○松尾(泰)
政府委員 お答えします。
まず第一に、業界から一致して差益金引き上げに反対していた事実を知っていたかどうか、また団体から陳情書が提出されていたことを知っていたかどうかという点でありますが、この点は、三十二年の上期は七三%の差益率であったのであります。その七三%の差益率に
維持してくれろというような陳情は、私は聞かなかったのでありますが、あまり引き上げては困るということ——巷間、どういうわけか知りませんが、差益率を役所は一三〇%にするのじゃないかというようなうわさが飛びまして、それは高いというような陳情を受けたことは事実であります。だから、問題は、差益率の引き上げの
程度についての問題であったかと思うのでありまして、引き上げは絶対反対だという陳情は、私は受けたことは覚えておりません。
それから第二の、先般発表いたしました。バナナの特別輸入差益金の率の算出根拠であります。これはその次の御質問と関連をいたすのでありますが、これは非常にむずかしいのであります。御存じのように、バナナというものは、シーズンによって非常に値が違っておるのであります。上期に割り当てましたものは、大体冬場に入ってきますし、今割り当てましたものは、この春から夏にかけて入ってきまして、いわゆる浜相場が高くなるのが過去の通例であるのです。そこで浜相場を六千七百円と想定をいたしまして、一一七・七%という率を決定をしたのであります。その率をきめる場合に、専門家の意見を聞いたかどうか、あるいはどの
程度の利益率を見込んだかという問題でございます。もちろん、われわれは専門家の意見も聞いたのでありますが、過去の実績から判断をいたしまして、大体この辺のところがよかろうではないかということで、従来きめておるのであります。先ほど来、いろいろ御指摘になりましたように、これはなかなか科学的にきめ得ないものでありますので、過去におきまして何万かご入ってきたときにはこの
程度であった、あるいはまた、その次の期において何万かごのときにはこうであったというのを基準といたしまして、最近におきましたは、年間台湾から六十万かごを輸入しておりますので、それらもにらみ合せまして、六千七百円という浜相場ならばそうむちゃな価格ではないのではないか、合理的な価格であろうというふうに判断したわけであります。これは業界から見れば、安いほどいいということになろうかと思うのでありますが、法の建前もございますので、法を忠実に施行しなければならないわれわれの立場といたしますれば、一応理屈のつく価格でなければならぬわけであります。私たちの心がまえとしましては、決して理不尽な高利貸し的な高い差益率を取るという
考え方は、従来からもごうもいたしておりません。あるいはそう申し上げると、若干法律の施行に忠実でないということになるかもしれないと思うのでありますが、どうしてもわれわれ通商局といたしましては、助長行政を
中心にやっております
関係上、表現は悪いのでありますが、あまり税金を取るような気持ではやっていないのでありまして、一応過去の数字等から判断をいたしまして、この辺ならば会計検査院からもおしかりを受けないというふうなもので、合理的と思われる点をやっておるわけであります。従いまして、過去の例から言いますと、われわれが想定した浜相場よりもおおむね高くなっております。上期におきましては五千五百円という浜相場を予定いたしまして、七三%の差益率を決定いたしたのでありますが、現在の浜相場は七千二百円になっているというふうな
状況でありまして、率直に申しますれば、われわれが想定した価格よりも、浜相場はかなり上になっているというような実情であります。一面から言いますと、そういう価格できめたことは、かえって安過ぎたのじゃないかという非難を受けはせぬかということを、実はおそれているような
状況であります。
それから差益が高いことが、価格が高くなり、消費者にしわ寄せになるのじゃないかという問題でありますが、これは、全然ないとは言えないのであります。これまでのところは、差益率よりも、やはりそのときの輸入量いかんによって、相場は決定されるような
状況になっておるのでありまして、いわば、需給の
関係できまっているのであります。需給
関係できめられるもののうち、ある
程度の差益をいただいているというのが、過去を振り返った場合の現実の姿になっておるのであります。
そこで、バナナを不急物資扱いにして、価格の高騰は考慮していないのじゃないかという御指摘の点でありますが、この点は、不急物資でないとも、ちょっと言い切れないわけでありまして、とにかく緊急度の低い物資であるということについては、御異論はなかろうと私は思うのであります。しかしながら、価格の問題につきましては、現在、台湾との間の通商協定によりまして、年間六十万かご、四百五十万ドルということになっており、その量を入れる
程度では、どうしてもこういう価格が出るのもやむを得ないではないか。われわれは、差益率のせいではないというふうに
考えております。
一例を申し上げますと、現在の浜相場が七千二百円、卸の相場が九千円、小売が一万三千円、こういうふうな
状況になっておるのであります。従いまして、われわれは、相場を下げるという趣旨からいいますれば、協定のワクをふやすということも
考えなければならぬのじゃないかというふうにも
考えるのでありますが、これは、今、台湾で交渉いたしておりまして、いろいろ交渉の
関係もありますので、率直に申しにくいのでありますが、私個人的に
考えますれば、ある
程度の増額をすることもやむを得ないのじゃないかというふうに
考えております。
それから、最後に、当時の樋詰次長が、差益の額を千七百円くらいを基準にして
考えられるということを言っております。その当時、千七百円どんぴしゃりが基準となって
国民の口に入るかどうか、必ずしも保証はされませんということを申しておるのでありまして、上期におきましてちょうど五千五百円といいますと、大体樋詰次長が申したような差益率になっておるのではないかと思うのであります。従って、その当時と、
事情はそう変ったといいますか、差益率を非常にむちゃに上げているとは、われわれは
考えておりません。
それから、参議院におきまして本件の質問が行われておる最中に、抜き打ち的に輸入発表したのはどうしたことかという御質問でありますが、この点は、何も抜き打ち的にやったのではないのでありまして、差益率はどうするのだ、それでいつ発表するのだという御質問があったのであります。それに対しまして、私は、いろいろ議論がありますが、いろいろ研究しました結果、浜相場六千七百円、一一七・七%
程度を今合理的と
考えております。発表は、三月一ぱいにこの差益徴収その他の事務を、
関係上非常に急いでやらなければなりませんので、今明日中に発表する予定になっておりますということを、率直に申し上げたにすぎないのでありまして、決して黙って発表をいたしたのではないわけであります。
それから一番最後の、御指摘の、事後の徴収にできないかという点でありますが、現在の法律では、事前徴収ということに実はなっておるので、この点につきましては、事後の方が合理的でないかという御
批判は、全然まだいただいておりません。今回初めてこういう御
批判をいただいたのであります。われわれも、十分研究をしてみたいと思いますが、事後徴収ということも、かなり困難ではなかろうかという感じがいたしますので、少し研究をさせていただきたい、こう思います。