○岸国務
大臣 御
承知のように、
アジア諸国が長く植民地の
地位に置かれて、これが解放されて独立を獲得した。そしてこれらの植民地統治国というものが西欧諸国であったという
関係上、これとの間にいろいろな具体的の摩擦なり、あるいは
考えの違っている問題を生じております。今、
戸叶委員の御
質問は、そういう場合にアジア
中心主義というか、アジアの外交を強化するということになれば、アジア民族の念願であり企図しておるそれらの西欧諸国との対立において、
一つの具体的問題を
自分たちの
意図に即して解決しようというものに同情をし、同感し、協力するということにならなければならない。そうすると、西欧の諸国というものは自由主義諸国であって、これとの協調という
立場からいうと、西欧諸国のなにに対して
考えが違うということになって、これは
両方が摩擦を起すのではないか、その場合にどっちに重きを置いて
考えるのか、こういう問題であろうかと思います。
現実にそういう問題が起っております。私はアジアの一国とし、またわれわれの過去歩んできた道からも
考えまして、また将来の人類のほんとうの幸福、繁栄ということを
考えると、これらの国がその独立を完成し、繁栄をもたらすということには、あくまでも協力しなければいかぬと思います。そのためには、西欧諸国の植民地的な残滓というものを払拭しようという努力なり運動なり、いろいろな企てというものに対しては、あくまでも同情を持っていくべきであると思います。ただわれわれの経験から見ましても、また実際問題から申しましても、それがあまりに急激に行われる
方法なり手段なりというものは、目的はそういういいことであってわれわれは共鳴しますけれ
ども、手段としてとるところの具体的の
方法については十分に
一つ考えないと、かえってこれらの民族のほんとうの独立の完成なり繁栄の基礎にならないというような場合も少くないと思います。そこにわれわれは堅実な
方法によって公正な道をこれらの人々にとらせ、これに協力する、そしてその道は、西欧の自由主義の国にもこれを十分に了解せしめ、納得せしめ、協力せしめるように、われわれが努力するということが
日本の努めであると思うのです。ただいたずらに、たとえば領土問題であるとか、あるいは
インドネシアにおける
オランダ排撃というようなことが、今行われているような急激な、ああいう乱暴な
方法で行われることが、
インドネシアのほんとうの独立の完成や幸福のためにいいことであるかどうか、最も公正な、そして望ましい姿であるかどうかということを、われわれ公正なほんとうに同情した
立場から
考えてみると、決してああいうやり方でやることが
インドネシアの独立完成の道からいって望ましい
方法じゃない、もう少し穏健な着実な、しかも公正な
方法でやるべきだということに関しましては、やはり国連という機関を通じてわれわれが公正な道を示して、そして
両方の調和点を求めていくということがわれわれの務めであり、そういうことにおいてわれわれが努力していかなければならぬと思っておりますが、努力するならば、決して矛盾だとか、あるいはそこに妙な
両方の相剋が起って、われわれのやっていることが非常に不徹底きわまるじゃないかというような批判は受けない、こう思っております。