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1958-03-18 第28回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十八日(火曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 齋藤 憲三君    理事 秋田 大助君 理事 有田 喜一君    理事 菅野和太郎君 理事 前田 正男君    理事 岡  良一君 理事 志村 茂治君       須磨彌吉郎君    保科善四郎君       南  好雄君    岡本 隆一君       田中 武夫君    原   茂君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       吉田 萬次君         総理府事務官         (科学技術庁         長官官房長)  原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁         原子力局長)  佐々木義武君  委員外出席者         科学技術事務次         官       篠原  登君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君         参  考  人         (原子力発電株         式会社社社長) 安川五郎君         参  考  人         (原子力発電株        式会社社長) 一本松たまき君         参  考  人         (東京大学教         授)      武藤  清君         参  考  人         (名古屋大学教         授)      坂田 昌一君         参  考  人         (電気試験所電         力部長)    山田太三郎君         参  考  人         (東京大学教         授)      橋口 隆吉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力行政に関する件(コールダーホール改良  型原子炉に関する問題)      ————◇—————
  2. 齋藤憲三

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  原手力行政に関する件につきまして、調査を進めます。  本日は、コールダーホール改良型原予炉に関する問題について、参考人より意見を聴取することといたします。  御出席参考人は、原子力発電訪英調査団団長安川第五郎君、同副団長一本松珠磯君、同顧問武藤清君、日本学術会議原子力問題委員長坂田昌一君、工業技術院電気試験所電力部長山田太三郎君、東京大学教授橋口隆吉君、以上六名の方々であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、御多用のところ、本委員会調査のためわざわざ御出席を賜わりまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げる次第であります。御承知のように、わが国の原子力平和利用もいよいよ動力炉研究開発段階到達ぜんとし、関係各位において動力炉設置計画に関する諸般の問題について論議を重ねておられるのでありまするが、先般の原子力シンポジウムにおきましても、この問題について活発なる討論が行われ、また原子力発電株式会社においては、訪英調査団を組織して、コールダーホール改良型原子炉について調査交渉を行い、先般帰国せられたのであります。政府においては、英国及び米国との原子力一般協定の締結について、目下交渉を進めているのであります。このときに当り、本委員会におきましては、動力炉設置計画のあり方並びに安全性等の問題は国民すべてが深い関心を持つところであり、これを明らかにするとともに、動力炉設置国家的事業の推進は、その出発において誤まりのない、きわめて慎重なる態度で臨まねばならないことを痛感するのであります。従いまして、本日は訪英調査団を代表する方々より現地における調査交渉実情等について、また関係各界を代表する方々より動力炉設置計画に関する諸問題について、それぞれの立場より忌輝のない御意見を承わり、もって本委員会使命に万全を期したいと存じ、ここに各位の御出席を願った次第であります。何とぞ隔意のない御意見の発表をお願い申し上げる次第であります。  なお、御意見は約二十分程度にお取りまとめを願い、あと委員諸君の質疑によりお答えを願いたいと思います。  それでは、安川参考人より御発言を願います。安川五郎君。
