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1958-04-02 第28回国会 衆議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 内田 常雄君    理事 笹本 一雄君 理事 島村 一郎君    理事 長谷川四郎君 理事 加藤 清二君    理事 松平 忠久君       有馬 英治君    大倉 三郎君       川野 芳滿君    菅  太郎君       久野 忠治君    櫻内 義雄君       佐々木秀世君    首藤 新八君       中垣 國男君    松岡 松平君       南  好雄君    横井 太郎君       山手 滿男君  早稻田柳右エ門君       佐々木良作君    佐竹 新市君       田中 武夫君    田中 利勝君       永井勝次郎君    水谷長三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  前尾繁三郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (石炭局長)  村田  恒君         中小企業庁長官 川上 爲治君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   海堀 洋平君         大蔵事務官         (為替局管理課         長)      宮城 恭一君         専  門  員 越田 清七君 四月二日  委員有馬英治君、篠田弘作君、戸塚九一郎君及  び日野吉夫辞任につき、その補欠として久野  忠治君、早稻田柳右エ門君、山手滿男君及び永  井勝次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久野忠治君、山手滿男君及び早稻田柳右エ  門君辞任につき、その補欠として有馬英治君、  戸塚九一郎君及び篠田弘作君が議長指名で委  員に選任された。     ――――――――――――― 四月一日  公害防止法制定等に関する陳情書  (第八一九号)  漁業用重油に対する外貨割当反対に関する陳情  書(第八三八  号)  中小企業育成振興に関する陳情書  (  第八五二号)  北米向金属洋食器に対する関税引上げ防止に関  する陳情書外一件  (第八五三号)  豚革工業振興に関する陳情書  (第八五四号)  外国為替貿易管理令簡素化に関する陳情書  (第八五六号)  繊維産業不況対策確立に関する陳情書  (第八五八号)  小売商振興のための法律制定に関する陳情書  (第八六一号)  百貨店法の一部改正に関する陳情書  (第八六二号)  石油資源開発株式会社への国家投資に関する陳  情書(第八  六三号)  鉱業法の一部改正に関する陳情書  (第八六四号)  中国見本市開催に関する陳情書  (第八六五号)  バナナ外貨資金割当適正化に関する陳情書  (第八六七号)  離島振興対策に関する陳情書  (第八七五号)  街路灯電気料金引下げに関する陳情書  (第八八二号)  電力料金暫定措置持続に関する陳情書  (第八八四号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第八八五号)  農業用機械揚水事業に対する電力供給量増加に  関する陳情書  (第八八七号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険公庫法案内閣提出第一〇一  号)  中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律  の整理等に関する法律案内閣提出第一一七  号)  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第六七号)(参議院送付)  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第二  五号)(参議院送付)  計量単位統一に伴う関係法律整備に関する  法律案内閣提出第一二七号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  輸出保険法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  昨日の笹本委員質問に対し、当局より発言を求められております。これを許します。松尾通商局長
  3. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 昨日笹本先生から御質問のありました点につきまして、お答えを申し上げます。  まず第一に、輸出保険制度概況でありますが、その中で、まず第一には、保険契約件数契約額、その推移及びおもな保険事項に関してのお尋ねでございます。この輸出保険制度は、昭和二十五年に実施をせられまして、その後各種の保険を漸次増加をいたしまして、現在八種類保険を営んでおるのであります。まず二十五年におきましては、契約件数は一万三千件、契約高にしまして二百四十億円であったのでありますが、二十五年の六月にこの保険制度実施しまして、その年度末に中共向け船積み禁止をいたさなければならないことになりましたので、その後二十六年、二十七年、二十八年におきましては、この保険契約件数契約高も、やや停頓状況を示したのであります。二十六年度におきましては、契約件数は四千件、契約高百三十八億円、二十七年度は契約件数一千件、契約高二十六億円、二十八年度におきましては若干増加をして参りまして、契約件数三万一千件、契約高三百六十六億円というふうに、若干上昇の経過をたどったのであります。  二十五年に保険制度が開始せられて、二十六年、二十七年、二十八年とやや停頓をいたしたのでありますが、それは、この保険制度開始に出鼻をくじかれたような状況が、中共向け船積み禁止だったわけであります。その後、保険料引き上げ等もいたしましたので、かような停頓状況を示したのでありますが、二十九年以降は、逐年非常に増加して参りまして、二十九年におきましては、件数は八万三千件、契約高が七百五億円、前年に比べますと約五〇%の増加を示しております。三十年度におきましては、十三万八千件の契約件数を示し、金額は九百四十六億円、三十一年度におきましては、件数は十四万七千件、金額は千百十二億円であります。三十二年度におきましては、十二月末までの数字は、件数が十三万三千件、契約高は九百七億円ということでありまして、三十年、三十一年、三十二年は、それぞれ前年に比べまして三五%、二〇%、三〇%の増加を示しておるような次第であります。保険制度開始以来三十二年十二月末までの契約件数が五十五万件、契約高にしまして四千五百億円に達しております。  おもな保険事故につきましては、先ほども一言申しましたように、二十五年におきまして、中共向け船積み禁止があったのでありますが、二十八年度におきましては、金融の引き締めに伴いまして、中小企業の経営の悪化もありまして、金融保険におきまして、かなり事故発生があったのであります。二十九年度におきましては、御存じのようなインドネシア向け輸出調整措置を開始いたしましたので、普通輸出保険におきまする保険事故が、かなり発生いたしております。その他二十九年度におきまして南アにおきまする関税引き上げ、及びアメリカにおきまする可燃性織物法施行に伴いまするところの輸入制限等もありまして、これまた普通輸出保険におきまして、かなり事故発生しております。三十年度におきましては、トルコにおきまする為替制限によりまして、輸出代金保険におきまして、保険事故かなり発生しております。三十二年度におきましては、インドネシア向け化繊スフ輸入禁止に伴いまして、普通輸出保険におきまして、かなり事故発生しておりますほか、コロンビアにおきまする為替制限ボリビア政府支払いの不能ということによりまして、輸出手形保険におきまして、かなり事故発生をしたのであります。  次に、昭和三十二年度の実績推定、三十三年度の運営見通し及び収支バランスについてお答えを申し上げます。まず保険契約見通しでございますが、三十二年度の十二月までの数字は申し上げましたが、三十二年度一カ年といたしまして、件数にしまして十八万件、前年度に比べまして二二%の増加契約額にしまして千四百億円、前年度に比べまして二〇%の増加になっております。三十三年度におきましては、契約件数二十五万件、前年度に比べまして三八%の増加を見込んでおります。契約金額では千九百億円、前年度比三五%の増加予想をいたしておるのであります。  次に、収支バランスでございますが、三十二年度におきましては、収入といたしまして、保険料が六億円、返納金が六千万円、計六億六千万円でありまして、支出といたしましての保険金支払いが五億五千万円に相なりまするので、差し引き一億一千万円の黒字になるのでありますが、うち経過保険料の二億円と差し引きしますと、九千万円程度の赤字が予想されるのであります。三十三年度におきましては、保険料収入が十億円、返納金による収入が一億五千万円、合計十一億五千万円の収入に対しまして、保険金支出は、六億八千万円と予想されるのであります。差し引きプラスが四億七千万円というようになりますが、うち経過保険料四億円を差し引きまして、純粋の黒字は七千万円程度になろうかと推定をいたしておるのであります。  それから、第三点は、諸外国における輸出保険制度との比較でございますが、わが国におきまするこの輸出保険制度は、欧米諸国において実施をしておりまする輸出保険制度を参考といたして作ったものでありますが、そのおもな特色といたしましては、まず多種類輸出保険を擁していることであります。第二には、担保危険についても、かなり広範囲であります。ただし、イギリス保険におきましては、米国及びカナダ向けに限りまして、普通輸出保険に相当する保険におきまして、信用権を担保としておりますが、この点は、今後、わが国におきましても、研究をいたさなければならぬかと思っておるような次第であります。  次に、諸外国保険運営機構でありますが、日本は、御存じのように国営でやっております。イギリス国営でやっております。ドイツは、民営の再保険であります。それからフランスは、政府機関民営の再保険であります。それからアメリカは、政府機関でやっております。  次に、保険料及び填補料率でありますが、諸外国保険料率の詳細はわかりかねるのでありますが、一、二の例をとってみましても、わが国保険料は、決して高くないと思っておるのであります。填補率は、大体各国と同様になっております。  それから、次のお尋ねは、普通輸出保険運営状況及び見通し並びにインドネシア保険事故状況でありますが、先ほども一般的に申しましたように、保険契約状況増加をいたしておりますが、特に普通輸出保険につきましても増加をいたしておりまして、三十一年度十三万二千件、三十二年度十六万二千件、三十三年度の推定としまして二十万件を予想しておりまして、かなり、二、三〇%ずつの増加に相なっておるのであります。  それから、普通輸出保険収支バランスにおきましても、保険料返納金収入から保険金支出差し引きまして、二十五年のこの保険制度実施以来昨年末までにおきまして、約三千万円の黒字を示しております。三十三年度といたしましては、二千万円程度黒字を見込んでおるのであります。  次に、インドネシアにおきまする化繊織物輸入制限によります保険事故概況でございますが、昨年の四月二十九日に、インドネシア外国為替管理委員会が、特定の品目を除きまして、全品目について、輸入申請書の受付を停止したのでございます。その後、オープン・アカウント諸国の取引の緩和をやりましたので、人絹糸及びスフ糸につきましては、輸入を再開されたのでありますが、人絹織物スフ織物については、輸入しないことが明らかとなったので、そこで保険事故となっておるのであります。以上の事由によりまして保険事故発生しまして、保険金支払い対象となります輸出契約件数は百三十八件、予想支払い保険金は一億三千万円に相なっております。目下証憑書類整備して、保険金の請求を督促いたしておりまして、一部はすでに支払っておりますが、できるだけ早く保険金支払いをいたしたいというふうに考えております。  以上で、お答えを終ります。     —————————————
  4. 小平久雄

