、これは始まる話じゃございませんから、お互いに協力しまして、そういうふうに一般に役に立つものを作ろうということでやっておるわけでございます。従って、強度試験を行いました上に、なお一号機、二号機等はテスト・フライトを行いまして、十分に安生性等も検討いたしまして、その上で、検査に合格しますりっぱな飛行機を作ろう、こういう計画でございます。経済性の点も、これはもちろん機数関係もあると思っておりますが、先ほど来五、六十機というようなお話で、私は、実はもう少し多いのではないかと思っておりますが、これは、そこまで一々運輸省とひざ詰めでやったわけではございませんで、ただ大体の国内のローカルの航空路の予定、あるいは拡充の見通し、ないし飛行場の整備の計画というものとにらみ合せてやっておるわけでございます。  それから、先ほど来、松平委員の御質問にも答弁しておきましたが、輸出の問題、これは当然考えるべきことで、これこそ、安全性にも増して経済性がものをいう。これは競争力の問題がございますから、この点についても、十分考えなければいかぬと思っております。しかし、現在、まだ木型もできない段階から、これはもうだめだから、やめてしまえという議論では、とてもいけませんので、われわれとしましては、りっぱに、国内ではもちろんのこと、東南アジア方面は、先ほど来申しましたように、半分はDC3、4でございますから、これのかわりになるりっぱな輸出製品として育て上げるという気魄と、具体的な科学的な裏づけをもってやりたい、こういうふうに考えております。
  160. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 重工業局長の意図たるや、全くよろしいのでございますが、私も、実は日本航空機工業は発達させたいし、この技術は、一日も早くりっぱにしたいし、あれこれ思い合せて、一生懸命質問しているわけでございまして、決して、悪いからやめてしまえというのではない。悪ければ、できるだけ直して、りっぱなものを作りたい、こういう念願でお尋ねしているのですから、そのつもりで、一つ御答弁願いたいのでございます。  ところで、提出になっておりますところの原案の性能及び要目という欄を見ますと、座席数は五十から六十でございます。五十から六十ということは、ダグラスに比較いたしますと、6のAかB、これくらいであります。決して今あなたのおっしゃいましたような3や4ではございません。しかも、エンジンはと申しますと、これが半ジェットになっておる。これを、先ほど来承わっておりますと、ローカル線に使うというお話でございます。黙って聞いておると、なるほどそうかしらんとも思いますが、すでに本省、特に運輸省としては、御承知のことと存じますけれども、日本航空が使っておりまするDC6、それの前のもっと小型のものでさえ、プロペラエンジンで速度のおそいものでさえ、なおローカルには不適当である。これをローカルに使ったならば、えらい欠損がいくのじゃないかということで、小牧空港へ乗りおりしておりました日本航空飛行機は、中止になっておる。それで、その後は、日ペリのDC3、せいぜい3と4、それからコンベア、まだそれはほとんど姿を見せない、こういう状況でございます。なぜそうなったかといえば、大型にして速度の早いものが、東京羽田を発して名古屋へとまるということは、えらいロスである、こういうことでございます。さて、そういうようなDC6でさえもいけないというのに、形は6と同じで、速度が半ジェットでそれ以上早いというものが、羽田をたって名古屋へとまれますか。どういう経済上の変化がきたら、行えますか、機能上の変化があれば、できますか。これをローカルに使うという意味が、私にはわからないのでございます。できたものを、六十人乗りであれば国際線に使うというならば、まだまだ話は別です。ちょうど6のBに匹敵しています。性能その他からいけば、それは6じゃない。8なんです。半ジェットですから、8ですよ。8のものを、ローカル線に使う勇気がありますか。
  161. 關口規矩二

