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1958-03-26 第28回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十六日(水曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 亘  四郎君    理事 五十嵐吉藏君 理事 川村善八郎君    理事 松澤 雄藏君 理事 竹谷源太郎君    理事 渡辺 惣蔵君       伊藤 郷一君    椎熊 三郎君       田中 正巳君    南條 徳男君       林  唯義君    井谷 正吉君       小平  忠君  出席政府委員         北海道開発政務         次官      福井 順一君         経済企画政務次         官       鹿野 彦吉君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  伊東 正義君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      鈴木 秀雄君         参  考  人         (東北開発株式         会社総裁)   渡辺 政人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国土総合開発に関する件(東北開発に関する問  題)      ————◇—————
  2. 亘四郎

    亘委員長 これより会議を開きます。  国土総合開発に関する件について議事を進めます。  この際お諮りいたします。本件について参考人として東北開発株式会社総裁渡辺政人君から意見を聴取いたしたいと思いますが、異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亘四郎

    亘委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  なお参考人からの意見聴取質疑応答の形でもって行うことといたします。  これより質疑に入ります。竹谷源太郎君。
  4. 竹谷源太郎

    竹谷委員 私は最初参考人渡辺総裁に当株式会社状況について質問をいたしたいと思います。  まず最初に、昨年の八月一日渡辺総裁政府からが命を受け、続いて副総裁、あるいは理事監事等が任命せられまして、いよいよ八月二十七日には株主総会を開いて発足を見たわけでございます。自来八カ月に相なるのでありまするが、その間における昭和三十二年度の会社事業についての概況を最初にお尋ねしたい。なお、この事業を執行する上において必要な資金調達状況は、今までのところ、いかようになっており、また年度末までにどのようなことになるのか、そのお見込み、これを最初にお尋ねをしたいと思います。
  5. 渡辺政人

    渡辺参考人 お答えいたします。昨年の八月私が任命を受けまして以来第一に考えましたことは、東北興業時代の既存の事業につきまして、これをいかに運営したならばよいかと考えまして、第一に直営をしておりました福島カーバイド並びに石灰窒素工場、第二に木友亜炭鉱業所、第三には建設中の岩手セメント工場、さらに子会社関係におきまして、東北船渠株式会社再建について一応考えたのでございますが、その結果、第一の福島工場につきましては、従来の生産規模がいかにも小さくて、経済生産単位工場とはなっておりませんので、いろいろと検討を加えました結果、一万五千キロの電炉増設いたしまして、カーバイド増産並びに石灰窒素増産をはかることにいたしました。それから、在来廃棄しておりました酸素並びに溶解アセチレン利用考えまして、この廃品の利用によって収益を増すという考えをもって施策をいたしました。その結果、この費用が、福島工場整備拡充に五億五千万円でございます。それから酸素並びに溶解アセチレン合理化をはかりましたために、六千七百万円を投ずることにいたしました。  それから第二に、木友亜炭鉱業所につきましては、従来五万トンの生産を上げておったのでありますが、実栗屋という新たな鉱区開発いたしまして、二万トンの増産をはかることにいたしました。その結果、これに要する資金が八千四百万円でございます。  それから第三に、岩手セメント工場につきましては、当初は十四億でもって東北興業時代計画されておったのでございますが、その後鋼材類値上り等から一億五千万円を認めて、十五億五千万円でこれを完成するという予定になっておりましたけれども、これをしさいに検討いたしますと、やはりいろいろな不備な点等がございます。たとえばセメント・サイロの数が少いとか、いろいろな点がありまして、これを技術上詳細に検討をいたしました結果、これがために約六億一千百万円をかけまして、大体において完全な工場に持っていくということにいたしまして、その方針でもって進めた次第であります。  それから子会社であります東北船渠再建につきましては、いろいろと検討を加えました結果、浦賀船渠株式会社の協力を得まして、新たに設備更新をはかることにいたしました。それがために約三億、それから運転資金一億、こういうような計画をいたしまして、会社からは設備資金に三億、運転資金に五千万円、さらに資本金といたしまして四千五百万円、これだけを投じまして、これに対して浦賀船渠からは資本として四千五百万、運転資金二千万、これだけを出してもらいました。さらに株金の上に東北電力会社から一千万円の出資を願いまして、資本金一億円の会社を作りまして、そうして旧東北船渠施設を一億円で購入をいたしまして、それに三億の設備資金を投じまして、設備更新をはかって、ただいまこれが稼働に移っております。さような次第でありまして、この会社仕事はその後順調なすべり出しをいたしまして、今日すでに修理船十二隻、約二千万円、新造の船一隻、ドレッシャーでございますが、約一億九千万円の船の注文を獲得いたしております。さらに八郎潟干拓事業に使用するどろの運搬船四隻、これが千五百万円で受注をいたしております。その地鉄構物、いろいろな製カン仕事でありますが、これが約三千万、その他千万、合計二億六千五百万円の注文を獲得いたしておりまして、その他に現在受注予定をもって交渉いたしまして、ほぼ注文の確実と思われますものが、ドレッジャー二隻、約四億円、それから三千トンの貨物船一隻、これが約三億円、このような引き合い中でございまして、これが獲得できますれば、約十億近い注文をもって着々と事業を推進いたしておるような次第であります。  それから、さらに資金の点でございますが、当初三十二年度の予算は二十五億でございましたが、そのうち、財政投融資の一部繰り延べによるものが五億円あります。残りが二十億であります。それに対しまして認可を受けました事業内容が、セメント事業設備といたしまして六億一千百万円、それから酸素製造設備といたしまして二千四百五十方、溶解アセチレン製造設備といたしまして四千二百六十万円、木友鉱業実栗屋に新たな鉱区開発費といたしまして八千四百十万、東北船渠再建事業費といたしまして三億九千五百万円、福島工場カーバイド製造設備事業費といたしまして五億五千八十万、合計二十億八百万円の事業認可を受けたわけであります。  それに対しまして、ただいまの五億の繰り延べがございますので、それを差し引きますと、三十二年度における事業実施額が十五億になります。このうち、政府から三十二年の十一月二十七日に五億円の出資を仰ぎましたので、残りが十億でございます。これは政府保証による債券を発行いたしまして、三十三年一月に四億円、二月に三億円、三月三億円、合計十億円の社債発行済みでございます。以上でございます。
  6. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうしますと、事業認可を受けたのが二十億八百万円、それに対して現実に調達ができたお金が十五億、五億八百万円足りないのですが、これはどの部分でございますか。
  7. 渡辺政人

