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1958-03-25 第28回国会 衆議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十五日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 笹本 一雄君    理事 島村 一郎君 理事 長谷川四郎君    理事 松平 忠久君       有馬 英治君    大倉 三郎君       神田  博君    齋藤 憲三君       櫻内 義雄君    佐々木秀世君       中垣 國男君    中村庸一郎君       福田 篤泰君    南  好雄君       横井 太郎君    佐竹 新市君       志村 茂治君    田中 武夫君       田中 利勝君    帆足  計君       水谷長三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       小笠 公韶君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         中小企業庁長官 川上 爲治君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 善衞君  委員外出席者         参  考  人         (全国信用保証         協会連合会常務         理事)     深瀬  晃君         参  考  人         (全国地方銀行         協会常務理事) 吉橋 鐸美君         参  考  人         (全国中小企業         等協同組合中央         会常務理事)  岡崎 正男君         参  考  人         (群馬信用保         証協会専務理         事)      小淵 瑳一君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月二十日  委員日野吉夫君辞任につき、その補欠として永  井勝次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭正要求に関する件  日本貿易振興会法案内閣提出第八八号)  中小企業信用保険公庫法案内閣提出第一〇一  号)  中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律  の整理等に関する法律案内閣提出第一一七  号)      ――――◇―――――
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  まず日本貿易振興会法案議題とし、審査を進めます。  本案につきましては、すでに質疑を終局いたしておりますので、直ちひ討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。  日本貿易振興会法案について採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  4. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  この際、田中武夫君外七名より、本案に対し、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付したいとの提案がなされております。この際田中武夫君の発言を許します。田中武夫君。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいま可決せられました日本貿易振興会法案につきまして、この際自民党諸君の御了解を得まして、自民党社会党両党を代表いたしまして、附帯決議を御提案申したいと思います。  まず案文を読み上げます。  一、本会の役員及び運営審議会委員には、出来うる限り民間達識者の参画を求め、本会業務官僚的運営に陥らざるよう充分留意すること。  二、本会海外活動については、在外公館との有機的連繋及び在外商社との密接な連絡に遺憾なきを期すること。  三、政府は、本会の行う貿易振興業務機動性に鑑み、資金繰りの承認その他の監督に当つては、本会業務の円滑な運営を阻害せざるよう充分留意すること。  四、本会は、輸出に向けうべき商品を生産する中小企業者のために、その輸出意欲を一層旺盛ならしめるよう、国内におけるこれが指導斡旋活動に万全を期すること。 以上でございます。若干補足いたしまして、提案理由を申し上げたいと存じます。  ただいま申し上げました案文の一項から四項までの各項目につきましては、すでに本法案審議の際に、各委員から政府委員並びに大臣になされましたいろいろな質疑応答の中で、明確に出ておるわけでございますが、若干補足いたしますと、まず、第一項の問題につきましては、貿易振興に当って、ことにこの日本貿易振興会運営委員等には、民間の有能な人を入れることによって、その運営業務が官僚的に陥らないということに特に留意すべきであるということを、申し上げたいと思うのであります。  なお、二、三の二項目につきましては、貿易の円滑な業務の推進のためには、言うまでもないことでございまして、ことに本法案の第一条に、その目的といたしまして「日本貿易振興会は、わが国の貿易振興に関する事業を総合的かつ効率的に実施することを目的とする。」と、こうありまするこの目的に沿っての運営をなすためにも、ぜひ必要な項目であると確信をいたしております。  第四項につきましては、ことに今日までのジェトロ活動等を見ました場合に、中小企業の面になされた点については、その宣伝等が十分でなかったというようにも考えられますし、たとえば、パンフレット等を発行いたしたといたしましても、そのパンフレット内容等が、いかにも官僚的な、あるいはお役所の報告といったようなものであって、中小企業業者が、進んでそのパンフレットを見ようという意欲を欠いておったというような面もあったのではないかと考えられますから、中小企業業者人たちが、進んでこの貿易振興会業務を理解し、そうして、輸出意欲を一そう旺盛ならしめるように努めることは、言うまでもないことと存じます。ことに、中小企業業者輸出振興のために、今後、本貿易協会が特に力を入れてもらいたい、こういう気持を持っておりますし、今までのジェトロ運営等から見ましても、中小企業の点に関して、若干の遺憾な点もあったと思いますから、特にこの点を強調いたしまして、はなはだ簡単でございましたが、提案趣旨の説明にかえたいと思います。  どうか全委員の御賛成お願いいたします。
  6. 小平久雄

    小平委員長 採決いたします。田中武夫君の提案の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際、小笠通産政務次官より発言を求められております。これを許します。小笠政務次官
  8. 小淵瑳一

    小笠政府委員 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、全く同感でございまして、われわれといたしましては、この趣旨の達成に全力を傾注いたしたい、こう考えておりますから、よろしくお願いいたします。
  9. 小平久雄

    小平委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  11. 小平久雄

  12. 小平久雄

    小平委員長 この際参考人の件についてお諮りいたします。本日出頭を要求いたしておりました参考人中全国信用保証協会連合会会長田中猛者は、急病のため出席できない旨、連絡がありましたので、同連合会常務理事深瀬晃君を参考人として、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  14. 小平久雄

    小平委員長 まず両案について、御出席参考人より御意見を承わることにいたします。  御出席参考人各位は、全国信用保証協会連合会常務理事深瀬晃君、全国地方銀行協会常務理事吉橋鐸美君全国中小企業協同組合中央会常務理事岡崎正男君、群馬信用保証協会専務理事小淵瑳一君、以上四名の方々であります。  この際、参考人各位に、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、御多用中のところ、本委員会に御出席下さいましたことを、厚く御礼申し上げます。  申すまでもなく、現下の中小企業金融実情にかんがみ、その金融資金源増大をはかる一面、その信用力、あるいは物的担保力増大をはかることは、喫緊の要務であろうと存じます。本日御意見を伺うことになっております両法律案は、かかる見地より、従来の中小企業信用保険特別会計を発展的に解消し、新たに一般会計から八十五億円を出資し、計百七億円の資本金をもって公庫を創設するとともに、公庫法施行に伴う関係法律を整理し、かつ保証保険制度等を改めようとするものであります。  この際、中小企業金融業務を直接担当しておられる方々と、中小企業団体の方より、両案について忌憚のない御意見を承わり、もって、両案の審査に遺憾なきを期したいと存ずる次第であります。  参考人の御意見御開陳の時間は、お一人おおむね十分程度とし、その順序は、委員長におまかせを願いたいと存じます。なお、御意見御発表の後、委員の側から種々質疑もあろうかと存じますので、お含みの上、お願いいたします。  それでは、最初に深瀬参考人よりお願いいたします。
  15. 深瀬晃