    ○關口説明員 DC8クラスの飛行機を、国内線に使うというのは、非常に不経済で、実際問題としては、使用できないと思います。
  162. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは加藤委員よく御承知と思いますが、DC4の座席は、六十三というふうに聞いております。われわれの考えております中型輸送機も、五十席というのが大体で、これで予備席等を作れば六十になる、こういうふうに考えております。これはいろいろ搭載人員、ほかの機種との関係もありますので、初めから六十座席設計しますかどうか、これはもう少し検討しなければならぬと思います。  それから、今のお話の点、私も十分な技術的な知識を持ち合せておりませんから、あるいは違っておるかもしれませんが、一応こういうふうに聞いております。国内線の場合に、一番問題になるのは、おそらく滑走距離と、お話があった巡航速度の問題だろうと思います。滑走距離は、御承知のようにターボ・プロップの場合は、非常に短かいわけであります。ターボ・ジェットの場合は、非常に長い滑走距離が要りますので、輸送機の場合も、軍用機の場合も、滑走路が短かいという問題が起ることは、御承知の通りでございます。ターボ・プロップの方は、これはいろいろブレーキの性能がよくきくということで、非常に滑走距離が短かく、かつ離着陸の安全度が非常に高いわけであります。われわれの一応考えておるところによりますれば、今度考えておりますターボ・プロップの飛行機の滑走距離は、千二百メーターぐらいじゃないか。しかるに、DC3は千四百メーターぐらいというふうに聞いております。従って、DC3よりも、むしろ知かい滑走距離で離着陸でき、かつ離着陸の安全度が高いということ、これはその点からいいますれば、非常にローカル向きであります。世界の大勢を見ましても、大体今後の新しいローカル的な輸送機は、ターボ・プロップが非常に多い。国際線になりますと、ターボ・ジェットになりましょうが、やはりローカルのものは、ターボ・ブロップの方が、将来性は非常に多いようであります。輸出しますからには、これはそう時代おくれのものでは間に合いませんし、東南アジアの地域等は、やはりこういう小回りのきいた飛行機の方がいいように聞いております。巡航速度の方は、これは御指摘のように、かなり早いわけであります。われわれ考えてみましても、大体時速五百十キロくらいに考えておりますので、これはダグラスの3や4よりは、はるかに早いわけでございますが、早くて悪いわけではございませんし、近距離でありましても、できるだけ早く到着することは、これは乗ります上からいいましても、あるいは飛行機の経済性からいいましても、当然要求されることでございますから、これらいろいろの点を考えますと、今後新しく開発いたします輸送機は、やはりこの型のターボ・プロップが一番適当だろう、こう思ったものでありますから、これは、私は、少し技術的知識が足らぬかもしれませんが、一応そういうふうに考えておるわけでございます。
  163. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 小牧飛行場へJALがおりたり、たったりしなくなった理由は、決して滑走路の長短の問題ではないのです。滑走路は、DC3、4、6よりも、もっと大型な飛行機でも、なおおり立ち、飛び立つことのできるだけの余裕を持っておるのです。ただ、編隊を組んでいくときに困るだけの話で、旅客機が編隊を組んだためしは、聞いたことがない。それですから、飛行場の規模とか構造の問題ではなくて、飛行機の機能と、それが上ったり、おりたりするところの、必要な費用の問題なのです。それからして、日本航空は、あそこへはとまらなくなった。けれども、同じところへ、日ペリならとまれる。これが経済べースに乗るということは、機種が小さいからです。しかも、プロペラだからです、速度がおそいからです。もっとも、ローカルと申しましても、中国あるいはアメリカみたいに、遠い遠いところまで飛んでいくほどの面積があればいい。日本でも、そうです。名古屋から北海道に飛ぶ、これもローカルです。それはジェットでもいいでしょう。ところが、一番需要の多いのが東京—名古屋間、名古屋—大阪間で、汽車の東海道線と同じです。そこに使えるか使えないかということを、私は聞いておるのです。今度できるのは、ダグラスの7か8のところでしょう。ダグラスDC6は、ジェットではない、半ジェットでもない。だから、エンジン関係からいったら、7か8ですよ。それからいえば、エアロ・コマンダーとか、ピーチ・クラフトとかいろいろありますけれども、それらと比較して、どう考えてみたって、コンベアだったら、同列に並ぶものはまず四百四十といったところです。それが日本のローカルとして、果して適切であるかどうかということを聞いておる。もっとも、それが全部輸出に向けられる分なら、作られてもいい。けれども、輸出はどうかこうかわからない、軍には使わない。あと使うのは、民間航空でしょう。その民間航空も使えないというような——使えるには使えるけれども、東京から九州行、北海道行には使えても、これから伸びる、六十機要るところのローカルというものは、短い線ですよ。それに使えないようなものを作って、一体どこに売るかということです。だから、私は、運輸省にも、使えるなら使えると言ってもらいたい。航空操縦技術のうまさと、生産コストを安くすることによって、使えるなら使えるということを言ってもらいたい。あなたが、使えないとおっしゃれば、それは私も、今日の段階では、使えないとおっしゃる方が正しいと思う。どちらです。
  164. 關口規矩二

