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1958-02-13 第28回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十三日(木曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 内田 常雄君    理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君    理事 加藤 清二君 理事 松平 忠久君       大倉 三郎君    菅  太郎君       神田  博君    齋藤 憲三君       櫻内 義雄君    佐々木秀世君       中垣 國男君    中村庸一郎君       松岡 松平君    横井 太郎君       佐々木良作君    佐竹 新市君       田中 利勝君    中崎  敏君       水谷長三郎君    八木  昇君  出席国務大臣         通商産業大臣  前尾繁三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    大堀  弘君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  大來佐武郎君         通商産業政務次         官       小笠 公韶君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君         通商産業事務官         (重工業局長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      小出 榮一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局主計         官)      鳩山威一郎君         大蔵事務官         (主計局主計         官)      海堀 洋平君         地質調査所長  兼子  勝君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月十二日  委員田原春次君辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  産業経済基本施策に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件     —————————————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、産業経済基本施策並びに私的独占禁止及び公正取引等に関し、質疑を継続いたします。齋藤憲三君。
  3. 齋藤憲三

    齋藤委員 質問の都合で、大臣のお見えになりますまで、予算書について、数字で了解しがたいところを御質問申し上げたいと思います。  一般会計歳出予算名目明細書の七ページ下より八行目、埋蔵鉱量調査旅費三十五万三千円というのがありますし、それから五十九ページの上より二行目のやはり埋蔵鉱量調査旅費というもの、これは一体どういう性質で二つに分類しておるか、御説明願いたいと思います。
  4. 齋藤正年

    齋藤(正)政府委員 御存じのように、われわれ予算の処理は、項目別にやっておりまして、これは種目別になっておりますので、調査いたしましてお答えいたします。
  5. 齋藤憲三

    齋藤委員 もう一つ、七ページの下から三行目に、核原料物質探鉱旅費というものがある。どうして埋蔵探鉱旅費が、こういうふうに分れてやっているのか、これはどういう組織でやっているのか、調査してでよろしゅうございますから、一つ御回答願います。
  6. 小平久雄

  7. 八木昇

    八木(昇)委員 電力問題につきまして、ただいまから若干大臣公益事業局長並びに経済企画庁の方にお伺いいたしたいと思います。  何といいましても、当面する電力問題の一番大きな問題は、申すまでもなく電気事業再々編成の問題であろうと、私ども思うわけでございます。一体どういうわけで、今、電気事業再々編成という問題が、大きな問題となってきたかということを考えますと、その契機となりましたものは、何といいましても、昨年の渇水期において、九つの電力会社各社間の電力融通の問題が、やはり非常に問題になった。ある地方では、電力不足に著しく悩んで、盛んに電力制限をやっている。ところが、ある地方においては、十分に電力は供給されておる。こういう状態に対して、何ら適切なる措置が講ぜられなかった。こういうことでは、今の電気事業経営形態に、大きなメスを加えないといかぬのじゃないか、こういう世論が盛り上った。それから第二の問題は、昨年の東北電力北陸電力電気料金値上げ問題をめぐって、全国の各電力会社間において、電気料金問題がそれぞれ異なっておる。しかも、特定の二電力会社地域だけが、この際電気料金を値上げしなければならぬということは、これは一体いかなるわけであるか。これはどうも現在の九分割されておる電気事業あり方について、やはりメスを加えなければならぬのじゃないか。これが第二の問題であった。第三の問題は、これはどの電力会社といわず、全国的に、ようやく電力原価というものがどんどん上昇をし始めた。これに対して、将来、どうすれば適切なる対策ができるか、こういうような問題が重なって参りまして、ようやく、これは電気事業の現在のあり方について、根本的なメスをふるう必要があるという世論が大きく沸き上ってきた結果であるということは、何人も否定できないと私としては思うわけであります。  そこで、最初にお伺いいたしたい点は、昨年の、少くとも八月ごろから今日までの約六カ月間、電気事業再々編成問題が問題とされ、各方面でいろいろなことがやられておるようでありますが、一向に進展を見ない、その見通しがいまだ明瞭に立っていないという状況にあろうかと思うのでありまして、これから先、こういう電気事業再々編成問題をめぐる動きについて、通産大臣として、根本的にどういう方針を持っておられるかということから、お伺いをいたしたいと思います。
  8. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいまお話しのような原因で、再々編成問題が大きな問題となりましたことは、これは仰せの通りであります。従って、われわれも、実はいろいろと検討して参っております。そこで、実は自民党の中にも、特別調査会を設けまして、連絡をとりながら結論を急いでおりますが、その現われとしまして、一つは、電力会社の今後の運営あるいは合併問題その他を含めまして、一つ電力会社自身で、こういうふうに解決していったらいいかということを検討し、それに対する答申をしてもらいたいということで、私の方から電力会社に申し出ております。それからもう一つは、やはり根本的には料金問題ということ。これは何と申しましても、需用者なりまた一般消費者、そういう方々も、電力会社なりあるいは電気料金というものを根本的に検討してもらい、認識を深めてもらって、そして将来のあり方検討していただきたい、こういう二つ方法によって検討しよう、こういうことに相なっております。  電力会社が、再編成に対して、どう考えているかということにつきましては、一応の答申が出つつあるわけであります。大体電力会社としての考え方は、一応まとめられたわけです。しかし、それにつきましても、これはやはり公平な方々意見も取り入れてやってもらいたいということを申しておりまして、これは七人委員会と申しておりますが、七人の人に判断をしてもらおう。そうしませんと、電力会社だけが一方的に結論を出したということでは、やはり足りないというふうに考えまして、そういう方法でやっております。実は電力会社は、合併まではいかなくても、いわゆる広域運営を徹底していって、そしてその間の需給アンバランス調整する。それにつきましては、委員会を設けまして、そして彼我の融通をうまくやっていき、また合理化していくということにして解決し得る、こういう考えのようであります。ただ、それにつきましては、もう一歩深く踏み込んで、数字的にもう少しはっきりしてもらいたいという考えを、われわれは持っております。今、その数字的な検討が、電力会社の中で盛んに行われて、近く結論が出るのじゃないか、かように考えておるのであります。  それから、電気料金の問題につきましては、昨年一応の結論が出されました。その結論に従えば、来年におきましては、電気料金を上げる必要はない、こういうようでありますから、ほんとうに根本的に検討してもらいたいという意味合いで、一年間、本年の末までにみっちり勉強していただいて、結論を出していただくということで、もうすでに発足をいたしまして、何回か検討をしてもらっている最中であります。おっしゃる通り、われわれも、電力料金の問題、また需給アンバランスの問題は、何としても根本的に解決しなければならない、かように考えておりますので、そのやり方が、合併というところまでこの段階において行くか行かぬかということについては、私、必ずしも直ちに合併しなければならぬとは思っておりません。また将来の方向としますと、御承知のように、原子力発電の問題とかいろんなことがありますから、将来の問題としては、私はまだまだ考えていかなければならぬ多くの問題を持っていると思っておりますが、しかし、ただいま申し上げましたように、電力会社も、またわれわれも、真剣にこの問題と取り組んで、そして根本的に解決しよう、こういう熱意をもって検討中であります。
  9. 八木昇

    八木(昇)委員 ただいまの大臣お答えでは、電力会社自身にも答申を求めた。それから、それだけでは一方的になるので、いわゆる七人委員会方々意向も求めた。しかる上に立って、通産大臣としては最終的な結論を得たいと思うと、こういうお答えに尽きると思うのでありますが、ただしかし、私、今日まで六カ月間の経過を見ておりますと、通産大臣自身としては、もう少しくはっきりした指導理念に基いて、一つ方針を持ちながら、そういう人々の意見を参考的に聞く、こういうような指導性のある立場をとりませんことには、こういう問題について、すっきりした結論を得ることができぬのじゃないかという印象を非常に強くしておるわけです。通産大臣自身としては、これらの問題について、どういう御意見をお持ちであるか、この点を伺いたい。  私が申し上げるまでもなく、小出公益事業局長は、昨年のすでに八月に、明瞭に意見発表しておられる。それは、自由民主党重要産業対策特別委員会委員長は高碕達之助さんでございますので、俗称高碕委員会とこう言われておるそうでございますが、その高碕委員会小出局長渡辺電気事業連合会事務局次長が御出席になりまして、その席で小出局長は、簡単に申し上げますると、次のような意見を述べておられるわけであります。それは、電気事業は、現在の企業体系のままでは、いずれ近い将来、コスト需給面から行き詰まりがくることは必至なので、通産省として腰を据えて再編成具体化検討したい、こういう公益事業局長見解発表がありました。こういう主張をなされる理由としては、第一に、現状のままであれば、開発コスト燃料費上昇等によって、昭和三十五年には、料金各社平均一四・五%高くなり、特に東北は二五%も高くなる。それから第二の理由として、電源開発が進めば進むほど、内部留保需給のつり合いの面から、各社格差がますますひどくなっていく。それから三番目の理由として、これをなくするため、融通電力による調整に期待しようとしても、各社相互契約を建前とする以上、必ず行き詰まる。四番目の理由として、新鋭火力原子力という時代に漸次入っていくにつれて、事業共同化発送電広域調整ということは不可欠である。こういう理由のもとに、電気事業は、現在の企業形態のままでは、近い将来必ず行き詰まる、こういう見解を、実は小出局長は明瞭に発表しておられるわけです。  また一方、河野経済企画庁長官は、現在の九分割されている企業形態を、一社ないし二社とすべきである。電気料金は、全国一本化すべきである。しかも、電力会社を一社ないし二社とすることによって、コストを引き下げ、電気料金低廉化をはかるべきであるという見解を、明瞭にこれまた内外に公表しておられるのでありますが、通産大臣自身は、どういうお考えをお持ちになって事態を進めておられるのか、一向に明瞭を欠くのでございます。通産大臣自身指導理念は那辺にあるかということを、この際明らかにしていただきたいと思います。
  10. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 私の意見として、実は発表したものはあまりありません。ただ、八月発足しましたときには、小出君と私も相談しながら、党にいろいろと意見を述べておるわけでございます。そうして、大体その意見が取り入れられて、党の中間報告というものができておりますよ。その中間報告考え方が、即私の考え方でありまして、それで、やはり広域運営をやらなければならぬ。それについては、発電にしましても、送電にしましても、委員会を設けるなり、一元的な運営をできるだけやっていこう。ただ、企画庁長官は、そういうふうにお考えであるかもわかりません。しかし、私個人の意見を申し上げますと、将来は、私はやはり合併にまでいかなければならぬ段階があると思っております。しかし、今直ちにそれを合併することが合理的であるかどうか、あるいはまたそれを二社に統合するとか、あるいは四社に統合するとか、こういうようなことを直ちにやることがいいと、実は考えておらぬのであります。また、それには相当な理由もあるだろうと思います。それからまた、地方別全国一本の電気料金にするということも、将来は別としまして、今直ちにそれがいいかどうか。これは、御承知のように、今までの産業が、電気料金も考慮に入れて工場が設置されたり、いろいろしております。しかし、はなはだしく違うということも、よくないと思います。そこらを、どの辺に差ができていくのがいいかというようなこと、それらのこまかい点については、多少考え方が違うと思いますが、根本的に解決をはからなければ行き詰まりがくる、これは小出君の意見も私の意見も、全く同意見でありますよ。それにつきましては、根本的に考え方を変えなければならぬ。それで、電力会社としましても、広域運営に踏み切ったということは、われわれの意見が十分浸透してきて、そういうような考え方に変ってきておる。さらにその広域運営を掘り下げて、もっと具体化してもらいたいというので、ただいま会社の方に申し出ておるというようなことで、さらに検討を深めてもらいたい、こういう希望をもって進行しておる次第であります。
  11. 八木昇