    渡辺参考人 ただいまちょっと私数字を間違えましたので申し上げますが、二十五億のうち五億が繰り延べでございまして、差引二十億の事業資金のワクのうち、三十二年度の新規事業認可を受けましたのが十七億八百万円、それはただいま申し上げたようなセメント事業設備費酸素製造設備費溶解アセチレン製造設備費木友鉱業実栗屋に新たな鉱区開発費、それから東北船渠事業費福島カーバイド製造設備費等でありまして、それが十七億の内訳になっております。そうして三十三年度への事業の繰り越しが二億八百万円でございますから、それを差し引きますと、残りが十五億になりまして、ただいま申し上げましたような政府出資の五億円、それから社債がただいま申し上げました通り、一月四億、二月三億、三月三億こういうことで、資金の割当をいたしました。
  8. 竹谷源太郎

    竹谷委員 わかりました。そこで、もう少し内容についてお尋ねしますが、そういたしますと、塩釜の東北船渠株式会社再建が順調になされており、また受注も相当あるということですけれども、今海運界が不幸にして景気が悪いときに、この仕事を始めるということになる。神戸あるいは横浜その他の船台が現在相当あいておる状況でございますが、そういう海運界不況のさなかにあって、東北造船株式会社がうまくいくかどうか。これは東北開発上非常に重要な問題であるが、ただいま御説明を伺うと、すでに十億の受注があった、今後もどんどんふえるお見込みということでございますが、これは将来この会社十分発展をし、仕事も十二分にあるというお見通しかどうか。もう一つ、もしこの発展見通しがあるとすれば、現在の東北造船株式会社設備やあるいはドック状況、あるいは岸壁状況等が、そのようにこの会社十分運営が成り立つような仕事をするに十分の設備を一体持っているかどうか。東北船渠時代には、この会社は長い間閉鎖の状態で投げ捨てられており、機械もさび、設備も荒廃する、あるいは岸壁の接岸のところの海底が埋まるというようなことで、非常にこの仕事運営するに支障があろうかと思う。だとすれば、これは一体今まで投じた資金だけでで十分なのであるかどうか、設備やその他についてどんなお考えがあるか、承わっておきたい。
  9. 渡辺政人

    渡辺参考人 事業見通しにつきましては、ただいま竹谷委員がおっしゃる通り、世界の海運界は非常に悪い状況にございます。しかし東北造船の方といたしましては、将来八郎潟などの開拓による泥を運ぶ船であるとか、いろいろなものが出て参ります。それから、ただいま申し上げたようなドレッジャーのごときものも、今後相当引き続き引き合いを受ける予想のものがございます。さようなわけでございまして、非常に努力をいたしますとともに、なお東北陸上工事鉄構物仕事も相当ふえる予想でございますので、今後非常な努力を続けまして、ともかく通常の成績を上げ得る見込をもって、ただいま進んでおるのであります。それから、ただいま設備につきましては、とにかく早急にあれをやろうということで、最初申し上げました三億の設備更新費用を投じましたが、なおこれに補足して、ドックに対しましてはさらに約一億程度設備の増強をやりたい、こういうことを新会社の当事者から申し出がございます。しかし、これにつきましては、なお今後検討の上で、必要がある場合にはこれを認めて、将来の仕事の上に差しつかえないように進めていきたいというような考えを持っております。
  10. 竹谷源太郎

    竹谷委員 その設備をするのに将来一体どのくらいの金がかかりますか。それからもう一つは、岸壁のところのドックがたしか一つしかないので、いろいろな船が来ると、岸壁に係留して修繕したりやるだろうと思う。そうすると、あそこはだいぶ浅くなっておるように思う。それは聞くところによると、国土開発調整費でやるとか、やっているとかいうことでありますが、この点については企画庁からお答えを願いたい。
  11. 渡辺政人

    渡辺参考人 今のドックの付近は非常に浅いのでありまして、ただいま四メートル半にあそこを掘っております。そして、これは県等のいろいろな計画もございまして、調整費等に一部をお願いしておるようなことも承わっております。そうして今の設備は何しろ応急の仕事をするという程度でございまして、実際いろいろな修繕船が入って参りましても、この人たちを泊めておいたりするというような設備もないわけでございます。そういうような設備とか、あるいは今後係船の設備費用、あるいは艤装の木工場の改築であるとか、油圧プレス新設等、いろいろ項目が十二、三項目に分れておりますが、これのために約一億円必要だということの申し出がございますので、これをよく検討いたしまして、今後の運営支障のないような施設をやって参りたいと思っておる次第であります。
  12. 伊東正義

    伊東政府委員 調整費の件についてお答えいたします。三十二年度につきましては、調整費で五百万という金を使いまして、あの前面浚渫をやりました。三十三年度もまた浚渫をやりたいので、調整費を出してくれという話がございます。しかし私の方といたしましては、あそこの問題は、企画庁開発会社の所管はいたしておりますが、関係各省みんなで一つ応援してあの仕事もやっていくというような態勢で、このドック認可をしますときも、運輸省等と話し合いまして、運輸省も賛成だというようなことでやりましたので、この浚渫の他につきましても、運輸省あるいは県なりもある程度力をかしてやっていくという態勢、その上で、さらに企画庁調整費考えるということであれば考えられるが、全然運輸省も手をつけない、県も手をつけないで、企画庁調整費だけでやっていくということは、私はどうかと思いますので、話がありました際に、これは運輸省も県も一つ力をかしてもらいたい、その上で、もしもどうしても必要な場合には、みんなでさらに検討してみようということは言っております。
  13. 竹谷源太郎

    竹谷委員 ドック前面海底浚渫とあわせて、造船会社としては一億の設備を増強する、こういうことでありますが、そうした場合に、この東北造船株式会社としては一体どれくらいの従業員を使うことになるお見込みでございますか。既数でよろしいから、お答えをお願いしたい。
  14. 渡辺政人

    渡辺参考人 お答えいたします。本年事業に着手と同時に、旧工員等を約六十名すでに採用いたしております。そしてだんだんと仕事のふえるに従って、少くとも二年目には二百名くらいさらにふやしまして、それから三十年目にはさらに二百名、三年後に約六百名くらいの従業員を使うという予定でございます。
  15. 竹谷源太郎