    ○關口説明員 これは、十分検討して御返事いたします。
  165. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでけっこうです。私は、反対してこれをこわすつもりなら、もっとつっ込みますよ。けれども、何とかしてこれを作りたいという気持ですからね、それを考えていただければいいのです。安心して答えて下さい。  それで、もしも新しく用意されているこの飛行機を、百キロ、二百キロ程度のところにローカル線として使うのだということになれば、ジェットの速度をぐんと落さなければならぬことになってくる。そこで、ここにも出ておるように、これは五百十キロで飛ぶということになっている。一体名古屋まで何キロあるというのです。直線コースで行ってごらんなさい、何分かかるという勘定が出てくる。簡単ですよ。そんなところに、二十分や三十分で飛べるようなところを、とことこおりていけますか。もしも、おりていくとあなたがおっしゃるならば、ぜひ一つ日本航空をおろしてもらいたい。日本航空では、一番多いのが6のAかBです。これは八機持っておる。4も八機持っておる。それでさえも、とまらないのだ。3ぐらいしかとまらないのだ。ところが、半ジェットでさえも、東京—名古屋間を飛ばせるというのだから、今でもすぐ6をとめてもらいたい、とまるはずなのだ。とまらないでしょう、とまりませんよ。その点、一ぺん答えて下さい。
  166. 町田直

    ○町田説明員 先ほど技術部長からお答えいたしましたように、これは会社の経営上の問題もございますし、私ども監督官庁といたしまして、必ずとまるとか、とまらないとかいうことは、ちょっとはっきり申し上げかねるのであります。
  167. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうなってくると、勢い用途というものがきまってくるわけです。新しく作ろうとしているところの五百十キロも走る半ジェット機である。この機種の用途というものは、幾らローカルに使います、使いますといっても、勢い制限される。そうなってくれば、どんなにこの機種性能がよくても、使おうにも使えない、そういう現象が起きてくるわけです。さすれば、需要は減る、こういう勘定になってくる。今は輸出のことでなしに、内地需要の話ですよ。内地需要は減る、こう考えなければならないのです。それをしも、なおふやすというならば、一体どこへ航空路線をふやそうとするのか。だから、私は、それを最初に聞いたわけです。内地ローカルに使う、使うというが、航空路線を、内地はどこをふやすつもりか。東海道の、一番よけいお客の乗るところへ使えないというのですから、どこへ使うのですか。そこで、そう突っ込んで聞いていくと、よけいにむずかしくなって答えられなくなるでございましょうから、私は前からの懸案について、一つお尋ねしたいと存じます。  これも、新しくできます機種需要を、最初から計画の中へ入れる、予定しておく、こういうことについて非常に効果のある問題でございます。と申しますのは、今御承知の通り、JALと全日本空輸とは、路線が競合しているところがございます。それで、これを国際線に対抗する力を持たせる。日本航空会社に、外国と競争したときに、ノース・アメリカンにしても、あるいはその他たくさんございますが、これが今競争しておる。その競争に打ちかつ力を持たせなければならない。と同時に、ローカル線をも充実しなければならないわけです。それをするには、今のような状態では、私は十分でないと思う。あれは、発足の原因から考えてみまして、未分化の状態であると思うのです。むしろこの際、国内ローカル線はこちらの系統にやらせるのだ、国際線はこの系統にやらせるだ、こういうように路線の分掌を定めることが、よりローカルも国際も発展させるところの原因になると、私は確信を持っておる。美土路さんも、そういう考え方を持っておる。これについて、運輸省としては、いかようにお考えでございましょうか。
  168. 町田直

    ○町田説明員 お話のような考え方が、確かにあるように思います。しかし、ただいまの運輸省といたしましては、一応日航は国内幹線、もちろん国際線もあります。それから、今度できました全日本空輸は、国内幹線を除いたローカル線という行き方で、それぞれ育成して、十分に事業が発展するように持っていきたいというふうに考えております。
  169. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 国内幹線を除いたところということになりますと、国内幹線を除いたところで、半ジェットを使う路線がどこにございますか。
  170. 町田直