    八木(昇)委員 ただいまのお答えでありますが、将来はやはり合併すべきであると考えている、しかし直ちにということについては多々問題があるという御見解発表であります。それは一応承わっておくといたしましても、料金全国一本にするということについて、いろいろむずかしいとおっしゃるのでありますけれども、しかし、現に終戦後、電気料金は一本だったわけです。それを各地別にばらばらにいたしましたのは、数年前のことでございます。これは、私には納得ができないのですけれども、そういう論議は一応させておきまして、次は企画庁の方にお伺いしたいのですが、一応通産省担当局見解としては、先ほど申し上げましたように、小出局長見解とい  うものが明瞭に出されておりますから、ここであえて確かめる必要もなく、その通りの御見解であろうと思うのですが、経済企画庁としては、どういうお考えをお持ちになっておるかということであります。河野長官自身見解というものは、非常に明瞭でございます。私が申し上げるまでもございませんが、企画庁のこういった問題についての担当の局としては、どういうお考えかを、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  12. 大堀弘

    大堀政府委員 企画庁といたしまして、現在、電気料金地域的に問題があるということで、これについて、全国一本化がいいとか、そういった考え方は持っておりません。ただ、地域的な問題が、どういうところから出ておるか、それらについて、いわゆる広域運営方式でどの程度解決できようか、さらにもう少し突っ込んだ考え方をしなければ解決できない問題かどうか、そういった点について、相当突っ込んだ検討を行うべきであるというのが、企画庁の現在の立場考えております。
  13. 八木昇

    八木(昇)委員 あまり差しさわりのないように御答弁をなされば、そういうことにお答えになるのでございましょうけれども、そこでさらにお伺いをいたしますが、ともかく、この再々編成をめぐる問題が、問題になり始めましてから、もうすでに六カ月たっております。その一番きっかけを作りましたものは、申すまでもなく松永安左工門さん、これは日本における電気事業の鬼といわれておる方でありますから、なるほど、確かに相当権威のある発言であると私は思うのでありますが、その松永さんが、八月の中旬に、松永意見書というのを発表されたわけです。その松永意見書内容は、私が詳しく申し上げるまでもありませんけれども、あえておもな点だけを申し上げますと、大体次のようなものであったわけであります。第一は、電力需給調整し、電力コストを引き下げるため、現在の九電力を四ブロックに分けて系列化をはかる。このうち、関西電力北陸電力と中部電力の三社は、できるだけ早急に合併をする。その次に、九州電力中国電力四国電力、それから東京電力東北電力合併をはかる。東北電力東京電力合併も比較的すみやかに合併をやらせる。九州、四国中国については、四国住友共電との関係もあるので、若干の準備期間が要るであろうが、こういうふうに全国を四ブロックに分けて、会社合併をやるべきである。それから、現行の電気料金制度を再検討するために、総理大臣直轄電気料金審議会を設ける。その他いろいろの内容になっておることは御承知通りであります。その松永安左工門さんは、御承知のように、今日の電気事業分割をやるに当りまして、その中核的な指導的な役割を果された方でございまして、その御本人がこういう見解発表しておられるということは、これは相当権威のある意見書であると思うわけでございます。ここまで松永意見書がはっきりした結論を打ち出してきておるりのに、通産大臣として、それをしも電力会社合併を差し控えられるということについては、よほどの理由と、それからこの松永意見書に反対する大臣のお考えがなくてはならぬと、こう思うのですが、どういうふうにお考えになっておるのでしょうか。
  14. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 松永さんが、九分割の生みの親といいますか、そういうことでありながら、意見が変られた、これは理由があると思います。私は、九分割したことによって、電源開発が促進されたり、あるいはサービスがよくなったりした利点も、認めなければならないと思う。しかし、情勢は変って参っております。そして、いわゆる各地方間の格差が出て、だんだんひどくなりつつある。従って、それにつきましては、何らかの対策を講じなければならぬ、こういう情勢に変っております。しかして、私は、松永さんにも、実は直接いろいろ意見を聞いております。その意見は、系列化ということが先なんです。そうして、その完全な形態としては、合併ということであります。松永さん自身も、直ちに合併まで行くことがいいかどうかということについては、真意は、すぐ合併がよろしいというお考えのようでもないのです。系列化というその行き方は、一応広域運営で達せられるのじゃないか。ただ、合併いたしましても、いろいろ地方の事情がありまして、今よりも、さらに簡素化を直ちにできるかどうかということについては、疑わしいのであります。むしろ逆に、ただ形だけ合併して、そこでいろいろな摩擦が起るということに、今の段階においてはすぎないのじゃないか。それよりは、まず広域運営をやる、そうして、ただいまお話のありましたように、私はやはり北陸、中部、関西、それから四国なり中国というようなものが、一体的な広域運営をやっていかなければならぬ地理的な関係にあると思うのです。従って、その広域運営をやることによって、将来また次の段階を踏んでいけるのではないかというように考えておるわけでありまして、現実問題として、どういうふうにして処理して、ほんとう合理化をはかっていけるか、ということになるのではないか、こういうふうに考えております。
  15. 八木昇

    八木(昇)委員 私は、そういった通産大臣あり方というのに、非常に不満なんです。というのは、経済企画庁長官自身、積極的に、何とか前向きさになって、直ちにはできないにしても、電気事業はやはり一社ないし二社に合併して、新しい時代の要請にこたえる方向に進んでいこうという、大体前向きの積極的立場をとっておられるわけです。それから一方において、松永さんを初め、七人委員会と称せられる方々意見も、いろいろそれは考え方とか、具体的な点において、多少違いはありますが、方向としては、大体似ておる方向を向いておる。ただ、これに対していろいろと理屈をつけて、何とかかんとか言っておるのは九電力会社である。一般世論としても、大体そういう方向を向いておる。とするならば、これほどいい時期はないのであって、通産大臣自身も、もう少しく積極的な立場をとってやっていかれるならば、これは必ずできる、こう思っておるわけです。しかも、自民党重要産業特別対策委員会方面におきましても、相当そういう意向が強いということは、これまた天下にいろいろと知られておるわけでございます。にもかかわらず、通産大臣といたしましてはこの九電力側に、何かしら気を使い過ぎておられるように見えてしょうがないわけであります。松永意見書に述べてあるところを読みますと、ここでこの電力会社合併をやるということについて隘路はない。多少言葉の表現は違うかもわかりませんが、もし隘路があるとするならば、それは、電力会社合併することによって、社長重役陣の数が減るというようなことがあるだろう。しかし、それは三つの会社が一本になつたとしても、それぞれの地域に出先の重役を配置しなければならぬのであるから、重役数あたりがそう減るということはないのだと、松永意見書に明瞭に書いてございます。また一部には、そういうふうに合併をしていくということは、社会党あたりがいう社会化というようなことに、何となくなっていくのじゃないかというような考え方もあるらしいように書いてありますけれども、これは私の見解から言えば、電気事業合併が進んでいくということは、直ちに社会化というものとは一向につながっておらないと思う。それは、きわめてそういったイデオロギー的な面を離れての、実際必要な面から来ておるのであって、この会社合併した、あるいは、かりにこれが一社になったということは、社会化ということとは、むしろある意味では縁もゆかりもない、それとは無関係な問題である、こう私は考えるわけであります。そういう意味において、通産大臣としては、もっと積極的な立場で、問題に取り組んでほしいと私としては思うわけであります。これは要望でございます。  そこで、さらに御質問をいたします。今回の再々編成問題をめぐる過程を見ておりますと、非常に不明朗であって、一方非常な大混線をしておるという印象を受けます。というのは、どういう点からかといいますと、自由民主党の高碕委員会と称せられる委員会が、いろいろと検討をして意見を出す、九の電力会社社長会議がいろいろと検討して意見を出す、松永意見書というのが出る。しかも、政府としては、七人委員会と普通称せられる人たちを、法律的な何の根拠もなく集めて、そして何とはなしに意見を求めておるという格好で、しかも、その間、通産大臣経済企画庁長官あたりが介在をいたしまして、行きつ戻りつ、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりしながら、だんだん時間ばかりをかけている、こういう格好が続いておると私としては思います。ここでお伺いをしたい点は、この七人委員会というのは、一体何かということを伺いたい。一体、どういう目的を持って、どういうお考えでこういう人たち意見を求められたか。七人委員会というものについて、簡単に解明をしていただきたい。
  16. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 積極的であるか、消極的であるか、それについては意見が分れるところで、実は私は、合併を含めて検討してもらうことを会社に言っております。また私自身が、非常に積極的で、とにかく一歩進めなければいかぬ、ただ合併問題というようなことで、広域運営すらおくれるようなことがありましたら、これはむしろあぶはちとらずで、やりたいのは実質の合理化でありますから、それを片づけていく、一日も早くそれを緒につけるということが一番肝心なことだと、かように考えておりますので、私自身は、これが一番積極的な物事の運び方だと、こういうふうに考えておるのです。またいろいろ紛糾しておるというふうに、今お感じになるのは、あるいはやむを得ないかと思います。しかし、党におきまして、高碕委員会におきましても、われわれの考えております結論とほとんど変らぬ。またその後の電力会社も、従来はもう全然考えていなかった広域運営ということについて、踏み切っていったわけです。おそらく四月から広域運営をやるというところまで、踏み切っていったわけです。また七人委員会の性格について、いろいろ御批判があったと思います。しかし、これは、電力会社だけの考え方で、そういうものができたというのではいかがか、それよりは、公平な第三者の、また電力と非常に関係の深い方の意見も、会社はどんどん取り入れていくべきである。またわれわれも、それらの方々の批判も聞いていくべきであるというふうに考えておりますので、まあわれわれの考え方も、七人委員会方々考えも、そう違っておりません。むしろ積極的と、ただいまお話がありましたが、実は私の考え方に、ほとんど七人の委員も同意しておられるようなことで、要するに、問題は、事を早く運ぶにはどういう形でいったらいいのか、またいろいろな人の衆知も集めて、そうして公正な判断で極力推進していくという推進の方法を、こういう形で求めたにすぎないのでありまして、私自身としては、私の考えそのままを、ただいまのところ推進していっておると申し上げてはばからない、かように考えておる次第であります。
  17. 八木昇