    竹谷委員 次に福島工場のことをお伺いしたい。この工場カーバイド石灰窒素と、最も関連ある生産品ではございますが、ところがカーバイドの方はもうかるので、東北開発に必要な肥料石灰窒素よりも、カーバイド程度で売っちゃう、こういうようなことを聞いておるのだが、その点はどうですか。今そういうような不合理な生産の仕方をしておらないのかどうか。もうけさえすればいいというのでは、東北開発としてはこれは何ら営業会社と異ならないし、国策会社でもなくなる。その点現状はどうであるか。ことに東北開発会社になってからは、どのようなカーバイド石灰窒素生産の割合になっておるか、それを承わりたい。
  16. 渡辺政人

    渡辺参考人 従来あそこでやっておりました石灰窒素肥料は、実際においてトン二千五百円ほどの、原価を割った価格でもって商売せざるを得なかったのであります。それは農林省等肥料価格に対して、指示価格と申しますか、そういうものがありまして、それからなおいろいろな設備が十分でありませんので、原価が高くなっておったのであります。それで今後、先ほど申し上げました一万五千キロの電炉一基増設をいたしますと、生産能力といたしましては七万トンの生産力を持つわけでございます。それで今後これをどういうふうに稼働させるかということにつきましては、いろいろな電力の受電の状況もございますし、豊水期であるとか、あるいは渇水期等のことも考えまして、大体過去の実績から見まして五八%くらいの稼働をいたしますと、約四万トンのカーバイト生産が可能だと思っております。そのうち、ただいま申し上げましたような石灰窒素需要等に対しましても今後は相当ふやしまして、一万六千トンの石灰窒素肥料を作る予定にいたしておりまして、残りカーバイドとしてこれを売っていく、かような見込みでございます。
  17. 竹谷源太郎

    竹谷委員 次に、岩手セメント工場のことを承りますが、さきにシャフト・キルンというドイツの新しい方式を用いてセメントを作るということで始めて、十四億円で足らないというので、また金を増し、二十一、二億かかることになる。聞くところによると、この夏か秋あたりからセメント生産がなされるということであります。それに対して経済的な数量を出す方がいいというので、今後はレポール・キルンというものを増設して、三十万トンくらいの生産を上げる、こういう計画があるやに聞いておりますが、大体シャフトキルン方式による生産では、セメント生産コストが非常に高くなる。もうからないか、あるいは損をする。それで従来のやり方のものも使ってその損失をカバーしないと、経営が不可能だというようなことになるために、このような新しいシャフト・キルンではないレポール・キルンというものを増設するという計画じゃないかと疑われる。この点シャフト・キルンレポール・キルンの場合、原価の比較はどのようになっておるのか、それを承わりたいのであります。
  18. 渡辺政人

    渡辺参考人 従来シャフト・キルン五基をもちまして年産二十二万トンの生産をいたしたいという考えで進んでおりました。しかるに、その後のいろいろなセメント界事情を見ますと、セメント経済生産単位というものは月産三万トン、これが今日ではさらに五万トンでなければならぬというふうにいわれております。それでこの会社は、シャフト・キルンのみによりますと、月産二万トン、あるいは冬季等に多少の減産も見込まれますので、まあ確かなところ年産二十二万トンでありますが、それではなかなかコスト低減というところまではいかないのじゃないか。それで、これは将来の東北におけるセメント需要増大等考えまして、もう一つ新式レポール・キルン一基増設いたしまして年産十万トン、その程度になりますれば、全体的なコスト低減ができる、こういうふうに考えたのでございます。そうしてレポール・キルンでございますれば——シャフト・キルンの場合はコークスのみを燃料といたしますので、そのコークスは現在外部から購入しておりますから、それによって原価を支配される要素が非常に多い。けれども、レポール・キルンの場合は、比較的に燃料石炭によることができますので、コークスはどの価格変動はないのではないだろうか、こう考えましてレポール・キルン一基増設いたしまして、全体的なコスト低減をはかりますとともに、量産をいたしたい、こういう考えで三十三年度にこの事業計画いたしまして、ただいま認可を申請いたしておるような次第でございます。
  19. 竹谷源太郎

    竹谷委員 二十二万トンでは数量の点でどうも経済的に引き合わない、これを三十四万トンもしくは三十六万トンにする必要がある、量産をして経済的にやりたい、こういう趣旨はわかりますけれども、それならば、東北興業株式会社時代に、シャフト・キルンの新しい方式が非常にいいのだということで、一生懸命に万難を排してやったわけですから、これがいいならば、五基を十基にふやして、四十万トンにするということも可能なわけです。ただ、今承わると、コークス石炭よりも市中相場変動が激しい、こういうところに経営上の不安があるということもわかりますが、しかし石炭もやはり相場の異動が相当激しいのでございまして、一体シャフト・キルンというものはセメント生産欠陥があるのかないのか、これはあなたではない、前任者東北興業株式会社時代にやったことではあるが、その間違いはそれとしても、これを明確にしておくことが今後の日本セメント生産工業発展上重要なことじゃないかと思います。今まで調査された結果では、一体シャフト・キルン欠陥があるのかないのか、その点どのような研究がなされておるのか、この機会に承わりたいと思います。
  20. 渡辺政人

    渡辺参考人 シャフト・キルン日本におきましては宇部曹達が一基やっておるのでございます。そのほかには日本ではあまりやっておりませんので、前東北興業時代にこの方式を採用されたようでありますが、このシャフト・キルンの方法も宇部とはまた違っておりまして、相当進歩したシャフト・キルンのようでございます。それで、これによりましても、十分セメント日本標準規格に合格するりっぱなセメントができるということは確信をいたしております。それで、いよいよこの四月に一基試運転に入ります。六月には五基全操業をするということで進んでおります。その製品ができましてから、いろいろな試験もいたしますけれども、ただいまのところは完全に日本標準規格に合格する性質のセメントを作るということは、われわれの方の技術者確信を持っております。それから現在すでにドイツから二人の技師が参っておりまして、操業までのいろいろな世話を受けております。でありますから、品質等については心配がないと思っております。それにこのレポールは、普通のロータリー・キルンの一種でありますが、これが最新式のものでありまして、だいぶ従来のレポール・キルンとは違って、もっと進歩したかまを採用いたしております。それで、これらの量産をはかりますと——また人によりましては、いかにりっぱなセメントであると言っても、いや、これは普通のロータリー・キルンセメントでなくちゃいけないというようなお得意もあるかもしれませんから、販売上の便宜も考えまして、同じシャフト・キルンのみにしていくよりは、どうせ増産するならば、今のレポール・キルンの方を一基採用した方がよろしかろうという社内の協議で、これをやるにとにいたしました。  それからコストの点は、シャフト・キルンの場合には、二十二万トン生産するといたしまして六千三百五十七円になっております。それから新設備は、従来の設備の一部も採用ができます関係から、これを十万トンといたしまして、五千九百十四円という計算をいたしております。
  21. 竹谷源太郎

