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1958-03-11 第28回国会 衆議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十一日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 内田 常雄君    理事 笹本 一雄君 理事 島村 一郎君    理事 長谷川四郎君 理事 加藤 清二君    理事 松平 忠久君       大倉 三郎君    川野 芳滿君       神田  博君    齋藤 憲三君       首藤 新八君    松岡 松平君       横井 太郎君    山手 滿男君       佐竹 新市君    志村 茂治君       帆足  計君    水谷長三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  前尾繁三郎君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  尾村 偉久君         通商産業政務次         官       小笠 公韶君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (軽工業局長) 森  誓夫君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         通商産業事務官         (石炭局長)  村田  恒君         中小企業庁長官 川上 為治君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   海堀 洋平君         通商産業事務官         (企業局次長) 樋詰 誠明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月七日  委員神田博君及び永井勝次郎辞任につき、そ  の補欠として原健三郎君及び日野吉夫君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員原健三郎辞任につき、その補欠として神  田博君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月八日  計量単位統一に伴う関係法律整備に関する  法律案内閣提出第一二七号)(予) 同月六日  小売商業特別措置法制定反対に関する請願(石  橋政嗣君紹介)(第一四一〇号)  同外六件(松平忠久紹介)(第一四五一号)  琉球産のパイン輸入に関する請願床次徳二君  紹介)(第一四一一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  企業合理化促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五九号)  日本貿易振興会法案内閣提出第八八号)  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一〇四号)  計量単位統一に伴う関係法律整備に関する  法律案内閣提出第一二七号)(予)      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  この際、日本貿易振興会法案議題とし、審査を進めます。  質疑を継続いたします。山手滿男君。
  3. 山手滿男

    山手委員 私は、通産当局が、貿易振興に非常な熱意を持っておられ、非常な努力をされておることについては、敬意を表しておるものでありますが、この法案にからみまして、二、三お尋ねをいたし、さらに、今後、貿易振興のために、この振興会が一段と活発に動けますように、御配慮願いたいと思う次第でございます。  私は、まず聞いてみたいと思いますことは今度、政府が、こうした法案を提出されまして、従来のジェトロ改組しようとする意図は、どういうところにあるのか、どういうところをねらって改組しようとされておるのか、その点を、まずお聞きをいたしたいと思うのであります。
  4. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 今回のジェトロを新法人にいたしたいと思うおもな理由は、御存じの通り、現在のジェトロは、民法上の財団法人ということで運営をされており、いわゆる事業基礎になる資本金も、ごくわずかであるというふうなことから、事業の安定的な運営という点が、非常にうまくいかないような状況になっておるのであります。そこで、二十億円の資本金をいただきまして、新しい法人として日本貿易振興会を設立をいたしたいのであります。要は、この貿易振興中枢機関として、安定した基礎のもとに、今後ますます重要性を加えますところの貿易振興事業を強力に運営をさせるというところにねらいがあるのであります。また、貿易振興事業ということになりますと、貿易業界あるいは輸出産業業界との関係も深くなるわけでございますから、もちろん、それらの利益を受ける業界からの資金の借出ということも、一部は考えられておるのでありますが、貿易事業の性質上、えてして中小の商社からは、あまり多くの資金的な期待は持てないというふうなこともありますので、国の財政の保護のもとに、こういう振興事業を強力に推進をいたさなければならないというふうなことも、こういう新しい法人を作りたい理由になっておるのであります。
  5. 山手滿男

    山手委員 ただいま、改組一つ理由として、安定的な運営を今後さすようにしたいというお話がありましたが、その意味が、私どもにはよくわからないのであります。角度を変えて、一つ説明を願いたいと思いますしとは、それでは現在のジェトロがどういうふうな欠陥を持っておった、こういう点が悪い、こういう点を改めなければいかぬということで、今度法律を出して改組をするのだ、そういうふうな点を、お聞かせ願いたいと思います。
  6. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 現在のジェトロにつきましては、先ほどお答えを申しましたように、民法上の財団法人でありまして、基礎が必ずしも安定しているとは申し得ないのであります。従いまして、このジェトロ運営する職員採用につきましても、とかく有能な人が得にくかったということが、一つ現在のジェトロ欠陥として考えられるかとも思うのであります。また、政府資本金以外の補助金につきましても、現在のところは、合計して七億円ばかりの補助金をいただいておるのであります。三十三年度におきましては、十億円以上の事業に対する補助金をいただくのでありますが、事業内容につきましては、補助金さえ多くいただけば、現在のジェトロでも、それほど支障はないということも、いえるかとも思うのでございますが、何分多額の補助費をいただくということになりますと、財政建前から見ても、監督を厳密にしなければならぬというふうな点もあるので、法人を設立しなければならぬというようなことになっておるのであります。今のジェトロのおもな欠陥ということになりますと、先ほど申しましたように、基礎が安定いたしておりません関係上、いい職員を得にくい。それが、ひいては現在のジェトロが若干の批判をこうむっておるようなことになっておるのではないか。もちろん、それだけではないと思いますが、主たる弊害の面といいますと、そういう点ではないかと考えます。
  7. 山手滿男

    山手委員 今、お話がございましたように、このジェトロをいいものにするためには、補助金を多く出しさえすればいいということで、私は済むものではあるまいと思うのであります。幾ら金を多くつけましても、私は現在のような事情ジェトロがうまく運用され、わが国貿易振興のために非常な貢献をするということには、必ずしもならないのじゃないか、こう考えるのであります。今度は、今お話がありましたように、二十億の資本金も出されることになりますし、補助金相当増額をされることになりましたし、そういう面からは、今後さらに積極的にやらなければいかぬと思うのであります。今度は、ある程度改善がなされたのでありますが、私は現在の内閣の最も大きな政策の一つでありますところの貿易振興に、このジェトロがさらに一段と貢献をしますためには、ただ金が多くつきさえすればというふうなことでなしに、内部充実内部刷新をやらなければ、とうていその目的を達するわけには参るまいと思うのであります。そこで、どういう意味刷新をし充実をする必要があるかといえば、今、局長から御説明のありました、一つは、人的要素刷新する、充実するということであろうと思いますし、それからもう一つは、相当資金がつくわけでありますから、その資金の機動的な運用をし得る道を開いていくということであろうと思います。この二つの面で思い切った措置をしなければ、いつも後手々々と後手を踏んで、国際貿易合戦に臨んでいくことになるのでありまして、私は多くを期待するわけにはいかぬと考えております。  そこで、私は、まず人的な改組の問題について、お尋ねをいたしたいと存じますが、今後どういう構想ジェトロ主要役員の任免をしていくつもりであるか。理事長以下理事会構成等について、どういうお考えであるか。たとえていえば、民間人をできるだけ登用して、貿易業界の実情に明るい人をここに据えるというふうなことをいわれておりますが、民間人役所出身理事との比率は、どういうふうに組み合わせていくつもりであるか。あるいは、理事長は、現在のように、ほとんど日勤もしないし、ただ名を連ねておりさえすればいいというふうな人を置いておいたのでは、とうてい私どもは満足することができないわけでありますが、どういう構想でこの理事長をきめていくのか、そういうことについて、御答弁を伺いたいと思います。
  8. 小笠公韶

    小笠政府委員 貿易振興会の機能の上るか上らぬかの大きなポイントになりますことは、御指摘人事構成だと思うのであります。人事構成につきましては、私どもといたしましては、最終的に決定はいたしておりませんが、まず、従来と違いまして理事長は選任の形をとりたい、こういう考え方をとっております。特に貿易というものは、国内と国外というふうな両面にわたる広い視野を持ち、しかも機敏に行動できる必要がございますので、理事長あるいは副理事長というところにつきましては、いわゆるその道の経験豊かな人をぜひ選任して参りたい、こう考えておるわけであります。  なお、お尋ね役所出身者との関係がどうかということにつきましてはまだ何も考えておりませんが、適任者を選んでいきたいというふうな考え方をいたしております。
  9. 山手滿男

    山手委員 従来、ジェトロに対するとかくの批判一つは、通産省出身役人出身諸君が二、三ここにがんばっておりまして、役所的な目で日常事務を処理していく、そのために発展性がないのだというふうな批判が——これは一つ批判でありますが、相当起きております。私は、ジェトロ改組するに当りまして、この最高人事をどうするかということが、非常に大切なことになろうと思うのであります。そこで、どうしても、できるだけ民間人を登用するという点で、思い切った措置をとられる必要があろうと思うのであります。率直に言って、理事の数を、少くも半分は民間人で埋めていくというくらいの態度で臨んでもらいたいと思うのでありますが、その点、どうお考えになりますか。
  10. 小笠公韶

    小笠政府委員 御指摘のように、行政組織の中におる人の感覚と、行政組織の外におる人々感覚とは、違う点が多々あるようであります。特に貿易のような仕事につきましては、その点がはっきり出てくるのではないか、私はそう思っておるのであります。そういう趣旨から考えまして、この役員人事につきましては、できるだけ機動的な活発な行動ができる人々を選んでいきたい。御指摘のように、六人の理事の割合をどうするかというふうな点につきましては、御趣旨を十分尊重していきたいと思いますが、できるだけいわゆる民間の経験豊富な適任者を選んで参りたいと考えております。
  11. 山手滿男

    山手委員 さっき通商局長からお話がありまして、人の採用が非常に困難だった、こういう御説明がありました。なぜ困難であったかというと、安月給で使っていこうという考え方があるものですから、いい人、いわゆる人材が集まらないのではないか、こういう気がするのでありますが、そういう点についても、理事長以下、少くとも中心になる幹部諸君については、思い切った給料を出したらいいのではないか。思い切った給料を出して、思い切って仕事をさせ得る体制を作っていかなければ、幾らジェトロに金をつぎ込んでみても、おざなりに判だけ押すというような感じのする幹部がすわっておるのでは、とうていジェトロはうまく動いていかないだろうと思います。先般も、同僚の委員から二、三現在のジェトロに対して批判がありました。役人を論功行質的にここに出して、一時外遊をさすような誘い水でここに送り込んでおるとか、旅費や家族手当なんかがほとんど出ないとか、そういうようなことを、いろいろ言われておりましたが、そういう点について、どういうふうにお考えになっておりますか、伺っておきたいと思います。
  12. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 まず第一に、役員給与でありますが、これは他の公団等のいわゆる特殊法人の例にならった程度でなされるというふうに考えております。職員につきましては、大体、今のところ、給与水準の三%程度のアップが含まれております。在外に駐在して勤務しておりますような職員につきましては、調査員貿易斡旋所職員、それから今度の委嘱調査技術職員と大きく三つに分れますが、平均して九%程度の増加になるだろうと思っておるわけであります。この程度給与の引き上げをもってして、決してわれわれは満足をしておるわけではないので、できるだけ大蔵当局にも考慮を願いまして、逐次引き上げていく方向で参りたいと考えております。  なお、先ほど役人を論功行賞的に一時ジェトロ職員にして、海外出張させるようなことをしているというおしかりでございますが、別段そういう意味役人ジェトロ職員にしたわけではないのであります。先ほど来申し上げておりますように、ジェトロ職員として、中堅の者の採用が、かなり困難でありましたので、一時、お手伝いというつもりで、役所からごく少数の人面を派遣したことは事実でございます。しかし、漸次ジュトロの職員も、大学の卒業生を新しく採用し、その養成にも努めて参っておりますし、今後また新法人になりますれば、そういう新しい幹部諸君養成にも、意が用いられることになりますので、今、役所からお手伝いに行っている者は、逐次引き揚げさせるように考えておるのであります。  なお、役員につきましては、今も御指摘のように、確かに、常勤役員の大部分が官庁出身者で占められていることは、事実でございます。これも、通産省というよりは、外務省からも、農林省からも見えておるのであります。先ほど政務次官からお答えがありましたように、新法人になりますれば、もちろん人事刷新するという建前から、新しい人事考えられるということを期待しておるのであります。今後、先生、御指摘のような点につきましては、くれぐれも注意をしまして善処したいと考えております。     —————————————
  13. 小平久雄

