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1958-02-14 第28回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十四日(金曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 西村 直己君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 大高  康君 理事 荻野 豊平君   理事 久野 忠治君 理事 前田 榮之助君    理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    荒舩清十郎君       池田 清志君    木崎 茂男君       薩摩 雄次君    高木 松吉君       徳安 實藏君    廣瀬 正雄君       堀川 恭平君    山口 好一君       淺沼稻次郎君    井谷 正吉君       小川 豊明君    田中幾三郎君       中島  巖君    安平 鹿一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  木村 俊夫君         建設政務次官  堀内 一雄君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     南部 哲也君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建設事務官         (住宅局長)  植田 俊雄君         建設事務官         (営繕局長)  櫻井 良雄君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  八木 利真君         建設事務官         (河川局次長) 関盛 吉雄君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 二月十一日  西光寺川堤防復旧に関する請願池田清志君紹  介)(第七九五号)  台風常襲地帯に対する特別法制定に関する請願  (池田清志紹介)(第七九六号)  金山橋架橋工事促進に関する請願助川良平君  紹介)(第七九七号)  熱海、中ノ沢間観光道路整備に関する請願(助  川良平紹介)(第七九八号)  高知県西南部崩壊地復旧に関する請願林讓  治君紹介)(第七九九号)  水の手橋等改修に関する請願池田清志君紹  介)(第八二〇号)  公営住宅事業に関する請願足鹿覺紹介)(  第八四八号)  県道谷地神町線舗装工事継続施行に関する請願  (松浦東介紹介)(第八六九号)  国道二号線三島、下田間等舗装に関する請願  (勝間田清一紹介)(第八九七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省関係重要施策に関する件      ————◇—————
  2. 西村直己

    西村委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、昭和三十三年度建設省関係重要施策、これが実施に要する予算概要説明に対する質疑を行います。中島巖君。
  3. 中島巖

    中島(巖)委員 本日運輸省の御出席をわずらわしましたのは、本年度の道路政策、大きく言えば交通政策に対しまして、やはり鉄道輸送が不可分の関係にあるわけでありまして、現在鉄道輸送運輸省関係道路関係建設省関係と分れておりますが、これを国全体の交通輸送関係からいえば調整をしてにらみ合せて、その上で道路政策基本方針を策定するなら、事は私が申し上げるまでもありません。  そこで最近の新聞紙上などにおきまして、運輸省東海道複々線計画している。さらに国鉄幹線調査会運輸省に対しまして、これらに関する答申案を幾つか出しておる。それらから見ましても、近くそれが実現するのではないかといふうに見受けますので、現在それらの計画がどの程度まで進んでいるか、運輸省としてはどういう方針でそれに対処しているか、そしてさらに、現在運輸省計画しているところの、東海道に新しい複線工事をすると承わっているが、それらはどのような内容を持っているものか、この点についてお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  4. 木村俊夫

    木村政府委員 お説の通り運輸省におきましては東海道にどうしても新しい幹線が必要だという見地に立ちまして、目下日本国有鉄道幹線調査会におきまして慎重に審議をいたしておりますが、経過をちょっと御説明いたしますと、昨年八月三十日、閣議決定で設置されました幹線調査会は、九月十一日にその第一回の調査会を開きまして、自後四回にわたって調査をいたしました。十一月二十二日に第一次の中間答申を受けたのでございます。その答申によりますと、東海道本線輸送力は、他の交通機関への転換を極力はかりましても、昭和三十六、七年ごろには、ほほ全線にわたって行き詰まるものと推定される、輸送力の限界と建設に要する期間を考慮いたしますと、東海道新幹線建設はどうしても必要であり、緊急を要する問題である、こういう結論を得たのでございます。なお本調査会はこの中間答申後、引き続きまして新規路線の形態及び具体的施策等、残された問題につきまして審議を続けております。政府といたしましては、その答申を待ちまして、これが実現努力をいたしたいと考えておりますが、大体の工費は、目下の計算によりますと約一千七百二十五億円でございます。工期は約五年かかるものと推定されます。  そこで今中島委員のおっしゃいました通り、この東海道新幹線東京—神戸間の高速自動車道との関連は、当省におきましても最も関係が大であると考えます。従いまして、これに東海道線から転換する輸送量につきましては、中央縦貫道及び東海道高速道路両案につきまして特に詳細に検討いたしまして、高速自動車道のうち名古屋—神戸間につきましては昭和三十七年度、東京—名古屋間につきましては昭和四十二、三年度にそれぞれ輸送を開始するものといたしますと、昭和四十年度におきましては東海道線輸送量のうち、旅客約一〇%ないし一九%程度貨物約四%ないし五%程度輸送量鉄道から転換するものという推定のもとに検討をいたしております。
  5. 中島巖

    中島(巖)委員 大体の構想を伺ったわけでありますが、あなたの方から出ている「広軌か狭軌か東海道新幹線早わかり」というパンフレットの十九ページに、ただいまお話のあったのと同じようなことが出ているわけです。つまり、東京—神戸間の高速自動車道建設されても、運輸省計画によると、人において二四%、貨物において五・八%を補ってくれるだけであるから、東海道線複々線をこしらえても、なおかつその縦貫道は必要であるというようにこれに記されてあるのでありますが、そういうふうに了承してよろしいのでありますか。その点いま少し詳しく御説明願いたいと思います。
  6. 木村俊夫

    木村政府委員 運輸省推定によりますと、大体最小に見積りましても、昭和五十年度におきましては、現在に比較しまして、旅客において約二倍、貨物において約二倍から三倍以上に達して、自後さらに増加する、こういう輸送量推定をいたしておりますので、たといこの東海道新幹線を作りましても、仰せの通り縦貫自動車道は必ず必要になる時代がくる、こういう考え検討を進めております。
  7. 中島巖

    中島(巖)委員 大体わかったわけで、またこまかいことにつきましては運輸委員会においていろいろお伺いいたしたいと思います。  そこで大ざっぱの数字でよろしいのですが、昭和三十三年度における国鉄関係の新設それから維持、修繕、これらの費用の概算はどの程度になっておるか、お伺いしたいと思います。
  8. 木村俊夫

    木村政府委員 昭和三十三年度の国鉄予算のうち、工事費といたしましては約千六十二億円でございます。その配分につきましては詳しい具体的な計算は目下まだ検討中でございます。通勤輸送電化、それからとりかえ、改良、そういう区分のもとに、目下その予算の振り分けを検討中でございますが、そのうち国鉄電化につきましては三十三年度は予算百六億円をもって引き続き東北本線及び山陽本線等電化を実施する予定であります。なお詳しい数字につきましては国有鉄道部長から御説明申し上げます。
  9. 中島巖

    中島(巖)委員 運輸省関係はこれでよろしゅうございます。  本日は主といたしまして道路関関係について質問をいたしたいと思うわけであります。前会の委員会ににおきまして、前田委員質問に対しまして建設大臣の御答弁の中に、鉄道関係のものは鉄道オンリー考えておる、縦貫道路関係のものは縦貫道路オンリー考えておる、一般道路関係のものは一般道路オンリー考えておる、これらの関係をどういうふうに調整するかというようなお話があり、さらに交通審議会を設置してもいいというようなことを明らかにされたわけであります。そこで質問の前提問題といたしまして、われわれも確かにそうだと考えておるわけでありますが、交通審議会を設置するとすればどんな規模、あるいは委員会の構成はどんなふうであるか、さらに基本的の問題といたしまして、これらの交通運輸、全般にわたる調整をするのであるかどうか、こういうようなところが具体的な問題点となってくるのでありますが、建設大臣構想をさらに一歩を進めた具体的なお考えを承わりたい、かように考えるわけであります。
  10. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般の本委員会におきまして、前田さんからその問題について御指摘がありましたので、これに一応答えたのでありますが、実は昨年の十月ごろだと思いますが、今の運輸省関係の方から、東海道線複々線の問題とか、いろいろな閣議において報告があったわけであります。そのときに私が発言をいたしまして、それはそれとして非常にけっこうなことであるが、従来ややもすれば鉄道鉄道だけの計画を進めていき、それから道路道路でいく、港湾港湾でいく、そういう結果、私が各地を回って歩きさますと、ほんのわずか五キロか六キロの間で、重要港湾だからというので港湾整備を要請される。また港湾に通ずる道路も同じように要求されてくる。一方においては鉄道建設の方というように、こういうふうな二重投資というか、三重投資みたいなことがかなりあるが、日本の国力の状況からみて、これは非常に不合理な点が多いと思う。従来はそれぞれ権威ある審議会その他がございますが、これを総合するものがないために、どうもそこにむだが出るような感じがするから、これは一つ石井総理あたり中心になって——行政管理という意味とは別途でありますが、総合的に考えてみたらどうですかということを発言したのがそもそもの初めなんです。それから石井総理も、これはやはり非常に重要なことではないか、何らかそういう方面について検討してみる必要があるというので、中村運輸大臣と私が幹事役になりまして、この問題をどういうふうな機構、どういうふうな運営でやるべきかということで、実は話し合うことを約束いたしました。そこで、最初考えましたのは、運輸建設、それから大蔵経済企画庁、それに農林、通産、この各省大臣を含め、さらに民間の有識者も入れて、閣議決定に基く審議会を設置してはどうかと思いまして、関係各省次官諸君にその成案を作るように一応命じておきました。しかるところ、経済企画庁の方から、どうも今までの委員会は、すべてこれは法律に基いて作ったもので、しかも各党の最高首脳部がみな委員になっており、また閣僚が入っておるのだ、その上に今度それを全部総合するものができるということになっても、ちょっとやそこらの機構ではなかなかりむずかしいのじゃないか、むしろこれは責任ある処置を講ずるというためにも、総理会長にして——あちこちみな総理会長にするのがありますけれども、実質上総理が最終的にこれを調整するという役目を演じなければ、なかなかむずかしいのじゃないかということで、経済企画庁一つ中心になりまして、今のその構想をさらに深めて考えようじゃないか、それに基いて、必要とあれば法律に基く審議会にするか、あるいはまた閣議決定に基く事実上の機関にするか、いずれにしても、この機関を設けようということについては経済企画庁長官と私と、それから大蔵大臣運輸大臣との間は意見の統一ができておる。御承知のように、予算関係のいろいろの動きがありまして、少しおくれておりまするが、これは近くさらにただいま申し上げたような構想に従ってそういう機関を設けたい。ただ現在のところ考えが少し変ってきておるのは、民間学識経験者を入れてやるということになりましても、これはみんな、ざっくばらんに言いますと、各省の推薦に基く代表になってくるわけです。そうすると、そのためにかえって自由なる大所高所からの意見陳開よりも、何となく一つの省を代表して、省というよりも省の役人の代表としてくるということのために、かえってまとまらないという点がありはせぬか、むしろ端的に関係閣僚だけでこれはがっちりと物事を、国務大臣としての立場から検討するという方がいいじゃないかというような意見が強くなりつつあるということは、大体の今の傾向でございます。
  11. 中島巖

    中島(巖)委員 大体大臣構想は承わったわけですが、ここで一言御注意、と申すと大へん大げさになりますが、しておかなければならぬことは、このごろ大臣がそういう構想があるというようなことをお聞きいたしましたので、かつて経済企画庁において、同じような交通審議会というようなものを設置したことがあるやに私記憶がありましたので、経済企画庁交通課の方から、当時の審議会の記録をとってみたわけです。大臣構想と同じように、交通審議会というものは経済企画庁中心にいたしまして、そうして昭和三十年の十月に出発をいたしておるわけです。それでもちろん、これは運輸大臣建設大臣も第一回の会合には出席をいたしております。その後、会を重ねること七回の会合をいたしたわけでありますが、この会議録内容から見ますと、結局これはおざなりに終ってしまいまして、結論としては、役所の方にはっきりした資料もないのだし、また役所の方でしっかりした方針もきまっておらぬというようなことで、七回も会合を重ねて、うやむやに終っておるわけであります。従いまして、たとい七回で終っておりましても、このときの大臣構想は当然な構想であり、従って今大臣の言われたような閣僚だけの会議で僕は十分だと思うが、前車の轍を踏まないように、実力のある河野、根本大臣がおられるのだから、相当強力に推進できると思いますが、ぜひ一つそれを実現していただきたい。  もう一つ、これは大臣個人としてのお考えでいいのですが、結局、官僚日本といわれる現在の官僚機構の中で、容易にこれらは、かりに社会党内閣が出現しても、実現はできぬと思いますけれども、運輸交通政策というものは、各省にばらばらになっておらずに、これを一元化すべき性質のものだと思うわけであります。従ってアメリカのような交通省というものを設置いたしまして、それに海運鉄道道路も包含した一省を設置すべきものである、こういうように考えるわけでありますが、現在の段階といたして、これは困難なこととは思いますけれども、大臣理想論———といってはちょっと語弊がありますが、いわゆる交通運輸政策の一元化に対して、もしお考えがあったら承わりたいと思うわけであります。
  12. 根本龍太郎

    根本国務大臣 政府行政機構はいわゆる立場によっていろいろの方法があると思います。ただいまのように、交通運輸行政観点から全部一丸にするという考え方もございましょう。それからまた今の交通河川、そうしたものを全部合せて国土省的な考えで見るという行政あり方もございます。またもう一つは、そうした行政一つの体系から、そういうふうに考え行政機構あり方と、それから一つ行政省能力と申しますか、把握し得る能力という観点から見られる場合、それから現在の憲法の条章に基くところの地方自治官治との調整といういろいろの要素が含まっておりまして、なかなかこの問題は、重点をどこに置くかによって変ってくるのでございます。御承知のように第二次鳩山内閣、第三次鳩山内閣の当時、かなり思い切って、行政機構整備改善をはかるために、内政省その他トップ・マネージメントの整備等やってみたのでありまするが、なかなか一利一害がございまして、進んで参りません。現在の交通関係という点から見れば、交通省を設置いたしまして、そうなりますれば道路海運、航空、鉄道を全部一丸とする、しかもそれは運輸行政のみならず、それ関連するところの建設行政までも全部やるべきだ、こういう意見もございまするが、そうすると、もう何でもやらなければならないということで、かえってこれは困難性があると思いまして、鳩山内閣の当時にも一部そういう意見がありましたけれども、やはり現状のままで、むしろ各省との連絡調整を密にしていく方が現実的ではないかということで、ただいまのところ、交通省を設置して、運輸行政建設行政一丸としてやるというところまで踏み切る考えは、私もまだそれほどまでの勇気はございません。
  13. 中島巖

    中島(巖)委員 それはお考えを伺っただけで、私の考えといたしますれば、交通省それから国土省なんかに分けて、理想論としては持っていくべきだ、陸海空の交通を立体的に一元化すべきだ、こういうふうに考えておるわけでございますが、大臣の言われる通り、現在の状態においては、鳩山内閣行政機構改革の大看板看板だけで終るような感じで、実際問題として、お説の通りできない。  そこで、今までの問題は運輸交通、全体に対することをお伺いいたしたのでありますが、今度はごくしぼりまして、建設大臣所管事項におけるところの道路政策基本方針について大臣のお考え伺いたいと思うわけであります。鳩山内閣におきましては選挙スローガンにおきまして、大きな看板として、住宅四十二万戸建設ということで選挙を戦ったわけであります。岸内閣は幸運な内閣といいますか、選挙せずにできた第二次岸内閣であります。そこで、選挙スローガンではありませんが、岸首相はとかく遊説先において、道路政策を強力に推進する、こういうことをしばしば声明し、新聞などにも報ぜられておるわけでございます。従ってわれわれももちろんでありますが、国民も大きな期待を持っております。そこで、その岸内閣の大きな看板としての道路政策のチャンピォンとして根本建設大臣が登場しておるわけでございまして、従って岸内閣の大きな政策としての道路政策に対しては、相当理論的の根拠がなければいけないと思うわけであります、それでこの予算面なんかにおきましては相当大幅に、あなたの御努力によって獲得いたしたわけでありますけれども、肝心な基本政策というようなものに対してお伺いをすることが、不幸にしていまだできずにおるわけであります。それからまた、日もなお浅いし、岸内閣道路政策に対するところの基本政策、こういうようなものも打ち出されないかとも思うのです。そこで現在の道路政策状態を見ますと、岸内閣といわず、過去の内閣におきましても、現在の道路局長その他の専門家答弁を聞いておりましても、自動車がこういうふうに高度に発達をしまして、そして交通革命というような時期に来ておるにもかかわらず、必要に迫られてそれへ追いつくだけでせい一ぱいでおる。極端な話をすれば、明治時代というよりは、かつての徳川幕府時代そのままの道路政策を踏襲しておると言っても過言でないと思うのです。たとえば東海道であるとか中仙道あるいは甲州街道であるとか、昔からある線をただ拡張するとかトンネルを掘るとか、それ以外の新しい構想を一歩も踏み出しておらぬ。道路予算が本年度相当大幅な、御努力によって増額は得たけれども、それらの政策は依然として続けられておる。つまり大きさな見地から見て、国の上に図を引くような政策ができておらぬ。これはどういうことに起因するかと申しますと、現在の道路、と申しましても自動車交通でありますが、自動車の高度の発達、ここへ観点を置きまして、わが国の道路行政はどうあるべきかという大局的見地から、かつて鉄道が東北線その他を建設いたしたような新しい構想をここに樹立すべきではないか、こういうように考えるのでありますが、大臣のこれに対するお考えはどうであるか、お伺いしたいと思うのであります。
  14. 根本龍太郎

