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1958-01-13 第28回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年一月十三日(月曜日)     午後零時六分開議  出席委員    委員長 坂本 泰良君    理事 關谷 勝利君 理事 田中 彰治君    理事 山本 猛夫君 理事 神近 市子君    理事 吉田 賢一君       中垣 國男君    野澤 清人君       八木 一郎君    青野 武一君       淡谷 悠藏君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席国務大臣         国 務 大 臣 津島 壽一君  出席政府委員         防衛政務次官  小山 長規君  委員外出席者         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  小山 雄二君         防衛庁事務官         (調達実施本部         長)      武内 征平君         食糧庁長官   小倉 武一君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部食品課長) 筒井 敬一君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豐君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 一月十三日  委員細田綱吉君及び山田長司君辞任につき、そ  の補欠として上林與市郎君及び川村継義君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書      ————◇—————
  2. 坂本泰良

    ○坂本委員長 これより会議を開きます。  昭和三十年度決算を議題といたします。本日は右件中総理府所管防衛庁関係につきまして、前会に引き続き質疑を行います。発言の申し出がありますので順次これを許します。吉田賢一君。
  3. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 防衛庁長官に、昭和二十八年度の建艦計画のうち、「いなづま」「いかづち」の建造につきまして伺ってみたいのであります。  第一に伺いたいことは、あなたの方では、昨年の二十六国会におきましても、三十年度会計検査院検査報告書のうちに防衛庁施設費七十億三千七百余万円の未確認数額報告せられておって、国会中にしばしば検査院責任者回答の有無を質問したのですが、きておらなかった事実もあるのであります。つきましては、「いなづま」、「いかづち」の建造費もこのうちに含まれておるようにわれわれは承知いたしておりまして、この二つの船が、発注の時期も、それから船の大きさも、それから主汽罐の種類も、あるいは材料数量も、契約の時期も、予定原価も、予定原価は若干違っておりますけれども、ほとんど同一のものなのであります。ところが、総計十億円余りのものが二億円も建造費が違っておる。「いかづち」は川崎造船で、「いなづま」は二井造船建造しておる。三井造船実績原価二億円低い。こういうようなことはきわめて重大な関心を呼びまするので、かたがた七十億円も検査院質問に対する未確認数額が現われて、国会中ついに回答がなかったということに終っておるのであります。回答があれば、われわれはこれを中心にして、これらの数額食い違いがどこに原因があるかということを、あなたの方に聞くつもりであったのですけれども、ついになかった。そこで津島長官は、その後の御就任ではあるけれども、このような検査院との重大ないきさつもある案件のことでもありまするので、とくと御承知のことであろうと思うのであります。これはまずどういうところに原因があるのか、大体の数額原因についての御説明を願いたい。
  4. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。ただいま「いかづち」「いなづま」の建造費関係についての御質問であったと思います。この問題については就任以来事務の側から大体の報告は承わっておりますが、十分なお答えができる程度の検討をまだいたしてなかった次第でございます。まことに恐縮でございます。一応は承知しております。でありまするから、もしお許しができれば、一つこの問題を担当した事務当局もおりますから、その方からお答えをするということに御了承願えれば仕合せでございます。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一応聞きます。
  6. 武内征平

    武内説明員 二十八年度の計画の艦船につきましても、三十年につきましても、ただいま吉田委員のお示しになりましたように、船の建造がおくれた関係で、私の方の検査院に対するお答えもおくれていた点は事実であります。この点は申しわけないと思っておりますが、すべて御回答をいたしまして、御審査を受けた次第でございます。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 回答したということでありまするので、それじゃ伺いますが、この「いなづま」「いかづち」の実績原価は、われわれの計算によりますると二億九十万円余りの差額になっております。すなわち三井の方が安いのであります。川崎の方が高いのであります。概算十億円の軍艦建造費で、同時に着工し、同じ種類のもの、同じ内容のものが二億円も違うということは、どういうことに原因するということに判定したのですか。その点を一つ明確にしておいてもらいたい。
  8. 武内征平

    武内説明員 ただいま資料を持ちませんので、正確には記憶いたしておりませんが、二井の「いなづま」はたしか千トン、川崎の「いかづち」も千トンでございます。いずれもこの機関ディーゼル機関でございます。しかしディーゼル機関種類が違ったと考えております。従いまして、その原価におきましても多少の差違があったと思います。また製造原価につきましても川崎三井とは製造実績も違っておったというふうに記憶いたしております。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとそういうような抽象的なことでは意味が通じません。最も大きな食い違いがあるのは、これは工数の違い、ことに工費間接費が非常に違っておるのであります。間接費というものは、御承知のように直接現場のもの以外の経費が含まれておるのであります。だからディーゼル機関が若干違うとか、製造原価が若干違ったというのじゃ、答弁にならぬ。これは長官に申し上げますが、この問題は大体前の国会のときにも相当明確にしてもらわねばいかなかったのでありますが、国会中に検査院に対する回答はなかったのです。何回も検査院質問に対して防衛庁回答しないのかということを尋ねておいたのだけれども、ついになかった。国会が済んでからあったらしい。それほどしばしば質問に対する回答の請求を受けながらついにしなかったのであります。実施本部長、つまり担当官でありますが、この問題につきましてはもう身にしみて詳しく御承知のはずなんであります。今のエンジンが若干違っておったとか、製造原価が若干違っておったとか、そういうような程度で、ここでは答弁なさるべき筋の案件ではないのであります。これはもっとその後の建造計画なり、あるいは造船所への発注方針なり等々に重大な関連がなければならぬ。たとえば十億円の軍艦で、同じものが同時に二億円も違うということであるならば、その原因の探究ということは、防衛庁として予算執行上最大の問題になると思う。でありますから、もし高い方が不当に高いのであるならば、それはまた検討する過程でなぜそうなったかということをお調べ願わなければいかぬ。安い方が普通である、もしくは特に安いのであるならば、なぜそうなったか、原因を調べてもらわなければならぬ。こういう点につきまして調本部長はどうしてもっとはっきり答弁なされぬのか。
  10. 津島壽一

    津島国務大臣 御質問の点まことにごもっともと思います。きょうはその点について精細なるお答えをすべき準備をすべきでありましたが、事務当局側にはその資料をただいま持ってないからきわめて抽象的なお答えをしたと思います。十分調査したものがあるということを承知いたしております。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方は進水して支払っておりますのは三十年度になっておりますから、三十年に最終の支払いをやっておるはずであります。でありますから当然三十年度決算に入っておると思います。きょうの審議の対象になっておるのであります。一体何をきょう尋ねられるかについて御存じにならなかったのか知りませんけれども、これは調本部長、もっと誠意をもって答弁してもらわなければいけません。今の機関部の問題は、二百八十万円しか違わぬのです。でありますからそういうものじゃなしに、もっと原因を探究しただろうと思う。一体製造原価が違うというならば、製造原価がなぜ違ったのか、非常に水増しでもやったのか。二億円の水増しでもやったんだろうかどうだろうか。あるいはそこに大きな手抜きでもやったんだろうかどうだろうか。三井手抜きでもやったんだろうかどうだろうか、あなたの方の、昨年の二十六国会の際要求して提出せられたこの資料は間違いないでしょうね。たとえば資料の中には造船会社防衛庁調達実施本部の名義で一二〇一三号、一二〇二号、この二つ契約書、それから予定原価実績原価等の詳細なものがここに出ておるのでありますが、これは間違いないでしょうね、念を押しておきます。
  12. 武内征平

