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竹谷委員 東北開発会社は、工業のみならず、農林水産業という方面にも
開発上大いに
努力するという、そういう政務次官、
総裁のお
考え、非常に私も賛成であります。なおまた新年度の
計画に、栽培林業ですか、植林のことだと思うのですけれども、一方においてハード・ボード工業や、あるいはパーティクル・ボード工業というような、木材
利用の工業を推し進めるのでありますが、その原料供給の山林をも育てていくという
考え方、これもいいと思います。大いに
一つ勉強して、こういう農林水産方面にも力を入れて、研究と実行を要望いたす次第でございます。
さて
東北開発会社は、昨年の八月発足を、しまして、だいぶ人もふえて、また仙台にある本店を主として、東京の事務所の方は名実ともに支店であるようにしたようであります。
昭和三十二年の七月、すなわち
東北興業株式会社の
時代には、職員は、東京の事務所が、支店でありながら四十七名の人がおった。本店方にはただの四人しかいなかった。これは本末転倒で、支店には四十七名、本店にはただの四名、こういうことであったのをひっくり返して、今年の二月におきましては、仙台の本店の方には百二名、東京事務所には十九名ということで、本来の姿に返ったことは、これは正しいやり方だと思います。そうして
総裁以下幹部も仙台に住居かまえて、現地にあって専心
東北開発の
ためにぶち込む、こういう
態勢を示しているようであるが、さてしからば、ほんとうに幹部が地元におって現実に
仕事をやっているかというと、私はあまり行っても見ないのだが、世間のうわさでも、また私が行ったときでも、ほとんど幹部は本店の仙台の会長にはいない、半分以上東京に来ている、こういう現状のようでございまして、形だけ本旨に沿うようにしたが、実質はやはり
東北興業
会社時代と同じように本末転倒で、幹部は東京にばかりいる。これではどうも
会社の本来の極旨に沿うものでない。なぜこんなことになっているのであろうか、こういうことでございますが、その原因をお尋ねしたい。世間では、悪口を言って、仙台の飛行場
——といいましても、仙台市外の玉浦というところに飛行場があるのでありますが、そこと東京の間を
日本ヘリコプターが一日、二往復やっている。その乗客の中で一番のお得意が
東北開発会社の幹部である、ほかの客はあまりないとかいうのでありますが、まるで専用飛行機を一日に二往復させている、これで行ったり来たりやっている。それほど
東北開発会社が忙しいのか。あるいはそういうふうに金を使って、飛行機代を何百万円も使うことになるだろうと思う。
日本ヘリコプター
会社を生かしておく
ために、
東北開発会社があるのであるかどうか、こんなことを世間ではうわさしている。それでは、どうもわれわれ
東北開発会社の法案を審議し、せっかく
東北開発の
ために
東北民の要望にこたえるという態度をとっているのであるが、まずわれわれが非難を受けなければならぬ。こういうのは一体どういうところからくるのであるか。
仕事は
東北でやっているのに、実際は東京ばかりということは、あるいは経済
企画庁が、あるいは大蔵省が、しょっちゅう
総裁や副
総裁や
理事を呼びつけて、つまらないことにまで干渉するのじゃないかということを
心配するのです。
ここに、われわれは知らなかったのだが、法律の施行細則として、
東北開発株式会社法に基く総理府令というものが昨年の十二月に発布されておる。この中には、
国策会社であり、国の
出資の
東北開発会社の業務を監督する上において必要な書類あるいは必要な監督、これは当然な規定でありますが、しかし実際総理府令はそれといたしまして、これだけではなくて、非常にこまいことに一々関与するのじゃないかということをおそれる。この総理府令の第五条に、重要な財産についていろいろ買ったり、売ったりするのに、一々
認可を受けなければならぬということがある。その中に、値段が一千万円以上のものを売り買いする場合には全部
認可を受けなければならぬ。あるいは一株の株式を買っても、それを一々
認可を受けなければならぬ。なお
工場財団、鉱業財団、鉱業権、これらも同様であります。この中には、ずいぶんつままらぬものが多いと思う。こんなものを一々監督しなければ、
渡辺総裁はごまかすかもしれない、要らないものを買ったり、高いものを安く売り払ったりするという疑いを持っているように見える。こんなことでは、とうていりっぱな
総裁を選んだ意味がない。事務渋滞
——それも係の職員を呼んで、ちょっと聞くようなことに、
理事や
総裁が呼ばれる。こんなことをしておったのでは、大事な
仕事がおろそかになって、むだ金ばかり使うことになろうと思う。その他十四条には
事業月報というのがあって、月々こまい
事業をみな報告しなければならぬことになっている。しかし、これは事務的なもので必要であるとしても、実際は
運営でありまして、一々くだらないことまで干渉するならば、
総裁なんというものを置く必要はない。国家が
直営でやればいいのであって、別に麗々しく法律などを作って、
国策会社をこしらえる必要もないことになる。アメリカでルーズヴェルトがやったテネシー・バレー・オーソリティー
——開発公社を作って、それにリリエンタール外二人の
