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1958-03-07 第28回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月七日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 西村 直己君    理事 大島 秀一君 理事 大高  康君    理事 荻野 豊平君 理事 久野 忠治君    理事 三鍋 義三君       池田 清志君    井原 岸高君       薩摩 雄次君    徳安 實藏君       堀川 恭平君    松澤 雄藏君       山口 好一君    井谷 正吉君       中島  巖君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         大蔵政務次官  坊  秀男君         労働政務次官  二階堂 進君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         議     員 加藤 精三君         議     員 門司  亮君         大蔵事務官         (主計官)   松永  勇君         労働事務官         (職業安定局失         業対策部長)  三治 重信君         建設事務官         (道路局路政課         長)      三橋 信一君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 三月五日  委員川島正次郎辞任につき、その補欠として  伊東隆治君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員小川豊明辞任につき、その補欠として赤  路友藏君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月六日  下田、天城湯ケ島、修善寺間道路改修に関する  請願畠山鶴吉紹介)(第一三三九号)  下田石廊崎間道路改修に関する請願畠山鶴  吉君紹介)(第一三四〇号)  下田街道狩野線改修に関する請願畠山鶴吉君  紹介)(第一三四一号)  下田土肥大仁間道路改修に関する請願(畠  山鶴吉紹介)(第一三四二号)  土肥戸田沼津間道路改修に関する請願(畠  山鶴吉紹介)(第一三四三号)  伊東川奈間海岸線道路建設促進に関する請願  (畠山鶴吉紹介)(第一三四四号)  修善寺伊東熱海間道路建設促進に関する請  願(畠山鶴吉紹介)(第一三四五号)  伊東修善寺間道路改修に関する請願畠山鶴  吉君紹介)(第一三四六号)  下田松崎間道路改修に関する請願畠山鶴吉  君紹介)(第一三四七号)  下田妻良子浦間道路改修に関する請願畠山  鶴吉紹介)(第一三四八号)  伊東、八幡野、下河津間道路改修に関する請願  (畠山鶴吉紹介)(第一三四九号)  下河津、天城山、湯ケ島間道路改修に関する請  願(畠山鶴吉紹介)(第一三五〇号)  二級国道熱海伊東間改修に関する請願畠山  鶴吉紹介)(第一三五一号)  熱海網代間道路整備に関する請願畠山鶴吉  君紹介)(第一三五二号)  修善寺戸田間道路改修に関する請願畠山鶴  吉君紹介)(第一三五三号)  吉田線道路改修に関する請願畠山鶴吉君紹  介)(第一三五四号)  沼津、根方、吉原間道路改修に関する請願(畠  山鶴吉紹介)(第一三五五号)  熱川、大川間海岸線有料道路建設促進に関する  請願畠山鶴吉紹介)(第一三五六号)  熱海、函南、大場間道路改修に関する請願(畠  山鶴吉紹介)(第一三五七号)  国道二号線三島、下田間等舗装に関する請願  (畠山鶴吉紹介)(第一三五八号)  下田街道天城トンネル八丁池間道路改修に関  する請願畠山鶴吉紹介)(第一三五九号)  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(星  島二郎紹介)(第一三六九号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第一四五五号)  慶児島市に住宅金融公庫南九州支所設置に関す  る請願池田清志紹介)(第一三九八号)  東府中バイパス路線位置変更に関する請願(木  崎茂男紹介)(第一四二三号)  同(山花秀雄紹介)(第一四二四号)  二級国道飯田浜松線整備促進に関する請願(  戸塚九一郎紹介)(第一四二五号)  台風常襲地帯に対する特別法制定に関する請願  (淵上房太郎紹介)(第一四二六号)  同(松本七郎紹介)(第一四二七号)  沖水川直轄砂防区域延長等に関する請願(瀬戸  山三男紹介)(第一四五六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本道路公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第八九号)  道路法の一部を改正する法律案内閣提出第九  七号)  道路整備緊急措置法案内閣提出第九八号)      ————◇—————
  2. 西村直己

    西村委員長 これより会議を開きます。  日本道路公団法の一部を改正する法律案道路法の一部を改正する法律案及び道路整備緊急措置法案の三案を一括議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますから、これをお許しいたします。  この際お諮りいたします。門司亮君より道路三案につきまして委員外発言を求められております。これをお許しするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西村直己

    西村委員長 御異議なしと認めます。門司亮
  4. 門司亮

    門司亮君 委員各位の御了承を得まして、委員外発言を許させていただきますが、実は大臣に昨日同僚各位からかなり強く話があって、質疑が行われておると思いますので、私はきょうはごく簡単に、昨日の同僚議員発言部分にできるだけ触れないことにして、まずお聞きいたしたいと思います。  第一に大臣に聞いておきたいと思いますことは、これは事務当局からの御答弁もあるかと思いますが、この規定によりますと、整備される道路定義というものが一級国道、二級国道あるいは都道府県道路であって、政令の定めるものということに法律が書いてあります。一体この政令の定める範囲というのはどの範囲であるかということを、もう少し明確に聞いておきたいと思います。
  5. 富樫凱一

    富樫政府委員 地方道の中には主要地方道というのがございまして、これを政令で定めることにいたしております。この主要地方道をさすものでございます。
  6. 門司亮

    門司亮君 そういたしますと行政上の問題として出て参りますのは、この工事の行われるに従って、地方自治体政令で定められた道路につきましては、平たく言えばいや応なしに仕事をしなければならない。同時にその経費は、やはり地方自治体がある程度負担しなければならぬことは当然でありますが、この点について、地方自治体はおのずから財政規模をみんな異にいたしております。従って、国は財政規模が一本であって施行するに大して困難はないであろうと思いますが、地方ではなかなか私はそうはいかぬと思う。同時に地方地方なりに、やはり産業開発その他整備いたします道路についての緩急の度合いというものがおのずから異なっておると思う。これを国が一律のものの考え方で押しつけようとするところに、地方自治体のある程度のそうした仕事の権限について干渉する形が出てきはしないかと思うのですが、その点についてはどうお考えです。
  7. 根本龍太郎

    根本国務大臣 一般的に見ると、そういうふうにごらんになるかもしれませんが、実態は実は逆になっておりまして、各都道府県におきまして地方主要道路整備計画を立てまして、こちらの方にむしろ強く要請しております。それを全面的に計画に入れることができませんので、実は都道府県から出ておる資料に基いて、われわれの方がこれから選択するというような事実上の結果になるわけでございます。さようでございますから、政令によって指定する場合、都道府県が欲せざるところを上から天下り的に強制するというようなことはいたさないことになっておりますし、現実にまたそういう結果にはならないと御了承していただきたいと考えます。
  8. 門司亮

    門司亮君 その次に聞いておきたいと思いますことは、道路の指定その他、国は一体何を目的にして今日の道路整備を行おうとしているかということであります。このことは非常に迂遠なことを聞くようでありますが、実際地方道路になりますと、今日の道路行政というものが必ずしも産業を主体とした道路行政というものが行われていないのじゃないかと考えられる節がたくさんあるのであります。もちろん行政協定等に基く一つ関連性を持っておりますから、日本の国だけではあるいはどうすることもできないかもしれないが、今日の目立って多く舗装が行われ、改修が行われ、あるいは整備が行われておる道路というものは産業には大して関係のない、アメリカ軍基地に通ずる、いわゆる昔の言葉で言うならば軍用道路と称せられるもののみが非常に急速度に整備されておる、これは一体日本産業にどれだけ関係があるのか。もちろん行政協定関係もございましょう。それからもう一つは、道路整備といえば、ややともすれば観光だけに主力が注がれておる点が強いのであります。これは現地をごらんになればよくわかると思う。ことに農村地帯の府県に参りますと、道路というものはほとんど整備されておらぬ。こういう道路行政であっては——私はこの五カ年計画というものは産業開発するということが主たる目的でなければならないと思うが、今日の状態を見ると必ずしもこれに一致しておらない。従ってこの五カ年計画というものはそういう意味で行われるものであるか、従来のそういった、あまりよくなかったと考えられるようなことはこの道路整備五カ年計画の中に入っていないかどうか、一応ただしておきたいと思います。
  9. 根本龍太郎

    根本国務大臣 詳しいことは事務当局からお答えいたさせますが、御指摘になりました従来の道路関係において、いわゆる軍用道路に非常にウエートが大きかったのじゃないか、これは御承知のように今回の計画と違いまして、占領中におきましての道路はそういう傾向があったことは事実だと思います。しかし今回の道路整備五カ年計画はそういうところにはなくして、一般道路が問題でございます。しかもこれについては先般来、当委員会において相当突っ込んだ御議論がございまして、今までの既存の道路をただ単に改修舗装するだけでは足りないじゃないか、むしろ現状日本経済の一番の隘路になっておる道路整備するということになりますれば、いわゆる高速度自動車道中心としてやるべきだという意見も強く出ております。また一方におきましては、すでに三十二年度から五カ年計画観光整備計画がございまするが、この中に道路が指定されていることも事実でございます。門司さんも御承知のように、道路整備は実は非常に多角的な問題を含んでおるのでございます。単に産業といっても、観光一つ産業だという見方もございまして、これを含んでいることは事実でございますが、しかし観光に最重点を入れているかというと、さようではございません。有料道路は、地方におきましては観光的なものを含んだものの有料通路の申請が多ということも、これは事実でございまするが、しかし全体の道路整備としては、御指摘のように日本経済基盤を確立する、同時にそれは地方開発になる、こういう点から勘案しておる次第でございます。さらに具体的な問題については事務当局から答弁いたさせます。
  10. 富樫凱一

    富樫政府委員 お話のように、道路整備産業に役立てようということで私どもは立てておるわけでございますが、産業に直接役立つということは、その産業のある地帯交通量に現われてくるわけでございまして、この交通量をさばくということが当面の目標でございます。従って産業地帯における道路整備ということが先になるわけでございます。そのほかに開発道路というものもございまして、この道路を作ることによりましてその地域の産業開発に将来役立つというようなものもとっておるわけでございます。観光道路につきましては、先ほど大臣お話にありました通りでございます。
  11. 門司亮

    門司亮君 道路整備計画に要します国の費用地方財政との費用関連性について、一応大臣にお尋ねしておきたいと思いますが、この法律を見ますと、この財源には主として揮発油税を充てるということをはっきり書かれております。揮発油税の本年度の総収入は大体五百五十億内外予算に書いてあるのであります。これはまあ五百五、六十億であると一応見ることができる。その他のものはほかからの財源だと思います。ところ地方財政計画を見てみますと、この間に実は問題があるのでありまして、道路譲与税として地方にことし配分されます分は百三十一億が計上してある。しかし一方において、地方道路維持修繕費に四百二十億余りのものが大体必要になることが書いてあります。従って今日の地方道路行政から見てみますると、どうしてもこの五カ年整備計画にこたえるだけの財源を実は持っておりません。従って財政計画の面で見てみますと、百五億というものがこの道路整備計画に相即応するための起債だということが明確に書かれております。そうなって参りますと、かつて予算委員会でも大臣にお聞きをいたしましたように、国が工事を施行いたします場合において、地方自治体にこうした負債が必然的に出て参ります。国は借金をしないで仕事ができるのでありますが、地方は今申し上げましたように、道路全体の計画と申しましても、実財源として道路に対して国が充てておると同じような考え方で充てられるものは百三十一億しか持っておらない。ところ道路整備だけに四百二十億余りのものが必要になっている。そこで今申し上げましたように、百五億というものはどうしてもこの整備計画に基くものとして、地方債の中にこれが入るということになっておる。そういたしますと、これの利息は御承知のように六分五厘がちゃんとつけられておる。ここに地方財政と国の財政との問題、さらにこれが国の事業計画地方事業計画との間に、今日一つの大きな財政上の問題になっておることは大臣も御承知通りだと思います。そこで国が一つのこういう国策に基いた施策を、私は強行されるとは申し上げませんが、施行されます場合に、地方財政に対する影響というものはやはり考えていただきませんと、地方財政というものはますます困難になってくる。そこで問題になりますのは、昨日も同僚議員から聞かれたと思いますが、こうした国の施策に基きまして当然出てくるであろうと考えられるこの地方負担について、一般公債と同じようにこれに六分五厘の利子をつけるということは、少し無理がありはしないかと考える。この点についての建設大臣の御意見一つ伺っておきたいと思います。
  12. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答え申し上げます。先般の予算委員会でもごく概略申し上げ、さらにまた当委員会においても大体同様な御質問に対して答えたのでありますが、全体といたしまして、御承知のように道路五カ年計画は九千億とこれは算定いたしておるのでございます。しかもそのうち地方道路単独事業が千九百億、その他一般道路が五千六百億、有料道路が千五百億、こうなっております。その間、地方財政に影響するものは二つあるわけでございます。一つ単独でやる事業と、もう一つは国でやる場合における地方負担分の問題があるわけです。この二つが地方財政上果して消化できるかどうかということが問題であるわけでございます。この点については、この道路五カ年計画の総事業量を策定するに当りましては、経済企画庁、大蔵省、それに自治庁、十分にそういう各方面意見調整の上にこれはできておるのでございます。従いまして概括的には地方負担分を、あるいはまた地方単独事業について、一応地方自治体において消化し得るという前提に立っておるわけでございます。  その次に、今具体的に御質問になりましたのが、たといそれがそうであったにしても、現実地方がこの事業を推進するに当っては、自己財源だけではとうていできないはずだ、従ってこれは起債に求めなければならない、起債がたといそれが許され、可能であるとしても、問題は利子一般起債に対するところの利益と同じでは、最重点を指向しているところ道路に対する支出のための起債について少し酷ではないか、もう少しこれは特別に考慮してやるべきではないか、こういうような御議論のように拝聴いたしましたが、これはわれわれとしてはさようであることは自治庁とともにこれは一応考えたのでございます。しかし大蔵省といたしましては、全体のための起債なるがゆえに特別に利息を軽減するということはとれない、どこまでもこれは地方起債一般立場において規制する必要がある、こういう観点で、議論はどうしても一致を見ません。そういう関係でこの問題は実現できなかったのでありまするが、実は先日地方行政委員会会の方との連合審査に当っても、非常にそれを強く御主張なさいましたので、今後の研究課題として関係方面と折衝してみたいと考えておる次第であります。
  13. 門司亮

    門司亮君 大臣はそういう御答弁でございますが、実際上の問題として今申し上げましたように、地方の今日の状況というものは、こういうものについてはほとんど全部といっていいほど起債で実はまかなっております。今申し上げましたように、たとえば道路橋梁を修繕いたしますことしの道路計画についての財政計画の面から見ましても、約四百二十億であります。厳密に言えば四百十九億四、五千万円というのが大体予算にも見てあります。それに対して道路譲与税の力は再百三十一億内外しか現実に入ってこない。そこでやはり道路維持、修繕いたしますのについても、百六十何億というものが、これは地方財政計画の面でやはり起債に求めるように組んであります。その上にまた百五億というものが当然出てくるのでありまして、地方自治体が自主的に道路橋梁を直しますことのために、自己財源が少いからこれを借金に求める分については、私は何もそうやかましいことをいわなくてもよろしいかと考えております。少くとも国の施策に基くものであって、そうして国の方では一銭も借金をしないで、これが施行される、地方だけがどうしても借金をしなければならないという現状にある場合には、単に大蔵省のいっておるような、ちょうど高利貸しのような考え方で、金を貸した以上は利息をとるのが当りまえだ、その利息は大体一般利息と同じようにとるのが原則だというようなものの考え方では、私は国と地方仕事をする場合の融和性というものがうまくいかないと思う。従って一つこの点は、これ以上私は追及はいたしませんが、実際上の問題として国が今日の状態であって、地方が五千五百億以上の借金を持って、ことしは借金の元利払いが八百億以上になっております。来年、再来年になるならば一千億以上になると思う。年々六十億ないし七十億ふえております。こういう形になってきて、交付公債の面では年々大体一億ふえております。ことしは百五億計上いたしております。昨年は御承知のようにこれは九十六億であったが、増になっておって、必ず百億内外のものがふえております。従って地方自治体としてこういうものが非常に大きな重荷になっているのと、もう一つはさっき申し上げましたような、国と地方と共同で行う事業融和策としても、地方がやりいい立場に置いてもらうことが必要だと思う。従ってこれ以上は、あとは大蔵省にかけ合うことにいたしまして、建設大臣の意向はわかりました。  その次に、こまかい問題というよりも、むしろ基本的な問題として一つ聞いておきたいと思いますことは、道路に対する定義の問題であります今日一級国道、二級国道といわれておりますが、これらの国道定義というものを政府はどこに置いているかということであります。かつて日本国道については一応の定義がありました。日本国道定義というのは、ごく大ざっぱなことを申し上げますと、御承知のように帝都から師団司会部軍司令部県庁所在地に通ずる道路国道というというようなことがあったのでありますが、まさか今日こういうことが、アメリカ軍基地に通ずる道路国道というというようなことにはなっていないと思うのですが、見ていると、どうもそういう形が見えると思うのであります。ややともすると、きれいな道路の先は大体アメリカ軍基地になっているという感じが非常に強いと思うのであります。従ってこの際聞いておきたいと思いますることは、一級国道、二級国道法律上の定義一つ伺っておきたいと思うのであります。
  14. 富樫凱一