    武内説明員 それは確かに会社から出ましたデータをそのまま提出いたしております。その後私の方でもおそらくそのデータには三十数パーセントの利益が出ておるように出ております。従いまして川崎なり三菱なりで申しますと数パーセントの利益しか出ておらぬ。三井だけどうして出るのかということにつきまして私ども会社照会をいたしました。もともとこの三井造船は他の造船会社よりは利益が上るということは大体私どもの方でも想像がついております。と申しますのは、三井造船利益率は二二%というのが平均でございます。船会社の大体の平均利益率は、これは一般管理費に入れてでございますが、一四、五%というのが一般でございます。三井造船はごらんになってもわかりますように、非常に能率のよい工場になっております。あそこの造船会社のシヤリングの工場のようなところは、あたかも科学機械工場のごとく実に近代的な設備で、しかも工場の内部におけるトランスポーテーションの輸送関係設備が非常によくできておりまして、他の造船会社とは全然異なっております。しかもあの船会社は大きい七万トンとか、八万トンというような船を作るように設計できていない。約三万トンが最高の、しかも汽船を作るというような限られた目的のためには最も能率よくできる設備になっております。従いまして同じ値段で船を請け負いますと、三井利益がよく上るということは、これは一般に知られておるところでありまして、また利益率も違っております。しかしながらこの川崎とか三菱とかいうところが数%の利益であるにもかかわらず、三十数%の利益というのはどういうことであるかということで、会社の人を呼び、さらに調査をいたしました。ところが御承知のように軍艦につきましては賦課率と申しますか、軍艦を作ります際には相当熟練工が多数要るのでございまして、社外工は少い。そうしないと軍艦というものは御承知のように非常に構造が精緻でありまして、相当熟練工でないと仕様書を満たすような軍艦ができない。ところがこの三井造船から出て参りました三十数%の利益計算は何であったかと申しますと、造船と同じ率で、決算というものは御承知のように会社一本でいたしますから、この船は幾らもうかったこの船は幾らもうかったということでなしに、やはり営業期の何期々々ということで平均して出しますから、そういたしますと、あの三井造船は九十数%は商船でありますから、商船を作ります場合の労働者利用率と申しますと、大体本工が五〇%前後、社外工が五、六〇%ということで、社外工は御承知のように労賃がはるかに安いのでございます。そういうような計算でやって出たこういうお話であります。それではわれわれの方ではこの船を作るために実際にいかなる経費がかかったかということを知りたいということで、再度照会をいたしました。そういたしますと会社は確かにその点は違う、熟練工が九〇%で、社外工が一〇%である。従いまして一般汽船の場合におきましては五〇ないし六〇まで熟練工であります。ところがわが方の「いかづち」の場合におきましては、九〇%が熟練工である。そういたしますと、もう工賃が断然違いますから、本工でありますと三百円前後、社外工ですと百七、八十円といったように、時間当りの単価が違います。従いまして、かけますと、ぐっと違ってくるのでありまして、従って実際われわれの要求通りのこの船を作るのに、どういう種類の労務者を使い、どういうふうな実績原価がかかっておるかという意味での再照会をいたしましたにつきまして、われわれの要求した線に沿いまして計算をいたしますと、やはり二三・数%で、はっきり今データを持っておりませんが、大体その会社利益率と同じでございます。もちろん一般造船会社よりは、はるかに利益はよろしいのでありますけれども三井造船自身が他の造船会社よりは、先ほど申しましたような意味利益率がいいのであります。業界におきましても、利益率の高い会社として有名な会社であります。そういたしますと、三井造船一般営業利益率と大差ないのだというようなところでわれわれは了承いたしたというところであります。  もう一つ御参考のために申し上げておきますが、大体船を発注いたします際におきましては、もちろん随契でございまするけれども、同じような同型艦発注いたします場合におきましては、川崎三井というようなところのウェージ・チャージ平均をとりまして、平均と一番最低と中間くらいのところをわれわれの予定価格にいたすのであります。そういたしますと、能率のいい会社はもうかるということはあり得るということでございまして、やはりここには二つのむずかしい議論の対立がございまして、一つ随契であるからその会社ウェージ・チャージ実態をとったらいいじゃ、ないかという説と、一つ一物一価の原則と申しまして、同じファンクションを持ったものについては値段同一であるべきである、こういうような議論でございますが、われわれといたしましては一物一価の原則は一応是認すべきであるというような建前からいたしまして、しかしそれは平均より多少低くとるというようなところでいっております。従いましていずれにいたしましても、二井造船利益がよけい上るということは了解できるのでありますが、さようなわけで、ただいまデータを持って参りませんでまことに失礼いたしました。そこまで検討いたしまして納得をいたしておる、かような事情でございます。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもはっきりいたしません。あなたの方が提出した資料によれば、たとえば船体部工数川崎の方は七十二万一千円余であります。三井の方は四十九万四千円余であります。だから二十二万三井の方が少い。社外工であるから工賃が安い者を含んでおるので、全体として工賃が安くついておる。この資料によれば逆であります。三井の方が少いのです。だから少い工数をもって同一のものができておる、こういうことになっているわけなんです。でありますから御説明回答にはならぬと思うのであります。あなたの方は駐在官も行っているし、契約前にすでに全国的にそういう著名な二井造船所の機構、能率あるいは熟練工いかん等々については、あるいは利益率などについては、そういう周知のことであるならばなおさら予備知識は十分にあったはずなんです。現に監督官が行っているはずなんであります。監督官工数についても日々知っておろうし、あるいは材料価格についてもそれぞれ直接担当しておるだろうし、こんなことをあと検査院から指摘せられて、国会で業者が出した資料をそのまま出したので、そこで造船所へ問いただして今のようなことで納得したというようなそんなものであるべきでないと私は思う。公知の事実がいろいろ前提になり、現場監督をしておる人もあり、現場監督しておる者から随時あなたの方に報告もあろうし、その辺を考えると、こういうことは金を払うときにもうはっきりしておらなければならぬ、ことに契約書によれば、あなたの方は後日船価調査ができるということになっておる。契約書の三十七条には書いてあるじゃありませんか。職員が派遣してあり、原価調査さすことができるということになっているのです。だから原価調査というようなものは数年後、今のそれでも明らかになっておりません。議論があり何とか納得したとおっしゃるけれども、それは明らかになっておりません。その説明自身もうニカ年半になるじゃありませんか。ニカ年半になって二億円の差の原因いかんということを正確に知らぬというのがどうも実情らしい。契約の三十七条によれば派遣しておる職員が本艦の製造原価について調査することができるようにちゃんとなっておる。だからそういうような傾向は随時わかるはずなのです。済んでしまってから、他の官庁から指摘されてやかましく問題になってから調べて、ニカ年半の今日なおはっきりしないというのではどうかしておると思うのです。もっとはっきりなさったらどうなのです。もし答弁ができなければできないで日をおいてでもよろしい、この問題は非常に大事だと思うのです。二億円の問題が今の御説明では今後の建造計画について何らかの資料になるというような的確な結論をあなたの方では導き出しておらぬ。私どもこれを尋ねるゆえんは、一つはどういう原因でこんな二億円も違いができたかということを探求したいのです。一つはあなたの方で金を使う一そういう原因を明らかにしないでどんどん発注をしていく、ことにできるだけ競争入札しなさいとしばしば勧告しておるけれども、依然として随契でやっておられる、こういうような実情に徴してみて、やはりこういう問題はこの機会に明らかにしておかなければならぬのです。だからお尋ねしておるのです。もっと相当重要な結論を得ておらねばならぬ。得ておらなければ得ておらぬということを明白にしてもらいたい。まだ研究しておるけれどもつかめないということなら、それも一つの道理です。それを明らかにしてもらいたいのです。二十六国会中にこのことは当然議場で明らかにしたがったけれども、あなたの方が回答しないものだからできなかったのですよ。
  14. 武内征平

    武内説明員 この点はその後の探求におきましてわれわれははっきりしていると思いますので、いずれ御説明を申し上げたいと思います。本日データを持っておりませんのは残念ですが、しかしこれは会計検査院から……。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと待って下さい。その後はっきりしたということであるなら伺いますが、この二億円という違いが生じたのは、もし当初から三井べやらすなら二億円安くできるということであるならどうしてそのことを一考慮して随意契約しなかったのか、こういうことを尋ねたい。三割以上も利益を与えるということは一体どういうわけか、こういうことも考慮に入れてお尋ねしたいのです。
  16. 武内征平

    武内説明員 三井が有利に建造できるということは概念的にわかっておりますけれども、果してどれだけになるかということはその結果を見ませんとわからないことであります。しかもこれは二十八年の船でありまして、初めての船であります。従いましてその経験をいかに今後の発注に生かすかということにつきましては別の問題であろうと思います。しかもこの発注に当りましては、調本長官から示されました随契方針に従ってやったのでありまして、今後そういう結果が出ました際に、それを今後の発注に当ってい かに長官に上申するかということについては、今後の問題として大いに研究しなければならぬ、かように考えております。しかもこの利益というものは二三%で、一般汽船とほとんど同じでございます。しかもこれは検査院から御指摘を受けてわれわれが調査をいたしたのではございません。御承知のように二十八年の船を発注いたします際におきましては、戦後初めての軍艦発注でありましたので、各造船会社防衛庁の申します値段では引き受けなかったのであります。従いまして、その際に附帯条項をつけまして、もしこの船を作った結果としまして——当時甲警三隻乙警二隻合計五隻、しかもそのほかに敷設艦大型掃海艇と七隻同時発注いたしたのでありますが、そういうような状態でございます。そこで附帯条項をつけまして、もし共通の事実として著しく工数がかかる。あるいは損が出たという場合には両者協議して契約値段を変えることができる、こういったように、業界の方も防衛庁の方も、この値段で果してできるものかどうか、もうかるものであるか損するものであるかということがよくわからなかったのでありますから、その附帯条項をつけたのであります。その後時の経過によりまして実績が出て参りまして、それでその附帯条項の適用としまして、ほかの六社はあまりもうかっておりませんが、三井会社の出しましたデータによりますと、二三%にいたしましても相当にもうかるのであります。しかし三井だけが相当大幅にもうかっておるということで、共通の事実ではないのでありますけれども、著しくもうかっておるかどうかということにつきましてさらに検討して参りますと、先ほど申しましたように、もちろん三井の特殊の事情もありますけれども、その船について実際使いました熟練工社外工との比率等は他の汽船と同じようなレートで利益をはじいてあるということが大きい原因であるということからいたしまして、再三会社とも折衝してただしました結果、そういうことがわかりまして、その結果最後に出て参りました報告は、さような、たびたび申しましたようなことになっておるのでございます。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三井の側は一応それならあと回しにしまして、「いかづち」の方についてもこれが不当に高かったのでないか、三井が正当であって川崎が不当に高かったのじゃないか、こういうこともまた一方考えられるのであります。そこで一体あなたの方が派遣しておる駐在官なるものは、すべてのたとえば工数材料、それからいまのその直接間接工費、帳簿とか伝票とか計算書とかあるいは決算書とかそういうものを一々精細に当って、そうして確認をするという方法をとっておるかどうか、そういうことを全然しないのかどうか、最終的に何か報告書でも受けるということであるのかどうか、その辺はどんなふうになっておりますか。
  18. 武内征平