    竹谷委員 なお、この工場運転を開始してやり出しますと、あそこは交通機関があまり便利ではないのですが、貨物輸送、材料の運搬、搬出、これはなかなか問題があるのじゃないか、これを解決しなければならぬと思うのですが、見通しがあるかどうか。
  22. 渡辺政人

    渡辺参考人 輸送につきましては、盛岡の鉄道監理局の方にお話をいたしまして、それくらいのものは運んでやる、こういうことで今話を進めております。さらに一部は納入の場所によりましては、トラックを使用するということも考えておりますけれども、輸送については心配ないつもりでおります。
  23. 竹谷源太郎

    竹谷委員 次に、昭和三十三年度の新規事業計画のことを承わりたいのでありますが、直営工場につきましては大体承わりました。それから東北造船も承わりましたが、その他の事業計画がまあるかどうか。あるいは従来の子会社が二十くらいあると思うのですが、それらのうち、まず優先的に投資をするなりその他をして、事業拡充して、大いに開発上役に立つというようなものがあるかどうか、それを御説明願いたいと思います。
  24. 渡辺政人

    渡辺参考人 三十三年度の事業計画は、案を立てまして、過日政府の方へ認可申請をいたしております。その概要を申し上げますと、既設事業拡充整備といたしましては、先ほど申し上げました岩手工場拡充に三十三年度及び三十四年度にわたりまして、今のレポール・キルン一基増設をはかりますため——金額内容を申し上げますか。
  25. 竹谷源太郎

    竹谷委員 直営工場の方はよろしゅうございます。
  26. 渡辺政人

    渡辺参考人 それから福島工場合理化ために、一部の事業をいたしましたい、こう考えております。  それから子会社関係でございますが、そのうちで、いろいろ会社事情を調査いたしまして、この工場にはこれだけの資金を投ずればもっと能率もよくなるし、利益も上る、こういう見込みのものを五つ選びまして、北日本機械株式会社東北窯業株式会社日本絨氈株式会社東北合板株式会社、新東北窯業株式会社、この五つに、合計で約一億三千六百万円ほど投じて、設備の一部改良、あるいは増設等をいたして、これらの事業内容を改善いたしていきたいという考えで進んでおります。それから新規事業といたしましては、直営事業といたしましてハード・ボードの工場を一工場作る。それから土地の造成事業をやりたい、こう考えまして、大体土地の造成につきはしては塩釜、いわゆる仙塩地区、並びに秋田港の造成、こういうふうに考えております。  それから投融資の事業といたしましては、パーティクル・ボード工場、いわゆる乾式のバード・ボード工場であります。これをバーティクル・ボード工場と申しております。それをと一つ作りまして、そうしてこれは日興産業という会社と新たに提携をいたしまして、合弁事業でやる考えでおります。それからもう一つは北上山脈にあります天然スレートの工場をやりたい。もう一つは栽培林業でございます。これらは新会社を作ってやりたい。それでこれの直営事業並びに投融資事業合計いたしまして十三億二千万、こういうことになります。  その他総合調査費——将来砂鉄精練事業をやりたい、それからさらに石灰石利用工業であるとか、木材利用工業、テンサイ栽培、製糖並びに酪農事業等の調査、それから石炭、亜炭の利用工業に対する調査日、あるいはチタン精練の調査、そういったような七、八項目のものに対しまして、約七千万円の調査費をただいま計上いたしまして、認可を申請いたしておる次第でございます。  それで、これの総額が二十七億九千二百万円でありまして、三十二年度からの繰り越しの二億八百万円と合せまして三十億、三十三年度はこの三十億の予算の金額でやりたい、こう考えております。
  27. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今、御説明の中でハード・ボード工場はどこに作るか、まだ御予定はありませんですか。
  28. 渡辺政人

    渡辺参考人 ハード・ボード工場につきましては、東北七県の各県庁から提出されました資料並びに私どもの会社において数回いろいろな点を調査いたしております。けれども、これを最後に決定いたしますのには、場所によりましてまだ雪がありまして、現地を調査することのできぬような場所もございますので、この最後の決定は少し延びるかと思っております。  それからパーティクル・ボードにつきましては、大体この原料がシラカバのような種類のものを利用する関係から、ほぼ岩手県内に建設をしたいという考えでございます。
  29. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今、新規事業計画の中にテンサイ糖工業の問題がありました。これは数年来福島県、宮城県、青森県等において、東北地方における砂糖大根の栽培試験を県その他の団体等が熱心にやっており、相当の成績が上り、場所によっては、むしろ北海道よりもいいんじゃないか、こういうようなことも聞いておる。そういう意味合いで、東北地方は何といっても、工業もさることながら、農林業の方面においてもっと躍進的な発展をはからなければならぬと思う。しこうして農地の開発をやりましても、今後新しい農地としてはこれは畑地になるのでありまして、そうなると畑地作物の適当なもの、ことに酪農と結びつくような農業が非常に望ましい。そういう意味からいって、テンサイの栽培並びにテンサイ糖工業は東北としては非常に重視しなければならぬと思う。開発会社としては、むろん生産された砂糖大根で砂糖を作るという工業の方面を受け持つべきが主ではございましょうが、しかし開発ためには、農業をやっても差しつかえない。そのためには開発会社資金を投ずるということもいいのではあるが、労資金には限りがあるので、国として、あるいは県として、テンサイの試験なり、栽培なり、奨励なり、そういう仕事はむしろ国の行政的措置であるべきものと考えますけれども、これは東北開発上非常に重大な問題なんです。これについて経済企画庁は砂糖大根の問題をどのようにお考えか、どういうふうに東北開発上これを進めていくお考えであるか、経済企画庁の御意見を承わりたい。また東北開発会社としては、今のところ間もなく工場を作ってやれるようなことになるのかどうか、そのお見通しを承わっておきたいと思う。
  30. 鹿野彦吉

    ○鹿野政府委員 ただいまの竹谷委員の御質問に対しましてお答えいたします。東北開発株式会社は、工業だけをやるのではなくて、東北開発全般の立場から、やはり工業、農業、あらゆる点についてそうした方向に寄与するという立場をとっているわけでございます。そうしたことから、ただいま会社総裁から説明がありましたように、東北開発の基本をなしますところの栽培林業というようなものもやってみたいというような考えを持っておるわけでございまして、ただいまのテンサイ糖の問題についても、まあ工業というよりも、やはりこうした問題については、テンサイ糖の栽培というような方面に大いに力を注いで、そうして、こうした仕事東北発展いたしますように助長をいたしたい、こういうような考えを持っておりままして、今回調査部門の申にこれを織り込んで、十分これを事業化するための準備を早急に進めたいというような考えをもちまして、会社側とも相談をいたし、そうした方向に進めておる、こういう立場をとっております。
  31. 渡辺政人