    八木(昇)委員 しかし、この七人委員会というものほど、何といいますか、私どもが考えて、何とも知れないものはないと思うのです。その顔ぶれを見てみますると、御承知通り松永安左衛門さんは、元東邦電力社長さんで、まあこれは電気事業について、何というても日本における一番のっエキスパートでございますから、これは一応もっともだといたしましても、ほかの方々の顔ぶれを見ますと、銀行の頭取さん、経団連の会長さん、あるいは大会社社長さん、商工会議所の会頭さん、そういう人たちだけが七人お集まりになっておる。もし大臣がおっしゃるように、電力会社だけの意見を聞いてやるのはよろしくない、公平な人々の意見も取り入れてやろうというのならば、なぜ中小零細企業を代表するような人、あるいは一般家庭電灯を消費しておる主婦あたりの層を代表する人、あるいは学識経験者、なろうことならば労働者あたりを代表するような人、そういうふうな人の声こそ十分に聞かなければならぬのに、何か特定の、今私が申し上げたような人々の少数者だけを寄せて、そうして、それが第三者的な公平な人々の意見を徴するということに、一体なぜなるか、私どもは不思議でならない。通産大臣は、こういう人々を取り出して、なぜ七人委員会と称し、意見を求められるのか、その根拠をお示し願いたい。
  18. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいまの消費者立場というような面は、料金制度調査会というのを設けまして、各界の代表を入れて、みっちりやっていただくことなんです。ただ、率直に申し上げますと、できるだけ早く答申をまとめてもらいたいという意味もありまして、急を要したわけでありまして、電気に全然といっては語弊があるかもしれませんが、経験なり知識のない方々にお話し願っても、急場に間に合わぬ。そうして、何と申しましても、会社のことでありますから、一応それはそれとして、七人くらいの少数の人の意見を聴取しようという意味でありまして、各界の代表に集まっていただくのは、料金問題として根本的に掘り下げていただくという意味で、これはおっしゃる通りの構成にしてやっているわけなんです。
  19. 八木昇

    八木(昇)委員 ただいまの大臣の御答弁では、どうも理由になりません。できるだけ早く答申を求めるためだというようなことでは、理由にならないと思います。そうして、その答申が一向に早くないですね。今までの過程を見ますと、むしろおそいようです。少くとも、学識経験者くらいは入れるべきですよ、幾らだっておられるのですから。その点、私は、何と言われようとも、この電気事業再々編成問題について、特定の一部の人が、適当に日本の電気事業を壟断しているかのごとき印象は免れがたいと思うのですが、それと、今の学識経験者あたりを入れる考えを、なぜ持たれなかったかという点と、一体この七人委員会は、どういう性格のものかを、もう少し明確にしてほしいのであります。何か通産大臣の私的な顧問とかなんとかいう、私的顧問にしては、ずいぶん大物ばかりそろっていると思うわけでありますが、どういうものですか。
  20. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 これは私的な顧問でありますし、また会社の方におきましても、顧問というようなことで、別に法的な顧問でも何でもありません。要するに、会社の経営とかいうことについて、深い理解のある人ということであります。早く推進するにはどうしたらいいかということについての、需用者としての考えもありましょうし、また会社の経営ということについての意見もありましょう。しかし、ほんとうを言いますと、七人委員会は、必要ないかもしれません。要するに、一応自主的に会社意見を求めて、そうして、こちらがこちらの方針をきめればよいのです。しかし、それにつきましても、これらの権威のある人の意見も聞くということでありまして、これは特別に大きな意味を持ったわけではありません。それよりは、電気料金あり方、これはもう電力会社の問題にも触れる根本的な問題だと思います。従って、そこで十分時間をかけて掘り下げていただいて、検討してもらうというふうに考えておるわけであります。
  21. 八木昇

    八木(昇)委員 私ばかりあまり時間をとってもあれでございますから、この再々編成問題に関しましては、深く中身へ入ることを避けまして、中身については、あと一つ二つで終りたいと思うのですが、いずれまた適当な機会を得まして、企画庁長官に出ていただいて、企画庁長官見解をただすことによって、さらに問題を検討さしていただこうと思っておるわけでございます。そこで、ただ一点だけ、中身に入って、私が疑問といたしまする点は、最初広域運営という非常に抽象的な結論を、九電力社長会議が出してきた。これに対して、七人委員会さえも、こんなものじゃだめだ、これは全く抽象論であって、実際の仕事にはならぬ、もう一度検討し直せということになった。その結果、これではどうもうまく通り抜けばできそうにないと、九電力側はお考えになったのであろうと私は想像いたしますが、さらに今度は、若干具体的に突っ込んできたものに、多少内容を変えてきた。その内容を変えてきた点を、一言にして言いますると、電源開発についても、現有設備の統合、活用ということを、ブロック経済圏別に積極的にやっていく。それから、現在の企業地域関係なく、経済的に有利な地点には、水火力の送電線あたりも作ろう。既設の発電所でも、能率第一主義というような格好でやっていこうというような態度が多少とも見えておる格好に、電力会社あたりも漸次変ってきたようでありまするが、そこまで踏み切れるのなら、一体なぜその合併ができないか。だれが考えたって、そう考えざるを得ないわけであります。  そこで、またもう一つの問題は、今日では、電源開発会社電力会社側との間のいろいろな意見の対立があるようでありますが、この両者間の意見が、近日中に、もし折り合うことができるとするならば、その両者が折り合うことができるようならば、なぜ合併そのものができぬのか。どう考えても、その辺のところが、電力会社の工ゴイズムといいますか、なわ張りをあくまでも自分のところで確保しようという者の考え方が、今日再々編成隘路となっておるほとんどすべてではないかと、私たちとしては思うのですが、その点については、どうお考えでしょうか。
  22. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 実は、答申はまだ出ておらぬのです。第一回も、一応それが七人委員会によって、いろいろまた検討されたということでありまして、さらに深くまた検討して、そして近く委員会にかけようということですが、その内容につきましては、まだ答申は実はないのでありまして、われわれとしても、知らぬということになっておるわけであります。それで、会社が自主的に答申をしてもらいたいと申しておる建前もありますので、内容についての批判を、私としては、今直ちに申し上げるわけにいかぬことを、御了承願いたいと思います。
  23. 八木昇

    八木(昇)委員 今言うていただかぬと、事態は進行してしまいますから、そうなってからでは、われわれ国会で幾らやってみたところで、どうにもしようがないのです。そこで、実際に今電力会社側が考えておる広域運営というやり方が、ブロックごとにあるいは審議会を設け、あるいは中央にも審議会を設け、それから九電面においても統一的にやる、発電面においてもそうする。電気料金面においても、実際世間の反対に合わないようなことを実際にやっていける。実際に効果が発揮できるようなことに話が落ちつくならば、そこまで話が落ちつくものならば、合併というものが直ちにできる。逆の言い方からすればですね。この話が、実際に効果が発揮できるような広域運営の話し合いがつくほどのことならば、合併ができないという理由は、一つも残らないのです。そういう点から考えるならば、これは通産大臣としては、積極的に七人委員会並びに、こう言えば多少皮肉かもしれませんが、河野大臣の打ち出しておられる方向、それから一般世論方向、こういうものの上に乗って、積極的に一日も早く再々編成にこぎつける方向へ、積極的に一つやっていただきたいということを、きょうの段階で一応要望しておくわけであります。  それと、最終的には、大体いつごろどういう形を経て結論を見出される御予定か、その点だけをちょっと承わっておきます。
  24. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 実は、合併の問題は、われわれは、合併も含めて検討してもらいたいということを申し添えております。従って、合併ができないなら、どういう点で合併が困るかというような点も、あわせて会社から意見が出てくるはずです。実は私の方は非常に急いでおり、お話もありましたが、ゆっくりやっているのでは決してありませんでして、党の方の中間報告が出ましたのが、たしか十一月の中ごろだったと思います。それから言いまして、一応の案ができたというのは十二月ですが、一月の中ごろには政府答申してもらいたいというので、督促しておりましたが、さらに検討を進めなければならぬというような関係で、まあ月末あたりになるのじゃないかというふうに、私の方では予想しております。
  25. 八木昇

