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1958-02-20 第28回国会 衆議院 社会労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 植村 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 田中 正巳君 理事 野澤 清人君    理事 八田 貞義君 理事 滝井 義高君    理事 八木 一男君       小川 半次君    大橋 武夫君       草野一郎平君    倉石 忠雄君       小島 徹三君    小林  郁君       田子 一民君    中山 マサ君       藤本 捨助君    古川 丈吉君       山下 春江君    亘  四郎君       赤松  勇君    岡本 隆一君       栗原 俊夫君    五島 虎雄君       堂森 芳夫君    中原 健次君       吉川 兼光君  出席国務大臣         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         労働事務官   龜井  光君         (労政局長)         労務事務官         (労働基準局         長)      堀  秀夫君  委員外出席者         労働事務官         (労政局労働教         育課長)    大野雄二郎君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 二月二十日  委員岡良一君辞任につき、その補欠として勝間  田清一君が議長の指名で委員に選任された。 同日  滝井義高君が理事に補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  最低賃金法案内閣提出第五七号)  日本労働協会法案内閣提出第三九号)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  去る十八日付託されました内閣提出最低賃金法案議題とし、審査を進めます。  まず政府より趣旨説明を聴取することといたします。石田労働大臣。     —————————————
  3. 石田博英

    石田国務大臣 ただいま議題となりました最低賃金法案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。  終戦以来わが国における労働法制労働組合法労働関係調整法労働基準法など急速に整備されたのでありますが、これらの法制により近代的労使関係確立され、また産業合理化を促進し、わが国経済復興に寄与するところ少くなかったことは、否定し得ない事実であります。  労働基準法は、労働条件最低基準について詳細な規定を設けているのでありますが、同法に定める最低賃金に関する規定は、今日まで具体的に発動されなかったのであります。これが理由について考えますと、まず、終戦後の経済混乱最低賃金制実施基盤をつちかえなかったことが指摘されるのでありますが、さらに基本的には中小企業零細企業の多数存在するわが国経済の複雑な構成のもとにあっては、労働基準法規定する最低賃金制のみによっては、その円滑な実施を期し得ないものが存したからにほかならないからであります。  昭和二十五年、労働基準法に基いて設置された中央賃金審議会は、絹人絹織物製造業等業種に対する最低賃金実施について、昭和二十九年に政府答申を行なったのでありますが、これが実現を見るに至らなかったゆえんも、当時の経済情勢とともに、わが国経済における中小企業特異性に存したといえるのであります。しかしながら、賃金労働条件のうち最も基本的なものであり、特に賃金の低廉な労働者について今日最低賃金制実施することは、きわめて有意義であると考えるのであります。  最低賃金制確立は、ただに低賃金労働者労働条件を改善し、大企業中小企業との賃金格差の拡大を防止することに役立つのみでなく、さらに労働力質的向上をはかり、中小企業公正競争を確保し、輸出産業国際信用を維持向上させて、国民経済の健全な発展のために寄与するところが大きいのであります。  翻って世界各国に眼を転じますと、十九世紀末以来、今日までに四十数カ国が最低賃金制実施し、また国際労働機関においてもすでに三十年前に最低賃金に関する条約が採択され、これが批准国も三十五カ国に達して、いることは御承知の通りであります。経済復興労働法制整備に伴い、わが国国際的地位は次第に高まり、昭和二十六年には国際労働機関へ復帰し、さらに昭和三十一年には、念願の国際連合への加盟も実現されたのでありますが、またそれゆえに、世界各国は、わが国経済、特に労働事情関心を有するに至っているのであります。なかんずく諸外国において、特に大きな関心を持って注目しているのは、わが国賃金事情であります。過去においてわが国輸出産業がソーシャル・ダンピングの非難をこうむったのは、わが国労働者賃金が低位にあると喧伝されたからであります。かかる国際的条件考えましても、この際最低賃金制実施することは、きわめて意味があると考えるのであります。しかしながら、諸外国における最低賃金制実施状況を見ても知り得るごとく、その方式、態様は決して一様のものでなく、それぞれの国の実情に即した方式が採用されているのであります。従いまして、わが国最低賃金制もあくまでわが国実情に即し、産業企業特殊性を充分考慮したものでなければならないことは言うまでもないところであります。  政府といたしましては、最低賃金制の大きな意義にかんがみ、最低賃金制あり方についてかねてから検討して参ったのでありますが、昨年七月、中央賃金審議会に、わが国最低賃金制はいかにあるべきかについて諮問したのであります。同審議会は、その後、真剣な審議を重ねられ、十二月に至り最低賃金制に関する答申を一致して労働大臣に提出されたのでありますが、同答申は、「産業別規模別等経済力賃金に著しい格差があるわが国経済実情に即しては、業種職種地域別にそれぞれの実態に応じて最低賃金制実施し、これを漸次拡大していくことが適当な方策である」と述べているのであります。今日においても、最低賃金制実施中小企業実情にかんがみ、時期尚早であるとの論も一部にはあるのでありますが、現実に即した方法によってこれを実施するならば、中小企業摩擦混乱を生ずるようなことはなく、その実効を期し得られるものであり、むしろ中小企業経営近代化合理化等わが国経済の健全な発展に寄与するものと考えるのであります。  本法案は、以上の見地から中央賃金審議会答申を全面的に尊重して作成いたしたものでありますが、次にその主要点について御説明いたします。  その第一は、最低賃金決定は、業種職種または地域別にその実態に即して行うということであります。最低賃金制の基本的なあり方について、全産業一律方式をとるべきであるとの意見があります。しかしながら、わが国においては、産業別規模別等によって経済力が相当異なり、また賃金にも著しい格差が存在しているのでありまして、かかる現状において全産業全国一律の最低賃金制実施することは、ある産業ある規模にとっては高きに失し、他の産業規模にとっては低きに失し、これがため一般経済混乱摩擦を生じ、本制度実効を期し得ないおそれがあると考えるのであります。ここに、対象となる中小企業実態を最も適切に考慮して最低賃金決定し得るごとく、業種職種地域別最低賃金決定し、漸次これを拡大していくこととした理由が存するのであります。  第二は、最低賃金決定について、当事者の意思をでき得る限り尊重し、もって本制度の円滑なる実施をはかるため、次の四つ最低賃金決定方式を採用していることであります。すなわちその第一は、業者間協定に基き、当事者の申請により最低賃金決定する方式であり、第二は、業者間協定による最低賃金を、一定地域における同種労使全部に適用される最低賃金として決定する方式であり、第三は、最低賃金に関する労働協約がある場合に、その最低賃金一定地域における同種労使全部に適用されるものとして決定する方式であります。これら三つ方式のいずれの場合も、政府は、中央、地方に設けられる労使公益各同数の最低賃金審議会意見を聞いて最低賃金決定することといたしております。第四は以上一ないし三の方式によることが困難または不適当である場合に、行政官庁最低賃金審議会調査審議を求めて、その意見を尊重して最低賃金決定する方式であります。以上のごとく四つ決定方式を採用し、それぞれの業種職種地域実情に即して最低賃金制実施することとし、もって本制度の円滑にして有効な実施を期した次第であります。  第三は、決定された最低賃金の有効な実施を確保するため必要な限度において、関連家内労働について最低工賃を定めることができることとしたことであります。わが国中小企業零細規模のものが多く、その経営は下請的、家内労働的な性格を有するものが多いのであります。しかも、わが国においてはこれら中小企業と併存する関連家内労働者が多数存在し、これら家内労働者労働条件には劣悪なものが少くないのであります。しかして、一般雇用労働者最低賃金が適用され、これと関連する家内労働を行う家内労働者工賃が何ら規制されない場合には、家内労働との関係において最低賃金の有効な実施を確保し得ない事態を生ずるおそれがあるのであります。もとより、家内労働については改善すべき幾多の問題がありますので、政府家内労働に関する総合的立法のため調査準備を行うとともに、さしあたり本法案中に必要な限度において最低工賃に関する規定を設け、最低賃金制の有効な実施を確保すると同時に、家内労働者経済的地位の安定に資することとした次第であります。  以上が本法案主要点でありますが、本法の適用範囲は、原則として労働基準法及び船員法の適用あるもの全部とし、これが施行に関する主務大臣労働基準法適用関係については労働大臣とし、船員法適用関係については運輸大臣としております。その他最低賃金審議会設置運営に関する事項、業者間協定締結等に対する援助、勧告、及び違反の防止等に関する所要規定を設けるほか、関係法令に関する整備を行い、もって最低賃金制の円滑なる実施を期しているのであります。  政府といたしましては、最低賃金制法制化することは、わが国労働法制上まさに画期的なことであり、かつその意義もきわめて大きいと信ずるのであります。しかしながら、何分にも最低賃金制は、わが国において初めての制度であります。いかにわが国実情に即した最低賃金制でありましても、これを円滑有効に実施するためには中小企業経営基盤の育成をはかることが必要であることは申すまでもないところであります。政府最低賃金制実施状況等を勘案しつつ、中小企業対策等について、今後とも十分配慮を行なって参りたい所存であります。またいかに大きな意義を有する最低賃金制実施されたとしましても、法制定趣旨が十分認識されず、本制度が誤まって運用される場合には、労使関係の安定が阻害されるのみならず、社会経済混乱を招くことにもなるのであります。政府といたしましては、本制度に対する労使の深い理解と絶大なる協力を期待するとともに、広く国民一般の支援を求め、これが円滑なる運営をはかりたいと存じている次第であります。  以上が最低賃金法案の提案した理由及び概要でございます。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたす次第でございます。(拍手)
  4. 森山欽司