    武内説明員 チェックする建前になっておりまするけれども、非常に手不足でございまして、現状におきましては、忌憚なく申し上げますと、不十分な状態でございます。それで先ほど申しましたような何がございまして、わずか川崎あたり検査官は一名、補助官一名でございます。そういうようなわけで、それ以外の仕事も相当官給品あたりのチェックというようなこともございまして、不十分であります。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官に聞きますが、監督にいく駐在官は、あるいは技術の監督もあろうが、会計経理監督ということは相当重要なものだろうと思う。このようなきわめて複雑な、あるいは伝票とか計算書とかいうものになりますと、おそらくは相当数量に上るものであろうと思う。そうしたら、一造船所に二人おってこれを監督しておるということでありますが、一体そういうことでは内容を知らぬというのがほんとうじゃないだろうか。それならば、これは抽象的な推測に過ぎませんけれども間接費等にいたしましても、あるいは材料計算等にいたしましても、自分が一々当らずして何によって正確な数字を確認するのであろうか。現にごの二十六国会に提出した資一料には、相当違って出ておるのであります。工数も全部出ておるのであります。ところが、それは会社が出してきたものをそのままこっちへ持ってきたのだというので、どうも一向防衛庁としては知らないような口ぶりであります。現に駐在しておる検査官が十分に知識を持たず、具体的にそれを確認をせず、そしてその結果は二億円の差が生じている。三井が優秀な技術とか設備とかあるいはその他の理由によって成績をあげたのであるか、あるいはまたそのほかの会社が不当に膨大な利益を取ったのであるか、あるいはまた間接費などに至りましては、ほかのものとプールしておるようなことがあるのかないのか、そういう点を検討せずして、一体実績原価というものの正当性というものを確認できるのでしょうか。長官、その点いかがですか。この会社一つの船を作つているのではなく、全国のそれぞれの造船所相当数量の船を作らしておるわけであります。この場合どうなのですか。
  20. 津島壽一

    津島国務大臣 現場では、技術者が監督に当っておる者は相当あるということを承知しておりまするが、お説のように、経理部面においては現場に駐在する監督と申しますか、防衛庁員が不足をしておるように私も思うのでございます。これは今後十分改善を加えたい、こう存ずる次第でございます。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体前の長官の時代から一つの懸案になっておるのだが、たとえば船舶設計協会に設計をさして、そして防衛庁は直接に設計しない。基本的な最初の設計並びに原価防衛庁自体が把握しておらぬということが、るる幾たびか繰り返した説明で明らかになっておるのであります。その際に設計協会の理事長が造船会社の社長であったということは、まぎれもない事実であります。これは法制上も穏当を欠くというので、検討したいというのが前の長官のこの委員会における約束であったのであります。でありまするので、これは答弁をしっぽなしで、あなたに引き継いでおらぬということになっておるかどうか、それはわかりませんが、ともかくそういう点にも一つの疑問をわれわれは持っておるのであります。要するにあなたの方は、受け合う人に設計をしてもらい、原価計算してもらい、受け合う人が持ってきたものをそのままのんでいる、こういうことが実情でないか。だからこんな大きな食い違いができておるのでないか。必ずしも三井が正当で、ほかが不当だとも言えませんが、あるいはまた高い方が何らかの理由によって、過当な利益を取っておるということも考えられぬではないのであります。でありまするので、そういう点において防衛庁自体が、自主的に数額の妥当性をつかみ得ないというのが現状でないかと思うのであります。あなたはその設計協会のメンバーについて、何らか事務を引き継いでおるかどうか。これは非常に不都合なことであると私どもは考えておるのであります。それと関連いたしまして、現在なお原価計算について、防衛庁自体は正確に、自主的に把握しておらぬということが真相でないか、こういうふうにも考えられるのですが、その点はいかがですか。
  22. 津島壽一

    津島国務大臣 ただいま御指摘の点ですが、防衛庁内に技術者の不足という事態が、今日まであったと思います。最近技術者の充実ということで、そういった協会と直接でなくて、防衛庁で自主的に調査をして適正なる措置を講じよう、こういう方向に向けつつありますので、御指摘の点私は十分考慮いたして、今後の施策にこれを実現したい、こう考える次第でございます。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それなら「いなづま」、「いかづち」の建造費につきまして、両者の比較をして、そのいずれが妥当であるか等につきまして、あなたの方の今後の参考にすべき結論は何らかあったと思いますので、これはあとに譲ることとして、資料として至急に出すことを要求しておきます。よろしゅうございますか。
  24. 津島壽一

    津島国務大臣 資料の提供の件、了承いたしました。
  25. 坂本泰良

    ○坂本委員長 田中彰治君。
  26. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 長官にちょっとお尋ねいたしますが、その前に、わが党の中にも一部そういう空気があり、国民、特に青年層あるいは社会党の全般の空気が、そういう空気に片寄っているのですが、それは何であるかというと、防衛庁の予算ということについては非常に問題がある。それから防衛庁の存在、果してああいう予算を使って、あれだけのものが必要であるのかないのかというような——これはわれわれは必要だということを主張しているが、そういう問題があることは、長官もこれはいろいろな新聞とか、また各所で開かれる演説会とか、社会党の諸君のやる演説会とかをごらんになればわかると思います。そこで、そういうような空気のある場合は、防衛庁というものは、国民の中から、その予算の使い方においても何においても、非難を受けないということがまず私は先決問題じゃないかと思う。ところが、三十年のこれにも出ておりますが、職員の使い込みにおいても、入札の問題においても、相当の批難事項がある。それは、そこに武内局長がおられますが、決算委員会などへ来て言いわけをすればいいのだ、そのときに怒られて帰ればいいのだというような空気の一番多いのは、農林省と防衛庁だと思う。私はそういう点について、あなた方がそれに反省されるまでは、防衛庁についてはこれから相当批難事項について調べたい、こう考えております。  そこで一つ答弁だけをここでうまくやればいいというのではなくして、今後そういうようなものを少くして国民の信用を高めるというような角度から御答弁をされ、またそういうことに改革されないと、私は防衛庁については始終非難が絶えないと思う。特に長官もおられるし、またわれわれの同士の政務次官もおられますが、私はやはり防衛庁の人事というものに対して、もう少しお考えになったらどうかと思う。まず局長級、課長級の人事を少しお考えになったら、相当変ると思う。  そこで長官に申し上げたいのですが、旧名の軍艦「梨」、これは今「わかば」になっていると思います。これが非常に問題がございまして、決算委員会が決議までしているのです。その決議とは、簡単に申し上げますと、この旧軍艦の「梨」を国家に売り渡す、今まで中へ入った人たちがみな手を引いて、その人たちにかかった実費を払って国家に売り渡して、これを国が警備艦に直す、そのかわりに、これに対しては非難を受けないように慎重にやるという約束で、「梨」を防衛庁へ、この決算委員会が決議をもってやったわけです。そこで富士製鉄とかその他漁業組合とか、いろいろなブローカーが中へ入っておりましたが、手を引いて一応済んだわけであります。ところがこの「梨」の改造に対する入札に対、て、私は非常に疑問を持っている。この入札は当時呉の造船所にこの「梨」の浮かび上ったものがつないであった。だからそこにつないであったこと一については、保管料として一千万円も出しているわけです。それだから、これを別に呉造船所に無理にやらせなくてもいいわけです。ところがこの入札をしたときに、この入札の決定した金額が、約三億三千五百万のもので入札が決定しておる。ところが第一回の入札のときには、新三菱重工業、川崎重工業、三井造船、呉造船、藤永田造船、日立造船、播磨造船、これだけの七社がこの入札をしておる。ところが第二回の入札で五社が手を引いてしまって、二社でやっておる。この二社に二回目にはきまっておるわけですね。そこでこれだけの三億三千五百万の入札の初めの金額が四億九千万くらい出ておった。安いので四億四千万くらいのものが出ておった。これだけの入札を一回でもって五社がやめてしまうという点にわれわれは非常に疑問を抱くわけです。しかもこの入札のときに、みなが軍艦を入札するのに、見てないから見に行くと、幸いにして呉の造船所につないであったものだから、重要な機械を取りはずして隠してしまったり、非常にじゃまをしたという事実が上ってきておる。そこで彼等が第一回で手を引いてしまった。また防衛庁の中からも、呉造船所にこれをやらせようじゃないか、つないでもらってあるのだから、あそこにやらしてしまった方が一番いいのだ、こういうことであったけれども、その前の内交渉には、局長あたりから、当時の長官あたりが寄って、呉造船所にやらせる話はきまっておる。そこで議論までされておったことがある。ところが第一回で五社が引いてしまった。それでは一体「梨」という問題についてそういう入札の制度があるかと申しますと、ここにまたそれと反対の現象が出てきておる。それが改装費として結局きまったのは九百九十万円。たった九百九十万円のところに、石川島、三菱日本重工業あるいは浦賀船渠、こういう会社がいろいろあって、一回目のときにこれをやめたのは三菱だけだ。あとわずか九百九十万円に、やはり三社が非常に競争して最後に入札までして争っておる。前のこの方は九百九十万円どころか三億三千五百万円にきまっておる。これを一回だけでざっと五社が手を引いてしまった。そうして二回目の入札は、ほとんど入札したかしないかわからないような随意契約みたいになって、とにかくこれを呉造船所がやっておる。こういうことについて私の方でお尋ねしたのですが、武内局長はなかなか言を左右にして言いわけするけれども長官がごらんになってもだれが見てもおかしい。やらせる前に防衛庁の中で大議論があった。呉造船所にやらす。しかも当時防衛庁の者は、これを入札する前に呉造船所の人と会っている。この呉造船所の人と何で会ったかというと、それはつないであるからつなぎ料が幾らかということで会っているのだが、入札について話し合っているという事実がある。それだから彼らはほかの者が見に行ったときに重要な機械を隠してしまったりいろいろじゃまをしたという事実が出てきておる。一回でだめだというので五社が手を引いておる。しかもこの入札が三億三千五百万で、三十年の九月十日にきまっておる。そうすると三十年の十一月の十四日には九百九十万円にとにかく仕様書を変更して増額しておる。入札がきまったのが三十年の九月十日。それだからまだきまったといっても調印しただけだ。今度仕様書を変えて九百九十万円を増した。その問わずか二ヵ月しかたってない。こういうような状態防衛庁が国民から非常に疑惑を受けるわけだし、われわれもこれを調べるわけです。長官は一体常識上それは当然のことだと思われるのですか。やはりこれは長官が見られても、人が疑ったりわれわれがこういうことを調べたりすることが当然だと思われるのですか。長官の常識というものでどうお考えになるか、まず私はそれをお伺いいたします。
  27. 津島壽一