    ○町田説明員 その点は、ただいまもお答えいたしましたように、半ジェット機というものの今後のでき方と、それから会社の経営状態及び路線の今後の伸長状況、利用状況でございますとか、そういうものを勘案して、きめていかなければならぬものと思っております。
  171. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は抽象論を聞いているのじゃない。現に今行われておるのだから、今ごろ抽象論を聞いたって、何にもならない。国内幹線を除いたローカル線といえば、これはこま切れです。そのこま切れのところに、五百十キロ走る半ジェットを、どうやって使うかということです。使い得る場所があったら、お示し願いたいと言っているのだから、抽象論じゃない、お示し願いたい。
  172. 町田直

    ○町田説明員 こま切れと申しましても、今後の路線の伸び方によりましては、あるいは、国内幹線はもちろん除いておりますけれども、鹿児島から大阪というような路線もございますし、必ずしも使えないとは思いません。ただ、具体的に示せとおっしゃいましても、今後のローカルの進み方によってきまりますので、今さしあたってここだというふうにお示しすることは、できかねます。
  173. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、ローカル線の、将来進展させようとしておるところの五カ年計画なり何なりがございましたら、お示し願いたい。
  174. 町田直

    ○町田説明員 その点につきましては、先ほども技術部長から申しましたように、実は航空局としては、一応の考え方を持っておりますが、運輸省航空審議会というのがございまして、ここで昨年度、国際線の十カ年計画を立てまして、本年度予定といたしまして、国内線の計画を立てたいと思っております。そういう一応公けの機関にオーソライズされたような計画が、いずれできると存じますが、現在のところでは、まだ十カ年先の計画を発表するというあれはございません。
  175. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大体わかりました。この航空会社設立に当っては、需要の面については、まことにずさんであった。計画のない、想像から生まれてきておる。なるほど、こうありたいという祈念は入っておったかもしれない。けれども、具体的に、しからば三年先、五年先に何機需要があるか。また、それが果して経済ベースに乗って行えるか、行えないかということのそろばんは入らずに立てられておる、こういうことです。あなたたちは、これから作るという計画を見せたことはないはずである。協議をなさるときに、これから伸びるところのもの、まだ作っていないもの、それを見せたことはないはずです。作っていないとおっしゃる。これから研究しましょうというのですから。そうすると、これでわかりましたことは、ずさんであると同時に、問題は、かりにローカル線が伸びたとしても、鹿児島から大阪とか、大阪から北海道を飛ぶことはできるでしょう。しかし、ほんとうにたくさん伸びるのは、どこかといえば、汽車にかわるこま切れなんですよ。いうなれば、汽車でいったら、各駅停車の行き方です。それが伸びるのです。それ以外に伸びましょうか。今、私は、ローカル線を言っているのです。そうなってきますと、ローカル線は、かりにたくさん伸びても、この機種は、ほんの少々しか利用度がない、こういうことですね。
  176. 岩武照彦