    森山委員長 以上で説明は終りました。なお本案についての質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 森山欽司

    森山委員長 次に日本労働協会法案議題とし、審査を進めます。  本案についての質疑を許します。田中正巳君。
  6. 田中正巳

    田中(正)委員 私は、ただいま上程になっております日本労働協会法案について、若干の質疑を行わんとするものであります。本案の内容についての細部につきましては、時間がありましたならば本日これを行うことにいたしたいと思いまするが、もし時間がなければ、細部についてはこれを後日に譲り、一般的な概括的な傾向論について若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、本法案の第一条及び提案理由説明によれば、本協会事業の志向する方向として、ないしはその対象として、三つのものが考えられているようなふうに思われるのですが、その対象三つについて、客観情勢について労働大臣の御見解を承わりたいと思うのであります。  その三つ対象とは、一つ使用者側であります。いま一つ労働者側であり、いま一つ一般国民であります。そこでこの三者につきまして、現在の労働事情あるいは労働問題に対する認識度合いについて、労働大臣お尋ねをいたしたいのでありまするが、まず第一に労働問題についての一般国民考え方であります。提案理由説明によりますると、一般国民の労働問題についての理解が足りないというふうなことを申しておりまするが、具体的には一体どのような側において、どのようなことを大臣はお感じになっておるのか。換言すれば、労働運動あり方についての正しい認識に対して消極的に過ぎるものであるか、あるいはまた積極的に過ぎるものであるか。私どもの見るところでは、従来日本労働者というものが長い間恵まれない地位、圧迫されてきた立場に立っておったその実情に対する同情から、極端に労働運動のすべてを正当化するような傾向終戦直後にはあったのでありまするが、最近は比較的冷静に、正鵠を得た判断をしておるように見受けられるのでありますが、一体これらの点について労働大臣はどのような見解を持っているのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  7. 石田博英

    石田国務大臣 私は積極、消極いずれにしろ、労働問題というものについて関心を持っている人がたくさんおるならば、それはそれでいいと思うのでありますが、無関心な人が多過ぎる。無関心な人が批判的な行動に出る場合は、非常に感情的なものになりやすいのでありまして、やはりその基礎知識を十分持ってもらう必要がある、こう考えておる次第でございます。
  8. 田中正巳

    田中(正)委員 一般的な傾向として、国民全体が労働問題について無関心である、なるほどそういったような傾向もあるでありましょう。しかし終戦後、労働問題についての国民一般認識は、次第に深まって参っておるのであります。従って、これが全然無関心であるその限りにおいて、労働省当局はこれを関心を持つ程度に引き上げていかなければならないという一面を持っていることは事実でありましょうが、しかしすべてがすべて無関心であるというふうには考えられないわけであります。そこで関心を持っている人々、そういう階層に属する人がかなりあるというふうにわれわれは認識して差しつかえないと思うのでありますが、そういうようなグループに属する人々についての認識度合いについて、労働大臣一体これでよろしいというふうにお考えになっているのか、あるいはそれらについても今後いろいろなことをやって、正しい方向に持っていかなければならないとお考えになっておるのか、その点についてお尋ねをいたします。
  9. 石田博英

    石田国務大臣 関心を持っておるということの基礎には、やはり労働問題についての知識がなければならないと私は思います。なるほど戦後労働問題と申しますか、労働運動が大きく取り上げられましたから、従ってそれについての興味と関心一般的にございましょう。しかしその土台の知識が乏しいために、その批判正鵠を得ない場合が多いのでございますから、やはり知識を与えていく、特に新しい労働法規、新しい労働慣行についての理解を与えていく必要があると私は考えるわけでございます。
  10. 田中正巳

    田中(正)委員 一般国民についての点は、まだいろいろ問題があるようでありますが、先を急ぐことにいたしまして、次には使用者側についての労働問題に対する認識度合いであります。使用者側については、前時代的な思想、営利一辺倒考え方、あるいは金権万能的な優越感から、労働運動についての無理解ないしはそれに対する欠陥というものについては、実は容易に想像ができるわけでありますが、いま一つ考えてみなければならないのは、日本経済の特殊的な構造によって起るところの一面もまたこれを没却できないと考えるわけであります。そうなって参りますと、前者の面については、十分この協会その他を通じましていろいろと働きかけることができるのでありますが、後者についての問題につきまして、この協会研究を行うことはもちろんでありましょうが、実践的な面においてもこのようなことを取り上げていくのか、換言するは、労働問題の範疇の中でのみこの協会は働くのであるか、いま一歩進んで経済的な範疇にまで入って、研究はもちろん実践を行うものであるか、それらの点について大臣見解を承わりたいと思います。
  11. 石田博英