    八木(昇)委員 まあ月末あたりだろうということでありまするから、早急に一つ結論を出していただくように、そうして、私どもとすれば、なろうことならば、国会開会中に至急に結論を得る方向に持っていっていただきたい。われわれとしては、その間批判を加えていきたいと思うわけであります。  最後に、あと二つだけ、一つは、北九州の低品位炭利用の火力発電所建設問題、もう一つは、南九州の宮崎の電気設備復元問題を、簡単に御質問して終りたいと思いますが、今、御承知のように、北九州の低品位炭利用の火力発電所建設問題をめぐって、九州電力は、すでに敷地あたりもある程度買収して、六十万キロですかの発電を行うように準備をしている。一方電源開発会社の方も、また相当巨額の準備資金を用意いたしまして、そうして両者が競願する形で争奪戦を演じているという格好になっているのでありますが、低品位炭利用火力発電所建設問題についての通産大臣のお考えを、簡単に最初伺いたいと思います。
  26. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 低品位炭の活用の問題につきましては、私は極力進めていかなければならぬ、かように考えております。ただ、九州電力あるいはほかの電源開発会社、いろいろ要望はあるのじゃないかと思いますが、私は、実はまだ何ら具体的な話としては聞いておりません。政府委員から答弁いたすことにいたします。
  27. 小出榮一

    小出政府委員 九州地区におきまする低品位炭利用の火力発電の問題につきましての御質問でございますが、ただいま大臣からお答えございましたように、まだ具体的詳細な問題として、上の方まで上ってきておりませんので、大臣がまだ詳細御説明する段階になっていないわけであります。私から事務的に、経過的な問題としてのお答えをしたいと思います。  御指摘のように、特に九州地区にありましては、ボタ山以上なのに、いわゆるボタ山という形におきまして、捨てられて顧みられていない石炭が相当あるわけです。その中から、三千カロリーあるいは三千五百カロリーというような低品位のもので、これを利用することによりまして火力発電を起すという問題、これは実はだいぶ前から、そういう問題が研究されておりました。地元の電力会社としての九州電力なり、あるいは電源開発会社におきましても、この問題の調査を進めて参ったのであります。それで、今、御指摘のように、昨年の夏ごろでありましたか、電源開発会社が、現地を調査いたしまして、ある程度の計画の素案と申しますか、大体こういうような方向でやるということについての研究は、一応終ったのであります。ただ、それに対しまして、地元の九州電力といたしましても、ぜひそういう低品位炭利用の火力発電をやりたいという意図のもとに、並行して計画を進めております。これにつきましては、九州電力としては、ある程度の試案みたいなものを、私の手元まで出してきておるのであります。ただ、この低品位炭の問題は、いろいろな技術的な面、あるいは集荷の面等におきまして、非常にむずかしい問題をはらんでおりまして、また、そこでできました火力発電の電気をどういうふうに流すかというような需給調整の問題にも関連がございますので、ただいま九州電力側意見電源開発側の研究というようなものをあわせまして、私どもの方で検討を進めていきたいと思っております。従いまして、来年度三十三年度の電源開発会社事業計画の中におきましても、調査費というような名目で、やはりこの問題の調査は、依然として継続して進める、こういうふうな予定になっております。
  28. 八木昇

    八木(昇)委員 大体、今御説明になった程度の経過は、一応私も仄聞をしておったわけでございますが、そこで、最近こういった電源開発についての通産省並びに経済企画庁の基本的な方針というものが、一向に定まっておらない、行き当りばったりという印象を受けるわけなんです。一体、どういうふうにされるつもりでしょうか。この前の常磐の火力の場合には、東北電力東京電力、それから常磐炭礦、三社が出資をして、そうして独立の電気事業者というものを作っている。こういう形というものは、私はあまり好ましくないと思う。そういう独立の電気事業者というものが、だんだん各地に出てくれば、少しの発電所を持っておる独立の電気事業者というものが、全国各地にぼんぼんできてくる、こういう形になるわけです。一体、低品位炭利用火力発電所を建設することは、国家的に考えて、当然必要であります。それを、どういう形でやっていくかということについての通産当局の方針というものは、一向に定まっていない。一方、電源開発促進法におきましては、電源開発会社が、火力発電もやるということに改正になった。ところが、電源開発会社が火力発電をやるということになれば、当然九州でやらなければいかぬということになる。そうなれば、低品位炭利用の発電をやるということは、電源開発会社として、当然これは望むところになってくる。一方、地元の九州電力としては、自分のおひざ元に電発の火力発電所の何十万キロなんというものをでんとこしらえられるということについては、なわ張り争いの上からいっても、それはまことにもって了承しがたい、こういうことになってくるのは、当然の筋道です。そういう混線をあえて起さしておるというのは、これは行政のやり方として、最も拙劣であると私は思うのですが、そういったことについて、一体いかなる基本方針をお持ちであるかということです。その基本方針が確立されておるならば、必然的に、その方針に沿って、これらのトラブルは解決するところに解決していかなければならぬと思う。私は、御本尊が基本方針を持っていないのじゃないかと思いますので、その点を明瞭にしていただきたい。
  29. 小出榮一

    小出政府委員 ただいま低品位炭火力発電に関する基本方針の問題についての御質問でございますが、今、御指摘になりましたように、すでにこの低品位炭火力発電という形態につきましては、常磐共同火力というものができたわけであります。これは、今御指摘の通り、大体その出資は炭鉱側と電力側と折半でございまして、その電力は、東北電力東京電力とさらに折半する、こういうような関係になっておりまして、すでに発電を開始したわけでございます。ただ、九州における低品位炭というものと、常磐なり、あるいは宇部における低品位炭というのとは、その本質的な性格が違っております。常磐なり、あるいは宇部の炭というものは、大体生まれながらにしてと出しますか、生まれそのものが低品位の、高カロリーのものではないということでありまして、従って、割合に問題の解決が簡単であります。その常磐なり宇部なりで生産される炭を、いかに利用するかということになるのでありまして、九州の場合におきましては、もともと生まれそのものは、高カロリーの炭であって、それが、あるいは沈澱したままで捨てられておる、あるいはボタ山として顧みられていない、そういうものから、さらに新たに一定の品位のカロリーのものを逆に製造して、これを供給しなければならぬというふうな点におきまして、非常にむずかしい問題があるわけでございます。  そこで、ただいま基本方針についてということでありますが、基本方針といたしましては、もちろんできるだけ未利用資源と申しますか、今捨てられたままになっております相当膨大な資源を回収して、それを利用することによって、できるだけ合理的な炭価でもって発電をするということが、基本方針であることは間違いないのであります。ただ、それをいかなる企業形態でやるかというところに、一つの現在の問題が分れておるわけであります。これは、初めから電源開発会社にやらせる、あるいは九州電力にやらせる、あるいは常磐共同火力のような別個の企業形態をもう一つ作って、そこで何らか共同出資みたいな形でやらせるというような、いろいろなことは考えられるのでありますけれども、ただいまの段階といたしましては、電源開発会社の調査の内容、それから九州電力の計画の内容検討いたしまして、どの程度の規模のもので、しかも、場所をどこに置いて、それからどこの炭鉱の炭なり、あるいはボタ山の回収をどういう方法でやるか。それから、その回収に要するいろいろな設備の点をどういうふうにするか、非常にたくさんの問題が実はあるわけであります。それらの点について、それぞれ具体的に検討を進めておる段階でございまして、それらの検討が終りましたところで、どういう形でこの問題を実現するか。いずれにしましても、低品位炭を活用することによって、発電を行うという基本の方向としては、われわれとしても、積極的に進めたいと存じております。ただ、それには、いろいろな問題がございますので、それらをよほどよく検討いたしませんと、発足してから、あとで動きのとれないようなことになっても困る。その点が、できるだけ合理的に円滑にいくように、ただいま検討を進めておる、こういう段階であります。いずれにしましても、結局最後は、経済企画庁電源開発調整審議会にかけまして、何年度かの計画の中に具体的に織り込んで、その発電の場所なり、あるいはキロワットというものを決定するわけでございます。そこで初めて明確にきまる、こういうふうな段階であります。非常に不明確なようでございますけれども、ただいま、まだそういう調査しなければならない問題が非常にたくさんある段階でございますので、今、ここで、はっきりどうするということを、まだ申し上げる段階には至っていない、こういう状況でございます。
  30. 八木昇

    八木(昇)委員 今、お答えになったように、不明確なんですね。それで、その不明確が、災いをますます将来へ向って及ぼすと私は思うのです。それで、事態がどんどん進んで、そして争いが熾烈になってから、どうしようか、こうしようか、困ったものだ、こういうふうに役所の方が考えておれば、これはいよいよ困ったことになる。だから、やはりこういう低品位炭利用の火力発電所建設というような新しい試みをやっていこうという場合には、初め、通産省並びに経済企画庁というものが合議の上で、はっきりした指導方針を、役所の方がぴしっと打ち立ててやっていかぬから、私はこういうことになると思う。事態がどんどん進んでしもうてから、うろたえてやろうとすれば、するほど、ますます動きがとれなくなるということは、当然の帰結だと私は思います。それで、伺いますが、九州の場合には、常磐のような形はとる考えはない、電源開発にやらせるか、九州電力にやらせるか、いずれかだ、こういうことなんでしょうか。
  31. 小出榮一

    小出政府委員 実は常磐のような共同出資、その共同出資は、たとえば九州なり中国なり、送電線で連係できるような関係電力会社、あるいは電源開発会社を加えた別個の企業形態でやらせたらどうかという意見も、実はあるわけです。従いまして、その点につきましては、電発か九州電力かというところまで、はっきり割り切っておるわけではございません。従って、第三の形態というものも、一つの案としては考えるべきじゃないか、かように考えております。
  32. 八木昇

    八木(昇)委員 それでは、この問題に関して、最後に一点だけ大臣伺いますが、電源開発の問題は、電源開発会社、各電力会社、それから地方自治体、それから、ただいま申し上げましたような独立の電気事業者、こういうような形で混乱を繰り返しております。それは、結局、電源開発促進法というものができた当時と、今日進んでおる事態との間に、非常なずれがある、ここを何とか整備をしなければならぬというところに、問題解決のかぎの一つがある。これが一つも解決をしないために、電気事業法そのものが、もう何年になりますか、暫定法のまま野ざらしにされておる。そこで、通産大臣としては、この電源開発促進法並びに電気事業法、これの本格的なものを、一体いつ確立するおつもりであるか、承わっておきたい。
  33. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 お話しの通りに、現実問題としましては、電源開発ということについて、ただいまお話しのような別個の形態ができたり、不統一であることについては、私も認めざるを得ないと思います。また、これをすっきりした姿に極力持っていくということにも、努めなければならぬと思います。電気事業法の改正につきましては、今国会に御審議願うような段階にはならぬかと思いますが、私としましては、早急に全般的な方針を早く確立して御審議を願いたい、かように考えております。
  34. 八木昇