    深瀬参考人 お許しを得まして、私から意見を述べさせていただきます。  私は、全国信用保証協会常務理事深瀬晃でございます。田中が伺うはずでございましたが、病気でございますので、私からかわりまして述べさせていただきます。昨年度十億円に引き続きまして、本年度二十億円の国家資金を、われわれ信用保証協会にお貸し付け願う措置が進んでおるように、拝承いたしておりますが、この点につきましては、皆様方のかねがねの非常なお手厚い御配慮を、この機会に御礼を申し上げ、今後ともよろしくお願いいたします。  保険制度につきまして、第一の問題でございますが、包括保険全面的実施は、保証協会といたしまして非常に困る、こういう点を申し上げたいと存じます。この問題につきましては、昨年八月以来、大蔵省に金融制度調査会が設けられまして、その席上で、この問題が研究されたのでございますが、その調査会答申につきましては、すでに御承知と思いますので、詳しくは申しませんが、その際に、包括保険の問題につきまして、保証協会側から申し上げましたのは、建前としては、包括保険は悪くないのでありますが、現在直ちに全面的に実施いたしますのは、信用保証協会経理内容経営方針その他が、極端に申しますと、五十二通りあるような実情でありまして、元来、保険を五十二の協会の中で相互にやるという考え方そのものに、非常に無理があるのでございます。御承知のように、保険は、非常に多数の相手方の間で保険をすることによって、成立するものでありまして、わずかに五十二の対象の中で、互いに保険をし合うという考え方は、非常に無理なのでございます。もしその無理が許されるならば、これは非常に保険料率が安くて、ほとんどゼロに近い保険料でありまして、しかも、填補率が一〇〇%に近い填補率であれば、この無理も行われるのでありますが、現在の保険制度のもとに考えられております保険料率填補率では、現在直ちに全面的に包括保険を実施するのは、保証協会経理に非常に混乱が起きるので、困る、こういう点を申し上げたいのでございます。  なお、つけ加えて申し上げますと、火災保険とか生命保険のように、科学的な保険料というものができておりません。保険協会ができまして、近々十年そこそこでございますから、料率その他につきまして、科学的なデータがございませんで、腰だめの保険料でございますから、この点が、保証協会経理にとりまして、非常に重大な影響を来たすのでございます。  さよういたしまして、この保険制度答申におきましては、中小企業信用保険につきまして、包括保険は将来実施する方針である、こういうふうに、はっきりきまりまして、それで直ちに全面的に実施される、こういうことになっておるのでございます。それから、それに附帯いたしまして、小委員会意見というのがございますが、それにも、さらにこの点に付言いたしまして、経過措置といたしまして、一定の金額までの保証に関しては、直ちに包括保険を実施するが、当該金額をこえるものについては、経過措置を設けて、逐次これを実施するということになっておりまして、この二つの文書から、包括保険を全面的に実施しないということは、そのときに御出席大蔵当局とも、十分にお話し合いかついた問題であると、われわれは考えておったのでございますが、政府の今回の案におきましては、全面的に包括保険を実施するということになりまして、われわれのかねてのお願いが、全然無視されておるという点が、保証協会側として、納得のいかない第一点でございます。  それから第二点は、保険料の問題でございます。五十万円以下につきまして、包括保険が実施されておりますが、われわれ保証協会は、大小さまざまありまして、一律に五十万円で網を打ちまして、全部が保険にかかるということになりますと、約三分の二ぐらいの保証協会は、小口の五十万円以下の保証が多いから、ほとんど全部包括になってしまうのであります。そういうことからいたしまして、保証協会としては、かねがね二十万円ぐらいまでのところに段階を設けまして、一応二十万円、それから十万円というふうな段階をつけまして、協会実情に応じまして、選択的に包括保険をやらしてもらいたい。たとえば、Aの協会は、非常に小口保証が多くて、協会そのものも少さいから、十万円ぐらいの包括保険を当面実施する。Bの協会につきましては、三十万円ぐらいのところをやるというふうなことを、お願いいたしておったのでございますが、政府の今回の案は、五十万円以下は全部包括保険ということになりまして、ほとんど保証の全部が包括になる協会が、たくさん出てくるのでございます。  それから、さよういたしますと、今まで五十万円以下につきましては、政府の案では、二十万円以下につきまして包括保険という制度がございまして、これが填補率が九〇%でありましたが、その包括保険利用しているのは、現在五十二の協会のうちで十三協会ございます。そういうふうにいたしまして、包括保険が案外利用率が少い。というのは、元来、保証協会保証する場合には、事前中小企業者信用状態を調査いたしまして、保証いたしておりますが、全部を保険に付する必要はないわけでございます。非常に危険があると認めまして、しかも、これは、中小企業者のために保険をつけなければならぬというものこそ、保険をつける必要があるのでありまして、端的に申し上げますと、保証協会保証いたしまして、それが貸し倒れになりまして、代位弁済をいたしますそのものだけが保険にかかれば、いいわけでありますが、それが、大体保証いたしましたものの一・七%前後が、今、代位弁済されておるのであります。そういうふうに、わずかに一・七%くらいの対象を相手にすればいいのを、全部保険にかけなければならぬことになりますから、非常に保証協会といたしましては、保険料持ち出しが多くなるのであります。これが、協会によりまして、今、保険制度を非常によく利用している、ほとんど一〇〇%に近い保険利用している協会でありましたら、今度の切りかえによりまして、料率が若干下っておりますから、影響はないのでございますが、大部分の協会は、保険利用が非常に少いのでありますから、今申しましたような保険料持ち出しが、非常に多くなるのでございます。しかも、御承知のように、填補率が七〇%というふうに非常に下っておりますから、零細企業金融をやるという趣旨から、もう少したがをゆるめて保証したらどうかというせつかくの御意思が、どうも通らないことになるのではないかというふうに考えられるのでございます。  それから、五十万円以下二十万円超のものにつきましては、料率が、政府の案では九厘になっておりまして、填補率が七〇%でございますが、これも、今申しましたように、保険の必要がないものまで保険にかけなければならぬのでございますから、もう少し料率を安くならないかという点が、お願いでございます。  続いて、われわれの端的な希望を申し上げますと、填補率は、前の包括保険とか小口保険にいたしました八、九〇%の填補率で、料率は、先ほど申しましたような小さい協会経理状態から考えまして、二十万円以下については、大体六厘以下ぐらいにお願いできないかということを考えております。