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細田委員 全国の農村をトータルしてみますと、
タバコの
耕作面積とその
数量並びに全
農家に対する経済というものは、御
承知のように非常に
関係が深い。ところがこの
農家に対して
タバコの
耕作をさしておる
法律上の根拠は、
明治三十七年の
煙草専売法というまるで
古物屋の店頭に掲げられたような古い
法律のまま放置されておる。これというのも、問題は
農家の問題であり、言いかえれば、実際の内容は
農林省の
所管でなくてはならないが、事実この
タバコ耕作組合の
所管、また
耕作関係の
事務処理は
大蔵省ということになっておるので、こういうふうな珍しい
現象がいまだもってそのまま継続されているということになっておるのであろうと想像されるのであります。しかしその問題は別として、最近の
タバコ耕作状況を見ますと、なるほど反当
収穫は
普通農作物の
収穫より収入は多い。けれ
どもこれに対する
農家の非常に多くを要する手間、
肥料、
乾燥の
設備並びに
乾燥に要する経費というものを差し引きますと、普通の
農家の作物に比べて格別高いことはない。しかもおかしな話には、一年限りの
契約である。来年は作らせようと作らせまいと勝手である。しかし
農家といたしましては、
タバコ乾燥場、その他相当の
投資をしてしまう。従ってこれを来年作らせないということになりますと、この
投資資金というものはむだになってしまう。いやがおうでも
タバコを来年継続して
耕作さしてもらわなくちゃならぬという、率直にいいますと弱みを持っておるので、何でもかでも
専売公社の
出張所職員の言うなり、
タバコ耕作組合の
幹部の言うなりになっておるというのが現実です。ある
耕作組合におきましては、どうも
耕作組合の
幹部が横暴だ、
一つ今年は改善しようじゃないかというと、いやもう改選も間近になる、まあなるべく
一つ耕作組合の平和のためにというようなことで、個別的にそういう運動を阻止されてしまう。そうしてまた、それを横でじろりとにらんでおる
大蔵官僚が、お前
たち蠢動ずるなら来年作らせないぞという
態度を暗に示すので、また去年の
理事がそのまま継続してしまうというような、きわめて不合理な形が現在行われておる。
一つの例を申し上げますと、茨城県下のある
出張所長は、
タバコ耕作民の預金は常陽銀行に預けろ、
農業協同組合に預けるようなやつは来年から作らせない、何のために
大蔵官僚がそういうことを言うか。また今申し上げましたように、
タバコの
耕作には他の
農作物より
肥料がよけいかかる、ほとんど倍近くかかります。そして取り上げた葉っぱの
乾燥に
設備がかかる、また
石炭が要ります。ところがこの
石炭の
価格、
肥料の
価格は、その居村の
農業協同組合の扱うものより一割ないし一割五分例年より高い。しかもおもしろいことには、来年の
収穫を予想して、それを銀行から借り入れ、
肥料会社に対して半年も前に
肥料代金の先払いをする。そしてその利息は
耕作農民に転嫁している。
耕作農民としては、今年の
肥料が
幾らになるのか、何を引かれるのか、さっぱりわからない。最後に
収納代金からお前のところは
幾らというようにこれから引いてしまうと、驚くなかれ三分の一ぐらい引かれてしまっている。これは決して過大な報告ではなくて、通常のあり方だという形であります。たとえば
一つの例ですが、石岡市という
全国でも一番小さい方の市でしょうが、その市の
タバコ耕作組合の
専務理事が三千万円使い込んで、東京で
めかけを持って待合を経営させている。その赤字を
警察方面で調べ上げられるまで、
耕作組合並びに
農民は知らないというのだから、いかに
理事というものが専断をきわめているかということは、この一事をもっても想像ができると思う。従ってこの問題について
専売公社及び
大蔵省を呼んで、これに関する諸法規並びに
大蔵省、
専売公社の
農民に対する
葉タバコ栽培及び
収納に関する方針というものを聴取し、これに関する
資料の提供を求め、さらにその
出席を求めて詳細な答弁を求めない限りは、今申し上げましたように、
明治三十七年のしきたりを依然として継続し、一
単位耕作組合の
専務理事が三千万円も使って、それを知らないでけろっとしているというような不合理な経営が継続し、号の裏には、
全国の大ぜいの
農民がこの不合理に泣くという
現象が、今改めるにあらずんば継続するというおそれが十分にございまするので、これに対して
委員長の適当なお
取り計らいをお願いいたしたいと思います。