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根本国務大臣 これは非常に基本的な問題でありまして、慎重に
検討しなければならぬことでありますが、先ほどもちょっと
お話し申し上げたように、
有料道路でやっておるゆえんのものは、どこまでも
道路公団というものは、いわゆる国で行うところの
道路を
建設する会社ではない、
建設の公団ではなくして、いわばこれは
住宅公団その他と同じよりに、一応独立採算でやっていけるものをやらせるという
立場をとっておるわけなんです。たまたま、かつて
地方自治体で
有料道路としてやっておったものを引き継いだというのは、各地方の自治体が持っていくことは非常に困難である、ぜひ国の方で引き取ってくれというようなものがほとんどでございまして、
地方自治体が欲せざるにもかかわらず、こっちの方で取り上げたという例はほとんどございません。従って今後におきましても、地方で作ったものをこちらの方が取り上げるというような
方針はとりたくないと思っています。
その次に基本的問題でございますが、
道路政策を実行するに当って、
中島さんの御
意見は、ペイするとかなんとかということと別個に、ペイしないところでも、とにかく
道路公団をして一貫した、
国道の
縦貫道路みたいなところに
工事をさせ、そこでペイするかしないかということは第二の問題として、できるだけ資金を投入して、そうして仕事の能率を上げたらいいじゃないか、こういう御
意見のようです。ところがわれわれの方では、
事業をやるのは必ずしも公団直轄でやるわけではない。これもやはり、やらせるのは請負なんです。ただ設計、管理、これは
道路公団がやっておるということでございますので、そういうふうに
事業量を増すという点になりますれば、あえてこれは公団をしてやらしめなくても、国で適当な業者に仕事をさせて能率を上げるということも、その点においては差しつかえないと思います。問題は、公団の性格上、初めから赤字になるということを見込んで、それに対して一般会計から補助金なんかを流し込んで
道路を作るということになりますと、
道路公団で行うところの
事業というものと、国もしくは
地方自治体でやるところの公共の
事業とが非常に混淆してきまして、これが会計上、
大蔵省とも非常にそこに紛争を起す事態になるわけであります。そこでわれわれの方といたしましては
中島さんが言われるごとくに重要な主要
幹線、しかも新たに作らなければならぬものについても
——これでも採算のとれる
部分については
有料道路でやることにはいたしますけれども、採算がとれなくても、国策上やらなければならぬというものについては、全額国の経費で推進しなければならない。むしろそこにウエートを置いてやった方が的確である、こういう
考え方なんです。従いまして
道路の質的改善とそれの飛躍的な
事業量の増大ということについてはあなたと私とは全く同じ
意見です。ただそれをやる場合、公団をしてやらしめて、しかもそれには一般会計からも相当資金を投入して、採算とかなんとかを別個にやらした方がいいということは、これはあなたの意図と、ちょっとあるいは違うかもしれない。あなたは、要するに公団をしてどんどん一貫的に仕事をさせたらいいじゃないかというところに
重点を入れておるようでありますが、繰り返して申しますように、公団それ自身は直轄
工事をやるのではないのです。だから資金を与えさえすれば、独立採算制で行こうが行くまいが、その
事業量がどんどんふえていって
——今の
日本の
経済の隘路となっておるところの新たなる質的改善の行われる
縦貫道路が進んでいけば、目的は同じじゃないかと私は思うのです。今
道路公団をして、初めから赤字とわかっておることをどんどんやらせろといっても、そうすると一般公共
事業と何の違いがあるのか。特別にこれは
道路公団にやらせるという、公団設立の本質から離れていくということになります。現在でも御
承知のように、一般公共
事業でやっておる。橋だけについて
有料道路にしてしまって、あとは公共で行くというようなことも、ずいぶんやっておるわけでございますので、やはり
道路公団の行うものと公共
事業のものは区別してやっても、
道路全体として
計画的にどんどん進んでいけばいいじゃないかというふうに、私は今でも
考えておるわけでございます。
根本的には同じだと思いますが、ただ
道路公団に、赤字を出したところへもどんどん補給していけという気持はわかりますけれども、そうすると今度は、公団の経理上、全く公団設立の趣旨に反するということで、必要以上の摩擦を
大蔵省とも起すだけであって、
事業の進展に何ら積極的な寄与をしないというふうに
考えますので、
事業の質的向上と量的の増大については、あなたと全く同じ
意見であります。それなればこそ特別会計を設けまして、従来不確定な、その年その年の財政の規模によってやられておったのを、一定の
計画でやる。しかも必要とある場合には一般会計から借り入れまでしていくということで、目的は達するんじゃないか、こういうふうに
考えておるわけでございます。