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1958-04-10 第28回国会 衆議院 建設委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 西村 直己君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 大高  康君 理事 久野 忠治君    理事 三鍋 義三君       荒舩清十郎君    井原 岸高君       木崎 茂男君    薩摩 雄次君       徳安 實藏君    中村 梅吉君       松澤 雄藏君    井谷 正吉君       中島  巖君  出席政府委員         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局計画         第二部長)   石塚 久司君         建設事務官         (計画局都市計         画課長)    小林 忠雄君         建 設 技 官         (道路局道路企         画課長)    高野  務君         建設事務官         (道路局高速道         路課長)    鶴海良一郎君         参  考  人         (経済評論家) 木内 信胤君         参  考  人         (東京建設局         長)      藤本勝満露君         参  考  人         (日本道路公団         計画部長)   藤森 謙一君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団理事)  町田  保君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 四月十日  委員志賀健次郎君及び川俣清音辞任につき、  その補欠として中村梅吉君及び日野吉夫君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員中村梅吉辞任につき、その補欠として志  賀健次郎君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都内高速度道路整備計画に関する件      ————◇—————
  2. 西村直己

    西村委員長 これより会議を開きます。  都内高速道路整備計画について調査を進めます。本日はお手元に配付してあります通り、四名の参考人の方、並びに建設省首都圏整備委員会より御出席を願っております。  御承知のごとく、最近におきまする都内自動車登録台数増加はまことに著しいものがありまして、これをこのままに放置いたしますと、旧市域主要交差点交通量は、平均しておおむね昭和四十年には限界に達し、都内における交通は全くの混乱状態に陥るものといわれておるのであります。これが対策といたしましては、一応交通整理方式改善交差点付近妨害物除去あるいは路面電車等撤去等措置が考えられるのではありますが、これらはあくまでも応急的な措置でありまして、これが恒久的な対策といたしましては、都内高速道路建設必要性が叫ばれるに至ったのであります。しかしながら大都市内にこのような大規模高速道路を建設いたしますことは、わが国におきましては初めてのことであり、これが建設方式、財源、あるいはその後の運営方式等につきましても種々の問題があると存ずるのであります。従いまして当委員会におきましても、この際先般各新聞紙上に発表されました東京都市計画都市高速道路網計画中心といたしまして御意見開陳お願いいたしたく、各参考人の御出席お願いいたした次第でございます。御意見開陳の後質疑を行うことといたします。  なお、御意見を承わりまする前に一言参考人の方々にごあいさつを申し上げます。  本日はまことに御多用中のところ、御出席をいただきましてありがとうございました。委員一同にかわりましてあつく御礼を申し上げます。なお念のために申し上げておきますが、衆議院規則の定めるところによりまして、参考人が御発言なさろうとするときは、必ず委員長の許可を得ていただきたいのであります。委員参考人質疑をすることはできますが、参考人の方は委員に対し質疑することはできないことになっておりますから、あらかじめ御了承下さい。  それでは都内高速道路整備計画につきまして順次御意見を承わります。なお時間の関係上、参考人お一人の方十分程度お願いをいたしたいと思います。まず東京建設局長藤本勝満露君にお願いをいたします。藤本勝満露君。
  3. 藤本勝満露