それから五十万円以下につきましては、七厘以下ぐらいの料率お願いできないものだろうか、というふうに考えておりますか、今申しました六厘、七厘くらいの料率をもちましても、どうも保険料持ち出しが多くて、この制度利用できないのではないかというようなことのある協会が、また相当出てくるはずでございます。  五十万円超の普通保証保険でございますが、これも、今の制度が、保険料が二分でございまして、填補率が七〇%でございますが、これが今度の政府案におきましては、二分五厘に引き上げられまして、填補率が六〇%に引き下げられております。保険制度ができて以来、皆さんが御承知のように、填補率は次第々々に改善されておりますし、保険料も毎年下げられておるのが、今回、この普通保証保険のみが、突如として制度改悪されておるという点は、何をいたしましても、ふに落ちないのでありまして、中小企業対策を前進するときに、非常に後退しておるということは、保証協会といたしまして、何としても納得ができないのでございます。保証協会といたしまして、五十万円以上につきましては、先ほど申し上げましたように、保証をする場合に事前審査をいたしておりますが、金額が五十万円以上になりますと、さらに慎重に事前審査をするのでございますから、あるいは政府で御心配になっておりますように、今後保証が伸びれば、もっと事故がふえるのじゃないかという点につきましては、私は、そういう御心配は要らないというふうに申し上げたいと思うのでございます。保証協会といたしましては、基金は、国からお借りした資金なり、地方公共団体からの資金でありまして、ひとしく税金でございますから、その資本金の保全には、十分努力をするつもりでございまして、事前審査制を慎重にやりますから、決して事故が増すことはないというふうに考えております。それでありますから、今申し上げましたように、保険料率を著しく引き上げまして、填補率引き下げるという改悪は、どうも筋か通らないのじゃないかというふうに考えておるのでございます。  それから保証料引き下げということは、現在中小企業界の世論でございまして、保証協会といたしましても、保証料引き下げをしなければいかぬと思っておるのでございますが、中小企業からいただきました保証料の中から、保険料を支払うのでございまして、保険料は、だれにも転嫁ができないものでございますから、保険料が非常に高くなりますと、保証料がそれだけ食われる勘定になりまして、中小企業界要望であります保証料引き下げということは、事実上できなくなるのであります。保証料保険料と関連して考えますと、何としても保険料は安くお願いしなければならぬのでありまして、われわれといたしましてはいろいろの要望がありますが、少くとも五十万円以上につきましては、普通保証保険料率填補率は、現在に据え置き願いたい。それ以上下げる要望もありますが、少くとも改悪はいかぬので、据え置きに正願いたいという点が、強いお願いでございます。  このように、保証協会側からいろいろの御要望を申し上げますと、それでは公庫独立採算がとれないのじゃないかというふうな御疑念が出るかと思いますが、われわれの方の見解といたしましては、政府案公庫計算をいたしております場合に、回収率という問題がありまして、代位弁済をいたしました中から、数年にわたりまして回収をいたしまして、それを保証協会に一部をいただくことにいたしまして、一部は保険金をいただきました政府にお返しをしておるわけでございますが、公庫ができましても、保険金をいただいたかわりに、この回収金公庫に差し上げるわけでございます。政府案によりますと、回収率を大体四三%くらいに見ておられるそうでございます。これは保証協会ができましてから昭和三十一年末までの、平均の回収率だそうでございますが、保証協会から申し上げますと、保証協会ができまして数年の間は、事務機構も十分に整いませんで、従いまして、回収の能率も非常に上らなかったときがあるのでございまして、保証協会がみなスタートできましたのが、大体昭和二十三、四年のころでありますが、いよいよ機構が充実いたしまして、機能も軌道に乗りました昭和二十九年以降の二十九年、三十年、三十一年くらいの最近の実績を見ますと、これが五十数パーセントまで回収ができておるのでございます。大体半分以上回収ができておるということになるのでございますが、これを手固く押えまして五〇%といたしますと、われわれの方の保険料引き下げ填補率の引き上げをいたしましても、公庫経理には何ら影響はなく経理されるのでございまして、むしろわれわれの計算によりますと、政府案よりは、数千万円公庫経理に好影響があるということになりまして、われわれの要望をいれていただきましても、公庫運営に何ら差しつかえないという結論になるのでございます。  以上が、保険料につきましてのお願いでございますが、その次に、保証協会といたしましてのお願いを申し上げます。この公庫が作られる一つの理由は、保険事務の徹底的な簡素化ということでございますが、この徹底的な簡素化ということが行われまして、保険利用率が高まっていくにつれましての人件費増加を、保証協会側に極力少くて済むようにお願いしたい。今のままでいきますと、この保険利用する範囲が多くなるにつれて、二、三割人件費をふやさなければならぬというふうな事態にもなりかねないのでございまして、この際に、保険手続その他の徹底的な簡素化を願いまして、何とかして人件費物件費増加を来さないように、御配慮願いたいということでございます。 最後に、保証協会自主性の問題でございますが、これは、政府側からは非常に強い御支援を得ておりますから、心配はないのでございますが、往々、この公庫ができますと、全国五十二の保証協会を、この公庫支店にしようというふうな御意見も、世間で伺えるのでございます。われわれといたしまして、これはどんなにいたしましても、保証協会自主性というものは、尊重していただかなければならないと考えておるのでございます。かりに、この公庫支店長地方に赴任するといたしまして、地方実情にも十分通暁しない方が、せいぜい二年くらいおりまして、そこで保証協会運営すると仮定いたしますれば、自分のおる間は、できるだけ手固い経営をいたしまして、もう危険のあるような保証はしない、こういう保身一方のことになりがちでございますから、保証協会を健全に運営いたしますには、やはりその土地におります方々が、この土地実情に詳しい、ほんとうに愛情のある保証をすることが、実情に即すると思うのでございます。かたわら、地方公共団体か、過去十数年間この保証協会を育ててきている熱情、愛情、そういう方面から見まして、物心両方面とも地方公共団体と密接につながって運営する方が、実情に即した保証協会の健全な発展をはかるゆえんであると存じまして、この保証協会自主性の確立につきましては、今後とも御配慮お願いしたいと思います。  はなはだお聞き取りにくかったかと思いますが、以上で私のお話を終ります。
  16. 小平久雄

