○
藤本参考人 参考人に呼び出されまして
東京都の
都市計画、
都市高速道路網計画につきまして、この
立案の経過、また
立案をいたします
必要性、そうしてまた案の概要、そういうような点につきまして
東京都の立場から一応御説明を申し上げたい、かように存ずる次第でございます。
お
手元に
冊子が御配布申し上げてありますが、この
東京都市計画都市高速道路網計画案概要に基きまして順を追うてこの中の要点を御説明申し上げてみたい、かように存ずるわけであります。まずこの
冊子について第一章、第二章、第三章と分れておりますが、第一章におきましては
高速道路の
必要性の点を申し上げてみたいと思います。ただいま
委員長さんからもこの点には触れましたので、簡単に申し上げてみたいと思うのであります。
御
承知のように、
東京都の
人口は現在八百六十万をこえておる、また
人口は毎年三十万近くのものが
増加をいたしておる、このことが
基本になりまして
東京都の少くとも
物的施設の面におきましては、あらゆる面においてそのことから
緊急性、
必要性が生まれてき、またそれに対する
対処策に寧日ない次第でございますが、特にその中で
交通問題につきましてはきわめて緊急であり、また重要な問題であり、
都民の
日常生活あるいは
産業経済活動その他あらゆる
活動の面におきましてこの
交通問題がよりいい形になり、整備された
状態になることはきわめて緊切な問題であることは御
承知の
通りでございます。一例を申し上げますと、ただいま
委員長さんから
お話がありましたように、
自動車のごときは二十一年当時におきましてはわずかに二万台というものが、今日は十四倍に当るところの二十八万六千台、三十万台にも相なっておるというような
状況でございます。そういうような
自動車交通の
増加ということは、また他方におきまして
道路、
街路の
利用状況というものもまた
都民の
経済活動あるいは
生活活動の上において非常にふえて参りました。その結果はこの
自動車交通というようなものが、端的にいいますれば混乱を来たしておる、また
自動車それ自身の能率が非常に落ちておる、こういうような
状態を現出いたしております。この点は
都心部において特に顕著な
状態を来たしております。一例を申しますと、
都心部では
自動車の
平均時速が三十二キロ
程度になっておるものが、実際においては十五キロないし二十五キロ
程度に下っておる、あるいはまた
街路の一
車線の
交通能力というようなものも、一時間千合というものが
最低の六百台というような
能力状態に落ちておる、こういうような
状態におきまして特に
都心部の
交通問題につきましては早急にこれが
解決の
方法を立てなければならぬ、かように存じておるわけであります。
これをまた他の見方から申しますならば、
都心部の
交通の隘路になっておる点はどこかといいますれば、これは端的に申しますれば、
交差点の
交通状態、
交差点の
交通処理、こういうような問題が
解決され、めどがつくならば、この
自動車交通の問題は非常によい
状態に相なろうかと存ずるのであります。そこでこの
資料の二ページに、あるいは三ページにもございます
通り、あるいは四ページにまたがってあります
通り、この
都心部等の重要な
街路の
交差点の
交通状況を調べてみますと、たとえば二ページにあります
都心部の
場所におきまして、
現状のままで
交通能力が
限界点に達するとわれわれが
調査の結果見ておるものにつきましては、この
都心部について、
江戸橋のごときはもうすでに
限界点を越えておる。三十一年にその点に達しておる。あるいは田村町一丁目のごときも、あるいは虎ノ門のごときもこの
状態である。さらにはこの日比谷のところあるいは祝田橋、こういうようなところもすでに
充満度に達しておる。こういうような
状況で、これ以上
交通の量の
増加あるいはそれに伴うところの処置というものを緊急に処置しなければどうにもならぬ
状態に相なっておるという
状態でございます。これは一例でございますが、その他
都心部の各個所について、ここにその満度に達する
土地を示しておりますが、総括的に申しまして、この四ページの一番下に書いてあるわけでございますが、「旧
市域の
主要交叉点の
交通量は
平均して概ね
昭和四十年度には
限界に達し、
