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1958-03-13 第28回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十三日(木曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 内田 常雄君    理事 笹本 一雄君 理事 島村 一郎君    理事 長谷川四郎君 理事 加藤 清二君    理事 松平 忠久君       川野 芳滿君    菅  太郎君       神田  博君    齋藤 憲三君       櫻内 義雄君    首藤 新八君       福田 篤泰君    村上  勇君       横井 太郎君    佐竹 新市君       志村 茂治君    田中 武夫君       多賀谷真稔君    帆足  計君       水谷長三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  前尾繁三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       白浜 仁吉君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 岩武 照彦君         中小企業庁長官 川上 為治君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    稲益  繁君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 善衛君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月十二日  委員神田博君、八木昇君及び山口シヅエ辞任  につき、その補欠として小林郁君、上林與市郎  君及び多賀谷真稔君が議長指名委員に選任  された。 同 日  委員小林郁辞任につき、その補欠として神田  博君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員横井太郎辞任につき、その補欠として薩  摩雄次君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員薩摩雄次辞任につき、その補欠として横  井太郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本貿易振興会法案内閣提出第八八号)  中小企業信用保険公庫法案内閣提出第一〇一  号)  中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律  の整理等に関する法律案内閣提出第一一七  号)      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  まず中小企業信用保険公庫法案中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案、以上両案を一括議題とし、審査を進めます。質疑に入ります。内田常雄君。
  3. 内田常雄

    内田委員 私は、ただいま当委員会に付託をされておりますところの中小企業信用保険公庫法並びにこれに関連する諸般の法律整理に関する法律案につきまして、若干の質問を行わんとするものであります。  この法律案趣旨とするところは、先般の通商産業大臣の御説明にもありまたように、中小企業金融円滑化をはかるために、信用保険制度整備拡充する、こういう趣旨でございます。このことは、当委員会におきましても、しばしば決議をいたしまして、政府を督励したところでありまして、それが、今回このような形の法律案となりまして提出されましたことは、政府政策として、敬意を表し、また賛意を表するものであります。その点に関しましては、私ども与党委員といたしましても、賛成をするものでありますけれども、この機構並びにこの機構に関連する政府考え方につきまして、ただしておかなければならない点があるのでありまして、第一に、今度できます信用保険公庫というものは、従来ありました信用保険特別会計というものを発展的に解消して、新しい公庫として、これに政府が八十五億円の新しい資金を投入して出発するものでありますけれども、従来の政府考え方によりますと、この公庫を出発させるに当りましては、相当基金をこれに投入する必要があるということで、二百億円くらいの資金を投入するという構想もあったように思いますが、今度の予算案によりますと、基金として六十五億円、また信用保証協会に対する貸出資金として二十億円、合せて八十五億円ということでありまして、従来の通商産業省の構想よりも、基金の面、資金の面において、後退をしているように思われまするが、これはいかなる経緯によるものであるか。また、この八十五億の新規資金の投入をもって、ここにいう中小企業信用補完制度整備拡充に十分であるかどうかということについて、御意見を求めます。
  4. 川上為治

    川上政府委員 私どもの方としましては、最初この公庫につきましては、少くとも二百億くらいの基金をもってやった方が適当ではないかと考えまして、いろいろ政府部内において、予算の折衝をいたしたのでありますけれども、今、円田先生お話しになりましたように、政府としましては、従来の特別会計に八十五億プラスして出す。そういたしますと大体百七億程度ということになるわけでございます。百七億程度基金をもって、果して十分この信用保証の協会なり、あるいはその保険の評価ということができるかどうかという問題がございますが、これは私どもの方としては、必ずしも十分とは考えておりません。しかし、いろいろ予算の話し合いをする間に、一応財政関係から、八十五億程度出すということになったわけでございますので、私どもとしましては、これを最大限に活用して、そしてその保証業務の拡大なり、その保証料率の引き下げなり、保険料率の引き下げなり、あるいは保険業務の拡大なり、そういうことに極力努めたいと考えておるわけでございます。
  5. 内田常雄

    内田委員 しからば、今回の八十五億円では、必ずしも十分ではない。ことに、この八十五億円は、このうち二十億円は信用保証協会に対する貸付に向うのでありまして、この保険公庫基金としては六十五億円と、それから特別会計から引き受けるところの二十数億円のものということになりますので、私は必ずしも十分でないと思いますが、これは今後も状況によりまし、また政府財政の都合によりまして、次第にさらにこれを十分な程度に達するまで充実をして参る、そして、よってもって信用保証協会に対する貸付増額とか、あるいはまた保険料率の一そうの低減とかいうことをやらねばならない。また政府としてもやられるつもりである、かように解してよろしゅうございますか。
  6. 川上為治

    川上政府委員 私の方としましては、最初二百億程度考えましたその構想につきましては、現在の保証料率全国平均二分三厘程度でございますが、これを少くとも三割くらいは引き下げたい。また保険料率につきましてももっと引き下げたいという考えを持っていたのですが、今回の八十五億の政府出資によりますと、大体保証料率は、一割程度しか引き下げることができないのじゃないかと考えます。これでは今後の保証業務として、非常に大きな仕事をするということには、なかなか参らぬのじゃないかと考えますので、今後におきましては、私ども、さらに基金増額について、あらゆる努力を払いたいと考えております。
  7. 内田常雄

    内田委員 その点については、われわれも今後大いに政府を鞭撻して、一そうの資金充実を行われんことを期待いたしておるものであります。  次に、私は、今度の公庫設立に関しまして、一番政府にお考え願いたいことは、今度の信用保険公庫というものは、いわば三階建の建物の三階であります。保険公庫そのものが、中小企業者に金を貸し出すのではないのでありまして、いかに保険公庫保険制度を整備いたしましても、そのことだけによりまして、中小企業者に対する金融の円滑が期せられるものではないわけであります。従って、これは、このことと並びまして、中小企業に対する貸付資金充実ということを、一般民間金融機関の面におきましても、また中小企業金融公庫、商工中金、国民金融公庫などの政府関係金融機関の面におきましても、充実をしなければ、この制度運営は完璧を期せられないということを政府は銘記して、今後対策の遺憾なきを期していただきたいのであります。そこで、かりに今度保険公庫設立いたしまして、保険料率を引き下げるということにいたしますと、その効果は、中小企業者にどういう影響を及ぼすのか。それによって、中小企業者は一体どんな程度に金を借りやすくなるのか。政府は、この公庫設立によって、一番何をねらわれておるのかということを、御説明願いたいと思います。
  8. 川上為治

    川上政府委員 今回の制度によりまして、一番問題になりますのは、保証協会に対しまして、従来政府としましては、十億程度貸付をいたしておりますが、今回三十三年度におきましては、さらに二十億ということにいたしますと、現在大体保証協会保証額が九百五十億程度になっておりますので、それが少くとも来年度におきましては、千三百億程度までふえるのじゃないかというふうに、私の方は考えておるわけでございまして、そういう点からいたしまして相当保証額がふえていく。すなわち、中小企業者の方が、金融機関の方から金がそれだけ借りやすくなるというようなことになってくるのじゃないかということが一つございます。  それから、もう一つ大きな問題としましては、今回の措置によりまして、包括保険制度というものを、拡充したいというふうに考えております。従来は、保証保険とか——その保証保険の中にも普通保証保険あるいは包括保証保険小口保証保険というようなものもありますし、また融資保険というものもありますけれども、その融資保険につきましては、金融制度調査会におきましても問題になりましたように、いろいろ欠点もございますので、私どもとしましては、融資保険をだんだんやめていく。そのかわりに包括保証保険の方を相当拡充していくというようなふうにいたしますと、包括保証というのは、御承知通り逆算額というものを全然許さないというようなやり方でございますので、その結果保証額が非常にふえてくるのではないかというふうに考えますし、また金融機関の方にしましても、保証協会に対しまして非常に信頼する、政府の方で全面的に保険をつけておるわけでありますから。従って、金融機関の方でも相当信用するということになりますと、金利も下るし、同時に、保証額も非常にふえるというようなことになりまして、中小企業の方からいいますと、非常に金融機関の方から金を借りやすくなるというような結果になってくるのじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。なお、保険基金をふやしました結果、そのために、保険料率相当下って参りますので、そういう点からいいましても、中小企業者にとっては、非常に大きな効果があるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  9. 内田常雄

    内田委員 今度の保険公庫の一番の問題点は、その点にあるのでありまして、保険公庫が事業とするところは、今度の法律で一番ねらっておるのは、全国五十二の信用保証協会の行う信用保険に対する保険、すなわち保証保険充実していくということでありますけれども、しかし、現実中小企業金融界において、一番問題になっておりますのは、保証に対する保険、すなわち三階建の、今度の法律でねらっております部分よりも、全国信用保証協会保証能力が足りない、そのために、中小企業者金融機関から金を借ります場合に、保証協会に行って保証してもらおうと思いましても、この保証協会保証能力にぶつかって、保証を得られない、こういうことにあるのでありまして、今度の公庫設立によりまして、いかに三階建の部分をりっぱにいたしましても、その下の二階建の部分の、信用保証協会というものの保証能力が拡充されていなければ、一階建であるところの中小企業金融機関中小企業者との関係は、ほとんど改善されないというところに問題があると思います。従って、ここで政府が八十五億円の資金をこの制度のために投じます以上は、今御説明がありましたように、また私が理解しておりますように、保証協会保証能力拡充基金として回す分はわずかに二十億円、あとの六十五億円を保険公庫基金にするということでありますけれども、むしろ、この八十五億円の大部分保証協会に対する貸付にして、よってもって保証協会保証能力を拡充するということが、私は第一義的に大切なことではなかろうかと思うのです。そうしなければ、保証協会保証を容易ならしめると申しましても、また保証料率を安くいたしましても、保証協会保証能力と早いうものは拡充しませんから、中小企業者は、保証協会に行っても、相変らず保証を断わられるものが多い、こういうことになるわけであります。従って、全国五十二の保証協会をもって構成されておる全国信用保証協会連合会などの一部の考え方でも、この八十五億のうち、二十億円しか保証協会には回さないというような政府考え方を改めて、むしろ大部分か全部を保証協会に回してくれた方が、中小企業者は助かるのだ、こういう意見もありますが、この点について、いかにお考えでありましょうか、お尋ねをいたします。
  10. 川上為治

    川上政府委員 これは、今、内田先生お話しになりましたように、三十億程度じゃなく、もっと八十五億の中を取りくずして、この保証協会基金に充てるべきじゃないか、その方が保証の額をふやすためにも、はるかに効果があるのじゃないか、その点は、私どもも同感でございます。しかし、これは先生も御承知通り、この六十五億につきましては、一応たな上げをするという方針になっておりますので、私どもとしましては、差しあたり一般会計から出しますものと、それから三十二年度に出しました十億とを合せまして、政府貸付ということにいたしまして、差しあたりの手段として、保証協会に対しましては、三十三年度三十億出したいというように考えておるわけでございます。私ども最初気持としましては、少くとも八十五億のうちで、半分程度はこの保証協会基金に充てた方がよくはないかという気持も持っておりましたが、政府の全体の方針として、六十五億はたな上げということになりましたので、お説はまことにもっともだと思いますけれども、そういうことになっておりますので、本年度はやむを得ないのじゃないかというふうに考えるのであります。
  11. 内田常雄