    八木(昇)委員 私自身も、国会へ出て三年になりますが、毎年々々これを言うておるのですね。大臣は、しょっちゅうおかわりになる。適当に二様三様に言われて、そうしてずるずるといつまで延びるものやらと、私は興味を持って見ておるのです。これは何とか促進をしていただくように、私は、これをやり遂げた大臣は、大したものだと思うのですが、やってもらいたい。  時間がありませんから、宮崎の復元問題を一、二伺って終ります。宮崎の電気設備の復元問題、これまた相当何年も論議をしておるわけでありまして、これについては、もう解決していただかぬと、私は工合が悪いと思います。聞くところによりますと、宮崎の復元問題について、政府与党側の最高役員の方が一札を出されて、何とか解決をするようにするということを、これは去年でありますか、もうおととしになりますか、やられたことから、この事態が、ある意味ではますます混線になっておる今日では、実際にこういう紛争については、政府が相当に努力して解決に乗り出すべきであるにかかわらず、一つの党の、しかも政府与党の三役が中に入って、そうして、ああでもない、こうでもないというふうに、事態があつちへころび、こっちへころびしておるように聞くのであります。政府としては、一体どう解決をされるつもりか、お伺いいたします。
  35. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 復元問題につきましては、両者ほんとうに誠意を持って話をすれば、話がつくというふうに考えておりまして、私の方としましては電力会社に、もう一歩進んだ案を具体的に出せというふうに勧告しております。ところが、そのつもりで参りましたところ、席上、県側の方で、あくまで復元でないと困る、それにかわる案ではどうにもならないのだ、こういうような議論になってしまって、そうして話がまたもとへ戻ったような形になっておるようであります。しかし、これは復元にかわる案でなければ話がつかないことは、当然でありますので、宮崎県側も、説得すれば、話が軌道に乗るならば、高知県等の例もありますので、そう解決はむずかしいことじゃないと思っております。ただ、その根本の問題で、今までお互いに、まるきり話し合いにならない線で経過しておるような状況であります。そこを何とか打開したい、かように考えております。
  36. 八木昇

    八木(昇)委員 それは、非常に簡単におっしゃるようですが、そう解決はむずかしい問題ではない、いずれ時間の問題、というようなわけにはいかぬようです。それで、少くとも、つい最近までは、表面上は両者決裂したという形になっておることは、御承知通りです。それで、地元の県会におきましても、県会議長以下、もう大したけんまくです。それから、出身の国会議員さんあたりもからんでおられるように、もっぱら報道をされておる。一方、電力会社側の方も、まことに強硬な態度表明を、電力会社の最高責任者が、再三にわたって報道機関に発表しております。ここまでくれば、それはもちろん私も、復元にかわる案でなくてはいかないということは、私どもの所属党の主張からいたしましても、当然そうでありますが、ただ、ここまできて、しかも、事実上相当中に人が入っておる以上は、何か積極的な解決案というものを、具体的に打ち出すという御意思はありませんか。
  37. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 実は、そういう具体案を出さなければいかぬというので、申しておったのでありますが、議論はそこでなしに、あくまでも復元をしてもらうべきだという話し合いで、またしかも、両当事者が、かなり言葉の問題で、具体的な議論まで入らぬような感情的な問題になってしまったのであります。その点を、まずほぐさなければなりません。それをほぐして、具体的な問題に入りましたら、われわれも、極力両者の間に立ってあっせんしたい、かように考えております。
  38. 八木昇

    八木(昇)委員 それで両者も、今日では面子問題にもなっておるようでありまするが、ただいまの大臣お答えは、もうしばらくは形勢観望のほかなし、こういうことですか。
  39. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 問題は、昨年、党であっせんしたときの、お互いに取りかわした覺書というものがあります。その解釈が、あくまで復元するんだというふうに受け取っておられるのであります。そこに問題があります。それは党としては、解決していただけるのじゃないか、こういうふうに思っております。
  40. 八木昇

    八木(昇)委員 そもそも党あたりが、そういう疑いを持たせるがごとき介在の仕方を、しかも党の、相当というよりは、最高の地位の一人の人がやるということ自体が、問題をいよいよ紛糾せしめておる一つの原因であると私も思うのですが、これは通産省としては、どうお考えですか。そして、今は党が介在しておるのでしょうが、この段階になれば、通産省自身としても、積極的に何とか出なければなるまいとお考えになっておるでしょうか。
  41. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 ただいま申し上げましたように、会社も具体案を示して、解決に早く乗り出せというので、やかましく申しておりましたのが、今度は、先ほど申し上げましたような、感情的な問題になりました。従って、今度は、昨年の党の覚書というものに対する議論がされておるようなわけであります。これは、私がそのときにタッチしておりましたら、何とか話を言い出せるチャンスもあったのですが、せっかく党で扱っていただいたのでありますから、その覚書の解釈について、はっきり両方が納得がいけば、われわれとしても、もっと強力にやりたいと思います。
  42. 八木昇

    八木(昇)委員 これは本来、党がやるべきものでないと私は思いますので、通産当局におかれましても、積極的に早急なる解決へ、具体的な手を打ってもらいたいということを最後にお願いをいたす次第でございます。  以上で私は終ります。
  43. 小平久雄

    小平委員長 先ほどの齋藤委員質問に関し、齋藤官房長より発言を求められておりますから、これを許します。
  44. 齋藤正年

    齋藤(正)政府委員 非常にこまかい費目でございますので、お答えができないで、大へん失礼いたしました。  御指摘の七ページの「埋蔵鉱量調査旅費」、それから五十九ページの「埋蔵鉱量調査旅費」、この二つは、いずれも同一の内容のものでございます。ただ、片一方は本省の旅費、片一方は通産局の旅費でございます。旅費内容は、金属鉱山の埋蔵量につきましては、毎年調査をいたしております。これは、石炭と違いまして、金属鉱の確定埋蔵量は、毎年探鉱によりまして、新しく評価していく性質のものでございますので、この調査をいたしますが、それの旅費でございます。毎年定期的に行うものでありますので、標準予算になっておりまして、それで十分お答えできなかったのであります。  それから七ページの「核原料物質探鉱旅費」、核原料物質の探鉱につきましては、別に原子力委員会の方から移管になります探鉱の旅費の補助がございますが、それの調査、探査のための旅費でございまして、先ほど申しましたものと性質が違いますので、細目を分けたわけでございます。
  45. 齋藤憲三

    齋藤委員 予算書に関する詳細な数字の検討は、あと回しにいたしまして、通産省全体に対しての御質問を申し上げたいと思います。与党の立場でございますから、なるべく簡潔に要領を得たいと思いますので、当局におかれましても、簡潔に要領よくお答えを願いたいと思うのであります。  経済企画庁の出されました昭和三十三年度経済計画の大綱というものを拝見いたしますと、大体これが予算の根本基礎をなしており、これに準拠して通産省予算も組まれておると考えられるのであります。今日の経済状態は、ここにも書いてございます通りに、一応落ちついてきた。しかし、前途は楽観を許さない、再び対外均衡を失するおそれなしとしない。従って、当面わが国経済計画としては、対内対外の均衡をはかりつつ、着実な経済成長を実現し、この間において、さきに決定した新長期経済計画の要請を極力充足することを基調としなければならない。こういう見地から、昭和三十三年度の予算編成並びに財政投融資、これに関連して通商産業省の重点施策が、大臣の説明によってなされたと思うのでありまして、今後における通商産業政策は、貿易の振興、中小企業の振興、産業技術の振興、産業基盤の強化、大体この四項目に集約せられて御説明があったのであります。その予算内容につきましては、今後、機会あるごとに、具体的な施策についてお伺いいたしたいと思うのでありますが、ただ一、二点、大臣にお伺いいたしておきたいのは、貿易の振興ということであります。  これは、過去の商工委員会で、私もたびたび御質問を申し上げているところでありますが、この貿易の振興の基本的方策として、いろいろ今度の予算にも構想が盛られております。たとえて申しますならば、ジェトロの強化とか、あるいは経済外交の推進とか、いろいろな点で、その施策が行われんといたしておるのでありますが、大体この貿易の振興というそれ自体を深く掘り下げてみますと、毎度御質問申し上げている通り、私は、どうしても貿易品の質的向上をはかっていかなければならないと考えている。この質的向上をはかるその動向というものは、いわゆる重工業と重化学工業に指向していくということで、御説明の大要がわかるのですが、そういう点で、特段に貿易品の質を向上するということに対して、いかなる御構想と具体的な施策をお持ちになっているか、これを伺っておきたいと思うのであります。
  46. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 貿易の振興は、予算全体としては、節約予算あるいはたな上げ方式をとっているが、その中でも、直接貿易に関係する予算もとり、方策も講ずるわけでありますが、根本において、やはりよい商品を安く売るということが、私は中心だと思います。そして、ただいまもお話のありました通り、将来のことを考えますと、現在、三分の一は繊維品で占められておるのであります。機械は約二割といわれておりますが、それは船舶を入れての話でありまして、まだ一割にも満たないというのが現状でありますが、将来は、やはり重工業品、さらに化学工業品、そういう方向に進んでいかなければならぬと思います。大産業につきましては、財政投融資の面なんかにおきまして、極力その方策を講じておるわけでありますが、ことにエネルギー資源は、できるだけコストを安くして、そして豊富にしなければならぬので、そこに重点を置いておるわけであります。われわれの心配しておりますのは、輸出品の約六割を占めております中小企業の製品が、今後、極力高級品化され、また合理化されて、コストの安いもので、しかも、国際競争力に勝っていくというふうな方向に行かなければならぬと思うのであります。それにつきましては、いわゆる設備の近代化をはかっていかなければなりません。また、技術の向上をはかっていかなければならぬと思う。機械なり、生産の近代化という面におきましては、これはいろいろ窓口があると思います。御承知のように、中小企業金融公庫というものは、大体、設備の改善ということのためにできておる公庫であります。従って、極力そういう意味合いでその資金が使われるということでなければならぬと思います。また、開銀資金におきましても、御承知のように、特定の機械につきまして、昨年度が十五億、本年度が二十億、合せて三十五億の設備資金を出しておるわけでありますが、来年度におきましても二十億、そうして設備の改善をやっていかなければならぬ。そしてさらに、もう少し低い層と言いますと何でありますが、極力府県の指導によって改善していくという面があると思うのであります。これは、御承知のように、従来、設備の近代化補助金というのを出しておるのであります。本年度は四億円でありましたが、今度は六億円にいたしました。額が少いじゃないかというお話もありますが、これは、御承知のように、府県が特別会計を作りまして、府県も同額を支出することになっておりますので、六億という額は相当な額じゃないかと思います。府県の自己調達分、これはおそらく中小企業金融公庫等を通じて出されることになると思いますが、それにつきましては、それらの自己調達分、それから償還が一億八千万くらいあるようでありまするから、合せますと、四十五億以上の設備の改善が、この資金を通じて行われるわけで、これは御承知のように無利子で、非常に低利にやっておる、こういうことになっております。  それから、技術の指導の面につきましては、本年初めての試みでありますが、府県の研究所で、ことに輸出に関係のあるようなもの、これは機械に限らぬわけでありますが、六千万円の補助金を出しております。これは府県分を入れますと、一億二千万円、一カ所大体千二百万円程度で設備の改善をやる、そうして技術指導の強化をやる。あらゆるパイプを通じて、極力将来の輸出産業を強化していかなければならぬ。それには、機械工業を振興していかなければならぬ。それにつきましては、従来、設備の近代化補助金等におきましても、繊維などに重点が置かれておったようであります。しかし、ちょつと時代が変ってきておるので、機械工業等に重点を置いて、そういう方面で活用をはかっていくべきだ、かように私は考えておる次第であります。
  47. 齋藤憲三

