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1958-03-28 第28回国会 衆議院 外務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十八日(金曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 菊池 義郎君 理事 櫻内 義雄君    理事 須磨彌吉郎君 理事 山本 利壽君    理事 戸叶 里子君 理事 松本 七郎君       大橋 忠一君    高岡 大輔君       並木 芳雄君    野田 武夫君       松田竹千代君    松本 俊一君       岡田 春夫君    田中織之進君       森島 守人君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備部         長)      山口 喜雄君         公安調査庁長官 藤井五一郎君         公安調査庁次長 関   之君         外務政務次官  松本 瀧藏君         文部政務次官  臼井 莊一君         文部事務官         (社会教育局         長)      福田  繁君  委員外出席者         外務参事官   藤崎 万里君         専  門  員 佐藤 敏人君     ――――――――――――― 三月二十六日  委員大橋忠一君及び森島守人辞任につき、そ  の補欠として三木武夫君及び成田知巳君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員三木武夫辞任につき、その補欠として大  橋忠一君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員大橋忠一君及び松田竹千代辞任につき、  その補欠として三木武夫君及び松田鐵藏君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員松田鐵藏辞任につき、その補欠として松  田竹千代君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員三木武夫君、成田知巳君及び八百板正君辞  任につき、その補欠として大橋忠一君、森島守  人君及び岡田春夫君が議長指名委員に選任  された。     ――――――――――――― 三月二十七日  千九百五十七年十月三日にオタワで作成された  万国郵便条約及び関係約定締結について承  認を求めるの件(条約第一〇号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  人身売買及び他人売春からの搾取禁止に関  する条約締結について承認を求めるの件(条  約第九号)  千九百五十七年十月三日にオタワで作成された  万国郵便条約及び関係約定締結について承  認を求めるの件(条約第一〇号)  国際情勢等に関する件      ――――◇―――――
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  千九百五十七年十月三日にオタワで作成された万国郵便条約及び関係約定締結について承認を求めるの件を議題といたします。政府側より提案理由説明を求めます。松本政府委員
  3. 松本瀧藏

    松本政府委員 ただいま議題となりました千九百五十七年十月三日に本夕ワで作成された万国郵便条約及び関係約定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  わが国は、一八七七年以来万国郵便連合加盟国となっておりますが、現行万国郵便条約及び関係約定を改正するため昨年八月からオタワで開かれました万国郵便連合の大会議にも代表参加せしめ、同会議で採択されたこの万国郵便条約及び関係約定に署名いたさせました。  この条約は、現行条約と同様、万国郵便連合の組織及び構成を規定するとともに通常郵便業務を規律し、また、関係約定はその他の特殊業務を規律したものでありますが、五年前にブラッセル大会議で採択された現行条約及び関係約定の実施の経験にかんがみ、今日の事態に適応した改善を加えております。また、諸約定のうち貯金国際業務に関する約定は、今次のオタワ会議において初めて作成されたものでありますが、貯金国際間にわたる業務を創設することを目的としているものであります。  この条約及び関係約定は、いずれも明年四月一日から実施されることになっておりますが、国際社会の発展及び国際関係緊密化に伴って、わが用と海外諸国との郵便物の交換が日々増加の道をたどりつつある現在、これ[条約及び約定を批准し、郵便連合を通じての国際協力を維持、増進することは、わが国としてもきわめて有意義なことであると考えます。  よって、この条約及び関係約定の批准につき御承認を求める次第であります。御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  4. 床次徳二

    床次委員長 これにて提案理由説明を終りました。本件に関する質疑次会に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  5. 床次徳二

    床次委員長 次に国際情勢等に関する件を議題として、質疑を許します。戸叶君。
  6. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務大臣がお見えになりますまで、外務大臣への質問を保留いたしておきまして、実はこの間の委員会で、在日朝鮮人の問題をいろいろ聞きましたけれども、その中で、アジア競技大会が五月二十四日から六月一日まで開かれるはずになっておりますのに、朝鮮の人が選出されておりますけれども参加できないというようなことが、この間証言されたわけでございます。そしてその問題につきましては、予算委員会でも他の委員から質問がなされまして、文部大臣がそういうことについてはできるだけ早く検討をして、結論を出すというような答弁をかされております。また先ごろの予算委員会でもこれが質問されまして、やはり何とか検討をするというような答弁をなされているようでありますが、もう大へん日にちも長くなっておりますけれども、どのように検討なされたか、その辺を伺いたいと思います。
  7. 臼井莊一

    臼井政府委員 この国際オリンピックというのは、国際間の平和友好並びに国民間の相互理解を増進する上に非常に有効でございますので、各国ができるだけ参加願うことがその目的に沿うわけであります。従ってただいまお話の件につきましても、文部省としては、でき得るものならば、できるだけ希望の国が参加していただきたいという御趣旨には同感であります。そこでこの件につきまして、アジアオリンピック大会をめんどうを見ております体育協会の方に、その由を一応問いただしました。ところがこの件につきましては、第一にはこのアジアオリンピック大会参加するには、アジア競技連盟に加わっていることが必要なのであります。ところが北鮮の方はアジアオリンピック競技連盟にまだ参加していない、加わっていないということで、その点についてこれを認めることが困難なように伺っております。なお文部省といたしましても、アジアオリンピック大会につきましては六千万円の国費をもって援助をいたしておりますが、これを主催しておるという立場でございませんし、従ってこれに対してそれ以上強い強制力というものがございませんので、アジアオリンピック競技連盟理事者方々におまかせするより仕方がない、こういう現在の状況にあるのでございます。
  8. 戸叶里子

    ○戸叶委員 文部省で一応補助金を出しておられることでございますし、それからまた先ほど政務次官がおっしゃいましたように、できるだけ各国参加して、国際間の友好平和を望んで、それを確立していくのだという御趣旨から考えてみますならば、当然これは競技連盟の方の勝手にすべきものだといって放任すべきものでなくて、やはり今まで文部大臣考えておられましたように、できるだけの検討をするというふうな態度をもって私は促進さしていくべきだと思うのです。ですから今おっしゃったような御答弁には、私はどうしても納得ができないわけでございますけれども、この点について文部省としてはやはり補助金を出す以上は、ある程度の責任をお持ちになるべきだと思います。もう一度伺いたいと思います。
  9. 臼井莊一

    臼井政府委員 もちろんこの件につきまして、そのまま放任しておいたわけではございませんで、再三この件につきまして、できるならば何らか参加できるような方法はないか、こういうことを体協の方にも申し入れたのでありますが、今言ったようなわけで、この件につきまして、まずアジア競技連盟参加する、会に加入しておるということが先決である、こういう点にまずむずかしい問題があります。これを文部省でどこまでも参加させろという権限もございません。望ましいということは申したのでありますが、なおこれに関連いたしましては、いろいろ国際間の問題等もありますので、従って文部省としていろいろ国際間のトラブル、混乱がこれによってそこに起きるようなことになることも、もしそういう結果になりますと、かえって趣旨に反しますので、さらにどこまでもということはいたしかねますので、自主的にこういう問題は解決する、こういう立場をとっておることを御了承いただきたいと思います。
  10. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今の御答弁は、私が予算委員会速記録を読んでおりますのと食い違いがあることが一つでございますが、それはそれとしまして、それでは今度の競技大会参加できるためには二つ条件があるわけで、それは国際オリンピック委員会によって認められた国内オリンピック委員会、すなわちIOCによって認められたNOCというものがあるということと、それから種目別国際競技連盟に入っておる、こういう二つ条件が整っておれば、一応アジア競技大会参加できるということになっておるわけでございますけれども、それにもかかわらず、そうした二つ条件がなくても参加できる国が、ネパールカンボジアにあるわけでございます。そういうふうな国には、条件が整っておらなくても参加させて、北鮮にだけはこれを参加させないということは、少し不合理ではないかと思うのですが、いかがでございますか。
  11. 臼井莊一

    臼井政府委員 ネパールカンボジアですか、これが参加につきましては、ネパールは前からIOCに入っている、そういう関係と、カンボジアは一九五四年にアジア競技連盟に入っております。従ってただいま申し上げましたように、北鮮とは非常に趣きが違っておりますので、前例があるではないかということには、決して当てはまらぬかと思うのです。
  12. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは伺いますけれどもIOCの昨年のソフィア大会では、朝鮮代表は、統一朝鮮代表であってほしいということが決定されているわけでございますけれども、このことは今回のアジア競技大会にも適用されるのでしょうか、されないのでしょうか。
  13. 福田繁

