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佐藤(一)
政府委員 旅費の問題は、非常にむずかしい問題を含んでいると思っております。
旅費というものはどういう性質のものであるかという
考え方、これにつきましても、同じ役人でありましても立場によって違うわけでありまして、御承知のように、終戦後全体としての給与べースが低いというようなこともございまして、
旅費に期待をするという感覚が相当びまんしておったことも事実でございます。そういう観点から、
旅費はいわば給与の一部である。
法律上の性質はともかくとして、実質として給与の一部なんであるというような感じを、ある一部の立場の人は持たれると思います。また純粋にこれを
旅費の性格ということから議論をいたしますと、これはあくまで
仕事のためのものである、
仕事がないのにみだりに
出張命令を出したり、従って
支給をするということは適当でない、こういう
考え方もあるわけであります。従いまして、具体的にある現実をとらえまして、一体その
旅費が多いか少いかという判断は非常にむずかしいのでありまして、もらう方の立場からいたしますれば、これはもちろん多々ますます弁ずということになると思います。また出す方といたしましては、もちろんこれは公務員の
旅費支給でございますから、当然
法律の立場に立ち、
予算の範囲内において、それをこえるような
出張命令を出すことはできない。具体的に一番問題なのは、適当な
出張命令が出されているかどうか、最も能率的な
出張命令が出されているかどうかということが一つ問題だと思います。それを前提にした上で、なおかつ、どうしても
予算が足らないということになりますると、これは非常な問題だと思います。
大蔵省といたしましては、この対象が非常に多く分れておりまして、その一々につきましてどの程度の
実情であるかということは、必ずしも十分に把握できておりません。
旅費の
法律の建前も、そういう執行は
各省大臣の責任において
各省大臣が
運営していく、こういう建前になっております。
予算の場合において、それらの
各省の御
要求を私
どもが受け取るわけでありますが、できるだけ
実情を伺いまして、そうしていやしくも
旅費がないために
仕事に差しさわりがあるというようなことはいたさないつもりでございます。勉強不十分で、そういう
考え方の
通りに現実がいっておるかどうか、こういう問題はなお研究の余地があろうと思いますが、私
どもの査定というか、
大蔵省で
予算を編成する
考え方の根本といたしましては、そういった
予算の作り方をいたしたい、こう思っております。ただ、しばしば私
どもも指摘しておるのでございますが、逆にタックスペイヤーの立場からすれば、むだな
出張は許されない。これはよくしろうとの人が役所に行くと、席ががらあきになっていて、いつも
出張しているというような、逆に今度は役人の立場からすると非常に曲解と思われるようなこともいわれるわけでありまして、そうした両方の立場の調整が私はむずかしいと思います。しかし支障を来たすような
予算は組みたくないという方針は持っております。