    齋藤委員 この三十三年度の経済企画庁の経済計画大綱の中の「輸出の振興」という項目の中心は、産業政策の重点を、品質、価格両面における輸出産業の競争力の強化というところに集約をいたし、さらにこの経済計画の中には、「産業構造の高度化」という項目を設けられまして、日本の現在及び将来における産業構造のあり方及び輸出品目の品質、価格の問題に触れてこられたということは、私は非常によいことだと、さように考えておるのであります。ただいま、大臣の御答弁にもございましたが、とにかく輸出貿易というものは、なかなか一朝一夕に品質、価格の点まで、国際市場において競争力を強化するというところにはいかないと、私は考えておるのでありますから、この点、十分、一つ具体的な方策遂行に当って、万違算なきを期するようにしていただきたいと思うのであります。その内容につきましては、機会あるごとに伺って参りたいと思うのでありますが、ただ一点、この前も、私は当局に質問をしたのでありますけれども、この経済企画庁の計画書を読んでみても、通産省のいろいろなパンフレットを読んでみましても、「重化学工業」という文字を使っておるのであります。これは、この前も私は、こういういかがわしい、あいまいな解釈を含む字を使っておると、しまいに何かつじつまの合わない結論が出てきはせぬかということを、御警告を申し上げておいたのでありますが、依然としてやはり重化学工業という字を使っておる。これはつまらぬようなことでありますが、「重工業及び化学工業」とか、「重工業及び重化学工業」とか、こういうふうに字句の使用を改められる御意図があるかどうか、これは大來総合計画局長でもけっこうですから、御答弁願います。
  48. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 ただいま齋藤先生からの御質問の点でございますが、私ども、実は重化学工業と申しますと、化学工業の中のへビー・ケミカルという、ややまぎらわしい点もありますので、なるべく気をつけているつもりでございます。まだまぎらわしい表現が残っておるかと思いますが、今後できるだけ気をつけたいと思います。
  49. 齋藤憲三

    齋藤委員 実は、私が御注意を申し上げたのは、「サイエンス・アンド・ザ・ネーション」という本に、ヘビー・ケミカル・インダストリーという、ちゃんとした一つの項目をうたって出版されておる。いろいろ調べてみると、やはり世界的にへビー・ケミカル・インダストリーという言葉がある。重化学工業と書いてあるものを外国に文書として送るときに、ヘビー・ケミカル・インダストリーと訳してしまうと、非常な誤りが生じはせぬかと思いますから、これはつまらぬことでありますけれども、御注意を願いたいと思います。  大臣が十二時までのお約束だそうでありますから、質問を進めますが、私は、貿易振興の基本的政策と中小企業の基本的振興策、特許行政、電子技術の振興、製鉄の問題、天然ガスの問題、オートメーション時代産業と雇用関係産業構造、こういうような項目にわたって、今まで通産当局に御質問を申し上上げたのであります。私は、自分の質問をいたしました速記録を、ここに集めて参ったのでありますが、その中で一番念を人れて質問をいたしておるのが天然ガス開発の問題であります。三十二年の二月二十日の委員会、三月十五日の委員会、五月十七日の委員会、五月二十二日の小委員会、十一月八日の委員会、十一月二十七日の小委員会、六回にわたって——その前にずっと質問しておるのでありますが、三十二年から六回にわたって、天然ガスの開発の質問をいたしておるのでございます。しかも、その中で最も特筆大書すべきところの質問は、五月十七日の質問でありまして、これによって、私は、昭和三十三年度からは、天然ガスの埋蔵調査というものが必ずできるという確信を持ったのであります。ところが、昭和三十三年度の予算を見ますと、その予想に反しまして、天然ガスの埋蔵基礎調査費というものは一銭もついておらぬ、全部削除されておる。こういうことになりますと、いやしくも、国会議員が委員会に出て、当局に向って数回にわたって質問をして、天然ガスの埋蔵調査費の予算がつけられるという段階までの質疑応答をやったのが、全部空文になってしまうということで、われわれ自身委員会における質疑応答というものに信が置けなくなるということです。こういうことがあったのでは、結局、委員会における質疑応答というものは、空文に帰するということになる。はなはだふんまんにたえないので、私は、あえて本日、当局に、はっきりした結論を出していただこうと思って質問に立ったのでありますが、残念なことには、ここで答弁をしておられるところの鳩山主計官は、所用のために中座されたのであります。しかし、このときの答弁は、「なお天然ガスの埋蔵調査につきまして、昨年度経済企画庁の方の予算で相当大がかりな調査が行われましたので、その成果を検討いたしまして、今後開発についてどういう手段を講ずるかということについて、ことし検討いたしまして、対策を講ずる。予算のときまでにはそういう資料がまだ間に合いませんでしたので、いろいろ研究いたしましたけれども、問題を先に譲ったようなことになりましたが、今後十分検討いたしまして、やって参りたいと思います。」という答弁。それからまた、現通産大臣の御答弁は、いろいろなところへ出ておりますが、三十二年の十一月八日の商工委員会において、「天然ガスの昨年度の予算については、その経緯を、私の聞いておるところによりますと、基礎調査ができておらぬというので、基礎調査ができたらという意味で、昨年、お話のようなことで、宮城県その他について基礎調査をやったというふうに考えております。従って、一応の調査があるわけでありますから、それに従って、本格的に調査なりあるいは天然ガス開発の必要な経費を、来年度においては必ず実現したいというふうに考えております。」海堀主計官の答弁も、この中には載っております。元来、私は、この経済企画庁の作りましたエネルギー資源の対策というものも見たのでありますが、この前、関連質問でいたしましたように、昭和三十七年度においては十四億立方メートルの画期的な増産を期待している、こう書いてある。しかも、五十年までには、三十億立方メーターの天然ガスを開発するということが書いてある。天然ガスが、三十一年度においては三億千九百立方メーター、三十七年度には十四億三千万立方メーター、その増加倍率は四四八%と書いてある。しかも五十年度には三十億立方メーターの天然ガスの開発ということを経済企画庁では予想しておられる。私は、昨日、通産当局にお願いいたしまして、世界の天然ガスの状態を調べてみました。そういたしますと、もう世界的には、天然ガスが石油の次に来ておる。石炭が第三位になってきた。それほど天然ガスの利用というものは、世界各国において近代産業の原動力となりつつある。こういうところに、日本は一体どれだけの天然ガスが理蔵されておるかというと、大体の想像においては三千億立方メーターないし五千億立方メーターと推定されておる。もっと多いかもしれぬ。かりに一千億立方メーターというと、石炭に換算いたしまして大体一億五千万トン、一億五千万トンの石炭が今ここに掘れるということになったならば、日本のエネルギー源としては、これは画期的な力になってくる。そういうことは、前々から何回もここで論議を戦わしておって、そして、このエネルギー資源を新経済計画の重大な原動力に考えておる。予算編成に対して、この埋蔵調査費を一銭もつけないという予算編成方、及びこれをそれでよろしいとした通産当局の考え方、これについて、一つ、はっきりとした御見解を承わっておきたいと思うのであります。
  50. 前尾繁三郎

    前尾国務大臣 天然ガスの埋蔵量の調査につきましては、われわれも、その必要性を認め、最後までがんばったわけでありますが、遺憾ながら、補助金を従来通りにして、調査費も落されてしまったのであります。その点は、はなはだ遺憾に思っております。極力他の調査を兼ねましてあらゆる資料を整えて、再来年度になりますが、必ずこれは実現したい、かように考えております。そのいきさつにつきましても、十分御承知でありますので、はなはだ申しわけなく思っておりますが、やむを得ないのであります。
  51. 海堀洋平

    海堀説明員 今、大臣からお話がございましたが、天然ガス、電力・石油、石炭その他、全体といたしまして、エネルギー関係予算は相当ふえておると思います。天然ガスにつきましては、現在補助金として二千万、地質調査所で概査をする経費が四百万程度入っているかと思いますが、現在天然ガスの開発自体は、相当急速な速度で増加しているというふうに考えております。もちろん、さらに、今後エネルギー関係予算は必要だろうと思いますが、今年度といたしましては、石炭その他の方に重点を置いて処理をいたします、そう申し上げるほかないと思います。
  52. 齋藤憲三

    齋藤委員 今のお説のように、地質調査所特別研究旅費という中に、天然ガス開発利用の研究費がわずか三十万円、それから東京工業試験所特別研究旅費中、天然ガス開発利用研究というのが、これは私の間違いかどうか知らぬけれども、五万円とある。これは調べてみなければわかりませんが、地質調査所長が来ておるけれども、これはどうですか。
  53. 兼子勝