    内田委員 私の考え方を、中小企業庁長官もお認めになったようであります。今後の問題としては、信用保険公庫育成ということも、もちろん大切でありますけれども、それとあわせて、信用保証協会育成保証能力充実ということが一番肝心なことであるということを、今後も十分御認識をいただきたいと思います。  それについてお伺いしたいのは、今度の法律案は、政府機関として保険公庫を作るだけでありますけれども、相変らず信用保証協会というものは、民間機関として放置しておるわけであります。将来の政策としては、この全国五十二の信用保証協会というものを、保険公庫機構に直接結びつけて、信用保証保険ではなしに、信用保証そのもの政府的規模の中に取り入れていくようなことを考える必要がありはしないかとも思いますが、その点については、今後の問題であるけれども、どういうようなお考えをお持ちでありましようか。
  12. 川上為治

    川上政府委員 お話趣旨は、おそらく今度できます公庫と、それから地方保証協会を合併して、支所的な性格に持っていった方がよくはないか、こういう御意見ではないかと思いますが、この問題につきましては、私どももいろいろ研究をいたしたのでございますけれども、やはり現在の保証協会の内容を見ますと、その基金につきましては、ほとんど全部地方の県とか、府とか、あるいは市とか、そうした方面から金が出されているということ、あるいはまた今後におきましても、県なり、市なり、府なり、そうした方面から、やはり相当その金を出してもらわなければならないというようなことも考えますと、すぐこれを合併して、そして公庫支所みたいな性格にするというようなことが、果していいかどうかという点については、相当の疑問があると考えられますので、今のところでは、私の方としては、今後支所にするとか、合併するとか、そういうような考えは、全然持っておりません。この点については、もっと研究して、将来の状況を見て措置をとるべきではないかというふうに考えているわけであります。
  13. 内田常雄

    内田委員 私の申しますのは、何も今すぐに、今度できる信用保険公庫と、全国に存在する五十二の信用保証協会とを合併して、これを保険公庫支所的なものにするがいいということでもございませんが、いずれにしましても、御承知のように、全国五十二の信用保証協会というものは、その能力また資力が非常に隔絶をいたしております。非常にりっぱな、充実した保証協会もあれば、非常に貧弱で、中小企業信用補完をする機関としては、はなはだ憂うべきような状態のものもありますので、これを放置しておいて、その上に乗る信用保険公庫というものをいかにりっぱなものに仕上げましても、それでは頭でっかちになるだけで、何もならないのではないかということを憂えるものでありますから、政府はこの次の段階としては——今度の信用保険公庫構想、まことにけっこうでありますけれども、次には、全国信用保証協会というものを、何らかの形において充実して、著しい能力の較差もなく、その機能を果せるようなことを、考えていくべきであるということを申し上げたわけであります。これはなかなかむずかしい問題でありまして、各信用保証協会には、それぞれの沿革もあり、また出資資金構成ども違いがありまして、むずかしい問題でありますけれども、次の段階としては、ぜひこれを取り上げていただきたい。私が三階建と言いましたのは、一階建の面は、中小企業に金を貸す中小企業金融機関で、その上に二階建として信用保証協会が乗っているのであります。その上に三階建として、今度の信用保険公庫ができたわけでありますから、上だけしっかりしても、これは頭でっかちで、すぐひっくり返ります。大切なことは、まず、直接中小企業者に金を貸すところの中小企業金融機関というものを、資金充実とか運営の改善とかいうことで、まず一階建をしっかりして、その上の信用保証協会というものをりっぱなものにして、さらにその上に三階建というものが乗るものであるということを、十分認識してかからなければ、政府やわれわれがひとりよがりで、今度の信用保険公庫というものは、中小企業信用補完制度としてりっぱなものだと言ってみましても、御利益は、現実面において中小企業者にほとんどない、こういうことになっては、何にもならないということを心配いたしておりまして、ここに意見を申し述べたわけであります。  その次に、長官からお話がありました、今度の信用保険公庫ができますと、大体やることは、信用保証協会に対する貸付業務と、それから信用保険業務、この二つがあるわけでありまして、貸付の方は、さしあたり来年度は二十億、今年度の十億と合せて三十億ということでありますけれども信用保険の方のやり方を、従来の保険特別会計でやっておりましたころと、かなり趣きを変えて、融資保険の方はできるだけこれを狭めていく、そして保険重点保証保険の方に置いていく。しかも、この保証保険の方では、従来の普通保証保険という制度をだんだん狭めて、包括保証保険というものに重点を置く、こういう御趣旨のようでありますけれども、これはどういうふうな結果になるのか。いきなりここで融資保険を狭めてしまって、保証保険重点を置いて、それでスムーズにいくのか。また保証保険においても、普通保証保険を第二義的なものにして、包括保証保険というものに重点を置くというやり方で、どういう効果考えておるのか。これは一番大切な点でありますから、その点につきまして、もう少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  14. 川上為治

    川上政府委員 まず保険の問題につきましては、中小企業の中でも、少くとも中以下に私どもの方としましては重点を置いていくべきじゃないかというように考えるわけであります。従来の保険制度を見ますと、融資保険については、五十万円以上の貸付の方が、はるかにその額が大きい。五十万円以下については、どちらかというと、全体の一部にすぎない。従いまして、融資保険についても、今後におきましては、なるべくこれをやめて、むしろ保証保険という、主として中以下の中小企業者に対しまして、金融の便をはかるような措置を強化していくべきじゃないかというように、基本的には私ども考えるわけであります。しかも、そのうちで、たとえば五十万円以下の小口の問題、これがやはり私どもの方としましては、一番重要な問題ではないかというふうに考えますので、これは金融制度調査会におきましても、いろいろ検討されまして、その方がはるかにベターである、そうやるべきであるというふうに結論づけられました。私どもの方としましては、包括保証保険というものに重点を置くべきじゃないか。それから、中小企業者のうちで、特に中以下の業者に対して、非常にその効果が上ってくるのじゃないかというふうに、私ども考えましたので、今回の措置におきましても、全体の資金ワクをきめるについても、やはり包括保証保険の方に、はるかに大きなワクをつけてやる。あるいは保険料率につきましても、従来一分四厘六毛というものを、二十万円以下については七厘にするとか、あるいは二十万円から五十万円までのものは九厘にするというふうに、非常に低率な保険料率にいたしたわけでございまして、それは、とりもなおさず、この保証協会がやっております主として中以下の中小企業者に対する金融の便を、極力めんどうを見ていきたいというふうに考えまして、そういう意味からこういう制度にいたしたわけですが、私どもの方としましては、この包括保証保険を全面的に活用することによりまして、中小企業者保証協会を通しまして金融の便がはるかに大きくなっていくのじゃないかというふうにも考えます。先ほども申し上げましたように、包括保険というのは、言いかえれば、金融機関の方が、保証協会保証に対しまして、非常に信用を持つということにもなりますので、金利も下ってくるというような効果もございますので、私どもの方としましては、そういう意味合いから、包括保証制度につきましては、非常に中小企業者のために大きな役割を果すのじゃないかというように考えておるわけであります。
  15. 内田常雄

    内田委員 今のお話にもありましたように、金融機関貸付保証する融資保険というものをだんだん狭めて、五十万円以下のものについては、信用保証協会保証保険するという保証保険に移してくるということは、一つ構想としては、私はいいと思いますが、ただ、これは、金融機関の方から、当委員会などに対しましても、陳情や申し入れがありまして、今、融資保険の方をにわかに狭めてしまっても、保証協会能力がにわかに上ってきているわけでもないから、従って、一般中小企業者は、かえって金が借りにくくなりはせぬか。金融機関に行って融資保険がつけられないものを、今度は保証協会に行って保証をしてもらおうと思いましても、先ほどもお認めのように、今度の公庫法によって、個々の保証協会保証能力がにわかに高まるわけではないので、保証協会の方が、今までの金融機関に対する融資保険の分を吸収して余りあるほど、にわかに能力ができていないのじゃないか。結局、中小企業者が不便となるであろうから、今しばらく、暫定的には融資保険というものを、従来通り便宜認めていってほしい、こういう要望もあるわけであります。これについては、いかにお考えでありましょうか。
  16. 川上為治

    川上政府委員 融資保険を、全面的に三十三年度からやめるということではございません。そのうち五十万円以上のものにつきましては、やはり当分の間は残していく。しかも、そのワクにつきましても、百億程度残しておくということでございます。そこで、その百億という金額が、小さくないかという問題でありますが、三十一年度の実績を見ますと、五十万円以上の高額は、百四十五億ということになっております。そうしますと、この公庫は、七月から出発するということにもなりますので、従って、その割でいきますと、百三十億ぐらいあれば、三十一年度並みのことは、五十万円以上についてはできるということになりまして、大体百億程度でよろしいのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  それから、もう一つ、五十万円以下については、今回はこれをやめるということにいたしたわけですが、五十万円以下の三十一年度の総額は、全体で三十数億でございます。これは融資保険の全体の四分の一程度、あるいは五分の一程度ということになってくるわけでございまして、非常に小さい。しかも、大体融資保険は、先ほど申し上げましたように、五十万円以上のものがはるかに多い。従って、五十万円以下のものは、保証協会保証の方がはるかに大きい。たとえば、三十一年度のものを比較いたしますと、先ほど申し上げましたように、融資保険については三十数億、ところが保証関係方面におきましては三百六十七億という、はるかに大きな数字になっておりますので、五十万円以下のものを廃止いたしまして、ただいまの包括保証保険の方へ切りかえていきましても、別に支障はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  17. 内田常雄

    内田委員 その点は、一応わかりましたが、ただ、融資保険の方は、今回は関係法律の方に現われておりますが、保険のてん補率を、従来よりも著しく引き下げておるようで、五十万円以上のものを残したと言いますけれども、実際は融資保険をかけにくくしておる。また保険料率の方は、融資保険については、政令でいかなる定めをするつもりであるか。政府の方では、もうきまっているはずでありますが、簡単に御説明を願いたい。
  18. 川上為治

    川上政府委員 融資保険は、五十万円以下のものにつきましては、法律にてん補率はきめておりますが、これは従来八〇%というものを、今回は五〇%ということにいたしたわけであります。しかし保険料率については従来と同じように二分一厘九毛ということにいたしたいというふうに考えております。なるほど、てん補率は非常に少くなりましたが、これはやはり私どもとしましては、五十万円以上の融資保険につきましても、今後におきましては、だんだんこれを減らしていって、そうして保証保険充実に伴いまして、そちらの方に切りかえていくというような考えを持っておりますので、てん補率について、ある程度切り下げるということは、やむを得ないことではないかというように考えます。もともと融資保険につきましては、いろいろな非難がございまして、どうも金融機関の不良債権を肩がわりしておるのじゃないかというような意見もだいぶありますし、現実にその事故率も一番多い。また決算委員会等におきます批難事項等においても、この方が一番多いというようなことから考えますと、やはり私どもといたしましては、この際てん補率は引き下げて、そして保証保険の方に移り変らしていくというような政策をとるべきじゃないかというように考えましたので、こういう措置をとったわけでございます。
  19. 内田常雄