    藤本参考人 参考人に呼び出されまして東京都の都市計画都市高速道路網計画につきまして、この立案の経過、また立案をいたします必要性、そうしてまた案の概要、そういうような点につきまして東京都の立場から一応御説明を申し上げたい、かように存ずる次第でございます。  お手元冊子が御配布申し上げてありますが、この東京都市計画都市高速道路網計画案概要に基きまして順を追うてこの中の要点を御説明申し上げてみたい、かように存ずるわけであります。まずこの冊子について第一章、第二章、第三章と分れておりますが、第一章におきましては高速道路必要性の点を申し上げてみたいと思います。ただいま委員長さんからもこの点には触れましたので、簡単に申し上げてみたいと思うのであります。  御承知のように、東京都の人口は現在八百六十万をこえておる、また人口は毎年三十万近くのものが増加をいたしておる、このことが基本になりまして東京都の少くとも物的施設の面におきましては、あらゆる面においてそのことから緊急性必要性が生まれてき、またそれに対する対処策に寧日ない次第でございますが、特にその中で交通問題につきましてはきわめて緊急であり、また重要な問題であり、都民日常生活あるいは産業経済活動その他あらゆる活動の面におきましてこの交通問題がよりいい形になり、整備された状態になることはきわめて緊切な問題であることは御承知通りでございます。一例を申し上げますと、ただいま委員長さんからお話がありましたように、自動車のごときは二十一年当時におきましてはわずかに二万台というものが、今日は十四倍に当るところの二十八万六千台、三十万台にも相なっておるというような状況でございます。そういうような自動車交通増加ということは、また他方におきまして道路街路利用状況というものもまた都民経済活動あるいは生活活動の上において非常にふえて参りました。その結果はこの自動車交通というようなものが、端的にいいますれば混乱を来たしておる、また自動車それ自身の能率が非常に落ちておる、こういうような状態を現出いたしております。この点は都心部において特に顕著な状態を来たしております。一例を申しますと、都心部では自動車平均時速が三十二キロ程度になっておるものが、実際においては十五キロないし二十五キロ程度に下っておる、あるいはまた街路の一車線交通能力というようなものも、一時間千合というものが最低の六百台というような能力状態に落ちておる、こういうような状態におきまして特に都心部交通問題につきましては早急にこれが解決方法を立てなければならぬ、かように存じておるわけであります。  これをまた他の見方から申しますならば、都心部交通の隘路になっておる点はどこかといいますれば、これは端的に申しますれば、交差点交通状態交差点交通処理、こういうような問題が解決され、めどがつくならば、この自動車交通の問題は非常によい状態に相なろうかと存ずるのであります。そこでこの資料の二ページに、あるいは三ページにもございます通り、あるいは四ページにまたがってあります通り、この都心部等の重要な街路交差点交通状況を調べてみますと、たとえば二ページにあります都心部場所におきまして、現状のままで交通能力限界点に達するとわれわれが調査の結果見ておるものにつきましては、この都心部について、江戸橋のごときはもうすでに限界点を越えておる。三十一年にその点に達しておる。あるいは田村町一丁目のごときも、あるいは虎ノ門のごときもこの状態である。さらにはこの日比谷のところあるいは祝田橋、こういうようなところもすでに充満度に達しておる。こういうような状況で、これ以上交通の量の増加あるいはそれに伴うところの処置というものを緊急に処置しなければどうにもならぬ状態に相なっておるという状態でございます。これは一例でございますが、その他都心部の各個所について、ここにその満度に達する土地を示しておりますが、総括的に申しまして、この四ページの一番下に書いてあるわけでございますが、「旧市域主要交叉点交通量平均して概ね昭和四十年度には限界に達し、麻ヒ状態となる事が予想される」と、こういうような都内中心部交通状況現状が相なっておるわけであります。それではこれに対しましてどういうような施策を講じ、または今まで講じてきたかという点につきまして、第五ページ以下に書いてあるわけでございます。この第一項におきましては応急対策を書いてあるわけでございますが、それには先ほど委員長さんからお話のありましたように、交通整理方式改善右折交通の禁止あるいは系統式交通標識の採用、これは一部実施はいたしておりますが、今後さらに改善推進すべきものと考えておるわけであります。さらには、このほかにまた緩急両車を分離すること、あるいは白線内区画通行の厳守だとか、あるいはUターンの規制とか、そういうような問題もあわせて考えられる問題でございます。また交差点付近妨害物除去という問題につきましても、安全地帯の移設とか、歩道の車道化とか、あるいは植樹帯の撤去とか、こういうような点についても一部実施をいたし、また今後も適時実行を推進しなければならぬと考えております。そのほかにもまた路側駐車規制あるいは路上あるいは路外有料駿東場を設置するというような方法もまた考えられておるわけでございます。  かような措置は講じ、また今後も講じなければならぬのでございますが、こういうような点におきましても、ここに資料にございますように、その交通許容量は一〇%あるいはせいぜい二〇%程度増加を来たしておるという状況であるということに相なるわけでございますが、一方交通量年平均増加率は、毎年一五%程度増加が予想されますので、こういうような施策は講じてみまするものの、そういうものは、二、三年をして、そういう施設は直ちにまた満度に達するというような状況で、あくまでこれらの施策はやはり応急的な弥縫的な施策の範囲を出ないというような都心交通現況であるのでございます。  その次にはもう少し基本的な、そうしてまたもう少し恒久的なものとしてよく一般にいわれており、また各国大都市交通機関の実態からも見まして、路面電車を廃止したらばいいじゃないかという問題が出て参ります。そうしてまたこれを地下鉄への転換あるいは他のバスあるいはトロリー、そういうようなものの転換施策をしたならば、解決ができるではないかという御意見等もしばしば伺うのでございます。そういう点についても一応の検討をいたしておるわけでございますが、たとえばバスにかえる場合でもその輸送人員輸送能力というような面におきまして、電車一台についてバス二台あるいは三台を必要とするというようなこと、あるいはまた技術上の面からいいますならば、たとえば銀座通りというようなところにバスを切りかえるといいましても、あの電車には系統が、数系統電車が入っておりますので、そのうちたとえば一系統だけをバスに切りかえても意味のない、あるいは非常に技術上困難を伴うというようなことがございまして、ああいうような交通処理をしなければならぬ大事な場所に限ってかえって全体的、包括的あるいは少くとも同時に近い状態解決をしていかなければならぬというような技術上の問題もあるわけでございます。もちろんこれに切りかえるためには相当な経済的な資金面を要することはいうまでもないのでありますが、そのほかに、さらにはこの切りかえによって、たとえば交通局が一応バスに切りかえるというような考え方を研究しておるようでございますが、そういうような面についても対利用乗客に対しましてはすぐ料金面解決というような問題もまた大事な問題になってくるわけでございます。ともあれ他の交通機関に切りかえをいたしてみましても、実はわれわれが願いといたしておりますところの交通能力増加というものに対しましては、僅々五、六年を出ずして、やはりまた現在の交通状態では、電車を撤廃いたしましても、やはり満度、飽和状態に達する、これは恒久的なものであるということを断言するにちゅうちょするわけでございます。もっと根本的な問題、しかも道路街路の行政を扱っておるわれわれといたしましては、根本的な問題といたしましてはどうしても道を新しく作ることあるいは道を広げること、そういうような道路規模拡張拡大をはかることこそ根本であるということは当然だと存ずるのであります。しかしこの問題につきましてはまた実施面において非常な困難な問題にぶつかっておるわけでございます。  今まで都内幹線街路あるいは補助線街路について、どの程度仕事ができ上っておるかということを御参考にまず申し上げますならば、この資料の六ページに表がございます。幹線街路出来形表というのがあります。ここに例といたしまして、放射線環状線の両者を取り上げまして、その合計が全延長において五百三・八〇キロあるわけでございます。そしてこれの計画幅員に対する出来形幅員割合を調べてみますと、ここに一〇〇%できたもの、八〇%以上、五〇%以上、五〇%米満あるいは〇%のもの、こういうようなものを表わしておきましたが、完全に一〇〇%できておるものは、五百三キロの中で百六キロであります。二割一分にしか当っておらない。またこの表の一番右にありますように、全然手のつけてない〇%のものは百二十三キロある。二四・四%。少くとも五〇%以上のものが五八・二%に当り、また五〇%未満の仕事量のものが四割一分八厘ということになっておる。きわめて大事な都内放射線理状線のごときにおきましても、実は五百三キロがこのような状態になっておる点を遺憾とし、かつ恐縮に存ずる次第であります。  さらにはまたその下に補助線街路竣工状況も一例としてあげましたわけでありますが、補助線街路におきましても五百四十一・六五キロでありまして、竣工したものが、もちろんこれは幅員出来形竣工ですが、それが六十四・一一キロだ。割合は一一・八%。補助線におきましてもまたこのような状況に相なっておるわけであります。  さらにまた区部状況を見ますと、この幹線街路補助線というようなものの路線の数が百八十六路線ございます。延長は約一千五十キロメーター。そしてこれに要する事業費が、驚くなかれ一兆円近くにも相なるわけでございます。現在の東京都のわれわれか責任を持ってしております事業費割合もってこの一兆円近くの仕事を完成するとすれば、少くとも数百年を要するというような状態に相なっておるわけであります。  こういうような状況の中で、首都圏十カ年計画を初めといたしまして、あるいは道路整備十カ年計画とか、都市計画十カ年計画、あるいは経済企画庁の五カ年計画、そういうような国の御計画の中における東京都の事業の仕方、あるいは先ほど申しました首都圏の基幹となる十カ年計画、そういうような仕事をもって、せっかく国の方も、また国会の諸先生の方におかれましても、いろいろと御鞭撻、御支持、御援助等を賜わっておりますけれども、いかんせん数百年をこの都市計画事業道路街路仕事を遂行するためには要するというような現状に相なっておるわけでございます。  そのような状況で、道路を広げたらいいじゃないか、道路を新設したらいいじゃないかと言いましても、実際財源的な面、あるいはその他機構的な面においてなかなか容易なわざでないというような実情下におきまして、これを解決する方策といたしましてどういうことを考えましたかといいますと、これは七ページの第三節に書いてあるのでございますが、要するに区部の中を環状六号線の内と外につきまして、この道路施策の行き方を変えたらどうだ、また変えるのが妥当だ、かように考えておるわけであります。要するに環状六号線以内の東京都の町のあり方は、やはり道路の面においてもいわゆる街路の形をなしておると言って差しつかえないと思うのであります。道路密度平均二〇%以上に相なっている形のものと、それからそれ以外の、周辺部分においては市街地あるいは街路というのには、全体をつかまえてみても、まだ道路密度五、六%程度を出ないので、この面に対する道路施策とは別な考え方をもって進んだらいかがかと考えまして、いわゆる中心部に属するところにつきましては、立体的なあるいは交差点のない道路構想をもってこの混乱している道路交通処理をするのが一番妥当な施策ではないかと考え、また周辺部分につきましては、やはり平面道路の拡張、新設、改修というような面をこの際はより進めていくのがいいではないかというので、こういうようにしたのであります。  ともあれ交通の混雑しているものは東京都の中心に属することはもちろんでございますので、われわれといたしましてはその緊急性にかんがみまして、中心部環状六号線以内の交通処理解決の策といたしまして、ここに都市高速道路立案をするようになった次第でございます。  この立案に当りましては、すでに各方面から識者その他経験者あるいはまた都民各位からいろいろと御示唆、御鞭撻をいただいておりますが、形の上におきましては二十六年から、この問題について予備調査予備測量をいたして参ったのでございますが、たまたま二十八年には、首都建設委員会から高速道路必要性ということについて御勧告をいただいておりますし、また三十二年には、東京都といたしましても国の御協力を賜わりまして、東京都市計画地方審議会の中に高速道路調査特別委員会を設けまして、この委員会中心といたしましてこの調査立案をすることになったのであります。その間におきまして、建設省からは都市高速道路基本方針というものを示していただきましたので、首都建の御勧告、それから建設省からの都市高速道路基本方針をもとといたしまして、重要なる資料といたしまして、このわれわれの調査立案の基礎として仕事を進めて参ったのでございます。九ページにこの首都建設委員会勧告が書いてございます。要するに平面交差をしない自動車専用道路計画し、かつ総合的交通網を達成するようによくその相互の連絡をはかり、そしてまた路線は高架、地下あるいは地上事用形式とし、幅員往復車線を分離してそれぞれ二車線原則として、スピードは最高六十、最低四十キロ・パーアワーを標準とするとか、その他取りつけ道路以外の場所では出入を禁止するとかいうようなことの御勧告をちょうだいしておるわけであります。また十一ページにおきまして、建設省基本方針を三十二年の七月二十日に相当詳しくいただいておるわけでございます。これにつきましてもやはり平面交差のない自動車専用高速道路であって、その一部には高速自動車国道を構成することもできるのだ、また有料道路とすることを建前とするとか、都心部から環状六号線とを結ぶ放射路とすること、あるいは各路線は一体として総合的な高速道路網にしろ、その他経過地に当っては不利用地、治水、利水上の支障のない河川、または運河を使用して、やむを得ざる場合だけが幅員四十メートルの道路に設置する、建前としては道路上には設置しないように、その他防火建築帯の造成の関係ともよくにらみ合せろというようなことでございますし、構造方式といたしましても高架式または堀割式であり、速度は六十キロを建前とする四車線車線数はするとか、こんなような点の基本方針の御指示をいただいたのであります。こういうような基本方式のもとに、われわれ調査特別委員会調査を進めて参りまして結論が出たのでございますが、その結論といたしましては十六ページにございますが、都市高速道路網計画案というものが出たのでございます。まず先ほど来申しましたように、この緊急性、早期に完成をする、こういうような建前から事業費を節減するとか、あるいは土地収用上の摩擦を極力避ける方式をとり、さらには公共用地公用地などの利用を極力はかる、そういうことを勘案いたしまして、まず土地利用状況をいいますと、十六ページに表がありますが、合計欄にございますように全体で六十二・五キロの延長を持っておる中で、河川に当る部分が二十五・五三キロ、割合にいたしまして四〇・八%、また街頭に当る部面が二十三・三五キロ、パーセンテージが三七・四%、一般宅地に当る分が十三・六二キロ、パーセンテージは二一・八%という割合になっております。特に一般宅地の中で民有地は七・二七キロメートルで一割一分六厘、全体の六十二キロの中で極力民有地を使うということを避けまして、一番多くを河川の面に持っていっておる。そうしてやむを得ない点について街路を使っておる。公有地の面についても一割近くをこの案としてはお願いしよう、かように存じておるわけであります。なおまた河川の二十五・五三キロの中で川床を通るのが六・三五キロ、川の上を通るのが十九・二三キロ、このように考えて決定を一応したのであります。  それでは起点、終点、経過地はどういうものかと申しますと、十七ページにその点がしるしてあるわけでございます。六十二・五キロの路線は八路線をとっております。そうして第一の場所品川区の東品川の四丁目から台東区の入谷町に至る間十三キロ、品川区の平塚一丁目から港区の海岸通一丁目に至るのが七・七キロ、第二号線につきましては分岐線を麻布の新広尾町一丁目から麻布の谷町の間の一・五キロの分岐線を持っておる。また第三路線におきましては渋谷区大和田町から千代田区の三宅坂、これが六キロ、第四路線が新宿区幡ヶ谷本町一丁目から中央区の槙町三丁目間か十・五キロ、これは分岐線がございまして中央区の本石町一丁目から中央区の兜町一丁目の間が〇・八キロ、また第五号路線では豊島区の池袋四丁目から千代田区竹平町の間が七・八キロ、第六路線は墨田区寺島三丁目から中央区兜町一丁目、これが六・二キロ、七路線は江戸川区小松川四丁目から江東区東両国の間六・一キロ、第八路線中央銀座八丁目から中央銀座一丁目白魚橋まで二・九キロ、こういうように八つの路線合計六十二・五キロのものを一応選定決定をいたした次第でございます。そうしてその構造は高架式掘割式、隧道式といたしまして、速度は六十キロ・メートル一時間とし、最低を四十キロメートルの速度といたしております。また幅員は四車線十六メートルを原則としておるわけであります。  基準断面につきましては、十九ページに図面をもって示してある次第でございます。  それでは、この六十二・五キロの八路線をするのに、お金の面でどのくらいかかるかという問題が、資料の二十ページ、第二節の事業費というところに書いてあるわけでございます。この表の一番右の方から二番目に、合計という欄がございます。その合計欄の一番下に六百四十七億一千九百万余円、これがこの事業に要する総額でございます。約六百五十億の金が必要になります。そしてその右側に、やはり十億三千六百万という金が示してございますが、これは一キロにいたしましては十億ですが、一メートルでは、その千分の一ですから百三万六千ですか、要するにこれだけの単位当りの金がかかって、六百五十億の資金総額を必要とする。この右の方は、いずれもそれの内訳でございますか、この内訳の中の一番上の欄に、築造費というのがございます。その築造費の計の欄の一番下に五百二十二億一千七百二十万円、要するに、この六百五十億の中で、築造費が五百二十三億円かかる。大部分の金がこの経費である、こういうことになるのであります。そして築造費というのは、もちろん建設直接の構造を必要とする高架あるいは河底あるいはトンネル、半地下あるいは橋の費用、そういうようなものの内訳がここに書いてございますが、要するに五百二十二億余万円というものを築造費に要するという次第でございます。またこの欄の築造費の左のところの物件移転費という欄の一番下の欄をごらんいただきますと、八百七十八という数字が出ております。これは移転棟数の合計でございます。これだけの事業をいたしますのに、移転棟数がともかく十棟以下であるという点については、やはりできるだけ民有地あるいは民家というような面において御迷惑を少くするという配慮をいたした一つの現われだと存ずるのであります。これらを総合いたしまして六百五十億かかりますけれども、さらにこの二十ページの事業費の、今の表の一番下の註の一番下の行に、高速道路の通過する平価の計画街路事業費百六十二億円が別途必要である、こういうことが書いてありますが、百六十二億円がいわゆる街路事業として、公共事業といたしまして、別にこの事業を遂行するためにはやはり必要になります。そうすると、この六百四十七億に百六十二億を足しますと、総計が八百九億円、全体の事業費が一応八百十億円程度の総事業費を必要とする、こういうことになるのであります。  そして、これの償還はどんな償還計画が立っておるのかということにつきまして、第二十二ページにその計画が立ってあります。この表はあくまで仮定の表でございます。すなわちこの通行料金は、一回一台当り七十円をちょうだいすると仮定する。また一応起債を充てたとして、その利子は七分計算をとってみる。そして三十三年度から三十七年度までの五カ年事業で、毎年五分の一ずつを投資をいたしまして、五年後に完成する。こういうような仮定計算の上に立てて参りますと、この表にありますように、大体二十一年目には、多少償還しても、なお余りか出る。こういうことで、一口に言いますれば、二十年間で償還が可能である、かようなことでございまして、事業採算の面から、一応仮定ではございますけれども、決してそういう面から見ても不利なものではない、かように存ずるのであります。  かように都市計画審議会人の特別調査委員会調査し、その決定を知事に報告をしたのでありますが、その調査委員会におきましても、決してこの案で満足しておるわけではございません。従って、かように決定し答申をしましたが、そのするに当りまして、やはり附帯意見をつけておる次第でございます。その附帯意見は十三ページにあるわけでございます。その附帯意見といたしまして、まず第一番目に、放射型高速道路は、将来区部周辺まで延長するとともに、これらの線路を結ぶ環状高速道路計画について検討する。なお特に一号線は羽田方面へ、六号線は陸羽街道方面へ、七号線は京葉有料国道方面へ延長することについては、引き続き調査審議の上追加決定する。また第二番目といたしまして、皇居の南側において、すなわちこの国会方面から、桜田門、日比谷、数寄屋橋を通って銀座方面に通ずる路線計画が、この計画には入っておらない。その点については、実際上、技術上非常な困難があるけれども、この路線はぜひほしいところなんで、これについても慎重検討をして結論を出すように、こういうような意見が第二番目であります。第三番目といたしましては、外濠と日本橋川を利用する区間については、神田川との治水上の関連を慎重に検討の上、可能ならば河床を通すことが望ましいが、困難な場合には高架式その他の方法をとるのもまたやむを得ない。第四番目には、この高速道路バスの運行をすることにいたしますれば、停留所の計画について十分配慮をすること。第五番目と第六番目は料金の問題でございまして、本米といたしましては、道路の性質上やはり無料であることが望ましいんだが、建設費を償還するまでは有料道路といたしたいし、またこの事業の建設には莫大な資金が要るようでありますので、特別の財源を確保するように考慮研究すること。さらに有料道路とした場合には、料金の徴収の仕方において交通上の流れを阻害しないような方法で料金徴収の方法を研究しろ。また第七番目といたしましては、この高速道路網は将来の激増を予想するところの自動車交通量の処理について、決して万全であるということは一言えないので、さらにこれと相並行いたしまして、一般街路の整備、都市計画街路道路等の改訂という問題を同時に研究、その促進をはかる方途を講ずるはかりでなく、環状道路の整備を急ぐとともに、交差点交通処理方式の改良について一そう研究し、また必要に応じては放射並びに環状高速道路の追加をも考慮する必要がある。さらにまた交通量の発生を促すところの高層建築物の処理方策についても十分検討をする。こういうような幾つかにわたりました附帯意見がついておりまして、この点につきましては逐次研究をいたし、またその一部についてはすでに多少結果もできておるようなものもある次第でございます。  この報告がなされまして、東京都知事はさらにこの点につきまして、関係諸官庁の方にももちろん平素からの御協力を賜わり、御指示をいただいておりますので、この報告を申し、またこの報告に対する御検討、御研究などもともども相願っておるわけでございますが、東京都議会といたしましてはこの報告を党派を超越いたしまして、全会一致をもちまして、これの推進方につきましてほうはいとしてその空気が現われて参ったのであります。その結果ことしの三月三十一日におきましては、高速道路建設促進に関する意見書、地方自治法第九十九条第二項の規定によりまして、内閣総理大臣、大蔵大臣、運輸大臣、建設大臣、首都圏整備委員会委員長、自治庁長官に意見書を出すことに決定を見たのでございます。すなわち、首都の自動車交通は近年とみに激増の一途をたどり……。
  4. 西村直己