    根本国務大臣 道路政策が、ただ単に量的な事業を促進するだけではなく、時代の推移、経済情勢変化に伴う質的な変化もその中に含まるべきである、こういう御意見であります。全くその通りであります。御承知のように、従来の日本道路はいわば馬車あるいは荷車、こういうものが大体の一つの基準であり、それが鉄道に大部分重量輸送が依存しておった当時の道路が、漸次必要に迫られて自動車道路化していっている。しかしながらそれには基本的な総合構想がなかったために、結局において自動車の年々の増加に実はおくれておりました。そのために日本経済の最大の隘路になっておる。こういう観点から岸内閣といたしましては、道路政策を抜本的に取り上げていくということにしたわけであります。しかしながらいずれにしましても、これは非常に多額の経費と、しかもまた相当多くの土地の買収、その他いろいろの障害があるのであります。これを解消しつつ、しかもこれには現在の民主主義の今日において、利害関係者意見を考慮することなく、強権をもってやるということにいかないとすれば、そこにおのずからスピードというものが制約されざるを得ない、かように考えております。しかし全体の構想としては、すでに本院あるいは参議院等において決定されておる通り、従前の道路整備強化するとともに、縦貫道路を作って、これによって国土開発並びに新たなる輸送情勢に対応すべきだという法律もできておるわけであります。従って、これはある意味における一つ道路政策工ポツクをなすものであります。これは当然われわれの道路整備計画一つの根幹として取り入れられておるわけであります。  それとともに、こういうような道路、御指摘のように、ただ縦貫道路を作っただけでは意味をなしませんで、これを高速度化しなければ、その効果が非常に減ってくる。そこで高速度化するという場合におきまして、これは非常に金がかかるのみならず、従来の道路と二重投資になるという心配が出てきまして、その経済上の効率性考えまして、この縦貫道路の大部分は、有料道路としてやり得るものはそれに依存していくというふうに、有料道路もその中に相当多く組み入れた計画をいたしておるわけであります。  その次は、何と申しましても、現在の経済情勢からいたしまして、自動車運送が長距離かつ相当多く積んでおりますので、これにはどうしても国道中心になって参らざるを得ません。そこで国道のうち、特に一級国道に完成のスピード重点を置く。従いまして二級国道並びに主要地方道路は大体同格に扱っておりまして、同じウエートを置いてやって参りたい。そうして大体の整備ができるのを十カ年と、私はただいま目算を立てておるのであります。十カ年は少し長過ぎるという議論もございますが、現実に国家財政状況、さらに用地の収買それから工事能力、そういう点を勘案して参りますれば、全体として、どうしても十カ年かからないと少し無理があるようなので、それで私は十カ年といたしました。しかしながら十カ年計画でいきますと、これは御承知のように他のすべての長期計画が五カ年計画になっておりますので、今回はそのうちの五カ年計画を策定した。この五カ年門において、先般の予算説明で概略申し上げましたように、総事業費は九千億と算定いたしました。この九千億のうち、地方単独工事が千九百億と推定いたしました。それから残り千五百億が有料道路でやっていく、そうしますと五千六百億が一般道路、こういうふうな計画を持っておるわけであります。  そこで一応御心配になられる点は国道重点を入れ過ぎて地方道が非常に圧迫されるじゃないか、こういう御心配を持っておるようでありますが、われわれの計画では、そうでございません。御承知のように一級国道と他の道路が相関連して整備されることによって、交通問題と同時に地方の産業の開発があるということで、その点は現実に即したところのバランスをとっておるというような状況でございます。従いまして中島さんが御指摘になりました道路の質的改善ということも十分考えておりますが、それだといって、縦貫高速自動車道路だけをやって、他のものを犠牲にするというか、あと回しにするということはなかなか困難な問題でありまして、その点、若干私の考えはアクセンドのつけ方がなだらかかもしれません。そういうふうな高速自動車道路とともに従来の道路整備していくという形でありますので、従いましてドイツにおけるアウトバーン、これ専門にやるというようなふうの非常にアクの強いというか、ある意味においては超重点主義的な道路政策じゃなくて、若干バランスのとれた道路政策をやっておる、これがわれわれの考えておる構想でございます。
  15. 中島巖

    中島(巖)委員 何だか私が質問すると、いつも縦賃道路の方へ持っていくんじゃないかというようなお考えから大臣は御答弁されたようですが、私の質問の要点は、もう少し抜本的な道路政策に対するところの基本方針を確立してはどうか、ことに岸内閣鳩山内閣住宅政策のごとく、大きく道路政策を打ち立てて、しかもその担当大臣が閣内一、二を争うような実力者の根本さんだから、絶好の機会である。われわれとしましても、これに対しましては非常な賛成をするものである。従ってこの基本政策策定のいかんによっては、道路予算それから道路公団のあり方などに対しましても、非常な影響があるわけです。ですからそれらの問題は、後ほど道路整備十カ年計画を五カ年計画に変更した理由とか、あるいは道路公団のあり方などに関連して大臣の御所見を承わりたいと思います。  そこで、非常にあとさきの感がありますけれども、建設省といたしまして通常国会提出予定の法律案の大体の概要だけを伺いまして、その後予算に対する質問、さらに十カ年計画道路公団などに対する質問を続行いたしたいと思うのであります。  そこで、まだ法案は二月中旬に提出する予定だということで、手元へ出ておりませんけれども、建設省設置法の一部を改正する法律案、この骨子は、道路局に二部を設置する、地方支分部局として北陸地方建設局、それに四国地方建設局を増設する、こういうようなことを書いてあるわけでございます。これはもし大臣でおわかりにならない点があれば、官房長でもけっこうでありますが、道路局に二部を設置するというのは何と何を設置するのであるか、それらの所管課はどういう課であるかということ。それから地方建設局につきまして、四国地方建設局は、これは大体地勢の上から管轄区域はわかっておるのでありますが、北陸地方建設局は、その関係するところの各建設局の範囲が非常に多い。従って現在建設省としては管轄区域をどのように考えておるのか。実は昨日も長野県から県会議長その他二十名ほど来て、各選出の議員さん方を訪問いたしまして、いろいろ陳情を受けておるわけであります。それらの諸君から聞いてみると、長野県の北側の方の道路は関東地方建設局にもっていく、河川は北陸地方建設局にもっていく、それから建設局の所在地が、富山県と新潟県と、非常な取り合いでもめておるというような話を聞いておるのであります。まだ法案も提出になっておりませんので、その辺のことはよくはっきりわかりませんが、法案提出について、建設省としてはもちろん腹案があって提出するのだと思いますので、かりに結論は出ておらなくても、建設省の御腹案をこの席でお伺いいたしたい、かように考えております。
  16. 根本龍太郎

    根本国務大臣 道路局の内部機構、それに配属する課というものについては、官房長から後ほど御説明いたさせます。  それから地方建設局の設置の問題は、御承知のように従来から議論がございます。一つは北陸関係が、御指摘のように関東それから中部それから近畿と、この三つに分れておりまして、しかも相当事業量が多いのにもかかわりませず、これが分断されておるということと、それから今申し上げたように、三つにその所管が異なっておるために、実際上仕事がおくれておる、こういう感を強うしておったわけであります。それから四国につきましては、中国、四国、これが一体になっておりまして、四国はしかも相当の——道路にしろ、それから多目的ダムにしろ、砂防その他たくさんあるにかかわらず、非常におくれておるというような状況でありましたので、私も現地をつぶさに見た結果、これは何としても作らなければならない。ところが従来から、やはりこれは端的に申しまして、地建を置くとすればみんなどこに置きたい、あそこに置きたいということの争いのために、それがきまらないと、大蔵省では、なかなかまだ設置する個所もわからないようなことでは許さないということで、予算がとれなかった、これが端的にいって事実のようです。それを私が最終的にはきめるのだから、何も今どこそこにきめなければならぬというわけじゃないということで、政治的にのんでもらいまして、そこで二つに地建を置くことにいたしました。陳情並びにいろいろの運動を相当熾烈にやっておることは事実でございますが、私は、行政の便宜ということが第一です。これは、そこに置くことによって関係の住民、機関の便宜はもとよりのこと、建設行政を実施するために、最も合理的かつ便宜であるというところが最大の要件であると私は考えております。ただし現実において非常に微妙な動きをしておりまするために、私はまだ意思表示はいたしておりません。従って事務当局に意思表示をさしておりません。これは案が最終的にきまったときに、確定して、委員会に提案申し上げて御審議を願いたいと思いまするので、今ここに、どこに考えているとかなんとか言うと、ますますこれが必要以上の運動を激化したり何かすることをおそれるために、御容赦願いたいと思います。これはぜひ委員の皆様の高い見識によって円満に御決定を願いたいものとひたすら念願しておるわけであります。ただし御承知のように、この建設行政のあれから見ますと、よく最近利害関係者が陳情に参ります。どこそこに行くと自分の方は交通が不便だ、こういうふうに言われまするけれども、これはどこに持っていっても、見方によってはそういう不平が出るのは当然でございます。逆行していくことになるとか、それからまた向うからくると特にまた乗りかえしなければならぬとか、こういう便、不便は見方によってはどこにもあると思います。しかしそれだけでものは決定できない。たとえば河川について、どこそこにいくというと、今度は道路については所管が違うという、これまたやむを得ないことがたくさんございます。たとえば大きな河川なんかについては、一水系が一つの総合的な計画においてなされなければならないということが大原則でございます。それと、現在の一般行政規格と必ずしも一致しない、そういう関係で、一つの県が、あるものについては所管が違ったところにいくということの不便は若干考えられますけれども、しかし河川にしろ、道路にいたしましても、普通の行政と違いまして、町村長や町村の方々が毎日そこに行かなければならぬということはないのです。しかも県あるいはまた地建なりに出ていく場合も一年に数回のことでございます。それをもう常時、毎日そこを学校の通学区域みたいなように考えての便、不便ということよりも、むしろその河川なり道路なり、そういうものがいかにせばより効率的に、より総合的にそれの建設なり維持が全うされるか、こういう観点で私は考えていただきたいということを陳情に参っておる諸君には申し上げておる。何かしら今のところ役所の問題になりますと、通学区域のように便、不便ということを、毎日のようにそこに行くような感じでものを考えられておりますけれども、そういうことではない。その便、不便よりも、むしろその区域がどこに所属するかによって、一つの水系なり一つの山なり一つ道路なりが、より合理的に設計され、かつ建設され、維持されていくか、こういう観点考えていただきたいということをむしろ私からお願いするわけであります。これは私は来週中にはきめて提案申し上げて、御審議願いたいと思っていますが、どうぞその程度一つ御了承のほどをお願いしたいと思っております。
  17. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 ただいまの御質疑のうち、道路局に内部部局として二部を設置するという点につきまして私からお答え申し上げます。今回の設置法の改正につきまして、目下成案を得べく検討中でございますが、道路局の二部は管理部、建設部とも称すべきものを置きまして、管理部の方では道路に関しまする大体管理部門、それから建設部の方におきましては建設部門。さらに申し上げますならば、管理部におきましては予算の総括、道路整備計画の樹立、通路の行政理事務、高速道路有料道路というような、道路整備特別措置法の施行、こういうようなことをやるつもりでおります。建設部に当る方におきましては道路の新築、改築の工事の実施、維持の実施、これらの助成、監督、こういうような仕事をやるつもりでございまして、内部部局の二部に置きます課の名称等につきましては目下研究中でございまして、最終的に課の名称はきめておりませんが、大体今申し上げましたような仕組みによりまして管理部に三課、建設部に三課、合せまして六課。道路公団監理官室は第二部と離れて、別に一室を設ける予定で準備を進めております。
  18. 中島巖

    中島(巖)委員 新しくできる建設局の設置場所というようなことについては今大臣から御答弁がありました通りでありますけれど、水系別にやることが合理的である、これも一応うなずけるわけであります。そこで、これは自分の県のことを言うとおかしくなりますが、長野県は国の中央のような位置を占めておりまして、そうして中部にも関係があり、北陸にも関係があり、関東にも関係がある。これは電力会社も九電力会社のうち五つの電力会社が入って工事をやっておるというようなことで、全く支離滅裂なのです。鉄道でもその通りだと思う。名古屋に関係があり、静岡に関係があり、甲府監理局に関係があり、新潟監理局に関係があるというようなことで、まことに行政機構の繁雑なるところの代表的なものは長野県だ、こう私は言えると思うのです。そこで長野県の非常に心配していることは、現在のこの天竜水系、木曽川水系、いわゆる南信濃の方は中部建設局の所管になっておる。信濃川水系は現在関東地建の所管になっておる。そうして地元は関東地建の所管を希望いたしておるわけであります。わずかに信濃川の方は新潟県に入っておる。そこで大臣の水系別というような、そういうような理想論で公式通り押しつけるとすると、結局これは北陸地方建設局の所管になる、こういうことで非常に心配いたしておるわけであります。それから道路は関東地建でやる、こういうようなうわさも出ておるわけでありますけれど、これらに対してはもう少し、秘密主義ではなくて、すでにあなたの今の御答弁通り、来週には決定するのだというのだから、大体腹案があると思うのです。これはむしろ河川局長にお尋ねした方がいいかと思いますけれど、どういうような構想を持っておられますか。
  19. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは中島さん御指摘のように、長野県は、これは建設関係のみならず、非常に錯雑いたしております。今の鉄道関係もしかりであります。郵便関係もだいぶ違っております。それから今の私の方も違っておるという点で、まことにこれはある意味におきましては行政機構と他の出先官庁との管区との、最もこれは錯雑しておる典型的な場所であります。それだけ水系なりその他のものが複雑であるというためからきておるので、やむを得ないと思いますが、今回の建設省の出先機関との問題についてはこれは新たなる問題でなくて、従来の問題がそのまま引き継がれて出てきておるという格好になりますので、私も非常に心を配って考えておりますが、しかしこれはここで一々申し上げることも今適当ではないと思いますので、いずれ地方の事情について詳しい中島さんの意見を私もとくと承わりまして、今後の運営なりその他において十分に考慮いたしたいと思います。先ほど申し上げたように、どの地区はどこにつけるなんということはまだはっきりと成案を得てここで申し上げる段階でありませんので、ここで言って、またいろいろあなた方の御意見を聞いて変更したりすると、かえってまたこれは権威なきことにもなりますので、その点は考慮の余地を残して、最終的にきめるまでには十分に検討いたしたいと思いますから、その問題については後ほどゆっくり御意見を拝聴さしていただければ幸いだと思います。
  20. 中島巖

    中島(巖)委員 長野県の特殊事情、それから信濃川水系が新潟県に一部入っているけれども、この河川状況から見ると、私の考えとしては関東地建で適当である、それから国道の管理も関東地建で適当である、こういうように考えておるわけであります。いずれこれらにつきましてはそれぞれ委員会において申し上げたいと思いますが、どうも根本さんも庶民的な方だというように一般に言われておるのですが、大臣になると官僚的なにおいが出てきて、はなはだ遺憾であります。  そこで提出法案といたしまして、三の道路整備緊急措置法案、これが二月の下旬ころ提出される、こういうように伺っておるわけであります。そこでこの道路整備緊急措置法案、これは多分この道路整備費の財源等に関する臨時措置法を廃止いたしまして、新たに道路整備緊急措置法案が提案されるのだというように解釈していいのであるか。それから、さらに本年は特別会計を設置いたしたわけでありましてこの法案と同時に特別会計の法案が提出されるべきものだというように考えておるのであるが、これはあるいは大蔵委員会の方に回っておるのであるか、建設委員会の方にはこれははかられなくてもいいというお考えであるのかどうかこの点を一つ明らかにしていただきたい。
  21. 根本龍太郎

