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1958-02-18 第28回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十八日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 坂本 泰良君    理事 關谷 勝利君 理事 田中 彰治君    理事 山本 猛夫君 理事 神近 市子君    理事 吉田 賢一君       加藤 精三君    堀川 恭平君       青野 武一君    淡谷 悠藏君       小川 豊明君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席政府委員         農林政務次官  本名  武君         農林事務官         (振興局長)  永野 正二君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局次長) 磯田 好祐君         大蔵事務官         (国税庁間税部         消費税課長)  坂野 常和君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部長)    中西 泰男君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部食品課長) 筒井 敬一君         会計検査院事務         官         (第一局長)  大澤  實君         会計検査院事務         官         (第四局長)  中川  薫君         北海道東北開発         公庫総裁    松田 令輔君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月十八日  委員生田宏一君、山本正一君及び上林與市郎君  辞任につき、その補欠として井原岸高君、林唯  義君及び小川豊明君が議長の指名で委員に選任  された。 同日  理事生田宏一委員辞任につき、その補欠とし  て井原岸高君が理事に当選した。 同日  理事山田長司辞任につき、その補欠として神  近市子君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書      ————◇—————
  2. 坂本泰良

    坂本委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りすることがあります。すなわち理事山田長司君より理事辞任申し出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂本泰良

    坂本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、これが補決選任でありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 坂本泰良

    坂本委員長 御異議なしと認めます。  それでは理事神近市子君を指名いたします。     —————————————
  5. 坂本泰良

    坂本委員長 昭和三十年度決算を議題といたします。  本日は右件中農林省所管につきまして質疑を行うことにいたします。発言の申し出がありますので、順次これを許します。吉田賢一君。
  6. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 先般農林省より提出されたテンサイ糖工場建設資金融資につきまして、若干質疑することにいたします。御説明を願いたいと思うのですが、余剰農産物資金融資に関する特別会計の点につきまして、まず大蔵省理財局当局より、三十年及び三十一年、三十二年にわたりまして、その財政投融資資金計画、あるいは内容としての民間への供給の相手方等につきまして、一応の御説明を伺いたいと思います。
  7. 磯田好祐

    磯田説明員 お答え申し上げます。ただいま三十年度、三十一年度余剰農産物資金融資計画がどういうふうになっておるかという御質問であったように拝聴したのでございますが、すでに御承知の通り余剰農産物資金融通につきましては、日本国米国との農産物受け入れに関する協定に基きまして、米国から余剰農産物を買い入れまして、そのうちの円資金国内電源開発農地開発、その他わが国の経済発展を促進するために必要な資金融通するということに相なっておるわけでございますが、昭和三十年度におきましては、この余剰農産物資金計画といたしまして、三十年度の財政投融資計画におきまして二百十四億の融通計画を立てておるのでございます。それから三十一年度におきましては、百七十七億六千万の余剰農産物財政投融資計画を立てておるわけでございます。この点につきましては、国会の御承認を得ておるような次第であります。
  8. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 貸付先内容、それから実績などあわせて御説明願いたい。
  9. 磯田好祐

    磯田説明員 三十年度の財政投融資計画におきまして、余剰農産物につきましては、二百十四億のうち電源開発のために百八十二億五千万円、生産性本部のために一億五千万円、農林漁業開発のために三十億円、合せまして二百十四億円の財政投融資計画決定したのでございます。  それから三十一年度におきましては、電源開発のために七十八億八千万円、生産性本部のために十億円、農林漁業開発のために八十八億八千万円、これを合せまして百七十七億六千万円ということになっておるのでございます。
  10. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 愛知用水とか農林漁業開発、それを区別して述べて下さい。
  11. 磯田好祐

    磯田説明員 さらに第一次の内訳を申し上げますと、二百十四億ということを申し上げたのでございますが、その内訳は、電源開発におきまして百八十二億五千万円、農地開発事業におきまして三十億円、さらにこの内訳愛知用水公団において十七億円、機械公団におきまして十三億円、生産性本部におきまして一億五千万円というふうになっておるのであります。  それから第二次の計画でございますが、電源開発におきまして七十八億八千三百万円、農地開発におきまして四十七億三千八百万円、その内訳を申し上げますと、愛知用水公団で四十一億九千八百万円、機械公団におきまして三億六千六百万円、開拓者資金融通特別会計に一億七千四百万円。農林漁業等開発のために四十一億四千五百万円ということになっておりまして、この内訳を申し上げますると、森林公団で十億円、枝肉市場におきまして二億七千二百万円、食肉加工におきまして二億四百十万円、漁港のために七億、肥料のために一億一千六百万円、テンサイ糖のために六億、工業用敷地造成事業のために五億、卸売市場のために四億一千九百万円、シルク・センターにおきまして一億五千万円、その他一億八千三百九十万円、生産性向上のために十億円、以上合計いたしまして百七十七億六千六百万円が第二次余剰農産物協定融資計画額でございます。
  12. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 お述べになったうちのテンサイ糖融資六億円、漁港改築融資七億円、この貸先、年月日条件などを述べて下さい。
  13. 磯田好祐

    磯田説明員 お答え申し上げます。テンサイ糖融資先でございますが、これはただいまもお答え申し上げましたように、融資計区画六億円ということに相なっておりまして、現在までの貸付実績は五億七千五百万ということに相なっております。その貸出先北海道開発公庫ということになっておりまして、北海道開発公庫がこれを芝浦精糖に転貸いたすことになっておりまして、その融資条件は三年据え置きの十五年の年賦償還ということになっているのでございます。  それからただいま御質問のありました漁港の点でございますが……。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと途中ですけれども、一ぺんに全部言ってもらいたいのですがね。たとえば利息が幾らとかいうこともみなあわせて述べてもらわないとこま切れのように質問しなければなりません。貸付年月日、いついつ貸したか、どうしたか、みな述べて下さいよ。
  15. 磯田好祐

    磯田説明員 ただいま手元に持って参っております資料で一応お答えいたします。  先ほどもお答え申し上げましたように、テンサイ糖融資先北海道開発公庫融資いたしまして、これを東京芝浦精糖に転貸することになっておりまして、貸付予定額は六億円ということになっているのでございます。しこういたしまして三十三年の二月十八日現在までの融資実績は、この六億のうち五億七千五百万円ということになっておりまして、そのうちで三十一年度に融資いたしました実績は四億八千万円、三十二年度に融資いたしました実績が九千五百万円、合せまして五億七千五百万円ということになっているのでございます。  この貸付条件でございますが、先ほどお話申し上げましたように、償還期間は十五年ということになっておりまして、うち三年の据え置きということになっております。それから利率は北海道開発公庫に対しまして、余剰農産物特別会計より年四分で貸し出ししまして、北海道開発公庫はこれを芝浦精糖に四分五厘で転貸をいたしておる、そういうことに相なっているのでございます。  それから漁港のための貸付でございますが、下関漁港のための融資が一億五千万円、神奈川県の三崎港の貸付のための融資が五億五千万円ということに相なっておるのでございます。一応現在までの融資実績下関の一億五千万円の融資予定額に対しまして、一億四千四百万円の融資実績になっております。それから神奈川県の三崎港に対しましては、五億五千万円の融資予定額に対しまして、三億一千万円の融資実績に相なっておるのでございます。このための融資条件でございますが、二十年間の年賦償還ということになっておりまして、そのうち三年間は据え置き、金利は四分ということに相なっておるのでございます。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 だれが借りたか、その貸付先は……。
  17. 磯田好祐

    磯田説明員 この下関の分につきましては、これを山口県に貸しております。三崎港の分につきましては、これを神奈川県に貸し出しをいたしておる次第でございます。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず余剰農産物借款資金貸付につきまして、テンサイ糖製糖会社に貸し付けるという方針はいつきまったのですか。言いかえますと、国会予算承認せられたときには、すでに明白になっておったのでありますか、いなや、その経緯を一応述べておいてもらいたい。
  19. 磯田好祐

    磯田説明員 その間の事情を御説明いたしますために、少しく第二次余剰農産物協定の成立の経過を御説明した方がいいかと思いますので、ちょっと時間を拝借いたしまして、その間の事情を申し述べさせていただきたいと思うのでございます。  第二次余剰農産物受け入れにつきましては、昭和三十一年の二月十日に協定が成立いたしまして、その協定額は六千五百八十万ドル、その協定総額におきまして二百三十六億八千七百万円ということになっておるのであります。ところが余剰農産物協定によりまして、日本側として融資し得る額はそのうちの七五%ということになっておりまして、先ほども申し上げましたような百七十七億六千六百万円の資金日本側財政投融資融資できるということに相なるのでございます。ところがこのうちでただいま申し上げましたように、第二次余剰農産物協定の締結ができましたのが、三十一年の二月の十日でございまして、その段階におきましては、まだこまかく融資先決定し得るに至っていなかったのであります。従いまして三十一年度の財政投融資計画といたしましては、先ほど説明いたしました百七十七億六千六百万円の三十一年度財政投融資計画の中で、農林漁業開発のための八十八億八千万円という形におきまして、包括的に国会の御承認を得たという次第であります。しかしながら、この余剰農産物資金性質並びにその重要性にかんがみまして、これを慎重に取り扱いをいたしますために、政府といたしましては、時期的な関係もありましたので、この配分を決定するためには、この貸付手続をきめる必要があるということで、昭和三十一年七月二十四日の閣議によりまして、余剰農産物資金融通特別会計資金貸付手続をきめまして、それによって閣議決定をいたしたのでございます。そのおもな要旨を申し上げますと、各省の長は余剰農産物資金貸付を必要と認めるときには、貸付見積書を作成して大蔵大臣に送付いたします。第三に大蔵大臣は、この貸付見積書を検討して、経済企画庁長官と協議の上で貸付計画を作成して閣議に諮るということになっておるのでございます。従いまして、本件のテンサイ糖の場合でございますが、財政投融資計画におきましては、先ほど申し上げました農林漁業開発の八十八億八千万円という形で包括的にきまりまして、そしてその詳細な中身は、ただいま申し上げました昭和三十一年の七月二十四日の閣議決定に基きまして、その具体的なテンサイ糖貸付計画決定したわけでございます。この閣議決定の日を申し上げますと、昭和三十一年十一月十日の閣議におきまして、このテンサイ糖に対する融資決定する閣議決定をいたしている次第でございます。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、三十一年度の財政投融資計画におきましては、八十八億八千万円は農林漁業開発資金として御計画になり、また余剰農産物資金特別会計におきましても同趣旨国会の御承認を得ておられる、まだその当時にはテンサイ糖工業への融資ということは方針としては政府はきめていなかった、こういうふうに理解していいのでございますか。
  21. 磯田好祐

    磯田説明員 先ほどちょっと御説明申し上げたのでございますが、第二次余剰農産物協定は、昭和三十一年の二月十日に日米両国政府間におきまして合意されたのでございますが、そのときの融資目的というものが交換公文によって決定いたしておりまして、その中身に五項あるのでありますが、その第二項に、森林畜産及び畜産品、港及び貯蔵施設国内用肥料並びに国内テンサイ糖工業発展という目的がきめられておるのでございまして、交換公文の第二項によりまして、日米相互間の合意によってテンサイ糖工業資金を出すということが決定されておるのでございます。それからまた三十一年度の予算及び財政投融資計画決定するようになりました、その第二項に、ただいまも申し上げました森林畜産及び畜産品、港及び貯蔵施設国内用肥料並びに国内テンサイ糖工業発展という項目がありまして、この項目の中の四十一億四千五百万円の中にテンサイ糖というものは入っていたわけでありまして、包括的な御承認を受け財政投融資計画としては包括的にきめられたのでございます。しかしながらその中に、テンサイ糖工業のために融資を行うということがすでに方針としては決定いたしておったような次第でございます。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、この三十一年度特別会計予算書の百二十一ページに貸付金の費途が明示されていて、1は電源開発事業貸付金、2は農地開発事業貸付金、3は開拓者資金融通特別会計貸付金、4は森林漁業等振興事業貸付金、5は日本生産性本部貸付金ということになっておりますが、この中にテンサイ糖工業への貸付が明示されておらないのはどういうわけですか。
  23. 磯田好祐

    磯田説明員 ただいま吉田委員のお読み上げになりました貸付金内訳といたしまして、森林漁港等振興事業貸付金四十一億四千五百万円というのが計上してあるのでございますが、この中にただいま申し上げましたテンサイ糖関係融資は入っていたということになるのでございます。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 森林漁港というのとテンサイ糖工業のたとえば工場建設資金というのとは、およそ目的趣旨内容が非常に異なるもののように思うのです。当然それは区別すべきものではないかと思いまするが、実はそれは入っていないというのがほんとうじゃなかったのでしょうか。
  25. 磯田好祐

