○中島(巖)
委員 そこで、どういうわけでそういうような
法律的なことを私が今局長にお尋ねするかという点は、これは
一つ大臣よく御
承知願いたいのですが、確かに
昭和二十七年に改正された
重点なんかも
道路法逐条解説にありますけれども、ほとんど大正八年のものまでも、ただいま局長から
答弁のあったように、憲法改正に従って改正せざるを得ぬ
立場になって改正して、自動車のことも若干は入っておるけれども、依然として大きく貫いておるのは大正八年の
道路法の精神であるわけであります。そこで、これは基本的な問題になるわけなんですが、結局かつての
道路政策というものは人と馬だけを対象とした
道路であって、その法規制も
行政機構も、依然としてそのままでおるわけなんです。大正八年に制定した
道路法を
昭和二十七年に大幅に改訂して、しかも大幅に改訂はしたけれども、ただいま申し上げましたような理由で、
道路法の精神はそのままである。それから昨年、例の高速
国道の一条を入れましたけれども、これは縦貫自動車道その他ができたり、建設省が自動車専用
道路をやらなければならぬということで、木に竹を継いだようにこの一条を入れただけでは、やはり底に流れておる
ところの
道路法の精神というものは、かつての精神そのままだ。そういうような考えで法規制も
道路行政も現在やっておるとしか実情から見て思えないのです。
そこでここに一番基本的な問題があるのです。この基本的な問題を割り切らぬ以上は、先ほど各所から出たようないろいろな
意見が出てくると思うのです。と申しますのは、くどいようでありますけれども、きわめて短距離の、人と馬車だけを対象とした
道路そのものが
道路法であった。その
道路法に基いて法規制も官庁の
行政機構もできておる。しかるにここに急速な自動車工業の発達によってこういうような
状態をかもし出してきて、どうにもならぬ
状態になっておるというのが現況なんです。そこで今度は
政府は新たに
道路整備五カ年
計画を策定されましたけれども、それはそういうような自動車の輻湊であるとか
道路が悪いとかいう、いろいろな声に押されまして、そしてかつての鳩山
内閣の四十二万戸住宅建設にかわるべき
ところの内政面の大きな問題としてこの
道路整備計画を取り上げて、かつてから見れば革命的な特別会計なんかを設けて御出発になっておりますけれども、依然として
政府の基本的な考えは、この新しい時代に対処するための新しい
道路の基本政策というものではなくて、ただ必要に迫られてあとから追っかけて、道の幅を広げるとか、あるいは
舗装をするとか、こういうような、これはちょっと極端な言い方かもしれませんが、徳川時代の
道路政策のあとを受けた五カ年
計画の策定である、こういうようにしかわれわれは解釈することができぬ。従ってこの基本問題を解決せぬ限り、そして新しい構想の上で基本政策を策定せぬ限りは、建設省の
道路行政のあり方も、それから
道路公団がどういうふうにいったらいいか、それから
有料道路はどういうあり方がいいか、あるいは
地方公共団体の
負担の割合はどうしたらいいかということも依然として低迷して、未解決のままに、先ほど
門司氏がいろいろ
意見を述べたような問題が起るのじゃないか、そういうように私は考えるのです。
そこで御
質問の前にもう一言申し上げておかなければならぬことは、先ほど
道路局長からも、自動車の激増によってとかいうような
お話もありましたけれども、全くその
通りなんです。大正八年にこの
道路法が制定されたときは全国に自動車の数が五千五百五十三台しかない。この内訳は、自動車は五千百九台、トラックが四百四十四台、こういうような数字になっておる。全国に五千台しかなかったときの
道路法の精神が現在そのままに出てきておる。それで年次別に申し上げるのもあれでありますから、ごく大ざっぱに申し上げますが、
昭和二十三年で二十三万三千百十三台というような数字になっておる。そうして
道路法の改正に着手いたしましたのが
昭和二十五年でありますけれども、このときには三十八万七千五百四十三台というような数字だった。この三十八万台のときに大幅な
道路法の改正をしたわけであります。それが昨年の十二月末現在の調査でいきますと、百九十六万三千三百四十七台という数字になります。現在はおそらく二百万台を突破しておる。新しい
道路法を制定するときは三十八万台のときだった。
経済事情と申しますか、自動車の
状態がこういうようにまるで変ってきておる。そればかりではない。先ほど
建設大臣は、大型トラックがいなかの道なんかをいためるについて、これに対して法規制を設けなければならぬと言っておりましたが、これは全く時代錯誤の
考え方でありまして、現在わが国のディーゼル・エンジンは世界に冠たるものであって、八トン積み、十トン積み、十五トン積みというものが幾らでもできるのです。これを利用した方が四トン積みや五トン積みを利用するより倍も三倍も有効なんであります。同じガソリンで同じ運転手でもって、荷物も倍も三倍も積める。
ところが
道路が悪いために、やむを得ぬから四トン積み、五トン積みで運送しているのが現在の
状態なんであります。自動車工業の発達に伴って自動車は大型化してきて、速力が非常に伸びてきている。こういう時代になって陸上交通は、かつて明治時代に鉄道を取り入れて、鉄道輸送に切りかえたときと同じ革命の時期にすでにきてしまっている。こういう情勢なんです。従って
道路政策に対しても、道が悪いから、それから
都市間の交通がどうだからというような、必要に迫られて道幅を広くするとか、隧道を作るとかいうようなことでなしに、抜本的な基本政策を策定しなければいけないという時期に到達いたしておると私は考えるわけであります。明治時代の鉄道建設が
政府の超
重点施策といたしまして、鉄道網を新しく
日本全体の
産業経済の
立場から策定して線をきめたと同じような
状態に現在至ってしまっているというように考えるのであります。
そこで
大臣に伺いたいことは、こういうような状況下におきまして、
大臣は旧来の
道路政策そのままを取り入れて、
財源がないから仕方がない、旧来の
道路の道幅を広げるとか、トンネルを作るとかいうような政策で終始される考えが、あるいはただいま申し上げましたように、自動車工業の高度の発達の
立場に立って、ちょうど明治時代に鉄道を敷設したような考えでもって今後の
道路政策を策定される考えであるのか、いずれの考えであるのか、この二つの点についてはっきりした御
意見を伺いたい。