    岩武政府委員 需要の見方がずさんだという御指摘でございますが、私の方は、こういうふうに考えておるわけで、運輸省の方は非常に慎重に考えておられますから、ここでまだ大きなお約束はできない、これは当然でございます。  ローカル線の問題でございますが、これは御指摘のように、スピードは相当早いわけでございますけれども、小回りがきいて、どこでもおりられる飛行機というふうに御判断願えれば、いいわけでございます。あまり短距離、たとえば東京から水戸ということでは、むずかしいと思いますけれども、ある程度の飛行時間のある距離でありますれば、たとえば名古屋等では、これは三十分くらいで行くのだろうと思いますので、非常に利用回数もふえるし、ことにお客が非常にたくさんありますから、お客さんの一機の回転数が非常によくなって、経済ベースに乗だろうと思います。これは、私はしろうとでございますから、あるいはもう少し検討が要るかもしれませんけれども、おそらく、ある程度の距離であれば、十分経済ベースに乗るわけで、決して国内ローカル線に、これが向かないということは、ないと思っております。いわんや、幹線でなくとも、若干の長距離をつなぐものになりますれば、これはもう十分間に合うところの、かえっていい性能飛行機になりますので、国内線の需要は、もちろんあると思っております。逆に言いますと、今後三、四年後に、相当乗客もふえ、発着回数もふえておりますときに、これに要ります飛行機は、世界で作っておりますのは、大体ターボ・プロップになりますので、今さらプロペラ機のおそいのを、そうたくさん作っているわけでもないだろうと思います。そういうことで、輸入しても、大体こういうところに近い飛行機になる可能性は非常に多いわけです。それなら、むしろ国産でできますものを使っていただくのが、当然のことだろうと思います。これは危ないものだとか、むちゃくちゃに高いものだったら、問題になりませんけれども、先ほど来申し上げましたように、十分その点は気をつけてやりますし、また需要の数に応じまして、値段も下っていくわけでありますし、われわれとしましてえは、これは外国で作っております名の通ったよく売れる飛行機より、少しは高いかもしれませんけれども、これは関税の問題その他で、同じことでありますから、この飛行機で十分間に合わしてもらうつもりでおるわけであります。むしろ問題は、間に合うようなものを作るのだということでございますので、今から、どうもあの飛行機はとても買手がつかぬぞということでは、これはとても話になりませんが、買手のつくようなものを考えております。
  177. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 重工業局長が祈念されることは、よくわかるのですが、具体的事実として、日本のローカルと大陸のローカルとは、違うのですよ。いわば、こちらは各駅停車です。ジェット機の五百キロ飛ぶものを、百キロや二百キロのところで、各駅停車ができますか。さすれば、ジェット機の速度をぐんと落さなければならぬ。速度を落せば、あれは落ちますよ。早く飛ぶからいいのですが、そんなことができますか。それと同時に、なるほど、お客がふえれば、それは経済ベースには乗るようになるでしょう。そうおっしゃるならば、私は、一つやってもらいたいことがある。普通の今までのエンジンで、四発のDC6以下を、名古屋空港へ一ぺんとめてみて下さい。それなら、簡単にやれることです。金は要りません、あなたの命令一つでいいのです。運輸省の命令一つで行くのですから、それを一つやってみて下さい。今の重工業局長の言うところの、ジェットでさえも百キロ、二百キロのところへとめるようにやるとおっしゃるのだから、それなら、さしあたりジェットよりも、なお、いとやりやすい四発の過去のエンジンDC6以下を、まず名古屋空港にとめて下さい。前にとめておったのを、やめたのです。これはほかに理由があるのですか。飛行機の機能と会社の経営上の問題で、とめたのです。それ以外に、あれをとめた理由がありますか。ないとするならば、あなたの方の公表された理由が正しいとするならば、重工業局長の意見とは全く相反する結果が、ここに生じてくる。具体的にあるのですよ。将来こうありましょうと言ったって、現在がそうでないのだから、どうですか。
  178. 町田直

    ○町田説明員 必ずしも重工業局長のおっしゃった理由と背反していないと思いますのは、現在東京—名古屋間の需要が、6B4を日航が動かすに、十分な需要がないという点ではないかと私は想像しております。
  179. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ばかなことを言ってはいかぬ。そんないいかげんなことを、国会で言ってもらっては困りますよ。それでは、あなたは、日ペリの座席を一ぺんとって下さい、急にありますか。お客がないなんて、いいかげんな話をしてくれては困ります。とまらないから、よけいないのですよ。とまれば、どんどんありますよ。それは、あなた方はおえら方だから、すぐとれますよ。私らでも、衆議院と言えばとれますが、黙って個人の名前で行ってごらんなさい。僕の名前は売れているからとれますが、なかなかとれませんよ。それほどお客があるのです。それでもとまりません。具体的事実に立脚して、話を進めていかなければならぬ。社会党は、常に空理空論を言うといわれておるけれども、私は、あくまでも具体的事実に立脚して話をしておるのです。なるほど、空理空論はいけない。私はあくまでも事実に立脚した話をするのだから、あなたの方も、具体的に答えていただきたい。お客がないなどと言って、そんなに名古屋を軽べつしてはいけません。
  180. 町田直

