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1958-02-12 第28回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十二日(水曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 坂本 泰良君    理事 關谷 勝利君 理事 田中 彰治君    理事 山本 猛夫君 理事 田中伊三次君    理事 山田 長司君 理事 吉田 賢一君       加藤 精三君    中垣 國男君       堀川 恭平君    青野 武一君       淡谷 悠藏君    神近 市子君  出席政府委員         行政管理政務次         官       榊原  亨君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  高柳  保君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理事務         次官)     岡松進次郎君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局監察         官)      松本 操一君         会計検査院事務         官         (第一局長)  大澤  實君         参  考  人         (元総理府事務         官行政管理庁行         政監察局主査) 高田茂登男君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月十二日  理事神近市子委員辞任につき、その補欠とし  て山田長司君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  歳入歳出実況政府関係機関収支及び国有  財産に関する件      ————◇—————
  2. 坂本泰良

    坂本委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選任につきましてお諮りいたします。すなわち理事神近市子君が去る一日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。つきましては、これが補欠選任を行わねばなりませんが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂本泰良

    坂本委員長 御異議なしと認めます。それでは理事山田長司君を指名いたします。
  4. 坂本泰良

    坂本委員長 歳入歳出実況政府関係機関収支及び国有財産に関する件につきまして前会に引き続き調査を進めます。  ただいまの理事会におきまして御協議を願ったのでありますが、右件に関しまして参考人として元総理府事務官行政管理庁行政監察局主査高田茂登男君の出頭を求め、前会に引き続き意見を聴取していただきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 坂本泰良

    坂本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  高田参考人には御多忙中のところを御出席をいただきましてまことにありがとうございました。  それでは、これより各委員からの質疑応答の形で意見を聴取することにいたします。  発言の申し出がありますので、順次これを許します。淡谷悠藏君。
  6. 淡谷悠藏

    淡谷委員 監察局の方にお聞きしたいのですが、昨日に引き続きまして、あなたの方から出されております報告書の四ページの二の項目です。これは「不正者天国」の「二十五ページの四行目から五行目にかけての記事を引用してありますが、「さらに怪しからんことは、中央監察結果報告には、担当行政官不正行為にわたる部分は抹殺されてしまっていることだ。監察部がこんなユル褌と怠慢な措置をとった……」の記事は事実を歪曲するもので、玉川村の件は茨城地方局情報に基き之を調査するの必要を感じ、東京管区監察局茨城地方監察局機動監察として取り上げ、昭和二八、九、二四日〜二八、一〇、二九日の間に調査したもので、この事実は機動監察の結果報告書に述べられており抹殺された事実はなく、又その結果については東京管区監察局長東京営林局長に対して勧告しており、その結果営林署長林野庁指導部平職員として降等配置換、その他庶務課長及び担当区員もそれぞれ他署に配置転換されている。又これに関連して二二頁〜二四頁にかけての金時計の事実については調査前の五月三日に既に返還されていたもので、「問題化しそうな状態になったので、三人ともあわてて返品した」というのは筆者独断に過ぎる見解である。」こう述べておる。この五月三日に、調査前にすでに返還されておるという実態を、高田君の方では、やはりあわてて返品したというふうに見ておる。あなたの方では、これは独断だというのですが、いずれにしても、金時計調査前の五月三日に返還されていたことは事実なんですね、これがあなたの方ではあわてないで返還と見られた基礎は一体どこにあるのですか。高田君は、三人ともあわてて返品したと言うし、あなたの方は、筆者独断にすぎないと、こう言う。しかし実際問題として金時計は、調査前の五月三日に返還されておる。あわてたのか、あわてなかったのか、一体どこに区別があったのですか。
  7. 高柳保

    高柳政府委員 この事情を大へん詳しく知っております松本監察官から当時の事情を申し上げることにいたします。
  8. 松本操一

    松本説明員 ここの記述につきまして御説明申し上げます。金時計は、五月三日に現実に返されておるわけでありまして、この点につきましては、高田君の言われることと食い違いはございません。ただここに「問題化しそうな状態になったので、三人ともあわてて返品した」この「問題化しそうな状態になったので、」というところに問題があると思うのであります。高田君は、これは収賄であるというふうに大体断定されておるわけでございます。その断定内容を申し上げますと、「不正者天国」の二十四ページの終りから二行目に「T庶務課長及びMの三人に謝礼として贈賄した。」ここで切れておるわけです。これが断定になっているわけです。これは「謝礼として贈賄した。」となっておりまして、送る方と受ける方と逆になっておりますが、これは収賄の間違いだろうと思います。  それから表題をごらんいただきますと「金時計国有林をとり替える」こういうふうに、すでに収賄の事実があったかのごとくに表現しておるわけでございます。しかしながら私たち調査いたしましたのは九月の末から十月にかけてでございまして、その以前五月にすでに返品になったわけでございます。私の方といたしましても、こういうふうな情報がありましたので、これを重大と認めまして、機動監察として取り上げて、その間の事情調査いたしたのでございまするが、この返品理由が、果して収賄意思はあったけど、問題化しそうに——ここにありますように、たとえば私の方の監察があるということであわてて返したのか、または返そうと思っていたのであるか、別に犯意はなかったのであるか、その間約二週間ばかりかかっておるわけですが、その二週間の間の本人意思、まあ端的に言いますと、犯意といいまするか、はっきりいたしません。この点については事実の確認ができないので、私の方といたしましてはこれを断定はしなかったわけでございまするが、それを速急に筆者断定したということは独断に過ぎる、こういうふうに申し上げたわけでございます。これは私の方の監察が慎重に事を判断しなければならないということで、われわれは間違ったことは言わない、こういう立場に立って、慎重に判明した事実だけを述べる、こういう立場をとっておりますので、同じく私の方の職員でありました高田君がかかる表現を使うことは独断である、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたの今の御答弁の中に、「不正者天国」この二十四ページの終りから二行目に「金側腕時計営林署長T庶務課長及びMの三人に謝礼として贈賄した。」これは「収賄した」の間違いだろうという御答えがありましたね。どういうふうな文章の読まれ方をしておるか知りませんけれども「その席には玉川村から村会議員全員が馳せ参じ、芸者をあげてドンチャン騒ぎとなった。」というこのくだりはこの贈賄者立場主語になっております。そして贈賄者立場主語になっておって、「その上、予め東京服部時計店において、十四万四千円で購入した一個四万八千円のモバード十二型金側腕時計を」というのは贈賄者が買ったんでしょう。だから結局「営林署長T庶務課長及びMの三人に謝礼として贈賄した。」というのは、これは文章上妥当だと思いますが、この文章についてのあなたの解釈の当否をまずきめてかかりたい。どうですか。
  10. 松本操一

