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1958-04-11 第28回国会 衆議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十一日(金曜日)     午後二時四十六分開議  出席委員    委員長 西村 直己君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 大高  康君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    井原 岸高君       久野 忠治君    薩摩 雄次君       志賀健次郎君    徳安 實藏君       堀川 恭平君    松澤 雄藏君       井谷 正吉君    中島  巖君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         建設政務次官  堀内 一雄君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         議     員 楯 兼次郎君         建設事務官         (道路局路政課         長)      三橋 信一君         建 設 技 官         (道路局道路企         画課長)    高野  務君         建設事務官         (道路局高速道         路課長)    鶴海良一郎君         参  考  人         (産業計画会議         道路技術委員会         委員)     近藤謙三郎君         参  考  人         (産業計画会議         道路技術委員会         委員理学博士) 菅谷 重二君         参  考  人         (産業計画会議         事務局長)   前田  清君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 四月十日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として古  島義英君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員木崎茂男君、古島義英君及び松澤雄藏君辞  任につき、その補欠として堀川恭平君、久野忠  治君及び小西寅松君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員堀川恭平君及び小西寅松辞任につき、そ  の補欠として足立篤郎君及び松澤雄藏君が議長  の指名委員に選任された 同日  委員足立篤郎辞任につき、その補欠として堀  川恭平君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  東京名古屋間高速自動車国道建設計画の問題  に関する件      ————◇—————
  2. 西村直己

    西村委員長 これより会議を開きます。  東京—名古屋間高速自動車国道建設計画につきまして調査を進めます。  本日は、お手元に配付してあります通り、四名の参考人並びに政府委員の御出席を願っております。本日はさきに松永安左衛門君を委員長とする産業計画会議の第三次レコメンデーションとして関係各方面に勧告が行われました「東京神戸間高速自動車道路についての勧告」につきまして御説明を願いたく、各参考人に御出席をいただいた次第であります。  この際委員長から一言お断わりいたしますのは、参考人のうちの松永安左衛門君は、本日この席に午前中待機をしておりましたが、時間の都合上帰られましたので、その点を御了承を願います。  なお御意見を承わります前に、一言参考人方々にごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ、長時間お待ちをいただき、なお午後に至り御出席をいただきました点、ありがとうございます。委員一同にわかりまして厚くお礼を申し上げます。  なお念のため申し上げておきますが、衆議院規則の定めるところによりまして、参考人が発言をなさろうとするときは、必ず委員長の許可を得ることになっており、委員参考人に質疑することはできますが、参考人委員に対して質疑することはできないことになっておりますから、あらかじめ御了承をお願いしておきます。  それでは東京—名古屋間高速自動東国道建設計画につきまして順次御説明をお願いいたします。なお時間の関係上、お一人十分程度を目安にお願いいたしたいと思います。  それでは産業計画会議事務局長前田清君にお願いいたします。
  3. 前田清

    前田参考人 私、産業計画会議事務局長前田でございます。  私の意見を申し上げます前に、先ほど委員長からもお話のございましたように、私ども産業計画会議委員長でございます松永安左衛門が参りまして御説明を申し上げるはずで、午前中待機しておりましたのでございますが、やむを得ない用がございまして、午後帰らしていただきましたので、私からかわってこういうことを朗読してくれというて依頼を受けておりますので、松永安左衛門がここで御説明を申し上げるはずでございました趣旨を朗読させていただきます。  私の考えをしぼって申し上げますと、第一に何は取り置いても神戸—名古屋間は着工することになった今日、神戸—名古屋間がかりに三年半かかって昭和三十七年末にでき上るものと仮定すれば、名古屋—東京間も同年同日には必ず竣工せしむることにする。  第二は技術の問題であります。名古屋—東京間はテクニックとして架橋式、将来二層、三層式とする。中央に仕切りを設け、片道三車線すなわち往復六車線として時速百五十キロ、重量五十トンを目標とする。  第三は路線の問題であります。路線は五反田の西方一キロ以内の第二京浜国道より乗り入れが始まり、藤沢海岸に至る間幾らかの切り取りはあるが、大部分高架により、藤沢からはおもに海岸の砂浜に沿うて小田原よりおもにトンネルにより箱根山を越え、降雪及びがけくずれの害を防ぐ。三島—沼津—焼津に至る間も、この海岸線の利用を極度に適用する。焼津より遠州灘海岸ルート並びに浜名湖もこの架橋式が合理的であるばかりでなく、浜松—名古屋間もこの架橋式であり、これに適するルート選定する。  第四は産業開発の問題であります。中央道路開発のためというが、開発というのは日本幹線、ことに大阪名古屋東京中心都市沿道工業地——この地域に日本工業の六、七割が占められております——を十分に結ぶ高速自動車道路があってこそ、産業開発というものであり、中央山岳地帯部分的開発より、より重大であることを考えていただきたい。  日本道路がないと言われますが、これはものの考え方ではかえって僥幸であって、無人の海岸を突っ切って疾走する気持で、政府民間人も心を合せて国民の期待に沿うようにすべきだと考えます。  これが松永安左衛門に依頼されまして、この席上で読み上げてくれと申しつかって参りましたものでございます。  産業計画会議というものにつきましては、御承知の方もあるかと思いますが、あるいは御承知ない方もあると思いますので、簡単にお話しいたします。  産業計画会議は、昭和三十一年の三月十五日、松永安左衛門の主唱によりまして、民間学識経験者を集めまして作りました全くの任意団体てございます。その目的は、わが国産業経済の進歩、拡大をはかるため、エネルギー資源総合的見地より、国民経済全般の理想的な形態を把握し、産業長期見通しを立て、これが理念を確立することを目的とする、こうなっております。そうして会議の性格、組織といたしましては、この目的を達成するために議員会を設け調査研究をなし、これが啓発を行う、この委員会産業計画会議と称し、委員は広く各界の学識経験者より委嘱する、この委員会の会務を総理するため委員長を置く、委員長委員の中より専任委員一名及び常任委員若干名を委嘱することができる、委員長委員会を招集し、必要に応じ小委員会もしくはこれに準ずるものを設けることができる、こうなっております。  こういたしまして、産業計画会議のおもな仕事といたしましては、第一回にエネルギー、税制、道路という三つの問題につきまして勧告書を発表いたしました。     〔委員長退席大島委員長代理着席〕  続いて昨年、北海道の開発はどうあるべきかという問題につきまして第二の勧告書を出させていただきました。そして今回ただいま申し上げましたよう趣旨高速道路技術委員会という小委員会を作りまして、その委員会研究の結果に従いまして、第三次の勧告書といたしまして東京—神戸間高速自動車道路についての勧告というものを、去る三月十九日に発表いたしまして、皆さんのお手元にも差し上げました次第でございます。  その勧告の中にございます趣旨を申し上げますと、第一に東京—名古屋間をすでに本年度から着工している名古屋—神戸間と同時に竣工させること。第二に東京—名古屋間の路線東海道案を採用すること。第三に高速自動車道路には高架工法を採用すること。この高架工法を採用することというのは、高速自動車道路には立体交差出入り制限とが絶対条件でありますから、立体構造が適格でありますが、高架道路盛り土道路の数倍の経費を要するというのが従来の通念でありましたので、その採用が中止されておりました。しかし今回われわれの道路技術委員会研究いたしました結果は、それが大体比較になる程度のものであるということが明らかになりましたので、この工法を採用するべきであるということを勧告した次第でございます。第四に高架工法を採用するということになりましたならば、東海道案は特に海岸路線を選んだ方がいいということを勧告いたしております。海岸路線には多くの長所があるのでございますが、海岸地帯には盛り土式道路建設が困難だということが海岸路線案に対する最大欠点と言われておりました。しかし高架工法が可能となりますならば、海岸路線欠点延長がやや長いということばかりであって、大体海岸路線長所方欠点を補って余りあるということになりますので、海岸路線を採用せよということを勧告した次第でございます。  私といたしましては、大体私の方の勧告趣旨を申し述べまして、その他の点につきましては本日御出席になっております他のお二人から御説明いただくことになると存じます。
  4. 大島秀一