    小平委員長 次に、中小企業信用保険公庫法案及び中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。両案については、他に質疑はないようであります。これにて質疑は終局いたしました。  ただいま松平忠久君外六名より、自由民主党及び日本社会党両派共同提案にかかる中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対する修正案が提出されました。修正案は、諸君の一お手元にただいま配付いたした通りであります。  この際、提出者より趣旨説明を求めます。松平忠久君。     —————————————
  5. 松平忠久

    松平委員 中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対しまして、次のような修正案を提出したいと思います。  まずその案文を朗読いたします。    中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対する  修正案中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案の一部  を次のように修正する。   第十二条のうち、第九条の二第二項及び第九条の四の改正規定中「百分の六十」を  「百分の七十」に改め、第九条の七の改正規定中『この場合において、第九条の四中  「百分の六十」とあるのは、「百分の七十」と読み替えるものとする。』を削る。以上であります。  この修正案内容を簡単に説明申し上げますと、今回の保険制度改正に当りまして、包括保険に漸次移行していくということに伴って、普通保証保険について、ややこれを制限するというような考え方で、現行の百分の七十の填補率を、百分の六十というふうに法律を改めるという改正案が出ているわけでありますが、現在の中小企業金融の実態からいたしましても、また信用保証協会等の現状からいたしましても、現行通り据え置きにすることがきわめて望ましい、こういうふうに、小委員会等におきましても、結論が出たわけであります。従いまして普通保証保険に関する限りは、その保険料率填補率も、現行据え置きということでいくべきである。従って「百分の七十」というふうに改めていく。つまり、政府原案の「百分の六十」を「百分の七十」に改めていく、こういう趣旨であります。  どうぞ一つ御審議をお願いいたします。
  6. 小平久雄