  3. 安川第五郎

    安川参考人 私は本年の一月十七日に羽田を出発して、訪英国を引き連れて、イギリスコールダーホール改良型炉購入に関する調査及びそのとるべき手続上についてのいろいろの調査事項が必要でありますので、それらを取りまとめるために、渡英して、約一カ月間、先方の権威ある政府の機関並びに製造会社である三つ製造グループと折衝し、かつ目下イギリスにおいて建設中の原子力発電所状況視察等を終えて、最近帰国したわけであります。  ところで、この調査のおもな事項は、どういう点に重点を置いたかと申しますと、まずイギリス型が、果してこの日本の特殊の事情である地震に対して、果してこれに安全を期せられるだけの設計が加えられるやいなや、もちろん現在のイギリス設計そのままでは、これはとうてい地震に対して安心して使用することができないことはだれ人も認めるところであります。これに耐震横道という特別な設計を加えて、安心のできるものが果して設計可能であるやいなやということを確めることが一つ、並びに一般安全性が果して確保できるやいなや、多少の疑問があれば、これはその影響するところがきわめて重大でありますので、万全を期する安全装置ができ得るやいなやということを確かめ、これを主題にいたしまして、そのほかこれを営業用に使用する上からは、どうしても経済上の問題が重要でありますので、これらを十分先方と折衝し、もしこれらの問題かわれわれの意向と全く合致し、つまり耐震構造経済性を失わぬ程度において可能である、また一般安全性はわれわれが安心してこれを国民に保障するたけ装置ができる、またそれに要する建設費はきわめて合理的であって、経済のけたをはずれておらぬ、これらの技術的、経済的すべての条件がもし備わって、何ら不安がないということになったならば、これに対するわれわれの注文を網羅したところの、いわゆるどの建設工事でもありがちな仕様書というもの、つまりわれわれの要求するところを網羅した、要求を包含した仕様書というものを先方に渡して、そうしてこれにかなう実際設計が、どういうものが具体的にできるか、これに要する建設費がどのくらいで日本建設できるか、それに要する期間はどのくらいであるというようなものを向うに提出させるところまで進めば、われわれの使命は果したものと考えて渡英したわけであります。この自的を達成するためには、この会社のものたけではきわめて手不足でありますし、これには相当県門に関する経験と知識を必要といたします。ことに地震に関する問題は、かねてから原子力委員会に設けられた耐震構造研究委員会を主体といたしまして、ここに特別な地震班とも称すべきグループを構成していただいて、われわれの使節団に加わっていただいたのであります。  かくのごとくして渡英して、この目的を達成するために折衝を重ねたのでありますが、ここで私が皆さんに御了解を願いたいのは、物を買うときに、買うか買わぬかわからぬというようなあやふやな意思先方といろいろ折衝しても、なかなか先方が十分こっちの要求するだけの資料を出してくれぬことは、これは常識で、当然のことであります。ことに、原子力というものは、現在日進月歩で、発達の道程にある品物でありまして、しかもイギリスには三つ四つも独立した製造グループというものがありまして、これらが、同じイギリス型であっても、設計に多少の特徴を持っておるし、それには多大な犠牲と年月をかけた研究の結果でありますので、お互いのグループがやはり秘密を守っておることは、商売上当然である。この商売上の秘密をある程度までこっちにさらけ出させなければ、地震班にしても、われわれの本隊にしても、十分なディスカッションを遂げることはできないのであります。それをある程度まで秘密の、向うが腹をさらけ出して、資料を出させるためには、ある程度までこっちは買う意思があるのだ、何ら支障がないということが十分納得できれば、今度は買うのだという意思表示をしなければ、これは問題にならぬのであります。そういうわけで、われわれはある程度までイギリス側に対して買う意思のあることを表現したことは、これは皆さんも御了承を願えることと私は信じておるのであります。