  5. 近藤謙三郎

    近藤参考人 近藤でございます。産業計画会議の下積みの委員会といたしまして技術小委員会というのが持たれたのであります。私はその技術小委員会委員の一人であったということで本日お呼び出し下さったことだと思いますので、技術委員会の立場でも若干申し上げなければならぬかと思いますが、技術委員会からの報告は、産業計画会議レコメンデーション付属書類として多分お手元に御配付になっておると存じます。産業計画会議レコメンデーションそのもの技術小委員会意見書に全面的に合致しているかどうかという点につきましては、必ずしも全面的に合致してはおらない、こう思います。どの点において合致しておるか、どの点において必ずしも合致していないかということは、詳細は一つ文献でごらんを願いたいと思います。ただ神戸—東京間の高速道路路線選定力につきまして、中央山岳道路路線は不適当であって、東海道路線の方が適当であるという点にむきましては、産業計画会議のリコメンデーションも技術小委員会意見書も、完全に同じでございます。この路線選定は非常な問題であると思いまするので、私は主としてこの路線選定の問題について若干の参考意見を申し述べたいと思います。  道路交通のために作るものでありますから、そういう原則からいたしまして、道路投資の効率というものはどうしても交通量の多少によってきまるということは、これは曲げられない事実であろうと思います。かりに私が申し上げました原則が曲げられるとするならば、およそ科学的経済的な道路政策というものは立ちようがないのではないか、こう私は信じます。そういうことからいたしまして、東京—神戸間に多大の投資をいたしまして高速道路建設よう、その路線選定するに当りましては、まず第一義として、いずれの路線を選んだ方が交通量が多いか少いかということの検討は、根本的に必要な要件であろうと思います。さて、かりにこの山岳道路高速道路を作った場合、そうではなしに東海道高速道路を作った場合、どちらが交通量が多いであろうかということはこれはもう常識からいたしまして、東海道の方が交通量が断然多いであろうということにはどなたも異議はなかろう、これは常識であろうと思う。ところがおかしなことがあるのであります。それは建設省道路局におきまして、当初いわゆる東海道弾丸道路計画を立てられました際に、交通量予想をいたしております。どう予想をいたしておるかと申しますると、昭和三十六年度にこの道路が完成したものとして、公開したものとして、戦前平均交通量は、これは多い部分もあります、少い部分もございましょうが、平均いたしましての戦前交通量は、一日に自動車交通が七千四百台であろう、こういう調書ができておる。そうして年々大体五%ずつ交通量は増すであろうという予想が立てられておりまするので、これを比較のために、一つ現在を標準にとりまして昭和四十年を換算をいたしますると、一日八千九百台、こういう数字になるのでございます。ところが縦貫道協会で発表せられておりまする中央山岳道路交通量は、昭和四十年におきまして、大阪—名古屋間で一日一万三千八百台です。名古屋—東京間におきまして一万一千六百六十五台、こういうことに報告せられております。戦前平均距離を乗じて勘案して換算いたしますると、平均一日一万二千六百台の交通があるであろう、こういう報告書になっております。     〔大島委員長代理退席委員長着席〕  私ども常識によりますれば、東海道弾丸道路の方がよほど交通量が多いであろうというのが常識であると思いますのに、二つの報告はまるで逆になっております。建設省の、東海道弾丸道路の八千九百台に対しまして、山岳道路の一万二千六百台、四割以上由の方の路線交通量が多い、こういう報告がなされておるのでございます。これは少くともどっちかがひどく間違っておる、こう判断するよりほかに考えようがないところでございます。私の私見を申しますならば、建設省想定はやや手がたいところであろうかと、こう思われるのでありますが、縦貫道協会想定は、これは多分にでたらめの懸念がありはせぬかと思われます。こういうことでありまして、私どもはこの高速道路路線問題がどう落ちつくかということに多大な興味と関心を持つ国民の一人といたしまして、基本になる交通量想定にかくもはなはだしい食い違いがある、すこぶる迷わざるを得ないのが実情であると思います。どうぞ一つ国会におきましても、これをためにする調査でなしに、厳正公正な調査機関によってこの点を御究明下さることが必要ではないかと思うのでございます。そうすればおのずから妥当適正な予想量というものは立つであろうと思うのでございますが、それではその調査ができ上るまで全然かいもく見当のつかぬものであるかどうかということになると、必ずしも私はそうでないと思います。ここには一つ洞察というものをきかしてもよくはないか。建設委員会皆様にも若干の洞察というものがなければうそじゃないかと、こう思うのでございますが、私の洞察なり皆様の御洞察参考になる一つ実地調査の一例を私は御報告申し上げたいと思います。それは東海道国道の上にあります藤沢市で、一昨年綿密な交通調査をいたしました。藤沢市を通る交通につきまして、その交通がどこを出発点とし、どこを終局の目的地としたかということを明細に調べた調査報告がございます。その調査報告をごく簡単なところへ私が数字を要約いたしまして、次のようなことが申し上げられるのでございます。これは昭和三十一年のある日の日中、九時間の交通調査でございます。まる一日ではございません。二十四時間ではございません。九時間の調査でございます。藤沢市を通りました全交通量が、一日に約六千四百台であります。それでこの交通量を、内容の性質を分析いたしました。そういたしましたところが、神奈川県の外から神奈川県の外へ行った、たとえば東京から名古屋へ行った、あるいは静岡から千葉へ行った、いずれでもよろしゅうございます。その交通量がどのくらいあったかといいますと、これはいわば長距離交通と銘打ってもよろしかろうと思いますが、六百九十五台であります。全交通量のわずかに一・〇八割くらいであります。一割一分に足りません。そういたしまして、今度は神奈川県の外から神奈川県へおさまった交通量、あるいは神奈川県の中に発生して県外へ出た交通量、これがどのくらいあるかというと、一千六百二十四台、全交通量のパーセンテージをとりますと、二五・二%であります。そういたしまして最後に、県内におさまった交通、つまり県外には関係のなかった交通はどのくらいかと申しますと、四千百三十一台、実に六四%、六割四分というものはこういった近距離交通であります。そうして藤沢市の市内だけで発生した、ほかには関係のない交通量を念のために調べますと、四百二十六台、こういうことになっております。従いまして最初に申し上げました、県外から県外にわたる、いわゆる通り抜けの車というもの、長距離交通量というのが六百九十五台、その中には、静岡から東京を通り越して崎玉へ行くというものもあれば、それから神戸から東京を目がけてくるもの、さまざまの交通量がこの中に入っておるわけでありまして、このうち阪神地区ないしは中京地区から素通りして東京目がけてくる車は、さらにこのうちのごく少部分であります。こういうわけでありまして、東京—神戸間の幹線交通と申しまするけれども、その長距離を一気に走るといったような車の分量というものは、わずかに一藤沢市内交通にも足るか足らぬかの程度のものであります。これを要約いたしますると、交通というものは、近距離交通ほど分量が多いものでございます。そうして距離が遠くなればなるほど、その分量は小さくなるものである。