    石田国務大臣 使用者側の中に、非常に前時代的な考え方を労働問題について持っておる者が非常に多い。その原因の一つは、わが国の特殊な産業構造によるのであるという御意見でございますが、現状認識としては、あるいはその通りかもしれません。しかし特殊な産業構造によるのだということで、使用者側の前時代的な考え方を容認するわけにはいかないのでありまして、私どもはやはり労働問題の正しい理解を深めて参りますためと、よき産業平和を確立して参りますために、使用者側に対する啓蒙というものがどうしても必要であると考えておる次第であります。  それから本協会活動範囲でありますが、もとよりそれは労働問題に限局されるものと考えます。しかしながら労働問題が一般的な経済問題とはっきり分けて考えられないことは御了解がいくところでございますから、労働問題の範囲にとどまるという限界に立ちまして、それに関連する研究活動も行なっていくことになると思います。
  12. 田中正巳

    田中(正)委員 そうすうとこの協会仕事として、労働問題と密接に関連のある統済問題については研究をなさるということはよくわかるのでありますが、この協会仕事には、研究以外に実践面仕事を持っているもののごとくであります。そういったような点についても、これらの経済問題についていろいろな働きかけをするものであるかどうか。単にそれらの点については研究範囲にとどまる、実践の面に立ち入るのは労働問題一般範疇の内部に限局をする、そういったようなことに相なるものかどうか、もう一度お聞きをいたしたいと思います。
  13. 石田博英

    石田国務大臣 その実践という言葉の理解の問題でありますが、本法案規定せられておりますいろいろな事業、これは労働問題の理解を深めていくということに限局されるわけでありますけれども、その目的を達成いたしますために、どうしても経済その他の条件を解決する必要があるということになりますれば、やはり所要機関に対してそういう要請をいたすということになると考えておるわけであります。それも実践ということに入るとするならば実践になるかもしれませんけれども、本法案規定せられております行動範囲というものは先ほど申し上げた通りでございます。
  14. 田中正巳

    田中(正)委員 次に労働者側についての問題でありますが、提案理由説明書によりますと、労働組合側行き過ぎないしは本協会事業成果に期待しなければならない事情等を述べておるわけでありますが、こ労働組合側行き過ぎあるいは本協会事業成果に期待しなければならないという客観的な事情というものについて、一体どういうことが考えられるのか、実はこれについて私は非常にふしぎに思っておるのであります。現在日本政党政治をやっているのでありますが、二大政党対決下における国会において、二つの政党の中の一つ政党は、労働組合運動なりその考え方について全然批判をしたことがなく、またたしなめるというような所論を私どもは寡聞にして聞いたことがないのであります。こういうふうになって参りますと、こういったような労働組合側運動欠陥あるいは考え方について、今後いろいろとこれを是止していかなければならないということについて、相当問題があろうと思います。そういう意味一体どういう点がどういうふうな状態で、これを考え直していただかなければならないか、是正していかなければならないのかという点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  15. 石田博英

    石田国務大臣 全体から見まして、戦後のわが国労働運動というものは次第に健全化の道をたどっておると認識いたしております。しかしその中でいわゆる行き過ぎを生じ、世間批判を受けている動きもあることは事実であります。私は労働者諸君の生活の向上と安定をはかっていくために、どうしても健全な労働組合の成長というものがなければならないと考えますから、こういう行き過ぎあるいは世間批判を受ける行為というものは、結局は労働者諸君のためにもならないと思っております。しかしその一部の行き過ぎがどういうわけで起っておるか、私はやはりこれは歴史的な、あるいは日本の特に戦後の特殊な事情に基くものが非常に多いと存じます。組織の面にいたしましても、あるいは戦後十数年間の労働運動成果の面につきましても、私はいろんな特殊事情、特にその歴史の浅さ、経験の甘さ、理解の薄さというものが大きな理由をなしていると思いますので、やはり西欧先進国労働運動実情等についても詳細な知識を持ってもらい、よって組合員大衆諸君労働運動労働組合というものに対する理解を深めていくということは、私は結局は健全な労働組合運動発展を促し、よき労使慣行の樹立に資するものと考えます。同時にその必要を痛感しておるわけでございます。
  16. 田中正巳

    田中(正)委員 労働組合側行き過ぎないしは欠陥といったようなものについては、労働大臣はこれはかなりあるものというふうに御認識のようであります。個々の具体的なケースについての論議というものも、またそれぞれあるものというふうに考えますが、ここで根本的な問題としてお尋ねをいたしたいことは、われわれは労働組合本来の目的は、労組法第一条にあるがごとくに、労働条件向上あるいは労働者地位確立というような、一般的に申しまして経済的な範疇にとどまるべきものであるというふうに考えておるものが多いのでありますが、反面また、こういったような目的を達するためには政治的な面に足を踏み込まなければならないというような議論もあるわけであります。そこでこれらの議論が現在世間には並行して、それぞれ激しい論議を戦わしておるのであります。私どもも、こういったような労働組合本来の目的を達するために政治的な問題に立ち入ることが全然間違っているといったような考え方にも、一がいには立てないというふうに考えますが、反面、最近の労働運動実態を見ますと、非常に労働運動が政治的な面に強く出てきているような気がしてならないわけであります。そこでこれらの点をめぐりまして、一体労働大臣は、労働運動における政治闘争限界というものをどの程度にお考えになっておるのか、どの辺が一体正しいものであるかということについての見解を、この際率直にお漏らしを願いたいと思います。
  17. 石田博英

    石田国務大臣 議会民主主義制度下におきましては、政治問題あるいは政治運動というものは結局選挙を通じ、議会を通じて行うべきものである、労働組合運動政治活動限界は結局そこにある、こう考えております。労働組合組織、力、それをもって直接政治的な目的を達成しようということは労働組合の正しい目的を逸脱したものだ、こう思っておる次第であります。
  18. 田中正巳

    田中(正)委員 大臣のこの問題についての見解は一応その辺にあるということは、われわれはお聞きできたのでありますが、最近大臣考え方と全く違ったような労働運動が、実は世間に行われておるのであります。しかもこれが一部ではなく、広く行われているわけであります。はっきり申しますれば、現在の日本組織労働者大半を占めているところの労働団体連合会、はっきり申しますと総評の運動方針等を見て参りますと、その運動方針大半政治運動について語っているようであります。たとえば日本の防衛方針について、ないしは日本の原水爆問題について、はなはだしいのはもっと激しいことを実は言うているようであります。さような意味で、これらの点については、労働大臣はこれを必ず是正してもらわにやならぬというお考えに立っているかどうかということについて、お尋ねをいたしたいと思います。
  19. 石田博英

    石田国務大臣 労働組合運動政治活動限界は、先ほど申し上げました通り見解を私は持っておるのでありますが、それでは、その限界を逸脱したものに対してどういう措置を講ずべきか。結局これはその組織内部の自主的な判断と動向に期待すべきものである、法規やあるいは行政手段や、その他によってはやるべきものでない、やってみても効果が上らないと私は考えておるわけであります。しかし、今御質問のように、その傾向が少しも変化なく、長い間続けられているままかというと、私はそうは思っていないのでありまして、やはり漸次組織の内部におのれの行動限界を知り、またその限界を守ることが組織を守り、組織を強めていくことであるという認識も高まっているのであります。ただこれを一ぺんに直すということを期待するのではなくて、やはり気長に、その組織内部の自主的な良識の芽生えというものに期待をしたい。その良識の芽生えを助けるのが、本協会の活動の一つでございます。
  20. 田中正巳