    小平委員長 この際、去る八日、予備審査のため本委員会に付託されました計量単位統一に伴う関係法律整備に関する法律案議題とし、審査に入ります。  まず、その趣旨説明を求めます。小笠政務次官。     —————————————
  14. 小笠公韶

    小笠政府委員 本日ここに御審議を願います計量単位統一に伴う関係法律整備に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、わが国計量単位は、大正十年の旧度量衡法規定によりまして、メートル法統一されることとなっていましたが、実行上の困難もありましてその実施は延期され、現在はいわゆるメートル法尺貫法及びヤードポンド法三種計量単位が併用されております。このため計量単位混乱による社会生活の非能率化ははかり知れないものがあるのでありますが、昭和二十六年制定計量法及び計量法施行法規定によりまして、昭和三十四年一月一日以降は、国内取引等使用する計量単位は、原則としてメートル法統一され、尺貫法及びヤードポンド法使用は禁止されることとなっているのであります。従いまして、現在民法その他の諸法律使用されております尺貫法またはヤードポンド法による計量単位を、早急にメートル法に改める必要が生ずるに至りました。  しかしながら、計量単位統一国民生活と密接な関連を有するものでありますから、メートル法への切りかえに際しての混乱と不都合は、極力避けるべきであります。現行法におきましても、この点を考慮いたしまして、土地または建物についての尺貫法使用につきましては、昭和三十四年一月一日以降も、経過的に例外を認めておりますが、このほか国際的な観点その他からみまして、ヤードポンド法使用につきましても、若干の例外を認める必要が生じました。  以上のような事情から関係規定整備する必要がありますので、ここに計量単位統一に伴う関係法律整備に関する法律案を提出いたしました次第であります。  この法律案内容につきましては、御審議のつど詳細に申し述べたいと存じますが、その概略を申し上げますれば、その第一は、民法、商法その他の十六の法律使用されております計量単位を、メートル法統一することであります。  内容の第二は、計量法施行法改正でありますが、尺貫法につきましては、土地建物等につきまして、昭和三十四年一月一日から最高七年三カ月間の猶予期間を設けて、この間に台帳等整備をはかることとし、またヤードポンド法につきましては、輸出品国内取引等につきまして五年、航空機の運航等につきまして当分の間、工率の単位であります仏馬力につきまして二年間、それぞれ猶予期間を設ける等の改正を行うことといたしました。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容でありますが、申すまでもなく、三種計量単位の併用は、社会生活を著しく複雑ならしめるものでありまして、諸外国におきましてもその例がなく、この際、世界的に広く使用され、かつ、国内におきましても相当広範囲に普及しておりますメートル法統一いたしますことは、科学技術振興をはかり、企業合理化を促進する上から、最も緊要なことでありますとともに、一般国民生活能率化をもたらし、よって経済の発展と文化の向上とを期す上から不可欠の要件でありますので、政府といたしましても、その円滑な実施をはかるため、一昨年以来、鋭意準備を進めて参ったのでありまして、今後とも強力な国民運動を展開いたしまして、国民各層に対する周知徹底をはかり、明年一月一日における実施につきまして、遺憾なきを期している次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
  15. 小平久雄

    小平委員長 本案に関する質疑は後日に譲ることにいたします。     —————————————
  16. 小平久雄

    小平委員長 再び日本貿易振興会法案議題とし、質疑を継続いたします。山手滿男君。
  17. 山手滿男

    山手委員 新ジェトロ人事については、いろいろ申し上げたいこともありますが、今、局長から、できるだけ意のあるところをくんで善処するというお話もございましたので、ここではこれ以上申し上げません。  次にお尋ねをしておきたいと思いますのは、第二十四条の規定は、どういうことをねらっておるのかということであります。今後、相当な資金運用されるわけでありますけれども、特に二十四条をお書きになった趣旨は、どういうところにあるのか、御説明をお願いしたいと思います。
  18. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 第二十四条は事業計画あるいは資金計画及び収支予算を作成し、通産大臣承認を受けなければならないという規定でございますが、これは政府出資を受けました特殊法人に関して共通した規定でありまして、ジェトロ関係だけこれをやめるわけにもいきかねますので、こういう規定が、一般の例に従って設けられたのであります。
  19. 山手滿男

    山手委員 私は、今のような御答弁に、非常な不満があるのであります。と申しますのは二十四条を読んでみますと、あらかじめ認可を受けなければいかぬのであります。これを変更しようとするときもまた、変更前にあらかじめ認可を受けて変更して、事業を遂行していかなければならぬ、こういうことになるのでありますが、ジェトロ性格が、いわゆる国内でいろいろな事業をする政府出資会社とは、いささか相違した性格を持っておる。国際貿易合戦のまっただ中で、ジェトロが機動的に動いていきますためにはある程度資金もふんだんに持たなければいけませんけれども、タイムリーに行動をしていくということが、非常に重要なことになっていくのであります。従来のジェトロ非難をされております一つの重要なことは、いつも後手になっておって、やるべきときに効果的な手を打たないという非難が、非常に大きな非難であります。ところが、この二十四条で、こういうふうな変更や何かをしようとしても、あるいはその時期、効果的な手を打とうといたしましても、やれ通産大臣認可を受ける、あるいはさらに大蔵大臣認可を受けるというようなことで、そんなことにだけ精力を注いでおって、なかなか外に向って効果的な手を打つことができないで、ずるずるべったりになっていっているという事例が、相当たくさんあるのじゃないか、こういう気がするのであります。この二十四条は、いろいろほかの政府出資政府関係会社にこういう規定があることは、私も知っておりますが、単にそういう会社と同じような規定を設けたにすぎぬのだと言い切ろうとするところに、私はまず問題が一つあろうと思います。その点について、御説明を願いたいと思います。
  20. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ただいま先生から御指摘の点は、まことにわれわれも常々そういうふうに考えておる点であるのであります。そこで、要は、この規定運用を、弾力的と申しますか、機動的にやることにあるのではないかとも思うのであります。今、先生からもお話しのように、ジェトロは、海外における事業を主たる業務にいたしておりますので、いろいろな情勢の変化にも即応していかなければならぬことは、お説の通りであります。そこで、現在のところ、弾力的な運営をするという方針で、大蔵当局とも話し合っておるのであります。たとえば、予備費を多額に計上をいたしておりまして、こういう事業計画等変更に対応し得るようなことができるのではないか、あるいは、その軽微なものにつきましては、承認を事後で受けるというふうな点、要するに、この規定をびしびし運用するという精神ではなしに、弾力的に運営をするということで、実は大蔵当局とも話し合っておるのであります。われわれとしては、大蔵当局にも御了承いただけるものではないかというふうに考えております。
  21. 山手滿男

    山手委員 その点、非常に重要なことでありますが、それでは、私は二十二条を一つお尋ねしてみたいと思います。「振興会は、業務開始の際、業務方法を定め、通商産業大臣認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」ということですが、業務方法をきめて事前通産大臣認可を受ける、これはどういう意味でございますか、御説明を願いたいと思います。
  22. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 この業務方法規定も、実は他の特殊法人に共通した規定でありますが、この業務方法内容としては、たとえば見本市をやる、いろいろな市場調査の場合における委託調査を受けるというふうな場合におきましての一般利用者からの手数料を、これできめていくということでありまして、若干煩瑣な感じもいたすわけでありますが、一般利用者からの負担金徴収方法でありますので、これについては、ある程度の適正を確保しなければならぬというような趣旨から、こういう規定が置かれておるのであります。若干煩瑣な感じはいたしますが、一ぺんきめれば、そうしょっちゅうこれを動かすわけでもございませんし、日常の新法人業務運営に阻害を来たすものではないのではないかというふうに考えております。
  23. 山手滿男

    山手委員 業務方法についての御説明が、どうも十分でないように思うのであります。今お話し利用者より手数料をとるその手数料についても、通産大臣事前認可を与えるという話でありますが、おそらくこれは後の三十四条にひっかかってきて、大蔵大臣認可まで必要になってくるのだろうと思います。ジェトロが、海外で見本市をやる、南米でやる、北米でやるような場合もあろうと思いますが、そういう場合も、利用者手数料通産大臣認可をするというのであれば、認可を受けなければ、そういうものが動いていけない。手数料がきまっていかぬというようなことであれば、もうその見本市は、半分動脈硬化になってしまうと思うのであります。海外のいろいろな事情もあるし、南米なら南米らしい事情もあるし、北米なら北米らしい事情もある。いろいろな特殊事情等があるにもかかわらず、通商局長が今お話しのように、利用者手数料まで通産大臣認可をし、それにまた大蔵大臣がチェックしていくというようなことで、そんな見本市なんというものは、機動的に効果的に動けるとは思わないのでありまして、それをどうお考えになっておりますか。
  24. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 確かに先生の言われますことも、ごもっともとわれわれも思うのであります。ほかの特殊法人と違いまして、ジェトロといたしまして、その業務方法というものはそう大した意味のないことは事実であろうかと思います。しかし、一般利用者からいろいろ徴収をする金でありますので、もちろん何銭何厘というところまではきめないとしても、基準等については、一応承認をする必要があるのではないかと思うわけであります。先ほど、私は、見本市に出品する手数料も申し上げましたが、これらは地域によって違うわけでありまして、なかなか一々きめにくいので、単純な基準だけであると思います。主たるこの規定の対象になりますのは、市場調査の場合の手数料というようなことになるのではないかと思うのであります。この規定によって、決してこのジェトロ運用を硬化させるというようなことはごうも考えておらぬのであります。これは実は従来のしきたりもございまして、まあ例文だというふうに御了解を願いたいのであります。決してこの規定によってジェトロ運営を硬化させるという考え方は、ごうもしていないのであります。
  25. 山手滿男

    山手委員 私は、こういうところが、どうも了解がいかないのであります。ジェトロを強化をいたしまして、新機構で活発に動かそうとするならば、私がさっきお尋ねいたしました中心になる理事長以下の人事も、思い切って動ける人を選任をしなければいかぬし、民間人の中の優秀な人をひっぱってきて理事長以下に据えるというふうなことも、考慮していただかなければいかぬ。また通商局においても、考慮したいというお話でありましたが、実際にはこういうふうな規定でがんじがらめになっておって、民間人がこのジェトロに入ってきても、動きがとれないようにしてしまってある。業務方法から、資金の計画から、収支予算はもちろん、いろいろ末端の業務内容の小さなことにまで一々通産大臣事前認可を受けなければいかぬ、あるいは大蔵大臣認可を受けなければいかぬ、あらかじめ協議をしなければいかぬというふうなことで、一々チェックをされてしまっておりまして、民間人が入っていっても、どうにも動きがつかない。従って、やっぱりお役所から行った人が、役所と同じような機構で、役所と同じような感じで、これを最終的には運営していくようになってしまう。そういうふうにもう法律ができておるのだという感じが、私どもはしてならないのであります。  そうすると、もう一つ私は聞いてみたいのでありますが、二十七条に、「借入金をしようとするときは、通商産業大臣認可を受けなければならない。」こう書いてある。何でジェトロが借入金をしなければいかぬのか、また借入金をしようとするとき、事前通産大臣認可を必要とするのか、その点、御説明を願いたいと思います。
  26. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 この二十七条の、借入金の場合、認可を受けなければならぬという規定も、これもこういう特殊法人に伴います共通の規定でありますが、国庫からの補助金の支出あるいは地方公共団体あるいは民間からの醵出金というようなものも、従来の例によりますと、とかくおくれがちになるのであります。従いまして、そのつなぎ資金と申しますか、どうしても一時的には借入金をしてつないでいかなければならぬ必要が、従来の経験によりましても、あるわけであります。そこで、こういう規定が設けられておるのでございます。何も認可制にする必要はないじゃないかというお尋ねかとも思うのでありますが、それは、先ほど申しますように、一般特殊法人に関する共通の規定でありますけれども、要は、この規定がありましても、いかに運用するかということにかかっておるかと思うのであります。そこで、今、大蔵当局とも話し合いをしておるのでございますが、せっかく二十億円の資本金もいただきますので、一時借入金の必要な場合には、この資本金の振りかえ使用を認めていただく。それを適時適切に認めていただくということになりますと、実際は借入金の必要というようなものは起らぬのではないかと思うのでありますが、万一そういう借入金の必要が起りました場合は、前々から先生指摘のように、必要なものはさっそく認可するということで、弾力的に機動的に運用するという精神で、大蔵当局とも大体御了解を願っておるのであります。
  27. 山手滿男