かくのごとくして、地震班はもっぱら地震に対する耐震構造の可能であるかいなかについて、きわめて慎重にしてまた熱心な検討を先方と加えられて、またわれわれ本隊としては一般安全度が果して確保できるやいなや、現在のイギリス型の装置にしても、ある程度まで安全は確保できるとわれわれは了承したのでありますが、日本の目下の状況にかんがみまして、いやが上にも安全を期したいということで、これにまた二、三の安全装置の追加を要求することを先方と打ち合せて了承を得たわけであります。ここまで進みました以上、われわれとしては、最初からの目標である仕様書を手渡し、そうして先方の詳細な設計と、購入に要すると申しますか、いわゆるこのプラントを建設するに要する全部の費用がどのくらいかかるのか、期限がどのくらいかかるのかということを先方から数字をもって提出させるべく要求するところまで立ち至ったのでありまして、去る二月十九日、午前中に大使館にイギリス三つ製造グループ代表者を招請いたしまして、私からこちらで調整したきわめて詳細な、われわれとしては完全と申し上げてはばかりのない程度仕様書を、その三つグループ代表者に手渡しをして、七月末までにこれにかなうだけの設計と、これに要する価額と、これを完成するまでの年月、その他こっちの必要とする数字を提出することを要求して、二十日の朝われわれはイギリスを立ち去り、おのおのその他の目的を達成するために、あるいはヨーロッパを回り、あるいはアメリカを巡遊して、三月十二日を期して帰朝したような次第であります。  この耐震構造について、どれだけ確信が得られたか。また一般安全性について、どの程度までわれわれは検討したかというようなことは、これはおのおの専門の方が私とともにここに参考人として出席されておりますので、これらの方々から詳細御報告があると思いますので、私は渡英ミッション使命は、こういうことで渡英した、そうして予期通り目的を達成してこのたび帰朝して、七月末の先方からの見積書の提出を待っておるという段階に至ったことを御報告申し上げて、一応私のごあいさつを終らせていただきたいと思います。
  4. 齋藤憲三

  5. 一本松たまき

    一本松参考人 一本松でございます。  一昨年、石川訪英調査団が、英国コールダーホール型は、日本に導入するに適するものの一つであるという結論を発表いたしました。そのときに、無条件ではなかったわけでありしまて、三つ条件があったわけであります。  一番大きい問題は、社長の申されました地震の問題、第二は安全の問題、第三はコールダーホール実績がどうであるかということを見なくちゃならぬ、こういうことであったと思っております。そのうちの地震につきましては、あと武藤先生からお話があると思います。安全につきましてもあとで申し上げますが、まずこのコールダーホール実績はどうであったかということを、簡単に申し上げます。   一口に申し上げますと、コールダーホール実績は、一年五カ月ばかりになるのでありますが、この間の実績はきわめて満足すべきものであったというふうに見られております。その理由は、一番最初に問題になっておりましたガス漏れとか、燃料棒が曲るとかいうような問題は、直ちにといっていいくらい早く解決されております。そうして、そのころの問題でありましたリアクターライフの問題、つまり寿命の問題は、その当時十五年ということを申しておったわけであります。一年間の実績を積み、研究もこれに加わりまして、十五年のライフが二十年になった。これなども実績というものが顕著に現われてきた一つだと思います。それから、さらに一年余りの運転実績というものが、きわめて安定しておる。計算をいたしますと六六%、これは電気だけで六六%ということになるのでありまして、リアクターの出力はさらにこれよりも安定した運転をいたした。つまり、とめる時間というものは非常にわずかでありまして、ほとんど運転しておる。現地で聞きますと、八〇%運転しておる。新しい機械でほとんど連続に運転し得るということは、これはきわめてまれな問題だというふうに私は考えます。これに比べまして、現在ありますほかの発電原子炉はなかなかそこまでいっておりません。ソビエトが非常に誇らしげに発表しました実績も、運転実績は三%であったのを覚えております。そういうような運転実績の好調ということのために、英国では今までの計画を大幅に上げまして、十万キロないし十五万キロワットの容量のものを、三十万キロ、五十万キロというふうに大きくいたしまして、今日では五十万キロワット程度のものを作るようであります。現在四つ相当建築が進んでおるという状態であります。さらに三つを、これはメーカーはまだきまっておりませんが、場所もきめまして作る予定にいたしております。