    小平委員長 次に吉橋参考人お願いいたします。吉橋参考人
  17. 吉橋鐸美

    吉橋参考人 全国地方銀行協会常務理事吉橋鐸美でございます。簡単に意見を述べさしていただきます。  信用保公庫法案、それに関連する法案について、一番大事な点は、従来、保険保証と二段がまえになっておったのを、業務分野を調整して合理化そう、こういうことで今度の公庫法案提案せられた、こう思うわけでございます。その業務分野の調整を、何か非常にあせり過ぎて、無理な急ぎ過ぎの点が、いろいろ今度の改正の中に織り込まれているように感じます。特に銀行といたしましては、利用者の立場から、従来、保険保証と両方を使って、おおむねスムーズにやってきた。それを、今度は、改正法案の内容を見てみますと、急に保険の方をわざと使いにくく持っていって、そして保証の方は、保険の方が使えないために、保証の方を利用しようとしても、まだそこまでの能力ができていない、こういったような空間地帯ができていはしないかということで、一番心配をいたしておるわけであります。その具体的な理由といたしまして、二つの点を申し上げます。  第一点は、今度の公庫法に関連する一連の、特に信用保険法の改正の中で、融資保険普通保証保険について、五十万円以下は扱わない、こういうふうになっておるわけであります。大体、保険において、たとえば、融資保険は、五十万円以下が六割二分、件数で占めておる。その六割二分のものが今まで保険にいっておったのが、全部一挙に保証協会保証に持ち込まれることになるわけであります。ところが受け入れ態勢の方で、二十億円の基金の増加、こういったことにしましても、おそらく昨年の十億円の例からいっても、金が現実に基金として保証限度の拡張に役立つまでには、一年近くもかかりはしないか。また、人の面、仕事の能率の面におきましても、保証協会が、従来自然発生的に育ってきたものですから、今日急に能率を上げるということは、一体この七月ごろまでにできるであろうか、非常用に疑問があるわけであります。そういたしますと、どういうことになるか。五十万円以下については、従来直接銀行から保険の方に持っていって、そして融資保険をかけた。今度は受けつけられない。保証協会の方に持っていった、基金が足りない、能率が上らない、そういうことになりますと、結局そこに中小企業の信用補完ということに、空白の部面が出てきはしないか。基金においても、能率においても、五十万円以下の従来の六二%を、一方的に四月以降引き受けてやる自信がある、こういうことならばよろしい。しかし、従来の状況から見て、非常にそれは困難なことじゃないかと思います。これが第一点であります。  それから第二点は、填補率について、全く魅力がない。これではとても利用できない。こういうように、わざとしておられるような感心じがいたします。一例をあげますと、融資保険が、御承知のように一番利用の多いものであります。これの填補率を八〇から五〇に引き下げた。それはどういうことかというと、百万円保険にかけます、そして回収期限がきている、それが焦げついた、半分の五十万円しか填補をせられないということになりますと、信用度の低い、危険率の多いものをその保険にかけたって、その半分の回収では、とても保険の値打はないわけです。それから、保険料率につきましても、融資保険だけは、いろいろお願いして据え置きになる。けれども、今度は普通保証保険保証協会の方からかけるものについては、逆に引き上げておる。要するに、できるだけ利用の魅力をなくして、そして保証協会の方に一挙に持っていく。これは、方向としては、非常にけっこうであります。そういう方向に、業務分野の調整として、当然進むべきだけれども、あまり功を急いで急にやろうとすると、受け入れ態勢のできていないところへ、片方で魅力のないようにして、こっちに追い込もう、こういうことが感じられますので、方向としてはけっこうですが、ここ一年くらい、保証協会の受け入れ態勢ができるまでは、現状据え置き、こういう線でぜひお願いいたしたい。  第一点の、五十万円以下は利用できないようにする、この点を、一年間くらいはそのまま利用できるようにする。第二点の、填補率保険料率、こういったようなもの、填補率の一挙引き下げ料率の引き上げ、こういうようなことを、一年間くらいは経過措置として据え置く、こういう線でお願いいたしたい。  以上であります。
  18. 小平久雄