    西村委員長 大体の御説明が済みましたら、あとまだ参考人かおりますから……。
  5. 藤本勝満露

    藤本参考人 このような意見書が出まして、この意見書の骨子は、首都の特殊性にかんがみ、自主的かつ強力な組織運営——要するに財政的にも機構的にも強力な組織運営をはかり、かつ急速に実現をはかれ、こういうような意見書をもとといたしまして、万全を期せられるよう各方面において格段の御配慮を賜わりたい、かような意見が出たような次第です。  長時間経過報告を申し上げましたが、まことにありがとうございました。
  6. 西村直己

    西村委員長 東京都の建設局長藤本さんから基本的な計画の御説明がありまして、あと参考人の方三名おられますから、順次なるべく短時間に御意見を承わりたいと思います。  次に日本道路公団計画部長藤森謙一君にお願いいたします。あと質問がちょっとございますので、それと見合わしてお願いいたします。
  7. 藤森謙一

    ○藤森参考人 日本道路公団の計画部長の藤森でございます。道路公団といたしまして、この都市高速道路に対しまして、どういう調査をやって参ったかということについて御説明申し上げさせていただきたいと思います。  道路公団は御承知通り、三十一年の四月に設立されたのでございますが、同年の十一月に東京調査事務所というものを設けまして、ただいま藤本局長から御説明がありました東京都市交通を緩和するために、都市高速道路有料道路として調査を開始いたしたわけでございます。それで三十一年度と三十二年度の二カ年にわたりまして調査をやって参ったのでございますが、どういう調査をして参ったかということをちょっと説明させていただきます。  三十一年度はとりあえず調査を五反田線——これはただいまの御計画にございましたが、五反田のところから国電を越しまして、芝公園を通って新橋から岩本町に行く線でございますが、これをまず調査を始めて、昭和三十一年度に三百五十万円程度の予算をもちまして調査を行いました。それから昭和三十二年になりまして、同じくこの五反田線の調査を続けると同時に、ただいま説明がございました京浜臨海線、つまり羽田空港と東京を結び、それからなおこれは横浜の方まで延ばす、こういう線の調査をやって参ったわけでございます。それでこの調査はどういう方針でやって参ったかと申しますと、これもただいま藤本局長が御説明しました資料の十一ページにございますが、建設省の方で昭和三十二年七月二十日におきめ願った東京都市高速道路に関する基本方針東京都市計画都市高速道路に関する基本方針、この方針に基きまして、有料道路として調査を開始いたしたわけでございます。  調査はどういう調査をやって参ったかと申しますと、交通量調査をやりますし、それから起点、終点、調査をいたしました。車がどこから出てどこに立ち去るかという調査をやりまして、たとえば五反田線にどの程度の車が乗るだろうかという調査をやったわけでございます。それから現在その線に乗った道路自動車を走らせまして、新しい道路ができた場合に、どの程度の経済効果があるかというふうな点を調査をいたしました。これを昭和三十一年に一部やったわけでございますが、三十二年に引き続いてやって参ったわけでございます。三十二年には同じような調査を続けましたほかに、京浜臨海線というものが、これも非常に早くやらなくてはいかぬということになって参りましたので、構想といたしましては芝のところから品川通りまして、東京都の港湾の方で御計画の埋立地を通りまして、羽田空港のわきを通り、それから多摩川を橋梁で越しまして、神奈川県の産業道路というものに乗りまして、横浜の方へ行くという線の調査をやったわけでございます。調査費といたしましては昭和三十二年度には約二千万円余の調査費を使ったわけでございます。それで現在東京都のされた御調査と一緒になって計画を立てておりますが、三十三年度から五反田線の一部工事を開始しようということで予算要求をやって参りまして、大体お認め願い、まだ最終的な決定には至っておりませんが、開始をできる準備になっております。  それから次に道路公団といたしまして五カ年計画東京高速道路のことをどう考えておるかということを申しますと、建設省の御指示で五カ年計画資料を作っておるわけでございますが、五カ年計画では、五反田から岩本町に参ります線のうちの、新橋までの部分を五カ年で完成する、これは延長が九キロ半でございまして、事業費約百十一億見込んでおります。これは五カ年間で完成する。それから臨海京浜線の方も、五カ年のうち、昭和三十五年度あたりから開始をいたしまして、羽田のところまではつなぐようにする、こういう計画を持っております。そのほかに調査といたしましては、先ほどの基本方針にもございました千葉の方と結ぶ、京葉道路とを結ぶという小松川線の方の調査に重点を置くということを大体五カ年の間に考えております。五反田線の調査は、ただいままでやりました調査では、五カ年で三十七年までに完成しまして、三十八年から開通するという計画を立てておりますが、初年度に普通自動車、小型自動車バスを入れまして三万五千八百台の交通量の予想をいたしておりまして、これが昭和四十一、二年になりますと六万三千台になりますが、大体四車線計画でございますので、六万三千台程度のものでマキシマムになる、こういうことで交通予想想をいたしております。これをもちまして六分の利率で三十年程度で償還するというふうな計画を一応立てております。これに基きまして予算要求をいたしまして、昭和三十三年度はまず五反田付近の用地を買収するという目的で予算要求をいたしております。  なおこの調査を通じましていろいろ問題点があるわけでございますが、問題点は、有料道路といたします場合に料金をどういうふうに取るかというような問題、それから上り口おり口をどこにきめるかという問題でございますが、この問題も東京都の御計画と大体合せまして、五反田線の方で申し上げますと、五反田から上りまして、ちょうど目黒からの電車線路がございます上大崎のところで上り口おり口を作る。次に白金三光町、天現寺のところ、慶応幼稚舎のわきを通るわけでございますが、あそこに一つ作る。それから芝公園に至りまして、芝公園に作ります。その次が新橋。ただいま五カ年で計画しておりますのは、五反田から新橋でございますから、六カ所の上り口おり口ができるという勘定になっております。  料金の徴収はどういうふうにしてやるかという問題は目下研究をいたしておりまして、ここで御報告申し上げるまでには至っておりませんが、諸外国の例をとりましても、都市高速道路を有料でやるという場合には、料金をどうやって取るかということが非常に問題になっておりまして、有料道路としてこの高架道路等を経営しておる例はまだ少いのでございますが、よほど自動的な取り方をしなければいかぬということ、それからよほどうまく設計をしておかないと、そこでせっかく高速度で走っておるものが何べんもとまらなければならぬ、こういう点に注意しなければいけないということをいわれております。この点につきましていろいろ研究いたしておりますが、ここで御報告申し上げるまでにはいっておりません。  きわめて簡単でございますが、道路公団における調査状況並びに問題点、五カ年計画等を御説明申し上げました。
  8. 西村直己