    内田委員 そのお話はわかりましたが、それにいたしましても、融資保険をだんだんやめていくということになりますと、一そう信用保証協会保証能力というものが充実してこないと、これを吸収できないという問題がありますので、先ほども申し上げましたが、信用保証協会育成強化、保証能力充実という点を、ますます考えていかなければ、単に包括保証保険というようなものを充実しただけでは、済まされないことのように思います。  そこで、次に伺いたいと思いますことは、今度の保険公庫は、包括保証保険というものを重視しておるわけでありますが、包括保証保険となりますと、信用保証協会の方は、個々の保証依頼について、保険につけるかつけないかを選択することができなくなるわけであります。いやしくも保証をしたものは、全部保険にかけるということになりますから、保証協会としては、それだけ保険料の支払いがふえる格好になる。従って、保険料率が適正でないと、せっかくいい制度を作ったと思いながら、ますます保証協会を苦境に追いやるということにもなるのであります。伝えられるところによると、政府では五十万円以下の包括保証保険については、その保険料率を九厘にするというお話だ。しかし五十万円以下のものを全部包括保証保険にして、保険料率を九厘というようなことでありますならば、これは全国五十二の信用保証協会の中で、この包括保証保険制度を利用するものは、非常に少いということになってきます。おそらく私の想定では、十以下になってしまう。こういう制度を設けても、信用保証協会の方で、これを排斥して、この制度を利用しないということにもなるということを心配いたしておりましたが、先ほど長官お話では五十万円以下につきましても、なお区分を設けて二十万円以下の包括保証保険制度というものを特契して、それについては特に七厘の保険料率でいくというようなお話を承わりまして、一応私も安心をいたしましたが、長官のお見込みでは、この二十万円以下七厘ということでいきますならば、全国五十二の信用保証協会のうちで、相当のものがこの包括保証保険制度の契約を政府となさるお見込みでありましょうか。これは現在でも包括保証保険制度というものがありますけれども、現在の包括保証保険制度というのを利用しておる信用保証協会は、全国五十二の保証協会のうちで、十二しかないということでありますから、これでは何にもならない。少くとも、全部でなくとも、大部分のものがこの包括保証保険制度を利用することにならなければ、これは政府のひとりよがりで終るということになるわけであります。そこのお見込みはどういうことになりましょうか、また連合会とのお打ち合せは、どういうことになりますでしょうか。
  20. 川上為治

    川上政府委員 この問題につきましてはいろいろ意見もございましたが、やはり金融制度調査会におきましても結論を出しておりますように、また私ども考えておりますように、包括保証保険制度というものは、中小企業者金融のために、非常に大きな役割を果し得るものではないかというふうに考えるわけでございまして、私どもとしましては、特に小口については、従来一応やっておりますけれども、これをこの際、相当強力に、包括保証保険制度を利用するように持っていくべきじゃないかというふうに考えておる次第でございます。ところで、従来はそれほど利用してなかったのじゃないかという点でございますが、これは、全国で十幾つかのものが利用していたわけですが、これは、現在の保険料率が高い。それは一分四厘六毛ということになっております。ところが、今度の措置によっては、二十万円以下については、その半分よりも低い七厘程度ということにいたしたわけでございます。それから二十万円をこえて五十万円までを九厘この九厘というのも、現在の一分四厘六毛よりも、はるかに低いということになります。そこで、この問題につきましては、連合会関係とも、いろいろ話し合いをしたわけですが、大部分の意向としましては、大体小口について七厘程度であるならばまあできるのじゃないかというような意見が非常に多かったわけでございます。中には一、二のものについては、七厘はまだ高い、もっと低くしてくれというような意見がございましたが、そういうものに対しましては、私どもとしましては、別途保証協会に対する強化の道を講ずべきではないか。たとえば、さっき申しました三十億の貸付金の中から、そういうこまかいものに対しましても、特別に基金を出してめんどうを見てやる、あるいは県の方でもめんどうを見てもらう、あるいは自分の力をもっと養う努力もしてもらいたい。そういうことにしまして、少くとも七厘程度包括保証保険制度が利用できるような態勢を、早急に整えさせていきたいというように考えます。そういたしますれば、私どもとしましては、大体七厘程度で大部分、ほとんど全部の保証協会が、これを利用し得るということになってくるのではないかというように考えます。  それからもう一つは、この保険料の支払いが非常に多くなって、事故があまりないと、結局保険金がそんなにもらえない。従いまして、出し前が非常に多くなって、もらい分が少くなる。そういうことでは非常に困るというような意見もあったのでありますが、私どもとしましては、この法律によりまして、保険料をよけい払いまして、事故率の少かったものに対しましては、一定の方式によりまして、これを返していくというような措置もとりたいと考えておりますし、また回収金につきましても、よけい回収したところに対しましては、やはり一定の率によりましてこれも返していくというような措置もとりたいと思っておりますし、さっき申し上げました三十億の中で、保証協会に対しましても、非常に低い金利政府貸付金、この公庫からの貸付金をいたすわけでありますから、運転資金にも、そう困らぬということにもなってくるのではないかと考えますので、保証協会連合会とも、いろいろ相談いたしましたが、大体これでいけるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  21. 内田常雄

    内田委員 今の長官の御説明を聞いて、一応は安心をいたしましたが、この保険料率というものは、安ければ安いだけいいのでありますから、これは実績を見た上で、さらに冒頭にも論議をいたしましたように、保険準備基金を将来充実させることとも関連いたしまして、今後一そう引き下げていただかなければならないと思います。  ところで、私は法律構成上、非常に重大な問題をお尋ねをいたしますが、今度政府は、同じくこの国会に輸出保険法の改正法案をお出しになっております。ところが、この輸出保険法によりますと、保険料率決定の原則というものが、何条かにあります。それによりますと、輸出保険保険料率というものは、保険金をカバーするような計算においてこれをきめなければならないということが、法律にちゃんとうたわれております。いわば、自立採算制で、輸出保険保険料はきめなければならないということがうたってあります。同じ政府保険制度でありながら、この中小企業信用保険法におきましては、保険料率決定の原則が、輸出保険とは違うのでありまして、決して自立採算制でなければならないということになっておりません。政令の定むるところによってこれをきめるということであります。従って、同じ通産省が所管せられておる保険制度において一方に自立採算制によらなければならないという明瞭な規定がありこの中小企業信用保険の方にその規定がないということは、中小企業信用保険においては、必ずしも保険料支払い、あるいはその他の経費がカバーできるような高い保険料をとらなくてもいいのだ。中小企業対策として、相当保険基金に食い込んでも、できるだけ安い保険料をきめなさい、こういう趣旨だと思いますが、これはいかにお考えでございましょうか。
  22. 川上為治

    川上政府委員 輸出保険関係と、その点において違うじゃないかというようなお話でありますけれども、私は、輸出保険法律はよく読んでおりませんけれども、この中小企業信用保険公庫の方につきましても、やはりこういう公庫を作るからには、独立採算という考え方でいくべきだというふうに、私ども考えておりまして、その点は全く輸出保険の方と同じじゃないかというふうに考えておるわけであります。そこで、この公庫にいたしましても、保険料を非常に引き下げろとか、あるいは包括保険重点を置いたとか、そういうような関係からいたしますと、やはり保険関係においては、相当のマイナスが出てくるわけでございます。それをカバーするのは、結局六十五億と、それから現在の保険特別会計で残っておりますものを計上する分、それを合せました額を資金運用部に預けまして、その運用益でカバーするというような格好に、実はいたしておるわけでございまして、公庫を作りまして、独立採算とはいいながら、相当保証協会に対する持ち出しといいますか、そういうことになってくるわけでございます。
  23. 内田常雄

    内田委員 中小企業庁長官、研究不足のようで、私は輸出保険法のことはよく知らぬということは、政府委員として答弁にならぬのであります。いずれも通産省が所管する信用保険制度でありますから、そこはさらに研究されて、そもそもこの中小企業信用保険というものは、輸出信用保険とは違うのだ、中小企業対策としての考え方から出発するのだということを、事の初めに考えておかれないと、どなたが今度の信用保険公庫理事長になられるのか知りませんが、もうけ主義でやられたのでは、これは中小企業者を踏み台にするだけで、たまったものじゃありません。これは、一つ、きょうからさらに御研究を願わなければならないと思います。ことに、今度の信用保険公庫基金にされる六十五億円というものは経済基盤強化資金法案によって、六十五億円がごの公庫に出されるのでありますが、何と書いてあるかといいますと、経済基盤強化資金法の第十一条の第二号でありますけれども中小企業信用保険公庫出資する六十五億円の基金は、同公庫保険事業の損益計算上損失を生じた場合において、その損失をうめるための保険準備金とする、こう書いてあるわけであります。従って、たな上げ資金とはいいながら、この六十五億円は、ちゃんと損をする建前で、損をした場合には、だんだんこれを食っていくのだ、こういうことになるわけであります。従って、輸出保険制度と同じように、独立採算でいくのだという建前でもないようでありますから、私は、この点をも十分研究をしていただきたいと思います。  それに関連いたしまして、今度は、いかに中小企業信用保険公庫保険料率をきめましても、これは要するに三階建の中の問題でありまして、一般中小企業者にとりましては、保険公庫保険料率よりも、信用保証協会保証料率が安くならなければ、中小企業者は助からないのであります。今日聞くところによりますと、保証協会保証料率はかなり高い。日歩六厘とか七厘とか八厘とかいうようなことで、しかも担保を持っていかなければ保証は得られないというようなことにもなっておるのでありますが、この保証協会の方の保証料率につきまして研究をされ、また何らかの構想がおありでしたら、御説明願いたい。
  24. 川上為治

    川上政府委員 現在、保証料率は、最高三分最低一分八厘、平均いたしまして二分三厘という程度になっております。そこで私どもとしましては、これを極力下げるということをすべきじゃないかというふうに考えまして、先ほども申し上げましたように、少くとも基金といたしまして全体で百億くらいいただきまして、そのうちの半分程度保証協会の方へ回しまして、そうしてその保証料率を下げていく。少くとも三割程度は平均して下げていくというように考えていたのですが、今回の三十億ということになりますと、大体一割程度ということになるわけでございまして、少くとも一割程度は下げ得るように、私どもといたしましては保証協会を指導していきたいというふうに考えております。なお、三分と一分八厘と、非常に大きな開きを持っておるのですが、私どもといたしましては、三分は高いから、これは何も基金をふやさなくても、自分たちの努力だけによりまして、もっと下げ得るのじゃないかというふうに考えますので、その点についても、今後においては、強力に指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  25. 内田常雄

    内田委員 今度の保険公庫は、先ほど説明がありましたように、包括保証保険制度をとる。それはそれで、御説明通りでいいでございましょうが、肝心なのは、やはり包括保証保険よりも、できましたならば、信用保証協会が行う小額のものに対する包括保証制度とでもいうようなもの、つまり、無審査保証制度というようなものができなければ、中小企業者は助からない。中小企業者に直接関係のない三階の方で、包括保証保険制度ができましても、二十万円を借りるについて、信用保証協会保証してもらいたいといって人が行きましても、これを信用保証協会の方でひねくり回して断わってしまったのでは何にもならぬ。従って、二十万とか三十万とか、五十万とか、ある一定の金額に達するまでは、無審査包括保証制度というようなものを、信用保証協会にやらせるというようなところまでいかなければ、今度のこんなものを幾ら作りましても、雲の上のことになってしまいますが、さような構想はいかがでございましょうか。
  26. 川上為治

    川上政府委員 この包括保険制度を設ける、逆選択を許さないということは、一面におきましては、この小口のものについては、言いかえれば、中小っ企業のうちでも零細企業方面に対しましては、その審査について、それほどやかましく言わせないようにするという結果になるかと私ども考えるわけでございまして、これを強化することによって、この零細企業に対する金融が、従来よりも相当うまくいくのじゃないかというふうに考えておるわけであります。今、内田先生から、それは雲の上のことだとおっしゃいましたけれども、私どもとしましては、これはやはり雲の上じゃなくて保証協会保証と非常に密接な関係のあるものだというふうに実は考えておりますが、それを、保証協会が、一定のワク内においては、どういうものでも保証しろというやり方については、これが果していいかどうかという点については、もう少し研究をさしていただきたいと思います。
  27. 内田常雄

