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八田委員 ただトキソイドに対する重い全身反応ですね。もちろん
副作用と申しましても局所反応と全身反応と分けなければなりませんが、全身反応おいて重い
副作用を起すのは
シック反応陰性者に多いのだというのが定説なっておるようでございますが、そこでさらにお伺いしたいことは、この
ジフテリアの
予防接種法の問題で、
ジフテリアが六カ月から十二カ月にわたって
初回接種をやるというようなここは、これは連合軍の指令によってできたことなんですが、ただこの法の建前が、乳児ないし学令前
児童を対象としているわけでございます。ですから、
年令の長じた少年期以降、成人層に
ジフテリア・トキソイドを注射する場合頻発する相当重い
副作用については、特別な注意が払われていないわけなんですね。さらにまた
ジフテリアの疫学から考えてみまして、最近は成人の間の
ジフテリアが非常にふえてきておるわけです。そういったところに対するところの配慮というものは、この
予防法の中には入っていないように考えるわけなんです。というのは一九四五年ごろから欧米では
ジフテリアの
患者が発生数が次第に増加してきておって、第二次大戦中には特にヨーロッパ全体に
ジフテリアの流行というものを見た。ことに
年令でもって調べてみると、少年ないし成人期の
ジフテリア患者が著しく増加しておるのだ。オランダではその当時十才未満では従来の七倍から八倍、十才後の
年令層では八十倍も激増した、こういうふうに
報告があるくらいであります。
アメリカの場合をとってみましても、ヨーロッパに兵をやった場合に、一九四五年だけで二千名以上の
ジフテリア患者が発生したというような事実があるわけです。こういった事実から見ましても、成人の
ジフテリアが欧州でいかに流行しているかということが想像できるわけであります。
こういうことはわが国におきましても同様なことが見られるわけです。たとえば世界第二次大戦中におきまして少年航空兵の兵舎とかあるいは各連隊の青壮年層に
ジフテリア流行がしばしば起ったのであります。でありますから、こういった
年令層に対する
ジフテリア・トキソイドによる
ジフテリアの
予防ないし流行の防遏を目的とする
予防接種の実施法については特段の考慮が要望されなければならぬと思うのであります。こういったことに対しましてこういった青壮年層に対した場合に、
シック反応の
副作用が非常に強い。そういう場合に
シック反応はやめて、モロニー反応によるのだとか、いろいろなことがいわれておりますが、こういった成人層の
ジフテリアに対して
染谷博士はどういうふうなお考えを持っておられるか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。