運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-12-24 第28回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十二月二十四日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 阿左美廣治君 理事 笹本 一雄君    理事 長谷川四郎君 理事 加藤 清二君    理事 松平 忠久君       川野 芳滿君    神田  博君       齋藤 憲三君    櫻内 義雄君       徳田與吉郎君    辻  政信君       福田 篤泰君    南  好雄君       井手 以誠君    佐々木良作君       志村 茂治君    田中 武夫君       田中 利勝君    多賀谷真稔君       中崎  敏君    永井勝次郎君       古屋 貞雄君    帆足  計君       水谷長三郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 唐澤 俊樹君         通商産業大臣  前尾繁三郎君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         法務事務官         (入国管理局         長)      伊關佑二郎君         外務事務官         (アジア局長) 板垣  修君         外務事務官         (経済局次長) 佐藤 健輔君         外務事務官         (経済局第二課         長)      吉田 健三君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    稻益  繁君         農林事務官         (農地局管理部         長)      庄野五一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局鉄鉱         業務課長)   井上  亮君         通商産業事務官         (繊維局長)  小室 恒夫君         通商産業事務官         (繊維局絹毛化         繊課長)    高橋 淑郎君         通商産業事務官         (石炭局長)  村田  恒君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      小岩井康朔君         工業技術院資源         技術試験所所長 馬場 有政君         通商産業技官         (工業技術院資         源技術試験所第         六部長)    鈴木 俊夫君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十二月二十三日  委員岡良一辞任につき、その補欠として佐竹  新市君が議長指名委員選任された。 同月二十四日  委員宇田耕一君、志村茂治君及び田中武夫君辞  任につき、その補欠として辻政信君、古屋貞雄  君及び井手以誠君議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員辻政信君、井手以誠君及び古屋貞雄辞任  につき、その補欠として宇田耕一君、田中武夫  君及び志村茂治君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  鉱山災害に関する件  鉱害に関する件  繊維産業不況対策に関する件  日中貿易に関する件      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  この際、前委員長福田篤泰君より発言を求められております。福田篤泰君。
  3. 福田篤泰

    福田(篤)委員 一ごあいさつ申し上げます。今回委員長辞任いたしましたので、この際、簡単でございますが、お礼を兼ねまして、一言あいさつをいたしたいと思います。  第二十六国会の本年一月三十一日に委員長に就任いたしまして以来、当委員会におきまして、中小企業団体組織に関する法案、その他たくさんの重要法案を、委員各位審議をいただいて参りまして、幸い大禍なく任期中任務を終えましたことは、ひとえに委員各位の御支援のたまものでありまして、あらためてここに厚く御礼申し上げます。今後また何かとよろしくお願いいたしたいと思いますが、私も委員といたしまして、微力ではございますが、今後も本委員会のために勉強いたしたいと思います。  きわめて簡単でございますが、一応御礼を兼ねまして、ごあいさつ申し上げます。
  4. 小平久雄

    小平委員長 なお、この際、松平忠久君より発言を求められております。松平忠久君。
  5. 松平忠久

    松平委員 ただいま前委員長福田篤泰君より、退任のごあいさつがありましたが、これに関しまして、一言、私からも、福田君の第二十六国会、第二十七国会における法案審議等につきまして、一言あいさつを申し述べたいと存じます。  御承知のように、二十六国会、二十七国会を通じまして、中小企業に当委員会の多くの仕事を傾けたのでありますが、その間団体組織法に関しましては、この二つの会期にわたりまして、きわめて重要な案件として社会の注目を浴びたのであります。この両会を通じまして、当委員会において成立をした法律案は十七件であって、決議案四件であります。この間、よく福田君は当委員会委員長として職責を全うされ、今回新委員長にかわられたのであります。われわれは、もとより立場を異にしておるのでありますが、いずれも国家のために商工行政商工政策の円満なる遂行のために、おのおのこの委員会におきまして、切磋琢磨をいたしておるのであります。幸いに前委員長福田君は、なおこの商工委員会に在席をされまして、職務を全うされるのでありますが、御健康に留意されて、商工行政の発展のために一段と御協力あらんことをお願いするとともに、新委員長においても、福田君同様に、よくその職責を全うされんことをお願い申し上げまして、一言あいさつにかえる次第でございます。     —————————————
  6. 小平久雄

    小平委員長 それではまず鉱山災害に関し調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 まず鉱山保安局長にお尋ねしますが、災害一般的な傾向——あとから具体的な事例については聞きますから、一般的な災害状態傾向、そういうものについて、まず概括をお話し願いたいと思います。
  8. 小岩井康朔

    小岩井説明員 最近起っております一般的な災害傾向を、ごく概略申し上げますと、大体現在の鉱山災害、特に炭鉱災害につきましては、やはり何と申しましても、現在一番多く起っておりますのが落盤運搬災害であります。この二つ災害を寄せますと、大体半分以上、六〇%以上を、この両災害で占めているわけであります。もろちん個々の山につきましては、多少の違いはございますが、落盤運搬でもって大半の災害を占めております。私どもは、こうした種類災害頻発災害と一応申しております。この頻発災害につきましては、各炭鉱とも同じような状況でございまして、ごく一般的に見まして、あらゆる炭鉱が、落盤運搬災害がいずれも過半を占めているのが普通の状態でございます。  そのほかに、特に現在一番重要に考え、しかもたくさん起っておりますのは、何と申しましても一番大きいのが炭鉱爆発でございます。それから自然発火坑内出水坑内火災——坑内火災は、やはり自然発火に基きまして坑内火災が起りますと、爆発を誘発いたしまして、従って現在一番大きく災害を起すといわれております。いわゆる重大災害炭鉱爆発自然発火、抗内出水坑内火災、それから数年前に長崎で起りましたボ夕山の崩壊なども、今後新しい問題として、重大災害を起し得る素因を持っておるものと考えております。従いまして、この重大災害を何とか減少方向に持っていくということにいたしますと、全体の災害は非常に大きく減ってくる。大体、成績のいいときは、重大災害の少いときであります。     〔委員長退席笹本委員代理着席〕 従いまして、私どもも、でき得る限りこの種類重大災害防止対象に、いろいろと施策をとり、あわせてこの頻発災害——頻発災害はなかなか減少しにくいのでありますが、この頻発災害も何らかの対策をとりまして、少しずつ下げて参りたい、かように考えておるわけであります。大きく最近の災害を見ますと、大体以上のような状態になっております。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 昭和三十年の半ばごろから終り、さらに申し上げますと、昭和二十九年度からずっと災害が、しかも重大災害が非常に多く頻発をいたしました。そして政府では、災害の撲滅のために三カ年計画を立てられたと聞いておったわけでありますが、その結果はどういう状態であるか、お知らせ願いたい。
  10. 小岩井康朔

    小岩井説明員 ただいま三カ年計画の結果につきましての詳細の数字は、ここに持参いたしておりませんが、三カ年運動の結果の概略を申し上げますと、三カ年運動の出発いたしました二十九年当初は、非常に災害も多かった関係で、ぜひこの三カ年運動によりまして、その当時の災害の半分くらいに持っていきたいという、非常に極端な目標を立てて進んだのがこの三カ年運動であります。この三カ年運動目標といたしておりますのは、ただいま申し上げましたように、特に重大災害によって非常に数多く起ります死亡重傷、とりわけ死亡を何とか極端に減らしたい。死亡が減ってくれば、重傷軽傷も従って減少する、そういう観点から、死亡重傷に最重点を置きまして、この死亡には、一人の死亡に対して一〇〇をかけ、一人の重傷に対しては五ないし一〇をかけまして、これを一般軽傷の数に合せ、そうして全体の数字を半分くらいに持っていきたいという方向で進めましたのが三カ年運動であります。この運動を行いまして最初の一カ年は、かなり順調に進んだのでありますが、第二年目中間以降、非常に困難な状態になりまして、結果といたしましては、北海道は相当成績が悪く、目標を達成いたしましたのは宇部地区ただ地区であります。全体といたしましては目標には相当ほど遠い結果となりましたけれども、ただいま申し上げましたように、出発当初半減をねらいました計画で、私ども計画としては、少し無理があったのではないか、かように考えております。目標には、非常に離れておりましたけれども、しかし、昨年の数字は、かなり好結果の数字が出ておりますのは、やはり幾分この三カ年運動の効果がある程度出てきたもの、かように考えております。  詳細な数字につきましては、ここに持参いたしておりませんので、後ほど詳しい数字を差し上げたい、かように考えております。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、頻度率については確かに下っておる、減少しておると思うのですが、この減少も、今、死亡のお話がありましたけれども、なるほど三十一年度におきましては、死亡は、いまだかつて見ないくらい下っておる。しかし、下っておるといいましても、やはり六百人から死んでおるわけですから、少いというわけにはいかない。石炭協会で調べた数字ですが、アメリカのメカニゼーションの雑誌からとった数字を上げておりますが、アメリカでも、一九五四年が三百九十六人——アメリカ全部でです。一九五五年が四百十七人。英国におきましても、これは石炭年報からとっておりますけれども、一九五四年が三百七十一人、一九五五年が四百二十五人。しかるに日本死亡というのはこれは従業員の数が、日本は少くて問題にならないのですけれども、ましてや出炭あたりでいきますと、これはおそらく、あとから申し上げますけれども、問題にならない数字になります。とにかく七百人台から六百人台、こういうところを上下しておるのであります。毎年七百人から死んでおる、こういう現状です。でありますから、私は、これは炭鉱の生成の過程も違いますし、時期も違いますし、いろいろ採掘条件関係もあると思いますけれども、やはり重大災害が絶えないということは、これはやはり保安行政にどこか欠陥がある、あるいは行政だけではなくて、労使双方に大きな欠陥があると考えざるを得ない。  そこで、下っておる傾向を見ますと、主として軽傷につきましては、昭和二十三年ごろから比べると、著しくに下っておる。二十二年、三十三年、二十五年くらいから比べますと、ちょっとと五分の一くらい下っておる。この五に分の一くらい下っておるというところにも、私はやはり問題があると思う。と申しますのは、死傷や重傷があまり下らないで、軽傷だけ下っておる。これは一体どこにあるのだろうか。こういう点は、それは軽傷のような比較的容易に防止でき得るものは、設備がよくなったのだ、こう言われるかもしれませんけれども、一がいにそういう要素ばかりではないと思う。これは御存じのように炭鉱——炭鉱だけではございません。労災がメリット制になりまして、保険料金に影響があるというところから、なるべく軽傷は隠すという傾向が出てくる。ことに大手炭鉱におきましては、みずから病院を持っておりますので、病院で診察をして、さらに規約か何かで、賃金を上げてやれば休まなくてもいいというところから、軽傷という数字が比較的少くなってきておる。と申しますのは、大手死亡重傷はあまり変らないので、軽傷けがずっと少くなってきている、こういう傾向であります。ところが最近になりますと、中小の方も軽傷の絶対数がだんだん下ってきた。これは監督行政が厳格になった、といえば、語弊がありますが、いいように見えますけれども、実際は、やかましく言われるので統計上サボってきている。そんなのはけがのうちに入らぬ、こういうことで、軽傷が少くなってきたのではないだろうか、こういうように考えられるわけであります。そこで、政府としては、非常に好成績であったといわれる三十一年度にいたしましても、大体強度率が八・五くらい。そういたしますと、昭和二十七年、昭和二十八年も、やはり八・五から八・六ですから、あまり災害は下っているというわけにはいかない。むしろ二十九年、三十年が多かったので、二十七年、二十八年に戻ってきた、こういう程度しかいえないのではないだろうか。こういうように考えるのですが、どういうように御判断ですか。
  12. 小岩井康朔

    小岩井説明員 ただいま、災害内容の御指摘がありましたが、私どもも、さように考えておりまして、実は現在のところは、災害対象といたしましては、死亡重傷重点を置いて、ほとんど軽傷数字は見ていないというような状態であります。これは、もう少し詳しく申し上げますと、石炭関係におきましては、主として死亡中心にいろいろと対策を考えております。金属関係につきましては死亡だけで見るということが非常に困難であります。その理由は、中央に集まります死亡数字としてはかなりな数字が集まりますけれども、これを個々の山に展開いたしますと、ほんの年に一人とか、あるいはなかったりというような状態で、なかなかこの死亡だけを中心にいろいろな批判をするわけに参りません。一人死亡者を出すと、非常に成績が悪いように考えられたりいたしますので、金属につきましては、死亡重傷をあわせ考えまして、これに中心を置いて保安よしあしを見ていく。特に石炭につきましては、主として死亡に最重点を置きまして、死亡がふえれば、これはもう保安がよくない、何とかふえた死亡を減らすようにという方向に進めておるわけであります。  軽傷がだんだん減って参りました詳細な理由につきましては、私どももかなり判定に困難を来たしておるのでありますが、そのうちの一つは、いろいろ私どもの方で運動をいたしますと、やはりその成績によりまして表彰いたしております。そういうような関係で、比較的軽いけがは、大手炭鉱などでは、やはり軽作業につけておるようであります。その事実は承知いたしておりますが、軽作業につけておるのを、休めというわけにも参りませんので、これらの判定につきましては、専門のお医者に全任いたしておるのであります。お医者が休めという場合には休んでもらうように、あるいは軽作業はさしつかえのない程度であるということなら、私どもの方はそのまま見ておるというような状態でございます。そういうような関係で減ってきた場合も、もちろんあると考えております。あるいはまた、いろいろ施設の改善その他で、私どもの多少の努力によって減ってきた分野も、幾らかはあるのじゃないかというふうに考えておりますが、これらの詳細な数字につきましては、調査非常に困難でありまして、ただ私どもが、従来の死亡重傷との関連におきます軽傷数字が、非常に軽傷けが減ってきているという現象につきましては、十分注意をいたして、監視いたしておりますが、従って最近の保安よしあしという面につきましては、決して死亡重傷軽傷全部を入れたものを見ておりません。ただいまのように死亡重傷、特に死亡に最重点を置いて保安の良否を見ているような現状でございます。
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 重点死亡に置いておられると言われますから、主として死亡のあった分についてお尋ねいたしたいのですが、なるほど、努力あとが見られるか見られないかというのは、われわれも非常に困難を来たすのです。と申しますのは、災害は忘れたころにやってくるというわけじゃないですが、一年よかったら、その次は悪かった。それで全体的な大きな流れとしてつかむことができない、こういうことは非常に残念に思うわけです。二十七年が六百七十九名、二十八年が六百九十四名、二十九年が七百八名、三十年が六百六十二名、三十一年が六百十名ですから、大体六百から七百、こういうところを前後しておる。こういうことで、あまり死亡減少していないようであります。もっとも二十二年、二十二年、二十四年は八百台をちておりますから、あるいは若干減少しているかとも考えられますけれども、これは、御存じのように、この時期というものは、非常に坑内の荒れた時期でありまして、いわば戦後の特殊事情ともいえる時期じゃないか、こういうように考えられるわけです。在籍千人あたりにとりましても、あるいは稼動百万人あたりにとりましても、大体死亡英国の三倍、こういう形になっておる。こういうことが言われるではないか、かように考えるわけです。  そこで、私は、この死亡の中でも——死亡中小大手と大体同数ですね。ここにも非常に問題があると思うです。死亡同数ということになりますと、在籍人員並びに出炭量から比べますと、中小死亡は大体三倍、こういうことになると思うのですが、中小についてはどういうようにお考えですか。
  14. 小岩井康朔

    小岩井説明員 ただいま御指摘のように、中小災害が、大手に比べまして非常に悪いということは、十分承知をいたしております。特に九州のごときは非常に中小炭鉱が多い関係で、大手と比べまして、災害率が大体三倍ぐらいになっております。この中小死亡を、いかにして減少するかという点につきましては、いろいろ問題がございます。これらの問題のうちで、一番とりやすく、しかも実効の上るものから手をつけておるわけでありますが、それらの施策内容の詳細については、御説明を省きますが、私どもの方でも、中小死亡が非常に多いということにつきましては、十分に承知をいたしております。  その死亡減少のごくおもな対策といたしましては、最近私の方で相当強力にいたしているのは、落盤防止であります。落盤防止につきましては、規則でもただいま掘進の延び先には、さきづけを必ずしなければならないようになっております。しかし、まだこれらの実施につきましても、完全にはいっておりません。そこで私どもの方には、ちょっと内容が詳しくなりますが、監督官をやりまして、実施のしてないところは注意をいたします。しかもなお、次に参りまして実施のしてない場合には、山から出てきていただきまして指示をいたします。それでも、なおかつ実施ができてないというような場合につきましては、最後は送検をするというところまで、明らかに指示をいたしておりまして、漸次これらの改善をはかっておりますが、最近は一般坑道あたり落盤がふえるような傾向も見えまして、全体としてはなかなか思うような成績が上りませんが、漸次こういった強力な手を部分的に打ちまして、これらの、特に中小死亡減少には、十分に力を入れているつもりでございます。そのほかの施策をとっているものもございますが、時間がかかりますので、中小死亡状態は多いということを、私どもも十分に承知をいたし、手を打っているということで、お答えにかえさしていただきます。
  15. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ことに、本年に入ってから、中小死亡は非常に多くなっている。昨年の一月から十一月までと、本年の一月から十一月を比べますと、五十八人も死亡がふえている。こういう状態で、中小の方が大手よりもトータルで一・五倍くらいの数になりつつあります。  そこで、私は最近起きましたこれらの災害のうち、ことに顕著なものについてお尋ねいたしたいと思うのですが、まず福岡県八幡市の東中鶴炭鉱並びに福岡県田川郡の籾井鉱業の鉱区における芳の谷炭鉱災害、ついででありますから、さらに福岡鞍手郡の宮田町における大之浦炭鉱災害、この三つの災害について、概略説明願いたいと思います。
  16. 小岩井康朔

    小岩井説明員 まず大之浦炭鉱ガス爆発から御説明を申し上げます。大之浦炭鉱は、福岡県の鞍手宮田町にございまして、爆発を起しました坑口は新菅牟田坑という坑口で、甲種炭鉱の指定を受けております。場所は、西卸の右一片三尺払いというところで起ったのでありますが、本年十一月十六日の朝の午前五時五十五分であります。切羽は大体六十メートルばかりの切羽であります。外側に断層が出ておりまして、当初は半分くらいな面長でありましたけれども、だんだん払いが進むに従いまして払いが広がって参りまして、災害当時は約七十メートルばかりの払いの長さを持っておりました。日産が百六十トンくらいの出炭をしておりました払いで、傾斜は十八度くらい。この新菅牟田坑は月四万トンばかり出しておりまして、労務者は二千三百名余り、かような状態であります。ちょうど災害が起りましたのは、朝方でありまして、係員がたまたま巡回いたしましたときに、局部扇風機がとまっておりました。この局部扇風機というのは、普通ならば主要扇風機で全部通気をまかなっておるのでございますが、部分的にガスがたまりますと、局部扇風機——局扇というものを使いまして、そのたまったところだけのガスを排除するわけでございます。ちょうどこの払いには、先ほど申し上げましたように、片に断層ができておりまして、ガスのたまりやすい状態になっておったもので、この局部扇風機によって、たまりましたガスを排除しておったわけでございます。これがとまっておった関係で、係員が、電工にこの修理を命じました。電工が、この修理をいたしまして、修理が完了した場合に、たまたまそのスイッチふたをあけたままで、スイッチを入れたり切ったりしたというような関係で、入れましたときにたまたま扇風機が動いた関係で、たまっておったガスが流動してきまして、そしてまたそれを切ったり入れたりした関係で、ちょうどスイッチのところに流動してきた適量のガスに引火いたしまして爆発を起したものと、かように考えておるわけであります。普通ですと、電気機器修理いたしますときには、必ずスイッチを切って作業するのでありますが、この場合には、しかも甲種炭鉱でありますので、坑内に使います電気機器は、検定合格品を使えということになっております。この合格品を使っておったのでありますが、たまたまその使用条件にそむきまして、ふたを締めないままでスイッチの入れ、切りをやったように報告を受けておりまして、この関係爆発を起したものと、かように考えておるわけであります。それで罹災者は、死亡が九名、重傷が三名、計十二名という状況になっております。  それから、東中鶴炭鉱災害につきましては、これは本年の十一月二十五日二十三時十五分、東中鶴炭鉱株式会社という会社の東中鶴坑という坑口でございます。これは場所は、第二大根土卸左五片延び先で、この延び先が、たまたま隣鉱区の旧坑、昔の採掘跡にたまっておりました水にぶっつけまして、大きい坑内出水をいたしまして、十八名の方々が罹災いたしておりまして、現在まだ一人も収容されていませんような状態でございます。これは目下排水作業に最善の努力を払っておりまして、本卸、連卸とも三百あるいは三百五十馬力、あと百、百五十馬力、これらのポンプによりまして、遅々といたしてはおりますが、迫水の状態に入っております。途中の坑道がばれておりませんければ、大体当初六十五日ぐらいかかる予定でおりましたところ、排水に伴いましてかなり坑道が痛んでおりまして、排水に伴う崩落個所の修理というような点に相当な日数がかかりまして、目下はっきりした救助の見通しが立っていないのであります。なお数十日を要するものという連絡を受けておりまして、非常に心配いたしておる災害でございます。  その次が籾井炭鉱災害でございますが、これは籾井鉱業株式会社の経営いたします籾井炭鉱の芳の谷坑という坑口でありまして、十一月三十日の二十三時十分、これも芳の谷坑の右二片という、ごく最近稼行したようなごく簡単な坑内でありますが、この右二片におきまして、やはり旧坑のたまり水にぶち当てまして、四名の死亡者を出しております。現在一名収容されたのみで、三名はまだ未収容の状態にございまして、これも排水にかかりましたが、一時大雨強風がございまして、送電線を切断されましたので、小炭鉱のことでありまして、なかなか送電線の修理が十分にすみやかに参りませんで、数日で収容の見込みという連絡は受けておったのでございますが、まだ今日未収容の者が三名もございまして、非常に心を痛めております災害でございます。これらの未収容の方々も、でき得る限り一刻も早く収容できますように現地を督励しておりますが、非常に困難な状態で、見通しも、はっきり御説明できませんことを大へん残念に思っております。
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今申されました災害のうち、二つともまだ死体が上ってこない。ことに東中鶴炭鉱も芳の谷坑も、いつ上ってくるかわからぬ、こういう状態を遺憾に考えるわけでありますが、まず質問の順序といたしまして、大之浦炭鉱災害からお聞かせ願いたいと思います。  政府は、十大災害の撲滅を期しておられるようでありますが、十大災害のうちで、一番大きいのはガス爆発だと思います。最近になりましても、太平洋炭鉱における二十九名、茂尻炭鉱におきましては、単純爆発を含めて六十名の死者を出しておる。こういう状態であります。赤池炭鉱におきましては、再度にわたって大きな災害を出しておる。さらにまた最近では、やはり同じ貝島系統の大辻炭鉱でもガス爆発がありました。続いて大之浦炭鉱の今次の爆発になって現われたのですが、十大災害のうちで、ガス爆発で死んでおるのは、大体四三%程度死んでおる。これはあなたの方の統計によりますと、そういう統計が出ておる。しかも、一回そういう事件がありますと、罹災者は十三人程度罹災者がある。大部分が死んでいる、こういう状態であります。ですから、ガス爆発につきましては、これは最も注意をしなきゃならぬ問題でありますが、最近のガス爆発の火源を見ますと、昔のような裸火とか、あるいは発火具というようなものが、漸次減少して参りまして、最近の火源は、電気機具による火源が大きなウエートを占めておる。ことにだんだん坑内が機械化されるにつれて、この災害は減らないどころか、ふえるのではなかろうかと憂慮するわけであります。そこで、このガスが湧出しておる場所における——その可能性があるから甲種になるのでありますが、甲種炭鉱において、単に級検定だけで、その扱う電工といいますか、係の労働者に責任だけを転嫁させて、これを回避することはできない。もう少し制度的に考えるべきではないか、こういうように考えるわけですが、それについてはどういうようにお考えでありますか。
  18. 小岩井康朔