    磯田説明員 お答え申し上げます。ただいま先生から拝借いたしました予算書貸付金の第四項目森林漁港等振興事業貸付金ということに相なっておりまして、この等の中にテンサイ糖貸付金計画というものも入っていたということになるのでございます。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 等と言えば何でもうまく含められるのでしょうけれども、やはり森林とか漁港とかと製糖会社工場建設資金というものは全く性質が違うものでありまするので、ことさらにそういう御説明をなさっておるのではないかというふうに考えられるのであります。なるほど三十一年二月十日の日米間における取りかわし文書等によれば、テンサイ糖工業発展のための用途が明記されていることはわかりますが、どうも予算書に明確にしなかったところに何か意味があるのではないだろうかと思うのであります。これは主計局所管大蔵大臣所管でありますから、あなたの方がこれを作成されるべき立場でないように思うので、今あなたと問答してもしようがないんだが、その辺はばく然としておって、あとでこれを入れるということにしたのではないでしょうか。たとえば日米間の協定の第五条に定める借款資金について、その目的は次の通りに使用することが合意されるということが明らかにされておりますが(1)は灌漑排水開拓及びこれらに関連する事業、(2)が森林畜産及び畜産品、港及び貯蔵施設国内用肥料並びに国内テンサイ糖工業発展、(3)が電力資源開発、(4)が日本国経済生産性増進、(5)が相互に合意される目的の範囲内のその他の経済開発計画、そうしますと、この第四項の等という中には、これは灌漑排水関連事業だし、それから畜産も、さっきの港も——港は漁港ということが書いてありません、ここには港となっておるのだから、運輸省所管の港も入るのだろうと思う。貯蔵施設国内用肥料——肥料というとまた各般の肥料、その他(4)には日本国経済生産性増進とある。日本国経済生産性増進ということになりましたら、これは森羅万象を対象にした一切の政府経済計画が入るだろうと思う。そうしますと、この等という中にはこれもみな入るというふうに理解していいのでしょうか。これはあなたにはちょっと無理だろうと思う。テンサイ糖工業融資の問題を究明するためにはやはりこの辺からはっきりしていかなければならぬと思いますが、あなたは等の中にそういうものを全部含むというような御答弁はできないでしょうね。念を押しておきますが、無理でしょうね。
  27. 磯田好祐

    磯田説明員 今お話し森林漁港等の中に含まれておるというふうに解釈いたします。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはその御答弁を責任を持ってできると言うのですか。はっきりしておいて下さい。何もそう無理にお願いするのではないですから。
  29. 磯田好祐

    磯田説明員 ただいま吉田委員お話があったのでございますが、先ほどお話もありましたようにいろいろな融資目的があり得るわけでございます。しかしながら、この場合におきましては、第二次余剰農産物受け入れのときの経緯並びに予算編成のときの経緯等から申し上げまして、その森林漁港等の等の中に含んでおるということは確かであると思います。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わからぬ。何も百般の予算編成理財局が関与するわけではない。そうでしょう、理財局所管事項ではないから。あなたは運輸省所管の港のことに関与することはなかろうと思う。灌漑排水開拓等農林省所管の問題、ずいぶんとたくさんにあるわけでございますが、そういうものみんなを含めておるというふうに解釈することは少しこじつけのように思うのですが、あなたがそうしいておっしゃるなら、はっきり伺いたいのはこの四十一億四千五百万円というものは、それならばこまかい積算の基礎があって、今私が読み上げましたようなもの全部が何か割当等ができているということの御答弁はできますか。
  31. 磯田好祐

    磯田説明員 先ほどお話し申し上げましたように……。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう先ほど申し上げたことの繰り返しなら要らぬのですよ。だからできぬならできぬにしておいてもらいたい。
  33. 磯田好祐

    磯田説明員 第二次余剰農産物受け入れ資金のうちで、日本側が使用し得る資金が百七十七億六千六百万円あったのでございまして、その中から電源開発農地開発その他の各種の事業積算をいたしました結果、そういうふうになったのでございます。この森林漁港等中身につきましては、その当時においてはまだ確定してなかったのでございますが、そういう目的のために四十一億四千五百万円という資金を計上したわけでございます。この中身につきましては、先ほども御説明いたしましたように、閣議を経まして慎重に具体的にその内容決定した。しかしながら、この森林漁港等の等の中に含むかどうかという問題は、第二次余剰農産物受け入れのときの日米交渉経緯並びに昭和三十一年度予算並びに財政投融資計画をきめるときからの経緯から申しまして、この中に含んでいたということはお答えできると思います。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この中に含んでいたということはお答えできるというだけでは答弁にならぬのです。私の伺うのは、あなたに伺ってみたところが、協定第五条に基く使用目的の表示として、五つの項目があげられておる。その第二の項目のうちにテンサイ糖工業資金が掲げられてあるので、それがこの中に入っておるのだ、それは等である、こういうような御説明であった。そこで私は、一から五までをあげてみると、農林省所管運輸省所管その他各省所管経済生産性増進というようなばく然としたようなものに至るまでいろいろと掲げられてあるので、一切を含んでおるということになるのかどうか、こういうふうな疑いを持たざるを得ないのであります。それであなたに伺っておるのだが、そういうふうに、今あげられてある全部のもの、従ってそのうち何に幾らという割り振りというようなものまで等の中に入っておるというふうにはちょっと考えられないのですがね。そこでそういうものは全然入っておらぬのだ、これはテンサイ糖だけだ、こういうふうならまた意味はわかりますけれども、それなら何ゆえにそれを別に記載しなかったのだろうかというのだが、これはあなたに問うのは所管でないから無理ではなかろうかと思って遠慮しておるのだけれども、いずれにいたしましても、この等という中には、テンサイ糖だけではなしに、ほかの目的資金も入っておったのだ、ほかのという意味は、森林漁港以外です、あなたの御説明を聞くとそういうことにも解釈されるのだが、そうなのですか。そういう辺は、わからぬということならわからぬにしておいてもらいたいのだが……。
  35. 磯田好祐

    磯田説明員 ただいまお話し通り、その他の目的のものも入っておるのでございます。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当初この中でテンサイ糖工業には幾ら入っておるのです。
  37. 磯田好祐

    磯田説明員 先ほど答弁いたしました通りテンサイ糖工業には六億でございます。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農林省振興局長に伺います。農林省へ、テンサイ糖工業について、余剰農産物資金の借り受けの申請手続をしましたのは、いつどういう会社がどういう目的で、どのくらいの金額があったのか、それを御説明願いたい。
  39. 永野正二

    永野政府委員 ただいま大蔵省からも御説明がございましたように、余剰農産物見返り資金でもって北海道農業開発のために非常に役に立つところのテンサイ糖工場新設融資対象に相なるということでございましたので、その目的を持ちまして先ほど説明のございました台糖、芝浦精糖北海道経済農業協同組合連合会から農林省に対しましてテンサイ糖工場新設計画説明があったのでございますが、ただいま御質問融資計画ということにつきましては、いずれの各社の工場新設計画を取り上げるかどうかということがまず問題になったのでございまして、農林省に対しまして何億何千万円の貸付を申請するという手続をとったのではないのでございます。農林省といたしましては、北海道におきますテンサイ作付面積、それらのいろいろな条件を勘案いたしまして、どういう会社にどこに工場新設させることが適当であるかという方針の検討をいたしまして、その方針決定をいたしました上で、大蔵省その他関係官庁に対しまして見返り資金融資を協議いたしたという経緯に相なっておるのでございます。従いましてただいま御質問の何月何日にどの会社から幾ら融資申請があったかということにつきましては、そういう段取りにはなっておらないのでございます。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはこう理解すべきなんですか。農林省テンサイ糖工業についての余剰農産物資金の借り受けに関しては、その貸付の申し入れ、あるいは貸付先決定あるいは貸付先の審議、貸し付けるべき目的事業等の適否ということについては関与しないということになるのですか。もう一つ、テンサイ糖工業のために資金を借り受けようとする場合、その手続順序はどういうことになるのですか。その二点を明らかにしていただきたい。
  41. 永野正二

    永野政府委員 ただいま御説明いたしましたように、農林省といたしましては北海道農業開発の見地、また砂糖をなるべく国内で自給するという見地におきまして、テンサイ糖工場新設計画がございますれば、それを審査をいたしまして、どういう方針工場新設して行くべきかという農林省としての方針決定いたすわけでございます。それに基きまして先ほど理財局次長から御説明のございましたような閣議決定融資手続に従いまして、大蔵省融資の見積りを提出いたし、大蔵省では経済企画庁長官と協議をされまして、その原案を閣議に提出されました、それが閣議決定になっておるという段取りでございます。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 融資の見積りを提出する場合には、どこに融資をすべきかということの審査は当然必要であろうと思うのだが、それはしないのですか。
  43. 永野正二

    永野政府委員 もちろん見積りを提出いたします場合には、それがどの会社のどこの工場融資をされるものであるということは、説明の過程において明らかになっておるのでございます。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 金を借りるのだから、借りる方も貸してほしいという意思表示がなければならぬと思う。相手が自己資金でやるか、余剰農産物資金を目当てにしておるか、それも明らかにさるべき筋だと思う。それならば芝浦精糖、台糖、あるいは農協の北連などが、どの資金をもって、どういう計画を立てて、あるいはこの余剰農産物資金を借りたいという目的が具体的にあるかないか、そういうことも全部これは明らかにならねばなるまいと思うのであるが、これは申請もしくは借款の申し入れとか何とか、そういう普通の金融機関への申し入れのごとき手続、もしくはそれに実質上類するような趣旨の申し入れ、あるいはその選定を請うべく依頼の趣旨でありますが、いずれにしても、その目的を達するために、農林省へ何らかの許可とか認可とか、あるいは協力を求めるという意思表示があるだろうと思うのですが、これはないのですか。
  45. 永野正二

    永野政府委員 先ほどのお尋ねは、借り入れの申請というふうに私受け取りましたのでああいうお答えをいたしたのでございますが、テンサイ糖工場の建設計画につきましては、私どもは各社からの申請と申しますか、希望と申しますか、受け取っておるのでございます。具体的に申しますと、芝浦精糖からは三十年の九月の十九日に受け取っております。それから台糖からは三十年の十月十日に受け取っております。これは先ほどの御質問のような借り入れの申請ということではなくて、こういう方針テンサイ糖工場新設したいという計画説明があったという性質のものでございます。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 だから私は申し上げるのであって、それはあなたも希望か計画かわからぬようなことをおっしゃるのだが、いずれにしても、農林省がどこの会社に何ほど貸すべきだという趣旨計画書を最後に策定するとおっしゃっているのだから、それならば芝浦精糖が何ほどの金額を借りたいということを計画内容に明らかにされてあることは、これは当然だろうと思う。同様にこれは台糖においても、北連においても同様であります。それならば一つどういう趣旨の文書が出されたか、その趣旨内容はどうだったかということは御答弁できると思うのですが、どうですか。
  47. 永野正二

    永野政府委員 そういう意味先ほど申し上げました日付におきまして、両者から工場の建設計画の提出があったのでございますが、その金融的な部分につきまして申し上げますと、芝浦精糖からは、当初の事業計画といたしまして十五億三千万円の建設ということの計画でございました。それに対しまして余剰農産物または開銀等の政府資金融資を十億希望して参っておるのでございます。台糖からは同じく建設資金が十五億六千五百万円の計画でございまして、これに対しまして余剰農産物見返り資金を七億五千万円の希望があったのでございます。これらは先ほどのお尋ねの融資の申し込みという意味よりも、むしろ事業計画の一部分という意味に私どもは受け取っておるわけでございます。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農協の北海道経済連合会はないのですか。
  49. 永野正二

    永野政府委員 北連の分はちょっと実はおくれて参ったのでございますが、本日資料を持って参りませんので……。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 台糖はいつそういう計画書を農林省に出しましたか。芝浦精糖はいつ出しましたか。
  51. 永野正二

    永野政府委員 台糖は三十年の十月十日でございます。芝浦精糖は三十年の九月十九日でございます。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは最終的に、何ほどの余剰農産物資金をもって貸しつけるべきだという趣旨のそういう文書が作成されたのはいつなんですか。金額はどういう内容になっておりますか。
  53. 永野正二

    永野政府委員 その点は農林省からの資金計画の見積りに基きまして、先ほど理財局次長がお答えになりましたように、私の方の調べでは、昭和三十一年の十一月十三日に、貸付予定額六億円を、テンサイ糖工業発展目的ということで北海道開発公庫に貸し付ける、さらに北海道開発公庫から芝浦精糖株式会社に貸し付けられるという説明をつけまして閣議決定をいたしたのが、これの決定でございます。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十年の十月に台糖は計画書を出し、同じく九月に芝浦精糖が出している。そこで台糖は七億五千万円、芝浦精糖は十億円を余剰農産物資金として求めている。ところがどうして台糖にこれを貸し付けることにしなかったのか。これらにつきましては、一体あなたの振興局がそういうものを最終的にきめるのか、それとも農林大臣がきめるのか、形式はともかくといたしまして実質的に関与するのか、あるいは大蔵省とも協議するのか、通産省とも協議するのか、経企庁とも協議するのか、その辺はどういうことになっておりますか。
  55. 永野正二