    山手委員 私は、今、局長の御説明のように、簡単に大蔵省が折れておるとは考えておりません。やはり借入金をしようとするときには、通産大臣認可を受けなければいかぬというこの規定は、相当新ジェトロにとっても、問題になる点ではあるまいか。というのは、従来、相当ジェトロの——私は、この間資料を調べてみたのでありますが、金利を払っておる。従来から、ジェトロが何でそんな膨大な金利を借入金をして払わなければいかぬかということが、おかしいのでありますが、どうも大蔵大臣がチェックをしておって、なかなか金を出さぬ。パーティをやろうと思って用意をしても、そのパーティに金が払えない。海外にいろいろなことがあって差し迫っておって、送金しようと思っても、なかなか送金ができないということで、一時立てかえを、やみで、ないしょで金を借りたり何かするというふうなことも、あったのじゃあるまいかと思いますが、そのために、何千万という金利を払っておるように私は思っております。大蔵省が一つ一つチェックをいたしますと、なかなか支出ができないということで、つじつまをと合わすために、急場をしのじために、こういう借入金がしょっちゅう従来必要になっておったのじゃあるまいかと思います。そこあたりに、私は、通産省がもっとジェトロを効果的に活動さしたいなら、大蔵省と四つに取り組んで話し合いをしていく必要があると思う。ただ上っつらだけで、この法案に書いておいて、さっと通していけばいいということじゃなくて、今度は、このジェトロをほんとうに貿易の第一線に立たして、特に中小企業者やなんかのためにも動かしてやろうということでありますから、人的にも、うんと活の入った人をここへ据えるし、またそういう人が入ったら、資金的な面で非常に不自由な思いをし、そんな方に精力をすりつぶさしてしまうというふうなまずいことをやらせないようにする必要があろうと思うのでありますが、こういう点について、この借入金の問題等について、何でもない規定のようでありますけれども、従来のジェトロは非常に牽制されておった、こういうふうに考えます。その点について、大臣から一言御所見を伺っておきたいと思います。
  28. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 先ほど来からの許認可の問題につきまして、御意見まことにごもっともだと思います。と申しますのは、従来の財団法人では、どうも基礎が強固でない。従って、補助金を出しておりますものでありますから、かなりきつい干渉を逆にやってきたような感じがするのであります。この特殊法人にしますゆえんも、実は極力自主性を持たせて、円滑にどんどん仕事をやっていってもらいたい、こういう気持から出ておるわけであります。もちろん、許認可の事項は、先ほど来から通商局長が言っておりますように、例文だということであります。反面におきまして、何も干渉をしなくても、許認可を受けるということになりますと、勢い慎重にやる。従って、事前に出してくるものに放漫なやり方がなくなってくる、こういう面もあります。われわれとしましては、決して動きのつかないようなやり方をさせるという考えは毛頭持っておりません。むしろ、すでに慎重に運営審議会等におきまして審議されてきておるものでありますから、そのまま受け付けてもいいくらいに考えておるのであります。乱に流れぬ。ことに借入金の問題につきましても、やはり特殊法人で、全額政府が出資をいたしておるのでありますから、一応借金をするについては、認可を受けてもらいたい、こういうことであります。もちろん、やり方はいろいろあると思います。どうしても必要なものにつきましては、包括的に認可を受けさしてやるというようなことをすれば、ジェトロに対して、そう特殊の無理な干渉をせずに円滑に行けるのじゃないか、かように考えておるわけであります。
  29. 山手滿男

    山手委員 先日、私は、本委員会でいろいろの御議論を聞いておりまして、特に感じたことでありますが、このジェトロが特に力こぶを入れてやってもらいたいと思いますことは、何といっても中小企業関係の輸出振興について、特段の奮発をしてもらいたいということであります。ところが、国内中小企業者は、なかなか大へんでございますし、海外への足がかりもないために、十分海外に出ていくような品物でも、ほとんど輸出することは考えてもいないという中小企業者がたくさんあるわけであります。そういう眠っておる人々を呼び起す意味におきましても、ジェトロが、もう少し国内で十分な活動をしてもらいたい。宣伝もする必要がありますが、いろいろ業界と密接に結びついて動いていただきたいと思うのでありますが、今後そういう関係を、どういうふうにするつもりであるか。この法案には、何も字句が出ておりません。私は、いつだったかドイツへ行きましたときも、ドイツの非常に大きな輸出の部分を、ドイツの中小企業者がやっておるのだ、こういう話を聞きました。では、どういうふうにしてやっておるかという話を聞いたところが、もちろん、ドイツにも輸出振興会のようなものがありまして、それが非常な手厚い手伝いをしておるのだ、こういう話を聞いたことがあるのでありますが、そういう点について、何か新機軸でも出していくお考えがあるのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  30. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 まず海外の業務でありますが、市場調査にしろ、宣伝にしろあるいは見本市の参加にしろ、また貿易あっせんにいたしましても、従来の実績によりましても、大部分は中小企業のためにそれらの事業を営んでおること、またその結果が中小企業に及んでおりますことは御存じの通りでありまして、新法人認可におきましても、海外におきます事業の重点は中小企業の製品ということになろうと思うのであります。  そこで、今御指摘国内業務に関する問題でありますが、法律上は、従たる事務所を設けることができることになっております。現在、ジェトロといたしましては、九カ所の支部を持っておるわけであります。先般もお答え申し上げましたように、新法人認可におきましては、今のところは十カ所程度の支部を持つことになっております。従来の支部の弱体な点もありましたので、それらの組織を強化して参るのでありますが、それらの支部を活用いたしまして、できるだけ海外におけるいろいろな事業の成果を普及するように努める。国内中小企業に対するPRは、従来は若干弱体であったことは、われわれも認めているところでありますが、今後はそういうことのないように、できるだけPRに努めまして、中小企業から愛される新ジェトロに育成して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。その意味をもちまして、今申し上げますように、十カ所の支部をできるだけ活用して参るというふうに考えております。現在のところも、及ばずながら、いろいろな広報だとか、雑誌その他によって、いろいろ成果の普及に努めておるのではありますが、若干及ばぬ点もありますので、それらの点は大いに強化して参りたい、こういうことであります。
  31. 山手滿男

    山手委員 今の中小企業関係で、輸出振興に踏み切らすようなPR運動を起すことは、非常に大切だと思っておりますが、ぜひ、もっと熱を入れて、自動的に動けるように、一つジェトロを指導していただきたいと思うのであります。  私はきょう大体人事の問題と、資金の活用の問題と、中小企業との関係の問題と、この三点を考えて申し上げたのでありますが、どうもこの法案をすらっと読んでみての感じは、非常にジェトロ大蔵大臣なり通産大臣が縛り上げ過ぎて動けなくしておる。片方で動け動けと言っておきながら、片方で動けないように縛っておる。そのために、何が何だかわからないような格好のジェトロになろうとしておるのではないか。私は、思い切って民間人も登用して、金の問題についても、できるだけ優秀な新しい幹部が自動的に動けるように自由にしてやる。国内でやるのでございましたら、別でありますが、ほとんどがアメリカや南米や東南アジア、そういうふうな外地で活動をするわけでありますから、内地で一つ一つひもをつけて縛り上げていくというようなことではなしに、思い切って金を使わすという、そういう形のジェトロを私は夢に描いておったのでありますが、実はこういう法案が出て参りまして、多少私は失望をいたしております。うんと金を使わすということで、中小企業者や何かの関係でも、十分これについていく態勢ができなければいかぬ。もし金が不足であるならば、ことしはあの程度資金であったのでありますが、来年はさらに貿易振興のために、この会のために、もっともっと資金を出したらいい。政府は、貿易振興貿易振興と言っておるのでありますが、二十億や三十億程度でけちけちしなくても、効果があるならば、三十億でも五十億でも、来年の予算では出せると思う。それを動かさないように、出させないように、活動させないように縛り上げて、貿易振興をやれということ自体が、私はふに落ちないように思っております。しかし、与党でありますし、申し上げたことは、よくおわかりであろうと思いますから、これ以上は申し上げません。しかし、この法案を通す場合には、何かこれだけでは、議論をしつぱなしではいかぬように私は考えております。きょうはこれで質問を一応打ち切りますが、そういう点についてはほかの同僚委員諸君とも、もう少しよく協議をしてみたいと思います。  これで、私の質問を終ります。
  32. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 ただいまのお話につきましては、私、全く同感でありまして、ジェトロを作ります目的は、先ほど申し上げたように、そう政府が干渉せずに、自主的に働き得るようにしたい。またジェトロそのものは、発生的にお考え願いましても、中小企業の育成という点にあるわけであります。従って、われわれとして、先ほど申し上げましたように、乱に流れぬようにという意味合いで、許認可の問題につきましても考えております。また、今まで、どうも基礎があやふやでありましたために、民間人が登用できなかったのですが、今度は、しっかりしたものになりますので、極力民間人を登用して人事刷新したい、かように考えておるわけであります。また国内活動につきましても、従来不十分でありました。これは、私は、商工会議所を通じたり、あるいは商工会にも連絡をとったり、さらにまた政府のやっております、あるいは府県にやってもらいます企業診断と結びつけて、ジェトロの活用ということに極力努力をいたしたい、かように考えております。形は、これは従来の特殊法人の形にならったわけでありますが、中身におきましては、特段の配慮をいたしまして御期待に沿いたい、かように考えております。     —————————————
  33. 小平久雄