    ○兼子説明員 ただいまのお話は旅費だけでございまして、そのほかに庁費を入れておりまして、トータル私の方にいただきましたのは四百万円になっております。  それから、ちょっと御参考までに申し上げますが、埋蔵量は、この前、石炭の例の埋炭でやりましたのでございますが、埋蔵量を調査しますと、これはだんだんふえて参ります。たとえて申しますと、新潟のガス田におきましても、今まで大体出しておりましたところが、井戸が千五百メートルくらいの程度でありますので、その範囲内で埋蔵量を計算する。そうして、だんだん進んで参りまして、井戸をもっと深く掘りますと、もっとふえております。埋蔵量というものは、毎年だんだんふえて参りますので、どうしても私どもとしますと、齋藤先生のおっしゃられるように、埋蔵量の調査をするお金というものを、つけていただいた方が好ましいのではないかというふうに考えております。
  54. 齋藤憲三

    齋藤委員 私はちょっと間違えました。なるほど地質調査所特別研究費として三百七十万円、旅費として三十万円、四百万円ついております。  それから、これはどういうのかわかりませんが、東京工業試験所特別研究費中に、天然ガス利用の研究費として四百九十五万円ついておる。その天然ガス開発利用研究の中の、地質調査費の方面は、これは地上調査とか、あるいは露頭調査、これは三百七十万円あったって、三百七十メートルくらいのが一本しか掘れないのだから、こういうものは問題にならない。また東京工業試験所の特別研究という中の四百九十五万なんというのは、これはその中にメタンが幾ら入っているとか、何が幾ら入っている、これをどういうふうに利用したらば一番効率が上るというような研究のためである。しかし、それは問題が違う。私はこの間千葉県の茂原へ行ってきたところが——ここへ、私はそのときの調査書を持ってきておりますが、茂原では、今、天然ガスの埋蔵地区が拡大されて、川崎、横浜を包含すると、埋蔵量が二千億立米だ、こう言っている。可採埋蔵量が一千億立米と言っている。それから新潟地区の田麦山新油田開発によって、その埋蔵地区というものは長岡まで広がっている。そうすると、ここでも千億立米あるいは二千億立米と言っておる。そのほかいろいろの方面から情報を収集いたしますと、日本の天然ガスの埋蔵量というものは、おびただしい数量に上るということは、自明の理であります。東北だけの調査資料でもこれだけある。これは全部石油関係でもって、天然ガスの実在を調べた調査書なんです。そういう点から考えますと、今日の日本のエネルギー原動力というものの中に占める天然ガスというものは、非常に将来性があり、かつ、簡潔にこれを使用することができるという結論になってくるのです。この経済企画庁発表せられたところの産業構造図の中において、産業の立地条件というようなところを調べてみると、まさに天然ガスとは書いてないけれども、この九千カロリーの天然ガスが、パイプ・ラインによって送られるところの産業の立地条件というものは、これはイタリアその他の例を引くまでもなく、最高の立地条件です。この間、茂原に行ってみると、東洋高圧が、その排水のために、一メートルか二メートルかのヒューム管を、九十九里浜まで引っぱったと言っておる。われわれは、なぜこういうことをやかましく言っているかというと、そこに、もし一千億立米の可採埋蔵量の天然ガスがあるとしたらば、茂原という地区は、将来、輸出貿易の振興を助成すべきところの優秀なる工業立地条件の第一条件を備えるということになる。だから、一千億立米の可採埋蔵量の天然ガスの開発をするというのが、国策なんです。これは、ほんとうに、もし一千億立米の可採埋蔵量の天然ガスがあるならば、これを開発して、そこに工場地帯を誘致して、優秀な製品を外国市場に送り出すという、いわゆる工場立地の基本をそこへきめて、そうして、そこに工業立国の基調を定めていく。わずか東洋高圧一つが井戸を掘って、その排水のために九十九里浜まで一メートルのヒューム管を引っぱっていくなんて、そんなばかなことは私はないと思う。そういうところには、必要によって三メートルでも五メートルでも、大きい排水工事をやって、いかなる工場でも、その排水管一本によって天然ガスを開発して、そして、工場形態を持っていけるようにしないかということが、われわれの日本の今の産業開発に対するところの一つの疑問なのです。可採埋蔵量が一千億立米あるとか、二千億立米あるとかいっている。それを調査することを、一体だれがやれるかというと、国家しかやれない。だから、天然ガス埋蔵量基本調査費というものを早くつけろと言っている。それを、今年は石炭に限った。来年からはつけるような話をしているけれども、そんなことでは、来年だって危ない。そうすると、一年間天然ガスの開発がおくれるということによって、一体国家がどれだけの損失を来たすか。そういう予算編成方針があるかということを、私は聞いている。それをただしたら、前は、予算編成までに調査書が出てこなかったからつけなかったのだけれども、予算調査書も出てきたから、今度は善処いたしますと言うから、私は大蔵大臣までこの話をしたのです。じゃ今度やろう、そういう調査書が出てきたから、大いに天然ガスの開発をやろうじゃないかと言う。だから、われわれは安心しておった。安心しておったらば、一体、大蔵省のどこで三十三年度の天然ガス埋蔵量調査費を削ったのか。あなたが削ったのか、一体だれが削ったのか、それをはっきり聞きたい。
  55. 海堀洋平

    海堀説明員 役所の内部は、やはり大臣の決裁を受けますので、私個人は、その命令を受けて作業しているだけでございます。どこで削るかということを、ここで申し上げることは、できかねると思います。(「大臣を呼べ」と呼ぶ者あり)
  56. 齋藤憲三

    齋藤委員 僕は、大臣をここに呼んで、大臣が知っているか知っていないかをたださんとするのじゃないのです。大臣は、こんなこまかいことを知りはしませんよ。私は言わぬけれども、主計官が削ったに違いないのだ。だから、僕はそういう予算編成というものがあるかと言っている。しかも、あなた方は何回も答弁をし、鳩山主計官も答弁している。そして、今並べたように、私は六回にわたって、天然ガスの開発の重要性というものを説いている。通産省も、昭和三十三年度の予算からは、ぜひとも日本のエネルギー資源として、天然ガスの埋蔵調査をやらなければいかぬということを言っている。それがこつ然として予算書から消えてしまった。私は、自由民主党の商工部会においても、ずいぶんこれを力説して、その必要性を説いた。商工部会からだって、大蔵当局に相当強硬にこの問題は持ち込まれたと思う。だから、あなた方が、今ここでもって、天然ガスの埋蔵調査費の予算を削ったということは、天然ガスというものは、一年や二年おくれたって、一向差しつかえないという観点に立って、こういう予算措置を講ぜられたのかどうか、一つ、これを答弁願いたい。
  57. 海堀洋平

    海堀説明員 現在、天然ガスの生産量の増加は、相当なスピートで進んでいると思っております。最近数カ年で、約二割程度進んできたのじゃないかと思います。従いまして、現在の補助金の有効な利用によって、今後さらに数量の増加が期待できるというふうに考えております。
  58. 齋藤憲三

    齋藤委員 現在の補助金というのは、幾らあるか知っているのですか。二千万円です。これは通産省では九千九百万円要求している。それを大蔵省では一千九百万円に切ってきた。通産省では、平身低頭して百万円復活してもらったのでしょう。二千万円の補助金で、一体何ぼ井戸を掘れるか。私の言うているのは、そういうことじゃないのです。たとえば、新潟にあるところの日本瓦斯化学工業というものは、一つの企業体なのです。これは、幸いにしてあの業体になったから、あの地区におけるところの自己の所有する鉱区の採掘はできるでしょう。しかし、あの日本瓦斯化学工業というものに一つの例をとってみて、あれが、一日に百万立米、二百万立米を必要とするという膨大なガス化学工業を経営していかんとするならば、勢い、新潟地区において、自分の工場に使い得るところの天然ガスは幾らあるかという埋蔵量をつかまなければ、工場の拡張というものはできないでしょう。いかなる合成化学であっても、いわゆる重化学工業においても、もしも、天然ガスを原料として、その工業の増大をはからんとするならば、まず第一に、その埋蔵量を的確につかまなければ、どうしてそこに工場経営ができるのですか。それを、ほっておいたって一年に二割増すから、それでいいじゃないか。二割くらい天然ガスの採掘量が増して、一体日本のエネルギーないしは合成化学の原料としてこれを使うという構想が、できるのですか。だから、経済企画庁においては、三十七年度までに四四八%の増加、いわゆる今日のわずかの天然ガスの採掘量から、飛躍的に十四億立米に持っていこうとしているのでしょう。一体どこからそういうことが出てくるのです。埋蔵量を調査せずして、十四億立米というものが出てくるのですか。たとえば、かりにあなたの所論をもってして、十四億立米の天然ガスが、もしあったとしたって、それが一年きりの十四億立米だったら、何にもならぬですよ。それが持続性を持っており、さらに増加率というものをはかっていかなければ、天然ガスを原動力としたところの工場の経営、及びそれを原料とした重化学工業の繁栄ははかれないわけです。そういう観点に立って考えてみると、大蔵省が、この天然ガスの埋蔵基本調査費を三十二年度においても削り、三十三年度においても削った。しかも、わずか二千万円の補助金をつけて、これでもって、天然ガスは黙っておったって埋蔵量がふえるのだ。一体、そんな土地から足の離れたような予算編成でもって、日本の産業というものが育成強化できると考えておるのですか。本気に答弁をしてもらいたい。
  59. 海堀洋平

    海堀説明員 エネルギーの全体につきましては、国家が投融資その他を通じ、あるいは今御質問のありましたような埋蔵量の直接調査を国の力でもってやることは、必要であろうと思います。ただ、三十三年度といたしましては、まず投融資関係では、石炭、石油、電力は、相当程度増加していると思います。それから、直接国家がやる調査につきましても、全体としては増加いたしております。ただ天然ガスにつきましては、三十三年度予算においては、調査費は計上いたしませんでしたというふうにお答えする以外にないと思います。
  60. 齋藤憲三