    永野政府委員 お尋ねの要点は、台糖の申請がどうなったのかということと、それからこういうことを決定することの手続はどうであるかというお尋ねであると了解いたします。台糖の計画は、この北海道テンサイ糖工場新設の問題の検討の過程におきまして、こういうふうに数社から申請が出て参りましたけれども、これに対しまして政府資金融資せられます限度は、先ほどの御説明でもございましたように大体六億円でございまして、これを数社で分割いたしますと、希望いたしております政府資金の量に対しまして非常にほど遠いということに相なりますので、一年で数個の工場がこの見返り資金によりまして建設されるということは、非常に困難であるという事情が明瞭になったことが第一でございます。第二は、原料関係であると思うのでございます。御承知のように、テンサイ糖工場は、その工場が稼働いたしますに足るだけの原料を集荷することの見込みが確実でございませんと、非常に事業的に危険でございますので、原料関係から申しましても、当時テンサイ生産の中心地の方に工場を建設しようという芝浦精糖に対しまして、従来作付面積のあまり多くございませんでした道南地方に建設を予定いたしておりました台糖の方が、原料の集荷により多くの危険を感じたということであろうと思うのでございます。第三は、当時、鉄鋼を中心といたします建設資材の非常に急激な値上りがあったということでございます。これらの事情を台糖の当事者がいろいろ判断いたしました結果、この三十一年度の計画につきましては見合せるということを決定して参りましたので、台糖の方はとりやめになったわけでございます。  それからこういうことを決定いたします手続といたしましては、私の方の振興局で、北海道テンサイの生産がどのくらいの見通しになるか、これに対して工場建設は、どこにどういうスピードでやっていったらいいかという工場建設の基本的なと申しますか、前提となるような審査をいたしました。それに基きまして資金でございますが、農林省で決をとりまして、先ほど申し上げましたように大蔵省見返り資金融資の見積りを提出する、あるいは工場建設のため必要であれば農地法の手続をとるというようないろいろな手続はそれぞれの所管の部局において担当いたす、こういうことに相なるわけであります。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 台糖の七億五千万円、それから芝浦精糖の十億円、これが余剰農産物資金内容をなす、こういう趣旨になっておりますか。
  57. 永野正二

    永野政府委員 台糖のはただいまお話通りでございます。芝浦精糖の十億円は余剰農産物開発銀行の融資か、両方包括したような希望になっております。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産省の松尾局長に伺いますが、やはり一流の精糖会社でありまする、たとえば台糖、それから芝浦精糖におきましても、余剰農産物資金政府の原案としましてこの際六億円しかテンサイ糖工業へ回るようになっておらぬときに、それを過剰する資金を求めるということは一体どういうものなのですか。その点はどういうことになるのでございますか。
  59. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 ちょっと質問の御趣旨がよくわかりかねるのでありますが……。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省の御説明によると余剰農産物資金テンサイ糖工業に振り向ける金額は六億円になっておる。六億円にきまっておるものを七億五千万円も借り入れることを企図するというのはどういうわけであるか、こういうことが私には疑問なのです。でありまするので芝浦にしても台糖にしても六億円を超過することを求めるのはどういう趣旨なのだろう、こういうことをお尋ねするのですが、もっともあなたの方は精糖会社、こういう営利会社等はいろいろな行政指導の対象になっておられるので伺うのですが……。
  61. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 実はこのテンサイ糖工業育成ないし各社に対します資金の配分につきましては、実はわれわれの省としましては全然所管外でございますので、一こうに承知をいたしておりません。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 北海道開発公庫の松田総裁に伺いますが、この資金貸付につきまして、あなたの方へはすでに芝浦のみに決定してから後に何らかの通知があって、台糖の借り入れの希望等、その間の事情はあなたの方には全然入ってこない、こういうことになるのでありましょうか。
  63. 松田令輔

    ○松田説明員 お答え申し上げます。私どもの方へ話がありましたのはおよそ八月の初旬でありまして、私どもの方へ申し入れがありましたのは、当時芝浦精糖だけでありました。ただいまのような台糖その他の関係は私ども一切承知いたしておりません。さような状態であります。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 振興局長に伺いますが、きょう現在再び台糖におきましては、二十数億円の資金を求めて新しいテンサイ糖工場の建設計画を出しておるようでありますが、これは御承知ですか。
  65. 永野正二

    永野政府委員 それはよく承知しております。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その内容はどういうことですか。
  67. 永野正二

    永野政府委員 台糖は、三十年から三十一年にかけまして、建設の希望を持っておったのでございますが、先ほども申しましたような種々の事情で、特に建築費の非常な急激な増高という点で、会社の運営方針からいって、それではこの際は一時見合せようということになっておったのでございます。その後北海道におきまするテンサイ作付面積が急激に伸長して参りました。昭和三十二年におきましては、二万八千町歩をこし、また本年昭和三十三年におきましては三万三千町歩をこすというように、北海道テンサイの作付の増加が非常に順調に伸びて参ったのであります。これは何と申しましてもテンサイというものが北海道の農業の悩みでございます冷害を避けるための非常にいい作物である、またこのテンサイの作物の性質から申しまして、根が深く入りまして、土壌の窒素その他の成分が一たん吸収をされましても、これは残らずかすという形で、いわゆるビートパルプの形で家畜の腹を通して畑に返ってくる、従いまして、非常に地方をふやす作物として農民の認識が徹底した。また第三には、品種改良が非常に成功いたしまして、褐斑病等の病気を防ぐような新しい有力な品種ができたというようなことがおもなる原因であろうかと思います。そういう原因でテンサイの作付が非常に順調な伸びを示しておるわけでございます。従いまして、現在の経済事情のため、また現在のテンサイの集荷事情からいえば、今が道南地方に工場を一つ建設するのにはいい機会だという判断をしたと思いますので、こういう申請が出て参ったわけであります。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 理財局次長に聞きますが、北連の余剰農産物資金貸付の希望はなかったのですが、現在どうなっておりますか。
  69. 磯田好祐

    磯田説明員 第一次、第二次の余剰農産物受け入れにつきましては、先ほど来御説明した通りでございますが、第三次の余剰農産物受け入れにつきまして日米双方間でいろいろ話し合ったのでございますが、第三次の余剰農産物につきましては、入らないということに決定いたしたのでございます。従いまして、三十二年度の予算におきましては、予剰農産物関係資金は見込んでないのでございます。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたに伺うのは、これまたいかがかと思いますが、テンサイ糖工業は、作付農家のためにも、あるいはまた北海道の農業のためにも、産業のためにも、各般の角度から見て非常に重要なことであることは申すまでもないことでありますが、特に芝浦と台糖との間のこの競争というものが相当激甚をきわめておったということは、これまた北海道経済事情に少し通じた者はみな知っておるところであります。そこで金利四分五厘、十五ヵ年年賦というものでの工場の建設でありますから、その他の経済事情の変化に伴いまして損益のあるということは、一応別問題にいたしまして、ともかく競願の態勢が漸次激化してきたということは、公知の事実でございます。台糖の出願の趣旨内容等も、閣議に要請するときには明らかにすべきであったと思うのでありますが、三十一年十一月十三日の閣議に対しまして、そのような資料を全部出したのであるかどうか。今振興局長の話によると、損になるから自発的に取りやめたんだというような御説明なんだが、あなたはその説明しかできないだろうと思うけれども、そういうことを信じている人はほとんどないのでございまして、ついに涙をのんで台糖は引き下ったということは、今日ほとんど公知の事実になっております。このようないきさつは、やはり閣議決定では相当重要課題として、資料を全部出さねばならぬと私は考えておるのです。ことにまた半面から見るというと、灌漑排水その他の貧弱な農業への補助的事業資金としても使い得る道が開けてあるのでありますから、膨大な利益を得る会社が、低利で長期の金を非常に有利な条件で借りられるというような場合には、これを最終的に選別するためには、やはり相当資料が閣議に出なければならぬと思うのだが、閣議を求め、閣議に提出する資料として、一切こういうものを明らかにしたものであろうかどうであろうか、その辺の消息を一つ説明してもらいたい。
  71. 磯田好祐

    磯田説明員 テンサイ糖融資につきまして、芝浦に貸付決定する際に、台糖の分についての資料を当時の閣議に提出したかどうかという御質問だというふうにお聞きしたのでありますが、先ほどお話申し上げました通り大蔵大臣といたしましては、各省各庁の長が余剰農産物資金貸付することを必要と認める見積書を提出して参りました際に、その資料を検討いたしまして、これを閣議に出すという形になっておるのでございます。その結果といたしまして、ただいまの具体的な案件の場合におきましては、昭和三十一年十一月十三日の閣議決定したのでございますが、そのときにはテンサイ糖発展計画といたしまして、貸付予定額六億円、北海道開発公庫といたしまして、目的の区分としては、森林畜産及び畜産品、港及び貯蔵施設国内用肥料並びに国内テンサイ糖工業発展という項目に該当するということと、北海道開発公庫を通じて芝浦精糖株式会社に貸し付けられる予定である、こういう資料を閣議に提出いたしておるのでございます。今手元にある資料といたしましては、これ以上のことはちょっとはっきりいたしません。当時台糖の分につきます見積書等は出していないと考えております。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農林政務次官に聞きますが、この問題は非常に重大な内容を持っておりますので、一切の経緯を明らかにして閣議に付すべきだと思いますが、その趣旨におきまして、競願者との競願を取りやめるに至った経緯など、資料として閣議に出すべきだと思いますが、そういうものは閣議には報告するということもしなかったのでありますか。
  73. 本名武

    ○本名政府委員 先ほど振興局長からもお答え申し上げました通り、台糖の計画が自発的に方針を変えたということが、果して妥当かどうか、むしろ見返り資金貸付が不可能になったために方針を変えたんでないかというような意味のことを含んでの御質問でないかと思うのですが、実は当時、台糖の計画といたしましては、芝浦精糖並びに台糖が、両者競願の形になって企業の計画を立てられると同時に、資金コストの有利な見返り資金を望んで資金計画を立てたという場合に、第二次の余剰農産物見返り資金は、第三次の余剰農産物見返り資金と一応連続して、このビート工業建設資金に回すという計画もあったように記憶しているのでありますが、その場合、先ほど振興局長が述べたように、立地条件、原料の生産実情、あるいは会社みずからの御計画の変更によって一応辞退するということになれば、当然第二次の見返り資金は一応芝浦に回し、第三次は台糖の方に回すというようなことも可能ではないかという話も出ておったように記憶いたしております。いずれにいたしましても、台糖みずからは、そういうような企業の創意に立ってみずから御判断なさって、辞退なされたことと私どもは信じております。そこで、事前にそういうような申出があったからといって、こういういきさつがあったということをあらためて閣議に諮って、芝浦精糖決定する必要は当時なかったので、むしろ第二次の見返り資金を当て込んで建設計画をされた芝浦の申し込みに対して、閣議がそれを取り上げることのみで、当時は十分事が足りていたと私どもは理解いたしております。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それなら振興局長に伺いますが、この計画の立案につきましては、当然利害関係のある台糖の立場、それから資金が分割されることによって計画の実現が困難になるというような事情、それからそれはどの地域に作ることが——たとえば台糖は道南地域に作るという計画があったようでありますが、そういうことが北海道テンサイ糖工業開発のために適当であるかどうか、そういうことはやはり経済企画庁関係におきまして相当重視すべきだろうと思うのであります。結局閣議としては、そういうようなあらゆる資料も十分に検討されるべき筋の案件だろうと私は考えるのでありますが、振興局におきましても、振興局がするしないは別といたしまして、農林省においても、やはり経済企画庁等との関連においても、相当協議するのが当然だろうと思うのであります。あるいはまた大蔵省との関係におきましても、資金を分割することの当否ということも協議すべきじゃないか。そういう協議をやるべき筋の案件のように思うんだが、その点はいかがですか。これは振興局長でも次官でも、どちらでもよろしゅうございます。
  75. 永野正二

    永野政府委員 テンサイ糖工場をどこにどういうふうに建てるかということは、北海道農業の振興の意味からまず判断をして参っておるのでございます。その他資金計画、いろいろな付随的な問題がございますが、その中心的な判断は、農林省農林省の中の振興局において検討いたして、判断をしてしかるべきものだと思うのでございます。他の官庁にいろいろ協議をいたします点は、日本の経済の全面的な発展にどういう関係を持つか、あるいは資金計画にどういう関係を持つかというような点について、他の官庁にはもちろんそういう意味で協議はいたしますけれども、テンサイ糖工場新設北海道農業に関連して可とするか否とあるかという判断は、これは農林省において、また農林省の中では振興局においていたすという建前であると考えております。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと結局農林省振興局長が、台糖に融資をすべきか、あるいは芝浦に融資をすべきかということの実質的な判定をする一番重要な機関であった、こういうことになるのですか。その当時の振興局長はだれです。
  77. 永野正二