    小岩井説明員 このガス爆発につきましては、ただいま仰せの通り、非常に回数もふえておりまして、憂慮いたしておる問題でありますが、このガス爆発は、ガスと火源が両方ないと、決して起らないのであります。それで、私どもも、まずこのガスをためないようにということにつきまして、施設の面で非常にやかましく申しておるのであります。この場合でも、主要扇風機につきましては、この払いに毎分二百立方メートルの風がメイン・フアンから通っておるのであります。しかし、それでは、やはり肩の方に相当のガスがたまるという観点から、エア・ジェットを空気洞の扇風機に切りかえ、さらにこの空気洞ではときどき圧縮空気の運転をとめる関係で、ぜひ連続運転にしたいという考えだと思いますが、これを電気扇風機にかえておりまして、その扇風機の動いておりますときには、やはり規定以内のガス量であったようでございます。しかし、これが一たんとまりました場合には、すぐにガスがたまります。このときには当然係員が十分ガスを検定いたしまして判定をするように、絶えず係員にはガスの観測という点につきましては、非常にやかましく申しておるのであります。この爆発防止を一番完全にやりますのには、まずガスをはかって、どういう状態かということを認識いたしまして、それぞれの処置をとるということをまずやりませんと問題になりませんから、係員には必ず検定用具を持たせましてはかるように、強く指導しておるのであります。この場合も、扇風機がとまっておりましたにもかかわらず、すぐガスをはかって、そして適当な処置をとってほしかったのでありますけれども、調査の報告では、電工修理だけを命じて、やはりほかにたくさん仕事を持っておる関係で、他方面の指揮に回っておったようであります。本人の聞き取りでは、でき上ったころに必ず自分も来て、そしてガスをはかってスイッチを入れさせるつもりで払いの下の方から上りかけておったところに、爆発に遭遇しておるような関係でございまして、ガス検定は非常にやかましくやっておるのであります。それから火源につきましても、一%以上常時あるところでは、電気器具は一さい使わしておりません。この場合も、常時の通風状態では、規定違反ではないのでありますが、やはり扇風機がとまって、しかも活線をやったような場合には、こういうような事故も起り得るわけでありまして、それらのこまかい点につきましては、さらに一そう今後監督を厳重にする必要があるということを痛感いたしております。局扇の位置なども、その当時は十分わかり得なかったと思いますけれども、やはり可能な限り安全なところへ十分余裕をもっていくということを、今後強く指導する必要があるのじゃないかということも考えております。これらの不備な点は、監督官の力量その他にも関係のあることと思います。今後、私ども、さらに一そう検討いたしまして、なお一そう余裕をもってできますようにやって参りたい、かように考えるわけであります。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この大之浦の問題は、かなり悪条件が重なっておったのではないかと思う。と申しますのは、第一、規定の風量を送っておると言われますけれども、規定の風量というのは、たとえば一人当り二立方メートル、そういうようなことを法律に書いてあって、六十人なら、六十人使用する場合は百八十、それを多く見て二百、こういうような出し方は、きわめて一律なんです。それで、規定の風量を送っておるから、こういうことだろうと思いますけれども、きわめて形式主義的な話ではないかと思う。と申しますのは、これは参議院でも話があったと思いますけれども、第一、切羽と古洞との関係は、普通鋭角であってはならぬ、こういうことが鉄則なんです。少くとも九十度以上の鈍角でなくてはならぬ、こういうことが常識でいわれているわけです。これがむしろ鉄則になっておる。それが放置されて、鋭角になっておりますから、部分的にたまっていくということは当然であります。しかも最初二百立方メートルというのを出した根拠は、炭鉱でいいますと、ワクの間隔を間といいますが、二間といいますから、大体ニメートルぐらいです。それが七メートル半が入っておる。それだからここにエア・ジェットをつけたとおっしゃるでしょうけれども、それもまた電動機にかえられておる。電動機にかえられれば、これは電気器具でありますから、そういう可能性が出てくる。なぜ、このときに、電動機にかえないでエア・ジェットで送らないか。エア・ジェットで送るには、ときどき圧縮空気をとめる場合がある。なぜとめるような施設にしておるのか、常時運転ができないのかどうか、こういう点もやはり問題になると思う。  さらに、そういった個所でガスをはかるというのですが、これはガスが出るから扇風機をつけておるのです。二時間もとまっておれば、ガスが出るということは、一応常識で考えられる。そういう場合に、それを係員の責任にするけれども係員が、ガスが出るからといって、全部退避しておれ、丘へ上っておれ、坑内の事務所に上っておれ、こういう指図が、今まで慣習としてあったかどうか。これはないのです。たまたま事故が起ってから、いやあのときの処置が悪かったというけれども、しからば、事故が起らないで、現場に労働者を置かないである個所に退避させるといったら、一体何をしておるのだ、業務怠慢だということで、その係員は処分を食うかもしれないのです。処分を食わなくても、今後上司の覚えがめでたくない、こういうことになるのですよ。また、現場でスイッチを直さなかったであろうというようなことを言われますけれども、現場でスイッチを直すようになっておるし、予備品だってない。ああいう場合に予備品をもって取りかえさえすれば、いいのですから、取りかえるというようなこと、少くとも甲種炭鉱で、しかも扇風機がとまっておるというようなところには、かわりの品物を持っていって取りかえる、修理あとからする、こういうような制度ができていない。ここにも、やはり問題があったと思うのです。何か、警察でもそうですが、あるいは保安監督部でも、これに臨まれる態度というものは、むしろだれか個人の責任に転嫁する、個人さえしっかりしておれば災害はなかったはずである、こうおっしゃるのは、非常に酷な条件がありはしないかと思う。むしろ、従来の慣行、慣習というものが、こういう災害を起しておる。その慣習を徹底的に改革しなければならない。要するに、保安教育というものを、私は徹底的にやり直さなければならないと思う。保安教育をする教育者の頭を、一つ切りかえなければならぬと思うのです。そこに責任者さえ出せば事が足りる、保安法規さえ実施しておればいいのだ、こういうわけにはいかないと思う。保安法規通りやろうとしても、人間ですから、過失もありますし、たとい間違いを起しても、少々の間違いは防げるのだ、私はこういう制度的な改正というものが必要ではないかと考えるのですが、局長はどういうようにお考えですか。
  20. 小岩井康朔

    小岩井説明員 ただいまのお話につきましては、たまたま大之浦炭鉱では、予備品を一定の個所に備えつけておくことという保安規程ができておりまして、保安規程通り実施しておったようであります。しかしながら、いろいろな関係で、おそらくすぐ電工が着かなかったのではないかと思いますけれども、一応この山におきましては、保安規程に明瞭にうたい、現物を一定の個所に備えつけて置いておったのであります。しかし、私どもの方としましては、すべての炭鉱にこれの規定をするということは、現在のところ、なかなか困難な状態にございます。しかし、仰せのように、一つ漸次こういうような姿に積極的に持っていくことも、必要ではないかというふうに考えております。大手炭鉱におきましては、大体予備品は一応持っておる態勢にございますが、中小におきましては、これらの予備品を必ず備えつけろということになりますと、かなり困難なところも出て参りますので、一様には規定いたしておりませんが、大之浦の場合は、自主的に、保安規程におきまして明瞭に規定もされ、現物を一定の個所に置いておったように、昨日の参議院の社労の参考人の説明にもございました通りでございます。なお保安教育につきましては、仰せのように、私どもは、規則の内容だけは、一つ順守してほしいという強い気持を持っておりますけれども、やはり人間のことでもあり、めんどうであったり、あるいはひょっとやってしまうという場合もございますから、なお二段構えとして、でき得る限りこれらの人間性というようなものも漸次考慮いたしまして、安全性の確保を増すという方向にぜひ進んでみたいというふうに考えております。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 局長の答弁を信頼しても、人間性というように、人間だから間違いがある、間違いがあったら必ず災害が起るということじゃ困るので、若干間違いがあっても、その災害を十分防止し得る態勢にあるということが、より肝心ではないかと思う。このことが必要ではないかと思う。ですから、外国なんかは非常に死亡者が少い、重大災害に少いというのは、やはり万全を期しておる、こういう点があるのではなかろうか。人命をとうとぶ国ですから、施設に金を入れても人命を尊重しなくてはならぬというので、施設に金を投資することをいとわない。こういう観念が、やはり必要ではないか。ことに、中小炭鉱だから予備品を置くことは困難だということなら、事は人命の問題ですから、そういう資格のないものには、やめてもらう以外にはない。やはり危害を加えてもいい、あるいは危害を加える可能性があるが、まあまあいい、資力状態でやむを得ぬ、こういうことには、事人命の問題はならないと私は思う。保安の問題は、中小企業であるから保安を割合にルーズに監督する、こういうことであってはならないと思うのです。中小炭鉱保安が悪いということに対して、かつて、われわれが石橋さんに質問をしたときに、石橋さんは、今炭鉱は不況だから、中小炭鉱には余裕がないから、とにかく災害が起っておるから、やがて合理化法案を作る、そうすれば、炭界が安定をするから、中小炭鉱災害が少くなるだろうと言われたのですが、なるほど、買い上げられた炭鉱は、災害を起しようがありませんから、なくなる。しかし、増産になりますと、ますます中小炭鉱は多くの災害を起してきておる、こういうような実情ですね。     〔笹本委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、局長の、中小炭鉱は経営上やむを得ない、こういうことは、事保安に関しては、許すべきでない、こういうように私は考えるのですが、局長、どういうようにお考えですか。
  22. 小岩井康朔

    小岩井説明員 全く仰せの通りでありまして、私どもが幾らか手心を加えておると申しますのは、予備品は置いた方がいいのでありますけれども、置けないような場合には、管理の方を厳重にやっていく、管理の方でカバーしていきたい、かような考え方でありまして、必ず予備品を置かなければ災害が起るんだという前提であれば、強硬に実施いたしますけれども、予備品の方は幾らか手を緩めると申しますのは、管理の方で強化をはかっていくという含みの前提があるわけでございます。しかし、これはなかなか理屈通りには参りませんので、仰せのように、今後も一そう中小保安強化という面には、でき得る限りいろいろな方法をとりまして、実施しやすいように指導して参りたい、かように考えております。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 予備品だけでなくて、たとえば、少し水が出た場合のポンプの能力、こういう問題も幾多あると思うのですが、私はこれにつきましては、あとから施業案の認可方針のところで再度質問したいと思いますから、あと回しにいたしたいと思います。  そこで、次に東中鶴炭鉱の事件でありますが、これは隣接鉱区の古洞の水が涌出してきた——むしろ涌出というよりも吐出してきた、こういうように言われましたが、先般参議院の商工委員会における局長の答弁を見ますと、局長は、この炭鉱は侵掘しておった、こういうことを言われております。事はきわめて重大な問題でありますが、そういう事実があったのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  24. 小岩井康朔

    小岩井説明員 東中鶴炭鉱災害の場合には、監督官が、たまたま数日前に監督に参りまして、現場を見ましたときには、確かにこの災害を起しました掘進先は、監督官の感じでも、かなり鉱区外に出ておるのではないかということを意識したよろでございます。それははっきり報告を受けております。しかしながら、そのときに監督官は、従来私どもの方針といたしまして、保安法は正当な鉱業というふうに、鉱業法上認められた鉱区に対してのみ保安法を適用するという方針を指示しておった関係もございまして、監督官としましては、鉱区外に出ておりました個所については、一応保安法としては触れないという考えのもとに、鉱業所の責任者に、鉱区外に相当出ておる、やめた方がいいということは十分に述べたようであります。ただ監督官が、従来の方針に従いまして、帰りましてから通産局に連絡をいたし、鉱業法上で処置をつけていただくというつもりで準備中、災害が発生してしまったような状態でございます。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 数日前に保安監督官が現地に行って、そういう事実を発見して、そうして従来の方針といいますか、そういうものは正当な鉱業にのみついて行うのだからということで、注意したけれども、十分な処置をとれなかった、こういうお話ですが、一体それはどういうことなんですか。監督権がないということですか、あるいは処置をとらなくてもいいのですか。
  26. 小岩井康朔

    小岩井説明員 処置をとらなくてもいいということではなくして、とるのでありますが、直接自分の方の関係ではとれないので、帰りまして通産局長にとってもらうという考えのもとに、その場では緊急なる措置をとらなかった次第であります。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは施業案通りやってないわけでしょう。
  28. 小岩井康朔

    小岩井説明員 施業案の問題は非常にむずかしいのでありまして、施業事は通産局と監督部、現地におきましては通商産業局、保安監督部、こう両方見ておりまして、施業案中保安に関するものは、監督部で見ることになっておるわけであります。そのほかのものは通産局で見る。しかも、施業案そのものの認可の最後の窓口は、通産局長になっておりまして、これは施業案の、非常に複雑と申しますか、むずかしいところでございまして、保安の問題でなしに、鉱区外に出ておるという鉱業権の問題につきましては、保安法には何ら規定もございませんし、保安法、保安規則を所管いたしております監督官としては、直接やめろと言うことは、法規上困難かとも存じております。
  29. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 あなたの方は、石炭鉱保安規則を、何回も改訂されたり削除されたり、また改正されたりしているでしょう。すなわち、鉱業は施業案通りやらなくてはならぬという施業案第三条という保安規則を、昭和二十九年に、なかったのを入れておるでしょう。これは施業案通りやっておるかどうかとう監督があるわけでしょう。
  30. 小岩井康朔

    小岩井説明員 鉱区外につきましては、施業案は、もちろん出ておりません。施業案を出すからには、やはり鉱区内でないと、認可になりませんから、従来、出ております施業案といたしましては、鉱区内に対する施業案で認可されておるわけであります。説明がちょっと冷たいようでございますけれども、鉱区外に出ておる施業案というものは、初めから出してくることは、もちろんございませんので、鉱区外に出ているなという感じがいたしますれば、監督官としましては、施業案で見るというわけには参らない、かように考えます。
  31. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 施業案通りやっておるかどうかということを、保安に関して監督するわけでしょう。ですから、正当な施業案の範囲でなくて、施業案としては、逸脱した施業案以外の行為をやっているわけです。その面における保安監督の責任はあるのじゃないですか。
  32. 小岩井康朔

    小岩井説明員 これは解釈がむずかしいのですが、鉱区内の施業案は、施業案通りにやっておるのですが、それが少し延び過ぎておる、そういう施業案は出ておらぬ、こういうことでございまして、施業案通りにやっていないことは確かでありますけれども、認可されました鉱区内の施業案は、その通りにやっておるのでありますから、説明がどうかと思いますけれども、鉱区内の施業案につきましては、別に違反はないのでありまして、それが少し鉱区外に出過ぎておるのではないかという問題になっております。
  33. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ですから、施業案違反をしておるのでしょう。その施業案違反をしておる面については、監督の権限があるわけでしょう。
  34. 小岩井康朔

    小岩井説明員 従来は、私どもの解釈といたしましては、保安法と鉱業法との関連において、相当関連性を持っておりますので、鉱業法上正しい鉱業に保安法を適用する。従いまして、盗掘とか、そういう鉱業法上正しい鉱業でないものには保安法、保安規則は一切適用しないという従来の方針でやっておりました関係で、監督官としては、かような措置をとったのでございます。
  35. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、全然鉱業権を持たない第三者が盗掘をしておる、こういう場合と、鉱業権を持って施業案を出して行なっている鉱業権者が侵掘した場合、これとは扱い方はかなり違うと思うのですよ。それは一律に扱えない問題があると思う。それは自己の鉱区内に災害の及ぶ危険性が多分に大でしょう。今度でも、侵掘しておったけれども災害は全炭鉱に及んで水没したじゃありませんか。ですから、私は、形式論としてはあなたの言われる気持はわかる。気持はわかるけれども、それは飛躍しておると思う。全然鉱業権も持たないで、あるいは施業案を持たせないでやっておる。これは、あとから警察あるいは検察庁、法務省にお尋ねしますが、いわば窓口の問題です。ところが、正当な行為をやっておって——今まではやっておった。ある地点からは、正当な鉱業ではなくなったけれども、それは今までやっておる鉱業に、非常な影響を及ぼしたわけです。そういう場合に、自分は監督の責任はない、こういうことが言えますか。
  36. 小岩井康朔

    小岩井説明員 それで、従来はかような考えで一応進めておったのでありますけれども、東中鶴のよろな事態も生じましたし、今後保安法の多少の拡張解釈と申しますか、少し解釈を広めまして、鉱区外に出ておると思われた場合でも、その鉱区外の作業が、本鉱区に大きく影響を及ぼす、急迫な危険を及ぼすというような状態であれば、監督官としても、今後作業を中止させる、かように一応目下考えておるのであります。それにいたしましても、急迫の危険のない場合もございますから、急迫の危険のない場合はやはり従来通り至急通産局長に連絡をとりまして、保安法によって、そういう違法の事態は早急にとめてもらう、かように考えております。
  37. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 第三条が、わざわざ削除になったり追加をされたり、一部改正されたというのは、やはりそういう点があるからじゃないですか、施業案通りやっておるかどうかという。……これは、私は、今まではそうはやらなかったけれども、若干拡張解釈になるけれども、今からはやる。——今からじゃおそい、今からやることは、やらないよりいいですけれどもね。しかし、私は、現在でも、やはり監督の任務はあったのだ、こういうように考えておるのですが、ことに予想される古洞というのは、九州採炭が持っておる鉱区におけるかっての古洞である。しかも九州採炭はそれを掘りたい、残炭を掘りたいということで、施業案の申請をして、それが古洞との関係でまだ認可に至っていない、こう聞いておる。ですから、当然予想された事件でしょう。それがわからないというなら、監督官はやめた方がいい。当然予想される事件でしょう。しかも、みずから歩いていって見て、これはどうも侵掘しておるようだ、侵掘しておる先には古洞があるということは、わかっておる。これは私は問題はきわめて重大だと思うのです。しかも、知っておって、連絡をしなかった。連絡をして十分な処置がとってあれば、それはとめられて、災害が起らなかったといわざるを得ない、こう考えるのですが、どうですか。
  38. 小岩井康朔

    小岩井説明員 結果から見ますと、監督官が現場を見まして、鉱区外にかなり出ておるという認定をいたしましたときに、急迫の危険の度合いの判定が十分でなかったということは、あるいは結果からは申されるということも考えられますけれども監督官も、もちろん、その当時は急迫な危険があれば、連絡もいたしますし、相談もあったことと考えます。その後、かなりな日数進みまして、山の方々も、まさか水にぶつかるということは、もちろん御存じなかったというような関係もございまして、そのときに監督官の認定が十分でなかったということは、結果からは、もう間違いなく言い得るのでありますけれども、当時の監督官判定としては、多少そこに無理があるのじゃないかというような気がいたしておるわけでございます。
  39. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 もう一度もとに返りますけれども、刑事訴訟法でも、公務員が職務によって知り得たことについては、告発できるということになっておる。ですから、一般的な公務員の義務でもあると私は思う。それは、自分が職務によって坑内に入ったのですからね。そうして、これは違反しておるという事実を知ったのでしょう。一般の公務員の服務の義務規定からも、刑事訴訟法の二百三十九条には、明らかに書いてある。ですから、それは行政が若干違うとかなんとかいうことではないと思うのです。ことに、局は違っておりますけれども、同じ通産省で、大体同じような建物の中におる。そうして事実を知っておった、こういうことでありますが、一体あなたの方では、今申します鉱区外の侵掘の問題、あるいはまた一般的な盗掘の問題を、保安監督行政上、見つけた場合に、どういう連絡をとっておられるのか、お互いにどういう連絡義務があるのか、これをお聞かせ願いたい。
  40. 小岩井康朔

    小岩井説明員 監督官が参りまして、盗侵掘の事実を発見いたしました場合には一応帰りまして、正式に文書で通産局長の方に連絡をとっております。ただいまのお話のように、その間に急迫な危険が感ぜられた場合には、もちろん今後その場でとめるように処置をいたさせますが、そうでない場合には、従来のように、通産局に連絡の上処置をされることが、適当ではないかというふうに考えております。
  41. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 連絡をとるというのは、何か書いてあるのですか。
  42. 小岩井康朔

    小岩井説明員 別に書いてはございません。これは通産局自体でとるべき問題でございます。しかし、私ども同じ仕事をやっておる関係もあり、たまたま巡回監督というのは、通産省の鉱業法上の監督よりも、実際問題として、よけい回っておるのであります。回りましたつど、そういう問題を発見した場合には、自分自身は、その場ではしないけれども、側面的の応援で、通産局の方に御連絡をとっておるわけであります。
  43. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、好意的な慣習ではだめだと思う。いざ事件が起きた場合に、責任転嫁になる。好意的にそういう慣習があるのだということではだめで、それは何かはっきりした、法律でなくても規則なり、そういうものをやるべきである。しかも、あなたの方は、施業案その他のものについては初めから認可について、あるいは変更命令については、協議することになっている。施業案実施について、両方がそれだけの監督面を持っておるのに、そこに連絡する義務がない。しかも、それはやっておるけれども、好意的な慣習だ、こういうことでは済まないと思うのですが、一体どういうようにお考えですか。
  44. 小岩井康朔