    根本国務大臣 道路整備に関する法律案は、私どもは実は十四日までには成案を得て上程したいと思っておったわけです。ところが、御承知のようにこの法律案には大蔵省と自治庁が非常に関係がございまして、おのおの意見がございまして、まだ意見調整ができていないために若干おくれております。これは二十日までにはぜひやりたいと思っています。そちらの方にいっているのには、二十日以降になるようなことになっているのでありますが、これは少しおくれている、なるべく早く軍務局同士の意見調整をはかって、もし事務局だけで意見調整ができなければ、閣僚同士でも一つやって、早くこれを出すべきである。建設省案としては一応できておりますが、関係省との意見調整がまだ若干おくれているような状況でありますので、これは促進いたしたいと思っております。  それから道路整備特別会計法案につきましては、これは御承知のように大蔵省から大蔵委員会に出されるのが常例であります。しかしこれに関連して、合同審査なり何かでやられるということはあるかと思いますが、提案されるのは大蔵省から出されるわけであります。しかしその内容については、実質上われわれの方が最も重大な関係がございますので、これについてもただいま大蔵省と事務折衝中でございまして、大体のところはできておりますが、二、三の点でまだ意見調整ができていない、こういう状況でございます。
  22. 中島巖

    中島(巖)委員 この道路整備費の財源等に関する臨時措置法におきまして、道路法で規定されているところの、これはたしか第三条だと思いましたが、一級国道、二級国道、並びに重要府県道なんかに対するところの負担率が、この措置法によって高率補助になっているわけであります。もしこの法律を廃止いたしまして、新たに道路整備緊急措置法案が成立するといたしますれば、これらの補助率なんかの関係はこのまま据え置くのであるか、あるいは並行する考えであるか。これは官房長もしくは道路局長でよろしいのですが、お答え願いたいと思います。
  23. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 お話通り、新しい道路整備緊急措置法案におきましては、従来の財源等に関する臨時措置法を廃止いたしまして、それにかわる新しい五カ年計画を実施する法律を御提案申し上げたいと思っております。なおその中で、確かに今のお話通り、高率補助をいたしております規定をどうするかという問題がございますが、これにつきましては、黙っておれば来年で切れるわけであります。それを今回新しく法律を出しますに当りまして、今後これをずっと新しい法律で高率補助を続けるようなことを今年決するか、あるいは経過的に従前の法律を生かしておきまして、今年は問題なく高率補助にいたしまして、明年地方財政の関係を勘案いたしまして、いわゆる臨時特例等その他の補助問題を一括いたしまして明年の問題にいたしますか、その辺が、ただいま大臣からお答えがありましたように、大蔵省、自治庁間におきましても若干意見調整を要する点が残っている問題でございます。まだ決定いたしておりません。
  24. 中島巖

    中島(巖)委員 それでこの道路整備十カ年計画というものを政府は強く打ち出して、自分でも相当喧伝されて、さらにまた各都道府県に対しましてもそれらの資料を提出させて、十カ年計画の策定を全国都道府県を通じて昨年の八月ごろに急いでおったわけであります。これに対しまして関係庁は、十カ年計画道路整備をその地方のものは盛り込もうということで、非常な運動を続けておった。ところが最近に至りまして、政府は突如として道路整備五カ年計画に切りかえたわけであります。そこでさきの十カ年計画と五カ年計画との調整ということが非常な問題になるわけだと思います。たとえば十カ年計画に自分の方の道路は編入できるという見通しが、五カ年計画になると量が半分になるから、半分は五カ年計画から落すというような、実際問題としてこういう幾多の問題が出てくるわけであります。そこで十カ年計画をどういうわけで五カ年計画に切りかえたのであるかというのが一点、それから前の十カ年計画と五カ年計画との調整をどういうふうにつける考えであるか、この二つの点についてお伺いいたしたいと思います。
  25. 根本龍太郎

    根本国務大臣 道路十カ年計画は、これは決して放棄したのではありません。その通り推進するつもりでおります。当初道路十カ年計画を作った場合におきましても、実施についてはどうしてもこれは五カ年に分けて、前期五カ年、後期五カ年としてやらなければならないだろうと思っておりました。ところで中島さんも御承知のように、現在の政府の長期経済計画が全部五カ年計画で進んでいっているわけであります。これと調子を合せまして、それで今回の道路整備五カ年計画を策定したのでありますが、その根底は建設省が考え道路十カ年計画の前期五カ年でございます。従って、その間においては完全なる一体性をなしているのであります。大蔵省としては、端的に言うならば、五カ年やったならば、あとその次にまた見てやったらいいじゃないかという見解を強く持っていることは事実でございます。しかしながらわれわれの方としては、閣議決定は五カ年計画でございますけれども、党においても総理においても、私が提示しましたところの道路十カ年計区画を基本として、それに基く五カ年計画でありますから、その点については認識を同じゅうしているわけでございまして、従いまして地方に対して要請したところの道路十カ年計画のあれは、今後の実施に当って十分にこれは研究資料として実施いたして参りたいと思っております。そして今回の道路五カ年計画に基いて、そのうちどの部分からやるかということはこれは今後調整していかなければならぬ問題でございますが、前期五カ年計画でとらないものはそのまま無視していくというような考えは全然持っていないわけでございます。
  26. 薩摩雄次

    ○薩摩委員 関連して。今の建設大臣の話では、道路十カ年計画に入ると予定した分の、その十カ年計画の中の初めの五カ年分をやるんだ、こういうお話でしたが、初めに十カ年計画にしたものを五カ年にやろうというのと違うんですか。初めに十カ年計画したものを五カ年に完成するという意味と、今の大臣お話では、初めに十カ年に計画した分のうちの五カ年の分を五カ年計画でやるんだ、この二つは大きな違いですが、この点、一つはっきりしていただきたいと思います。
  27. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま私が申し上げたのは、若干不明確の点があったと思います。実は十カ年計画におきましては、一級国道で例をとりますれば、一級国道を十カ年でやるということでありましたが、今回の五カ年計圃におきますると、むしろ一級国道についてはスピード・アップしております。端的に申しますれば、五カ年間で一級国道全部をやるということまでいっておりません。十カ年でやることを大体七カ年くらいで一級国道は完成するというような事業量の振り当てになるわけであります。しかしながらラウンド。ナンバーで申しますれば、十カ年計画のうちの大体五カ年計画分を今度の五カ年計画で策定していく、内容的に言うならば、一級国道については五カ年で七割程度いく、他の言葉で区言えば、七年間で一級国道の十カ年分はやってしまう、こういうふうな内容になっておるわけでございます。総合的に申しますれば、主要地方道、それから一級国道、二級国道、全部合していきますれば十カ年で完成する、こういうふうな構想になっているわけでございます。
  28. 中島巖

    中島(巖)委員 そういたしますと、今の大臣答弁をお聞きすると、道路整備十カ年計画に変りはないんだ、他のいろいろな国の経済施策が正方年計画になっておるから五カ年計画にマッチしたんだ、従って道路整備に対しては第一期五カ年計画、第二期五ヶ年計画というものを通じて、十カ年計画に実質においては変りはないんだ、こういうような答弁のように伺ったのですが、そう了承してよろしいですか。
  29. 根本龍太郎

    根本国務大臣 建設省としてはそういうふうな計画のもとにやっておるわけです。ただし道路整備十カ年計画として閣議決定しているわけではございません。今度閣議決定いたしまするのは、そのうちの五カ年計画になっているわけであります。というのは、これは御承知のように五カ年計画という場合には、いつでもそういうふうに現実に予算化し、計画化したものだけをやっていくのであります。しかしその点は党においても、総理も、私も、それだけ確信を持ってやっておるわけでありますから、これは御信頼していただければ幸いと存じます。
  30. 中島巖

    中島(巖)委員 説明の要旨はわかりましたが、その経済政策を五カ年計画でやっておることは、何もきょう始まったものではなくて、前からわかっておったことだ、そういうことなら最初から五カ年計画で樹立されたらどうか、こういうように考えるわけですが、それらに対する御答弁をいただいてもむだでありますので、質問を省くことにいたします。  そこで、これは道路局長でけっこうでありますが、道路整備五カ年計画はかっての道路整備五カ年計画のように、それぞれ個所別までつけて策定しておるのであるかどうか、この点道路局長にお伺いしたいと思います。
  31. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 今度きめます新しい五カ年計画につきましては、ただいま関係各省ともその内容につきまして打ち合せをいたしておるわけでありますが、大体の考え方は前と同様に、道路の種類ごとの事業量を閣議決定をしていただくことになろうかと考えております。しかし前の五カ年計画につきましても、その事業量を決定いたしますためには多少、適宜積み上げまして、それによって総体の事業量を出したのでございますが、この今度の新しい五カ年計画につきましても同様の手続をとりたいと考えております。
  32. 中島巖

    中島(巖)委員 そこでお尋ねしたい一点は先はどの大臣答弁、それからこの前の前田委員からの質問に対する答弁などから総合いたしまして、最初道路整備十カ年計画は総予算一兆九千億、そのうち五千億が有料道路というようなことを伺っており新たなる五カ年計画におきましては、先ほど大臣から九千億、そのうちに地方道関係が一千九百億、それから有料道路関係が一千五百億、こういう内訳をお伺いしたわけであります。それからただいま富樫道路局長は、大体事業量は閣議決定を願い、それから、かつての五カ年計画には相当こまかいところの個所別まで各省間で意見調整をして決定いたしている、こういうような実情から見まして、有料道路の問題でありますが、千五百億のうち小牧—神戸間に対しましては七百九十億の予算が要るわけであります。昨年度三十何億か入っておりまして、それだけ引けて、七百数十億要るわけでありますが、あとの七百数十億に対して、有料道路関係において、どこにそれを投ずるかというような立案ができておるのかどうか、この点を一つ伺いいたしたい。
  33. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 五カ年計画におきまして、有料道路に千五百億を考えているわけでございますが、この中で小牧から西宮間は完成するように考えております。それから現在継続しておりますのを完成させますのと、三十三年度から新たに着手するものがございますが、これもこの五カ年計画では完成するように考えております。ただ問題は東京から名古屋、いわゆる中央自動車道、これをどう考えるかということでございますが、私どもはこれの一部に着工いたしたいと考えております。ただどれだけの金が要るかということは、調査の結果を待たなければわかりませんので、その分につきましては今後調査を確定いたしまして金額も確定いたしたいと考えております。
  34. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいまの局長の答弁で大体全貌がわかったのですが、すなわち七百数十億が神戸—小牧間に要ることはわかっている、そのあとの七百数十億の一部をもって東京—小牧間に着手したいという考えである、しかし現在調査中で、どれだけの所要工事費がかかるかわからぬ、こういうような御説明でありました。そこで一部には、東京—小牧間は東海道線を着手するのだ、あるいは国会ですでに決定いたしました国土開発縦貫自動車建設法によるところの中央自動車道を着工するのであるというような風説があるのでありますが、ただいま局長の答弁の、東京—小牧間は東海道を予定して言っているのであるか、あるいは中央道を予定して言っているのであるか、その点をはっきり言っていただきたい。
  35. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 先ほど申し上げましたのは、中央道を予定して申し上げたわけでございますが、中央道につきましては先ほど御説明いたしましたように、まだ調査が完了いたしておりません。三十三年度において調査を継続して実施する考えでございますが、計画といたしましては、中央道に従って着工を予定いたしているわけでございます。
  36. 中島巖

    中島(巖)委員 中央道の問題などについては、また後刻道路公団の関係に対する質問において詳しく政府の御見解を承わりたい、かように考えるわけであります。  次に四といたしまして、道路法の一部を改正する法律案を本下旬に上程する、こういう予定になっておるわけであります。この改正の要点は、一級国道の管理は原則として建設大臣が行うこととする、こういうことになっておるわけであります。これは昨年来問題になっておりまして、われわれもこれに対しては大いに賛成しておったわけであります。しかしながら、現在建設省といたしましては、傍系団体ともいうべきところの道路公団あり、しかもそれが非常に手不足しておる。現在の建設省といたしましても、この有料道路関係高速自動車道関係などの関係で、手不足のようにお見受けするのでありますが、一級国道といたしましても、全国で九千キロからあるわけであります。従ってこの九千キロを、本年度から直ちに建設省の管理に移すのであるか、あるいは一部分を移して、徐々に一級国道建設省の管理へ持っていくのであるか、この点がわれわれとしては疑問で、この構想に対しては賛成であるけれども、一挙に持っていくということは、現在の人員構成から見て困難である、こういうように考えるわけでありますが、これに対して具体的な方針を承わりたいと思うわけであります。
  37. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 道路法の一部を改正する法律案を提案いたしたい考えでございますが、これにつきましては先ほど大臣からお話のありました通り状況でございます。まだ成案を得るに至っておらぬわけであります。私どもといたしましては、原則として、一級国道につきましては建設大臣が管理することにいたしたいと考えておりますが、来年度予算におきましては、管理する区間は千五百キロ認められておるわけでございます。従いまして、全面的に一級国道建設大臣が管理するというわけにはいきませんので、経過的には従来方式をとっていかなければならぬかと考えておりますが、原則は建設大臣が一級国道につきましては管理することにいたしたいということで、今関係各省と折衝中でございます。
  38. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいま局長の答弁によりまして、現在の一級国道九千キロのうち、本年度は千五百キロ程度建設大臣が管理する、こういうお考えであることを伺ったわけであります。そこで、業界のことはあまり深く考える必要はないだろうと思うのでありますが、直轄河川なんかは、ほとんど国の直轄工事を地方の建設局で行なっておるわけであります。この一級国道を国の直轄管理にすると、直轄工事で施行する考えであるのか、あるいは請負に出すお考えであるのか、この点も一つ伺いいたしたいのであります。それから、従来一級国道といえども、補修費は地方公共団体が負担をいたしておったのでありますが、これらの関係はどうなるか、この二つの点をお伺いしたいと思います。
  39. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 先ほど御説明申し上げました中で、ちょっと言葉が足りなかったのでございますが、この管理の内容には、新設、改築、修繕、維持その他の関係があるわけであります。新設、改築につきましては、これは全面的に建設大臣が管理いたしまして、直轄で工事をいたしたいと考えておりますが、しかし三十三年度につきましては、三十二年度から継続されるものがございますので、一部やむを得ないと思いますが、新設、改築につきましては、さように考えております。それから維持、修繕につきましては、三十三年度におきましては千五百キロ程度考えておるわけでございます。
  40. 中島巖

    中島(巖)委員 さらに、具体的になるわけですが、ここに補修費の関係が非常に問題になると思うのです。これは説明していただきたいと思いますが、おそらく本年度管理するところの千五百キロというものは、東海道線であるとか、従来一級国道の中でも超重要な国道を管理されると思うのです。そしてこれらの国道のついておる県は、大体富裕県である。そこの補修費は建設省が出して、山の中の道の悪い一級国道は県が負担するというような、ここに矛盾が生じてくるわけであるが、その間、地方公共団体の管理するものでも、補修費は国の方で応分の負担をするというようなことができるかどうか、この二つの点をお伺いしたいと思うわけであります。
  41. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 千五百キロの選び方につきましては、お話のように東京、大阪とか、その他交通が非常に多くて、維持の困難な所を選びたいと考えておりますが、まだ具体的には決定いたしておりません。この区間につきましては、三十三年度におきましては、国が三分の一を持ち、地方が三分の二を負担するわけでございますが、その他の一級国道の管理は、都道府県知事に委任されるわけでございますが、これに対する補修費は、従来と同様な考えで、補助もいたす考えでございます。ただ維持につきましては、これは補助を考えておりません。
  42. 中島巖