    津島国務大臣 「梨」の改装について入札を実行したのは今から二年半前だということでございます。当時七社の入札が行われたのであるが、そのうちに五社が脱退した。その事情は何であったかというところまで私は十分詳しい報告を受けておりません。従ってごの入札者が二社に減ったというその事態がいいことか悪いことかということにつきましては、判断の資料をはなはだ残念でございますが持っておらぬわけでございます。そういう意味におきまして、ただいまの御質問に対して、これは常識的にどうだ、こういうことすらもはっきりと申し上げるわけにはいかぬ、こういうことでございます。
  28. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 僕は長官がそういうお考えを持っておられては防衛庁の人事の改革なんかできないと思う。一応お考え下さればわかると思う。入札したときは四億九千万ばかりでお互いに入れている。一番安いのが四億四千万、これがきまったのが三億三千五百万。しかもこれだけ大きな金額のものを第一回に入札しただけで五社がすばっとやめている。二回目の入札は随意契約のようなものである。一方同じ「梨」の軍艦の第二の改装工事が九百九十万円。これにやはり石川島重工業とか三菱日本重工業とか浦賀船渠とか、こういう大きな会社が二回目も三回目も入札をしているわけです。おかしいじゃないですか。大きな金額の同じ「梨」をやるのに、一回に七社が出したものを五社がやめて二社が残って、その二社が随意契約みたいなことをする。その前に、船をつないで置いたもの、そのつなぎ料一千万出す防衛庁が、呼んでその交渉をしたときに、すでにお前のところにやらすからというようなことを漏らしておることも事実なのだ。しかもこの入札の決定したのが三十年九月十日なのだ。三十年九月十日に決定しておいて、同年十一月、たったニカ月あるかないか、三十年十一月には仕様書を変えて九百九十万増額してやっておる。この増額分が出るならばほかでもやったかもしれない。これに対して長官が何とも思わない、これは普通だというようなことを言われることになると大へんです。防衛庁がやったことには何でもある。私はあとで申し上げますが、わずか一カ月二回か三回入れる人造米の入札ですらも、一ぱい飲ませろとか、物を持ってこいとか要求して、そういうことを決定しておる。去年の暮れにそういう問一題もあった。幾ら電話をかけても——そこに装備局長もおられる、官房長もおられるが、官房長は元警視総監で、そういうことに最も敏感で、そういうことをやらなければならない。それを一生懸命になって隠して、言を左右にして——しかもそういうことをやった人間の名前を私は今忘れましたが、名前を書いていって履歴書を出しなさい、私が調べてあげるから——そういう履歴書も出ておらない。決算委員会に私は出しておけと言ったはずだ。防衛庁というのは国を守らなければならない重要な機関であって、これこそ日本に重要なものです。しかも、それを日本の青年が、あんなもの要らないのだ、悪いことを役所がすると、農林省か防衛庁かと聞くのです。おかしいじゃないですか。長官の常識がそういう工合に変っておるからですよ。三億も四億もする入札を、一回で七社がやって、三社だけにしてやめて、二回目は随意契約と同じみたいなことをやってしまう。その入札すら、前にそこに船をつないでおいたから、そのつなぎ料をきめるために呼んで、お前のところに入札させると言っている。しかも武内局長は知っておるはずだ。呉造船所に随意契約をするかどうするかということを防衛庁の幹部で大議論をしておる。こういうことを長官はお聞きになって、それを何とも思わないと言われるようになると、長官の常識というものに対してわれわれは考えなければならない。防衛庁に対して全部疑ってかからなければならない。三十年のこれを見てごらんなさい。職員の使い込みは二百万もある。その他いろいろなものがある。これは普通の役所と違います。農林省は大きいので全国にまたがっているから、ああいうように大きなものが出ますけれども防衛庁なんかそんなに大きくない。しかも日本の国を守らなければならぬ。昔の軍隊と同じ性格を持っているものなんです。私は実に遺憾だと思う。これに対して長官はさっき言われたように、私にはわからぬとおっしゃるのですか、もう一度長官から常識的なことをお聞きしたい。詳しいことはわからぬでしょうから、変に思うとか調べてみなければならぬと思うとか、何かありそうだと思うのです。
  29. 津島壽一