    西村委員長 次に経済評論家としておいでいただきました木内信胤さんに御意見を伺います。木内信胤君。
  9. 木内信胤

    ○木内参考人 私はまあ一般的な印象を申し上げるごとしかできないのでありますが、大体問題は二つに分れるのであって、それは、この都市計画都市高速道路網計画案というのですか、この案そのものについてという問題と、その背後にある一般交通問題、東京都の交通問題、この二つに問題は分れていると思うのです。そこで私は今までの御研究、調査に対しては非常に敬意を表しますし、その御苦心のほどはお察しいたします。それからだんだん問題はいいところへきつつあるというので、進歩ということは大いに考えますが、全体のその印象としては非常に深刻な不安にたえないという感じを持つのです。それはどういうことであるかと申しますと、根本的なところに問題がある、根本的な認識に問題があると申しますか、つまりこの問題そのもの、交通が混雑して困るという問題そのものの認識が果して十分かどうか。ただ困るからふやすんだというだけでこれは済むものでない。そこのところを、まだ問題そのものの認識、分析、理解というものが十分でないという感じをどうしても去り得ないのです。それからこの案そのものもそうですし、いわんや一般のもっと大きな問題になるとさらにそうですが、従来の考え方にとらわれている面が非常に多いというふうに思うのです。その二つの理由から、どうもこれらに対して安心感が持てないので非常に深刻な不安を持つということです。  そこで、今の二点について実例をあげて、どういうことを言うんだということを、詳しく申し上げる時間がないと思いますから簡単に申しますが、たとえば人口増加東京人口はこれだけ増加するんだ、自動車はこれだけふえるんだということから交通量を想定してどうのこうのということに相なりますが、その人口増加そのものですね、日本の人口増加は一九六〇年くらいを境としてまとまるそうでありますが、そのこともあまり認識されてないかとも思うし、第一、東京にばかり人口が集中するのはどの見地からいっても非常にまずいことではないのかというようなこともあるのですね。ですからそれらのことを十分考えた上のことであってほしい。しかしそれをいかに考えても、東京交通というものはもっと敏速になるようにせねばならぬということは言えるのでしょう。しかしながらそこらの点をもう少し分析研究してこないと、対策というものは本物にならぬのではないかと思うのです。つまり言いかえますと、都市集中、なかんずく東京集中ということを、将来の人口増加趨勢も全部考え合せて、どうなるべきかということを考えねばならぬ。今まではほんとうに無方策で放任されていた。国の姿も、明治以来敗戦までというものと、今後というものは非常に変りますから、そこらの点にもやっぱり分析があって、何らかそこにしっかりした見定めに乗らないといけないと思います。これは単に人口都市集中だけですが、その他そういったような根本認識についてもっと深く考えられたものでないと安心がいかない、こういうことになります。  それから第二点の、とかく従来の考え方にとらわれていると思われる点ですが、たとえばお金です。六百何千億、合せて八百億ですか、非常に大きなお金というような印象で語られておりますが、しかしこのお金というものは、なるほど大きなお金ではふりますが、交通か今日のようであり、今日よりもっと悪化するという問題は、毎日都民がそのために損をしているわけですね。自分では気がつかないけれども、金を払っていると同じことなんです。ですから交通がよくなればこのマイナスを解消して逆にプラスになるのですから、これは実はお金の多寡の問題ではないのですね。ですから金額が多いということをそうおそれてはいけないのであって、これは都民が理解しなければだめです。交通の整備状況が悪いということは、毎日金を払っていると同じことなんですよ。それならば何とかして資金を調達しそれを解消していけば、その償還費を税金で払うことは何ら差しつかえがないではないかというところへ持っていかなければ、とうていこの問題は解決しない。この高速自動車道が八本できたところでとうてい東京交通はどうにもならぬということは考えられますね。ですからこれは国民の頭と申しますか、都民の頭と申しますか、あるいは計画者自身の頭というものにも、非常な切りかえが必要と思うのです。今御説明を承わって、先ほども申しました通り、それに非常に敬意を表しますけれども、そこらの頭の切りかえというものは十分でない。たとえばさっき路面電車の廃止の話がありましたが、御説明ごもっともではありますけれども、それらは従来の考え方、つまりこれをバスにかえた場合、料金がどうなるかといったような御説明がありましたけれども、何かそこらの点は、非常に大きな問題があるにかかわらず、従来の考え方を抜け切っていない。これは随所に指摘できると思うのです。一例を申し上げるとそんなことです。これを要するに、この案は非常に広大な案のように見えますけれども、やはり必要に押されて作った、ほんとうの大きな見通しなしに、大きな解決案なしに、継ぎはぎ案という感じがするのです。これを作るだけでも大へんだと思うのですが、この継ぎはぎを重ねていくということは始末に負えないことになるだろうと思います。一体交通道路をよくすればますますそれにつれてふえてくるのですから、よほど考え方というものが根本において立て直らない限りは、とうてい満足がいく解決案にならぬと思います。それについてはもちろんPRが非常に足りないのです。PRが足りないはかりではないのであって、日本人の道路に対する意識が足りないのです。それでは外国はいいかというとそうでもないのであって、アメリカあたりも幾ら高速道路を作ってみても、やはり行き詰まるというので手を上げるという状態になっている。それでこの案なんかは、何かアメリカ式の道路を日本に持ってくれば解決するといったようなにおいがするので、これはやはり日本らしき解決というものも考えなければならぬのであって、この問題は非常に深いところからほんとうはやり直すべきものだ。これは現在、結局のところやはりこれがいいということに結論としてなるかもしれませんから、私は今これに着手することを不賛成するという意味ではありませんが、とにかくこれは一言にしていえば、非常に不安を感じさせるものだというのが私の感想であります。
  10. 西村直己