    富樫政府委員 一級国道、二級国道の意義につきましては道路法の第五条と第六条に規定しております。一級国道の方は、国土を縦断し、横断し、又は循還して、高速自動車国道とあわせて全国的な幹線道路網枢要部分を構成し、且つ、都道府県庁所在地、北海道にあっては、支庁所在地。以下同じ。)その他政治・経済・文化上特に重要な都市を連絡する道路で、政令でその路線を指定したものをいう。ということになっております。それから二級国道につきましては第六条に「高速自動車国道及び一級国道とあわせて全国的な幹線道路網を構成し且つ、左の各日の一に該当する道路で、政令でその路線を指定したものをいう。」とございまして、四号ございます。一号は「都道府県庁所在地及び人口十万以上の市(以下これらを「重要都市」という。)を相互に連絡する道路」、二号は「重要都市高速自動車国道又は一級国道とを連絡する道路」、三号は「港湾法昭和二十五年法律第二百十八号)第四十二条第二項[費用負担]に規定する特定重要港湾、同法附則第五項に規定する港湾又は建設大臣の指定する重要な飛行場若しくは国際観光上重要な地と高速自動車国道又は一級国道とを連絡する道路」、第四号といたしまして、二以上の市を連絡して高速自動車国道又は一級国道に達する道路、こう規定しております。
  15. 門司亮

    門司亮君 それは法律にそう書いてあることは私も了承いたしておりまするが、その中にあります道路整備の最も中心をなし、将来の日本道路行政について問題になりますのは、産業中心とこれを結ぶ道路というものが一体どうなっているかということの定義が私はこの中に抜けていやしないかと考える。なるほど市街地市街地をつなぐ道路、あるいは港と市街地をつなぐ、あるいは県庁県庁をつなぐというような行政上の問題からくる道路網の完成は一応できているかと思いますが、産業開発に対しての道路というものが、ほとんどこの定義の中に載っていないのであります。私はきょう大臣にはっきりお聞きしておきたいと思いますことは、今日の日本道路行政というものは、産業中心とした道路行政というものがなされなければならないかと思います。従って国道定義の中に——今通俗的に言われております京浜工業地帯であるとか、あるいは阪神工業地帯であるとか、あるいは中部工業地帯であるとか、幾つかのブロックを地勢的に持っております。これと高速度道路あるいは既設の国道とのつながりというようなものが、やはりこれを地方にまかせられておるのでは工合が悪い。少くとも国が道路行政整備をこうしてはかっていこうとするには、そうしたものが中心となった道路でないと今日いけないのじゃないか、定義を変える時期じゃないか。行政上のつながりを持つにはそういうことでよろしいかと私は思います。しかし問題は行政上も非常に大事でございましょうが、実態は生産と産業に結びつく道路というものの方が、見方としては今日においては大事じゃないかということを考えておりますので、この点に対して大臣は、今の定義だけでよろしいかどうかということを伺っておきたいと思います。
  16. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように今の法律は、法律の案文としては一応整っているようでありますが、しかし国道というものの今後の整備重点をどこに置くかという目標がはっきりしないという点は御指摘通りだと思います。これに対する解釈は、一応現在の産業関係がやはり主要なる行政中心地に所在しておるということを、暗黙のうちにこれは承認しておることでありまして、主として門司さんが指摘しておる点で欠けておるのは、いわば開発道路的な観点がこれに抜けておるではないかというようなお気持ではなかろうかと思います。これについては、すでに単独立法で縦貫道路法とかいうものが出ておりますので、これらも国道として整備することによって、実質上は措置しているのでありますが、今直ちに道路法定義を変えてどうするという用意を私は持っていませんが、将来道路法改正に当りましては、これは非常に平面的にいろいろの条件をたくさん書いているだけであって、内容がはっきりわからないといううらみがあると思いますので、これは十分今後この表現方法等について研究いたさなければならぬと考えておる次第であります。
  17. 門司亮

    門司亮君 私が今のようなことを聞きましたのは、地方自治体はある程度というよりも、むしろ財源涵養の意味からいいますと、産業開発に非常に努力しなければならない。そのことのために道路計画は非常に大事な仕事でありまして、ことに最近の工業地帯における道路の完成というのは地方自治体だけではなかなかできません。それは大臣もよく御承知だと思いますが、計画を立てて、道路の幅だけは一応できて参りますが、なかなかそれの完成は困難になっております。これがやはり国道という定義の中からはずれておるということです。従って道の幅も同じようなもの、道路規模としては同じような規模を持っているのであるが、しかし地方自治体では幅をこしらえて砂利だけはまけるが、それ以上の整備はなかなか困難であります。そこが今日の日本の工業地帯といわず、あるいは産業開発道路といわず見て参りますときに、地方自治体だけの仕事ではなかなかうまくいっておらない。なかなか手が届かないところがたくさんある。一方においてはこういう整備計画ができて、国の指定するものについては、これがやられるということであって、そうしてそれについては地方自治体はやはり応分のというよりも、むしろ過分といった方がよろしいかと私は思いますが、過重な負担をかけられて、そうして国の施策に協力しなければならぬ。こういう面については特に一つこの際お願いというか、お聞きをしておきたいと思いますことは、こういう産業道路、あるいは産業に直接つながっております道路維持あるいは補修あるいは整備等については、国がもう少し金を出されるというような御意思はございませんか。
  18. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ちょっと変った観点からお答えするようになると思いますが、御承知のように道路一般国民生活、あるいは経済全体に対する非常に大きな役割を演じておるという観点からいたしまして、ただ単に建設省がこれを作る、工事をするという観点からではなく、政策的にこれは総合して見なければならぬという御趣旨において、全く御同感であります。その意味におきまして、すでに先般内閣に交通関係閣僚協議会というものを設けた次第であります。従来ややもすれば鉄道と道路、あるいは工場地帯、あるいは港湾との関連が必ずしも十全ではない。港湾港湾、工場地帯の設定は通産省が独自の見解をもってやっておる。これと交通関係、また交通関係におきましても鉄道関係計画道路計画とが、総合的に必ずしもアレンジされていない。こういう点を総合的に運営すべきだという観点からいたしまして、内閣に大蔵、経済企画庁、農林、通産、運輸、建設、これらの関係閣僚をいわば常任の委員として、必要に応じて他の閣僚が出席できる形、しかも幹事会としては各省の事務次官を充てるという相当強力なもので、これを統合してやって参るという考えになっておるわけであります。こういう観点からいたしまして、心要なる路線工事については重点的に予算措置を講ずるということになるのでありますが、今門司先生が言われておるのは、そのうち特に地方負担になる分については、もう少しこれが国の負担率を多くして、地方負担を軽減する意図がないかということに、論点がしぼられてきたと思われるのであります。これにつきましては、御承知のように現在地方財政が非常に窮迫しているという理由によりまして、現在補助金に関する臨時特例があるわけであります。ところがこれは三十三年度きりで廃止される立法措置になっておるわけであります。実は道路整備五カ年計画を策定するに当りまして、この問題が大蔵省自治庁、建設省の間に非常に論議されたのでありまするが、しかしまだ期限がある問題を、さらにこれを引き延ばすかどうかということを議論しておることはちょっと時期ではない、これはいよいよ廃止するかどうかという時期になる三十四年度において議題にすべきだということで、実はこれに触れておりません。そこで問題になりますのは、現在地方財政大蔵省その他から見れば相当確立されておる、従って補助金に関する臨時特例は廃止してしかるべき経済情勢に現在なっておるという見方と、自治庁、特に門司先生方そちらの専門の方々からすれば必ずしもそういう状況ではないということについて、これは議論があるわけでございます。従ってこの問題については今後三十四年度予算編成期に当りまして、本格的な論議がかわされ、結論を見出さなければならない問題だと考えておる次第であります。
  19. 門司亮

    門司亮君 今の大臣の御答弁でございますが、実は建設省としてはもう少し認識をしていただきたいと思いますことは、なるほど大蔵省のいいますように税収が多少伸びてきておるということは、これは事実であります。しかし税収は伸びておりまして、従って国の財源処置というのは大体順調にできる。ことに国は減税を行なっております。ところ地方の住民の負担と国税との関連を調べてみますと、国は年々減税をいたしておりまして、国税に関する限りにおいては、国民負担は軽減されておりますが、地方税になって参りますと、国民負担が年々増加されておることは数字が明らかにこれを示しております。国の方は減税するだけの余裕財源が今日出ておるが、地方は減税どころではない。住民負担というものは、年々〇・二か三%、ごくゆるい程度でありますが——これは事実を証明しろといえば、私は先般の委員会で数字を申し上げたから、数字を持っておりますが、年々ふえておることは事実であります。国民所得と例の国民負担との関連を調べてみますと、そういう形が出て参ります。従って今日の地方財政というものは、大蔵省の諸君が言っているように、自然にふえているどころではなくて、財政が非常に困難なことのために、地方税に関する限りにおいては、住民負担は年々増加の一途をたどっておるということは、はっきり言えるのであります。そういう事態の中にありまして、地方は大体よろしいのだということは、成り立たないと私は思う。同時に現実の問題として、予算委員会の公聴会にも見えた藤田武夫先生の言を借りてみましても、藤田先生が専門学者として調査された範囲におきましては、県の名前もはっきり言われましたが、橋梁は、今日五〇%くらいは重量制限をしなければ通れない。同時に二〇%くらいは、重たい荷物はほとんど通すことができない状態になっておるということが陳述の中にあったのであります。私はこれが現実だと思う。そうなって参りますと、日本地方における道路橋梁行政というものは、余裕財源があるからとかないからというようなことでなしに、ほとんど破綻に瀕しておるといっても私はちっとも差しつかえないと思う。これが地方住民の経済力に非常に大きな影響力を持っております。従ってさっき申し上げたように、今日四百十九億、約四百二十億の道路橋梁費用を取って、昨年よりも二十九億余りの増加をしておることは事実でありますが、しかしこれのみによっては、地方自治体のこうした責任において行わなければならない道路橋梁の補修は、とうてい望めないのであります。従って地方自治体の今日の道路行政に対するものの考え方といたしましては、持っておるだけの財政というものはほとんど全部出して、自分たちの責任において処置しなければならないことになっておると思う。そこに国がこういう計画を立てて参りますと、これに相即応してやはりやらないわけにいかない。同時にそれが大きい目で見ると、国の一つ産業開発になるということになっておるから、それをいなむ理由はない。いなむ理由はないが、そこに当然財源がひっかかってくる、こういう問題が実は起って参ります。従って、今大臣は検討するというお話でございましたが、もし検討されるとするならば、そういう点は一つ十分に今日大臣の方で御認識を願っておきたいと思います。そういたしませんと、地方財政というものはどうにもならないという形が出て参るわけであります。  それから、最後にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、日本道路整備が非常におくれておるということは事実であります。従ってこれに対するものの考え方として、この際建設大臣にお伺いしておきたいと思いますことは、約九千億くらいのもので五カ年くらいの間にこれを整備すると申されておりますが、これに充てる財源の問題として、揮発油税をこれに充てていくということが一つ考え方であることに間違いはございません。しかし今、日本で最もおくれているのは道路行政でありまして、悪口を言えば、日本道路道路ではなくて、あれは皆道路予定地だ、まだ道路になっていない、こう言っておる。整備された道路はわずかに八%か九%内外であって、あとは皆道路予定地である。この道路予定地をほんとうの道路にするには、非常に大きな費用と、しかも短時日のうちになし遂げなければならない経済状態というものが一方にあると思う。従って、国は道路を完全に整備されますために、思い切った道路公債というようなものを出されて、道路整備を行う御意思があるかどうか。このことは、今日非常に多くの失業者を出しておりまして、その中には相当な技術員もありますし、労力も十分ございます。従って国が行う仕事としては、この道路行政というものを、国民の雇用の増大と、さらに次の産業への一つの飛石として、最も重点的に取り上げなければならない、しかも急送に行わなければならないということを考えて参りますと、条件としては最もよろしい時期ではないかと考える。労力もあれば技術者も遊んでいるのでありますから……。従って、この際道路公債というようなものが発行できて、より以上の道路整備が急速的に行われて、そしてガソリン税その他については、これはそれを償還する一つ財源に充てていくという考え方が、この際国としてぜひとらるべき一つの手段じゃないかというように考えるのでありますが、この点に対する御見解を特に大臣から承わっておきたいと思います。
  20. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま門司さんから御指摘通りでございます。その意味におきまして、今度道路特別会計におきましては、ガソリン税に見合うところ一般会計からの繰り入れのほか、純粋の一般会計からの特別会計に対する繰り入れ、それから交付公債による金額もこれに入れるほかに、一般借り入れの道も開いているわけでございます。これはガソリン税が将来収入されるであろう、そのガソリン税を見返りとして、その償還財源としてこれはやるというところまで踏み切っているわけでございます。ただ本年は、御承知のように、三十二年度の経済の変調がいまだ続いており、また三十四年度においても、ある意味における超均衡予算を堅持しなければ、日本経済全体の安定がもたらされないという理由のもとに、三十三年度においては一般借り入れ、いわば道路公債ともいうべきものの借り入れの措置は講じておらないのでありますが、日本経済の安定、繁栄とともに一般借り入れの道は開いていく、それによって相当大幅に事業をやらなければ、御指摘のように、日本道路問題の解決にはならない。かように考えている次第でありまして、御趣旨には全く同感の意を表する次第でございます。
  21. 門司亮

    門司亮君 そうしますと、この法律に、大体ガソリン税を費用に充てることが閣議できめられて、そうしなければならないということを書いてありますが、これとは、今の大臣の御答弁とは、政治的には少し違うということですね。これはこれとして、今大臣の御答弁のようなことがほかに考えられている、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  22. 富樫凱一

    富樫政府委員 道路整備緊急措置法案の第三条第二項でございますが、「政府は、前項に定めるもののほか、道路整備五箇年計画を実施するため、財政の許す範囲内において、同項の道路整備費の財源につき必要な措置を講ずるものとする。」とありますが、この必要な措置を講ずるものの中に、今大臣が言われました一般の借り入れも入るわけでございます。この一般の借り入れにつきましては、道路整備特別会計法案の方にはっきり書いてございます。
  23. 門司亮

    門司亮君 大体わかりましたが、これは大臣のあげ足をとるわけではございませんけれども、御承知のように、国の方は一般会計でまかなって、借金利息は払っておらない。ところ地方の方は、さっき申し上げましたように純然たる借金であって、政府は何がなんでも利息をとるという方針であります。国と地方とが道路をこしらえるという同じ目的に使う金に、そういう区別をつけてもらっては、私はいささか迷惑だと思う。これはこれ以上議論しませんが、その点を十分配慮していただきたい。  最後に聞いておきたいと思いますことは、道路行政に対して、いわゆる一つの大きな焦点になっている交通行政との関連性であります。これを一体建設省はどうお考えになっているかということであります。御承知のように、今自動車の数は非常にふえております。そして危険度は最高度に達していると言っていいくらいであって、一年に何千人あるいは何万人近い人間が命をなくしておりますし、さらにそれに数倍する人間がけがをしております。この道路行政と交通行政というものが、不離一体のものでなければならないと私は考えるのですが、今日までの日本道路行政を見て参りますと、ほとんどこれが野放しになっている。自動車が何台ふえようと、道の幅がどれだけあろうと、そこにどういう自動車が通ろうと、そういうものは一切おかまいなしである。そこに私は道路行政上の大きな問題が残されておりはしないかと思う。従って道路行政と交通行政との関連は、さっき大臣の申されました閣僚に、通産大臣を加えて、産業計画の問題もこれに加味していくことが当然だと思います。その中から出てくる問題として、道路行政と交通行政と運輸行政、この三つの関連性が、今大臣からお話を聞きましただけでは、私はなかなか納得するわけには参りません。交通量があんな状態になっていて、あれだけ大きな事故を起しておるものについて、道路行政を担当される建設大臣としてはどうお考えになっていますか。この点を一応この際伺っておきたいと思います。
  24. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、従来は建設省はただ道路だけ作ればよろしい、あるいはまたそれを補修するだけだ、こういう形でありまして、道路を使用するところの運輸業者に対する取締りとか、そういうことはほとんど直接の監督権限がない。そのためにせっかく道路が作られましても、その道路の許容量をはるかにこえた大型トラック、バスがどんどん許可されて壊していく、特に地方道においてひどい。せっかく作った橋梁が一、二年でめちゃめちゃにやられてしまう。これでは建設行政ができないというので、運輸省、あるいは車体を作ることを許可しているか、認可しているかわかりませんが、通産省も協力してもらわなければ困る。それから取締り関係である警察方面にもいろいろ連絡しておりまして、実はこれに関しまして、何らかの法的措置を講ずべきだという意見を、私は数次にわたって閣議で議題にいたしておりまするが、なかなかまだその成案は得ておらないわけです。ただ事故に対しましては、内閣に事故防止協議会か委員会かがありましてやっておりまするが、それじゃとうていいけない。もっと抜本的に道路と、これを使用する輸送と、さらにこれを走る車両を作る行政機関と、取り締るところの警察との、この四者一体になった行政上の連絡、調整、また必要によればそれに基く何らかの法的措置あるいは行政措置を必要とするということについては、全く同感でございまして、これについてはただいま関係省庁の事務当局に十分に検討させております。それについては、実は私の方から提案いたしまして、関係事務当局において一応今検討中であります。内容については私まだ詳細はわかっていませんが、後刻一応の概略でも道路局長から若干の説明をつけ加えさせたいと思います。
  25. 門司亮