    福田政府委員 ただいまお尋ねの、一九五七年に開かれましたソフィアでのIOC総会のことでございますが、この際におきまして、北鮮資格の問題がいろいろ討議されたのでございまして、そのときの議事録等によりますと、この北鮮の問題につきましては、今後資格を十分検討する必要がある、こういうようになっておるのであ旧ります。従ってもし今後こういった国際競技参加する場合におきましては、たとえばメルボルンのオリンピック大会に、東西ドイツ一緒になって参加したような、そういった南鮮北鮮との一緒になった選手団構成されるということが必要であろうと思います。しかしながら、そういう状況が許されるかどうかということは、これは今後なお検討する必要がある、こういうようになっておるのであります。従ってソフィアIOC総会におままして決定されたということではないのであります。
  14. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではドイツの例をとりまして、一応統一した形で出られることが望ましいということが話に出されたわけです。そうすると、今回は統一した代表が出されない場合に、北鮮の場合は許さないけれども、韓国の場合だけは許すということなんでしょうか。
  15. 福田繁

    福田政府委員 許す許さないという問題は、これは先ほど政務次官から申し上げましたように、このアジア大会参加資格といたしましては、アジア競技連盟加入する手続ということが先決問題でございます。従ってアジア競技連盟におきまして北鮮加入手続が正式に認められないと、これはアジア競技連盟参加できないという事情になっております。ところでこのアジア競技連盟加入手続をとります場合に、今のソフィア決議を一応尊重していくとすると、南鮮との関係が出て参るわけです。ところが現状では南鮮の方は、北鮮一緒ではいやだ、こういうように申しているのが現状であります。
  16. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、アジア競技連盟参加するための緊急なる手続というものは、どういうことが最も必要なんですか。
  17. 福田繁

    福田政府委員 これはアジア競技連盟会長あてに、北鮮参加の正式の手続をされることが必要だと思います。
  18. 戸叶里子

    ○戸叶委員 あれはいろいろな形で正式な手続をいたしましても、それが握りつぶされるというような傾向があるのですけれども、そういうことに対してはどうお考えになりますか。
  19. 福田繁

    福田政府委員 この問題につきまして、私もアジア競技連盟東会長にいろいろお尋ねしたのでございますけれども、握りつぶしたというようなことはないのでありまして、北鮮からまだそういった参加手続がないというのが現状でございます。北鮮方々にも私はお会いしたのでありますが、いずれ参加手続をするからということを申しております。ただ現状におきましては、参加の議はまだないようであります。
  20. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は参加する手続をしたように聞いているのですけれども、その辺のことはよくわかりませんから、もう一度調べてみたいと思うのです。そこでお伺いしたいことは、このアジア競技連盟の中には、いわゆる競技連盟に入った人あるいは競技連盟自体の守るべき憲章というものがあると思うのです。それで憲章の第十六条によりますと、「実行委員会は、評議員がある行動または決定をすることがむずかしい事情にあるときは、実行委員会または会長単独でその行動または決定をすることができる。しかし事後評議員会承認を得なければならないロということがあるわけで、評議員会事後承諾ということもここにきめられておるわけでございます。さらにもう一つは、「会長が適当だと認定するときは、評議員会構成メンバー郵便投票により決定することができる、評議員の過半数がその決議に賛成し、その回答の総数が十五名に達するときは、その決議は可決されたものと認定し、正式に招集された評議員会決議と同一の効力を持つ。憲章十九条のいわゆる郵便投票という二つの項目があるわけでございますが、もしも会長なりが熱意さえあるならば、こういうふうな方法をとれると思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  21. 福田繁

    福田政府委員 これはさような手続規定がもちろんあると思います。従ってそういうアジア競技連盟参加させるか、させないか、その手続をされたその国の資格をいろいろ審査する、もちろん今おっしゃったような評議員会等できめることはもちろんであろうと思います。ところがこの評議員会は、ことしの五月にならないと開かれないのであります。従って何らか便宜的な方法を講ずるとすれば、今おっしゃったような方法があると思いますけれども、しかしながら会長としては正式な加盟手続のないものに対して、これを正式に諮るということはできない、こういう関係にもあります。私どもの聞いたところによりますと、非公式にはもちろんそういった関係国の意向というものを確かめつつあると思います。従ってこの評議員会と申しますのも、実行委員というのがありまして、これが大体競技連盟のおもなことをきめていく委員でございますので、そういう実行委員会に対しては内々そういった非公式の打診をするということは可能であろうと思います。
  22. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、もしも正式な申し入れがあった場合には、今のような憲章の十六条と十九条を考慮して、そうしてそういうこともとり得る、こう理解してもいいわけでございましょうか。
  23. 福田繁

    福田政府委員 もちろんそういう正式の加盟手続がありますれば、競技連盟としては当然そういう手続をしなければならないだろうと思います。
  24. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは、その点をもう一度私も確かめてみたいと思いますが、それよりも政府としてなるべくならばソフィアでの決定ドイツの例のように統一した代表を出すように努力をすべきではないかと思いますが、こういう点につきましては、政務次官、いかがでございましょうか。スポーツの問題は当然政治問題と離れてやるべきことだと思いますが、どんなお考えをお持ちですか。
  25. 臼井莊一

    臼井政府委員 もちろん望ましいことは、ソフィア決定通り南北統一をして加盟する、選手団を派遣する、こういうことになれば一番けっこうなことでありますが、今の国際情勢と申しますか、南北との関係がなかなかそこまでいっておらないのでありまして、従ってこれを文部省の力でどうするということまではできません。ただ、望ましいということは当初から申し上げてあります。スポーツスポーツとして、そういう国際的にできるだけ大ぜいの人が参加するということが望ましいという意思は、会長の方にも申してあります。東会長もその趣旨はよく了承しておるはずだと思います。
  26. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは今急にやり得る方法としては、アジア競技連盟に対して正式に加盟を申し込むということが第一の条件であって、その上で実行委員会が、どういうふうにしたらいいかを討議するということになるわけでございますね。念のためにもう一度伺っておきたいと思います。
  27. 臼井莊一

    臼井政府委員 その通りと承知いたしております。
  28. 床次徳二

    床次委員長 それでは次の議題に移ります。人身売買及び他人売春からの搾取禁止に関する条約締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を許しますが、ほかに質疑ございませんか。――それではこれにて本件に関する質疑は終了いたしました。  本件に関しては別に討論の通告もございませんので、直ちに採決いたします。  人身売買及び他人売春からの搾取禁止に関する条約締結について承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認めます。よって、本件承認するに決しました。  なお、本件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 床次徳二

    床次委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。
  31. 床次徳二

    床次委員長 次に、引き続き国際情勢に関する件を議題として、質疑を許します。並木君。
  32. 並木芳雄

    並木委員 ソ連ブルガーニン首相にかわってフルシチョフ第一書記首相の地位につきました。これについてすでに各方面で見解を述べられておりますが、この際外務省としてのこれに対する見解、特に目下交渉中の漁業交渉、あるいは安全操業、その他来たるべき日ソ間の平和条約などに対する影響ありゃなしやということなどについての見解を披瀝していただきたいと思います。
  33. 松本瀧藏

    松本政府委員 大体ブルガーニン首相が失脚と申しましょうか、ポストを去りまして、だれかかわるであろうということは予想されておりましたが、フルシチョフ第一書記が総理を兼務するということはちょっと意表のようでございました。外務省としてのはっきりした大きい政策をその問題に関連して今ここで申し上げることは、まだ少し早いと思うのでありますが、大体感じといたしましては、スターリン排撃のあの問題が起りまして、モスクワを中心といたしましてやや自由というものが与えられて参りました。この行き過ぎを何とかして是正したいというような気持が、クレムリンを中心として一部あったことも事実でございます。そこで徐々にスターリン時代独裁への方向へと進みつつあったということは一応われわれ感づいておったのでありますが、今後どうなるかということは、まだここにはっきり断定はできませんが、一応感じといたしましては、ソ連が再び独裁政治に逆戻りしたのではないかというような感じがいたします。しかしながら漁業交渉等あたりにつきましては、これによって差し迫って大きな変化はないのではないだろうかというのが今日の見通しであります。
  34. 床次徳二