    小岩井説明員 これは私の方の鉱秘の書類で、現地の部長には、その趣旨は明瞭に伝えてございますが、法規上の関係では、ただいま私が申し上げたような状態になっておるわけであります。しかし、各監督部長には、明瞭に文書によりまして、その趣旨は十分に伝えてはございます。
  45. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、いやしくも職務をもって、だれでも立ち入り検査ができないのに、そういう権限を持って入って、しかも国費を使って入っていく者が、その職務に関して知り得たことを、相手方の鉱業法関係の官庁に連絡する義務がないなどということは、許されぬと思う。当然それは何か明記すべきだ。施業案の実施に関しては、両方とも責任があるのでしょう、そして、お互いに施業案の認可については協議をしているでしょう、あるいは変更命令を出すときも協議をしているでしょう。協議をしている者が、中途の段階においては、全然責任がないなどということは、私は、やはり考えるべきだ、やはり通知をする義務を持たすべきだ、かように考えるのです。あなたに聞いても困るでしょうから、これはあとから官房長にお尋ねしたいのですが、そういうことでは私はいけないと思う。このそごが、あとから申し上げますような、芳の谷炭坑でもその他いろいろ起っておる。せっかく行きながら、それを見ても十分な処置ができていないので、十八名から死んで、十八名が一月になってもまだ全然死体が出せない。しかも一月どころか半年くらいかかるかもしれない。しかも、炭鉱は全部閉鎖をしなければならぬかもしれない。こういう事態に追い込んでいるのですから、私はこの点については、あとから再度質問をしたいと思いますので、先に進みたいと思います。
  46. 小平久雄

    小平委員長 石炭局長からお答えがあるそうです。
  47. 村田恒

    ○村田説明員 最初に申し上げたのでありますが、この種の災害が最近続発しておりまして、石炭行政関係しております一人として、まことに申しわけないと存じております。今後、保安行政の強化と相待ちまして、鉱業監督の面の強化をいたしまして、この種の災害の絶滅を期したい、こう考えております。  御質問の盗侵掘の問題でございますが、これは従来の解釈によりますと、ただいま保安局長が申し上げたようなことになるのでありますが、施業案の監督の面から、どの程度のことができるかということを申し上げてみたいと思います。  大体、鉱業権者が鉱区外に侵掘する行為は、これは鉱業法第七条違反の行為であります。また同時に、施業案を全然持たず、あるいは出しました施業案に違反して採掘を行なっている場合、これは鉱業法第六十三条違反の行為でございます。これに対しましては、目下法律上の措置といたしましては、告発して司法上の処分を求めるという、やや手ぬるい措置しかございません。従って、当面行なっております措置は、行政指導によりまして、まずその採掘をやめろと、その行為の中止を勧告いたします。それからその場所を閉鎖してしまう。坑口を結柵いたしまして、そしてその坑口には、この甘口は閉鎖したのだという告示板を出す、こういうような措置をとっているのであります。さらに鉱業法第六十三条違反の場合には、場合によっては鉱業権の取り消しを、鉱業法第五十五条によって行います。これは籾井の場合に起った例でございますが、ボ夕山のうしろから、坑口開設の許可を求めないで、すなわち合理化法に違反して坑口を開設した場合でございますが、この場合には、坑口の閉鎖命令あるいは鉱業権の取り消しを、合理化法第五十六条によって行うということになっております。  以上は、現在の法律の建前はこうなっておるという説明を申し上げたわけでございますが、先ほど来御意見のございましたように、現在の保安法、すなわち今採掘しているところに、急迫の危険がくるかどうかという、その場合の判定によって、初めてその行為の差しとめを行うというふうなことでは、侵掘しております場合には、侵掘していく先の部分は、施業案がないのであります。従って、まっ暗やみの中を車を走らせるようなもので、危険があるかないかわからない。危険があるかないかわからないという事態は、およそ貴重な人命ということを考える場合には、必ず危険が存在するということの前提に立って考えなければならぬ、こう思われるのであります。従いまして、まず保安法の拡張解釈、すなわち、急迫の危険というものは、非世に広義に解釈いたしまして、侵掘の場合におきにましても、直ちにその行為の差しとめを行う。あるいは現在の解釈をもってしては無理であるならば、必要ならば法律の改正措置を考える。また同時に、この鉱業法第七条違反というものが、現在のように告発という点にだけ限られておりますので、これを行政上現在行なっている、ただいま御説明申し上げました行為の中止の勧告であるとか、あるいは坑口の結柵措置であるとか、それらの問題を、やはり法律上の問題としてやっていくことが、今後の人命尊重という点からいって、非常に大事ではないかと考えるのであります。ただ、問題は、御承知のように、鉱業法は、主として権利の関係を律している法律でございます。それから保安法の方は、主として人命をどうしていくかという、権利の問題よりも、むしろ行為を規制していく法律でございます。その意味におきまして、ただいま申し上げました拡張解釈あるいは法律の改正というふうな問題は、法体系の上から、どういう措置をとったならば一番よろしいかということは、法制局とも十分相談いたしまして、至急に検討いたしたい。また検討の結果成案を得ましたならば、即刻国会の方と相談して所要の措置をいたしたい、かように存じております。
  48. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、侵盗掘については、あとから質問をいたしたいと思いますので、先に進みたいと思います。  御存じのように、古洞の坑内実測図というのが、福岡通産局は戦災にあって戦前のものは全部焼けているわけです。そこで、この整備がきわめて必要である。最近の坑内出水を見ますと、ほとんど古洞です。二十九年の天草における久恒志岐炭鉱、これは三十六名死んでおる。これは古洞にぶち当てて死んだ。それから田川の大実炭鉱、これは池の下を掘って、その池をほして、あすは従業員のための魚釣をしようという前の日に、魚は坑内から出たということで、これまた八名程度死んでおる。池の下を掘るなんていう、しかもそれは浅いのですね。こういう無謀なことが行われておる。あとから調べたら、坑内図も十分なかったというのです。それから上嘉穂炭鉱御存じのようにこれがやはり古洞で十数人の被害者を出しました。今度、東中鶴炭鉱が十八名、籾井芳の谷が四名、こういいうように、坑内出水の場合には、ほとんど古洞である。しかも一回出水いたしますと、ほとんどが死亡絶滅、こういう状態である。そこで、私は、古洞の調査並びに坑内実測図の整備ということが、きわめて必要ではないかと思うのですが、一体、石炭局長は、いつまでに整備されるつもりであるか、どれくらい予算が組んであるのか、これをお聞かせ願いたい。
  49. 村田恒

    ○村田説明員 鉱業法に基きまして、石炭を採掘いたしましたあと坑内状況については、毎年鉱業権者から提出させるという法律の建前になっておりますが、ただいまお言葉がございましたように、昭和二十一年以降の分につきましては、福岡通産局においても、これは整備してございます。ところが、それ以前のものにつきましては、全部戦災で焼いてしまいました。従いまして、施業案の認可をいたします場合に、その隣接しておるところ等の古洞の所在につきましては、主として古老の言を聞きましたり、あるいはできるだけ実地調査をやる。これは非常に不完全なものでございますが、そういう程度のことしかいたしておりません。ところが、最近の災害は、具体的な例に上っておりますように、古洞にぶち当って出水のために起る災害が逐次ふえております。その意味におきまして、払い跡の坑内の現場というものをはっきりつかむことが、むしろ災害防止のために必要だということは、今仰せの通りでございます。そこで、先ほど申し上げました鉱業監督の予算を、本年度が約七十万円でありますが、明年度はそれを約二百万円に増加いたしまして、係員を全部炭鉱の現場に回らせまして、坑内の現場を見せてもらって、それを全部整理していく。さらに旧払い跡の古洞の所在確認のためにも、情報収集その他のためにも現場に出張させる、こういう旅費その他の所要の予算を計上しております。その金額が本年度七十万円のものを三百万円に増加したいと、今大蔵省と折衝中でございます。
  50. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 監督の事務費七十万円を三百万円にした、こういうことでは、あまりにも現場の実態を局長御存じない。私は、あとから盗掘、施業案の監督について、再度質問しますから、そのときに申し上げますけれども、これはすみやかに調査をして、完備してもらいたいと思います。これは一年、二年、だんだん日がたつに従って事件が起ってくる。もう筑豊で掘り出すと、新聞によると、網の目のように古洞があるといいますから、どこでもここでも行き当る。そして最近のように、割合に炭鉱は残った高原景気を続けておるという状態である。そうして盗掘、侵掘がものすごいという状態で、私は旧坑内実測図の調査が非常に重大ではないかと思う。  そこで、工業技術院の方が来ておられれば質問したいと思うのですが、まだ見えておりませんか。
  51. 小平久雄

    小平委員長 調整部長は見えております。
  52. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 技術的なことを質問しますから、それではあとから質問します。  そこで、芳の谷炭鉱の問題、このことについて、まず石炭局長からお尋ねしますが、これも籾井炭鉱災害なんですか。先ほど籾井炭鉱災害とおっしゃいましたが、一体これはどこの災害ですか。
  53. 村田恒

    ○村田説明員 これは籾井炭鉱災害でございます。
  54. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうしますと、籾井炭鉱が施業案によらないで起した災害ですか。
  55. 村田恒

    ○村田説明員 さようでございます。
  56. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうしますと、これは六十三条違反の問題ですね。
  57. 村田恒

    ○村田説明員 芳の谷坑の災害については、これは施業案の認可のない不法操業でございますので、鉱業法第六十三条違反に該当いたします。
  58. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、これは盗掘による災害ではない、こういうふうにお考えですね。
  59. 村田恒

    ○村田説明員 今、申し上げましたのに追加してお答えいたしますが、六十三条違反と同時に、鉱区の間隔地も掘っておりますので、鉱区間隔地の採掘につきましては、鉱業法第七条の違反、第六十三条違反と両方含んでおります。
  60. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この場合は、保安監督は責任はないのですか。あなたの方は、監督の権限はないのですか。
  61. 小岩井康朔

    小岩井説明員 保安法の適用は、ないものと考えております。
  62. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この籾井炭鉱の場合は、私法的には芳の谷炭鉱を経営しておる別個の第三者が介入しておるわけですね。これは公法的に、あなたの方は鉱業法では認めないと言われるかもしれないけれども、別個に介入しておる。そうして、普通ならば租鉱権としてこれを申請し、租鉱権の許可を得て、第三者というか、芳の谷炭鉱を直接経営しておる人が、施業案を出して採掘するのが通常の場合ですね。ところが、この責任は全部、私法的関係のいかんにかかわらず、これは籾井炭鉱が責任を負うべきものですか。
  63. 村田恒

    ○村田説明員 ただいま籾井炭鉱が決定的に、確定的に責任を負うものであるかどうかということは、いま少し司法上の調査を待たなければ、私から今これは確定的だということは申し上げられないかと存じますが、ただいままで私がお答えいたしました根拠を申し上げますと、何がゆえに六十三条違反であるかということを、福岡通産局において調査いたしました事実を申し述べさせていただきます。すなわち、芳の谷坑は鉱業権者籾井鉱業株式会社社長籾井敏雄が吉川勇という者と口頭契約によって開坑させたもの、従ってその採掘の計画案については籾井炭坑から指示したもののようである。指示したという事実は確認しておりませんが、指示したもののようであるというこの根拠に基きまして、本来ならば、正式な租鉱権を求めて採掘すべきものであったでありましょうが、こういうことで、合理化法によります開発の許可もとらず、鉱業法の違反をもってこういう採掘を行なった、こういうふうに解釈しております。
  64. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この籾井炭鉱の鉱区内に多くの盗掘がある、あるいは盗掘と言えるかどうか、あるいは施業案によらない採掘が行われておる、こういうことでうわさに上っておったけれども、それを処置しないままに事件が発生した。そうして四名が死んだ。そこで、あわてて通産局で十一封鎖板を持っていったところが、まだ五つか六つ残っておった。ですから結局十五、六やみ炭坑があった。さらに今起りました芳の谷坑の方に行ってみましたところが、まだ六つぐらいそのやみ炭坑があった。こういう話を現地で聞いたわけですが、一体これらの問題について、どういうようにお考えでありますか。  まず私は、国警刑事部長が見えておられますからお尋ねいたしたいのですが、最近筑豊炭田における盗掘、侵掘は、全く目に余るものがある。これがやはり暴力団とくっついておる、こういうような状態であります。そこで、なかなか通産省だけの監督では、十分な処置ができない。まあおつかなくて行けないというのが実情だろうと思う。そこで一体、これらが悪の温床になっておるのですけれども、国警としては、どういう処置で臨まれておるのか、これをお聞かせ願いたい。
  65. 中川董治

    ○中川説明員 この石炭関係の盗掘でございますが、このことにつきましては、当委員会におきましても、同様の御趣旨の御発言もございまして、通商産業省からも同様の事情の連絡がございましたので、われわれ警察といたしまして盗掘事犯の捜査、こういう点につきまして特に力を注ぐように、関係の府県警察によく厳重に示達しております。ところが、犯罪の態様は、先ほど来お話に出ておりますように、鉱業法七条違反、こういう犯罪の態様として現われてくる場合が多いのでありますが、この鉱業法七条違反の犯罪の発見、これに努めるということが、まず目的達成の一番重要なことかと思いますので、通商産業省の出先機関に御協力いたしまして、この七条違反関係の捜査を厳重にやっていく、こういう点を効果あらしめるように、関係の府県に十分にやらせております。ところが、お話のように、そういう違反をやる炭鉱主の中には、あるいは暴力団との関連があり、あるいはそういう犯罪を犯すについて、特にあくどい犯罪発覚を防止するについて、非常に手の込んだ方法でやっている向きが少くありません。そこで、福岡県警察を初めとして関係の警察では、常時通商産業省の出先機関と御協力をいたしまして、いろいろ工夫をいたしております。そうして、たとえば福岡県警察におきまして、本件違反者を検挙した事例も少くないのでありまして、昨年も相当の検挙者を出しておりますが、本年も引き続き検挙に努めております。ところが、それで全然そういう犯罪が皆無になったかといいますと、なかなか向うの犯行の手口が複雑になり、巧妙になっておる点もありまして、検挙と犯罪関係者が、両方とも非常にせり合っておる、こういうような実情かと思うのであります。ところが、こういった問題につきましては、警察といたしましては、あらゆるデータを整えまして犯罪を検挙して参る、これが一番根本的な対策であろうと思いますので、今後も大いに力をいたして、こういった面の違反者の検挙取締りに努力して参りたい、こう思います。
  66. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今まで第七条違反あるいは六十三条違反で封鎖板をされたり、爆発されたり、こういう件数はどのくらいありますか。
  67. 村田恒

    ○村田説明員 鉱業法第七条違反の盗掘の実態でございますが、先ほど警察の御当局からも申し上げましたように、九州の方では田川地区が一番多かったのでございますが、それがだんだん取締りの強化とともに、ほかの地区に移っております。そしてまた、その地区から次へ移って行くというような状況になっております。それで、具体的な件数を申し上げますと、三十一年度の実績が、全国で百八十六件であります。三十二年の一月から五月までの実績が百十一件であります。この件数は、通産局あるいは石炭の支局におきまして処分をした件数でございますので、全然発見できないものをとらえると、まだ多くなるのではないかという想像もできるわけであります。
  68. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 一月から五月まで百十一件だというお話ですが、その後も遺憾ながら累増しておる。田川地区だけでも、処分をしたのが、私が最近聞いたのには二百くらいあるわけです。そういう実情である。ところが、当局が等閑視しているかというと、そうでない、一生懸命になっておる、率直にいって。一生懸命になっておっても、こういうような状態で、まだ減っていかないで、だんだんふえつつある、あるいは移動しつつある、こういうようなのが現状であります。あるいはまた、それを密告したというので、盗掘お礼参りというのもやられておる。そういう状態でありますから、なかなか根絶することはむずかしいのですけれども、しかし、現段階でもって臨んでいただけなければ、これは普通のものを盗むだけで足りないで、人が死ぬわけですから、ここに、私は非常に問題があると思う。そうして、今お話がありましたように、保安監督の方は責任がないといわれるのですから、持っていきようがないのですね。それに現在のところは、労災保険でも、いわば総合的な判断を願って、支払いをしてもらっているのです、現実は。ところが、労働省でも、あれはやみだからといえば、これは実際もらえない、こういうことになる。そこで、われわれは、事人命に関して影響があるものですから、これは一つ厳格にやってもらいたいと思います。これはやはり伝染をするのですね。ですから、一つの炭鉱が許しているということになれば、あの炭鉱が許しているから、おれのところも許さないか、こういうような状態になり、一カ所許しますと、もうハチの巣をつついたような状態で盗掘をしていく。こういうような状態に、現実はなっておるのですから、一つ御努力願いたいと思います。  そこで、これに関して、今の籾井炭鉱の例に戻るわけですが、籾井炭鉱では、全部が六十三条違反であるのか、あるいは第七条違反もあるのか、これをお聞かせ願いたい。
  69. 村田恒

    ○村田説明員 籾井炭鉱につきましては、六十三条違反でございます。その他、先ほどお話がございましたように、たくさんの盗掘をやっているという事実がある。この方につきましては、まだ十分な一つ一つの法律上の調査をいたしておりませんが、当面起っております籾井炭鉱につきましては、六十三条違反でございます。
  70. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、六十三条違反と七条違反の間に、もう一つの法律上の要素がありはしないか、カテゴリーがありはしないかということを考える。率直に言いますと、今は吉川勇が介入しておったけれども、これは指示が籾井炭鉱からされておった、こういうことで、籾井炭鉱は六十三条違反だということでした。こういうことでしたが、私的契約においてはすでに租鉱権者であるけれども、手続をしていない。しかし、対鉱業権者との関係においては、純然たる許可を得ないで、しておるのではない。こういう場合は、一体、ただ六十二条違反で取り扱えるかどうか、また現在の法律は、取り扱わなくてはならないかもしれませんけれども、何かそこに私は別個のものがありはせぬか、こういうように考えるわけです。それについて、どういうようにお考えですか。
  71. 村田恒

    ○村田説明員 ちょっと御訂正を願いたいのでございますが、ただいまこの籾井炭鉱は、六十三条違反であるということを申し上げましたが、言葉が不足でありまして、芳の谷坑につきましては、施業案の認可だけで不法に作業したもので、鉱業法の六十三条違反でございます。  それから、ただいまのいわゆる口頭の契約等によりまして、一種の斤先をやっております。これはお示しのように法律的には鉱業法第七条違反という法律上のものを含んでおります。
  72. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 斤先をやった場合は、弟七条違反というのは起らない、六十七条違反ではないですか。先ほど、岩壁の間を掘っている七条違反というのはわかりますが、芳の谷坑の操業について、籾井炭鉱の所有者が六十三条違反に問われているわけでしょう。ですから、七条違反というのはおかしい。その場合こそ六十三条違反でなくて、あなたの説によると、七条違反になりはしないか。
  73. 村田恒

    ○村田説明員 私が七条違反の問題を出し上げましたのは、鉱区間隔の問題と、なお芳の谷以外に幾つも盗掘と見られるものが存在しておりますので、これについては、当然七条違反の疑いかあるということを申し上げたのであります。それで籾井の場合につきましては、六十三条違反、同時に合理化法によります、坑口開設の許可なくしてやりました合理化法の五十四条違反、この両方のものを含んでおります。
  74. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういう場合に、ただ刑事的な罰だけでなくて、鉱業権の取り消しは行われるのですか。
  75. 村田恒

    ○村田説明員 合理化法の違反に伴いまして、鉱業権の取り消しは可能でございます。
  76. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 合理化法は、臨時立法ですから、私は基本法のことを聞いておるわけです。それはたまたま今合理化法が施行されておりますから、合理化法の方でも、坑口開設の点について、許可なく坑口開設をした場合は、鉱業権の取り消しができますけれども、基本法としては、一体そういう場合に、鉱業権の取り消しができるかどうか。
  77. 村田恒

    ○村田説明員 鉱業法第七条違反の場合には、鉱業権の取り消しはできませんが、第六十三条違反の場合には、鉱業権の取り消しが、鉱業法によって可能でございます。
  78. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、やはりこういった場合は、残った従業員の雇用との関係はありますでしょうけれども、こうした災害を起した場合、あるいはそれをみだりにそういうやみ炭坑を作って作業を行なっておるというのは、やはり営業停止という処置が一番的確ではないかと思う。この六十三条違反などといいましても、結局、罪は軽いのですから、問題にしていませんよ。具体的な問題としてのこの場合は別としても、抽象的に言いますと、問題にしていない。やはり鉱業権の取り消しという処置が必要ではないか。ただその場合に、形式的には言えない点はあるでしょうけれども、こういった場合には、やはり断固たる処置で臨むべきである、こういうことを考えるのですが。
  79. 村田恒

    ○村田説明員 この籾井の問題につきましては、単に坑口を閉鎖するというふうな、なまぬるいことではなくして、合理化法に基きます坑口の閉鎖命令を出すように考慮いたしております。合理化法に基きます坑口の閉鎖命令は、単にこわしてしまうというのではなくして、コンクリートで完全に封鎖してしまうわけであります。しかしながら、なお今後調査の結果、非常に悪質であるということが判明いたしました場合には、ただいまお話のように、断固たる処置も必要であろうかと考えております。
  80. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 施業案違反の坑口を閉鎖するなどと言うが、それは問題にならぬ、ほかに幾らも坑口があるのですから。そういう場合には、結局鉱業権の取り消しか停止か、そういう処分をやらなければ、とてもきかないだろう、こういうことを言っておるわけです。
  81. 村田恒

    ○村田説明員 私が、ただいま断固たる処置と申し上げましたのは、ただいま多賀谷委員の仰せになったような趣旨においてお答えしたわけでございます。
  82. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 では、次に施業案認可の方針、これをお聞かせ願いたいと思います。さらに鉱山保安監督部長としては、施業案認可について協議をすることになっておりますが、一体鉱山保安局長は、監督部長に対してどういう態度で臨むか。その鉱山保安監督部としての認可の基準について、あわせて両局長から御答弁願いたい。
  83. 村田恒

    ○村田説明員 鉱業法に基きます施業案の認可の方針といたしましては、何と申しましても、人命尊重ということから、保安ということを第一に考えております。第二に、鉱業権を施行するにつきまして、地上にございますいろいろな公共の建物、公共の施設あるいは農地、それらのいろいろな地上物件との十分なる調整をとるというふうなことも、十分考慮に入れて、施業案の認可をする方針をとっております。
  84. 小岩井康朔