    ○町田説明員 私は、そういうことであろうというふうに想像いたしたのでございます。お客があるかないかということにつきましては、いずれ現在の利用状況を調べまして、あらためてお答えいたしたいと思います。
  181. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それならばいい。そこで、今度新しくできる半ジェットは、東京—名古屋間で、とめることができますか。簡単でけっこうです。
  182. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは、今の日航の問題は、私、よく存じませんが、いろいろ持っておる飛行機の数の問題もありましょうし、それから、いろいろ利用者の関係もありましょうから、これは、いずれ運輸省の方のお答えもあると思いますが、要するに、将来の航空の旅行人員がふえるということで、それに応じて、大いに飛行機の数が要るのじゃないか。現在の数が足りなければ、これはできるだけ急行列車というようなことになって、ローカル線を落すようになるかもしれませんが、やはり飛行機の数が足りないことも、一つ原因でありましょう。そこで、こういうふうな性能のいい、りっぱな飛行機を、一つ国産化して、御質問にありますような、名古屋にも十分とめるようなことにしようじゃないかというのが、この法案でございます。
  183. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あと、二点でおしまいにしますが、今の問題は、まだまだ私には割り切れないものが残っておる。愛知県から東京へ、東京から愛知県へと飛びたい人には、割り切れないものが残っておる。  それはそれとして、次にお尋ねしたいのは、テストでございますが、この計画からいきますと、一号機と二号機だけだ、こういうことですが、一体、販売は、飛行機の何台目くらいからおやりになる予定でございましょうか。ほかの飛行機の実例を調査いたしてみますと、三機目から販売したなどということは、まずまず聞いたためしがございません。しかし、日本技術がそれほど完全で、それほど安全度があるというならば、いざ知らずということでございます。そこで、三機目から売るとおっしゃるならば、たとえばコンソリデーテッドとか、ゼネラル・ダイナミックとか、今のダクラスとかいう会社と比較して、どの程度こちらの技術がまさっているか、安全度があるのかということを、お示し願いたいのでございます。地上を走っている自動車でさえも、なお五台や六台は試験いたしますし、その上、なお十台や二十台は大体社内配給をして、それから売り出すことになっているように私は聞いております。これは、一号機、二号機の試験機と、分解してしまうものとで、三機だけは当て馬になっておるようですが、これで果して安全が保てるかどうか。なぜ、こんなことを言わなければならぬかというと、せっかくイギリスが外国へ売り出そうとして研究いたしましたあの飛行機が、試験が十分  でなかった結果、空中分解してしまった。日本が買い付けようとして手付金を出していたのが、その手付金までもらえぬという結果を生じて、日本にまで被害が及んでいる。以来、あのイギリスの飛行機に見向きもしなくなったという苦い経験を持っているからでございます。あの飛行機でさえも、研究を始めてから二十何年です。ところが、研究を始めて、しかも五年目にもう売り出すのだという、まことにりっぱな技術でございます。これでいいのか悪いのか。もしいいとするならば、その技術がこれほどいいのだということを、一つ天下に宣明していただきたいと思います。
  184. 岩武照彦

    岩武政府委員 ごもっともな御質問でございます。できるだけ試験飛行の期間ないし機数をふやして、いやが上にも安全を期するということが、一番望ましいことではございますが、いろいろ各国の例を見ておりますと、フランスのキャラベルの飛行機は、大体二機ぐらいで試作を終り、三機目は営業に入っております。そういうふうに、長年の研究の結果かも存じませんけれども——日本のも、国産技術とはいいましても、外国研究の結果をある程度利用するということで、全然いろはからでもありませんし、戦争中の軍用機、陸軍の戦闘機か爆撃機であったか忘れましたが、この辺は、三機ぐらいを試作機として、試験飛行をやっているようであります。これは相当無理をした設計ないし性能を持たしておりますので、幾ら軍用とはいっても、ということで、三機やったのだろうと思いますが、今後のものは、初めから十分な安全性を考えてやっておりますので、どうしても二機ではだめだ、やっぱりもう一機やってみなければならぬということになりますれば、そのときのことになるかもしれませんけれども、今のわれわれの考え方としましては、大体二機で間に合いはせぬかと思っております。先ほど申したかと思いますが、イギリスのロールス・ロイスのダートというエンジンを輸入することを考えておりますのも、やはり全国産と申しましても、おのずから限度がある。だから、早く営業生産に入りたいという一つの現われでもありますので、今のところは、大体二機でやっていきたいと考えております。
  185. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 資本力の乏しい日本経済では、無理からぬことだと思います。それにまた、今日の航空会社は、ほとんど爆撃にあいまして、それぞれの会社が大なり小なりの被害を受けておる会社でございますから、これは無理からぬことと思いますが、事人命にかかわりますし、それから、ウエートは輸出でしよう。しかも、その輸出はどうかというと、アメリカと、同じスタイルのものを東南アジアにおいて競争しなければならない。そこへ持っていくのですから、これはよほど安全度を確保されてからでないと、危ないと私は思うのです。しかし、それは先のことでございますから、法律を作ってしまったあとでも、また何とかすることができることでございましょうし、これは一つ法律が生まれたあとでもけっこうでございますから、とくと研究していただきたい。人命をそこねてからでは、おそ過ぎるのでございます。  あと、ほんの一問でございますが、そういう関係も兼ね合せて研究の結果、内地においてこの十年の空白を埋めるには、やはり技術も機械もみな購入して——技術提携というよりも技術を買い取って、これを組み立てることから始めた方が、段階としてはいいのではないか。自動車のようなものでさえも、ルノー、ヒルマンその他で、そういう手をとっておるのだから、ましてや、自動車以上に人命が危惧されている飛行機においては、そういう安全度をとるために、輸入の方式、製造の方式も段階を越えていくべきであるという理念のもとに、すでに数年前に、これは重工業局長に希望が提出されておるはずでございます。あなたが重工業局長でなかった、前のころですね。にもかかわらず、通産省はこれを拒否しておられるのでございます。その拒否の理由と、今日そういう段階を飛び越えて、自動車でやったようなテスト・ケースを飛び越えて、ぱっといかなければならぬところの理由、それを承わりたいのでございます。
  186. 岩武照彦