    床次委員長 並木君に申し上げますが、正力国務大臣が見えましたので、都合のいいところまで御質疑いただまして、正力国務大臣質疑をかえいただきたいと思いますが、よろしうございますか、それでは正力国大臣に対する質疑を始めていただきます。松本七郎君。
  35. 松本七郎

    松本(七)委員 正力さんに来ていだいたのですが、単なる国内警察係でなしに、今日まで重要な日ソの渉をやっておるときに当って、警察やり方もこれに影響を及ぼす場合がる。特に今日お伺いしたいと思いまのは、在日ソ連大使館に関するいろろなデマ情報というようなものが流、ております。こういうことがひいて、先方にも非常な悪い印象を与えるこにな。て、両国のために憂慮すべきのが含まっていると思いますので、大臣は直接これらの情報の内容とかそういうものは御存じないと思いますけれども、ぜひそういうことを知っていただいて、警察のあり方についてもこれから十分考えていただかなければならぬと思う。  第一に、少しいろいろな事例を申しますと、日ソ国交が回復する前上ら、もうすでに大臣御存じのように、東京におりましたチフヴィンスキーあたりとは、なるべく早く国交を回復しようという鳩山内閣の動きに呼をして、私どももいろいろな連絡七とっておった。当時いよいよ国交回復が迫ってきたころ、この院内ですけれども、自民党の代議士会のときだったかと思いますが、いろいろな印刷物が配付されたというようなこともあった。そのときは、当時チフヴィンスキーを通じてわれわれ国交回復に一生懸命に努力しておる者に対して、何億円というような金がばらまかれたというような、とんでもないデマまで当時は出ておった。ところがそういう単なる根拠のないデマだけならまだいいのですけれども、これは国交回復がなされた後も相変らずそういう事例があるのです。これは私どもソ連大使館にいろいろな用事で行きます。たとえば先般はわが党の鈴木委員長が、核武装禁止の案、特にアジアにもこれを作ろうという案をぜひ訴えようというので、各国元首あてに書簡を出すことになりました。これはわれわれ国際局の仕事を党務として担当しておる者は、当然その職務としてこれを各大公使館に持って回った。これは直接送る場合と、それから外国の大公使館を通じて先方元首に送るやり方といろいろあるのですが、最も丁寧にする場合は在外公館を通じてやるという慣例になっておりますので、アメリカ大使館にも参り、ソ連大使館にも参る。こうしれて向うのそれぞれの機関を通じてこを送るわけですが、そういう職務で行くわけです。ところが、これはどこの国でも在外公館というものの警備をするのは当りまえのことですから、どこに行っても外国の大公使館には警官がおります。けれども日本の場合、これは名前は申し上げませんが、私の同僚がソ連大使館に行きましたときに、これはもちろん衆議院の当時の車で行ったのですけれども、そのあとを車がつけてきた。そして国会まできたのです。そのときにどこの車か確認しなければならぬというので、それをつかまえかけたのですけれども、非常に残念なことだったですけれども、それは逃がしてしまったのです。その後そういうことは始終あるのです。これは議員の場合はまれにしかありませんけれども、いろいろな民間の団体がいろいろな用でソ連大使館に行った場合には、そういうことがたくさん私どものところに報告が来るわけです。そこでこれは大臣御存じかどうか一つ聞いておきたいのですけれども、あそこにいる警官というものは、在外公館を守るのが本務だろうと思うのですが、あそこに出入りする者の車のナンバーを控えてみたり、あるいはそれを尾行してみたり、そういうことまで大臣の方針として認められておるのかどうか、このことをまずお伺いしたい。
  36. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいまのお話によりますと、国会議員の諸君にまで尾行がついておるのではないかというようなことでありましたが、実は私はそういうことは聞いておりません。今後もしもそういうことがあったとすれば、むろんやめさせます。国会議員にはつけてはいけません。ただ、領土問題とかあるいは漁業問題で大使館へ面会する者があります。これは御承知のように、それがためにいろいろな不穏な行動がありましたから、その人を保護するためにつけるようなことはあるように聞いております。従って、そういうことは今後あるかもしれませんが、国会議員諸君に尾行をしたりなどすることは私聞いておりませんし、またそういうことがかりにあったとしても、悪いことですから、今後やめさせます。
  37. 松本七郎

    松本(七)委員 国会議員でなくても、正式な国交回復をしているところにいろいろな用事があるわけですね。向うに旅行に行く場合にも向うと連絡しなければならぬ、あるいはもちろん狸穴の通商代表部の方はなおさらのこと、貿易関係でひんぱんに出入りがある。そういうことで国会議員外の者でも、向うにただ用件で行った者の尾行などは当然不当なものだと思います。もちろんあそこにたくさんで押しかけていくというような場合に、事故でもあったらいけないというので、先方さんを保護すると同時に、こっちからいろいろな談判に行ったり陳情に行ったりする者をまた保護するということは、それはその場でできることであります。用件が終って帰るまで尾行するということはこれは不当なことだと思うのですが、この点についても、ただ国会議員ばかりじゃなしに、他の者にも尾行ということは今後一切やめていただくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 正力松太郎

    正力国務大臣 先ほど申しましたように、何か不穏の行動があるとか、その者に対して危険があるとかという者については保護の意味において尾行などするかもしれませんけれども、そうでない人には尾行をつけさせません。またしてはいけません。
  39. 松本七郎

    松本(七)委員 かりに大臣がそういうふうな方針で今後今までの行き過ぎを改められるとしましても、徹底することが必要です。若い警官は、ただもうソ連大使館に行ったことそのことをまるで犯罪のような、とんでもない誤解を持って接しているのです。これは長年の日本の軍国主義時代からの大きな弊害だと思うのですが、それがまだ糸を引いているのです。ですから、若い者はとかく――大臣はそんな気がなくても、若い警官などはそういうふうな行き過ぎが出先で起りがちですから、よほどよくこれは徹底さしていただくように、特に努力していただきたいと思います。そこで、警備部長さんもお見えになっておりますが、今まではどうなんですか、若い出先の警官に対して、そういう行き過ぎのないように、どの程度の注意を与えておられたか、ここでちょっと伺っておきたい。
  40. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 ソ連大使館に出入する人々に対して尾行するようにというようなことを私の方で申したことはございません。ただ先ほど大臣から申されましたように、いろいろな日ソ間の問題をめぐりまして、時によりますと不穏の動向がございます。従いましてソ連大使館に接近しようとします者について、そういう見地から何人であるかわからないような場合には、場合によっては尾行したことはあるいはあるかもしれないと思うのであります。そういう意味におきましては、これは警察といたしましてはやはり職務上必要な措置をとることになるわけであります。それ以外にソ連大使館その他の公館に出入する人々に尾行をつけるというようなことはいたしておりません。
  41. 松本七郎

    松本(七)委員 あそこに行く車のナンバーを控えるというようなことはどうなんですか。そういうことをやらせたのか、あるいはやるべからざることとして注意を与えるくらいの処置を今までとっておられたのか、どうか。
  42. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 やらせたというようなことはございませんが、先ほど申しましたような意味で、そのときの情勢に応じまして何人であるかわからがない者が車を乗りつけて、あれはだれであろう、どうもいろいろな挙動に不審の点もあるというような場合には、控えておくようなこともあるかと存します。
  43. 松本七郎

    松本(七)委員 警察は官庁のナンバーくらい当然わかっておるはずだと思うのですが、最近出た私の情報というのはこういうんです。何か日比谷建物株式会社とかいうものがある、これが日比谷のかどにある土地に日ソ会館というようなものを作る計画をソ連大使館と連絡してやっておる、これについてソ連側は二億円くらいの金を出す、実際の建物その他の費用は一億円ぐらいで済むのじゃないか、そのあとの一億円を社会党のあるグループの政治資金にこれを回すんだ、その中心の連絡に私が当っている。それでこういうことを言っている。白昼――白昼ですのよ。白昼堂々と四万台の車で――衆議院院の車のことを言っているのだろうと思うが、四万台の車でソ連大使館に出入りしている。こういうことを流しておる。これを公安調査庁に売り込みというか、持ち込んだということを私は聞いたのですが、公安調査庁は何かお聞きになっておりますか。
  44. 藤井五一郎

    ○藤井(五)政府委員 いろいろ情報が入りますので、そういうものが流れておったというようなことは聞いたような気がしますけれども、私の方としては、そんな情報があるかなあと思う程度のことで、あまり歯牙にかけないのです。ただ何かソ連の方から資金が出ているというような程度でしょう。何とか会館がどうだとかいうことは聞きません。
  45. 松本七郎