これが交通の真のある姿だと思う。特に道路交通のある姿はこれであります。従いまして、東京—神戸間の高速道路と一口に言うと、いかにも二大工業地帯大都市連絡のための道路ような錯覚に陥りやすいと思われまするけれども内容はそういうものでございます。これをかりに、開けました東海道の沿線の諸都市を避けて中央山岳に持っていって路線建設いたしますならば、少くとも半分以上の交通のための便宜というものは犠牲にしてしまって、ごくわずかの交通のために巨額投資をしたという結果になるのは、私は必定であろうと思います。私の洞察から申しますならば、東海道弾丸道路を作った場合と、中央山宿高速道路を作った場合と、その交通量比較いたしますると、おそらく山の方は海岸路線の半分に足りない交通量しかないはずであります。私はそう洞察いたします。両方の路線とも、構造といたしましては、四車線自動車専用道路ということに提案をせられております。四車線自動車専用道路は、一体交通能力はどのくらいあるか、これが大へん大切なことでございます。しかしながら私がながめますところ、皆さんのおおむねの方々が、そのことさえも頭から忘れて議論をなさっておるようなうらみがありはせぬかと思うのでありますが、四車線高速道路の一日の交通量能力というものは、欧米の常識から申しまして、一日四万台ないし五万台の交通量、これが常識であります。そうしてこの高速道路能力というものは、同じ走行車線車線を持っている一般道路—平面道路混合道路一般道路に比べて言うならば、三倍の交通量を少くとも二倍のスピードで走らせることができる、こういうしろものであります。こういうことからいたしまして、日本がこれから大いに高速道路政策を取り入れようということは、きわめてよいことだと私は信じますけれども交通量のそんなに多くないところに巨額投資をされてこういった大きな能力道路を作るということは、きわめてこっけいと申しますか、水力電気の需用のないところに膨大な水力計画を立てるということと同じ弊に陥るのでございます。四車線高速道路能力が四万台ないし五万台、一般の四車線走行一般道路ではその三分の一とおきますと、普通の道路能力も相当あるわけなんでございますが、現に横浜—藤沢間あたりでは、あれがいわば日本のよくできた代表的の完全二車線道路であるということができると思うのでありますが、それがすでに普通の道路でもって一日一万台前後の交通を処理しているのが実情であります。特に江ノ島の海水浴場のシーズンや何かになりますと、おそらく一万五千台あるいは二万台に近い交通を、スピードは低下いたしますけれども、どうにか処理しているはずでございます。こういう点から申しますならば、山地の開発をもし目的とするならば、能力の点から申しまして、一般の二車線道路でたくさんであります。またそれが当りまえであります。事実、世界の道路のニュースに私はよく目を通しているのでございますが、フィリピンではミンダナオ島の開発エジプトエジプトの世界一の開発南米諸国南米諸国で大開発という工合に盛んにやっておりますけれども、これは未開地開発して沃野にしようという計画が多いのであります。それらの中で、未開地開発高速道路建設をあえてしたという例は一つも聞かないのであります。そんなことはないはずであります。逐次開発が進みまして、たとえば東海道線よう工合に、従来の交通量ではしのぎ切れぬ、もう少し交通能率を上げたいのだという必要に迫られて後に初めて高速道路建設ということが問題になるのが、世界的の順序であります。私はそう信じております。この交通量の観点からいたしまして、中央山岳縦貫高速自動車道路でなしに、これはぜひとも東海道路線に乗りかえるということがしごく妥当であり、必要なことであると私は信じます。  なお念のために申し上げますと、すばらしい機能の道路でも、それが幸いにして安く建設できるといったようなコンディションに置かれるならば、これは作った方が、それだけ多々ますます弁ずるのですから、いいのですが、建設費の非常に高くかかりそうだというところは、交通能力をいかに上げたいと申しましてもそうは参らぬ、こういう関連のものだと思います。  さて、中央道路建設、あの山岳道路建設に幾らかかるかという問題でありまするが、縦貫道協議会調書では、比較的安くできるような御報告になっておりますが、私はその構想において提唱せられるごとく、百キロ、百二十キロで走る、東京—神戸間を五時間あるいは六時間で結ぶといったよう高速走行を真にねらうならば、おそらく一キロ十億円以内でできることはあるまいと私は考えます。私がこういう大胆なことを申し上げるには、一つの非常にいい例があります。それは南米の北の方のベネズエラの国でありまするが、首都カラカス、これは熱帯国でありますので、高原の高いところにこしらえております。それから海岸に、ベネズエラ最大貿易港のカラカスという港町がございます。その間にベネズエラ政府は、高速道路建設をいたしました。延長わずかに十七キロ、ここから横浜へ行くより少いくらいであります。言いかえますならば、小田原から箱根の峠を登るくらいの距離であります。そうしてカラカス高原の標高がどのくらいあるかと申しますと八百メートル、ちょうど箱根峠にちょっと毛をはやした程度の高さでありまするから、山岳の層は、私見ませんからよくわかりませんが、大体箱根山程度、こう考えて間違いはなかろうじゃないかと思われるのでございまするが、これにベネズエラ政府は、どうしても首都国随一貿易港との連絡でありまするから、どうしても高速道路をこしらえたいというので断行いたしまして、これが山岳道路として世界的に珍しいほどの一つの例になっております。その建設に何ぼ費用をかけたかというと、一キロ当り十四億八千万円もかけております。それでどれだけりっぱな道路ができたかと申しますると、四車線は四車線でありまするけれども山岳という地形を克服するのに非常に苦しんだ。その結果、百キロのスピードは当然出したかったでございましょうが、そういう大きなカーブはとれなかった。半径で申しまして、高速道路ならあたりまえなら六百メートルくらいの半径が最小限度ほしいところを、やむなく泣き泣き二百八十メートルの半径でがまんした。その結果乗用車で平均時速五十一キロ。乗用車で平均時速五十一キロの高速道路を山に作るために、一キロ十四億八千万円をかけた実例があります。この実例から私はあえて、中央山岳道路に百キロ、百二十キロのスピード道路をほんとうに建設するならば、一キロ十億円以内でおさまることはあるまい、こういうことを申し上げることができるように思うのであります。  なお道路の問題につきましては、用地の問題が一つの大きなファクター、政治問題になりかけているほどのファクターとして取り上げられそうでありますけれども、本来純理から申しますならば、高速自動車専用道路というのは、先ほども申し上げましたように、普通の平面道路の、同じ走行車線を持った道路に比べまして、三倍の交通量を二倍のスピードではかすことができるというしろものでありますから、必要な道路面積を最小限度にする、土地を最小限度でまかなうということが、一番賢明な方法であります。その高速道路の用地の問題に四苦八苦するというのはおかしい。もしほんとうに四苦八苦せられるならば、土地がたっといから高速道路をこしらえるべきか、こしらえるべきでないかという問題でなく、政治の貧困ではないか、私はかように思うのでございます。その根本の原理だけは、私の言うことを一つ御理解を願いたいと存じます。私が特に申し上げたいことは以上の点でございます。
  6. 西村直己