    小岩井説明員 保安関係の施業案の認可に当りましては、御承知かとも思いますが、施業案は、非常に複雑になっておりまして、一応規則では、正副二通を通産局長あてに提出することになっております。従いまして、そのうちの一通は私の方に参りまして、保安関係を見るわけであります。その保安関係を見ます場合には、もちろん通産局の方との十分な連絡の上で、施業案の認可基準というものができております。従いまして、その認可基準に従って一応審査をいたし、なお隣鉱区との関係、その他保安に関する重要な問題につきましては、それぞれ十二分に調査をいたしまして、協議にお答えしておるわけであります。しかしながら、最後の施業案の全般的な認可に当りましては、通産局長が認可をすることになっております。その施業案の全面責任につきましては、当然通産局長が責任を負うという建前になっております。しかし、協議を受けることになっておりますので、その間につきましては、十二分に連絡がとれております。通産局も私の方も、同じ趣旨の施業案の認可基準によって審査をしておるわけであります。なお、九州のごとく、非常に隣鉱区との関連が複雑な地区におきましては、御承知のように、通産局で受けましても、必ず石炭事務所派遣班の方に送りまして、現地は現地のあらゆる情報、資料によって、現地が一応見ましたものを、さらに通産局に送り戻し、その上で協議を受けております。われわれの方も、現地の派遣班と十分連絡をとりまして、それらの事場に対処して御返事をいたしておるわけでございます。
  85. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 幸いにしてと言いますか、合理化法がありますから、坑口開設の許可というものとからんで、出炭の能率とか、あるいはいろいろな点において、かなり制限がある現在においては、あるいは若干シヴィアに行われておるかもしれません。しかし、今、両局長が、第一には人命の関係、第二には地上物件との関係、こう言われますけれども、必ずしもその点は的確に行われてはいないのじゃないか。ことに人命の問題については、なるほど、採掘権に関する施業案には、操業上の危害予防に関する事項というのがあって、通気とか、いろいろ書いてある。ところが、これは今からします、こういうことなんですね。そういうことで、ただ、しますと書きさえすれば、結局認可をする。今、日本炭鉱で問題なのは、着炭をするまでの資金しか持たないで、結局小資本で、その後の施設とか、ことに保安の施設などというものは、炭を出してもうけて施設をしようということで、大きな例は、これは語弊がありますけれども、やはり杵島炭鉱なんかの争議というものは、何と言いますか、前資本主義的な経営から、資本主義の経営に移る一つの過渡的な苦難の状態が出てきておると思う。ですから、かなり膨大な資本をもってしなければ、現在の炭鉱経営というものはできない。ところが、最近は、着炭までの費用だけをもって炭鉱企業に飛び込む、こういう状態にあります。一体、それであなたの方では、図面だけで、ここにこういう通気をいたしますということだけで、施業案を認可する基準とされ、そして、その資格があると認定されるのかどうか、一つお尋ねいたしたいと思います。
  86. 小岩井康朔

    小岩井説明員 目下のところは、施業案が提出されますと、一々現地の調査ができておりません。従いまして、先ほどの御説明のように、石炭事務所派遣班の方に送りまして、これらの機関は、現地を十分に承知いたしておりますので、でき得る限り石炭事務所派遣班に、新しい資料に基く調査をしてもらいまして、それを全般的に通産局監督部で、さらに再審査をいたして認可する段階になっておるわけであります。なお、今後石炭局の方におきましても、施業案の提出されました場合には、でき得る限り現場で調査ができますように、予算その他を考慮してもらうことにいたしております。
  87. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 派遣班をもって調査を行うと言われますけれども、率直に言いますと、現場はそういう実態にないですよ。私は、炭鉱のまん中にいるのですけれども、現場の事務所に行きますと、きわめて哀れな状態です。最近盗掘の関係があるというので、一生懸命やっておりますと、もう施業案は、こんなにたまるのですよ。施業案はどんどん出て、そうして処理ができない。処理などというものは、みんな机上調査なんです。それから施業案を認可しますと、もう監督ができない。見ても見ぬふりをする以外にない。実際は監督ができないのです。なぜできないかというと、結局旅費がないでしょう。現場の石炭事務所で十人くらい、それで月に一人大体五百円くらいしかない。一体これで施業案の認可もせよ、さらに監督もせよ、それから盗掘も調べて回れといっても、六年前の自転車が一台しかないのです。ですから、仕事をしたら、どうにもこうにもやっていけない状態になっているのです。そこで、保安監督部に若干頼んで、どっか盗掘を調べてきてくれというようなことでしょう。保安監督部も、人がいるかというと、現地には二名か三名、それから保安監督部にいる者で、一つの大きな班に行くのが大体五、六名から十名くらい、それで一日にやる。それも毎日行くわけではない、そのうち三分の一くらい行く。こういうことで、結局監督も何もできない情勢にあるわけです。一体局長が本気で監督するつもりなら、こんなことでは監督できない。ですから、現在盗掘があると言いましても、見て見ぬふりをする以外に方法がない。施業案の認可がやっとで、その認可通りやっているかどうかという監督をする能力がないのです。人員も足らない、多くの金が要る。乗りものもない。しかも、相手は、施業案の認可通りやらない人とか、あるいは盗掘をするような人ですから、簡単にはいかないのです。一体こういう点を、どうお考えですか。
  88. 村田恒

    ○村田説明員 現在の石炭事務所の実情につきまして、非常に御理解のあるお言葉をいただいて、ありがたいのでありますが、仰せの通り、現在のところ、亜炭を含めまして、鉱業監督の方の人員は四十二名、年間の予算はわずかに七十万二千円で、十分な監督ができないような状況になっておりまして、まことに申しわけないのでございますが、先ほど申し上げましたように、三十三年度におきましては、施業案の審査、坑内の実測図の審査、施業案違反の処理、盗侵掘の取締り、他産業との調整、これらの項目を掲げて、旅費として百七十五万円、庁費六十九万八千円、計三百二万七千円というものを目下大蔵省と折衝中であります。これをもって十分であるとは存じませんが、何とかしてこの全額を大蔵省からとりたいと考えております。
  89. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは、実際全額とっても、できませんよ、県庁の出先でも、みんなジープを持っていますよ。ましてや、外から見れば相手がわかるというような状態ではないでしょう、坑内へ入ってみなければわからない状態でしょう。ちょっと入れば一日かかりますよ。二カ所受け持つといえば大へんなことです。外見では見えない、また中に入っても簡単にはわからないという、こういう状態で、一体監督ができると思いますか。保安局長は、抜き打ち監督ということを、ときどき言われておるけれども、抜き打ち監督なんかできますか。
  90. 小岩井康朔

    小岩井説明員 抜き打ち監督も、たまにはやっておりますが、仰せの通り、まだ現地には自動車もございません。毎年大蔵省に対しましては、強力にお願いをいたしておるのでございますが、なかなか実現ができません。来年度には、ジープ十一台、千二百万円ばかりを、ぜひともこれが実現を期しておるのでありますが、なかなか困難な事態にあるのであります。でき得る限りお力添えをいただきたいと思います。
  91. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは当然坑内保安の監督は、抜き打ち監督が必要です。ところが、実際は抜き打ち監督をやらない。なぜやらないかというと、小さな炭坑だから、係が一人しかいない。一人しかいないから、連絡をとっていかなければ、むだ足を踏むでしょう。それで、わざわざ連絡をとっていく。連絡をとっていくものですから、待ってましたとばかり、そのときはちゃんといいようにしてやる。全く、監督行政じゃないですよ。こういうような実態です。私は、なぜ抜き打ちをやらないですかと言うと、こういう事情だと言う。それは、むだ足を踏むわけにもいかない、わずかの人数ですから。ですから、これでは一体監督行政をやっているのか、やっていないのか、わからない実態であります。この点は、あとから大臣が見えたら、とくと一つ質問してみたいと思うのですけれども、こういう実態でありますから、一つそういう点を十分考慮してやっていただきたい、こういうことをお願いしておきます。  そこで、前に返るわけですが、施業案の認可のときに、予防しても予防しきれないものがある。たとえば鉱害。そうすると、予防処置を講じなさい、現在の科学をもってしては予防ができない、こういう場合がある。そういう場合に、なるほど、彼はすると言うけれども、実際には能力がない、する能力がない。また意思を持たない。そうして、かつても、結局鉱害の賠償もしなかった、こういう経験もある、経歴もある、こういうものに、一体認可をしますか。
  92. 村田恒

    ○村田説明員 一般的な基準を設けることは、非常に困難だと存じますけれども、ただいま仰せのように、非常に悪質である、あるいは絶対に将来鉱害を賠償するような意思もない、あるいは必要なる保安上の措置も講じないであろうというようなことが予見されるような場合には、施業案を認可すべきではないと考えております。
  93. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それはけっこうです、その意気込みはけっこうですけれども、そういう法的なものがあるのですか。相手から突っ込まれたらどうしますか。
  94. 村田恒

    ○村田説明員 法律上、施業案の認可権は、通産局長にあるわけでございまして、通産局長が自己の判断に基いて、ただいまのように悪質な場合には、強固なる意思を持ってこれを拒否するということをやるべきだと考えます。なお、しかし、それは相手方から突っ込まれた場合に、法律上、どうしてもいけないのかどうかという場全に、非常に苦しみますので、その場合には、たとえば供託金というものをきちんとやらせるとか、事実上、向うがその仕事をやっても、実際上あまり利益にならないであろうというふうな措置をとることによって、つまり行政指導によってこれを阻止していくというのが、ただいませい一ぱいのことでございます。
  95. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、供託金を出すことを条件に認可ができますか。(「それは一つの例だ」と呼ぶ者あり)これは重要なことなんだ。
  96. 村田恒

    ○村田説明員 条件とする場合に、法律の建前上無理だと思いますけれども、これは行政指導によって非常に長く引っぱる、つまり供託金を出さなければどうにもならないというふうに追い込んでくる、これは行政運用の妙ではなかろうかと思います。
  97. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 妙味でなくて、私はやはり法律の欠陥だと思うのです。外部からは見えないのです。ですから、あなたの方で、それでやれるというなら、大いにやっていただきたい。それはなかなかできない。現実にやってないでしょう。こんなのが認可されるはずがないと思うけれども、現実に供託金を積みなさいなんということは、やってないでしょう。
  98. 村田恒

    ○村田説明員 仰せのように、鉱業権というものは、ある面から見ますと、非常に強いようでございますし、まわある面からいいますと、非常に弱い面もあるように感じられます。ただいま、認可さるべきでないものが認可されるのはおかしいという事情もございますが、なぜこれだけのことを尽したのに、どうして認可されないということで、長くかかっておるものもございます。従いまして、今直ちに供託というものを条件に、その認可を与えるかどうかということは、ここで確答できないのを残念に存じますけれども、御趣旨の点は、至急に研究いたします。
  99. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は現在の、たとえば鉱害でも、供託制度というものを、もう少し実質的な価値のあるものにすべきだ。現在でも法律の制度があるのですから、もう少し価値のあるものにして、実際役に立つような供託制度というのが必要ではないか、こういうように考える。とにかく、第三者に影響を及ぼすのですから、そういう点を考慮願いたい、かように考えます。  次に、工業技術院が見えておりますから、お尋ねいたしたいと思いますが、どうも災害は毎年起って繰り返しておるのですが、手がない、名案はないものかとお尋ねするわけです。ことにアイソトープによる放射線の関係で、いろいろのものが現在測定をされておる。たとえばタンクの中の重油の測定とか、あるいはパイプの測定とか、大きな鋳物のようなものの中を測定しておる。こういうようなことが行われておりますが、そういった観念をもって坑内を、ことに地下の古洞なんかを調査する方法はないものだろうか。あるいはまた、最近地震探鉱とか、いろいろな探鉱法というのが考えられておる。こういうのを、人工衛星ではないですが、人工衛星の出現する時代ですから、もう少し金を費して、予算を組んで研究すれば、ある程度までいけるのではないだろうか、こういうように考えられるのですが、そういう点について、工業技術院ではどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  100. 鈴木俊夫

    ○鈴木説明員 ただいまの御質疑に対しまして、研究所といたしまして考えております問題としては、多々あるのでございますが、保安問題につきまして、ここに新しい何らかの科学技術を適用するといたしますと、第一点として考えられますのは、保安計測上の問題であろうかと思います。これにつきまして、古洞の探査とか、あるいはラジオ・アイソトープとか諸種のお話がございましたが、基本的な構想としては、いずれも実現し得るのではないかと考えております。まず第一点の、この古洞に対する坑内出水の予防策でありますが、これにつきましては、従来、いろいろ電磁気的な方法を考慮いたしていましたが、いずれも相手が岩石という特殊な物体でありますので、それを遠距離に対して効果あるように適用することが、どうもむずかしい。そこで、最近は、電気音響的な方法、あるいはラジオ・アイソトープの利用によります事前予防というような点について、一通りの基礎実験をいたしておる最中であります。第一の電気音響的な方法につきましては、これは専門的に申し上げますと、それに使う周波数の問題でありますとか、あるいは岩石という特殊の物体に使う減衰率とか、そういった方面に非常にむずかしい点がございます。現在の基礎実験の結果におきましては、一通りそういうもののめどが立ちまして、今後相当の予算を使って、応用段階について研究を進めますならば、あるいは近い将来において、便利なものができ上るのではないかと思っております。  それから、ラジオ・アイソトープの利用につきましては、昭和三十三年度の予算において請求をいたして、通過をいたしますれば、さっそく研究を開始したいと思っております。  それから、その他の保安上の計測の問題につきましては、最近におきましては鉱山におけるエレクトロニクスを非常に進展をさせまして、それによって、いろいろな鉱山の保安予防上の計測を推し進めたいというわけで、これも現在のところは、実験室的な研究をほぼ終了しかけておるのでありますが、それの実利的な方向といたしましては、これも昭和三十三年度の予算に要求をしております。これが通過次第、研究をいたしたいと思っております。
  101. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この坑内関係を、もう少し明るみに探知できるような方法が講ぜられると、非常にいいと思う。あらゆることが解決する。今まで悩んでおりますところの問題が、一挙にして解決するといえば、大げさですけれども、解決する感じを持つわけですので、ぜひ一つこの方面については、御努力願いたいと思います。  最後に、保安局長に一言質問してお書きたいのですが、やはり経営者の方も、保安はどうしてもおろそかになる。どうしても生産の方にいく。これは重点が非常におくれた理由であると貝島でも言えますし、またこの東中鶴でも、先進索孔をやるがいいじゃないかというのですけれども、こういう計画も、やはり請負給のような関係で、工員が索孔はやりたがらない。そうして、どうしても、そのひまがあれば石炭を掘った方がいい、あるいは掘進をした方がいい、こういうような状態になる。そうして、炭鉱の機構そのものが、全部生産第一主義といいますか、そういうような状態になる。最近は、採炭技術なんかが向上してきて、採炭機械が入ってきましたけれども、従来は、どっちかといえば、運搬系統ばかりの機械が導入された。結局運搬系統の機械といえば、単位労働時間の密度を強くする、こういうことで、いわばてんてこ舞いをして働く、こういうシステムになっておる。こういうことが、全般的に保安をおろそかにされるゆえんである、かように考える。ところによって、いろいろ違いますけれども、たとえば、保安監督員という制度がありますけれども保安監督員は、鉱山保安法によって、保安管理者あるいは副管理者に対して勧告権がある。ところが、この監督員というのは、職制上、保安管理者あるいは副管理者よりも、はるかに下の地位にある。しかもこれらの人々は、往々にして、いわば閑職と称して、あることでどうもうまくいかなかったから左遷をされるような人間が、とかく監督員になっておる。ですから、これは首を切られる寸前のような者が監督員になって、これが保安管理者に勧告権があると言いましても、それは法律の条文だけですよ。実際は要らぬことを言っておりますと、これは勤務不良ということで、何か解雇でもあれば、整理基準に上る、こういうようなシステムになっておる。炭鉱によって若干違いますけれども、大体そういうようになっておる。私は、こういうところに、やはり問題があるのじゃないかと思う。いかに鉱山保安法がりっぱに書いてありましても、実際の運営がそういう状態では、どうにもならないと思う。一体これらの点について、どういうようにお考えですか。
  102. 小岩井康朔

    小岩井説明員 ただいまの監督員の問題につきましては、仰せの通りでありまして、私どもも、この監督員の制度は、必ずしも悪い制度ではないと考えております。実際には、ただいまのお話のように、現地におきましては、所長よりもはるかに低い方が監督員になっている。従って、なかなか大きな勧告もやりにくいというような実態はございます。しかし、個々に見ますと、非常にりっぱな勧告をいたしておりまして、膨大な内容に及んでいるものもございます。しかし、全般的に見ますと、なかなか監督員の勧告というものは、かなり私どもの希望よりも遠い状態にあるということは、確かであります。しかし、なかなかむずかしい問題でありまして、出発当初は、本社にも監督員を置きまして、現地にも監督員を置いておったのであります。本社の監督員がたまに参ります関係で、しかも籍が本社にある関係で、非常に強いのであります。よく勧告の実施もできるのでありますが、常々本社におりまして、たまに現地に行くということになりますと、やはり監督員の現場把握が非常に弱くなってくる。そうかと申しまして、現場にしょっちゅう駐在させまして、監督員という地位に置きますと、現場の把握は十分にできるのでありますけれども、所長よりも上に置く、あるいは所長と同格に置くということが、なかなか困難な状態にありまして、同格になかなか置き得ないのであります。そういうような関係で、どうしてもこの仕事の中に入ってきますと、所長の下にくる保安管理者と同格くらいに考えているのでありますけれども、なかなか同格のところよりも、あるいはそれ以下のところが多いわけであります。ただいまお話の通りでありますが、これは非常にむずかしい問題でありまして、私どもも、つい最近も北海道に参りまして、監督員全部を集めまして、いろいろ意向を聞いてみているのであります。現場にずっといることも必要でございますけれども、弱い。そうかと言いまして、本社にばかり置いても、これまた困る。所長と同格でも困るし、所長の下でも困る。なかなか手ごろなところがないわけでありまして、監督員は、全部ではございません、相当大規模の山でないと、監督員を置いておりません。小さい山でも置くということになっておりますけれども、実際問題としては、労務者千人以上の大鉱山でありませんと、監督員の制度はないわけであります。これは運用によって、かなりうまくもいくし、まずくもなるというような関係でありまして、でき得る限りその会社の実情に応じまして、この監督員がりっぱに動けますような環境を、何とか作りたいという方向努力をいたしておるわけであります。必ずしも、この監督員の制度、私は悪いものとは考えておりません。これをいかに活用していくかというところに、苦心をいたしておるのでありまして、現状では、これがかなり活発には動き得ていないのが実情かとも存じております。
  103. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 鉱山保安局は、いわば機構改革があるたびに、縮小されるとかあるいは併合されるといううき目にあうことは、最近の政府においても、常にうわさに上る。しかし、われわれは、これは監督行政だから別個に置くのだ、石炭局長の下に保安監督されてはたまらぬ、こういうことで、保安監督のいす並びに保安局長のいすを、むしろわれわれが守ってきた。これは、解釈においては同じことだと思うのです。それは、炭を出す所長の下に置いておったら、監督しなさい、勧告権はありますよと言っても、意味はないですよ。そこで、何らか独立的な制度を考えなければならぬ。今の監督員というのが、悪いというのではないですが、運用がうまくいかないのは、そうついう理由がある。そこで、むしろ被害を受ける労働者側の地位を、保安監督行政に置いて利用したらどうか。たとえば、労働組合が悪ければ、保安委員会という制度がある。保安委員会という制度は、一応労使から出ておりますから、これは少くとも所長の下の部下がなるというよりも、保安委員会から派遣する、保安委員会として動く。そういう機能の方が、いわゆる別個の独立機関として、監督上意義があるのではないか。それが勧告権を持って、実際監督して回る、こういう方が、意義があるのではないかと考えるのです。ただ並べただけで、しかも職制はずっと下にあって、そして上の者に勧告せよなんて言いましても、それは意味はない。むしろ別個の人格を与える必要があるのではないかと考えるのですが、その点はどうですか。
  104. 小岩井康朔

    小岩井説明員 保安監督員の問題につきましては、私どもの方でも、その活用について十分動いているというふうには考えておりません。今後、至急に監督員の内容、十分に動き得るような状態、それらを十分に検討いたしてみたいと考えておりますので、多少の御猶予をいただきたいというふうに考えております。
  105. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 別の機関を所内に設けるといいましても、私はやはり限度があると思うのです。ですから、この被害者である、いわば災害の被害者である労働者の意見が十分反映をされる機構を、むしろ対立的に監督行政の一助としたらどうか、こういうように考えるわけです。そこで、保安委員会というものを、ただ協議するだけでなくて、もう少しその事務局というようなものを置いて、動ける体制あるいは保安委員が動ける体制というものが必要ではないか、こういうことが一つと、さらに、局長が、かつて課長さん時代にも、門司その他に災害があって、私たちが、なぜ労働組合に保安監督官は寄らないのか、保安監督官がちょっと寄って、きょうはこういう指示をしてきた。あまり秘密なことは別としても、ここが危ない、こういう指示をして、なぜ注意をしないのか、こう言いましたところが、石橋通産大臣は、これは御趣旨のようにやりますということを、私はきょうも速記録を持ってきて、間違いがないということを確認をしたわけですけれども、そうおっしゃっておる。ところがそれが全然実施をされていない。いないどころか、私ども保安監督部長に現地で聞きますと、そういう指示はしておらない、寄らなくてもいいという指示が来ておる。まるっきり国会で答弁をしたのと、現地に流したのと違う。あなたは課長さんでしたから、おそらく聞きのがしたかもしれぬけれども、ほんとうにけしからぬことをおっしゃっておる。そこで、少し注意をすれば、これは労働者の方は、賃金闘争やその他と違いまして、共通した面ですから、対立した面ではないのですから、それはみずからのことですから、注意をします。ところが、その注意を周知するような状態になっていない。これははなはだ遺憾に考えますが、その点はどういうようにお考えですか。
  106. 小岩井康朔

    小岩井説明員 ただいまのお話は、全然反対のことを伝えておるということはないのであります。実は鉱山保安局の秘扱いとしまして、三十一年の一月十七日付で、現地の監督部長あてに指示しておるのでござりいます。これの内容は、秘にいたしておりますので全文は公開いたしませんけれども、この中では、要するに、鉱務監督官が山に巡回監督に参りました節は、巡回監督票というような適当なものを通じまして、いつからいつまで、だれがこの山に来ておるということを公示してほしい、公示させるということを、各監督部長には指示しておるのであります。なお、鉱務監督官が参りましたときに、一緒に坑内に下りたいという御希望のあったときは、権者側の了承があって、しかもなお司法警察その他特別な関係で、業務に特別な支障のない限りは、一緒に下ること差しつかえないということも、指示しておる次第でございます。
  107. 小平久雄

