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猪俣委員 そうすると、国家が要請するところの公務員の秘密保持をする義務に違反したのではないのだが、結局どうも言うことを聞かないので、なんだか部内の秩序というものが維持できないというふうに認定したということになりますと、どうも世間でいうことがほんとうのことになると思うのだな。つまり自分たちの都合の悪いことにふたをしようと思うけれ
ども、それができないから、これを異端者として免職してしまう、そういうことになるのじゃないですか。それは国家に損害を与える秘密を暴露したということになれば、公務員の義務違反として追及することも当然でございましょうけれ
ども、部内の秩序を維持することが困難になったということ、これは憲法の第十五条の本質を皆さんが理解しておらないことじゃないか。公務員の罷免権は
国民にあるのだ。諸君はただその
国民の代弁者にすぎない。公務員を任免することが
国民にあることは、憲法十五条の明記するところです。これが民主国家の姿であり、民主憲法の精神である。一官僚が自分の手前勝手に免職したりすることは許されない。
国民に損害を与え、国家の運命に損害を与えるようなことならば、これは秘密を守るべきものであって、これを犯す場合においては、
国民にかわって上司が免職するということはあり得ましょう。しかしこの毎年の汚職ほどうです。会計検査院の発表でも七、八十億、その道の
専門家の言うところによればこの十倍はあるというのです。一千億になんなんとする不当不正の支出があることは明々白々である。わが国の財政は貧弱である。その貧弱のうちに一千億になんなんとするような不正不当の支出が行われていることになれば、
国民に与える損害は重大であります。先ほど申しましたように、この汚職を根絶するには
国民の批判力を高め、官庁のやっていることに鋭い
監察の目を向けさせなければいけない。これが汚職根絶の根本であります。この罷免権は
国民にある。その
国民にかわって上司が行うのです。しからば、すべて
国民の利害から考えて免職すべきやいなやを考えなければならぬ。単に自分たちの内輪のことを言われて、監督上ちょっと都合が悪いというようなことで免職するということは許されない。これは、あなた方が七十八条に持ってきたことに多大の疑問がある。国家の機密を漏洩したならば百条で懲戒すべきものなんだ。それを七十八条に持っていった。これは権利の乱用だと私
どもは考える。しかし、今その点につきまして法律家じゃない諸君と論争しても始まらぬが、その
事情を明らかにしたいのです。今まであなた方が言うたその通達だとか規則だというものを
一つ当
委員会に
提出していただきたい。非常に憲法違反の規定が多いと思う。そんな手一前勝手の官庁の秘密主義というものは、専制政治のなごりでございます。これを隠れみのとして役人は長い間
国民から特権的な地位を占め、そして悪いことをやっておる。このとびらを開かんとした著者を首にしてしまうことは、汚職横行の今日、しかも岸政権が汚職追放を三大政策の
一つとしている今日、われわれは非常に不適当と思いまするが、とにかくそういう通達だとかあるいはさような手前勝手なくさいものにふたをするような規則、こういうものを明らかにしていただきたい。
国民はそんなことを知りません。
それからなお第二点として、この記述の内容が非常に事実無根のことがある、二つには歪曲しておる、三つには誇張がある、そこで官庁の信用を傷つけた、かような主張であります。高田君の主張によりますならば、全部官庁の報告書に基いてこれを記述したものだという。もし事実無根のことがあるならば、報告そのものが事実無根のものがあるに違いない、歪曲したものがあるとするならば、報告そのものが歪曲されたものではなかろうか、また誇張があるとするならば、報告そのものが誇張があるのではなかろうか。すべて正式の文書に基きこれを記述しておる。そこで
お尋ねしたいことは、いかなる
部分が事実無根であるか。これは諸君もこの本の出版される前後相当ひたいを集めて研究されたそうであるが、しかも高田君を罷免して後に
全国に指令を
出して、この本の事実無根のことや捏造、誇張のことをみな報告せよと指令を
出しているということだ。そうするとこの罷免したときにはこれがまだはっきりわからなかったのじゃなかろうかと思う。それはまた
あとで聞くことにいたしまして、どこが事実を捏造したのであるか、どこが一体歪曲したのであるか、どこが誇張したのであるかを、この本に基いて明確にしていただかなければならぬ。そうしないというと官吏の身分保障に欠くるところがある。それを
一つ御
指摘願いたい。