    田中(正)委員 こういったような傾向に対し、労働大臣は自主的な改善と申しますか、自主的な働きによってこれを次第に正しい方向に持っていかなければならないという御見解ですが、しかし、この自主的な努力に対し、労働協会は、一体どの程度にこれを働きかけるものであるかという点について、私どもはお聞きをいたしたいのであります。自主的にやっていくのに対し、これを側面からいろいろと、ふんわりとその方向に持っていくような雰囲気を作り上げていくのか、それとも、これに対し端的に働きかけて、能動的にこれを引っぱっていくつもりであるのか、それらの点について、この労働協会の動きといいますか、今後の事業の方針というものも大きく変っていくものと考えられまするので、ぜひその点を聞きたいと思います。
  21. 石田博英

    石田国務大臣 良識は知識によって与えられるものでありますから、本協会知識を広く付与するということによって良識の芽生えを助けたい、こう考えておるわけであります。
  22. 田中正巳

    田中(正)委員 率直に申しまして、世間には、日本労働運動の一部には、労働問題ないしは労働者経済問題を解決するための努力というものに限局をしないで、またそういったような点をめぐって政治的な闘争をするだけではなくて、さらにそれを踏み越えて、この労働問題を足場にいたしまして、これを基盤にして、社会革命的な思想を蔓延をさせる、あるいはそういったような努力をするというふうなことを考えておるものも、なきにしもあらずであります。一体こういったような判断というものについては、これをあえて私がここへ持ち出したのは、私の独断ではなしに、相当広い範囲内においてこういうことを考え、心配しているものが実際はあるのでありますが、労働大臣は、こういったような点についてはどういうように御認識になっているのか、お伺いをいたしたい。
  23. 石田博英

    石田国務大臣 そういうふうなことを考えている労働運動の指導者が絶無であるとは申しません。それはございましょう。しかしそういう傾向がだんだん強まっていくというふうな考えは持っておりませんし、そういう傾向が強まって参りますることは、結局組織自体を逆に弱めることになる、それにはおのずから限度がある、私はそう思っておる次第であります。
  24. 田中正巳

    田中(正)委員 先ほど、労働組合側政治運動といったようなものについては、議会政治の建前でありまするから、選挙を通じてやるべきだというふうな大臣の御見解でありますが、それであるならば、労働組合が、その組合活動の一部として選挙運動をやる、ないしは選挙投票について、これを強く干渉をするといったような傾向については、これをどうお考えになっておりますか。これも正しい方向であるか、あるいはこれにも限界があるというふうにもお考えになっておるかどうか。
  25. 石田博英

    石田国務大臣 それは結局公職選挙法の問題だと私は考えております。その公職選挙法に規定されておる制限をこえてやることは間違いであると思いますが、その公職選挙法の範囲内で行われることは、それはどの団体でも自由であると思います。  それからもう一つは、ただ個人の判断を強く拘束するというようなことになりますと、やはり選挙運動の、公職選挙法の限度をこえることになると思います。しかし、結局公職選挙法のワクの中と、もう一つは、やはり良識の問題、こう思っておる次第であります。
  26. 田中正巳

    田中(正)委員 こういったようなことについては、法律の範囲内において考えられるべきことであるということが主眼になっておるようでありまするが、しかし、こういったようなことについても、今日国民の中には、日本労働運動の選挙に対する態度についても、いろいろ批判があるようであります。また、労働組合員の内部においても、これらについて批判をしているものが実際はあるのでありまして、今日このような状態は、あくまでも公職選挙法の範囲内において、ないしは単にばく然とした良識の問題として片づけられない一面もまたあるというふうに考えられるのでありまして、これらについても、私はもう少し端的に考えて是正の一面があるというふうに思いまするが、公職選挙法の範囲を逸脱をしなければよろしい、あるいは漫然と組合員の良識に待てばよろしいというふうにやっぱり考えておられるか。これらの傾向については、若干行き過ぎがあって、やはり是正をしなければならない半面があるというふうにお考えになるか、いま一度お聞きをいたしたいと思います。
  27. 石田博英

    石田国務大臣 自由主義社会におきましては、私はやはり法のワクの中と、それから個人の良識が基礎になるものと考えておるわけであります。
  28. 田中正巳

    田中(正)委員 次に、この提案理由説明によりますると、労働教育の中には、性質上または技術上、政府または地方公共団体の直接行うことが不適当または不得手とする分野があるというふうにいっておるようであります。一体こういったようなことが実際にあるのか。そうしてまたあるならば、どういう点を具体的にさすものか、これらについてお尋ねをいたしたいと思います。
  29. 石田博英

    石田国務大臣 問題は、労働問題についての知識を普及する、その普及する行為が実行性の伴うものであり、かつ大衆性を持つものでなければならないと思います。今諸官庁でやっておりますものは、この実行性と大衆性において非常に欠けておる。これを民間団体によって行わしめようとするものであります。
  30. 田中正巳

    田中(正)委員 先ほども申しました通り、従来から見ますと、労使一般ないしは国民一般労働慣行、あるいは労働認識というものが次第に良化されつつあるということは、しばしば労働省当局が言明いたしているところであります。またかなりそういったような傾向にあるということを、私どももまた考えておるのでありますが、そういったような傾向下にある今日、従来の労働省の労働教育だけで足らずに、こういったような協会をさらに設けなければならないという理由、根拠についてお尋ねをいたしたいと思います。
  31. 石田博英

    石田国務大臣 いい傾向にあることは先ほどから繰り返して申し上げておる通りでありますが、しかしなお不十分である点が多いので、この際その傾向を一そう助長いたしまするために積極的な努力をする必要を認め、またその努力をする時期である、こう考えておる次第であります。
  32. 田中正巳

    田中(正)委員 先ほどの質問に関係をするものでありますが、労働省には、労働省設置法第七条の四号、これは労政局の事務のことを規定しているものでありますが、これによりますと、「労働組合及び労働関係の調整に関する啓もう宣伝を行う」ということが規定されております。また労働省組織令の第十五条を見ますと、これはたしか労働教育課の所掌事務だと思いますが、やはり専門的に労働教育についての事務をするというふうに規定をしております。こういったような労政局の仕事ないしはもっと限局しましても、労働教育課の実際にやらなければならない仕事と、この協会仕事との関連一体どのようであるか、またどこにその相違があるかということをお尋ねをいたしたい。
  33. 石田博英

    石田国務大臣 先ほどの、所管庁のやっておる以外のことをやらなければならない理由はどこかという御質問に対するお答えと一致するわけでありますが、ここに労政局の人がたくさんいるのに、私の口から言うのもどうかと思いますが、どうも啓蒙宣伝という面では、いわゆる実行性と大衆性がはなはだしく乏しいということを私は就任をいたしまして痛感をいたしておる次第であります。そこで、役所ではなかなかできない点が多い。それから、役所ではやはり法律の解釈という点が重点になる、こう思っておる次第でございます。
  34. 田中正巳