    松本説明員 ただいまのお話につきましては、今この本を読みましたので、その前後のつながりにやや混乱があったかと思いますが、これはまあ贈賄ということでもいいわけでございます。ただこれは事実といたしましては裏表でございまして、事実の問題としては、私の表現に誤まりはありましたけど、変りはないと存じます。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 冗談じゃないですよ。問題になってるのは本の内容ですよ。贈賄収賄主語を取り違えた、取ったりやったりの違いですよ。あなたはここの一行か二行のところでも、今そういうふうに間違って読まれるような見方をしておって、この本全体をどう読んでるんですか。もう一ぺん初めから読み直してみましょうか。ね、いいですか。それと同時に、「あわてて返品した」のかどうかということはあなたはわからぬというけれども、一体この営林署長庶務課長がそういうふうな金時計を受け取って、二週間もあっためておったということは何の必要があるんです。取るべきものでなかったらすぐ返せばいいじゃないですか。二週間たってからこれを返品したということが明らかであるならば、この事実をもってしても、あなた方が収賄意思がなかったと見るならば、私はやはり行政監察局というものの正義に対する考え方が鈍っていると考えざるを得ない。しからばどういう理由で、二週間あっためておったのか、収賄意思がなかったとあなたは断定されるのですか。
  12. 松本操一

    松本説明員 ただいまのは収賄意思があったかどうかということを私の方で断定するのにははっきりした自信が持てないという意味で、これを収賄または贈賄として断定しなかった、こういうことでございます。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 断定しないまでも、一体こういう公職にある者が一個四万八千円の時計をもらわなければならないということがありますか、例になっておりますか。もらっておいて、二週間これを返さなかったということは、一体どういうふうな意味にあなた方は考えておられるのですか。これはあなた方の行政監察局の事件を調査する際の基本的な態度です。こういう事実が不正じゃないという観点に立つならばこれは論外です。当然のことと思いますか。官公職にある者がこういうふうな高価なものをもらって、しかもすぐに返品しないで二週間もこれを持っておったという事実は、これを不正なことじゃないというふうに考えられてあなたは監察をされたかどうか、その点を確かめておきたい。
  14. 松本操一

    松本説明員 ただいまのお話につきましては、私の方ではかかる事実は役人としてはないことでございまして、きわめて疑わしいと考えましたので、機動監察情報として提出されたものにつきまして、これはほうっておけない、これは重大であるというので、機動監察として東京管区並びに茨城地方局両局に調査をさせたわけであります。ただその結果といたしまして、私の方としてその事実があったとはっきり断定するまでの自信がつかなかった。私の方でははっきり自信がつかない以上はこれを監察報告にはっきりと、これは収賄である、贈賄である、こういうふうに断定するということはやっていないということを申し上げたわけであります。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 事は重大ですから、もっと突っ込んで私お聞きしたいのですが、あなたの方の報告書に、調査前の五月三日にすでに返還されているという事実は認めておられます。それから今あなたのおっしゃった御答弁の中にも、二週間これは返されなかったということも言われておる。これは断定するもしないもない。事実でしょう。事実として金側時計がわいろかどうかは知りませんが、贈られて、その贈られた金側時計が二週間あっためられて、しかも調査前の三日には返された、これだけの事実がそろっておるのに、どうして断定ができないのです。その断定ができないから、この前文にいっている通り、「担当行政官不正行為にわたる部分は抹殺されてしまっている」という著者の意思が出てくるのです。あなたの気持がこうだから、単なる収賄だけでなくして、行政監察局自体考え方もゆるふんであるという結論は、当然われわれとしても生まれてくる。あなたは、二週間も金時計をあっためさせて、おいて、調査前に返品させて、させてじゃない返品されているというこの事実をつかんでいながら、なおこれに対して不正行為であるという断定はできないのですか。それくらいの監察ですか。
  16. 松本操一

    松本説明員 ただいまの監察結果報告書にはこれを抹殺したという事実はないのでございまして、機動監察結果報告書にはっきりとその事実だけは述べてあります。ただそれを贈賄だというふうに断定していないということを申し上げておるわけでございます。なおこれがはっきりと収賄になるというふうにお考えのようでありますが、私の方としては慎重な立場をとってこれを断定しなかったということがございまして、これは見解相違ではないかと思います。なお私の方の調査といたしましては警察のようにはいきかねる点があるということをおつけ加えしておきます。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 見解相違があるから、こういう質疑応答になっておるのです。見解相違がなければ何も質問しません。ですから、その見解相違見解相違として残しておけないところに行政監察局の重要な任務があり、決算委員会の重要な任務があるのです。国会の決算委員会行政官庁である行政監察局がいつでも見解相違を持っておったらどうなります。そんな逃げ口上を言わないで、それならば、あなたはその事業に関係があり、利益あるいは損害を与える関係を持っておる官庁職員が二週間くらい金時計をもらって持っておっても、あなたの方の調査前にこれが返還されておれば不正ではないという前例を認めますか。二週間くらい金時計をあっためておくのは不正区ではないという、事実があったとしても、あなた方の方では文句を言いませんか。
  18. 高柳保

    高柳政府委員 私からお答えいたします。当時の事情といたしまして、この二週間という問題は今問題になっておりますが、返す機会をねらっていたが返せなかったという申し合せをした者もあり、われわれとしては、これを収賄罪贈賄罪という断定はできなかった、こういうことでございます。この問題に関連して、従って調査を始めましたのは返したという期日より相当の期間がたっておりますので、問題化するようになった状態になったので、あわてて返したという断定もできないというふうに考えたわけでございます。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は何も行政監察局贈賄収賄の罪をきめてくれとは言わない。ただその事実を不正と見るか不正と見ないかという問題です。これはどうなんです。返す機会がなかったといいますけれども、一体この玉川村と営林署のところはそんなに離れておりますか。返す意思があれば、贈られた瞬間に返してもいいじゃありませんか。二週間もかからなければ行けませんか。その結果はお調べになりましたか。
  20. 高柳保