    永野政府委員 それだけで、振興局長がそう言ったから、見返り資金振興局長の言う通り融資をされるというわけではございません。ただ北海道におけるテンサイ農業の発展のために、工場をいつどこに建てるかという基本的な考え方というものは、農林省におきまして、また農林省の中においては振興局におきまして判断をする責任を持っておるという意味を申し上げたのでございます。従いまして振興局の判断で資金なり何なりが全部きまってしまうということではございません。第二のお答えといたしましては、大坪農林水産技術会議事務局長が当時の振興局長でございます。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その当時の事実上の審査の段階においては、農林大臣は関与しなかったのですか。
  79. 永野正二

    永野政府委員 振興局において意見を具して大臣の御指示を仰いでおると思うのでございます。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 台糖が自発的に取り下げることになったということは、それは振興局を通してということになったんでありましょうか。あるいは台糖が自発的に取り下げることになりました当時は、先方から何か書類を取り下げるというような、単なる手続であったのでありますか。     〔委員長退席、神近委員長代理着席〕 あなたの方で何らかの示唆でも与えたということはなかったのですか。
  81. 永野正二

    永野政府委員 台糖からの見合せの意思表示は、書面で振興局に対してあったのでございます。それに対しまして、振興局において示唆をしたということはございません。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 松田総裁に聞きますが、大体金利関係におきましては営利会社が普通財政資金その他この種の外国の借款資金を利用するようなもの一切を含めまして、年四分六厘、十五ヵ年賦というのは、ほかに多くの類例があるのですか。
  83. 松田令輔

    ○松田説明員 余震資金貸し出しの、実は私ども経由機関になっておるのですが、この余農資金自身の金利関係は、私どもただこの経由した芝浦に対するものだけを承知いたしておるのでありまして、他の事柄は実は私どもよくわかっておりません。私どもといたしましての融資は、これは一般の金利水準に従いまして九分ということになっております。余震資金関係は別の建前になっておりまして、その辺の事情は存じておりません。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当時台糖の資金状況あるいは利益の状況、所得利益の状況、あるいは他から資金を求めた状況、そういうものはあなたの方は調査はしてないのですか。台糖、芝浦精糖、両者の比較……。
  85. 松田令輔

    ○松田説明員 私どもの方は芝浦から申し入れを受けただけでありまして、台糖からは当時全然話は受けておりません。台糖の内容につきましては、当時調査いたしたことはございません。芝浦だけにつきましていたしたのであります。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局何ですか。振興局長にちょっと重ねて念を押しておきますが、台糖の競願の実情とか、あるいは最終的な第一次の申請でありますが、それが終ったということは、あなたの方で書類はもうやみからやみに行ってしまって、表向きには全然ならずに、他の官庁に対してもその確認報告もなく、閣議にはもちろん資料も出さなければ報告もしない、こういうことに終ってしまった、こういうふうに理解していいのでございますか。
  87. 永野正二

    永野政府委員 振興局といたしましてはテンサイ糖工場の建設の可否についていろいろ審査をいたした段階でございます。その段階の途中におきまして先ほど申し上げましたような台糖の辞退に相なったのでございます。従いまして公の書類において、これが外部の官庁と協議の書類になったというようなことはございません。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではこの台糖並びに芝浦精糖があなたの局へ出した各般の書類は、今保存しておりましょうね。保存しておれば一つ出してもらいたい。お諮り願いたいと思います。
  89. 永野正二

    永野政府委員 ただいまの点は省内におきまして協議をいたしまして……。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 保存しておるかどうかを聞きたい、保存してありますか。
  91. 永野正二

    永野政府委員 保存をいたしております。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 保存しておるとすれば、台糖並びに芝浦精糖が提出したただいまの借り入れに関する一切の書類、原本を当委員会に一つ参考に出してもらうことをお諮り願います。農林次官にお約束をしておきます。
  93. 本名武

    ○本名政府委員 保存の程度、内容等については私はよくわかりませんが、保存しているものとすれば当然御要求があれば提出しなければならないと考えております。なおその保存の程度、内容については、帰りましてよく相談いたします。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 内容をどうというのでなしに、提出してもらいたいということで、一つあなたの方で約束しておいてもらいたい。よろしゅうございますか。
  95. 本名武

    ○本名政府委員 保存している限りのものは提出するようにいたします。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではそれは最も近い期日、一つここ二、三日にでも当委員会に出すようにお計らい願いたいと思います。委員長そういうふうに一つ申し入れをしておいて下さい。
  97. 神近市子

    神近委員長代理 承知いたしました。それではあとでこちらで取り計らいます。小川豊明君。
  98. 小川豊明

    小川(豊)委員 国税庁の方来ておられますね。それでは一点だけ伺いたいと思います。砂糖消費税の制度を見ますと、三十二年には五百三十一億六千四百万円あるのです。これは月平均すると四十四億というふうになるわけですが、砂糖消費税はかつて三月延納が許されておったと記憶しております。今は二月ほどの延納が許されておると聞いておるのですが、二月ほどになっておるのかおらないのか。さらにもしそれが一月でも二月でも延納が許されておるとするならば、それはどういう根拠によって許されておるのか、さらにそれを許しておるそうした制度の趣旨なり精神なりというものは、どういう点からこういうものが許されておるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  99. 坂野常和

    ○坂野説明員 お答えいたします。砂糖消費税法には延納の制度がございません。従いましてただいま御質問のような二カ月とか三カ月とかいうような延納の制度にはなっておりません。
  100. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、製糖会社は四十日もくしは四十五日くらい——二カ月とはなっておらぬが、四十五日くらいはおくれて納めてもいいようになっておるんだ、こういうふうにいっておるが、そういう制度はないという。どうしてこれは四十日なり四十五日なりおくらして納めてもいいわけですか。
  101. 坂野常和

    ○坂野説明員 ただいまの御質問は延納の制度と伺いましたので、そうお答えいたしましたが、納期の問題は、御質問のように、平均四十五日の納期になっております。これは、御承知のように、月まとめ申告でございますから、その関係で平均四十五日、砂糖を作ってから四十五日目に税金を納めるという制度になっております。
  102. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、四十五日というのは別に特権とかなんとかいうものではなくて、まさに単なる事務的な問題で、事務上そうしなければならないから四十五日となっておるのですか。四十五日おくれるというのはどういうことですか。ただ単に事務的なものですか。
  103. 坂野常和

    ○坂野説明員 単なる事務的な問題であります。
  104. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこのところをちょっと詳しく説明してくれませんか。  そうすると原糖を溶糖していって、精糖会社から蔵出しされるときにすでに価格に消費税は入っておるわけでしょう。その消費税が四十五日後でなければこれは精算がつかないから、こうなっているのですか。
  105. 坂野常和

    ○坂野説明員 御趣旨通りでございます。消費税全般につきまして納期がいろいろになっておりますが、大体一月半とか二月となっておりますのは、すべて税の転嫁する時期を見込んでの立法になっていると思います。
  106. 山田長司

    山田委員 関連して。消費税の三十年度、三十一年度、三十二年度の額を、ここでわかるならば教えていただきたい。
  107. 坂野常和

    ○坂野説明員 砂糖消費税の課税額でございますが、三十年度の課税額は四百八十二億、三十一年度は四百六十四億七千六百万円、三十二年度の課税額はまだわかりません。
  108. 山田長司

    山田委員 だんだん減ってきている状態というのはどこに原因がありますか。もしわかれば……。
  109. 坂野常和

    ○坂野説明員 ただいま申し上げました数字は、今手持ちの手帳の数字でございまして、あるいは非常に失礼しまして明確を欠いたかもしれませんが、私の記憶におきましては砂糖消費税の税額がだんだん減っている傾向にあるとは思っておりません。数字を持っておりませんので至急検討いたしますが、もし今の数字が正しいといたしますと、昭和三十年の七月及び昭和三十一年四月に税法改正がありまして、それまで引き取り時課税であったものが、移出月まとめ課税になりましたので、引き取り時課税はそのつど申告して納めるという制度でありましたが、移出課税は月まとめ申告でございますから、その間のズレが押せ押せになって、約一月分ずれた年が生じたのではないかと思います。
  110. 山田長司

    山田委員 砂糖の値段が高くなったことによって消費量が減少したという、そのことによって少くなったんだという説があるのですが、この点どうなんです。
  111. 坂野常和

    ○坂野説明員 砂糖の消費量等の検討は国税庁でいたしておりませんので、私どもにはわかりかねます。
  112. 山田長司

    山田委員 今の税率の資料がありましたら、あとで御提出願いたい。
  113. 坂野常和

    ○坂野説明員 承知いたしました。
  114. 小川豊明

    小川(豊)委員 消費税課長はけっこうです。  食糧庁食品課長にちょっとお尋ねしますが、ここで砂糖の実需者割当をやっておるわけですね。その実需者割当というのはどういう精神なり、どういう方針でやっておられるのですか。
  115. 筒井敬一

    ○筒井説明員 ただいまの御質問は、いわゆる実需者割当がどういう趣旨でやっているか、こういう御質問かと思いますが、これはこの砂糖につきすところの割当制度そのものの全般的なところから御説明しないと、ちょっと御理解できかねるかと存ずるのでございますが、それを簡単に申し上げますと、現在大部分の砂糖を海外から輸入いたしております。従いまして、これをどういうような形で割当をいたして参るかということになりますが、それは現在形式上は輸入商社割当という形になっております。その輸入商社の割当の中に二つ種類がございまして、純然たる商社活動の促進という意味でやられますところの商社に対する割当と、メーカー、精糖会社でございますが、精糖会社に対しますところの内示書付のいわゆる商社割当、こういう二種類がございます。従いまして、そういう形でもって一般的に砂糖の輸入の割当をしておるわけでございます。ところがこの実需者の割当というのはどういうことかと申しますと、われわれは割当とは申しておらないのでございまして、配分というような言葉を使っておりますが、これは元来商社割当の中から商社割当の形をとりまして、そうして砂糖を使いますところの菓子とかあるいはパンとかつくだ煮とかそういうもの、あるいはまた大きな消費団体でありますところの生協というようなものに対しまして、国際価格が非常に変動いたしまして、必ずしも国内の価格と一致いたさない関係もございますので、できるだけ安い形で、そういう砂糖を使われるところの人たちに配分するという趣旨で、二十九年度からこの実需者に対しまして商社の割当の中から配分をいたすことについて、役所の方でごあっせんを申し上げて、それが手に入るようにいたしておるわけであります。従いましてこの砂糖は精糖会社の方に委託加工いたしまして、それぞれの業者に配分する、こういうことになっておる次第でございます。
  116. 小川豊明

    小川(豊)委員 それではあなたの方で実需者に配分するということについて、その実需者というのはどういう規定なり規準なりによってやっておられるか。
  117. 筒井敬一

    ○筒井説明員 この実需者の対象でございますが、これはどういうものかということでございますが、これは砂糖を使いますところの業者、先ほど申しましたパンとか、菓子とか、つくだ煮とか、ミカンのカン詰とか、いろいろなものがございますが、そういうように砂糖を使う業者、これを一つの対象といたしております。もう一つは、全国的な組織を持っておりますところの生活協同組合、あるいはまた全購連、こういうような消費者の団体、こういうものに配るという考え方に立っておるわけであります。
  118. 小川豊明

    小川(豊)委員 砂糖の実需者、あるいは菓子等を作る商人なり、しかも全国的な組織を持っておる団体等にやる、こういうふうにあなたは言っておられるのですが、今ここにもらった資料を見ると、ここに連合会とある。たとえば全国菓子協同組合連合会というのがある。これは一つの全国団体であることは私どもにわかる。あるいは全国菓子工業協同組合連合会、これもわかるのですが、協会というのが幾つかある。この協会というのはどういう団体になるのですか。連合会というのは一つの法的な団体であることはわかるけれども、協会というのは法律的にも何の性格もない団体なんです。そういう名前のものがここへぼつぼつ出ておるのですが、これはどういうものなんですか。
  119. 筒井敬一

    ○筒井説明員 全国的な団体という言葉を使ったのでございますが、これは必ずしも法人格を持っておるものでなくても、そういう一つの団体的な結合体というものに対しましては、割当の対象にいたしておりますので、必ずしも法人格を持つ、持たないということによって、識別をしてはおらないのでございますが、できるだけ法人格を持った連合会、そういうものを中心としてはおるのでございます。
  120. 小川豊明

    小川(豊)委員 それではもっと具体的にお伺いしますが、ここには中日本菓子協会の会長というのは楊世統、これは日本の人ではないように考えられる。     〔神近委員長代理退席、委員長着席〕 それからその次に東日本菓子協会会長須貝正、そのすぐ一行間を置いて、全国パン菓子協会会長須貝正、こういうものは協会という名前を使えば二重にも三重にももらえるのだ、こういう解釈ができるのですか。私ちょつとわからないので、お聞きしておきます。
  121. 筒井敬一