    中島(巖)委員 こまかいことは、またあとでお伺いすることにいたしまして、この道路公団法の一部を改正する法律案、これは公団の外債に対して国が保証する、こういうことでありますので、法案そのものに対しての説明は要らないのでありますが、問題になりますのは、本年度の道路公団の予算の中に、外資四十六億というものが計上してある。この四十六億は希望的観測であって、まだ話は成立せぬのだ、そうして現在世界銀行との間に公団で話を進めておるというようなことを伺っておるわけです。もちろんこれは一々建設大臣の指示によってやっておることと思うのでありますが、外資導入に対する現在の段階はどういうことになっておるか、見通しはどうであるか、建設大臣伺いたいと思います。
  43. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般世界銀行の極東部次長のカーギルという人も参りました。なおまた引き続いて、技術屋の諸君が数名参りまして、現地について、特に名古屋—神戸間の現地をずっと見て、いろいろ意見を交換しておるようであります。その印象から見ますれば、日本道路が非常におくれており、このために投資するということは必要である、こういう前提条件は認めておるようであります。ただこれについて、現在の政府と申しますか、公団で持っておる計画については、いろいろの疑問と質問を発しておるようです。というのは、少し規格が高いじゃないか、もっと低い規格でいいじゃないか、端的に言うならば、時速百二十キロとか百十キロといわなくても、百キロ程度のことでいいじゃないか、そうすればもう少し規格を落していいじゃないか、それだけまた経費が安くなるじゃないかと、いろいろの意見を出しておるようであります。しかし現実に、調査の上結論を出すのは本年の十二月ごろ——従来の世界銀行の貸出しの経験からすればそれくらいになるだろう、従って三十一二年早々ではなかなか困難ではないか、三十三年度のすっと後期か、そこらにならなければ、実際上の借款に応ずるという手続はできないのじゃないかというようなことでありますが、借款には応ずるという大体の態勢はわれわれも看取できる、かように報告を聞いておるのであります。
  44. 中島巖

    中島(巖)委員 そうしますと、四十六億をここへ計上してあるのでありますから、ただいま建設大臣の御答弁にもありましたように、これは政府としては必ず外資の導入ができる、こういう見込みで計上されたものと推測するのであります。しかし現実に申し込まれた額はどのくらいの額であるかということをお聞かせ願いたいのであります。  それから第一の問題としまして、こまかいことはあとで道路公団のときにお伺いするつもりでありますけれども、有料道路に対する、たとえば縦貫道路を初めとする有料道路に対する政府の基本的の方針をお伺いしたいのであります。結局有料道路であるから全額有料で、財政投融資もしくは外資でやらねばならぬ、一般道路であるから全部公共事業でやらねばならぬ、こういう理屈は成り立たぬと思う。有料道路であろうと、たとえば国土開発縦貫道路であろうと、中央道であろうと、産業開発とかいろいろの意味をかねておる。従って、たとえば一千億の工事費のかかるものなら、そのうちの半額とか三分の一というものを公共事業と申しますか、政府の一般会計から繰り入れるべきが当然だと思う。それで外資導入の場合なんかにおきましても、この道路は幾らの工事費がかかる、交通事情はどうなる、経済開発はどうなるといっても、結局外資は払わなければならぬ金であるから、支払いが可能でなければならぬ。従って、そのペイするかせぬかということが問題になって、全額融資ないしは外資の導入では非常に困難を来たす。また理論的にも、道路公団とすれば、全額融資や外資でやらねばならぬ、それから一般予算からは入らぬ、こういう理屈はないと思う。ただ、この道路整備がおくれておるから、一つの方法としてそういう方法をとっておるだけであります。従って、つまり一般予算を相当量これは投入すべき性質のものである。投入する額は幾らかというようなことは別問題として、これに対する大臣のお考えを、今後の高速自動車道建設の上に非常な基本的な問題であり、さらに外資導入なんかの、ペイするかどうかという問題に重要な問題でありますので、御所見を承わりたい。
  45. 根本龍太郎

    根本国務大臣 中島さんの御意見一つの見方だと思っております。ところが御承知のように、公団はどこまでも独立採算でやるという原則に立っておるわけであります。しかし過渡的には、かつて府県でやったものを引き受けたりして、当然赤字になるものも含まれておりましたので、これに対しては補助金制度を作ってやっておった。ところがその後いろいろと関係省と打ち合せの結果、道路公団でやる有料道路は原則として採算のとれるところ、採算のとれないところで、どうしても必要なところは本格的に公共事業でやるべきだ、こういうように割り切っていかないと、御承知のように、料金問題で非常に政治的な紛争を来たすわけであります。かえって混乱が出てくる。そこで、以前は有料道路事業量を二千億とか二千五百億というようにいっておったのを、採算のとれるというところに限界を置いてしまう。採算のとれないところは有料道路としてはやらない。そのかわり一般道路としてやるべきだというふうに截然としないと、かえって事業量を多くするということのためにとらわれて、あとの経理並びに運用上困るということで、先ほどお話したように、たとえば縦貫自動車道路についても、これは全部有料道路でやるべきものだということにはならないと私は思います。むしろ採算のとれない、しかも緊急の必要のあるところでは公共事業としてやるというくらいに踏み切っていかないと、かえって困難性が出てくるのじゃないかと考えております。従いまして現在のところでは、今までのように補助金を道路公団に出すということはやめて、出資をする。政府出資はしていきますが、その有料道路については、どこまでも採算をちゃんととっていくという形で進んでいきたいと考えておる次第であります。
  46. 三鍋義三

    ○三鍋委員 議事進行。中島委員質問はなお継続の予定でございますが、時間の関係上ここが一度休憩しまして、午後続行されるようにお取り計らい願いたいと思います。
  47. 西村直己

    西村委員長 お諮りいたします。三鍋理事からただいまのような御提案がございましたが、ここで暫時休憩いたして、午後一時から定刻に再開して、御協力願いたいと思いますが、いかがでしょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 西村直己

    西村委員長 暫時休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ————◇—————     午後一時十六分開議
  49. 西村直己

    西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。中島巖君。
  50. 中島巖

    中島(巖)委員 実は先ほど委員長からお話がありまして、この間の河川局長に対する質問が保留になっておりましたが、御答弁の御用意ができたそうでありますから、それをお伺いいたしたいと思います。
  51. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 この前の委員会におきまして中島先生から御質問がございまして、私もまことに不都合いたしまして申しわけありません。その件につきまして、大体そのときの御趣旨は訴願と訴訟との問題につきましての河川法と行政事件の特例法との関係ということと、それから訴願を受けた場合の行政上の取扱いという点がおもなる問題だというふうに私は思っておりますが、その点につきまして、間違うといけませんものですから、次長から答弁させます。
  52. 関盛吉雄

    関盛説明員 ただいま申し上げました河川法上の訴願なりあるいは訴訟なりと行政事件訴訟特例法との関係はどうであるか、こういうことについてお答えを申し上げたいと思います。河川法によりますと、主務大臣または知事の違法処分によりまして権利を毀損せられたりとするものは、行政訴訟というものを提起できることになっておる建前でございます。従ってこのケースにつきましては、訴願は認められない、こういうことになっております。一方、この行政事件訴訟特例法によりますと、その第二条におきまして、訴願が許されておる場合におきましては訴願の裁決を経なければ行政訴訟というものが提起できない、こういうことになっておること、いわゆる訴願前置主義をとっておるということであります。そこで、河川法と行政事件訴訟特例法とでは一見矛盾するような格好になっておるわけでございますが、法律関係は、一般法である行政事件訴訟特例法に対しまして、河川法が特別法の関係にありますので、河川法の規定が優先的に適用せられる。従って河川法の規定によりますと、権利毀損をせられましたものは行政訴訟を提起することのみができる、かような建前になっておる、こういうふうにお答え申し上げたいと思うのでございます。
  53. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいま河川局次長から御答弁がありましたが、確かに河川法の、五十九条、六十条は、行政事件訴訟特例法として、あなたの御答弁通りにうたってあるわけであります。しかしこれは質問いたしましても、非常に疑義のある問題であって、特例法が優先とあなたはおっしゃいましたけれども、結局河川法は明治三十年ごろできた法律であって、行政事件訴訟特例法の方は新憲法のもとに、行政裁判所を廃止して、そうして行政事件訴訟特例法で普通の裁判所がこれを取り扱うという趣旨になっている。従って現在高等裁判所の判例は両方の判例があるわけです。この新しい行政事件訴訟特例法に、いわゆるあなたのおっしゃった訴願前置主義でやらなければいけないという判決と、それからまたその特例法による判決と、両方あるわけです。最高裁の判決がまだない。従って現在の判例においては、まだきめ手がないというような状態だと聞いております。従って今次長なり局長なりの御答弁をいただいても、これはその通りに受け取るわけにはいかないと思うわけであります。しかし私の質問するところの本意は、現在すでに河川局に建設大臣あての訴願が幾つかたまっておる。その取扱いをどうするかという点に私の質問重点があるわけです。それで、この河川局長その他の答弁から推して、建設省として一貫した方針がないと思う。どちらでも一貫した方針があればいいのです。それで訴願してから、すでに十五カ月も十六カ月も受理したままになっておる。それで今次長のおっしゃるような一貫した方針建設省にあるとすれば、訴願は受理すべきものじゃない。これは直ちに行政訴訟を起さなければいかぬと返すべきである。それをあなた方が受理して十カ月なり十五カ月なりほうってある。そういうことでしょう。あなたのおっしゃるのは、河川法第五十九条、六十条が行政訴訟法に優先する、従ってこの特例で処理するのだ、かような御答弁であります。もしそうであるとしたならば、なぜ祈願を受理したか。これは私が申し上げるまでもないが、たしか行政事件訴訟特例法の第五条だと思いますけれども、知った日から六カ月以内にこれを提起しなければならぬということが五条にあるわけです。それを、訴願をあなたたちの方で受理して、一年もこれに判定を下さずにおいて、そうして五十九条、六十条が優先するということになれば、その間に訴願を受理してくれたのだからいいという安心でもって、訴願者はその間に、行政事件訴訟特例法第五条の、知った日から六カ月という期限を経過して、永久に行政訴訟ができぬ、こういう立場になってしまう。従ってその取扱いを、もし河川法の五十九条、六十条の、今次長の答弁のようなふうに堅持しておるとすれば、なぜ訴願を受理せずに、そのときにこれは行政訴訟を直ちに提起すべきものだといって却下をしないか、この点をお伺いするわけです。
  54. 関盛吉雄

    関盛説明員 ただいまの御質問は、訴願に対する建設省の取扱いはどうかということに関連いたしましての御質問でございますが、訴願の取扱いといたしましては、訴願人の願意から見まして、そのことが不当の行政庁の処分に対する是正を要求しておるものである、こういうふうに認められるものにつきましては、訴願の提起すべき期間のうちであった場合におきましてはまた特別の事情により提起期間が経過しておりましても宥恕すべき理由がありますときには、正当なる訴願として受理をいたしまして審査するというのが建設省の訴願に対する建前でございます。しかしながら訴願人の願意が、当該行政庁の処分が違法処分によって当該訴願人の権利が侵害せられたものである、かような形において出てきている場合におきましては、先ほど申し上げましたように権利侵害に対する訴訟として取り扱うべきものでありますから、これは却下すべきものとしていたしております。  今の第二点のお話の中には、当事者が河川法上の処分についても、あるいは行政事件訴訟特例法のような訴願前置主義が適用されるものである、かように考えておって訴願を提起したが、その裁決が行われないので、行政訴訟をやった。そういたしますと、いわゆる訴願前置が適用されない河川法のような場合に、出訴期間が経過した。そういうふうな事態が起るようなことになりはせぬかという御懸念の御質問がございましたが、この点は行政事件訴訟特例法でも、その第二条のただし書きにおきまして、訴願を提起いたしましてから三カ月を経過すれば訴願の裁決を経ないで訴訟を提起することになっておりますので、ただいま御指摘のような不都合な事態は起らないというふうに考えておるのでございます。
  55. 中島巖

    中島(巖)委員 それは違うんですよ。三カ月になれば、この行政事件訴訟特例法からいって、知った日から六カ月以内に行政訴訟を提起する権利というか、提起できるのである。あなたの方で訴願を受けつけておいて、黙って十カ月も十五カ月も審査に日をとった場合においては、知った日から六カ月以内という行政事件訴訟特例法の期限が切れる期日が規定してある。従って訴願を受理して、その訴願した片方の訴願人は、前置主義のような考えで待っておったときに、六カ月以上経過したら行政訴訟ができぬようになってしまう。従ってあなたの方で訴願を受理せずに、直ちに行政訴訟を起すことができる、そうして行政訴訟の提起を許したる場合は訴願することを得ずと、河川法の五十九条、第六十条にはっきりうたってあるのだから、それを受理したときに、これは受理すべきものではないのだ、行政事件訴訟特例法によって訴訟を提起すべきものだといって却下すべきものだと思うのですが、その辺の御見解はどうなんですか。
  56. 関盛吉雄

    関盛説明員 ただいまのお話は、私がさきに申しましたように、訴願は不当の処分に対する是正の形で裁決を求めるわけでございます。また同時に行政訴訟の方でいきます場合には、これは違法の処分に対する主張でございますので、はっきり二つの主張の立て方でもって訴訟、訴願の形式が分れております。従って訴願の受理に対する建設省の態度はどうかといわれました場合においては、その訴願人の願意が、先ほど申しましたように、訴願人が違法処分によって権利を毀損せられた、かように主張しておる場合でない限りは、不当な行政庁の処分に対する許可の変更等を要求いたしておる場合においては、これはその他の形式的要件を具備しておりますれば、訴願として受理をいたす、それを審査をいたしまして適当な裁決をいたす、こういうことを申し上げたのでございます。
  57. 中島巖

    中島(巖)委員 そうしますと、あなたの答弁からいうと、違法と不当との差によって訴願の取扱いを区別している、こういうことに解釈できるのですが、違法と不当との違いを、あなたはどういうふうにつけておられるのですか。
  58. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 この訴願の場合におきましては、訴願人の願意からまず判断をするということを申し上げております。
  59. 中島巖

    中島(巖)委員 きょうはこの問題について質問するつもりではなかったから、この辺で打ち切っておきますが、違法といい、不当といい、そこにどういう違いがあるかということが問題になってくる。これについては他日あらためて質問いたしたいと思いますが、結局河川局もしくは建設省の答弁は、不当の問題と違法の問題、これによって訴願を受理したり却下する、こういうお答えであったように了解いたしておきます。  そこで、午前の質問に引き続きまして質問いたしたいと思います。先ほど御質問いたしましたら建設大臣は、有料道路は公団に、一般道路建設省にという建前のお話がありましたが、この見解については、私は遺憾ながら建設大臣とは意見を異にいたしておるのであります。これは後刻道路公団関係質問の際に、詳しく私の意見を申し上げたり、さらにあらためて建設大臣の御意見をお伺いいたしたい、かように考えるわけであります。  そこで次の質問は、予定法案の第八であります。これは計画関係かと思いますけれども、下水道法を全面的に改正する、こういう趣旨であります。これは、下水道関係は昨年度でありますか、上水道、下水道の所管が今まではっきりいたしておりませんのを、それぞれ所管の官庁がはっきりいたし、さらに下水道はたしか明治三十年ごろの法律をそのまま——途中で一度修正いたしましたが、そういうものでありまして、確かにこの下水道法は、根本的に改正せねばならぬという時期に到達いたしておる、私もかように考えておるわけであります。建設行政のうち、道路などは飛躍的な改修をしなければならぬということと同時に、下水道が現在の建設行政のうちの一番の盲点ではないかと考え、さっきもこれに対して質問をいたしたわけでありますが、下水道が公共土木施設であるかどうかということが、下水道法、あるいは次に出ておる公共土木施設の災害復旧費国庫負担法などにも関連する問題だと思います。そこで下水道に対する改正をめぐりまして、根本的の下水道に対するお考え、それから今までの下水道に対する補助は国の財政処置によって行なっておるものでありまして、法律によって行なっておったのではないのでありますが、これらに対して、新しい下水道法案について、どういうお考えが盛られておるか、この点を大臣もしくは計画局長からお伺いしたいと思います。
  60. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘通り、わが国の下水道に関するところの措置が非常におくれておりまして、おそらく近代国家に値しないといわれるほどの極端な悪い状況でございます。これは特に戦後いろいろと都市改造が行われるに当りましても取り上げられた問題でございます。何しろ急激に膨張する都市人口の整備に当りまして、多くの金がかかるために、みんなこれが置き去りになってきておる。かように考えまして、三十三年度においてはぜひとも都市計画のうち、下水道の整備について重点を置きたい、かように考えまして、実はこれについては今御指摘のように、一般公共事業費として自治体がやる場合において、当然政府が補助してしかるべきだという考えも強く持ってきておるのでありますが、一面におきましては都市における屎尿処理等、すべて相当の受益者負担でやっておる部面もあるのであります。それらも勘案して、全部が全部公共事業として国で施設をしてやるというわけにもいきませんし、財政上にも限度があり、しかも一面においては、できるだけ事業量を増すという観点から、補助をしつつ、一部においては、その都市の状況によっては受益者負担の形において推進していくというような、総合的なといいますか、両方合せた形において事業量も増したいと考えておる次第であります。下水道法の改正の内容については、計画局長から説明いたさせたいと存じます。
  61. 町田稔