そういう調子でどんどん進めまして、一九六五年までの計画が、前は百二十万ないし百五十万キロワット程度のものでありましたものを、三倍強にいたしまして、その後一年延ばして、一九六六年までに五百万キロワットないし六百万キロワットの原子力発電所を完成するというふうにいたしておるのであります。これなども、コールダーホール実績というものに確信を得た一つの証拠であると思っております。  さらに研究方面におきましても、コールダーホールの型からナトリウム黒鉛型に、それからファスト・ブリーダー——増殖炉といっておりますが、これは原子力発電最終段階とよく考えられておるのでございますが、この三段階で進めるという国の方針でありましたものを変えまして、コールダホール型に全研究の中心を移しておる。これはパウエル研究所その他リズレー等におきまして聞いたことでありますが、ナトリウム・クールのやつの一応研究を、やってはおりますが、おくらせまして、コールダーホール型のガスクール黒鉛型に全精力を集中するという態勢になっておる。しかもこの建設は、今後十年間は今のコールダーホール型の改良型でいける。さらに二十年に同じような型で、温度を上げることによって、ベースロードからピークロードに耐えるような型の形式ができるという確信を持って進んでおる状態であります。そういうことでありますので、私たち天然ウランというものは初めの一基だけではないかという一部の意見もあったのでありますけれども、イギリスのこの自信に対しては、深い感銘を受けて帰ったわけであります。  次の問題は、安全の問題でありますが、安全に関しましては、さっきも申しましたように、これは最も大事な問題としまして、あらゆる角度からわれわれの予想し得るあらゆる条件に対して安全であるということを正確につかみたい、こういう方針で、今回の訪英滞在期間中、ほとんど相当大きな部分をこの安全の確認ということに費したわけであります。安全の問題につきましては、基本的な考え方といたしましては四つあるわけでありますが、一つは安全を第一にする、いかなる場合でも事故は起さない、これが第一。第二は、研究を今後もさらに進めて、遺憾のないような態勢で進んでいきたい。第三は、技術員養成、これにつきましても、今後注文いたしまして、機械が動き出しますまでには、四年あるいは五年もかかるわけでありますから、その間に計画を立てまして、十分の技術員養成をいたしたい。さらに第四番目は、モニター方式、これは監視装置であります。そういうものは、原子力研究所等とも一体となって十分万全を期したいというふうに考えております。  今回の訪英に当りまして、われわれの確かめて参りました問題について簡単に御報告申し上げますが、第一の問題は、何といいましても、原子炉に、活発な中性子があって、温度も高く、そこを炭酸ガスが早い速度で回転しておる。こういう圧力容器並びにガスダクト、そういうようなところの材料的な問題であります。これは詳しく申しますと非常に時間もかかるのでありますが、第一の問題は、プレッシャー・ヴェッセルといいます圧力容器、大きな三インチの鋼鉄のソフィア——球体があるわけですが、その球自身の問題です。これは内部へ入れませんので、ここにわれわれ一抹の不定を初めには持っておったのですが、しかし、これは試験装置などが非常にうまくいきまして、中へたくさんの試験片を入れて置きまして、それを見ることによって科学的に点検が十分である、こういうようなことが非常にはっきりいたして参りました。それから中の黒鉛です。これの試験につきましても、試験片を非常にたくさん入れて置きまして、常時これを調べるということによりまして実質的に点検が可能である、こういうことになっております。このグラファイトにつきましてはいろいろの問題があるわけですが、中性子の照射によって形が変るとか、あるいはそこの中にエネルギーがたくわえられるというような問題がある。これがウインズケールの場合に事故になったのであります。この問題が非常に何でもなくうまく解決されておるということなども一つであります。  ここでウインズケールが相当大きな問題になっておりましたので、その点と関連して、今回のわれわれの考えております動力炉が安全であるかどうかということを一言申し上げます。ウインズケールの炉は、一九四六年ごろの計画でありまして、でき上りましてから約十年を経た古い原子炉であります。これはプルトニウムを作るためのもので、従って、黒鉛の中にウラニウムを入れて置きまして、それを空気で冷やしまして、これはウラニウムから熱が出ますから、その熱を取って、温度の上った空気——百二十度くらいまで上るのですが、上りましたものを煙突を通して外へ出しておるわけです。