○井堀
委員 明確になりまして、まことに、私
どもといたしましても、これからの
法案審議の上に、
一つの足場を明確にしたものであると思います。しかし、あなたの率いられる
自民党の
選挙法に対する態度は、今後の問題に属するのでありますけれ
ども、すでにこの
委員会で
審議を幾回か続けてきておりますが、どうも、私
どもは、今のあなたの御
答弁と
自民党の態度とは相反するかに感ずるのであります。たとえば、この
選挙法の
審議の
期間を、いかにも頭から日にちできめてしまおうとするような行き方は、十分
審議を尽しながら、あるいは簡単にその結論を得ることができるかもしれない。あるいは思わざる重大な問題に当面するかも、これは
審議をしてみなければわからない。私
どもはむしろ重大な問題がこの中に伏在しておると信ずるのであります。それを、
審議もしない前から、もう何日にはこの
法案を上げようではないかといったような態度は、今のあなたの
答弁とは全く相反する態度だと思うのであります。これは、
政府として一日も早く
法案を通したいという御
趣旨はわかる。しかし、あなたの所属する
政党としては、すなわち
総裁の立場としては、やはり、
選挙法のごときは、
民主政治の基盤を確立していくためによほど慎重にかまえなければならぬ問題であることにつきましては、もう
意見が一致しておりまするから、多く述べる必要はないと思います。こういう点について非常な遺憾の点がありまするので、十分
総裁としての御注意を私は喚起いたしたいと思うのであります。
そこで、二、三重要な点を指摘いたしまして、あとは担当の国務大臣から順次明らかにしてもらう用意がございますが、三点ばかり
一つ重要だと思われる点を伺っておきたいと思います。
その
一つは、なるほど、条文の中では、ごく簡単な文字の入れかえによって修正がなされておるのであります。しかし、その持つ意義はきわめて重大だと思われる点があるので、この
改正の要綱は、大体、説明にもありますように、要約して三点に分けることができる。
一つは、地方の府県
会議員の
選挙区というものが、
町村合併その他の
事情に基いて、必然的に改められなければならぬ。事態を変えようというのであるから、その必要性についてはよくわかる。第二の問題は、衆議院の
選挙の期日を二十五日から二十日間に短縮しようとする、さらに印刷物を何がしかふやそうというお
考えである。第三点は、
選挙管理委員会に関する
管理運営に関する問題に言及する。この三点でありますが、第一の地方議員の
選挙区の問題につきましては、非常に重大な問題が起ってくると思われるのであります。その第一は、この従来の
公職選挙法によりますと、郡市の単位が
選挙区の基準単位となってきておることは明瞭であります。そのうちの郡の単位を——文書の中では郡市の単位を、原則という点は貫いておりますけれ
ども、事実は郡の単位は私はこれによってめちゃめちゃにこわされてくる第一歩がここに開けたと思う。このことは、ひとり
選挙法に
関係するものではなくて、
日本の
民主政治の基盤を作るに最も重要な地方自治体の将来に関する私は大きな影響があるものと思うのであります。また、あなたの持論でありまする小
選挙区法を施行する場合には、衆議院の
選挙区の単位というものを一体行政区のどれに求めるかということを
考えますと、郡というものにたよらないでいいという見通しが立ってこなければならぬ事柄だと思うのであります。このように、この
改正案は、事務当局としては、まことに器用な結論で、見上げたものだと、その点では大いに敬意を表しておるのでありますけれ
ども、残念なことには、こういう基本的なものについては配慮が加えられていない。もちろん、自治法の第七条に県及び市の境界についての
総理大臣の権限が重く規定されております。あなたの権限によらなければ区域を変更、廃合できないことになっておるのでありますから、この点は、非常に、自治の区域というものを変更するということがいかに重大であるかを、
法律も重く見ておるのであります。一方には、町村の
合併やあるいは行政区域の変革、変更をしなければならぬ必然的な
事情が起ってきておることは、私も切実に認めておる。そういう問題とこれとを、同じ自治庁の所管でお作りになった原案であろうと思いますけれ
ども、要するに、そういう事務的なものからのみものを判断して、基本的なものに十分な検討を加えられていないと私は思います。
総理大臣はそういう点に対してお気づきでございましょうか。またそういうものについては当事者の提案したものをうのみになされるお
考えでありましょうか。また、重大であると
考えるならばどうすべきであるかについて、この際あなたの御態度を明確にしておいていただきたいと思います。