    ○町田政府委員 下水道法の全面的な改正につきましては、現在案を検討中でございまして、各省とも内容等について協議をいたしておりますが、法案の中にわれわれが規定をいたしたいと思っております事項のおもなものは、下水道敷設計画調整、下水道供用の確保等、下水道の設置及び管理に関して必正な規定を整備いたしますことと、また下水道の使用料、工事の受益者負担金、それから国からの助成等に関する下水道の整備資金についての規定を明確に設けたいというように考えております。なお公共用水の水質汚濁の問題が大へんやかましくなっておりまして、これと下水道とが関連する部面もございますので、それに関連する規定をも設けまして、御指摘のように現行法は大へん古い法律でありますから、それを時代に適した内容を持った下水道法にいたしたいと検討いたしております。
  62. 中島巖

    中島(巖)委員 この下水道の立ちおくれておることは、これは大臣も認めるところでありますが、下水道の立ちおくれておる理由は、財源措置がどこでもできないために、先ほど大臣からお話のあった通りおくれておる。それで上水道の方は、これは公共企業といたしまして収入のあることもはっきりとわかっておりますので、自治庁なんかも相当大幅の起債、ほとんど全額近いところの起債をする。ところが下水道の方は、そういうような償還財源がございませんから、起債をせぬ。つまり国から国庫負担、補助もないし、起債も認めないということが、下水道のおくれておる最大の原因であるのです。従いまして、どんないい法案を作っても、その処置をうたい込まなかったら画竜点睛を欠くというもので、つまり魂が入らぬわけであります。何とか下水道に対して、国庫負担をするような方途を考えておられるのか。あるいはそういうようなことを大蔵省と折衝されたことがあるのか。それから自治庁との間で、起債関係なんかについてお話し願ったことがあるのか。どうかそれから今まで国の財政処置によりまして、その都度いろいろな下水道補助を出しておりましたが、本年度の下水道補助はどの程度に出す予定があるのか。予算面から見れば非常に小さいものだが、その点だけ具体的にお答え願いたいと思うのであります。
  63. 根本龍太郎

    根本国務大臣 下水道が非常におくれておるというのは、要するにそれに必要なる資金の確保ができないということが最大の原因であることは、御指摘通りであります。そこで本年度の予算編成に当りましては、実は相当多額の補助を支給するために予算要求をしたのでありまするが、残念ながらこれは認められません。しかしこの下水道事業の必要性については、大蔵省も自治庁も認められまして、それで起債のワクは相当大幅に認めるということになったのでありまするが、自治庁に与えた起債の全体のワクはあまり大きくしないで、その中で重点的に下水をやれというような言い方でありましたために、従来よりは相当ふえたようでありますけれども、われわれが期待するところまではまだいっておらぬというのが現状でございます。そこで、本年度の予算においては、国庫補助の額があまり大きくありませんけれども、漸次これは広めていきたいと思いまして、実は三十三年度予算折衝に当りましても、これは最後まで懸案というか、折衝の重点として論戦を戦わされたものでございます。そのときに当って、どうしても急激にこういうふうにやることは非常に困難であるということで、起債のワクの増額によって一応幕を閉じたというようないきさつになっておるのであります。具体的な計数の問題については局長から答弁いたさせます。
  64. 町田稔

    ○町田政府委員 下水道の事業費関係について申し上げます。国費といたしましては、三十三年度は六億五千二百万円が予算案に計上をされておるわけでありまして、これは三十二年度の五億五千万円と比べますと、一億余の増加になっております。補助金の額は比較的増加額が少なかったのでございますが、ただいま大臣のお答えになりましたように、大蔵省では自治庁の単独事業に対する起債のワクの中に、従来と比べると非常に大幅の額を下水分としてつけてやるということでございます。現在その額の決定につきまして、建設省と自治庁と折衝をいたしております。建設省といたしましては、少くとも三十八億は建設省分の下水道に起債ワクを認めてもらいたいという申し入れをいたしております。それ以外に、厚生省の屎尿処理の分につきましても、起債のワクを認めてもらう必要があるわけでございますが、建設省のワクといたしましては、三十八億を要求いたしております。これでわれわれは今後自治庁とも十分折衝いたして参る必要がございますが、国費と起債と合わせて、少くとも三十三年度は四十億以上にはなるという見通しを立てておるのでありまして、昨年は起債が十四億でございましたから、国費の五億五千万を合せますと、十九億五千万になります。四十億となりますと、昨年よりは約倍の国費、起債が認められることになるわけでございます。なお下水道事業はこれ以外に、従来から各市町村におきまして、自己資金をもちまして事業をやっておりました。昨年度はこの自己資金の分が十五億ございました。国費、起債と自己資金とを合わせますと、昨年下水道事業に使用せられました事業費総額は三十五億になっておりますが、本年度は国費、起債、それから自己資金二十億等を一応予定いたしまするならば、総事業費六十億の下水道事業ができるということになるわけでございまして、一応は従来の約二倍の下水道事業が施行せられるというように私は考えております。
  65. 中島巖

    中島(巖)委員 こまかい質問はまた他日の委員会に譲ることにいたしますが、これはぜひ何とか国の財政処置によらずして、法律でもって下水道の補助を決定するようなふうに、根本建設大臣の御在任中に御努力願いたいということを希望いたしておきます。  それから九の、公共土木施設の災害復旧事業費国庫負担法を改正する法律案でありますが、これを見ると、災害復旧に改良工事を行う分を非常に広くするということと、それから一カ所の工事とみなされる場合の基準を拡張するということと、それから下水道の災害復旧を公共土木施設の災害復旧事業費国庫負担法において行うというような三点が要点のようであります。そこで具体的にお伺いいたしますのは、災害復旧の改良事業と申しますか、助成事業と申しますか、関連事業と申しますか、これでありますが、本年は九州その他の災害によって、たしか十一ほど助成事業建設省としてはもくろんで、大蔵省と折衝されておったようでありますが、その結果はどうなったか。それからこの法案の内容はどういうものであるか。それから二といたしまして、たしか二十メートル以内のものを一カ所の場所というように——数字はここにありますが、よく見ておりませんけれども、農地の災害復旧に対しては五十メートルを一カ所とみなすと、こういうふうになっていたように考えますが、これをどの程度の範囲に拡張される考えであるか。この二つの点を河川局長にお伺いしたいと思います。
  66. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 まず最初に、昨年度の災害のひどかった個所につきまして、改良、復旧を加味いたしました災害復旧を要求したが、その結果はどうなったかということでございます。お説の通り、九州方面及び中部日本、長野県、岐阜県等にわたりまして、ひどい災害を受けた河川がございますので、これらにつきまして一定の改修計画を立てまして、災害復旧と改良とを加味いたしまして事業を施行いたしたいということで、十一本の河川を予定いたしましたが、三十三年度におきましてはいずれもそういう建前でやるという方針でおります。  それから、次は法案の内容でございますが、これにつきましては、建設省がここに掲げてあるような趣旨をもって大蔵省と折衝中でございます。内容といたしましては、災害復旧工事として改良的工事を行い得る範囲を拡張しようというのが第一点でございまして、法案には、災害復旧が原形に復旧することは著しく困難であるとか、あるいはまた不適当な場合のみ、違ったところに改良的の仕事ができるという規定になっております。そういう規定に基きまして、たとえば木橋がありまして、それが十年間に三回くらい流れないと永久橋にしないというふうなことで査定をいたしております。そういう点にかんがみまして、この著しくというようなことはとってしまって、困難またはと不適当だということにいたしまして、改良復旧のできる範囲を広げたい、具体的に申し上げますと、たとえば災害を受けた堤防があります。ところが前後は改良されておりまして、その部分だけが弱くて災害を受けておるというようなところがございます。そういうときには、その復旧に当りましては、前後と同じ程度の強さまでは災害復旧でできるようにしたいというふうな点が内容でございまして、それを元通りに復旧したのでは非常に不適当であるというふうな考えから、災害でやりたいというふうな趣旨でございます。  それから次は、一カ所の工事と見なされる場合の基準を拡張するということは、今お話にございましたように、現在の法律におきましては二十メートル以内にありまする災害は一カ所と見なして、その復旧費が、県の工事でありますると、十五万円以上になれば国庫負担の対象にする、市町村の工事であるならば十万円以上ならば対象にしようということに相なっておりますけれども、これを五十メートルに広げまして、それぞれの五十メートルの範囲にあるものを寄せ集めまして、それが今の十五万円あるいは十万円以上になりますと国庫負担の対象にしようというのが、この基準を拡張するということの内容でございます。  それから公共土木施設の範囲に下水道を加えようというのが、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案の内容でございまして、その他一般的の改良復旧事業につきましては、その次の十におきまして、災害関連事業を法定したいということに相なっておる次第でございます。
  67. 中島巖

    中島(巖)委員 前回の臨時国会におきまして、議員提案でこの適用除外、すなわちただいま河川局長からお話のありました県の十五万、それから村の十万の適用除外の率を七万円に引き下げろという法案を提出いたして、不幸にして審議未了になったわけでありますが、この基準を二十メートルを五十メートルに拡張するということでかなりその趣旨が満たされるわけで、これは全面的に賛成するところでありますが、そのほかにもう一つぜひ考慮していただきたいことは、これらのいわゆる単独災害もしくは小災害と呼ばれております十万円以下の災害が何十何百となく一ヵ村に重なることがあるわけです。それに対しまして何らの国庫負担並びに起債の方法がないわけなのです。この起債の方法はもちろん自治庁の関係でありますが、お話になっておると思いますけれども、一件の工事費が百万円以上というような規定があって押えられておるわけなんです。そこで私の申し上げることは、こういうような補助を出すということも、結局市町村の財政が苦しいからこういうような特別措置によって災害復旧工事をするというところにねらいのあることは変りがありません。そこで問題は、その市町村の財政規模いかんと、災害の額とのかね合いになってくるわけでありますが、そういうことをこの小災害に対しては考慮を払ってないわけであります。そこで私、例を申しますと、一ヵ村の財政収入が二千数百万あるところもあるし、わずかに六十万か七十万しか年間の標準税収入のない村もある。そのわずか七十万くらいしか標準税収入が一カ年にない村で、十万円以下のいわゆる適用除外の小災害が何十となく重なっておるということになると、それだけでも立ちいかぬことになるのでありますが、この法案を改正するついでに、といっては失礼ですが、ついでに村の財政基準税収入とにらみ合せて、そうして幾らの額になった場合においては小災害であってもそれが累積して金額が大きくなった場合には、何とか措置を講じろというようなことの考慮を払われていただきたい、こういうように考えるわけだが、これに対しまして、そういうような案を考えたことがあるかどうか、そうして御意見はどうであるか、これは河川局長でけっこうでありますが、お伺いしたい。
  68. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 ただいまのお話でございますが、確かに町村によりまして、非常に極端にひどい災害を受ける場合がございます。そういうふうな趣旨からいたしまして、今回私どもの考えておる法律によりまして、距離を広げますると、相当程度救済されるというふうに考えておるわけでございますが、それでなお救済されぬ分もあるわけでございます。従いまして、それを中島先生の言われるように、全部査定をして、地方公共団体の財政需要と比べて非常に多い場合には負担の対象にしろ、こういうお話でございます。それも一つの案であると思いますが、災害もさることながら、その他の問題におきましても、地方財政というものは、やはり一貫して見るのが適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。起債なりあるいは地方交付税などは自治庁で主管しておるわけでございますが、災害に対する起債につきましては、一般起債も来年度は前年通り認められております。それから交付税等におきましても十分考慮するように、自治庁に私の方から連絡しておるわけでございまして、その面でやっていただくのが適当ではないかというふうに考えております。ただ、今先生のお話もございましたが、そういうようなものも全部査定してみて、財政需要と比較するというのも一案でございますが、私どもといたしましては、そういう案は今まではまだ考えてみたことはございません。そういう方法も、私どもといたしましては事務的に今後考えて研究してはみたいと思っておりますが、今まで具体的にそれを進めてみたというふうなことはございません。
  69. 中島巖

    中島(巖)委員 重ねて、くどいようですが、これは質問というよりもむしろお願いしておくわけですが、梅雨前線関係で特定地方に災害が非常に発生するのですが、この場合、一ヵ村に十万円以下の適用除外の災害が幾つとなく起る。しかもその村が年間の税収入百万円以下というような村があるわけなんです。だから一般的には、この所要の改正によって、半ば目的を達しておると思いますけれども、そういうような措置について、過去の災害なんかから例をとってみて、御研究願って、次の法律改正のときの研究と申しますか、資料にしておいていただきたいと思います。  それから十の公共土木施設災害関連事業費国庫負担法、これは新しい法案として全然抽象的な文句で、わからないのでありますが、大体のアウトラインだけでも御説明をお願いいたしたいと思うわけであります。
  70. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 十番の公共土木施設災害関連事業費国庫負担法でございますが、これは先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、従来災害を受けた場合に、改良復旧をする方が適当であるというふうなものがたくさんあるわけでございまして、これらにつきましては、災害復旧の分はもちろん公共土木施設の災害復旧事業費国国庫負担法の趣旨で負担する。そのつけ足しで改良する分につきましては、財政の補助によりまして、事実問題といたしましては、災害が起きた場合に改良復旧を行なっていたわけであります。しかし今回におきましては、それが予算上の処置でついたりつかなかったりするような点も考慮されますので災害関連事業というものを法定いたしまして、計画の定まったものはこの災害復旧事業と同じように計画的にやりたいというのが、この法案の内容でございます。
  71. 中島巖

