○
吉田(賢)
委員 当
委員会におきまして各省の不正、
汚職事件が、毎年審議の対象になっております。ところがこれが
免職になるというような場合は、これはたとえば公金の使い込みにおける裁判所
関係の
事件などで、きわめて希有なことであります。こういうような懲戒の場合はそういうことが若干あるのでありますが、それでも
農林省の
事件等におきましても、あるいは
国鉄等の
事件におきましても、刑事裁判以外の場合の
免職というものは、ほとんどないのであります。注意とか勧告とか戒告とか、あるいは減俸というようなことが通常になっておる。刑事
事件等によらず、むしろ分限のこの規定によりまして今のような
処分をするということは、これはよほどの重大な
理由がなければならぬ。ところが
資料として出されておる各般の事情を考察し、
不正者の
天国なる
書物の
内容を検討してみまするというと、やはりこれはそんなに重大なことではないのじゃないかというふうに
考えられる。ただし、これはたとえば役人としての規律と組織の中におって、ことに
行管のような重要な、特殊な
立場にある者が、どんどんと自分の筆にまかしてものを書いて社会に訴えるという書き方が
行き過ぎであることは、私もはっきり認めております。その点は午前中本人の
高田君に向って、君の態度のよからざりし面のあることは自認しなければなるまいということすら、私は言っておるのであります。しかしながら同時に、やはりあなたの方としても、ことにあなたは
行管の長官であると同時に、半面においては副総理の
立場である。従ってこの内閣におけるきわめて重要な
立場におられる。申すまでもなく、しばしば岸総理申されるごとくに、
汚職の追放とか根絶とか官紀の振粛というようなことをしばしば言っておられる。こういうようなときに、この
書物の
内容は大半この
委員会が扱ったものである、あるいは
会計検査院の
報告書に載っておるものである、あるいはあなたの方の
行政監察年報に載っておるものである。ただこれにつけ加えて種々見解が述べられておる。種々な想像
記事がひっついておる。これは私はけしからぬと思うのでありますが、全体から受ける印象は、まことに官庁の事務というものは、なんというだらしないのか、こういうことが事実であるとするなら大へんだということは、読んだ人がひとしく受ける印象だそうであります。そうであるとすれば、この大半というものは、むしろ
汚職追放に対する一役を買うものでないかとさえ
考える。こういうことなんです。それならば、そういう半面についてあなたの方ではしんしゃくすることなしに、ただ服務規律に従っておらぬ、そういうような
理由がおもになっておるようであります。もっとも分析してみると、
処分の
理由は、秘匿すべきものを公表したというようなことがあり、あるいは
歪曲され、あるいは誇大に吹聴されておるようなことも
指摘してありまするけれども、いずれにいたしましても大半は——大半というよりも骨格は、公知の不正、
汚職的事実が骨格をなしておる。でありまするので、むしろ
汚職追放を叫ぶ者から言うならば、民間のものであるならば、これは大いにやるべしというくらいな
書物です。ほかに類似な
書物が数冊出ておりまするけれども、これの方が相当具体性を持っておる、こういう点から
考えましたならば、かえって今の内閣の声明しておる
立場に沿うということがこういう
書物の傾向ではないか。悪い面もあるけれども、反面においてはあなたらが主張しておる、声明しておる
趣旨に沿うておるのではないかとさえ
考える。こういう面は顧慮しなかったのかどうか。そういうことをもし顧慮しなかったら、これは義憤に燃えた者を殺してしまうことになります。大へんなことです。ことに
高田君——私はしいてこの人を弁護しようとするのではないですよ、
高田君という人は、この
あと書きにも書いておりまするが、
公務員の憲法上の
国民へ奉仕する、公けへ奉仕する、全体へ奉仕する、この
立場をかなり強調しておる。ですから、そういう
立場からするならば、私はむしろ内閣の
汚職追放の根本の
趣旨に沿うておる傾向を現わしておるのではないかとさえ思うのです。そういうことをあなた方はお
考えにならないのかどうか。長官の
立場は反面において副総理の
立場でもありまするので、こういう点はやはりはっきりしておいてもらわなければいけない。役人が一々官庁の不正
事件を、公けになっておるものすらこれを
指摘するようなことを封鎖していくというようなことになっていきましたならば、おそらくは
汚職追放なんということはできやしませんぞ。これを思いまするので、この点につきましてのあなたのお
考え方を
一つはっきりしておいてもらいたい。