    小平委員長 多賀谷君、だいぶ時間が経過しましたから、あと井手君が質問がありますから、簡単に願います。
  108. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 監督部長は、巡回検査の日時については、組合に対して特に通知しない方針である、こう来ておる。これは公文書で労働組合から、福岡の飯塚の班を通して福岡鉱山保安監督部にこの件に関して伺いを立てた、それに対して返事が来ておる。それには、巡回検査の日時については、組合に対して特に通知しない方針である。ただし、巡回監督票をして、鉱山労働者に周知せしめるということは、これは書いてある。しかし、現実あなたの方でも、この鉱山保安法には、保安委員会というのを作って、労働組合の存在を認め、労働組合の過半数の推薦を受けた委員を出す、こういう、いわば戦後の新しい立法として、労働組合の意見を聞くという制度があるのですから、私は、何もちゅうちょする必要はないと思う。現実に労働組合というものは存在しております。保安というものについて、真剣に取っ組んでいる団体があるのですから、しかも、それはそこの従業員です。ですから、私はそれについて、労働組合だからやはり不安だ、会社だけに言っておく、こういうことはあり得ないと思うのです。そういう遠慮はなさらなくてもいいのです。ですから、当然労働組合にも通知する。法律はないのですから、通知義務はないでしょうけれども、しかし私は、やはり実際問題として、そう扱われた方が、災害が少くなる、災害を撲滅する方針の一助になると思うのですが、どうですか。
  109. 小岩井康朔

    小岩井説明員 ただいまのお話は、監督官が参りますときに、事前にその日時とが、あるいは検査の個所を通知する必要はないという意味でありまして、組合に何も関係を持つなという意味ではありません。お知らせする必要はないのじゃないかという意味であります。従いまして、山に参りましたときには、やはり監督官が、いつからいつまで、だれがどういうところを回るこいうことは、山にちゃんと公示するように指示しておるのでありまして、前もって文書でお伝えはしない、こういう意味でございます。
  110. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 事前に伝えてもらわなくてもけっこうです。見えたときに、あるいは検査をされた後でもいいですけれども、ちょっと立ち寄っていただくなり、あるいは連絡していただいて、こういう個所を注意したからお知らせしておく、こういう一言でいいと思うのです。私は、しゃくしばった話をしているのではない。事前に組合に通知せよ、しかもそれを義務づけよ、にういうことを言っているのではない。そう扱われた方が、災害がなくなるのに非常に役に立つのだ、こういう話をしておる。
  111. 小岩井康朔

    小岩井説明員 この問題につきましては、事実、もう監督官が山に参りまして、立ち寄る監督官もございますし、ともども一緒に坑内に下る監督官もございます。それから、済みまして、講評を全部にもちろん聞いてもらっておりますし、なおかつ、帰りに組合に寄る監督官もございます。ただ私どもの方で、すべて一様にそうせよという指示を明瞭にいたしてないだけで、監督官が参ります日時も場所も公表させ、そして権者の了解があればいつでも下るし、あるいはそういうかた苦しいことでなくても、事実上やはり炭鉱の組合の方々と、ともども下り、お話の、注意事項の内容をお伝えしておる場合も、もちろんございます。ただ、全部がかように一様にできていないという状態でありまして、漸次そういう状態になることを期待もし、そうなることを漸次監督官にも指導して参りたいというふうにも考えておりますが、正式に、今すぐここで、全部がそういう態度をとれと言うことは、ちょっと申しかねておるというような状態でございます。
  112. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 漸次そういうようになりつつあるという話ですが、漸次なりつつないのです。それは、赤池などの災害の場合に、災害の起った直後はあったそうです。しかし、その後は全然ない。行く監督官もあるが、行かない監督官もあるという、何か半分ぐらい確率があるような話ですが、そんな状態では、実際はないのです。ですから、局長の方で、そういうことが好ましいと考えられるならば、今後そういうように指導していただきたい。これをお願いしまして、一応大臣の質問はあとからいたします。     —————————————
  113. 小平久雄

    小平委員長 次に、鉱害に関し質疑を許します。井手以誠君
  114. 井手以誠

    井手委員 簡単に、杵島炭鉱北方鉱業所の買い上げに関係する鉱害復旧の紛争について、お尋ねいたしたいと思います。  御承知のように、北方鉱業所は、平坦地を掘進しておるのでありまして、そのために、農地の鉱害が二百町歩に及んでおるわけであります。従って、二、三年前から、鉱害復旧に着手いたしております。ところが、最近これを閉山して、整備事業団に売るという話が、急激に進んで参りまして、せっかくの鉱害復旧を中止させた。そして地元の農民に対しては、打ち切り補償を交渉して参りました。御承知の通り、農民は、こういう交渉には、ふなれでありまして、法律に暗いものであります。聞くところによりますと、炭鉱側からは、杵島炭鉱の方ではもうこの炭鉱はいつぶれるかわからない、こういうようなことを申して、そのために、農民の方では、それでは一銭でもとった方が得だ、こういうようなことに話がだんだん進んで参りました。あるいは一ぱい飲ませたとか、おどされたとかいう話がありますが、真偽ははっきりいたしません。いずれにいたしましても、そういうことで話が進んで参りまして、私は先般その事情を知りまして、福岡の方に出向いて、あなたの方の鉱害課長さん、それから整備事業団の鉱害課長さんに現地に来ていただいて、関係農民代表と懇談をいたしたのであります。その際に、県の農地課長も来てくれまして、こういう紛争の事態であるから、買い上げを待ってくれ、しばらく慎重にしてくれぬか、こういう相談をいたしておきましたにもかかわらず、去る十三日に、北方鉱業所の買い上げが決定をいたしました。その打ち切り補償の金額は、反当一万三千円くらいであります。先刻私が、飲ませたとかおどしたとかいう話の真偽は別にいたしましても、いずれにしても、炭鉱側の鉱害復旧に対する負担を免かれようとしておる策動があることは事実であります。その証拠には、従来、鉱害復旧の工事費は反当九万円である。ここに県側の電報も持っておりますが、六十四町七反の復旧に対して、工費が五千七百九十万円と回答が参っておるのであります。そうなりますと、反当九万円、炭鉱側の負担は三万一千五百円になるのでありまして、三万一千五百円の反当復旧費、炭鉱側の負担に対して、打ち切り補償額はわずかに一万三千円、こういうことになるのでありますし、一たん打ち切り補償をもらったならば、将来、この鉱害の復旧という国土の保全が見込めないのであります。  そこで、この点について、まず、こういう状態を前提といたしまして石炭局長にお尋ねをいたしますが、こういうふうに鉱害復旧が着手されておるものを、また、打ち切り補償では鉱害復旧が見込めない状態を知っておって、なおこの炭鉱をお買い上げにならねばならないのか、急いで買わねばならないのか、この点を私はお尋ねをいたしたいのであります。臨時鉱害復旧法の第一条に書いてありますように、国土の有効な利用と民生の安定、こういった鉱害復旧の臨鉱法の精神から言っても、私はこれは法の精神にもとるものである、かように考えておりますが、局長の御意見を承わりたいと思いますとともに、おそらくこの真相については、詳しく御承知ないかもしれませんので、すみやかに現地の調査をしてもらいたい、これを要望申し上げるのであります。
  115. 村田恒

    ○村田説明員 ただいま御質問の、二点ございましたが、あとの方の現地の実情をよく知らないだろうというお言葉でございますが、仰せの通り、私は報告に接しておりますだけで、現地も見ておりませんし、十分にこまかい、特に金額の相違の点、県の言っております金額、それから事業団の方で考えております金額、従って出て参りましたところの一万三千円の打ち切り補償の金額、それらが妥当であるかどうかということにつきましては、ただいまここで意見を申し上げるだけの資料を持ち合せておりません。  第一点の方の、復旧事業団が、復旧を第一義にしていくか、打ち切り補償をここでやっていくかという問題でございますが、これは事業団が炭鉱を買収いたしましたときには、その事業団が、その炭鉱の鉱業権者になるわけでございます。従いまして、鉱業法第百九条の規定によりまする鉱業権者としての鉱害賠償責任を、事業団が負うことになる。詳しく申し上げますと、事業団が買い取りまして鉱業権者となる前に発生しておりました鉱害につきましては、売り渡した前の鉱業権者が第一次的に賠償の責任に任ずるわけでございますけれども、事業団も、その賠償の債務につきましては、連帯責任を負っておるわけでございます。従いまして、以前に発生したものにつきましても、事業団としては、その責任が逃れられない。これは鉱業法百九条第三項の規定の責任を負うわけであります。また事業団がその炭鉱を買収いたしました後に発生いたします鉱害につきましては、事業団が当然鉱業法第百九条第一項の規定によって、賠償責任を負うわけであります。さらに事業団は、このような賠償責任を完全に履行いたしますために、次に申し上げますような措置をとるようにいたしております。第一は、買収いたしましたときに発生している鉱害もありますが、買収したときに発生している鉱害であって、すでにこの鉱害が安定している状態にある安定鉱害につきましては買収前に、それを売って参りましたところの鉱業権者に、その鉱害の賠償の処理を全部完了させまして、しかる後に買収契約を締結する。これによって、その鉱業権者に、どうしてもその鉱害賠償をやらしていくという建前をとっております。さらに、買収したときに発生している鉱害でありまして、現在その鉱害が進行中のもの、安定しておらない鉱害、その問題につきましては、どのくらいの鉱害が起るであろうか、鉱害の発生する分量を予想いたしまして、その賠償に必要だと認められます金額を、炭鉱の買収代金から控除いたしまして、その予想鉱害賠償額を積立金として留保する。後日鉱害が安定いたしましたときには、その積立金をもって事業団が鉱害の賠償を行います。さらに、買収したときにまだ発生していない、将来起るであろうと予想されます鉱害につきましては、今第二番目に申し上げましたのと同様な方法でもって、予想されます鉱害の賠償額を積み立てて、後日事業団から賠償を行うというふうにいたしております。  ところで、これらの方法によりまして鉱害賠償の万全を期しておる次第でございますが、そういう建前をとっておりますけれども、安定しております鉱害につきましても、その賠償につきまして、売り渡していこうという炭鉱と被害者との間に、協議をまとめますのに、非常に時日を要します。そのために、買収契約が非常におくれるというおそれがあります場合には、やむを得ない措置として、売り渡し炭鉱主が責任を持ってその賠償義務を完了いたしますという誓約書を入れさせることを条件にいたしまして、その鉱害賠償に必要とする費用を、一応保証金として事業団が留保することを条件にして契約を諦結するということを認めているわけであります。これが事業団の現在賠償についてとっております方針でございます。  ただいま具体的にお示しの杵島の北方の問題でございますが、冒頭に申し上げましたように、詳しい実情をまだ調査しておりませんけれども、御承知のように、杵島炭鉱は、非常に長い間のストライキで、全く疲労こんぱいしているわけでございます。そうして、今この杵島の経営及び杵島炭鉱に働いている労務者を、どうしてもう一回立て直していくかという杵島炭鉱再建の問題が、喫緊の問題として考えられているわけでございます。これは、ひとり炭鉱の問題だけでなくして、杵島炭鉱をめぐる全町の生計の問題になっているわけであります。その立ち上り資金というものを、どうして調達していくかということは、今後杵島炭鉱再建にとって非常に重大な問題でございます。それらのいろいろな事情をも考慮して、この事業団の買収ということが急がれておったのではないかというふうに想像される次第でございます。
  116. 井手以誠

    井手委員 最後にお話になった杵島炭鉱の再建については、私も非常に関心を持ってお世話したことがございましたが、そのことと、被害農民をそれではほったらっかしていいかということとは、別問題です。そういう炭鉱の紛争があればこそ、長い間、関係農民はがまんをして待っておったわけです。待っていたのに、突然こういう事態が起ってきた。こういうような実情が、私が現地おりまして知っております事情でございますが、ただいま御答弁になった中で、いわゆる法律にはありませんけれども、安定鉱害といわれるものは、炭鉱が鉱害賠償について完了したことを認めた上で買収する、買い上げをする、こういうお話でありますが、このことの証言は、やはり部落とのいろいろな調印であるとか、交渉の裏づけが必要であろうと思います。しかし、先刻ちょっと申し上げましたように、九万円も十万円もかかる鉱害に、わずか一万三千円で完了するとは、常識的に考えても、これは納得できない、少いです。かりに九万円が六万円であっても、農民は、臨鉱法の第一条の目的に書いてあるように、鉱害が復旧されることを念願しておる。しかし、打ち切り補償が一たんありましたならば、今後国庫の補助も見込まれない、自己負担は、とてもこれはできないのであります。こういう実態を知っておりながら、完了したと認めて買い上げる事業団のやり方が、私は気に食わないのであります。なお、その点については、きょうは時間もあまりございませんから、私もさらに調査をして、この席でいろいろとお伺いをしたいと思っておりますが、一つ局長には、私の申し上げたことも十分念願に置いて、御調査をいただきたい。これをお願いいたしますとともに、農林省にお尋ねをいたします。  今までの質疑応答で、大体御承知になったかと思いますこの二百町歩の農地の鉱害のうちに、安定鉱害として百六十町歩が打ち切り補償の対象になっておるのであります。先刻申し上げますように、県の耕地課長は、非常に心配をしておる。これは、一部判を打ったとかなんとかいうことで、判を打った数で大体よかろうというので、事業団は買い上げられたようであります。判を打った区長やその他多くの人がだまされたのだ、困ったことになった、判を打ったが、ぜひ一つ世話をして下さいというのが、関係農民ほとんどの希望なんです。こういう、国土が破壊されたままになる、農地が破壊されたままになるというこの事態に対して、農林省は一体どうお考えになるか、この点を一つお伺いをいたしたい。
  117. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 杵島炭鉱の問題につきましては、特に農地の鉱害復旧について、今詳しくお話があったのでありますが、まだ農林省といたしまして、十分地元から報告なり連絡がないので、あまり承知いたしておりませんが、早急にこれは取り調べて対処したい、こう考えております。特に、今御指摘になりました鉱害農地二百町歩、そのうち安定鉱害が百町歩余になっておりまして、われわれといたしましても、やはり鉱害を受けました農地については、特に安定鉱害としてはっきりしておる点につきましては、できる限りこれが復旧に努めていきたい、そういう考えで対処したいと思っております。
  118. 井手以誠

    井手委員 もうお答えは求めませんが、この杵島炭鉱、これはどこでも、多くの炭鉱はそういう状態ですが、杵島炭鉱のやっておることは、ここに一つの例が示されたように、そのほかにも大町町においても、江北町においても、たとえば、減収賠償などということについて、初めから二割を差し引いてからしか賠償しない、こういうことで、非常に関係農民が今日怒っておるのであります。どうぞ農林省でも、特に直接関係のある農地局においては、至急に調査をされますようにお願いしまして、来春になりましてからあらためて御質問申し上げたいと考えております。  ありがとうございました。
  119. 小平久雄

    小平委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。     午後一時二十六分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議
  120. 小平久雄

    小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいま自由民主党及び日本社会党の共同提案により、繊維産業不況対策に関する件について、本委員会において決議せられたい旨の提案がなされております。この際提案者の趣旨弁明を許します。阿左美廣治君。
  121. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 私は自由民主党、日本社会党共同提案による繊維産業不況対策に関する決議案を提出いたしたいと存ずるのでございます。  まず、先にその決議案を朗読いたします。    繊維産業不況対策に関する件   今日まで、繊維産業については、政府及び業界が生産調整、過剰設備処理等の措置を講じ、需給及び価格の安定に努めて来たが、昨今の繊維産業、なかんずく人絹糸及び人絹織物業は、不測の輸出不振、加うるに金融引締政策により、最悪の不況事態となり、その影響は全繊維産業界に及んで、従来例を見ない長期且つ深刻な不況の様相を呈している。   よって政府は、この重大な危機を打開するため、左記事項に基き、生産及び流通の両面に亘り早急な対策を講ずるは勿論、この際抜本的な施策を樹立すべきである。      記  一、生産調整に必要な、長期且つ低利の資金を確保して、その貸付手続の簡素化及び貸付の迅速化を図り、併せて、国庫による利子補給の途を開くとともに、速かに税金の減免措置を講ずること。  二、繊維製品の海外市場の拡大を図り、特に輸出入絹織物滞貨の処理については、特別の措置を講ずること。    なお、輸出における過当競争を排除するため、輸出入取引法による指定機関の設置を急ぐよう配慮すること。  三、生産調整の実効が確実に挙がるよう、指導監督を強化するとともに、操短によって、労務者の実質的な収入に影響を与えることのないよう、格段の配慮を払うこと。  四、過剰設備処理の促進を図るため、国庫補助の画期的増額を図ること。  五、繊維産業の総合対策を速かに樹立すること。  右決議する。 以上であります。  ただいま決議にもあります通り、現在繊維産業は、過去見ざるところの不況に直面したのでございます。これはいろいろの原因もあることながら、輸出の不況ということと、金融引き締めによる影響が重大だと思うのでございます。このままに放置するならば、重大なる社会問題にも進展するのではないかというおそれを、われわれは持っておるのでございまして、要するに、これらの問題を解決するには、結局は、資金関係によるのでございます。  御承知の通り、中小企業は経済が浅く、いろいろな影響を直ちに受けるのでございます。ことに繊維産業は、中小企業が最も多く、ほとんど全部が中小企業によるところの繊維産業でありますので、金融引き締め、また輸出の不振ということは、直接その影響を受けておるわけであります。そういうような点から考えまして、私は、何と申しましても、金融の道を講じていただくことが最も必要ではないかと考えます。金融の道を講ずるとしても、弱い中小企業に対しては、政府施策によらざれば、単なる金融業者の手において援助することはできがたいのでございます。いろいろな条件が備われば、市中銀行からも、幾らでも融資は受けられますけれども中小企業は、そういうような条件がなかなか備わっていないというような点、ことに、現在不況に対して、中小企業は、相当のストックを持っておるといつうようなことから考えてみますと、この金融措置がきわめて困難でございます。そういうような点を考えますと、どうしても私は政府の画期的特別な措置がなかったならば、中小企業の金融を円滑にすることはできがたいのではないかと考えます。いろいろ決議案にもあります。もちろん、生産の調節ということは必要でございますが、過剰生産になれば、自然物価は下落することは当然で、そういうような点から考えてみますと、現在設備の調整を行なっておりますが、やはり業者の負担が過重でありまして、御承知の通り、国庫においても補助がありますけれども、その補助は非常に少額でございます。こういうような点で、業者の負担が非常に大きいということから、円滑に進むということもなかなか問題であります。こういうような観点にかんがみても、政府は、今後大いに予算措置を講じて、織機の整理に対しては、格段の御高配を願いたいと考えております。  また輸出の問題でございますけれども、現在不況になっておりますが、相当の数量をストックしております。そういうような問題を解決するに当りましては、ただ値段の問題ばかりではなく、販路の拡張が最も必要と思うのでございまして、そういうような面に対しては、政府は特段の施策を講じて、販路の拡張に御努力を願いたいと思うのでございます。そういうような点を解決いたしますれば、繊維産業というものは、国民の衣料であり、また世界的の衣料でございますので、決して前途はそう悲観すべきものではないと信ずるのでございます。そういうような点に対して、大いに今後販路の拡張を願いたいと思うのでございます。  大体、輸出産業が主体になっておりますけれども、輸出の不況に関連して、国内の繊維産業に非常に重圧がかかって参りまして、現在、むしろ国内の繊維産業の方が、きわめて零細な業者が多い。こういうような業者には、今後重大なる問題が起きてくるのじゃないかということを、非常に憂慮しておるのでございまして、輸出産業による人は、比較的中小企業としても、相当の力のあるものが多い。ことに、人絹糸のごときは、人絹六社あたりは、自分の力においても、相当の経済力を持っておりますから、この不況に対しても、耐える力を持っておりますけれども、零細業者は、そういう力はございません。こういうような点を大いに考慮していただいて、単に輸出業者のみならず、国内の中小業者に対しても、格段の御助力を願いたいと思うのでございます。  こういうような点を考えてみますと、むしろ私は、今後輸出業者よりも、国内の零細業者の繊維産業業者の方が、非常な困難を来たすような状態になるのじゃないか。今までの経験から申しますと、人絹会社というものは相当の力がありますので、自分でも更生するだけの力を持っております。政府はこの人絹会社に対しましては、現在五割操短の勧告をしております。そういうようなことから、人絹は、ある程度の安定は、この勧告によってでき得るのではないか、生産の調節はでき得るのではないか、こういうふうに考えます。そういうようなことから考えてみますと、原料の人絹系は相当安定いたしますけれども、やはり中小企業の零細業者が作る製品は、流れが安定しないということになりますと、原料と製品のアンバランスになるというようなことが、今後中小企業の国内の業者に対して、非常に憂慮されるところでございます。こういうような点に対しましても、一つ政府は相当監督をしていただきまして、互いに業種の成り立つような方法を講じていただきたいと思うのでございます。  こういうような点にかんがみてみますと、現在の繊維産業の実態から見まして、この決議は当然でありまして、これは、ただ単なる決議でなくして、ぜひともこの決議を尊重していただきまして、これを実行していただく、そうして中小企業現状を何とか打開するような方法を講じてもらいたいということが、本決議の趣旨でございます。  以上であります。
  122. 小平久雄

    小平委員長 これより討論に入ります。通告があります。これを許します。加藤清二君。
  123. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただいま上程されております繊維産業不況対策に関する決議案を、一日も早く実行に移されることを祈念しつつ、賛成の意を表せんとするものでございます。  日本社会党は、再三本委員会において、今まで、大臣に対し、この不況対策を急ぐように、何回か約束したはずでございますが、それが今日まで、どういうものの都合か、ただ繊維局のみにたよって、ほんとうに抜本的な対策がとられていなかった。従って、繊維局の事務の方々のなみなみならぬ努力にもかかわりませず、効果が上っていないということを、非常に遺憾に思うわけでございます。岸さんが、ほんとうに岸ブームを出そうと思うて、かねや太鼓でやっておられても、一向にブームが上らない原因の一つは、繊維の不況にあると存じます。もしこのままで解散を行われんか、結果は火を見るより明らかな事実でございます。ところが、ここに一つだけその名誉を挽回する手がございます。それはこの決議をすみやかに実行に移す、こういうことでございます。一声でございます。融資をする、それだけでございます。ところが、それがなかなか行われないから、こういうふうに時間をかけなければならぬ。  さて、簡単にということでございますから、簡単にその急がねばない理由だけを申し上げまして終りたいと存じますが、繊維商社の倒産を、東京信用交換所で調べてみますと、去年は一月から十一月までの集計で三百二十件でございます。ところが本年に入りまして、やはりそれと比較してみますと、一月から十一月までに五百八十六件ございます。三倍の余にふえております。金額は二百五十一億になっております。これは十二月を抜いての計算でございます。この不況は、人も唱えておりますように、二月危機説が唱えられております。今度年の瀬の十二月と一月、二月を加えますと、この五百八十六件はまさに飛躍的に伸びるのではないか。この影響が機場に及んでおります。機場が倒れましたこの結果は、倒れないで今気息えんえんとしております機場も、なお影響が大きくて、結局しわを勤労者に寄せております。夜業をやらなければならぬ。夜業をやっただけでは足りないから、労働基準法が憎たらしゅうて憎たらしゅうてかなわぬ、こういうように相なっております。しかしながら、どれだけ働いても賃金は上らないので、遂に地元では、女工さんが言葉に表現し得ざる行為までしなければならない、こういうことになってきております。まさに女工哀史が出現しつつあるのでございます。先ほど、同僚阿左美さんから、社会問題だといわれましたのですが、まさに社会問題。昨日の参考人の陳述の中にもありましたように、それほどまでやらなければならぬのなら、もう女工をやめて、カフエーなりあるいはもっと色町なりに行ってしまおう、こういうわけで、その前身を調べてみますと、女工さんが非常に最近はふえている、こういう状況でございます。  そこで、政府としては今まで、これに対して操短という手をとって来られました。これもけっこうなことでございます。ところが、今度の打たれようとしております二割操短、三割操短はこれは及ぼす影響がきわめて甚大でございます。だから、もう操短は限度に来ているというて差しつかえないと存じます。すなわち、操短は、やがて受け取りが少くなる。支払いの手形は次から次へ回る、それで投げ売りをやる。すでにそのことが行われて、名古屋あたりでは、十五億の投げ売りが出ている状況なんです。このことは結局どういうことになったかというと、投げ売りが内地だけでおさまればよろしいですけれども、外国、輸出にまで及びました。従って、この輸出の数量はある程度伸びたけれども、受け取りの金額、ドルは一千万ドルの余減ってしまっている。操短の原因といい、延引といい、すべて金融引き締めが最もウエートが大きいのでございますが、その金融の引き締めは、国際収支の改善にあったはずなんです。ところが、スフ、人絹、糸へんに関しては、全く逆な結果が生じてきている、こういうことでございます。  そこで、ぜひこの際、政府としては、早急にこの決議を実行することによって、不況のどん底にあえいでいる業者を救うと同時に、国際収支の改善の基礎にしていただきたい。こう心から祈念して、こよなく糸へん産業を愛する社会党は、心からこれを祈念して賛成の意を表するものでございます。
  124. 小平久雄