    田中(正)委員 労働運動ないしは労使関係の正常化のためには、こういったような役所のやる、ないしはこの協会のやるような労働教育面を通ずることもまた確かに必要であろうというふうに考えるものでありますが、しかし、こういったようなことをつちかうためには、単に労働教育面だけでなしに、やはり労働法制上の配慮というものも必要なものというふうに私ども考えるわけであります。不適当な法制、無理な法制のもとには、決して正常な労働関係が育成されないということは、これは終戦後の、たとえが悪いのでありますが、経済法令などについてみましても、決してよろしい経済慣行、経済関係が生じなかったということと、やや同じような関係になるというふうに思うのでありますが、このようなことを考えて参りますと、やはり何としても労働関係の正常化のためには、単に教育面だけでなしに、法制面についての配慮というものも必要であろうというふうに考えられるのでありますが、これらについて一体労働大臣は現在どのように考えられておるか。従来しばしばこの委員会において、労働法規についての労働省当局考え方をただしたことがあるのでありますが、ここ二、三代の労働大臣は、すべて目下慎重審議中であって、その結論を待って善処をいたしたいという答弁に終始をしておるようであります。しかし、その後だいぶん時間もたっておりまし、ようやくその検討も、相当な結論を見出すような時期に来ているものというふうに考えますが、一体これらの点について労働省当局はどんな状態で、また労働大臣はどのようにお考えになっているか、お尋ねをいたしたいと思います。
  35. 石田博英

    石田国務大臣 根本的には、私就任をいたしましたときに、やはり本委員会で申し上げました通り、法改正を考える前に、現行法規の完全な順守をすることが大切だと思っておるわけであります。法を守るということを労使双方とも強く認識し、その土台を作ることなしに法改正をいたしましても、私は実効が上らないと思う。従って現行法規というものを労使双方に順守してもらうということが基本的な考え方でございます。しかしながら公労法のごとく、その客体である公企業体が、目下公共企業審議会等によって答申が出され、政府がその根本を改めようと努力しておりますときでございますから、その客体の状態が変りました場合においては、それに応ずる処置をしなければならぬことは言うまでもありません。また政府は、公労法の規定の中の仲裁裁定の完全実施を公約をいたしておりまして、これが労働政策の一つ基礎となっております。その裏づけとして、公共企業体等労働委員会の強化とか、あるいは仲裁制度の改正というようなことについての研究は今いたさせておる次第であります。しかしこれは先ほどから申しましたように、その客体である公企業体のあり方が明確になったときに実施いたさなければならぬと思っておる次第であります。
  36. 田中正巳

    田中(正)委員 大臣は御就任以来、労働法については決順守の慣行と申しますか、そういったような傾向を助成をすることが第一であると申されておりますが、確かにそのようであろうと思います。しかし半面、法を順守させるといたしましても、極端に不適当な法制ないしは無理な法制であるならば、いかにこれを順守せよと申しても、順守ができない一面が出てくることもまた否定ができないというふうに思うのであります。現に、現在ある労働三法の中にも、ずいぶんと規定があるけれども、現実には動いていない規定がたくさんあるわけであります。そういったようなことからか知りませんが、先ほど御提案になった最低賃金法というものも、そういった傾向一つの現われであろうというふうに思うのでありますが、労働基準法などについては、そういったようなことが私どもにはずいぶん感ぜられるわけであります。これの運用については、行政目的から相当に手加減をするというようなこともありますし、半面、この基準法の違反事項についての取り扱いについても、いろいろと法順守という建前から見ると、必ずしも正しくないような傾向も若干あるわけであります。そういったようなことになりますと、単に法を順守する思想が先行するというふうに申しましても、半面、労働法が適正でなければならないという要請は消えないわけであります。そういったような点から、これらについて法順守の思想をつちかうということと並行して、そういったような努力をする必要が労働省当局にあるのではないかというふうに考えられますが、この点について大臣はいかなるお考えに立っておられますか。
  37. 石田博英

    石田国務大臣 法体制が、労働者の生活を守るという労働省の大きな目的に対しておくれ過ぎている部分については直すべきであると思います。しかし進み過ぎておるという部分につきましては、経済の基盤あるいは国民関心等をそれに近づけるように努力をすべきものであると私ども考えておるわけであります。労働基準法は、わが国経済実情全般から見ますと、確かに進み過ぎておる部門が相当多いと思います。しかしその法体制は、私はやはり労働者の生活を向上させ、守るという方向におきまして、前にある。前にあります以上は、そのギャップは行政指導で埋め合せて、それに近づけていくという方向に参りたいと考えておる次第であります。
  38. 田中正巳

    田中(正)委員 それもしかし、私は程度問題であるというふうに考えるわけであります。いま一歩という程度ならば、そういったようなことも可能でありますが、しかしながらその間に相当にギャップがあるという場合にはやはりこれは法制的に考えなければならないというふうに考えるわけであります。よく世間で法学者などが、守られない法律ということを言うのでありますが、守られない法律の半面には実行ができない、そういったような内容を持った法律であり、そういったことがひいては順法精神というものを次第になくしてしまうんだといったようなことを言う法学者もあるのでありますが、日本労働法制については、確かにそういう一面があるように実は思えてならないのであります。そういったような点について、どうしても法順守の思想を涵養することと並行して、労働関係法律についての検討というものを進めなければならないと私は思いますが、やっぱり労働大臣は、そういったような法順守の思想を涵養することが先で、労働法制については行政指導によってこれを何とかアジャストしながら、現在のままでいくのが正しいというふうにお考えになるか、再度お尋ねをいたしたいと思います。
  39. 石田博英

    石田国務大臣 問題は労働基準法に限局されていると限らないのでありますが、それが非常に大きい重点のように思いますけれども労働基準法は大きな企業、公企業においては、大体現状がそれに合ってきておると私は思います。ただ問題は、中小企業実情になかなか沿わない。これを法改正をいたしますということは、結局おくれた方に進んだ方をへっこませる結果にもなります。これは法としては取り扱うべきものでないと私は考えます。おくれた部分の実情は、わが国産業構造によるのでありますから、その改善を待って行政指導を行いつつ、その線に近づけていくという方向を私はとって参りたいというふうに考えておる次第であります。
  40. 田中正巳