    小平委員長 ただいまの修正案に対しては、別段質疑もないようであります。  引き続き、中小企業信用保険公庫法案並びに中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案及びただいま提案されております修正案を一括して、討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。  よって、まず中小企業信用保険公庫法案について採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  8. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって、本案原案通り可決すべきものと決しました。  次に、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対する修正案について採決いたします。本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  9. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって本修正案は可決せられました。  次に、本修正部分を除いて、原案について採決いたします。これに賛成諸君起立を求めます。
  10. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案は、両派共同提案にかかる修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  この際、松平忠久君外六名より、中小企業信用保険公庫法案及び中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案の両案に対し、それぞれ両派共同提案にかかる附帯決議を付したいとの提案がなされております。松平忠久君に発言を許します。
  11. 松平忠久

    松平委員 ただいま可決されました法律案に関しまして、両党共同附帯決議を提出いたします。  その案文を朗読いたします。     中小企業信用保険公庫法案に対する附帯決議案  一、公庫設立の主旨を全うするため、公庫保険事務並びに貸付事務については、簡素化迅速化の徹底を図ること。  二、公庫保険準備基金六十五億円については、これを、信用保証協会への貸付又は中小企業金融機関への預託に運用できる途を開くよう、速かに配慮すること。  三、包括保証保険を大幅に拡充しようとする今回の保険制度改正に対応して、公庫信用保証協会資金を貸し付けるにあたつては、すべての信用保証協会包括保証保険制度を活用するに充分な保証基盤を持ちうるよう、融資配分に特に留意すること。 以上であります。  ごく簡単にこの提案趣旨を御説明申し上げます。  第一点は、これまでの質疑応答にも明らかになりましたが、今までの特別会計にかかるところの信用保険制度というものが、とかく官僚的に流れて、事務その他についても敏速を欠くというきらいがあるので、今回の公庫設立に当っては、事務上の手続その他について簡素化敏速化をはかって、そうしてこれを利用する者をして、きわめて円滑に利用できるようにしなければならぬということであります。  第二は、いわゆる六十五億円は、これをできるならば当初の計画のごとく、中小企業金融公庫関係に預託するという道を開くことが望ましいことは言うまでもありません。従って、政府は、今後、信用保証協会とか、あるいは他の中小企業金融機関へ、この金を預託するという道を開くように努力をしなければならぬと思うのであります。  同時に、今回の二十億の貸付に当っても、これは弱小の信用保証協会へ、特に配慮して金を回してやるという、そういう配慮が十分に行われなければならないわけであって、そういうことによって、初めて政府の意図する全般的な包括保証制度というものが確立すると思います。このことは大臣からも昨日答弁がありまして、そういう考え方であるということを明確に答えられておりますので、蛇足のように思われますけれども、今回、右のような附帯決議提案した次第であります。  次に、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対する附帯決議を朗読いたします。     中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対する附帯決議案   改正後の中小企業信用保険法の運用にあたつては、特に左記事項に留意すること。  一、第一種包括保証保険保険料率は、極力低率に定めること。  二、普通保証保険保険料率は、現行料率を上廻らないよう定めること。 以上であります。  このことも、昨日までの質疑応答で、きわめて明瞭になっているのでありますが、いわゆる第一種包括保証の中で、二十万円までのものは保険料率七厘である、二十万円から五十万円は九厘という一応の政府の内意のようでありますけれども、それでは第一種包括保証保険という制度を作った意味がないのでありますから、これは一括いたしまして七厘にするということを、われわれは小委員会においても、結論として出しておるのでありまして、このことは強く政府にも要望し、政府も、その趣旨によって善処するという御答弁があったわけでありまして、一応表現としては、極力低率に定めることといっておりますけれども、その内容とするところは、一律に二十万円も五十万円も七厘程度にすること、こういう趣旨であります。  それから次に、普通保証保険保険料率現行二分であります。政府は、初めこれを二分五厘にしたいという考え方を持っておったが、これでは中小企業信用保険制度を作るという趣旨とは、大いに逆行するのでありますから、これはどうしても現行料率、すなわち二分に据え置くということにならなければならぬというのでありまして、これまた小委員会結論であります。  以上、二法案に対する附帯決議趣旨説明を終了いたしますが、どうぞ一つ賛成あらんことをお願いいたします。
  12. 小平久雄

    小平委員長 採決いたします。両案に、ただいま御提案通り、それぞれ附帯決議を付するに賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  13. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって、両案には、松平忠久君御提案通り、それぞれ附帯決議を付することに決しました。  この際、前尾通商産業大臣より発言を求められております。これを許します。
  14. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 第一は、法案修正につきまして、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対する修正案につきましては、政府といたしましても、同意をいたす次第であります。  また、次の附帯決議につきましては、中小企業信用保険公庫法附帯決議につきましては、極力御趣旨に沿いたいと思っております。また、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案附帯決議につきましては、昨日も松平委員に申し上げました通り、御趣旨に沿って料率等をきめるごとにいたしたいと存じております。
  15. 小平久雄

    小平委員長 お諮りいたします。中小企業信用保険公庫法案外一件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  17. 小平久雄

    小平委員長 次に、去る三月二十八日、それぞれ参議院より送付せられ、本委員会に付託されました計量法の一部を改正する法律案及び計量単位統一に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を便宜一括議題とし、審査に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。笹本一雄君。
  18. 笹本一雄