    岩武政府委員 お話技術提携の話は、たしかコンベアのお話かと思います。これは、われわれいろいろ検討いたしましたが、現在の段階では、悪い飛行機ではないと思いますが、やはり将来のことを考えますと、ことに国内需要が相当ふえてくるというようなことを考えますと、必ずしも最適の機種かどうか。これはいろいろ問題もあるようでありますが、それに加えまして、あの話の形で国産化ということをいたしますれば、これは提携工場等の関係もありまして、非常に設備投資がよけい要るようでありまして、これはむだな話であります。のみならず、いろいろ生産技術等の技術基盤の問題もあるかと思っております。従って、われわれとしましては、その話は、どうも望ましくないというふうに考えております。それから、それでは、ほかに何かいいのがあれば、むしろその方とでもやったらというお話かもしれませんが、これは現在、実はそういうふうな話はありません。のみならず、われわれとしましては、せっかく技術振興がやかましく叫ばれて、かつ、技術提携等は必要やむを得ない場合にというふうに考えておりますので、せっかく軍用機生産を通じまして、ある程度国内航空機メーカーも、十年余りの空白を取り戻しつつあるようであります。また過去におきまして、これはプロペラ機でありますが、相当数の中型輸送機生産いたしました技術の集積も、まだ人的に残っております。それで、この際、あるいは若干時間がかかり、あるいは少し道草を食うかもしらぬが、やはり、もともとの設計から始めて、各種の基礎研究あるいは基礎試験等をやりまして、ほんとうに自分のものになった技術一つ作ろうじゃないか、こういう考えになったわけでございます。ほんとうにできるのかというお話を、方々で伺いますが、これは私も、それは具体的に技術的なことを一々は存じませんが、御承知のように、小型のジェット機におきましては、これは軍用機が中心になりますが、T1F1という最近の中間練習機も、これは完全国産といっておりますが、できております。だから、少しの時日と若干の国の助成がありますれば、これは必ずや使いものになるものができるのではないかと思っております。ちょうど今がいい時期でありまして、これはおくれますと、せっかくの人的技術の集積も散ったり、なくなったりすることも考えられますし、それからまた、それぞれの世界各国におきましても、われわれのねらっていると同じような飛行機の開発をやるだろうと思います。今からでもおそくはないとは申せませんが、何とかすれば、間に合って、ちょうどこの技術で3、4等の代替機として役立ち得る、タイミングもちょうどいいのではないか、こう考えております。これは、あるいは私のしろうと考えも入っているかもしれませんが、民間技術者の諸君も、大体そういうふうに考えておるようでありまして、ちょうど、先ほど申しましたが、軍用機生産にはおのずから限りがありまして、これで日本航空機工業が持っていくとは思えませんので、やはりそういうようなシビル・ユーズの飛行機を、自分のものとしてこしらえ上げまして、この需要開拓に努めて、航空機工業を充実するというのが、この際の急務かと思っております。
  187. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、最後に、私も純然たる国産機が生れることについては、あなたと同じように、まさるとも劣らない希望を抱いておるものであります。そこで、お尋ねしたいのは、すでに戦前から技術を持っている、戦後においてもオーバー・ホールをしている、それによって相当アメリカ飛行機等の研究もできているという会社が、方々にたくさんあるわけです。そこらあたりの労働者の仕事を救うという意味においても、ぜひこれはなさるべきであると思います。なぜかならば、オーバー・ホールをする数と言いうものが、米軍の引き上げとともに、だんだん減少している今日でございます。  そこで、お尋ねしたい問題は、日本需要が、十年間に五、六十機と申しますと、年間五、六機ということです。それも、全部が全部でない。これは輸出にたよるというけれども、これは売れるか売れないか、まだわからない。そういう少数なものを、一体どこの会社にやらせようとしておるか。それからまた、それについては、エンジンは輸入するというお話でごさざいますが、一体、今度新しく作ろうとしていらっしゃる飛行機部分品の何%くらいが輸入で、何%くらいが内地の製造でいこうとしていらっしゃるのか。  もう時間がありませんから、あわせて、今度は運輸省の方にお尋ねいたしますが、日航が経費を非常によけい食う、むしろ純然たる民間航空は、政府からの援助が少いにもかかわらず、黒字でいっておるが、日航の方は当初赤字であった。その原因は、パイロットその他に高給を払う、英語しかしゃべれない人がよけいおる。航空指令も英語しかしゃべれない、それをだんだんに日本人に取りかえていこうという考え方が、政府部内にあるようでございますが、一体日本航空の方は、いつの日にほんとうにひとり立ちができるようにさせるのか、この点を伺いたい。
  188. 岩武照彦