麻ヒ状態となる事が予想される」と、こういうような
都内中心部の
交通状況に
現状が相なっておるわけであります。それではこれに対しましてどういうような
施策を講じ、または今まで講じてきたかという点につきまして、第五ページ以下に書いてあるわけでございます。この第一項におきましては
応急対策を書いてあるわけでございますが、それには先ほど
委員長さんから
お話のありましたように、
交通整理方式の
改善、
右折交通の禁止あるいは
系統式交通標識の採用、これは一部
実施はいたしておりますが、今後さらに
改善推進すべきものと考えておるわけであります。さらには、このほかにまた緩急両車を分離すること、あるいは
白線内区画通行の厳守だとか、あるいはUターンの
規制とか、そういうような問題もあわせて考えられる問題でございます。また
交差点付近の
妨害物除去という問題につきましても、
安全地帯の移設とか、歩道の
車道化とか、あるいは
植樹帯の撤去とか、こういうような点についても一部
実施をいたし、また今後も
適時実行を推進しなければならぬと考えております。そのほかにもまた
路側駐車の
規制あるいは路上あるいは
路外の
有料駿東場を設置するというような
方法もまた考えられておるわけでございます。
かような
措置は講じ、また今後も講じなければならぬのでございますが、こういうような点におきましても、ここに
資料にございますように、その
交通許容量は一〇%あるいはせいぜい二〇%
程度の
増加を来たしておるという
状況であるということに相なるわけでございますが、一方
交通量の
年平均の
増加率は、毎年一五%
程度の
増加が予想されますので、こういうような
施策は講じてみまするものの、そういうものは、二、三年をして、そういう施設は直ちにまた満度に達するというような
状況で、あくまでこれらの
施策はやはり応急的な弥縫的な
施策の範囲を出ないというような
都心の
交通現況であるのでございます。
その次にはもう少し
基本的な、そうしてまたもう少し恒久的なものとしてよく一般にいわれており、また
各国大都市の
交通機関の実態からも見まして、
路面電車を廃止したらばいいじゃないかという問題が出て参ります。そうしてまたこれを地下鉄への転換あるいは他の
バスあるいはトロリー、そういうようなものの
転換施策をしたならば、
解決ができるではないかという御
意見等もしばしば伺うのでございます。そういう点についても一応の検討をいたしておるわけでございますが、たとえば
バスにかえる場合でもその
輸送人員、
輸送能力というような面におきまして、
電車一台について
バス二台あるいは三台を必要とするというようなこと、あるいはまた
技術上の面からいいますならば、たとえば
銀座通りというようなところに
バスを切りかえるといいましても、あの
電車には
系統が、数
系統の
電車が入っておりますので、そのうちたとえば一
系統だけを
バスに切りかえても意味のない、あるいは非常に
技術上困難を伴うというようなことがございまして、ああいうような
交通上
処理をしなければならぬ大事な
場所に限ってかえって全体的、包括的あるいは少くとも同時に近い
状態で
解決をしていかなければならぬというような
技術上の問題もあるわけでございます。もちろんこれに切りかえるためには相当な経済的な
資金面を要することはいうまでもないのでありますが、そのほかに、さらにはこの切りかえによって、たとえば
交通局が一応
バスに切りかえるというような
考え方を研究しておるようでございますが、そういうような面についても対
利用乗客に対しましてはすぐ
料金面の
解決というような問題もまた大事な問題になってくるわけでございます。ともあれ他の
交通機関に切りかえをいたしてみましても、実はわれわれが願いといたしておりますところの
交通能力の
増加というものに対しましては、僅々五、六年を出ずして、やはりまた現在の
交通状態では、
電車を撤廃いたしましても、やはり満度、
飽和状態に達する、これは恒久的なものであるということを断言するにちゅうちょするわけでございます。もっと根本的な問題、しかも
道路、
街路の行政を扱っておるわれわれといたしましては、根本的な問題といたしましてはどうしても道を新しく作ることあるいは道を広げること、そういうような
道路規模の