    小平委員長 次に、企業合理化促進法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑を継続いたします。長谷川四郎君。
  34. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 企業合理化促進に関連をしまして、私はサウジ・アラビアの石油の問題を、少し聞いてみたいと思います。あわせて企業合理化の方針というものに対して承わってみたいと考えております。  この協定は私たちは何ら相談を受けたわけでもないし、またわれわれが相談を受けたところで、やむを得ないことであろうけれども、私たち政治を行う者として、知っておかなければならないし、さらに、政治を行う者として、これらは追及すべきところは追及をしていかなければならないと感じております。従って、協定の中にありますところの、要するに中立地帯はサウジ・アラビア、それからクェートということでございましょうが、この協定の中に、不可分の二分の一の権利を持っている、こういうふうに書いてあるそうでありますが、こういう言葉は、どういうことをさすのか。たとえば、今われわれがアラビアの権利は持っていても、すぐ隣に、だれかが許可を受ければ、同じ所を採掘もできていくのだ、こういうふうに考えられるのでありまして、こういう点は、どういう言葉に解していられるか。さらに、ニュートラル・ゾーンの海底の権益はサウジ・アラビアとクエートが共同不可分で所有しているものであるといっております。サウジ・アラビアの協定は結んでみたものの、クエートというものと目下交渉中である。この場合、サウジ・アラビアと結んでみても、協定が発効してみても、利権というものは——要するに、この利権料というものは取られているけれども、その目的に達することができないのだ、こういうふうに私たちには解されるのでございますが、その点はどうでございましょう。
  35. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 中立地帯の法律的な性格につきましては、外務省の方の見解を聞いてみましても、非常にはっきりいたさない性格を持っておるようであります。ここで利権をもらいました場合に、その利権がどういう性格であるかということは、ただいまお話がございましたが、英話では、アンデバイデット・ハーフ・シェアという文句を使っておりまして、非分割の半権益とも訳すのでございましょうか、そういった文句が使ってございます。これは権利の内容につきましては、具体的にどういう権利が両国から付与されるかという、個々のケースによって判断をいたしておるようでございます。中立地帯の沖合いにつきまして、サウジ・アラビアから契約をいたしまして権益をもらう、それから一方、クエートの方から契約を結びまして権益をもらうということになりまして、同一人が両方からもらいました場合に、その地域で一人で作業ができる、こういう性質になるわけでありますが、かりに、クエートから現在交渉いたしておりますが、この分を、ほかの会社とクエートとが契約をいたしまして、クエートの方がその他の会社に権益を与えたということになりますと、同じ地域につきまして、両方の国から二つの会社が権益をもらうという格好になりまして、両方とも、作業ができないわけではございません、それぞれ二つの会社が、お互いに協定を結んで作業をやる、こういう格好になろうと存じます。現在、中立地帯の陸地の方では、そういう格好で米系の会社が石油を採掘いたしておるわけでございます。
  36. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 不可分の二分の一の権利というのですから、あなたのおっしゃると同じようなことだと思う。たとえば、日本がそこに採掘、探鉱をやっておりましても、クエートが他の国に許可をすれば、同じ地区で同じような方法をもって仕事をしていく、こういうことになることは事実でありましょう。そこでクエートヘは、さらに今、米英とかいう国の大石油会社が、権利をとるために非常な猛運動をしているというような話も聞いております。そうなってくると、事態というものが非常に困難なことになっていくであろうということは、想像をされるわけでございます。従って探鉱、採掘、精製、販売、輸送その他に関しましても、一から十まで一切アラビア政府の監督と指定を受けることになっておるようでありますが、そういうことは、その条文の中に事実ございますか。
  37. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 ただいまお話の出ました思想は、契約の条文に出ております。と申しますのは、中東の原油の生産国におきましては、原油を先進国が採掘いたしまして、そうしてリフアインしております。そして、それ以後の利潤というものはそういった国の壟断に付される。しかし、これは生産国においても利潤の分配にあずかるべきものではないかというような思想が、最近原油生産国にあるようでございまして、その思想の現われのようでございます。
  38. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 これはそういうような思想が織り込まれていることは明らかであって、そうあっても、私はそのようにできるべきものだとも一面は考えられます。しかし、売り値は競争会社の値段を下回ってはならない。でありますから、たとえば、日本の会社が作っても、日本へ持ってくる石油も、他の競争会社よりも価格が下回ってはならない。必ず最高の値段でなければならないということになっておられますが。
  39. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 日本へ輸出いたします場合の価格は、ポステッド・プライスと申しまして、その中東サウジ・アラビアで支配いたしております競争価格を参考にいたしまして、公示価格というものがきめられることになっております。ただ、その場合に、アラビア政府承認を——もちろん向うから日本側に輸出する場合でございますので、承認をとるというようになっておりますが、もちろん日本側で十分採算のとれるという価格で、会社側から提示するものと存じています。
  40. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そこを間違わないで下さい。日本側に売る場合に、協定が、他の競争会社よりも下回ってはならないというのに、日本の需要価格というものが安い場合に、その協定を破って持ってくることができるのですか。ようございますか。そもそもこの契約というものの目的というものは、まず外貨というものが節約できるであろうという考え方一つ。さらに、エネルギー給源として、安定して供給を受けることができるということが一つ。価格が低廉でなければならない。価格が低廉において国内に持ち込むことができるという、こういうような考え方から、この協定は私は結ばれたものだと考える。ということになりますと、今、局長のおっしゃるのは、日本の需要価格というものが、その協定価格より安くても、日本に入れることができるという、あなたは確信がございますかどうか。大臣、その点はどうでしょう。協定を破ることができるかどうか、日本が。
  41. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 協定を破るというわけにはいかぬと思います。しかし、ポステッド・プライスという中には、あらゆる各地の状況も考えながら公正な価格がきめられる、こういうふうに私聞いておりますし、そういうふうに理解いたしております。
  42. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 それはどうも、こんなことは大臣も局長も、その条約に盛られてあったら、明らかにやってもらわなければ困る。私たちが、もしあなた方の言うことが真実だ——われわれは、何もこの協定の条文をもらっているわけではないし、何もないけれども、一説にそういうことがいわれているから、そういうことは、われわれ政治を行う者の責任においてどうか、こういうことを承わるのでございまして、決してあなた方がどうこうでないのですから、そのあなた方の判断の間違いないところを下してもらわなければ困るのです。よって、われわれは、あなた方にでき得ないこと、これからなしてはならないことならば、われわれはこれをさせてはならないと思う、たとえば協定ができても。こういうことですから、われわれの判断を間違わせないような御答弁をいただきたい。従って、もしあなたが間違った判断を下されるということなら、いつでもその会議録において、その責任はとってもらわなければなりません。私は、そういう点において御質問を申し上げるのですから、どうかお間違いのないようにお答えを願わなければならないと思うのであります。  外貨の節約になるということ、先ほど申し上げた通りと存じます。アラビアの政府に対する会社の支払いは、全部米ドルもしくは金に兌換し得るものによるものとされている。また日本はこういう海底油田の探鉱だとか試掘等の技術もないから、機械もないから、これらの費用というものは、全部彼らの要求するところのドルまたは金に兌換し得るもので支払わなければならないということに解されるのですが、その点はいかがでしょう。
  43. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 アラビアに対します支払いは、ドルですることにいたしております。
  44. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうすると、もうこの一点から、われわれの考えておった、つまり、この協定が結ばれるときの考え方というものと、この点においても、まず大きく相違があるように考えられます。円において、要するに、よろしいのだ、というようなお話等もあったと私は承わる。さらに、そうなって参りますと、会社の現地での活動の大部分、要するに、この協定の中に、七〇%から九〇%以上のこれに使用する者は、アラビア人でなければならないということがあるそうでございますが、その点はいかがでございましょう。
  45. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 ただいまお答え申し上げました点を、若干補足を申し上げます。アラビアに対する支払いはドルになります。ただ、本件が、外貨の節約の点から見まして有利である、こう判断されますわけでありますが、これは現在サウジ・アラビアから原油を買っておりますものは、ドルを支払って買っているわけであります。将来これを日本側が開発いたしまして、その投資につきましてはドルを支払いますが、将来できますものにつきましては、円で無為替輸入をする、こういう格好になるわけであります。ただ、外貨節約上、どういう程度の節約になるかというような点につきましては、石油の今後出ます規模なり、あるいはどういう時期に何年かかって出てくるか、まつ先に当るか、あるいは一年間探鉱をやり、二年間探鉱をやって出てくるかという点と、それからそれに伴いますそういった探鉱なり、あるいはまた試掘の段階での経費がどういう工合にドルがかかってくるかということによって、変ってくるわけでございますが、いずれにいたしましても、国際収支上は円でやろう、こういう判断に基いているわけでございます。  それから、現地の労務者の使用の点につきましては、できるだけ現地の労務者を使用するという観点から条文がございます。
  46. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 外貨の節約、こういう点において有利であるということが、断定をされております。私は、きょうは、あなたの断定をしたお言葉を承わっておきます。しかし、私の考え方は、断じて有利でない、よその会社から持ってくるものとさらに変りがないのだ、こういうふうに一応は申し上げておきます。  次に、それでは承わって参ります。生産に成功しても、生産量の一〇%の価格というものは、五分引きでアラビア政府に買い取られるという利権を与える。さらに一〇%は、アラビアの友好諸国に買い取る権利を与える。なお、生産量が日産平均三万バーレルに達するときは、生産量の三〇%以上の能力を有する精油所を建設するということになっているそうであります。しかも、アラビアにおいて緊急事が起った場合、このときは、会社は同国政府の需要に応ずる義務があるのだ。こういうことになりますと、緊急事が発生した場合、アラビアの政府がこれを使うぞと言った場合には、日本の権利というものは、そのときにすでにアラビア政府に変っていくのだ、こういうことに解されるのですが、あなたの考え方はどこにあるか、承わります。
  47. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 サウジ・アラビアで生産いたします原油でございますので、ある程度のものを現地の需要に優先して使わしてほしいということは、やむを得なかろうと存じております。それから非常時の場合につきましては、私、条文を手元に持っておりますが、今、見ないと、ちょっと詳細に暗記しておりませんが、今、長谷川先生のおっしゃったような条文が、規定されておるかと思います。
  48. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 御承知のように、アラビアとか中東は、大体この地区は非常時なんということは常に考えられることだと私は考えております。さらにアラビア政府へ一〇%、アラビアの関係各国に一〇%は安く売ることを承知しろ、日本に売るのは最高価格でなければならないんだぞ、こういうことですね、条文はそういうふうにある。さらに、会社は、その諸権利に関して、一切の外交手段に訴える権利を放棄することとなっている。ですから、この会社は、外交的な手段というものには、一切触れてはならないんだぞ、こういうことになっている、他方、アラビア政府からはこまかく制肘を受けているであろうが、何ゆえ会社は日本政府の援助を受けられないのかということです。援助を受けてはならないであろうということ。また日本政府もしくは日本政府に依存している団体や会社は、株主となってはならないと言われておるが、これは事実かどうか、わかりますか。日本政府に依存している団体や会社は株主となってはならない、こういうことですが、これは事実ですか。
  49. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 株主の点につきましては、さような条文がございます。それから、外交上の手段に訴えてはならないという規定でございますが、そういった規定は、私ども実はそういった案のときに話を聞きまして、非常におもしろくないと存じたのでありますが、この解釈につきましては、かりに今問題が起きました場合に、日本政府が外交上の問題として取り上げることを、ちっとも妨げるものではないという解釈であるというふうに承知いたしております。
  50. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ただし、それは、日本政府が外交上この問題を出すことには差しつかえないという判断であるならば、その条文の中に明らかにうたってあるのかどうか。これはあとで見せてもらわなければならないと思う。  こういうふうに、ごく簡単に協定が考えられておるようでありますが、私はこれは容易でない問題だと考えるから、御質問申し上げておるのでありまして、きょうは一応承わっておきます。国際石油協定では、利益を五〇%、五〇%と配分しているのだが、今度のように、極端に五六%、四四%ですか、こういうような協定というもの、五六に四四ということは、非常に珍しいケースだと私は考えております。その他の現在の権利の協定にいたしましても、私は非常な悪影響ばかり多いのじゃないかと思う。そうして、究極的に世界の石油価格をどういうふうに考えて、日本はやっているかということにも不審を抱きます。経審のエネルギー部会の答申によりますと、日本の需要は年々増加を示しているということを言っております。また、それは事実でございましょう。二十年後には大体日本は六千から七千万キロ一カ年に使うようになるんだ、こういうことを言っている。かりにそのときのキロ当り価格が一万円と仮定すれば、このために支払われる金額というものは六千億から七千億の巨額になる。大局的に見て、こういうような物の考えの上から、あなた方がこの協定を結ぶことに協力をしたと思うのだが、こういう考え方からしたところに間違いというものが生じてはいないか、こういうふうにも私は考えるのであります。協定によれば、会社の活動は、石油の生産ばかりの適用を強制されているということです。従って、今おっしゃったような、たとえば日本政府の息のかかったものということになると、大臣はこれをどういうふうに考えられましょうか。電力会社、それからガス会社、こういうものはこの指定の中に入りませんか。
  51. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 ちょっと何ですから、事務当局からお答えさせます。
  52. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御質問につきましては、政府出資の国策会社でなければ、該当しないと存じております。会社の場合です。従いまして、九電力等につきましては、株を持っても、この条項には該当しないと存じます。
  53. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 日本の電力会社は、御承知のように開発銀行から出資を受ける。そしてその機構を今日はっきり現わしておる。こういうものが、その中には入らないということだが、そこには私は大きな疑問があると思う。しかし、あなた方の御判断の上に立って、まさか局長さんが交渉に当ったわけではないから、そうだろうというくらいの話だと思うが、これがそうだと断定できるかどうかということには、疑問がある。そうだとすると、この条文から違ってこなければならぬ。しかし、何といっても、四十年たつと一切の施設、たとえば三万バーレル出るようになれば製油会社は持たなければならない、石油化学の会社は持たなければならないと条約に規定されている。すべての会社を作り上げる。日本の国内には、アラビア製油会社何々ビルという大ビルを作った。作ってみたが、四十年の契約期間がたつと、一切アラビア政府に返してしまうことになっているのだ、それはその通りでありますか。
  54. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 通常の場合、四十年が一応の契約の期間になっておりますが、その終了後に、財産処分につきましての規定がございます。これにつきましては、償却しておらなければ、未償却の部分は差し引くことになっておりますが、償却済みの財産につきましては、現地でそういった製油所等がございましてもアラビア政府に帰属する、こういう規定があります。
  55. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 今、まだ外貨の問題が解決づけられないで、年間幾らくらいの利権料が払われているかということをお聞きします。そうして何年か後にたとえば今日から十年後に、いよいよ石油が出た、さあ会社を作るのだ。作り上げたくらいで四十年たってしまう。四十年たっと、全部アラビア政府に帰属するのだ、こういうことなんです。こういうことが条約にあるということを、私は初めて聞くのですが、そういうべらぼうな協定というものを、よくも政府はそのまま協定させたということに、私は非常に不満を持っているというか、不安を持っているというように考えております。また、たとえば四十年後には、つまり国内、国外にある会社の財産、すべてアラビア政府に帰属する、こういうことになっておるそうでございますが、こればかりでなく、まだ申し上げた通りだと思う。そういうように、やっと事業ができ始めれば、三万バーレルくらいなものはたちまちだ。それができるならば製油会社は作るのだ、石油化学の会社まで作るのだと、みなアラビアに作らして、そして四十年たてば日本へ帰れと追っ払われる。協定通りだと、こういうことになっていくのだが、それで、果して外貨の節約になり、また日本の出資者の有利になるかどうか。こういうことは、お互い大いに研究をしてみる価値がある問題だと私は考える。内外の新聞雑誌によっても、世界に例のない過酷なものだといわれておる。さらに、先日は世界銀行から、日本はドルがない、ポンドがない、外貨がないと言っておるけれども、そういうむだなものがあるということはどうかという諮問があったそうだが、そういうことも事実かどうか、この点を聞いてみたいと思います。
  56. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 世界銀行から、ただいま先生の御質問にございましたような質問がございましたかどうか、私は承知いたしておりません。  それから、四十年の期間というものは、石油開発に伴いましては、世界的に常識的な期間というふうにされております。イランの場合は、ちょっと短こうございまして、二十五年が原則でございまして、たしか十五年間延長を認められておる、こういう格好になっておると思いますが、一般的には、四十年というのが、石油開発に関する国際的な常識に相なっております。
  57. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 その四十年の世界的な常識はいいけれども、四十年たつと、権利というものが全部アラビア政府にとられてしまうということが、われわれの疑問なんだ。それはどうなんです。今、クエートの方の仕事が始まっていないのだが、それに対して、利権料というものは、年間幾ら支払うのですか。
  58. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 四十年後の財産処分につきましては、生産国の設備等は、その生産国に帰属するという考え方が、一般的であるように承知いたしております。  なお、探鉱期間におきましては、二カ国で三百万ドルでございます。そうして油が出始めますと二百万ドルのボーナスを支払う、こういうことになっておりまして、一カ国でございますと、その半分になるわけでございます。
  59. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうすると二カ国で三百万ドルですから、アラビアに対して百五十万ドルを、毎年、仕事が始まらなくても、払うことになるのでしょう。
  60. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 さようでございます。
  61. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 今、皆さんも聞いた通りの協定だが、この協定というものの大きな目的からは、私は全部それていると思う。そして、日本国内に、石油というものはちっとも安くなって入ってこない。その目的の価格の低廉なんということは、何もなくなっている。供給の安定ということも断じてあり得ない。外貨の節約なんというものも全然ない。たとえば、百円あがったとすれば、九十何円は全部ドルにしなければならない。その何分の一かというものが円で使用されるだけである、こういうことになる。この協定の条文というものを、われわれに配付してもらうことができるかどうか。できるならば、一つこれを配付してもらいたい。きょうは一通りお話を承わりましたから、さらにこれからよく見せてもらって、そして吟味してから私は判断をしたい、こう考えております。
  62. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 本件は、会社の私契約でございまして、私ども正式には関与をいたしておりません。サウジ・アラビアとの協定につきましては、法律上の手続を政府にいたしておりますが、目下クエートとの交渉を会社側はいたしておりますので、その結果を見まして、また申請が出ることになるわけでありますが、もわせて処理いたしたい、かように考えております。
  63. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 委員長、お聞きの通りでありまして、私は今、クエートの契約云々でなく、現在できているアラビアとの協定を、委員会の要求によって、会社から出してもらいたい。もし、それができないならば、参考人として本人を出席させて、こまかな資料を出してもらいたいことを要求いたします、でありますから、質問はあとに残しておきます。  あと一点承わっておきます。このごろ日本国内の石油行政といいますか、これがなかなか調和がとれていないようにも見えるのでございますが、何か行政的にこれらを処理していく必要が出ているかどうかという点を、一つ承わってみたいと思うのでございます。ということは、つまり、価格の面とかいろいろな面が出ております。さらにまた、先日来、日本商工会議所から提出になっている、つまり漁連への割当というものは、中小企業者を圧迫するから、この点には考慮を願いたいということが出ているわけでありますが、これについて、大臣はどういうようなお考えを持っておられるか、お伺いいたします。
  64. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 実は、その点、参議院で質問がありました。魚油の割当について、今後どうするのだ、こういうことでありますが、御承知のように、これは長い間の問題でありましたけれども、その結論としまして、半期に十万キロリットルということにきまったのであります。従いまして、これを崩すつもりはありませんが、これをふやす考えもありません。ちょうど適当なところで話がきまったというふうに考えております。
  65. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 きょうはちょうど樋詰さんが来ているが、樋詰さん、今お話を承わった通りで、何ら日本民族に利益のない契約にさえも、権利として毎年百五十万ドル支払うそうでございます。よくあなたに考えてもらわなければならないことは、現在、新潟または山形等において、相当大きな油田が開発されていることは御承知の通りであると思う。その日本の石油開発に幾ら金が出て、その金と比較してみて、これだけの大きな金を海外の石油開発にかけるのがいいかどうか、この点十分お考えをいただきたい。こんなべらぼうな、屈辱的な契約でなく、民族の手によって、もっと国内の石油開発をやれば、それこそ今の失業者などというものも、少くなると考えられる。こういう点にまず考えを直して、来年度の予算は組み立ててもらわなければならないし、さらに、天然ガスの問題一つ取り上げても、その通りだと思う。天然ガスに幾ら予算がついているか。こういうようなべらぼうな政治でなく、もっと政治家が政治をやるような政治を行なっていきたいというのが、われわれの考え方であります。どうかその点に重点を置いて今後進んでもらいたい、こう思うのであります。  それから、もう一つ伺っておかなければならないのは、朝鮮の貿易についてであるが、これと同じような屈辱的な国際法を無視した行動を彼らはとっている。この焦げつきというものが、今あるかどうか。あるとするならば、どういうふうな方針をもって進んでいくかどうかということを、承わっておきます。
  66. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 国内の石油の開発につきましては、われわれも極力努力をいたしておるのでありまして、秋田沖の海底油田の問題につきましても、来年度は必ずやってもらうようにいたしておるのであります。ただ問題は、国内の油田から出る量と、サウジ・アラビアから出る量とは、かなり差があるのであります。率直に申しまして、けたが違う。こういうようなこともありますので、それとこれを一緒にするわけには参らぬと思うのでありますが、国内の油田を開発するのについてはわれわれも何ら異存はないので、極力努力したいと思います。  また、韓国の貿易につきまして、焦げつきという言葉ではありませんが、かなり多額の貸し越しになっていると思います。いろいろ交渉はいたしておるのでありますが、まだ回答が来ない、こういうような状況で、これまた最も早い機会に解決をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  67. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 大臣のお言葉に、言葉を返すわけではないけれども、価格の云々もしかりであろう。しかし、協定の中には、緊急時には、ということがある。日本の国内で一番石油が必要なときに、これだけ出資したものが、日本に入ってこないのですよ。こういうときに、日本国内にあったならば、その緊急時に初めて最高の活躍ができる、最も高度な産業が継継していける、こういうことで、一つ頭の中に入れてもらわなければならない。ですから、私は言葉を返すわけではないけれども、そういうところからわれわれは考えて、言っているわけでございます。  それから、もう一つ軽工業局長さんに伺ってみます。石油化学会社ができまして、今幾つの会社が実働しているか、まだ私にはわかっておりませんけれども会社が実働し、製品化されたものが、皆さん方が、これだけの価格でできると言って、われわれを承服させた価格の倍くらいになっているという話を聞くが、それは事実かどうか、こういうことでいいか悪いか。果して、その価格が、国際的な価格かどうか。その原料をもって生産したものが、国際的な価格であるならば、その価格の上に立ってどこの国にでも出ていける、こういう自信があるかどうか、一つ承わってみたい。
  68. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 石油化学の担当工場は、合成ゴムの製業造者を入れまして、いわゆる第一次の石油化学五カ年計画の中では十社だったのでありますが、その中で現在一部生産稼働しておりますのは四社くらいのものであります。全体を通算しまして、大体工事計画が五〇%くらい進んでいる程度でございまして、本格的な石油化学の生産は、今後一年ないし一年半の後に期待されるわけであります。  そこで、ただいまお話のございました価格の点でございますが、国としても、石油化学には、相当な援助をいたして育成をする方計をきめました。その根拠としては、石油化学製品は、在来の化学工業製品と比べまして、つまり、在来の手段による同種の製品と比べまして、大体二、三割安価であり、これが化学工業の原料として使われることになりましたなら、日本の化学工業は非常に合理化される、こういうことも、一つのねらいにいたしているのでございます。ところで、現に動いている工場から出る製品は、大体ベンゾール、トルオール、キシロールとかいう芳香族系統のもの、それにアセトンというようなものにすぎないのであります。これらについては、現在どういう価格で売られておりまするか、私の承知しておりまする範囲では、たとえば、ベンゾールという芳香族系は、本来タール工業から作られているものでありますが、その製品に比べて、それよりちょっと安い値のところで売っているということでございます。ほかのものも、大体アセトンにしても同様な状態であるように聞いております。しかし、これはおっしゃるごとく、われわれが石油化学工業を育成しようという意図から見た場合には、もう少し下らなければいけないということは、言えると思うのであります。しかし、御承知のごとく、商品の価格はすべて需給関係によってきまるのでございます。現在、そういうふうに石油化学製品が、まだ本来の価格を示していないということはそれらの商品が、まだ非常に需給が窮屈であるということが一つ言えると思います。  それから、さらに申しますと、何しろ、昨年の秋から今年の初めにかけて稼働を始めたようなものでございますので、いわば、一種の試運転の状態にあるということで、初期の段階におきまするいろいろな経費の増高というものが、相当原因になっているのではないかと思うのであります。しかしながら、われわれの考えとしましては、今後半年なり一年たちまして、石油化学工業が軌道に乗った場合には、需給のバランスもとれまして、石油化学製品の本来の安い価格が実現するであろうと考えております。われわれとしても、今後そういう方向に指導していきたいと考えております。
  69. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 需給の関係で価格の上下することは、これはもう争われない原則でございます。しかし、皆さん方が許可、認可を与える場合、生産コストは幾らというものが出てきている。その生産コストにマッチした価格というものが当然頭の中に考えられて許可、認可を与えられていると思う。ただ、供給と需要のバランスがまだとれていないから、ばかげた高さなんだというだけでは、九千万国民の総力をあげて石油化学工業を作っているのに、それで皆さんの使命が全うできるとお考えになられますか。こういう工場が日本民族の上に必要であるから、国民の血税まで貸し付けて作らせたのだ。しかるに、今日、需給のバランス云々だから価格は高いだろう、初期に非常に費用がかかったから高くなっているのだろうでは、監督するあなたのお役目が疑われはしませんか。もう少しうまく言えないですか。
  70. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 私、先ほど申し上げたのでありますが、よく御了解願えないのではないかと思いますので、もう一度申し上げますが、現在、石油製品の価格は、ばかげて高いというものではありませんと私は思います。たとえば、既存の工業から供給されている同一製品があるのでございますから、それより高くするということは、あり得ないのです。従って、ベンゾールにしてみれば、タール工業の製品より高いということはありません。それより、むしろちょっと低いくらいに売っていると思います。われわれの理想としましては、もう少し安くさせなければいけないというふうに考えますので、今後は、石油化学が本格的な操業に入るというそういう推移もにらみ合せまして、十分行政指導をして参りたいと考えております。
  71. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 時間の関係がありますから、もうこれでやめておきますが、そこでもう一つ承わっておきます。石油化学工業に割り当てられている原油、こういうものは、製油会社にも割り当てるのですが、その化学会社で、割り当てただけのものは全部完全消費しているかどうか、この点はどうでしょう。これは鉱山局長とあなたから一つ承わっておかなければいけない。きょうは、総括的なものをお聞きしましたが、あとまたこまかい点については、きょうは時間がないから承わりませんが、その点だけ一つ答弁願います。
  72. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 石油化学の原料としましては、いろいろ廃ガス等もありますが、特にナフサにつきましては、御承知のごとく、いわゆる石油精製業者に特別にその原油の割当をいたしまして、それに相当した量のナフサが石油化学業者に供給されるというような仕組みで、特にナフサの供給も確保する建前をとっております。その需要の算定は、石油化学工業の事業計画基礎にしましてやっておるのでございます。先般三十二年度の下期の割当をいたしましたが、その下期の原油の割当によって出ましたナフサは、確実にこれは石油化学の方へ流されておるというふうにわれわれは考えております。
  73. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 最後に、資料の提出を要求して、これでやめておきますが、石油化学会社、要するに経由する石油会社、それに化当会会社のどこへ幾ら割り当てておるかということを、一つ資料として御提出をお願い申し上げます。
  74. 齋藤憲三

