○阿左美
委員 ここに、絹、
人絹織物業者から陳情書か参っておりますが、こおれは今までの陳情書とは事変っておりまして、単なる
織物業者としての陳情書ばかりではないようです。やはり
織物産地の市長とか議長とか商工
会議所の会頭とかいうような、広範囲にわたっておりますところの陳情書であります。その陳情書を、一応、私、朗読いたします。
内地向絹
人絹織物の
不況対策に関する陳情書
昨年春以来の
繊維業界の
不況に対応して絹
人絹織物業界においては
生産設備の
制限
の実施と並行して、過剰
織機を廃棄処分し、更に
生産数量の
制限を一段と強化する等
各種の安定施策を逐次実施して
不況打開に努力して来ましたが、遂に所期の成果を挙
げ得ず、本年に入り
業界の情勢は各種
原糸相場の暴落等その悪化に拍車をかけ、先行
不安人気の抬頭により需要は著しく減退するのみならず、逆に
手形は
長期化し不当返
品ならびに
値引の増大、約定ものの破棄等による不健全なる
取引はいよいよ産地を窮
地に追近み、このまま放置すれば投売乱売の悪循環となり中小零細
企業である各
生産
地は将に最悪の事態に直面するに至りました。
もとより今次の
不況は世界的景気の下降による
輸出の不振、国際収支の悪化、
金融
引締政策の実施等に起因するものでありまして、
政府の抜本的施策にまたない限り、
その回復は至難でありますが、目前にせまる
業界の深刻なる窮状を救済する
ため左記
応急
対策を即時実施し、適正なる
生産体制と
取引の改善
措置を講じ以てこの混乱期と
不需要期を乗り起え来る秋冬物の需要期に対処致したい所存でありますのでこれが対
策資金(
調整資金)につき格段の御高配賜わりたく茲に陳情致します。
記
一、
生産制限を一段と強化する
ため四割
休機を断行すること。
二、四割
休機を円滑に実施する
ため調整資金の確保を図ること。
調整資金の所要量は別表のとおりとする。
こういう陳情書でありますが、これはほとんど全国的に
関係を持つところの陳情書でありまして、
織物産地の
業者以外の方でも、その市とか、その町とかいうものの経済にも影響するというような立場から、市長とか議長とか商工
会議所会頭というような方がこれに加わりまして、陳情して参ったことと私は思うのであります。こういうような点から
考えてみまして、今回の
不況というものは、いまだかつてないところの
不況でございまして、実に深刻なものと
考えるのでございます。このままこれを放置するならば、ゆゆしき問題を引き起すのではないか、こういうふうに
考えられますので、これは単なる
繊維のみの
不況対策ということ以外に、市とか町とかいうものの経済にも
関係する。倒産者が続出するというようなことから、
関係者が非常に心配して、ここにこの陳情書をもって
政府にお願いをするということになったと思うのです。過日も、私、聞くところによりますと、こういうような陳情書を作り、またこういう協議をするに当りましても、これは
織物業者が中心となってこういう陳情書を作ったわけではございませんで、桐生の市長が、市長の名において関東各地に、また全国各地にこれを呼びかけたというようなことから
考えてみまして、いかにこの
繊維関係というものが、その
不況の度合いが
考えられるか。こういうようなことから
考えてみますと、どうしてもこのまま捨ておくわけにいかない、何とか
対策をとらなくちゃいけないということでありますが、どうもなかなかこの
対策がむずかしいのでありまして、
先ほども、いろいろ同僚
委員からの質問に対しまして、
政府からお答えがありました
通り、
政府といたしましても、決してこれを放任するというお気持ではないということが、よくわれわれにもわかるのでございますが、さりながら、具体的にこれをどうするかということになりますと、これはきわめてむずかしい問題だと思うのでありますが、
業界では、こういうことを、この陳情書にもその数字があげてありますが、具体的に申し上げますと、今まで三割
操短というようなことは、いろいろ
業界でも申し合せて参っておったのでありますが、実際にその
操短を実施しておるのは、現在までは二割くらいじゃないかと思われます。しかし、各産地の人たちの
意見を聞いてみますと、中には、
操短というようななまやさしいことではなく、全休をしてもらいたい、こういうような
意見が、
業者間には相当あるのであります。しかし、全休ということは、かなり問題でございまして、どういう処置をとって全休をするかということは、ただ全休ということを決議したとか、申し合せたとかいうことでは、でき得ないのであります。そういうような点を慎重に
考えました結果、四割の
操短をしよう、こういうことを申し合せたわけであります。ところが、その二割は、完全に現在やって参っておるのですから、四割といたしますと、あと二割ということになりますので、この二割を
操短するのには、どういうことにしたならば完全にでき得るかということを、
業者間において非常に慎重に協議をしたのでございます。そこで、具体的
操短の数字が出ておりますが、大体において、現在、全国で
内地物の登録
織機というものが十五万六千九百六十四台でございます。これの四割を
休機するということになりますと、六万二千七百八十八台というものを
休機する、こういうことに一応いたしたわけであります。そこで、
休機するに対しまして、どういう資金が必要かということになりますと、これは一台に対して一カ月に大体五千万円の
休機資金が必要である、三カ月、七十五日間
休機すると、一台に対して一万五千円の資金を必要とする。これも大体において、一台に対して一日二百円というふうに換算してあるようであります。そういたしますと、これが九億四千百八十二万円という資金が要る。これは四割でありますから、二割は今まで自己の資金において
操短をして参ったのですから、あと二割を追加するのでございますから、その半額の四億七千九十一万円というものを
休機資金として必要とする、一応こういう計算をいたしたわけであります。それと、
手形決済資金ですか、これがまた、動力
織機は十五万六千九百六十四台、それの四割の六万二千七百八十八台というものに対しまして、大体一台に対する
決済資金は二万三千円を必要とする、こういう計算になっております。そういたしますと、これが十四億四千四百十二万四千円という数字になります。それの半額七億二千二百六万二千円というものを必要とする、こういう一応の計算をいたしております。そうしますと、
休機資金と
手形の
決済資金を合計いたしまして、十一億九千二百九十七万円という資金を必要とする。この資金が何とかなりますれば、四、五、六と、ここ三月間、一カ月七十五日の操業日数において、全
織機台数のうち四割を
休機する。そういうことになれば、これは現在が
生産過剰からくる
不況と
考えられるのですから、購買力がそう急に減って
——必要のないものを作るというわけではないのです。これは
国民の生活上、最も必要とする衣食住のうちの衣類
関係でございますから、全然これは必要がない、そういう購買力がないということはないはずです。時期とか、相当の
需給のバランスが合ってくれば、これは売れるとか売れないとかいうことは絶対にないと思う。四割を
操短するならば、その期間内に必ず滞貨も常道に復してくるという
見通しから、ぜひ四割を三カ月
操短をしたい。そうなれば、必ず先の
見通しは正常化するという
関係から、全国の
業者と
関係団体との協議の結果、これができたように聞いております。
そういたしますと、その十一億何がしの資金を、どういうふうにして御心配いただくかということになるわけでありますが、これは
先ほどの
中小企業庁長官の御答弁をお聞きしておりますと、
北陸方面にもそういう例がある、そういう
方法においてやりたいと思うということでありましたので、
政府におかれましても、こういう事態をこのまま放任しておくお気持は確かにないと思うのでありますが、この
内地物の現在の
休機資金に対しましても、
北陸三県のような
方法においてお
考えをいただき、またそういう御処置をとっていただくことかできますかどうか、これは
一つ大臣にお伺いをしておきたいと思います。