それが温度が低いものですから、その黒鉛の中にさっき申しましたエネルギーがたくわえられる、ある程度たくわえられますと、形も変形して来ますから、これで温度が上ってきますので、加熱することによって、これはもとへ帰ってくる。これはウィグナー・レリーズというような専門語で申しておるわけですが、それをしばしばやらなくてはならない。温度が低いものでありますから、年に一、二回はやらなければならない。しかも、やる方法が、熱するのに、空気中にあるものですから熱しようがありませんので、ウランを働かしまして、いゆわる原子炉の作用をさせまして、それで温度を上げてやるという、ちょっと私たち考えまして危い方法をとっておったわけであります。それがあまりよくないある事情が重なりまして、ウインズケール事故というものが起ったのであります。しかし、今回のわれわれの考えております動力炉は、非常に温度が高いのであります。一番温度の低いガスの入り口の温度で百八十度程度であります。そして出口の温度は三百八十度というふうに高い温度であります。しかも、そのガスは、ウインズケール空気でありますけれども、われわれの考えておるのは炭酸ガスであります。従って、燃料棒に接するところが空気でありませんので、酸化する度合いがほとんどない。しかも、その炭酸ガスが閉鎖された回路のうちを回っておる。かりに事故が起っても、外へ出ることはない。またそういうことをやる必要もない。一生のうちを二十年としまして、二十年間にウィグナーレリーズということをやらなくてもいいということもいわれておりますし、温度を上げるのも、熱い炭酸ガスを下から回せば、それで下の方の温度は上るのでありますから何でもない。これはもうわれわれの炉に、ウインズケール事故というものは全然考える必要のない事項であります。  それからもう一つ炭酸ガス黒鉛とが作用しまして、黒鉛が減っていくという現象があったわけであります。このために炉が若干減るから、ライフは十五年くらいということもいわれておったのでありますが、これも研究の結果、それは考える必要のないほど小さいものである、そのために原子炉は二十年は十分である、あるいは二十年でもライフが来るという理由はないのだというふうに、非常にこの点明るい見通しを持っております。要するに、材料的な問題におきましては、ほとんどわれわれの心配するような点はないというふうに考えられます。  次は平常時の運転の問題であります。それで、平常運転原子方発電所の各部門におきます放射能というものは、内地でも計算しておったのでありまして、問題はないとされておったのであります。今度コールダーホールへ行きまして、詳細に各部の放射能を聞きまして調べました結果は、われわれの予想したよりはるかに程度が低いのであります。たとえば熱交換器のようなところは、われわれは放射能が相当あると考えておったのでありますけれども、今回行って見ますと、どんどん上っていっても、大したことはないというふうに、非常に楽であります。問題は、生体遮蔽と申しますつまり大きなコンクリートで固めておるわけでありますが、そのコンクリート温度を下げるために空気で冷やしておるというのであります。これはプレッシャー・ヴェッセルとは直接関係はないわけでありますけれども、そのプレッシャー・ヴェッセル——つまり圧力容器の外側のコンクリートで固めてあるそのコンクリートを冷やすための空気は、少しすきまを開けて、それで冷やしておるわけであります。その空気のアルゴンの放射能煙突から出ていって、一般に問題があるんじゃないかということが一つであったのでございますが、この問題は、現地で調べまして、あるいは計算によりまして、実測によりまして、非常に小さいものである。今までもある計算式があったのでありますが、その計算式よりも、実際は三十分の一という非常に小さいものであるということがわかりました。事実、コールダーホールにおきましても、その実測の結果は非常に大丈夫であるという結果が出ております。  その次は、事故のときであります。この問題は、事故でありますので、事故につきましては、学問的な言葉で申しますと、事故のあらゆる場合の解析、こういう場合にはこの部分がこうなる、計算するとこの温度が何度に上るというような、非常に詳細な計算及び実際の測定等によりまして、これを確かめるわけであります。ここの部分は、こうした事故があったら、こういうふうになるということを確かめるわけであります。あらゆる場合を検討いたしましたところでは、まあ、われわれの予想し得るどの部分に対しましても、大体二重、三重の確かさがある。