    門司亮君 私がそういうことを聞きますのは、実は今私の方の委員会で警察法の改正をやっておりまして、交通事故をどう防止するかということを取締りの方面からも協議をいたしております。これは幾ら取り締ったところで不都合の起るようにできさておるのですから、取締りだけ厳重にしたってどうにもなりません。狭い道に大きな幅の自動車が入ってくる。あまり交通がひんぱんでないと考えておったところが非常にひんぱんな交通量になってくるというようなことで、設備が全く逆になっておる。今大臣も仰せになりましたが、私どもが心配いたしておりますのは、道路維持修繕費橋梁維持修繕費が四百二十億しか地方に見ておらない。これは満足なものではないということでありますが、この際ほんとうに建設省に考えてもらいたいことは、日本橋梁というのは従来十二トンを最高にしておったことは建設省は御存じの通りだと思う。道路の耐久力は六トンということである。それが戦後において、十トン、三十トンというような大きなものが通っておる。従って言葉をかえて言いますと、日本全国の国道だけではありませんで、主要な県道、市町村道に至るまで、橋梁というものは全部永久橋にかけかえなければならない運命にきているのであります。これを辛うじて補修だけでどうにかしている。従って補修はどんなにやりましても、地方橋梁の重量制限あるいは通行禁止をしなければならないものが年々減っていかないのであります。もしこれを地方自治体がほんとうに完全なものにしようとすれば、地方自治体にはばかばかしい大きな金が必要になってきて、とうてい今の財政ではやっていけない。この点もやはり建設省といたされましては、道路の五カ年計画整備されます場合にはぜひ一つ考慮に入れていただいて、そうして先ほどから申しておりますように、できるだけ地方財源に対しましては、しわ寄せをしないように手配をしていただきたい。そうしないとせっかくこういう道路五カ年整備計画というものができましても、これは骨だけできておって、それの手足となるものには実際に沿わないものができて、跛行的道路行政にならざるを得ないということになって参りますので、跛行的道路行政というものがいかに地方産業を阻害しておるかということを建設省としてはこの際お考え願いたい。私はこういうことを最後に一つ御注文を申し上げておきまして、質問を打ち切らしていただきたいと思いますが、同僚各位には委員外発言を許していただきましてありがとうございました。
  26. 西村直己

    西村委員長 中島巖君。
  27. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今門司さんからも発言のありましたように、この道路整備新五カ年計画を契機として、各所からいろいろな意見が出ておるわけであります。委員長からも、本日質疑の打ち切りという希望もありましたので、それにわれわれも協力いたしておるわけでありますが、こういう発言が各所から出ておるということは、ここに何か問題点があるということが言えるわけであります。ところが各委員発言も全部、道路整備が非常におくれているんだ、やらねばならぬのだ、しかしそれに伴う財源措置であるとか、あるいは地方公共団体の負担に関する件であるとか、あるいは交通事故が頻発しているとか、こういうようないろいろな御発言があるわけで、結局道路整備を大幅に推進せねばいかぬということは、昨日の地方行政との合同委員会においても何においても、全員の認めるところであるのであります。そこで、これらのいろいろな諸問題はどういうことに集約できるかと申しますと、結局道路整備に対するところの基本問題の策定ということに、一つにしぼればかかっていると思うのであります。そこでこの前の話と、若干蒸し返しのような観がありますけれども、要すれば基本問題の策定ということになるのであります。  そこで私は、最初から踏み出すような格好になりますけれども、かつて昭和二十九年におきまして、道路整備五カ年計画政府が策定して、これによって出発したのである。しかしながら五カ年計画は四カ年においてさらに新五カ年計画に、ここにあらためてただいま提案されて、われわれはそれを審議中なのであります。それで、かつての五カ年計画は私は失敗だとは申しませんけれども、いずれにいたしましても、五カ年計画が四カ年計画で新五カ年計画に切りかえねばならぬという、この事態に立ち至ったことは、そこに相当な理由がなければならぬと思うのであります。この新五カ年計画に切りかえねばならぬところの理由は、道路整備緊急措置法案において大体の説明はしてありますけれども、これに対する大臣のお考え、それから事務当局といたしまして道路局長から、なぜ前の五カ年計画は途中で変更せねばならぬ事態になったか、その理由について承わりたいと思うわけであります。
  28. 根本龍太郎

    根本国務大臣 すでに策定しておりました道路五カ年計画をさらに拡大して今日のような整備計画を立てた理由については、まず第一に、従来の計画は従来の財政上の立場その他からして相当縮小されておった。先ほども門司さんの言われたように、これは単にガソリン税収入を目途として、それによってやっていくというだけではとうてい足らない、抜本的に地方道国道あわせて総合的に、大幅に推進しなければならないということが一つの原因になっています。その基盤となるのは、前々から言われておるように、日本経済の発展の速度に対しまして、道路整備計画が必ずしもそれに対応していないということが根本的な原因であると思います。日本経済の発展に伴いまして、従来の長距離輸送がほとんど鉄道に依存しておったのが、あるいは海運に依存しておったのが、長距離道路輸送によって解決しなければならないという状況に追い込まれておる、そういう観点からするならば、従来の道路計画は小さ過ぎる、なおまたこれに対する財源措置についても不十分である、こういう観点から、ここに構想を新たにして道路整備五カ年計画を提案したということが根本的な理由であるのであります。
  29. 富樫凱一

    富樫政府委員 前に策定いたしました道路整備五カ年計画を四年でやめまして、五年目から新たな道路整備五カ年計画を立てるわけでございますが、この理由は一に自動車交通の激増によるものでございます。当初予定いたしました道路交通の予想量をはるかに上回ります道路交通が現われておるわけでございますが、昭和二十九年度のときの自動車の保有台数は百三十万台でございます。それが昨年の九月の統計によりますと百九十万台になっております。しかも昭和三十一年度におきましては陸上交通の輸送に隘路が生じまして、産業に対する隘路を形成したわけでございまして、またその内容におきましても、当初予定いたしましたところよりも道路の幅を広げなければならないというような問題、また当初に計画いたしましたところよりも別のところに着手しなければならなくなったという問題、これはいわゆる二次改良という言葉で言っておるのでありますが、当初改良いたしましたところでも新たに改良を加えなければならなくなったというようなことがだんだん重なって参りまして、もっと道路整備規模は増す必要がある、増さなければ交通需要に応じられないということがはっきりして参りましたので、構想を新たにいたしまして新しい五カ年計画を立てたわけでございます。
  30. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで大臣の御答弁並びに道路局長の御答弁で明らかなように、昭和二十九年に道路整備五カ年計画を策定するときにおいては、相当進歩的な道路整備五カ年計画であるという、かような考えのもとに策定されたのであると推測されますけれども、今の御答弁あるいはこの提案理由の説明にもはっきりしておるように、結局第一次道路整備五カ年計画を策定するときに、わが国の経済の伸張の速度とか、あるいは自動車の発達であるとか増加量とかいうところの目測が完全に誤まっておったために、五カ年計画を四カ年でもって新五カ年計画に切りかえねばならぬ、こういう状態になったのだということは、ただいまの答弁ではっきりいたしておると思うのであります。そこで第二次と申しますか、今回の新五カ年計画も、第一次の五カ年計画の轍を踏むことはないかどうか、これが非常な問題であろうと思うのであります。そこで、基本的の道路政策につきましてはこの前も大臣としばしば質疑応答いたしましたけれども、私の考えとは多分に食い違いがあるわけであります。問題は古い問題にさかのぼりますけれども、たしか昭和二十七年に道路法を改正いたしたわけでありますが、結局現在の建設省の道路政策というものはこの道路法にのっとってやっておるのだ、こういうように了解してもよろしいですか、その点を一つ。局長よりの御答弁でもけっこうです。
  31. 富樫凱一

    富樫政府委員 昨年高速国道ができまして、高速国道に関しまして道路法の一部を改正いたしましたが、それに基きまして道路整備計画は立てておるわけでございます。
  32. 中島巖

    ○中島(巖)委員 昨年第二条だかにこの高速国道を人れたことはわかっておりますが、この道路法の大幅の改正はたしか昭和二十七年にされたと思います。それからその前に道路法ができましたのはたしか大正八年だと思いますが、この点いかがでございましょうか。
  33. 富樫凱一

    富樫政府委員 お話通り大正八年に道路法ができまして、新たな道路法昭和二十七年に公布されたものでございます。
  34. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで昭和二十七年に改正された主要なる点はどういう点であるか、ごく大ざっぱでいいですが、御記憶があったらお聞かせ願いたいと思います。
  35. 富樫凱一

    富樫政府委員 これは詳しいことはよく覚えていませんが、昭和二十七年に公布されました道路法は、新しい憲法ができましたために、それによりまして大正八年の道路法を改正する必要があったと聞いております。そのほかに昭和二十七年に改正しましたのは、そのころ相当自動交通が発達してきておったわけでありますので、自動車交通に対する考えも道路法には入れて改正されたものと承知をいたしております。
  36. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、どういうわけでそういうような法律的なことを私が今局長にお尋ねするかという点は、これは一つ大臣よく御承知願いたいのですが、確かに昭和二十七年に改正された重点なんかも道路法逐条解説にありますけれども、ほとんど大正八年のものまでも、ただいま局長から答弁のあったように、憲法改正に従って改正せざるを得ぬ立場になって改正して、自動車のことも若干は入っておるけれども、依然として大きく貫いておるのは大正八年の道路法の精神であるわけであります。そこで、これは基本的な問題になるわけなんですが、結局かつての道路政策というものは人と馬だけを対象とした道路であって、その法規制も行政機構も、依然としてそのままでおるわけなんです。大正八年に制定した道路法昭和二十七年に大幅に改訂して、しかも大幅に改訂はしたけれども、ただいま申し上げましたような理由で、道路法の精神はそのままである。それから昨年、例の高速国道の一条を入れましたけれども、これは縦貫自動車道その他ができたり、建設省が自動車専用道路をやらなければならぬということで、木に竹を継いだようにこの一条を入れただけでは、やはり底に流れておるところ道路法の精神というものは、かつての精神そのままだ。そういうような考えで法規制も道路行政も現在やっておるとしか実情から見て思えないのです。  そこでここに一番基本的な問題があるのです。この基本的な問題を割り切らぬ以上は、先ほど各所から出たようないろいろな意見が出てくると思うのです。と申しますのは、くどいようでありますけれども、きわめて短距離の、人と馬車だけを対象とした道路そのものが道路法であった。その道路法に基いて法規制も官庁の行政機構もできておる。しかるにここに急速な自動車工業の発達によってこういうような状態をかもし出してきて、どうにもならぬ状態になっておるというのが現況なんです。そこで今度は政府は新たに道路整備五カ年計画を策定されましたけれども、それはそういうような自動車の輻湊であるとか道路が悪いとかいう、いろいろな声に押されまして、そしてかつての鳩山内閣の四十二万戸住宅建設にかわるべきところの内政面の大きな問題としてこの道路整備計画を取り上げて、かつてから見れば革命的な特別会計なんかを設けて御出発になっておりますけれども、依然として政府の基本的な考えは、この新しい時代に対処するための新しい道路の基本政策というものではなくて、ただ必要に迫られてあとから追っかけて、道の幅を広げるとか、あるいは舗装をするとか、こういうような、これはちょっと極端な言い方かもしれませんが、徳川時代の道路政策のあとを受けた五カ年計画の策定である、こういうようにしかわれわれは解釈することができぬ。従ってこの基本問題を解決せぬ限り、そして新しい構想の上で基本政策を策定せぬ限りは、建設省の道路行政のあり方も、それから道路公団がどういうふうにいったらいいか、それから有料道路はどういうあり方がいいか、あるいは地方公共団体の負担の割合はどうしたらいいかということも依然として低迷して、未解決のままに、先ほど門司氏がいろいろ意見を述べたような問題が起るのじゃないか、そういうように私は考えるのです。  そこで御質問の前にもう一言申し上げておかなければならぬことは、先ほど道路局長からも、自動車の激増によってとかいうようなお話もありましたけれども、全くその通りなんです。大正八年にこの道路法が制定されたときは全国に自動車の数が五千五百五十三台しかない。この内訳は、自動車は五千百九台、トラックが四百四十四台、こういうような数字になっておる。全国に五千台しかなかったときの道路法の精神が現在そのままに出てきておる。それで年次別に申し上げるのもあれでありますから、ごく大ざっぱに申し上げますが、昭和二十三年で二十三万三千百十三台というような数字になっておる。そうして道路法の改正に着手いたしましたのが昭和二十五年でありますけれども、このときには三十八万七千五百四十三台というような数字だった。この三十八万台のときに大幅な道路法の改正をしたわけであります。それが昨年の十二月末現在の調査でいきますと、百九十六万三千三百四十七台という数字になります。現在はおそらく二百万台を突破しておる。新しい道路法を制定するときは三十八万台のときだった。経済事情と申しますか、自動車の状態がこういうようにまるで変ってきておる。そればかりではない。先ほど建設大臣は、大型トラックがいなかの道なんかをいためるについて、これに対して法規制を設けなければならぬと言っておりましたが、これは全く時代錯誤の考え方でありまして、現在わが国のディーゼル・エンジンは世界に冠たるものであって、八トン積み、十トン積み、十五トン積みというものが幾らでもできるのです。これを利用した方が四トン積みや五トン積みを利用するより倍も三倍も有効なんであります。同じガソリンで同じ運転手でもって、荷物も倍も三倍も積める。ところ道路が悪いために、やむを得ぬから四トン積み、五トン積みで運送しているのが現在の状態なんであります。自動車工業の発達に伴って自動車は大型化してきて、速力が非常に伸びてきている。こういう時代になって陸上交通は、かつて明治時代に鉄道を取り入れて、鉄道輸送に切りかえたときと同じ革命の時期にすでにきてしまっている。こういう情勢なんです。従って道路政策に対しても、道が悪いから、それから都市間の交通がどうだからというような、必要に迫られて道幅を広くするとか、隧道を作るとかいうようなことでなしに、抜本的な基本政策を策定しなければいけないという時期に到達いたしておると私は考えるわけであります。明治時代の鉄道建設が政府の超重点施策といたしまして、鉄道網を新しく日本全体の産業経済立場から策定して線をきめたと同じような状態に現在至ってしまっているというように考えるのであります。  そこで大臣に伺いたいことは、こういうような状況下におきまして、大臣は旧来の道路政策そのままを取り入れて、財源がないから仕方がない、旧来の道路の道幅を広げるとか、トンネルを作るとかいうような政策で終始される考えが、あるいはただいま申し上げましたように、自動車工業の高度の発達の立場に立って、ちょうど明治時代に鉄道を敷設したような考えでもって今後の道路政策を策定される考えであるのか、いずれの考えであるのか、この二つの点についてはっきりした御意見を伺いたい。
  37. 根本龍太郎

    根本国務大臣 中島さんの御意見は前々からお聞きし、これに対して一応答弁しておりまするが、あらためてまとめてお答え申し上げます。  現在陸上輸送について一つの大きな転機に直面しておる。従いまして、かつて明治時代におきまして陸上輸送が従来の荷馬車とか、あるいは人力によっておったものを、鉄道というものにかえて、全面的な道路の革命的施策をやった。これに対応するように、現在においては道路についてそれがなされなくてはならない、これは全く同感でございます。しかし同時に、現在ありまするところ国道その他地方主要道路が、これが改善されることによって、その目的の相当部分がまた達成されるということも、これはまた事実でございます。従いまして国家経済立場から見ますれば、既存の道路が改良され、あるいはこれにかわってバイ・パスを作るとか、こういうことによって相当目的が達成されるところについては、これは新たなる高速自動車道路と相関連しまして、実施しなければならないと考えておるわけでございます。中島さんが言われておる高速自動車道路に最重点を指向すべしという点は、すでに政府においても、その意味において高速自動車道路あるいは議員立法によってできさました縦貫国道というものも、これは計画の最も重要なる部面としてこれを取り上げておる次第でございまして、ただこれが中島さんの方は既存のものの改良よりも、むしろ新たに高速自動車道路を他のものに優先して——端的にと言えば他の方はどうでもいいから、そっちの方をうんと早くやれというアクセントのつけ方については、若干私と意見を異にするのでありますが、総合的な道路政策の展開については、全く同じ考えを持っておると申し上げて差しつかえないと存じます。
  38. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私も、今の道路はほうっておいていいという考えを持っておるわけじゃないのです。そういうような革命的の時期にきておるのだから、その深い認識のもとに閣内の意見をまとめていただかなければいかぬのじゃないか、こういうように考えるわけであるのであります。  そこでさらにお尋ねすることは、確かに根本建設大臣によって一歩前進したのであるけれども、その基本的の政策において、若干欠けているところがあるのじゃないかと、こういうように考えるわけなんです。たとえばこの予算関係におきましても、六百数十億というような数字が出たわけであります。しかしながら鉄道の本年度の維持、修繕、建設費は、この間木村政務次官がここへ来ましての答弁では、一千六十数億というような予算をかけておるわけであります。現在この自動車交通が鉄道以上に非常に重要であるということはだれも認めておるのです。それから本年度六十何億ですか一般会計から出ましたけれども、結局かつての重点施策として電源開発なんかは、たしか昭和三十一年におきましては、四百五十億ほどこれに入れておるのじゃないかと思うのです。それで結局この大規模な建設事業は、国の財政が豊かであるとかないとかいう問題ではなくして、いわゆる時の為政者すなわち政府が一貫したところ一つの方針、つまり政治指導をすれば、これは必ずできる問題だと思うのです。今の電源開発関係の問題、それから鉄道の問題なんかからと比較して考えた場合において、やはり国を縦貫するところのいわゆる幹線ともなるべき高速自動車道路をぐんぐんと建設すると同時に、その一面、先ほど大臣からお話のあったような旧来の道路整備ということと並行してこれを行わねばいかぬ、こういうように考えるわけであります。言いかえれば、非常に困窮したからそこをやるということでなしに、一歩前進して、国の産業経済の見地から、ちょうど鉄道を敷設したような考えで、この高速自動車道路も着手するところ大臣にお考えがあるかどうか、この点をお伺いしたい。
  39. 根本龍太郎