    笹本委員 計量法の一部を改正する法律案について、二、三御質問を申し上げたいと思っております。計量法は、いわば経済憲法一つの柱であり、従いまして、その改正には、慎重を期さなければならないことは言うまでもありませんが、最近数年聞の計量法改正を振り返ってみますと、二十二国会においては、製造事業修理事業許可対象についての緩和比較検査種類についての緩和等の四点の緩和が行われたのであります。二十四国会においては、製造事業者事業場外におけるところの修理届出制度緩和販売業者修理規定緩和等五点の緩和が行われておるのであります。今回の改正法案は、さらに五点の緩和を行おうとしておるものであると思われますが、このような改正理由としましては、政府は、計量法は、理論的には理想的であるが、あまりにも厳重に過ぎて、実施の際幾多の困難があるから、緩和するのだとの説明であるのであります。そこで、計量法施行実務を担当しておる地方公共団体事務能力予算の面は、どうなっているか。実は計量法そのものが、実施困難であるというよりも、予算の不足やその他の理由で、実施困難となっているのではないか。御承知のように、計量法施行実務は、地方公共団体が担当しているのでありますが、政府が十分な予算を計上しないで厳重な施行を望んでも、それは無理というものでありまして、もし原因が予算面にあるのであったならば、計量行政上、ゆゆしい問題であると思うのであります。計量行政は、きわめてじみな仕事でありまして、従って、予算面においても、あるいは十分な獲得はでき得ないのではないかと思うのでありますが、この際、計量行政重要性を喚起する必要があるのではないかと思うのであります。このような観点から、実務面状況をお聞かせ願いたい。要するに、計量法改正は、法の権威を失墜することのないように、今後十分なる配慮を願いたいのでありますが、この点につきまして、地方公共団体との関係あるいは予算関係についての説明を願いたいと思います。
  19. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 計量行政は、本来は国の仕事でありまして、その仕事の一部を都道府県に委任しておるわけであります。一番おもな行政は、一つは、計量器の検定でございます。それからその次は、各般の行政面の取締りという問題であります。現在、検定面におきましては、中央にあります中央計量検定所が各地に支所を持っておるわけでありますが、約二百七十八名の定員をもって、計量器の中で特に精度が高く、物事の基本になる計量器並びに基準器の検定を行なっております。都道府県と、それから、われわれの方で特定市と申しておりますが、人口がかなり多くて、計量器を使用する事業場等が相当ある市におきまして、全国で約五十数市を指定しておりますが、この関係に検定並びに取締りの第一線業務をまかせております。都道府県では現在約六百九十余名、特定市におきましては百七十余名合計しまして、八百六十余名の人間をもって、これらの仕事を行なっております。特に人手が足らぬとか、予算が足らぬという問題ではございませんで、むしろ社会経済の発達に伴いまして、いろいろ新しい計量器が出て参りますし、またそれを使用いたします事業場等も非常にふえて参っておる。それから、いろいろな計量器の取引の形態等も、だんだんと進歩といいますか、経済情勢の発展に応じまして、いろいろな新しい型が出て参りました。従って、それらの事態に即応いたしますには、人が足らぬとか、予算が足らぬということよりも、もう少しやり方を能率的にやった方がいいだろう、あるいは民間の自治でいき得るものは自治がいいだろうということで、昭和二十六年に計量法制定当時にも、計量士の制度、あるいは指定事業場の制度等を設けまして、ある程度近代的な行政の形態を備えるように考えをいたして参ったのであります。これは明治以来の旧度量衡法に比しますれば、非常な行政の進歩であり、近代化であるのでありますが、その線に沿いまして、しかも現在いろいろ事情に即しない点を、今回改正することにしたわけでございます。その一点は、御質問あったようでありますが、販売人の制度でありますし、その二点は、計量士によります定期検査の、いわば代検査という制度であります。もちろん、これらは、予算とか人員が足らぬからというわけではございませんで、むしろ行政を近代化し、能率化してやる。しかも、民間の経済情勢に即応して参るというような趣旨からやったことでございまして、もちろん、それによりまして、いやしくも計量器の検定なり、あるいは精度なり、あるいは使用方法等が落ちるということでは困りますので、この点は十分に気をつけているわけでございます。
  20. 笹本一雄

    笹本委員 次に、計量士による今、お話のあった代検査制度についてであります。現行法では、計量士が計量器の管理を行なっておりますが、さらに計量行政に当る職員が定期検査、立ち入り検査を行うことになっており、計量行政の完璧を期しておるのでありまして、計量器の正確な保持ができているものだと思うのであります。今度の改正案によりますと、この検査の権限が計量士に委譲されることになりますので、検査が放漫になる。従って、計量器の正確な保持ができなくなるのではないか。従って、その計量士の代検査制度の新設に伴って、監視、監督規定も、若干強化すべきではないかと思うのでありますが、このような心配はないかどうか、その点について御所見を伺いたい。
  21. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 御懸念はごもっともと思いますが、この制度は、先ほど来申し上げました行政の近代化、能率化という見地から、考案いたしたものでございまして、いやしくも計量士によります検査が、定期検査に比べて、何といいますか、やり方がまずいとか、あるいは検査を受ける者との間に、いろいろな関係等があって、合格でない計量器を合格ということがあっては、非常に困りますので、立法面でも非常に注意して立法しております。その第一点は、計量士が検査を行いましたならば、証明書を出させます。その証明書を、検査を受けた者が添付いたしまして、都道府県知事に届出させる。そうして、都道府県知事がそれを見まして、妥当と思えば定期検査を免除する、こうなっております。第二点は、計量士は、毎月一回、検査の結果を都道府県知事に報告することになっております。それから第三点は、計量士が持っております基準器も、これは都道府県知事の登録を受けたものでなければならない。どういう基準器をもってやっているということがわかりませんと、検査のやり方がなおざりになる危険もございますから、そういうことで、常に都道府県知事が目を光らし得るように考えたわけであります。そうしまして、もしも計量士が合格すべからざる計量器に対して合格書を出すということがございますれば、これは法令違反でございますので、計量士の登録とかいう問題に響いてくるわけでございます。この面では、計量士は若干自由営業的な色彩を持ちますが、しかし、通常の自由営業と違いまして、きわめて厳格な監督を受けるということになっておりますので、われわれとしましては、これによりまして、定期検査の制度をむしろ有効に生かして参って、行政を能率化しようという考えでございます。
  22. 笹本一雄