    渡辺参考人 会社側といたしましては、ただいま鹿野政務次官がお答えになりましたような御方針に沿うてやっておりますが、昨日もテンサイ糖の栽培の経験者であります人から——その方はアメリカのコロラドで自分で農場を作って、非常な、アメリカ一の成績を上げており、さらに満洲においてもそれを指導し、北海道においてもこれを指導して参りました方でありまして、その方のお話によりますと、北海道ではテンサイの含糖量が一三%であるということでありますが、東北は春の期間が長い、秋の期間が長いというような現状でもありましょうけれども、そういう点から申しまして、一八%から二〇%の含糖量である、こういうことでございまして、非常に東北が好適地であるという話を承わったのであります。ただし、これには、一つの単位製糖工場を作りますと、どうしても五千町歩を要しますそうで、これは五年の輪作をいたしますので、二万五千町歩の栽培地があって初めて一つの製糖工場ができるというような現状のようでございます。それで、ただいまのところでは、これについては仙台などの農事試験場等について見ましても、非常によろしいというのでありますけれども、まだ農林省の特産課においては、それを最後の断といいますか、ほんとうによろしいのだということにはまだなっていないそうであります。これは農林省の技師の方の意見であります。私どもの方としましては、これを今後そういうことも確かめまして、そうして酪農に結びつけてやりますれば、東北の農村事業といたしまして非常に有望なものであるという考えのもとに、今度の調査費が決定しますれば、着々そういう調査を進めたいと考えております。
  32. 竹谷源太郎