拡張拡大をはかることこそ根本であるということは当然だと存ずるのであります。しかしこの問題につきましてはまた
実施面において非常な困難な問題にぶつかっておるわけでございます。
今まで
都内幹線の
街路あるいは
補助線街路について、どの
程度の
仕事ができ上っておるかということを御
参考にまず申し上げますならば、この
資料の六ページに表がございます。
幹線街路出来形表というのがあります。ここに例といたしまして、
放射線と
環状線の両者を取り上げまして、その
合計が全
延長において五百三・八〇キロあるわけでございます。そしてこれの
計画幅員に対する
出来形幅員の
割合を調べてみますと、ここに一〇〇%できたもの、八〇%以上、五〇%以上、五〇%米満あるいは〇%のもの、こういうようなものを表わしておきましたが、完全に一〇〇%できておるものは、五百三キロの中で百六キロであります。二割一分にしか当っておらない。またこの表の一番右にありますように、全然手のつけてない〇%のものは百二十三キロある。二四・四%。少くとも五〇%以上のものが五八・二%に当り、また五〇%未満の
仕事量のものが四割一分八厘ということになっておる。きわめて大事な
都内放射線、
理状線のごときにおきましても、実は五百三キロがこのような
状態になっておる点を遺憾とし、かつ恐縮に存ずる次第であります。
さらにはまたその下に
補助線の
街路の
竣工状況も一例としてあげましたわけでありますが、
補助線街路におきましても五百四十一・六五キロでありまして、竣工したものが、もちろんこれは
幅員の
出来形竣工ですが、それが六十四・一一キロだ。
割合は一一・八%。
補助線におきましてもまたこのような
状況に相なっておるわけであります。
さらにまた
区部の
状況を見ますと、この
幹線街路や
補助線というようなものの
路線の数が百八十六
路線ございます。
延長は約一千五十キロメーター。そしてこれに要する
事業費が、驚くなかれ一兆円近くにも相なるわけでございます。現在の
東京都のわれわれか責任を持ってしております
事業費の
割合もってこの一兆円近くの
仕事を完成するとすれば、少くとも数百年を要するというような
状態に相なっておるわけであります。
こういうような
状況の中で、
首都圏十カ年
計画を初めといたしまして、あるいは
道路整備十カ年
計画とか、
都市計画十カ年
計画、あるいは経済企画庁の五カ年
計画、そういうような国の御
計画の中における
東京都の
事業の仕方、あるいは先ほど申しました
首都圏の基幹となる十カ年
計画、そういうような
仕事をもって、せっかく国の方も、また国会の諸先生の方におかれましても、いろいろと御
鞭撻、御支持、御
援助等を賜わっておりますけれども、いかんせん数百年をこの
都市計画事業の
道路、
街路の
仕事を遂行するためには要するというような
現状に相なっておるわけでございます。
そのような
状況で、
道路を広げたらいいじゃないか、
道路を新設したらいいじゃないかと言いましても、実際財源的な面、あるいはその他機構的な面においてなかなか容易なわざでないというような
実情下におきまして、これを
解決する方策といたしましてどういうことを考えましたかといいますと、これは七ページの第三節に書いてあるのでございますが、要するに
区部の中を
環状六号線の内と外につきまして、この
道路施策の行き方を変えたらどうだ、また変えるのが妥当だ、かように考えておるわけであります。要するに
環状六号線以内の
東京都の町のあり方は、やはり
道路の面においてもいわゆる
街路の形をなしておると言って差しつかえないと思うのであります。
道路密度も
平均二〇%以上に相なっている形のものと、それからそれ以外の、
周辺の
部分においては市街地あるいは
街路というのには、全体をつかまえてみても、まだ
道路密度五、六%
程度を出ないので、この面に対する
道路施策とは別な
考え方をもって進んだらいかがかと考えまして、いわゆる
中心部に属するところにつきましては、立体的なあるいは
交差点のない
道路構想をもってこの混乱している
道路交通の
処理をするのが一番妥当な
施策ではないかと考え、また
周辺の
部分につきましては、やはり
平面道路の拡張、新設、改修というような面をこの際はより進めていくのがいいではないかというので、こういうようにしたのであります。