    津島国務大臣 五社が入札から脱退したときはどういう事情であったかということは実は報告を受けておらぬのであります。それを常識的にどう思うかということを申し上げるということも——事実をきちんと確かめた上で、これは不適当であったとか、それはやむを得ないとか不当であるとかいう判断を下したいと思います。全体的に申し上げまして、はなはだ不敏でございますが、防衛庁の経理関係においては、私ども多少経理に関係を持ってきたというようなこともございまして、非常に厳正に、就任早々全国の幹部を呼び、また経理担当官を呼びまして、適正なる経理をやるように、間違いないようにということを私はやっておるつもりでございます。しかし、そういった点でなかなか完全にできるということができない場合もあるという場合については、さらに一そうの督励、叱咤を加えたい、こう存じておる次第でございます。
  30. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 それでは長官に申し上げておきますが、入札する前に呉の造船所の幹部が防衛庁へ呼ばれて、呼ばれた話題としては、そこに船がつないであるから、つなぎ料を幾らやるということで一千万やっているはずです。こういうことを話しながら、そのときに入札の話が防衛庁であったのかないのか、われわれはあったということをつかんでおるから、それを一つ調べて書類を出してもらいたい。それから、この入札に行ったときに船を自分のところにつないであるものだから、非常に重要な部分品を隠したりはずしたりしてじゃましたという事実があるが、これがあったのかないのか調べていただきたい。それから、三億三千万からの工事に、七社のうち一回の入札で五社がすぱっとやめて、第二回目の入札のときには随意契約みたいなことをやっているが、その当時の状況を一つお調べ願いたい。それから、入札したのが三十年の九月十日であって——これは調印しただけですが、すぐに今度は仕様書を変更して九百九十万円これを増していますね。これは一体どうしてそんなわずかニカ月の間にこういうことができたのか。ニカ月の間ですから、入札が決定したときにその話合いがあるはずです。さもなければ、このニカ月間にそんなことはできません。その状況、何のために九百九十万をこんなわずかの間に——半年か一年やってみて見積ったらこうだったというならいいが、調印してから変るまでに二ヵ月では、あれだけの大きなものですから仕事も何もやっておりません。それをこういうことをやられるというのは何です。この真相を明らかにしてもらいたい。  もう一つ長官に申し上げておきます。なるほど長官が行かれても、あれだけの伏魔殿のようなところですから御無理でしょう。また政務次官も御無理でしょうが、結局いかにうるさく言われても人をかえなければならない。あなた方は人事権を持っておられるのだから、防衛庁の幹部を断固としてかえてごらんなさい。必ずいいものが出てくると思う。今度なんかもわずかの問題です。これは人造米というものを前の長官の木村さんから話があって、米が幾らとれておっても、いざ戦争でもあるとか、いざ不作になると、日本の国は食糧は外国から買わなくちゃならない。それでは軍隊がやっていけない。それだからこのときこそいい人造米を作らして、多少でも食わして研究しておこうじゃないかということで、防衛庁に五人くらいの人造米の業者が入っておった。その人造米を作るには、食糧庁から人造米の材料を出して、これだけの規格、これだけの養分というものは何しなければならぬということにして、食糧庁が監督して、防衛庁と打ち合せて人造米が入った。その人造米が、食糧庁が推薦したものだと多少やわらかくなる。それをトウモロコシを使ったり、コウリャンを使ったりするとかたいのです。だから、たいてもたきいい、まぜてもいい。そのかわり養分とか——トウモロコシの中毒、コウリャンの中毒は鶏さえ起すのだから、非常に危険です。危険だから食糧庁は使わせない。それを使った人造米を出して、それで下で運動したということなんです。そうしたら防衛庁では握ってみて、水につけてみて、水につけてもやわらかくならない、握ってみてもいい、だからこれにきめたといって何も言わないで防衛庁から達しを出して断わった、その裏面でだいぶ飲んだり食ったりしたということもあがっているから、その人の名前と履歴を出しなさいと言ったら、その履歴を出さない、上は大きな、今吉田委員が言われた軍艦のような問題から、下は足にはく一足のくつ、人造米、こんな安い人造米に至るまで、防衛庁の入札に対してはすべて納得いかないものがある。それだからわれわれがそれをこうしなさい、人造米がだめならやめなさい、納得いくようにしなさい、食糧庁から統制のものを安く下げてもらっているのだから、そういうことをよく相談してやりなさい。それが返事だけなんだ。やはり指令書を出したから、指令書は長官の名前で出ているがだれも知らない、一事務官がやっている。すべてがそれなんです。これについても問題は小さいけれども防衛庁に対してわれわれは考えなければならない。防衛庁だけは徹底して厳重に調べます。私どもそういう調査機関を今設けておりますから、私は徹底的に調べる。政務次官も長官も全く下の者のやったことで、かえって御迷惑をこうむられるのだが、それはあなた方に人事権があるのだから、一度かえてごらんなさい。思い切ってかえてごらんなさい。人事の刷新をしなさい、必ずよくなります。私はこれを申し上げるのと同時に、そういうような書類を、人造米に対してもどうしてそうしたのか、あの指令書というものを長官は知っておられるのか、食糧庁と相談してやったのか、打ち合せてやったのか、ほんとうに試験してやったのか、そういう資料一つ出していただきたい。その上で私らが調べたものと合せて——わずかな問題ですけれども、これは汚職が出ます。私はこれを追及する、同時に私は告発する。今までの決算委員会というものはここで決議したりしておったが、国会議員として、決算委員として、委員長に諮って、決算委員会から不当なる役所の役人、大臣であってもかまわない、告発する。そうして検事局をつついて調べさす、そういうふうにしていかないと日本の役所は直りません。ここであなた方をいじめる、調べる、あなた方がそれに対していろいろ研究して答弁する、それが終ればそれでおしまいというようなやり方ではいけない。決算委員会も——税金を納めている一国民が告発してもいいのです。いわんや国会議員の集まりのこの委員会は委員会として告発できるのです。それで検事局をつついて、検事総長をつついて調べさせる。そうしないと日本の役所は直らぬという強硬な考えを持っている。政務次官にも長官にもお気の毒ですが、あまりやり方がひどいのです。下はくつ、その次は人造米、上は何十億、何百億という軍艦まで、その入札がことごとくおかしい。それだから国民の層においても、青年などはああ防衛庁か、あんなもの要らぬじゃないか、そこに社会党の諸君が防衛庁は要らぬ、防衛庁は要らぬ、予算が大きいとかなんとかいうから、非常に必要な防衛庁が国民から忌避される。これは私は残念でたまらない。その点について一つ長官から、どういうお考えを持っておられるか御答弁願いたい。
  31. 神近市子

    ○神近委員 関連して。今田中委員からちょっと数字が出ました千百万円の保管料ですね。それがどういう内容なのかということを聞きたい。というのは、岸壁使用料は一日千円、それでちょうど一年間係留してあったから、それを積算してみると約百五十万かそこらで済むわけなんです。それが千百万出ているというのはどういう内容であったか、それを一緒に調査していただきたい。
  32. 津島壽一

    津島国務大臣 田中委員の御質疑中に、資料の点、またどういう理由であるかということについての問題点を御指摘になりました。これらについては十分準備いたして提出いたす、こういうことにいたしたいと思います。それからただいまの千百万円の保管料、これは私もよく承知いたしておりませんから、便宜事務当局の方から御答弁申し上げます。
  33. 武内征平

    武内説明員 岸壁使用料は、大蔵省から防衛庁に「梨」が保管転換されましてからの金額でございまして、一日四千円で、たしか十八万八千円でございましたか、すなわち防衛庁に所有権が移りましてから後に岸壁を使っておったという金でございます。それから保管料と申しますのは、先ほど神近委員が御指摘になりましたように、北星船舶が浮揚いたしまして、そして呉造船所に持って参りまして船の各部をチェックいたしまして、それからドッキングをいたしまして、それから油を引くとか、あるいはエンジンをばらしてグレーシングしたといったような点がありまして、それは、もし正確に申すと、あるいは払い下げ契約を解除したのでありますから、中国財務局から呉造船所に払うべきものであるかもしれませんけれども、その船を防衛庁がいただいて、それを練習艦に改造するというのでありますから、その保管料は防衛庁が払うことが適当であろう、こういう観点からいたしまして、千百万円というものは、約一カ年にわたりますチェッキング、ドッキング、それからその他のグレーシング——雨が降りましたときには、すぐ水をかい出しませんと、また沈むといったような関係がありますから、それは防衛庁に移りますまでに保管のために要した費用を、もっと多く呉造船所は要求したのでありますが、われわれの方は千百万円に査定をいたしたというのであります。  岸壁使用料は、所有権を中国財務局が防衛庁に移転しまして、私の方のものになりましたので、それを岸壁に置きますから、その岸壁使用料を四千円。岸壁使用料の中には、それを看視する人の費用とかいうようなものも、もちろん入っております。さような区別がございます。
  34. 坂本泰良

    ○坂本委員長 山本猛夫君。
  35. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 時間も予定以上に経過しておりますから、私は簡単に資料の要求だけで終って、質問の事項に関しましては後日に譲ることにいたします。  私の防衛庁に対する考え方も、極論をもってするように聞こえるかわかりませんけれども、今の防衛庁の運営全般に関しては、幾多の疑問を持たざるを得ません。従ってこういうような事態では、防衛庁に与えられた使命、任務の遂行等を通じて考えますならば、国を危うくするがごとき事態が起らないともはかり得ないような心配の点もあります。二、三の例をもっていたしますならば、技術の研究ということに対しましては、事ほどさように重大でありますことは論を待たない。ところが、その技術研究所にせっかく情熱を込めて志願をして、むずかしい試験を経て入って参りました者が、もう間もなく入れかわり立ちかわりやめていってしまう、どういう原因がそこに存するのか、そういうこと等につきます情報等もいろいろ聞いております。あるいはまた、ついこの間のでごきとでありますが、防衛大学の学生が、防衛大学の最高責任者もまじって、そこのステーション・ホテルで、恋人と称する女性をたくさん集めて、そうしてダンス・パーティと称してらんちき騒ぎをやっている。その恋人と称する女性の中には、いかがわしい女性なども大ぜい加わっていたというようなことを、たまたまそこに用件があって参りましたわれわれの同僚議員が確認してきている。ダンス・パーティもけっこうでありましょう。女性との交際もけっこうでありましょう。しかし、恋人と称するその女性の中には、だれが考えても札つきのいかがわしい女性であったというような者が大ぶん入っておった、というようなこと等をも伺いますと、われわれは憂慮にたえないものがあるのであります。しかもそれは、現在の防衛大学の在学生である。そこに最高責任者もまじって、そういうらんちき騒ぎをやっている、こういうようなこと等も聞きましたりなどいたしまして、——まあ、それはきょうの議題ではありません。よって、私は、まず一点の資料の要求に本日はとどめておきます。防衛庁が技術研究所を設けられて以来、人事がどういうふうに入れかわり立ちかわりをしたか。入れかわり立ちかわりをしているという実態を私は握っている。そこで、それの具体的な資料を要求したい。それは幹部であるとか何であるとかいうことでなしに、技術研究所設置以来の全人員の今日までの動きを知るために、資料を御提供願いたい。この一点だけに本日はとどめておきます。
  36. 坂本泰良