    根本国務大臣 今御指摘のように、道路について特に高速自動車道路重点を指向すべしということについては全く同感の意を持っております。その意味におきまして、従来のいわゆる公共事業費だけでできない部分については有料道路もやるし、そのために必要な財源については外資も導入する。さらにはまた一般道路につきましても、先ほど御指摘がありましたごとくに、これはガソリン税収入だけでなく、純粋の一般会計からの繰り入れのほか、経済情勢の好転に伴いまして道路公債ともいうべき一般借り入れまでやるというところまで、法律上も、政府施策としても、踏み切った次第でございまするが、ただ第一年度としての三十三年度の全体の事業量が、私が希望したところまで行っていないということは事実でございます。今後これは十分政府部内の意識を統一し、三十四年度からはさらに画期的な財源措置を講ずるために努力をいたしたいと思っております。
  40. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私も根本さんが建設大臣になられたので、非常に期待をいたしているわけであります。それで、道路整備五カ年計画では一応九百億というように踏んでおられるのですが、外資の導入その他のいろいろな——まあこれは希望的な観測であるかもしれませんけれども、強力に進められて、行き詰ったと申しますか、革命期にある道路政策を一つ大幅に進行していただきたい、かように希望いたしまして、この基本的の問題については以上で打ち切ります。  それから次に、有料道路の問題について、このころからも御質問いたし、建設大臣と私との考えに非常に食い違ったことがありますので、その点もう一応お伺いしておきたいと思うのです。そこで有料道路の制度でありますが、これは原則から申しまして、国に財源がありさえすれば無料公開の原則に従ってやるべきものだと思うのでありますが、現在の道路が非常に立ちおくれている、そうして財源関係にもむずかしいというところで、有料道路制をしいたのも、これはやむを得ないし、確かに一つ道路整備を促進する方法であるという考えで、私どもも賛成をいたしているわけであります。しかしながらこの中の有料道路に対するところ考え方というものについて、政府と若干意見を異にしているのです。たとえば現在道路公団のやっている有料道路において、縦貫自動車道の小牧—神戸間を除いた部分は、一級国道または二級国道の一部分の橋であるとかあるいはトンネルであるとかいうところを、有料道路として道路公団が施工しているところであります。これらは当然、国に財源がありさえすれば一般公共事業でもって無料公開の原則によって行わねばならぬ所である。ところが御承知のように財源がないために、現在そういうような方法をとっておるわけであります。そこで問題の重点は、その区間の工事をやる場合において、全額償還しなければならぬ。つまりその区間だけについては、全額償還しなければならぬだけの料金を道路の利用者が払わなければならぬ。それを一歩はずれれば、公共事業でもって、少しも料金を払わずに無料公開で通行できるのです。これはいかにしても、僕は基本的な考え方が間違っておりゃせぬかと思う。そういうような有料道路制をとるのもいいけれども、一級国道一級国道として無料公開の原則であるのだから、その中にも若干公共土木施設の資金を一般会計から投入して、一部分一般会計から、一部分はいわゆる償還すべき金でもってやるべき性質のものである、こういうように考えるのでありますが、大臣はどういうお考えでありますか。
  41. 根本龍太郎

    根本国務大臣 道路政策の観点に立ちますれば、中島さんの言う点が私は最も合理的だと思います。しかし現在公団を設立して、公団法の建前からいたしますれば、これは単に国の公共事業をやるというだけでなくて、一応の採算制をとっております。そういう観点からいたしまして、これはいろいろと御議論はありますけれども、現在われわれとしては、有料道路については償還ができてから後に無料公開をするという立場をとらざるを得ません。ただしその負担をできるだけ軽減するために、政府の出資で利息のかからない金を入れるというような方向に努力することについては、当然やらなければならぬと思いますけれども、この有料道路の償還ができなくとも早く無料公開にすべきだということについては、今私は踏み切っておりません。
  42. 中島巖

    ○中島(巖)委員 これは基本的に大臣と私と意見の違っておるところだろうと思うのです。そこで時間もないので、話が飛躍しますけれども、結局先ほど大臣から御答弁のありましたように、いわゆる幹線となるべき高速自動車道も開設するお考えだ、それから現在の既存の道路整備も果敢にやられる考えだ、本年度はこういう状態であるけれども、さらに来年度は道路整備五カ年計画にのっとってやられる、こういう大臣の御構想は十分承わったわけであります。そこで問題は、昨年度と今年とはさらに違って参りまして、そういうような基本構想のもとにおいて有料道路のあり方、公団のあり方というようなことが非常に問題になってくるのじゃないかと思うのです。そこで時間もありませんので端的に私の構想を申し上げまして、大臣のお考えを伺いたいと思うのでありますが、有料道路は全部公団でやらせる、こういう建前はどうかと思うのです。たとえば一級国道、二級国道なんかで現在手をつけておるような、ああいうものは建設省が直轄でやられて、地方建設局にまかせられたらどうか。しかも今度は特別会計ができて、料金の徴収もできるのですから、そうして先ほど申しましたように公共事業費とそれから償還せねばならぬ借入金、あるいは財政投融資なんかを入れてやられて、そして公団の方はそういうようなことでなしに、国道の幹線となるべき高速自動車道を専門にやらせる。これもペイすれば無料公開にするといいますけれども、これは縦貫道の法文にもあるように、北は北海道の稚内から南は九州の鹿児島に至る線なんだから、ちょうど今の日本国有鉄道のような性格を負わして、そして大きな構想のもとに、償還してペイするというような考えでなしに、さらにその財源の一部として次から次に建設していくというような方針をとられることがいいのじゃないか。このごろもちょっといやなことを大臣の耳に入れましたけれども、そういうような問題があと二つも三つも、この席では申しませんが出てきておる。結局公団を商人の採算的なような方向にばかり政府の方針として持っていくからこういうものになってしまうのだけれども、ただいま私が申しましたような永久的な構想でやるとすれば、もう少し公団の考え方、方針なんかもはっきりしてくるのじゃないか、こういうように考えるわけでありますが、この点について大臣の御所見を承わりたいと思います。
  43. 根本龍太郎

    根本国務大臣 中島さんが御指摘になりましたように、道路公団の使命の重点をどこに置くかということになると思います。これはやはり名神国道のように最も重要なる高速自動車道路にして、かつ有料道路というものに重点を置くように指向したいとは存じております。ただし現在まで地方自治体でやっておったものを道路公団が引き継いだもの、あるいは継続事業、それから今まで道路公団として一部地方において要請されておるものについても、今急にこれを全部地方自治体とかあるいは建設省直轄でやるということは、事務的にも私は必ずしも適当じゃないと思いましてやらしておりまするが、将来の公団のあり方としては高速自動車道路重点として建設せしめ、かつこれを維持管理せしめるという方向にいくことについては、全く同意見でございます。
  44. 中島巖

    ○中島(巖)委員 まだいろいろお伺いしたいこともありますが、本日で質疑は打ち切るというようなお話でありますので、他に質問される方もあるようでありますから、大体建設省に対してはその程度でおくことにいたします。  それから自治庁に対してお伺いいたしますが、昨日のお話で、まだ十分に了解することができなかった問題があるのでお伺いしたいと思います。それで、大体このごろの質疑応答の過程におきまして、地方公共団体の本年度の道路整備に関する負担金は五百五十二億というようなお話を承わったのであります。そこで昨日財政課長にお伺いしたのでありますが、この地方道路整備負担について、まるまる地方負担にして、起債は認めない方針だ、こういうことをお伺いいたしたのであります。それで大体昨日お伺いいたしましたことは、地方道路譲与税が百三十五億、それから軽油引取税が六十五億というようなことをお伺いいたして、約二百億という数字がここに出てきたわけであります。ところ道路に対しての平衡交付金というものが、基準財政需要額で計算して交付税を申請する場合に、この数字が必ず出てくると思うのですか、これはそういうことになっておるのじゃないんですか。もしその数字か出てくるとすれば、全国で幾らという数字が押えられるわけだと思うのですが、そういうことにはなっておらぬのですか。
  45. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 基準財政需要額の算定上は当然道路橋梁関係の経費は出て参ります。大体これは正確には個々の県、市町村について計算して積み上げてみぬとわからぬのですが、一応概算いたしますと、交付団体が二百四十億余りになろうと思います。それから不交付団体が六十一、二億、大体概数三百億近い数字に交付、不交付を通じまして基準財政需要額の算定上、道路関係の経費が出てくるように今考えております。
  46. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それで地方道路譲与税並びに軽油引取税それから道路に対する地方交付税の総額というものは、大ざっぱでにどのくらいの金額になるのですか。
  47. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 特定の今の軽油引取税と道路譲与税で二百億近いのです。今申し上げました基準財政需要額からは約三百億という数字が出ておる。合せて五百億ぐらいになろうと思います。
  48. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そうしますと、地方負担の五百五十二億の中で、今の財政局長の御説明だとすると、大体五百億というものはただいまの地方道路譲与税、軽油引取税、地方交付税で確保できるわけでありまして、わずか一割の五十二億が地方単独負担という結果になるのですが、そういうように了承してもよろしいですか。
  49. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 道路費の方は、五百五十億というのは大体単独部分でございまして、そのほかに補助関係道路関係の経費がございます。それと臨就、特失等にも道路関係事業がありますので、ちょっと正確な数字はわかりませんが大体百七、八十億じゃないか、こう踏んでおります。それでございますから、道路全体からいえば七百億をこえる数字になるのじゃ、ないか、こういうふうに一応見当をつけております。そこでこれについての財源の問題は、基準財政需要額の算定は、御案内の通り税につきましては府県は税収の二割、市町村は税収の三割を別ワクに計算をしておりますのと、そういうものから出てくる一般財源で多少充てなければならぬという問題、あるいは府県、市町村が受益者から受益者分担金を、これは団体によって違いますが、多少とっておる、そういうものも計算に入れて、総体的に財政計画としてはつじつまを合せるようにというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  50. 中島巖

    ○中島(巖)委員 くどいようですが、そういたしますと地方公共団体の単独負担というものは、推定いたしまして大体二百億が若干切れる程度になるのじゃないかと思うのですが、これに対しては例の地方財政法で許しておるところの一円に対して九十銭ですか、あの建値というものは全然認めぬという御方針でおるのですか、あるいは基準財政需要額のいかんによっては認められるのでありますか、それとも交付公債でも発行されるのでありますか、その点お伺いしたいと思います。
  51. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 起債は今度、少くとも府県の起債につきましては道路関係は認めることは非常に困難になるだろうと思います。起債を減らしましたのは総体で九十億でございまして、九十億減らしました趣旨は普通の建設事業、公共事業というものは一般財源でまかなうのが至当である。臨時に非常に巨額な金が要る、たとえば建設関係でもダムのようなそういう経費になりますと、特定の団体に非常に巨額な金が要りますから、そういうものは起債をつけるが、そうでない普通の道路とか河川とかというようなものにつきましては一般財源でやろう、こういうことになろうと思います。もっとも市町村につきましては、市町村の扱う街路整備というものは、歳入歳出の工合が今日が非常にバランスが違ってきますから、そういうものにつきましてはこれは考えざるを得ない、こういうふうに考えております。
  52. 中島巖

    ○中島(巖)委員 大蔵省からも坊政務次官並びに松永主計官がお見えになっておりますので、いろいろこまかいこともお伺いしたいと思いましたけれども、すでに十二時を過ぎておりますので、簡単にお伺いいたします。  先ほどから根本建設大臣といろいろ道路整備関係のことで質疑応答いたしたのでありますけれども、結局問題は、今回、従来から見て相当飛躍的な行政措置をされたわけでありますが、私の考えとすれば、これくらいでは現在の行き詰まっておるところ日本道路政策というものに、基本的に非常な考えの食い違いがあるわけであります。さらに食い違っておりましても、根本さんの構想がなお政府の政策として思うように実現できなかったということも、結局これは大蔵省関係が一番問題があった、こういうように考えるのです。それで私が大蔵当局に対してお願いと申しますか希望することは、この道路政策というものは、現在の自動車業の発達によって輸送の面が非常に革命の時期に到達しておるということが一点と、それからもう一つ道路整備に投入するところの資金は、他の産業の設備投資というものとは違いまして、ことに現在潜在失業者が非常に多いときに、道路整備に投資いたしますと、これに一番たくさん、要るものはセメントであり、その次が鉄鋼であり、またさらにそれより大きいものは結局人件費、こういうことになるのでありまして、これは決してインフレを助長する素因にはならないのであります。そして来たるべき日本産業経済を飛躍的に発展するところの基盤になるのだ、こういうように私は考えておるわけでありますが、大蔵当局のお考えはどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  53. 坊秀男

    ○坊政府委員 お答え申し上げます。日本におきまして道路政策を尊重して道路整備をはかっていかなければならないという御意見は、全く私も同感でございます。そういう観点からいたしま出して、いろいろな点において、これはどんなことがあってもインフレにならないのだということは少し私は考えなければならないと思いますが、財政のと面、産業の面、金融の面、そういった点から考えまして、これらの諸条件が許す限りにおきまして、大蔵省といたしましても道路整備ということを尊重していかなければならない、かように考えております。
  54. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それでこの道路整備に使うところのものは、先ほど申し上げましたように、人の問題とそれからセメント、鉄鋼、こういうような関係なんですが、従ってこれによる外国為替の帳じりなどに対する影響というものは大蔵省としてどういうようにお考えですか、その点一つ伺っておきたいと思います。
  55. 坊秀男

    ○坊政府委員 道路だけに限定いたしまして鉄を考えますときにはそれはそれほどのものではないと思いますけれども、鉄の輸入とかそういったようなことは、道路だけでは考えられないことであって、日本産業全体について考えていかなければならない問題だ。道路だけに限定して、鉄とかセメントとか、あるいは人間とかといったものを道路のワク内で考えるということは、理由がないというところまで申し上げますと、これは言い過ぎでありましょうが、もっと総合的に考えて案を立てなければならない、そのように考えております。
  56. 中島巖

    ○中島(巖)委員 道路整備の緊急件ということは、幾ら昔から金庫の中にばかりおった一萬田さんだって、おそらくお考えになっておるだろうと思うのです。問題は、それほど必要な道路整備をなぜ大蔵省が本気にならぬかというと、それによってインフレの懸念があるということが最大の問題だと思うのです。そこで大蔵省は、道路整備に大幅な金を出すとか、急速に行うことによって、これがインフレになるのかならぬのか、道路整備だけの問題を取り上げて——道路整備の問題にしましても、先ほど申し上げましたように、その中にはセメントの増産ということも、鉄の増産ということも、あるいは人をたくさん使うということも、あるいは機械を入れなければならぬということも含まれるでありましょうけれども、そういうことについての審議会とか、審議機関というようなものを持って御研究になったことがあるかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  57. 坊秀男

    ○坊政府委員 お尋ねの焦点にあるいははずれるかもしれませんけれども、インフレになるとかならぬとかいうようなことは、これは道路政策をどうするからインフレになるとかならぬとかいうことでなしに、大蔵大臣道路に対して、あまり熱意がないじゃないかというような御意見もおありのようでございますけれども、決して大蔵省道路政策に対して熱意がないということではありませんで、財政上国家がやるべき諸般の公共事業、あるいは社会福祉その他のやらなければならぬものがありますが、そういった諸政策とにらみ合せまして、そして国家全体の政策の中においてバランスのとれた政策をやっていかなければならない。こういうような考え方から、今度の道路整備五カ年計画の第一年度というものも割り出して参ったものでございまして、道路整備するからインフレになる、道路整備するとどういう欠陥が生じるから、これに対して熱意がないというようなことでは、断じてないと私は考えております。
  58. 中島巖

    ○中島(巖)委員 政務次官にお聞きしますが、結局私の考えは、日本産業がアメリカ景気を受けて、現在非常に萎靡沈滞のような形になって、失業者が非常に多いときです。そういうようなこと、それから道路整備は、くどいようでありますけれども、国内産業で大体間に合うということです。しかし金融の元締めの大蔵省としては、これに多額の財政投融資をすることがインフレになるという、この御懸念が一番の問題だと思うのです。ところが、一萬田さんに来てもらって、ここでいろいろ言ったところで、日本の金融、財政の全般にわたって頭を使っておられる方が、なかなかこの道路整備というようなことには——先ほど熱意があるとかないとか言われましたけれども、熱意がある、ないというようなことでなく、最初からちんぷんかん、何もわからない人ですから、大蔵大臣にいろいろ言っても無理だと思うのです。そこできっすいの政治家の政務次官に希望することは、この道路整備に使う金がインフレになるかならぬかとか、さらにそれに対するセメント、鉄材とか、あるいは現在の道路整備の緊急性とかいうことに対して、とにかく岸内閣の内政上の一番大きな看板として掲げてある道路整備の問題でありますから、大蔵省内部におけるこれに対する調査機関というようなものを、大へん失礼な言い方かもしれないけれども、このくらいな機関なら、何とかあなたの力でもできると思いますので、あなたはその機関を設置するように、きょう一つお約束願えませんでしょうか。いかがでしょうか。
  59. 坊秀男

    ○坊政府委員 ちょっとお尋ね申しますが、道路整備についての調査機関という意味でございますか。
  60. 中島巖

    ○中島(巖)委員 大蔵省立場としての調査機関です。
  61. 坊秀男

    ○坊政府委員 道路につきましては、主計局を中心といたしまして、従前からも非常に熱心に、綿密に調査をやって参っておりますが、御希望の御意見も、私は非常に重大な問題だと思います。現に主計局ではやっておりますけれども、さらにこれを拡充することも一つの方法でありましょうし、また別個に調査機関といったようなものを作るかどうかということも、全然そんな必要はないという問題ではなかろうと私は思います。御意見は非常に尊重いたしまして、検討してみたいと思っております。
  62. 久野忠治