ともあれ
交通の混雑しているものは
東京都の
中心に属することはもちろんでございますので、われわれといたしましてはその
緊急性にかんがみまして、
中心部環状六号線以内の
交通処理の
解決の策といたしまして、ここに
都市高速道路の
立案をするようになった次第でございます。
この
立案に当りましては、すでに各方面から識者その他
経験者あるいはまた
都民各位からいろいろと御示唆、御
鞭撻をいただいておりますが、形の上におきましては二十六年から、この問題について
予備調査や
予備測量をいたして参ったのでございますが、たまたま二十八年には、
首都建設委員会から
高速道路の
必要性ということについて御
勧告をいただいておりますし、また三十二年には、
東京都といたしましても国の御協力を賜わりまして、
東京都市計画地方審議会の中に
高速道路調査特別委員会を設けまして、この
委員会を
中心といたしましてこの
調査立案をすることになったのであります。その間におきまして、
建設省からは
都市高速道路の
基本方針というものを示していただきましたので、
首都建の御
勧告、それから
建設省からの
都市高速道路の
基本方針をもとといたしまして、重要なる
資料といたしまして、このわれわれの
調査立案の基礎として
仕事を進めて参ったのでございます。九ページにこの
首都建設委員会の
勧告が書いてございます。要するに
平面交差をしない
自動車専用道路を
計画し、かつ
総合的交通網を達成するようによくその相互の連絡をはかり、そしてまた
路線は高架、地下あるいは
地上事用形式とし、
幅員は
往復車線を分離してそれぞれ二
車線を
原則として、スピードは最高六十、
最低四十キロ・
パーアワーを標準とするとか、その他取りつけ
道路以外の
場所では出入を禁止するとかいうようなことの御
勧告をちょうだいしておるわけであります。また十一ページにおきまして、
建設省の
基本方針を三十二年の七月二十日に相当詳しくいただいておるわけでございます。これにつきましてもやはり
平面交差のない
自動車専用の
高速道路であって、その一部には
高速自動車国道を構成することもできるのだ、また
有料道路とすることを
建前とするとか、
都心部から
環状六号線とを結ぶ
放射路とすること、あるいは各
路線は一体として総合的な
高速道路網にしろ、その他
経過地に当っては
不利用地、治水、利水上の支障のない
河川、または運河を使用して、やむを得ざる場合だけが
幅員四十メートルの
道路に設置する、
建前としては
道路上には設置しないように、その他
防火建築帯の造成の
関係ともよくにらみ合せろというようなことでございますし、
構造方式といたしましても
高架式または
堀割式であり、
速度は六十キロを
建前とする四
車線と
車線数はするとか、こんなような点の
基本方針の御指示をいただいたのであります。こういうような
基本方式のもとに、われわれ
調査特別委員会は
調査を進めて参りまして
結論が出たのでございますが、その
結論といたしましては十六ページにございますが、
都市高速道路網計画案というものが出たのでございます。まず先ほど来申しましたように、この
緊急性、早期に完成をする、こういうような
建前から
事業費を節減するとか、あるいは
土地収用上の摩擦を極力避ける
方式をとり、さらには
公共用地、
公用地などの
利用を極力はかる、そういうことを勘案いたしまして、まず
土地の
利用の
状況をいいますと、十六ページに表がありますが、
合計欄にございますように全体で六十二・五キロの
延長を持っておる中で、
河川に当る
部分が二十五・五三キロ、
割合にいたしまして四〇・八%、また街頭に当る部面が二十三・三五キロ、
パーセンテージが三七・四%、
一般宅地に当る分が十三・六二キロ、
パーセンテージは二一・八%という
割合になっております。特に
一般宅地の中で
民有地は七・二七キロメートルで一割一分六厘、全体の六十二キロの中で極力
民有地を使うということを避けまして、一番多くを
河川の面に持っていっておる。そうしてやむを得ない点について
街路を使っておる。
公有地の面についても一割近くをこの案としては
お願いしよう、かように存じておるわけであります。なおまた