    中島(巖)委員 大体以上をもちまして、法案関係に対する質疑を打ち切ることにいたしまして、次に道路公団について質問いたしたいと思うのでありますが、基本的の問題として、先ほどから大臣のお考えと私の考えと、相当かけ離れておるわけでございます。そこで最初に私の考えを申し上げまして、そして大臣のお考え伺いたいと思うのです。  この道路公団法にありますけれども、それからたびたび局長の答弁によって明らかにされておることは、道路公団で経営しておるところの橋梁なりあるいは道路なりが有料道路である。そして建設費が料金によってペイすれば、それは直ちに無料公開にする。こういうふうなお話が、今までのあなたとの質疑応答によってはっきりいたしておるわけであります。ところが私の考えは、現在のような道路公団のあり方でいいのか悪いのか、この基本的な問題に入るわけであります。そこで先ほどの道路政策の話に逆もどりする感があるのでありますけれども、たとえば高速自動車道中心としてわが国の道路網を形成する、こういうようなことに対しては、おそらく御異論はないと思うのでありますが、そこで高速自動車道中心にしまして、道路網を形成するというふうな観点に立ちますと、全く新しい視野に立って、そして先ほど申し上げましたような人家ができた、輸送がふえた、それに追われてあとからあとと、いわゆる後進性の道路政策でいくか、さらに一歩進めて将来の日本経済、産業開発、あらゆる面から見て、こういうような道路政策を打ち立てねばいかぬという、いわゆる先行的な道路政策でいくのかということが、道路政策の基本的の構想の別れ目なんだ、こういうふうに思うわけであります。幸いにいたしまして今度の岸内閣がこれに重点を入れ、それに根本建設大臣がそのチャンピオンで出てくるということで、非常に期待を持っているわけでありますが、第一番に策定される基本方針は、そういう基本方針がなければいけない、こういうように考えるわけであります。この基本方針を如実に表わしているのが、この国土開発縦貫自動車建設である、こういうように私は考えておるわけであります。その国土開発縦貫自動車建設は、この道路公団が大体において、ほかのものでもできることに法律上なっておりますが、代行してやる、こういうことになってきたわけであります。そこで、そういうような観点から道路公団の性格を考えますと、道路公団のあり方ということを基本的にまず建設省として方針を決定しなければいかぬと思う。策定しなければいかぬと思う。今度新しく新たな構想道路の特別会計ができるわけでありますが、そこで今までの道路公団は長崎県の例の西海橋であるとか佐賀県の大川橋であるとか、かつて地方公共団体の持っておった有料道路を公団は取り上げて現在経営しているわけです。そしてまたそれと同じような事業を各所でやっているわけです。こういう形は私はいけないと思う。結局道路公団は国のただいま申し上げましたような施策が決定すれば、やはり道路公団としてなすべき大きな幹線動車道を建設したり経営したりするように持っていくべきだ。何も佐賀県や長崎県にあった有料道路なんかを取り上げる必要はないじゃないか。それは料金を取って、ぺイしたら無料で公開にするならば、特別会計ができたんだから建設省でもよろしい。地方公共団体にまかしたっていい。道路公団が取り上げてやる必要は何らないと思う。そういうこともお伺いいたしたい。そして道路公団が、それがペイしたら返すなんという政策ではいけないと思う。結局新しく鉄道建設するような方針で、ちょうど日本国有鉄道のような性格を持って、大きく国の幹線道路建設していく、こういうことだと思う。それから先ほど大臣との意見の食い違いということは、こういう線を建設する場合において、かかっただけの工事費をその有料料金によって償還する、そういう政策は、大きな面から見て国でとらなくてもいいと思う。たとえば、ある部分においては十分償還の可能性のあるような線もあるでしょう、しかしまたある部分においては償還が常非に困難なところもあると思う、困難なところはやはり外資なんか導入する上において非常に条件が悪くて、外資の導入も困難だと思う。しかし有料道路であるといっても、いわゆる建設省所管の一般道路であるといっても、地方産業に裨益している点はほとんど大都市と同じように裨益しているのであるから、有料道路に対しても、いわゆる一般会計をその道路状況によって三割なり五割なり入れて、あとの五割なり七割を財政投融資なり外資なり導入して償還する、こういう方法によって十分理屈も立つし、またそうなければいけない、こういうように私は考えるのでありますが、今申し上げたことについて大臣の所見をお伺いをいたしたい。
  72. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは非常に基本的な問題でありまして、慎重に検討しなければならぬことでありますが、先ほどもちょっとお話し申し上げたように、有料道路でやっておるゆえんのものは、どこまでも道路公団というものは、いわゆる国で行うところの道路建設する会社ではない、建設の公団ではなくして、いわばこれは住宅公団その他と同じよりに、一応独立採算でやっていけるものをやらせるという立場をとっておるわけなんです。たまたま、かつて地方自治体で有料道路としてやっておったものを引き継いだというのは、各地方の自治体が持っていくことは非常に困難である、ぜひ国の方で引き取ってくれというようなものがほとんどでございまして、地方自治体が欲せざるにもかかわらず、こっちの方で取り上げたという例はほとんどございません。従って今後におきましても、地方で作ったものをこちらの方が取り上げるというような方針はとりたくないと思っています。  その次に基本的問題でございますが、道路政策を実行するに当って、中島さんの御意見は、ペイするとかなんとかということと別個に、ペイしないところでも、とにかく道路公団をして一貫した、国道縦貫道路みたいなところに工事をさせ、そこでペイするかしないかということは第二の問題として、できるだけ資金を投入して、そうして仕事の能率を上げたらいいじゃないか、こういう御意見のようです。ところがわれわれの方では、事業をやるのは必ずしも公団直轄でやるわけではない。これもやはり、やらせるのは請負なんです。ただ設計、管理、これは道路公団がやっておるということでございますので、そういうふうに事業量を増すという点になりますれば、あえてこれは公団をしてやらしめなくても、国で適当な業者に仕事をさせて能率を上げるということも、その点においては差しつかえないと思います。問題は、公団の性格上、初めから赤字になるということを見込んで、それに対して一般会計から補助金なんかを流し込んで道路を作るということになりますと、道路公団で行うところの事業というものと、国もしくは地方自治体でやるところの公共の事業とが非常に混淆してきまして、これが会計上、大蔵省とも非常にそこに紛争を起す事態になるわけであります。そこでわれわれの方といたしましては中島さんが言われるごとくに重要な主要幹線、しかも新たに作らなければならぬものについても——これでも採算のとれる部分については有料道路でやることにはいたしますけれども、採算がとれなくても、国策上やらなければならぬというものについては、全額国の経費で推進しなければならない。むしろそこにウエートを置いてやった方が的確である、こういう考え方なんです。従いまして道路の質的改善とそれの飛躍的な事業量の増大ということについてはあなたと私とは全く同じ意見です。ただそれをやる場合、公団をしてやらしめて、しかもそれには一般会計からも相当資金を投入して、採算とかなんとかを別個にやらした方がいいということは、これはあなたの意図と、ちょっとあるいは違うかもしれない。あなたは、要するに公団をしてどんどん一貫的に仕事をさせたらいいじゃないかというところに重点を入れておるようでありますが、繰り返して申しますように、公団それ自身は直轄工事をやるのではないのです。だから資金を与えさえすれば、独立採算制で行こうが行くまいが、その事業量がどんどんふえていって——今の日本経済の隘路となっておるところの新たなる質的改善の行われる縦貫道路が進んでいけば、目的は同じじゃないかと私は思うのです。今道路公団をして、初めから赤字とわかっておることをどんどんやらせろといっても、そうすると一般公共事業と何の違いがあるのか。特別にこれは道路公団にやらせるという、公団設立の本質から離れていくということになります。現在でも御承知のように、一般公共事業でやっておる。橋だけについて有料道路にしてしまって、あとは公共で行くというようなことも、ずいぶんやっておるわけでございますので、やはり道路公団の行うものと公共事業のものは区別してやっても、道路全体として計画的にどんどん進んでいけばいいじゃないかというふうに、私は今でも考えておるわけでございます。根本的には同じだと思いますが、ただ道路公団に、赤字を出したところへもどんどん補給していけという気持はわかりますけれども、そうすると今度は、公団の経理上、全く公団設立の趣旨に反するということで、必要以上の摩擦を大蔵省とも起すだけであって、事業の進展に何ら積極的な寄与をしないというふうに考えますので、事業の質的向上と量的の増大については、あなたと全く同じ意見であります。それなればこそ特別会計を設けまして、従来不確定な、その年その年の財政の規模によってやられておったのを、一定の計画でやる。しかも必要とある場合には一般会計から借り入れまでしていくということで、目的は達するんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  73. 中島巖

    中島(巖)委員 どうも私と建設大臣意見と、どうしてもそこに食い違いがあるのです。結局、先ほどもくどく申し上げましたけれども、道路政策において革命的な時期がすでに早くから到来しておって、それに乗って道路事業をやろうということについては、ただいま大臣からお話のありましたような、限られた財政面で、従って特別会計を設置した、こういうことであるのですが、こういうような時期でありますから、たとい道路公団の行う事業であっても、やはり一般道路と性格が非常に相似た道路があるわけなんです。そういうものに対しては一般会計から支出してもいいじゃないか、私はこういう議論を展開して、そういうような幹線道路を、道路公団にやらしたらどうか、こういう考えなんだが、あなたの方は、いわゆる償還の完全なものでなければ道路公団にやらせぬ、ここに意見の食い違いがあるわけです。そこで現在の道路公団の仕事を見ておりますと、たとえば例の霧島の観光道路みたいなものに手をつける、そうして現在建設省で行なっておる道路の延長みたいなことばかりやっておるのが非常に多いわけでありますが、結局こういうものは建設省で、特別会計ができたんだから、有料道路は何も道路公団でやらなくても、建設省でやってもいいと思う。それから先ほど県が困るからというお話でありましたが、困れば国の方で財政負担をしても、そんなやっかいな小さいものは県なりどこなりにまかして、あるいは霧島のような観光道路に対しては、国の財政投融資の金などで事業会社にやらせる。そういうふうに全部切り払ってしまう。そうして道路公団は、ちょうど日本の国有鉄道のようなもので、大きな構想のもとにできた新しい幹線だけをどんどんやらしたらどうか。大臣の言われるような構想道路公団をやらしておると、道路公団は順次商売化してくるわけですな。そこで、この間も前田委員から何とか協会というものを公団みずからがこしらえ、自分の役所の一室を貸してやっておる、こういうようなお話もあった。従ってそれらの構成メンバー、資金の出所というふうなことも、いずれ公団を呼んで聞いてみたいと思うんだが、またこれも二月六日の陸運新聞というので、「名神道完成時に国鉄自動車中心名古屋—神戸高速自動車道建設は来年度から着工され、三十六年度末に完成される予定になっているが、この自動車道完成と同時に国鉄自動車局を国鉄から分離し、国鉄の出資による「日本高速自動車営団(仮称)」を設立する動きが、昨年から運輸省国鉄日本道路公団の三者幹部閥につづけられているが、最近に至って設立内容の基礎はかたまったといわれる。」こういう見出しでもって大きく出ておるわけです。そして道路公団本来の使命から離れてしまって、そして何でも利権運動に走っておる、こういう感じがある。また聞きますと、今度は小さな植木屋なんかを集めて何とか美化協会というものをこしらえるとか、どうも実に本質をはき違えて、とんでもないことばかりしておるというふうに考えるのだが、これらは大臣承知ですか。また御承知とすれば、こういうことがいいと思われるかどうか、その点だけお伺いしたいと思います。
  74. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいまのことは私初めて聞くことでありますが、道路公団の使命はそういうところではないことはすでに先般の前田委員質問に対してお答えした通りでございます。十分その点はこちらの方から監督させておるわけでありますが、道路局長からそういう事情について、もし知っておるならばお答えいたさせたいと思います。
  75. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 ただいまお話自動車会社を作るというようなこと、それから美化協会を作るというようなこと、これについてはきょう初めてでございまして、今まで聞いたことはございません。
  76. 中島巖

    中島(巖)委員 この間から、そんなことはないだろう、知らぬ存ぜぬの一点張りだけれども、町内で知らぬは亭主ただ一人ということわざもあるから、一つお気をつけ願いたいと思います。従いまして、私の構想といたしましては有料道路であるから国の産業経済開発のあれにならぬじゃないかとか、あるいは一般の無料公開の道路であるから国の産業開発に裨益するとか、こういうことでなくして、従って有料道路であっても、国の大きな観点から見て産業開発に寄与するのだ、こういう考えでありますから、結局国でもって大きな基本的な方針を策定して、こういうふうな幹線道路道路公団でもってその建設の使命を達成するようにする、それからただいま申しましたような小さな橋であるとかいうようなものは県でやっておるなら県にやらしておけばいいし、また建設省としたって今度特別会計ができでたのだからやれるわけでありますから、建設省のものを補うような仕事をさせないでも、こういう大きなものをこしらえて、そしてペイしたら返還するということをさして、将来永久に道路公団を日本国有鉄道のように経営していくというふうな構想のもとに進めていかぬと、道路公団が商売化して変な格好になる、こういうふうに考えるわけです。しかも日本道路政策幹線ともいうべき小牧—神戸間が、わずかばかり手をつけたそのせつなにおいて、こんなバスの国営化運動に乗り出したり、美化連盟を作ったり、そして外郭団体をこしらえて自分の屋内に入れたり、実にとんでもない、けしからぬ態度である、こういうふうに考えるわけです。それについてはわれわれ反対党でも嘱望しておる根本建設大臣が大きな道路政策の柱を打ち立てて、そうすれば公団としても向うべき目標もはっきりするのだから、この際一段と御研究、御努力を願いまして、根本政策を樹立されんことを希望いたしておくわけでございます。  以上をもちまして私の質問を終ります。
  77. 西村直己

    西村委員長 続いて小川豊明君。
  78. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 住宅公団のことについて、法律上、手続上の疑義がありますが、それは事務当局の方からお聞きしますとしまして、大臣から伺っておきたいと思います点が、二、三あるのであります。それは住宅公団はその利害関係者と紛糾を起しておる。千葉県の松戸の金ケ作においても農民と激しい争いを起しておるために、一月十四日には二百人以上の警官を出動せしめて強制測量をしようとしたけれども、農民の抵抗で一時これを中止したというニュースがあるわけです。国の住宅政策に基いて住宅公団が設立されて、その事業を遂行しつつあるわけですが、この住宅政策が実施されるに当っては地元からも歓迎さるべきものだと思う。しかるに地元民と紛争を起して遂行もできないでいるということはこれは法律上どうこうの問題ではなくて、政治的に見てはきわめて拙劣であり不手ぎわであると言わなければならぬと思うのであります。住宅政策を推進するためには公団ばかりでなく、県にも住宅協会というものがあって、やはり団地を造成して住宅建設しつつあるわけです。この協会の仕事には何らの抵抗もなく、これはほんとうに順調に進んでいる。ところが公団の場合には抵抗が起るということ、これは一体どういうわけか。何らの権限もない住宅協会が歓迎されながら、強大な権限を持つ公団が反対を受けるということはこれは公団法なりその権限なりが地元民を不当に圧迫する結果になってくるのじゃないか、あるいはそれとも公団の首脳部が、古い官僚意識で法律と権限だけのよろいを着て君臨するためか、いずれかの原因があるのでありますが、そのために住宅建設しようとする政策は頓挫していく。これは何人からも賛成され、歓迎さるべき性質のものである、こう私は考えるのでありますが、それが地元民から反対を受け、抵抗を受けるということはこれは法律上は別として、政治としてはまことに愚劣である。権限がかえって仕事を阻害するなら、公団法を改正すべきであり、首脳部が無能であり、政府の意思なり法の精神を解することができない官僚主義者なら、首脳部をかえるべきである、こう思うけれども、これは大臣の見解をお聞きしたいわけです。ことに根本建設大臣は、かつて農林大臣として名声の高かった人であります。農民の心情、農民と土地との関係はよくおわかりの方であろうと思う。こういう点から、農地法と都市計画法との調整についてどういう措置をおとりになろうとお考えになっているか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  79. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま御指摘になりました松戸の団地の区画整理に関連して紛争が起っている事実はよく私も承知いたしております。これは御承知のように、あすこに住宅公団の団地を設定せいということは、住宅公団の一方的な意思によって決定したのではございませんで、地元の松声市からの、ぜひあすこに置いて下さいという要請に基いてやったものでございます。しかもあそこの区画整理事業を実施するに当りましては、御承知のように、現地におきまして利害関係者全部が出てくるところの審議会がございまして、そこで決定された計画に基いて実施して参ったのでございます。ところが現実にこれが実施するときになりますというと、区画整理事業が、その内容において相当の歩減りが出てくるわけであります。それが現地の土地を持っている農民からするならば、少し自己分担というか、犠牲が大き過ぎる、この問題を何とかせいということがそもそもの問題点なように私は承知いたしておるわけであります。ところで、これに対しまして公団並びに地元におきましては、区画整理をし、あそこが宅地化することによって相当程度の地価が高騰し、それだけ財産の価値が造成されるから、その歩減りした分だけは、当然それだけの財産造成になるからいいという考えを持って進んできているわけです。ところが農民からするならば、それは将来においてはそういうふうになるかもしらぬけれども、現実には三割近くも歩減りして参りますと、すぐにその土地を宅地に売るわけにもいかないし、農地経営をしていくとすれば、その間の犠牲が大きいのだ。だからそこでもう少し歩減りを少くするように設計を変更するか、あるいはまたその中におけるところのいろいろの街路なんかについても、本来公共の施設としてやってしかるべきものもあるだろうから、その点を何らか緩和してくれ、こういうことが問題の本質のように私は聞いております。ところがそれがなかなか進まないので、これは大部分の方々が賛成して、法的な措置も全部とっておるそうですけれども、現実に犠牲を受けるところの一部の人にとっては、とうてい耐えがたいというので、実力を持って阻止するという形を何回もやられた。警察としては、そういうふうな正当な、かつ公正なる手続によってやられた手続事項を、実力をもって阻止するのはいけないということを何回も勧告したけれども、なおきかない。しかも現実に測量する人間には相当危険が感ぜられたので、公務執行を保護するという立場において警察官が現場に出ていった。そこで紛争が起りそうなので、いろいろの陳情その他われわれに対する要請もありましたので、しばらく実力によってやることはなるべく緩和して、話し合いでするように私の方でも指示して、今日に至っておるわけでありまするが、一面におきまして千葉県に、これは一つの調停案と申しますか、調停して、この点をできるだけ理解のいくようにいたしまして、円満解決するように指示はいたしておるわけでございます。それで小川さんが言われるように大体区画整理、それに基いたところの住宅地を作るということは、政府自身が現在の住宅難を解決するために喜ばれこそすれ、恨まれる筋合いは一つもないのですけれども、何しろそれによって利益を受ける人間が違う人間なために、そこに補償の問題とその利害の関係がアンバランスであるというところに、こういう問題が出てくるわけでございまして、この点はできるだけ円満に話し合いの上できめたいと思います。しかし一方において、これは端的に申しますと、御承知のように電源開発の時代から補償ということになりますれば、これは見方によってかなり大きな差が出てくるのです。そこでどうしてもいろいろと条件闘争と申しますか、そういうものが中に介在してきますので、妥当な線というものがかなりむずかしいものが出てくる。そこで一方的に公団の方でどうこうするだけということはできるだけ避けまして、地元の知事なりあるいはまた市町村の仲介を経て、そういう問題を解決しようとしておるのでありますが、一方においては公団におきましても、おのずから予算、同時に、特にこういう場所におきましては、新たに公団住宅あるいは公団の宅地をできるだけ安く一般の国民に提供するという義務もありますので、その間の調整もとらなければならぬというわけでございます。詳しい事情については事務当局から説明いたさせますが、従来の経緯はそのような状況でありまして、私も心をいためまして、いわゆる実力と理屈一片で片づけないで、できるだけ理解のもとにやらしたいと思って千葉県の方に、これはできるだけ地元のことでもあるし、調停するように依頼をしておるわけでございます。
  80. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 大臣がこのことに非常に理解を持って心をいためておられるのに、それ以上聞くのもなんですが、昨年建設委員会でもこの問題を取り上げて、調査団を松戸へ派遣したのです。そして各方面の意見を聞いてみると、紛争が激化する様相もあるようであります。そこで委員会としては、県並びに市当局も円満解決するように努力すべきであるという意見で、さらにそういう勧告というか、決議をして、県市に通達したと思いますが、その線に沿って県としては、聞くとこそによると、一千五百万くらいの金を出してまで地元民の了解と緩和をはかろうと努力しているとのことです。何も関係のない県当局でさえもが委員会の決議を尊重して、乏しい財政でしょうが、その中から千五百万も金を出して解決するように努力しているのに、公団はその解決の話し合いを進めているのをきらうがごとく、急遽警察官を頼んで強制測量をさせたということは当委員会並びに県当局をも侮辱したような背信行為ではないか、私も不愉快に思っているわけです。この中には一片の誠意もなければ、また政治性もない。ただ法律の権限だけを武器として臨むというものの典型とも言い得るものではないか。こういう点についても公団に対する監督の責任があるわけですから、大臣の御見解をお聞きしたいと思う。  それから、この委員会でそういうことまで言っていいかどうかわかりませんが、警官が入ってごたごた起っているというので、国会からかけつけたか、お宅からかけつけられたか知りませんが、参議院議員の片岡さんがかけつけて、話し合いをするようにした方がいい、このままで血を見るようなことがあってはいかぬと言ったら、そこに総裁がおられて、何か片岡さんのバッジをつかんで、こういうバッジをつけた人がここへ出てきてとやかく言われたら因るというようなことを言った。これはまあ聞いた話ですが、そういう考え方では、ものの解決はできないのではないでしょうか。私はもっと公団の総裁自体が、反対をしている地元の農民と進んで話し合うべきではないかと想う。こういうことを私は総裁に要望したい。ことに今大臣が言われた中で、見解の相違というか、一つの団地ができていれば、大多数が賛成をしたとあなたはおっしゃるけれども、それは大多数の人が賛成したのであって、その団地の外に主たる土地を持っておって、この中に二反歩、三反歩持っている人は、これは三割減歩はされても、その周囲の土地が値上りをするのでありますから、喜ぶはずです。だから賛成するでしょう。自分の被害はごく少い。ところがこの団地の中に農地を持ち、住宅を持って住んでいる農民というものは非常な打撃を受けるわけですから、反対をしている。人の数からいうならば、大多数が賛成をしたかもしらぬが、農地面積からいうならば、大多数が反対だということになると思います。この誤謬を犯さないように、利害関係者はこの中にいる農民でありますから、その点も考えてこの問題の処理に当っていかなければならぬと思うわけですが、そういう点についての調査とかいうものは大臣の方に入っておりましょうか。
  81. 根本龍太郎