    ○久野委員長代理 午前の会議はこの程度にとどめ、午後は一時半より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  63. 久野忠治

    ○久野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  道路関係三法案に対する質疑を行います。  お諮りいたします。加藤精三君より道路関係三案につきまして委員外発言を求められております。この際これをお許しするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 久野忠治

    ○久野委員長代理 御異議なしと認めます。加藤精三君。
  65. 加藤精三

    ○加藤精三君 道路整備緊急措置法につきまして御質問いたします。本法の理由書には「道路を緊急に整備して経済基盤の強化に寄与するため、道路整備費の財源等に関する臨時措置法を廃止し、新たに道路整備五箇年計画を定め、これに充てられるべき道路整備費の財源その他道路整備に関し必要な措置を定める必要がある。これが、この法律案提出する理由である。」というのですが、建設大臣大蔵省政府委員にお尋ねいたしますが、これに充てられるべき道路整備費の財源に関し必要な措置を定めるというのは五カ年を一単位とした、その五カ年分の計画財源の措置であるから、そのうちの一部分だけについて財源措置を定めればいいのではないと思うのだが、この点どういう気持でおられるのか。もちろん五カ年の財源計画に対しての心構えがありなさるだろうと思う。で、昭和三十三年度の緊急整備計画財源だけをきめて、あとほったらかす、あとはあとできめるのさというようなことでは、この法律の本質を失うんじゃないか。言うてみれば財源法律です。その財源法律の生命であるところ財源措置、これが五カ年間に分けて充実されるわけです。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕  第二点は、これに充てられるべき道路整備費の財源に関し必要な措置を定めるという場合に、地方団体がこの法律によってきめたところ整備五カ年計画地方道計画財源と、また国が直接タッチしてやるところ部分、すなわち五千六百億円の計画の分の地方負担財源、その両者に対する計画もあわせてこの法律で規定されるつもりであるかどうか。その点についてまず便宜大蔵省の当局より御回答をいただきまして、しかる後建設大臣の御回答を煩わしたい、そう考えておるのであります。
  66. 坊秀男

    ○坊政府委員 今度の道路整備五カ年計画は単に三十三年度の計画ではありませんで、五カ年間の計画でございますから、五カ年間における道路整備に要する経費の歳入も一応見込んでおる次第でございます。数字その他につきましては事務当局から説明をいたさせますが、なお地方単独事業は五カ年計画のワク外になっております。
  67. 松永勇

    ○松永説明員 五カ年計画全体の事業についての歳入歳出をこの法律によってきめるというわけではございませんで、それは年々の予算でもってきめられることは当然でございます。ただ五カ年間の事業を行うための大きな目標を示してやりたいということで、この法律通りましたならば、これに基いて五カ年の事業計画をきめるわけでございます。その際にどの程度の事業規模をきめるかということにつきましては、先般来建設大臣の方からお答えになりましたように、総規模としては九千億ということを考えております。ただし五カ年計画としてきめますのは、地方単独事業を除いた、国が関与する部面についてきめますので、九千億ではなく七千百億ぐらいになろうかと思いますが、そういうものについてきめよう、しかも七千百億とかいうことも、これは現在政府として考えております大ワクでございまして、実際はこの法律通りました後に、もっといい道路整備計画を作ろうということで、関係各省並びに学識経験者の知恵も十分拝借して、りっぱな道路整備計画を作りたい、かように考えておるわけであります。
  68. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま大蔵省から申されたことでほとんど尽きておるのでありまするが、御承知のように道路整備五カ年計画は、総体の事業量として約九千億を見込んでおります。そのうち一般道路が五千六百億、それに有料道路千五百億、地方単独道路が千九百億と現在の段階では見ております。これを具体的に、しからば五カ年間にどういうふうな個所についてどういうふうなやり方をするかということは、この法律が通過成立してから後、閣議決定でこれはいたしたいと思っております。なおまた財源措置につきましては、従来のようにガソリン税だけによることなく、これに引き合うところ予算額のほかに、いわゆる一般会計からの繰り入れと、それから今回もその措置をとっておりまするが、国で行うところ事業に対する地方負担分の交付公債の分、それからもう一つは、一般借り入れの道もこれは含んでおるのでございます。しからばそれが年々どれだけになるかということについては、これはその予算編成時期における国の財政状況、一般経済状況を勘案しまして、一般借り入れをするかいなか、あるいはその金額、これが策定されていく、しかし全体の総ワクといたしましては、地方単独事業量を除いたものについては、一応の年次別計画を立て参りたい、かように考えております。
  69. 加藤精三

    ○加藤精三君 建設省関係は、これは財源法律の技術者というか、財源法律に関する行政技術上の専門家じゃないわけでございますので、この際はそちらの方の専門家であられる大蔵省の方へお尋ねするわけでありますが、ただいまの御説明のようだと、法律の本文と理由とが一致しないのです。この道路計画に充てられるべき道路整備費の財源に関し必要な措置を定めるというのに、一カ年しか必要な措置を定めないというのでございましたら、これは五カ年計画法律じゃないのですよ。とんでもないことを言っておると私は思うのだ。それだから、こういうふうにして三十四年度から四年間の財政措置に関しいかなるところの必要な規定をするのか、しているのか、それを聞くのであります。先ほどのあなたの御答弁では答弁にならないのです。御答弁を願います。
  70. 松永勇

    ○松永説明員 この法案の第三条では、道路整備財源といたしまして、第一項にいわゆるガソリン税は全額これを道路整備に投入するという方針が示されております。その第二項におきましては、ガソリン税以外の一般財源その他につきまして国は必要な措置を講ずるものとするということで、この五カ年計画を実施するために国のあらゆる努力を傾けるということがこれに書いてございます。ただ具体的に幾らの予算を計上するかということは、先ほど申し上げましたように、年々の予算でこれをお諮りする、そういうことになるわけであります。
  71. 加藤精三

    ○加藤精三君 そういうふうに答えればいいのですよ。具体的な方面についてはこの財源関係をどうするかということが書いてあるということを答えればいいので、ただいまのお話だと、五カ年計画のうち四カ年はその年その年にきめるのだというのであったら、それなら意味をなさない。ところがこの四条の規定をそういうふうに説明されれば、その限りにおいて大蔵省が責任がある。「政令で定める利息があるときはその利息の額を合算した額とする。」ということがあるから、その政令の内容を言うてもらわないと、どういうことが実際上具体的な財源措置なのかわからない。わからない法律を通すわけにはいかぬ。しかも第四条の後段は、従来は交付公債として地方団体は期限の利益を受けておった。しかも利子も払ってない。しかるにかかわらず、この膨大なる緊急整備事業に対して大きな土木建設費の分担金を負担し、またそれに関連するたくさんの地方道を作らなければならぬので、これに対して大きな地方負担があるのにかかわらず、その際に、特にそれを目がけたようにして指定国道に対する負担を大きくするということは当を得たものだと思わない。しかしながら政令の作り方によっては、その苛酷なる措置もある程度軽減されるかもしれない。どういうふうな政令を第四条の規定に基いてお作りになるか、その具体的内容を言ってもらわなければ、われわれとても、地方団体側といたしましても、また地方行政を心配する者といたしましても安心できない。そういう立場から、この政令で大体どういうことをきめられるかということを、これは財源法律関係だから大蔵省から御答弁いただきます。
  72. 坊秀男

    ○坊政府委員 この政令の内容を今具体的に示せというお話でございますが、これを具体的に数字をもってお答えするということは、日下の段階におきましてはちょっと申し上げかねることでございますが、加藤さんも十分御承知通り、こういったようなケースが、これは道路ではございませんが、たとえば特定多目的ダムだとかあるいは特定土地改良工事等の特別会計にこういったようないろいろの例もございますので、そういったような従前の例から、妥当なところへ持って参りたいと思っております。
  73. 加藤精三

    ○加藤精三君 どうも今の御答弁は驚くべきことなんで、大体道路整備五カ年計画というのは政府の最大の重要政策であって、これは十分、何というか、からだを張って政府が実現しようという大政策なのです。それを、従来政令によりと書いた例があるのだから、それでもいいじゃないかと言うに至っては、建設省当局と大蔵省当局との間に、意気込みが全然違うように思う。これはどうも非常に遺憾なことなのです。しかもこれは総額九千億でこういうふうな整備計画をやるという、この計画自体がよほど輪郭的に国民に示されて、国民も五カ年後には自分のところ国道もたんたんたるりっぱな道路になるということについて非常な希望を持っている。しかもその政策の具体的内容が国民にわかっていないというに至っては、また知らせないというに至っては、非常に不親切なものだと私は思っている。ことに、これに間接に強力な協力をしなければならないところ地方団体におきましては、これらの計画がはっきりしないことには財政計画も何も立たぬのです。これは整備法の第五条第二項ともうんと関係する問題なのですが、この程度のことは、数字を示せとは言わない、率を示せとも僕は言わない。ただし大蔵省はどういう心がまえでこの政令を作る気かという、その内容を示さないならば、これだけまで、期限の利益を一カ年失わせ、従来無利子の交付公公債でやっておったものを今度は利息をとる。しかもこれに伴って行うところの指定区間以外の分につきましても、これは指定区間以外の維持、修繕費については指定区間よりも補助率が低い。事業分量がぐっとふえて、しかも補助率が低い、こうなりますと地方は相当な負担です。ことに第五条第二項を入れますと、五条二項が四分の三のものが三分の二になる。三分の二になると大した負担の増高です。三分の二になるかどうかということはわからないけれども、これは私の方の道路法におきましては三分の二になっているわけなのです。この三分の二の率に、三十四年度からかりに下るとすれば、大蔵省が、国道を作るのは他方の利益のためでもあるから、地方負担するのは当然だと考えて、もしそうなりましたら、四カ年におそらく五条二項と四条との関係で、事業分量が非常に大きくなるのだから、地方負担はおそらく四、五百億の増加になる。増加になったら、地方交付税の交付税率を一・五%上げたものが何にもならなくなってしまうのだ。それで地方がますます財政困難になる。しかも他方団体の財政調整というものは、そう実情に合ったようには動くものじゃないので、これは交付税法の機能についても限度があり、繁栄地帯はますます繁栄する。繁栄しない地帯は、たとい政府計画があっても負担関係上、国道の建設も改良も舗装もできない。ますます悪循環で悪くなっていく、こう いうことになる。この道路緊急整備五カ年の事業そのものの遂行がきわめて困難するのです。われわれ地方財政を論ずる者は、それが地方団体の財源の過不足、収支の不均衡ということだけを問題にしているのじゃない。地方団体というものは国の政策を具体的に実現するときの直接の当事者であって、これは使命が非常に重いので、地方団体というものを通じて国家に奉仕しようという民衆の集まりが地方団体なのだ。できるだけ民衆のためによい仕事をしてもらおうと思う熱意から、地方団体は政府に対し協力申し上げようとしておるわけです。しかしながらそれができないことになる。この点は何といたしましても第五条の二項や、第四条の政令の内容をもう少し具体的に、国民が安心し得るように責任者から御答弁をやっていただかないことには、国会で漫然とこの法律を通すことは、国会の審議をみずから怠るものだと考えておる。しかもこれは財源法ですよ。財源に関する法律案で、財源のことが書いてない。財源のことは一カ年しか書いてない。あとはほかに譲ってしまう。これじゃ財源法律にならぬのですよ。非常に大きな不安を与えておる。この点について、もうちょっと率直な——こういう立法例もほかにあるという答弁じゃ、われわれこの大政策に関して御答弁が十分だとは思えない。当りさわりのないことばかりお考えにならないで、われわれ同士の国会の論議でありますから、ある程度は当りさわりがあってもいいのです。そういうようなことで、もうちょっと何か具体的に言っていただかないと、審議を尽したものだといえない、私はそう考える。もうちょっと具体的な御答弁を願いたい。
  74. 松永勇

    ○松永説明員 第四条の後段の「政令で定める利息があるときは」という、この利息は、加藤先生も先ほど触れられましたように、当年度の地方負担分に相当するものの利子ということを一応考えております。これは先ほど坊政務次官から御答弁がありましたように、昨年設けられましたダムの特別会計、それから土地改良の特別会計も同様に、地方負担分を資金運用部からの借入金とすることにして特別会計を設けたわけでございますが、それに伴う当年度の利子、これは資金運用部は当然貸したものに対する利子をかけなければならないわけで、その利子の取扱いにつきましても、ここで書いておりますと大体同じような条文にいたしまして、当然年度の利子地方公共団体に負担させるという措置を講じて参ったのでございます。道路につきましても、それと同じような先例にならいましてこの規定を設けまして、三十三年度予算もその建前で編成されておるのであります。
  75. 加藤精三

    ○加藤精三君 そんなことは知っておりますよ、ちゃんと。そういうことをやるのが悪いから、またその悪例にならっては困るということをいっておるのです。大体地方団体にそういうふうな事務を委託し、また地方団体に負担について協力してもらって、そうして国の事業を遂行するのに、その地方団体から利子をとるという考え方をするのは間違っておる。間違っておるばかりじゃなしに、道路についていえば、今までは道路が竣工してからその経費のどの部分負担させようかという点をきめて、そうして事実上期限の利益を与えて、しかも交付公債の据置期間中は無利子で便宜をはかっておった。今度この道路整備計画に従って、建設事業費の地方団体負担の総額が相当ふえておるのに、なおさらに従来は期限の利益も与え、利子もとらなかった部分利子をとろうというのは、どういうことかということなんです。しかもその政令というのは、その年度の利子を普通の利率でとるという意味か、それともそうした特別の事情にかんがみて、その利子負担政令で緩和して取り扱うということなのか、そういう大方針が聞きたい。政務次官の御答弁をお願いします。
  76. 坊秀男

    ○坊政府委員 先ほどから事務官がお答え申しておる通りでございますが、大体この利子は六分五厘で計算をしていく、こういう考えでおります。
  77. 加藤精三

    ○加藤精三君 この道路整備五カ年計画によりまして、国道、府県道、市町村道、地方道を通じて相当な道路負担地方財政に課せられる。ただでも、国の財政は世界一の健全財政であるが、地方財政は何百という再建団体はもちろんのこと、一般財政が非常に困窮している。不健全なところが多いという場合に、大きな負担をかけながら、なおもその交付公債の、従来とらなかった利子に相当する利子までこれを地方団体に負担させようという、そういう立場は、私はどうしても理解に苦しむのです。これはこの大計画地方団体の財政の協力も得て円滑に進展させ、実現させようというときに、どうも国だけが財政が健全なれば、地方財政の不健全さを招致することは百年でもしんぼうするというような立場で、もう六分五厘の利子まで、利子を一文もまけるわけにいかない、しかも期限の利益も与えないのだぞ、こういうような措置は正しいのじゃないのじゃないですか。政令によって、もう少し温情のある処置をとり、地方団体が協力しやすくなるように、地方道路も国の道路も並行して建設しやすくなるように大蔵省は考えておられるのじゃないのですか。全然血も涙もないような六分五厘、普通の利子を全額について、交付公債に相当するものを対象にして全額の利子を、借入金の利子地方団体に負担させる、そういうお考えなんですか。少しそれは何か違っておりはしませんか。そうだとすると、そういう冷酷なことをしなさるなら、私は大問題だと思う。地方団体が承知しないと思う。何か政府の方で、もう少しお考えになっておられるんじゃないですか。もうちょっと閣議その他で話し合いもされているか、何かそういう御事情があるんじゃないですか。ただいまの坊政務次官の言った通りに言い切ってしまっていいのですか。そこのところを重ねてお伺いします。
  78. 坊秀男

    ○坊政府委員 道路整備計画を実現していくためには、これは国だけでもってやっていこうと思っても、とうていそれはいけない。そこで地方にも十分御協力をお願いして、中央、地方が相協力してやるということでなければ、私はこの実現は期しがたいということは、加藤議員のおっしゃる通りだと思います。しかし国と地方とが協力してやっていくためには、地方におかれましても、それは地方財政事情が非常にいいということは、私はいつも加藤議員に伺っておりますから申すわけではありませんけれども、道路整備計画を実現していくためには、中央ことに地方が御協力していただくということを期待をいたしておる次第でございまして、ただいまのところは、この利子の件につきましては、先ほどお答えいたしました通りにお願いを申したい、かように考えております。
  79. 加藤精三

    ○加藤精三君 ただいまのところは六分五厘の利子を、交付公債の全額に相当する借入金に対する分について計算して地方団体からとる、そう確定しているのですか。確定しているのなら、私はこの法案について大へんな問題がある。それははっきり御答弁願います。それで大臣から御答弁する必要があるのなら、大臣に御出席を願います。これは大問題です。それほど冷酷な処置をとられるわけはないと私は思う。
  80. 坊秀男

    ○坊政府委員 まだ政令の内容が決定したというわけではございませんが、この政令を決定するに当りましては、関係各省よく協議をいたしまして、そうして大体ただいま申し上げました六分五厘ということで一つ政令を決定してもらいたい、かように考えております。
  81. 加藤精三

    ○加藤精三君 これまで申し上げても、なお六分五厘を主張しようと思うというお考えでありましたら、そのお考え自体がこの五カ年計画の実現を相当妨害するものだと思うのです。事はきわめて重大でございますので、大蔵大臣の御出席を要求します。
  82. 西村直己