    西村委員長 次に、帝都高速度交通営団理事町田保さんどうぞ。
  11. 町田保

    町田参考人 私御紹介にあずかりました町田であります。先ほど藤本局長から高速道路必要性ということについて御説明があったのでありますが、私もそれについて一言触れてみたい。  一体街路交通が行き詰まっている、行き詰まっているというが、街路交通の行き詰まりはどういう点で判定するかということでありますが、われわれの間では街路交差点におきましてゴー・ストップのような交通整理方式の場合に、青い信号が出て、一回の信号でもってそこにとまっておる車が全部はけるという程度ならば行き詰まりとは言わない。ところがこれが一回の青の信号だけで通過し得ないで、二回目を待って初めて通過する、あるいは三回目になるという状態だと、これはすでに行き詰まりだ、こういうふうに私どもは判定しておる。そういった限界は数にしてどれくらいなところでくるかと申しますと、大体一方向二車線つまり四車線道路が相交差しておる増合に交通量が三万台、これは交差点に人ってくる車と出てくる車を二度に勘定しますから、自動車の実台数で申しますと一万五千台くらいになりますが、大体その程度になると、三十秒程度の一サイクルの信号では一ぺんに通過し切れなくなる、この辺をもって交通の行き詰まり、こういうふうに私ども見ております。それが先ほどこの資料について局長から御説明がありましたように、昭和何年には行き詰まるというふうに書いてあるのは、多分それと一致しておると思っております。三十何年度には三万台を超過していく、こういうことなんです。こういった場合に、交通の能率を上げますために、たとえばアメリカのワシントンなどでは街路交差点だけを立体化するというような方式をとっております。御承知のようにワシントンの道路網は斜線型で、碁盤の目にのっけて斜線がたくさん入れてあって、交通としては非常に便利な形にできている。しかし交差点だけが今言ったような問題がありますので、これを立体化するという方式で一応の解決をはかりつつあるようであります。しかしながら東京街路等になりますと、単に交差点が行き詰まっているばかりでなくて、街路そのものの幅も狭いのですから、交差点だけを立体化するというような方式ではとうてい満足な解決にならぬ。これはどうしても他の街路平面交差をしない立体的な街路が必要になってくるのであります。そういう点からも、東京としてはどうしても高速道路が必要であるという状態だと私は考えております。  それからただいま御説明のありました、東京都で立案されました高速道路網案でありますが、実は私も委員の一人に加えられましていろいろ審議に参加させていただいたのであります。多数の委員の最大公約数というような意味でこの案ができておりまして、現在の財政状況と申しますか、実力からいえば、この程度の案が一番妥当であろうということできまっておりまして、その点何ら異議を持っておりません。ただ審議の途中で私の意見として申し上げたこともあります。また他の委員から述べられた意見もありまして、もしかりに国なり政府なりがもっと実力があって、もっと理想なものを作ろうという場合にはどうなるかというようなことを——そういうような問題もあるということの意味で軽く聞き流していただきたいのですが——ちょっと申し上げますならば、この高速道路網案の中で既設の街路もしくは計画街路の中の中央部に高架構造を作るという部分が相当あるのであります。断面図が十九ページに示してありますが、こういう形になる部分が相当ある。それは先ほど御説明になった資料の十六ページに、計画街路の中に設置する部分が一万六千百五十メートル、パーセンテージで言うと二五・八%である、こういう数字か出ておるのでありますが、これよりもしもっと理想案を作るということであるならば、このパーセンテージを減らすことはできないか。つまりこの二五・八%というのは、現在ある道路を相当に拡幅いたしまして、そしてそのまん中へ高架道路を作る、こういうことであります。たとえて申しますならば、現在二十五メートルの道路がある、これを四十メートルにするためには、十五メートル表を広げて、そしてそのまん中に高架構造を作る、こういうことでありますが、表道路を十五メートル広げる幅でもって裏通りに、あるいは二十メートルになりますか、あるいは高架道路の幅そのままの十五メートルでいい場合もあると思いますが、そういったような拡張をして、現在ある道路にはそういうものを作らないで裏へ作る、そして作った高架構造の下は建物として利用する、こういうふうなことができないものであろうかというようなことを意見として申し上げたことがあるのです。そういう点は、この案について今後実施に当って若干研究を要する問題じゃなかろうかと思います。  それからもう一つの問題でありますが、これは先ほど藤本局長から御披露がありましたけれども、十三ページの附帯意見の(2)であります。皇居の南側において国会方面から銀座方面に通ずる路線、つまりこの付近から銀座方面に直接行くルートが選定できないものであろうか、こういうことが非常に問題になったのであります。現在の案で申しますと、日比谷あるいは新宿方面から来た系統は一応神田橋方面に迂回して都心に達する、こういう計画になっているので、ちょうど国鉄の中央線がお茶ノ水を回って東京駅に入っているというような形にやや似ている。これは路線の選定が非常に困難であるということで、やむを得ないことを一応了承し、今後検討することにいたしたのでございまして、もしも蛮勇をふるってやるということになれば、たとえばこの付近から銀座方向に向っていく路線に高層建築物かあるならば、その横っ腹に穴をあけて高架道路を通す、そういうようなことができるならば、この案は非常にいい路線網になるのではないか、この二つが私が委員会でも申し上げたことであります。  それから最後に、道路公団はすでに一部東京—大阪間の高速道路の工事に着手しておられますが、自動車交通量というような点から申しますと、都市内の高架道路が都市間の高速道路よりもおくれて着手されていいという理由は少しもない。むしろ優先してもいいんじゃないかと思われるほど交通量の面から申しますと多いのであります。何とか早く高速道路が実現に至りますことを私は強く希望いたしております。
  12. 西村直己

    西村委員長 参考人の方には御苦労ですが、続いて質疑を続行いたしたいと思います。質疑の通告がありますから、これをお許しいたします。久野忠治君。
  13. 久野忠治

    ○久野委員 ただいま四人の参考人の方からいろいろ御意見を拝聴いたしたのでございますが、特に東京都の建設局長の藤本さんから詳細にわたる高速道路調査特別委員会勧告案についての内容の御説明がございました。この案の内容を中心にして二、三お尋ねをいたしてみたいと思うのでございますが、今にして私たちが想起いたしますことは、このような勧告案の内容がどうしてもっと早く出なかったかということでございます。今日交通需要が限界に達しておることは衆目の見るところでございます。こうした点から一部経済人がこれに目をつけまして、御存じの通り新橋—京橋間に東京高速自動車道路の建設が計画をされ、目下この事業が進行中でございまするが、数年前に計画されたこの事業が今もって完成をしないのであります。しかも当建設委員会におきましては、この高速自動車道路の建設については多分な疑惑の目をもって見ておりまして、そうしてこの内容についても幾多の質疑が発せられました。そのとき——この問題には関係ありませんけれども、重要でありますから一つお尋ねをいたしたいと思うのであります。その際私が質問をいたしましたことはこういうことでありました。その下部の利用は一体何にするかという質問に対して、当時の東京都の副知事——名前はちょっと忘れましたが、副知事はこう答えました。倉庫もしくはガレージに利用する、こう言ったのであります。万一その利用目的が変った場合にはどういう処置をとるかという質問に対して、撤去を命ずる、こう言いました。それからもう一つ、この都市計画全体からいって、下水あるいは雨水の排水のための重要な都市水路であるから、これは残しておくべきではないかという意見もそのときに出たのであります。その質問に対しては、地下はいわゆる水路として残しておくように設計をされておる、万一それを埋め立て等にする場合があれば、これまた当初の設計に反するものであるから撤去を命ずるということを、現に当委員会で言明をされたのであります。それは当時の建設委員会の速記録をお調べになればよくわかることでございます。ところが今日でき上りましたものを拝見いたしますると、堂々たるキャバレーができたり、あるいは飲食店ができたり、事務所ができたり、倉庫というのは名ばかりで、今ガレージなどというのは名目的に一、二カ所あるだけでございます。それから私たちが指摘をいたしましたように、地下の水路はすでに埋め立てをいたしてしまいまして、そうしてこれを地下の倉庫に利用しようといたしております。そうして莫大な利権を握って、東京都の交通難を緩和するという美名に隠れて利権のちまたにこれがなろうとしていることは、衆目の見るところであります。こういうふうにこれらの諮問題が提起をされました際に、私たち自身が当建設委員会においてそういう点を追及しているにかかわらず、今もってこれが御処理をならない。どういうような御処理をなさ言ったか、きょうはここではっきり建設局長にお尋ねをいたしたいのでございます。そういうような無方針、無方策でまたもやこんな膨大な計画をお出しになって、これがまた利権に利せられるというような事態が起きはしないか。そういうことを私たちは心配をするのでありますから、まずその点についてどういうふうに御処理をなさったか、それをはっきりお答えをいただきたいと思います。
  14. 藤本勝満露

    藤本参考人 まずどうして早くこのような計画を出さなかったかという点が第一点のように存ずるわけでありますが、その点につきましてはまことに御同感で、御指摘の点についてかえって恐縮に存ずるわけでございますが、東京都の実態といいますか、財政を初めといたしましての諸般の機構の状態、それらの関係が、ここ十二年前後たちましたが、戦災の復興、復旧、こういうものを中心といたしまして、すべての事業がまずその点を中心として起ったのであります、またその処理に専念をしているわけでございますが、その復興、復旧の中におきましても、御承知のように首都圏整備事業というものを特に大きく抜き出しまして、この点を計画的にりっぱな東京の形に持っていこう、こういうような処理の中で二十項目以上もの問題を上げまして、その問題の計画を立ててきたのであります。先ほど申しましたように首都圏の重要な項目の中におきましても、この勧告は具体的には十八年になさっております。しかしその必要性につきましては、早期からこの点に着目し、早く処理をしなければならぬということについては、実情といいますか、東京都の実態がそこまで及ばなかったことを遺憾に思い、恐縮に感じているわけでございますが、おそまきながら今日におきましてもこの仕事を取り上げた以上、先ほども御指摘がありましたが、早く根本的な、恒久的な——これでまだ十分満足すべきものではないことは承知しておりますが、ともかく相当の効果のある、交通処理の上において利益のあるこの仕事を取り上げていきたい、かように存じております。  また現在やっている高速道路の問題につきまして、この点長年にわたりましていろいろな紛議を各方面に及ぼしましたことについては、東京都といたしましても、またそれに関係する一員といたしましても、恐縮に存ずるわけでございますが、御指摘の下部構造利用の仕方につきましては、当初からたしか計画なり——当初の構想と、それから現在東京都議会の議決を経た会社との間の契約をもとといたしまして、下部構造利用等について承認を与えているわけでありますが、その契約をもとにいたします点に関する限りは、もちろん倉庫、ガレージはけっこうでございますが、事務所も店舗も認められる契約内容になっております。ただ風紀上、あるいは都市の美観とか都市の風俗、そういうような問題にかかわるような態様のものはこれは容認できないが、その他のものはできる、こういうような契約——契約書を持って参りませんが、そういうような事柄になっておるわけでございます。従いまして倉庫、ガレージ以外のものを撤去するという気持はただいま持っておりません。  それから下水、雨水の排水、埋め立ての問題は、会社との間の契約を基礎といたしまして、やはり東京都か埋め立てをし、そしてその埋め立てた土地の所有権は東京都のものである。そしてまた会社にはたしか年額三千万円と思いましたが、金額がちょっと明瞭ではございません、三千万円で会社に賃貸する、こういう契約になって、それから埋め立てを東京都でし、そして会社側に土地は貸す、こういう形ですでに進められております。当初の構想、計画あるいは初めの進め方はそのようになっていたかもしれませんけれども、現在においてはその点が変ってきておる、かような状況でございます。
  15. 久野忠治