    松本(七)委員 公安調査庁はまだ取り上げているとは私ども聞いていないのです。ただ、そういうものを持ち込んだ、これはいろいろな情報売り込みというのは、公安調査庁は予算が余っていて困っているから情報売り込みがあるでしょう。しかしその情報警察から出ているという。警察では、今言うように、相当そういった具体的な名前まであげて、そして調査を進めているというのです。これは警備部長さんは御存じですか。
  46. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 そういう情報は私存じません。前半の日ソ会館ですか、日比谷の近くに何かそういう建物を作るという計画があるというようなことは、だいぶ前に耳にはさんだことはございます。ただし、後半の一億円云々、それから松本議員がこれに御関係があるというようなことは、私全然聞いておりません。
  47. 松本七郎

    松本(七)委員 そういうデマ情報が相当広範囲に流れているのです。これは非常に先方も迷惑するし、私どもも、もちろんとんでもないことで、迷惑千万ですよ。両方の空気を非常に悪くするのです。しかも警察の若い者がそういうことを言っているのです。そういうところに問題がある。今あなたは以前に会館のことを耳にしたと言われるけれども、それじゃそのときの内容はどういうのです。
  48. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 そう大して気にもとめておりませんでしたので、内容を具体的には記憶しておりませんが、何でもそこにソ連関係の機関の事務所ができる、それからそこにいろいろな集合の場所に適するような施設ができるということは、聞いたことがありますが、別にそれは私は気にもとめておりません。ただいまお話の後半の問題について、警察側で情報を流しておるというようなことはないと思います。私も全然存じておりません。
  49. 松本七郎

    松本(七)委員 それでは警察官で名別が一々わかったらどうしますか。あはたの配下のこういう人が、こういうところで、そういうことを言っているというような事実が出たらどうします。
  50. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 私はそういうことを全然存じておりませんし、そういう種類の情報についても聞いたこともございません。前のソ連会館の問題については、だいぶ前に小耳にはさんだ程度のことはある、こういうことを申し上げたわけです。
  51. 松本七郎

    松本(七)委員 これは今後両国の関係に、いろいろな問題が起れば起るほど、こういうことが非常に悪影響を及ぼしますので、大臣としては、これは小さいことのようだけれども、非常に影響が大きいので、よほどこういったデマ情報をしっかり取り締っていただかなければならぬ。どういうふうなお考えか、何か御方針を伺っておきたいと思います。
  52. 正力松太郎

    正力国務大臣 今松本議員お話通りに、そういうデマが飛べば、非常に御迷惑だと思いますし、またこれはひとり松本議員だけでなしに、国交上もよくないことでありますから、そういう点については、できるだけの取締を考えております。なおよく考えます。
  53. 床次徳二

  54. 岡田春夫

    岡田委員 ちょうど藤井さんが見え、おりますので、公安調査庁というところは、法律上何に基いて、主としてどういうことをやる役所なんですか、伺います。
  55. 藤井五一郎

    ○藤井(五)政府委員 公安調査庁は、破壊活動防止法並びに公安調査庁設置法に基いて設けられたものでありまして、暴力主義的破壊団体の調査をいたしまして、これに対する規制条件が完備した場合には、規制処分を審査委員会に求める、それが大体の職務であります。
  56. 岡田春夫

    岡田委員 暴力主義団体の調査並びに規制をするということなのですが、その暴力主義団体というのは、日本の国内における団体という意味ですか。その点はどうなんですか。
  57. 藤井五一郎

    ○藤井(五)政府委員 国内における団体でございます。
  58. 岡田春夫

    岡田委員 国外のそういう団体というものは、対象になりますか。
  59. 藤井五一郎

    ○藤井(五)政府委員 国外の団体は、対象になりません。
  60. 岡田春夫

    岡田委員 「月間国際情勢展望」等を見ると、国外のいろいろな動き等について、詳細に書いておられますが、あれは非合法の、規定によるところの公安調査庁の任務外の問題ということになりませんか。
  61. 関之

    ○関政府委員 職務の内容の事務的な問題でありますから、私からお答えいたします。破防法の建前は国外まで適用するということは書いてありませんから、現実の団体の問題は、これは国内だけの問題になるわけであります。ところがその国内の団体のもろもろの動きが、かりに国外からの関連がありますならば、それはやはり関連の事項として調べる、一応所要の関係においてそれを調べるということに相なるわけであります。
  62. 岡田春夫

    岡田委員 それでは今の点で伺っておきますが、国外との関連という場合に、暴力的なそういう危険があるいうことは、たとえばアメリカにおいてそういう日本の国内の暴力団体の策謀をやっている危険があるという場合においては、アメリカのそういうことについても調査されるわけでありますか。
  63. 関之

    ○関政府委員 仮定の問題でありますから、あとでまた問題がありますれば大へん困りますので、言葉を限定してお聞きいただきたいと思います。かりに国内に暴力主義的、破壊的団体がありまして、その団体を、アメリカ側において、アメリカの某々団体がさらにこれを指導扇動したとか、あるいはこれを指導援助したということになると、これはその関連を当然調べることに相なろうと思います。
  64. 岡田春夫

    岡田委員 これは吉田さんのまねをして、仮定の問題にはお答えしないなんて言わぬでもいいんです。  それでは話をかえて、具体的に藤井さん並びに松本さんに伺いますが、ソビエトという国は、これは藤井さんの公安調査庁のあれとしては、侵略国という規定によって公安調査庁の調査を進めておるのですか、どういう考えなのですか。
  65. 藤井五一郎

    ○藤井(五)政府委員 侵略国とは私どもは表現してはおりませんが、国際共産主義勢力の一国だとしております。
  66. 岡田春夫

    岡田委員 それでいいのですか。岸総理大臣の意見とだいぶ違いますが、それでよろしいのですか。速記録にはっきり残りますから、それでいいならいいのだし、取り消すなら取り消されてもいいのですが、この間予算委員会で、岸さんは私に、はっきり違うと言っているのですよ。
  67. 藤井五一郎

    ○藤井(五)政府委員 国際共産主義勢力、それから共産党、それからソビエト連邦共和国と、それは区別しております。
  68. 岡田春夫

    岡田委員 ですから私はソ連はどうかということを伺っているのです。ソ連は侵略国という定義ですか、それともどういう規定に基いていますかということを伺っておる。
  69. 藤井五一郎

    ○藤井(五)政府委員 侵略国というように私どもの方は規定しておりません。
  70. 岡田春夫

    岡田委員 それでは公安調査庁は、日本とソビエトの友好関係を深めるという思想的根拠に立って公安調査庁の職務を進められておりますか。
  71. 藤井五一郎

    ○藤井(五)政府委員 日ソ親善ということについて、われわれは何ら妨げをしようとは思っておりません。
  72. 岡田春夫

    岡田委員 それでは「月間国際情勢展望」で伺いますが、この中にあなたの方では、ソ連は日本に対して侵略の云々ということをたくさん書いてあるのです。一々あげるとこれはきょう一日かかるのですけれども、たとえば昭和三十三年二月に発行された公安調査庁の「月間国際情勢展望」によると、ブルガーニンの書簡は岸総理大臣に対しても出されているが、これはソビエトの対日宣伝、扇動を目的として出されたものである、このように規定してありますね。そのほかたくさんあるので、一々あげてもいいのですけれども、たとえばブルガーニン書簡なんかそういうものだというお考えでありますか。
  73. 関之

    ○関政府委員 そのような記載は、そういうような意見として一応出したものであったにほかならない。それだけにとどまるのであります。
  74. 岡田春夫

    岡田委員 それは何でございますか。今のをもう一度言って下さい。そうすると、ブルガーニン書簡はここに書いてある通りである、そういうことですか。
  75. 関之

    ○関政府委員 一応そういうように見ておるわけであります。
  76. 岡田春夫

    岡田委員 それじゃ松本さんに伺いますが、ブルガーニン書簡に日本の政府は回答しているのですが、対日宣伝扇動のそれに乗ぜられて、日本政府は回答したのですか。どういうことになりますか。
  77. 関之