    根本国務大臣 事務当局の方にはいろいろと詳細な報告があるようでありまするが、私が聞いておるのはどれだけの面積のうち、何%が反対でどうだという詳細まで、私案は承知しておりません。しかし今小川さんの言うようでありますれば、これは単に人数の比率ではなくして、それによって起る利害関係者の質的な面も、これは十分考慮さるべきだと思います。それから、公団の幹部職員の諸君が非常に人間味が足らないというようなお話の向きでありますが、おそらく公団の職員といたしましては、合法でありかつ妥当であるならば、できるだけ早く問題を解決して一般の住宅の宅地を造成し、これを安く提供するのが自分たちの職責だという意味において、あなた方から見れば政治性があるいは足らないかと思いますけれども、それは決して悪意ではないと私は感じておりますが、今後の処理に当って、やはりこれが政治問題化している場合においては、もちろん自分たちの持っておる職責上の義務という点と同時に、やはりそれらの点も十分に考慮する余裕を持つのが好ましいと思います。これは事務当局をして十分に指導させるわけでございますが、先ほども申しましたように千葉県において、この問題はもともとあそこに団地を作ることについては県当局も非常に熱心であり、それから松戸市自体においても熱心であり、特に松戸市の市会の方でも非常に熱心であそこにいったので、われわれとしてはああいう問題が起るとは実は想像していなかったのであります。先ほども言ったように、減歩の問題が一つの原因となって、団地そのものをあそこに作るということに対する反対ではなくして、その減歩の利害関係の公平なる配分と申しましょうか、そういうところが問題のようでありますので、これについては、計画それ自身は変更するわけに参りません、はっきり法的にきまりましたから。ただその中において、できるだけ利害関係調整して、特別の利益を少数の人間が受ける、あるいはまた少数の人間が多くの犠牲を受けるということのないように調整することがこの問題の眼目ではないかと思いまして、事務当局と同時に関係方面とも連絡をとるし、できるだけすみやかにこの問題を解決すべく指導しつつあるわけであります。
  82. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで大臣、こういう点を考えるべきじゃないでしょうか。今公団ができ、公団がそこへ団地を作り、住宅ができてくる。道路がよくなり水道ができガスができる。従って地価が上るのだから農民は受益者だという、この断定に立って減歩というものは要求しているわけですね。その減歩というのは幾らかというと三四・七、これは一町歩の土地を持っている農民ならば、三反四畝七歩というものは減歩としてただ取り上げられるわけですね。そうすると、あと残った六反なんぼかで農業を経営していかなければならぬ。ところがこれらの農民は、転業するのでなくて農業を営んでいくんだ、こういう強い意思に立っている。この土地は地価が上るというのは、土地を売ったとき初めて上るわけですから、土地を売らないで農業を営んでおる限りにおいては、これは地価が上っても下っても、農民が何の影響もない。むしろ一町歩で生産していたのを六反なんぼで生産しなければならない。この場合にはむしろ欠損になってくる。従って受益者というよりも、この場合には逆に、言葉としては変だが、被害者的な立場に立つ。だからそれを受益者として断定することは、百姓をやめるということが前提でなければこの受益者としての断定は出てこない。ところが、お前は百姓をやめるべきだという、そういう法律は国にはないはずだ。百姓をやっていたいというならば、これは百姓をあくまでやっていける理由があるわけだ。従って、受益者だから三四・七%提供するということは、百姓をやめるということが前提になっているのではなくて、差しつかえない所に換地を見つけてやるなり移転させてやるなり、そういう措置がやはり講ぜられなければならない。ところがそういう措置を講ぜずに、ただ三四・七%を提供しろというのでは、これは農民ばかりでなく、ほかの人だって反対だ。この点について、この三四・七%という減歩というものが妥当であるかどうか。この点は、あなたの方からいえば安い住宅を提供しなければならない。そのためには、土地が高くては安い住宅が提供できないから、土地は安くしなければならないということがあるから、こういう問題も出てくるのだろう。しかししこの点はやはり農民の立場に立って考えてやるべきであろうということが一点出てくるし、それからこの公団にそういう問題が起ることは当然わかる。市の当局、県の当局は、あの畑の中にたくさんの住宅ができるとすると、市も財政的な利益が出てくるから、おそらく賛成するだろう、県もこれは反対どころでなく賛成するだろうと思うのです。ところがそういうことをもっと克明に、一戸々々の農民の了解を求めて賛成を得てやっていけば差しつかえないのに、そういう農民には知らせずに、いいものができるんだ、いいものができるんだというようなことでだましておいて、さあいよいよ最後になって三割四分七厘出せとなるから問題が起ってくるので、この点では市の当局が要望しても、県当局が要望しても、その中には調査、折衝というものがきわめて疎漏であったということが言えるし、その結果はこういう問題が出てくるわけで、この減歩の点を一つ考えてやるべきである。  それから換地の問題ですね。それらの人がどこかへ出ていかなければならない場合、換地の措置は一体とってあるのかないのか。いつか私もこの問題で地元の農民諸君に、道路を作るならば狭い道路を作っておくより広い道路を作った方がいいんだから、道路は完全にしておくべきだと、一方においては地元農民にもそういう話をしたことがあるし、公団の総裁に対して、換地等の措置はしてあるのかと言ったら、公団の総裁はそれほど百姓をやりたいならば北海道に地所があるから見つけてやる、岩手県にも地所があるから見つけてやる、あっちへ行ったら十分にできるだろう、こういうのが僕の聞いたときの回答であった。そういう不親切な、北海道に行ってやったらいいじゃないか、また岩手県に行ってやったらいいじゃないか、こういうことは大きなお世話だ、そういう考え方で公団の仕事を進めようと思うならば、これは抵抗があるのは当りまえであって、公団の総裁の頭の置き方、ものの考え方がはなはだ妥当じゃない、なぜもっと深く農民の諸君と話し合っていかないか、こういうことを遺憾に思うわけです。そこで今大臣計画の変更はできないと言うが、あそこは二十万坪から四十万坪なり五十万坪に計画というものが増大してきているわけです。人間の作った計画なのです。計画そのものが変更できないということは私はあり得べきでないと思うのです。ただ建前上、こういう計画というものはこれでやっていかなければならぬ。従ってその中で農民が農業を希望するならば、それはその場所でがんばらしたのでは計画が成り立たないので、どっちかにずらし、片寄らせる、そういう変更を内部でして、そうして達成させてやったらいいじゃないかと考えるわけですけれども、御見解いかがですか。
  83. 根本龍太郎

    根本国務大臣 まず第一に、この区域内におけるところの農民の減歩が非常に多いために農業経営が困難である。しかしながら依然として農業経営を継続してやりたいという希望の方々には、極力換地のあっせんをいたさせるようにしておりまして、これは現実にそのお世話はしておるのだそうです。ただし農民の方々には、あっせんしてもらうよりも、とにかく減歩の問題に頭が集中しておるために、本気に乗ってくる気配が少い。そこで県当局も、そういうふうにがんばっておってもしようがないからということで、極力換地の問題、それから減歩に対する措置についても今あっせんしているそうなのでありまして、その結果に基いてこれは検討しなければならないと思っておりまするが、原則といたしまして、計画それ自身は一定の措置を十分にとりましてやったことでありまするので、今若干の抵抗があるという理由をもって、直ちにこの計画を変更するということにはなり得ないと思います。これが現実に何らかのあっせん案が成立しまして、そうして計画も大きな変更なく、しかも若干の事務的処理か何かでできるという見通しがありますれば、そのときに一つの議題としてこれは検討の対象になるかもしれませんが、ただ現在の状況において、一部の方々が強い抵抗があるがゆえをもって、計画変更をわれわれの方で命ずるわけにはいかない段階でありまして、十分これはあっせん案やその後の状況を見て、事態の収拾に最善を尽すのが当面の問題ではないかと考えております。
  84. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それは非常にいい答弁だと思います。反対があったから計画を変更するなんということは、ここで答弁できないことであります。やはり実情に即し、交渉の中からいろいろな解決の方法が出てくるだろうと思うから、そこに弾力性をもって進まれることはけっこうだ、こう思います。そこで最後に一点伺いたいのは、さっきの受益者であるかないかの問題ですが、住宅公団ができるということは市も喜び、県も喜び、万人がこれは喜ばなければならないことであると私は今考える。ところがこんな抵抗にあうということは、これは地元の農民に犠牲と負担をかけるから抵抗が出るのです。いいことならば抵抗するはずはないと思う。そうすると国が住宅政策を強く遂行しようとし、その国の住宅政策に基いて公団が事業をしていく場合に、農民に犠牲や負担をしいてこれは遂行すべきでなくして、やはり犠牲と負担というものはかけないようにしてやっていくのが原則として正しい、こう思うが、大臣のお考えはどうですか。
  85. 根本龍太郎

    根本国務大臣 政府が行うところのいろいろの施策は、国民に一方的な損害を与えてやるということはあり得ないことです。当然これは犠牲がある場合においては、それに対する政府の補償なり何かをしなければなりません。また利益についても、特定の者に特別の利益を与えるということは考えないわけであります。ただし結果としてそういう問題が出た場合に、特別の利益のある者については、税金や何かでこれはとられていくでしょうし、それから非常に損害があるという客観的事実ができますれば、これは補償等、あるいはあっせん等いろいろやらなければならないと存じます。ただ先ほど申しましたように、この区画整理というような、その地帯の全体的利益のために行われる計画でございましても、それは全体から見ても、それからまた個々の人でも実は相当の利益があるはずだと客観的に見られましても、受ける人間は主観的には、これは何らの利益と思わない、むしろ損害だと思われるというところに、実はこういうふうな問題が多いのでございます。たとえば道路の改築にいたしましても、あるいはまた今の河川改修とかあるいは区画整理が、問題が一部に起るのはそこに原因があるのでございまして、これはできるだけやはり公共のために、自分も若干の犠牲を得るけれども、総合してやはりこれはみんなのためになるというところまでの協力態勢を作らなければなりませんし、その協力態勢を作るためには、やはりその事業を実施する人々が、単にこれは公共の利益のためになるのだし、やがては君のためになるのだからというような理屈一点ばりではいかないで、やはり理解を持って協力してもらうという態度が必要であるということは、小川さんが指摘通りであります。この点は単に理論点な、論理的な価値評価の問題ではなく、やはりそのほかに人間的な微妙な感情と申しますか、人間的な愛情と申しますか、そういうものもやはりこれは十分に考慮していかなければならぬものだと考えている次第でございます。
  86. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もう一点、これは大臣でなくてけっこうです。純粋の農耕地帯に土地区画整理法を適用して事業をすることは、法の適切な運用上、違法行為でないかと思う。すなわち土地区画整理法の第二条第一項の土地区画整理事業の定義に反する行為じゃないか。この問題で、私はちょっとこれは法律上の疑義が出てくるのですけれども、これは見解いかがですか。
  87. 根本龍太郎

    根本国務大臣 われわれといたしましてはこれは法律違反になっているとは思いませんが、法の解釈でありますので、局長から御説明申し上げます。
  88. 町田稔

    ○町田政府委員 ただいま純粋の農地に土地区画整理を施行いたしますことは、土地区画整理法第二条の定義の解釈で違法ではないかという御質問でございましたが、公団の場合には、公団が宅地造成事業をいたします地域は都市計画審議会の議を経まして、都市計画上、土地区画整理地区として指定をいたしました場所について事業を実施するわけでございます。土地区画整理法第二条の定義に違反するところはないというように解釈をいたしております。
  89. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この土地区画整理法第二条第一項による土地区画整理事業の定義を規定してあるわけですが、ここには「公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図る」「宅地の利用の増進」ということが目的にあるわけであります。そういう点からいうと、純粋農耕地に対してこれを適用することは違法になりませんか。定義と反しませんか。
  90. 町田稔

    ○町田政府委員 ただいま宅地の点についての御質問でございましたが、土地区画整理法の第二条の第六項に、区画整理法におきましては「「宅地」とは、公共施設の用に供されている国又は地方公共団体の所有する土地以外の土地をいう。」というようになっておりまして、公共施設の用に供せられている国または地方公共団体の土地以外は全部宅地となっておりますので、違法ではないと思います。
  91. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから昭和二十二年の十一月二十六日に、農林次官と、当時ですから内務次官、戦災復興院次長、三次官通達の、農政第二四六号自作農創設特別措置法の第五条第四項の指定基準に関する通達という通達が出ているわけですが、この通達の要旨とこれは反することはありませんか。時間がありませんから、反するか反しないか、簡単でけっこうです。
  92. 町田稔

    ○町田政府委員 通達の要旨には反しないと思っております。
  93. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから、ここは農地法による農地なんですが、農地を宅地に転用する場合には、農地法に基く転用の許可が要るわけですが、あなた方の方ではこれを宅地としてどんどん造成に当っている。あなたでない、公団が当っているようですが、これは転用の許可は受けておりますか。
  94. 町田稔

    ○町田政府委員 御承知のように農地法によりますと、公共施設を作る用地は転用の許可が要りません。それから住宅を建てるためのいわゆる民地につきましては、これは住宅を建てる際に転用の許可を得るということになっております。
  95. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、農地をつぶして宅地にするときには許可は要らない、住宅を建てるとき初めて宅地になるのだから、住宅を建てるときに許可を受けさえすればいいのだというような御見解のようですが、それに間違いありませんか。
  96. 町田稔