    ○筒井説明員 中日本菓子協会の会長の楊世統というのに対する御質問であろうと思いますが、楊世統は台湾人でございますが、中日本というのは、名古屋を中心といたしますところの菓子の業者の団体でございますので、会長は楊世統という台湾出身の人間になっておりますが、名古屋を中心といたしますところの中日本の菓子業者の団体である、かように考えておるわけであります。
  122. 小川豊明

    小川(豊)委員 そのほかに、東日本菓子協会、それから全国パン菓子協会、これも会長が同じ名前で、同一人じゃないですか。おかしいじゃないか。これは一体どういうわけですか。どっちも協会ですよ。組合でも何でもない。違う人ならばいいけれども、同じ人じゃないか。
  123. 筒井敬一

    ○筒井説明員 これは同じでございますが、会長が同じ人間であるということでございまして、メンバーは東日本菓子協会と全国パン菓子協会とは全然違うわけでございます。
  124. 小川豊明

    小川(豊)委員 こういうものは実需者に払い下げるということで非常に利権を伴うものです。みんなこういう大勢の業者が希望し、要求しておるものだろうと思うのです。従ってこういうものはでき得る限り公平でなければならない。しかも適正でなければならない。しかるにここに東日本というのと全国パン菓子というのと、今聞くと同一の人です。同一の人にそういう形で数量は幾らかわかりませんが、配分しておる。そうすると、こういう団体を幾つでも作っていって、そうしてあなたの方に運動するならば、みなもらえるという感じを与え、非常に不明朗な感じを与える。この点についてもっとわれわれの了解の行くように説明してもらいたい。ほかにも幾つも希望者があるだろうと思う。特に同一人に配分するのはどういうわけですか。
  125. 筒井敬一

    ○筒井説明員 御承知のように、お言葉のように、この砂糖の配分というようなものにつきましては、ややもすれば利害が伴うものでございますので、私どもの方でもこれは慎重にやらなければならないという基本的な考え方に立っておるのでございます。ここにあります東日本菓子協会と全国パン菓子協会というのは、先ほど申しましたように、たまたまその会長が同一人であるということで、あるいはその個人でもって利権と申しますか、この配分を受けておるというように御理解になるかもしれませんが、それはそれぞれの構成メンバーを持っておるところの団体でなければならないという考え方に立っておりますので、先ほど申しましたように、その協会の会員はそれぞれ違うという考え方に立って、この両方の団体にやっておるわけでございまして、完全に東日本と全国パン菓子協会のメンバーが一致しておるということではありません。むしろ完全に分れておる、かように考えておるわけでございます。
  126. 小川豊明

    小川(豊)委員 それではこれはあとで、これらの協会という団体、組合でない協会という団体がどのくらいの数量を払い下げを受けてきておるか、しかも個々の協会の区域はどこであって、会員は何名くらいあるかということを一つお知らせ願いたいと思います。  次に、もう一点お尋ねしますのは、昭和三十年に立川研究所というところに一万トンの割当をしているのですが、これは外貨割当であったのか、無為替の輸入であったのか、そういう何か特別の方途をとってここへ払い下げられたということですか。これはどういう形で一万トンというものを立川研究所へ払い下げたのか。しかもこの立川研究所というのは、繊維の仕事に関係しておられるところであって、砂糖とは何の関係もない仕事をなすっていられるところだと聞いているのですが、この点の経過をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  127. 筒井敬一

    ○筒井説明員 この立川研究所のことにつきましては、当時農林省の方ではほとんど関与いたしておらなかったのでありますので、私の方から御答弁申し上げるのは適切でないと考えております。
  128. 小川豊明

    小川(豊)委員 待って下さい。一体こういう割当をやるのはあなたの方じゃないのですか。あなたの方で関係がないというのはどういうわけですか。あなたのところと別なところでやる機関があるのですか。
  129. 筒井敬一

    ○筒井説明員 先ほど申しましたように、砂糖の外貨の割当の直接の官庁は、これは通産大臣ということに輸入貿易管理令等ではなっておるわけでございまして、この問題は、農林省の方では、いわゆる砂糖会社とかあるいはまた所管会社に対しますところのいろいろのことについては私の方でやっておりますが、その他の商社の割当とか、その他のことにつきましては必ずしも農林省でやっておらないで、通産大臣の方でおやりになっておられるという部面も少くないのでございます。そういう意味で私の方はほとんどタッチしておらなかった、こう申し上げておるのであります。
  130. 小川豊明

    小川(豊)委員 今農林省にお聞きしたらば、立川研究所、これは繊維会社ですが、ここに割り当てた一万トンというのは、農林省ではタッチしないからわからない、こういう話です。通産省で割り当てられたというのですが、通産省はどういう関係でここへ割り当てられたかということをお聞きしたい。
  131. 坂本泰良

    坂本委員長 小川委員、実は通商局長は用があるといって、皆さんの御質問がないというので帰ったのです。
  132. 小川豊明

    小川(豊)委員 農林省の政務次官おりますか。
  133. 坂本泰良

    坂本委員長 おります。
  134. 小川豊明

    小川(豊)委員 通産省がおらぬなら、農林省の政務次官答えて下さい。
  135. 本名武

    ○本名政府委員 砂糖の輸入の割当につきましては、今食品課長の申し上げた通り、通産省が割当を直接行なっておる部面もあるわけでございます。従いまして、その内容等については、私今ここでわかりませんが、今御指摘の立川研究所の一万トンについては、これはなお通産省の割当であろうとは思いますけれども、よく調べましてからまた次の機会にお答えいたしたいと思います。
  136. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは私の調査が粗漏であるかどうかはしりませんが、この一万トンを輸入したのは——立川研究所というのは繊維の仕事をしておって、その繊維の特許をアメリカかどっかへ渡すについて、その代償として一万トンの輸入をもらった、こういうことを聞いている。しかもこの一万トンの輸入は各実需者に割り当てるものである。立川研究所を通じてでしょうが、ここで各実需者に割り当てると農林省で声明したかどこで声明したかわかりませんが、声明した以上は農林省で声明したのだろうと思います。そうするとこの一万トンというものは、あなたの方では立川研究所へ割り当てることは知らなかったけれども、この一万トンは各実需者にそれを配分するということは食品課長は御存じですか。
  137. 筒井敬一

    ○筒井説明員 立川研究所の問題はいろいろな経緯があったようで、私も十分には承知いたしておらないのでございますが、ただ申し上げられることは、私が今間接的にいろいろ聞いておりますのは、当初はそういうような、今小川委員が言われるような考え方で始まったようでございますが、それが簡単にいかなくて、結局違う形式でもって割り当てたというような経緯があるように存じておるのでございます。しかし私の方でこの問題は取り扱っておらなかったものでございますので、正確なことは申し上げかねる、こういうことでございます。
  138. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは各実需者に割り当てると声明しながら、その後は実需者に対する割当を中止しておる。しかもまた商社に売り渡しておると聞いておるのです。しかも実需者の割当があるというので、各方面でこの割当をもらいたいために相当運動して、そうして三百万円も五百万円も金を使って割当が受けられると思っておったにもかかわらず、何もこなかった。結局この砂糖はどこへいったかわからない。まさか砂糖が消えてなくなるはずはないでしょう。一体この一万トンの砂糖はどこへいったのですか。商社の方へいっておるのか、実需者にいっておるのか、その行方くらいはわかっておるだろうと思いますので、この点を御答弁願いたい。
  139. 筒井敬一

    ○筒井説明員 これは商社の方にいっておると考えます。
  140. 小川豊明

    小川(豊)委員 実需者に割り当てたものがその後商社にいっている、なぜ商社の方に変えたのか、変えるのが妥当と思って変えたのか、変えざるを得なかった原因はどういう点にあるのですか。
  141. 筒井敬一

    ○筒井説明員 その経緯は、先ほど申しましたように私の方でやっていない、ほとんどタッチしておりませんでしたので、私の方ではお答えを申しかねると言わざるを得ないのでございます。
  142. 小川豊明

    小川(豊)委員 砂糖というのは、食糧庁が扱っているものだと思うのです。それで割当をするのは通産省であろうとどこであろうと、その現物というものは食糧庁が管理しているものだと考えておる。そのあなたが、わからないというのはどういうわけですか。それこそ私の方がわからない。
  143. 筒井敬一

    ○筒井説明員 私の方で存じておらないというのは、砂糖につきましては二種類の割当があるということを当初申し上げたのでございますが、そのように商社の関係で割り当てるものは、どういう形でメーカーの方にいくかということは商社とそれぞれのメーカーとの取引でございます。従いまして、役所の方でタッチしておりますのは、いわゆる農林省の方でタッチしておりますのは、メーカーに対する割当あるいはまた配分というようなものでございます。従いまして、商社の割当の関係というものは、私の方で十分存じておらないのでございますが、いろいろお言葉もございますので、通産省のその当時の事情を承わりまして、あらためてお答えいたしたいと存じます。
  144. 小川豊明

    小川(豊)委員 砂糖行政がそうなると、これは二本建になってしまう。砂糖の割当の外貨であるとかなんとかいうことは、これは通産省でやってもいいけれども、現物の扱いというものは当然食糧庁だ、こう私は思っておるし、いろいろの資料もあなたの方の食糧庁から出ておる。そこでこの一万トンは、あなたの方では、どこへ行ったか私の方では関知しないというけれども、これは私は答弁になっていないと思う。もっと詳しくいうならば、その後の動きというものも私は調べてわかっております。あなたの方のその答弁をもう少し掘り下げて、それから私の調べた点を申し上げることにいたします。
  145. 山本猛夫

    山本(猛)委員 関連して。食品課長に聞きますが、あなたは今の小川委員質問に知らぬ存ぜぬ一点ばかりでやっておられるのですが、それではあなたの方から砂糖を切り離しますか、砂糖を扱わないことにしますか、それを伺っておきたい。
  146. 筒井敬一

    ○筒井説明員 砂糖の方は私の方で所管をいたしております。しかしながらすべての割当とかいうものにつきまして——今のお話は割当のお話ではなかろうかと私は了解いたしておったのでございますが、割当の形式におきましては二つの形をとっておる、こういうように申し上げておる次第であります。
  147. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それならば聞きますが、一万トン、よろしいですか、これで一億の金を動かしたと伝えられているのです。その一億の金が政界にも流れていると伝えられているのです。小川先生は温厚な人だから、そこまで具体的に言わないで、あなたに聞いていないようだけれども、その一万トンという数字は、なまおろそかな数字じゃないでしょう。あなたが今実需者に割り当てている一年の数量は幾らですか。日本全国の実需者に割り当てた三十二年の下期のものは幾らですか、答えてごらんなさい。そうすれば、あなたのあいまいなことが明確になってくる。
  148. 筒井敬一

    ○筒井説明員 三十二年度の下期におきますところの実需者の割当は一万トンでございます。
  149. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それごらんなさい。全国で一万トンでしょう。そうでしょう。全国で一万トンですね。再確認しておきましょう。
  150. 筒井敬一

    ○筒井説明員 先ほどのいわゆる実需者に対する配分の数量が一万トンでございます。
  151. 山本猛夫

    山本(猛)委員 あなたが今現に割り当てている日本全体の実需者に対しては二万五千トンで、今度割当をおきめになったのは一万トン。そうすると、今小川委員の言われた一万トンという数字は、日本全国の実需者にあなたが割り当てている数字と同じ数字じゃありませんか。それだのに、外貨の方は通商局の方でやった、これは向うでやるのでしょう。しかしその現物はどういうふうになっておるかわからぬ、あなたはそんな体たらくな食品課長ですか。実際にわからないのですか。わからなければ、あなたは食品課長として職責を全うし得ないから、本委員会は議決をもってあなたにその職責から去ってもらわなければならない。小川委員の言った現物は一万トン、あなたの今答えた一万トンというのは日本全国の実需者に対するところの一期の割当なんですよ。それに匹敵する数量を今小川委員が言っているのですよ。よろしいですか。外貨の割当は通産省が行なったとしても、現物の行方を知らぬという、あなたはそんなばかげた食品課長ですか。やめますか。立って答えなさい。
  152. 筒井敬一

    ○筒井説明員 この一万トンの現物がどういうようになったかということにつきましては、今資料がございませんので、調査いたしましてお答えいたしたいと存じます。
  153. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それみなさい。それじゃ小川さんの質問にあなた答えられないということはないじゃないですか。知らぬ存ぜぬと言ったじゃないですか。知らぬことはないはずだ。もし知らないとするならば、よくあなたは砂糖の配分の計画をやられるね。今度の割当だって、あなたの下にいる志村君がきめたものにあなたは筆を入れているのですよ。あなた方がやっていることは手に取るようにわかるのですよ。いいかげんな答弁をここでやってはいけません。
  154. 小川豊明