    田中(正)委員 労働省当局としては、そういう態度の方が実は僕はやりやすいというふうに思うのでありますが、しかしやっぱり、どうしても無理なような傾向がある。しかも現在、大臣の方からおっしゃったのでありますが、基準法等についてみますと、日本中小企業実態に合わないといったような点から、相当な無理がかかっているということもお認めのようであります。しかし日本中小企業実態というものは、いろいろな政治努力にもかかわらず、一朝一夕にはそう改善されるものとも考えられませんし、また大企業中小企業格差の問題というものは、今日世界のいずれの国でも問題になっておりますが、日本においては特にはなはだしいのでありまして、これがいろいろな行政努力にもかかわらず、なお相当の間、そういったようなものは解消できないということになって参りますと、この問題は相当やはり深刻だというふうに私は考えるわけであります。これらについては、今議論を繰り返してもいたし方がないのでありますが、よく一つ考え置きを願いたい。せっかくの法順守の思想を涵養するということが、法自体のためにかえってむちゃくちゃになり、マイナスの方向にそれを法制自体が引き下げていくということに相なってはならねというふうに考えますので、よく一つ考え置きを願いたいというふうに思うのであります。  それから、先ごろ公労法に関係をいたしまして、その客体の調査研究が目下進行中であるから、その客体のあり方についての結論を得た上で、こういったようなことをやりたいというふうに考えておられるようでありますが、客体のあり方そのものとは関係なしに、やはり検討しなければならない一面が相当あるように私ども考えておるのであります。これらをめぐっては、立場の相違上からいろいろ論議が行われておりまして、国会にも、政府考え方と必ずしも一致しないような法案も出ておるようでありますが、こういったような客体のあり方とは関係のない方面について、これを是正する、改正をするというようなお考えがあるのか、またそういったような準備をしておるのか、また客体に関係のない方面だけ取り上げて、法改正をいたすことができるかできないかということについてお漏らしを願いたい。
  41. 石田博英

    石田国務大臣 労働法規に対する私の考え方は、その方がやりやすいとか、やりにくいということでなくて、私の労働行政に対する政治的信念であります。  それから公労法については、客体のあり方とかかわりなく生ずる問題については、今いろいろと検討をさせております。しかしその客体のあり方についての政府の態度が、もうすでに答申も出されて、その答申に基いて研究されておる段階でございますから、何度も繰り返して改正を企てるよりは、やはり法律というものは慎重に、かつ根本的に改めるべきものだ、こう思っておる次第であります。
  42. 田中正巳

    田中(正)委員 これらの点についての論議はこの程度にいたします。  次には、この協会の設立の過程における質問をいたしたいと思います。この協会事業をやるのでありますから、何としましても資金が必要に相なってくるのは自明の理なのでありますが、この資金の調達方法が一般のやり方とは、はなはだ変ったような行き方をしているわけであります。申すまでもないことでありますが、経済基盤強化資金等の中から十五億の基金を設定し、その利子収入でもってこれをやっていこうという構想でありますが、従来政府のとってきたシステムとは非常に違ったやり方をとっているわけであります。一体どうしてこんなことをしなければならなかったのかということについては、いろいろ疑問があるわけであります。それらについていろいろな派生する問題が、この問題からたくさん出てくると思いますが、とりあえず、なぜ一体従来政府のやってきたようなやり方を避けて、こういったような基金設定方式というものをとったのか、それをお聞かせ願いたい。
  43. 石田博英

    石田国務大臣 この仕事をやって参ります場合におきましては、公正な、そして同時に労働問題について十分の知識と経験を持っておる人を得ることが一番大切であります。そのよい人を得るということのためには、その団体の安定性を確保しなければなりません。今までの補助金方式で参りますると、そのときの政府考え方によって補助金に増減がある、ひいてはそれが全廃されることもあり得る、そういう不安定な状態のもとにおいて、すぐれた人は得にくいのでありますから、事業の安定性を確保いたしまするために、最小限度の費用は捻出される基金制度をとった次第であります。
  44. 田中正巳

    田中(正)委員 安定性を確保しなければならない、補助金制度であるならば、その金額が増減をする、ないしは全廃をされるおそれがある、なるほどその通りでありましょう。しかし国の事業は、ほとんど大部分が安定性が必要である、また継続してやらなければならないものであるというふうになっておると私は考えます。中にはそうでないものもありましょうけれども、多数のものは、そういったような安定性と継続性を持たなければならない事業であろうと思います。類似の団体についても、いろいろ例をあげればたくさんあるのでありまして、たとえば日本育英会の仕事のごとき、これは必ずしも今年やったから来年やらぬでよろしい、あるいは何とかといったことはないのでありまして、そういうような点をめぐっては、この協会と、それらの協会ないしは団体等の立場というのは、似たりよったりであるというふうに考えるわけであります。また補助金の金額は不安定であり増減があると申しますが、本協会のごときであっては、事業の内容によって、そのとき、そのときによって、やはり事業資金の増減があってしかるべきであるというふうに、あべこべに考えるわけであります。そういったようなことになりますると、そういうような要請にも、こういった方式はかえって不便なように考えられますが、これらの点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  45. 石田博英

    石田国務大臣 他の協会とか団体とかのことについては、私は意見を申し上げることは差し控えたいと思います。しかし本協会の基金が確保いたしております年間の活動資金は最低限度のものでありまして、その事業の要請によりまして、それより多く必要といたします場合におきましては、寄付金であるとかあるいは補助金であるとか、そういう他の資金調達方法をとって参る、とにかく最小限度の土台だけは基金の利子によって確保する、そして事業の安定性を持っていきたい、こう考えておるわけであります。
  46. 田中正巳

    田中(正)委員 事業の安定性ということから、こういう基金設定方式をとらなければならないということになって参りますと、こういった傾向がいろんな問題に波及をするおそれがないわけでもないと思うのであります。本年は、どういうわけですか、一昨年度の余裕財源があった関係からか、こういったことが出て参ったようでありまして、一種の時代離れのような感じがするわけであります。これ以外にジェトロの基金などもそのような傾向をとっているようでありますが、こういったことが行われますと、どうも国の財政方式として混淆して、今後複雑になっていくような気がします。これらについては、いずれまた機会がありましたら大蔵省当局などにも聞いてみたいと考えておりますが、少くともこの協会事業を安定してやっていくために、こういう方式をとらなければならなかったことについては、相当の議論があると考えられます。これについては後刻大蔵当局等に聞いてみたいと思いまするから、保留をいたしたいと思います。  そこでこの事業の資金が非常に増減することを大臣は予想しておられるようで、それが大きくなって参った場合には寄付金あるいは云々というお話がありましたが、そういう場合の財源を調達する方法としては、一体どういうことをお考えになっておりますか。つまりこの利子収入以外に資金を調達する方法は、一体どういうことを御予定になっているか、お聞きしたいと思います。
  47. 石田博英

    石田国務大臣 まず寄付金、それから補助金、それから事業収入というようなことであります。
  48. 田中正巳

    田中(正)委員 この寄付金についてはいろいろと問題があると思いますが、この寄付金を受けるについての一定の制約とか、あるいはその限度といったようなことについては、お考えになっておられますか。
  49. 石田博英

    石田国務大臣 これは、この事業の性質から、あくまで公正な立場を維持していかなければなりませんから、目的をつけたもの、いわゆる世間で言うひもつきはお断わりを申し上げなければならないと存じます。
  50. 田中正巳

    田中(正)委員 ひもつきのものはいけないというわけで、そうすると寄付金を受け取る場合に、はっきりした条件をつけるというふうに運用におなりになるのですか。
  51. 石田博英