    齋藤委員 関連して。  私は日本の石油問題につきまして、後日徹底的に当局の所信をただしたいと思っておるのでありますが、本日は、簡単に関連質問を申し上げたいと思いますので、鉱山局長より御答弁を願いたいと思っております。  ただいま長谷川委員からの御質問によって、サウジ・アラビア及びクエートの中立地帯において、日本の会社がやっております業態の一部分をわれわれは知ったのでありますが、もちろん、日本の石油は、その九七%を外油の輸入によってまかなっておる。従って、どうしても日本というものは、外国に対して安定した石油の給源地を開拓するということは、国策の一環として必要なのです。私は、あえてサウジ・アラビアの油田を開発するということに、反対をしているものではありません。しかし、サウジ・アラビアというものが、果して外貨を投入して開発する最高の対象地であるかどうか。イランは一体どうか、スマトラ、ボルネオはどうか。最近問題になっておるところのスエズ運河の領域の油田地帯は一体どうか。こういう総合的な立場から、日本は外国における油田地帯の開発を行うということが、国策でなければならぬと私は思うのです。サウジ・アラビアのように、クエートと中立地帯において、いまだその権利の未確定なところに一方的に契約を結んで、そうして百五十万ドルを権利金として支払う。もしクエートが承知しなければ、何年でもこの五億四千万円という膨大な日本の金を支払っていかなければならない。しかし、それは日本の金であるから、もし円で済むならば、まだしもわれわれは耐え忍べるとしても、これは私設会社といっても、ドルを支払うということになると、国家の財政経済に大きな影響を与えるという点においては、国策会社と同じものになってしまう。そういう点において、果して当局は、サウジ・アラビア及びクエートの中立地帯を、将来における最高の日本石油給源地帯として開発するということを考えておるのか。一体、イランをどう考えておるのか、スマトラ、ボルネオをどう考えておるのか。あるいは、スエズ運河の領域の権利を、無条件に日本に提供しようと言っているエジプト政府の申し入れを、どう考えているのか。一体、どこにこの外地油田の開発の対象を求めておるのか、どういう方策でこれをやらんとしているのか。もし、そういうことについて、簡潔にお答えができると思ったらば、この際承わっておきたいと思う。
  75. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 お答え申し上げます。非常に大きい問題でございますが、地帯といたしましては、私どもいろいろなデータで見まして、サウジ・アラビア、クエート、この中間にございます中立地帯の沖合いは、非常に有望な地帯であるということは、言えようかと思っております。手元にございます資料で、一つの井戸当りの日産量を見ますと、北アメリカで、合衆国が二キロリットルでございます。中東について見ますと、サウジ・アラビアは千三百七十キロ、イランが同じように千三百二十キロ、こういった程度でございまして、わが国は零点以下でございます。こういったところから見ましても中東、この中立地帯沖合いにつきましては、非常に有望な地帯であるということは、申し上げることができようかと思っております。エジプトにつきましては、ただいまお話しのようなことは、若干聞いておりますが、まだ私ども正式には何らのお話も承わっておりません。サウジ・アラビアとイランの開発につきましては、政府もできるだけの援助を考慮するという従来の政府の方針にのっとって、私ども処理をいたしております。  なお、ドルの支払いの問題につきましては、お話しのような観点から議論もできようかと存じておりますが、現在石油を買っておりますのは、先ほど申し上げましたように、ドルで買っておりますのは御承知の通りでございます。これを安定的なソースを開発すると、その開発資金といたしましては、ドルを投資いたさなければならないような関係になっておりますが、出ました原油を、無為替で輸入するという格好になります。従いまして、国際収支上のメリットといたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、探鉱期間にどれだけの経費を必要とするか、それがどのくらいの期間で済むかという関係と、将来入って参ります石油の量、こういったことと相関連して検討を加える必要があろうかと考えております。
  76. 齋藤憲三