    小平委員長 次に、岡崎参考人お願いいたします。
  19. 岡崎正男

    岡崎参考人 私、全国中小企業等協同組合常務理事をいたしております岡崎であります。中小企業の指導機関という立場から、この法案についての希望意見を、簡単に申し上げます。  第一に、この法案は、信用保証と信用保険制度の一本化によりまして、中小企業者に対する信用補完制度の合理化と企業の強化をねらう、こういうことであります。要するに、中小企業の中でも、零細企業金融対策、こういう点から、きわめて適切な法案である、こういうふうに考えておるのであります。以下、この法案公庫業務内容と申しますか、そういう点につきまして、意見を申し上げたいと思います。  第一は、包括保証保険の問題でありますが、この保証保険の種類といたしまして、包括保証保険制度を重視しておられることは、その保険の限度額が五十万円までのものと、それから五十万円超五百万円までのもの、この二つに区分いたしまして、なお、二十万円まで、二十万円超五十万円、五十万円超五百万円というふうに、保険料率段階制を設けられた、こういう点において、中小企業金融、なかんずく零細企業金融の線に沿っておるものと考えておるのであります。ただ、協同組合などの場合につきましては、従来の保証の限度額か、三千万円から一千万円に引き下げられた、これははなはだ遺憾であると思うのであります。これは、普通保証保険の場合にも、同様になっておるのでありますが、協同組合の場合は、たとえば一例を上げますと、東京味噌醤油商業協同組合でありますが、この組合は、五千三百人からの組合員を持っておるのであります。従いまして、これらの組合がこの保険制度利用いたします場合に、限度額を一千万円で押える、こういうことは、はなはだ不当ではないかというふうに考えるのであります。むしろ個々の中小企業者を相手といたします場合よりも、協同組合という組織を通じての、この組合については、相当優遇措置があってしかるべきではないかというふうに考えるのであります。従って、協同組合に対する限度額といたしましては、組合員数の多寡によってきめらるべきものであって、限度額としては、少くとも一億円程度に引き上げる必要があるのではないか、かように考えておるのであります。  次に、包括保証保険料率の問題でございますが、包括保証保険制度は、公庫業務の中で、最も重大な保険であると思うのでありますが、同時に、六大都市と申しますか、そういう六大都市にある保証協会を除いた保証協会については、大体五十万円未満の保証が大部分を占めておる。こういうような現状に照らしまして、示されました包括保証保険料率を、あるいは填補率の点で、かなり納得のいかない保証協会もあるというふうに聞いておるのであります。これは、公庫の基金といたしまして、当初二百億が予定された。これが百億というふうに半減せられたというような事情か影響いたしまして、保険料率やあるいは填補率の面に現われておるのじゃないか、こういうふうに考えられるのであります。公庫は従来の信用保険特別会計制度と違いまして、企業会計の方式によって運営されていく、こういうことになると思うのであります。しかしながら、基金の減少によるところの影響を、包括保険対象業者である零細企業者、または小規模の保証協会に転嫁せられることのないような御配慮が願いたいと思うのでございます。  次に、普通保証保険の場合でございますか、従来の填補率引き下げ、かつ、この限度額を、従来の一千万円から七百万円で抑えておるのでありますが、これも適当ではないと思うのであります。少くとも六都市にある保証協会のようなものにつきましては、従来通りの扱いが望ましいと思うのであります。また協同組合の限度額につきましては、先ほど包括保険の場合に述べましたように、従来の三千万円を一千万円に引き下げておるのでありますが、これは反対に一億程度に引き上げる、こういうことが実情に沿うものであると考えるのであります。次に、融資保険の場合でございますが、融資保険は、逆数選択方式でおるがために事故率が最も高い。三十二年末現在によりますと、保険事故の件数においては六九・四%、保険金の支払率から見ましても、七三・四%というふうに、かなり高い事故率を示しておるのでありますが、こういう現状にかんがみまして、新聞等では、三年後にはこれを廃止するのだというふうに聞いているのであります。しかし、この融資保険も、中小企業者に対する簡便な金融方式ということからいいますれば、やはり存置されることが望ましいと思うのであります。しかしながら、このように事故率の高い保険のために、結果的には、これらの影響が、公庫保険料率の算定の上に勘案されまして、他の一般利用者、あるいは保証協会の負担となる、こういうことがあるようではならぬと思うのでございます。従って、融資保険もまた、中小企業者にとっては、よい制度ではあるのでありますが、事故率が高過ぎる、こういうことで、これを存続いたします場合におきましては、単に填補率引き下げるとか、あるいは保険料率を引き上げるとかいうことで解決される問題ではないと思うのでございまして、本質的な研究対策が必要であろうと思うのでございます。  最後に、信用保制度は、御承知のように、多年にわたりまして、地方自治体の財政的支援によって、今日の発展を来たしたのであります。加えて、戦後信用保険制度の併用、また信用保証協会法の制定並びに政府の財政的援助もあわせまして、急速に今日の発展を見たのであります。願わくば、この公庫が発足する段階に至りまして、その公庫運営に当りましては、この歴史ある地方保証協会自主性と、その機動性を阻害することのないように、同時に、政府はなるべく近い機会に、公庫の基金につきましては、二百億などと言わずに、少くとも三百億程度を大幅に投入していただきまして、公庫は、この基金の運用、維持によりまして、その分を保険料率引き下げに充当する、こういうような措置を考えていただきたいと思うのでございます。  以上、簡単でありますが、意見を申し上げた次第でおります。
  20. 小平久雄