    ○坂本委員長 淡谷悠藏君。
  37. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 防衛庁長官にまず質問いたしておきます。  私どもは、さっき田中委員から言われました通り、防衛庁が、しかも古い軍隊のような形の自衛隊を持つことに対しては、根本的に反対です。しかもその防衛庁が軍隊を昔のように持つだけじゃなくて、昔の日本の軍隊がやった腐敗、収賄といったようなものをまたまねをするように至っては、断じて許しておけない、かように考えます。特に軍艦などを食うに至りましては、われわれはかつてのシーメンス事件を思い出さざるを得ない。これは日本の軍隊の伝統となっております。今度の事件なども長官はあるいは今度新しくなられましたので関係はないかとは存じますけれども、そういう重大な国家的観点に立って、責任をもってわれわれの追及を御援助願いたいと思うのであります。  第一に、問題になっております「梨」のことでありますが、入札の当時は、四億九千万円から四億四千万円という工合に、相当価格で不調になっておる。第二回の入札も、そのような四億円程度のものでございますが、一転して商議段階に入りますと、初めから一億円減っておるのです。入札には必ず予定価格というものがあるはずなんでありまして、予定価格はもう今になったら秘密でも何でもないと思うのです。御承知の通り入札では予定価格幾らに立てておるかということは、各入札者が非常に神経をとがらして知りたがることなのであります。御承知の通り予定価格を聞き出すために、さまざまな芳ばしくない問題が起っております。一体防衛庁は、この「梨」という駆逐艦か何か知らぬが、その入札の当時予定価格をどれくらいに押えておられたのですか、この点をまずお聞きします。
  38. 武内征平

    武内説明員 これは三億三千五百万円で最後に妥結いたしたのでありますが、それしか予算がなかったわけであります。積算価格はもっと上回っておったのでありますが、海幕から調本に渡されました予算は三億三千五百万円しかないんですから、予定価格といたしましてはこの予算の範囲をこえるわけにいきませんものですから、予算一ぱいでございます。
  39. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 一体予定価格というのは仕様書に基いて正確に立てらるべきものと思っております。二十一年度の会計検査院報告を見ましても、防衛庁予定価格が非常にずさんなために多大の国損を招いたことが載せられてあります。しかも数億に及ぶ軍艦などの予定価格を立てる場合には、その仕様書と引き合せて、入札者の方でも十分にこの仕事ができるような予定価格を立てなければ、入札が非常に不明瞭になる。私はまず資料として、その当時の仕様書並びに入札関係の書類の御提示を願いたい。  それから商議段階に入って、一転して一億以上下っておる間に、第二回の入札がありますが、この入札の場合に、五名の会社が入札をしないで辞退しておりますが、私は問題はここにあると思うのです。やはり入札をしても四億台になったかもしれませんが、この五名の会社がやめたほんとうの理由はどこにあるのでしょうか。これはさっき田中委員からも追及がございましたが、明確な御答弁がなかった。なぜこういう重大な入札に対して五名も  一様に辞退をしたか、その点はどうお考えになりますか、不思議には思われませんでしたか。
  40. 武内征平

    武内説明員 これにつきましては、第二回の入札のおのおのの入札書がお手元の資料に加えてあると思いますが、結局、今回限り辞退申し上げますとか、あるいは入札価格を記入して出しました二社以外につきましては御辞退申し上げますということで、書面による意思表示がありますものですから、それに基いてわれわれは処置をいたしたのであります。
  41. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 資料を読んでおりますけれども、そんなそらぞらしい答弁は私は必要としない。入札が競争入札から商議段階に入って、いわゆる談合形態をとったり、随意契約を結んだりする間に、さまざまな手の行われていることは周知の事実でしょう。あるいはやめた人たちに談合金を払うとか、あるいは仕様書の変更をひそかにやるとか、何かなければ、一挙にして同一の入札者が一億円も下げるはずはないのです。この点という会社も、最後には商議段階で工事を引き受けておりますが、同じ会社がなぜ入札の場合は四億円でなければならず、商議段階に入って一億円を削ることができるか、こういう点が当然不思議に思われなければならない。一体納まったこの船が、あなた方が入札当時示したような仕様書通りにでき上っておるかどうかということを、正確に検査されましたか。
  42. 武内征平

    武内説明員 この資料にもたしかあったと思いますが、数名の者で検査しまして、仕様書通りできておるということで検収いたしたのであります。
  43. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それではその検査をした報告書もあるはずでありますから、さっき請求しました入札当時の書類並びに仕様書と、検査の報告書というものを御提出願いたい。  それからさっきの私の質問に対するお答えは、この書類のことでございますが、この書類以外に商議段階に入るまでの何らかの事実を把握しておられるかどうか、この点を御答弁願いたい。
  44. 武内征平

    武内説明員 これは入札に入りますと、予決令の示しますように、一回、二回は入札をいたしまして、それでもなおかつ落札者がないときには、二回目の入札の一番下の人と商議をしてもよろしいということになっておりますから、会計法規の示します手続に従ってやっただけでありまして、別にその間情報云々ということはないと思います。ただこの入札につきまして呉造船所が有利であるということは、これはこの前も御説明申し上げましたように、呉の造船所の岸壁につないであるわけであります。たとえばほかの造船所は、入札をいたしまして自分の造船所へ確保いたすといたしますれば、八、九百万円と言われておりますが、たとえば神戸あたりまでひっぱってきますのに曳船料というものがかかるわけであります。従いまして、その地域的の関係から呉造船所が有利であるということは明らかでございます。そういう事実もありまして、ほかの造船所が引っぱってきてまでしてさらに下げてやるについては、競争力がないということで、辞退されたのではないかと私は想像いたしますが、しかしそれはどういうわけであなたの方は辞退しましたかということは個々には聞いておりません。
  45. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その非常に有利な地位にあった呉造船所の入札の場合は四億円なんですが、それが一挙に商議段階に入って一億落したというのは、大きな損失を見込んでも引き受けたのか、国家的観点から損失をあえてしてこれを引き受けたのか、あるいはあなたの方で何か条件を緩和したのか、仕様書を変更したのか、もし仕様書は何も変更しないで、三億三千五百万円に引き受けさせたとすれば、呉造船所に対して非常な大きな損害を与えたような印象を常識的に受けるのでありますが、その点は契約をする場合に何らの不安を感じませんでしたか、一億円違うのですよ。
  46. 武内征平

    武内説明員 これはデータにもお示しいたしておりますが、商議も三回にわたりまして逐次下ってきておりまして、呉造船所の言われることももっともでありますけれども、私の方ももう一銭もこれ以上お金がないわけでございますから、商議の段階におきましては、この最高限の三億三千五百万円でやってもらうよりしようがないというので、呉造船所も何回も何回も相談してだんだん下ってきたわけでありまして、御承知のように二回の契約変更をいたしておりますが、そのデータにも出しておきましたが、二千万円ばかりの利益は上っておるわけであります。製造原価に比べて約六%の利益を得ております。もちろんこういう船でございますから、修理中にいろいろな不覚の、最初予定しないような工事が起って損をしないかということから、見積りといたしましては相当な安全サイドをとるのが造船会社の通例でございます。案外安く上ったということではないかと思うのでありますが、その安全サイドをとるという面がございますので、これは私の一方的な想像でありまして、会社からそういうことを聞いたわけではございません。
  47. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっき神近委員の御質問にもありましたが、ちょうど商議段階の第二回の場合に、呉造船所が三億六千六百万円という数字を出しておる。それが実際に三回目に決定しましたのが三億三千五百万円、この三億三千五百万円に一千百万円が加わって若干近づいたようにも考えますが、いずれにしましても、あなたの方では呉造船所に対しては予定価格であった三億五千万円という数字を提示して商議されたか、あるいは提示なしに、もっと下げろ下げろというふうにしぼりとったのですか、その点はどうですか。
  48. 武内征平

    武内説明員 予定価格は最後まで示しません。これは予定価格の性質上示し得ません。しかしこれは予定価格であるということは言わないけれども、三億三千五百万円しかないのだから、これでやれ、これ以上は一銭も出ない、こういうことは申したかと思います。直接私はその衝に参加いたしておりませんが、そういうことは想像できるのであります。
  49. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 もう一点、ちょっとさっきの質問で私の聞き違いかもしれませんが、予定価格が三億五千万円と聞きましたが、実際は三億三千五百万円だったのかどうか、この点が一つ。それからもう一つは、あとで入札当時の仕様書と検査の報告書を参照してなお検討したいと思いますが、この商議段階において仕様書を若干変更するとか、あるいはまた条件を緩和するとかといったような緩和条件はお設けになったかどうか、この二点だけをはっきり御答弁願いたいと思います。
  50. 武内征平

