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田子委員 質疑に入ります前に
一言お許しを願いたいことは、時代にそぐわない老骨のために与党、野党の
質問の時間をお与え下さいましたことはまことに感謝にたえないところでありまして、この点
諸君に対し深く敬意を表したいと思います。
私の
質疑というのはきわめて簡単な、常識的なものでありますから、
法律とか数字とかをあげて申すのではありません。
厚生大臣は
厚生白書の一ページ目に
序文を書いていらっしゃるのであります。「わたくしが
厚生大臣に就任早早直面した最初の仕事は、
売春取締の後始末でありました。続いて、
風呂代の問題、都市の下水、
塵芥焼却のこと、
食品衛生、
水害対策、
生活保護、
日雇労働者の
社会保険、引揚、里帰り、医師の
待遇改善の問題等々、いやはや、や
つぎ早やに追いまくられ、正直のところ、これではたまらぬと思いました。」そうして結論のところに「この
白書についていろいろの見方や御意見があると存じますが、これらを
行政に反映させることこそ
政治の要諦と存じます。
厚生行政に対する
国民総
参加――
国民と共に立派な
厚生白書をつくるということこそわたくしの念願とするところであります。」御心境が非常によく現われておりますし、この
国民総
参加ということに私も深く感銘するのであります。私がこの
委員会に
関係するようになってから短かい間に
大臣は十人かわっておる。今これをちょっと見ますと、林さん、黒川さん、橋本さん、吉武さん、山縣さん、草葉さん、鶴見さん、川崎さん、
小林さん、
神田さん――私は時間の許す限りここに欠席しないようにしておりますが、
大臣がおかわりになるたびに前に言うたことが何か消えてしまって、新しい
大臣をまた迎える。何だかどうもたよりない感じがするのです。これ
政党は
内閣で始終
大臣をかえなければならぬということもありますけれ
ども、これを何か補強することを考えたらどうかと思って、この
白書をいただきましてから私はしきりに考えたのです。それで、まず私が申し上げたいのはあなたの御
相談相手に、この
大臣諸公、それから
歴代の
政務次官、それから
委員長――
委員長は長くおられて何もかも知っておられる、それから
理事、その他ここにはたくさんのたんのうの士がおられるのですから、それらの
諸君をいつも
自分の御
相談相手にされまして、
名前はつけるかつけないか、それは別問題でありますが、
厚生省に一部屋でも作って、そこへ始終集まればお茶でも飲めて、昼飯くらいは出す、(笑声)これは笑いごとじゃない。実際そのようにして、何の
大臣はここはこういうことを考えておったんだから君しっかりやってくれ、
委員長の方は
政府はこういう
答弁をしておる、こういう
決議をしておる、これは実行してもらわなければ
委員長が勤まらない、
理事も困る、また
質問した者も困るというようなざっくばらんな話をする道を開いたらどうか。これは官制で持つということになると
めんどうだから、
ほんとうにお茶飲み話に集まる。これでおのずから過去十年間の各
大臣はどう考えたか、
次官はどう考えたか、
委員長はどう考えたか、
理事はどう考えたか、みんなはどう考えたかということが薄ぼんやりでもおわかりになる。もしもあなたがおっしゃるように、これではたまらぬというように一人で考えられるなら――今の
堀木大臣は私は長いこと
社会問題、あるいは
鉄道省でも、また弘済会でもお世話になっておるが、その方面に通じておられるのですけれ
ども、やはり
速記録というのはずいぶん多いからあれを
一つ一つ繰って覚えて、そうして過去にはこういうことがあるということはなかなか
めんどうだから、私はそういうことをまず第一にやってみたらどうかと思う。それからもう
一つはこういう人を動員しまして、
国民総
参加とただこの
白書だけに書いておいたところで実を言うと
国民はわからない。ことに戦後の
国民生活というものはどういうことになっているか。憲法二十五条ができてからどういうことになっておるか。
児童憲章が公布されてから果してその
児童行政というものはどういうふうになっているか、全体
国民は御
承知ない、いかにも情ないことだと思う。それには今申し上げたようなメンバーを動員しまして、
大阪とか名古屋とか、ああいうところに出張って
商工会議所や知事を中心にしてこの
社会福祉懇談会、
厚生行政懇談会というものを開いて、その道の人が十分ここに集まれば、ここには雄弁な人もおるし、話の上手な人もおるし、材料を持っておられる人もたくさんおるのですから、こういう
人的資源を(「失礼だぞ」と呼ぶ者あり)
人的資源という
表現はいけませんが、これを活用するということを考えたらどうか。それからもう
一つ、大蔵省の役人も、こういうような
人々が集まったところに
大蔵大臣、
大蔵次官それから
主計局長、ああいう
人々を呼ばれまして、そうして
懇談会を月に一ぺんやるとか二へんやるとか、そういうことにすれば
自然地方の方も了解がつくし、また
予算を編成するのも楽になるのではないか。これだけのりっぱな人がここにおりながら、これを活用しないということは――ただてんやわんやで困ったというように踏み切らないで、そうして
国民参加の実行をしたらどうでしょうか。こういうことを
一つおやりになるというような気分に
大臣はならぬものでしょうか、これをお伺いいたします。