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西澤参考人 私は
長野県の副
知事の
西澤でございます。
知事にかわりまして御
説明を申し上げたいと思います。よろしく
お願いいたします。なおこの
ダム対策につきましては、昨年の五月七日当
委員会におかれまして御
検討いただき、
知事が
参考人として
出席をいたし、その際いろいろ御
教示を賜わったのであります。なおまた同月の二十三日、四日の両日にわたりまして前
委員長を初め、
委員の方多数実地に御視察をいただきまして、その節もいろいろと御
教示をいただいたのでありまして、県の
立場から厚く御礼を申し上げる次第であります。その後の
経過につきまして大要を申し上げ、御
了承を得たいと思いますが、お
手元に「天龍川筋
泰阜ダム問題の
経過概要」という印刷物を差し上げてございますので、日を追ってその後発生いたしました
——項目別になっておりますので、これをごらんいただいて御
了承をいただきたいと思います。
私が本日申し上げたいのは、そのうちの
昭和三十二年といううちの五月七日というところがございます。五月七日に「
知事、
衆議院建設委員会に
参考人として
出席」という
項目がございますが、それ以前のことはその
委員会で御
説明を申し上げ、御
検討をいただいておるのでありますから、それ以後につきまして大体の
経過を申し上げたいと思いますので、御
了承をいただきさたいと思います。まず
泰阜関係から申し上げたいと存じます。
泰阜ダムの
関係におきましては、昨年の六月の二十六日から二十八日にわたりまして、
梅雨前線による豪雨のために
相当の
災害をこうむつたということがあるのであります。この
災害の
対策といたしまして、
知事は現地におもむきましたし、また私も
建設省あるいは
農林省方面にさっそく出かけまして、県をあげての
応急措置を講じたのであります。
災害の
復旧対策としては今までに見ないスピーディな
処置をとることができたのでありまして、この点十分とは言い得ないと存じますけれ
ども、
地元の方からも
相当感謝をされておるように考えております。
さて、県の
対策といたしましては、そういった昨年の
災害が発生いたしましたので、従いまして従来われわれが考えておりました
対策に、さらに昨年の
対策というものを織り込んだ
対策を立てなければいけないということになって参った次第であります。そこで、県の
対策として、昨年の
災害発生等を見ましたので、それの
対策と、それから従前から考えておりましたところの
対策とあわせてこの際申し上げたいと思いますが、便宜上、私ここで分けまして、
前者を
応急対策として申し上げ、さらに恒久の
対策として考えておることを申し上げたいと思います。
まず
応急対策から申し上げる次第でありますが、
応急対策といたしましては、昨年の
災害以後、さらに
台風期に入りますので、
ゲートの操作につきまして
改善を加えた次第であります。すなわち、従来は毎秒の流量が六百
立米で
ゲートを全開いたしたのでありますが、さらに三百
立米によって全開をするように
会社に指示をいたした次第であります。さらに、これは
建設省の方からお話をいただく方があるいは適当かとも存じますけれ
ども、
建設省で
龍東の
処理工事に着手をされた次第であります。
それから九月に至りまして、
地元から
災害補償の
裁定願というのが出された次第であります。この
裁定願の中には、私がただいま申し上げました昨年の
災害によるところの
補償裁定と、さらには過去の
補償裁定とが含まれておる次第であります。そういったものが
提出された次第であります。そこで県といたしましては、この
裁定ということは非常に重大であるということを考えまして、
知事の
諮問機関として、
泰阜ダム災害補償審議会条例というものを
制定公布をいたしました。これは十月七日でありますが、その
条例を制定いたしまして、
委員の委嘱あるいは任命をいたしました。この
委員は二十一名をもって構成をされております。その中に
学識経験者の方五名がございまして、この
学識経験者の方には主として
技術面にわたることについて全面的に
調査をいただくというので、この
学識経験者の方をさらに
専門調査員として
お願いをいたし、これらの方において、
技術面を主として担当をしていただくように
お願いをいたしております。
さて、この
審議会についての
裁定でありますが、過去の
災害と昨年発生いたした
災害と二つあるのでありますけれ
ども、これをあおせて審議するということになりますと、非常に時日が長引くということもございますし、また過去の
災害というものについていろいろ議論もございますので、とりあえず、昨年発生いたしました
災害について
裁定をいたして、さらに第二段として、過
年度の
災害について
いかように取り計うかということを
審議会で
審査を願う、こういうことにいたした方がよろしいのではなかろうかということで、とりあえず、昨年発生いたしましたところの
災害について、
審議会で御