    岩武政府委員 初めの点を、お答えいたしたいと思います。当初はエンジンは輸入したいと思っております。しかし、これは今後の問題になりますが、いつまでも輸入ということでも、おもしろくない話で、現在ジェットエンジン試作も、かなり進んでおりますので、機体におくれはいたしますが、やはり究極の目標としては、これも国産化にしたいと考えております。これは、まず飛べる飛行機を作って、その次にエンジン、そうなるだろうと思っております。このエンジン以外は、大体輸入の部品等はないかと思っております。ごく特殊なこまかいものなどは、あるいは特殊な計器というようなものはあるかもしれませんが、大体、大きくいいまして、国産ということになろうかと思っております。
  189. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 組み立ては、どこの会社ですか。
  190. 岩武照彦

    岩武政府委員 その問題は、われわれもいろいろ考えておりましたが、御承知のように、現在、機体メーカーと申しますか、修理を入れて六社ございます。このうちのある社に全部やってもらうことになりますか、あるいは翼とか胴とかいうふうに分けて作ってどこで組み立てますか、あるいはまた、その各社が共同出資しまして、別の会社を作ってやるか、この辺は、実は将来の研究問題かと思っております。もう少し段階が進みませんと、どこに何をやらせていいかということの判定は、まだつきかねる状況だろうと思います。また、場合によりましては、そういうことのために、法律的な措置が要りますれば、この法律改正いたしまして、そういうふうなことにも役立てたいと思っておりますが、実は、これはおそらく二、三年あとのことかと思います。現在のところは、応未決定、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
  191. 關口規矩二

    ○關口説明員 外人の乗務員のいなくなるのは、昭和四十年からでございます。
  192. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 実は、まだ質問は尽きないのでございますが、時間があまりにもおそくなっておりますし、私は正味一時間とちょっといただいたわけでございますから、本日はこの程度にとどめますが、要は、計画も十分だとは言えません。未決定の分もあれば、未調査の分も多々あるようでございます。にもかかわりませず、この法律案は、一日も早く通して、一日も早く日本国内に国産の飛行機ができることを急がなければならぬと思います。そこで、一つ政府におかれましては、本日答弁のできないようなことも、多々あったようでございますので、よく一つ研究されまして、国民の期待である、日本の力によって、日本技術によって、日本の英知によって、諸外国へ飛ぶことができる日の一日も早からんことを、私は祈念しておりまするが、その祈念で、本日の質問を打ち切りたいと存じます。
  193. 小平久雄

    小平委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  194. 小平久雄

    小平委員長 再び、水洗炭業に関する法律案を議題といたします。  本案につきましては、他に質疑はないものと認めます。これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  本日はこの程度にとどめます。  次会は明十七日午前十時十五分より開会することととし、これにて散会いたします。     午後二時五十一分散会