    高柳政府委員 ただいまの問題でございますが、やはりそれは問題になるということで調べ始めたのでございまして、その結果、これはいわば判断の問題でございますが、それと確定することができない、そういうふうに判断することができないという調査の結果断定と申しますか、そうきめたということを申し上げる以外にないと思います。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも私の質問に対する答弁をはぐらかしておるようですが、ごく簡単にいって、こういうことは不正事実としてあなた方が取り上げたのか、当りまえなこととして取り上げたのか、こう聞きたいのです。すでにこの前に、あなたの方では営林署長林野庁指導部平職員として降等、配置がえになった。その他庶務課長及び担当区員もそれぞれ他所に配置転換されておる。そうしてこの不正事実を認めておるのですが、不正事実を認めておりながら、贈賄収賄断定できないということだけは言えますけれども、この金時計をとって持っておったという事実を不正行為だと断定はできないのですか。贈賄じゃないかもしれませんが、正しくなかったとは断定できませんか。
  22. 高柳保

    高柳政府委員 不正にも、そういう考え方にもいろいろ広い考え方もございますが、一応おっしゃいます不正という考え方でもって手をつけて、今申し上げましたように、犯罪が成立するかどうかということは断定できない。しかしこの事実につきましては問題となりますので、ここに書いてありますように、機動監察報告書には載せて、相手側には示して、そうして相手方の処理を待つというような結論にはなっておるということを申し上げます。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷委員 金時計をもらったのは営林署長庶務課長でしょう。Mという匿名の人もおる。この営林署長庶務課長もそれぞれ他所に配置転換されておるんですな。これは明らかにあなた方が不正事実を認めたからこういうことを書いておる。そうすると、一応あなたの方がユル褌ではなかったが、この不正事実を本人には通知したということを言っていましたが、どの程度この不正事実を発表したのですか。
  24. 高柳保

    高柳政府委員 これは東京管区監察局長より東京営林局長に勧告をしたということでありまして、一般には発表していなかったと思います。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうするとこの金時計を贈ったことをあなたは不正事実として認め、そのための処分もしておる。しかしこれを一般には発表しなかったならば、高田君の書いた担当行政官不正行為にわたる部分は抹殺されてしまっておるというのはどうなっておるのです。しかもあわてて返したか返さないか知らぬが、金時計をもらって二週間あっためて、それを調査前の三日に返還されておる事実さえ認めて、これを不正と認めておいて、しかもそれが筆者独断だということであれば、三人があわてたかあわてないかという推察の問題で、これは独断だと独断することがあなた方の独断ではないですか。一体どこが悪いのですか。当りまえのことを書いておるじゃないですか。歪曲といいますけれども、私はあなた方の見方がすでにいびつになっておると思う。こうして分析していきますと、あなた方が引用された「不正者天国」のこのくだりは少しも事実と変っていないじゃないですか、どうです、この点は……。
  26. 高柳保

    高柳政府委員 前段の中央監察結果報告書から抹殺したというふうに書いてありますが、これは高田君も内部をよく御存じでありますので、中央監察結果報告書にはございません。機動監察監察結果報告書に載っておる、こういうことを申し上げたのでございます。  それから後段の問題でございますが、ここに一応贈賄断定しておるくだりでございますが、それをわれわれの立場として先ほど少し曲っておると申し上げた。これを公務員として、監察局員として断定するということは、われわれとしてはできない。その立場はとってもらいたい。一般の第三者からごらんになるのとは違うかもしれません。その意味においてはそれを御了承いただきたいと思います。
  27. 淡谷悠藏

    淡谷委員 高田君は別に収賄ということは断定しておりませんね。贈賄ということを書いておりますね。そうすると利益を受けたものたち利益を与えたものたち時計を買ってやるということはどういう行為なんですか。もしこれが贈賄でなかったならば一体何が不正なんです。香典ではないですよ。お祝いでもないでしょう。利益をもらって、それに対してお礼として四万八千円もするような金時計を贈ったとなれば、これは収賄と見ないで何と見ますか。行政監察局の常識をもってすれば、これは一体何ですか。もしも贈賄でないならば何が不正なんです。当然の贈与ならば不正ではないのです。
  28. 高柳保

    高柳政府委員 何べんでも同じことを申し上げるより仕方がないような気がいたしますが、不正という言葉の広い意味においては不正だと思います。それゆえに東京管区監察局監察報告書には載っておるわけであります。ただし収賄なり贈賄なりということは断定できなかった、こう申し上げておるのであります。それからその断定をするにつきましても非常な慎重と申しますか、その事実のみを認めてその判断を下さなかったという立場に当時立ったというふうにお考えおき願いたいと思います。
  29. 坂本泰良

    坂本委員長 ちょっと参考人意見はいいですか。
  30. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ちょっとその点をもう少し明らかにしておきたい。  今語尾がはっきりしませんが、不正をやったという事実は認めて、そのあとは何です。事実は認めた。何とおっしゃったんですか。
  31. 高柳保

    高柳政府委員 犯罪です。犯罪が成立したかどうかということでございます。
  32. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきから私何べんも言っておりますが、あなた方に犯罪断定してくれとは言っていない。ただし収賄でない不正行為というのはどういう不正行為なんですか。金品をもらってこれが収賄とは断定できなかったが、不正行為であるということになると、収賄以外に金品をもらう不正行為というものがありますか。
  33. 高柳保

    高柳政府委員 別の言葉で申しますと、公務員としてはおもしろからざる行為というふうに考えます。
  34. 淡谷悠藏

    淡谷委員 おもしろからざる行為とは一体何です。どういう不正なんです。収賄に類しているからおもしろからざる行為になる、不正行為になるんじゃないですか。収賄でなくて何が一体不正です。私はおせんべい一袋ぐらいもらって子供に食わせても文句を言いませんが、少くとも利益を供与された直後においてこういう金品を贈るということは、おもしろからざる行為なんという言葉で片づけておかれるもんじゃないでしょう。あなたの方で収賄断定しないまでも、収賄断定されるような性質のものだから不正だというんでしょう。収賄収賄でないかは検察庁がきめるんでしょうが、それをきめないまでも、不正だというのはそういう疑いを持たれるおそれがあるからやったんじゃないですか、どうですかその点。
  35. 高柳保