    西村委員長 次いで、産業計画会議道路技術委員会委員、理学博士の菅谷重二君にお願いいたします。
  7. 菅谷重二

    ○菅谷参考人 今委員長から紹介がございましたように、私は物理屋であります。地球物理学を専攻しております。皆さんにこういう道路のことを言い出したり、いろいろ概算をしたりしたものですから、土木工学者であるように言われておりますけれども、私はそうでないということを御理解を願いたいと思います。私が道路技術委員会委員になったということ自身が、すでに間違いのもとだったのでありまして、私はそういう委員になるべきでなかった。ところがだいぶ前から、おととしから二、三の参考になるような書類をあちこちに出しておりますので、その関係から技術委員に入りました。どういうことを言ったのかと申しますと、高架とか海岸というようなことを言いました。それで大へん皆さんのお気に触ったようであります。私がそういうことを言い出したのはどうしてかということをよく人に聞かれます。どうしてそういうことを言い出したかといいますと、たしか昭和二十八年だったと思います。私は二十八年の近畿の災害、あの際に関西に調査に行っておりました。そのとき京都から大阪の間で、御存じのように淀川の築堤、それからいろいろな、あそこには道路、鉄道、大きな築堤がたくさんあります。あそこに非常に長い間滞水しまして、農民が非常に困っておるという状況を見たのでありまして、これはもっと広い立場から、国土保全というような立場から、いろいろなそういう道路とか河川の建設ということは考えなければいけないなということを、そのときつくづく感じたのであります。  それから帰りまして、ちょうど当時問題になっておりました田中さんの中央道路案、それから建設省東海道案、そういうものを地球物理学的な立場から少し見てみたのであります。そういうものによる土地の住民の苦痛、危険、そういうものを何とか軽減する方法はないか、こういうことを考えたのであります。それで路線をいろいろと見てみましたところが、もしこのままの路線が、現在行われておるような築堤でもって、道路を非常に高い築堤——というのは、御承知よう高速道路になりますと、他の道路との交差がすべて立体でなければいけない。他の道路は全部上を越すということを当時の方は考えておられたようであります。     〔委員長退席久野委員長代理着席〕  私は外国の例から考えまして、高速道路は上に上るか下にもぐるか——もぐるといいましても地下道でありませんで、カットでもいいのであります。そういうような見地から道路を見てみましたならば、地理学的と申しますか地球物理学と申しますか、非常にたくさんそういう災害に対する弱点が見られたのであります。その当時計算した資料がありますので、御参考までに申し上げますと、名古屋—東京間で大体個所数で四千カ所、延長にしまして百二十キロメートル、もし災害の際には滞水とか何とかのために非常に大きな災害を受けるというように考えられます土地の面積は、一万四千五百町歩、そこにある人家戸数を計算してみましたところが、大体約一万戸近くになります。住民の総数が八万七千、こういう大勢の人たちが、そういう被害ないし危険にさらされるということになったのであります。こういうことでは、現在名古屋—神戸間の道路は、すでに道路公団の手において着工の運びになっておりますし、ベテランの方々も大勢おられることでありますから、私の危惧するような危険は十分に取り除かれるように、いろいろな設計や施工の点に考えておられるだろうと思いますけれども、災害というものはわれわれの人知ではなかなかはかり知ることのできない大きなスケールをもってくることがままあります。神戸—名古屋間の点では問題は片づいていると私は考えまして、東京—名古屋間、この点を見てみましたところが、やはり同じようなことで、大体数としましても、比率としましても同じくらいのものがある、こういうことで、これを何とかしなければいけない、これで考えたのが高架ということであります。私は架装という言葉を使っておりますが、つまり道路を地面から上げる。私は一昨年から昨年にかけまして米国へ研究のために旅行しておりまして、道路を少し見て参りました。ところがやはり都市の近郷では、上げるかもぐるかどちらかだと技術屋さんはみんなそうおっしゃっておりました。実際にやっていることもその通りであります。私はその前に、おととしの十一月に、道路のそういう災害を防ぐにはどうしたらいいかということの構想、それから道路構造、それから路線費用の概算までいたしまして、参考になる資料を提出して行ったのでありますが、帰ってきまして去年からぼつぼついろいろなことを手配しておりまして、去年の暮れからまた産業計画会議よりも若干の研究費をいただきまして、委嘱を受けて作業をやりました。その作業の結果が、先ほど申しましたリコメンデーションの参考資料の二となって皆さんのお手元に行っていると思います。これで高架道路が非常に安く——安くというのは全く主観の問題でありまして、私の計算でもまだ高いと思っております。     〔久野委員長代理退席、大島委員長代理着席〕  皆さんは安くでき、それから長い路線を高架でやるということが、この産業経済会議のリコメンデーションに対する非難といいますか、そういうものになっているようなんであります。私はそうではなくて、実際高架で道路建設していくということに徹しますと、これは安くできるし、さっき申しましたすべての災害の問題も解決するんだということをいまだに信じております。どうも私が物理学者でありましてこういうことを言い出したのが、そもそもの間違いのもとであったらしいのでありますが、一つ私がこの参考資料二の中で——これは完全に作業は完了しておりません。それから皆さんの若干の非難も、このまだ作業の完了してない部分に対しまして、そういうことではできないんじゃなかろうか、たとえば工場、要するに高架の道路を作る部材の工場、そういうものが建設期間内に償却できるとかできないとか、そういういろいろな問題があります。そういう作業の未完了の部分に対してかなりの批判、非難があるようでございます。それは今後またそういう作業も若干続けたいと思っておりますので、それはお許しを願って、現在出ております部分について一つ十分御検討願いたい。すでに皆さん御検討なさっておると思いますので、私がここでこまごまと申し上げましてもなんですから、質問があればお答えするということにしたいと思います。それで概略だけちょっと申し上げてみたい。  海岸に高架の道路を作るということでありますが、これは意味は反対なのでありまして、高架で道路を作る、その場合に一番安くできる路線を選ぶ、その選んだ結果が海岸になった、こういうことなんであります。最初から海岸を通るという意味ではありません。  それからもう一つは、この高架の構造をとるということ自身、これははなはだ僣越な言葉でありますが、私は道路建設、特に高速度自動車道路、しかも日本ような沖積層、多くの急流河川のあるこういう新しい地質、地形条件の悪い土地では、高い築堤による高速道路建設、建造というものは致命的な欠陥を持つ、こう思っております。そういう道路建設を、土木建設業でなくて、一つの工業化したようなもの、たとえば建物の建設と同じような、ある一つの工業化といった程度の形でやっていくということを考えたのであります。私は御存じのように物理学者でございますから、非常にフリーな立場でものをしゃべれるので、それでそういう勝手気ままなことを言い出したのであります。一つの工業化をする、いわゆる土を動かして道路建設するのではないのだ、ある大きな工場の中で部材を作って、それを非常に大きなある一つの流れの中に乗せて、大きな土木機械を使って建物を建てるように作って、どんどん先に延ばしていく、そういう機械化作業、一つの工業化といった形で道路を作ってみたらというのがこの私の出しました作業の基本思想であります。その結果、はなはだ申しわけないことなんでありますが、従来の築堤工法に比べまして、だんだん攻めていけばいくほど高架道路の方が安くなる。これに反しまして築堤の道路というのは、機械化作業の過程においていろいろな未知のファクターがありますので、そういうものをもう少し調べていけば安くなるのかもしれませんけれども道路自体の持っている根本的な欠陥、性格の欠陥といったものを是正していこうと思いますと、これは吟味すればするほど高くなる、はさみ形に開いていく、私の方の高架と築堤とは開いていく。道路技術委員会の青木楠男委員長が実は出て全般的な問題を御説明すればよかったのでありますが、御都合で出られなかったのであります。私はそれについては申し上げられません。ただそういうことで、私の計算の結果によるとだんだん安くなるということなんであります。あまり安過ぎるというので問題はあったようでありますが、一つこれはあとでゆっくり吟味していただきたい。  概略的なことを申しますと、全線高架で通すという松永さんのさっきのにもありましたが、全線でなくて、高架で通すに適したものは高架で通す、在来のもので最も安く通るところは在来の工法で通す、こういうことであります。全線のうちの七〇%ぐらいが高架になり、あとの三〇%ぐらいは在来の工法でやる、こういうことでございます。  工費でございますが、工費は、概算いたしましたところ竣工費が一千三百億、これにいろいろなほかのものが入りますと、一千五百億、それで出た結果はキロメートル当り約四億、ところが御存じのよう道路公団の建設費は一キロメートル当り四億四千万から——このように若干私の方が安いというのが難点だろうと思います。その他の工場の建設、機械化ということについては、架設の機械化は概略計算は済んでおりますが、工場の方はまだ計算が済んでいないので、確実なことは申し上げられませんけれども、そういうことであります。はなはだ頼りのないよう意見でありますが、こういう趣旨で私が作業をし、それを産業計画会議が、特に委員長松永安左衛門産業人としての立場から、これはいけるという考え方で勧告をされたと思いますが、この点を一つ皆さん実際の資料について十分御検討願って、これが最もよかろうというお話になりましたら、できるだけ今後のことについて御利用願えれば幸いだと存じます。御質問があればお答えいたします。
  8. 大島秀一

    大島委員長代理 参考人の御説明は一応これで完了いたしましたが、質疑の通告がありますので、これを逐次許します。久野忠治君。
  9. 久野忠治

    久野委員 ただいま参考人の各位からいわゆる東京—名古屋間の高速自動車道の東海道案建設計画について貴重な御意見の発表がありました。私たちも参考になりまして、敬意を表する次第でございます。しかしながらこのいわゆる東京—名古屋間の高速自動車道の建設については、国会において相当長い間論争の的になった点でございます。しかも政治的にも相当波乱を呼んだ問題でございまして、そうした問題をいわゆる松永安左衛門さんが中心となられた産業計画会議で発表なされたということで、実は非常に世論を刺激いたしておると私は思うのであります。これが民間団体でありますからそういうよう勧告がありましても、国会あるいは政府側といたしましても、技術的な参考資料としてこれを聞くという程度で私はよかろうと思うのでございますが、何せ松永さんは財界での最長老でございまして、日本の経済界の大黒柱と申しますか、そういう有名人が、しかもこのような膨大な資料に基いて、かくのごとき論争の的になっておる計画を発表なさったということでありまするので、私たち建設行政を専門にいたしております者にとりましても、黙過することはできないという事情でございます。そこで本日貴重な時間をおさきいただきまして、御意見を拝聴いたしたような次第でございます。     〔大島委員長代理退席委員長着席〕  そこでただいまのお話について、一、二の点について御意見を拝聴いたしたいと思うのでございます。  先ほど私が申し上げましたように、相当国会においても議論の焦点になった事柄でございまするから、こうしたことはすでに御承知の上でこういう御意見の発表をなさったと私は思うのでございますが、特にこの発表をなされまするや、一部におきましては、政府と何らかの話し合いをして——従来、建設省東海道の弾丸道路案なるものを発表いたしておりますが、こういうような経過からいって、政府側との間に何らか話し合いをつけた上でこのような発表をなさったのではないか、こういうような憶測といいますか、推測がなされておるのでございますが、そういう点について、話し合いをされた事実がありましょうかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  10. 前田清