    小平委員長 お諮りいたします。繊維産業不況対策に関する件を、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  126. 小平久雄

    小平委員長 なお、自由民主党及び日本社会党の共同提案による鉱山災害防止に関する件について、本委員会において決議せられたい旨の提案がなされております。この際、提案者の趣旨弁明を許します。多賀谷真稔君。
  127. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 自由民主党並びに社会党を代表いたしまして、鉱山災害防止に関する件の決議を提案いたしたいと思います。  まず案文を朗読いたします。    鉱山災害防止に関する件  近時、炭鉱災害頻発し、貴い人命と貴重な資源が失われていることは誠に遺憾で  ある。   よつて政府は、このような事態を重視して、次の事項について特段の措置を講じ、  災害発生の絶滅を期すべきである。  一、鉱山保安法の施行については、一段と厳重な監督を行うこと。  二、盗侵掘、施業案違反の採掘等については、断乎たる処置を講ずること  三、旧採掘図の整備を早急に行うこと。  四、鉱山保安技術の向上に格段の努力を払うこと。  五、右の措置を行うために必要な予算を増額するとともに、関係法令の検討を行うこと。  右決議する。 以上であります。  若干提案の理由を申し上げます。午前中の質問において、ほぼ明らかな通りでありますが、最近の災害状況を見てみますると、政府努力にもかかわらず、死亡あるいは重大災害が、依然として続発しております。ことに、九州におきまして、貝島大之浦炭鉱東中鶴炭鉱、籾井芳の谷坑において災害を見たことは、非常に遺憾でございます。ことに、最近の災害で顕著なものは、盗侵掘、及び施業案違反の鉱業における災害頻発しておるという事実であります。これにつきましては、政府は、鉱業法による採掘でありませんけれども、一つぜひ厳重に取り締っていただきたい、かように考える次第であります。  さらに、九州におきましては、昭和二十年以前の採掘図が、通産局が戦災にあいましたために、焼失しております。そこで、旧採掘図の整備ということが、きわめて必要なことであり、緊急を要することであると思いますので、この点につきましても、可及的すみやかに整備をしていただきたい、かように考える次第であります。  さらに、鉱山保安技術の向上につきましては、各界の意見を十分聴取し、さらに鉱山保安技術の革新の方向に持っていっていただきたい、かように考える次第であります。これに伴うところの予算措置並びに関係法令につきましては、ことに再検討をされ、改正の必要あるものにつきましては、すみやかに次の機会にその手続をとられんことをお願いする次第であります。  以上をもって提案の説明にかえます。
  128. 小平久雄

    小平委員長 お諮りいたします。鉱山災害防止に関する件を、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、ただいまの両決議案に関する関係当局への参考送付その他につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際、前尾通産大臣より発言を求められております。これを許します。前尾通産大臣。
  131. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 ただいま御決議になりました繊維産業不況対策に関する件、また鉱山災害防止に関する件につきましては、従来から、政府といたしましても、いろいろと対策に苦心しておるのでありまするが、ただいま御決議になりました諸点につきましては、御決議の趣旨によりまして、特段の努力をいたしたいと存じます。     —————————————
  132. 小平久雄

    小平委員長 次に、貿易振興に関し調査を進めますが、本日は、主として日中貿易中心に質疑を行いたいと用います。質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川四郎君。
  133. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 日中貿易の問題は今日きょう始まった問題ではないのでありまして、その日中貿易が、何だかこのごろは、不振の様相を呈してきておる。すなわち、日中貿易は、昨年の五月以降無協定のままになっておる。これは御承知の通りでありまして、昨年同期から見ましても、貿易に対する金額からいきましても、二割を減少しておる。従って、これに伴う国内の不況、あわせて業界がこれに対する深い関心を持つことは、当然なことだと思うのでありますので、こういう点につきまして、二、三御質問を申し上げたいのでございます。  まず、法務大臣にちょっとお聞きしたいのでございますが、第四次貿易協定は、中共に出向いたるところの皆さんの努力のかいもなく、ただいま申し上げたような休止となったままにおることは、まことに残念にたえないところであります。承わりますと、合意されなかった点は、通商代表部の員数、こういう問題にあるそうでありまして、日本側は、相互主義によりまして員数を制限すると主張しており、中共側は、代表部の任務に応じて定むべきであると主張をされておる、こういうところが意見の分れとなっておるように聞いておるのでございます。率直に私はお伺いしたいのでございますが、員数を制限しなければならない何かの理由というものがあるはずだと思うのでございまして、こういう点について御説明が願いたい。  もう一つ、日本側におきまして、日本の外国人登録法は、どこの国の方であっても、同じに取り扱うことになっておるのでございますけれども、この場合に、何か大臣の方はお考えになっておる点があるかどうか。承わりますと、要は、外国人登録法というか、中共に対する指紋登録というものを、何らか考えなければならないときが来ておるのではないか、また新聞等では、当然これらに対しまして改正をするというような、大臣みずからのお話もふるやに伺っております。その点につきまして、どのようなお考えを持っておられるか、それを伺いたい、こう思うのであります。
  134. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 お答えを申し上げます。お尋ねと順序が少し変るかもしれませんが、後の御質問から申し上げたいと存じます。外国人登録法の改正の問題でございますが、この点につきましては、ただいまだんだんとお尋ねの中にもありましたように、政府といたしましては、各般の状況を考え合せまして、この際、指紋に関する六十日の期間の点を改めた方がよくはないかという考えを持っております。新聞紙等ではっきり伝えられたようでございますが、私は、まだ確定はいたしておりませんし、政府部内におきましても、それぞれ相談をいたすべき筋もございますが、大体において法務省の考え並びに政府の考えは、この六十日の期間延長の方に決定し得ると考えて、ただいま準備中でございます。  それはどういうふうに直すかということでございますが、今考えておりまする内容は、六十日を一年に改める。すなわち現行法では、六十日をこえて滞留する外国人は、国籍のいかんを問わず指紋をとることになっておりますが、これを一年まで延長いたしまして、一年未満の滞留者からは指紋をとらない、こういうふうに改めたい、かように考えて今準備をいたしておるところでございます。そうして次の機会に、この国会に改正案を提出したい、かように考えております。  それから、最初の、日中貿易の協定交渉が不調に終った原因の一つであるところの人数の制限の問題についてのお尋ねでございますが、私ども法務省の方の立場といたしましては、外国人で日本に滞留しておりまする者は、国籍のいかんを問わず、六十日以上の滞留になれば指紋をとるということが、法律にはっきり書いてあるものですから、その規定を守っていかなければならないわけでございます。ただ、その例外といたしまして、入管令の第四条に、御承知のように、日本政府が承認した外国の政府または国際機関から来ておる公務に従事しておる者、これはもうはっきりと指紋が免除されております。便法といたしまして、そういう者にははっきり該当しないけれども、これを準用するような資格の者ならば、法律を広く解釈いたしまして、指紋を免除する道もあるのではないかという広い解釈を考えつつあるのでございますが、要するに、その人数をいかにするかということは、主として外務省の方で御決定下さる問題でございまして、外務省の方の決定がありますれば、この法の規定を広く解釈して、外交官、その他の公用上に準ずる者として指紋を免除するというこの規定で、指紋をとらないようにできるかと思いますが、その人数のことにつきましては、私の方よりは、主として外務省でお考えを願い、お答えを願った方がよかろうと思うのでございます。それ以外は、法律にはっきり書いてあるものですから、六十日をこえる際には、やはり指紋をとらなければならない。それを、今度一年まで延ばしたらどうか。それを延ばすことになりますれば、たとえば、見本市の問題でも、一年間あれば期間としては十分ではないか。また、これは一つの便法でいかがかと思いますけれども、代表部の問題といたしましても、一年未満滞留されて、そして一度帰国されて、また出直してこられますれば、やはり繰り返して事実上は長く滞留するということにも、法律上はなり得るわけでございます。ともかく一年までこれを引き延ばしたい、かように考えて、今準備をいたしておるところでございます。
  135. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 御承知のように、見本市等になりますと、なかなか二カ月間というわけにも参りませんし、予備工作もたくさんあることですし、まことに一年という——一年ということならば、私は別にどうこうという問題はないというふうにも考えられますが、いずれにしてもこの問題に関連をして、中国側の提案の第四次定協附属覚書と、いうのがありまして、民間代表部員の安全保障について、次のような規定があるのでございます。もし法律上の紛争が起ったときは双方が協議して、双方の同意した方法で処理するとあるのでございますが、この場合の双方ということは、たとえば、日中両国の民間団体をさしているのか、政府ではないのかどうか、こういう点もありますし、日本政府として、もし代表部について、法律上の問題、裁判、警察等、一切が生じた場合には、日中双方の民間同士によって合意された処置に従わなければならないか、こういう規定を認める意思があるかどうか、これはどういうことであるか、一つこれを伺いたいと思います。  もう一つは、昨年来懸案となっておるところの名古屋福岡における中国見本市開催の問題でございます。準備のために、早い機会に調査団が来日する必要がある、これはごもっともだと思うのでございます。従って、この工作をするには、当然早目に来ておらなければならない。ところが、これは、私どもばかりではなくて、議会全般の問題でございますが、どうもこのごろの空気は、一月の通常国会を果して満足にやっていられるかどうかという問題が、非常に大きな心配になってきまして、もし解散をするというようなことがあるとする場合に立ったときには、同法案の提案の趣旨に基く便宜的な御処置がとってもらえるものかどうか。たとえば、二カ月間のものを一年間に延長しようとしても、議員がいなくなって、とにかく法律が成立しない以上は、これを行うことができないのだ、こうなってくると、非常に困る。困るばかりでなく、影響度は非常に大きいのでございますが、その場合に、一年延長もしよう、そして法律を修正しようという法務省の御意思があるならば、この点については、何らかこれに便宜的な御処置がとってもらえるかどうか、この二点についてお伺いをいたします。
  136. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 第一の安全保障の点でございますが、これも、主として外務省でお考えをいただきまして、御協議願った方がよかろうかと思うのでございます。要するに、私どもの方といたしましては、外国人登録法とか、あるいは入管令というようなものを守っているところでございまして、ただ、その条文におきまして、外務省がいろいろの準公務に従っている人たちを外交官並みに扱うということで、そういうヴィザでございますれば、自然外交官に準じて安全が保障されるわけでございますが、これは承わるところによりますと、なかなかむずかしい問題のようでございまして、私といたしましても、今日はっきりと申し上げかねるわけでございます。いずれ外務省と相談をいたしませんければ、私の立場では申し上げられないのでございます。それから、第二の、万一外国人登録法の改正法律案が成立しなかった場合の便宜処置をどうするかというお尋ねでございますが、そうなりますと、また非常に困った事態になるわけでございます。実は、今度改正案を提出し御審議を願うという前から、六十日間では少し短か過ぎるのではないか、何か便法がないだろうか、ことに中日貿易の問題が重大性を増して参りました際に、法務省といたしましては、何かこの法律の範囲内で許される解釈で便法かないだろうかということを、もう数月月前から研究しているわけでございますが、何分にも法律ではっきりと、六十日をこえる際には指紋をとると書いてあるものですから、正面からこの法律を無視するわけにも参らないのでございます。ただ、実例といたしましては、六十日の滞留の予定で来られた方が帰られる際に、あるいは船の便とか飛行機の便、その他残務整理等で、ついそこのところを五日なり十日なり滞留期間が長くなるというような際に、どこまでも法律をたてにとって、一日、二日をこえたらすぐに指紋をとるというような処置は、今までも多少の便法を講じてやっておる。それを、なるべくこの際寛大に解釈して、十日とか、あるいは二週間くらいは大目に見ると申しますか、厳格に指紋をとるというようなことをしないでいくというくらいのところが、拡張解釈の関の山でございまして、法律の改正されない際は、やはり現行法に相当程度縛られる。これを改正したいと思っておりまする私どもの立場から見れば、まことに遺憾でございますけれども、現行法があります限りは、まあその程度が拡張解釈の関の山ではないか、かように考えておる次第でございます。
  137. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 中共側といたしましても、無協定、どっちかといえば、大体物別れというような程度に終ったのであったけれども、さらに武漢、広州の見本市につきましても、予定通りに日本で開いてもらいたいというような、つまり大きな腹をもって中共側が出てきているのではないだろうか、こういうわけでございますから、従って、ただいま申し上げたような中共側からの、つまり名古屋福岡における中国見本市を開催したいということで、われわれは、このために法案をというわけではないけれども、いずれにしても、議会がこのまま継続されているならば、これは早急にやらなければならないわれわれの義務だと感じております。しかし、いかに義務であっても、解散してしまえば、われわれは議員ではないのですから、議決権がないのであります。ただいまのお話、まことにごもっとものようにも考えられる点がございますので、なるべくこの点につきましては、大臣は、解散してもその職にあるのでございますから、ぜひともこの点は、中国側の大きな腹を見せたと同様に、思い切った処置を、つまり便宜的な処置をとっていただきたいということを、切に私はお願いを申し上げまして、次の方に御質問をしていただくことにいたします。
  138. 小平久雄

  139. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 大臣の時間もないようでございますので、同時にまた、同僚諸君の質問がありますので、私は、きわめて簡単に、根本的な方針だけを伺いたいと思います。登録法の問題、それから長期計画や経済決済問題、さらにまた見本市の問題等々と、具体的な問題は、あとで同僚議員の諸君に質問していただくことになっておりますので、今申し上げましたように、日中の経済提携と貿易問題につきましての根本方針を伺いたいと思います。  まず第一に、通産大臣に、日中貿易に対する根本的の所信を披瀝していただきたいと思います。岸内閣は、中国との国交回復問題それ自身については、御承知のように、まだ時期尚早論をとっておりましたけれども、岸さんは、たびたび、中国との経済提携ということについては、積極的な促進政策をすることを言明されておりました。さらにまた、日本経済の過去、現在、将来にわたりまして、日中の経済提携、貿易拡大ということの必要性と重要性は、言うまでもないことであります。特に、最近における経済不況というものは、その必要性を非常に強く迫っておると存じますが、にもかかわらず、通産大臣がよく御承知のように、岸内閣は、むしろ誕生以来、経済提携は進めると言われますけれども、実際には、その促進政策をとるどころか、大体、まあ妨害だけを行なっておったとさえ極言できるような状態にあったと思います。御承知のように、今、同僚の長谷川議員の質問によっても明らかになりましたように、今度、外人登録法の改正が、政府においても企図されておるようでありまして、このことは、おそらく政府部内におきまして、日中貿易の飛躍的拡大が必要だという前提に立っての措置だと思うわけであります。従いまして、担当の大臣であるところの通産大臣は、この際に、従来のような消極的な態度を一擲されまして、日中経済の交流提携と、それから貿易の飛躍的な拡大のための何らかの方針がなければならないと存じます。従来の諸懸案を、一気に解決しまして、そして、太い筋でもって、この貿易を拡大するという所信がなければならないと存じます。私はこの際、特に通産大臣のタイムリーな日中貿易拡大に対する所信を一つ明らかにしていただきたいと存じます。  それから、委員長、時間の関係で、ずらっと質問しますから、お許しを願いたいと思います。  それから二番目に、今、長谷川議員から質問があったのでありますけれども、今言いましたような根本方針に従って、日中貿易を拡大しようとするならば、それの目下の最大の問題というのが、第四次協定に関する問題でありますことは、御承知の通りであります。従いまして、おそらく私は、本日のこの委員会も、委員会におけるこの質疑応答の記録といいますか、質疑応答自身が、この懸案である第四次貿易協定問題を前進するための大きな役割を持って、すでにここに開かれておると思うわけでございます。その意味におきまして、私は、両大臣は、われわれの質問に対しまして、今のような根本方針に基いて、一つお考えをはっきりとさしていただきたいと存じます。今、お話がありましたように、第四次貿易協定を結ぶのに、一番大きな問題になっておりますのは、通商代表部の設置問題であるわけであります、従って、まず第一に、通産大臣は飛躍的な貿易拡大をしようと思えば、どうしても私は常設的な代表部の交換が必要であるというふうに考えるわけでありますけれども、念のために、もう一ぺん通商代表部の設置の必要性を、はっきりと私は通産大臣の口から承わりたいと思います。  それからそれに関連をいたしまして、先ほどの質問でありましたけれども、どうも私明確でないわけでありまするので、法務大臣に、現在の状態で通商代表部が設置されますならば、それは当然に私は民間代表部的な形をとらざるを得ないと思います。これは外務大臣の所管になる部分もあるかと思いますけれども、こういう民間通商代表部のような形がとられる際の、先ほど、どうも不明瞭でありましたので、その場合の民間代表部というものの性格、特に部員の身分保障、警察権の介入の限界並びに裁判権の問題につきましての方針だけを伺いたいと思います。いずれこれらの問題につきましては、古屋議員から具体的に御質問があるはずでありますから、考え方の方針を承わりたいと思います。  それから第三番目に、もう一ぺん通産大臣に戻りまして、貿易を拡大しようと思うならば、これは今のような不便な貿易のほかに、さらに根本的な長期の経済提携を進めることを前提としてでなければ、飛躍的な拡大はほとんど困難かと思います。御承知のように、ヨーロッパの国々、たとえば、イギリス、西独、フランス等におきましては、長期的な契約を中国と結ぼうということで、非常に大きな動きをなしておることは、御承知の通りであります。にもかかわらず、従来の貿易量から見れば、問題にならないほどの量を持っておったわが国では、ほとんどこれらの問題について、現在がまだ民間だけの問題であるからということを理由にして、むしろ政府のそのための指導も便宜供与も、ほとんど行われておらないと思います。従って私は、この問題につきまして、通産大臣の根本的な考え方を伺いたいと思います。先ほど言いましたように、本格的な国交回復以前におきましても、経済提携の必要性は、岸内閣の言明したところであります。そうして、それは前進しようとするならば、今言いましたように、当然に長期契約的な形で問題が進められなければならないと思います。具体論については、帆足さんからもお話があるわけでありますので、詳細はそこに譲りますけれども、その必要性を通産大臣が感ぜられないのであるならば、私は貿易拡大というものはほとんど不可能だろうと思います。特にその場合注意しなければならぬことは、中国は、日本側のような、あるいはまた西ヨーロッパの国のような、自由主義の経済の国ではなくて、はっきりとした計画経済の国であるわけであります。従いまして、計画経済をとっておる中国と経済的な長期提携をしようとすれば、当然にその心がまえでなければ話し合いが進まない。タイミングの問題にしましても、それから向うの計画立案の過程に、日本との経済提携なり貿易なりという問題が、はっきりと織り込まれるような形でなければ、前進が不可能だということになるわけであります。従いまして、この貿易拡大のための日本と中国との両国の経済の長期提携について、並びに長期契約に対する指導方針につきまして、所信をお伺いいたしたいと思います。  以上三点、明確に簡単に一つお答え願いたいと思います。
  140. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 私からお答え申し上げますが、第一の、中事の経済関係をさらに一そう進める、それはもちろん岸内閣が最初から声明しておるところでありますし、ただいま何か妨害するようなことをやったようなお話でありますが、それは終始一貫して、できるだけ積極的に進めようというので、御承知のように、チンコムの問題にいたしましても、あなるいは遺憾ながら第四次協定は締結できなかったのでありますが、それに対しまして、従来とは相当違った取扱いなり考え方をもちまして、それに臨んだわけであります。従来から、確かに一歩進んできておる。積極的に考えておりますことは、これはもうこれによっても、はっきりいたすと思うのであります。ただ、第四次協定が、遺憾ながら締結できなかったことにつきましてはわれわれとしても、今もって残念に思っておるのでありますが、その間の指紋の問題あるいは人数の問題につきましても、新しい構想で、ただいま法務大臣からもお話がありましたような考え方を一方にとり、また人数の問題につきましても、私はソ連との今度の協定におきまして、両国協議で人数をきめるというような形式も出て参ったのであります。一日もすみやかに協定が結ばれることを、政府といたしましても心から念願をしておるのであります。できるだけの協力はいたしたいと、かように考えておるのであります。  また、通商代表部につきましても、われわれとして、これが絶対になければいかぬものだとは思っておりませんが、あることにつきましては、むしろけっこうだというふうに考えておるのであります。遺憾ながら、先ほど来申しておりますように、今度は話がつかなかったのでありますが、すみやかに何らかの方法を考え、代表部の置かれますことを通産省としては希望をいたしておりまするし、その方途を考えておるわけであります。  また、第四点の長期契約の問題でありますが、これは従来のいわゆる積み重ね方式という態度をとっておるのであります。商議の問題とからまっておりますから、直ちに長期契約をするというわけには私は参らぬと思います。しかし、そういうことができれば、非常にけっこうであるということは考えておりますが、遺憾ながら、これは今、後の問題であり、貿易をさらに積極的にやっていきまして、将来の問題としては、商議もし、あるいはこういう長期契約の問題も解決しなければならぬ、かように考えておるのでありまするが、目下のところは、直ちに長期契約をするというわけには参らぬのじゃないかと、かように考えておるわけであります。
  141. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 通商代表部の治外法権の問題につきまして、重ねてのお尋ねでございましたが、これは先ほども申し上げました通り、この代表部は、日本がまだ国交を回復しておらない国から来ておる代表部の人々、従って、いわゆる民間代表というような形になるという仰せでございまして、そういうような形の人々に対して、外交官に準ずるような治外法権を認めるかどうか、警察権の介入の限度を制限する、あるいは犯罪容疑の際の処理も、やはり外交官に準じて扱うというような取扱い、すなわち、外交官の持っておる治外法権的な扱いをするかどうかという問題でございまして、そういう扱いをするかどうか、またするとしても、人数はどのくらいにするかというようなことは、やはり主として外務省の問題でございまして、外務大臣から一つお答えを申し上げた方がよかろうと思うのでございますが、私どもの方といたしましては、もし外務省におきまして、条文に書いてありますような外交官あるいは国際機関から来ておる公用者というような人に準ずる扱いをするということになりますれば、自然こちらの指紋をとるというような規定の適用がなくなる、こういうことになるだけでございまして、広い意味における治外法権的な特権を認めるかどうかということにつきましては、主として外務大臣のお考えになる問題と思いますから、そちらからお答え申し上げた方がよかろうかと思っております。
  142. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 時間がありませんので、これで質問を終りたいと思いますが、希望を申し上げておきます。  先ほどの通産大臣のお話には、私は正直なところ、がっかりしました。従来、岸内閣におきまして、日中貿易を促進するための措置をいろいろとられたというお話でありまして、チンコムの制限解除についても云々と言われましたけれども、チンコム制限解除にとったところの日本政府の措置といものは、日中貿易を促進するための措置だと通産大臣はお考えになっておるならば、これは明瞭に通産大臣は現声の日中貿易を促進すべからずという方針をとっておられるとしか思えないのであります。でありますので、私は、むしろ本日、そういう言葉でなくて、今後比較的増大をするための積極的な努力をするという言葉でも、一ついただきたかったものと思うわけでありまして、大へん遺憾に存ずるわけであります。  それから、なお長期経済提携の問題につきまして、すぐに長期契約がなかなか不可能な状態にあるというお話がありました。これらにつきましては帆足さんからお話があると思いますけれども、通産大臣は、何か少し考え違いをしておられるのではなかろうか。でなければ、少し勉強不足ではなかろうかと私は思うのでありまして、この貿易の実情に合うように、もう少し実情を十分研究なさっていただきたいと思います。そういう状態になっておらぬわけでありまして、西ヨーロッパ諸国があれだけ力一ぱい手ぐすね引いて中国に入ろう、入ろうという努力するやり方と、まあ貿易団でもよかろうし、どこからでも人を呼んで、もう一ぺん十分勉強し直して、考え直していただきたいと思います。  それから、法務大臣のお答えもいただきました。現在のところ、法務大臣からのお答えは、この程度しか言えないだろうと思います。ただ私は、法務大臣に対しまして、特に希望を申し上げておきますことは、この種の問題は、これまでいろいろわれわれは工作をしてみたのでありますけれども、あるいは外務省だと言い、あるいは法務省だと言い、あるいは通産省だと言って、役所の中をきりきり舞いさせられても、これの最後の判を押すところはどこか知らぬが、どこがイニシアチブをとってやるのかさっぱりわからない。これは確かに、言われれば、この方針は、外務省から取って法務省がやりいいような措置といいますか、何らかを出せばいい。外交官待遇あるいはそれに準ずる措置というものを出せばいいと法務省で言われる。ところが、今度は外務省の方では、それを明文化して格好をつけるところの方法に窮するというようなことで、従来非常に両方で責任回避をし合って、責任のなすり合いみたいなことで、積極的な仕事ができなかったことが非常にあると思います。従いまして、先ほど出ましたところの外人登録法の改正問題といのは、手続問題に規定はされておりますけれども、その根本を流れるもは、日中関係改善にあり、そして経済提携の拡大にあり、特別に目下の貿易を拡大しようというこの一点にしぼられての措置であるわけでありますので、どうか枝葉末節にとらわれて議論をなさらずに、そしてまた、外務省がこういう措置をとりやすいような措置も十分考えられまして、今の目的に沿うような措置を十分一つとられるように、特に希望を申し上げておきたいと思います。
  143. 小平久雄