    笹本委員 今回の計量法改正の中に、出張販売員制度を認めているが、この考え方は、本来の販売登録を規定した根本の精神に食い違いがあるのではないか。また計量器は、一見単純に見えるが、その性格はきわめて微妙なものでありまして、従って、これらを販売する人は、その専門的な知識を持つ人に限るということは、計量の正確保持という建前からしても、きわめて合理的でありまして、この点から見て、出張販売に従事する人に対するところの監督指導は、いかなる方法で実施するか、その点に対するお考え方を承わりたい。
  23. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 現在の法律では、計量器は、登録を受けた販売業者の店舗で販売するというふうになっております。従って、計量器を買わんとする使用者は、その店舗に来て、現品を見て買うという建前になっておるわけです。ところが、各方面の農山漁村等を見て参りますと、いろいろな計量器の入手の希望が、非常に多いわけでございまして、たとえば、農事用の温度計でありますとか、あるいは医療用の体温計でありますとか、あるいは穀物その他を計量しますはかりでありますとか、いろいろ希望が多いわけでございます。それが山の中あるいは海岸の遠いところから、登録を受けた店まで、何里も歩いていって買うというふうなことでは、非常に不便であるのみならず、応急の間に合わぬのでございます。また、今申し上げましたような計量器が、そういう農山漁村に普及いたしますことは、計量思想の普及にも非常に役立つことでございますから、われわれとしましても、何とか、そういうもっともな要望に応じます制度を考えたいというので、いろいろ案を練りましたあげく、御質問がありましたような販売員という制度を案出したわけでございます。これは、監督法としましては、登録を受けました販売業者から、その販売員の氏名あるいはその他必要な事項を、監督いたします都道府県知事に届け出をしてもらいまして、何のたれがしが、どこの販売業者の販売員ということで動いておるということも、わかるようにいたしまして、また現実に売って歩きます販売員に対しましては、身分証明書を携行いたさせます。これは販売業者が発行いたしますが、その形式、内容等は、通産省令できめまして、一定の形、内容のものにいたしたいと思います。そういうふうにいたしまして、常時そういうふうに販売活動をやっております者の行動が、監督官庁で見られるようにしていきたいと思っております。御指摘がありましたように、計量器の販売につきましては、若干の専門的知識が要りまして、普通のものさしみたいに、簡単に売れるものではございません。これはやはりその販売業者が、販売員の行為について責任を持てる仕組みにしておきませんと、使用者の無知に乗じまして、いろいろな弊害があっても困りますから、そういうふうに監督官庁から常時目を光らし得る制度にして、一方、計量器の普及という面の要望に沿いたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  24. 笹本一雄

    笹本委員 今の説明では、需要者に対する便宜のために、非常に苦心して考案したものが販売員だということで、都道府県知事に登録させるとか、あるいは製品に対するところの商標その他によって間違いのない販売をさせるとか言っておりますが、計量器というものは、最初に話しましたごとく、全く生活基準の柱であって、これに間違いがありますと、国民全部が不利益を受けるということは言うまでもない。でありますから、これは最も慎重にやるべきだと思うのであります。今、問題になりつつあるところの公共団体または公共組合に、無登録販売を許すことは、計量器の専門知識を持たぬ人に販売するということになるのでありますが、この点、計量器の種類を問わず、計量の安全確保が脅かされることになることはないか。出張販売を認めるという趣旨は、そこまで販売制度を野放図にするということではないかと思うのであります。今、説明にあったように、趣旨は、そういう山間僻地から買いに行かなければ買えないということは、非常に需要者に不便だというけれども、一方において、またこれを野放図にするということは、国民生活の上に非常な問題が起きてくるので、この点について、もう一ぺんあなたの御意見を伺いたい。
  25. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 御質問の点につきましては、実は参議院でも若干の御議論が出まして、営利を目的としない団体等が、計量器の販売のあっせんをする場合は、登録を免除していいじゃないかというふうな御意見が出たわけでございますが、われわれとしましては、計量器の販売といいますことは、営利を目的とする商人が行いましょうと、あるいは営利を目的としない農協あるいは生協等が行いましょうと、これはやはり同じに考えなければいかぬだろうというふうに考えておるわけでございます。従いまして、継続的に計量器の販売を行われます農協、生協等はやはり通常の商人系統の販売業者と同様、販売業者の登録を受けていただくということで、解釈を統一いたしまして、現在そういう取扱いでやっております。それで問題は先ほど質問のありましたように、その登録を受けた販売業者の販売員という制度を設けました際に、計量器の販売制度がくずれはせぬかという御疑念だと思っております。これは、先ほど来申しましたように、計量の安全確保ということを、もちろん第一義的に考えなければなりませんが、また計量器の普及、あるいは裏から言いますれば、計量思想の普及といいますことも、これまた国民生活の向上上どうしても必要でございます。その辺をあれこれ調和いたしまして、登録販売業者の販売員という制度を案出いたしまして、その販売員につきまして、届出を行い、かつ、所定の身分証明書を携行してもらうということで、監督面の穴をふさぎまして、事態の解決というふうに考えておるのでございます。もちろん、この制度が悪用されては困りますので、その点は、法の執行に当りましては、十分留意いたしまして、各都道府県あるいは特定市町村に対しまして、監督は十分するように、しかし、売ってやるから買いにこいということでは、この新しい時代の計量器の販売業者としても、ちょっといかがかと存じますので、ある程度は、そういう責任のある販売員が売って歩いて、あるいは販路開拓になり、あるいは計量思想の普及になりということは、近代的な販売業としても必要であろうと思います。この点は、調和いたしまして、こういう制度を厳重な監督下に実施して参りたい、かように考えております。
  26. 笹本一雄