    高柳政府委員 今のお尋ねの問題でありますが、そうなりますと実際の事実についてさらにお話し申し上げなくてはならぬかと思いますが、おもしろからざる行為ではありますし、もらってすぐ返したならまだ問題にならない、何週間か置いておいたからどうというようなことにも問題がからんでくると思いますが、当時の問題として、突っ返したというような感覚でみれば、これはまた不正とは断じ得ないとも考えられる。そういう当時の実情について的確なる判断を下し得なかったということを申し上げたいと思います。
  36. 淡谷悠藏

    淡谷委員 おもしろからざる行為なんてあなたはおっしゃるけれども、おもしろからざる行為というものは一体不正とどういうふうな関係があるんです。これはおもしろいはずはないんですがね。けれどもこれは収賄に類するからおもしろからざる行為なんであって、収賄に類しなかったら何もおもしろからざる行為と言わなくてもいい。私は別段あなたに対してはっきり収賄と言いなさいというんじゃないんです。不正行為だけは事実なんです。機動監察局報告書には載っているというのでありますけれども、機動監察局報告というものは一般に公開するものですか公開しないものですか。
  37. 高柳保

    高柳政府委員 一般のいわゆる計画的監察と同じように、発表するものと発表しないものがございまして、発表する場合も発表することが監察の効果を上げ得るという場合を考慮いたしまして発表いたします。
  38. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この事実は発表しましたか。
  39. 高柳保

    高柳政府委員 この分は発表しておりません。
  40. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それならば高田君のここに引かれた中央監察結果報告には、担当行政官不正行為にわたる部分は抹殺されてしまっているというどこが独断なんです。
  41. 高柳保

    高柳政府委員 中央監察報告書も発表する場合と発表しない場合がございます。これは中央監察報告書の中に落ちている、こう書いてあります。で、そういう表現をいたしますと、全然監察報告書に載っていないということも考えられる。実は違った意味機動監察結果報告書に載っているという意味で、事実を歪曲しているというふうに考えたわけでございます。
  42. 淡谷悠藏

    淡谷委員 中央監察結果報告書には載っておるのですか。
  43. 高柳保

    高柳政府委員 そのいきさつを知っております松本監察官から答弁いたさせます。
  44. 坂本泰良

    坂本委員長 参考人意見はいいですか。
  45. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今聞きます。
  46. 坂本泰良

    坂本委員長 事実関係ですか。事実関係でなかったら局長から言ったらいいでしょう。
  47. 高柳保

    高柳政府委員 事実関係です。
  48. 松本操一

    松本説明員 ただいまの監察機動監察でありまして、結局地方が計画してやる監察でございます。従って機動監察結果報告書に記載したわけでございます。中央監察結果につきまして、国有林野整備臨時措置法の関連のことなんですが、これが出ておりますのは、この事件がありましたので、この国有林野整備臨時措置法については、問題があるということで、監察計画として中央の計画としても取り上げたわけでございます。従いましてこの金時計の茨城の件につきましては、機動監察としてやったのでありますので、機動監察結果報告書に載せ、なおこれは類型的にきわめて重要な問題であると思いますので、中央監察結果報告書にもこの一部を引用した、こういう関係になっております。別に故意に抹殺したというような意図は全然ないのであります。
  49. 淡谷悠藏

    淡谷委員 高田参考人にお聞きしますが、この中央監察結果報告には担当行政官不正行為にわたる部分は抹消されてしまっているというあなたの表現は、どういう根拠に立ってなされたんですか。
  50. 高田茂登男

    高田参考人 中央監察報告書は、私ももし載っていてはいかぬと思って何回も読んでみたんですが、やはり載っておりませんので、これは故意に抹殺したものと認めてこう書いたわけでございます。
  51. 淡谷悠藏

    淡谷委員 行政監察局の方にもう一ぺんお伺いしますが、中央監察結果報告には、どういう表現でこの事実が載っているかをお聞かせ願いたい。
  52. 高柳保

    高柳政府委員 お答えいたします。今松本監察官がお答えいたしました程度に、中央監察結果報告書には引用してありますが、実際の事実は先ほど申しましたように、機動監察結果報告書の方に述べられている、こういうことでありまして、ただいまこの監察結果報告書は持参しておりませんので、ただいますぐ申し上げるわけにいきませんので御了承願います。
  53. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも私はあなた方の御答弁に非常に大きな矛盾があると感ずる。さっきは地方の機動監察報告というものにはいろいろのことがあるけれども、発表されないものもある。このことは発表されないと断定になっていた。機動監察報告書にも発表されないで、しかもそれが中央監察結果報告書にも載っかっていないと本人は読んだと言うのです。あなた方は手品師じゃない。そうするとやはり中央監察結果報告には担当行政官不正行為にわたる部分は抹殺されてしまっているというのは当りまえの話じゃないですか。抹殺という言葉がだめなんですか。
  54. 岡松進次郎

    ○岡松説明員 私から補足的にお答え申し上げたいと思います。その前に監察結果報告書の問題になっておるのでありますが、これは高田本人監察局におられたんですからよく御承知と思いますが、この監察結果報告書は各監察結果について報告書が作られておるわけでございます。従いましてここで問題になりました全時計の問題の監察は、これは機動監察東京管区茨城地方局がやった監察でございますから、その監察結果報告書に当然載っておるわけでございます。この中央計画は別の意味監察をやったのでございますから、これに載らないのは当然でございます。従いましてもし高田君にして正確を期するならば、機動監察というものには載っておるけれども中央監察には載っていないという表現をすべきであります。中央監察には載らぬということは御当人は十分知っておるわけでありまして、別の監察なのでありますから、事実を抹殺して中央監察報告には載っていないといったような表現は事実に反する。これは機動監察結果報告書に載せてあるわけでございます。農林省にもそのむねを通達しておるわけでございます。これはしばしば申し上げましたように、監察結果報告書の中にはいろいろ秘密事項等もありますから、一般的に全部発表するということは制限しておりますから、この問題は一般には発表しておりませんが、関係官庁には全部このむねを通告しておるわけでございます。従いまして、この表現は、事実をよく知っておる高田君としては、きわめて不正確であり、きわめて意図した文章であるとわれわれは断定するわけであります。
  55. 淡谷悠藏

    淡谷委員 高田君に一つお聞きしたいのですが、「この金時計は、その後問題化しそうな状態になったので、三人ともあわてて返品した」といういわゆる筆者独断に過ぎるという見解について、あなたはどういう御見解に立たれるか。
  56. 高田茂登男