    内田委員 その点は大いに研究していただきたいのであります。そうでなければ、中小企業者は、実際は助からない。保証協会に行って断わられっぱなしでは、こんな保険制度を幾ら作りましても、役に立たぬということは、おわかりになったと思います。  次にお尋ねしたいことは、この六十五億円の保険準備基金でありますが、そもそも、準備基金というものは、先ほど私が述べましたように、経済基盤強化資金法によると、損失補てんのためのものである、こういうことが書いてあるのでありますが、これの運用の問題がある。これは損失補てんでありますから、私は、中小企業対策として、一ぺんに食うわけにはいかないけれども、こういう書き方をしておるから、だんだん食っていってもいいものだとしか解釈できない。しかし、あなたの方の御見解は、少し違うようでありますが、それにしても、この六十五億円というものは、できるだけこれを有利に運用しなければ、保険料率の引き下げにもならぬと思うのであります。この六十五億円は、法律によりますと、資金運用部に預けておく以外方法はない、こういうことになっております。これもまた芸のないことで、これは民間のどこの保険会社であっても、保険準備基金というものがありますけれども、これは下部に回したり、あるいは不動産に回したり、あるいは産業資金の貸し出しに回したり、有利にして、しかも確実な方法に回しておるわけでありまして、それで初めて保険料というものが引き下っていくわけであります。このように六十五億円を資金運用部に預けっぱなしということでは、保険料率は下らぬわけでありますけれども、何とかこれをもっと有利に確実に、しかも機動性を持って運用するように考えるわけにはいかぬものでしょうか。
  28. 川上為治

    川上政府委員 この公庫の原則としましては、やはり私は、独立採算という考え方でいくべきじゃないかと思います。従いまして、この経済基盤強化のための法律によりますと、なるほど損失が出ましたならば、それを取りくずして、その損失に充てることができるということになっておりますけれども、これはやはり非常に特別な場合に限定されるべきものではなかろうかというふうに、私の解釈としては考えておるわけでございます。  それから、今お話がありましたところの、資金運用部というようなところへ預けておくというようなことは、まことに芸のないことではないか。もっと、たとえば商工中金とか、そういうところに預けた方が運用利益の方ももっと大きくないか。また同時に、二重効果があるじゃないかということですが、これは中小企業対策の関係からいいますれば、全く同感でございますけれども相当大きな金でございますし、それをぽんぽん方々に預けていきますと、金融市場をいろいろ撹乱するというような心配もあるのであります。それから統一的な運営もなかなかできないというような問題がございまして、結局、資金運用部に預けるということになったわけでございます。これは、内田先生もよく御承知のことだと思いますが、私どもの方といたしましては、先ほど申し上げましたように、単に中小企業対策という点から見ますと、むしろ中金あたりに預けた方が、効果が大きいのじゃないかというふうに考えましたけれども、そういうようなことになったわけであります。
  29. 内田常雄

    内田委員 どうもまことに心細い中小企業庁長官で、本来なら、これは不信任をすべきでありますけれども、与党がせっかく抱いております政府委員でありますから、そういうわけにもいきません。はなはだ突っ込みが足りないようでございまして、中小企業対策というものは、大蔵省の財政金融対策と密接な関係があるのでありますけれども、いつも財政金融政策の全体の面から巻き込まれて、中小企業対策としてやるべきことを、いつもやっておらない。これはあなたの力ですか、あるいは通商産業大臣も逃げてしまっておらぬようでありますけれども、大臣の力が足りないのでありますか、これは私が野党だったら大へんなことになるのでありますけれども、みんなやんわり、やんわりやっておるのであります。これはみな法律趣旨に合っていない。さきの輸出保険あるいは経済基盤強化資金との関連におきましても、合っていない点があるのであります。これは大長官でありますから、一つ大いに納得のいくような方策を立てて、説明に当っていただきたいと思いまして、激励をいたしておきます。また私どもも、御協力をいたすつもりであります。  最後にお尋ねいたしますが、今度はまことに少い金額で、不満足でありますが、新しく二十億円を信用保証協会に回されます。しかし、これはやはりなるべく長期に、なるべく安い金利信用保証協会に貸し出されないと、さっきあなたがやりたいと言った、保証料の引き下げもできません、信用保証協会の強化もできませんが、これは一体どういう条件でお貸しになることになっているか。きまっておりましたならば、御説明を願いたい。
  30. 川上為治

    川上政府委員 三十二年度に十億の金を、保証協会に対しまして低利で貸付をいたしておるのですが、大体私どもの方としましては、三十三年度におきましても、それと同様な措置をとりたいというふうに考えております。具体的に言いますと、長期につきましては、原則として期間は二年、それから金利につきましては、二分五厘で貸しております。もちろん、これは例外がありまして、例外のものは三年三分ということになっております。それから短期につきましては、六カ月二分ということになっておりますが、この短期は金額的にもきわめて少いのであります。ほとんど大部分は、長期ということになっておりますが、大体そういうことで運営していきたいというふうに考えておりまして、その計算からいたしますと、先ほど申し上げましたように、保証料率についても、少くとも一割程度は切り下げることができるのではないかというふうに、実は考えているわけでございます。
  31. 内田常雄

    内田委員 最後に、私は御要求をいたしておきますが、今度の保険公庫等の設立に関連いたしまして、先ほどお話がありましたように、保証保険あるいは融資保険制度が変ります。今まではこうなっておった、てん補率は何十。パーセントだった、保険料率は何厘であった。これが今度は、新しい構想のもとにおいてはこうなるというような、最終的な新旧貸借対照表を、後ほど各委員に配付なさって、それについて、長官からでなくてもよろしいが、担当課長からでも、適当な折りに説明をしておいていただきたい。これは大部分は政令事項になるわけであります。  以上、私は、各点につきまして、各委員の意向のあるところを総合いたしまして質問をいたしましたけれども、この制度は、冒頭にも申しましたように、これまでたびたび当委員会において決議をいたしましたものが、ようやくここに実現いたしたものでありますから、私どもは賛成をするものでありますが、今後の運営とか、あるいは将来の構想につきましては、監督官庁といたしましても、また、この公庫ができ上りました後に運営の責任に当られる方におきましても、さらにこれを進歩前進させなければならない点が多々ありますので、それらのことに関連をいたしまして御質問をしたものでありますから、私のきょうの質疑応答の趣旨を十分勘案せられまして、百尺竿頭一歩を進めて、制度の完璧を期せられるようにお願いをいたしまして、私の質問を終ります。
  32. 小平久雄

    小平委員長 加藤清二君。
  33. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私はこの際、ジェトロの問題に関係して、その主たる資源になっておりまする特定物資納付金処理特別会計についてお尋ねをしたいのですが、これには大臣が来ていないと工合が悪いのですが、もし大臣、通商局長両者ともおられなければ、先に別なこと、工業用水問題を聞いてもいいのですけれども、どうしますか、来ますか。
  34. 小平久雄

    小平委員長 大臣と通商局長に来てもらうように、今、参議院の方に手配しておりますから、そのままちょっと待ってくれませんか。
  35. 笹本一雄

    ○笹本委員 それでは、今の内田委員の質問に関連して、その間にちょっと伺っておきます。内田委員から、あらゆる質問をされたので、ただ一点だけ聞いておきます。  団体組織法に関する政令については、成案が固まり次第に、この商工委員会長官はそれを報告するということになっておる。それはどういうことになっていますか。それからもう一つは、団体組織法によって、現在までの組織について、どういう指導をやっておるか、その指導の現況についてお伺いします。
  36. 川上為治

    川上政府委員 この中小企業団体組織法の政令案につきましては、一応私どもの方としては、草案を作りまして、省内でも大体打ち合せを終りまして、現在法制局と打ち合せ中でございます。今週中に法制局を済ませまして、それが済みましたならば、この委員会にもお示しできる、そういうふうに考えております。大体三月の二十日過ぎに、私どもとしては公布したいというふうに考えておるわけでございまして、現在いろいろ検討いたしておるわけでございます。  それから、組合の組織の問題につきましては、これは四月一日に法律を全面的に施行する予定でありますので、この施行に伴いまして、中小企業安定審議会というのができまして、そこでいわゆる不況要件というのを検討しまして、組合を作る基準を作るわけでございます。それを参照にいたしまして、今後組合の設立認めていくということになっておりますので、私どもとしましては、現在、各業者に対して、どういうふうにその組合を作れというような指導は、実はいたしておりません。ただ、組合関係と申しますか、業者関係方面では、自分の方で、こういうふうに組合を作りたいと思うが、また不況要件についてもこういう点があると思うが、一つその指導なり、あるいはその説明なりをしてくれというような話も来ておるものもありますので、そういうものにつきましては、そのつど係官を出しまして、いろいろ話し合いに応じておるというような状況になっておるわけでございます。—————————————
  37. 小平久雄