    齋藤委員 石油というものは、最も困難な地下資源の開発でありますから、今おっしゃったように、当れば、サウジ・アラビア、クエートの中立地帯というものは、有望であるかもしれない。しかし、やはり海底油田ということになりますと、陸上掘さくの五倍ないし七倍の費用がかかるということは通説であります。先ほど、長谷川委員の御質問にもありましたように、よほど両国間、いわゆる三国間でありますが、しっかりした契約のもとに遂行しないと、不慮の事態によって、非常に大きな災害をこうむらぬとも限らないと私は思う。今、サウジ・アラビア及びイランの出油量が、一井について千二百キロという話であったけれども、これがどこまで継続する産油量であるか、よくわからない。私も、よく調べてみます。しかし、国内油田でも、最近の田麦山とか山形県の吹浦のごときは、二分の一インチで二百キロの出油量を見ている。最近、大臣の言われたように、必ずしも日本の油田が小さいということは断定できない。これから開発せんとしている。そこで、一点お伺いしておきたいと思いますことは、石油資源開発会社は、国策会社として設立を見て、今、懸命に国内油田の開発をやっているのでありますが、その法律を見ると、あえて外地の開発を行なってはいけないという規定はないと思う。でありますから、もし日本が、将来海外の油田を開発せんと欲するならば、この石油資源開発会社をして、徹底的に外地の事情を調査せしめ、そして最も有望なところに国家の力を生かして、今、局長が言われたように、将来日本でふえるべきところのエネルギー資源が、二十年後には六千万キロないし七千万キロを輸入しなければならないという。その需要を補うために、海外の油田を開発する構想があってしかるべきだと思う。この点、法律的に、石油資源開発会社は、外地の油田を開発することができるのであるか、できないのであるか。もし、できるとするならば、将来この会社をして、外地の油田地帯を調査せしめて、好条件のものがあれば、積極的にこれを開発せしめるという意思があるかどうか。これは局長の一存ではいかぬと思うけれども局長としての御意見があったら、この際承わっておきたい。
  77. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 石油資源開発会社は、御承知のように法律に基いてできておりますが、その立法の趣旨が、国内の石油資源を開発するにあるのは、御承知の通りであります。法律上、国内にという限定はないようでございまして、海外の調査を担当することは、必ずしもできないことはなかろうと私は存じております。ただ、石油資源の国内における事業といたしましては、まだ創立後二年でございますので、十分なる成果を上げておるわけではございません。二十二年度の事業計画におきましても、海洋掘さくを、大きい事業計画として、大いに力を入れて参りたい、かように考えて、予算にも所要の資金を計上していただいておるようなわけでございます。ここのところは、まだ国内の方に十分力をそそぐように、私ども指導いたして参りたいと存じております。海外石油資源の調査につきましては、イランの方につきましても、担当者をして調査せしめましたし、先ほど高碕ミッションがエジプトに参りますときにも、探査部長が随行いたしております。こういう関係で、石油資源開発会社としての調査ではございませんが、担当者、すでに若干参っております。会社に調査をさせます問題につきましては、今後十分検討いたして参りたいと思っております。     —————————————
  78. 小平久雄

    小平委員長 次に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑を継続いたします。松平忠久君。
  79. 松平忠久

    松平委員 今度、中小企業金融公庫法の一部改正で、環境衛生の業種を、融資の対象に加えんとするのでありますが、中小企業庁の長官にお伺いしたい。この法律の適用を受けて、つまり環境衛生上改善をしたいという場合、全国で一体どの程度の融資があるのか。あるいは、今回はただ単にそれを対象に入れたというだけか。中小企業庁として、これに対してどの程度のワクを設定するとか、あるいは、どの業種はこの法律に基いてどういうことを改善しなければならぬので、どの程度資金が要るとかいうことを、一体調査されて、今度の法律改正の中に盛り込むことにしたのか、その点をまず伺いたいのです。
  80. 川上為治

    ○川上政府委員 特別に、調査をいたしまして、大体どれくらいのワクを設けるというようなことは、実はいたしておりません。これはこの前の国会におきまして、すでに成立を見ました法律でもありますし、この中小企業金融公庫の対象業種になっておりますが、その際、大きなものも、小さなものも、全部一緒くたになっておりますから、ほかの業種とのつり合いが全然とれませんので、今回の改正によりまして、中小企業だけを相手にするということにいたしたわけでございます。今申し上げましたように、大体どれだけ資金の需要があるだろうか、どの程度のワクを設けるかということは、別にきめておりません。
  81. 松平忠久