    ○久野委員 私がどうしてその問題を今日持ち出したかと申しますると、都内における高速自動車道を建設する場合に、当然下部構造を高度に利用するということが考えられるのであります。またそれによって一部償還財源に充てるということも考えられるし、また当然そうあらなければならぬと思う。そういう際に疑惑を持たれるような運営があってはいかないから、私はその例としてお尋ねをいたしておるのでございます。ただいまの局長の御答弁はそれは違っているのです。現にここで副知事の申されましたことは、二階は事務所に利用する、それから一階はガレージもしくは倉庫だ、地下は水を通すのであるから、地下は利用しない。万一その利用目的が変った場合には工事の中止を命じ、撤去を命ずる。現に明らかに速記に残っております。当時の速記をお調べになればよくわかります。その契約書の写しも私たちは持ってここで議論をいたしたのでありますが、それが今日現に飲食店やキャバレーになっておるじゃありませんか。御存じないと言うなら私が御案内をいたします。現になっておる。そういうふうに利用目的が変っておって、しかも契約書の内容が明らかに変っておるにかかわらず、その処置をもようなさらぬというようなことで、これだけの御計画がりっぱにできるとお思いになりますか。私は先ほど前提に申し上げましたように、これだけ膨大な計画でありますから、将来疑念を持たれるような事態が起きてはいかないから、私はこのことを申し上げておるのであります。そのことについては議題からはずれて起りますから、ここでは強くは申しませんけれども、どうか一つ当時の速記録をよくお調べになりまして、しかるべく東京都においてこれは御処置をいただきたいと思うのであります。御存じの通りあれは公有水面の埋め立て許可を会社がとりまして、会社の手によってあの事業は経営しているのであります。東京都はその埋め立て許可をしたにすぎないのであります。わずかに水面使用料を三千万円とっていると言っておられますが、私の記憶では、確かではありませんが、そんなにたくさんとっていないと思います。ごくわずかな水面使用料金をとって、そうして一坪当り多いところでは三十万円ぐらいの権利金をとっております。莫大な権利金をとってしかもその使用料をとる、こういうように大きく利権化しようといたしておりますから、どうか一つこれから高速自動車道建設に当っては、このような点を十分御注意いただきたいのであります。  それから次にお尋ねいたしたいことは、先ほどの御説明にありましたように、日本道路公団におきましては、東京高速自動車道の計画調査が始められまして、現に三十三年度からは五反田線の一部の事業着工にかかりたい、かようにおっしゃるのでございます。それで現在あります道路公団という機構でその事業が始められているのでありますから、私は現在の機構を高度に生かして、その事業を進めるのが妥当ではないかという意見を持っている一人でございますが、その事業主体をどこにするのが最も理想的であるか、その点について御意見があればお伺いをいたしたいと思います。
  16. 藤本勝満露

    藤本参考人 この事業を取り上げて具体的に実施する場合について、一そう明朗さを持って、御疑念等の起きないような措置については、東京都といたしましても一段と注意をいたします。  それからまた、これを運営する面においての機構的な問題についてのお言葉が第二点としてございましたが、この点につきましては、目下役所同士といたしましては、建設省東京都等を中心といたしまして、あるいは首都圏委員会等を中心として、これについての検討をいたしておりますが、さらには道路公団との関係も十分考え、そうしてまた国会の関係していただく諸先生等の御意見、お力などもいただいて、これの機構については、先ほど申しましたように、財政的の見通しのある、しかも早期に完成をこし、願わくは東京都としては東京都の自主性を十分盛り込んだ機構の上において、責任を持ってこれをしたいという希望を持って、そういう点が取り上げられた機構にできればと、かように存じているわけであります。今直ちにこれはどういう方法だということについては——せっかく関係者において協議中の段階でございます。
  17. 久野忠治

    ○久野委員 こういう事業は公共事業で行うのが私は理想的だと思う。財源措置さえしてやれば幾らでもできるのです。金さえあればできるのですから、いわゆる国の公共事業費の予算をもって、無料でこの高速自動車道を建設するというのが最も理想的だと思いますが、現在の日本の財政上からいってそれが許されぬということから、いわゆる有料道路制に基く高速自動車道を作ろうというのでありますが、そういう際に、現在日本道路公団という機構があるのでありますから、この機構、技術、こういうものを最大限に生かして、その機構の中でいわゆる高速自動車道——東京—大阪間とか、縦貫自動車道との関連性もあろうかと思いますので、その機構については、やはり現在の機構をそのまま生かすことが適切ではないかという私個人の見解ですが、これについて道路公団の方はどういうお考えでありますか。
  18. 藤森謙一

    ○藤森参考人 ただいまの久野先生の御質問でございますが、道路公団といたしましては、この程度仕事は、施工命令をいただきましたらば、やれるというふうに考えております。
  19. 久野忠治

    ○久野委員 それから東京都の建設局長さんはどうお考えになりますか。
  20. 藤本勝満露

    藤本参考人 道路公団の御意見もちょっと片りんを伺いまつしたけれども、この点については、われわれとしては都心部交通というものの解決ということを考え、しかも首都圏の中でもあるいは東京都の中でも、これは部局的、地方的な問題でございます。こういうような問題と道路公団の仕事、全国的な視野においてこれをやるということの基本的な考え方の問題なんです。しかし能力的には、もちろん道路公団がその力を持っておりましょう。しかしまた、別途財政的な面もありましょうし、われわれは現在の市外街路高架に持っていくという基本考え方の上から、附帯的には国道なり縦貫道路との連絡ということが関連として出てくる、結果として出てくるということはもちろん考えますけれども、あくまで主軸は市内、東京中心部交通処理方策をいかにするかという点から、この問題を責任をもって処理に当りたい、こういう考え方でありますので、こういう点につきまして目下、先ほど申しましたように、十分関係方面とお打ち合せをいたしまして結論を早く出したい。われわれといたしましては、考え方としては東京都営の案もありましょうし、あるいは今の道路公団の経営する案もありましょうし、さらにまた別法人でこれをすることが一そう適切であるというような考えもありましょうし、これらの点について、われわれとしては、特に別法人の問題等について深く思いをいたして、結論を早く出したい、かように考えております。
  21. 西村直己

    西村委員長 木崎茂男君。
  22. 木崎茂男

    ○木崎委員 先ほど木内先生の自動車高速道路を含む今日の交通事情に対します本質的な問題を承わりまして、私もまことに同感で、一体数年後の東京交通の問題がどうなるだろうかということを憂えておる一人でございますが、本質的には、なるほど先生のお話がありましたように、私は都心に入ってくる周辺の入口というものを規制しないでおいて、それで都市交通解決をやらせるということは、なかなか本質的の問題としてむずかしい、そこに非常に心配か出てくると思うのでございます。けれども今政府の方は、二年ばかり前でございますが、首都圏整備法によりまして、これも非常に弱体でございますが、とにかく周辺から入ってくる人間を外側の地帯に、衛星都市と申しますか、市外地開発をやって、そこに工業を分散するなりなんなり、なるべく都心へこれ以上交通を輻湊させないように、人の集まるのを防いでいこうという一つの仕事が、ぽつぽつでございますが、動き出してきたのでございます。そこで私は、そういうことをやりながら、同時に首都圏整備の重要問題として、やはり自動車高速道の問題を何としても取り上げなければならぬ。それと例の地下鉄の問題でございます。それでこの案が、東京都で立てました案が、そういう本質論からいけば幾多の問題もあるし、不十分なものであるかもしれぬけれども、これさえもやらなければ、一体大へんな事態がくるんじゃないだろうか。六年後にオリンピックの招致という問題が国会でも相当うるさく取り上げられてきておりますし、国民もこの辺でオリンピックを招致してみたいという意慾を持っておられるのですが、そういうやさきに、今のまま放任しておいて、六年後のオリンピックを迎えたということになりますと、これは全く大へんな事態が起きるのじゃないかと思うのでございます。そこで先生に一つ承わりたいと思いますことは、今御質問がございました事業主体の問題にも関連すると思うのですけれども、現実にこれはとにかく数年間のうちに積極的に解決をしなくちやならない。案としてはなるほど理想的なものじゃないけれども、これをやっていくことが、やはり現実問題としては焦眉の急じゃ、ないか、こう思いますので、そうだとするならば、現在の国家財政の中で、一般公共事業でこれを取り上げる、あるいは現在の道路公団の五カ年計画の千五百億円の中でこれを取り上げるといたしましても、これは現実上不可能じゃないかというふうな考え方を私はするわけでございます。そこで東京の中にはいろいろな事業主体があるわけですが、経済の中心が集中しているわけでございますから、私はもっと一般の経営者というものが、先ほど先生が御指摘になられたように、いずれも大きな工場等では自動車も相当持っておりますし、日常これらのものを利用しているわけですから、こういうものが、今日の混雑でゴー・ストップにひっかかって、そのつど自動車をとめなければならぬ。時間的にも、ガソリンの消費量からいっても、いろいろの面で莫大な犠牲を払わされていると思うのです。ですからそういう点が世論として起きて、私どもも努力しなければいかぬと思いますが、社会的にそういう世論が相当強く起きて、経済界あたりに積極的に協力させる態勢をとる、そういう態勢をとることがこの問題の解決に非常に早道じゃないかと思うのです。それにはやはり一般公共事業ということでなく、国全体から見れば、局限されておる地域内の問題でありますから、一つのそういう東京の経済の力を利用する、あるいは東京都の財政の力を利用する、そういう角度でこの問題を取り上げていかないと、現実に日本の国家財政の中で今の道路公団の方式でそのまま進んでいく、あるいは東京都にやらせるというようなことでは、とても私は解決つかない、民間の資金というものを、経済界の協力というものを、積極的に世論を喚起して仰がなければ、なかなか解決しないのじゃないかという感じがいたしますが、そういう点について、特に先生のお立場から何か御所見がございましたら、一つ承わっておきたいと思うのでございます。
  23. 木内信胤