    竹谷委員 東北開発会社は、工業のみならず、農林水産業という方面にも開発上大いに努力するという、そういう政務次官、総裁のお考え、非常に私も賛成であります。なおまた新年度の計画に、栽培林業ですか、植林のことだと思うのですけれども、一方においてハード・ボード工業や、あるいはパーティクル・ボード工業というような、木材利用の工業を推し進めるのでありますが、その原料供給の山林をも育てていくという考え方、これもいいと思います。大いに一つ勉強して、こういう農林水産方面にも力を入れて、研究と実行を要望いたす次第でございます。  さて東北開発会社は、昨年の八月発足を、しまして、だいぶ人もふえて、また仙台にある本店を主として、東京の事務所の方は名実ともに支店であるようにしたようであります。昭和三十二年の七月、すなわち東北興業株式会社時代には、職員は、東京の事務所が、支店でありながら四十七名の人がおった。本店方にはただの四人しかいなかった。これは本末転倒で、支店には四十七名、本店にはただの四名、こういうことであったのをひっくり返して、今年の二月におきましては、仙台の本店の方には百二名、東京事務所には十九名ということで、本来の姿に返ったことは、これは正しいやり方だと思います。そうして総裁以下幹部も仙台に住居かまえて、現地にあって専心東北開発ためにぶち込む、こういう態勢を示しているようであるが、さてしからば、ほんとうに幹部が地元におって現実に仕事をやっているかというと、私はあまり行っても見ないのだが、世間のうわさでも、また私が行ったときでも、ほとんど幹部は本店の仙台の会長にはいない、半分以上東京に来ている、こういう現状のようでございまして、形だけ本旨に沿うようにしたが、実質はやはり東北興業会社時代と同じように本末転倒で、幹部は東京にばかりいる。これではどうも会社の本来の極旨に沿うものでない。なぜこんなことになっているのであろうか、こういうことでございますが、その原因をお尋ねしたい。世間では、悪口を言って、仙台の飛行場——といいましても、仙台市外の玉浦というところに飛行場があるのでありますが、そこと東京の間を日本ヘリコプターが一日、二往復やっている。その乗客の中で一番のお得意が東北開発会社の幹部である、ほかの客はあまりないとかいうのでありますが、まるで専用飛行機を一日に二往復させている、これで行ったり来たりやっている。それほど東北開発会社が忙しいのか。あるいはそういうふうに金を使って、飛行機代を何百万円も使うことになるだろうと思う。日本ヘリコプター会社を生かしておくために、東北開発会社があるのであるかどうか、こんなことを世間ではうわさしている。それでは、どうもわれわれ東北開発会社の法案を審議し、せっかく東北開発ため東北民の要望にこたえるという態度をとっているのであるが、まずわれわれが非難を受けなければならぬ。こういうのは一体どういうところからくるのであるか。仕事東北でやっているのに、実際は東京ばかりということは、あるいは経済企画庁が、あるいは大蔵省が、しょっちゅう総裁や副総裁理事を呼びつけて、つまらないことにまで干渉するのじゃないかということを心配するのです。  ここに、われわれは知らなかったのだが、法律の施行細則として、東北開発株式会社法に基く総理府令というものが昨年の十二月に発布されておる。この中には、国策会社であり、国の出資東北開発会社の業務を監督する上において必要な書類あるいは必要な監督、これは当然な規定でありますが、しかし実際総理府令はそれといたしまして、これだけではなくて、非常にこまいことに一々関与するのじゃないかということをおそれる。この総理府令の第五条に、重要な財産についていろいろ買ったり、売ったりするのに、一々認可を受けなければならぬということがある。その中に、値段が一千万円以上のものを売り買いする場合には全部認可を受けなければならぬ。あるいは一株の株式を買っても、それを一々認可を受けなければならぬ。なお工場財団、鉱業財団、鉱業権、これらも同様であります。この中には、ずいぶんつままらぬものが多いと思う。こんなものを一々監督しなければ、渡辺総裁はごまかすかもしれない、要らないものを買ったり、高いものを安く売り払ったりするという疑いを持っているように見える。こんなことでは、とうていりっぱな総裁を選んだ意味がない。事務渋滞——それも係の職員を呼んで、ちょっと聞くようなことに、理事総裁が呼ばれる。こんなことをしておったのでは、大事な仕事がおろそかになって、むだ金ばかり使うことになろうと思う。その他十四条には事業月報というのがあって、月々こまい事業をみな報告しなければならぬことになっている。しかし、これは事務的なもので必要であるとしても、実際は運営でありまして、一々くだらないことまで干渉するならば、総裁なんというものを置く必要はない。国家が直営でやればいいのであって、別に麗々しく法律などを作って、国策会社をこしらえる必要もないことになる。アメリカでルーズヴェルトがやったテネシー・バレー・オーソリティー——開発公社を作って、それにリリエンタール外二人の理事を選び、あらゆる全権を——土地収用法のようなものまでも権限を与えて、そうして全精神を打ち込んで、全責任を持って仕事に当った。従って、一従業員といえども、自分はテネシー・バレー開発の戦士であるという自覚と誇りを持ってやりましたので、この画期的なテネシー・バレー開発計画ができたといわれておるのでありまして、東北開発というものも、やはりそういう熱意で東北開発会社人たちにはやってもらわなければならぬ。それには縦横の手腕をふるわせるような制度でなければならないと私は思う。制度もさることながら、実際に監督権があるのですから、こまいことを言われても、ごきげんを損じては大へんなので、一々ごきげん奉伺をしなければならぬ。それで東京から総裁が呼ばれたら、大蔵省なり企画庁の役人からベルを押されて飛んでいくように、飛行機で飛んでいかなければごきげんが悪い。そこで高いけれども、飛行機で行かなくちゃならない。そういうことになるのじゃないかと私は思うのです。それでは、官庁のごきげん伺いで大部分の時間を費して、東北開発仕事ができないということになることをわれわれはおそれる。一体どうですか。総裁はそういう点に不満をお持ちでないかどうか。私は別に会社の人から聞いたのではない。しかし仙台辺の風評はもっぱらそう言っている。これが事実であっては大へんなのです。これについて一つ経済企画庁並びに大蔵省——これは二つの重要な監督者であり、ことに資金計画を持つところの大蔵省は、いろいろこまい問題も尋ねてみたいのが人情だと思う。しかし実業家出身のスタッフを整えて、そしてその人を信任して任命した以上は、まかせてやるべきものなのだ。こまいことは職員でもちょっと呼んで聞けばいい。この点ことに大蔵省は一つ注意してもらいたい。大蔵省は金を扱っているのだから、数字に詳しくて、数字のことはちょっとでも気になって一々聞かなければ気が済まないのではあろうけれども、しかし専門の長い間実業界にあった総裁以下の人々がいるのであるから、全権をゆだねなければならぬと私は思う。大体そういう意味合いで、この府令なんぞももっと簡単に改正してもらいたい。その府令の中にはよけいなおせっかいをするなと書いてもらいたい。そういうことをして役人を規制してもらいたい。そうでないと、大臣がそういう考えでありましても、部下がいろいろと権限を振り回して、いばり散らしてしょうがない。きのう、あの戦争のときにビルマあたりへ行った人が尋ねてきて、シナリオを書いたという。ビルマにおける日本の軍部がくだらない占領政策をやったために、いかに東南アジアの人人々の反感を買ったかということを題目にしたシナリオを言いたのを見てくれといって、私のところに持ってきた。それを見ると、下級の将校までいばり散らして、そうして日本式に、形式も実質も何もかも自分の思う通りにさせないと承知できぬ。それに対してイギリスの植民地政策というものは、形はどうでもいい。何もかもまかせておるように見せる。しかし大事なところはちゃんと握って、うまいこと植民地政策をやっておったのと対照して書いてあった。なかなか私はおもしろいと思った。その昔の日本の軍隊と同じように、日本の役人もまたそういうことをやりたがってしょうがない。それを規制することが、今後このような国策会社を作って、これを運営していく上において一番大事なことだと思う。  そこで渡辺さんに一番先に伺いたい。そういうことで非常に不便を感じておられないかどうか。私は当委員会において、全権をゆだねて、会社幹部にやらせるようにということを言った。それに対して鹿野政務次官は、御趣旨の通り、私は実業家出身だ、竹谷委員と同窓であるから、ぜひそのようにさせるということを確約した。ところが、その後における実績は、先ほど来申し上げるような状況らしいのです。どうも政務次官は公約を破っておる。その責任をお感じになっておるか、政務次官に一つお尋ねをしたい。それから大蔵省の方からは、どんな方針で、どんなふうに一体監督をしておるか。また今後私が言うような趣旨で監督をされるか、それとも従来のように、こまい、ようじでほじくるような仕事を今後やっていくかどうか。そうして東北開発会社仕事ができないようにすることが、東北開発ためになると考えておるのかどうか。それでも、今までのやり方は全部改めて、十分に会社当局をして縦横の手腕をふるわしめ得るような、そういう方針で指導していくような考えかどうか、この点を大蔵省の方から承わりたい。なお渡辺さんは、これに対して、私の言うことが間違っておるか、正しいか、竹谷、全部それはでたらめだ、そこらの風評にすぎないというのかどうか、そういうところがやはりあるのかどうか。三人に明快なる、おのおの偽わりのない御答弁を願いたい。これは何も人を非難するのではなくて、東北開発ために、われわれは真に実効あらしめる東北開発会社仕事運営を希望する熱意から出ておる。会社の本社のある仙台の地元では、そういううわさがもっぱらである。それで東北開発会社というものは、かつての東北興業株式会社と同じように、東北民の怨嗟の的になってはならない。そういうことを憂えるがゆえに、今の率直な質問をするのであって、真意のあるところを明確にこの三人の方々から御答弁をお願いしたいのであります。
  33. 渡辺政人

    渡辺参考人 ただいまの竹谷委員の御質問に対してお答えいたします。私は長く民間の仕事ばかりやっておりましたてので、こういうふうな国策会社仕事は初めてであります。しかも、この資金等は国家資金を使用してやっておりますので、どうも政府当局としても、やっぱりそういう御責任から、詳細にわたっていろいろな御注文があるのは、もうやむを得ないことかなと私は考えております。それから、ただいまの府令にありますようなものも、もし簡略に願えますならば、これにこしたことはない。しかし、その内容につきましては、私どもも内輪でよく検討いたしまして、こういう点はどうであろうか、こういう点はどうであろうかということを詳細に研究いたしました上で、お願いするものはしたい、かように考えております。  それからなお、今の飛行機の件でありますが、何しろ昨年八月この会社ができまして、九月に勢ぞろいしましてから、すでに三十二年度は半分以上経過しております。そういう関係で、三十二年度の事業計画もし、これを政府に了解を得るなり、あるいは事業ごとの資金関係の点なり、さらにそれが済みますと、三十三年度の新しい事業計画、予算の問題等がありまして、仙台におりましても、東京と折衝する機会がどうしても非常に多うございます。それで、私どもこれをでき得るだけ経済的に使いたいと考えまして、飛行機を利用するのでありますが、飛行機がぜいたくだということは非常に当らないと考えております。この点は、仙台と東京の間は、乗車券、急行券、四千四十円、ところが飛行機は回数券を買っておりますと三千五百十円、五百三十円汽車賃が高いのであります。さようなわけでありまして、飛行機の方がむしろ経済的と私どもは考えております。
  34. 鹿野彦吉