    齋藤委員 私が天然ガスをしつこくやるのは、これは三十二年度の予算編成のときに対しましても、今ここに持ってこない速記録には、たくさん載っておるのです。何回天然ガスの質問をして、その重要性を当局は認めても、予算に盛られてこないということになったらば、国家の力というものは、天然ガスの開発に至らないということになる。だから、私は、これをとことんまで、絶対にこれは三十四年度の予算に盛るという確信のつくまでは、質問を繰り返してやろうと思っている。それがはっきりしなければ、仕方がないから大蔵大臣を呼んでやります。この速記録を見ると、社会党の諸君からも応援の質問が出てきておる。それは、予算というものは、自由民主党が、こういうふうなものだときめて、当局にのませればいいということになっておるようでありますが、その通りですよ。そうやっても、大蔵省でぶった切る。しかも、この通産省の基本方針を見ると、産業の基盤強化というものがうたわれておる。それから経済企画庁の新経済五カ年計画というものを見ても、エネルギー資源の中には、天然ガスのウェートを非常に大きく見ておる。そうして三十七年度までには十四億立米の開発を見込んでおる。だから、もしも大蔵省が経済企画庁の作ったこの新経済五カ年計画というものを基調として予算を組んだというならば、一歩譲って、三十三年度予算で盛れなかったが、三十四年度からは、この埋蔵量基本調査費を盛って、日本の天然ガスの埋蔵量を的確に早急に調べ上げて、そうして三十七年度までには必ず責任を持って十四億立米というものの天然ガスの開発可能な処置を講ずるという意図かどうか、これを主計官、答弁をしてもらいたい。
  61. 海堀洋平

    海堀説明員 三十四年度の予算編成方針その他も、きまっておりませんので、今、私から、三十四年度に必ず天然ガスの埋蔵調査費を計上するということを申し上げるわけにはいきません。ただ、エネルギー関係の重要なことは、非常によくわかりますので、十分に通産省と協議の上、検討したいと思います。
  62. 齋藤憲三

    齋藤委員 それでは、海堀主計官個人の意見伺います。
  63. 海堀洋平

    海堀説明員 私個人の意見というのは、役人でございますので、全く個人の意見でよかったら申し述べてもいいと思うのでございます。
  64. 齋藤憲三

    齋藤委員 私の申し上げんとしておりますことは、エネルギー対策として、三十七年度までに十四億立米の天然ガスの開発を、一応経済企画庁で織り込んでおる。この新長期経済計画に即応して予算編成が行われるものといたしまするならば、大蔵省としては、ぜひとも日本のエネルギーの欠乏状態を考慮して、十四億立方メートルの天然ガスの開発をやるということを考えるのが、私は当然の考え方だと思うのです。十四億立方メートルといえば、大体九千カロリーの換算として二百十万トンの石炭、金額にたいしますと百数十億円というような金額になる。それが、大蔵省の承認を得ました昭和三十一年度の予算において、東北開発調査特別費でもって、三百万円ないし三百五十万円の国費を投じて天然ガスの地上調査をやった。その結果が出てきた。東北地区において一千億立米や二千億立米の埋蔵量が想定せられる状態に立ち至った。いいですか。それを今度は、開発をするための的確なる埋蔵調査をやれば、そこにあらゆる企業体が行って、天然ガスを開発して、それを原動力として生産態勢に入り得るのです。それに対して、大蔵省は、三十三年度に予算を一文もつけなかった。それに対して、海堀主計官としては一体どう考えるか、こういうのです。
  65. 海堀洋平

    海堀説明員 エネルギーの関係予算は、先ほど申し上げておりますように、投融資を含めまして、相当増加せしめておると思います。天然ガスにつきましては、さらに今後検討いたしたいと思います。
  66. 齋藤憲三

    齋藤委員 一つ鉱山局長に。今の鉱山局長は、あまり答弁をしておられませんが、前の鉱山局長は、しきりに天然ガスの開発を答弁しておられます。同時に、地質調査所長は、天然ガスの開発というものが、非常に公的なものであり、ぜひとも早急にやらなければならないということになっておる。これに対して、鉱山局長、今回の予算折衝の過程を、一つ簡潔に御説明を願います。
  67. 福井政男

    ○福井(政)政府委員 天然ガスの埋蔵量を調査いたしまして、一体確定埋蔵量というものが、どういう地区にどれだけあるかということをつかみますことが、今後これを化学工業の原料として利用いたしますとか、あるいはまた燃料として利用いたします最も基礎的な問題でありますことは、齋藤先生のただいまお話にもありました通りでありまして、私ども、全く同じ見地から、本年度の予算折衝をいたして参りまして、いろいろ努力をいたしたわけでございますけれども、先ほど、大臣からお述べになりましたような結果でございまして、私どもも非常に残念に存じておりますが、来年度予算までには、一年間ございますので、大いに一つその間に、さらに関係の皆様方に十二分の御認識をいただくように、最善の努力をいたしまして、何とか一つ実るように努力いたして参りたいと存じております。
  68. 齋藤憲三

    齋藤委員 五月十七日に、兼子地質調査所長は「天然ガスにつきましては、先般できました東北振興の資料は非常にりっぱなものでありまして、実に部厚な、完全な資料でございまして、後世に残るような報告じゃないかと私は思っております。」ということを言っておられる。私も、そうだと思います。これをしさいに調べてみましたところが、実によく調べておられる。いやしくもですよ、国家の予算をもって天然ガスの状態を調べて、そして埋蔵量が大体一千億立方メートルとか、二千億立方メートルということが予想されておって、そして、これを開発せずしてほうっておくという国家行政というものは、私はないと思う。しかも、口を開けば、エネルギー資源だ、エネルギー資源だ、あっちでもこっちでも、エネルギー資源だ。それを掘れば、石炭のように、掘って、しかして運搬しなければならない、さあトラックも要るし、貨車もつけなければならないというものじゃない。これは地下にあるところの、プレッシャーでもってパイプ一つあれば、いかなるところへでも引っぱっていけるという、ほんとうに尊重すべきところの埋蔵資源だ。しかも、これが今、大体の予想が二千億立米とか三千億立米だとかある。そういうものを、埋蔵量の基本調査もしないでほうっておくという、一体生産行政というものは、私はないと考える。これはまあ一主計官をつかまえて、いろいろなことを言ったって、らちがあかぬだろうと思うから、いずれ大蔵大臣出席を求めて、いわゆるこういう問題に対するところの予算編成の根本方針というものを、一ぺん承わっておきたいと思うのですが、私が、なぜこういうことをくどくどと言ったかというと、あなた方は一体、この国会に来て、答弁をすれば、その場限りでいいというようなことを考えているかもしれない。ちゃんとここにあなた方の出席を求めて、天然ガスの状態を説明して、そして三十二年度の予算には盛れなかったけれども、三十三年度の予算には必ず天然ガスの開発というものをやってもらいたい。それは国家の興隆をはかる生産の一つの原動力として、日本にはたくさんあるのだから、この埋蔵量を調べて、その上に積極果敢なるところの開発の手を差し伸べるということが、国家の緊急な仕事の一つであると言うから、声をからして質問している。ここで、あなた、答弁はしているけれども、いよいよ予算編成のときになれば、これをぶった切って、一文も埋蔵調査費をつけないという、そんなばかなことがあるか。そういうことであるなら、われわれは、今度、大蔵当局や政府当局を相手にして質問するときには、腹がまえを違えて考えなければならぬ。だから、そういう点に対しては、まあ答弁は苦しいだろうから、あえて追及はしないけれども、もっと真剣に考えてやってもらいたい。みんな、こう速記録を調べてみると、それは予算が取れておれば、私はおざなりと言わなくても済んだろうと思うが、二年も一文もつかない残酷な取り扱いをされて、そうして、今掘り出せば、国家の有用なエネルギー資源となり、あるいは合成化学繊維の、またはその他の原料になるところの天然ガスが地下に埋もっておる。そうして日本は、口を開けば国家の繁栄、国家の繁栄、貿易の伸張、貿易の伸張と言う。こんなつじつまの合わないことはない。だから、私は、これを声をからして言うておる。何も天然ガスを開発したって、しなくたっていいという安易な考えだったら、私はこんなことは言いはせぬ。どうして一体こんな重要な天然ガスの埋蔵量基礎調査費というものが二年も続けて一銭も予算に盛られなかったか。一体、予算の構成の根本方針というものは、どういうふうになっているのかということに対して、非常な疑問を持たざるを得ません。しかも、与党の立場として、商工部会を通じて、これは強力に何べんも私自身立って要求した。しかも、要求しても、まだ足りないと思ったから、僕は大蔵省に行って、そうして海堀主計官という者を探した。どこを探したっておりはせぬ。仕方がないから、おれは鳩山主計官に行って、名刺に書いて、三十二年度予算にこれが落ちておったということでもって、何回も国会においても質問し、大蔵大臣も、天然ガスの開発は思い切ってやろうということを言うておられるから、どうか一つ天然ガス埋蔵量基本調査費というものが、三十三年度予算に頭を出して、国家行政の立場においても、日本の天然ガスの開発はやるぞという態勢を示してくれ、と言って、頭を何べんも下げて頼んできた。それほど情熱を傾けて、天然ガスの埋蔵量の調査をやってもらいたいと思っても、委員会に来れば、あなた、そういうような答弁をするけれども、実際の予算には盛らないということになったら、信頼が置けぬということになってしまう。一体、そういうことが今後ないように、三十四年度予算に盛る気が——盛る気がないなら、盛る気がないと言ったらいい。三十三年度予算はだめだと言ったら、われわれも心がまえが違うかもしれないけれども、いかにも委員会に来たときは、善処いたしますとか、調査ができてきましたから、今度やりましょうと言う。そうして、予算に盛らない。そういうことが今後ないように、厳重に警告を発して、まだまだこの問題については、いろいろ申したいことがありますけれども、これで天然ガスに関する質問はやめます。  なお、鉄鋼その他に関して、質問を申し上げたいことがございますが、だいぶ時間も経過いたしましたから、本日は、質問を保留して、この程度にいたします。
  69. 小平久雄

    小平委員長 残余の質疑は次会に譲ることにいたします。  次会は、来たる十八日午前十時より開会する予定であります。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十九分散会