さっき社長もちょっと触れられたのでありますが、私たちはこの点について少し大事をとり過ぎまして、こういうことが予想されることに対しては、こういうものをつけなければいかぬじゃないかというふうに、二重、三重要求をいたしたものでありますから、向うから、そういう必要はないじゃないか、これは必ず働くんだから、それ以上のことをつけることは、屋上屋だというような話もあったのであります。しかし、われわれとしては、あくまでもそういう場合に対しての心配のないように、いわゆる後備装置を、これがうまくいかない場合にはこれをつけるということを要求し、それを仕様書要求したわけであります。もちろん仕様書に書けばこれはやれることでありますから、御要求があればやります、また可能でありますという確言を得ておるわけであります。そうして、最後には、いわゆるエマージェンシイ・シャット、タウン、緊急時遮断装置といいますか、これはどんな場合でも原子炉はとめられるんだという装置を、その一番最後のところの関門としてつけてありますので、英国の型に比べまして、二重、三重の安全度を期したということを申し上げられると存じております。この内容につきましては、またいろいろな機会に申す出し上げることにいたします。  安全は一応そのくらいにいたしまして、次は燃料の問題でありますが、燃料は非常に協力的でありまして、ほとんどこちらから申しますことは受け入れてもらえる状態でありました。相当の要求をいたしたわけでありますか、これは大体満足するような状態で話が進んでおります。これはまだ最終的な話し合いではありませんので、ただ大きい二、三の問題を申し上げますと、年限は十年を一応われわれは考えました。これも非常にフレキシブルなものでありまして、かえることは可能であります。品質は三千メガワット・デーというものを保証をいたします。この保証につきまして、若干問題があるのであります。それは、燃料はよくても、原子炉そのものがよくなければ、三千メガワットというものは燃えないのじゃないかという問題がありました。その責任はどちらにあるか、メーカーにあるか、供給者であるAEA、英国の公社にあるかという問題が若干残っておりますが、今のところ私たちは、冶金的、材料的な結果についてはAEAが保証する、それから三千メガワット・デー燃えるということについては商社の方、メーカーの方でこれを保証する、そういうふうに一応なっております。さらにこの点はこの次の機会あたりに詳しく突っ込んでいく問題だと考えます。  その次に、経済の問題でありますが、経済問題につきましては、内地で一応われわれは試算をして参りました。大体このくらいという試算をいたして参っておりますか、それは四円五十銭程度のものであります。これは、現在の火力発電所に比べまして少しばかり高いわけでありますが、しかし将来を考えますと、これは十分採算圏にきたものというふうに考えまして、向うへ行ってさらに具体的な問題を聞いたわけであります。現在までのわれわれの調べたところにおきましては、これは見積りが出ないとはっきりしたことは申されませんけれども、大体予想値以内におさまり得るというふうに考えております。まあいい点としましては、寿命が十五年が二十年になったり、ロイアルティの問題などが少しいいように思いますし、地震の問題も大体当初考えた以内でいけるようであります。まだ若干、問題としましては、やはり初めのものでありますので、多少ふえる面もあるかもわかりませんので、そういうことを考えますと、今の私たちの見込みとしましては、まず最初考えた程度でやっていけるんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。金融につきましては、向うではメーカー・クレジットというものを相当年限でやるということも申しております。これらもまだ交渉の初期段階でははっきりしたことは申し上げられませんが、大体見込みとしてはいいようであります  最後に一つ申し上げたいと思いますのは、こういう原子力のような初めてのものをやりますのに、どうしてもコンサルタント——われわれの助言者となってわれわれにいつも注意をしてくれる者、——われわれは初めてのものでありますから、こういう問題はどうでありましょうというときに相談をする者がほしいわけであります。これはAEAにそれをお願いした。AEAは英国原子力公社でありますが、これは昨年のときにも、われわれはコンサルタントになってあげようということを申しておったのであります。