河川の二十五・五三キロの中で川床を通るのが六・三五キロ、川の上を通るのが十九・二三キロ、このように考えて決定を一応したのであります。
それでは起点、終点、
経過地はどういうものかと申しますと、十七ページにその点がしるしてあるわけでございます。六十二・五キロの
路線は八
路線をとっております。そうして第一の
場所が
品川区の東
品川の四丁目から台東区の入谷町に至る間十三キロ、
品川区の平塚一丁目から港区の
海岸通一丁目に至るのが七・七キロ、第二号線につきましては
分岐線を麻布の新広尾町一丁目から
麻布の谷町の間の一・五キロの
分岐線を持っておる。また第三
路線におきましては渋谷区大和田町から
千代田区の
三宅坂、これが六キロ、第四
路線が新宿区
幡ヶ谷本町一丁目から
中央区の槙町三丁目間か十・五キロ、これは
分岐線がございまして
中央区の本石町一丁目から
中央区の兜町一丁目の間が〇・八キロ、また第五
号路線では豊島区の池袋四丁目から
千代田区竹平町の間が七・八キロ、第六
路線は墨田区寺島三丁目から
中央区兜町一丁目、これが六・二キロ、七
路線は江戸川区小松川四丁目から江東区
東両国の間六・一キロ、第八
路線が
中央区
銀座八丁目から
中央区
銀座一丁目
白魚橋まで二・九キロ、こういうように八つの
路線合計六十二・五キロのものを一応
選定決定をいたした次第でございます。そうしてその構造は
高架式、
掘割式、隧道式といたしまして、
速度は六十キロ・メートル一時間とし、
最低を四十キロメートルの
速度といたしております。また
幅員は四
車線十六メートルを
原則としておるわけであります。
基準断面につきましては、十九ページに図面をもって示してある次第でございます。
それでは、この六十二・五キロの八
路線をするのに、お金の面でどのくらいかかるかという問題が、
資料の二十ページ、第二節の
事業費というところに書いてあるわけでございます。この表の一番右の方から二番目に、
合計という欄がございます。その
合計欄の一番下に六百四十七億一千九百万余円、これがこの
事業に要する総額でございます。約六百五十億の金が必要になります。そしてその右側に、やはり十億三千六百万という金が示してございますが、これは一キロにいたしましては十億ですが、一メートルでは、その千分の一ですから百三万六千ですか、要するにこれだけの
単位当りの金がかかって、六百五十億の
資金総額を必要とする。この右の方は、いずれもそれの内訳でございますか、この内訳の中の一番上の欄に、
築造費というのがございます。その
築造費の計の欄の一番下に五百二十二億一千七百二十万円、要するに、この六百五十億の中で、
築造費が五百二十三億円かかる。大
部分の金がこの経費である、こういうことになるのであります。そして
築造費というのは、もちろん建設直接の構造を必要とする高架あるいは河底あるいはトンネル、半地下あるいは橋の費用、そういうようなものの内訳がここに書いてございますが、要するに五百二十二億余万円というものを
築造費に要するという次第でございます。またこの欄の
築造費の左のところの物件移転費という欄の一番下の欄をごらんいただきますと、八百七十八という数字が出ております。これは移転棟数の
合計でございます。これだけの
事業をいたしますのに、移転棟数がともかく十棟以下であるという点については、やはりできるだけ
民有地あるいは民家というような面において御迷惑を少くするという配慮をいたした一つの現われだと存ずるのであります。これらを総合いたしまして六百五十億かかりますけれども、さらにこの二十ページの
事業費の、今の表の一番下の註の一番下の行に、
高速道路の通過する平価の
計画街路の
事業費百六十二億円が別途必要である、こういうことが書いてありますが、百六十二億円がいわゆる
街路事業として、公共
事業といたしまして、別にこの
事業を遂行するためにはやはり必要になります。そうすると、この六百四十七億に百六十二億を足しますと、総計が八百九億円、全体の
事業費が一応八百十億円
程度の総
事業費を必要とする、こういうことになるのであります。
そして、これの償還はどんな償還
計画が立っておるのかということにつきまして、第二十二ページにその
計画が立ってあります。この表はあくまで仮定の表でございます。すなわちこの通行料金は、一回一台当り七十円をちょうだいすると仮定する。また一応起債を充てたとして、その利子は七分計算をとってみる。そして三十三年度から三十七年度までの五カ年