    笹本委員 今の説明で、ちょっとわかったのでありますけれども、出張販売制度を認めているのだから、いかなる団体、組合といえども、原則として、当然一般の販売登録業者と同じように登録させることを強要すべきではないかと思うのでありますが、この点についてのお考えを承わりたい。  それから責任製造、責任販売ということは、計量器、計量販売の建前であります。しかるがゆえに、事業場ごとの許可規制であります。ところが、今度の改正には、二十五条、七十七条から生産地、都道府県名が削られておるのであります。責任製造という点、取締りという点からいって欠陥は起きないか。つまり、府県名が削られても、ただ商標の名前だけでわかるじゃないかというお考えかもしれませんけれども、しかし、取締りその他の点においてはやはり製造所在地が明らかになっておった方が、取締り上も非常にいいじゃないかと思うので、この点に対するお考えを承わりたい。
  27. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 最初の御質問の点でございますが、これは御質問通りに考えておりますので、先ほど来申しましたように、営利を目的としようが、あるいは営利を目的としないで行おうが、いやしくも計量器の販売または仲立ちの事業を行う者は、全部都道府県知事の登録を要する。こういうふうに考えておりまするし、またそういうことで、現在も行政指導を行なって、現に各府県とも、こういう非営利団体がかなり登録を受けております。法人格のない、たとえば婦人会とかあるいはPTAとかいうふうなものをどうするのだというふうな御質問も、参議院でございましたが、これはやはり継続してそういうことを行われますのであれば、そういう団体の責任者あるいは取扱い主任というふうな方の名前で、登録をしていただくというふうに、これは一貫して考えております。別段、店舗というふうなもの、ショウウインドーとか、あるいは看板とかいうふうなものを掲げる必要はございませんで、いやしくもそこが販売事業の根拠でありますれば、これは何の何がしという責任者なり実務者の名前で、府県に登録をしていただく。これはそういうことで、今後も行政指導を行うつもりであります。従いまして、登録を受けないで販売をしますと、計量法違反になるわけであります。  第二の御質問でありますが、これはまことにごもっともな御質問で、実は計量器の表記の範囲につきましてはいろいろ問題がございまして、御質問のように、取締りの立場から申しますれば、これは製造した工場、事業場の所在地の都道府県名をあわせて記入した方がいいにきまっております。現行法はそうなっておりますが、これは計量器の種類等によりましては、計器の構造あるいは表面積の関係等で、実は都道府県名を掲記できにくいような計量器もあるわけでございます。それからまた、計量器の流通過程を見ますと、大体はメーカーから卸を経まして、各都道府県内の代理店とか、その他の販売業者の手元へ参るのでありますが、決して一回限りの取引ではないと考えられますので、不良計量器等がございますれば、その記号によりまして、製造者の商号、所在地等が、照会いたしますればわかるわけであります。これは、製造業の方は、御承知のように通産大臣の許可制度になっております。同時に、計量器に用います記号も届出をしておりますので、許可を受けましたものの商号から、所在地から用います記号等は、全国的に取締りの方には周知させておりますので、ある都道府県で販売業者に立ち入り検査の結果不良計量器を発見いたしますれば、記号があれば、これはどこの何のだれがしという製造業者が作ったものということが確認できます。また監督官庁が直接そのデータを持たなくても、販売業者に、これはどこから仕入れたかということは、もちろん聞くことになりますけれども、これはそういう関係であれば、一回だけの取引でありませんから、どこどこの何のだれがしから仕入れたかということはわかります。それを調べますれば、不良品メーカーの所在地あるいはその製作工場等はわかりますので、取締り面では、従来より若干手数はかかりますが、決して取締り不能ということじゃございませんので、この点は、実際の計量器の構造等との関係もございまして、原案のように、若干表記の範囲を狭めたのでございます。
  28. 笹本一雄

    笹本委員 今の説明で、出張販売員に対しては、慎重な指導監督をしていくと言っておられますけれども、また山間僻地から、遠くまで計量器を買いにこなければならぬというのでは不便であるからという、非常に思いをいたした処置のようでありますが、出張販売ということになると、これは行商みたようなものになります。行商の一部になってしまう。言うまでもなく、計量器は国民生活、経済の全く柱となるようなものであると思いますから、その気持はわかるが、一応この大きな改正になっていく段階として、もう一ぺん何か考え直して、この出張販売ということを、何かもっとほかの方法で考えていくような考えはありませんか。この原案通り、やはり責任を持って監督指導していくから、心配ないからこれを強行するという考えか、その点をもう一ぺん伺っておきたい。
  29. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 出張販売員の問題の取締り方法は、先ほど申し上げた通りでございますが、現実の事態を見ますと、ある程度われわれの目の届かぬ範囲のところで、現行法から見ますれば、いかがかと思われるような事態も、あるやに聞いております。それを、全部が全部われわれはいいとは思っておりません。中には、ある範囲の販売活動としては、やはり合理的ではないと思われるものもございます。ことに、現在のように、需要家の面から見ますれば、計量器をぜひ簡単に入手したいという希望が、これは農山漁村では、非常に強いわけでございます。他方から申しますれば、昔のはかり座とかいうふうな一種のギルド・システムで、売ってやるから買いにこいというような気持が、販売業者に残っておるようでは、これは近代的な販売業とはいえません。また計量器の普及にも、これは差しさわりが十分あるわけでございます。やはり責任を持った販売員あるいは行商という形は、交通不便な土地におきましては、必要ではないかと思っております。数多いいろいろな事態のうちで、その面はやはり法律でも認めまして、そうして計量器の普及あるいは計量思想の普及という大きな目的に協力させた方がいいだろうと思っております。そういうことで、いろいろ考えましたが、別にこれ以外に、われわれ不敏にして、いい案も実は見つかりませんので、この辺で一つ現実の最小限の要望に沿ったらどうかと考えております。従来、ともしますと、農山漁村におきましては、どうも体温器がほしいのだけれども、どこへ行って買ったらいいのだとか、あるいは苗しろなりその他の温度計もほしいのだけれども、農協でも売ってくれない、それから町の薬屋に行ってもないといったようなことで、かなり不便を感じておるところがあるようであります。こういうふうな行商という制度は、交通不便な土地で起るのが普通だと思いますが、必ずしもいい進歩した方法ではないかもしれませんけれども、しかし、山間僻地、農山漁村等におきましては、ある程度必要な制度だろうと思いますので、計量思想普及という大局的な見地から、最小限度の措置としまして、販売員ということによりまして、そういうふうな部面の要望を解決して参りたい、こういうわけでございます。
  30. 笹本一雄