    高田参考人 その点につきましては、茨城地方監察局からの報告にこの事実が載っておるのです。それに対して中央監察報告書にはこの事実が載っていないということから判断したのと、もう一つは私の本の二十五ページに出ておるのですが、このような不正をやった職員に対する措置がどうなっているかということなんです。監察局の勧告には何らそういう責任の追及をやれということは言われておりません。従いましてこれに対する回答は「禁伐保安林の払下に際し、提出された施業計画の検討を怠り、誤った計画書を受理した点、まことに遺憾に思う次第であって、更に今後調査の慎重を期するとともに、本件関係職員に対しては、今後再び繰り返さぬよう訓示した。」これは単なる訓示であります。従って私は、ここで政府側の答弁書によりますと、林野庁事業課長が平職員になったとか、署長、課長、担当官が配置がえされたということは事実かどうか知りませんが、とにかく林野庁から公式に出した勧告に対する回答の中に、はっきりと単なる訓示で終っているという事実がありますから、この公式の公文書を信用して書いたわけであります。
  57. 淡谷悠藏

    淡谷委員 高田参考人は機動監察報告書というものを読まれたことがありますか。
  58. 高田茂登男

    高田参考人 読んでおります。
  59. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その内容はどの程度この不正行為に当っておるのですか。
  60. 高田茂登男

    高田参考人 内容はこの本に書いてある通りでございます。ただ表現方法として「あわてて返品した」というようなことが書いてあります。これは私が判断しそう見られるような報告でございますからそういうふうに書いてあります。  それから今金時計だけの問題になって、おりますけれども、「玉川村から村会議員全員が馳せ参じ、芸者をあげてドンチャン騒ぎとなった。」こういうことも報告書にはっきり書いてございます。
  61. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうもこれは行政監察局の方の事件に対する考え方の問題だと私は思う。さっきの質疑応答によって明らかになった通り、確かに監察局側でもこの行政官の不正事実は認めておられる。また機動監察報告書には、載せられてはおるけれども、公表されていないし、まして中央監察結果報告書には内容を詳しくは載っけてない。そうしますと、私は中央監察結果報告書には担当官の不正行為に当る分は抹殺されてしまったという記述が事実を歪曲したものとは思われません。それから金時計をもらってこれを返品した事実も認め、その不正行為も認めておきながら、「問題化しそうな状態になったので、三人ともあわてて返品した」というのは筆者独断に過ぎる見解である。」というあなた方の独断的な見解も、「あわてて」という部分だけは独断であっても、大体においては独断じゃないと私は思う。あなた方はこれだけの質疑応答によって明らかになった事実をあげましても、なおこの報告書の通りであるというふうに強弁されるかどうか、念のために伺っておきます。
  62. 榊原亨

    ○榊原政府委員 先ほどからいろいろ御質問があったのでございますが、前段のものにつきましては「抹殺されてしまっていることだ。監察部がこんなユル褌と怠慢な措置をとった」というこのことについはて歪曲されているということを言っております。また後段の問題については五月三日から、われわれが監察をいたしましたのは九月二十六日でございますから、その間に時間がたっておりますし、それから問題化しそうな状態になったので、三人ともあわてて返品したという確証を握ることができません。また筆者は当時現職の官吏でございますので、そういう断定を下すということについては困る、こういうことを申し上げておるのであります。
  63. 淡谷悠藏

    淡谷委員 前半の「監察部がこんなユル褌と怠慢な措置をとった」ということと、あなた方の最後の調査が九月何日になったということの間には、私は切っても切れない関係があると思う。こんなような問題が問題になってすぐあなた方の方の手が入るのであれば「ユル褌」とは言わないだろうと思う。すでにこの場合は営林署長などを呼んで玉川村の村会議員が芸者を入れてどんちゃん騒ぎをやれば、あなた方が調査する前に、すでに現地では問題になっておる、これは当然の話です。それをじんぜん九月まで監察をしないところに高田君の言う「ユル褌」という見方が生じてくる。私は現職の官吏がこういう本を書いたことがいいか悪いかはこの際論じませんけれども、ただこのあなた方の出された報告書自体の中にも非常に歪曲されたこともあり誇張なれたこともあり、また独断に過ぎる個所もある。万事この方針をもって貫かれておる。だからその点は別段あなた方の方の調査がおくれたからといって、その前に問題化しそうな状態にならぬとは断定できないと思う。その点はどうですか。
  64. 榊原亨

    ○榊原政府委員 前段の場合に申し上げますと、「監察部がこんなユル褌と怠慢」だからという「こんな」ということは、その前の報告書から抹殺しておるということと関連があると私どもは考えておるのであります。前段の抹殺されたという事実、こんなことであるからユル褌である、そのことがなるほど中央監察報告書におきましては林野庁はこの問題については問題があるということだけは指摘しておりますが、事実は地方監察報告に書いておるのでございますので、それを抹殺してしまったということにはならぬのじゃないかと私は思うのであります。  もう一つは、私どもは数少い職員をもって監察しておりますので、四半期ごとに計画監察というものを計画いたしましてやっておるわけであります。また機動監察につきましても同じくそういうわけでございますので、いろいろ情報を集めまして、それから計画をしてやるのが常でございます。事件があってすぐそれをやるというようなことは、数少い職員で行政全般にわたってこれを監察するという立場からできないこともあるということをお認めおき願いたいと思います。
  65. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この行政監察局の処分としましては、勧告をするということはしばしば行われております。処分全体から見た場合、勧告とは一体どういうことになるのか、その点を他の処分の方法と関連させて御説明願いたいと思います。
  66. 榊原亨

    ○榊原政府委員 行政監察のやり万は、設置法にもありますように、部内監察でございますので、私ども不正不当あるいは行政のあり方についておもしろくないということがございました場合には、相手の官庁に向って勧告を内部的にいたすというのが私どもの役目でございます。従いまして、その事実について職員をどう処分するとかなんとかいうことは、相手方の官庁の御見解によって行われるということでございまするし、なお私どもはあとからその処分がどうなっておるか、勧告の事実がどういうふうに励行されておるかということにつきましては意見を聞くということになっております。
  67. 淡谷悠藏

