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長谷川(保)
委員 この精薄の売春婦をしていらっしゃいました婦
人たちは、非常に困ったことに、しばしば妊娠して臨月になって飛び込んでくるのです。これが普通の人であればそういうことは非常に少いのでありますけれ
ども、私が預かっているのは二人ともそうです。飛び込んできて話をしている間にもう産気づいているのだから、こっちも全くあわてざるを得ないということになるのですけれ
ども、そういう
人たちを
ほんとうに大事にしてやるということは公立のものではなかなかできません。むしろこれは、私設の
社会福祉事業なりが
ほんとうに一はだ脱いで活躍するべきところだと思うのであります。それには、今申しましたような三十人以上というようなところではできない。特別に新しいそれ専門の
施設を作るとなれば十人以下では経営できませんけれ
ども、
社会福祉事業に尊心をしておりまする方々の中には、
ほんとうにそういう
人たちの
人権を大事にしていこうという熱情を持った
人々もあるわけであります。そういう
人々で適当な
施設にお願いをしてそういうことをやってくれるならば、やはり国の方でそれを
施設としてめんどうを見るというようなことにして、少なければ少いほど、二人でも三人でもいい、熱心にその専門家の
人々が世話をするということをしていく。今も
お話しの通りに、こういうような
施設に案外来ないというのは、こういう
施設の
事情を知らないのです。でありますから、一たび来られまして、人と人と会う、そうすると彼女らは、今までそういうような純粋な愛情を持って見てくれるということがありませんでしたから、ただからだをおもちゃにされてきただけでありますから、そういう純粋な愛情を持ちました
人々に対しては非常な信頼を持つ、このときには、婦人とともに
子供のこともともにめんどうを見る。私のところでも、そういうわけで突然飛び込んでこられました人をやむなくお受けいたしまして、専門の人がついてめんどうを見ております。赤ん坊も一緒に育てるということで、結局母親だけでなしに赤ん坊も一緒にめんどうを見ておりますが、これらの人は非常に愛に飢えておりますから、これを
ほんとうにめんどうを見てやれば再びそういう悪の道に転落しないでいける者になる。ところが、そういう事実を知りませんから彼女らは来ないのです。今は非常にチャンスだと思います。各地のそういう
施設が廃業しておるときでありますから、今これに十分力を入れませんとまたどこぞにもぐってしまうということになるわけであります。私は、これは非常に緊急を要すると思うので、この点につきましては
一つ当局におかれてもぜひ十分な配慮をこの際緊急にしてもらいたい。そして今のような
社会福祉事業として、そういうごくわずかのものであっても、これに限っては、こういうような場合精薄の売春婦の人を扱うというようなことに限りましては、きわめてわずかの人であってもそれをやはり国が十分バック・アップしていくというような緊急の対策を立ててもらいたい。これは非常に大事なことです。
それからもう
一つ伺いたいのでありますが、
社会福祉事業の医療
施設の医療収入の一〇%というものを患者の医療費の減免に使用するということの御通牒を出されたことは
承知して起ります。まあ大蔵省等いろいろの関係でそういうようになったのだろうと思います。そこで私が伺いたいことは、この間
医務局長でありますか
保険局長でありますか伺ったのでありますが、国立病院の特別会計をずっと見て参りますと、これは滝井
委員も非常に熱心に今までやられておりますが、今年度の
予算を見ましても、御
承知のように料金収入は七十五億四千万円、経営に要する
費用は七十億六千万円、四億八千万円の黒字になっておる。五・一%ぐらい黒字になっておりますけれ
ども、しかしそれに対しまして少くともさらに
一般会計から入れていますのが十四億五千万円、そのほかに三千万円の金も入っておりますから、それだけ見ましても一九・四%の赤字になるわけです。これを計算すればそれだけ国の
一般会計の方から入れるということであります。そうするとさっきの黒字の五・一%を引きましても一四・三%というものが赤字になる。いただきました
資料によりますと、ここに投下しておりまする投下資本というものは、国立病院だけで百三十八億五千万円です。ところが私は総資産の見積り自体が非常に低いものだと思います。おそらく非常に低いものだと思う。けれ
どもかりにこれをこのままの資産と見ましても、当然この投下資本に対しまして、もし利子を払うとしますと、御
承知のように厚生年金の金を借りるには六分五厘ということになるわけです。予定利子は五分五厘でありますけれ
ども、実際は六分五厘も払っている。そうすると六分五厘利子を見るだけで少くとも八億九千万円、約九億円、こう
考えて参りますと、なかなかどうしてこの利子だけでも一二%の赤字になっております。従って先ほどの赤字と合せますと、少くとも二六%からの赤字になるわけであります。このほかに御
承知のようにたとえばこの前昭和三十二年に医療審議会ですか何ですか出しましたが、経営に要する
費用とともに、社会通念からすると当然利潤というものを
考えるということに
一般の病院ではなっております。
社会福祉事業でありますから、利潤というものを
考える必要はございませんけれ
ども、しかしそのほかに退職積立金あるいは償却費、火災保険料その他のものを当然
考えねばならぬのであります。そうするとこの赤字はさらに大きくなる。
社会福祉事業にこれを持っていってみるともっと大きくなる。国立病院がこういうことでやっているのでありますから、
社会福祉事業の医療事業というものは、国立病院よりも状況がいいとは
考えられないのでありますから、当然もっと大きな赤字になるということであります。こういうことが当然
考えられるのに、どうして一〇%をどうして減免のために使わなければならないという御連牒をお出しになったのであるか、またそれを真実に実行させる御意思であるか、
一つお伺いいたしったい。