    笹本委員 この宣伝というか、実施に当りましての予算については、大して心配ない。従業人員に対しても、もう少し合理的な行政をやっていけば、これで十分できるというような答弁でありましたけれども、今度の計量法は、根本から変っております。従って、地方庁においては、こういう予算というものは、さいぜん話したごとく、じみなことでありますから、なかなか獲得できないというようなことで、このPRというか、この宣伝、啓蒙に非常に苦心しておるように思われるのでありますが、こういう大きな法律を出すときに、そのしんとなるような法律を出せば、これは右へならえでもって、実施されればそうしなければならないというのだから、これを担当しておるところの通産省で、いずれ予算でもとって、そのしんとなるようなことを配布してやるとか、それは予算上できないというならば、実施に当って、通産省は、特に都道府県知事あたりにあてて、強力な通達なり要請なりで、この予算をもう少し見てもらうようにやった方がいいのじゃないか。あなたの今のお話では、予算にはそう苦労はない、人員その他の行政の合理化をはかってやっていけば、これはそう至難な問題ではないと言われますけれども、実際問題はなかなか大へんであります。業界その他計量器を業として使う人の方から見ますと、それは目盛りや何かを直せばいいのだと言われますけれども、通したものが、多少でも変えなければならぬ。利害関係が非常にからんでおる。施行実務に当るところの係員といいましょうか、その方では、非常に苦心しておると思われるのであります。でありますから、この点に対して、一つ地方庁に対して、本省として強く要請といいましょうか、これを通達するとか何かの意味において、協力してやってほしいという要望であります。これは私の要望でありますが、なお予算関係でも、これを何とかしんとなるところを予算を分けてやるということを、今はできないでしょうけれども、そういう点について、あなたはどういう熱意を持っておるか。それからまた、これに対してどういうことをやりつつあるとか、今後も、これの実施に当ってはどういう考えを持っておるのか、その点を最後に伺って、私の質問を終りたいと思います。
  31. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 都道府県におきまする計量事務に関する予算の問題でございます。これは御承知の通りでありますが、計量関係の行政では、一方におきまして、検定とかあるいは登録の手数料収入があるわけであります。従来は、そういう手数料は、全部国庫の収入にいたしておりました。国庫から都道府県に対しまして、事務費の一部を補助するという建前で進んで参りました。ところが、必ずしも事務費の補助ということでは、いろいろな人件費あるいは事務費等がうまくまかなえませんのと、それから都道府県の実態がいろいろ違っておりますので、四、五年前の地方の財政行政等の整備の際に、手数料収入を地方に委譲いたしまして、他方、地方の予算から全額の事務費を見るというふうな建前にいたしたのであります。現在全国で、都道府県あるいは特定都市の収入が約一億あるのであります。支出の方は、人件費を除きまして、大体二億八千万円くらいになっております。地方の財政からも、かなり援助を願っておるわけであります。地方といたしましては、こういう支出の方は、これは国の事務を地方に委譲しておるのだから、本来は義務教育と同じように、それは国庫負担とすべきじゃないかという議論もありまして、われわれの方も、予算要求の当初は、国庫負担の要求をしておりますが、これは一度地方の財政の負担に切りかえましたから、なかなか財政当局のいれるところとなりませんで、毎年要求しながら毎年いれられない、こういう状況になっております。必ずしも地方で十分に予算をつけているとも存じませんが、しかし、ある程度歳入もありますので、理解を持っていただいておるようでございます。今後、われわれも、事あるごとに、都道府県に対しましては、十分な予算をつけるようにということは、いろいろなチャンスで申し伝えております。
  32. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 特にお許しをいただきまして、本法案に対するただいまの笹本委員質問に関連して、二、三点伺っておきたいと思います。時間の関係もありますので、私の方の聞きたいと思うことを、まとめて申し上げます。  第一点は、一般商品と計量器との相違しておる点は、どういう点か。また一般商品と計量器と、どんな考え方で見ておるか。  それから第二点は、計量器を、登録店以外で販売している店の数を調べたことがあるかどうか。一体、どれくらい無登録で販売している店があるかということを、聞きたい。  第三点は、こういう法律を通すならば、いっそのこと、登録制度というものをなくしたらいいじゃないか。なくする考えがあるかどうか。  第四点は、普及に名をかりて、この法律は、長年のわが国の計量制度というものを、根底からくつがえそうとしている。先ほど伺っておりますと、計量器の登録店が少いために、非常に不自由している。特に山間僻地では不自由である、こうおっしゃいますが、一体、登録店の数はどのくらいあるか。一戸当りの担当戸数が、どれくらいになるかということを伺いたい。  それから、本法案を通すことによって、計量器販売制度を根底からくつがえしてしまい、他日悔いを残すことがありはしないか。こういう点について、御所見を伺いたい。  まず以上五点について、お答えをいただきたい。
  33. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 一般商品と計量器の相違点でございますが、これは申すまでもなく、一般商品におきましては、その構造あるいは精度等につきまして、ある基準に合格したかどうか等について、公けの証印のないものが普通でございます。ただ最近は、場合によりましては、日本のJIS規格に合格したというような自己証明をするものも、国内ではございます。また輸出商品等におきましては、検査合格というものもございますが、一般には、そういう制度はございません。計量器につきましては、計量器の安全確保と俗にいっておりますが、要するに一定の精度、性能を確保いたしますために、検定を行なって、検定合格品でなければ売れないということになっておりまして、この点が一番の相違だと思っております。  それから、登録店外の販売業者の数を調べたことがあるかという御質問でございますが、これは調べたことはございません。これは、性質上、なかなかわかりませんが、ただ、判明いたした場合には、状況によりましては、刑事事件になっていることもございます。御承知のように、現在、新潟県の農協の計量法違反事件が、第二審まできております。そういうふうな、いわば、あがれば事件になるという形で、わかっておるわけであります。けれども、全般的にそういうことを調べたこともございませんので、実ははっきりしておりません。私は、あまりないかと思っております。  