    石田国務大臣 無条件という条件であります。
  52. 田中正巳

    田中(正)委員 この法律をすっとながめて参りますと、この協会運営なりあるいは構成について政府——具体的に言うならば労働大臣でありましょうが、労働大臣の制約が特に強いような気がいたすわけであります。財政監督については大蔵大臣との協議事項というふうなものもあるらしいのですが、とにかく事業運営について、それから構成、人事等についての労働大臣の制約というのは非常に強いような、一般的な感じを受け取るのでありますが、そうなって参りますと、この協会運営する事業の内容というものが、必然的に労働省の一定傾向に引きずられるといいますか、その型にはまってしまうおそれがないわけでもないと考えます。それからまた、労働省はしきりに近ごろ解釈労政を推進しているというようなことを世間で取りざたするのでありますが、こういった労働省の解釈労政の範疇の中に入って、これから出られないような傾向が生じはしないかということについても、危惧の念を持たざるを得ないような法の構成になっているようでありますが、こういった点についてはどうお考えになるか。また労働省の解釈労政、言葉は悪いのですが、労働問題についての解釈と、この協会のこういったような問題についての解釈とが食い違うおそれも実はあるわけであります。そういったようなことが起った場合は、一体どういうふうになって参るのか、それらの点についてあわせてお尋ねをいたしたいと思います。
  53. 石田博英

    石田国務大臣 労働省が——これは労働省だけに限らないのでありますが、法の執行に当る政府が、その法の執行についての行政解釈を統一し、あらかじめこれを国民に周知させておくことは行政府の当然の義務でありまして、それは何もことさら私がやっておるわけではございません。ニックネームは御自由でございますが、私だけがやっておるわけでなく、これは行政府の当然の義務と考えておる次第であります。まして私は、先ほどから繰り返して申し上げます通り、労働行政においては法改正を考えるよりは、現行法規の順守を要求するという建前をとっております以上は、現行法規についての行政府としての法解釈を統一しておくことは当りまえのことだ、そう思っておるわけであります。将来、この協会の法解釈とわれわれの役所の法解釈と食い違った場合はどうするか。私はこの協会というものは、あくまで独立した機関として発展させて参りたいと思うのでありまして、法解釈が食い違ったり、あるいは考え方が食い違った場合は、それをやむを得ないと思っております。  それから労働大臣の監督が本協会についてきびしいというようなお話でありますが、これは財政面だけでありまして、事業としては会長に全く一任する体制をとっております。それからわざわざ「運営の自主性に不当に干渉するものであってはならない。」というふうな規定も入れておりますし、それから役員等につきましてもおわかりいただけます通り、その自主性と公正を確保するようにやっておる次第でございます。
  54. 田中正巳

    田中(正)委員 個々の条文を見ると、そういったような解釈もできるかと思うのでありますが、全体を読んだ感じは、相当に労働省当局の制約が強いように見受けられるわけでありまして、これらについては今後必ずや問題が起って参るだろうというふうに思います。特にこの協会の行き方をめぐって、ことに人事、運営についても、またいろいろと今後問題が起ってくるというふうに思っておりますので、なるべく協会については自主性をそこなわないようなふうに運営をしていただきたいというふうに、これは希望を申し上げておくわけであります。  ところで、関連いたしますが、労働運動あり方について、かねて労働省は、昨年でありますか、労働三権についての次官通牒をお出しになったというふうに記憶しておりますが、これは基本的に労働省当局が、かくあったら望ましいというふうな労働運動の実体を表明したものというふうに考えております。労働省当局がわざわざこういったような苦労をして、こういう協会を御設立になるのでありますから、従って気持としては、その労働三権に関する通牒となるべく内容の一致した方向に持っていきたいという考えを持つことは、私は当然だと思うのであります。著しくそういった考え方から逸脱し、背反したような協会運動方向が出てくる場合においては、労働省は子供を生んだが鬼子であったというふうな格好に実はなるわけであります。そういうことについてはあくまでも自主的にやらせて、それが食い違ってもやむを得ないというふうにお考えになっておりますか。特にはっきりした解釈をお出しになっておる建前上、お聞きをいたしたいというふうに思うのであります。
  55. 石田博英

    石田国務大臣 労働省が行なっております法解釈、これはあくまで私は公正妥当なものと確信をしております。従って本協会が公正妥当な立場を常に堅持することを期待しておるのでありますから、これは必ず一致するものだと思っております。しかし純然たる民間の自主的団体として作るのでありますから、もしそういう場合があり得たらどうするか、あり得てもやむを得ない。しかし私は両方、公正妥当を目標としている以上は、一致するものと確信をいたしておる次第であります。  それからもう一つは、職務上はなはだしい義務違反というものが行われた場合、すなわち公正妥当な労働教育、労働問題についての知識の普及という本来の仕事をはなはだしく逸脱し、世間批判を受け、万人がそれをお認めになったような場合における処置の規定は、法案のうちに設けてあります。しかしこういう規定は、やたらに使うべきものでないと私は思っておる次第であります。
  56. 田中正巳

    田中(正)委員 法の建前はそのようになっておるし、また大臣のお考えもそのようだということがわかったのであります。組織ないしは作り方については、そういったようなことでありましょうが、私はこういう協会の一番重要な点というのは、協会運営する人のあり方によるものというふうに考えているわけであります。従って適当な人を得るならば、こういう協会も非常に効果を上げるのではなかろうか。反面また不適当な人がこの運営をすることになると、思わざる方向にいくのではないかというふうに考えておりまするが、こういったような協会ができる際に、常日ごろから心配するのは、こう申し上げてはなんですが、こういう協会には役人の古手であるとか、それからまた政治家の古手であるとか、それからまた新聞記者——労働大臣も新聞記者なんですが、新聞記者の古手、こういったような者がもぐり込む可能性が非常に強いのでございます。官僚の点手については、先ごろ、労働省の官製の労働教育によってはこれが円滑に推進できないから、こういうものを作ったというから、おそらくこういうような人は入れないというふうに私は思うのでありますが、それらについても一応念を押しておきます。それから、うしろに新聞記者の諸君もおられますけれども、新聞記者の諸君というのは、非常にモーションが大きくて、アイデアはいいんですが、締めくくりがないという短所があるのであります。(笑声)特にこの協会には、そういったことを避けなければならないというふうに思うのでありますが、これらの人事について、労働大臣はどのような配慮をなされるのか、それらについて労働大臣に特に伺いたいと思います。
  57. 石田博英

    石田国務大臣 労働大臣といたしましては会長の人選ということだけに集中したいと思っております。その会長は世間一般だれが見ても公正な人という人を選びたい、こう思っておる次第であります。完全にということはできないかもしれませんが、それこそ私の良心にかけて選びたいと考えております。他の人の人事につきましては、その会長におまかせするという態度で進みたいと思っておる次第であります。  それから役人の古手と申しますか、そういう者を入れるのじゃないかと言われますが、本協会目的目的でございますから、私はことさらに積極的にこれを排撃するという考えではありませんけれども、そういうことは避けなければならぬと思っております。新聞社の古手は——私もその一人でございまして、いろいろ参考になる御意見を伺いまして、できるだけ締めくくってやるつもりでございますから、御了承願いたいと思います。
  58. 田中正巳

    田中(正)委員 いろいろ大臣の御意見を承わりまして、ある程度安心をいたすのでありますが、確かにこれについては非常に心配な一面があるので、あえて申し上げたのでありますが、現在この会長等について、意中の人とか何とかいうものは、まだお持ちにならないのでありますか、どうですか。
  59. 石田博英