    武内説明員 予定価格は三億三千五百万円であります。それからこの仕様変更のことでございますが、これはもう船につきましては常にあることでございますから、入札業者の集まりにおきまして、仕様変更は別である、もし仕様変更があった場合においては、これについて仕様変更のために金額が減る場合もございます。ふえる場合もございます。仕様変更があったときは別であるということは、必ず注意をいたしております。現にこの契約におきましても、第一回は九百九十万円はふえておりますけれども、第二回の仕様変更におきましては七十五万円減ってございます。ですから、仕様変更のあった場合においてはこれにプラス、マイナスがあるということは必ず申しておりますし、本件の場合におきましても、入札をきめるときに参加者には申し上げてございます。
  51. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大事な点がもう一点残っております。ただいまの御答弁で考えたのですが、私の言うのは、あとでやった仕様変更じゃないのです。値段を一億円以上引き下げさせる場合に、この入札当時の仕様書を変更したかどうか。入札当時の仕様書と同じように、お前は一億円まけろと大体商議をなされたのかどうか、この点を一つ確めておきたい。
  52. 武内征平

    武内説明員 仕様書には書いてありません。仕様書は最初、これは内部の調達状況をお話し申し上げればわかりますが、海幕から仕様変更の要求があって、初めて私の方が仕様変更をいたすのでありまして、そのときまでに仕様変更の要求がきておればそれでやります。この第一回の場合には十一回にわたりまして仕様変更の要求が出たのでございます。これで御了解願います。
  53. 坂本泰良

    ○坂本委員長 それでは他に御質疑もありましょうが、防衛庁関係につきましての審査は、本日のところはこの程度といたします。     —————————————
  54. 坂本泰良

    ○坂本委員長 山本猛夫君より資料要求に関しまして発言の申し出がありますので、この際これを許します。山本猛夫君。
  55. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 まず食糧庁長官にお尋ねいたします。本員は先般砂糖行政運営に関しての資料の要求を当委員会で正式に要求する案件を取り上げて資料の要求を申し出たはずであります。しかるに食糧庁が昨年の十二月二十六日に提出をいたしました資料を見ますると、まことに抽象的でありあいまいもことして、当委員会が必要とする具体的な形にはなっておりません。また私は衆議院議員として過去一年にわたって食糧庁長官に当該案件のために資料を要求しております。食糧庁の食品課長あるいは第二部長は言を左右にして今日に至るも具体的な資料を提示しない。当委員会においては、すでに食糧庁の誠意を認めることができなくて、前回の委員会においては、精糖工業会のかつての会長であった今の外務大臣の藤山愛一郎君をここに出頭を命じて取調べをしなければならないという重大な段階に入っている。しかるにもかかわらず何がゆえにこういう抽象的な資料を提示するのであるか。まず第一にその点を聞いておきたい。
  56. 小倉武一

    ○小倉説明員 先般委員会に砂糖に関する資料を提出したその内容について不備である、こういう御指摘でございますが、御指摘に応じて必要がございますれば、追加なり補正なりいたしたいと存じます。私ども特に他意ありまして別段隠しだてをいたしておるというような筋では毛頭ございません。簡に過ぎる点等につきましては、御指示、御指摘に応じましてさらに必要がございますれば詳細なものを御提示するということにいたしたい、かように存じます。
  57. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 長官はいつの場合でもそういうことを言われて過去一年にわたる間、第二部長あるいは食品課長に命じもしたろうと思うのであるが、下僚である第二部長食品課長が、長官の威令行われずして、今日に至ってもなおかつこういう抽象的な資料の提示に甘んじているのであるかどうか、今の長官の言葉をもってすればそれに甘んじているようでもなさそうにも聞えるけれども長官は今答えられたと同様な責任ある答えをいつの場合でも行なっているのであるけれども、さらに言葉をあらためて申し上げておきますが、当委員会で砂糖行政問題を取り上げた今日は重大なる取調べに関しまする必要性に基くものであることは言うまでもありません。しかもわれわれは政府の与党として忍ぶべからざるを忍んで、現在外務大臣の重職にある藤山愛一郎君を当委員会が取調べなければならないというような段階に入ったということは、容易な事態でないということを長官も知るべきである、しかも当委員会に藤山愛一郎君を出頭を命ずるということに関しては幾多の実情はあります。一例を申し上げるというと、かつての食糧庁長官、今日は名前を秘しておきます。この食糧庁長官に、精糖工業会は三百万円の贈賄を行なって、そして昭和二十九年の六月現在をもって砂糖の割当の運営の方式を改めさせるような事態を引き起した、こういうようなこと等もあるのでありまして、まだそのほかにたくさんの疑惑が伝えられております。当委員会はかような国民的な疑惑を解明し、あいまいもごとして何人が考えても了解に苦しむ現在の砂糖行政運営に対して再検討を加えようというのであります。長官は第二部長あるいは食品課長に対して過去一年にわたって当委員が要求して参った資料の要求に対し、それを提出せしめ得ることのできなかった事実は明らかであります。今後もあなたはそういうような第二部長食品課長に対してあなたの威令が行われずして、資料の要求が、当委員会の満足すべきものが得られないといたしますならば、これは重大な問題であります。その場合に、あなたはどういう責任を感じられるのであるか、それを聞いておきたい。
  58. 小倉武一

    ○小倉説明員 先ほどもお答えいたしましたように、ただいま山本委員のお話の先月——昨年の十二月二十三日でございましたか、当委員会でたしか御発言になりまして、その結果委員部の方と思いますが、電話連絡をもって資料の要求がございました。私どもその委員会に出席しておりませんでした関係上、必ずしも質問内容について意味の理解しかねる点もございましたので、それはさらに速記録によって確かめまして、なお十全を期しまして提出をいたしたのでございます。にもかかわりませず、なお御不満の点があるように今御指摘でございまするようで、その点は先ほども申し上げました通り、御指示によりましてなお補足をさせていただきます。なおずっと以前からいろいろ資料の要求があるのだというお話でございますが、私必ずしも全部記憶いたしておるわけでもございませんが、一、二回そういうお話もございました。これもできるだけその都度御提出をするようにいたしておりますけれども、ただ何と申しましてもいろいろ役所の方の資料必ずしも手持ちのあらゆる資料を整備しておるわけではございません。一々関係筋に向って書類の提出を求めるといったようなことをしなければできない資料もございますし、中には非常におくれておるのもあるかと思いますが、そういうものにつきましても、特にお急ぎのものにつきましては、御指摘を願えますれば、できるだけ速急に調製させるように一つ私心得ます。むろん委員会として御要求になりました資料、これは私ども役所といたしまして、当然提出すべき筋合いのものでございますので、そこにどうこうということを一つも考えておる次第ではございません。
  59. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 あなたとそういう論議をしてみても始まりませんし、また過去のことを言ってもいたし方ありませんから、きょうはそれでは要求書として委員長を通じて正式にあらためて資料の要求をいたします。要求書の内容をここで読み上げます。  まず第一に、昭和二十八年度以降の粗糖輸入に関する資料内容を三つに分けて申し上げます。各年度別外貨割当総額並びに各社団体別の内訳。次に各年度別数量、買付価額並びにその買付先。第三番目に各年度別各商社並びに各団体割当の納税実績並びに販売先、これが第一点。  第二点、精糖工業会並びに精糖協会所属の各会社につき、左記の資料を要求します。各会社の設立年月日、設立当初の資本金額。次には昭和二十九年六月現在、つまり昭和二十九年六月をもってして割当方式が変ったわけでありますから、この線を引かれたとき、そのときの各社の資本金額、そして現在ただいまの各会社の資本金額、次に設立後の各期ごとの配当率、その配当金額。さらに昭和二十八年度以降各期ごとの所得金額並びに法人税額、そして毎月別砂糖消費税、これの納付額の写し、これには特に各税務署の証明書を添付してもらいたい。次には昭和二十七年度以降の精糖工場の納税実績、これを裏づけとするところの製品製造実績。さらに昭和二十七年度以降の精糖工場設備能力、そしてその推移一覧表、昭和二十六年度以降の精糖工場年度別の溶糖実績表。特に昭和二十九年三月以降の各月別精糖工場設備能力推移に関する具体的な内訳。右に関して食糧庁に対する増設部分の申請及びその許可年月日、これらを明らかにし、これに関する原本の写し。増設部分の発注先別、つまり増設せられた機械器具、設備発注先、その品名、数量、その契約条項とその住所氏名、その機械設備工事の請負先、その住所氏名、そして設備せられたものをもってする稼動年月日、右支払いに関する取引銀行及びその決済の年月日、並びにその処理経過の詳細、つまり増設部分の機械を発注いたしましたならば、発注と同時に手金を支払うとか、あるいはまたでき上りましたものに対して支払いをいたしました場合に、どこの銀行を経由して支払われたのであるか、また契約と同時に手金を納める場合に、それがどこを経由される約束手形をもって契約の裏づけとなしたか、できるだけ詳細に資料を提示されるように要求をいたします。  次は第三点、テンサイ糖に関する資料昭和二十八年度以降各年度ごとにつきテンサイ糖買い上げ分、各買い入れ先別、数量、斤当の価格、その計算の基礎の内訳、そしてその金額、さらに払い下げ分、これは売却先別に資料を提示されたい。そうしてその数量、斤当りの価格、その金額を明らかにして、その収支の明細を提示されたい。  第四点、精糖工業会所属の各会社の自主調整に関する資料。三点に分けて要求します。スリッページの現況とその理由並びに性格、次はこれに対する外貨割当とその関連性、第三に精糖工業会所属各会社の比率、これを表にして提示されたい、以上であります。  以上は今日まで食糧庁の誠意を認めることができませんでした結果、さらに当委員会は委員長を通じてこの資料を要求いたします。委員長におかれましても、厳固たる権威をもって食糧庁に資料の提示方を要求されるように要望しておきます。
  60. 小倉武一