    前田参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。私の知っております限りにおきましては、産業計画会議委員長としての松永安左衛門、それから産業計画会議委員としての専任委員とか、常任委員とか、あるいは委員とかいうようなものが、政府側とお話し合いをしてこの案を出したというようなことは、私の知る限りではございません。
  11. 久野忠治

    久野委員 しかしながら相当問題を提起するということは想像なさっておられたと思いますが、そういうことを念頭に置いてこういう案をお作りになったのでしょうか。
  12. 前田清

    前田参考人 おそらくは、この勧告をいたしますれば、今委員からも申されましたように、松永安左衛門産業界における先輩であるという関係から、相当世論を喚起し、また政府あるいは国会においても問題になるのではないかということは想像いたしておりました。
  13. 久野忠治

    久野委員 もうすでに御承知かと思いますが、東京—名古屋間につきましては、いわゆる縦貫自動車道建設法に基いて中央道をとるということが決定をいたしておる。そうしてこの法律に基いて三十二年度からは調査費が計上せられました。本年も引き続いて調査費が計上せられまして、三十二、三十三年度と調査が目下継続中であります。そういう際にこういう案が発表されるということ自身、私は相当議論を巻き起すことになろうかと思うのでございますが、そういうことは頭に置いて発表なさったようでございますが、そうだといたしますると、あくまでも今の中央道案を粉砕をしてでも東海道案を作り上げたいという意図のもとに、そういうことを腹に置いてこういう案を発表されたやに疑惑の目が向けられるのは私は当然だろうと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  14. 前田清

    前田参考人 われわれといたしましては、技術の進歩もあることでございますので、技術の進歩あるいは経済の発展等から見まして、東海道海岸路線というものを考えてみるということが国民のためにもいいのではないか、こう考えましてこの勧告をいたした次第であります。
  15. 久野忠治

    久野委員 その際、中央道の建設は不適格であって、あくまでも東海道案をとることが日本の現在の産業経済にとって有益である、そういう想定のもとにお考えになったのでありましょうか。
  16. 前田清

    前田参考人 われわれといたしましては、東海道海岸路線の方が経済の発展のためにいい、こう考えましてこの勧告をいたした次第であります。
  17. 久野忠治

    久野委員 これはもちろん国会なり政府なりが、そのいずれの路線をとるかということは政治的に判断を下すべきことであろうと私は思うのでございますけれども、しかしながら先ほど私が申し上げたように、松永さんともあろうような経済界の大物がこういう発表をなさること自身が、今日の段階において非常に困るのではないか、こういうよう意見が一部にもあるわけでございますが、すでにそういう問題の起ることを想定して発表なさったということでありますが、そうだといたしますと、いかなる困難があろうとも、どんな事情があろうとも、日本の現在の経済の実情からいってこれをやるべしという強硬な御意思でこういう御意見を発表なさったものと拝察してよろしゅうございますか。
  18. 前田清

    前田参考人 松永委員長の意思はただいまのお説の通りだと思います。
  19. 久野忠治

    久野委員 そうだといたしますと、将来政界に向っても、あるいは政府に向っても、あるいは各界各層に向って、この案に従って運動を展開しようというご意思でございましょうか。
  20. 前田清

    前田参考人 この案がわれわれ産業計画会議委員総会におきまして可決されましたと同時に、政府関係大臣並びに当院の建設委員、参議院の建設委員、それからこの路線の沿道の各府県の知事、県会議長と商工会議所会頭等へこの勧告をお送りいたしました。ということは、この勧告皆さんに読んでいただいて、よければ一つ採用していただきたい、こういう意思のもとに行われていると御解釈下さってけっこうだと存じます。
  21. 久野忠治

    久野委員 これは想定でございますが、万一政府側がこの案をとらないということになりますと、将来民間ででもこの事業を遂行しようという御意思でございましょうか。
  22. 前田清

    前田参考人 われわれは、こういうことが日本経済の発展のためにいいということを申し上げるだけでございまして、これを具体的に、われわれ関係者において実行に移すということは考えておりません。
  23. 久野忠治

    久野委員 すでに鮎川案なるものが示されまして、鮎川さん自身は、いわゆる道路投資というものは十分採算がとれる、だから民間においても、企業として成り立つというよう意見を発表されておるのでございますから、万々一国家投資によってこの事業ができぬということでありまするならば、そういう長門事業家の手によって、これを遂行するというような場合もあり得ると思いますが、そういう際に、あなたたちは協力しようとおっしゃるのですか。
  24. 前田清

    前田参考人 協力という意味が、精神的のものであり、出資者を呼ぶというような意味でございますれば、もちろん協力いたすと思います。しかしその協力という意味が、みずから出資してという意味でございますと、われわれはさような事業を営もうということは考えておりませんから、さような意味においては、協力ということは考えておりません。
  25. 久野忠治

    久野委員 そこで建設大臣に一言お尋ねをいたしたいのですが、国会は院議をもって中央建設をきめておるわけであります。そういう際に、こういう東海道案なるものが発表をされたわけでございますが、政府側といたしましては、一体この問題をどういうふうに御処理なさろうというお考えでございましょうか、御意見があればお伺いをいたしたいと存じます。
  26. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 国土開発縦貫自動車道法によって、これはすでに法律化しでおります、従いまして、これは日本の国土開発の観点からいたしまして、予備のでき次第、これは着手する方針でございます。ただいま私、前のいろいろのいきさつは存じませんが、従来国会におきまして、中央道をやめて東海道線にいくのじゃないか、こういう御心配の点で、いろいろ御質問があったのでありまするが、私はこれは別個に考えるべきご問題だと思っております。すでに先般の当委員会、あるいは予算委員会で御説明申し上げましたごとくに、縦貫中央道は法律の定めるところに従いまして、準備のでき次第実行することにいたしまするが、東海道線は、御承知ように現在日本の経済の一番の動脈をなしている線でございまして、従いまして、鉄道におきましてもこれをさらに複々線、しかも広軌でやるべきだという意見もございます。この鉄道の整備によってすら、なお将来においては物資の交流が必ずしも十分ではない。その意味において、さらに東海道線を現在の一級一号国道のほかに、バイパスも作るべきだという意見もあるわけでございます。こういう問題を総合的に勘案して、いかなる順序でやるかということを検討するために、先般政府においては交通閣僚協議会を設けまして、これも一つの大きな重要課題として取り上げることになっておるわけでございます。そういう場合において、今問題になっている案がせっかく民間で取り上げられるならば、これも一つの資料として研究すべき問題とは存じます。しかしながら、中央道にかわって東海道線案にかえるという考えは、現在われわれは考えていないというのが現状でございます。
  27. 久野忠治

    久野委員 政府側の御意思はよくわかったのでございますが、しかしただいまお話のありました官僚の懇談会において資料を検討した後、この案を適切であるということでありますならば、同時に着工するという場合もあり得ると思うのであります。いわゆる財政的に許すならば、同時着工という考え方もあり得ると思いますが、そういうことについて何か御意見がありましょうか。
  28. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これはまだそういうような問題について、政府の意図を示す段階ではないと思います。なぜならば、これはまだ具体的に研究していないので、今久野さんの御指摘の通り財政の状況、さらには輸送の総合的な見地に立って、道路と鉄道との関係もございますので、今にわかに同時に着工するかどうかということは、これはまだ言える段階ではなかろうかと考えておるのであります。
  29. 久野忠治

    久野委員 先般外資導入の件につきまして、ワトキンソンでございますか、来られましたときの勧告内容を検討いたしてみますと、いわゆる名古屋—神戸間、名神国道だけでは十分その機能を発揮することはできない。だから東京—名古屋間も名神国道の事業と同時に着工をして、そして同時に完成させるということが必要である。そうでなければ経済的な効率が非常に低くなる、こういう意味の発表がなされておるのであります。さよういたしますと、財源的な措置ができるということでありますならば、いわゆる名神国道と並行して、名東国道といいますか、高速道といいますか、名古屋—東京間も同時に着工するということも考えられると思うのでありますが、そういう際にでも政府側の御意向は、まず中央道をこの線に従って建設して、しかる後に東海道案建設について考えたい、こういうふうに解釈をしてよろしゅうございましょうか。
  30. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 そういうものではないということを先ほど私は申したつもりであります。二者択一ではございません。これは、中央道はどこまでも国土開発を重点としてやっておるのでございますが、東海道線は、御承知ように本年始めましたところの五カ年計画で全面的にこれを改良、立体交差にいたします。これで相当緩和されるのでありますが、鉄道の輸送量と道路の輸送量を総合してもなおかつ足らないということになりますれば、これはいわゆるバイパス的なものが考えられる必要が出てくると思うわけでございます。しかしこれは何も中央道と競合して、中央道をあとにしてこっちをやるとか、あるいは東海道線を優先してやるとかというふうに議論することによって政治的紛争が起るのでありまして、政府としては実情に即しましてこれは処置していきたいと思います。従いまして、財政上許し、事情がどうしても道路の整備をさらに推進しなければならないという二つの要素から考えて、可能な場合においてはできるだけその隘路を打開することには、あらゆる方法を用いなければならないと考えておる次第であります。
  31. 久野忠治