    淡谷委員 高田参考人にお尋ねしたいのです。報告書の四ページの3の項目に「将来の改善措置を勧告しただけに止まり、国損の補填や、行政責任を追及させるような措置を講じていない」としてありますが、行政監察局としては国損の補てんや、行政責任を追及させる措置というのはどういうふうになっておるのか、あなたの見解を伺いたい。
  68. 高田茂登男

    高田参考人 行政責任の追及という点につきましては、私は行管の勧告書の中で一つも今まで見たことがございません。それから国損の補てんということは、たとえば補助金をごまかしてとっておったというような事実が出てきた場合に、監察のあり方としてどういうところにそのような不正、不当を招来する欠陥があるのか、機構や制度上の欠陥があるのかということがそれで出てきますから、その欠陥をついて、しかも今後そういうことのないように改めさせるというところに重点があるので、それをやっておるわけであります。もちろん私はいわば予防主義的な監察というものの重要性は少しもこの本の中でも否定してはおりません。ただ現在の国情下においてはそれだけでは不十分である、そういう国損を生じたような場合は、それを国庫に返還させる、今の補助金をごまかしてとったというような場合には、そのものを返還させるようにしなければならぬということを私はここで主張しておるのであります。ところがその国損の補てんということについて非常に熱意が足りないと思われるのです。その点を私は、非常に強い表現にはなっておりますけれども、ゆるふんとか怠慢という言葉でいっておるわけなんです。
  69. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこであなたにもう一つお聞きしたいのは、さっき私長く質問をいたしました金時計の件についてです。営林署長が平職員になったり、あるいは庶務課長担当区員がそれぞれ他所に配置転換されたという事実は、一体適当な処分であったとあなたは考えられておるかどうか。
  70. 高田茂登男

    高田参考人 私はかりにこのような処分があったとしても、これは単なる配置がえですから、今までの係が変ったとか課が変ったとかいうことであって、こんなものは行政処分のうちには入らぬと思います。かりにこの通りであったとしても、適切な行政責任の追及であって、将来の不正を防止する意味において、特に官吏の綱紀粛正を標榜しているところの監察のあり方としては、ゆるふんであることは明らかだと思います。いわんや先ほどもちょっと申しましたように、この本の二十五ページに林野庁の回答したところはこのような不正行為を行なった者に対して単なる訓示をしたことで終っております。だから私は行管の方のこの第四ページの説明で平職員に降等したとか云々というような処分があったとありますけれども、私はこれはまだ証拠が出ておりませんので、あまり信用ができません。現在のところ私は、このはっきりした抗弁書で林野庁が回答してきたところの単なる訓示に終っておるということを信用しておりますので、ますますもってゆるふんであるということは立証されておると思います。
  71. 淡谷悠藏

    淡谷委員 行政管理庁の方にどなたでもけっこうですが、お聞きしたいのです。今この営林署長が指導部の平職員として降等配置がえされまして、庶務課長及び担当区員はそれぞれ他所に配置転換されたということは高田参考人の方から信用できないと言っておりますが、あなたの方で何かこれは立証するような資料がありますか。
  72. 高柳保

    高柳政府委員 立証できます。
  73. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ここでその立証をしてもらいたいのです。どんなことでわかるか、どこへいったか、いつか。——それはできるだけ詳しく名前や前職、それから現在の職というものもお聞かせを願いたいのです。
  74. 高柳保

    高柳政府委員 この記録には実は名前が省略されておりますので、はなはだ申しわけありませんが……。昭和二十九年三月に署長は林野庁指導部平職員とここに書いてある通りでありますが、庶務課長東京営林局庶務課庶務係員、担当区員は他の担当区というふうな記録がございます。なお詳しくはさらに調査して申し上げることも可能でございますので、ここではこの報告にとどめたいと思います。
  75. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと関連して、これは受ける感じでありますけれども、やはり行政管理庁が高田君によって相当きびしく批判された文章、これに対するあなたの方の反駁が答弁的な文章になっておるわけです。それで今のだんだんの説明を聞いておりますと、あなたの方としてはかりにも金時計が贈られた、十教万円の代価のものが贈られたという事件があったときに、返還されたかどうかにかかわりませず、これはきわめて重大な事件として相当な勧告もしくはその処置の成り行きを注視すること、場合によりましてはやはりあなたの方におきましても告発の手続をとるとかなんとか、そこまで手を打たなければこういう問題は跡を断たないということを一体感じなかったのであろうかどうであろうか。たとえば金時計を贈られた以上は、それ以外の供応その他も相当あったのではないかと私は想像するのであります。そんなことも調べたかどうかわからぬ。それから林野庁の指導部の平職員に配置転換されたといっておるけれども、これはどの程度の処分に該当するのかわからない。かりにもそういうときにはあるいは場合によっては免職をするか、場合によっては告発するとか、場合によっては懲戒処分に付するとかいうような処置が監督官庁としてなされるべき案件かもわからぬというふうな重大性を持っておる性質のものでありますので、やっぱり行政管理庁としましては、その成り行きもよくわからぬでおるという程度が高田君の憤激を買ったのじゃないかと思います。そこで今の御答弁もしくは今の事実を国民が知りましたなら、これは大へんなことが裏であるんだなということを国民として直感しますよ。その国民の直感する感じを、率直に行政管理庁は受け入れて臨むんでなければ、監察の業務は目的を達せられません。これははっきり申し上げておきます。勧告をした、どこかに横すべりしていった。上に上ったか下ったかわからぬけれども、とにかくそれはそれきりというようなことでは、これは百年河清を待つで、大した効果の上らぬ業績になると私どもは案じるのですよ。ですからこういう点は、指摘せられたら率直に認めるなら認めるという態度が私はいいと思うんだ。この問題についてつべこべと、不正部分が抹殺されておるという文章を取り上げて、部下の責任を追及するというような態度は、国民は納得しません。やはり国民に奉仕するというほんとうの立場に立ちますならば、国民の率直な感情というものをそのまま受け入れなければいけません。次官どうお考えになりますか。
  76. 榊原亨