    ○小倉説明員 ずいぶんたくさんの資料の御要求でございますが、なお速記録をよく確かめた上でできるだけ整備して、一ぺんに間に合わなければ逐次御提出するということをお許し願いたいと思います。
  61. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 きょうは食糧庁長官も予算等の折衝で忙しくもありましょうから、本日のところは質問をこの程度にとどめておきますが、なおさらに申し上げておきますが、当委員会は砂糖行政運営に対しまする国民の疑惑を解明するために重大な段階に入っておりますということを繰り返し申し上げて、まじめに、今日までのような抽象的な、熱意を持たない、誠意を持たないような態度をもってしているあなたの下僚の反省を促し、ただいま要求いたしました資料に対しては即刻、できるだけ早い機会に資料を提示されるように、その提示によりましてさらにあなたに質問をすること等もございます。
  62. 細田綱吉

    細田委員 関連して。私ちょっと資料を要求する前にいろはのいの字のようなことを伺うのですが、割当もしくは配分する実需者とメーカーはどう違うのですか。
  63. 小倉武一

    ○小倉説明員 これは砂糖だけではないかと思いまするけれども、砂糖の場合で申し上げますと、メーカーと称しておりますのは精製糖を作る業者、輸入する粗糖を精製しまして白い砂糖にして売り出す、こういう業者がメーカーであります。そのほかに実需者と申しておりますのは、そういう精製糖業者でなくて、お砂糖を原材料にして作るいろいろの業界がございます。お菓子、カン詰その他いろいろございますが、そういうのを便宜実需者。あるいはさらに広く言いますれば、一般の消費者も砂糖の実需者に違いありませんから、消費者の団体等もあるいは入るかと思いますが、そういうのを実需者と称しておるのであります。
  64. 細田綱吉

    細田委員 そうするとその実需者に対しても配分の割当は農林省、食糧庁長官が行われるわけですか。
  65. 小倉武一

    ○小倉説明員 それは粗糖の外貨割当の非常に事務的、技術的なお話になると思うのでありますが、外貨割当は砂糖につきましては二通りございまして、大体ほかの原材料についても同じでありますけれども、インポーターに割り当てる消費者割当と称するものと、それからそれを原材料にして加工するいわゆるメーカーといいますか、製造業者といいますか、そういう製造業者割当と二通りございます。多くはその二通りでやっておるのであります。ものによりましては全部メーカー割当等になることが場合によってはございまするし、あるいはものによりましては全部消費者割当というようなことも理論上あり得るわけであります。砂糖の場合もこの二つであります。そのほかに割当の方式として実需者割当というものがあるわけではございませんけれども、砂糖を使う実際上の実需者というのが非常に多数ございまするし、そういう人の利益なり利便ということのために消費者割当の一部——消費者割当と申しますればインポーターの割当でございますから、輸入商社が輸入したものはどこへ売ろうと自由でありますが、自由では、やはり有力なところへ粗糖がいってしまう。そこに、それでは困るというような御意見が二、三年来ございまして、実需者団体に対しまして、消費者割当のうちこの分は分けてやってくれぬかというふうにしておりますのを俗に実需者割当、こう便宜上称しておるのであります。
  66. 山田長司

    山田委員 今の実需者割当の意味は大体わかりましたが、この実需者割当というものの数はどのくらいになっておりますか。
  67. 小倉武一

    ○小倉説明員 砂糖のトン数でございますか、団体の数でございますか。
  68. 山田長司

    山田委員 団体の数です。
  69. 小倉武一

    ○小倉説明員 三十幾つかと思いました。
  70. 細田綱吉

    細田委員 それでは実需者割当とメーカー割当のリスト、資料を出して下さい。それから特に割り当てられるものが法人の場合、その代表者の氏名、これも一緒に出して下さい。代表者の住所氏名と割当者の住所氏名、これを一つ資料として御提出願いたい。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと山本委員からさっき藤山愛一郎氏喚問の御発言がありましたが、これは前回十二月二十三日の委員会におきましても申されたことでありますが、私よくわからなかったのですが、外務大臣の藤山愛一郎氏と思いますが、藤山愛一郎氏を、大体どういう理由になるのでしょう、大事な点ですから、ちょっともう一ぺん聞かせておいていただきたいと思います。どういう理由によって喚問したらということになりますか、それを一つもう一ぺんはっきりと委員長から確認しておいていただいた方がいいだろうと思います。
  72. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 私は藤山愛一郎君自体を追及していこうというのではございません。つまり藤山愛一郎君はかつて精糖工業会の会長であった。その当時、日本の砂糖行政に対して一大変革を来たして、そして保護政策の美名のもとに隠れて特定のメーカーだけを保護するような割当方式に変えてしまって、昭和二十九年の六月現在をもってこれら藤山愛一郎氏が会長をしておった精糖工業会の所属のものだけが大多数の輸入量を獲得するという段階に入った。そのために今発言をせられておりました実需者の割当をも含む全国のお菓子を製造しておりまする中小の企業家が、全くその運営に因り抜く結果を招来している。今日は今国の菓子を製造しておりまする町のいわゆるお菓子屋さんは、非常な困り抜きまする結果、大運動を起して、この割当方式に対しまして再検討を加えたいという声がほうはいとして起って参りました。そして一例をあげまするならば、わずか五十万円の資本金の会社が数年ならずして二十数億もの会社になりおおせておる。こういうようなことは、保護政策の美名に隠れて、特定の業者にだけ、特定のメーカーにだけ巨大な利益を与え、全国の中小企業の基盤を危うくするものであるから、現在の砂糖行政の運営に関して再検討を加えなければならない、こういうことであります。しかも藤山愛一郎君が精糖工業会の会長であった時、先刻も申し上げたように、当時の食糧庁長官であったものに三百万円の巨額の贈賄をして、その長官国会議員の選挙の資にしたというような情報も、われわれの同僚議員某氏の情報によって伝えられているというような疑惑もあるのであります。こういうような疑惑の焦点に乗った精糖工業会の当時の会長が藤山愛一郎君であった。これを当委員会に喚問するのでなければ、この疑惑を解明することができないということであります。以上であります。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は、今の御発言は砂糖行政の輸入割当、配分等の一般の問題に関する重要な意味を持つのみならず、やはり官界の粛正のためにもきわめて重大なことだと思います。どの程度に根拠があるかよく存じませんけれども、信頼高い山本君の御発言でありますから、おそらくしかるべき根拠に基いておるものと思われます。かかる理由によりまして、私はこの問題はやはり御究明を願いたい。よってこの藤山愛一郎氏、それから当時の農林大臣、三百万円収賄した食糧庁の長官、この三名を呼ぶことに一つ御決定願いたいと思います。そして究明することにしてもらいたい。大へんな問題であります。
  74. 坂本泰良

    ○坂本委員長 この点いかがですか。理事会を開きますか。——この問題は一応理事会に諮って決定することに御了解願いたいと思いますが。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 至急に願いたいと思います。できましたら理事会は終了後に願いたい。  それからもう一つ、これは他の問題でありますけれども、余剰農産物の資金がテンサイ糖の製造工業に相当流れているはずでありますので、これは芝浦精糖であったかと思いますが、北海道の工場——もっと具体的に申しますならば、三十一年度におきまして農林大臣所管の余剰農産物の資金を北海道の経済農協連合会、芝浦精糖株式会社等に融資いたしました金額、その事情を明らかにしてもらいたい。なお当時台湾製糖も三億五千万円が予定されておったはずでありますが、これもついでに何らかの資料を出してもらいたい。  それからもう一つ、山本委員のさっきの税に関する資料は、食糧庁からではなしに、国税庁及び国税局に同趣旨のことを出さす方が私は正当で手っとり早いのではないかと思いますので、そこを一つそういうふうにお計らい願った方が、なるべく早くとるためには便宜じゃないかと思いますが、それでよろしいですか。
  76. 坂本泰良

    ○坂本委員長 山本委員、それでもよろしゅうございますか。
  77. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 いいです。
  78. 坂本泰良

    ○坂本委員長 それではただいま各委員から御要求の資料の点については、委員長において適当に取り計らいます。  なお藤山愛一郎氏その他の喚問の問題につきましては、終了後理事会を開いて協議することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後二時七分散会