    西村委員長 その点につきまして、理事とちょっと打ち合せをいたしますから……。なお建設大臣からその前に……。
  83. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私に対する質問でありませんが、加藤議員が言われるごとくに、これは相当大きな議論になる問題でございます。大蔵省といたしましては、先ほど言われたように、従来交付公債を、ダム特別会計あるいは土地改良特別会計においてなされたと同じようなことを主張してきたことは事実です。しかしこの問題については、政令を策定するに当りましては、閣議決定の場合は、自治庁、建設省、三省協議して初めてこれがなされることでありまして、従いまして、現在大蔵省の主張は主張といたしまして、この問題は相当政治的にも考慮しなければならない問題だと思いまして、その際に十分にこれは論議し、しかる後この問題を決定したいと考えておるわけであります。昨日来いろいろお話がありましたごとくに、先ほどもまた加藤議員から指摘された例の地方補助率の問題、分担金の問題等も、これは実はこの法律制定に当りまして非常に議論しております。補助金に関する例の特別措置法の問題も、自治庁並びに建設省といたしましては、この際これに明定しようじゃないかという意図のあったことは事実です。しかしながら、現に期限をもって実行しておるところ法律をさらに変えるということは、必ずしも不可能ではないけれども、そうしますと、他の方面にみな波及して、議論が非常に紛糾する。農林関係あるいは運輸関係その他全般に行くから、これは別途この法律が失効になる場合に、継続してやるか継続しないか、継続しないとするならば、しからばこれに関連して、個々の事業の政治的重要性に応じて補助率を変えるかどうか、こういう問題は相当時間をかけてやらなければならないということで、実は別途に法律をもって定めるということにしておるわけであります。この問題のときも、すでにこの交付公債に関する取扱い、これも議論いたしております。ただし予算が御承知のような形で割合におそくきまりまして、しかも国会の状況から見て、この問題は政令をきめる場合にとくと相談するということになっておるのであります。今大蔵省が言われたのは大蔵省の主張を言っておるのでありまして、政府全体としては従来通りでよろしいということで、自治庁並びにわれわれが相談したことでありません。十分今後これは検討しなければならぬと思っておる次第であります。
  84. 加藤精三

    ○加藤精三君 大蔵省の坊政務次官が普通の政務次官であるならば、私はこれ以上追及したくないのですけれども、政務次官中の特に大物といわれ、党内で財政経済通をもって重きをなしておる政務次官が、それくらいの意思を大蔵省全部を代表して、ある程度突っ込んだ腹蔵のない意見を言われないということは、どうも遠慮し過ぎるように考える。従来の取扱いより地方負担関係が国の幹線道路整備についてひどく酷になっているので、政令利息をきめるときには十分考える、利息は二分の一くらい負担させるとかあるいは三分の一くらい負担させるとか、それくらいの大胆な御構想を御発表になって、御自分で責任をお持ちになって、それくらいは大蔵大臣の意思をその方に向けて、大蔵省内を統一する、ぽんと胸をたたいて、それくらいのことは引き受けよう、それくらいの大きな腹を持ってしかるべきじゃないかと考えるのでございます。それができない政務次官とは思えないのでありますが、もしできないならば大蔵大臣の御出席を要求します。  それから、建設省と大蔵省の御見解をこの一日間にわたって私聞いておりますと、どうもこの計画及び事業に対する根本の政策上の理念で、建設省と大蔵省との間には食い違いがあるのじゃないかと思う。建設大臣は国土総合開発で、できれば地方道も相当の部分のものを財政措置や国の技術を供与することによってもどんどんやっていきたいというような傾向の御発言が多い。これは国の生産力の向上とか、それから未開発地をも画期的に開発するのに幹線道路が役に立つであろう、日本の政治としては当然そうであるべきはずであるのであるが、そういうことに非常な熱意も持っておられる。もちろんこの自動車交通の激増が道路行政を行き詰まらせたという事実上の消極的な理由もあると思う。あるのですけれども、相当そういうふうな国土総合開発的な構想を持っておられるように思う。できれば道州制で強力に国の行政力、財政力でこの国土総合開発をやりたいというような思想に相通ずるものがあるように思う。建設大臣のその政策理念には私たちは深い尊敬を払う。しかしながらそういう時代の流れを一つもお考えにならないで、大蔵省側は、地方団体ほお前も利益を得られるのだから十分負担したらよかろう、事業分量が多くなるから従来よりもよけい負担するのが当りまえだというような意味に、この道路整備緊急事業の概念を理解しておられるのじゃないかという疑いがある。それでいよいよ各省の協議によってこの政令をきめるときには、国政を正しい、能率の上る方に持っていこうとする国会は終って、世論の声というようなものはないのだから、結局大蔵省が財布を持っておるので、その通りにきまって、先ほど坊政務次官が言われたような六分五厘の利子を一厘も負けたくないというような結果になることが非常に心配なんです。ことに第五条の第二項に至っては、五カ年計画財源措置をきめるのに一カ年閥だけきめて、あと四年間は他日に譲る、「別に法律で定める」とある。これはきわめて危険なことなんで、これではとうてい——約四、五百億の地方負担の増加ということがこの四、五年中にあるわけで、これでは心配で何ともならぬ。地方交付税率を一五%引き上げたって、これは焼け石に水です。かえって地方交付税率の引き上げをやらないで、この五条二項を削除した方がよほど地方団体しては楽にいける。こういうふうな不安定な、将来に危惧を伴う計画では財源法律は役に立たない。それで四条の負担金の特例と第五条第二項について、この法律財源法律であるがゆえに、特に財源について所管をしておられる大蔵大臣の十分われわれの納得のい御答弁を得てからこの法律はきめるべきである、私はそう考えておるものでございますので、大蔵大臣の御出席を要求いたします。
  85. 西村直己

    西村委員長 ちょっと速記をやめて。     〔速記中止〕
  86. 西村直己

    西村委員長 速記を始めて。ちょっと加藤さんに申し上げますが、大蔵大臣は御承知通り参議院の予算委員会で手が放せません。そこで今政務次官に特に発言をさせますから、それをもう一ぺんよく御検討願いたいと思います。
  87. 坊秀男

    ○坊政府委員 ただいま大蔵大臣が参議院の方へ出ておりますので、私では非常に役不足ではございますが、御了承を願いたいと思います。  加藤さんが私に対しまして、ぽんと胸をたたいて大臣のかわりの答弁をしろ、こういうお話でございますが、もう御承知通り政令というものは、釈迦に説法でございますが、これは閣議で決定するものでございまして、それより前に政務次官がこれをぽんと胸をたたいてお答えするということは、ちょっと私としては困難かと思いますが、いずれにいたしましても、政令の内容につきましては、先ほど建設大臣がお答え申し上げました通り、閣議におきまして、あるいはその前におきまして、関係閣僚がいろいろ協議、相談をいたしましてきめる段取りになっておりますから、その際に、大蔵省といたしましては、先ほどお答え申し上げました通りでございますけれども、要するに関係各省と、ことに建設省がこれは主管の役所でございますし、よく慎重に御相談を申し上げて、でき得ることならば御期待に沿うように持っていきたい、かように考えておりますが、大蔵省意見を今申し述べろとおっしゃられますと、私先ほど申し上げた通りでございます。
  88. 加藤精三

    ○加藤精三君 建設大臣にお尋ねしますが、整備法の第五条第二項で、これは別に法律をもって定めるというのでありましたら、整備計画の中の五ヵ年のうち四カ年については別に法律をもって定めるということでございますから、これは定めないことになっている。定めない状態にもかかわらず、この理由書の中には、「五箇年計画を定め、これに充てられるべき道路整備費の財源その他道路整備に関し必要な措置を定める必要がある。」と書いてある。この「必要な措置」というのは、必要にして十分な措置と私は解釈する。そうすると、五分の一しかこの必要なる措置を定めないことになる。そういうことを言うのは、お前はあまり法律の形式にとらわれて三百代言的だというようなことをお考えになるかもしれませんけれども、しかしながら物事の筋道はそうなんです。そういうことになりますので、少くとも第五条第二項の補助率について、現在の道路法の規定による三分の二負担しかやらない気持なのか。ただいま坊政務次官から、将来政令とか法律とかいうものを定めるに当っては、他省とよく慎重に協議して、ことに国会のわれわれの希望をできるだけ入れるように努力したいという非常に御好意のある御答弁があったので、これは必ず実現化すると思う。私は非常にありがたい御答弁だと思っているのですが、それと同じように、建設大臣からもこの際、この五条二項についての画期的な御答弁を願いまして、そうしてわれわれ国会、政府を通じて、この昭和の時代になってから最大の大事業であるところのこの道路緊急整備計画が、ほんとうに国家のためになるいい事業として実現されることを私はお願いしたい。五条第二項について、一つ画期的な御答弁建設大臣よりお願いしたい。これはもう熱意でございますから、その熱望を体して御答弁をお願いしたい。
  89. 根本龍太郎

    根本国務大臣 加藤さんもずいぶん法律が詳しい方でありますから、私が一々蛇足を加える必要はありませんが、五条においては財源措置の全般の規定をしているのでありますこの二項は、ただし現行において臨特法がありますので、臨特法が三十三年度に、これは時限立法になっておる。これについて三十四年度以降これをそのまま継続するか、あるいは廃止する、廃止した場合においては補助率を現行のままに戻すか、新たにこれを改正するかということを、今後の協議事項にしておるというだけを規定しているのでありまして、三十三年度だけの財源措置だけあって、あとはほうっておるということではございません。しかもそれは、この法律を作る際に、繰り返して申し上げるように、自治庁としては臨特法をそのまま何年まで継続するようにしたいという意図があったことは事実です。これはあなたはその専門家でありますから、よく御存じと思います。ところがこれに対しましては大蔵省意見を異にしております。大蔵省といたしましては従来に比べまして地方財政も相当略実化して、その上に、特に三十三年度におきましては交付税率の引き上げその他から見まして、相当程度これが充実しておるということで、これは真正面から意見の相違を来たしているわけです。その意味において、臨特法はまだ時限立法として時間があるものを、三十四年度からどうするかという問題で議論をしておるために、他の方面についてこれを波及することは時間的に非常にまずいということで、こうなった。もっと率直に言うならば、御承知のように、本来大蔵省としては、補助金に関する臨時法を三十三年度はやめようという原案なんです。最初の第一次査定はそういう原案だった。それは地方財政に関するところ見方が違う。しかも現実に三十三年度まで時限立法としてあるものを、さらに繰り上げてこれを廃止するということ自身が、認識が非常に違っておるということで、これは三十三年度まで法律通り効力を持たしているというわけなんです。そういういきさつからしてこの第二項が出たわけでございまして、そういう問題がなければ、こういう第二項の問題は出なかったわけであります。そういう意味において、三十三年度だけ財源について規定しておいて、三十四年度は書いてないというのではなく、そういう特殊の事情のもとに、こういう、法律体系としては格好のはなはだまずい、またいろいろと疑問の出るような形になったのであります。そういう事情を御了承のほどお願いいたします。
  90. 加藤精三

    ○加藤精三君 ただいま大臣から御答弁のあったいきさつについては、幾ら私でも党の政調なんかでいろいろ調べておりますので、知らないわけではないのでありますが、質問はそういうことじゃないのです。臨特法との関係とか、論議の経過ということじゃないのです。道路整備五カ年計画が実現し得るような必要にして十分な財源措置をするんだということが理由書の中に書いてあるから、それをアシュアするような御答弁がいただきたいということなんです。われわれも臨時特例法が諸他の公共事業について補助率の特例を規定しておることはわかっておりますが、しかしながら今度の道路整備五カ年計画という画期的な事業は、それらの公共事業と同じ立場で、これは政策的な重要性として同じ程度の重要性を持っておる事業だとはどうも思われない。それからこの道路整備五カ年計画の実行が地方団体に及ぼすところの諸他の行政上、財政上の影響か、臨特法に定める数種の海岸とか砂防とかそういう事業の執行の影響と比較して、大体同様なもので、同様に扱って、そのつり合いでいくという程度の重要性しか持っていないものとは決して思われないのです。この事業は非常に響きが大きいものです。これは試みに国が直接タッチするところの五千六百億の事業の分について、これを四分の三国庫補助にする場合と三分の二国庫補助にする場合、二分の一の維持修繕費負担をする場合と三分の一負担する場合と、これを比較してみるならば、四、五年のうちに四、五百億の地方負担の差が出てくる。国会をあげて大きな論争をしておる地方交付税率を一・五%引き上げても、百二十億かそこいらである。そういうものからいろいろ研究してみますと、本気にこの財源法律の問題の大きさ、重要さ、深さということを十分御理解して、これを考えていただかなければ困るのです。交付税率を引き上げても、その実何にもならない、そういうことでは困る。そういうことから、法律の理由書にこう明らかに書いておるのですから、この理由言を満たすための五条二項の内容についての政府のお心がまえを千分聞いておきませんと、これは審議にならぬのです。重ねてお尋ねしますが、建設大臣としては第五条二項、諸般の国政上の状況が変更がないとするならば、依然として三十四年度以降も建設費、改築費等については四分の三、維持修繕費については二分の一、この国庫負担を継続される御意思であるかどうか、これを御回答いただきにたいのであります。
  91. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この財源の問題ということは、究極において地方財政と国の財政との均衡という面と、それから負担能力の面、この二つの面から考慮しなければならないと存じます。建設省の立場からいたしますれば、問題は事業が円滑に計画通りいくということが目的でございます。従いまして加藤さんが御心配のように、せっかく計画を立てましても、地方財政がこれに伴わないために計画が実行できないであろうということの御心配があるだろうと思います。そういう事態になりますれば計画それ自身がわれわれとしてそごを来たしますから、そういう事態のないようにするのが私の政治上の責任になって参るわけであります。そこでこれが果して負担し得る能力があるかどうかの判定は私自身では、率直に申し上げますとこれは判定できない。そこで、これは地方自治体を監督し、また計画を立てておる自治庁が、この四分の三を絶対必要とするかいなか、この意見を聞き、さらにこれに対する大蔵省の見解を聞かなければ、私がここで四分の三を主張すべきとかあるいは五分の四にも主張すべきかということを今率直に、責任ある態度としては言えません。しかし私から言わせるならば、一つ考え方としては、せっかくこれだけの画期的な政策をやる場合でありまするから、地方自治体負担し得る範囲負担はさせなければならない。今専門家の加藤さんが言われるような心配があるとするならば十分これは考慮して、自治庁の具体的な計数に基く説明を聞いて、それと大蔵省との意見を私の方でできるだけ——私の方はいわば事業をやる方であって、一方は負担する方であり、一方の大蔵省としてはなるべく国の負担を少くするという機構上の任務がありまするから、その間われわれが調整をとって、国策の線に大所高所において双方が協議の上、円満なる解決ができるようにいたしたい、これが私の念願であり立場であります。
  92. 西村直己

    西村委員長 加藤さんにちょっと御注意しますが、まだあとに質問者がだいぶおられますし、正規の委員質問が残っておりますから、やはり御質問をやっていただくことはけっこうですが、短かくお願いします。
  93. 加藤精三

    ○加藤精三君 ただいまの大臣の御答弁で、国の財政地方財政の状況について、かりに明年以降の四カ年と今年と同一だと仮定すれば、今年の地方負担財政局長の言う通りに、もう地方財政負担できるぎりぎりのところまで負担する計画に基いて、四分の三国庫補助、二分の一の維持修繕費の補助ということでおさまったんだから、状況が大激変がない限りは四分の三の建設費に対する国庫補助、二分の一の維持修繕費に対する国庫補助で進むことについて、これは建設大臣としては御主張なさるお気持がありありとわかりましたし、それから坊政務次官も、先ほどの政令案についての御発言から見ましても、これに対してできるだけの努力をされるものだということの確信を得ましたので、私は非常に満足いたしましてこの質問を終了いたします。
  94. 西村直己

    西村委員長 久野忠治君。
  95. 久野忠治

    ○久野委員 連日建設委員会あるいは連合審査会等で、今回の道路整備財源等について議論が沸騰いたしておるわけでございます。さように問題を大きく投げかけております法案であればこそ、この内容等については十分私は議を尽すべきであろうかと思います。私もその点について一、二お伺いをいたしてみたいと思うのでございます。特に私が指摘を申し上げておきたいことは、昨年道路財源確保のためにガソリン税の値上げが行われました。当初大蔵省の原案によりますと、相当大幅な値上げ案であったのでありまするが、一部国会においてこれを認めることとならず、御承知通りの程度で話し合いがついたわけでございまして、その値上げに反対をいたしました理由の中の一つに、与えられた道路財源を有効かつ適切に使うべきだ、そうでなければ、この税負担をいたしておる道路利用者の立場からいって納得できない、私はこういうことであったろうと思うのであります。さような意味合いからいきまして、この与えられた、規定をされましたガソリン税あるいは軽油引取税等の道路財源の取扱い等につきまして、幾多の問題があろうかと私は思います。その点の一つを取り上げてきょうは質問をいたしてみたいと思うのでございます。  このガソリン税収入を財源といたしまして、御承知通り特別失対事業あるいは臨時就労対策事業が行われておるわけでございますが、このそれぞれの事業の本年度予定をされております予算はどれだけでございましょうか。
  96. 富樫凱一

    富樫政府委員 特別失対事業道路に関します分を申し上げますが、三十三年度におきましては予算額としまして、道路につきましては八億四千八百万円、それから都市計画におきまして六億三千八百万円でございます。
  97. 久野忠治

    ○久野委員 臨時就労対策はどうでございましょう。
  98. 富樫凱一

    富樫政府委員 臨時就労対策事業は七十四億でございます。
  99. 久野忠治

    ○久野委員 その今の七十四億は、全部道路関係の経費でございますか。
  100. 富樫凱一

    富樫政府委員 七十四億の内訳を申し上げますと、道路事業が五十三億、それから街路事業が二十一億、合せて七十四億でございます。
  101. 久野忠治

    ○久野委員 全体を合せますと約百億程度の道路財源になろうかと思います。そこでこの財源を基礎にいたしまして、労働省におきましては失対事業が行われるわけでございますが、特別失対と臨時就労対策の労力費の算定の基準があるようでございますが、その基準はどうなっておりますか。
  102. 三治重信