    ○鹿野政府委員 竹谷委員の先ほどからの御意見に対して私は全く賛成です。また前にあなたの御質問に対して、私がそうした方針をとりたいということをお答えいたしたことも事実でございます。また、そういう考え方で今日まで企画庁としまして、会社側に対して指導をやってきたつもりでございます。ただ問題としましては、この点は竹谷委員にわかっていただきたいと思いますが、昨年の八月ころから出発いたしまして非常に短期間にいろいろな問題を片づけなくちゃならないということに際会いたしたわけでございますし、ちょうど三十二年度の仕事の準備、また三十三年度の新規事業計画、こういうようなもので、実はあれだけのいろいろな仕事を現在の東北開発のスタッフで全部やることは少し重荷になる模様でございましょう。しかしながらこれは、それだからといって、一挙に人間をふやしたところで、そうした状態がずっと続くわけではありませんので、準備期間が完了して軌道に乗ってくれば、それほど人間も要らなくなる、その準備期間だけ特に忙しい思いをするというような状態で、その間やはり政府当局といろいろな折衝面も生まれて参るでございましょうし、そういうような実情は一つ十分御推察下さいまして、もう少しの間の準備期間というものをながめていただいて、それからほんとうの御批判をいただくことが私は適正であるまいか、こういうふうにお願いいたすわけでございます。しかしながら、なお一そうそうした方針に沿いますように、私は注意をしていきたいと考えております。  なお、そのほかに府令の問題につきましては、これは従来あったものですが、従来から見るとよほどできる限りの緩和——緩和というか、そうしたいろいろな干渉がましいことを避けるために、ずいぶんそうしたものを簡素化したつもりでございますので、以前のものと比べて一つ見ていただければわかるのでございまして、その点もあわせて御了承願いたいと思うし、またこの運営については、そのような方針でできるだけ注意をいたしたい、こう考えております。
  35. 鈴木秀雄

    ○鈴木説明員 大蔵省の理財局の資金課長でございます。ただいま御質疑の、大蔵省がやかましいことを言うというお話でございますが、これは一応所管大臣は経済企画庁となっておりまして、私の方は努めて経済企画庁からいろいろなお話を聞くことにいたしております。もちろん会社御自身といたしましても、企画庁というような間接のお話ではわかりにくいということで、直接お見えになることもございますが、私どもも、しいてえらい方を呼び出すというようなことは特にいたしておりません。今後もそういった方針でやりたい、こういうふうに考えております。
  36. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今、鹿野政務次官から府令は非常に簡素化したんだという御答弁でございましたが、しかし総裁意見でも、やっぱり府令は相当簡略にしていただきたいというような熱望を持っておるらしい。これはもっと十分検討していただきたい。そして役人はよけいことを言うなということを書いてもらいたいんだが、そこまではいかなくても、そういう精神で十分の御検討をお願いしたいと思います。  それから渡辺さんにもう一度伺いたのでありますが、飛行機と汽車賃とどっちが安いかという点も、いろいろ意見があるのでありますけれども、飛行機に無理をしても乗っていかなければ、どうも役人のごきげんが悪い、こういうところがあるのじゃないか、それを私は心配する。この点いかがでございますか。
  37. 渡辺政人

    渡辺参考人 過去において急に会合などがきまりまして、そういうことは一、二度ございましたけれども、大ていは私どもの仕事の上からで、朝汽車に乗りますと一日かかりますが、朝飛行機に乗りますと、その日一日仕事ができるのでございまして、自分たちの仕事の都合上飛行機を利用することが多いのであります。
  38. 竹谷源太郎

    竹谷委員 それから東北開発会社がいろいろ新しい仕事を積極的に、精力的にやらなければならぬということで、人も増さなければならぬことは当然であり、事務職員を見ましても、今年の二月には東北興業会社時代よりも非常にふえておるようであります。必要な人材はとるのが大切でありますけれども、この人をとるに当っては、ほうとうに適材適所にりっぱな人を集めなければ、人間ばかりごたごたしていても、どうにもならない。その人の採用に当って、政府なりあるいは政治家なりから情実で人を押しつけられるというようなことがないかどうか、もしそういうことがありとすれば、この開発を使命とする会社運営が、昔の東北興業株式会社みたいになってしまうことを私はおそれる。人事が一番大事である。あなたが全権を政府からゆだねられ、また事実上も真に適材であり、また有能な人物であるという判断のもとに人物採用をやっておいでになるかどうか、その確信のほどを私は承わりたい。巷間では、与党のある人が、おれがみな推薦してやってとるんだ、というようなことを宣伝しておる向きがある。そういうことは宣伝利用にすぎない、そういうことに会社当局は左右されてはいないと私は信じたいのでありますが、この点なお明確にして、人事運営をりっぱにやっていただきたい。先ほどテネシー渓谷開発局の話をしましたが、ことにリリエンタールは絶対に政府や政治家の干渉を受けないで、人間の採用については何よりも公正で、そうして会社の幹部が確信を持って責任ある人事採用をしたということが、あの事業成功の第一の前提であった、こういわれておる。これは非常に大切なことでございまして、金もうけや何かでやる仕事ではなくて、ほんとうに打ち込んで東北開発をやるという、天職と信じて、誇りと名誉と責任を持ってやらなければならぬ仕事であります関係から、人事の問題は重要でありまして、総裁のこれに関する従来の実情と、今後の人事管理、運営、採用の上における決意のほどを承わっておきたいと思います。
  39. 渡辺政人

    渡辺参考人 会社ができまして以来、人の採用につきましては、各方面からの御紹介がございます。私どもはそれに対して、会社仕事内容と規模とによりまして、その人々のうちから必要な人を、会社でいろいろと選考をいたしまして、そうしてやっております。なお竹谷委員の御意見通りに、今後も私ども十分そういう気持を体して、今後の人事の扱いをいたしたいと思っております。
  40. 亘四郎