    ○木内参考人 最後に機構問題にいくのでしょうが、これは道路公団がいいとか、東京都がやっては悪いとか、そこまで話を進める前に、先ほど私が申しましたことをちょっと敷衍さしていただきたいと思いますが、最後に結局のところはこういう案をやることになるのかもしれぬと私は申したので、これをやらないでいいとは考えないのです。しかし、これをやるにしても、それは大きな確固たる計画といいますか、全体の大きな解決を含んだものの一環だという見定めの上にやってほしいと思うのです。それがないと、さっきの言葉を言いますとパッチワーク、さっきは継ぎはぎと申しましたが、こればパッチワークで、継ぎはぎだから、かえってまずいことになりはしないかと考える。今首都圏整備のお話か出ましたが、その前にもっと進めるべきじゃないかというお考えかとちょっと想像したのですが、その首都圏整備そのものが私は一つの継ぎはぎ案にすぎないと思うのです。それは何といっても東京人口がふえて困るからということが出発点なんです。なぜ東京人口をふやすのだ、ふえる方がいいという結論でふやすならいいのです。ふえて困るからというのであとを追い回しているからいやなんだ。交通問題は日本は特に悪いのですから、これは今ほんとうに思いをいたして、国民かよく理解をもって、それで逆に先手を取っていかなければ、あとを追い回していてはとてもだめです。こういうものを作りますと、私のおそれるところは、露骨に申しますれば、便利にすれば人がその沿線によけい集まるのです。それは私、国鉄に関係しておりますが、何よりもはっきりした例は中央線です。あの甲武鉄道というものが昔あったおかげで膨大な人口があそこに集まった。便利にすれば必ず集まるのです。だから、これを作ってそこに人や店やあるいは工場か移転するようになったら、ますます輻湊する、一ぱいになる。これでは私は解決ではないと思う。ですから大きくいえば国の姿、国の人口配分、小さくいえば東京人口のあり方というものをこうするのだ。これは能率もいいし、住んでも気持がいいし、いいからこうするのだという見通しでこれを立てなければ、今大へんだからそこへ作るといったら、ますますそこがこんできて大へんだと思うのです。私はこれは大き過ぎることを申すようですけれども、さっきちょっと触れたように、日本の人口というものはそうこれからむやみにふえるものではない。むしろ減ることを心配する時代がくると私は考えているのですが、その中で東京に集まるということは、首都圏整備法を作ってここで集まるのを防止するのではなくて、いなかというものをもっとよくしたらいいのじゃないか。たとえば一つの模範国はドイツだと思うのです。ドイツは、連邦制であったせいもありますが、各地に、日本から見れば中型ですが、百万を少しこえるかこえないかの都市があって、それで実にあらゆる意味でどこと比べてもみんな劣らない。特にベルリンがいいわけではないのです。そういう姿に日本はなるべきですし、そうなることが、単に東京がはち切れるようになるのを防ぐばかりではなくて、日本全体の姿としていいのじゃないですか。そういうふうにものを考えれば、総人口はそうふえないのですから、日本の人口配分の処理というものはできない話ではないと思うのです。東京都自身について言えば、東京都は今の人口から減りこそすれあまりふえないということが私はいい状態と思うが、その中においては人はもっと活発に動くべきなんですね。だから交通量は、人がふえないにかかわらず、ふえるんだろうと思うのです。交通量はもっとふえねばならない。もっと動きやすくしてやる方が生産が上るわけなんですね。ですから、そうやるべきだと思うのです。その点の考え方は、例の東京港の埋め立て問題ですが、近ごろ二、三の方が晴海埠頭から富津の州へ向って、その東側ですか、あれを全部埋めてしまえ、そうすると今の東京の市街地より広いのだ、そこへほんとうに都市計画をして、初めから立体交差にするなら立体交差にする。たとえばパリのボア、パリに大きな森がありますが、ああいったようなものを初めからちゃんと作るのだといったようなことを近ごろ言われる方があって、これはいきなり賛成するわけにも参りませんけれども、構想というものはそのくらいのことを織り込まなければ、東京というのは片づかないと思うのです。今の埋め立ては晴海埠頭のところで見ても、ずいぶん土地が余っているのであって、必ずしも埋め立てはよくないのですが、これは継ぎはぎで埋め立てするからああなるので、大きなプランに乗っかってならできるのです。そういう大きなプランを決定して、それに乗っかっていくとして、たとえば国鉄の汐留駅に操車場の大きなのがありますが、ああいうものはそちらに持っていってしまうということを含めて解決するのでなければだめです。これは総人口がそう多いわけではないが、もっと能率よく、真の日本の首都であるのみならず、アジアの首都と言えるかどうか知りませんか、世界的に東京はすばらしいところですから、それか能率をあげるためにはこういう姿がいいのだという案をきめて、それに乗っかっていかなければだめだ。これはあくまであとを追い回しているから、そこがきまらない以上は、いいものを作ればますますそこがこむのです。だから解決にならぬと思うのです。それが私の大きな考え方ですけれども、これはおっしゃる通り、さっきもちょっと申し上げましたがPRが足りない——というより日本にとって新しいものですから、ほんとうは思想が足りないのですね。ですから私が今申し上げたのは単なる思いつきですが、例のために申したので、そういうのがいいか悪いか知りませんか、そういう盛んな、大きな討議というものが、東京都民のみならず、国民の目の前で行われて、その結果何ものかが盛り上ってこなければならない。そういう大きな盛り上りがあるなら、私は財政というものを気にするのは工夫が足りないと思う。何でもやった方が能率が出るのですから、それを八百億が大きいとか千億が大きいとか、一兆が大きいなどといってはとうていお話になりません。日本というのはそう申しては何ですが、余談になりますが、日本は、国民はエネルギー過剰の国でして、だからいろいろな問題を起すのです。それをうまく動員すればそのぐらいのことはできるのだ・、と私は思うわけです。  大へん大ざっぱな話ですが、この辺で……。
  24. 西村直己

    西村委員長 何かお約束があられるようですから、簡単に……。
  25. 木崎茂男

    ○木崎委員 お忙しいところを申しわけないのですが、簡単にお伺いします。  今の先生のお話、私ちょっと疑問を持つのです。たとえば東京に入ってくる人間、首都圏の中の整備をやることは、むしろそこに人間をふやす、こういうふうにおっしゃられる御議論ですが、私は人口問題は二つの観点があると思うのです。それは一つは他府県から、いわゆる不便なところから、東京に行けば何とかなるといってなだれ込んでくる転入人口の問題、それからいま一つは昼間人口の問題なんです。通勤人口ですね。都心施設があり、働き場所があるから、周辺から六十万の人間が一日に入ってくる。山梨県一県ぐらいの人間が入ってくるのです。この入ってくる人間はどういう人間かといえば、いわゆる首都圏整備地域内の周辺、関東の周辺の府県なのです。東京の人間じゃないのです。よその人間が東京めがけて入ってくるわけです。それでも今先生の御指摘は、東北や北海道の、全国の不便なところから東京へ行けば食えるだろうという簡単な気持から入ってくる、交通が便利になるから入ってくる、文化的な施設があるから入ってくるということなんでしょうね。ですから私はやはり首都圏交通問題なり、首都圏の整備なりというものを取り上げる以上、どうしてもこの人口の本体が二つあるということを把握して、一つは全国的な未開発地域を育てていくということを大いにあげなければならないが、しかし昼間人口が入ってくるのは焦眉の急ですから、こういう問題に関連するのですから、それは首都圏の中に一つのプランを立てて、なるべく外回りのところへ衛星都市を作り、そこを政府が育ててこれを食いとめていくということでなければ私はいかぬと思うのです。その点はいかがでしょうか。
  26. 木内信胤

    ○木内参考人 おっしゃる通りだと思うのです。だからこそ全体的なことを考えてやれというのであって、私は大へん大ざっぱな、架空な夢物語みたいなことを申しましたが、だからといって焦眉の急に対策なしでいろというのではもちろんありませんし、それから首都圏整備のあのアイデアに盛られたものの中に、生かすべきものがないと言っているのではないので、大いにあるのだと思うのです。しかしそれは国の中の人口配分というものは計画的にやれるのだ、やらねばならぬのだという認識のもとに、結局はこうなるのだ、三十年先でもいいのです、五十年先でもいいのですが、そういう大きな施策面というものがある程度あって、それに乗って首都圏整備にしろ、この高速自動車道にしろ、なされねば、それは結局あとを追い回すことになって、ますます問題は悪化する可能性がある、あくまでもその点を申し上げたいのです。私はさっき申し上げた埋め立ての問題とか何とかいう大きな構想は、ただ頭の切りかえの便宜のために申したので、私はそれに特に執着するわけではありません。しかしそういうこともあるのですから、まず国民の目の前にそういうことに対する非常な大論争を展開するのでなければとうていうまくいかないし、その必要性というものはほんとうに迫っているのだと思うわけであります。
  27. 西村直己

    西村委員長 ありがとうございました。それでは久野忠治君。
  28. 久野忠治

    ○久野委員 ただいまのこの事業必要性については、皆さんからるる述べられた通りで、私たちはもちろんこれは同感でありますが、今の事業主体の機構の問題でございます。大体新しい事業か起きますと、すぐ新しい機構を作りたがる傾向があろうかと私は思うのであります。そこでその新しい機構を作るための必要性については、いろいろな理屈をつけて、そして次から次に膨大な機構になっていく、これが現在の日本のいろいろの事業の実情ではなかろうかと私は思うわけでございますが、そういう観点からいわゆるこの日本道路公団という機構では現在の東京都の自動車網の整備に当るには不十分だ、こういうように先ほどの御意見を私は拝聴するのでございます。そこで新しい機構、ただいまのお話によりますと、民間資金をも導入できるような機構、こうおっしゃいますが、現に住宅公団その他でも民間資金は導入し得るような制度になっておるのでございまして、また日本道路公団だとて民間資金あるいは外資をも入れ得るような制度にもなっておるのでありますから、その点は私は理屈にはならないと思う。議論しようとは思っておりませんが、そういう観点から、あくまでも現在ある機構の中で十分財源措置を構じてやることに専念すべきではないか、私はそう思うのでございますが、その点どうでございましょう。もう一度御意見を拝聴したい。
  29. 藤本勝満露

    藤本参考人 その点につきましてはいろいろ問題がございますが、とにかく御意見として十分しんしゃくをいたします。まだ東京都の意見としましても決定的のものがございませんので、今ここでもって意見を申し上げる段階でないのでありますが、ちょっと片りんといたしまして、やはり急速に自主的に、財源をより確実にという線の中では、別法人、特殊法人を作った方がいいんじゃないかといういう構想を主として持って考えを進めておりますが、御意見の点は、せっかくの御意見でありますから、十分検討いたしたいと思います。
  30. 久野忠治

