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松尾(泰)
政府委員 御存じのように、最近の通商
政策の方向、特に低開発国に対する各国の通商
政策の方向が、商品の直接的な売り込みでは十分ではないというようなことから、それらの国々に信用を供与いたしまして、建設資材、開発資材を送り込んで、その土地を開発するというような方向に向いていることは、御
承知の
通りであります。従いまして、
日本といたしましても、各国のそういう大勢に順応いたしまして、通商
政策の方向も、そういう方向に切りかえて参る必要があるわけであります。これは先ほどのアジア共同市場といわれるべきような構想と相通ずるものもあろうかと思いますが、それは一応さておきまして、単純な通商
政策から見ましても、そういう技術協力あるいは経済協力ということが、通商
政策の
一つの新しい面であろうと、われわれは
考えておるのであります。そこで、そういう線から見ますと、御存じのように、
輸出入銀行の融資によりまして、延べ払いで資本財等を、東南アジアだけではございませんが、各国に
輸出をいたしており申すが、そういう
輸出入銀行の資金による延べ払いの
方式も、今申しましたような線に一致をいたすのであります。そこで、いわゆる人の交流、
技術者の交流による面と、それから資本財の
輸出におきまする延べ払いの面が、問題として起って参るわけでありますが、
輸出入銀行の延べ払いの線では、なかなかやりにくい点も多々あるような次第でありまして、今回、
輸出入銀行の中ではございますが、アジア経済協力基金でございますが、そういう資金ができましたので、その資金も
輸出入銀行を通じて運用されるというので、従来の
機能を補完し拡大するものであろうと私は思っているのであります。それは、従来のいわゆる資本財の
輸出延べ払いの線を、より拡大した規模において行えるものではないかと思うのであります。あるいは資本財だけではなしに、現地のいろいろな工事の引き受けその他も、そういうことでできるのではないかというふうに
考えております。しかしながら、御存じのように、資金がわずかでございますので、果してどの程度の
実績をあげ得るか、われわれは疑問とは思いますが、
考え方としては、今申しましたような東南アジアとの経済協力、それは、いわば通商
政策上の新しい最近の部門でありまするこの資本財等の
輸出の促進の問題と密着するもので、その方向に沿うているものであります。こういうふうに
考えております。