    久野委員 政府側の御意見はよくわかりまして、私も了承いたします。  次に前田さんにもう一つお尋ねいたしたいのでありますが、この計画を立案されるに際しまして、中央道の経済開発的意義と、それから東海道案のいわゆる経済開発的な意義と申しますか、そういうものを比較検討なさいましたでしょうか。
  32. 前田清

    前田参考人 われわれは主といたしまして両路線の輸送需要の問題を考えました。それと、われわれの考えとしましては輸送需要のあるところにまず供給をはかるべきだ、こういう考えのもとに提案をいたしております。産業開発のために法律できめられました路線の必要であるということに対しましては、何ら否定的なことは申し上げておりません。
  33. 久野忠治

    久野委員 近藤さんに一つお尋ねいたしたいのでございます。先ほど近藤さんは中央道と東海道案とを比較検討なさいまして、おそらく交通需要の面からいって中央道は不適当であるというような断を下されたようでございますが、そういう御意見の根拠になるものが私たちにはまだ納得できないのでございます。およそ高速自動車道というものの要諦は、遠距離都市都市との間を最短距離で結んで、そしてでき得る限り高速度をもってこれを通過することができるということが、私は一つの要件であろうと思うのでございます。東海道案をとることになれば相当距離が長くなる、中央道をとれば距離的には相当短かいものになろうと思いまするが、そういう際に、時間的に一定の速度で走るといたしますならば、一方は時間がかかり過ぎて経済的な効率というものは下ることになろうかと思うのでございます。その点はいかがでありましょうか。
  34. 近藤謙三郎

    近藤参考人 専門技術の問題になりますけれども、自動車のスピードを支配するきわめて顕著な要件は、曲線半径が大きいか小さいかということであります。それからきつい勾配があるかないか。それからもう一つ距離の問題であります。中央山岳道路の場合を憶測いたしまするのに、距離はあるいは東海道線より短かいかもしれない。これは短かいとは断定できません。よくわれわれ経験しまするように、東に向いていく道路が山地へいって西へ向いていくというようなこともありますから、必ず中央道が短かいということは私は断言いたしません。平面図で見れば短かく見えまするけれども、それは必ずしも早く到達できるという決定的の要素にはなりがたい。それよりももっと大きな重点は、走行スピードを早く出すために大きな曲線半径が必要だということ、それから比較的やわらかいゆるい勾配のものにしなければならぬ、この要件の方が支配的であると思います。それからもう一つ久野先生のお言葉の中に、高速道路というものは重要都市と重要都市とを結ぶのを大体使命とするのであるという印象を受けるような御発言がございましたが、私の見解は必ずしもそうでございません。距離はかりに比較的短こうございましても、交通量の多いところが道路として重要使命を持っておるわけでございます。その重要使命を円満に果すために、その部分について混合交通と平面交差とを排除した自動車の専用道路を置く必要があるのであります、距離の問題は第二義である、私はこう信じております。
  35. 久野忠治

    久野委員 近藤さんは専門的な考え方から両者を比較されたと思うのでございますが、私たちしろうとの考え、これは間違っておるかもしれませんけれども中央道の建設地域はいわゆる積雪寒冷地帯であって、冬期間は相当大きな雪が降るだろう、今の除雪機械からいいますれば除雪は可能だろう、しかし除雪したとしても路面が凍結して、そのためにスピード・ダウンせざるを得ないだろう、私たちしろうとにはそう思えるのでございますが、その点についてどうお考えになりましょうか。
  36. 近藤謙三郎

    近藤参考人 その点も非常に大きな問題であります。しかし工費をどっさりかけるならば、たとえば机の上の話のように半分はなりますけれども、電熱装置で路面を凍らないようにすることも不可能ではありません。問題は道路建設に多額の投資をする、それを実際交通の便利がペイするかどうかのバランスにかかるわけであります。そこで私が口をすっぱくして申し上げたつもりなのは、そのためになるべく工費の安くできるというところを選ぶということと、それから交通量が倍になれば工費は二倍かける資格がある、こういうバランスのものでありますから、交通量の多いところへ高級の道路を作らなければうそですよ。交通量の少いところは交通量が少いに応じてやる。交通量が少くても早く走りたいことには変りませんよ。変りませんけれども、ペイの問題が承知しないわけです。だから中央道路のごときは開発がきわめて望ましいことでありますけれども開発道路らしい規格の道路でがまんをし、東海道交通の非常に多く予想せられるところはそれだけの投資を張り込んで交通の能率が上るようなことにするんだ、こういうことでなければ道路政策というものは科学的あるいは経済的の根拠を失うわけです。そこを私は口をすっぱく申し上げたつもりであります。
  37. 久野忠治

    久野委員 菅谷さんに一点お尋ねしたいのですが、先ほど高架方式によることによって非常に工費を安くすることができる、こうおっしゃいました。しかしながらこの図面に占められた地点を拝見をいたしますと、相当開発された地域でございます。この道路建設を行う場合に一番金のかかりますのは土地買収費でありますが、そういう開発地域を通ることによって相当程度土地買収費が高くかかり、工費が高くなりはせぬかと私たちは思うのでございますが、それが安くできるというのはどうも納得がいかないのでございます。その点どういうふうにお考えになっておりましょうか。
  38. 菅谷重二

    ○菅谷参考人 お答えします。開発された地域とおっしゃいましたが、実際にそれでは開発された地域の路線がどれくらいの距離になるかということをちょっと計算した私の資料があります。それによりますと、どの路線をとりましても両端はいずれにしましても市街地を通ることになる。これは大体名古屋にしましても東京にしましても市街地になります。この市街地の分を除きまして水田地帯、この中間にも市街地にかかる分もあります。これも非常に距離が短かい。これをめぐりまして大体水田地帯、こうなります。水田地帯で、しかも道路がたくさんある、家もたまたまあるところが三十キロあります。それから純然たる水田地帯、これは人家が一軒もない、ただ低湿地や何かで田地だけだ、これは畑も含めております。これは四十六キロ、合計いたしまして七十六キロ、三百六十四キロのうち七十六キロだけが開発された地帯、こういうことになります。パーセンテージとしましても実は非常に少いのであります。もう一つ申し上げたいのは、海岸道路、純然たる海岸の砂地もしくは川の部分、これは川も海岸と一応考えております。これがだいぶ長いのでありまして、全体のパーセンテージのうちの五五%くらいがそれに相当する。さっき申しましたように、開発された地域はわずか約七十六キロにすぎない。しかも高架でやりますと、そういう地帯はいずれにしましても、普通のカット・バンキングでございましても、そういう地帯を通らなければ、山の中は別としまして、道路を通すことはできないのであります。そうしますと、そういう地帯をどうしても通らなければならない。そういう地帯を通るときには、バンキングでやりますと敷幅が非常に大きくなる。要するに買収面積が非常に大きくなる。高架でありますと、脚を立てまして、その上に路体が乗りますので、実際の買収面積は、半分とは申し上げられませんが、五分の三くらいに相当する。距離的に見まして非常に微少でありますし、しかも買収面積がバンキングや何かの場合に比べまして五分の三で済む。しかもその高架の下はもとの土地の所有者に、これは所有権は別問題としまして、還元して使用させる。そういうようなことができますので、買収費は非常に楽になるのじゃなかろうか、こういう工合に私は考えております。
  39. 久野忠治

    久野委員 そうだとすると、農耕も可能だというふうにおっしゃるわけですね。そうすると脚と脚との間が相当長くなければならぬと思うのですが、どれくらいの長さになるのですか。
  40. 菅谷重二