検討をいただく段取りになっておるのであります。しかも、それは大体
年度末である三月末日をもって一応のピリオドを打ちたいというふうに考えておったのでありますが、若干延引をいたしておりますけれ
ども、近く結論に到達するというように考えております。
さて、その
過程におきまして、暮れの
処置といたしまして、蘇れの
処置と申しますのは
災害をこうむった
人々が年越しができないという、非常に気の毒な
状態に置かれておる人が多数あるのでありますから、それらの
人々の救済をする
処置といたしまして、
会社の方といろいろ折衝を続けたのでありますが、結論から申し上げますと、とりあえずの
処置として三千万円という金を
知事が預かりまして、その預かった金を
関係市町村に無利子で貸し付けるという、暫定的な
処置を講じた次第であります。
さらに、この補償問題が大へん長引いておることによりまして、
対策等が手おくれになるというと、ことしも出水期になりますので、従いまして本年の出水期に備えるために、県議会も終了いたし、
予算も成立いたしましたので、県の単独事業を実施するとかあるいは
会社に応急の
対策を講じてもらいたいということで、これは去る二日に
会社と一応の話をつけまして、その準備を進めております。さらに、
災害復旧につきましては国の方にも
お願いをいたしまして、それの促進方をいたしておるという
状態であります。
以上が大体の
応急対策であります。
次は恒久の
対策でありますけれ
ども、これは私
どもも非常に頭を悩ましておる問題でありまして、と申しますのは、
地元は依然としてダムを撤去すべしという強い要望でございます。しかしこれは前の
委員会でも御
検討いただいたと思いますけれ
ども、現実の問題としてダムを撤去するということがなかなか容易ではない。さりながら
地元の
人々としては雨が降るたびに戦々きょうきょうとしておるというようなこと、あるいはしばしば繰り返される
災害が発生する、それによって
措置するというようなことは適当ではない。この際抜本的な、いうなればダムは撤去しないにしても、ダム撤去にかわるくらいな抜本的な
対策を講ずる必要があるのではないかということに、県としての意思が決定をいたしまして、こういった方向で進むべきであるということでいろいろ進めておるのであります。しかしながら、この抜本
対策ということは非常に大きな問題でもあるし、あるいはまた県独自でできる問題ではないのでありまして、たとえば
会社に
相当の負担をしてもらわなくちゃならぬ、あるいはまた国の方、
建設省あるいは
農林省方面にも
相当の御協力をいただかなくてはならぬという問題もございますので、それらの問題につきまして今いろいろと話し合いを進めておる次第でありまして、これが具体化ということは容易ではないにいたしましても、私
どもとしては
相当の決意を持って抜本的な
対策を講じようと考えております。
さらに、県としてはこの天龍川筋
ダム対策会議というものを設けまして、ダムの改造であるとかあるいは河床の問題等を
検討いたしたいというふうに考えておる次第であります。
時間がございませんので、大体以上が恒久
対策ということで御
了承いただきたいと思います。
それから南向ダムの
関係について申し上げます。この南向ダムにつきましては、大体
地元の人たちは県と話し合いでやるから、よろしく県の方で中へ立ってやっていただきたいということで、今いろいろ話を進めております。たとえばダム・クレストの低下等の問題につきましては、
会社に
調査を命じて、
会社で測量をいたしております。
それから河川の改修につきましては、
建設省で堤防あるいはその他かさ上げ工事等を進捗中でありますし、それから堤内の湿地化の
対策につきましては、右岸は団体営によるところの土地改良工事がすでに着手をされております。
これに
関連いたしまして、トンネルによって下流に排水をするという計画を目下
検討中であります。左岸につきましては、やはり土地改良の希望がありますけれ
ども、まだ具体化という段階には参っておりません。
それから大久保ダムの
関係でございますけれ
ども、これは
裁定願が県の方に出ております。これは大体
泰阜ダムと同じようなケースになると思いますけれ
ども、これは
地元の人にも
泰阜ダムについて全県でいろいろ根本的に
検討をしておる、それが済み次第に、大体その方式によってこちらの方も解決するようにしたいと思うということで、少し延びるかもしらぬけれ
ども、その点は
了承してもらいたいということで
地元に話をいたしております。しかし
会社等に対しては、やはり
会社にも
調査あるいは測量等を命じて、これは
会社の方で進めておることと存じます。以上、時間がございませんので、簡単に申し上げたのでありますけれ
ども、御
了承いただきたいと思います。
それから本日は県から土木部長、河川
課長が参っておりまして、技術的の問題あるいは細部にわたるような問題につきまして、私から御答弁申し上げるよりも、かえって土木部長、河川
課長が答弁をした方が適切なような事項があると思いますので、あらかじめ御
了承をいただきたい。