    松平委員 この法律ができて、風呂屋の組合とか、理髪屋の組合に、融資ができるということになった場合、一体それらの人に、どういうふうにして知らせる方法考えているか。ただ単に、官報で発表する、あるいは新聞等で伝えるというようなことだけにとどまるのか。これは中小企業金融公庫自体が、代理店等を通して業種業態の組合長に、君の方へ金融ができるようになったのだという通知を出さなければ、意味をなさぬと思うのだけれども、そういう融資の対象になったということを知らせることを考えているかどうか。今まで、こういう法律が出ましても、政府は、ただ単に出しつぱなしであって、民間の者は知らない。たとえば興行関係、活動写真とかあるいは芝居小屋が対象に加えられたときにおいても、そうであったので、今回もやはり同様ではなかろうかと思う。これは知らせるという手だてを作らなければ、法律改正してみても大して利益にならぬことになるのですが、それはどういうふうに考えておられますか。
  82. 川上為治

    ○川上政府委員 その問題につきましては、新聞等におきましても、従来から発表いたしておりますが、組合に対しては、もちろん公庫の方から連絡いたしまして、融資の対象になったということは通知することにいたしておりますし、現に、この前この法律通りまして、環境衛生の組合をこの対象にすることにいたしましたときも、連絡は一応いたしているわけでございます。なお、そういうことで十分でない点がありますれば、今後さらに各方面に知らせるような措置をとりたいと考えております。
  83. 松平忠久

    松平委員 次に、この問題に関連しまして、食品衛生に関しまして、二月二十六日付で、公衆衛生局長の名前をもって、食品衛生の設備資金として融資方配慮の件という公文書が、大蔵省、あるいは中小企業庁、日銀、銀行協会その他の金融機関に出ておるわけであります。これはその内容を見ますと、アイスクリームを作る製造業者の設備の一部改善資金とか、あるいは乳製品製造業者の中で、発酵乳の製造業もしくは乳酸菌飲料製造業、こういうようなものが食品衛生法の適用を受けることになったので、これは殺菌その他の設備を行わなければ、四月一日から営業ができなくなる、こういう政令の改正が行われた。それに伴うところの設備資金だと思いますけれども、全国におけるこれらの業種というものは相当多数あると思うのだが、それらの人たちが、政令によって設備を改善していかなければならぬということになったこの際、その設備資金というものは、全国的にきわめて膨大なものになるのではなかろうかと思う。そういたしますと、政令を改正した場合において、あらかじめこの設備資金というものは、大体幾ら全国で要るのだということを、調査の上で政令を改正して、そうしてその際に、あらかじめ中小企業庁、大蔵省等と協議をした上で、設備資金の裏づけまで持って政令を改正したのであるかどうかということを、環境衛生部長からお答えを願いたいと思います。
  84. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 ただいまのお話三種の製造業でございますが、これが今度一定の設備の規格基準を要するようになったのでありますが、この政令の改正に当りましては、あくまで根本は、そういう設備ができませんと、これは規則だけで抽象的になりますので、並行いたしまして、どのくらい要るかも算定をいたしますと、三業種を通じまして約二十億の設備改善資金が要る。この関係業者の数は、アイスクリーム類の関連が約二万、それから発酵乳の関係が約一千、それから乳酸菌飲料が約五千、合せますと二万六千軒ぐらいの営業者が、これに関与するわけでございますが、これに対して、その程度の設備資金を投じまして設備を設置いたしますと、今度われわれの意図しております、これらの非常に重要な飲料あるいは乳製品が、衛生的に供給できるという最小限が確保される、こういう見込みでございます。これにつきましては、商工中金が一番中心になるかと思いますので、これと、これらの規則改正と並行いたしまして、折衝いたしました。さらに、これの監督官庁である通産省並びに大蔵省に、並行いたしましていろいろな御依頼をいたしました。大体めどをつかみまして、この規則の改正を進めた次第であります。現在のところ、大体この程度のものはお願いができるという話し合いを伺っております。ただこの場合に、二万六千軒の個々の業者が、ばらばらにこれらを実施いたしますと、機械につきましても、これは非常に適切でないもの等もある。それから非常に不能率な問題もございます。ことに、冷蔵設備が一番の中心になるわけでございますが、これはむしろ共同施設といたしまして、共同でりっぱなものを持って、そこに、少量ずつしか扱っておらぬような業者は、共同冷蔵をいたしまして、完全な冷蔵をする。かようなことを、実際に指導いたしております。たとえば、十軒に一軒程度、ものによりましては二十軒に一軒程度の共同施設を持たせる。従いまして、この規格も非常に高まりますので、さような指導で、大体この金融を受けるようにということで、今、進行中であります。この点につきましては、関係省との間でも、十分連絡をとりまして、厚生省の意図するところについては、御理解を得まして、強力に、遺憾のないように現在進んでおる次第であります。
  85. 松平忠久

    松平委員 ただいまのお話だと、アイスクリーム、ソフトクリーム二万、その他乳酸菌関係のものが六千ということであったのですが、乳酸菌というような業種については、私も、共同施設ということは、かなりできるかとも思うのですが、零細なアイスクリームとか、アイスキャンデーとか、ソフトクリームというようなものが、共同施設といいますと、どういうような仕組みのものを作るか知らぬが、そういう施設を集約して作る場合において、輸送その他のこともあって、アイスクリーム等の場合には、なかなか困難だと思うけれども、アイスクリーム、アイスキャンデーというようなものも、一体共同施設を作ってやられる、こういう考えなのかどうか、その点も伺いたい。
  86. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 アイスクリームは、確かに業者の数も、先ほど紹介いたしましたように、非常に多くて、大から小まで、さまざまでございます。非常に小さい製造業も多いわけでありますので、全部一がいに必ず二十軒に一軒というような共同施設は、統一的には困難でございますが、かなり近いところで都市の非常に消費の高い地区と、それから地方のところで、非常に事情は違いますが、むしろ共同施設の方がよいところではさような形でいく。それから単独のものでもやむを得ないという場合には、少額になりましても、たとえば一軒五万円くらいの標準が要るかと思いますが、さようなところは、さような形でも差しつかえない、こういうことで、やはりその地区地区の実態に応じて、押しつけがましくなく、自主的に一番うまくいくという形をキャッチいたしまして、これらの設備をさせる、こういうつもりでおるわけでございます。
  87. 松平忠久

    松平委員 その場合において、施設の内容をなすものは、どういう施設が一番多いのか。結局、食品衛生法の建前からいって、水を相当使うと思うのですが、要するに、そういう殺菌設備というか、滅菌設備というか、そういうものをしなければ、意味をなさぬように思うのだけれども、結局、設備の中心をなすものは、そういう殺菌施設ということになるわけですか。その他の付属設備というものは、どういう程度の設備をするのであるか。たとえば乳酸菌の場合には、どういう程度の設備、ソフトアイスクリームはどうだ、アイスキャンデーはどうだということで、少し詳しくお示しを願いたい。
  88. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 共通的に申し上げますと、主体をなすものは、冷却の設備と、今のお話の殺菌の設備と、この二種類にまとめられるわけであります。ただ、それを今度個々にアイスクリーム類の製造業にとりますと、今の冷却設備につきましても、こまかくいろいろと規定になっております。アイスクリームの冷却設備という中に、機械が分れておりまして、たとえば、調合機、それから濾過器、氷結管、氷結機というふうに分れております。さらに殺菌設備のところでは、原液の殺菌器、こういうふうになっております。それから発酵乳の方につきましても、同様に中身がそれぞれ分れておりますが、ただいま大体申し上げましたようなものが、この発酵乳の場合には非常に設備が大きくなるという形、それから乳酸菌の飲料の場合でございますと、これをさらにビン詰めにいたすわけでございますが、それらに適した冷却と殺菌の設備が付随する、かような種類の差がございます。これはそれぞれの職種別の基準規格の機械別の詳細がございますが、もし委員の方で御必要でございますれば、私の方から資料で明細を提出してもよろしいかと存じます。大別いたしますと、このような関係でございます。
  89. 松平忠久

    松平委員 そういたしますと、私ども、乳酸菌関係では一番小さい設備で約百万円ぐらい、大きいのは一千万円ぐらいかかる、こういうことを聞いておる。それからクリーム系統では、ある人の話によると、ソフトクリームにそういうものをつけると、どうしても二十万円ぐらいかかるということを言っている人もあるし、あるいは五万円ぐらいでできると言っておる人もあるのだが、一体その金高は、そういう工合にかなりまちまちなことを私は聞くのだけれども、平均しまして、どの程度の金高があればいいのですか。
  90. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 先ほど言いましたような、今各業者に欠けております点を、最小限度今度規則に合せるという点の平均額からいいますと、アイスクリームにつきましては、大体一営業者平均五万円、それから発酵乳の製造業の場合には大体平均五十万円、それから乳酸菌の飲料の場合には大体十万円、大体平均いたしましてこの程度資金を融資いたしますと、全体として欠けている点が大体補われまして、今度の衛生基準規格の最小限には合い得る、かような見当をつけておるわけでございます。
  91. 松平忠久

    松平委員 今の点で、たとえば五万円というアイスクリームの方の施設は、一つのアイスクリームを製造している業者がありますが、その業者がその施設をするためには五万円要るのだ、こういうことになるわけですか。もしくは、その五万円で二十カ所ぐらいのクリーム製造業者が一つの共同施設ができる、こういうことであるのか。今の五万円というのは、どういう基準で五万円になっているのか。
  92. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 今のは一軒当りの平均で、不足しておる部面を補充するという五万円でございます。従いまして、共同で、たとえば二十軒でやるということになりますと、必ずしもきっちりこれの二十倍になるわけではございませんが、大体各不足分を共同で補うわけでございますので、大まかなところは、やはり二十軒集まれば、約百万円の共同施設を入れますと、その加入者が大体この基準に合い得るものを製造保存できる、かような形になっております。
  93. 松平忠久

    松平委員 その価格の算定の基準ですが、先ほど承わりますと、二十億というようなお話だったが、今のことでいきますと、アイスクリームだけで十億はかかる。それからそのほかのものは、私ども聞いておるところによると、どうしても四、五十億かかると言っておる。安く見積っても、それが三十億程度かかる。そうすると、両方合せて四十億ということになって、倍ぐらい金がかかるのではなかろうか。こういうふうに一応私どもは承わっておるが、その点は、二十億でやらせるぐらいの程度のものでもいい、こういうように基準の中には一つのフレキシビリティというか、幅があるわけですか。
  94. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 食品衛生関係の基準規格といいますと、もう衛生を守るぎりぎりの最低の規格になっておりまして、その欠陥を満たす、今それにさえ足りないというところを満たすという算定で申し上げまして、先ほどのアイスクリームですと約十億、発酵乳で合計いたしますと五億になる、乳酸菌で五億、合計二十億というふうな概算を申し上げたのでございますが、こういうような食品でございますと、ただ衛生上最低ぎりぎりという点でございますと、あくまで法規では基準規格を共通的にきめますが、食品のことでございますので、それで満足するというわけにいかないのでございまして、これは今日の状態で、市民の需要の品質といいますか、これは衛生のみならず一定の共通的なレベルの需要がございまして、それを満たす需要供給の関係で、これが十分国民の重要な蛋白飲料として満たしていくということになりますと、どうしてもこれに同額程度の自己資金をさらにつけ加えることが望ましい。そうなりますと、国民の嗜好、需要に大体マッチする、かように考えておるわけでございます。ただ、そこまで全部われわれの方で無理を言ってお願いをするというわけにいきませんので、今度の場合には、法規をかえたために、これだけは義務を負って無理をせなければいかぬという点とかみ合せまして、実際には望ましいのであります。その点については、詳しい資金需要の資料を、今調査表を配付いたしまして、府県を通じまして集計中でございまして、今の委員の方からお話のように、多分総額といたしましては、最低の部分の倍額程度になるのではないか。これは集計した上で判明いたします。かようなつもりに思っておるわけでございます。
  95. 松平忠久