    小平委員長 次に、小淵参考人お願いいたします。
  21. 小淵瑳一

    小淵参考人 私は、群馬県の信用保証協会の専務小淵瑳一でございます。信用補完制度の強化措置に関しましては、いろいろ御考慮いただきまして、ありがとうございます。御礼を申し上げます。なお本日は、信用保証協会の実際の仕事に当っている面から、いろいろ今度の新しい制度の面について意見を申し上げ、なお御考慮をお願いしたい、かように思うのであります。  群馬県の信用保証協会は、全国五十二の保証協会のうちで、昨年十二月末現在の保証の現在高が、十七番目になっております。ちょうど中位に位しておりますので、大体全国保証協会の標準になるのではないか、かように思うのであります。御存じの通り、狭い県下の中小企業者の信用程度というものは、大体保証協会の当事者の頭の中に入っておるのであります。数回保証を繰り返してやっている者、それから全然新しい保証申し込みの者、こういった人たちの大体の資産内容、事業の規模、実態というものは、土地におりますと、はっきりわかるのでございます。ことに、支所組織をとっているところは、各地の商工会議所あるいは商工会等が窓口になっておりますので、土地の事情には非常に明るいのでございます。中小企業者というと、いかにも経営の基盤が薄弱でありまして、非常に危険率が多いようにもお考えの方もあるかと思うのでありますが、実際金融機関の融資のベースに乗らないというような方々でも、保証協会の目から見ると、比較的まじめで、間違いが少いというようなことが感じられるのでございます。  当協会で、本年の二月末日までに保証の総額は、二万三百二十九件、三十九億一千七百七十五万円の保証をいたしました。そのうちで、代位弁済をしたものは二百二十五件、四千八百七十三万六千円でございます。その率は、総保証高の一分二厘四毛に当ります。従って、保証したものを全部保険につける、そして保証協会の基本財産を擁護するというようなことは、行き過ぎではなかろうかと思われるのでございます。もちろん保険料が、先ほども連合会の深瀬常務が申し上げましたように、零に近い、あるいは補填率が一〇〇%に近いというような欲ばった形式が認められるなら、これまた問題は別でありますが、現在の政府間でお考えの程度なら、全部を保険につける必要はないのじゃないか、こう感じられるのであります。保証したものを全部保険につける、そうすると、中小企業者がきわめて容易に融資を受けられるのだという考え方はどうか。もし社会保障的な考え方に徹底して、中小企業者は、どんな相手でも、無審査保証するということなら、別でございますけれども、保険があるからといって、保証を無条件にするわけにはいかないと思うので正あります。中小企業者を助ける、育成するということで、非常に危険のある、まじめでない中小企業者までも無条件で保証するということは、保証協会の基金が、都道府県なりあるいは国なりの公金、国民の税金から出ていることを考えると、これはとるべき措置でないと考えられます。ゆえに、保証協会では、保証の前に、業者の信用の調査を行なっております。その際、幾分これは危険はあるけれども、中小企業の育成強化のため、何としても踏み切って保証する必要かあるという場合のみ、保険をつければいいのだ、こう考えております。  一体、保険料は、保証料の中から支払うものでありまして、業者に転嫁できない。従って、保険料を支払うことは、それだけ協会の収益減になるのであります。現に群馬県の信用保証協会の最近支払った保険料の状態を申し上げてみますと、三十一年、三十二年、この二カ年間に四百六十二万五千六百十一円の保険料を支払いました。そうして、保険の給付を受けたのが幾らだったかと申しますと、六十五万八千円であります。わずかに一割四分二厘にしか当っておりません。  協会は、保証料率を引き下げて、中小企業者の負担を軽減しようと、自分でも考えておりますし、またこれは周囲の世論でもあるわけであります。この保証料引き下げるには、どうしても保険料料率引き下げなければ、この要望にこたえられないわけであります。現在、私どもの協会で、保証料を幾ら取っているかというと、保証料は普通のものは日歩六厘でございます。それから小口金融資促進制度、これは県の条例できめたものでありますが、これは日歩四厘五毛であります、今回、信用保公庫保険料率案は、普通保証保険は二歩五厘、填補率は六〇%。こういうことになりますと、年二分五厘は、日歩に換算しまして六厘人毛十五糸になる。私どもの協会は日歩六厘であります。六厘の保証料を取って六厘八毛五糸の保険料を支払ったら、これは八毛五糸の逆ざやになる。なお、全国五十二の保証協会のうちには、私どもの保証協会よりなお安い日歩五厘くらいの保証料でやっている協会も、見受けられるようであります。こういう協会は、普通保険利用は、とうてい不可能じゃないか、こう思われるのであります。今までも、保険料率の改正はあったが、いつも、その改正のあるたびに、料率引き下げられてきた。しかるに、今回は意外にも料率を五厘も引き上げた。しかも、填補率が低下した。これは全くいかなる理由であるか、私ども判断に苦しむのです。この保険を全面的にやるということになりますと、相当その保険手続簡素化してやりましても、これはなかなか手が込むのでありまして、私どもの協会で、今十八人の職員を使っておりますが、これが包括保険の形でやることになりますと、今までの経験上、大体二名くらい増員しなければやっていかれない。一人当りの人件費、それに物件費、そういったものを加えまして、一人が年四十万円としますと、大体二人で八十万円を増加しなければならない。こういうことになりますと、国から、たとえば借入金を三千万円しましても、その利息と運営利益分を見ますと、大体とんとんになる。結局保険料の支払いだけが増加するということになるのであります。  この保険料算定の基礎資料、こういうものが、もう少し研究の余地があるのじゃないか、こう考えられるのです。たとえば、政府の案で見ますと、大体回収率を四三%と見ているようであります。しかしながら、全国平均は五〇%をこえている。五〇%としますと、信用保証協会要望する包括五十万円以下の保険料七厘、填補率九〇%、五十万円超保険料二分、填補率七〇%としましても、収支の差額は、政府の原案よりも三千四百二十二万円増加するという計算が成り立つのであります。協会では、代位弁済をしたあとで、数年にわたって逐次に回収をしております。これは、相手か中小企業でありますので、急速に回収をはかることは、どうしても苛斂誅求にわたる憂いがあるというような見地から、あるいは月賦にするとか、あるいは年賦にするとか、ごくわずかの金を、長期間にわたって、無理のないような回収をするというふうに心がけております。このために、回収には相当長引きますけれども、長引くがゆえに危険が多いというようなことは、考えられないわけであります。  公庫は、スタート早々から、そんなに独立採算制ということを気にする必要はないじゃないか。一年くらいの間は保険料を受け取る、そうして保険金の支払いというものは、おそらく一年後ないしは二年後になって現われてくるのじゃないかと思います。どうかこの期間中にいろいろの御検討をいただきまして、初めから無理のないように、そうして弱小保証協会の行き立つような方法で、今度の公庫の発足をお願いしたい、かように思うのであります。  大体、以上申し上げたようでありますけれども、今度、公庫の案であるところのいわゆる普通保証保険、これを二分五厘ということにしますと、大体非常に欠損の出る協会が多くなるのじゃないか。私どもの協会でも、これによって損益予想を、やってみますと、大体六十万円程度以上の損失になるようになっております。これは、せっかくここまできまして、信用保険の制度が強化されるときに当りまして、保証協会としましても、十分御協力申し上げるつもりでございますから、何とか保証協会要望をいれていただきまして、そうして納得のいく線で発足さしていただきたい、かように念願する次第であります。  簡単でありますが、以上で終ります。
  22. 小平久雄

    小平委員長 以上で、各参考人の御意見の開陳は終りました。  これより参考人に対する質疑を許します。松平忠久君。
  23. 松平忠久

    ○松平委員 今、参考人意見を伺っておると、この制度は方向としては非常にいいけれども、急ぎ過ぎるために、非常な欠陥が現われてきて、銀行の方も、保証協会の方も、これははなはだ不評判である。言葉をかえて言えば、この公庫を発足させるために、公庫自体は独立採算制でいくけれども、その独立採算制を強行するために、保証協会の今までの填補率引き下げたり、保証料率を上げたりしなければやりくりがつかぬ、こういう実態があると思うのであります。そこで、皆さん方の意見が率直にここで述べられたわけであります。  そこで、私がお伺いしたいのは、この保証協会というものを利用している一般庶民の方々を代表しての岡崎さんの御意見ですが、従来は小口保証保険というものがあったわけであります。それが、今回の制度になりますと、小口はなくなって、全部包括に持っていく、こういうことになったわけでありますが、いきなりすぐ全部包括に持っていくのが、一つの方向であろうとは思うけれども、いきなり今までの小口保険というものを全部やめてしまっていいかどうか  それからもう一つお伺いしたいのは、融資保険は、保険料率は大体同じでありますけれども、填補率が八〇%から五〇%に下ってしまった。今の銀行の方の吉橋さんは、それでは保険の価値がないじゃないか、こういう御説明をされたわけであります。そこで岡崎さんは、中小企業者というものは、今まで通り小口保証保険というものがあった方がいいのかどうか。それから融資保険というものは、存続されますけれども、八〇%の填補率が五〇%に下る、こういう制度でいいのかどうか、そういうことをまずお伺いしたいと思うのです。
  24. 岡崎正男