    ○町田政府委員 実際に農地を宅地にいたします際には、住宅を建てる前には、農地のままでは住宅を建てることはできませんから、整地をいたします。その整地をいたします段階において、農地転用の許可をとっております。
  97. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 第二十六国会の昭和三十二年三月六日の委員会で、私がこの問題について御質問したときに、立川説明員、これは農林省の方ではないかと思うのですが、この方の答弁によりますと「住宅公団が宅地造成をいたされます際に、農地を転用するという場合には、農林省とよく御相談を願いまして、その土地が宅地に転用することが適当であるかどうか、あるいはその面積が合理的であるかどうかというような点についてよく御相談をいたしまして、処置をするという工合にいたしております。」こういう答弁なんです。これは、農地を宅地にする場合には、それが適当であるかどうかを相談して処置すると言っておるが、あなたの方はこの点は相談なさいましたか。
  98. 町田稔

    ○町田政府委員 住宅公団法では、御承知のように法律上は、住宅公団が宅地造成をする際に農林大臣に特に協議をすることを必要とする規定はございません。しかし事実上、松戸の場合等におきましても、事業を開始いたします前に事実上の協議を始めまして、その後農林当局とは緊密な連絡をとってやっております。
  99. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると今の御答弁では、公団の仕事を推進する場合には農林省と協議する必要はない、こういう御答弁ですが、この立川説明員の答弁では、やはりその日にこういうことを言っております。「従ってその点はほかの個人が農地を転用なさる場合と、法律の規定は差別がございません。従って同じような考え方からいたしまして、農地法の運用の一部として、日本住宅公団の農地の転用を処理いたしております。」こういうことを答弁しておるわけです。そうすると、あなたの方は相談する必要はない、農林省の方では個人の場合と差別しない、住宅公団法にこれを適用するのだ、こういう答弁をしておりますが、これは一体どうなんですか。
  100. 町田稔

    ○町田政府委員 先刻もお答え申し上げましたように、住宅公団は、区画整理事業を実施いたしますこと自体につきましては、農林大臣なりに正式の協議をすることを必要といたさないのでございます。この点は、地方公共団体が区画整理事業を施行する際とは違っておるのでございまして、地方公共団体が区画整理をする際には、その以前に地方の農業委員会意見を聞くというような手続を必要といたしますが、公団の場合はその手続を必要といたしません。しかし事業を進めまして、いよいよ農地転換をするという段階になりますと、これはもちん農地法に基いて所要の手続を必要とするということでございます。それらのことにつきましては、時々公団におきましても農林省と協議を進めて参っております。建設省も主務官庁といたしまして、農林省と緊密な連絡をとって手続を進めております。
  101. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 どうも御答弁がはっきりしないのですが、連絡をとって協議なさることはいいのですが、さっきあなたの方では、それは必要ない、こういうことであるが、立川説明員はこういうふうにここで答弁しておる。同時にその公団は、農地法第四条、第五条の許可をする、こういう考えを持っておるわけでございますが、宅地に転用する場合には、農地法第四条、第五条に基いて、日本住宅公団といえどもこの許可を必要とするという見解をとっている。あなたの方ではその必要がないという見解、これは一体どっちが正しいのか、その点をお聞きしたいと思う。
  102. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私から御説明申し上げます。これはこういうことなんです。両方とも正しいことを言っておるのです。最初の方の区画整理事業をやる場合において、どこそこの地区についてこれをやるということについての農林大臣に対する協議事項は、法律上何ら規定がないわけです。ただそれによって区画整理ができて、そこで今度は今までの農地を宅地に転換するということになりますれば、これは具体的に公団であろうとも、個人であろうとも、全部農林省と協議の結果なされる、こういうことをお答えしているわけなんです。それであなたの方は初めに、区画整理事業を行う場合、そのときに農林大臣と協議して許可を必要とするじゃないかという意味において考えておるわけでございますね。その点は要らないと思います。ただし区画整理事業ができて、今までの農地を今度は具体的に農地から宅地に転換するという場合におきましては、これは農地法に基いて協議の上また許可も必要とする、こういうことでございます。
  103. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 土地区画整理をやるということは、宅地にする、住宅を建てるということでしょう。従って土地区画整理をやるということは住宅を作るということが前提です。だから土地区画整理をやる場合には、農地は必ず宅地になるということがきまっているじゃないですか。土地の区画整理をやって住宅を作らない、農地にしておいていいというならば、何で農地を百坪、二百坪切って道路をこしらえ、水道を敷くか。それは住宅を作るということが前提でしょう。今大臣の言われる土地区画整理のときには認可も許可も要らないが、宅地にする場合には要るのだということなら、これは宅地にするということがはっきりわかってやっていることである。そのわかってやっていることを片方に片づけておいて、土地の区画整理は要らない。要らないといっても理屈が成り立たないじゃないですか。私は何もこれを妨害するのじゃない。できることはいいが、なぜそういうふうに農民の負担の上にやるのだ、こういう建前に立ってお聞きしているわけですが、今の御答弁によれば、区画整理の場合には要らないが、宅地の場合には要るのだ。区画整理というのは宅地を作るにきまっているのです。だからその御答弁では私は納得がいかない。
  104. 根本龍太郎

    根本国務大臣 小川さんせっかくの御意見ですが、これは納得がいく、いかないの問題よりも、そういう法律の建前になっているのです。それで、区画整理というのはかなり大きな範囲について行われるわけです。また現実に宅地にするかどうかは、その区画整理事業をやれば、直ちにすべての農地が強制的に農地から宅地になるということではないのです。それについては農民自身が農地として保有するのだ、区画整理事業範囲内にあっても、これは自分がその中において、農業を経営しておるのだというふうに、現にここでがんばっておると、これは宅地にせいという命令はできないのです。ただしそれは将来都市計画内におけるところの宅地になり得る一般的条件をそこで具備しておるということです。ここでいう特定の場所を特定の時期に、今の農地を宅地に転換する場合には、農地法に基く手続によってやらなければならぬ、こういうふうに規定しておるわけであります。従いましてこれは公団法が作られるときも、そういう点で法律によって規定されておるわけでございまして、そういう立法については改正すべきであるというあなたの御意見は御意見として承わりまするけれども、現実に、現行法律上はそういうふうになっているということであります。  それからもう一つ、区画整理区域にこれを指定するかいなかという場合には、御承知のように利害関係者の各方面を代表する都市計画審議会がございます。ここに現実には各県の農地部長とか農林部長とか、そういう人が必ず入っております。それから地元の方からも入っておるというようなことで、そうした部面が十分に審議会において取り上げられて、それが決定されてから実行するという建前になっておりまするので、先ほど事務当局から申し上げたように、農林大臣と公団の総裁が法律上の義務としての協議事項はそこに入っていない、こういうふうな建前になっておるわけでございます。
  105. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 どうも大臣答弁がうまいのですが、まだ私納得できないのです。区画整理をやるということは住宅を作ることであり、家を建てることなんで、区画整理をやる場合には農家もやむを得ないのだ、だから住宅を建てる場合にはおれは強行していいんだ。それじゃ農林省の方で住宅転用を認めなかった場合に、一体この計画はどうなるのですか。農民の熾烈な要望で農業をやっていきたいんだから、そういうことをやられては困るといって農林省が住宅転用を認めなかったら、この計画は一体どうなる。あなたの方では計画は変更しないというけれども、根本から計画がくつがえってしまう。これはおかしい。法律がどうあろうとも、理屈からいって納得いかないじゃないですか。あなたはいきますか。どうも僕には納得がいかないから説明して下さい。
  106. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、都市計画がなぜ行われるかという根本問題にいかなければならないと思います。現在の状況によりますと、不規則にかつ何らの計画なく、自然的にどんどんと都市周辺の農地が宅地化されてくる。その結果はいわゆる自然発生的な、非常に不経済な都市ができてぐる。これを計画的に、今後農地、宅地、そうしたものを調整しながら一つの近代的な都市計画を作るというのが、都市計画法のねらいでございます。従いまして今の都市計画を実施するのは、全然農村地帯に、部市化する何らの必然性のないところにぽんと持っていって都市計画をやろうという考え一つも出てこないと思うわけです。大てい都市計画は、その自治体、その地方において、今までの不規則な、自然発生的な都市形成をどうしても計画的にやるという意図のもとに計画がなされて、そうしてこれを国で取り上げて、あるいは助成をし、あるいはこれに対して起債をつけてやらしていく、こういうわけなんです。従いまして農地と宅地との関係を、その問題だけを抽出して都市計画を論じて参りますれば、小川さんの言うような議論も出てきまするけれども、現実の問題としては、松戸なんかでも、あそこは黙っておってもどんどん農地が現実に宅地化されていっている、しかもそれが非常に無計画な形でやられていく。やはりあそこは首都圏の、一つの有力なる衛星都市として計画がされていかなければいけないという地元の要請と、しかもあそこは東京との便も非常にいいから、せっかくあそこへ都市計画をやるならば、住宅公団なんか持っていって、あそこへよりしっかりした住宅政策もやってほしいということでできたわけであります。そういうような客観的な要請のもとにできておるのであります。大体そういうふうな形で都市計画ができておりまするので、都市計画を実施する場合においては、先ほど申し上げましたように、都市計画審議会がありまして、そこでどの程度の範囲、そうしてどういうような構想ということが十分審議されて、答申が出て、それから計画に入っていくわけなんです。そのときには、すでに農林省関係代表者がほとんどみな入っておるわけであります。そういうような形で、とにかく都市計画ができてくる。しかしここで都市計画ができても、何百町歩、何十町歩という農地が、計画ができたというだけで、直ちに全部、無条件に宅地化するわけではないのです。またそこを持っておる所有者も、厳然として自分の所有権を持っておるのですから、その計画の中において農民の方々が、これは宅地として売る、宅地でいいのだということになって、初めてこれが売買が成立し、あるいはまた宅地転換の措置が講ぜられる、そのときにはちゃんと農地法に基く手続がなされなければならない、こういうふうになっておるわけでありまして、都市計画が策定されたから農地が強制的に、無条件に全部宅地化されなければならないというような規定ではないわけです。その中において宅地にし得る、将来は宅地にするという一般的条件が具備されておるという解釈をいたしておるわけであります。しかし今小川さんの御心配なされておるように、都市計画を実施する場合における農民の農業経営上の立場、その利害、こういうものを考えて将来の立法のときに十分検討すべきだという御意見については、十分にこれは拝聴いたしまして、農林省当局あるいはその他とも連携の上で研究をいたさなければならぬと思いますが、現行の解釈並びに運用はそういうふうになっているということを申し上げたいと存じます。
  107. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 時間もたちますので簡単にお聞きしますが、私は都市計画、あそこであれを作ることについて、不賛成どころではない、賛成です。ことに都市近郊であり、客観的な条件もそろっていれば、できていくことは当然できていくだろうと思う。しかもそれが無計画に、乱雑にできていくということはまずいから、公団にその仕事をやらして、計画的なものを作った方がいいだろう、この説にも私は納得がいくのです。それを進めていくに当って、関係者である農民に何でそんな犠牲と負担をかけていく必要があるのだ、国の政策でいくのだから、もっと農民の条件を緩和してやることを考えたらいいじゃないかという点が一つ。それからもう一つは、法律論的に農地法と都市計画法との相反する点が出てくる。今大臣は、都市計画審議会があって、これには農林省の人も相談し協議している、こうおっしゃったわけです。農林委員会で、こういう計画があるが、これはあなたの方で農地として許可する方針なのかと聞いたら、今そういう考えはありませんと言う。なぜだ、それは怠慢じゃないか、こういう問題が起るのです。そういうことを知らないというのは不都合じゃないか。まだ何らの申請も出てきていないから、申請が出たならばあらためて協議しようと思う、こういう答弁であるとすると、今の農林省と協議しているというのは、どこで協議したか知らぬが、農林省のある一部では、まだ何の申請も出ていないから、これに対する許可の態度はとっていないと言うし、一方においては相談していると言うが、これでは農林省はめちゃめちゃだということになる。この点でも私はふに落ちないというわけであります。  それでこういう問題がある。あれも松戸の市内だと思うのだが、競輪場があって、そのところに何か都市計画に基いて行っただろうと思うが、九州製罐という会社があそこに農地を五万坪か十万坪買って、市当局と契約をして、金も何ぼか払って、そして農地を転用することですから、農林省に申請したわけです。申請したら、農林省で許可しないというので、あれは却下になった。従って九州製罐では契約が破約になり、どこかほかへ行かされた、こういう問題があります。そうすると、こういう金ケ作で、農民が反対しているにもかかわらず五十万坪の地所を宅地にし、住宅を建てていくとするならば、現に同じ松戸で、そういうふうに、せっかく計画をして、市当局も農業委員会も完全に通って、適法に申請されたものが、農林省から却下になった事実があるのだから、公団がやっても、もし許可にならなかった場合、これは大へんな、計画の変更どころじゃなくて、計画根本的なくつがえりになってしまうのじゃないか。今大臣は、それは差しつかえないのだ、都市計画通りは差しつかえないのだと言うけれども、宅地にしていく場合には当然出てくるわけですね。それならば、少くともこれを宅地に転用する、都市計画を行い、宅地化をし、住宅を建てていくについては、農林省に異存があるかないかということは、当局としては御相談をなさり、御了解を得てある、私はこう考えるのだが、得てありますか得てないのですか。
  108. 町田稔

    ○町田政府委員 いよいよ農地転換をするという段階になりまして農林省から異議がありましては、これは先生の御指摘のように、この事業に大きな蹉跌を来たしますので、公団におきましては当初から農林省と連絡をとってやっておるのでございまして、先刻申し上げましたように、この事業が始まりますと同時に、各農林省の出先機関等とも緊密に連絡をとっております。先刻、まだ農林省の方には何らの申請書も出ておらないというお話でございましたが、申請書は、いよいよ農地を転換する段階になって出すのでございまして、まずその段階には至っておりませんから、正式の申請書は出ておらないのでございます。
  109. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 最後に一点、これで打ち切りたいと思いますが、都市計画を立てて宅地を作り、住宅を作っていくということは、もう厳然とした事実なんです。従ってそういうことはもっと早くやって、了解を得ておくべきではないか。あなたの方では、まだ宅地になっていないのだ。宅地になる計画はちゃんとあるでしょう。宅地になっていないのだから、そういうことは相談もしていません、申請もしていませんというが、宅地になる計画のもとにやっているのだ。それを申請もしない、了解も得ていない、こんなおかしな話はないじゃありませんか。当然問題になってくるのはわかっている。そのときに農林省から許可しなかったというのは、これはあなた方の失態でしょう。あれだけの膨大な金をかけて、あれだけの計画を立てて、あれだけの問題を起して、それで宅地に転換できないというのは大失態だ。それならば、これは前もって了解を得ておくのが当然じゃありませんか。今のあなたの答弁では、当然了解されるものだから、許可になるものだから、今やらなくてもいいというふうに考えられるけれでも、おかしいじゃありませんか。農林省では九州製罐のように許可しない例もある。その点はどうお考えですか。
  110. 町田稔

    ○町田政府委員 住宅公団としては先刻も申し上げましたように、農林省に了解を得て事業をやっております。
  111. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これで打ち切ろうと思ったが、農林省は何らの御相談にもあずかっていないから意思表示はできません、こう答えているのですが、あなたの方では相談してやっておりますと言う。この食い違いはどこにあるのですか。農林省ではそう答弁しておりますよ。相談も申請もないから、私の方では許可するしないということは意思表示はできませんということを言っている。あなたの方では相談しています、これはおかしいじゃありませんか。
  112. 町田稔

    ○町田政府委員 区画整理をやることについては事実上相談をして了解を得ております。それから農地転換の問題は、区画整理が終っていよいよ転換する際に正式の申請書を出すわけでございますが、その申請書はまだ確かに出ておりません。これはいよいよ住宅を建てるという段階に出すわけでございます。そういう意味の申請書は出ておりませんから、農林省はそれに対して許可をすることができない。こちらの要請がないから……。
  113. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 けっこうです。あなたの方では、宅地になっていないのだから申請書を出しておらないと言いますが、当然なるわけなんだが、そのとき許可にならなかった場合の責任はどこにあるのですか。あなた方がその責任を負うわけですか。許可になるという確信があっておやりになっておるのか。許可にならなかった場合一体どうなさるおつもりなんですか。
  114. 町田稔

    ○町田政府委員 許可になるという確信を持っております。
  115. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 けっこうです。
  116. 西村直己

    西村委員長 次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十五分散会