    亘委員長 渡邊委員
  41. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 実は、石井長官の出席を求めたいのですが、石井さんは予算委員会にただいま出ておられますので、この際政務次官にお尋ねいたします。それは、去る十九日にこの委員会で私が質問をいたしまして、石井長官がこの委員会で、五国会継続の法案であります北海道開発庁設置法案を撤回することを言明されたわけであります。速記録にも明確に載っております。「この法案は撤回するようにいたしたい、こういうふうに思っております。そういう手続をとりたいと思います。」と明確に言っておられるわけであります。そこで同日の議院運営委員会におきましては、この問題について直ちに官房長官を呼んで、ただいま石井長官が撤回を言明いたしたが、どうかという質疑がなされたわけでありますが、官房長官の方はそういう連絡がないので、閣議にはそういう問題が出ておらない、私は知らない、こういう答弁をされたわけであります。このことは時間的な間がないので、この委員会でそういう質疑がされたことが議運にわからなかったので、質疑に対しまして、愛知さんが明確に答えられなかったことは、私どもも了承するわけです。しかし、その後社会党といたしましては、議運で手続の踏まれておった内政省設置法については同様の趣旨のものが撤回の決定がされたので、直ちに翌日、今まで運営委員会でストップしておった内政省設置法は直ちに賛意を表して、撤回の手続に同意をいたしたわけです。自来今日まで一週間、この北海道開発庁設置法は撤回を言明されたまま放置されておるわけです。すでにこのことは政治問題化しておりますので、その所要の手続を踏まれないと、少くとも私ども野党の委員は、この委員会において主管大臣が言明されたことが実施されないという以上は、まことに遺憾でありますけれども、今後この委員会においてわれわれは法案の審議に応ずることができないことになります。この点は一つあらかじめ申し上げておきます。われわれといたしましても、国会対策に報告し、特にそれと関連して、議運の委員を通しまして、内政省法案の撤回に同意をせしめた経緯もありますので、この責任はすでにこの一委員会から離れた問題でありますから、さよう御了承を願いたいと思います。もしこの法案の処置を明らかにされなければ、きょう午後の予算委員会等で質疑をして、その席で石井さんの責任を一つ明確にしてもらう処置をとるかもしれません。また同時に、その結果としまして、議運に石井副総理以下の諸君に出てもらいまして、ここで言明をされた問題の措置をどうなさるのか、責任の所在を明らかにしてもらうという手続を踏まざるを得ないことになるわけです。しかし問題は、古い法案のことでありますし、この委員会で取り上げた問題なので、私も発言の責任者として、そう問題を大きくして、ことにわが敬愛する石井さんを、政治的に窮地に追い込むようなことを意図的にしたいとは、みじんも思っておらないわけです。しかし公的なこの会議の席上言明されたことでありますので、そういう事態が発生しない以前に、この問題の適正な措置をすみやかにとられることが、政府としても賢明な措置であり、公明な措置であると考えますので、直らに政所次官から連絡されまして、その所要の手続をとられることが、一番いい。私はむしろ質問でなくて、そういう好意的な勧告を——問題の紛争を処理するために、すみやかなる措置をしていただきたい。従って、またこの委員会の審議も軌道に乗っていきますように、一つ政務次官持ち前の政治力を発揮して調整をなさることを勧告するわけです。
  42. 福井順一

    ○福井(順)政府委員 これは撤回したいと思いまして、ただいま準備中でございまして、できるだけすみやかに撤回する手続をとりたい、こう考えておりますから、どうぞよろしく御了承願います。
  43. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 問題は、大臣も言明され、政務次官も言明されたので、もちろん信用いたしますが、すでにこの問題が出ましてから一週間を経過いたしておりますので、議運の者たちにいたしましても、その他みなどうなっておるのか、逆に毎朝の国会対策で質問されて、もう一ぺんここで確かめろ、ここで明らかにしなければ議運に持ち出す、こういう話になってきております。そうしますと、発言の責任者として、私は非常に立場を明確にしなければならないので、こういう発言をすることになったわけです。そこで、すみやかにという内容が明らかになりませんと、一週間経過しているので、政治的答弁では困る。外に出ている問題ですから、もう一段上に上っている問題ですから、すみやかにということは明朝までを意味するのか、本日中にその手続をすることを意味するのか、あるいはそのすみやかにの内容をお聞きするために、午後の予算委員会で、私がここで発言したのに対して、さらにそれを確める発言などあそこであまりせぬ方がいいと思いますが、同僚がそういう質疑をすると言っておりますので、それを押えるためにも、すみやかなるという内容を、一つあなたが責任を持ってここで言明された方がいいのではないか、こう思うわけですが、いかがなものですか。
  44. 福井順一

    ○福井(順)政府委員 先般の委員会における渡邊委員の御質問のときにも長官が答弁いたしましたように、これは撤回の手続をとりたいということを答弁いたしましたが、その通りのことでございまして、ただ、今も渡邊委員が仰せのごとく、大へん古い法案でもありますし、いろいろまた政府部内におきましても連絡の筋がございますので、先般は確かにここで長官が答弁をいたしまして、官房長官にもまだ連絡不十分な点などもあったので、そういうこともございましたが、その直後すぐ官房長官にも連絡をいたしまして、協議をして、大体撤回するということで政府部内をまとめておるのでございまして、きょうすぐ手続をするとか、明日するというわけにはちょっと時間的に参らないかと思いますけれども、とにかくできる限りすみやかに、仰せのように撤回したい、この手続をとりたいということでやっておるわけでございまして、私、先ほど長官とも相談をいたしてこの答弁に伺ったようなわけでございますから、もうしばらく時日をおかし願いたい。一つなるべくすみやかな機会に撤回するようにいたしたい、こう考えておりますから、御了承願います。
  45. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 苦衷のほどは十分わかるのです。ただ問題は、普通の国会ですと、こういうことは私はもちろん言わないつもりだったのですが、解散国会ですから、きれいにすることがいいと思って提案をしたのです。一つ同僚議員の勧告もありますので、今週中に撤回の手続をとって処理するということで、責任を負えないですか。今週中にこのことを処理するということであれば、同僚議員もあっせんしておりますので、政府の方でも話し合いがありましょうから、それだけの余裕は、ここで言明されれば、よろしいと思います。
  46. 福井順一

    ○福井(順)政府委員 お説の通りに最大限度の努力をいたして、できる限り御希望に沿うようにいたしたい、こう考えておりますが、ここで私が今すぐ今週中ということを即答できかねますので、後刻でもまたに一つ大臣と相談の上、渡邊委員のところに御回答申し上げたい、こう思っております。どうぞ一つ御了承を願います。
  47. 亘四郎

    亘委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