    ○関政府委員 いろいろの意味があろうと思うわけでありまして、その中に……。
  78. 岡田春夫

    岡田委員 いや松本さんですよ。あなたじゃない。あなたは外務大臣のかわりをやるのですか。私は松本さんに聞いているのです。
  79. 松本瀧藏

    松本政府委員 私はその資料の内容を見ていないのでありますが、これは思うに、いろいろな人の見解を一応資料として掲載したものではないかと思うのですが、もちろんわれわれは、先ほどの御質問のような趣旨で回答したのではないということはもうはっきりしております。
  80. 岡田春夫

    岡田委員 これはだれかの引用をしたんじゃないのですよ。この通りに書いてあるのですよ。もしも何ならあなたに見せてもいいのですが、「月間国際情勢展望」の十二月号の第三の四に、ソ連及び共産中国の対日宣伝扇動攻勢と外交政策、だれの引用でもないのですよ。この中にはっきり書いてある。その次に書いてあるのは、日本君会党の外交方針は云々といって、今度は社会党の攻撃を始めている。これは一体何ですか。外務省として、これは適当だと思いますか。こういう外交関係について、公安調査庁などという一機関がこういうことをするのをどう思われますか。一つ政務次官に伺いたい。
  81. 松本瀧藏

    松本政府委員 もちろん言論の自由の世の中でありますのと、いろいろな角度から、どういう工合にこれを出版されておるかということをよく調べませんと、はっきり白黒ということは、私申されないと思うのであります。
  82. 岡田春夫

    岡田委員 言論の自由とおっしゃるけれども、言論の自由というと、それじゃ行政機関がどういうことを言ってもいいのですか。国家公務員法の適用なんかどうでもいいのですか、言論の自由なら。それじゃ国家機関の労働組合は言論の自由だから何でもやれますよ。(「やっておるよ」と呼ぶ者あり)いややっていやしない。――それなら何をやってもいいのですか。
  83. 松本瀧藏

    松本政府委員 私は非常に不勉強でして、それを実は見ていないのです。それで、いろいろな角度からよく検討しないと、白黒とはっきり言えないのです。もしこれが資料として提供されたのであるならば、そういう資料をわれわれが押えるとかなんとかいうことはできないだろうということを申し上げたわけであります。
  84. 岡田春夫

    岡田委員 それじゃもう一度――これは見せてあげてもいいのですがね。ともかく破防法によると、どうなんですか。ソビエトとか中国というのは、破防法の何条によってこういう調査ができることになるのですか。
  85. 関之

    ○関政府委員 わが国内におきまして、昭和二十六、七年ごろ、全国的に不穏な行動が行われた。それをよく調べてみますと、日本共産党を主力とする一つの組織的勢力が破壊活動を行なった、こういう事実はどうも深い疑いを深めざるを得ないのであります。しかもそれらの運動が国際的な関連があるかないかと申しますと、これは明瞭にある。そのあるものが国際共産主義勢力である、こういうふうに私ども考えるわけであります。従ってその關連において、国内の破壊的勢力においてはどうなるかということについて調べる、これは破防法第二十七条に基く関連の調査であります。
  86. 岡田春夫

    岡田委員 それじゃ外国の、たとえば諜報機関なら諜報機関ですね。諜報機関が国内で活動をするというような場合には、破防法の対象になりますか。
  87. 関之

    ○関政府委員 お尋ねのような意味ならば、なりません。と申しますのは、何も破防法に該当しないからであります。破防法に該当するのは、第四条に規定してある内乱であるとかあるいは外患の誘致であるとか、刑法に所定するきわめて国家の基本的秩序を破壊するそのような危険きわまる行為だけに限定されておるわけであります。もしその外国の諜報機関が、そのような危険な行為をするならば、当然入りますが、常識的な意味において、それほど危険な行為もいたしますまいと思いますから、それは一般の意味ならば調査の対象にはなりますまいと、こういうように思います。
  88. 岡田春夫

    岡田委員 では危険の判断はだれがするのですか。公安調査庁がやるの下すか。
  89. 関之

    ○関政府委員 それは公安調査官、公安調査官は二十七条によって調べるのでありまして、調査官がその判断をいたすわけであります。
  90. 岡田春夫

    岡田委員 それじゃ、たとえばこういう場合はあり得るわけですね。アメリカのCIAの機関が日本にある。そうしてそれによって日本の暴力主義的団体が動いたという具体的な事例があるという場合には、そういう暴力主義団体の活動に基いて、アメリカのそういう機関も調査することができる……。
  91. 関之

    ○関政府委員 まずお尋ねのその暴力主義的な運動と申しますか、それは破防法第四条所定の各種の活動、これを限定いたします。誤解が生じますから。――そこでもしそのようなことがアメリカ側の今お尋ねのような機関の宣伝、扇動、ないしは指導・援助、こういうものがあったならば、やはり關連事項として、一体そういうことは調べられなければならない、こう思っております。
  92. 岡田春夫

    岡田委員 そういう事例がある場合にはお調べになりますね。
  93. 関之

    ○関政府委員 当然調べます。
  94. 岡田春夫

    岡田委員 それではその点は、きょうは出しませんけれども、あとで具体的な事例を出します。  それでは、それに関連もあるので、松本さんに一つ伺っておきますが、フィリピンの大使館の中で、だいぶ自動車のやみ売買の事件があったというのですが、その点はどうなんですか。ちょうど今正力さんに聞こうと思ったら、帰られちゃったのですが。
  95. 松本瀧藏

    松本政府委員 外務省に関する限りは、新聞情報以外には何も正式に情報が入っておりませんので、新聞の情報以外に、たとえば官庁あたりから、これこれの次第であるというような連絡あたりがありますれば、はっきりと外務省の意見を述べることができるのでありますが、それがございませんので、差し控えさしていただきます。
  96. 岡田春夫

    岡田委員 それでは警視庁の方から、そういうあれはなかったのですか。
  97. 松本瀧藏

    松本政府委員 私の知っている限りにおきましては、ございませんでした。あるいはその後何かあったかもしれませんが、当時、新聞に出ましたときに、一応調べましたときには、何もございません。
  98. 床次徳二

  99. 松本七郎

    松本(七)委員 藤井長官は、本員の質問に答えて、在日朝鮮人総連合が破防法の適用対象になると答弁されていますが、これは何か具体的な事例に基いてのことですか。
  100. 藤井五一郎

    ○藤井(五)政府委員 お答えします。それは破壊活動防止法の実施上調べる必要があるからでありまして、その理由は、われわれは昭和二十六、七年にわたり、日本共産党が全国的な組織規模で、内乱の正当性必要性を主張する等の破壊活動を行なったとの疑いを持っておりますが、当時朝鮮人の団体である在日朝鮮統一民主戦線等は、日本共産党と共同で、その破壊活動を行なった疑いがあります。現在朝鮮総連は、諸般の情勢からいたしまして、右の朝鮮人の団体の性格を継ぐ団体であるとの疑いがあるのであります。でありますから調査しておるのであります。
  101. 松本七郎

    松本(七)委員 そうするとその疑いがあるといっても、その具体的な事例がなければ、ただ主観的に、もとこういう団体で、それがこういうふうに発展しておるから疑いがあるじゃ、これは根拠はないのです。やっぱり具体的な事例をあげてもらわなければ、綱領も変っていれば、運動方針も変っているし、団体が変っているのだから、人間はどんどん変るのですから……。
  102. 関之

    ○関政府委員 少し法律的な説明になりますから、私がかわってお答えいたします。  破壊活動防止法の団体規制の仕方でありますが、この規制の仕方は、まず過去に破壊活動をしたということが第一の前提になるわけであります。過去に破壊活動をしたその団体が、継続または反覆してそれをやる可能性がある、危険性がある、こういうような条件があって、そうしてそれが明白であって、諸般の情勢、国政上これを規制しなければならないというときに、規制処分の手続をする、こういう段階に相なるわけでございます。そこで問題は、過去において破壊活動をした、そうしてそのような破壊活動をすることが一つの性格化した団体というようなことに、立法の当時御説明を申し上げていたわけであります。そこで過去において破壊活動をしたと疑われる団体が、将来ともこのようなことを反覆または継続して行う可能性があるかないか。従って現実の行動に出る場合もあろうし、あるいはその現実の行動も予備、陰謀とか、いろいろあろうと思いますが、少くとも可能性が消滅しない限りは調べる、こういうことが法律の構成上当然許されることであり、また法律は、そのことを調べることを予定して作っているわけであります。
  103. 松本七郎