    小平委員長 加藤清二君。
  144. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は日中貿易の問題に関しまして、特に展覧会、商品見本市の問題にしぼってお尋ねをしたいと存じます。  御承知の通り、すでに中国と日本との見本市は、過去に一回行われております。それと、このたび用意されております見本市とを比較してみますと、大きな躍進ぶりの跡が見えるのでございます。一例を申し上げますと、出品点数、出品しようとする希望、これなどが、まずことしの十一月末の調査で見ても、去年の一倍半以上にふえております。それから金額にいたしますと、これがやはり二倍近くにふえております。協賛者の名簿をながめてみますと、これがまた去年は百二十五であったのが、ことしは五百六十四にふえております。しかも、そのふえた内容が、個人商店ではなくして、商工会議所あるいは県、市等、こういうところ、いわゆる地方自治団体から、どしどしとこの協賛の意を表してきておられる。つまり、これを要約すれば、日中の貿易を希望する声が、先般の見本市を開設した当時と比べて、非常に回進的にふえてきておる。ほうはいとして日中貿易をしたいという声が起ってきておる、こういう証拠でございます。  さて、そこで通産大臣にお尋ねしたいことは、見本市が行われます場合、このたびは日本は名古屋福岡でございますが、中国における日本の見本古は武漢と広州、こういうところであります。そこへ派遣される員数でございますが、一体大臣は、どの程度がよろしいとお考えでございましょうか。  この際私の意見をちょっと差しはさみますると……。
  145. 小平久雄

    小平委員長 加藤君、ちょっと御質問中ですが、通産大臣は三時半までしかどうしてもあかないのです。ほかの方の都合もありますから、なるべく簡潔に一つお願いいたします。
  146. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 簡単にやれということですから、簡単にいきます。  私は、員数は多いほどいいと思います。というのは、こういうことです。去年の見本市は、せっかく機械を持っていっても、並べておくだけです。機械を動かす員数を、向うへ派遣することができないのです。並べておくだけです。きょうこのごろは、おもちゃでも、動かして見せぬことには、売れません。おもちゃでも、動くおもちゃしか売れないのですよ。まして、いわんや機械となったら、動かす機械ですから、並べておくだけで売れるなんということを考えておったら、とんでもない大間違いだ。由来、日本の貿易の不振の一つは、機械にしろ品物にしろ、アフター・サービスが欠けておるということです。ですから、せめて見本市のときくらいは、大きにこれをしなければ、決して、見本市は行われても、品物は売れない、こういう結果が生ずると思います。だから、貿易振興の意味におきまして、ぜひアフター・サービスが必要だ。それに必要な員数は、制限なく送り出されるということと、今度はこちらが迎える、こういうことになるわけですが、この点いかがでございますか。
  147. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 ちょっと具体的な問題でありますので、かわりまして答えさせていただきます。この見本市を円滑に開催をいたしますためには、かなりな人間を派遣しなければならぬということは、先生のおっしゃられる通りであります。われわれといたしましても、具体的に、あの程度の展示会をやりますについて、何名ぐらいが適当かという判断は正直なところ、つきません。しかし、先方側の御意向もありまして、受け入れ施設その他の関係もありまして、やはり一定数に限りたいというような御要望が強くあるというふうに承わっておるのであります。今、御存じと思いますが、先方といろいろ折衝されております団体におきまして、約百名程度というようなことで、話が今のところはついておるというふうに伺っておるのであります。向う側が、あるいはもう少し多くてもけっこうであるということでありますならば、われわれとしても、別段かまわないのではないかというふうに、われわれ通産当局としては考えておるような次第でございます。
  148. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 この員数の問題は、大臣、来る人を制限しなければ、こちらから行く場合に向うも制限しないのです。向うが去年制限したのは、こちらへ来る人を制限するものだから、向うも、いわば売りに買いです。そういうことをやったわけです。ほんとうに輸出振興を大臣が必要である、為替の帳じりをよくすることが国家のためであるとお考えになるならば、当然見本市へ送る員数、それは別に悪いことをするのでもない、向うへ行って機械を動かして見せる人なのですから、これを制限するというのは、よほどどうかしてます。そんなことだったら、日本はもう通産省の参加で国際見本市なんかおやりになる必要はない。あれをごらんになったでしょう。あれだって、日本の機械はカタログと見せっぱなし、外国の機械は、わんさと機械を動かす人が来てやっていたでしょう。だから、大臣、どうします。少くとも私は最低二百名くらいは要ると思う、今の出品内訳から見ますと、日本から行く人の場合ですよ。これはどうです。
  149. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 ただいまのお話のように、行って全然効果が上らぬということでは、意味をなしません。従って、百名がいいか、あるいは二百名が必要でありますか、それは具体的に今後よく考えて参りたいと思います。
  150. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、もう一つ。次に、出品物の販売及び決済の問題で、大臣の所信を承わりたいのですが、先回の折りには、中国側がほしいほしいといっておった機械も、やれチンコムだ、やれココムだ、こういって、その見本品、工業大学の参考品にするからほしいというものまでも、制限なさったことがあった。ところが、今や、もうイギリスも、アメリカの鎖から脱却して、チンコムはごめんだ、ココムもごめんだ、こういうことになって、オールドパー卿を前から北京へ送り込んで、どんどんとワク外品までも、パリ・リスト以外のものもどんどん送り込んでおる状態ですが、せめて見本市に出す品物ぐらいは、どうやろうというお考えでございますか、やはりこの前と同じような考えですか、やや進歩の跡が見えますか。
  151. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 今回の武漢、広州の展示会につきましては、事前に各業界と十分打ち合せをいたしまして処置をいたしておるわけであります。従いまして、持って行かれたものにつきましては、いわゆる持ち帰るとかいうことなしに、十分処分ができる。こういうことで、その辺は前回のようなことの起らぬように、事前に十分打ち合せてやっていくつもりであります。
  152. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 次に、政府の補助金でございますが、簡単に聞きます。説明抜きにして、補助金はどのくらい出す腹でございますか。
  153. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 一応今のところ六千万円を予定をいたしております。これにつきましても、やはり多いか少いかという御議論があろうと思いますが、日本が現在海外でやっておりますいろいろな見本市、あるいは各国での単独の見本市でなしに、各国でやっている博覧会に参加する場合におきます例を見ましても、実は一カ所六千万円——一カ所というとちょっと語弊がありますが、一国六千万円という例は、実は全然ないわけでありまして、われわれといたしましては、非常に努力をした金額である、こういうふうに考えております。
  154. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 今の局長の答弁、なるほど努力した、それは相場でしょう。確かに局長としては努力しておるが、今度は大臣に努力してもらいたい。というのは、今の六千万円、なるほどほかに例はないとおっしゃるが、あれほどこま数が大きくて、あれほど出品数が多くて、あれほど大ぜいの人数が出ていくというところの見本市も、ほかに例はないわけです。従って、出品数量とか一こま数に、この補助金を割り当ててみれば、あれほど少い補助り金もまたないわけなんです。そこで、だからこそ、政府与党は中国に対しては冷たい、こういうふうな声が起ってくるわけです。だから、四海平等にやるんだ、こういう気持があれば、ぜひこの際、これもよそ並みに出されるように、大臣の御努力が願いたいが、大臣、どうです。
  155. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 決して、別にほかのところと差別してやろうという考えはありません。その規模なり必要性に応じて、極力実態に応じた努力をいたしたいと思います。
  156. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 最後に、去年見本市で不祥事件を起しましたですね、結果的から見ると。それは即売品の問題でありますが、これの検査ですね、これをどのようにやっていらっしゃるか。去年は、ああいうことが起きたので、本委員会で、済んだあと、この跡始末をつけるのに難渋したことを、本委員会の方はみんな記憶しているわけですが、ああいう不祥事件は、国際信用を傷つけるのみならず、他の国々へ輸出する場合にも悪影響が生じて参ります。従いまして、出品の検査、即売品の検査、すなわち、日本政府が当然行わなければならない諸点について、大臣としてはどう考えておられるか。もちろん、去年の見本市のあの結果は、日本側が悪いなどとは考えておりません、向うの売り方が悪いのです。中国の売り方が悪いから、これに対しては、厳重にこちらのきぜんとした態度を示したつもりでございますけれども、こちらでできるだけのことはやってやらなければならぬ。こういう意味において、大臣どう対処しておられますか。
  157. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 実は、前回の例もあることでありますので、今回は、再びああいうことを繰り返さないというために、関係団体の首脳部にも強く要請をしております。私は、会うたびごとに率直に申しまして、今度は大丈夫でしょうな。しっかり願いますよということを申しておりますが、今度はああいうことの起らぬようにやっておりますと、非常に力強い返事をいただいておるわけであります。もちろん、今の輸出品検査法によりまして、検査をいたすべきものは、それぞれ強制検査をいたしますが、全部が強制検査でもございませんので、政府として、今、法律上全部のものを強制検査にするというわけには参りませんけれども関係者には、くれぐれも注意してやるようにということを、十分申し伝えておりますし、彼らも、そういうふうに、今度は大丈夫だろうと言っておられますので、今のところは、一応安心をいたしております。
  158. 小平久雄

    小平委員長 帆足計君。
  159. 帆足計

    ○帆足委員 通産大臣が席をはずされますので、数分だけ時間をお借りいたしまして、あと法務大臣には、法務委員古屋君が見えておりますので、まだ一、二事務的なことが残っておりますので、御相談いたしたいと思います。  実は、私は、このたびの第四次貿易使節団の副団長といたしまして、各党議員の諸君とともに、苦心をともにして参ったものの一人でございます。中国との貿易につきまして、ただいま通産大臣から御答弁がございましたが、戦前には、御承知のように、大体日本の人口二千万人くらいを養っていた大きな領域であります。ただいま大体三百万人くらいの人口を養うところまでこぎつけまして、子供に換算すると四百万人ですから、第一次協定から四カ年間、一年に生まれる百万の子供たちは、中国の貿易で養っております。従いまして、中国の貿易は、まだ小さな問題ですけれども、国民経済的意義がどのように大きいかということを、両大臣によく御了承を願いたいのでございます。それから第二に、今次の協定の行き詰まりは、ただいまの通商代表部の人数と指紋の問題でございましたので、この打開策につきましては、古屋委員とともに後ほどさらに問題点を二、三申し上げます。第三に、長期計画の問題及び技術交流の問題を詳細に話し合って参りました。  ただいまの通産大臣の御答弁には、私は佐々木委員とともに不満足でございます。と申しますのは、昨今の不景気は、御承知のように、神武景気の行き詰まりというものはどこからきたかというと、日本はソ連やアメリカのように自給自足のできる国ではなくて、原料と食糧の不足している国であります。建設が進み、そして経済が上向きますと、どうしても原料と食糧を国外から輸入せねばならぬ。輸入するためには、輸出が伸びねばならないけれども、それが思うにまかせなければ、国際収支を食いつぶして、急に輸入の制限、金融引き締め、投資制限、神武景気の行き詰まり、こういうふうになるのであります。今日の不景気ということは、旱魃のような自然現象でなくして、ケインズの学説などをかりるまでもなく、人為的操作によってある程度解決し得るというのが、経済学の、保守であろうと革新であろうと、最近の結論でございます。この打開策を考えねばならぬのでございますけれども日本のような島国といたしましては、一種の物理的現象として、どうしても貿易の振興と原料と食糧を入れねばならぬ。入れるためには輸出せねばならぬというところにくるのですから、結局皆さんと一緒に、中国貿易の問題は、イデオロギーの相違を乗り越えて、深い関心を八千万の国民が生きるために持たねばならぬ。ましてや、人工衛星の時代ですから、二つの体制の共存ということ、話し合いと平和を通じて世界が進むという道に向いつつあるときでありますから、この点においても、保守の諸君と一緒になって、私ども日中貿易議員連盟というのを作っているのは、こういう思いからきているのでございます。そこで、最近の輸入制限の打開の一つといたしまして、私どもは、中国から入れ得るものは、なるべく中国からある数量は入れたらいいじゃないか。それについての外貨は、見返りの輸出で、すなわち、ただいまスフの不景気、スフの滞貨の問題が出ましたが、人絹糸とスフ糸の輸出の最大の市場は、現在新中国であることは御存じでございましょう。また鋼材等の輸出は、今度は輸出を解かれましたから、中国は大量の輸入を待ちかまえていることは、皆さん御承知の通りであります。  そこで、これらの主要商品について私どもは話し合いました結果、まず鉄鉱石は、海南島の一番いい鉄鉱石、あれはニカ所もほとんど港湾の設備ができまして、一万トン級の船が出入りできますが、一年後には百万トン、二、三年後には五百万トンまで、世界最優分の鉄鉱石を供給する準備が整ったというわけであります。そして、それは日本において使うのが、一番経済的であって、遠い地域から参りますよりも、お互いに船賃を有利にしよう。船賃の分だけを、お互いに折半して安くしようというような考慮に基きまして、海南島の鉄鉱石を供給する準備が整った。  第二には、従来のように開らん炭鉱、これは灰分二〇%もあって使いものになりませんので、昨年四十万トン輸入いたしましたけれども、これが最高限でありますので、灰分八%のアメリカ灰にまさるとも劣らぬ、日本の溶鉱炉の需要に適したものを、最初の年は百万トン、それから大体三百万トンくらいの見当で安定した形で送りたい。現在粘結炭をニューヨークのかなたから輸入するようなことで、日本の鉄が高いことは当然でございます。私どもは、いたずらに経済問題でアメリカを排撃するものではございませんけれども、適所適地の自然の法則に従いまして、中国炭はある程度活用する必要がある。中国としましては灰分の八%くらいの最優良炭を日本に三百万トンくらいを安定した形で輸入契約を結びたい。これにつきましては値段は、お互いに距離が近いから、船賃だけを折半してお互いに有利な立場に置こう。  それから第三には、塩は、現在百万トン輸入しておりますが、まだ二百万トンまでは準備がありますから、研究して下さい。  ホタル石とクリーンカー、耐火れんがの材料等も長期の話し合いをした方が、お互いに経済的にいくでしょう。農産物の問題は、旱魃の問題がありますから、一がいにはきめられませんけれども日本は八十万トンの大豆を、かつては満州から全部輸入しておりましたのを、今ではアメリカから輸入しておりますが、一挙にアメリカと手を切るということも、経済法則上どうかと思いますので、半々ぐらいにして、四十万トンを東北つまり満州から、四十万トンをアメリカからというような形で話し合ったらどうでしょうか。米はいかなる年でも日本は不足しておりますが、内地米品種のものを十万トンないし十五万トンぐらい長期契約を結ぶ準備がある。私はこの数量を見まして、いずれも中庸の道を得た妥当なものであって、通産大臣はしごく興味を持ってこの問題と取り組むべきであると思うのであります。  見返りといたしましては、化学肥料を無限大に買いたい。これは、現在、肥料使節団が行きまして、両方で話し合いが進んでおります。人絹糸、スフ糸等を大量に継続的に買いたい。なお先ほどの粘結炭、鉄鉱石の見返りとしては、各種の鋼材を、トン当りで大体きめて長期契約を結びたい。なお中国は、来年度から大規模な第二次五カ年計画に移りますので、各種の機械を買いたい。そのために技術の交流をはからねばならない。交流といいましても、当面は、日本の技術者が先方を助けることに重点が置かれるでしょう。また、先方から日本の工場に勉強に来たい、機械購入に来たい。そのために、ただいま法務大臣の御主張になったような滞在期間が、機械の勉強、買付ということになりますと、どうしても五、六カ月はかかりますので、指紋法の改正も、時宜を得たものでありましょうし、また駐在員が若干数滞在いたしますこと、また仕事に必要な程度滞在いたしますことも、時宜を得たものであろうと思います。そのために、私どもは指紋法の改正を急いでおりますし、駐在員の問題も、何とか良識によって解決したいと望んでおる次第でございます。  これらのことを実現いたしますために、ただいま申し上げた品目につきまして、十分準備と良識のあるところの使節団を交換いたしまして、大体三カ年ないし五カ年をめどといたしまして、品質、技術、値段等についての基本原則をきめまして話し合うことは、世界経済の今日の状況、大体不況に直面しつつある世界経済に対処いたしますために、党派を離れてまことに適切な措置ではなかろうかと思うのであります。数量の点からいいましても、いたずらに従来の得意先を刺激するほどの数量ではございません。従いまして、私は、かかることに対しては、通産大臣は、もう少し深い理解を示されまして、もっと積極的な手を議員連盟その他と打ち合せして募れることが適切であって、これを要求しますことは、無理なことであるまいと思うのであります。もしそれ、与党の皆さん方、内閣が、選挙のごきげんとりのために日中貿易を叫ぶのであれば、これは国民をあざむくものというべきでございましょう。また中国との関係を、一挙に昔のような人口二千万も養えるような状況に持っていけると考えることも、これは誇大に過ぎたことと思うのであります。しかし、時世の推移をにらみ合せ、前人未踏の人工衛生の時代に、平和の道を探さねばならぬ島国日本といたしまして、ステップ・バイ・ステップに、着実に、それこそ漸進的に貿易の地位を伸ばし、そして原料確保の道をできるだけ講ずるという見地から、私ども使節団が考えたかくのごとき手段、これは革新野党の主張だとか、与党の主張だとかいうのでなくて、もう少し積極的に、通産大臣にまじめに取り上げていただきたい課題であります。ましてや、これらの物資の輸入は、外貨は一文も要らないのです。国内のドル資金やポンド資金を一文も使う必要もないのです。国際収支に一つも迷惑をかけることもなく、不景気に対処し得るのであります。また、もう一つの長所は、社会主義には社会主義の長所があって、景気の変動に割合に左右されないのが、社会主義経済の長所でもあり弱点でもあると従来学者が言っておるのでありますが、不況に直面しました今日、中国の市場に対して注視を怠らないことが必要である。一部の人は、日本は、塩でも大豆でも買えるのである、おそるるに足らないと申されますけれども、私はそういうことは間違っておるのであって、貿易の道も、着実な努力を積み重ねてこそ発展するのでありますから、それを、そういう不要な楽観論に災いされずに、もう少し通産大臣は積極的な態度をとっていただきたい。大体議員連盟の評判では、通産大臣は、人柄はりっぱであるけれども通産大臣として適格であろうかというような、まことに失礼な批評が出ることは、私は遺憾であると思うのでありまして、われわれ通産委員ですから、通産大臣はひいき筋でございますので、どうかもう少し積極的態度をもって御答弁のほどお願いしたいと思います。
  160. 前尾繁三郎

