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滝井委員 私はこういう国の財産を貸してそして運営するものが、資本家だけの集まりでは今後はいかぬと思うのです。それはなるほど会費は資本家が出すかもしらぬけれ
ども、施設の金というものは少くとも労働者が半分出している。労働者の
保険料がその中に入っていっておるわけです。しかも労働者のために模範的なものをやってくれるのだといっても、受ける方の側に
発言がなければ何もならない。ですからこれは少くとも、昭和二年にできて伝統があるかもしれないけれ
ども、現在の
社会保険協会というものにメスを入れて、きちんと民主的な運営のものにすべきだと思います。そうでなければ国有財産などは貸せませんよ。まるで今の
日本の政治が大資本のために奉仕するような
傾向になって、体のいい慈恵的な労務政策によって運営せられてしまうとも限らない。あたかも資本家が作り出しているような格好になっている。ところがあにはからんや調べてみると、結局施設というものは
健康保険の会計の中から業務勘定にある
程度出ている。あるいは運営の一番中心になるものはわれわれ
国民の血税なんですよ。しかも資本家は協会へわずかな金を出しておって、あたかも全部を出しているような擬装が感じられるのです。外から見たらそう感ぜられる。われわれも
社会保険協会というものが運営の主体だと思ったら、全部金を出してくれてやっておったと思って調べてみたら一文も出していない。これはまるで公益性がない普通の
私的医療機関以上です。国の財産を借りておって、そして従業員は国家公務員と同じものをやっておるというが、搾取が行われておる。激しい搾取がそこでは行われているかわり公益性がない、これはほんとうは税金をかけてでも一ぺんやらしてみるべきです。ところが国の財産を借りているというようなわけで、あたかも公益性があるような感じを受けるだけのことなんです。実態は公益性は
一つもない。今までの
質問を通じてみても、労働協約もつけておらぬ、これは今度社会労働
委員会に切りかえて、労働
大臣呼んでやらしてみたらあなた方まるきり処置なしです。しかも国家試験を受けたインテリばかり集まった病院です。
日本の最高の技術者が集まった病院です。私はまだだいぶありますが、大体実態がわかりました。従って、これによってももはや
日本の
公的医療機関、あるいは第三の範疇に属する
公的医療機関に類似したものはやっていけぬ状態が出てきたことは確実なのです。役人と同じような
ベースアップもできない。ですから
高田理論の八・五%というものは実行したところでとてもだめだということがこれではっきりしてきた。あなたがもしやれるというならば、三カ月でもいいから、
問題の一番起っている蒲田病院や松籟荘をやってごらんなさい。そうしてあそこの従業員諸君が国家公務員と同じ
ベースになり、
健康保険のモデル病院になるというならば、私は全国を説得して回って、
高田さんの八・五%に賛成いたします。そういうことができない前に、日雇い
健康保険をその上に重ねていったら大へんなことになるのです。ますますそういう弱いところに悪い
医療が重なってくる結果にもなりかねない。ですから、
法律の審議は、これからゆっくりやらせてもらいますが、まずあなたの所管の病院だけは、
医療従業員の待遇も
治療の内容も経理も公開をして
一つ見せてもらいたいと思う。そこでさいぜん病院の組織を言いましたが、
次会には、何なら決算
委員会で調べさしてもいいです。あなたの方で
一つ東京の実態を明らかにして下さい。もう
日本の
医療というものはふたをする段階ではない。全部大衆の前に明らかにしていかなければならない。そうしていかに
日本の
医療というものが大衆に圧力を加えておる
医療であるか、保守党の
政府のもとにおける
社会保険政策というものを赤裸々に示さなければいけない。見てごらんなさい、あなた方が三十億とったものが、またぼやかされたじゃありませんか。こういう実態が明らかにこういう施設に現われてくるのです。それは
医療従業員の給料になって現われる、次の段階には
結核患者に十本注射したら、それを七本に切るという、こういう情勢になって現われてくる。その次には、
結核患者が病院に行った場合には十本の注射は受けられない、七本になってしまう、こういう実態が徐々に現われてくる。ただ
医療は急激に現われないで、徐々に現われてくるだけのとです。こういうことが現われる前に、やはりわれわれはこれを明確にしなければならぬ。そこで、一番早いのは東京ですから、
国民健康保険の過程で、この
社会保険協会の鹿島守之助さんに何なら一ぺんきてもらってけっこうだと思うのです。たとえば
問題のあった蒲田病院それから松籟荘というような東京にある病院の収支の状態、それからそこにおける公務員の給料、特に国立東京第一病院あたりと比較して、
一つ資料として
次会までに出していただきたいと思います。これは資料として
次会までに出すことはできるでしょう。主なところはもうやってしまったのですから、
次会にはそういう具体的なところをやってもらって、そうしてあなた方に協力してモデル病院を作っていく。しかも、
保険課長が常務
理事なのです。その運営はもう少し民主的なものにしてもらいたい。
社会保険協会というものを資本家の集まりにする必要はないと思う。労働者のための施設として国有財産を使っておるならば、資本家だけにまかせる手はないのです。だから、そこは少くとも労働者代表も入ってフェアに運営ができる、民主的な
健康保険のモデル病院ができるように、中小企業の劣悪な労働条件にある諸君に、厚生施設によってそれをまず補わなければいかぬから、そういう中小企業の労働者代表が当然そこに行って
発言ができる機会を作る場所を設けなければいかぬと思う。単に病院の運営だけではない。しかもこれは
日本の社会保障の
指導的な方向を確立するためにできておるというのが
社会保険協会の目的の中に書いてありますよ。
あと社会保険連合会のことをまだ聞いておりませんから、
次会、そういう資料が出たら連合会の方ももう少し聞かしてもらいたいと思います。私は
保険局全体のこういう外郭団体的なものを全部一ぺん、この前も言っておったように、ある
程度洗わなければならぬ段階がきた、というのは、今後年金をやる、
国民健康保険をやる、そして
健康保険をやるということになると、
高田さんの領域というものが膨大になる。
厚生省の
行政というもののほとんど大半というものは、あなたの
行政のもとに入りましょう。いずれあなたの方は、これは外局の
保険院か
保険庁というものを作るという構想があるとか、二、三日前の新聞に出ておりましたが、そういうものにいく前に、今の機構というものをきれいに、そして民主的な運営を確立して、しかもほんとうに
国民医療にたえ得る機構というものを作らなければいかぬと思うのです。手足まといと言っては語弊があるけれ
ども、前時代的な機構というものをあなたのしりにつけていったのでは、あなたの名誉のためにもよくないと思うのです。そういうわけで、忙しい時間の中を二日も三日も博間をかけて実は私は調べてきたのです。
次会は東京における病院が一番いいと思うのですが、二つ、三つでけっこうですから、いいもの、悪いもの、中ごろくらいのものを出してもらって、そして給与の実態を国立病院の代表というようなものと比較してもらう。そして、
社会保険協会の連合会のことを少しお聞きしたい。大体以上で終ります。