    小平委員長 次に、日本貿易振興会法案を議題とし、審査を進めます。  質疑を継続いたします。加藤清二君。
  38. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 まだ大臣が来られないようでございますから、その前に、私はジェトロの問題に関して、特に自動車の長期輸出の見通しについて、お尋ねしたいと思います。  通産省及び経企の五カ年計画によりますと、トラック、バス、乗用車等をすべて総合いたしまして、昭和三十一年度から三十七年度に至る間に、トラックにおいては一六八%、バスにおいては一七一%、乗用車のごときに至っては三四八%の生産増を見込んでおられるようでございます。そこでお尋ねいたしたいことは、これは果して実際に行われる案でございますか、それとも世間をくらますためのはったりの案でございますか、その点を一つ……。
  39. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 お話がありましたように、自動車の生産の伸びは、かなり急ピッチに現われております。バス、トラック等は、現在まだまだ国内需要も相当あるようでございますので、その程度は、特にむずかしいということではないだろうと思います。乗用車の方は昨年は四万台を越しまして、小型車ではございますが、一応乗用車工業が日本でもどうやらやっていけるという目安がついたかと思います。三倍程度、これは非常に急ピッチでございますが、国内需要としましても、今までの保有車の取りかえ等もございますし、それからもう一つは、やはり安定しました市場に向けて輸出するということを、ぜひ考えたいと思ったわけでございます。そういたしますと、大体十数万両という生産は、日本の国内の需要あるいは海外の状況等を見ましても、まあそれほど架空のものではないだろうと思っておりまして、むしろそういう方向に向って伸びるという努力目標というふうに考えておるわけでございます。
  40. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 もし、これだけ生産が急ピッチに伸びたといたしますと、御承知通り、トラック、バス、乗用車は、量産すれば安くなる、こういう勘定でございますが、一体コストにおいては、どの程度安くなる見通しがついておりますか。特に、昭和三十二年度においてはどの程度安くなるか、三十三年度においてはどの程度安くなるか、パーセンテージでもけっこうでございます。
  41. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 その点は、実はコストの推定はつけておりません。これは、一つは自動車企業のうちのある種のものにつきましては、大体こういう型、こういう装置でというのが、一応目安のついたのもございますが、他方、今後三年間ないし四年間の生産の具体的な型等につきましては、若干まだ見通しのつかない企業もございます。従って、そういうふうなコストとか、あるいは売り値といったものにつきましては、役所の方でも的確な推定はつけかねておりますが、御承知のように、ああいうふうな一種の装置企業でございますので、固定費が生産の台数に反比例しまして安くなるということは、考えられるわけでございます。ただ、具体的に、ただいまパーセントを実は申し上げるだけの研究をしておらないわけでございます。
  42. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 おそらく局長は、知っておって言わないのだろうと思います。だから、よけいに聞きたいのです。というのは、すでに本委員会においても、参考陳述が行われました折りに、各メーカーのそれぞれの責任者が、それぞれ登壇されまして、量産した場合には、かくかくの通り安くいたしますということを言われた。その通り実行しているのは、トヨタだけです。ところが、トヨタを調べてみますと、まだまだ安くしてもよろしいということを言うている。まだまだ安くなるということを言うている。ところが、他の会社の価格設定の関係で、安くすることを遠慮している向きがうかがわれる。従って、この際、私は、たとえばクラウンが幾らで、マスターが幾らで、デラックスが幾らで、こうこまかく言いたいのですが、そこまで詳しく承わらなくても、量産の計画を立てたら安くなるくらいのことは、当然のことで、乗用車のごときは、無慮三四八%も量産すると、こういうのです。そうなれば、一体現在よりも幾ら安くなるかということぐらいは、当然そろばんがはじかれておらなければならぬはずです。あなたは、そんなことができぬほど、頭の悪い局長じゃないはずです。一番頭のいい尊敬している局長さんです。当然答えられるはずです。なぜ答えられないかということです。国民は期待して、どれだけ安くなるかというあなたの答えを待っている。
  43. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 先ほど申しましたように、いろいろな生産方式がございますので、私自身実はその具体的な資料は持ち合せておりませんし、生産の型の安定している企業と、そうでない企業とは、かなり違うと思っておりますが、安定している方は、おそらく生産台数に、正確な比例はいたしませんけれども相当比例的に、ある種の関係をもってスライドする、これは当然だと思っております。ただ、具体的に四年後に何万円になるかということは、私も研究しておりません。
  44. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そこの問題なんですね。かっての参考人の陳述の場合には、月産三千台でございますから、マスターにおいては八十五万円といたしております。それはルノー、ワーゲン等に比較したら、とてもじゃないが高過ぎる。従って輸出をしょうなんてちゃんちゃらおかしい。そういう質問に対しまして、ごもっともな御質問でございます。従って、月産一万台になりましたならば、今より二〇%は引くことができます。それから月産十万台までいけば、当然のことながら四割六分までは安くすることができます。これはわが社の研究室におきまして、十分検討いたした問題であるし、フォードにおいても、シボレーにおいても、同じ実績を示しておるわけでございます、こういうふうに述べておられる。そういうことは、まさかうそだとはだれも言わなかった。なるほど、ワーゲンは月産十万台であるから、三十六万円程度でできる。シボレー、フォードの方は、月産百万台近いからあのように安くなる、こういうことは明らかな事実です。なぜ私がこういうことを聞かなければならないかということは、そのことがはっきりしておらなければ、この原案は空文に帰する、こういうことでございます。どうしてか、その見込み増産の中に、内地の需要はともかくとして、輸出ということが見込まれています。輸出が一番難渋しておりまする点は、何かといえば、外国車と競合いたしました折りに、能力が悪いのじゃない、減価償却の点が悪いのじゃない、スタイルが悪いのじゃない、ただ一点、コストが高過ぎるということでございます。繊維とは、まるで逆な行き方でございます。そこで、どれだけ安くなるかということが、はっきりめどがつかないことには、輸出商も、向う側のインボーターも、話に乗れないじゃございませんか。これが消耗品であれば、先の見通しは必要ないでしょう。同じようなスタイルが、将来どれだけ安くなるかということがわからないことには、商売にならないでしょう。従って売れない。輸出が難渋している理由は、ここから起きてくるわけです。本省において、量産の計画は立ったけれども、コスト・ダウンの見込みが立たないということであれば、ここに書かれております輸出見込みは空文にひとしい、こういうことになりますが、それでもよろしゅうございますか。
  45. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 今、御指摘のように、自動車の輸出の一番大きなきめ手は、売り出し価格でございます。その次には、いろいろ販売の経路あるいは先方におけるいろいろな材料なり構造の取締り法規というものがあるようでございます。先だつものは、一番問題は売り出し価格であります。これは国内の生産コストとどういう関係になるかということが、一番問題だと思います。最近、ある企業におきましては、対米輸出ということで、具体的に先方に事業所を設けて、そこを中心に米国内に卸売をして参ろうという計画がございます。非常にけっこうなことだと思って、われわれもいろいろな行政上の措置をしておりますが、価格の点になりますと、やはりまだまだもう少し努力する余地があるように聞いております。ただ、これには、いろいろ国内の値段ど違いまして、自動車の税金の関係あるいは継続的な輸送に対しまする運賃の割引きというふうな問題がございますので、売り出し価格から通常の途中経費を逆算いたしたものが、コストとどういう関係になるかということは、実はまだわれわれも十分つかんでおりません。おそらく、その計画しました企業におきましては、ある種の目安を立てまして、これならやっていけるということで、そういう売り出し価格をきめておることだろうと思っております。これは、ある程度向うの販売数量が上って参りませんと、いろいろな総かかり費その他が割安になりませんので、当初はやはり若干の問題はあるかと思っておりますが、ある程度数量がまとまって出るようになりますれば、何とかやっていけることになるのではないかというふうに考えております。
  46. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は、この際、大臣に、本件に関して承わりたいのですが、局長の言われておりますように、量産すれば安くなる。日本の自動車工業が、外国と比較いたしまして、常に劣るという点は、値段の点でございます。値段が高過ぎるから負けるという点でございます。にもかかわりませず、量産ということになりますれば、型式を統一してスタイルを同じようにしていけば、相当数量内地でも需要がございまするし、輸出もまた見込みがあるわけです。すでにドイツでは、このことを行なっておるわけでございます。そこで、先年、本省におきましても、国民車というものを統一しよう、こういう計画が大まじめに行われていたはずでございます。今年度の自動車の生産、量産、輸出等につきまして、規格を統一する計画はございますか、ございませんか。
  47. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 ただいまお話し趣旨は、私もよくわかるわけでございます。また量産するにつきまして、規格をできるだけ統一することにつきましても、異論はないのでございますが、何しろ、まだ日本の自動車工業というものは、最近に発達してきたばかりでございまして、国民車のような普及型といいますか、そういうようなものについても、将来は考えていかなければならぬと思いますが、直ちに本年そういうことをきめていくのがよいかどうか、そこまでの段階になっておるかどうかということについては、まだ私としましても結論を得ておらぬわけでございます。将来考えていきたいと思います。
  48. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 何せ戦後発達したものでございまして、などというような認識をしておられますから、そういうお答えになってしまう。御承知でございましょうが、戦後発達した工業か知りませんが、あなた、中国へ行ってごらんなさい。西安、延安の山奥に、二十年前にできました日本のトヨタのトラックが、現在平気で動いております。延安の飛行場には、三輪マツダ・トラックが、けっこう客の荷物を運んでおります。十分、間に合っております。  ところで、輸出の難渋する点は、今のコストの問題と、もう一点は、東南アジア及び中国等に、非常に大きな市場があるにもかかわりませず、中国に対しては、政府みずからが輸出を禁止しているの趣きがあります。それは一体、今や中国との関係が、第四次協定が結ばれまして、鉄鋼までが乗り出す、こういうことになりましたやさきに、本省としては、中国に対する自動車、トラックの輸出についてどう考えておられるのか。ついでに東南アジアにこれを送り出します場合に、延べ払いの問題とか、あるいは為替損失補償の問題を、どうお考えになっていらっしゃるか。
  49. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 私は、ただいまのお話を、国民車なり乗用車の問題のようにお聞きしたのであります。もちろん、トラック等につきましては、戦前から相当発展してきておるのは事実であります。それにつきまして、どういうふうに規格を統一していくかということについては、今後の問題として、十分考えていきたいと思います。  それから、延べ払いその他の問題につきまして、中国との関係におきましては、長期の契約をされる分については、何ら異存はないのでありますが、問題は、要するにその財源の確保ということを、どういうふうにやるかという問題でありまして、事実、適当な方法があれば、それも解決いたしたいというので、いろいろと研究をいたしておる段階でありまするが、御承知のような外交上の手段ということが、まだありません。それにかわる技術的な方法をどういうふうに考えていくかということについて、ただいま検討いたしておるところでございます。
  50. 松平忠久

    ○松平委員 関連して。先ほど加藤委員の質問に対して、大臣はお答えにならなかったわけでありますが、この自動車産業の中の一つの問題は、部品の不統一ということにあったわけであります。そうして、この商工委員会におきましても、かつて、部品はなるべく統一しなければならぬということで、十数項目にわたって決議をしたことがあります。通産省当局においてもそれを認められて、各メーカー等に対して、なるべく衆議院の商工委員会の決議の趣旨を尊重してやるようにということを、やっておられるだろうと思うのだけれども、この部品の整理統一ということに関しては、今日までどういうことをやってこられたか、あわせこの機会に伺いたいと思います。
  51. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 部品の問題は、日本の部品メーカーのシャシー・メーカーに対しまする相対的な地位の関係もありまして、なかなか御指摘のように、いろいろ乱雑といっては言葉が悪うございますが、多岐になっておる。それで附帯決議にもありましたように、自乗第一の問題としましては、つけまするシャシーもいろいろございますが、何とか規格の統一ができないかということで、これにつきましては、過去二年間、自動車技術協会を中心としまして検討を加えておりますが、そのうちの一部につきましては、シャシー・メーカーの方も、かなり採用するという段階になっております。  それからもう一つは、部品の社内製といいますか、シャシー・メーカーが生産するのと、部品メーカーが生産するのと、その生産分野をどこにおくのかという問題がございまして、これにつきましても、いろいろ検討を加えましたが、一応の結論としましては、機能部品等で、直接シャシーの構造と、不可分という言葉は悪うございますが、非常に緊密なる関係にあるというものにつきましては、シャシー・メーカーで作ることもやむを得ぬだろうしかし、ある程度独立した機能なり構造なりを持っておるものは、これは専門の部品メーカーを育成した方がいいというふうな結論を得まして、目下その方向で、前々国会に成立いたしました機械工業振興法の中に自動車部品を指定いたしまして、これは種類が非常にたくさんございますが、それぞれにつきまして、それぞれ合理化の目標をきめまして、必要あらばそれに対しまして開銀の資金のあっせん等も行うということで、部品メーカーの質的な向上をはかっております。  大体そういうことで、部品の品質の向上と、従って、部品メーカーのシャーシー・メーカーに対しまする経済的地位を相対的に上げて参ろう。結局、シャシー・メーカーの方が、部品メーカーの生産します規格の部品をそのまま採用しているというのが、アメリカなりイギリスの例でございます。ところが、日本は、どうもそこまで部品メーカーに対する信頼がまだないようで、シャシー・メーカーが自分で設計して、部品メーカーに発注するというような傾向も若干ございます。そうすると、それぞれのシャシーに応じて、部品の規格はふえて参ると思いますから、今申しましたような施策によりまして、できるだけ部品メーカーの技術的な、あるいは経済的な地位を上げまして、そうして部品メーカーの設計と技術でシャシー・メーカーに取引してもらうという形に持って参りたい、こういうふうに考えております。
  52. 松平忠久