    ○榊原政府委員 これはやはり秘密の問題と関連いたしてくるわけでありまするが、私どもといたしましては、監察をスムーズにやりますためにはある程度の秘密ということもやむを得ないんではないかと考えております。しかしながらすでに明らかになりましたものにつきましては、ただいまお話しになりますように、上司のものが、たとえば監察局長なら監察局長が監察局会議を開きまして、これは発表すべきものだ、これは発表せずに勧告すべきものというようなことで、総合的判断をいたしまして、国の行政が正しくいきますように努力をいたす、それが私どもの考え方であります。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうではないのですよ。発表するとかしないとかいうことは実質的にものを判断するときには末の問題であります。そもそもそういう不正とか不当なことを根絶するということが、行政管理庁を置いてある国民の要望なんであります。それにこたえるためには、こういうようなことを根絶するためには、やはりその状況、原因、結果、処置、監督官庁はどういう処置をしたかというところまで見きわめをして、庁内においても問題にし特にあなたの方では大臣を出しておるのだから、そういうところを問題にしまして、そうして林野行政においてこういうことがもしあちこちで行われたら大へんだというくらいの敏感さで問題の重要性をあなたら自体が認識しなければいかぬということです。私どもはあなたの方の立場をなるべく公正に考えていこうとするんだけれども、どうも発表するとかしないとか、秘密とか何とかかんとかにとらわれておるというところに、一体何のために行政管理庁があるのかということを感じさせられる。行政管理庁というものは、ものを知って、それを報告するということは、国の機関としての目的ではないはずです。監察が目的であります。監察はやはりその物事の根源も突いて、結果もきわめて、そうして悪いことはなくするということが目的でなければならぬ。でなければ幾つもこんなものがあってもしょうがない。行政管理庁があり、大蔵省が監督もやり、それぞれの省庁が自己監督もやり、検査院も監督する。監督監査というものがそう幾つもあるというところに非難を受けるゆえんのものは、やっぱりぴんとしてしゃんとしないからです。でありまするので、もし私が行政管理庁におりましたならば、こういう問題につきましても、金時計の授受なんてこれは大へんだということになって、相当な政府に向っての勧告の事項として、私は閣議でも問題にしてもらうくらいにすべき案件だと思う。どうも次官は発表することしないこと、秘密だなんということにとらわれておりまするが、これは実に慨嘆にたえません。そういうことでは国民も納得しません。従って国会のわれわれを納得さす答弁ではないと思います。非常に剴切なというよりも、重大なことを、のらくらと答弁のために答弁なさっておるというので、誠意がありません。
  78. 榊原亨

    ○榊原政府委員 おしかりを受けておるのでありますが、私どもといたしましては、行政監察は内部の監察機関でございまして、内部的に勧告をいたしまして、各行政官庁が自粛的に不正不当をなくするというような立場に立っておるわけであります。従いまして今の金時計の問題も、これは当該の官庁に勧告をいたしておりまするし、またその他のことにつきましても勧告しました結果、どうなったかということをさらに報告を私どもは求めておるわけであります。ただしそれだけでは私どもは満足しませんので、公共の利益になると考えた場合には、これを適宜新聞発表をし、その他においても発表するという態度を私どもはとっておるわけであります。ただし監察いたしました結果につきましては、ただいまお話し申し上げるようなことに考えておるわけであります。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私どもは、あなたらが新聞発表するとか、そんなようなことを問題にしておるのじゃないのですよ。官庁としましてやはり勧告するということはある結果を期待することであります。その報告を求めたならば、それが適当であるかどうかについてもさらに判断をされるべきであろうと思う。判断をした結果新聞発表もくそも、そういうことはまことに卑俗な物の考え方であります。国民はあなたらの官庁のなすべき業務、あるいは設立の、各般の規定法律等によりまする権限等が相当重要なものであると知っておりまするので、私は申し上げるのです。刑事訴訟という手続もあるのですから、場合によったら告発することが私はできると思うのです。公務員が公務の執行上発見した犯罪があるならば告発もできます。告発もできるのだけれども、あなたは今新聞発表というようなことをおっしゃっておりましたが、そんなことに最大の効果を期待するのならば、それはまるで宣伝教育的な、そういう感覚で行政事務をやっておるということに疑われます。そんなものじゃないと思います。峻厳な、あなたの方の立場は相当効果的にずばりとなすべき方法措置はあると思うのです。大臣はあるのだから、閣議に対して報告もできようし、閣僚に対してものも言えようし、あるいはその他の勧告の手段というものは幾多の方法があろうと思います。どうも今のことは結果の見通し、見届けというものにつきましても十全を尽しておらぬと思いますので、聞きおるのであります。もし今のような、そんなお考えであったならば、新聞に発表して、新聞がちやほやいって、雑誌や新聞に書いたならばそれで効果があると、そんなことを思ったら大へんですよ。ここ数年の間にもちろん国鉄の監査の結果、行政管理庁は重大な業績をあげました。これは十分に私どもも認めるのであります。けれども、そんなことに酔ったらだめですよ。新聞がちやほや書いたからといって、それで行管の目的を達したなんと思っておったらだめですよ。そうではないのであります。そうではなくして、もっとじみな行くべき道がありまするので、勧告の成果というものはもっともっと私は峻烈に期待し、追及していくという手段を選ばねばならぬと思います。社会にこびるというような態度で行政管理庁の仕事ができますか。だからこういう部下が出るのであります。一口に言うならば、長官自身にしましても、やはりこういう高田君を罷免しなくちゃならぬというような心境に立ち至りましたことを、みずからほんとうに国民におわびする、よって来たる原因は内にあるというような反省があってしかるべきだと私は思うのです。そういう反省がなかったならば、私は第二、第三の高田君が出るかもわからぬと思います。それほど今日の社会は腐敗しておるということをあえて申し上げます。政界も腐敗しております。だからこの委員会におきましても、しばしば幾多の問題が取り上げられたことは御承知の通りであります。そういう感覚と角度から申しますと、今の御答弁は私は非常に不満足であることを申し上げておきます。
  80. 榊原亨

    ○榊原政府委員 ただいまお話になりました通りでございまして、私どもは内部の行政官庁に対して勧告をいたしましたことにつきましては、その処置を報告を求め、さらにしばらくたちます推進監察をいたしまして、勧告した結果が実際上なっているかどうかということについて、報告を求めるだけでなしに、監察をさらにいたしておるというわけでございまして、今先生がおっしゃいました趣旨に基きまして私どもはやっておる。先ほど私新聞発表ということを申し上げましたのは、それはそれでやりますが、ただし国民に対しましてもある程度のことを知らせる必要があるというようなことから、その公共の利益になるようなことについては新聞発表もあわせて行なっておる、こういう意味のことを申し上げたのでございまするから、御了承おきを願いたいと思います。
  81. 淡谷悠藏