    ○三治説明員 お答え申し上げますが、道路の方の労務比率が三〇・五%、都市計画の方が二七%、それから臨就の方で、道路が三〇・二%、都市計画で二五・七%となっております。
  103. 久野忠治

    ○久野委員 その労働力の吸収率はどうなっておりますか。
  104. 三治重信

    ○三治説明員 特失が使用労務者の八〇%、臨就が七〇%となっております
  105. 久野忠治

    ○久野委員 さようにいたしますと、都市あるいは大都市の周辺地域におきましては、おそらくこれだけの失業労働力を確保することは私は可能であろうと思うのでございますが、伝えられるところによりますと、三十三年度は国が直轄管理して行う事業については特別失対事業費は使わないというお話を聞いておりますが、さようでございましょうか。
  106. 三治重信

    ○三治説明員 特失の道路関係では直轄は今まで少しありましたのですが、三十三年度はそれを変えましてありません。臨就に直轄事業はございます。
  107. 久野忠治

    ○久野委員 三十三年度は臨就でもこれを行うということでございますか。
  108. 三治重信

    ○三治説明員 臨時就労は建設省の特別会計に直接計上されておる経費でございますが、内訳によりますと、内地の道路五十億二千万円、これは全部でございますが、直轄で一級国道が十億七千四百万円、それから三級国道で十一二億六百万円、それから北海道で一級国道が一億三千万円、二級国道で八千万円となっております。
  109. 久野忠治

    ○久野委員 次に建設省当局にお尋ねをいたしますが、本年度の、ただいまお話を伺いますと、臨時就労対策の事業費が地方道へしわ寄せになるようになろうかと思うのでございますが、昨年と比較いたしましていかように数字は変りましたか、その数字がありましたらお尋ねいたしたい。
  110. 富樫凱一

    富樫政府委員 特別失対と臨就につきまして、三十二年度と三十三年度とを申し上げますが、道路事業につきましては、三十二年度の臨就が六十一億一千万円、三十三年度は五十三億でございます。  なお特別失対事業が三千二年度が十億二千万円、三十三年度が八億四千八百万円でございます。なおこれの直轄一級国道、日給国道別の調べは、ちょっと手元にございませんので、調べて御報告申し上げます。
  111. 久野忠治

    ○久野委員 さよういたしますと、この事業の実施区域と失業者の発生地域とが、相当距離が離れていることになろうかと思うのでございます。その調整がだんだんと私は困難になってこようかと思いますが、大体最近では、この都市の失業者をトラックあるいはその他の車に乗せまして、事業場に運んでおるようでございますが、その通勤をいたします平均の距離は今どれくらいになっておるのでございましょう。
  112. 三治重信

    ○三治説明員 全部の平均は申し上げられませんが、遠いところで約十キロから十五キロくらいで、普通は二、三キロの範囲になっております。遠いところ、十キロ、十五キロというようなところはごく特例でございますが、普通一キロ以内から二キロくらいのところで行われております。
  113. 久野忠治

    ○久野委員 さよういたしますと、平均八キロくらいになろうかと私は思います。その間通勤いたします時間を、この労働時間の中に加算されるわけでございますから、実働時間というものは非常に低くなっていくと思いますが、実際の実働時間というものは、平均いたしましてどれくらいになりましょうか。
  114. 三治重信

    ○三治説明員 これは地方によって違いますが、臨就、特失の場合の実働時間につきましては、何も途中の輸送の時間を必ず拘束八時間の中に入れなければならないということはありません。われわれの地方に通知してあります労働時間は一日八時間、大体われわれの方では正味八時間を普通にしておりますが、実際の状況は拘束八時間、午前の方は拘束の中に入っておりまして、午後は入っていないことが多いように承知しております。
  115. 久野忠治

    ○久野委員 規定はそうなっておるかもしれませんが、実際はそうはなっておらないと私は思うのであります。それだけ実際に働く時間が減っておるのではなかろうかと私は思うのであります。そういたしますと、実際の特失と臨就との事業の運営のやり方というものは、まことに非能率的なものであるように私には思えるのであります。特に一般の公共事業と比較いたしますならば、その労働能率というものははなはだしく低下を来たしておるように思います。  それからもう一つ、失業者を計画的に吸収せなければならないために、工期が遅延をするとか、あるいは機械化、施工をするのに支障を来たすというような経済的なマイナス点が、最近非常にたくさん出てきておろうかと思うのでありますが、そうした点についてどういうような見解を持っておいでになりましょうか。
  116. 三治重信

    ○三治説明員 この臨就、特失の吸収人員は、先ほど申しました労務比率で、それにPWで割って出しておるものでございまして、公共事業計画の吸収人員は、特失、臨就の方の吸収人員とは、延べ数において相当開きがあるわけです。これは初めからの計画と申しますか、実際上の問題といたしまして、実人員をよけい吸収するという予算の制約になっておるわけでございます。従って歩増しとかいうようなものがあまりつかないようになっております。しかし先生の御指摘のように、働かないから非常に能率が悪いということでなくて、大体現在の失対の労務者から見て、働かせられる程度の歩がかりを初めから見て、吸収人員をしてあるわけでございまして、私の承知しておるところでは、大部分ところが小間割りをやっておりまして、これだけやれば帰ってよろしい、それが正味六時間ないし七時間、一部の少いところは五時間くらいだというようなことを聞いておりますが、そういうところは業者の方もちゃんと予定のワクでやっていて、それをやったら帰しておるというふうに聞いております。一部、全日労の非常に強いところは、賃金を非常にねだられたり、組合活動の一部の者が、ある程度特定の者については現場を離脱してもいいような協約を結んでいるところもございますが、全体として見まして、今の吸収人員のワクで、歩がかりから見て、それがどうしても過剰人員で困るという部面につきましては、私の方としてはそれほど問題はないのじゃないかというふうに感じております。
  117. 久野忠治

    ○久野委員 非常な重労働であるために、適格者についての判定についても、何らかの基準を設けてきめておいでになろうかと思いますが、それはどういう基準で判定をしておいでになりましょうか。
  118. 三治重信

    ○三治説明員 特別失対適格者のうちでも、特別適格者というのを設けまして、これは普通の公共事業でも大体働きにいけるという資格を持った者で、体力検定とか、技術的のこまかいことはわかりませんが、肺活量とか、把握力というふうなものできめております。ただ一部、特に特失でございますが、特別失対は府県の補助事業が多いために、府県の方の財政問題で、第三・四半期の終りから第四・四半期にかけて一斉に行われるわけです。そうしますと、年間としてはわずかの吸収人員——承知のように一万八千人弱でございますが、それが年度末の一・四半期に集中するのが現状のために、それの四倍の人員を吸収しなければならぬというので、一部不適格者も安定所としては出さざるを得ないというような事情も、われわれの方では聞いておりますが、もしもこの事業が、一・四半期はともかくとして、二、三、四と三つの四半期で大体平均に行われるならば、一部の地方で言われるように、不適格者で労働能率が悪くて困るということは、ほとんど排除されるのじゃないかと思います。ことに昨年から今年にかけましては、だいぶ緩和したと思っていますから、来年度はさらに事業担当部局とよく御相談しまして、早く着工できるところはできるだけ早く着工していただくように、合計画の準備中でございます。
  119. 久野忠治

    ○久野委員 労働力の吸収率がきめられておるために、ただいまお説のように、非適格者まで適格者としてこれを採用するというような場合があるようでございます。そのことによって、なお事業の能率を低下させるということにもなっておるのではなかろうかと私は思うのであります。  それからもう一つお尋ねをいたしたいことは、各地に労働拒否の問題が起きまして、団体交渉をしておるというような問題が起きておるようでございますが、そういう事実がありましょうか。
  120. 三治重信

    ○三治説明員 一部、ことに福岡県だと思いますが、これはおもに賃金値上げの問題で、そういうふうな争いになっているわけであります。御承知のように、PWを基準にして失対の労務者に賃金を払うようにという関係各省の通達が地方に出ているわけなんですが、それによって地方によりましては、PWには一つの標準金額がきめられまして、その上一割と五分ずつの幅がある。そうすると、それをもう少し、その上の上限まで上げてほしいというようなことで交渉に入る。その交渉に入ることによって、事業主の方がそれはできないと言うと、サボ戦術をやる。しかしこれはほんの一部で、最近では九州だけじゃないかと思います。
  121. 久野忠治

    ○久野委員 ただいま質疑でだんだんと明らかになりましたように、まことにこの事業の取扱いは非能率きわまるものであろうと私は思うのであります。こういう事業計画に、いわゆる道路利用者から貴重なガソリン税を徴収をいたしまして、これを財源に充てておるということは、国の現在の公共事業等の取扱いから見て、まことに不適当ではなかろうかと私は思うのでございますが、大蔵当局はどういうふうにお考えになりますか。
  122. 松永勇

    ○松永説明員 ガソリン税を特失、臨就に充てるのは不当ではないかということは、しばしば言われておるのでございます。大蔵当局としましては、一般失対事業のほかに特別失対事業というものを設けて、この事業を行うということにいたしましたのは、現在労働問題が非常に大きな政治問題となっておりますし、こういう人間をただ一般失対として事業効果の非常に乏しいものに使うというよりは、失業者が一般にある場合に、これを事業効果を上げ得るような特別失対事業、公共事業の中の特別失対事業に充当しまして、それの事業効果を上げることをはかることが国全体のために望ましい、こういう立場から、その一部を特別失対事業及び臨就として計画しておるわけでございますが、この制度も始めましてからもうすでにだいぶ長くなっておりますし、いたずらにこの金額をふやしていくということは、一方ほんとうにそういう事業効果を求め得るような人をこれに投入できるかどうかということの問題もございまして、道路で申しますれば、昨年は約二百億の予算が増加になっておりますし、本年は約百四十七億の道路関係予算の場加になっておりますが、そういう増加になりましても、このために特別失対、臨就とかいう予算は特に増加しないで、据え置いて参っております。今後もそういう必要がある場合には、やはりこの特別失対事業というものもあわせて行う、また道路はそれに割合ふさわしい事業でもある、また最近幹線の道路につきまして、こういう非能率的なことを行うことが国家の道路整備の緊急事態に即しないという問題がございまして、そういう重要幹線にはできるだけこういうものは使わないで、特別失対の事業として行うにふさわしい路線を取り上げるというふうに今後考えていきたい、かように思っております。
  123. 久野忠治

    ○久野委員 事業効果を上げるために、こういう失業対策事業を行うのだ、こうおっしゃいますけれども、しかし道路財源は大体ガソリン税収入をこれに充てるという原則が確立をされておるわけでございます。この与えられました財源をより適切に有効に使うということが、私は今日の道路行政を進める上において最も大切なことであろうと思うのであります。そういう際に非能率であり、またこれが経済的に非常に利益になる面が少いということがわかっておるものを、今日まだこの制度を設けておるということが、私は国全体からいたしまして、そういう立場をとることが適当であるかどうか、はなはだ私は疑問に思う一員でございます。特に指摘を申し上げたいことは、私がちょうだいいたしました資料によりますと、三十三年度には臨時就労対策で地方道関係予算が約二十五億であったものが、本年度は四十二億程度になっておるようでございます。約七割程度ふえるわけでございます。さよういたしますと、この失業者の発生地域からだんだん距離が遠くなって参りまして、おそらくは十五キロ、二十キロというような遠距離にまで都市の失業者を運ばなければならないということから、ますます非能率になるのではなかろうかということが私には思えるのであります。さような観点から、一般失業対策費をもってこれに充当するのが当然でありますが、またこの制度を残すといたしますならば、労働力の吸収力を一定の限界をきめずに、自由な裁量によってこれを使うことができるというような便法を設けてやることが必要ではなかろうかと思いますが、その点についてどうお考えになりましょうか。
  124. 三治重信

    ○三治説明員 この特失、臨就の不経済とか非能率ということをお聞きしたわけですが、確かに作業の実施過程において非能率なこともございまするが、予算の効率から申し上げますと、別に特別失対をやるから百メートル道路ができるところを八十メートルしか舗装ができない、こういうことではないわけで、公共事業一般と同じように予算としては、でき上りは特失であろうが、一般公共事業としてやるにしても、結果は同じように、予算は人っておるわけでございますから、その点一つ誤解のないようにしていただきたいと思います。それで、ただその地方道の問題につきまして、だんだん遠くなるのじゃないかというふうなお話でございますが、確かに一部の都市ではそういうところがありますが、これはまた計画によりまして、今までの道路予算が少かったために、主要な幹線——地方道と申しましても、そのうちで特に主要な幹線を町から伸ばしていったために、だんだん遠くなる。地方道整備が進んでくれば、また都市の周辺でも非常にまだやらなければならない道路はたくさんあると思いますので、今までの手をつけた道路だけを伸ばしていくところに特失をつけるということになると、だんだん距離が遠くなるというお話もわかりますけれども、計画全体に広がるわけですから、そのほかに新しい線が入ってくるわけですから、必ずしもそう距離が遠くなるとばかりは申し上げられぬと思っております。
  125. 久野忠治

    ○久野委員 現実はそうはならないと思うのでございます。たとえば、例をあげて申し上げますならば、現在東京都内の各所でこの事業費で、舗装事業などが行われておりますが、拝見をいたしますと、わずか百メートルくらいの距離の舗装事業が少くとも三カ月くらいかかっております。これは普通の一般公共事業あるいは一般の民間でこれを行うといたしますならば、わずか一週間か十日間くらいで私はできると思う。ところが、私が見聞をいたしております狭い範囲だけから考えてみましても、少くとも二、三カ月以上はかかっておるのでありまして、その間に受けます経済的な不利益というものは莫大なものであろうと思うのであります。そのために、そこを通ります自動車あるいはその他の交通機関がわざわざ迂回をしていく、またでこぼこの道を毎日通っておるために、その車両に受けます被害であるとか、燃料の不経済であるとか、こういうものなどを計算いたしてみますならば、相当の経済上の損失をこうむっておると思うのであります。現にそういうことが判然としてわかっておる以上は、この与えられた財源をより有効適切に使うという大原則に立って処理することが今日政治の要諦ではなかろうか、さように私は思うわけでございまして、この点政務次官の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  126. 二階堂進

    ○二階堂政府委員 国が画期的な道路整備事業をやられるわけでございまして、それにつきましてはあらゆる総力をあげて仕事を急ぐということは当然であろうかと思っております。ただ、ただいま御指摘になりました通りに、失業対策事業でやっております公共事業道路等の仕事はいろいろ問題がある。非常に能率的でない、効果的に仕事が行われていないというような点、あらゆる角度から久野先生の方から御指摘がありましたが、そういう点も私はあろうかと考えております。なおまた国の直轄事業に対して使うために、制限をある程度いたしておる関係から、そのしわ寄せが地方道に寄ってくる。そうすれば失業者が多発する地域と実際に仕事をやっておる現場との距離が遠くなることによって、さらに経済的な効果的な仕事ができなくなるのじゃないかというような点も、ある程度私はそういうことが出てくるのではないかと考えるわけでございますが、こういうことに対して、しからばどういうふうにこの仕事を効果的に経済的に進めていくかということは、これは建設省といわずあるいは労働省といわず、特に人を使っていく立場にあります労働省といたしましても、十分慎重に検討いたして善処いたさなければならぬと考えております。そのためには、急ぐ仕事をやるようなところには、なるだけそれにふさわしい建設業者ももちろんその仕事についていただくことが必要であろうと思っておりますし、またそのためにその仕事に使っていただくような人も、ほんとうに労働意欲があって、そしてその仕事に適する人を使用していただくことが当然であろうかと思っております。しかしそういうふうに適格者の方面を非常に厳格にやって参りますと、他面またどうしても失業する人間が多くなってくるわけであります。御承知通り失業者は昨年下半期以来の金融引き締め等の影響を考えますときに、本年は相当多数出てくるのではなかろうかと考えまして、それに適応する失業対策というものを私どもは真剣に今考えてやっておるわけであります。そうなりますと、このあぶれてくる人をどういう仕事に、どういう部門に、効果的にまた経済的に使っていくかということが、私どもに課せられた大きな仕事でございますので、この公共事業等につきましても、私は一級国道といったような大きな仕事につきましては、先ほど申し上げましたような考え方でいく必要があろうかと思っておりまするが、その反面また、たとえば失業者が多数発生するような大都会とか、あるいはそういう個所には、その人をば適材適所に使っていくような小さな規模事業というものも、建設省あたりもお考えになっていただかなければならぬと思っております。たとえば大きな部会の中心を走っておる道は別といたしまして、裏町の舗装であるとか、あるいは側溝であるとか、あるいは漁港であるとか、あるいは港湾の大規模でないような仕事、そういうような仕事等につきましても、私どもは昭和三十三年度の予算の編成に当りましては、選定事業といったようなことも考えまして、そういう仕事ならば失業者もある程度吸収できるんじゃなかろうか、またそういう仕事ならば割合に仕事もよくしていただくことができるのではなかろうかということも考えて交渉をいたしたわけでございますが、その実現を見なかったわけであります。少くとも来年度におきましては、私どもそういうような構想でこの失業対策事業というものも、ぜひ関係各省とも御相談を申し上げていきたい、かように考えております。さらにまたいろいろ失業対策事業についての適切なる御批判もございましたが、これらの事業を効果的に経済的にやっていきまする上からは、どうしても資材費といったようなものも多く見ていただかなければ、人件費だけをよけいやって、資材費を与えていただかないということになりますと、幾らいい仕事をやれといわれましても、仕事ができないわけでございますので、この資材費等につきましても、関係各省ともよく一つ御相談を申し上げまして、今御指摘になりましたような批判とかいうような悪い面が除去されるように一つ努力いたしてみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  127. 久野忠治