    ○松平委員 今の局長のお話の中で、部品メーカーに対する通産省の指示というか、やり方というものが、今日相当混乱を起しておるのじゃないかと思うのです。それは、結局通産省の指導力というか、それがシャシー・メーカーに及んでおらぬということです。だから、あなた方が考えられて、部品メーカーに対してそういう規格を作り、あるいはそういう指導方針を持って臨まれるというならば、シャシー・メーカーに対しても、それを実施させるようにしなければならぬ。ところが、今日は、通産省の力は、シャシー・メーカーに及んでおらぬ。これは豊田にしても、日産にしても、通産省の言うことを聞きません。通産省の示したやり方、あるいは規格を聞かないから、部品メーカーは、シャシー・メーカーの言うことを、またあらためて聞かなければならぬ。こういうことでもって、今日は相当混乱を来たしておると私は承知しておる。であるから、あなた方は、部品メーカーに対しては、いろいろな指示を与える。これはいいことであります。そうして、部品メーカーの地位を向上させる。これはいいことであります。しかし、もしそれをやるならば、シャシー・メーカーにもあなた方はもっと指導力を出してこれをやって、お前たちもこれを聞けという指導力を出さなければ、結局、部品メーカーにただ混乱を与えるだけである。これが現在の状態です。これに対して、一体どう考えておるか。
  53. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 なかなかこういう技術的な取引関係を持った問題は、一朝に改善できませんので、ある程度部品メーカーの腕を上げる期間も要るかと思っております。しかし、シャシー・メーカーの方に対しましても、これは全然ほうっておるわけではございませんで、機会あるごとに、先ほど申しました自動車技術協会というものを中心として進めております。なかなか一朝一夕には参りませんが、そういう方針で仕事をやっておりますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  54. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私が先ほど質問したことが、大臣からまだ答えられておりません。勘違いをしていらっしゃるといけないから、もう一度お尋ねいたします。中国に参りますと、広州に行きましても、北京、上海、天津とどこを回りましても、町に相当数量の自動車がございます。特に建国祭の日のごときは、北京の町は、自動車であふれておりました。そのスタイルを見ますと、メイド・イン・イングランド、メイド・イン・USA、メイド・イン・ジャーマ二一、メイド・イン・ポーランド、銘柄はワルシャワである。中国の第一次五カ年計画の建設事業で、日本だけはオミットされましたけれども、こういう自由経済諸国の機械及び車等が、どんどん向うに入っているのでございます。私は目で見てきた。特に、そういうところは映画にもとって参りました。ところで、日本の自動車あるいはトラック、バスが向うに出ない原因のおもなものは、価格の点と、それから政府がこれを許可していない。小刻みに許可をしていくけれども、許可をしていない、こういう点でございます。そこで、お尋ねしたいのは、後輪駆動だけは許されたようでございますが、前輪駆動の場合は許されたか許されないか。五トン積み以上のものは許されたか許されないか。もし許されないとするならば、何がゆえに許されていないのか。アメリカもイギリスもドイツもみんなここに送っているにかかわらず、日本のものだけがなぜ許されないのか。
  55. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 乗用車につきましては、実は今のところ、制限はないのであります。正確な点はあとでお答え申し上げますが、トラックにつきましても、若干大きさに制限があるだけであります。今、北京で外国のものを見かけるというお話でございますが、われわれは、ヨーロッパ諸国と同じ基準でやっておりまして、果して先生がごらんになったのが前輪駆動なのか後輪駆動なのか、そこまで見られましたかどうか。それからアメリカは、まだおそらく許可しておらぬと思います。アメリカの会社は、世界各地にありますので、スタイルとか何とかは、アメリカのに、もちろん似通っているかもしれませんが、ほんとうにメイド・イン・USAか。アメリカの会社ではあるが、メイド。イン・カナダの場合もあるし、メイド。イン・イングランドの場合もありますし、そこまではっきりごらんになったかどうか。率直に言いますと、われわれもそういうお話を伺いますので、アメリカ側にも聞いたり、いろいろ調べてみるのですが、どうもはっきり実態がつかめないのです。
  56. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 何か私の発言に誤謬があるかのごとき印象を受けますので、その点明らかにしておきますが、シボレーだとかフォードだとかいうものが、共産圏でできておるというなら、それはあなたの通りだと言います。しかし、それが、かりにカナダだったとしても、あるいはイギリス製だったとしても、私はどういう経路で入ったかということまで聞いてきた。が、いずれにしても、かりにイギリス製シボレーであったにしても、これは共産圏で作られたものではないということは、通商局長、あなたの方がよく御存じのはずでございます。こういうものが北京を走っている。しかも、あの建国祭の日は、自動車の展覧会みたいに、ざあっと集まってきて、建国祭の済むまでずっと並んで待っているのです。私は、建国祭のデモンストレーションよりも、自動車のこのデモンストレーションの方に興味を持った。それで、みんな写真をとってきた。そして、いかにして入ったかも調べて参りました。それは乗用車でございます。ところが前輪駆動がちゃんと走っている。だから、日本に対しても、前輪駆動がほしいというオファーが来ていることを、おそらくや、あなたも御存じのことだと存ずるわけでございます。それが許されたか許されないか。先ほど通商局長は、大きさの点においてやや制限が、という言葉でお逃げになったようでございますが、おっとどっこい、そんなことで逃げてもらっては、ちょっと困るのでございます。
  57. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 中国に対します自動車の輸出制限、私も的確に記憶しておりませんが、前輪駆動は、たしかむずかしいではないかと思っております。それから、向うにあります車のお話がいろいろございました。私も、実は先生よりちょっと前に参りましたが、当時もアメリカ車がたくさんありました。むしろ、よその国の車よりも、多いわけであります。これは、いろいろ聞いてみますと、やはり蒋介石政権のころ、アメリカから相当入って、それを置いて行ったのが多いようであります。相当年式を経ております。最近の経路につきましては、加藤委員からいろいろお聞きしたいと思います。それからポーランドのワルシャワの車がずいぶんあります。最近トラック等につきましては、興安に大きな自動車工場を作っておりまして、そろそろ生産を開始していると思います。たしか年産十万を越す工場と思っております。われわれの方に、ココムの制限緩和後、中国市場からトラックの引き合いがございましたが、あまり大きなまとまった話は聞きません。あれば輸出するはずであります。御承知のように、トラックとバスは、日本の自動車のうちで、一番国際的競争力を持っております。特にディーゼルのトラックあるいはバスは、性能におきましても、価格におきましても、世界でトップ。レベルの地位にある一つでございますので、なぜ一体そういう車両の輸出がうまくいかぬのか、私は不思議に思っている次第でございまして、いろいろ教えていただけば幸いでございます。
  58. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 なぜ中国に車が出ないかの原因は、私が答えるより、あなたの方がよう御存じのはずである。というのは、何であるか。今、あなたがおっしゃった通り、前輪駆動は許されていない。つまり、向うのほしいものが、こっちから輸出されぬということである。簡単な車、後輪駆動のごときは、今あなたがおっしゃったように、ポーランドのワルシャワその他が市場を占領してしまっている。そこで、別な新しい市場に向きそうなものを中国がわざとオファーしてくれると、それはできませんとおっしゃるものだから、輸出ができない、こういうことである。何もむずかしいことはない。従って、前輪駆動のうちの、特にトラックでいえば、ダンプ・カーのごとき、これは向うからたくさんオファーが来ている事実、あなたの上聞に達しているかどうか知らぬが、持っていっても、どうせ雲の上で切られてしまうから、もうやめておきましょうということになるかもしれないが、鉄鋼協会までがその気になって、貿易をしよう、こういうやさきでございますので、私としては、前輪駆動がなぜいけないかということを聞きたい。よその国から入っているものが、日本からはなぜいけないのか、その点が聞きたい。大臣、大臣の方がよう知っているでしょう。
  59. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 せっかくのお尋ねでありますが、その理由につきましては、私、よく存じません。よく検討いたしまして、善処いたしたいと思います。
  60. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、そんなに逃げられては、いずれまた言える時期も自然にくるでしょう。が、あなたの考え、あなたの計画よりも、むしろ民間の方が先に進んでおります。第四次協定というのが結ばれました。しかし、第四次協定が結ばれたからというので、とたんに、あなたが施政方針でおっしゃったように、輸出が伸びるものでもなければ、中国の輸出が増大するものでもございません。あなたの努力いかんです。あなたの努力いかんで、人為的障害を、あなたの手によってのけるかのけないかということに一にかかっている。レールは敷けたけれども、その上に車を乗っけることができないとか、車を乗っけることがいやでござんすと言われておっては、せっかくの第四次協定も、目的に達することはとうてい不可能だと思うわけでございます。相なるべくは、国民こぞって期待しておるところのこの第四次協定が、ほんとうに目的予定額に達するよう、一つあなたの手によって人為的障害を除去していただくことを希望いたしまして、今度はあなたの一番ようわかっておるところを申し上げます。  大臣の御説明によりますれば、本年度の通産予算説明の第五に、特定物資納付金処理特別会計がございます。これは、ただいま審議中のジェトロに大きな関係があります。ジェトロは、かってはこの金で動いていたのでございます。そこで、承わりたいことは、昭和三十二年度におきまして、一体この特定物資納付金は、何々がどれだけ入り、そのパーセントはどれだけであって、差益金は何ほどであったか、これを一つ承わりたい。
  61. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 三十二年度におきます特定物資の実施状況でございますが、まず実施をいたしました順序で申し上げますと、パイナップル・カン詰を約五十万ドル、それの納付率は五九・四%になっておりまして、差益の額は一億六百九十一万九千百三十八円、こうなっております。それからその次はコンニャクでございますが、約八万トルでございます。平均の納付率は二一三%になっております。これは入札制をとりましたために、最高と最低との平均でございます。差益の合計は七千二百三十万八千三百円、その次はまたパイナップル・カン詰であります。五十万ドル、納付率も先ほど申し上げました五九・四%でございます。その次は台湾バナナでありまして、二百二十五万ドル、差益納付率は七三・二%、差益額の合計は五億九千三百二十万一千七百六円。その次は腕時計でございますが、六十万ドルであります。差益納付率は三八%、差益金は八千二百七万六千二百五十一円、その次に、国際見本市に出品をしてきました腕時計も、同様にやっておりますが、これは金額にしてごくわずかでありまして、一万六百二十ドルで、納付率は三五%、差益金は百三十三万七千九百九十四円。その次は中共産のバナナが二十五万ドル、差益納付率は、これは一ポンド当りでありますが、八四%になっております。金額は七千五百六十二万二千九十五円となっております。以上が三十二年上期の実施であります。
  62. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それを一つ資料として御提出願う方が、時間的に都合がよいのではないかと思います。  そこで、もう一つ残っておりますスジコ、雑豆はどうなっておりますか。
  63. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 スジコは約十万ドル実施をいたしておりますが、差益納付率は七三%、金額は二千六百二十五万六千三百四十七円。雑豆は特定物資でいたしておりません。ジェトロに徴収をする、こういう方法でしておりますので、特定物資扱いにはいたしておりません。もちろん三十一年度で実施をした金額は、三十二年度で受けるものがかなりありますので、三十二年度の差益金の総トータルは二十四億円前後になるのではないか、こういうように考えております。
  64. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そこでお尋ねいたしたいのは、三十三年度の歳入歳出の予定額が、二十億八千九百一万円ということに相なっておるわけでございます。ところが、三十二年度実績は、御承知通り、台湾バナナがその前不況でございました。従って、今年度は、総トータルにおいて、これよりもややふえるではないかと考えられますが、いかがなものでございましょう。
  65. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 確かに御指摘の通りでありますが、三千三年度につきましては、予算を編成する当時の事実でやりましたために、たとえばコンニャクのごときものは、昭和三十三年度に輸入があるのかもしれぬのでありますが、一応予定をしないような案になっておるわけであります。またその差益率等も、会計予算の方は、一応の見積りでございますので、若干低めて出しておるというような点もありまして、三十二年度に比べまして、三千三年度は、若干金額は減っているようなわけであります。実際に実施をいたしますれば、私の感じでは、いま少しふえるのではないかというふうに考えております。
  66. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私も、三十二年度と三十三年度を比較いたしました場合においては、ふえるのではないか、こういう感じがいたすのでございます。にもかかわりませず、去年の二十四億よりも四億程度低く見積ってあるようでございますが、これは何か差益のパーセンテージでも減らす御予定があったのでございましょうか。聞くところによりますと、差益のパーセンテージは、去年よりもふえているように聞くのですが、どういうわけでしょう。
  67. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 先ほど申しましたように、品目において一、二減しておりますのと、差益率も、たとえばパイカンその他スジコ等については、国内相場の関係もありまして、前回よりも若干低目に見ておるわけであります。しかし、これは申し上げるまでもなく、予算でございますので、実施をするときに、その通りにやるというわけのものではないのでございます。実際の相場を、そのときどきに判断をして、差益率を計算しておるわけでございます。また、バナナにつきましても、シーズンがございまして、上期と下期とでは、差益率は、従来だいぶ変っておるわけであります。ただこれは、機械的に平均をして出しておるような状況であります。そういう点もありまして、現実の姿は、若干これと食い違うことになろうかと思います。