    小川(豊)委員 それから昭和三十一年の十一月から砂糖の現物はニューヨークで非常に高くなってきておりますね。これはスエズの動乱が原因で思惑買いが起ったのだろうと思いますが、日本の砂糖はほとんど、世界中がそうですけれども、ニューヨーク相場に左右されております。ところがこれが三十二年八月になりますと、ニューヨーク相場はもとに落ちてきている。ところが日本の場合にはこの十一月の相場に左右されて、三十二年の一月になってもぐっと上って、上った価格がほとんど高低なしにずっと維持されて二十二年度を経過してきている。当然下らなければならないものが下らずに、高い砂糖を国民が消費しなければならないというこの原因が一体どこにあるのか。聞くところによると、これはメーカーが価格の下るのをおそれて砂糖を溶糖するのを制限したからこの価格が維持されたのだ、こういうようなことが伝えられているのですが、溶糖制限というものは、メーカーが自主的にやるものなのか、それともあなたの方でそういうことを協議相談をして溶糖制限を認めるのか、そして国内の価格をつり上げていくのか、これは一体行政上どういうような見解をあなたのところで持っておられるのですか。
  155. 筒井敬一

    ○筒井説明員 砂糖の値段が安定的な形におきまして推移することを私どもは念願しているわけでございますが、三十一年の十一月から御存じのようにスエズの動乱が始まりまして、急激に国際価格が高くなって参ったのでございますが、それにつれまして国内の糖価も上って参ったことは事実でございます。たま国際価格が三十二年の大体八月ごろから急激に安くなって参りまして、十一月ごろには大体三セント台になっているのも事実でございます。これにつきまして国内糖価が必ずしも国際糖価と一致しないで上っているじゃないか、あるいはまた国際価格が下っているのに国内価格が上昇しているじゃないかということは、現象的にはまさにその通りでございますが、これは一つは制限された外貨の中におきまして、考え方といたしましては相当程度の在庫なりあるいはまたスリッページを持って新年度に参ります、あるいはまた平生におきましても、一定の正常な在庫を持って進んでいく、こういういわゆる計画的な溶糖というものを業者がやらなければ、そのときの思惑でもってそのときだけわっとやってあとはなくなったというような事態がございますれば、国内の価格が異常に暴騰なりあるいは暴落をいたすというようなことがございますので、大体年間の計画、粗糖の輸入計画に基きまして、月別にそれぞれの会社が、自分たちの毎月々々はどの程度の溶糖をして参ればいいか、それからまた需要期、不需要期がございます。年末とかあるいはお盆のようなときに需要がございます。そういう需要の実勢に応じた溶糖をして参る。そして全体的な輸入量というものを勘案して計画的な溶糖をして参るということが、最も国内の価格を安定させるゆえんではないか、そういうように考えておるわけでございます。
  156. 小川豊明

    小川(豊)委員 僕はそういうことを聞いておるのじゃない。一体国際価格がこう下ったにもかかわらず、日本の価格が非常に高いところを維持してきている。これは裏を返すなら、国民は高い砂糖を使わせられておるということなんだ。しかも精糖会社の配当を見ればかなりの高配当をしているでしょう。それからあなたの方では、一方において砂糖の安定帯価格というものがあるはずだ。安定帯価格というものがあって、砂糖の価格を安定させるというのは、これはどういう法律的措置があるのか知らないが、安定帯価格ということをしょっ中言っておる。そういうふうな安定帯価格ということを言いながら、しかも国際価格が下っておるのにかかわらず、日本の価格をこういうふうに高目につり上げておるのは、これは外貨の割当だとは私は思わない。それも一因かもしれぬが、溶糖制限をしているというふうに考えざるを得ない。溶糖制限をして国内価格をつり上げているということに対して、食糧庁としてはこれに対してどういう手を打ったのか、こういう点をお聞きしたい。
  157. 筒井敬一

    ○筒井説明員 この国際価格と国内価格とが完全にマッチいたしませんのは、御存じのように、日本の粗糖の輸入は、過半数がキューバあたりから輸入いたしております。従いまして国内に入って参ります期間といたしましては、それぞれ三、三カ月ないし三カ月以上の月日を要するのでございます。それらが入って参るという時間的なズレもございます。それからまた外貨の割当のやり方といたしまして、月々やっておりませんで、年間四回なりあるいは五回程度の割当をいたしております。従いまして、そのときに会社によりまして、買い方、その割当をもらったのを一ぱいに買うところもありましょうし、またそれを有効期間の間において、徐々に買うところもあるかもしれませんが、そういう国際価格と完全にマッチいたしませんのは、入ってくるまでの間のズレがある。そしてその高い粗糖を使っておる間はかなり高い価格が出てくるのが当然ではないかと思うのであります。
  158. 小川豊明

    小川(豊)委員 こういう国際価格より高いのはメーカーが溶糖制限をした結果だと考えるのですが、あなたの方では溶糖制限をしたのではなくて、外貨の割当だ、あるいは手持ちの問題だ、こういうふうな御答弁なんですが、溶糖制限はしませんか、この点だけ伺っておきます。
  159. 筒井敬一

    ○筒井説明員 溶糖制限は各会社におきまして、自分たちの入ってくる輸入量を考えまして計画的に溶糖して参る。それが溶糖制限という言葉になるかどうかは存じませんけれども、そのような形で計画的な生産をやっておる、かように私どもは考えております。
  160. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなた違う。計画的な制限じゃないのですか。一〇%か一五%制限しているでしょう。僕さえわかるのですから、あなたは食品課長ですから、そのくらいわかるはずだと思う。一〇%か一五%制限している。それだから砂糖価格が維持された。だから制限したのではないかと聞いておる。あなたの方ではしたならした、しないならしないと答弁してくれればわかる。
  161. 筒井敬一

    ○筒井説明員 生産制限という言葉がちょっと私ども理解しかねる言葉でございますけれどもそういうような計画……
  162. 坂本泰良

    坂本委員長 ちょっと注意しますが、溶糖制限をしたかせぬかについての質問ですから、その点で答えて下さい。
  163. 筒井敬一

    ○筒井説明員 その場合におきまして、溶糖制限という言葉がどういう考えであるかということをまず統一して考えなければならぬわけでありまして、制限をしたということが、これだけ作るべき目安ということがあって、それを制限したということ、一定の溶糖をしなければならないのにこれだけ以下に作ったということでありますれば、毎月これだけを溶糖しなければならぬというワクと申しますか、そういうものが現在特に役所から示してはおりませんので、どういうワクに対してこれだけの制限をしたということならば、溶糖制限という言葉も成り立つのでございますけれども、さような計画をわれわれの方で作っておりませんし、ワクというものがありませんので、どれをもって生産制限になるかということにつきましては慎重に考えて参りたい、かように考えます。
  164. 小川豊明

    小川(豊)委員 では、こういうふうに解釈しておきます。現に一〇%か一五%溶糖を制限している事実はある。これはおそらくあなたでも知っている。それが溶糖制限であるかないかということは言葉でなくて現に生産を減らしている。減らしたために砂糖の価格は、国際価格が下落したにもかかわらず、国内価格は非常な高値を維持して、精糖会社は三割だ、四割だという配当ができている。この原因は溶糖制限にある、こういうふうに考えて私は今お聞きしたのですが、あなたの方では、溶糖制限をするかしないか、私はそういう権限がない、こういう御答弁です。権限の問題を聞いておるのじゃなくて、現に減らしてあるということだけは、生産量を落したということだけはあなたは認められるでしょう。
  165. 筒井敬一

    ○筒井説明員 昨年の溶糖よりも減っていることは私どももわかっております。
  166. 山田長司

    山田委員 これは食品課長に答えられるかどうかわからぬが、溶糖制限を暗黙のうちに許しておるという世間では評判です。なぜそういう形でやられておるかというと、価格差益金で三十億の献金をしておるので、一応大目に見ておるのだということになっておるが、これはどうです。あなたにはちょっと無理だと思いますが……。
  167. 筒井敬一

    ○筒井説明員 これは三十一年の初めにおきまして、その前におきましてもいろいろと糖価が変動いたしましたので、そのときにおいて役所の方から、先ほど申しましたような、いわゆる計画的な溶糖をしてくれ、それは個々の業者が個々にやることを希望する、こういうことでございますので、横の連絡をとって溶糖制限するというような、いわゆる独禁法に違反するようなことを私どもの方で認めておるわけではございません。
  168. 山田長司

    山田委員 あなたの方で認めていなくても暗黙のうちに、三十億の献金ということから、自後そういう結果が生まれてきておる、こう業界の人たちは言っているのです。あなたも御承知のように、あなたの前の食品課長の長沢氏は製糖工場の能率査定の問題を通して、いろいろ問題を起して自殺してしまったという事件があることは、よもや忘れていないと思う。あなたには別に何ら疑惑を感じているわけでないけれども、こういうことから関連してきて、食品関係については次々と不明朗なものが起ってきているところに、今小川君の質問する理由もあると思うのです。あなたは、溶糖制限は全然感じられていない、独禁法違反になるようなことはやっていないだろうと思うという御答弁のようでありますけれども、世間では、そういう制限が生産品に現われてきていることに問題があるのです。なぜ国民にもっと砂糖が安く配給できるようにしないのかということがあなた方の耳に入っていないはずはない。それをなぜ監督の衝にある人たちが、すみやかにこういう疑惑が起らないようにするための努力をしないのです。これはあなたで答えができなければ、政務次官でもいいです。どうです。
  169. 筒井敬一

    ○筒井説明員 私どもも常に糖価が上るのを警戒いたしておりまして、テンサイ糖の払い下げ、あるいはまた昨年の年末におきまして急騰いたしましたので、役所の方で業者の方に警告をいたしまして、すみやかに溶糖を継続して、そして値を下げろ、こういうような警告なりあるいは勧告をしておるのでございまして、砂糖の値段が非常に高騰なりあるいは暴落するについては、十分関心を持っておる次第でございます。
  170. 山田長司

    山田委員 こういう制限が、やはりさっきの、実需者割当の切符さえとれば、その切符が適当な値段で、一斤について四円かあるいは五円の割で、プレミアム付で切符が売れるのだ、だから切符さえもらえばそれによって適当な利益が上るんだということで、この実需者の人たちが精糖会社に切符を持っていって、精製した品物にかえてくると言っているけれども、かえてきて分けている状態というものを、あなた方がほんとに調べているかというと、調べてなんかいないじゃないですか。この協同組合なり協会なりの割り当てられた額について、すみずみまであなた方は調べておるということが言えますか、どうです。
  171. 筒井敬一

    ○筒井説明員 この実需者割当をいたしております末端までについて、すみずみまで調査しておるということは言えないのでございます。十分な調査がまだ現在できておりませんのを非常に残念に存じております。
  172. 坂本泰良

    坂本委員長 この問題は、食糧庁長官なんかがいませんから、次会に回していかがですか。——淡谷悠藏君。
  173. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 砂糖の問題がだいぶ重要になって参りましたので、これにやはり一斑の関連を持っております、さっき吉田委員から質問されました北海道芝浦精糖工場の問題であります。その当時、台糖が道南地区に一カ所工場を作るときにおいては、地元に何らの争いもなかったけれども、芝浦の工場ができるまでには相当トラブルがあったはずであります。これは農林政務次官もよく御承知だろうと思う。一体芝浦精糖工場は、結局においてどこへ建ったか、この点をまず御答弁願いたい。
  174. 本名武

    ○本名政府委員 北海道の農業振興の上から申しましても、あるいは国内の砂糖の自給から見ましても、北海道にビート工場を作らなければならぬということについて、地元あるいは企業者ともに旺盛な意欲が現われていたことは、御指摘の通りでございます。その結果いろいろな問題があったかなかったかということよりも、結論的には、今お尋ねの工場の位置は北見市に決定いたしまして、現にすでに操業をいたしております。
  175. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 当時北見市周辺にテンサイの栽培が非常に多かったので——御承知の通りテンサイ糖は、原料の運搬費が多大にかかります。従って、各工場が道南のようなテンサイ糖の原料の少いところには、工場を建てることを欲しません。このテンサイ糖のたくさん栽培されております北見市周辺に工場を作るようにねらっておったことは事実であります。その当時、北見市を中心にして工場を建てたいという希望のあった会社が、ほかにもあったはずです。これも次官は御承知のはずなんですが、お答えを願いたいと思います。
  176. 本名武

    ○本名政府委員 ただいま建設中の北海道農業経済協同組合連合会、それから日本甜菜製糖、その他一、二あったように記憶いたしております。
  177. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 日本甜菜製糖株式会社と北連の二つが、芝浦精糖工場を作る前に、北見市周辺に工場新設することを強く希望しました。特に日本甜菜製糖などは従来政府から非常な援助を受けてもおったし、また会社も犠牲を払って工場を作ろうとしておるのに、政府はさっぱりこれを許可しない。また北連等も、協同組合の立場から、同じ北見市周辺に工場を作ろうとしておったのですが、それをどうして、芝浦精糖がこれに割り込んでいったか。従来やって参りました実績のあるこの二つの工場を抜きにして、新しく芝浦精糖というものがこの地区に割って入った事情等も、私あらまし知っておりますから、もっと詳しく、その当時この問題に対して十分御研究あったはずの本名政務次官から、当委員会が納得がいくように御説明が願いたいと思います。
  178. 本名武