    ○久野委員 私は労力費を百分の三十ときめ、さらにその吸収率を一方は八〇%、臨就の方は七〇%と規定をしておるところに無理があろうかと思うのであります。こういう規定をいたしますれば、そこで無理やりにこれだけの失業者を使わなければならないことになりまするから、うわさのようなやみ切符が横行したり、やみ手帳がやみで売買されるというような現実に問題が起きてくるわけでございます。またそれを商売にするようなボスも現われてくるというような始末でございまして、ここに悪の温床を作るというような結果になろうかと思うのでございまして、このような無理な吸収率——私は無理だと思いますが、この無理な労働吸収率を将来改訂するような御意思があるかどうか、それも伺っておきたいと思います。
  128. 三治重信

    ○三治説明員 事業の性質にもよるわけで、労働省といたしましては、この設計の変更によって労働の労務比率が下がることにつきましては別に労力費の高い特失でなければ困るというふうにいっているわけではないわけでございまして、われわれの方は全体としての失業対策の人員を何人使えるようにしてもらいたい。特に特失におきましては三万人くらい年間やられるようにしてもらいたいというような要求に予算の折衝上はなっておるわけなんでございまして、私のところはこの事業については、道路については労務比率は三〇%にしないと、労務者が少いから困るというふうな折衝にはなっておりませんので、この点はやはり建設省、大蔵省の方で技術上の点を考慮していただいて労務比率を下げていただく、また労務の吸収の七、八十パーセントというものが高いというふうにどうしても業界の方が申されるならば、それを予算の上で直していただく分については異存はございません。
  129. 久野忠治

    ○久野委員 私は失業対策事業を減額せよとか、このような事業をやめよというような考え方で申し上げておるのではないのであります。一方に増大して参りまする失業者を救済するために事業を起すことは当然であろうと思うのでありますが、このような事業を行う予算上の措置として、道路を利用いたしておりまする人たちからガソリン税を徴収して、この税収入を充てるということを私たちは遺憾に思っておるのであります。せっかくこの道路を利用する人たちが、道路をよくしたいという念願から、このような税にも非常に賛意を表して協力をしていただいておるのでございますから、できる限りそれを能率的に利用をいたしまして、できる限り経済的な効率の高いように努力するということが所管庁の当然やらなければならない責務であろうと私は思うのでございます。そういう点に障害があるというならば、これはどんどん改正をして差しつかえないと思いますが、この点について建設大臣はどうお考えになりますか。
  130. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように本来道路を最もすみやかにかつ効率的に行うという観点からいたしますれば、失業対策ということを抜きにして考えますれば、全くそういうふうになることと思います。ただし一面におきまして、道路建設が非常に重要であると同時に、現在起っているところの多数の失業者をあらゆる施策によって吸収しなければならぬというのも、国家の重要なる施策でございます。そこで道路整備の便利のためという一つの要請事項と、しかもその目的を達しつつ他面失業者を吸収するという一つの限界点の問題だと思います。この点は今大蔵省並びに労働省からお話がありましたように、今後十分に検討いたしまして、昨年よりは本年は一歩を進めてその改善をはかったのでございますが、漸次改善していきたいと思いますが、本質的に今の道路整備にガソリン税を使うという場合、それを活用しつつ労働対策をやる場合に、道路利用者あるいはガソリン税を納めている人々に非常に大きな不満を与えないようにするということはぜひともやらなければなりませんので、今後とも十分に検討いたしたいと思っている次第であります。
  131. 久野忠治

    ○久野委員 時間も相当たちましたのでこの程度で終りますが、とにかくこの事業費の取扱いについては、なお一つ御検討をいただきたいと思うのであります。なおさらに先般来いろいろ当委員会において問題となりましたように、この地方道路税、軽油引取税等の道路利用者税の取扱いにつきましても、幾多の非能率の点、また問題を投げかけるような点がたくさん残されていると思うのでございまして、これらの諸問題等については綜合的に調整をしていただく時期が来ているのではないでしょうか。幸いにして九千億からの道路整備五カ年計画を達成しようという至上命令とも申すべき大目標が掲げられたのでございますから、その裏づけ財源でありますこれらの油の税の取扱い等につきましても、十分慎重にお取扱いをいただきたいと思いますが、建設大臣のこれについての所見を伺いたいと存じます。
  132. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま久野さんが言われた通り、十分にそういう方針をもって進みたいと存じます。
  133. 久野忠治

    ○久野委員 さよういたしますれば、私はガソリン税の値上げというような問題が起きて参りましても、道路利用者はこれに反対しないと思うのであります。自分たちの通る道をよくしたい。しかもその取られた税金が有効適切に使われているんだ、これだけ多く出せばこれだけよくなるんだという目標さえはっきりしておれば、私は道路利用者というものは喜んで税の値上げにも賛成をいたしましょうし、また他の道路利用者の新しい税目を新設いたしましても、協力をしていただけると思うのでございまして、要はこの適切な方策をとるかどうかにかかっておろうかと私は思いますので、これについて建設大臣あるいは政府当局の格段な御検討を希望いたす次第でございます。  それから、もうこれが最後になろうかと思いますが、もう一つだけお尋をいたしておきたいことは、有料道路の問題でございます。先般の当委員会においても私はお尋ねをいたしたのでございますが、名神国道、いわゆる名古屋—神戸間の高速自動車道の完成の年度は何年を予定されておるのか。
  134. 富樫凱一

    富樫政府委員 名神高速国道は、昭和三十七年から供用を開始するように計画いたしております。
  135. 久野忠治

    ○久野委員 その裏づけ財源も、もうすでに予定をされておるのでございましょうか。
  136. 富樫凱一

    富樫政府委員 裏づけ財源の一部として外資の問題があるわけでございますが、外資の問題につきましては、今折衝を進めておる段階でございまして、結論を得ますのには本年中かかろうかと存じております。
  137. 久野忠治

    ○久野委員 万一外資の導入の問題が成功しなかった場合には、どういう措置をおとりになるお考えでございましょうか。
  138. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現在のところは外資は導入できるものと思っていますが、万々一これができない場合におきましても、すでに道路整備事業計画ができておりますので、その場合においては一般財源、外資によらざる国内の資金をもってこれに充てるという方針でございます。
  139. 久野忠治

    ○久野委員 一方東京—名古屋間の自動車国道等につきましても、当然相当な交通需要が起きてくることが想定されるのであります。さよういたしますと、この名神国道が完成をいたす時期までは、この名古屋——東京間の高速自動車道は着工しないということでございましょうか。それとも、これは一定の時期あるいは財政的な措置ができるならば、同時着工もやろうとおっしゃるのでございましょうか、その点の御意見を承わりたいと思います。
  140. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私の気持といたしましては、調査が完備し、かつ着工でき得る諸般の準備ができますれば、これは東京—名古屋間においても高速自動車道について着工するようにいたしたい、かように考えております。
  141. 久野忠治

    ○久野委員 それは中央道の計画でやるという意味でございましょうか。
  142. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この点は、いわゆる有料自動車道としてやるか、あるいは一部公共事業でやるか、これはいろいろと調査研究してみなければできないと思います。全部が全部有料道路でやることが果して適当なりやいなやということも、もちろん研究しなければならないと存じておるわけであります。
  143. 久野忠治

    ○久野委員 現に一号国道、いわゆる車海道の路線は、すでに交通需要を、オーバーしようという限界点にまで今きておると思うのであります。これが数年後までまだこの新しい事業計画が進まないということになりますと、そのことによります経済的な不利益というものは莫大なものになろうかと思うのでございまして、でき得る限り早期着工を私は希望をいたす次第でございます。  それからもう一つお尋ねいたしたいことは、名西国道計画をされており、その総事業費約百六十億ということでございますが、この公共事業費と有料道路費との配分はどうなっておりましょうか。
  144. 富樫凱一

    富樫政府委員 名四国道につきましては、まだ調査が完了いたしませんのでございますが、これは公共事業費と有料道路と合わせてやる計画にいたしております。それで有料道路で取り上げますのは、名四国道の中には大きな川が三本ありますが、これにかける橋につきましては有料道路にいたしたいと考えております。その他は公共事業費でやりたいと思っております。
  145. 久野忠治

    ○久野委員 その橋はどことどこでございましょうか。
  146. 富樫凱一

    富樫政府委員 木曽川と揖斐川、長良川にかかる橋でございます。
  147. 久野忠治

    ○久野委員 揖斐川と長良川というのは、上流でずっと分れておりますが、そうすると、路線は、ずっと上流を通るということになりますか。
  148. 富樫凱一

    富樫政府委員 ちょっと申し方が悪かったのでございますが、上流が長良川、揖斐川に分れております。その下流でございますが、あれは何という川になりますか、その合流した下流部分にかかる橋でございます。
  149. 久野忠治

    ○久野委員 そうすると二カ所ということになりますか。
  150. 富樫凱一

    富樫政府委員 これも川の名で申し上げましたから三カ所と申し上げたわけでございますが、橋そのものとしては二本かかるわけでございます。その二本分を——中にちょっとあきますけれども、その間も人れて有料道路計画いたしたいと考えます。
  151. 久野忠治

    ○久野委員 その経費の内訳はどうなんでしょうか。
  152. 富樫凱一

    富樫政府委員 経費はまだはっきりきまっておりません。ただいま調査中でございます。
  153. 久野忠治

    ○久野委員 今年度何がしかの公共事業費が予定されておるようでございますが、内定しておるようでありましたら、その額、またその経費を使ってやる事業、こういうものはどこをやるかというようなことを、お差しつかえない範囲でお聞かせ願いたいと存じます。
  154. 富樫凱一

    富樫政府委員 まだ内定しておりませんし、大臣の決裁もいただいていないわけでございますが、名四国道につきましては、三十三年度から着手いたしたい考えでございますが、着手するにつきましては相当の用地費が要りますので、まず用地問題を片づけたいと存じますけれども、その金額につきましては、まだきまっておりません。
  155. 久野忠治

    ○久野委員 いつごろ完了の予定でございましょうか。
  156. 富樫凱一

    富樫政府委員 できれば五カ年計画の中に入れまして、五カ年計画で完成いたしたい考えであります。
  157. 久野忠治

    ○久野委員 数日にわたっていろいろ道路関係についてお尋ねしたのでございますが、先ほど私が申し上げ、また他の同僚委員諸君が申されましたように、今回の道路整備計画はまことに画期的な事業計画でございまして、この事業計画を進めるに当りましては十分衆知を集めて、なおでき得る限りの財源的措置を講じまして、急速にこの問題が推進できますように政府当局の万全の御努力を切に希望いたしまして私の質問を終りたいと存じます。
  158. 中島巖

    ○中島(巖)委員 関連して。ただいま久野委員から、例のガソリン税を失業対策費に回しておることについていろいろと貴重な御意見が出たわけであります。そこで久野委員は、ガソリン税に関しても適切な扱い方をしておれば、また利用者は値上げに応ずるような意味のことを言われましたが、これは大きな間違いでありまして、現在リットル三十一円程度で十八円を税金にとられておる。従いまして、正味の値段は十三、四円で、結局税金が一二〇—一三〇%になる、こういうことでございます。そういう高率の課税をして、そうして道路整備費に充てておるわけであります。そこできょうは労働省の政務次官の二階堂さんがお見えになっておりますが、二階堂さんは、かつて建設委員当時に、ここに速記録がないのではっきりこうだということを申し上げるわけにいかぬけれども、この失対にガソリン税を使うことの不合理性についてたびたびこの席から大臣を詰問されたのですが、今度政務次官になられると、よほど考えが変ったような御答弁をお伺いしたようなわけです。(笑声)結局先ほど具体的な問題がありましたけれども、私の方の地元は飯田ですが、具体的な問題といたしまして、あそこの中津川、飯田線の改修にやはり臨就を使っておるのです。これは非常な道の悪いところですが、一二十キロ以上運んでおる。それで大体二時間くらいしか正味仕事をしないです。そんなことばかり各所でやっておる。請負屋も非常に手をあげてしまっておる、こういうような状態なのです。そこで基本的の問題に入るわけですが、そういうような高率課税のガソリン税を道路整備に使い、そして道路整備が非常に緊急であるということで現在の内閣の大きな政策に打ち出しておる。従いまして、このガソリン税は道路整備重点で使用すべきものであって、失業対策は失業対策として、やはり労働省関係で別に予算を使って、これとからみ合わせぬようにすべきが筋ではないか、こういうように私は考えるわけでありまして、従ってこのガソリン税を失業対策の方に使うために、非常に各方面からの議論は毎国会を通じて出ておるわけであります。従って大蔵省としても、労働省としても、建設省としても、その御答弁にはずいぶん苦心をして研究をされているということは、きょうの質疑応答を通じてありありと、はっきりわかるわけであります。そこで基本的な問題として、大臣はこういうような道路整備の緊急を要するときに、しかもガソリン消費者に対して、一二〇%というような苛酷な税を課して、そして道路整備を緊急にやらなければならぬというときに、社会保障を根幹とするところの失業対策事業に、今のような非能率な格好で費用を回しておってもいいと思うかどうか。これを一つ国務大臣という立場でお考えを承わっておきたい。
  159. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほども久野さんの御質問に答えたときにこの問題に一応触れたのでありますが、道路整備を最も効率的にやるという観点からしますれば、これがいわゆる失業対策事業として考えるよりは、その方が効果的であるということは御指摘通りであります。しかしながら同時に、道路整備をやる場合に労務者を使うことも事実です。効率的に使われるならば、そういう観点において失業労務者を吸収するということはやってしかるべきであり——これは特に国務大臣として答えよというのですから、特にその点は国務大臣として、そういうふうに考えるわけであります。しかしながら今日までの実績を見ますと、道路整備という観点よりもむしろ失業対策という面に重点が置き過ぎられたような傾向がありまして、そのために非常にスピーディではない。従って事業量そのものには、先ほど御指摘のように大差ないといたしましても、道路整備がおくれることによる一般的な国民の、間接的というか、直接的というか、損失は非常に重大なものであると思います。そういう観点から、三十三年度予算編成に当りましては、私の方としてはこういう失対事業道路整備よりも、むしろ下水道とかあるいはまたその他の道路整備にあらざるところ重点を置いてほしい、ただし道路整備関係において失業者を吸収することにおいては、われわれの方は何ら異存なく積極的に協力いたしたい、かように考えておつたのでありますが、その趣旨が全面的に受け入れられたとは申しません。しかし従前から比べまして、特に緊急を要するところの直轄道路については、できるだけその量を少くして、それで地方道とか、あるいは街路とか、そういう方面に漸次重点を変更して、今御指摘になったような点も漸次あわせて今後改善して参りたい、こう考えている次第であります。
  160. 中島巖

    ○中島(巖)委員 いずれにしても、露骨な言葉で言えばインチキ予算であると私は思っておるわけであります。そこで二階堂政務次官にお伺いするのですが、あなたはかつて建設委員で、これについて非常に御発言したことを私記憶しておるのでありますが、今は労働政務次官として変った立場に置かれている。両方のわらじをはかれて、現在どういう御心境か、お伺いいたしたいと思います。
  161. 二階堂進

    ○二階堂政府委員 私の心境を率直に言えということでございますが、ただいま中島先生から御指摘がありました通り、私はかつて委員会会の席上におきまして、この道路財源のことについてしばしば言及したことは事実でございます。私は今もその考え方は変っておりません。少くとも私は、自分の個人としての考えを申し上げますならば、やはり国が、特に本年度以降におきましては、積極的に道路整備仕事をやろうというときでありますし、またガソリン財源を全面的にこれに充てておるようなときでもありますので、こういう財源はやはり一括して国が道路財源に充てるべきだという考え方を私は今日も持っております。しかしまた一面、それからといって失業者を多数抱えておる今日、この失業者もやはり一般の公共事業、特に昨年からしますと白億以上も予算がふえております道路事業等におきましても使っていただくわけでありますが、この人を使うことにおきましては、先ほどから大臣もしばしば申されております通りに、効果的に能率的に仕事をどうして進めていくかということを重点に置いて考えていかなければならぬと思っております。また仕事を効率的に能率的に、しかも早くやるために、評判の悪い失対の人なんかを使うことはどうも困るじゃないかというような御批判もあるわけでありますが、ただ仕事を早く効果的にやるということだけで、莫大な予算を国の道路に使うということだけをお考えになりますと、私ども労働省の立場からいたしますと、人の問題が非常におろそかにされがちであります。特に私が労働省に入りましてから中島先生が所属しておられる社会党の方からは、二面におきましては適格者とか人の問題をあまりやかましく言うことは失業者をふやすことじゃないか、なぜもっと働くことができない、困っておる人をどうしてあたたかい気持で使わないかと、しばしばお叱りを受けるわけであります。私もそのことはもっともだと考えております。でありますから、やはり並行して、現在の段階におきましては道を作る仕事等におきましては莫大な予算を使っておるわけでありますが、その予算を国の経済基盤の強化、産業拡大、ことに雇用対策にいかにうまくマッチして使うかということを考えるべきであると思います。従いまして、人を使う面と事業経済効果の面とは十分調整をとって、そうして中島先生が御指摘になりましたような点も今後大いに検討をすべき点が多々あろうかと思いますので、この点につきましては十分検討して、御批判のないように一つ努力をいたして参りたいと考えております。
  162. 西村直己

    西村委員長 他に御質疑はありませんか——ないようでありますから、道路関係三法案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  163. 西村直己

    西村委員長 御異議はないものと認めます。  次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時九分散会