  68. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は、食い違っておるからいけないということを言うておるのではございません。これは、何も実行された予算ではなく、これからの予算でございますから、不正があるとか、不正を見込んだろうとか、そういう気持で、ついておるのではございません。ただ、私の承わりたいのは、今、局長もおっしゃいましたように、バナナは昭和三十二年度におきましては、上期が五億九千何がし、下期が十億五千何がしで、三十二年度だけで十六億四千九百九十七万円程度あるはずであります。四百五十万ドルは変っていないはずであります。しかも、これは台湾バナナだけの話でございます。広東バナナを加えますと、バナナだけで大体二十億程度のものが予想されるわけでございます。しかも、そのバナナの差益率が、今年度はふえているはずでしょう。何%にふえましたか。バナナは去年は七三・二%でしたね。ことしはふえたはずです。
  69. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 バナナの三十二年度上期は、先ほど申し上げましたように七三・二%。ところが下期の割当は一一七・六%であります。金額は同じでございますので、全体を平均しますと九五%程度になると思います。ただ、先ほども申しますように、ちょうど今が下期でありまして、今割り当てをするものは、これからの四月、五月、六月、七月、八月、九月に大体入ってきまして、内地のバナナの相場からいいますと、一番高いときに入ってくるものであります。従いまして、大体浜相場を六千七百円くらいと予定しまして、シフ価格の七ドル五十を基礎に置いて、そういうパーセンテージをはじいたのであります。ところが、上期におきましては、上期に割り当てたものが、大体冬じゅうに入ります。従来の相場でいいますと、浜相場は比較的低いものであります。そのときは、たしか五千五百円くらいの浜相場を予定しました。それからシア価格との間の比率を出したのが、先ほど申しましたように七三・二%、こうなっているわけであります。ことしのものを平均しますと、三十一年度の平均が、たしか一〇六%だったようでありますから、かなりの引き下げになっているかと思います。
  70. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 去年の七三%よりも、今度設定された方が、確かに高い。そこが聞きたい。高くなったか、安くなったかということが聞きたい。高くなったでしょう。私が、なぜこういうことを聞かなければならぬかと申しますと、私は、いなか回りをやっております。そうすると、学校の先生が、私にこういうことを言いました。子供が病気になった。どうせこれは命がないということがわかった。その折りに親が、なんぞ食べたいものはないかと聞いた。そうしたら、せめてバナナが食べたい、こう言うた。ところがそのバナナは入手することが非常に困難で、名古屋まで出るのに十里もあるところです。とてもじゃないが自動車賃もない。ついにその子供にこれを食べさせることができなかった、こういう実情を私は聞いております。バナナがたくさんに入る、あるいは安く入った場合には、日本の農産物にある程度の悪影響のあることは、私も承知しております。しかしながら、台湾においては一本せいぜい一円七、八十銭から、最高のときでも二円八十銭程度。広東バナナは、一本一円五十銭から一円程度。これが日本へ参りますと、とたんに一本三十円。うそじゃございません。ここの食堂で食べてごらんなさい、一本五十円もとります。なぜそう高くしなければならないのか。この結果は、消費者が高いバナナを食わされるのみならず、台湾側に言わせますと、あんなに高く売るのだから、もっと高くしたっていいじゃないか、こういう結果になり、ますます高く買わされる結果が生じてきているのでございます。私は、この点、非常に遺憾に思います。従って、差益はなるべく少いほどいいじゃないか。ところが、先年、これは特に大臣に承わっておきたいのですが、人頭割りというところのいい精神でもって、この外貨が割当されました。これはあまねく広く農村地帯の方々、いなかの地方にも、安く分けてあげたいからという精神のようでございました。しかし、頭金四百五十万ドルときまっておりますところのバナナの外貨を、数多いインポーターに割り当てた結果は、一人当りが百かごか三百かごというところも出て参りました。そういう人が、台湾まで買いにいけるはずがございません。その結果、このアロケーションを買い集める連中が出て参ります。買い集めて、それでもって、自分で買いにいければよろしゅうございますが、それが普通輸入しておられますところへ売り込む。結局、アロケーションを、さやをつけて買った。その結果は、ますます消費者に対して高いバナナを食わせなければならぬ。結局、いなかの子供は、そのおかげでよけいに高くなるから、修学旅行のときでさえも食べられない、こういう結果が生じてきておる。これに対して、大臣は、今後どう考えていくか。すでに全芭連事件の折りにも、この問題については、再三申し上げましたにもかかわりませず、なお人頭割とかどうとかいって、政府が禁止しておるところのアロケーション売買が、公然行われるような制度をとっておられるようでございます。制度がどうあろうとこうあろうと、ただ消費者に対して安く提供するという精神が、途中で没却されることを、私はまことに遺憾に思うわけでございます。大臣、いかがでありましょうか。
  71. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 バナナの割当につきましては、いろいろ御意見があるのであります。全く理想的な形はないために、国会におきましても、いろいろ両方の意見があります。最も調和のいいような線をねらって、そういうような割当をやっておるのであります。結局、非常にいいやり方がないというところから、起っておると思います。それにつきましても、できるだけ一番よさそうな方法をとるということで、皆さんの御意見をいろいろ聞いてやっておるわけでございます。さらにまた、差益の問題につきましても、たくさん入れれば、おそらくもっと下るでありましょうが、現在の日本の状況としましては、そういうわけにも参りません。従って、需要供給の関係で高くなった。その差額を、あまりもうけ過ぎじゃないかという意味で、別に差益をとったから値が上る、こういうようなつもりでやっておるわけじゃないので、その点につきましても、結局、現状におきましては、豊富にどんどん入れるというわけにいかぬこと、また割当の理想的な方式がないために、起ってくる現象でありまして、われわれとして、極力、そのうちでもいい方法ということでやっているので、別にむごいことをやっておるつもりではないのであります。その点は、もう十分御承知のことと思います。御了承願いたいと思います。
  72. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 満足できません。いろいろな意見があるから、それによろめいておる。こういうことであれば、水谷委員が本会議で申しました通り、お宅の方の予算の編成の方針は、圧力団体にはまことにサービスをよくし、そうでないものにはまことに緊縮でいく、あの言葉が、全く当てはまる。私は、あれはある程度はったりはあるかもしらぬと思ったが、はしなくもあなたはそのことを裏づけた。それでよろしゅうございますか。問題は、あの意見があり、この意見があるから、その中庸をとったというお言葉でございました。なるほど、それはごもっともでございましょう。しかし、その意見の内容たるものが、自己の利益をより多くするために言われておることであるか、あるいは、ほんとうに国民のために言われておる問題であるかの識別ぐらいは、当然あなただったらできるはずです。それができずに、言われたからこうしました、ああしましたでは、ちょっと自主性がなさ過ぎる。それだったら、私がこれからわあわあ言いますから、私の言う通りにしますか。あいにく、私が実力がないから、いけないと、こういうことになりましょう。私が岸系であるとか、あるいは河野系であるというなら、それの言うことは聞く、野党の言うことは聞かない。同じ与党でも、勢力の少い村からの言葉は案外聞かない、こういうことであるならば、何をか言わんやであります。私は、そういう大臣は、資格喪失者と認めざるを得ないのであります。
  73. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 私は、何も利益なり力の関係によってやっておるわけではないのであります。もっともな理由については、耳を傾けるべきです。その両者のいろいろな御意見は、確かに理由のある点については、何も力とか利益とか、そんなことを考えずにやっていかなければなりません。もっともな両者の意見があるという場合に、それを加味して考えていく、これはもう当然のことだと思います。その点は、十分御了承願いたいと思います。
  74. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうお答え願えれば、私も納得をいたします。  さて、本件に関しては、あなたは、いずれの意見が正しいとお考えでございましょうか。
  75. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 広く分けなければならぬという御意見、また従来のいろいろな実績その他についての考えも、入れていかなければなりません。これは両方の意見のあるところを調整しながらやっていくというのが、当然だと思います。
  76. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 広く分けると言っても、数量が無制限のものならば、数多くの人に分けたら、それが経済的に成り立つ経済単位というものになるでございましょう。ところが、頭が四百五十万ドルときまっているわけでございます。それを数多く分けた場合には、経済的に成り立ちませんから、必然的に、ここにその権利を売買するという行為が行われるのは当然でございます。さすれば、本省の歓迎しないところのアロケーション売買ということが行われる。それには、差益がつくわけでございます。物にたとえれば、映画館の切符を、窓口で買えば定価通りにはいれる。ところが、ブローカーがそこに存在して、それから買ったおかげで、三割なり五割、余分に払わなければならない。こういう結果が生じたと同じことでございます。そのことは、やがてインポーターが、自分にしわを寄せればけっこうでございます。ところが、商売は、決して自分にはしわを寄せません。必ずそのことは、消費者の方へ向けていくのでございます。消費者は、必然的に高いものを買わされなければならない。いわば、消費者は、やみ切符を買って映画館へ入った、これと同じでございます。少くとも学童とか学校の生徒とかいうものには、割引きをして映画を見せるのが目下の流行だ。それが当然の精神だと私は思うておる。それに余分な重荷を背負わせて映画を見せなければならぬというようなことが、はっきりわかっていることを、なぜあえて大臣がしなければならないのか、こういうことがお尋ねしたいのです。幸い、大臣は、正しきにつくとおっしゃったのだから、もう私はそれでけっこうでございます。だから、あなたは、いずれが正しいとお考えになりますかということを聞いておるわけでございます。こんなものは、カントの理論でもなければ何でもない、アウフヘーベェンせんでもいいですから、そのものずばりと答えて下さい。
  77. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 権利の売買が行われるようなことは、私は感心いたしません。とにかく、何としてもそれを押えていく方法を考えていかなければなりません。ただ、先般やりましたやり方については、いろいろな意見もありまして、その意見ももっともだというので、調和をはかって実際にやってみたらどうかということで、出発したのであります。今後、それについてのやり方については、なお、常に検討して、おっしゃるように、最も正しい方法でいくべきだ、かように考えております。
  78. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 けっこうです。それでは、もう一つ正しくやっていただきたいものがありますので、それをお尋ねして、きょうの終りにいたしたいと存じます。  先ほど、腕時計の外貨割当の話を、通商局長から聞いたのでございますが、去年は上期が五十万ドル、下期もそれに相似たものでございました。本年度は、どの程度になさる御予定でございますか。
  79. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 本年度外貨予算としては、まだはっきりきめてはいないのでありますが、一応特定物資の特別会計の収支予算におきましては、上期・下期合せて百万ドルというふうに予定をしております。
  80. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その差益は、何ほどでございますか。
  81. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 今の予定では、この差益の半額が三十四年度にずれますので、三十三年度においては、三千六百万円の差益を予定しておるわけであります。
  82. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 パーセンテージが聞きたいのですが……。
  83. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 差益率は、この予算案においては三五%ということになっておるのでありますが、先ほど説明申し上げましたように、三八%——これは現在実施している率でございますが、その程度は踏襲すべきものではなかろうかというふうに考えております。
  84. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 年間百万ドルと申しますと、一個十ドル単位として、個数にして十万個でございますね。そうすると、ここに重大な問題が惹起して参ります。と申しますのは、腕時計に関しては、常に日本の需要と供給のバランスがとれておりません。生産が少くて、需要が多いのであります。そこへわずか十万個の輸入が行われた程度でございますと、ここに年間を通じて百万個くらいの不足が生じて参ります。ほんとうは、ここでずっと計算を発表したいのでございますけれども、時間がないので簡単に端折りますが、そこで、私は、香港からの腕時計の対日不正規輸出量の推定資料を、香港政庁の調査に基いて申し上げますと、大へんなことで、五三年には九十一万個、五四年には約百万個、五五年にちょっと減って八十二万個、五六年には百十八万個、五七年には百三十三万個、かようにふえておるのでございます。五七年における不正規輸入の時計を、金額に見積りますと、十五億余になるわけでございます。このことは、常に税関等で少々あげられております。一つの船だけでもって、一万個余のやみ輸入を行なった事件もございます。しかし、これなどは、発見された中のほんの氷山の一角でございます。なぜ、そのようなことが行われるであろうか。これは需要と供給の関係のみならず、正規に輸入された時計が高い。従って、不正規輸入をした場合に、三度に二度つかまっても、なお、うまみがある。こういう結果から、生じているのでございます。何度これを規制しようと、何度これを没収しようと、一向にその跡が絶えないのでございます。これに対して、大蔵省としては、どのような防止対策を講じていらっしゃいますか。また通産省としては、どのような対策を講じていらっしゃいますか。
  85. 稲益繁