理事を選び、あらゆる全権を
——土地収用法のようなものまでも権限を与えて、そうして全精神を打ち込んで、全責任を持って
仕事に当った。従って、一
従業員といえども、自分はテネシー・バレー
開発の戦士であるという自覚と誇りを持ってやりましたので、この画期的なテネシー・バレー
開発計画ができたといわれておるのでありまして、
東北開発というものも、やはりそういう熱意で
東北開発会社の
人たちにはやってもらわなければならぬ。それには縦横の手腕をふるわせるような制度でなければならないと私は思う。制度もさることながら、実際に監督権があるのですから、こまいことを言われても、ごきげんを損じては大へんなので、一々ごきげん奉伺をしなければならぬ。それで東京から
総裁が呼ばれたら、大蔵省なり
企画庁の役人からベルを押されて飛んでいくように、飛行機で飛んでいかなければごきげんが悪い。そこで高いけれども、飛行機で行かなくちゃならない。そういうことになるのじゃないかと私は思うのです。それでは、官庁のごきげん伺いで大部分の時間を費して、
東北開発の
仕事ができないということになることをわれわれはおそれる。一体どうですか。
総裁はそういう点に不満をお持ちでないかどうか。私は別に
会社の人から聞いたのではない。しかし仙台辺の風評はもっぱらそう言っている。これが事実であっては大へんなのです。これについて
一つ経済
企画庁並びに大蔵省
——これは二つの重要な監督者であり、ことに
資金計画を持つところの大蔵省は、いろいろこまい問題も尋ねてみたいのが人情だと思う。しかし実業家出身のスタッフを整えて、そしてその人を信任して任命した以上は、まかせてやるべきものなのだ。こまいことは職員でもちょっと呼んで聞けばいい。この点ことに大蔵省は
一つ注意してもらいたい。大蔵省は金を扱っているのだから、数字に詳しくて、数字のことはちょっとでも気になって一々聞かなければ気が済まないのではあろうけれども、しかし専門の長い間実業界にあった
総裁以下の人々がいるのであるから、全権をゆだねなければならぬと私は思う。大体そういう意味合いで、この府令なんぞももっと簡単に改正してもらいたい。その府令の中にはよけいなおせっかいをするなと書いてもらいたい。そういうことをして役人を規制してもらいたい。そうでないと、大臣がそういう
考えでありましても、部下がいろいろと権限を振り回して、いばり散らしてしょうがない。きのう、あの戦争のときにビルマあたりへ行った人が尋ねてきて、シナリオを書いたという。ビルマにおける
日本の軍部がくだらない占領政策をやった
ために、いかに東南アジアの人人々の反感を買ったかということを題目にしたシナリオを言いたのを見てくれといって、私のところに持ってきた。それを見ると、下級の将校までいばり散らして、そうして
日本式に、形式も実質も何もかも自分の思う
通りにさせないと承知できぬ。それに対してイギリスの植民地政策というものは、形はどうでもいい。何もかもまかせておるように見せる。しかし大事なところはちゃんと握って、うまいこと植民地政策をやっておったのと対照して書いてあった。なかなか私はおもしろいと思った。その昔の
日本の軍隊と同じように、
日本の役人もまたそういうことをやりたがってしょうがない。それを規制することが、今後このような
国策会社を作って、これを
運営していく上において一番大事なことだと思う。
そこで
渡辺さんに一番先に伺いたい。そういうことで非常に不便を感じておられないかどうか。私は当委員会において、全権をゆだねて、
会社幹部にやらせるようにということを言った。それに対して鹿野政務次官は、御趣旨の
通り、私は実業家出身だ、
竹谷委員と同窓であるから、ぜひそのようにさせるということを確約した。ところが、その後における実績は、先ほど来申し上げるような
状況らしいのです。どうも政務次官は公約を破っておる。その責任をお感じになっておるか、政務次官に
一つお尋ねをしたい。それから大蔵省の方からは、どんな方針で、どんなふうに一体監督をしておるか。また今後私が言うような趣旨で監督をされるか、それとも従来のように、こまい、ようじでほじくるような
仕事を今後やっていくかどうか。そうして
東北開発会社が
仕事ができないようにすることが、
東北開発の
ためになると
考えておるのかどうか。それでも、今までのやり方は全部改めて、十分に
会社当局をして縦横の手腕をふるわしめ得るような、そういう方針で指導していくような
考えかどうか、この点を大蔵省の方から承わりたい。なお
渡辺さんは、これに対して、私の言うことが間違っておるか、正しいか、竹谷、全部それはでたらめだ、そこらの風評にすぎないというのかどうか、そういうところがやはりあるのかどうか。三人に明快なる、おのおの偽わりのない御答弁を願いたい。これは何も人を非難するのではなくて、
東北開発の
ために、われわれは真に実効あらしめる
東北開発会社の
仕事の
運営を希望する熱意から出ておる。
会社の本社のある仙台の地元では、そういううわさがもっぱらである。それで
東北開発会社というものは、かつての
東北興業株式会社と同じように、
東北民の怨嗟の的になってはならない。そういうことを憂えるがゆえに、今の率直な質問をするのであって、真意のあるところを明確にこの三人の方々から御答弁をお願いしたいのであります。