    岡崎参考人 お答えいたします。小口保険制度につきましては、実は触れませんでしたが、制度としては残していただきたい、こう考えるのであります。従来、たとえば協同組合の場合に、一人当り五万円という線で小口融資をする、あるいは一人当り二十万円で中口融資をするというようなことで、小口保証による保険制度というものを活用されておったのでありまして、願わくはこれを存続していただきたいと思うのでありますが、ただ、公庫考え方といたしまして、包括保証保険制度が強く打ち出されております関係上、この制度がうまく利用されれば、これがいいじゃないか。ただし、ここに填補率、あるいは一番問題でありますところの保険料率の点が問題であるのであります。これが前からの形において、もう少し両者歩み寄る方法はないか。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、当初の公庫の基金二百何億かが百億に減額されまして、その減額された姿においてのいろいろな業務や何かを考えておると思うのであります。その辺が、いろいろ保険料率や何かの面に影響しておるのじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。  それからもう一つの、融資保険についての填補率か、八〇%が五〇%に下った。これは、先ほど申し上げましたように、この制度も、やはり簡易な保証保険方法によりまして融資ができるという点につきましては、制度といたしまして、中小企業者のために残していただきたいと思うのでありますが、ただ、何せこの融資保険というものは、事故率が非常に高い。先ほど申しました六七・何%というような件数からいいましても、大部分が融資保険に集中しておるという関係上、たとえば今度の公庫法などの基金あるいは運用益のすべてが、こちらの融資保険の方に集中いたしまして、他の方が利用できないということになりますと、勢い融資保険というものが、他の包括保険その他の犠牲においてどうやら成り立つという結果を招きはせぬか、こういうことを懸念いたしておるのであります。私は八〇%が五〇%に下ったということよりも、この保険制度を、根本的にもう少し考え直す必要があるのじゃないか、こういうことを考えておる次第でございます。
  25. 松平忠久

    ○松平委員 われわれも、この融資保険が、やはりこの制度をやっていく上においては、一つのガンというか、ガンとまでいかなくても、なかなかむずかしい問題である。ですから、漸減の方針は一応考えるべきだというふうに考えておるけれども、しからば、これをどういうふうにしてその事故率の多くなるのを防いでいくかという、今あなたが言われた根本的な研究をしなくちゃならぬというような考え方で、何かいい案がございましたら、御参考までに伺いたいと思うのです。
  26. 岡崎正男

    岡崎参考人 お答えいたします。実はその点につきましては、私はずぶのしろうとでございますので、あいにくまだ具体的な研究の持ち合せはいたしておりません。
  27. 松平忠久

    ○松平委員 その次に、群馬県の小淵さんにお伺いしたいのですが、この制度をこの法律案通りにやっていきますと、あなたの方の協会というものは、一体どの程度損害がふえるのですか。たとえば人件費は、先ほど聞くと二人増強しなくちゃならぬというお話だったし、それから持ち出しとして、かなり保険料を払っていく、給付はあまりない、こういうことではなかろうかと思うのですが……。
  28. 小淵瑳一

    小淵参考人 申し上げます。大体保証料を千六百八十六万三千円、これは大体平均残高を八億五千万円と見まして、そのうち支払う保険料が八百四十九万一千五百円、そのほか人件費、いろいろなものを差し引きますと、五十七万三千九百九十円の損害という計算になります。
  29. 松平忠久

    ○松平委員 それは一年ですか。
  30. 小淵瑳一

    小淵参考人 そうでございます。
  31. 松平忠久

    ○松平委員 そういたしますと、深瀬さんに伺いたいのだが、この制度を実施するために、全国地方保証協会が損をする額というものは、大体幾らになりますか。それから、損をした場合に、そのために少し困る保証協会が出てきはせぬか。またそういう場合には、地方公共団体の長は、一体どういう態度をとっておるか。私どものところにも、地方公共団体の長から、こういう制度はやめさせてくれという強い陳情が、各委員のところにきていると思う。そのことを伺いたい。
  32. 深瀬晃

    深瀬参考人 松平先生からの御質問の、全国保証協会で、どれくらい損が出るかという総体的な計算は、今出ておりません。今、群馬県の保証協会からお話しになりました件でございますが、群馬県の保証協会は、今まで保険を比較的よく利用している協会でございます。従いまして、こういうふうに全面包括に近い制度になりましても、比較的影響の少い協会でございますが、今まで保険利用している率が非常に少い協会は、それだけ保険料を余分に払うごとになりますから、非常に影響が出てくる、こういうことに御了解願いたいと思います。  それから、府県との関係でございますが、もし政府案を強行いたすといたしますと、五十万円以下につきましては、どうも自分の協会経理上、国家資金の貸付は受けたいけれども、保険利用しない方がむしろ得だという協会が、五十二の中で幾らありますが、小さいところで相当数出るのじゃないかと、心配いたしておるのであります。  それから、五十万円超の普通保証保険が、こういう改悪の状態でございますと、むしろ保険料を払って公庫保険につけるよりは、保険をつけない方が利口だ、それから大きな協会でございますと、自家保険をやった方がむしろ利口だ、こういう協会が出るおそれがありまして、制度そのものは、非常にりっぱな制度でございますから、せっかくこういう制度ができましても、それを利用しがたいということは、全中小企業にとりまして、まことに遺憾なことでございます。われわれといたしましては、何とかしてこれに食いついていけるような線を出していただきまして、ひとしくこの制度利用できるというふうに持っていっていただきたいと切望いたします。
  33. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 関連して。  吉橋さんにお伺いいたしますが、この政府提案によりますと、融資保険は、現状では認めておりますか、漸次これは廃止に持っていくことになるのでございますが、融資保険に対しまして、これはあくまでも存続し、認めた方がいいか。またその理由は、どういう理由がありますか、お聞きいたしたいと思います。
  34. 吉橋鐸美

    吉橋参考人 融資保険信用保証協会保証とがダブったような状態になっておるので、この点の業務分野をはっきり調整した方かいいということで、この問題が取り上げられてきた。従って、融資保険を廃止するということは、将来の方向として、けっこうだと思います。ただ、その廃止するについては、保証協会の資力なり機能なりが充実する度合いに応じて漸次交代していく、こういう方向でいってもらいたい。それが充実しないのに、急激に交代を行う、こういった点が理解できない、こういうわけであります。
  35. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 その充実するということは、どの程度、どういうことになるのですか。
  36. 吉橋鐸美

    吉橋参考人 たとえば保証基金につきまして、現在の保証基金では、保証限度に達しているような協会もある。従って、政府の方から貸付金が出る、こういったものも、貸付金がちゃんと出て資力が充実せられる。それから人の面におきましても、従来保険にかけておったのが、全部保証協会の方へ入っていくわけでありますから、それか処理できるような人的構成なんかも充実される、こういった実情があると思います。
  37. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 地方金融機関を通じての融資保険というのは、やはり協会地方金融機関というものは、非常につながりがありますし、むしろ日常のつながりというものは、地方金融機関と業者というものがつながっておる。そういうようなことから考えてみますと、調査も常に完全にできておりますし、その内容また人格ということも、この地方金融機関というものは、よくおわかりになっておるのです。たとえば、保証協会というものは、各県にそう何カ所も作るわけにいかぬ。一カ所である。私は埼玉県の秩父でございますが、浦和に置くということになりますと、秩父から浦和まで来るということよりも、やはり地方金融機関とのつながりにおいて、そういうことをする方が、非常に便宜があるのじゃないか、こういうふうに考えます。そういうような点から考えてみますと、融資保険というものに対しましても、これはどうも多少の弊害もあると思いますが、その弊害を改めますれば、あながちこの保険制度というものも、実際問題として存続する必要があるのではないか、こういうふうに考えるのですが、やはりこれはなくとも、差しつかえはないのですか。
  38. 吉橋鐸美

