○滝井
委員 実は文章の上だけで見てみますと、一般
職業訓練というのは基礎的な
職業訓練をやる。それから
総合職業訓練というのは専門的な
職業訓練をやるところになっておる。そうしますと学校教育法の中学校の目標というのを見てみると、「社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる
態度」、こういうようなことが書かれておるわけです。それから今度は高等学校の目標を見ると、「一般的な教養を高め、専門的な技能に習熟させること。」こうなっておるわけです。ちょうど労働大臣の言う一般
職業訓練と
総合職業訓練が中学校、高等学校とこう並列する形で出てきているわけです。特に高等学校の中でも夜間高校なんというのはこれはいずれ文部省にも
質問するつもりですが、これは非常に
総合職業訓練所との
関係が微妙になってくる。なおそればかりでなくて
産業学校というようなものが出てきますと、技能検定の
関係あるいは
職業訓練指導員との
関係、これらの資格
関係というものが当然やはり問題になってくるところなんです。学校教育の問題はいずれ文部省にも少し尋ねて、もう一回
労働省の方にもお尋ねをいたしたのですが、そういう中学校の目標なり高等学校の目標等との関連というものが非常に微妙に関連してくるのです。従って国の財政的な見地から
考えるならば、もし学校教育でそういうものがやれるのなら、わざわざ学校ということを言わずに、
職業訓練所というようなことでやるよりか、むしろ学校でやった方がいいという
考えも出てくることになる。というのはどうしてかというと、何といっても
日本には事大主義の
考え方が非常に強い。
養成工なんか出たらどうも給料が学校出よりか上らぬという偏見がなお
日本では支配をしている。それが
日本の若い青年を支配をしているのじゃなくて、いわゆる会社の重役や経営者の頭にそういうことがあるということなのですね。従ってこれは結局よくないことなのです。私はどうしてそういうことを突如ここで言うかというと、これは
事業所内の
訓練所に関連をしてくる。たとえば私なら私が労働運動を一生懸命にやっているとします。そうして私のむすこを私の会社の
養成工に入れたいと
考えます。そうすると会社は、むすこを入れる条件として、滝井さん
一つ労働運動はあまりやらぬようにしてくれと必ずくるのです。そのかわりあなたのむすこは入れますからという。そうすると親ばかですから、むすこかわいさに余って頼みますとこうなるわけです。これは
一つのひもがつくのです。やはり民主的な労働運動を推進する上についてこういう点は微妙な、そうして同時にそういう形で入ったり、大きな
事業場の
訓練を受けた私のむすこは今度学校を卒業したらどういうことになるかというと、おやじがああいって入れてもらったのだからわしは子飼いじゃ、こういう
企業内における特権意識が目ざめてくる。こういう点を私は
事業所内の
職業訓練というものについては真剣に
考えなければならぬと思う。少くともその運営については
労働組合に
職業訓練をやらせいという主張もわれわれはしたいと思うのです。そういう
関係があると同時に、
事業内の
職業訓練の運営についても、今くらいに民主的に
労働組合が発達したのですから、労働教育も大臣はやられようとしているのだから、やはり自分の子供あるいは自分と同じ労働階級である者の教育についても、技能
訓練についても、その
事業場の
労働組合が幾分発言権を持つ姿というものは作っておかなければならぬと思うのです。これは最近の
傾向、たとえば大学の
傾向をごらんになっても、
労働者のわしのむすこが大学の学生の間は赤旗を振って全学連の先頭に立った、しかし三年になったらぴたっとやめちゃう、そして高等試験というか、いわゆる公務員試験を受けて通る、そして会社に行く前とかなんとかはもう自民党支持でございますということになってしまう。そういう形は、
日本の将来を
考えると、
日本の青年というものにうそを言わせる形になってくるのですね。だから何かそこらあたりにもっと堂々とした青年を作っていく、ほんとうに真実があるならば、やはり真実を主張せしめていくという形の
訓練というものができる形を、私はやはり
事業場内に作っていかなければならないと思うのです。そういう点で一般
職業訓練と
事業内の
職業訓練との関連を
考える場合に、
事業内の
職業訓練というものがそういう危険をはらむおそれがある。特に労働協会というものができてわれわれの頭を洗脳していく、洗っていくという形になると、ますますその
傾向を助長するおそれがある。これは私は石田大臣だから言うのですよ。そういう危惧を抱く者なのです。現実にそういうものをまのあたりに私は見ること再々であるのでますます言うのです。それはわれわれの知っている学生でもずいぶんそうなのです。勇敢にやっておったが、卒業する段階になるとぴたっとやめて、今までと打って変って手の平を返すような形になってくる。これはやはり人間ですからそれぞれ感情もあるし弱点も持っております。そういう点
事業場内の
職業訓練については、特に私は保守党の中の進歩的なチャンピオンといわれる石田大臣のもとでこれがニュー・フェースとして行われる立法なのですから、初めからやはりそういうことを注意しなければならぬと思いますが、
事業場内の
職業訓練を行うに当って、勤労者の代表が、
労働組合か何か、そこに発言の機会を求めて、そういう悪い
傾向の起らないような措置を講ぜられる意思があるのかないのか。