    松平委員 次に伺いたいのは、殺菌ということになりますと、水でありますけれども、水を使う場合に、厚生省の考え方では、上水道を使っている場合において、その水に対しても信用をおけないから殺菌をするのだ、こういうわけで殺菌器を取りつけなければならないような指導のようであるけれども、上水道は、みなが飲んでいる。その上水道を使っているところに対して、殺菌器をつけなくちゃいかぬというのは、私はちょっとおかしいと思う。それは、手にばい菌がつくとかなんとかということは、あるかもしれぬけれども、上水道を使っておる都会地のようなところにおいては、そこに無理までして殺菌器をつけなければアイスクリームが売れないとか、あるいはソフトクリームを売れないということはおかしいし、ことにソフトクリームなんというものは、粉でもって入ってきて、水の中に溶かして入れて、それをどろどろ出すというわけだから、それに殺菌設備をつけろというのは、おかしいと思うのだが、これはどういうふうに考えていますか。
  96. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 われわれが大都会で水道法に合いまして供給を受けております水でありますと、殺菌しなければ飲んでいかぬということでは、これは全然使い道にならぬわけであります。飲料水として適格なものは、水そのものは殺菌の要なくして、そのまま飲んでいるわけであります。ただ、今度の意味の殺菌器というのは、その使用の水そのもの、原水のみを殺菌するという目的でなく、今のお話にありましたように、いわゆる調合いたしました製造用の原液を殺菌いたしませんと、水そのものはよくても、いろいろなところから、他のものと混合する操作中、あるいは他の混合したものから入るわけでございまして、さような意味で、これの冷凍の前に殺菌をする、こういう機械ということでございまして、単に完全に適合しておる水道水そのものを殺菌の目的にしたものではないわけでございます。
  97. 松平忠久

    松平委員 そこで、これは結局各府県別に組合を作る、こういう考えであるのか、あるいは、もっと地域別に組合を作るのか、どういう単位の組合というものを考えられておるか。またその組合を作るのは、だれが指導して作らせるのか、その点を伺いたいと思います。
  98. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 組合は、環境衛生同業組合とは全然無関係でございまして、あくまでその地区々々で、今の金を借りる、あるいは共同設備をする等に適切な地区ごとに自発的に組合を作る、こういうことでございます。しかし、かような新しい画期的な施設をするには、組合はできるだけできた方が望ましい、こういう指導方針でおりまして、組合の形態が、県単位でなければいかぬとか、町村単位でなければいかぬとか、さようなことは、今のところは考えておりません。一番実際に合った形で組合が次々とできる、かように期待しているわけであります。  それから、指導の方につきましては、これは先ほどからの金融の関係がございますと、それぞれ諸官庁があるわけでございますが、実際にこの業者の指導に当っておりますのは、許可営業といたしまして、府県の衛生部にございます食品衛生関係職員が実質的に指導に当っております。しかし、今度の場合には、機械設備の方の規格の裏づけがなければいけませんので、さような関連、あるいは金融の関係につきましては、府県の経済の方の関係、こういうところとも協力してこれを指導していきませんと、うまくいかない。それから、協同組合の場合には協同組合を育成するそれぞれの所管の部局がございますので、これとも密接な連絡をとっていく。しかし、あくまで中心は、今度の衛生措置の改善が、もとになっておりますし、牛乳衛生の関連でございますので、食品衛生の監督の立場にある部局が主として当る、こういうことになるわけでございます。
  99. 松平忠久

    松平委員 最後に、冒頭申し上げたことを繰り返すようですが、こういうような工合に政令を改正して、それで設備資金というものが、大体厚生省が考えておるようにするためには、四十億ばかりかかる。こういう場合に、政府関係部局で連絡をとって、現在はスムーズにやってきておる。こういうことを答弁されたわけであるけれども、これは昨年の十二月か何かに、この政令が変ったと思うのだが、その前に大体の調査をして、四十億なら四十億かかる、これはどういうふうにしたものかというようなことを、相談の上で政令を変えるべきではなかろうか、こう私は思うが、中小企業庁の長官は、十二月前にこの連絡を受けて、そしてそれらの資金的なことも相談があって、了解の上でやられたのであるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  100. 川上為治

    ○川上政府委員 この政令が決定されます前に、その設備資金についての計画の打ち合せが、十分なされていたかどうかという問題でございますが、実は私どもの方とは、内々では話し合いをしておりましたけれども、そう直接に、私がこの問題についていろいろ話し合いをしたということにはなっておりません。ただ、具体的には商工中金、あるいは中小企業金融公庫の方と厚生省の方といろいろ話し合いをしまして、大体これくらいの金であるならば差しつかえないだろうというようなことでございましたので、私の方でも、その程度ならば別に差しつかえないのじゃないかというような気持で、今日までおるわけでございます。
  101. 松平忠久

    松平委員 そうしますと、この政令を出す前に、厚生省は中小企業金融公庫なりあるいは商工中金なりと、事前に設備資金を打ち合せて政令を作ったのであるか、あるいは政令を作ってしまってから打ち合せたのであるか。私の聞いているところによると、政令をぽんと作って、そして、あとでもって中小企業庁の方へも、ことに国会が開かれてから連絡をしたというようなことを聞いている。しかもその連絡先は、金融課長に連絡せずに、何か筋違いのところに話をしたというようなことも聞いているわけです。そこで厚生省に伺いたいのは、この政令によって、小さい業者がそれだけの設備をしなければ、営業ができなくなる。こういう非常に大きな義務を負わせるような政令、しかも、設備資金を要するような政令を改正するに当っては、金融の面について、とくと打ち合せなくてはならぬと私は思うが、果して一体商工中金なり、中小企業金融公庫なりに、厚生省は、来年は中小企業の金融は大体どの程度予定しているのだというようなことも念頭に入れて、相談した上で政令を改正したのかどうか、その点を伺いたい。
  102. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 実は政令におきましては、この三種類を許可営業の対象にするという政令でございまして、食品衛生関係の政令段階は、すべてさような形になっております。これによって、とにかく衛生監視の中に入れまして許可営業にする、これがまずきまるわけであります。従いまして、その監視下に入れた場合に、さらにこれを受けて立って、どの程度の条件で許可営業に許可をするかという基準につきましては、大体これは厚生省の告示をもって、この許可営業になりましたものを今度調査して、その実際の程度にあまりそぐわなくても工合が悪いということと、それから、これはもちろん国民の衛生上必要な限度を最低限守るという、この二つとかみ合せて、告示をもって設備等の規格基準を、だいぶおくれますがきめるわけであります。従いまして、こういう場合、常に、許可営業にはなりましたが、営業者がどれだけの、実害と言うとおかしゅうございますが、実際の措置をしなければいかぬかということは、政令発布後一定の調査期間を経てきめるわけなので、告示をきめます場合に、ただいまお話しのような金融措置の見込みを、具体的に見当をつけてきめるわけであります。さような形でございますので、これらが最後確定をし、それから調査の進行を待って、本年に入りましてから、並行してこれらの細部を地方庁にも示達したのであります。さらに、先ほど申し上げましたように、機械の個々の種類等の細部は、これは局長通知をもって地方長官に通知して、初めて細部がきまるわけでありますが、それと並行させてやった次第でございます。従って、政令でございますので、各省の判こも要るわけでありますが、この場合には、三つの種類を食品衛生上の許可営業にするが、よろしいかどうかという点までしか、連絡をしないわけでございます。この点は、確かに、細部まであらかじめ連絡するということになっておりませんので、さようなずれができたわけでございます。
  103. 松平忠久

    松平委員 私は、こういう業種、業態を、環境衛生上もっと改善していかなくてはならぬということに対して、反対しているわけではないが、今の手続上の問題ですけれども、厚生省がそういう考え方で、いきなりぽんと許可営業にしてしまっているから、これから作る者は基準に従ってやるけれども、今までやっておった者が、経過措置として基準に従ってやらなくてはならぬという場合に、かなり財政負担をかけると思うのです。そこで、今までのような、そういう国民に財政負担をかけるような政令の改正なり、あるいは告示は、国民にそういう義務を負担させるわけでありますから、一方的な解釈の仕方で、今日までそういうことをやってこられたというやり方は、いかぬと私は思う。あらためて国民に義務をかけるような、ことに財政負担をかけるような政令の修正なり、改正なりをする場合には、政府部内において、相当こまかい点まで論議をした上で、その裏づけというものもはっきりさせてやらなければ、国民の職業について重大なる制限を加えることになるので、この点、そういうやり方は、今後改めてもらいたいと私は思う。厚生省関係の環境衛生その他におきまして、いろいろ今まで政令の改正あるいは告示等によって、かなりの対象の業種に対して義務を負わせておると思うのです。その義務を負わせているやり方が、やはり今回のこの食品衛生法の中の政令の改正に伴っても、同じことをやっておられるわけだけれども、これらの点は、今日の民主主義の行き方からするならば、やはり官僚独善的なやり方であって、現在の新しい制度のもとにおいては、これは改められていかなければならぬ性質のものではなかろうか、こういうふうに思いますので、その点に関する厚生省側の所感を伺いまして、私はこの質問を一応打ち切ります。
  104. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 ただいまは、松平委員から、非常にわれわれのためになる御意見を伺いまして、ぜひさような取扱いにしていきたいと思います。厚生省が従来そういうそしりを受けました取扱いについては、ぜひ是正いたしたいと思いますが、一つには、最近非常に国民の衛生観念が高まりまして、一方ではいろいろな国民運動とか、いろいろな国民の大衆の団体等から、個々の事例をあげまして、衛生措置の改善を非常に強く要望してくるということで、もちろん大衆の衛生を万全に守るということは、場合によっては、現行の営業側の反対を押し切ってでもやらなければいかぬと思いますが、その場合にも、衛生の観点のほかに実現件のないものでございますと、確かに、規則は作りましたが、片っぱしから違反だけが出る。それも、とても監督、監視が及ばないで放置のままとなりますと、これは出しても意味はないので、今のお話しのように、これらの衛生の必要という実際にその実効をあげるための手段方法、あるいは営業者ができるような裏づけという点につきましては、十分最後の確定前に並行してこれらの措置をいたしまして実施したい、かように存じております。
  105. 松平忠久

    松平委員 今のお答えの点について、若干私の意見を述べたいと思うのですが、国民の衛生思想は確かに最近かなり普及してきております。そこで、これらの思想というものを、さらに徹底しなければならぬというこの考え方は、私はよくわかりますが、これは厚生省だけでやろうとしても、できないことです。これは国民の協力を得なくちゃいかぬということもありましょうが、まず第一に、私は政府部内において、政府関係各省をして、そういう考え方に同調させて協力さしていく、こういう態勢を厚生省が作らなければ、私はこの環境衛生がよくなってはいかないと思う。私は、この間も、日本に来ました例の中共の李徳全女史と、向うへ行ったときも数回会って話をして、女史の意見を聞いたのですけれども、やっていること、総理みずからこれに対して精力を使って、この政策の実行に当っておる、こういうことであって、ただ単に、この問題を厚生省だけにまかしておくというような、そういうやり方ではないわけです。ですから、これは小さい問題でありますけれども、こういう食品衛生の政令の改正に当っても、これをやっていかれるということは趣旨は賛成だが、それをやっていく上において、きわめてうまくできるような工合に、政府自体においてよく案を練っていって、しかも、政府自体が協力していく。こういう高い見地からやっていかれなければ、だめであって、いわゆる昔のセクショナリズム的なことであっては、政令が改正されても、結局違反ばかり出てしまう。こういうことになるので、その点は、内閣の部内においても、思想統一をはかり、各省の協力を求めてやっていかなければならぬ。こういう行き方でやっていかれることを希望して質問を打ち切ります。
  106. 小平久雄

    小平委員長 本日はこの程度にとどめます。  次会は明十二日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時十六分散会