    ○菅谷参考人 大体基準となる設計をしてありますが、その基準設計では、海岸や水田地帯ではスパンが十五メートルということになっております。路線の幅は二十一メートル弱であります。そうしますと大体その中間、半分くらいはまるっきり日の当らないところもあると思いますが、両側五メートルくらいずつ、十メートルくらいは必ず日が当るとは申しませんが、それくらいはかなり食い込んで、もししいて農耕しようとするならばできないことはなかろう。あと中間十メートル、真下の部分、これはいわゆる農作物の格納とかいろいろなことにも使えるというのであります。可能だとは申しませんが、もし使おうと思えば使えるだろうということは想像されます。
  41. 久野忠治

    久野委員 海岸を通ることになりますと、御承知よう静岡、愛知の地方、また神奈川県にも同様の地区がございますが、現在この地域は年々地盤が沈下をいたしまして、侵食されつつある地帯がたくさんあるのでございます。そういたしますと、侵食地帯はむしろ脚でなく防潮堤のようなものを作りまして、その上に道路を乗っける、こういうことも考えられるかと思うのでございますが、そういう点について技術的に検討なさったことがございましょうか。
  42. 菅谷重二

    ○菅谷参考人 お答えします。海岸でも砂地のところは、御存じのよう海岸砂防の問題とからみまして、非常に問題は複雑でありまして、要するにもし砂地にずっと一つの築堤みたいなものを作りますと、これは漂砂、流砂の関係で非常に問題は複雑になって参りまして、かえって堆砂を増し、しかも海岸に直角に吹いてくる風のために、道路の上に砂が上る。しかもその上を通る自動車は、その砂のために障害を受けるということが当然起るのであります。これは実際に漂砂や漂雪、流雪、こういう研究をした結果そういうことは言えるのでありまして、これは海岸の砂地は地面から上げまして、間を風が通るようにしまして、砂がその構築物によってそういう流体力学的ないろいろな障害を受けないようにしてやるのが一番いい方法だろうと思います。それですから、海岸の砂地はやはりある一つの脚の上に上げた構造が第一であります。  それからもう一つ、岩床地帯が一部ございます。そういうところは当然石垣を積むなり何なりしましてやった方が波浪の力をそぐ。間を通しまして、路体にじかに下から波がぶつかりますと、これは問題がありますので、こういう場合にはおっしゃるように岩床地帯にはそういう石垣積みの構造のものにする必要があろうと思います。  それからもう一つ、地盤がだんだん沈下しているというお話でございましたが、太平洋岸の土地は一般に隆起しておりまして、日本海側の土地は沈下している。日本のいろいろな地質構造から推しましてそういう傾向である。実際にそういうデータも出ている。もし沈下があるとすれば、それは臨海工業地帯というようなところでありまして、これは論議がありますが、地下水とか何かの過剰くみ上げによって地盤沈下が起きている、実際に地質学的に見まして、私はどうも寡聞にして聞いておりませんが、そのようなことはないのではなかろうかと思います。
  43. 久野忠治

    久野委員 もう一つだけお尋ねいたしますが、地盤が沈下しておるというのは実例があるのでございまして、それは南海大震災以来、静岡県以西というものは相当程度沈下をいたしておるのであります。そのためにいわゆる海岸侵食とかその他の事業費を、ただいま建設省では予算に組まれまして、そういう事業が行われておるわけでございます。まあこの問題には関連はいたしませんから議論はいたしませんが、そこでこれだけの計画をお立てになるにつきまして、相当外国の事情等も御調査をなさったと思いますが、このような高架方式による高速自動車道というものは外国にございましょうか。あるとすればどういう国にございましょうか。
  44. 菅谷重二

    ○菅谷参考人 お答え申し上げます。私が見ましたのは米州の東部だけでございます。それから西部の方と南部、これは文献によって若干調べてみました。それから文献によりますと、イタリアでは高架とは申しませんが、いわゆる棧道式の道路を非常にたくさん採用しております。米州では、むしろ東部では都市の近郊だけが大体高架になっているようであります。南部へ行きますと、南部は御存じのように非常にたくさんの湖、入江、そういったものがございまして、ここに非常にたくさんの高架の——これはオーバー・シー・ハイウェイと申しまして、水の上にかけてある。しかし水の上と申しましても二メートルとか三メートルの水深のところ、深くて五メートルぐらいのところでありますから、陸地とほとんど変りはない。そういう上にたくさんのコースト・ウェイと申しておりますが、道路を作っております。一番長いのは数字ははっきりいたしませんが、たしか三十四キロだと思います。ミシガンだったと思いますが、三十四キロの湖水を直線で通っております。それから最近やっておりますのは、フロリダ州、これは非常にたくさんありまして、数えるいとまがないくらいでありますが、一番最近やっておりますのはここの参考資料の二にもありますが、タンパ・ベイという湾がありまして、そこの上に七マイルの道路を作るが、その七マイルのうち三マイルだけが高架でございます。架装道でございます。海の上に脚を立てて、その上にPSの、私がまねしたわけではありませんが、同じよう構造道路を乗せております。これは現在工事中でありますが、ほかの道路も非常に短時日に、そういう一見困難と思われるよう道路をどんどん作っております。  そのように数を上げれば、データは持って参りませんでしたが、総キロにしましておそらくコースト・ウェイというものは、大体この前ちょっと当ったのでは約二百キロぐらいのところでございまして、ほとんどがこの案と同じようなパイル・ベントの上にPSのコンクリートを乗せたという構造のものを作っております。
  45. 西村直己

    西村委員長 中島巖君。
  46. 中島巖

    ○中島(巖)委員 いつの理事会で参考人を呼ぶことを決定したのか私知りませんが、二日ばかり前に委員長参考人を呼ぶことをやめたらどうだろうということを申し上げたわけであります。これは私が説明するまでもありませんけれども昭和三十年から、この国土開発縦貫自動車道建設法というものはね四内閣、五国会にわたって非常にもんだ問題であります。そしてその間において参考人も十数名呼んでおるわけであります。本日産業計画会議の方だといって近藤参考人もお見えになっておりますが、これは道路利用者会議の専務をその当時されておった。今もされておるかもしれませんが、道路利用者会議の会長の本多市郎君も参考人として呼んで十分事情を聴取しておる。これは、本多市郎君にしましても、あるいは財政方面では青木一男君にいたしましても、それから鮎川義介君にいたしましても、十数名何回か呼んで、そして四内閣、五国会にわたって難航いたしまして決定した法律なんです。従いましてこれは当時から非常に問題のあった法律なんですが、この法律審議中において近藤参考人はずいぶんこの案には反対しておった。産業計画会議のこのデータから見ても反対しておる。産業計画会議の反対者ばかりの四人の意見を聞くなんということは、これは実際国会内に波乱を起すものだと思うのです。そういうことと、もう一つは、これは久野忠治君と委員長が中心になってこういうことをやられたと聞いておるけれども久野君は愛知県の知多郡だから東海道側、委員長静岡県でしょう。従いまして委員長久野忠治君、そうして中央道反対、東海道賛成というような者ばかり呼んで、何だかそこに変な陰謀があるんじゃないかというふうに考えるのですがね。僕もこういう者を呼んでいろいろ問題を起さない方がいいと思って忠告したのですが、共謀して呼んだんですが、理事会でこれを呼ぶということになったいきさつについて委員長から御説明願いたいと思います。
  47. 西村直己

    西村委員長 中島委員からただいま委員長に対する御質問がありましたから、お答えをいたしておきます。お言葉が少し過ぎるようでありまして、陰謀というような言葉はお取り消しを願いたいのでありますが、この議事はあくまでも公正に、成規の手続をとりまして進めておるものであります。高速度自動車道につきましては、御存じの通り、昨日は首都圏の高速度自動車道の問題で参考人方々がおいでになりました。従ってこれに関連するところのいわゆる国土を縦貫する自動車道につきましては、当然関連事項であります。それからいま一つは、御存じの通り民間が自由潤達にこういう大きな問題について御意見を述べることはきわめてけっこうなことでありまして、国会は、民主主義の政治のもとでありますから、広く世論政治を行なっている以上、世論というものが、現在法律できめられているもの並びにそれに付随する輸送緩和というようないろいろな問題を多く取り上げることは、当然その議題でもあります。またこの委員会におきましては、道路建設省所管事項全般につきましては十分論議ができます。しかもなおこれは理事会におきまして正規に取り上げて、正規に決定をいたしたものであります。さよう承知を願いたいと思います。
  48. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それで昨日の首都圏のは、あれは初めての問題でありまして、僕はあれはいいと思うのです。けれどこの問題は四内閣五国会にわたって参考人をさんざん呼んで、さんざん技術的な面からも検討し、それから国家財政の見地からも財政学の権威を呼んで検討して、そしてただいまのような質疑応答は何べんか繰り返して、とにかく五国会にわたって研究して決定しておる問題を、またここに蒸し返して、反対だということがわかっておる人間ばっかり呼んで意見を聞くなんてことは、まことに無意味だと思うのですよ。それで本日は、私の聞く範囲におきましては、河野長官とそして松永安左衛門氏と二人だけだというような話を聞いておったのですが、同じ産業計画会議の人間ばっかり四人も参考人にお願いするというのは、どうも意図がはっきりせぬのです。これはまあ今の方々道路関係における有識者でありまして、いろいろ参考になる御意見もお聞きしました。しかしこれは国会議員つまり政治家が、政治家の良識でもって、日本の百年の大計のあり方はどうであるかという、こういう観点から割り出して一たん決定した法律でありますから、こういう問題を残さぬ方が私はいいんじゃないか、こういうように考えるわけです。  それから一つお伺いしますが、河野長官はここへ見えるのですか、見えぬのですか。
  49. 西村直己