    松本(七)委員 その可能性というのは、何よって判要れますか
  104. 関之

    ○関政府委員 その可能性の判断は、その団体の基本的な綱領、政策あるいは現実的な行動、各般の事情をもって判断をいたすわけであります。
  105. 松本七郎

    松本(七)委員 そこで、今の在日朝鮮人総連合の綱領なり運動方針なり、今日いろいろ行なっておる行動のどれをもってその可能性がありとされているのですか。
  106. 関之

    ○関政府委員 今長官が申し上げた通りに、かつて日本共産党と共同して全国的の規模において内乱の正当性、必要性を主張し、暴力主義的破壊活動を展開した、その疑いを――これはいわゆる民戦と申しますか、それがやったであろう、とこう私どもは疑わざるを得ないのであります。調査の結果それ相当のエビデンスを持っている、そう疑わざるを得ない。これは二十六、七年のことであります。そこで総連は、その結成の経過その他から見て、どうもこの民戦の性格というものを基本的に受け継いでいる。その堅持するところの主義、そうしてまた政治変革に対するところの根本的な考え方、そうして現実に展開しているところの徹底した共産主義教育というような諸般の動向から見て、どうもまだ再びそれを繰り返す可能性というものが、全然ここに消滅されているということはとうてい考えられない、こういうふうに私ども考えているわけであります。
  107. 松本七郎

    松本(七)委員 過去のそういう団体が、新たな朝鮮人総連合というものになって、綱領なり運動方針は全然変っているのです。その綱領にこういう個所があるとか、あるいは現在こういう運動方針でやっておるからその疑いがある、可能性があるというならこれは話がわかる。だけれども、過去にそういう運動があって、そうしてそれと引き続いて別の団体に発展しておるんだから、もうそのことだけで、これは物の考え方が、そう急に変るものではないだろうからという予想のもとに、そういうふうな調査をするということは、これは一種の思想弾圧ですよ。これは団体というものは、そのときの正式な綱領というものは、みなで討議してきめるのですから、その綱領に基いて、そうして具体的な行動で判断しなければ、それ以前の、過去がそうだったから、あるいはそうだから当然物の考え方の基本、綱領はこうだろう、考え方はこうだろうという推測のもとに調査するとか、そういう疑いを持つということは、これはもう明らかに権力による思想弾圧ということになる。だから今日どうしてもそれを調べられるなら具体的な行動を何か出していただきませんと、これは問題になると思うのです。その点をもう少しはっきりしたいのです。
  108. 関之

    ○関政府委員 お話通り、総連が民戦と、綱領のある部分において変革があったという点は、これは疑いないところであります。さりながら、しからば根本的なものが変ったかいなか、特に政治的変革の基本的な考え方が変ったかいなかというような問題になりますと、これは変らない。しかも国内において今日総連などが展開している徹底した共産主義教育というような問題を見ますと、根本的には変っていない、こういうふうに考えざるを得ないのであります。そうすると時いっかまたこのような過去における暴力主義的破壊活動を継続または反覆する可能性というものはここにある、こういうふうに考えざるを得ないのであります。
  109. 松本七郎

    松本(七)委員 変らないと言われるけれども、あなた自身が主観的に変らないと断定してもだめですよ。その根拠がなければならぬ。その根拠は、どうしても綱領とか運動方針とか、そういうものによって現われる、これが根本なんだから、そんなあなたみたいなことを言えば、どんな綱領を使おうと、欺瞞であって、根本思想は変らないとあなた自身が判断されることによって、これが調査の対象になるということになれば、これは永久に調査の対象にならざるを得ないということになる。あなた自身の判断の材料は客観的なものでなければならぬ。それ以外に破防法の対象にして調査する根拠はないですよ。それを過去のそういう流れなり、過去の行動なり、過去の団体の性格によって、いかに綱領が変ろうとも調査ができるという根拠は、一体破防法の何条のどこにあるのですか。
  110. 関之

    ○関政府委員 調査の根拠は破防法第二十七条によるわけであります。二十七条によりまして、結局今申し上げたように過去に破壊活動をした、それが継続または反覆をしてそういうことを行う可能性がある、この問題に相なるわけであります。この可能性の問題は、今申し上げたように団体の主義、主張、綱領、そうしてその現実的な各種の行動――ただここで御理解いただきたいことは、現実的にたとえば破壊活動をする、その破壊活動には、今申し上げたように内乱を起すとか、あるいは内乱の正当性、必要性を主張するとか、ないしは政治的な意図をもって人を殺害するとか、きわめて凶悪な犯罪、そういうものを現実的に行わなくても、そのことを行う可能性がある、こういうふうに考えられれば、これは調査しなければならない、こう考えろるけであります。そこでその総連につきまして何がその理由か申しますと、ただいま申し上げたように、なるほど総連が民戦とは若干綱領の改訂はいたしましたが、ただ問題は、政治的変革に関する基本的主張が少しも変っていない、こう私ども考えざるを得ないのであります。しかもその現実に彼らが行なっておる徹底的な共産主義教育というようなごときは、やはりその疑いをどうしても捨てることができない一つの大きな理由になろうかと私は思うのであります。このような次第であって、その他諸般の事情から見て、どうもまだその疑いが完全に消滅したというふうに私ども考えることはできないのであります。
  111. 松本七郎

    松本(七)委員 そこで両団体の綱領をどうのこうのいっても時間があれですから、省きますけれども、共産主義教育をやっておるからとしきりに言われるけれども、そのこと自体が、それでは共産主義即現実に破壊的な活動をしておるかというとそうではない。だから現実にあなたがどうも疑わしいと言われるくらいで調査の対象にすることは行き過ぎだと思います。どうしてもこれは思想断圧になると思いますが、それはまた後にゆっくりお尋ねするとして、過去にやった破壊活動と言われるけれども、民戦時代にどういう破壊があって、さらに団体が今日変っても、なお反覆してなされる可能性というものは、どういう事実を言われるのか。
  112. 関之

    ○関政府委員 御質問につきましては、今までお答えした中にお答え申し上げておると思いますが、これは繰り返すことになりますが、二十六年の暮れから二十七年の上半期にわたりまして内乱を起すのは正当であり、必要であるというような各種の文書の頒布、それに関連する各種不穏な朝憲紊乱、国家転覆的な行為が全国的に展開されたのであります。そういうことが行われたという現実の資料を見るに、一体どこがしたか、だれがしたかということを調べてみますと、どうも日本共産党が一つの主体的な勢力として行なったと疑わざるを得ないのであります。それに協力して朝鮮人の、当時の民戦が協力して行なった、私どもは常識的に見て証拠上どうもそういう判断を下さざるを得ないのであります。その証拠その他の諸般の事情につきましては、ここでこれ以上申し上げることを差し控えたいと思いますが、その事実から見て、それを受け継いだ団体と考えられる総連は、主義、綱領、主張の根本において変っていない。しかも今申し上げたような教育をもって、あるいは北鮮の現実的な指示、指導のもとに動いておるというような諸般の例から見まして、どうもこれを繰り返す可能性が完全に消滅したというような証明はおぼつかないと思っております。こういう限りにおいてもし事が起れば大へんなことでありますから、われわれはわれわれの責任としてこれを調査する、こういうふうに考えているわけであります。
  113. 松本七郎

    松本(七)委員 日本共産党との関係を非常に重んじておられるようですけれども、今日なお朝鮮人総連合にそういう可能性があると判断されるのは、今日また将来ともに日本共産党と過去におけると同じような関係が持続すると判断されておるわけですか。
  114. 関之

    ○関政府委員 これは松本委員さんにおかれても御承知と思いますが、朝鮮系の団体と日共との関係は幾変遷を経て、そのときどきの客観情勢などによっていろいろ変ってきております。だからそれが将来の問題として二十六、七年と同じ形態をとるかどうかという点については、私どもはまだ明瞭な判断をつけ得る段階に達しておりません。
  115. 松本七郎

    松本(七)委員 御説明中心は共産主義教育をやっておるからということが、非常に大きな要素になっているように聞えるのですけれども、これはそれこそ思想の自由であって、人に強制さえしなければどういう思想を説こうがそれは各人の自由です、受け入れる受け入れぬは別として。これをそういう調査の対象にする場合の一つの判断の材料にされるということになると、これは大きな問題です。これは明らかに思想の弾圧につながるものである。ですからこれはさらに上級の責任者に国会に来てもらって、もう少し時間をかけて論議しなければならない。ですから私はきょうはこれでやめます。
  116. 岡田春夫