    淡谷委員 次官に私一つ御答弁願いたいのですが、さっき高田君の書いた四ページの「監察部がこんなユル褌と怠慢な措置をとった」ことについて、事実を歪曲するというお話がございましたが、この報告書を見ますと、全般にわたって非常に監察局がゆるふんといわれていることについて気をもんでいるらしい。しかし、ゆるふんのうちで最もだらしのないゆるふんは、自分のゆるふんに気のつかないゆるふんなんです。自分がゆるふんであって、これはゆるふんだと言われたら、ぐっとしめあげればいいのですが、それをゆるふんと思わないところに、私は一番ゆるふんのほんとうの姿があると思う。あなたの答弁を聞いておりますと、それが事実に立証される。自分がゆるふんでやっておってもちっとも気がつかない。たとえば五ページの終りから六行ですが、「当庁と文部省とで仮校舎に対する取扱いが明確を欠いていたため、文部省は補助金の返還を命じなかった」と書いてある。これはあなたの方の責任でしょう。文部省にもあるでしょう。少くとも行政監察をし、行政管理をするものが、取扱いが明確を欠いておったので、「富士町長が不正手段により学校施設費国庫補助金の一千万円を欺き取った」欺きとったかどうかということは問題でありましょうけれども、こういうことが起っておる。自分たちの取扱いが明確を欠いていたためにこういうことが起ったのに対してそれをゆるふんと言われて、歪曲したなんと怒っている姿が、私はゆるふんの最も明瞭な証拠だと思うのですが、この点はどうお考えになりますか。あなた方のゆるふんに気がついていないのですか。
  82. 榊原亨

    ○榊原政府委員 ただいま御指摘のことにつきましては、なるほど私ども反省しなければならぬことが多いと存じますが、この御指摘になりました、5の文部省と仮校舎の件につきましては、当時の社会情勢から申しまして、こういう取扱いがどうかということにつきましてはいろいろ疑問がありましたので、こういう処置をとったと私どもは聞いております。
  83. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これも大へん失礼な質問ですが、榊原次官はこの「不正者天国」は全般を正確にお読みになっておりますか。
  84. 榊原亨

    ○榊原政府委員 ある程度正確に拝見しております。
  85. 淡谷悠藏

    淡谷委員 冗談じゃないですよ。「不正者天国」を問題にしてきようで二日ですよ。こんな本は二時間か三時間で読んでしまう。内容も見ないであなた方が弁解に立つなんというゆるふんがありますか。私もあえて言う。従ってこの、二項の中央監察結果報告には、担当行政官不正行為にわたる部分は抹殺されてしまっていることだ。監察部がこんなゆるふんとか怠慢な措置をとったということは私は、少しも事実を歪曲しているものとは思わない。この点はどうですか。あなたはさっきそうでないと言いましたが、答弁を聞いていると、はっきりゆるふん状態がわかっている。というのは、この本で見ますと、この一つの条でなくて、全般にわたって行政監察局のゆるふん状態がついてあるのです。もう一ぺん読みなさい。それからゆるふんでないというなら、さっき私から聞きました、営林署長が林野庁の指導部の平職員として降等配置転換を行われたり、あるいは庶務課長及び担当区員がそれぞれ他署に配置転換をされているという事実について、氏名を明らかにして、これが不正行為による、配置転換もしくは平職員への降等処分だということを立証するような資料を当委員会に出してもらいたい。なおこれもやはり監察の結果の正しさを立証するために、あなた方が言っております退職三名、降等配置がえ十一名、計十四名の処分についても、これはゆるふんでないということを立証するために、できればここで、できなかったならば、他日あらためて私は資料として詳細に出してもらいたいが、この点はどうですか。
  86. 榊原亨

    ○榊原政府委員 ただいまその氏名については手元に資資料がございませんので、あらためて提出させていただきます。
  87. 淡谷悠藏

    淡谷委員 次官はこの「不正者天国」をもう一ぺん初めからしまいまで見ていただきます。私は質問する上においては、個々の条文や自分たちに対するちょっと言葉が荒い、行き過ぎたことにこだわらないで、本の全体に流れている著者の熱情というものをくみ取ってからやはり御答弁願いたい。少くとも部下に対するほんとうの愛情があるならば、あなたはおろそかに読んだこの本を初めから終りまではっきり読み返して、もう一ぺん御答弁願いたいと思うのですが、この点どうですか。
  88. 榊原亨

    ○榊原政府委員 先ほど私がある程度読んだと申しましたことは、三、四回読んだということでございますが、なおただいま御指摘もございましたので、もう一回読まさせていただきます。
  89. 淡谷悠藏

    淡谷委員 三、四回読んでこの程度の理解ならとんでもない話ですから、もう一回ほんとうに理解がいくように読んでもらいたい。それからさっきの御答弁の中にありましたが、あとの方の——これは私は確かめておきたいからこれだけ言っておきますが、「問題化しそうな状態になったので、三人ともあわてて返品した」とあるのが独断に過ぎるという見解なんですが、これはあわててという言葉独断に過ぎるのですか、返したという事実が独断に過ぎるのですか。
  90. 榊原亨

    ○榊原政府委員 「問題化しそうな状態になったので、あわてて」これがただいま私が申し上げた理由であります。
  91. 淡谷悠藏

    淡谷委員 高田参考人にその点もう一ぺん確かめておきます。これは行政監察局が手を入れ、問題にする前にこういううわさが飛んでおったということがあったのかないのか。問題化しそうになったというのは、どこでそうなったか。
  92. 高田茂登男

    高田参考人 この件は茨城地方監察局からの報告書にこの返品したということが書いてあったのです。それで問題化しそうになったので、あわててということは私の想像が加わっております。
  93. 淡谷悠藏

    淡谷委員 実はさっきから自民党の山本理事の方から盛んに、時間がない時間がない、という抗議がございますので、実際この通り一項目ごとに、あなた方が強弁されますけれども、新しい疑惑が湧いてくるのです。それでこの二項につきましても、私はこれ以上の質問を保留します。請求いたしました資料を全部出していただいた上でもう一ぺん私はこれについて御答弁願いたいと思います。
  94. 坂本泰良

    坂本委員長 ほかに御質疑もありましょうが、本日のところは以上をもちまして調査終りたいと存じます。高田参考人には御多忙中まことに御苦労様でした。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十九分散会