    西村委員長 要求をいたしております。
  50. 大島秀一

    大島委員 関連して。ただいま中傷委員のお話はごもっともの点もありますので、非常にいいことを発言なさったと思いますが、ただ先ほど来所管大臣も、すでに当委員会においてもうしばしばこの問題を検討され、その結果これはもうすでに決定しておるものであるから、その方針には変りがないとはっきり明言をされておるようであります。しかしこの日本産業開発のために、またいろんな角度からこのような問題を研究するということは、ぜひとも必要なことであろうという立場におきまして、このよう説明を聞くことがわれわれ建設委員としてはきわめて大切なことであり、ただいま委員長の言われたように、これはぜひとも聞いておいて決して差しつかえないことであり、またこのよう建設が別の形において、われわれが今まで決定したものでなくとも、いま一通りのものがかりにできるといたしましても、決してこれは国家のためにもならないことにもなりますので、従来私ども研究いたしております。今所管大臣の言われたものと別な立場において、これが将来どのよう建設されるかということとは全く別個の問題でありますので、われわれはきょうこの参考意見を聞いたということは非常に有益であったというように考えておりますので、その点はどうぞ一つ了承願いたいと思います。
  51. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこできょう大臣がお見えになっておって、これはだめ押しみたいな話になるけれども、この前から大臣は、国会できまった法律だから中央自動車道をやる、それからまた道路局長も、さきの道路整備緊急措置法によるところの、五カ年間に九千億、そのうち有料道路は千五百億、その使途については中央自動車道でやる考えである、こういうようなことをはっきりと言明されたわけです。そこで私の希望するところは、名古屋—神戸間だけでなくして、小牧—東京間の中央自動車道も早急に着手してもらいたいと、こう思うわけなんです。ところが、道路整備五カ年計画でもって千五百億という有料道路のワクを決定してあるわけなんですけれども、これは大蔵省、経済企画庁なんかと十分打ち合せの上決定したのであって、このワクは動かない、こうわれわれも推測するわけであります。そこで今外資の導入について話を進めておられるということ、それから外資の導入の際につきましては、やはりこの国会におきまして道路公団法の一部を改正する法律で、外資の受け入れも法律的にも態勢ができてしまっておる。従って政府の現在計画しておるように外資が相当大幅につくとすれば、そうして片方の調査は本年度東京—小牧間の中央道については完了する、こういうことになるわけでありますが、相当大幅の外資の導入がついて、小牧—神戸間の工事量その他の関係もやはり勘案せねばならぬと思います。そうすれば中央自動車道も来年にでも着手されるような御意思があるかどうか。それから審議会において基本計画を決定せねばならぬのでありますが、基本計画の決定の案を出すのはいつごろのお考えであるか、この二つの点について、ちょうど建設大臣お見えでありますので御意見をお伺いしたい。
  52. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 まず第一に外資の問題は、先般来国会でお答え申し上げたように、現在名神国道についてのみこれは話し合っておるわけでありまして、向うの方でもこれは完全に償還能力があるかどうかということを見なければこれはできないわけですから、本年調査の結果さらに精密な調査、設計の見通しができて、初めてこれは議題になるものだと思います。従いまして整備計画をいつ出すかということは、この調査の結果に基く具体的な検討の後でなければ、今ここで明確に申し上げることは困難であると思います。  それからもう一つ、先般来私が予算委員会その他で出し上げたのでありますが、名神国道等の延長で、有料自動車道路でしからば中央道をすぐやるか、これは調査研究してみなければできない問題だということを私申し上げているわけであります。と申しますのは、御承知ように関門隧道の問題につきましても二十数年かかりまして、現在の貨幣価値に換算して約八十億かかった。これを一応二十六年間で償還していくということで料金を計算すると、非常に高いという御非難が多いのです。有料道路を作れ作れという一方の要求と、作ってしまうと今度は高いからだめだという、こういう非常に相異なった御意見が多いので、先般来私が国会でお答え申し上げましたように、有料自動車道路については完全に経済的にペイするという前提、これでなければ有料自動車道路としてはやるべきでない。むしろ公共の用に供するところの道路は公共事業費で一般予算でやるべきだ、こういう建前をとるべきだ。これは中島さんと私の意見が違っているところです。あなたは有料自動車道路については政府が補助助成をしてどんどん作れというので、ここはあなたと違いますが、私が今この問題について政府を代表して言う意見においては、有料自動車道路はどこまでもぺイすべきものだ、こういうふうな観点に立っています。そうすると今のいわゆる中央自動車道を有料道路でやることが果して適切なりやいなや、あるいは可能なりやいなやという問題は、いろいろと調査の結果計算してみなければならない問題だと思っております。しかしながら先ほど久野さんの御質問に答えたごとくに、国土開発中央道は必ずやる。これはペイしようがペイしまいが、開発の意味において国家の最高機関である国会において法律上制定されたものはやる、こういう立場をとっているのであります。その点を明確に御認識の上でいろいろと御議論していただきませんと、すぐに中央道と東海道と二者択一、どっちをやってどっちをやらないようにするかという議論になるのであります。私はその点も含めて先ほど来お答えしたつもりでございます。
  53. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それで大臣と私と建設委員会でしばしば有料道路一般道路関係、そうして有料道路もペイし、この国土開発に関する自動車道のものと違った一級国道の中の一部分を有料道路で行う場合に、全然公共事業費を入れないことが間違いであるということ、この点は大臣と意見が違っております。これはまたいずれ建設委員会においてさらにいろいろと御高見を拝聴したり、私の意見も申し上げたいと思います。  そこで今お尋ねいたす点は、大体外資が入らなくてもわが国の経済の成長率から見て、千五百億の五カ年計画で有料道路をやる、こういうことを策定されたというよう説明を聞いておるわけであります。そこで大幅の外資導入ができたとすれば、その外資導入のできただけさらにそれにプラスしておやりになる考えであるか、あるいは外資導入ができたといたしましても五カ年間に千五百億でとめておく考えであるか、この点を一つ明らかにしていただきたいのであります。
  54. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘の通り、五カ年計画においては有料道路投資額として千五百億を今きめております。その上に外資が出たらそれだけプラスしてやるのかどうかということなのでありますが、これはあまりかたく言うと非常に運用上適当じゃないと思っております。その時期における国際経済の状況、国内経済の状況を考えて、場合によっては外資が相当有利な条件で入ってきて、しかも日本の国内経済を特に刺激しないということになりますれば、私はその上にプラスして投資していいというくらいに考えております。
  55. 中島巖

    ○中島(巖)委員 河野長官は見えますか、見えませんか。
  56. 西村直己

    西村委員長 今連絡中だそうでございますが、まだこっちへ来るという返事がとれておりません。
  57. 中島巖

    ○中島(巖)委員 河野長官が見えぬとすれば、あれは政府側だからいつでも呼べますから、本日はこの程度でもって一つ散会していただきたいと思います。
  58. 西村直己

    西村委員長 ほかに御質疑はございませんか。——ないようでございますから、東京—名古屋間高速自動車国道建設計画に関する調査は、本日はこれで終ることといたします。  参考人各位におかれましては、長時間にわたってお忙しいところをいろいろ御意見を承わりまして、まことにありがとうございました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十八分散会