    吉橋参考人 あればあるに越したことはないと思いますけれども、融資保険も合理的に強くしていく、保証協会の方も合理的に強くしていく、こういうふうに両方をねらったのでは、うまくいかないだろう。どっちか一方をねらうというか、業務分野のダブっているのを調整しようというわけでございます。利用者側としては、あるに越したことはない。ある方がいいわけでしょうけれども、しかし、そうも望めないので、保証協会の方を強くしてもらう、こういうわけであります。
  39. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 あればあるほど都合がよろしいというものを、何ゆえにこれをなくすかということを、お互いに考えなければなりません。大体、本日の参考人の御意見をお伺いいたしますと、今度の制度改悪である、むしろ現状のまま置いておいた方がよろしいという御意見のように聞いておるわけですが、はなはだどうもそういう点に対しましては、われわれ不可解なところがあるのです。私どもは、せめて今回のこの制度は、改悪でなくして、中小企業金融上、非常に得るところがあるとして審議をしておるわけでございますが。参考人意見を聞きますと、これは改悪である、むしろ現状のままで置いていただきたいというような御意見をお伺いするわけでして、はなはだもって私どもとしては不可解な点があると思います。
  40. 吉橋鐸美

    吉橋参考人 自分は改悪であるとは申しておりません。方向としてけっこうでございます。ただ、その改めるのに、急ぎ過ぎておるから、その点を、テンポを合わせてやっていただきたい、こういうわけでございます。
  41. 松平忠久

    ○松平委員 これは小淵さんに実情をお伺いしたい。あなたの保証協会では、保険をつけているものについて事故の発生したとき、現在の特別会計の制度におきまして、代位弁済をして、そうして特別会計からその金がくるまで、大体何カ月かかるか。私ども聞いているところでは、半年くらいもかかる、だから代位弁済でもっては、金が回らなくて困るということを、地方保証協会から聞いたこともある。だから、事務を簡素化せよということが問題になりまして、幾分簡素化されておるだろうと思いますが、実情はどうですか。正直にお答え願いたいが、金がくるのに、何カ月くらいかかりますか。
  42. 小淵瑳一

    小淵参考人 もとはだいぶ手間をとったのであります。私どもの業務方法書でいいますと、期日かきて、三カ月たって返済のないときは、代位弁済の請求をする。そうすると、私どもは代位弁済を実行いたします。実行いたしましてから、保険金の請求をいたします。大体、早いときは三月くらいできます。おそくとも六カ月くらいできて、昔より最近だいぶその点早くなりました。
  43. 松平忠久

    ○松平委員 早くなって三カ月というわけですか。聞くところによると、手続が非常にめんどうくさくて、書類が十三通も要るのだということを聞いたのですか、現在はどういう書類を要求されておりますか。
  44. 小淵瑳一

    小淵参考人 私も担当者でないので、そうこまかいことは知らないのでありますが、非常に手間がかかるということは、常に係が申しておりまして、私どもといたしましても、もう少し簡素化できないものであろうかと、常に考えております。
  45. 松平忠久

    ○松平委員 そういたしますと、今のお話の中の人件費かふえる、つまり、人員をふやさなければならぬというようなことは、これは事務をもっと簡素化すれば、その点はやりくりがつくというような面も出て参りますが、それも、今までのお役所式なことが続けられるから、その点についても、この法律の内容から見れば、簡素化ということは、あまり行われるようなこともないから、その点の見通しなんか、立てたことがございますか。
  46. 小淵瑳一

    小淵参考人 事務が簡素化すれば、幾分は人件費が節約できるのではないかと思いますが、いずれにしても、これは包括保険になりますと、いわゆる事務量がく多なりますから、結局ふやさなければならないと思います。
  47. 松平忠久

    ○松平委員 これは吉橋さんにお伺いしたい。先ほどの融資保険事故率ですが、この融資保険事故は、この制度が発足した当時とその後において、かなり相違がだんだん出ておるのではなかろうかと思う。私は、信用保険制度かできたとき、そのころは銀行が、とにかくこげつきのようなものをどんどん整理するために、頭がいいから、この制度を悪用したというか活用したというか、そういう向きがあったように思う。その後批判もだんだん出てきて、銀行自体も考えるようになったのではなかろうかと思いますが、その事故率の発生工合と申しますか、最近におけるそういうものを、もし御記憶でもあれば、ちょっと伺っておきたいと思います。
  48. 吉橋鐸美

    吉橋参考人 融資保険の方の事故率が高いという点は、御指摘の通りでございまして、中小企業庁の方からも、御注意がございますし、また特に特殊な事故率が高いと思われるような金融機関には、融資保険のワクの割当を停止せられまして、内部でも、そういったことのないように注意をいたしております。現在、事故率はどの程度になっているかということは、ちょっと記憶がありませんが、中小企業庁の方からでも……。私、確かな記憶がございません。
  49. 松平忠久

    ○松平委員 中小企業庁の方に、そういう資料がございますか。融資保険事故の推移ですね、もしありましたら、資料として出していただきたい。
  50. 川上爲治

    ○川上政府委員 今、持ってきておりませんが、この次出します。
  51. 松平忠久

    ○松平委員 それから、あちこちになりますが、委員長お願いしたいのですが、金融制度調査会答申案が出ておる。それから小委員会の結論というものもあるわけでありますが、この資料を配付願うよう取り計らわれたい。  この法案については、あらためて政府にずいぶん問いたださなければならぬ問題が、だんだん出てきたと思うのです。そこで、きょうはこの程度でやめていただきまして、あらためてやっていただきたいと思います。
  52. 小平久雄

    小平委員長 承知いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたり種々御意見を承わり、両案の審査に多大の参考となりましたことを、厚く御礼申し上げます。  本日はこの程度にとどめます。  次会は明二十六日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時二分散会      ――――◇―――――