事業で、毎年五分の一ずつを投資をいたしまして、五年後に完成する。こういうような仮定計算の上に立てて参りますと、この表にありますように、大体二十一年目には、多少償還しても、なお余りか出る。こういうことで、一口に言いますれば、二十年間で償還が可能である、かようなことでございまして、
事業採算の面から、一応仮定ではございますけれども、決してそういう面から見ても不利なものではない、かように存ずるのであります。
かように
都市計画審議会人の特別
調査委員会が
調査し、その決定を知事に報告をしたのでありますが、その
調査委員会におきましても、決してこの案で満足しておるわけではございません。従って、かように決定し答申をしましたが、そのするに当りまして、やはり附帯
意見をつけておる次第でございます。その附帯
意見は十三ページにあるわけでございます。その附帯
意見といたしまして、まず第一番目に、放射型
高速道路は、将来
区部周辺まで
延長するとともに、これらの線路を結ぶ
環状型
高速道路の
計画について検討する。なお特に一号線は羽田方面へ、六号線は陸羽街道方面へ、七号線は京葉有料国道方面へ
延長することについては、引き続き
調査審議の上追加決定する。また第二番目といたしまして、皇居の南側において、すなわちこの国会方面から、桜田門、日比谷、数寄屋橋を通って
銀座方面に通ずる
路線の
計画が、この
計画には入っておらない。その点については、実際上、
技術上非常な困難があるけれども、この
路線はぜひほしいところなんで、これについても慎重検討をして
結論を出すように、こういうような
意見が第二番目であります。第三番目といたしましては、外濠と日本橋川を
利用する区間については、神田川との治水上の関連を慎重に検討の上、可能ならば河床を通すことが望ましいが、困難な場合には
高架式その他の
方法をとるのもまたやむを得ない。第四番目には、この
高速道路に
バスの運行をすることにいたしますれば、停留所の
計画について十分配慮をすること。第五番目と第六番目は料金の問題でございまして、本米といたしましては、
道路の性質上やはり無料であることが望ましいんだが、建設費を償還するまでは
有料道路といたしたいし、またこの
事業の建設には莫大な資金が要るようでありますので、特別の財源を確保するように考慮研究すること。さらに
有料道路とした場合には、料金の徴収の仕方において
交通上の流れを阻害しないような
方法で料金徴収の
方法を研究しろ。また第七番目といたしましては、この
高速道路網は将来の激増を予想するところの
自動車交通量の
処理について、決して万全であるということは一言えないので、さらにこれと相並行いたしまして、一般
街路の整備、
都市計画街路、
道路等の改訂という問題を同時に研究、その促進をはかる方途を講ずるはかりでなく、
環状道路の整備を急ぐとともに、
交差点交通処理方式の改良について一そう研究し、また必要に応じては放射並びに
環状型
高速道路の追加をも考慮する必要がある。さらにまた
交通量の発生を促すところの高層建築物の
処理方策についても十分検討をする。こういうような幾つかにわたりました附帯
意見がついておりまして、この点につきましては逐次研究をいたし、またその一部についてはすでに多少結果もできておるようなものもある次第でございます。
この報告がなされまして、
東京都知事はさらにこの点につきまして、
関係諸官庁の方にももちろん平素からの御協力を賜わり、御指示をいただいておりますので、この報告を申し、またこの報告に対する御検討、御研究などもともども相願っておるわけでございますが、
東京都議会といたしましてはこの報告を党派を超越いたしまして、全会一致をもちまして、これの推進方につきましてほうはいとしてその空気が現われて参ったのであります。その結果ことしの三月三十一日におきましては、
高速道路建設促進に関する
意見書、地方自治法第九十九条第二項の規定によりまして、内閣総理大臣、大蔵大臣、運輸大臣、建設大臣、
首都圏整備委員会委員長、自治庁長官に
意見書を出すことに決定を見たのでございます。すなわち、首都の
自動車交通は近年とみに激増の一途をたどり……。