それから第三点のお尋ねは、今度販売員制度を設けましたことが、今までの計量器の販売登録制度を、根本的にくつがえしはせぬか、むしろ登録をやめたらどうかというふうな御質問かと思います。これは、先ほど申しましたように、何と申しましても、交通不便な地域では、計量器を売ってやるから買いにこいといって、町の商店あるいは物品販売所等だけで行なっておるのでは広い計量器の需要に対しまして、なかなか応じられないようでございます。たとえば、北海道あたりでは、そういうこともあるかと存じております。また、過日参議院の方にも、農業会議所の方から、農協系統の登録を免除するようにというふうな、何か請願でございますか、陳情か何か出ておるようでございますが、われわれの方としましては、先ほど来申しますように、農協であろうが、生協でありましょうが、やはり財売なり販売の仲立ちを業とします者は、これは全部登録していただくというふうに考えておるわけでございます。ただ、先ほど来申しますように、広い需要の要望に対しまして、やはり何かこたえる制度が要るのではないかと思っております。そういう意味で、販売員ということを設けたわけでございまして、決して、この販売員制度を設けましたために、販売業者登録制度というものがくずれるとは、実は考えておりません。その販売員の行動に対しましては、やはり販売業者が責任を負うわけであります。登録販売業者が責任を負うわけでございまして、また先ほど来申しまするように、販売業者は身分証明書を携行させ、氏名等も都道府県に届けさすということになっておりますので、もし、それに違法行為がありますれば、これは販売業者自体の登録の問題になるわけであります。従って、登録制度を有名無実にするというふうには、実は考えておらぬわけでございます。また登録制度をやめたらどうだという御意見も、あるいは出るかと存じますが、これはやはり先ほど来の計量器販売の特殊性もございまするので、いろいろな違法な行為は、あるいは正確でない計量器は、流通過程でとらえませんと、生産過程では、検定とか、あるいは免許とか、立ち入り検査しかございませんので、やはり流通過程でつかまえるのが一番早いようでございます。どこでどういう計量器を売っておるということが監督官庁にわかりますことが、これは流通過程で押える要点でございますので、登録制度をなくするということは、実はわれわれ現在考えていません次第でございます。  それから、登録販売業者の数でございますが、これはあるいは一般資料としまして、お手元に配ったかとも存じますが、現在五万六千七百五十八の登録販売業者がございまして、その店舗の数は五万七千四百三十八、これは昨年の三月末現在でございます。このほかに、製造業者あるいは修理業者も、販売行為は行えるわけでございますが、専門に販売を行なっている者の数は、今申し上げた通りでございます。
  34. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 今のお答えでございますと、一般商品と計量器との相違点は、はっきりしておるにかかわらず、一般商品と同じように振り売りをさせるということは、計量器に対する尊厳性を傷つけることになる。私ども、子供のころから、ものさしにしても、はかりにしても、ますにしましても、これはほかの商品と違うものであるという観念を植えつけられ、またそんな気持で取り扱ってきておる。従って、計量するに当っての間違いが少かったわけです。ところが、これを一般商品と同じように振り売りをさせて歩くということになりますれば、国民はこれを軽視することになる。勢い、一般商品と違っておる計量器に対する尊厳性というものは、喪失することに相なると思います。こういう意味からいっても、この法律は、むしろ改正でなくて改悪であると私は思う。  それから第二点の、計量器を登録店以外で販売しておるものを調べたことはない、そういうものはないだろう。新潟県において二、三そういう例があったと、こうおっしゃるが、これは取締りの怠慢もはなはだしいと思う。今日の法規からいえば、当然取り締らなければならぬにかかわらず、ほとんど取締りをしていない。それは予算がないということが、原因の大きなものであると私は聞いておりますが、取締りをしないで、野放図に今日やっておる。私どもの知る範囲では、例をものさしにとりますと、学校の付近の学用品販売店は、ことごとく無登録で売っております。これなども、ほとんど取締りをしていない証左であります。試みにお調べ願えば、非常な数に上ると思っております。要するに、今度の法律は、そういう取締りをしないで、悪いことをしている人にマッチするような法律を作ってやる。いいかえれば、どろぼうに、罪にならないようにしてやるという法律であると断ぜざるを得ない。こういう意味からいっても、この法律が信憑性を欠いた考え方から立案されたものとわれわれは考えたい。  それから第三番目に、長年の制度をこわすのじゃない、こうおっしゃいますが、登録制度がある限りは、山間僻地でお困りになる面があるならば、登録を許可してやればいい。にもかかわらず、むずかしいことを言って登録をさせぬようにしておいて、振り売り業者を認めるなどは、これは本末を転倒した考え方ではなかろうかと思う。  さらに、販売店は、今、聞けば五万六千何百戸ある。一戸当りは、これは計算すればおのずからわかるわけですが、米とか麦とか塩とかいう日常必需品の販売店ですら、大体一店当りが三百か四百になっておる。これで申しますと、千戸ぐらいが一店当りになっているようでございます。普通の必需品じゃない、従って、これだけあれば大大夫と思いますが、さらに足りぬということであるならば、農業協同組合であるとか、生活協同組合であるとかいうものにどんどん登録させて、登録店として法に従って売らしてやればいい。それをやらないで、逆に行商にいける制度を作ってやるということはこれは普及にあらずして、法の違反を政府が慫慂する結果になると思います。御承知のように、いよいよメートル法が実施され、ますます取締りを厳にして、計量器の重要性を認識させなければならぬにかかわらず、長年の美風であるこの制度をこわして、自由販売を普及させるのだということに名をかりて、めちゃめちゃな混乱状態を招来するようなことを考えられることは、誤れるもはなはだしいものと私は考える。こういう意味から申しまして、私は、本法案は、もう一ぺん出直して再検討すべきである、実態をよくにらみ合せて出し直すべきであって、軽々に通すべきではないと考えるのであります。こういう点についても、いろいろ聞きたいこともありますが、他の質疑関係もありますので、私はそういう点に特に注意を喚起し、当局の反省を促し、まして私の質問を終ります。
  35. 小平久雄

    小平委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明三日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時六分散会      ————◇—————