    ○久野委員 他の質疑もあるようでありますからこの程度にいたします。
  31. 木崎茂男

    ○木崎委員 それでは私二、三この機会にお伺いしたいのですけれども、その実施上やらなければならぬということは、皆さんのお話を聞いても同感だし、また私どもの考え方もこれは同じ考えでございますので、それならばやる場合に現在の日本道路公団に財政措置をしてやらせるのがいいのか、あるいは別法人を作ってやるのがいいのか、あるいは東京都に思い切ってふん切ってもらって、これを主体に起債なり何なりをつけてやらせるのがいいのか、これは今後の問題だと思うのであります。いろいろ検討していかなければなかなか結論は出ないと思うのでありますが、ただ問題は、日本道路公団がかりにおやりになってもけっこうなんです。実際に六年後のオリンピックも来るか来ないかわからぬけれども、これは誘致をするために国会は全力をあげておるのですから、国民もこれを期待していると思うのです。そういうような単に本質上の自動車交通を緩和させるということと同時に、六年後のオリンピックの問題を例にとって申しましても、早急に解決しなければならない問題なんですから、そこで今かりにこの七本が妥当なものであるとするならば、日本道路公団の力においてやっていただけるならこれは問題ないのです。これは私どもは何をか言わんで、全面的に私どもも御援助をして解決できるようにあらゆる御協力をしなくちゃならぬと思うのでございます。ただそこで問題は、できるかできないかというところの考え方が、それぞれの立場に立ってみれば出てくると思うのです。  そこで私、道路公団にお聞きしたいのですが、千五百億円の五カ年計画をお立てになって、その中に大体二本くらいのものを七本の中でお認めになって、これをことしから着工しようという態勢になってきて起るわけでございますが、かりにこれが八百億かかるといたしまして、千五百億円の五カ年計画の中へそれを織り込むということは不可能だと思うのでございますが、何かほかに現実的にこういうことを道路公団がしてもらえれば実際にやれるのだというような確信の案がありましたら承わりたい。
  32. 藤森謙一

    ○藤森参考人 ただいまの御質問でありますが、現在八百億とした場合、道路公団で考えております千五百億の五カ年計画から相当はみ出すわけであります。これを五カ年計画の千五百億の中に入れてやるということは困難じゃないかと思います。しからばどういうふうにすれば道路公団が可能であるかということでございますが、現在五カ年計画の中に考えております百十一億と申しますのは、五反田から新橋まででございます。それから羽田線を約九十億程度と考えております。従いまして二百億程度東京コースを考えておりますが、これにはみ出す部分でございます。この六百億を五カ年計画のワクに追加していただければ道路公団としてはやってくいことができると思います。
  33. 木崎茂男

    ○木崎委員 ちょっと建設省道路局長さんに伺います。今日本道路公団側の御意見があったのですが、一体五カ年計画を修正して、この問題が重点的に取り上ぐべき国策上の問題であるということであるならば、五カ年計画の変更をいたしまして、そのくらいのものを追加して日本道路公団にやらせるというような御熱意はございますか。何かまた建設省としてはこういうような方法を考えておるというようなものがございましょうか、その点をちょっとお聞かせいただきたい。
  34. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 先ほど道路公団の方から御説明がございましたが、五カ年計画ではこのうち二本を取り上げておるわけでございます。その考え方東京を南北に一本貫こう。それで南の方には一号国道と十五号国道がありますので、それを北に連絡するようにしたらどうかというので、この二本を取り上げておるわけであります。従いまして今の五カ年計画の中でまかない得るものが、さっき申しました二本でございまして、その他の部分について、この五カ年間に全部とはいわなくても相当程度完成しなければならぬとなりますと、この千五百億のワクでは足りませんので、これは増さなければならぬわけでございます。この他の道路につきましてそういう要請があり、これが国家的に見てせひ必要だということになりますれば、五カ年計画の総体のワクを広げていただきまして、この高速道路実施することは、これは不可能ではないと考えるのでございます。道路公団は有料道路実施することを任務といたしておるわけでございますが、これらの高速道路有料道路として実施されることになりますれば、道路公団には資金の手当さえいただけばこれは実施可能と考えるのでございます。
  35. 木崎茂男

    ○木崎委員 これは町田さんにちょっと御関係もあるのですが、地下鉄の現在の構成というものは、現在の営団がやっておられるほかに今度東京都か一本首都圏計画によって始めることになるわけでございますが、それと同じような工合に有料道路自動車道路というものをやるのだという原則に立つならば、日本道路公団が全体的に統括をするのだ、しかし相当緊急性もあり、諸般の情勢からなかなか今日の国家財政で——私どもはよく将来の見通しも、国の財政の見通しもわかりませんが、なかなかこの五カ年計画の中へ六百億円というようなものを入れるということは至難じゃないかと思うのです。そこで私どものしろうと考えですけれども、日本道路公団が統括をいたしまして、それでこの地域の問題を取り上げる一つの別途のものを考えて、これに対して道路公団が統轄をするのですから、出資もしていく。それから地域内の東京都初め関係の府県の自治体もそういうふうなことでいくということは考えられませんか。その点建設省の方から……。
  36. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 今のお話の点でございますが、この高速道路の主たる任務は都市内の交通の緩和にございます。そして道路公団が集め得る資金といいますのは、政府から借り入れとそれから道路公団債でございますから、この都内高速道路をやることにいたしますれば、このワク内で従来まかなっておったものが、都内については別の資金が入ってくるのだということになりますれば、今のお話のような点が考えられると思うのでございます。この点につきましてはただいま建設省でも検討中でございますので、直ちにこれという御説明はできないのでございますけれども、以上申し上げましたようなことで、膨大な資金ワクでございますので、この資金ワクをどう獲得するかについては今後さらに検討を要することと思います。
  37. 木崎茂男

    ○木崎委員 それではこまかい点でちょっと伺いますが、起点と終点の問題なんです。東京都の計画では、環状六号に終点を落そうという大ざっぱな計画になって起るようですが、こういうように混雑してきて自動車高速道路を敷くところにいろいろな経費の問題も出てくるし、土地収用の問題も出てくるし、問題があるのですから、これは首都圏整備の近郊地帯に環状路線を一本入れようという計画かきまっておるのですから、いっそのことそこまで計画としては一応きめてしまうというくらいな構想ができないかどうか。  それから起点の方は、初めての計画で私どもよくわかりませんが、こういうものを作った場合に、自動車があの現在の中央の混雑のところから外に向って走るのですから、その自動車道路へ乗るまでの混雑というものを相当調査されて立案をしておられるかどうか、その点が二点であります。  それからこの計画では四車線になっておりますか、現在東京都が建設しておられるあの路線との関連性がどうなのか。実は東京都の現在の仕事を審議いたしましたときに、ちょうど私都議会の建設委員をやっておりましたので、あの当時のいきさつをよく知っているのですが、大体ああいう構想でいく場合には相当の収入が上るのだ、ですから自動車高速道路を全体計画の中で東京都は最初に取り上げるのだ、そこから相当の収入も上ってくるのだから、そういうものを全体的な計画の中の一環としてプールして、むしろ比較的収入の上らないようなところに回して、全体で一つの事業を進めていくというようなやり方でやるべきじゃないかということを、当時私は委員として東京都にただしているのです。これは全体の一環としてやるのだということだったのですが、一体今度考えておられる計画とそれと、どうマッチさせるのか、どう調整されるお考えを持っておられるのか、その点最後に承わりたいと思います。
  38. 藤本勝満露

    藤本参考人 近郊地帯の方面まで延ばす、あるいはその方面への環状線計画とマッチしてこの計画を織り込んだらどうかという点が第一点のように存じますが、先ほど言いましたように、中心部環状六号線というものを一応めどといたしましたのは、交通量の実態調査を何回かいろいろな角度でいたしました結果、その辺をめどとして、そして郊外の方面については、平面道路の面もまだもっと広げもし、また新設もした方が、現在の道路の能率を上げる意味においてはより先決であり、より大事だ、こういうような点で現在のところその方面についての検討を進めておるわけでございます。それからこれは都心の方面の交通状態が——そういうような広げる面ももちろん考えますし、新設もするのでありますが、非常な資金を要しますので、そういうような点を立体的に持っていこうということで、早期に完成するためと、それから交通量の混雑の度合いとに応じまして、この辺で適当だというのでこういう構想を練ったわけであります。  それから第二点は、起点なりそれに乗るまでの間におけるところの交通調査の問題、この点については審議会その他建設省各方面でいろいろ御意見等はありますが、一応の調査をしました。そしてその一応の調査の結果この案が妥当だ、かように存じております。  四車線路線との関連性ですが、これは関連性を十分考えておりますし、現在またこの関連において道路計画の再検討、再整備、再改訂をやっております。
  39. 西村直己

    西村委員長 この問題はきわめて大問題でありまして、また日本においても初めての問題でございます。そこで建設委員会側の方からきょうは積極的に参考人の方々においでをいただいたわけでありますが、将来におきまして、なるべく建設省あるいは首都圏あるいは関係御当局におきまして、建設委員会と十分連絡をとりながら——あまり問題が独走してしまうという形になりますと、その計画を検討するのにお互いの調整点が合わない場合が起ってばいけませんから、その意味できょう第一回の会合を作ったわけであります。特に委員長として発言させていただきますと、東京、名古屋、大阪三カ所を私も拝見しておりますが、大阪は八十メートル道路、名古屋は百メートル道路を持ちながら、東京においてはわずかに四十四メートルの道路しかないというようなことで、東京都の作成した都市計画あるいは道路網についてはきわめておくれておる。それからこれは今日私風評で聞いておるのでありますが、設計変更の認可もないうちに高速自動車の私営のやつが行われている。しかもこれは世間では利権道路と言っているということ、そういうことからくる都の機構、あるいはその行政の運営に対しての疑惑というものも世間に伝えられている。そこにこういう大きな問題を処理しなければならない。また今日新聞を見ますと、あのテレビ塔のごとき巨大なるものが、果してどういう行政経路を通ってあそこへできたのか、しかもそれが御存じの通り羽田空港のジェット機の出入には非常に危険であるというような議論も出ている。このような点から見ますと、これらの大きな問題を処理する運営機構、いろいろな問題が積み重なっていると思うのでございますので、十分今後時間を得まして、さらに国会側またそれぞれの所管の官庁の方面と連絡をとって、検討も加える時間を持ちたいと思います。  きょうは大へん短かい時間で恐縮でございました。この程度で、都内高速度道路整備計画に関する調査は本日はこれにて終りたいと思います。  また参考人の皆さんにおかれましては、長時間にわたってお忙しいところを御意見をいろいろ承わりまして、まことにありがとうございました。お礼を申し上げます。これにて散会いたします。     午後一時一分散会