    岡田委員 今のお話を伺ってどうもわからないのだが、具体的に伺っていきましょう。共産主義の教育をやるような団体は、破防法の対象になるという意味ですか。
  117. 関之

    ○関政府委員 お言葉だけのことであるならば、必ずしもならないと思います。
  118. 岡田春夫

    岡田委員 それはいわゆる破壊活動防止法の適用を受けるような行動があった場合に適用を受けるのであって、共産主義の教育をやったということでは適用を受けないでしょう。
  119. 関之

    ○関政府委員 これは法律の解釈でありますから、いま一度繰り返して申し上げます。  破防法の上から申しますと、過去においてとにかく破壊楯動をしたことが一つの要件になるわけであります。そしてそれを継続または反覆してやる可能性があるということが規制の発動要件になるわけであります。従ってこれだけの要件が満たされて、諸般の情勢よりこれを規制する必要があるというふうに判断をされたとき、規制処分の請求手続をとるわけであります。  そこで今お尋ねの共産主義教育をしただけで調査するかどうかという問題は、共産主義教育の内容、程度、方法とかいろいろな問題が出てきましょう。要するに破防法四条に該当する行動、端的に申しますと内乱関係、朝憲紊乱関係、国家の転覆、暴力による社会の変革、こういうものの現実的な行動があるかないかという問題に関連するわけでありまして、一がいに共産主義ということだけでは判断しかねる、内容をよく見なければわからない問題だと思います。
  120. 岡田春夫

    岡田委員 しかしそういうことをあなたがおっしゃると重大だと思うのです。それじゃ戦争前の教育の弾圧とかそういうものと同じ解釈もできるわけでしょう。特高政治の時代のように、これが共産主義活動であるということを勝手に公安調査庁が認定をして、二れならそういう教育をやっているたとえば東京大学においてそういう活動をやっているからこれは破防法の対象だといって縛ることもできるわけでしよう。どうですか。
  121. 関之

    ○関政府委員 それで私ただいまお話し申し上げたように、その教育の内容だけで直ちに破防法に該当する可能性があるかということはとうてい判断がつきません。やはりそれにプラス過去のその団体の活動であるとか諸般のことを見なければわからない、こう申し上げた次第であります。
  122. 岡田春夫

    岡田委員 それでは共産党は破防法の対象になりますか。
  123. 関之

    ○関政府委員 遺憾ながら今日対象として調査をいたしております。
  124. 岡田春夫

    岡田委員 共産党が破防法の対象になるとするならば、共産党が合法政党として認められているのはどういうわけですか。
  125. 関之

    ○関政府委員 たとえばそれは犯罪の検挙とやや似ているのであります。被疑者の時代はあらゆる権利が自由に認められておるのであります。従って破防法の容疑団体として調べている間は共産党の他の一切の活動は何らの制限を受けないのであります。
  126. 岡田春夫

    岡田委員 しかしあなたの答弁は食い違っておりますよ。去年の今ごろ中村法務大臣がおったときに、私の質問に対して中村法務大臣はそういう答弁をしておりませんよ。共産党であるからといってすべてを破防法の対象にしているなどということを言っておりませんよ。あなたはいつから大臣の了解を得て解釈を変えたのですか。この点しはっきりしてもらわなくちゃ困ります。
  127. 関之

    ○関政府委員 お尋ねの点は昨年十一月の法務委員会におきまして田中委員その他の方々から御指摘がございました、そのときの中村前大臣の御答弁と唐澤現法務大臣の御答弁との間に、いろいろな問題がございまして、大臣の方からその法務委員会において御答申し上げておる。申し上げた答弁は今日私がお答え申し上げた通り答弁であります。
  128. 岡田春夫

    岡田委員 それでは、この点はあとで私も速記録を調べてもっと明確にいたしますが、あなたの今の解釈をいうと、唐澤法務大臣になってから解釈、適用が変ったのだ、こういうことになりますね。
  129. 関之

    ○関政府委員 そういう意味ではございません。中村大臣と唐澤大臣の御答弁は全く一致している、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  130. 岡田春夫

    岡田委員 そうじゃありませんよ、あなたは法務委員会とおっしゃったけれども、去年の今ごろ外務委員会でやって、私が質問したのです。そこで中村法務大臣が答えているそれとあなたの今の意見と違うのです。これは速記録を調べてからはっきりやりましょう。  それから、あなたのような解釈によると、破防法の第二条と第四条との関係はどういうふうになりますか。
  131. 関之

    ○関政府委員 破防法第二条は要するに拡張解釈を禁止する規定なのであります。従いまして、破防法の各種の条項は拡張解釈をしてはいけないという規定であります。第四条は、破防法該当のいわゆる暴力主義的破壊活動とはいかなるものであるかということを規定したものでありまして、その解釈についてはいやしくも拡張乱用してはならないという解釈になるわけであります。
  132. 岡田春夫

    岡田委員 先ほどの朝鮮民戦から朝鮮総連に変って以降の話を聞いていると具体的な事例は今日はない、過去にそういう事例があったから今日朝鮮総連に対してそういう適用を与えるということになると、具体的な事例はないわけですね。そして第四条によって対象にするということになりますと、第二条に反して拡張解釈していると言われても仕方がないじゃないですか。
  133. 関之

    ○関政府委員 その点がまた法律の解釈になってどうも恐縮でありますが、過去においては破壊活動をした、そういうある団体があって、その団体が継続、反覆して破壊活動をやる可能性がある、これは後の問題であります。その可能性という問題は、二年、三年、あるいは四年、五年後ということが考えられるわけであります。およそ社会的変革というものは二年や三年の短日月では考えられません。ロシヤ革命も十数年後のことであります。そこでそういう問題があるわけでありまして、その後においては必ずしも現実的な、たとえば朝憲紊乱の内乱、暴動を起すとか、あるいは政治的な意図をもって人を殺害するとか、そういう現実的な行動は起らないにしても、そういうことが行われる可能性はあり得る、またそれが持続されて時たまたま爆発するということは考えられるのであります。その危険を芟除する、こういうことになるわけであります。
  134. 岡田春夫

    岡田委員 それはあなた自身の判断ですよ。あなた自身がそういう判断をして、たとえばある大学教授が戦争前において思想犯に問われたことがある、こういう人は今後においてそういうことをやる可能性があるかもしれぬから、破防法の対象として公安調査庁は取り調べることができるということでしょう。そうしたら憲法に書いてある国民の基本的人権の問題、思想の自由の問題をあなた自身がじゅうりんしていることになる。そういう解釈自体、公安調査庁が第二条に反して拡張解釈しているのですよ。どうしてかといえば、第四条の規定というのは、これは法律の列挙主義なんです。こういう事件とこういう事件があるならば破防法の対象にしますよ、こういう事件以外一については拡張解釈をしてはいけないという第二条に基いて解釈をしないことになる。そうすれば現在こういう団体があるという場合に、この団体はこの列挙主義のこの事項に該当するから対象になるということを言わなければ、過去こおいてこういうことがあるからこれはやるんだということになると、過去において思想事件その他の事件において調べられたものは、公安調査庁は適当に判断して将来やるかもしれぬというので、いつでもやることができるじゃありませんか。あなた自身の判断でどうでもできるということじゃないですか。それでは第二条に明らかに反しているじゃないですか。具体的に列挙された事実に該当するということが、朝鮮総連なら朝鮮総連においてあるならば、それに基いて第四条の暴力主義的団体と考え、その危険があると考えて二十七条によって調査することが当りまえなのであって、ただ過去においてあったのだから危険があるということならば、過去において大学教授がそういうことをやった事犯があった、今後もやる危険があると公安調査庁が考えたならば四条でやり得るじゃないですか。
  135. 関之

    ○関政府委員 いろいろ法律上の問題でありまして、答弁を正確に申し上げる意味で私からお尋ねいたします。こういうふうな法律の御解釈になりましょうか。要するに今日四条の行為をしなければ調べもできないし規制もできない、こういうふうな破防法の御解釈になるのですか、その点を一つお尋ねいたします。
  136. 岡田春夫

    岡田委員 ああいうことを国会法上許していいのですか、答弁しなければならないのですか。
  137. 床次徳二

    床次委員長 岡田委員に申し上げますが、岡田委員の御質問に対して答弁する場合に不明瞭の点があるということでもってあらためてお尋ねしたのでありますから、お答えになるかならぬかは岡田委員の御自由であります。
  138. 岡田春夫