    稲益説明員 実は、私、為替局の方でございまして、ちょっと所管が違いますので、的確なお答えは申し上げかねるのでありますが、実は主税局税関部で、そういう対策をやっているわけでございます。お説のように、確かに供給が少い、あるいは価格が高い、そのためにもうけが多いというところから、密輸の問題が起ることは、当然考えられるわけであります。ただ、何と申しましても、密輸が多いから貴重な外貨を使うということは、通産当局としても、あとでお話があろうかと思いますが、外貨予算編成上、さようにも参らない。私、承知しております限りでお答えいたしますと、大蔵省といたしましては、外貨予算の編成は、各実施ごとの一応のめどがあるわけでございます。これは、通産省等でもそうでありますが、私どもとしましては、その結果、外貨の輸入が少いということから起ります密輸というようなものに対しましては、別途に消費制度その他の対策を講じまして、極力防止して参る、かような考えでやっております。
  86. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 実は時計の輸入量でございますが、率直に申しまして、密輸の問題もさることながら、われわれといたしましては、外貨の有効利用という点から、不急不要物資は、できるだけ抑える考え方を、従来とってきているのであります。国内産業との関係もにらみ合せて、先ほど申し上げましたような金額になっているのでありますが、われわれとしても、事情が許しますならば、そういう密輸のことも考慮しまして、乏しい外貨ではございますが、ある程度輸入量の増額考えなくてはならないと思っております。しかし、要は、特定物資の差益が、密輸を誘発しているかどうかについては、いま一つ輸入税なり物品税も、あわせ考えなくてはならぬのでありまして、現在輸入税は三〇%、物品税はそれに加算したものに対して一〇%ということで、四、五〇%になっているのではないかと思うのであります。その上差益の三七、八%がかかるわけであります。従いまして、この密輸という心理は、差益というよりも、輸入税、物品税、そのものを、まるまる密輸をするわけでありますので、これは取締り当局にできるだけお願いするほか、今の密輸分を全部正規の輸入でということになりますと、これは時計の輸入に、えらい外貨を必要とする格好になりますので、そうは参らぬかと思っておるのであります。やはり、取り締りを厳重にすると同時に、あまりにも外国時計に対するあこがれ的な心理というものを、一般大衆にも考えていただかなければならぬと思いますが、われわれといたしましても、乏しい外貨ではございますが、やはり少しくらいは増加するような方向で考えてみたいというふうに考えております。
  87. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 国産愛用と国産奨励の問題については、また別の局長にお尋ねをするといたしまして、このたびは、主として輸出入の問題にしぼってお尋ねをしているわけでございます。いずれにいたしましても、年間の生産は、内地においては三十万個程度、今度、高野精密がふえたといたしましても、これは年間四万個程度です。それに十万個正規輸入したとしても、五十万個には達しない。需要は、百万個以上でございます。特に大臣、ここしばらくラジオを聞いておってごらんなさい。何と言うかというと、この間うち、おもしろいことを言うですよ。入学、御卒業のお祝いにはぜひ腕時計をと、ラジオが言う、雑誌が言う、新聞が言う。映画館に入ってもまた時計の宣伝をやっておる。あれほど宣伝をされたのでは無理もない。親ともなれば、せっかく大学に入学した。だから時計の一個ぐらいは、ということになってくるので、需要はますますふえる。と同時に、私は時計を需要する数量、それからまた自動車を需要する数量というものは、その国の文化のある程度のバロメーターだと思う。今や時計というものは、装飾品でなくして、必需品になってきておる。特に勤め人は、これがなくてはその日が暮せないほど、からだの一部分になってしまっているのです。こういうものが、内地において生産されても、需要の半分にも満たない。しかも、それを補うに当って入れます時計は、ほとんどその需要の一〇%にもならない。そこへ持ってきて、それは大蔵省のお情によって、原価の二倍以上の価格になる。こういうものですから、やみ屋としては、こんなことを見捨てておくはずはございません。香港でさばかれるものは、ほとんど東洋向けということに相なっておりますが、その約九〇%はこちらへ向けられる。今の香港政庁の発表では、七〇%どまりということになっておりますけれども、実際はそれ以上来ているというのが、消息通のながめるところであります。なぜ、私はこんなことを言わなければならないかというと、これが近ごろは農村へ回ってくる、工場へ回ってくる。街頭売りが行われないので、工場、会社、官庁の中へ入ってくる。通産大臣、通産省のあの時計売場にやみ時計が売られておったことを、あなたは御存じですか。裏をひっくり返してみるほど、ひまはないでしょう。私はひま人ですから、ときどき見に行くのですけれども、東京においては、もうこのことが方々で起っておる。それがどうかというと、何かまるで労働組合がそれを扱ったかのごとき印象を与え、それはやがて消費生活協同組合が、しろうとでもってそれをするからいけないのだということで、消費生活協同組合や購買会を征伐するところの法律案を、通産大臣はぬけぬけと出してきておる、めぐりめぐってこういう悪影響まで及ぼしてきておる次第でございますが、大臣、ここらあたりで、一つ、そのやみ退治の腹案なりとも、お示しを願いたいのであります。
  88. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 ただいま各局長から御答弁申し上げましたように、結局において、そのもとを絶つという意味において、国内の増産をはかる。また輸入も、乏しいながらも極力入れる。こういうことが一番の方法で、それ以外に、なかなか強制力だけではいかぬと思います。ただ、御承知のような外貨事情でありますから、そううまいこと多量に入れるというわけには参りません。できるだけその間の事情を考えながら、外貨予算の編成を考える、こういう面で、ただいまのところはやむを得ないと思います。また国内産を極力増産させるということも、努力いたしたいと思います。
  89. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 この点は、さしあたっては、外貨の操作と差益の操作でございます。外貨をどの程度ふやすか、差益をどの程度減らすか、この二点だと思います。通商局長及び大蔵省においては、これをぜひ慎重に御検討いただきたいのでございます。少数の者から苛酷にとるおかげで、当然とり得るものが、別途やみ輸入という姿において、国家の収入が全然とれないという不合理が行われておるわけでございます。この点、よく御考慮に入れていただきまして、至急具体策を練っていただきたい。私は、今国会が終る前に、もう一度この質問をいたします。  ところで、大臣に最後にお尋ねしたい点は、ラジオもテレビも、交流の電気が使えますにもかかわりませず、時計に限って、交流の時計が内地では発達しない。この理由を、御承知でございましょうか。それは、御存じないとは言わせない。すでに私は、本委員会においてこのことをお尋ねし、本省においては、これを調査するということになっておる。どうしてかといえば、ラジオやテレどの方は、少々声が小さくなるとか、少々映像が薄くなるで事足りるわけです。ところが時計に限っては、時間がおくれてしまうというのです。どうしてか、流れている電気が質が悪くて、コンスタントでないという証拠なのです。従って、日本では、乾電池時計しか使われていない。私はこれを実験するために、アメリカからベンラスという交流時計を見本でとりまして、テストしてみました。悲しいことにサイクルがアメリカと東京とは違っております。幸いに関西は六十キロサイクルで、アメリカと同じでありますので、これを郷里に持って参りまして学校に寄付してみました。一カ月たたぬうちに、校長先生が私のところに怒って参りました。先生、寄付してくれたことはいいけれども、あの時計はおくれてかないません、どうにもなりませんな、こういうことです。それのみならず、社会党のみたいな貧乏人に寄付してもらえば、時計がおくれるのは当りまえだ、あれはくずを買ってきたのだ、こういうことで私はずいぶん非難攻撃を受けたわけでございます。そこで、これは証拠を見せなければならぬというので、時計屋を呼んで調査をさせました。ところが、小さい町の時計屋では、私にはわからないと言う。そこで、名古屋の専門の時計屋を呼んで調べてみましたところ、時計は、どこにも悪いところはないと言う。もし時計が悪いというならば、商法五百二十六条によって、ベンラスに賠償請求をやろうと思って手ぐすねひいておりましたところが、あにはからんや、流れてくる電気が悪いということがわかった。そこで、ちょうど横井さんもいっらっしゃったわけでございまして、やはり名古屋の方でございますから、なんでございますが、電気もやはり通産省の仕事でございます。低廉にして豊富かつ質のよい電気が流れることに御努力いただくと同時に、世界と歩調をそろえて、せめてラジオ、テレビと同じように、交流で時計が動くようにすれば、これこそ文化的にもほんとうに進んだ国といわれますし、なおかつ、経済的に非常に格安にいき、国民もまた非常に感謝する、こういうことに相なるわけでございますが、一つ大臣、これについての御所見を承わりたい
  90. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 電気につきましては、御承知のように、低廉豊富な、しかも質のいい電気の供給をするようになれば、非常にけっこうなのであります。しかし、これは一朝一夕にできるわけではなく、御存じのように、五カ年計画というものを作って、漸を追うてやっていく。それにつきましては、開発をしていかねばならぬわけでありますが、それも御承知のように、あまり金を使いますと、今度はインフレになるというので、おしかりをこうむるわけでありまして、その間、漸進的ではありますが、将来に御期待に沿うような方法で、一歩々々電源の開発をやっていく。それにつきましても、もちろん国内だけの金ではいきません。外国からの資本も借りてやろうということで、あらゆる努力はいたしておりますが、何しろ御承知のような日本の国情でありますから、一朝一夕にぽんとそういう御期待に沿うところまでは参りません。しかし、たゆまずやっておるわけであります。(加藤(清)委員「もうあれから三年たつ」と呼ぶ)三年たちましても、なかなか今度は需用がふえて参りますので、需用がそのままでおってくれましたら、非常によくなってきておるはずでありますが、需用の方もふえて、さらにそれを乗り越えてふやしていかなければならぬ、こういう困難な問題に突き当っております。しかし、さようなことを言っておるわけにも参りませんので、極力やりたいと思います。
  91. 小平久雄

    小平委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十八日午前十時十五分より開会する予定であります。  これにて散会いたします。     午後一時三分散会