    ○前尾国務大臣 先ほどお答えした件に、あるいは誤解されるような私の答弁があったかと思いますが、長期契約につきましては、われわれとしては、国としてはこれを保証するとか、そういうようなことはできないという意味で申し上げたのでありますが、民間でおやりになる点につきましては、それはけっこうでありますし、また十分協力をいたしたいと思います。  また、先ほど来お話しの原料の問題につきましては、別に私としても、異存があるわけではないのであります。従来、御承知のように、中共貿易が思うほど実績が上らぬというのは、輸出をしますには、やはり向うの物を買わなければならぬ。その買わなければならぬ物資が、ちょうど国内の物と重複いたすといいますか、米にしましたら、日本が豊作である、あるいは石炭にいたしましても、だいぶ貯炭がたまって、これ以上置場もないというような困難性がありましたために、思うようにいかなかったわけであります。ただいまお話しのような鉄鉱石あるいは粘結炭にしましても、他の国から入れるよりも、より品質もいい、あるいは価格も低廉であるということでありましたら、これは非常にけっこうであります。またそれが長期に、ただいま申し上げましたように品質がよく、価格が安いということでありましたら、安定的に輸入するということも、しごくけっこうであります。それらの点につきまして、直接には参りませんが、われわれとして協力する面がありましんら、十分に協力もして参りたいと思います。決してどの地域から必ず入れなければならぬというような考えは持っておらぬので、仰せのように、将来の中共貿易ということを考えましたら、中共に対しましても、十分われわえ考えていかなければならぬのであります。このことについては、今後とも積極的に考えていきたい、かように考えます。
  161. 帆足計

    ○帆足委員 通産大臣はそれで御退席を認めることにしましても、ただいまの問題は、通産省もお聞き及びでしょうから、場合によっては議員連盟とも懇談会を持ちまして、今の主要品目につきまして、今後の輸入促進について見通しを持ちますために、積極的御協力を願いたいと思います。それから、今次の協定がうまくいきませんでした理由は、どういう点にあったかと申しますと、やはり一般的政治的な点と技術的な点と、両方ございまして、ちょうどあの時期は、台湾に岸さんが参られまして、そうして、台湾のいわゆる本土進攻作戦などに対しで、岸さんが好意的発言をされたというようなことも伝えられまして、非常に中国の神経を刺激しております。この問題につきましては池田君から、このニュースは誤解であったということも聞きました。聞きましたけれども、御承知のように、今、上海とか北京の置かれております地位は、台湾が一たび理性を失ったならば、一触即発のような状況に置かれておるのであります。ちょうど逆にソ連軍がメキシコ湾におって、そうしてカリフォルニアをねらっておるとしたならば、同じ心配をアメリカはされるでありましょう。地理的関係を見ましたならば、私は中国の心配も無理からぬ点もあるのであって、この問題が、すべて平和のうちに処理されるということは、日本国民のだれしも望むところであろうと思われます。従いまして、この問題を刺激するような発言、またはそのような発言でなくても、誤解されるような発言は、やはり貿易国として慎んだ方がよかろうということを痛感いたしました。こういう政治的雰囲気の中に飛び込みましたためと、もう一つは、中国の貿易または中国の商務駐在員等の問題に対して、与党政府において、御経験がないというか、御理解が乏しいために、最初から、中国から駐在員が来られることは、好ましからざる人が来ると、まるで悪者を迎えるがごとく、家族を含めて五名、五名以上まかりならぬというような天下り的な意思の表明がなされ、また新聞に伝えられたのでございます。従いまして、中国側といたしましては、貿易をするために相談をしておるのに、その内容も論議せずして五名というのは、一体どこから来た論拠であろうか。もし貿易をするための論議であるならば、日本から輸入するのは複雑な機械類です。高度の機械類であるとか、精密機械であるとか、電気機械等を、中国の若い連中は勉強したばかりであるから、これらの商品を輸入するについては、十人なり二十人あるいは三十人なりの人が、東京に参って機械を勉強しなければ、その買付ができないのです。その説明も聞かないうちに、まるで悪者を迎えるがごとく、家族を含めて五名である。中国は子だくさんの国です。たとえば、雷任民氏は、お子さんは少い方ですが、それでも四人いると聞いている。そうすると、下の方の子を一人か二人は置いて出発しなければならない。こういうことは、あまりにも非友好的ではなかろうか。これは、今次の協定交渉は、正面衝突でも何でもなく、継続審議で、和気あいあいで帰って参ったのでありますけれども、大へんまずい状況を一時かもしたのでございます。従いまして、貿易を念願する者といたしましては、貿易のために来るお客さんですから十八名が二十名であろうと、三十名が三十一名であろうと、私どもの常識としては大したことでなくして、むしろ貿易のためなら、一名や二名多いことは、喜ぶべきではなかろうかというふうに判断するのであります。翻って、北京における日本人はどうかというと、常時五、六十社日本の商社は駐在しておるのであります。北京、上海の展覧会のときは四、五百名の日本の実業人が滞在している。長きにわたっては一年以上も滞在いたしました。平常時におきましても、今日のところは広州、武漢、北京に、日本の貿易商社は五、六十社は滞在している。日本の貿易商社が五、六十社おりながら、中国から来る人に対しては、家族を含めて五名しかいけないというようなことなどは、私は、日本政府としてそういう発言の仕方は、恥かしいことで、良識に欠けたことではないか。それは過去の二十年前の共産主義の亡霊か、または火炎びん時代の日本共産党の趣味趣好にわれわれこりまして、それで新しい一国の安定した政権を打ち立てておる中国やソ連を律するものではあるまいか、こういう思いがいたすのでございます。貿易のことは貿易の法則によって律すべきものでございますから、中国側が申しますのは、貿易の必要から人数をお互いに算出しようじゃありませんか。そうしますと、今日の貿易の段階では、最初から多くの人をふやしましても、能率は上りませんし、必要のないことですから、おのずから人数もきまる。あたかもサッカーのチームを派遣するといいましても、一挙にサッカーのチームが二百人になったり三百人になったりするわけではないので、限度があることではないでしょうか、ということが、中国側の意向であったと思うのです。しかし、これに対しまして、日本側は、それでは中国側と話し合いできめましょう。この発言は、私は必ずしも不当なことではないと思いますけれども、そのとき、日本側の腹にありましたことは、五名以上の者を連れてきてはならぬということが、ガンのように舌にこびりついておりますものでございますから、話が円滑に進まなかった。こういうことでございますから、一つ貿易の問題につきましては、日本政府は、もう少し良識ある態度でお考えになりまして、また貿易代表として来られた人が、もし社会運動に熱中されるようなことがあれば、穏やかに国外に帰っていただけばいいのでありまして、貿易の仕事で来るというならば、貿易の法則に即して、通産省の御意見なども十分に聞いて、友好裏に話がきまる方に持っていく。そうすれば、円滑にいくのではなかろうかと思いますが、これにつきましては、法務大臣も御関係のあることでございますから、これも御理解を願いたいと思いますが、結局は、外務大臣の御良識と、また外務大臣と通産大臣の御相談によることですけれども、有力な閣僚の一員といたしまして、また治安に任ぜられる立場の御考慮ということが、政府与党筋では非常に重大に考えておりますので、貿易に関します限り、貿易は日本の生命線である、武力なき日本としましては、平和と貿易が新しく生れてくる子供たちの生命線であるという認識に徹されまして、貿易がふえるときは国内は安定するのですが、減るときは治安も乱れるのでございます。従いまして、法務大臣にこの点は十分な御理解を願いたい。  それからもう一つ一あとの専門的なことは、古屋さんに補っていただきますが、見本市を開くとなりますと、もう調査員を先方から呼ばねばなりません。武漢、広州の見本市が二月か三月に開かれまして、日本の見本市は、春ということになるか初夏になるか、その相談を始めねばなりませんから、若干の現地の調査員を呼ばねばならぬ段階に参っておりますので、これにつきまして、法務省の方の御理解を得たいと存じます。それから同時に、見本市にこちらから先方に参るのは、先ほど言いましたように、機械の運転などを考慮いたしまして、相当数が必要です。向うからこちらに参りますのは、主として原料関係でございますから、おそらく日本から向うへ参りますより、ずっと少い数で済みますけれども、これも最初から頭からきめないで、通産大臣と御相談になって、仕事の必要から算定するという良識ある親切な態度が私は望ましいと思います。これくらいの仕事であるから、その仕事をするためにはこれくらいの人数が必要であろうという気持をもちまして、お互いに仕事の必要を中心として、貿易の仕事はきめ合うものではないか、そういう態度でお考え下さいますように、御理解を願いたいと思います。  それから第三には、この法案を早く提案していただきませんと、今の見本市に間に合わないことになります。その他事務的なことは、古屋さんからお尋ねしますが、最後に、民間駐在員を置きますときに、公務員に準ずる待遇ということで、もちろんけっこうですが、そうしますと、先ほどの身分保障ということが若干問題でございます。中国側も、この点は思い悩みまして——これは治外法権とか外交官待遇を要求するのではありません。ただ過渡期の措置として、多少日本は今国際的な紛争の接線にありますので、政治紛争、国際紛争に巻き込まれたくないので、お互いに相互主義によって身分の安全をはかりたい。従いまして、領事官なら領事官待遇という紋切り型でなくて、それに準ずるような待遇を希望しておったようであります。しかし、日本側としましては、やはり何か法令的根拠が必要でございますから、私は法令を見てみますと、むしろ第三条の四項の(二)の、外国政府または国際機構の認める公務員という条項よりも、外国の代表部として、カッコして、この中には当時まだ承認されていなかったフィリピンとか韓国なども入っております。未承認国も入っておりますから、外国の代表部に準ずるもの、この方が適切でなかろうかと思いますけれども、とにかくきわめて常識的なこの要望に沿えるようなふうに御研究願ったらいかがであろうか、この点をお尋ね申し上げます。
  162. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 ただいま、日中貿易の重要なことにかんがみまして、法務省の考え方について、いろいろと御意見を承わりました。まことにごもっともだと存じております。御承知のように、法務省はお話にもありました通り、公安の維持という立場からできております法律の適用に当っておるのでありまして、積極的に日中貿易を促進するというような面にタッチしておるわけではないのでございますけれども日中貿易の重要さにかんがみまして、いろいろの制限規定の適用につきましては、でき得る限り支障にならないようにということを念願して措置して参りたいと考えております。法案の提出時期等につきましても、御注意のありましたことでありまして、でき得る限り早く御審議を願いたいと考えております。  それから、見本市の開催も迫っておりますから、それの準備として入国する人々、これらについての措置につきましても、でき得る限り便宜をはかりたい、かように考えております。
  163. 帆足計

    ○帆足委員 それから、今度、見本市の調査員でなくて、見本市そのものが起りましたときに参ります人たち、これにつきましても、仕事の内容を通産省と御相談下さいまして、仕事に即して人を勘定していただきたい、これを切にお願いいたしておきます。従来は、それと関係なしに、目の子算用でさっと切った。それでは仕事になりません。やはり貿易という着実な仕事に必要な人数、これが私は一番良識的で中国と交渉しやすいと思いますから、御答弁を願いたいと思います。
  164. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 これらの点につきましては、よく外務当局、また通産当局と協議いたしたいと考えております。
  165. 小平久雄

  166. 古屋貞雄

    古屋委員 同僚議員からだいぶ詳しい御質問がありましたので、私は要点だけで質問を終りたいと思います。  問題は、通産大臣がおらぬので、遺憾にたえないのですが、局長から御通知を願いたいと思うのです。実は、現在日本の一番当面している政治の中心は、国民生活の安定である。国民生活の安定ということは、経済問題でありまして、今、帆足君から言ったように、相当な食糧を買わなければならない。工業国の日本を建設するためには、原材料を買わなければならない。このことは、どうしても輸出貿易を振興させなければならぬという必然的に背負っておる日本の運命でありまして、これをどこに求めるかということが、問題になるでしょうが、われわれはお隣の六億の民を擁する中国、いわゆる中華人民共和国に求めるところが非常に多いと思う。現在のようなアメリカ依存の経済そのものが、永久に続くものではないと思うし、また日本の完全独立国家としての裏づけである経済自立を考えますときに、われわれは、隣の中華人民共和国を忘れるわけにはいかないと思う。ここに、業者からも経済人からも、国交正常化が行われていない現在において、しかも多数の人から、多数の業者から、多数の国民から、中華人民共和国との貿易を促進しなければならぬという要望も生まれてきておると信じております。しかも第一次、第二次、第二次協定が行われて、第四次協定の問題になって、問題が行き詰まりましたのは、通商代表の問題です。最も具体的に、最も有効適切な貿易をしなければならない、そうした意気込みを持った最もいいお得意さんであるところの中華人民共和国との問題について、今行き悩んでおる。このことは、今、その衝に当りました帆足さんからも、お話がございましたけれども、私がつい先日、周恩来総理なり、陳毅副総理なり、あるいは雷任民国際貿易促進委員会の次長なりにお会いしたときの話の一つに、第四次協定の行われないのは、日本政府が中華人民共和国を信用しないことが根本なんだ、あとはつけ足りだ、こういうことを私はつくづく承わってきました。このことは、私は総理に直接決意をしていただきたいと思うのですが、まず第一に、所管大臣の通産大臣が根本的に腹をきめるべきだと思う。外務省からちょこちょこ手を出されれば、外務省が文句を言う、法務省と協定しなければできないというへっぴり腰をやめて、きぜんとしてやってもらいたいと思う。きょうの同僚議員の質問の総括的な結論は全部そうなんです。弱過ぎる。日本の国民生活の安定を叫んでおる今の岸内閣は、なぜ一体経済を中心にしないかということです。経済大臣が中心になるのは当りまえだと思う。外務省にしても、法務省にしても、つけ足りなんです。そうでしょう。私はそのことをはっきりきょう通産大臣に申し上げたいと思ったら、帰ってしまったので、あなたからお言づけを願いたい。  同時に、私が一番申し上げたいことは、今、帆足君から読まれましたように、こんなことは、日本の現在取り扱っておる取扱いでできるのですよ。数字の問題を、夜店の商人でもあるまいし、国と国とが大きな貿易をする場合に、われわれの代表が行って、人数の問題で四十日もかかってくるということは、私は愚の骨項だと思う、下の下だと私は思う。行政措置でこんなことはできるんですよ。一体法務大臣は、これはあなたはごらんになっていると思うが、法務省から出しているのです。法務省のお出しになっている外国人登録事務取扱要領の中の(ロ)のB、これが適切です。人数なんか要らぬですよ。小刻みにしなくたって、この中の外国の代表部、たとえば韓国のごとき——韓国だって、日本とは無条約状態でしょう。国交正常化も行われておらない。これはだれが見たってはっきりしておる。その韓国の、一体あれは何です。何で来ておるのですか。公使といい、大使といい、そういうような卑屈な態度をもって日本の外務省がやっておる。このへっぴり腰の外務省に対して、なぜほかの所管大臣が、けつをまくらないか。日本人は韓国には行けない。新聞記者も行けないのですよ。韓国人は日本へ来て、堂々と日本の情勢を調べていっておる。そうして交渉にへっぴり腰になって、今まで岸内閣が半年もやって何もやれぬじゃないか。一千六百人の人間を帰すために、今まで何をやっておるか。これでできるのです。現にやっておったのです。韓国がやれるのに、中華人民共和国では、どうしていけないのです。私はこの点の解釈を質問したい。私が法務大臣に質問したいことは、あなたの出しておる(ロ)のB項の「外国の代表部(例えば、韓国、インドネシヤ、フィリピン)の要員及びその家族で在留資格四—一—一を与えられている者」これはおそらく四の一の一の問題にひっかかってくるでしょう。けれども、今法務大臣のおっしゃるように、ほんとうに中華人民共和国との貿易が必要だということが前提になるならば、私はこういう処置をとっていただければできると思う。四の一の一の解釈問題にあまりこだわる必要はないと思う。私は、この問題については、いずれ予算委員会で岸総理の決意を聞きますが、何かしら法務大臣は外務大臣に因縁をつける。外務大臣は法務省が気に入らぬ。こんなことでは、日本の貿易はできませんよ。国際収支が赤字になるのは当りまえだ。従って、通商局長にお願いしたいのですが、ほんとうに通産大臣は腹を据えてしっかりやって下さい。今までの問題はこれなんですよ。そこで私は、六億三千万円もの機械やその他の品物を中華人民共和国に売りつけるという見本市で、それを進めてきたけれども日本の名古屋福岡の問題で行き悩んでおる。そのために、向うの広州と武漢の問題も行き悩んでおる。その責任者たる宿谷君が、どうにもこうにもならないというので、私らが中華人民共和国へ参りますときに、何とか打開する道はないだろうかというので頼まれて、ほんとうに腹を据えて話してきた。やりましょうというので、きまりまして、十二月の五日には、はっきりとわれわれに、両方の見本市を開きましょう、代表者を呼んで通告いたします、こういうことになって、私どもが広州を立ちまする十一日の前の晩には、もう準備に着手いたしますということで、着手しておるはずです。こういうところから考えますときに、どういうわけでそうなったかというと、このことは、日本政府の腹一つだ、私の政府を信用してもらえばいいのです。無理に治外法権を要求いたしません、外交官並みのことも要求いたしません、相互主義でやりましょう。日本のやっておることは、私どももやりましょう。総理大臣の腹一つだ。しかも、外国人登録法においても、それから入管の規定においても、法務大臣と総理大臣の腹さえきめれば、上陸できる、日本に滞在できますよ。この点はいわゆる身分の安全保障の問題もできるのです。これを、重箱のすみをようじで掘っていくということをやっておったならば、現在のような飛躍的な世界情勢の中においては、日本経済は置いてきぼりを食う。私どもが一番心配いたしますのは、第二次五カ年計画の中に日本との貿易を織り込みたいというのが、向うの意思ですよ。向うさんも、日本がこれに食いつこうということは重要なことで、チャンスがあるんですよ。このチャンスを逃がしたらだめだから、私どもはやかましく言っている。西欧の諸国が、わっさわっさ押しかけてきます。英国のごときは、もうすでに協定を結んでいる。北鮮にまでロンドンの商工会議所の諸君が、二十五人も来年の一月に出てきます。そこまで欧州の諸君が、中華人民共和国なり、北鮮なり、東アに対して、交流を盛んにやりたいということを猛烈に言ってきているわけです。このことは御承知のはずです。そこで、日本が下らない、こまかい法律解釈のしゃくし定木にとらわれずに、一番大事な第二次五カ年経済計画の、あちらさんのやっておることに、わが日本の経済をマッチさせていかなければならぬ。マッチさせて有無相通じ、両国の利益のためにやっていこうということを考えなくちゃならぬと思うのです。その意味において、法務大臣の先刻の御答弁については、私は満足いたします。この指紋法の問題については、指紋法などは末の末です、登録法が問題なんです。そこで法務大臣から、来たるべき国会には御提出を願う、しかも六十日を一年にする、この点については、私ども向うから了解を得て参りました。それでけっこうなんです。ただ、その実施期間をどうするかの問題です。これは御答弁がなかった。即時実施していただくように、それから今申し上げましたように、これは長谷川委員からも御質問がありましたし、佐々木君からも御質問がございましたように、もし解散になった場合にどうなるか、この法律が通らなかった場合はどうなるか。その点は、私が申し上げましたB項でやれると思うのです。四の一の一の解釈をどうするかという問題です。もっとはっきり申し上げますならば、日本に外国人が永住、居住することについては、法務大臣の決裁でできるのです。あなたの腹一つでできるでしょう。これはそこに関係者がおりますから、外国人が日本に参りまして、日本に永住、居住しようという決定権は、法務大臣にあるのですから、あなたの腹をきめて、向うの貿易に必要な通商代表部の人はおれの方では指紋をとらない、日本に永住してもけっこうだという腹をきめれば、できる。あなたの御決意を私は承わりたい。まず第一前提については、通商局長に対して、通産大臣に、はっきりと腹をきめて、ぜひこれは日本の経済の復興に必要なんだということをお伝え願いたい。これは、もちろん申し上げたくないですが、自民党がどうであるとか、現政府がどうであるとかは私は申し上げません。そういうことは抜きにして、経済の問題として、積極的に設置することに対して努力するなり、あるいは代表部の交換を積極的にやることについて努力するという通産大臣の御答弁がございましたけれども、その先になる第四次協定をどうして結ぶかという問題第四次協定のポイントがどこにあるかという問題、これは、私がただいま申し上げたことも十分お含み願って、どうか腹をきめていただくことをお願い申し上げます。  それから第二は、法務大臣の登録法の改正の問題についての御答弁は、私は満足いたしますが、これを施行するときをいつにするかということについての御答弁と、それから、必ずお出しになることは御約束になったから、もし解散になった場合には、その登録法の改正が行われるまでの過程的な措置として、外国人登録事務取扱要領において、腹をきめておやりになる御意思があるかどうか、この点だけの御答弁を願いたいと思います。
  167. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 まず登録法改正の問題について、お答えいたしたいと思います。これは、先ほど来、だんだんと申し上げたことと重複するかも存じませんが、現行法の六十日を一年の長期に改めようといたしまして、今、準備を進めております。なるべく早い機会に御審議をお願いしたいと思っております。その施行期日につきましては、大体三カ月の準備期間が要ると思っておりますが、これもなるべく急ぎたいと考えております。そうして、この法律案が成立しなかった場合のことでございますが、これも先ほど申し上げました通り、前々から、現行法のもとにどの程度に拡張して解釈ができるかということは、でき得る限り便法を講じたいという意図のもとに研究をいたしたいと思いますが、何分にも現行法があまりにも明瞭に書いてありますものですから、その間におきましては、当初ニカ月の予定で入国した者が、いろいろの都合で少し延びても、それは大目に見る。その期間等につきましては、あるいはこれを十日とするとか十五日にするとか、いろいろ考え方はございますが、まあそこらが拡張解釈の関の山ではないかというふうに、今考えておるわけでございます。どうしても根本的解決は、やはりこの登録法の改正へ持っていかなければならぬと思うのでございます。  それから、入管令の四条の一項の一号あるいは二号の適用によって解決するではないかというお言葉でございました。なるほど、これに準ずるものという解釈での取扱いもできるかと思うのでございますが、外務省といえば法務省、法務省といえば外務省というおしかりでございましたが、やはり私どもの立場から申しますと、これの取扱いは外務省が決定をして、そうして法務省に関係のあることについて御協議をいただく。根本は外務省であろう、かように考えておりますから、重ねておしかりがあるかもしれませんけれども、先ほど申し上げました通りでございまして、どうぞ御了承願いたいと思います。
  168. 古屋貞雄

    古屋委員 大体けっこうでございますが、外務省の方に、やはりそうしたお気持で、すっかり御協力と申しましょうか、御協議を願って、積極的にお進め願うことをお願いいたしまして、私の質問はこれで終ります。
  169. 小平久雄

    小平委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。     午後四時十六分散会