    石田国務大臣 いろいろ考えてはおります。しかし人事でございますから、これ以上は申し上げることを差し控えたいと存じます。
  60. 田中正巳

    田中(正)委員 そういう心配が世間にありますから、十分一つ大臣の方でこの人事問題は重要視をし、公平妥当な人をお選びになるように、特にこれは要望をいたしておきます。  そこで構成についてはわかったのでありまするが、先ごろこの協会の資金、財務についての話が若干出たのであります。これはこの法律によっても見る通り、預金部資金に預託をいたしまして、その利子収入を主たる事業資金にするというふうに規定しておるようでありまするが、そうなって参りますと、ちょっと不思議に思うのは、初年度は一体どういうふうにお取り扱いになるのか、利子収入が出てこない間は仕事は何もしないのか、あるいは特別の方法をもってそういったようなことをやっていくのか、この点について私ども、ちょっと疑問に思うのでございます。
  61. 石田博英

    石田国務大臣 これは労政局長から答弁いたさせます。
  62. 龜井光

    龜井政府委員 技術的な御質問でございますので、私から御答弁申し上げます。国会に提案になっております経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案の第十二条のカッコ書きに規定がございまして、公庫等が——すなわちこの基金もこの中に入るのですが、公庫等が主務大臣の承認を受けて年度内に繰りかえ使用する場合はこの限りでないということで、設立当初の来年度早々におきましては、利子というものはあとでお払いになるのでございますが、これによって事前に払っていただける措置がとれるようになっております。従って、それによって事業の準備その他の経理的な処置ができるようになっておると考えております。
  63. 田中正巳

    田中(正)委員 一応そういったようなことでやっていくということはわかったのでありますが、この協会の予算及び事業計画については、労働大臣の認可を受けることに規定がなっておるようでありますが、国の資金の使い方については、たとい元本がそのままであったとしましても、その果実だけを運用する場合においても、やはり国会の承認を受ける必要があるように思えるのでありますが、これらの点については政府一体どのようにお考えになっておるのか。
  64. 龜井光

    龜井政府委員 この十五億の基金そのものにつきましてはこの法律、並びに先ほど申し上げました経済基盤強化のための資金等の法律によりまして、明確にその使途の方向等が規定されておるわけでありまして、それから生じます果実の支出の仕方その他につきましては、日本労働協会法におきまして、その目的並びに使途の方向その他につきまして詳細規定がなされておりまして、その監督自体につきましては、労働大臣が毎年の事業計画あるいは予算面の監督をすることによりまして、国会の承認は要らないという建前をとっておる次第でございます。
  65. 田中正巳

    田中(正)委員 お答えはそのようでありますが、私どもとして考えて参りますと、確かに元本については国会の承認があり、ないしは国会の承認をそのつど得るということになるので、要らないと考えますが、果実については、それが必要でないという方には、私どもは若干疑義を持っておるわけであります。たとえば憲法の八十三条あるいは八十五条、八十六条の規定との関連において、これらについては相当問題があるというふうに私どもは思っておりますが、これについては必要がない、国会の承認は果実ならば要らないというふうにお考えであるかどうか、もう一度お尋ねいたします。
  66. 龜井光

    龜井政府委員 他の特殊法人におきましてもそういう例はございませんが、毎年の補助金その他等でやっておりまする場合におきましては、その使途その他につきまして、監督官庁である主務大臣にその権限の委任をしておるものがたくさんございます。この法律におきまして、この果実の使用の仕方、すなわち事業計画なり予算というものについて、労働大臣にその監督権を委任をいたしておるというふうにおとりいただいてけっこうだろうと思います。
  67. 田中正巳

    田中(正)委員 この点についてはいろいろ財政法との関係上問題があろうと思いますが、いずれこれは経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案の審議をめぐって、いろいろとまた問題になると思いますから、専門的なことはそちらに譲りたいというふうに思いまするが、これについては若干の疑問をいまだに持っているものであります。  それからもう一つ、同じような種類の問題でありまするが、この協会の経理については憲法九十条あるいは九十一条の制約、具体的に申しますと、会計検査院の検査が必要であるのか、あるいは内閣が国会及び国民に対し財政状況の報告をしなければならない義務との関係において、どうなるのかという点について、いま一つお尋ねをいたしたいと思います。
  68. 龜井光

    龜井政府委員 この会計が会計検査院の決算検査その他の処置を受けるかどうかということでございますが、会計検査院法の第二十二条によって、国が特定の法人の資本金の二分の一以上の資金を出資している場合には当然受けるという規定がございます。従ってこの協会のように全額国が出資する場合においては、会計検査院の検査を当然受けるものとわれわれは了解しております。
  69. 田中正巳

    田中(正)委員 あと、こまかい点について二問ほどお尋ねをして私はやめたいと思います。この法律の十七条によると、役員が営利を目的とする団体の役員になれないといったような規定がございますが、この立法の趣旨というものは一体どういうふうなところから出てきているのか。
  70. 龜井光

    龜井政府委員 この協会仕事並びに協会の本質につきましては、先ほど来大臣が申し上げましたように、公正な労働教育をやっていこうという考え方でございます。従いまして、この団体自体が営利を目的としないことはもちろんでございますし、またその役員は、先ほど来御説明申し上げておりますように、労働問題について公正な判断のできる学識経験者の中から選ばれる方でございます。従って、それらの方が営利を目的とする団体の役員等になっている場合におきましては、この団体の公正な仕事の遂行に大きな影響があるというふうな場合もあり得るだろうと考えております。しかし全部が全部そうでないものもございましょう。たとえば官吏のような場合もございましょう。従ってそういう場合におきましては労働大臣の承認を受けまして、その例外措置がとられるのでございますが、原則的には先ほど申しますように、この事業の本質というものとのかね合いでございまして、どの特殊法人におきましてもこの規定は共通的に設けられている規定でございます。
  71. 田中正巳

    田中(正)委員 この法律の第三条の二項に、従たる事務所を設置することができるというふうに規定しておりますが、一体政府はどういうところに従たる事務所を置く計画であるか、また考えるつもりであるか、また将来にわたって従たる事務所はかなり置くつもりであるかどうかという点について説明を伺いたい。
  72. 龜井光

    龜井政府委員 来年度におきましては、直ちに従たる事務所を置く予定は今のところ持っておりません。将来この資金量がふえて参りまして、事業量がふえて参りますと、大阪あるいは福岡という特定の地域につきましては、こういうものを設置する必要も生じてこようかと思いますが、今のところ直ちに設置する予定はございません。
  73. 田中正巳

    田中(正)委員 本法案についての疑問点は、まだこまかい点にわたってかなりたくさんあるのでありますが、時間も参りましたようでありますから、この程度にとどめておきまして、私の質問は、本日はこれにて終りたいと思います。     —————————————
  74. 森山欽司

    森山委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  去る八日、理事滝井義高君が理事を一たん辞任せられましたので、理事が一名欠員となっております。その補欠選任をいたしたいと思いますが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。
  75. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認めます。よって滝井義高君を理事に指名いたします。  午前中の日程はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————