    ○本名政府委員 北海道のビートの生産は、たびたび振興局長からもお話がありましたし、私も申し上げました通り、これはもう当然なさなければならない農業経営の柱であると考えております。そういう観点から、北海道の生産状況、工場の分布状況を考えますと、三十二年、三年度から工場を設置したいのは、どうしても道南方面であります。ただ道南方面は、気象状況その他の関係がありまして、必ずしもビートでなくても、他の換金作物でやれるというような、農民の一つの安易感がないわけではありませんが、しかし寒地農業の全体から、特に北海道全体から考えますと、道南にまず着手するのが一番妥当な行き方と私は考えております。しかしながら、御承知の通りにこのビート工場の経営あるいは設置というものは、これは認可事項ではなくて、企業者が自由に計画し、自由に建てられる企業であります。その場合に、われわれはまず道南で着手することが、北海道の農業経営の安定あるいは砂糖の増産の上からいって妥当であると考えましても、企業者がこれに応じられない、あるいは企業計画がこれに乗ってこないという場合には、これはどうも政府としても、どうしても道南にやれということは強制できないような仕組みになっておると考えております。その場合に、たまたま芝浦精糖が非常な熱意を持って、原料生産の非常な伸びの増大が予測される北見地方に建てたいという計画をなされた。これは企業者として、土地の選び方としては私は妥当と思いますが、ただこの北見地方が、芝浦が適当であるか、経済連が適当であるか、あるいは日甜が適当であるか、いずれにいたしましても、あの地帯は三ないし四工場は運転操業できるだけの耕作面積は持っておりますが、その順序とか、あるいは年次割というものは、どの会社が妥当でどの年次が適当であるかということは、当時の農林省の担当者がおきめになったことであろうと思います。結果から言いまして、北海道の冷害が重なるにつれまして、農民の経営意欲も変りまして、今後においては北見に三工場あるいは道南に一、二工場、将来はその他に建設されても、決して過剰設備ではないというような今日の段階から想像いたしますれば、企業体の選別そのものよりも、今後計画的に逐次工場が建設されるということが非常に妥当なことであり、今日においては、今までの計画を実現することに何ら支障がなかったように考えております。
  179. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私の質問が少し言葉が足らなかったので、誤解を生じたと思います。私、認可ということを申し上げましたが、実は認可の必要のないことは工場建設では当然なんです。非常に熱意を持っておりました日本甜菜と北連が、その熱意をあえて通さなかったというのは、これは融資にからんでおる。融資さえあれば作るんだというこの融資の割当のほんとうのかぎは、どうも当時の農林省が握っておったらしい。ですから日甜と北連からこういう工場新設したいから融資をしてくれといったような要求があったかなかったか。次官がもしおわかりなければ振興局長からでもお答え願いたいと思います。
  180. 永野正二

    永野政府委員 当時の工場建設の希望につきましては政務次官からお答えがありました通りでございます。この工場建設につきましては、いずれも長期低利の何と申しますか政府のお世話いたします融資の希望、この計画内容としてはそういう希望があった、こういうことでございます。
  181. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこで次官にもう一ぺんお尋ねしたいのですが、今のお答えの通り融資の希望はあった。政府には認可をする権利はなくとも、融資のワクを押えることによってある工場の建設を妨げ、ある工場の建設を助けるという自由があるわけです。その場合に融資決定をするということは工場認可と同じような力を持っている。従来非常に苦労をし実績もある北連あるいは日甜の融資の要求に対して、これを聞いてやらないで芝浦精糖だけ特に長期低利の融資をしたということは、私にはどうしても受け取れない。その点は一体どうなんですか。
  182. 本名武

    ○本名政府委員 建設費が非常に高くつく当時のことでございますから、資金コストの安い見返り資金を互いに要求するのは、これは当然だったと思います。そこで見返り資金が建設費を償うに足る相当の額があって、しかも原料の生産がそれに追いついて三工場同時に許可できるならば、これは問題はなかったと思いますが、その当時の情勢から既存の経営者である日甜、あるいは生産に関係のある北連、あるいは全く北海道には新しい経験の芝浦、この三者をそれぞれの立場から比較検討されまして、限られた資金と原料の生産の伸びとにらみ合せて、芝浦精糖に集中的に限られた見返り資金融資して、建設コストを低廉にし、さらに今日ある制度の上から買い上げの実をあげていきたい、こういうことで芝浦に決定されたのだと確信しております。
  183. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その比較検討したことはわかりますが、比較検討して芝浦に決定するという根本的な理由はどこにあったのですか、どういう理由から芝浦に決定したのですか、基準はどうなんです。
  184. 永野正二

    永野政府委員 工場建設の予定地といたしまして比較をいたしますと、何と申しましてもテンサイの適地を広く持っております北見と申しますか十勝方面と申しますか、この方面の新設を助けるという考え方が一つあるわけでございます。そういたしますと芝浦、日甜及び北通の三工場がその方面に計画をいたしておりますから、この中から順次やっていくということになるわけでございます。農林省といたしましては、従来日本甜菜糖が北海道におきますテンサイのいわば独占的な企業者であることに対しまして、新規の会社が進出をいたしますことが、むしろ北海道テンサイの作付を積極的に伸ばすという意味になるし、いろいろな意味でこの際はむしろ日本甜菜糖以外の新規のものを一つ先に立てて、ある程度製糖工業の方における競争も助長した方がいいのではないかというような考え方があったと思うのでございます。資金的に比べまして、いろいろ計画を比較いたしまして、なかなか百パーセントどれが先でどれがあとだというようなことは言いにくいのでございますけれども、おおむね計画をいたしました順序からいいましても、芝浦、北海道連合会というような順序になるかと思いますので、そういう順序で三十一年度から二年度、三年度にかけまして三工場を毎年順次新設する、そういうことが原料の供給にも見合った一番穏当な建設計画だろうということでそういうふうに決定をいたしたわけであります。
  185. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 当時北海道の冷害につきましてかなり長い間北海道の方々を調査しました本名政務次官はよくおわかりだろうと思うのですが、北海道の冷害調査がちょっとできなくなるくらいにあの当時工場建設の問題はうるさかった。これは御承知の通りです。今の振興局長の御説明では、どうも新規の芝浦があそこでは一番テンサイの栽培地も広いしまた経済効率も上るからといったような理由で第一に工場建設を許したと言われておりますが、政府が援助を続けて参りました日本甜菜糖株式会社あるいはまた地元農民が熱意を持っております北連というのは、政府の援助にもかかわらずそんなに成績が悪かったのですか。新しい会社を無理やり作らなければならないというほどこの二つのものは成績が悪かったのですか、その点をまず確かめておきたい。
  186. 本名武

    ○本名政府委員 三社を比較いたしまして建設を認める基準につきましては、おそらくこれは非常にむずかしいことだろうと思います。同一条件で比較いたしますと、それぞれ特色もあり欠陥もあろうと考えます。しかし今振興局長が御説明申し上げました通りに、将来この三社だけに限定しなければならない工場建設であるとか、あるいはまた将来の北海道工場建設の数が幾つでなければならないということは、今日においてもそうですが、当時もその数字を限定してものを考える場合でなかったと思います。私は個人の考えを申し上げることは差し控えますが、この優劣の考え方によってどれを先にするか、どの工場をあとにするか、この三工場のうち一工場だけ認めて二工場は認めないという方針ならば別ですけれども、三工場とも認めるが、原料並びに建設の年次、それから今申し上げたその年次に対する優劣、場所の問題等を考えて、芝浦、経済連、日甜という順序で建設を認めたと考えております。従いまして経済連、日甜はいろいろな角度から比較した条件が不適格であったからおくれたというふうには考えたくないのであります。
  187. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 どうも次官の御答弁では順序をつけてどんどん工場を作るんだというふうに受け取れますが、私の質問の、従来政府が非常に力を入れた日甜のやり方がどうも芝浦に劣るほど成績が上らないものであったかどうかという一点がまだ答えられていない。それから第二点として、今次官の御答弁からして、このあと余剰農産物あるいはその他の低利長期の融資を日甜もしくは北連にも与えて工場建設を続けるのかどうか。この二点をまず聞いておきます。
  188. 本名武

    ○本名政府委員 工場ができましてから、生産コストその他からいきますと、会社全体の企業を比べました場合には確かに日甜が最優位であろうと思います。政府の買上価格を査定いたしますにしても、あるいは集荷施設にいたしましても、あるいは原料の栽培その他の経験にいたしましても、この点は確かに日甜が優位であろうと思います。それならば、大へん変な言い方でありますけれども、将来五つなり十の工場を建設しなければならない運命に置かれている北海道の場合に、その条件が有利だからといって、今それだけのものを全部日甜にまかせるということは、いろいろな情勢からいって不可能である。また会社自体も資力その他から考えてあるいは不可能であるかもしれない。そうしますと、いずれかのときに他の会社がやらなければならないというのは、これはもう必然であろうと思います。その点だけを考えれば私は全く同感でありまして、当然こういう原料の上にも価格の上にも、過渡的なときにはやはり日甜がやることが一番有利であるということには、私も全く同感であります。しかし長い将来を考えますと、今芝浦にやらせて生産コストの競争という姿を出すことも一つのいき方ではないかという考え方があるとすれば、それも一応考えられることではないか、このように考えております。また経済連にいたしましても、少くとも生産と直結する団体でありますから、原料集荷の面、あるいは増産の面から考えますと、おそらく日甜あるいは芝浦は——もちろん日甜よりも将来はもっと増産の効率が上っていくのじゃないか。そういう点から考えると、経済連はその点は他の二社よりも非常に有利な条件下に置かれている。それからまたほんとうにこのビート製糖企業そのものを一面もっと合理化する道はないかという考え方も当時ないわけではなかった。たとえば、従来は日甜独占の事業であったが、ここに一社新しく作ることによって、目甜みずからも生産コスト、企業経営の上に合理化が進められ、さらに既存の日甜の経験を努めて生かして、新しい会社もそれをまねて、将来の大生産の一つの出発点を作っていくという点で、私はこの芝浦がやったということ自体は、今は別に不足はないと考えております。
  189. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 まだ質問を続けたいですが、時間もありませんし、前に吉田委員から資料請求がありましたから、この問題はなお継続されるものと思いますので、あと一点だけにいたしておきます。  テンサイ糖の栽培を奨励する、あるいは北海道振興のために工場ができることは、私は賛成なんです。ただ将来ともに発展する事業に、もしも政府融資等においてさまざまなひもがつきますると、これは最近の日新製糖の問題に起ったような不祥事が勃発しないという保証はできないと思う。特にあの当時日甜あるいは北連もひとしくこの北見地区に工場を作りたいという激しいせり合いがありましたので、さまざまなうわさは聞いて参りました。この芝浦精糖には政治界の有力者がついて、強引に押し切ったという話も、おそらくは次官も当時お聞きになっただろうと思う。それが、吉田委員質問にも出ました通り、やはり疑わしい点がたくさん残っています。私、資料が裸出されましてからさらに検討いたしますが、私の方からも一つ資料をいただきたいと思うのは、芝浦精糖の歴代の重役のリストを出してもらいたい。この資料を一つお出し願いたいと思うのであります。あとは保留しておきます。
  190. 本名武

    ○本名政府委員 御要求の資料、取り急いでまとめて提出いたします。
  191. 坂本泰良

    坂本委員長 山本猛夫君。
  192. 山本猛夫

    山本(猛)委員 農林省にお伺いいたします。今の日本の砂糖の需要数量、輸入割当のための外貨の年間の数字を承りたい。
  193. 筒井敬一

    ○筒井説明員 現在確たる砂糖の需要量というものはちょっと測定が困難でございますけれども、大体百二、三十万トン程度が国内の需要量ではないか、かように考えております。現在までの外貨の割当は、三十二年度は九十五万トンでございます。
  194. 山本猛夫

    山本(猛)委員 百二十万トンというのはどういう数字ですか。
  195. 筒井敬一

    ○筒井説明員 これはこのほかに特に三十二年度は昨年からの持ち越しが、いわゆる在庫スリッページが約四十二万トンございました。それにそのほか国内でできますテンサイ糖あるいはまた黒糖、そういうものを合計いたしますと百二十万トンぐらいになると思います。
  196. 山本猛夫