    岡田委員 問題は、現在朝鮮総連なら朝鮮総連に、第四条に列挙されたる事実に該当する危険があった場合に、初めて破防法が発動するのであって、具体的に列挙された事実がなくて、一般的に概念的にそういう危険があるということによっては、破防法の発動は起らないものとわれわれは解釈する、私の言っておるのはこういう意味ですよ。
  139. 関之

    ○関政府委員 御質問趣旨がよくわかりました。そういう御趣旨であるとすると破防法の五条、六条の規定から見るとそれは間違っております。現実的な行動でなくて、継続または反覆して行う危険性があるということが五条、六条に書いてあるわけであります。それは必ずしも現実的に内乱の企図に出るとかあるいは政治的な殺害に出るとかそういう現実的な企図に出なくてもよろしいわけであります。出る可能性があるならば、その五条、六条の条件によって解散処分の請求ができる。これは破防法を制定した当時の速記録を読んでいただきますとそういうことに相なっておるわけであります。
  140. 岡田春夫

    岡田委員 私はさっきから現実に行動しておるとは言っておりません。そういう可能性があるという場合に、その可能性の事実が四条に列挙されたる事実に該当するかどうかということなんだ。今行動しておるかどうかという問題なんか私は言っておりません。可能性の問題を言っておるのですよ。私が違っておると言うが違っていないですよ。  それじゃ話を進めますが、破防法というのは先ほどのあなたの御答弁では国内の団体、こういうように言われたのですが、国内の団体というのは日本の国民によって組織された団体という意味ですか。
  141. 関之

    ○関政府委員 それは日本国土内における、日本の支配権の及ぶ範囲内、その領土内における団体組織については日本国民であるという要件を必要としないと思います。
  142. 岡田春夫

    岡田委員 それじゃ先ほどお話しの、たとえば一つ外国の団体でいわゆるスパイ活動をやっておる、アメリカならアメリカのそういう団体がある、そういう場合にはこれが第四条の規定に該当する危険があり、また五条以降においてそういう可能性があると認められた場合においては、国内にアメリカのそういう団体があってもそれは当然対象になるわけですね。
  143. 関之

    ○関政府委員 特殊な例外のたとえば外交官とかいろいろな問題のない限りは、当然対象になるわけであります。
  144. 岡田春夫

    岡田委員 それじゃ朝鮮総連の場合とにおいては、外国人ではあるけれども国土内におけるそういう危険性があるとして、朝鮮人の団体である朝鮮総連を対象にする、そういう意味でございますか。
  145. 関之

    ○関政府委員 お尋ねの通りであります。
  146. 岡田春夫

    岡田委員 それじゃもう一度伺いしますが、その場合には憲法の国民の基本的人権との関係はどうなりますか。
  147. 関之

    ○関政府委員 これは憲法の問題でありまして、私の専門外のことでありますが、国民というその趣旨においてやはり各種の基本的人権は、国内におる外国人にも準じて考えて尊重してやるべきものと考えております。
  148. 岡田春夫

    岡田委員 そうすると、憲法に規定されておる国民の基本的人権というは日本の国民の問題なんですね。この基本的人権は他の日本に組織された外国人の団体に対しても準用する、こういう意味でございますね。
  149. 関之

    ○関政府委員 これはあるいはその法律の理論づけは間違っておるかもしれませんが、その基本的人権は同様に尊重するというのが憲法の趣旨であろうと存ずるのであります。
  150. 岡田春夫

    岡田委員 私はこれは意見の相違になってくる可能性はあるけれども、四条の適用というのは、やはり列挙主義をここで拡張解釈をやってはいけないということは、さっきあなた制定当時の速記録を引用されましたけれども、破防法は拡張解釈をやってはいけないというのでずいぶん問題になったのです。その限りにおいて、この四条の列挙主義という点が、非常に私は重要な点だと思うのです。やはり朝鮮総連が対象になるというならば、列挙主義のこの点においてその可能性がある、危険性がある、あるいは現実に行動している疑いがあるという場合に、初めて問題になるんだと思うのです。先ほど松本委員の言われた通りに、過去においてその事例があるから、今日はわからないけれどもそれを対象とするんだということになると、破防法の適用は乱用される危険性が多分にあると思うのですが、この点だけはもう一度明確に伺っておきたいと思うのです。
  151. 関之

    ○関政府委員 破防法の制定の経過におきまして、お尋ねの点はやはり一番大きな問題であったわけでございます。それで特にこの四条の岡田委員の御質問の列挙主義でありますが、これは結局かっての治安維持法が目的遂行という広範な概念を設けた、それでああらゆることが目的遂行になって、極論いたしますとごくつまらぬことが全部目的遂行じゃないかということで、その構成要件で全部処罰した、あるいはひっかかるという点に問題があった。てこで問題は、概念をコンクリートに固めなければならぬというわけで、四宋にこの刑法の各条章を取り入れたわけです。従ってその解釈は刑法の条章に従って行われる、それに若干の補正乞しただけなのであります。そういうふうに概念をコンクリートに固めまして、そうして拡張、乱用を避けたということになるわけでありまして、もちろんその趣旨、そしてまた二条の御審議の際に提議された各種の御審議の経過から見て、われわれももちろん拡張すべきものではない、こう思っておるわけであります。
  152. 岡田春夫

    岡田委員 要するに私の言っているのは、あなたの先ほどの解釈からいくと、治安維持法と変らないことになってくるという解釈なんですよ。第二条が作られておる、いわゆる最小限度において適用されるべきであると言っていることは、ただ過去においてそういうことがあっても、現実においてそういう可能性があるという場合に、それはやはり現実の団体においてそういう事実が、この四条に該当するという列挙主義に基いてこういう点があるから対象になるんだということにならなければ、第二条において最小限度云々という条章をつけ加えたということは、運用の上において事実上意味をなさなくなってくる、そういう点をわれわれ懸念する。運用において第二条が使われなくなってくるということは、結局治安維持法と同じになってくるということなんです。ですからこの点は、これは法解釈だけの問題ではなく、運用の問題として藤井長官としても、十分これはお考えをいただいて、やはり最近ともすればこういう点について、日本の世相としても過去に返るような危険性が非常にあるだけに、十分一つこれは御注意を願わなければならぬと思うのです。具体的な事例はまたあとでやりますが、私としては、きょうここへ来て初めてこの問題が出てきたので、今急にこの条文を調べてやり出したものですから、具体的な事例は出てきませんが、一つ十分御注意願いたいと思います。
  153. 並木芳雄

    並木委員 関連してちょっと私お尋ねしておきたいのですが、今までの諸論を聞いておりますと、結局破壊活動に該当する行為が起る可能性があるかどうかということなんですね。その可能性について、たとえば具体的にどんなような物理的な装備、そういうものを持っておるか、こういうことがわれわれの一つの大きな判断の材料ではなかろうかと思って、私は聞いたわけであります。私もちろん総連が平和になってほしいという希望を非常に持っておる者でございますが、今の問答の間では、なかなかそこまでなっておらないように承わる。そういたしますと、もしこれが破壊行動に出る場合には、思想の範囲を越えて当然そこに物理的の力というようなものが出てくるのではなかろうか。そうだとすれば、当局としては、今の総連のいわゆる可能性について、国内において、武装という言葉などを便っては物騒でございますが、物理的力を発揮する装備をしておるのかどうか、そういうことを確かめておられるかどうか。もし国内でそういったもの、がないとすれば、そういう段階に来たときに、国外からのそういいう力を誘導してやるおそれもあるのかどうかというような点でございます。そういう点を少し突っ込んで説明していただいたら、今までの抽象論にやや裏づけが出てくるのではないかと思います。
  154. 関之

    ○関政府委員 現実の行動としましては、総連の今日の行動は比較的平穏でございます。ただたとえば大村の例の収容所の問題であるとか、あの種の問題に関連して最近やや矯激な言動が出てきた。例の百何名かの北鮮帰還希望者の処置の問題等に関連して、万が一日本政府の処置がわれわれの意図に反するならばというようなことを言うて、かなり矯激なる言動がそこに出てきておるわけであります。それとこの北鮮政権とのコネクション、これは実は総連は、北鮮の全体的な各種団体の統一戦線の一つ加盟いたしまして、そしてそこからの指導、援助、特に資金その他の問題も、そこから二億円以上の金などを資金として送られて、今日活動しておるという状況に相なっておるわけであります。
  155. 床次徳二

    床次委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時七分散会