    山本(猛)委員 僕があなたに聞きたいのは、あなたはそういうでたらめな答えしかやらないならよろしい、百二十万トンなら百二十万トンで数字を押えてけっこうです。ここはあなたのようなでたらめな返事では通らないのですよ。よろしいですか。政務次官に伺いますが、食品課長が大体出しました数字が年間百二十万トン、そうしますと大づかみに見て一月の日本の砂糖の需要量というものは十万トンです。ところが今食品課長の言葉の中にもありましたが、スリッページがある。これは政務次官が先般の当委員会でお答えになりました精糖工業会等公認団体として認められている人たちの自主調整というものに対して、あなたは肯定するような答弁をされておりますが、これは国のためになり、農林省の本来掲げられました看板の額面通りの基本方針に沿うものであるならば、自主調整もけっこうでありましょう。あなたの場合はそういう看板通り、額面通りに行くことを建前とした自主調整に対して肯定をされた答弁をされておりますけれども、彼らは自主調整の名において砂糖の値段をつり上げ、そうして高くなったときにお菓子の製造業者にそれを買わしているという格好であることは否定することのできない事実です。そしてお菓子は言うまでもなく年少国民の生活にはなくてはならないものであることもあなたはお認めになるでありましょうが、言いかえますと、年少国民の生活経済の犠牲において精糖工業界が膨大なる巨利をむさぼっておる、そしてもうけたお金の隠し場所に困って、今警視庁が捜査中の日新製糖のごとき事件も発生するというような事態です。しばしば当委員会で問題になっております名古屋精糖のごときも、あなたの方からお出しになりました資料によりますと、昭和二十三年八月五日にたった五十万円で設立せられましたものが、数年を出ずして十二億の会社になっている。今警視庁が検挙をして取り調べております日新製糖のごときも、これほどではありませんけれども、昭和二十五年六月一日に四百五十万の資本金をもって設立せられましたものが、数年ならずして一億五千万になっているというふうにあなたの方の食糧庁から資料が出ております。まだ日新製糖のごときはなまやさしいのです。あなたの方からお出しになった資料でいずれの会社を見ましても、これは想像のつかないような膨大な利益を得ておるということは当然であります。こういうようなことに対して、言いかえますならば、年少国民の食べるお菓子を土台にして、年少国民の生活経済の犠牲において、保護政策の美名のもとに隠れて、現在の砂糖行政の運営をこのままの姿にしておくということは妥当であるかどうか、これを政務次官に伺っておきます。
  197. 本名武

    ○本名政府委員 業界の自主調整の問題については、先日もお答え申し上げましたように、御指摘の通りこの制度と申しますか、自主調整の運用に誤まりがあるとするならば、これは一日も早く是正しなければならないと考えております。ただ結果から御指摘の通りに、年少国民の犠牲において糖業界が莫大な利益を得ておるということ、このこと自体はまた自主調整とは別個に考慮しなければならない問題のように考えられます。従いまして、この前も御指摘がございましたが、この自主調整に対する扱い方、運営の仕方、あるいはその結果からくるところの問題点をどう改めるかということは、食糧庁に対して至急検討するように命じております。今日的確なお答えができないことは非常に遺憾に思いますが、早い機会に食糧庁、農林省としての考え方をまとめてお答えいたしたいと思います。
  198. 山本猛夫

    山本(猛)委員 もう一点政務次官にお尋ねをいたします。自主調整の美名のもとに隠れて、今食糧庁食品課長がうまい工合な適当な答弁をやったようでありますけれども、自主調整の名に隠れて割り当てられた外貨を十分に使わないで、輸入も押えている。従ってスリッページが起きるということを食品課長も今確認しておる。それから輸入をした粗糖の精製等においても手心を加えて、月間十万トンを必要とするものを七万トンないし八万トンに押えて、砂糖の値段を下らないようにしておる。むしろつり上げておる。そうして安いときには売らない。高いときでなければお菓子屋はお菓子を製造する原料糖を買うことができないという現実なんです。そのしわ寄せは、要するにお菓子を食べる国民の大多数といえば、これは期せずして年少国民がその大多数でありますから、従って言いかえますと、年少国民の生活経済の犠牲においてと、こういうことが言い得るのでありまして、農林省はこういうような砂糖行政の運営をやっておってはいけないと思うのです。ですから、いけないということはだれが考えても当然であります。これを今政務次官のお答えによりますと、適切でないものは是正するのだと言いますけれども、具体的にそれではいっそういうような検討をお始めになりますか。
  199. 本名武

    ○本名政府委員 自主調整等による制度あるいは運営の上に欠陥があって、しかも国民に多大の犠牲を与えるという場合、並びに御指摘のいわゆる外貨割当の権利を左右して、しかも価格つり上げ策に用いているというようなことが、現実の問題として法規上に抵触するものがあれば、これは断固として処置しなければならないということは申すまでもないと思います。同時にまたそういうことがあれば、当然農林省としては処置をいたすつもりでおります。ただ問題は、お互いの経済行為、生産者並びに需要者と申しますか、お菓子消費者、その両者の経済信義というものにまで及んで農林省がそれぞれの手を打つということの限界というものは、不敏にしてまだ私ここではっきりした考えはまとめておりませんが、これらのことが、的確に制度並びに法律の運用を誤まってこういう結果が起きたということになるならば、これは当然前段申し上げたように処断しなければならないと考えます。いずれにいたしましても、この複雑な経済機構の中にあって取り上げなければならない非常にむずかしい問題であろうと思います。従いまして、食糧庁といたしましても農林省といたしましても、非常に慎重を期しながら、しかも急速にこの問題を解決するようにせっかく今食糧庁を督励しておるような状態でございます。
  200. 山本猛夫

    山本(猛)委員 これはお答えにならないでもけっこうでありますから、あなたがその施策をお練りになる御参考までに申し上げておきます。  今食品課長が言われましたように、年間の砂糖を日本で入れようという数量が百二十万トンです。私は食品課長からこんな数字など聞かなくとも私の手元には別の角度から実態が手にとるようにわかる数字を持っておりますから申し上げるのであります。この百二十万トンのうち百十万トンは精糖工業会が専有しておる。その割当をあなたの役所の食糧庁の食品課がやっておる。百二十万トンのうち百十万トンというほとんど全部を精糖工業会が独占しておると言っても過言ではないのです。そうして基本的な数字を独占しておいて、自主調整の名において砂糖の値段を壟断しておる。そのしわ寄せが年少国民の生活経済の上にふりかかっておる。こういう事柄でありますから、どの法律この法律とお考えになる必要はありません。国民の生活経済の犠牲においてこういうことが現実に行われておるということでありますならば、これは重大問題であるということを確認されなければならないと私は思うのであります。  それでは食品課長に具体的な問題を二、三お尋ねいたします。きょうはもうだいぶ時間も迫っておりますし、わずかの時間でお尋ねいたしますから、食品課長も今までのような天下を愚弄するような実態と離れたような答弁ではなくて、私はすべてを知っておるのですから、まじめにお答えをいただかなければいけません。まずあなたからちょうだいした資料を中心としてお尋ねいたします。  この四国精糖は、昭和二十九年十一月末をもって工場設備が完了した、こういう資料ですが、これもでたらめです。よろしゅうございますか。でたらめですが、一応これを中心として伺っておきます。ところが昭和二十九年六月八日に出されました食糧庁長官の通達によりますと、昭和二十八年十二月三十一日現在において新設工事中のものであって二十九年三月末現在において未完成であった工場に限るということが付せられて、現在の割当方式というものが成り立ち、割当の制限をしておる。それから後は工場新設、増設を認めない、こういう通達なんです。食品課長はこの通達をお認めになりますか。
  201. 筒井敬一

    ○筒井説明員 この通達は二十九年の五月に出たことは認めます。
  202. 山本猛夫

    山本(猛)委員 あなたの方から出たものによると、二十九年六月八日とありますが、これは違いますか。
  203. 筒井敬一

    ○筒井説明員 日は正確には存じておりませんが、二十九年の五月じゃなかったかと思います。
  204. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それならば伺いますが、この四国精糖も富国精糖も通達違反である。あなたが今お認めになったこの通達によりますと、昭和二十八年の十二月三十一日現在において新設工事中のものであって、二十九年の三月末現在において未完成であった工場に限るという通達に対して、あなたの方からきょう出ている資料によりますと、昭和二十九年十月末工場設備が完了しておる。これはどうです。これは四国精糖の場合です。
  205. 筒井敬一

    ○筒井説明員 この通達にありますごとく、二十八年の十二月末におきまして着工いたしまして、二十九年の三月末におきまして未完成であって、その後において完成したものにそういう経過的な措置といたしまして認めるということでございますので、二十九年の十一月末に工場は完成はしておりますけれども、それまでに着手をしておるということで割り当てた次第でございます。
  206. 山本猛夫

    山本(猛)委員 あなたそういうでたらめを言っちゃだめなんですよ。ここは速記をとっているのですよ。いいですか。あなたがあとでお困りになるようなでたらめを言ってはいけません。それではこの資料はでたらめですか。この資料によりますとこう書いてあるのですよ。あなたが書いたのか、あなたの下僚が書いたのかわかりませんけれども、昭和二十八年十一月一日田中機械株式会社、大阪のどこどこ町に受け渡し期限二十九年四月十日布施工場渡し。二十九年の四月十日に注文した機械を渡すというのですよ。それから工事が始まるのですよ。よろしゅうございますか。でたらめを言っちゃいけないということを前提にしてあなたに聞いているのですよ。速記をとっているのです。よろしいですか。そういうでたらめな返事をしてはあなたがお困りになるのですよ。それから富国精糖の場合、これも同様です。富国精糖の場合はもっとおそいのです。これもあなたの方の資料なんですよ。私が作ったのじゃないですよ。私の方で調べたのはもっとあとなんだ。この資料は私の方で調べた実態調査よりも早いのです。従ってでたらめなんです。この資料よりもさらにあなたの言っていることは早いじゃないですか。あなたがあとでお困りになるようなお答えをここでなすってはならないということを何べんもあなたに申し上げているのです。もう少しまじめな答弁をなさい。——それじゃあなたの方からおよこしになった昭和三十三年二月十八日提出の食糧庁の資料というのは、あなたお認めにならないのですね。それを伺っておきます。
  207. 筒井敬一

    ○筒井説明員 私どもの方では、会社からいろいろと聞き、あるいはまた証拠書類をいただきまして書いたものでございます。
  208. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それではあなたのさっきの答弁はでたらめじゃないですか。これがほんとうなんですね。伺っておきます。
  209. 筒井敬一

    ○筒井説明員 これはその当時の状態をこういう証拠によって書いたものでございます。このように推移しておったものであろうと考えております。
  210. 山本猛夫

    山本(猛)委員 とにかくでたらめなことをおっしゃっちゃだめなんですよ。これもでたらめなんです。実態と違うのです。あなたの言っていることはさらにでたらめなんです。政務次官にお尋ねいたします。今食品課長に聞きましたように、この四国精糖、富国精糖は通達に違反をしております。もし違反をしておるとするならば、それは即刻訂正をなさる、是正をするということを政務次官は仰せになっておられますが、この問題に対しましてはどうお考えになりますか。
  211. 本名武

    ○本名政府委員 当時の経緯の実態は私は存じませんが、ここに提示いたしました資料は、これは農林省の責任においてそれぞれ当該会社並びにその他の調査の結果を記載したものと私は信じております。  それから通達に違反しているかどうかということは、これは通達の内容にもいろいろあろうと思いますので、単にただいま御指摘の期限を切ってだけの問題ではなくて、その他にもいろいろ通達の内容があろうと思いますので、私今ここで内容を調べて参りませんから、さっそくその内容を調べてからあらためて御返答を申し上げたいと思います。
  212. 山本猛夫

    山本(猛)委員 政務次官の言われることは一応了といたしますから、それではお調べの上当委員会に責任あるお答えをいただきたいと思います。  つけ加えて申し上げておきますが、今政務次官が言われましたように、通達にもいろいろあるということでありますが、その意味はよくわかりませんけれども、いろいろあるということでございましたならば、憲法に許されました企業の自由という観点からこれを論じますと、まさに憲法違反である。しかも今は物資需給調整に関する法律は効力を失っているはずであります。どういう法律の根拠によってこの通達を出されたかもあわせて一つお調べをいただきたい。いずれにいたしましてもこの四国精糖、富国精糖のごときは食糧庁長官の通達に背反して許されたものであるということは明確な事実でありますから、このほかにも問題のある会社もございますけれども、両社がとりあえず議題に上って参りましたから、両社について一つ十分に再検討をされて当委員会にお答えをいただきたいのであります。
  213. 坂本泰良

    坂本委員長 ほかに御質疑もありましょうが、農林省所管につきましての質疑は本日のところはこの程度とし、残余は次会に譲りたいと存じます。     —————————————
  214. 坂本泰良

    坂本委員長 この際お諮りすることがあります。すなわち理事生田宏一君より理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  215. 坂本泰良

    坂本委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。次にこれが補欠選任を行わねばなりませんが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 坂本泰良

    坂本委員長 御異議なしと認めます。  それでは理事井原岸高君を指名いたします。  本日はこの程度において散会いたします。     午後一時四十八分散会