今回それを正式に申し入れまして、大体向う了承を得ております。この仕事の内容は、主として安全でありますが、安全に関しましては、英国も非常に熱心な調査研究をいたしておりますので、その点に対して、資料あるいはやり方、いろいろな点につきまして助言をもらいたい、さらに技術的な問題につきましても、こういうものはこれで大丈夫でありましょうかというような問題をAEAに相談をする、その他発電所の敷地の問題とか、所内の衛生とか、あらゆる問題につきましてAEAの援助、助言が得られるというふうになっております。  大体そういうようなことで仕様書を出しましたわけでありますが、この仕様書の中には、さっき申しました安全等に対しましての最終の確認が要るわけでありますので、これは当方の考えでこれをキャンセルすることができるということを明記しまして、まだこの仕様書を出したからといって、すべてのものが決定したというわけでは決してございません。さらに十分確かめた上で、正式の発注をする、そういうように取り運んでおる次第であります。  一応これで私は終らしていただきたいと思います。
  6. 齋藤憲三

  7. 武藤清

    武藤参考人 地震班の御報告を申し上げます。  地震班地震方面を担当いたしまして、その編成は、東大の那須地震研究所長、早稲大学の内藤名港教授、建築研究所の久田博士、東大工学部の梅村博士並びに発電会社の川畑建設部次長、それと私の六名を本班とし、ほかに技術的インタープリター、通訳として建築学会の耐震構造研究部門の主査をしております大築君、以上七名の編成で参りました。  あちらに参ります前に、私たちとしては、どういう立場で判定すべきかということについて、原子力局、研究所並びに会社側と懇談をいたしました。非常に大事な問題でもあり、国民も非常な関心を持っておる点でもありますので、あくまで科学的な判断でいかなければならないという点をお互いに確認いたしました。そうしてまた、あくまで安全第一、こういう立場でいくことについて、完全な了解を得たわけでございます。従って、私たち英国に参りましての活動も、あくまで会社の営業というような立場からは離れまして、純粋に学術的立場に終始することができたわけでございます。  あちらに参ります前に、一番に気がかりになりましたことは、何といっても製造メーカ十三社の競争設計入札となり、競争させる場合に、現在の段階においてその内容を全部見せろといってもなかなか見せてくれないんじゃないか、このような不安がありましたのですけれども、私どもの立場が、現在の段階において、英国設計が耐震的に安全であるかどうかを判定するのだ、してみれば、先物ではいけない、今後安全だろうでは、買ってよろしいという判定はでき得ないから、現在の段階において判定する。そのためにはどうしても設計の詳細を見せてもらわなければならないというような結論に達しまして、出する前にあらかじめ先方に手紙送り、こちらから参ります班員は各方面の専門家を網羅して、滞英中に設計の詳細を検討し、安全度を判定し、結論を得るのだ、従って、急速に調査を進め得るように十分の準備をするようにお願いして、出発したわけでございます。当方においても、具体的に検討するために、われわれとして考えられる設計の準備をいたしまして、すなわち仕様書を作るほか、その仕様書によってかりに設計したならばどうなるかということを、二十五万キロの発電所を想定いたしまして、その場合に動力炉の中はどうなる、熱交換器はどう、これを結ぶガスダクトはどうかという問題を計算的に当りましたり、あるいは技術的に設計し、設計図をかいて、これならいけるという種種の案を持って参りました。これらの資料が、先方との折衝において後日非常に役に立ったわけでございます。こういう立場で準備をいたしまして、正月の七日に東京を立ち、先方において六週間の調査を遂げました。この間に英国原子力公社を尋ね、またメーカー、製造グループ三社を回りまして、第一には、最終的な耐震仕様井、耐震構造上の要求書を作成いたしました。第二には、三社の耐震設計を検討いたしまして、そうしてまたそれをいかにして改善するかという点を協議いたし、第三には、英国型の発電所導入が、現状において適当であるかどうかという判定をいたしたわけでございます。以下その概略を御報告申し上げたいと思います。  私たちが準備を始めましたのは、会社が創立する前、すなわち原子力局の動力部会、委員会の中の一機構としての地震対策小委員会として、昨年の三月から募れまで準備をいたしたのであります。この場合に、小委員会の委員としてお願いいたしましたのは、ただに耐震構造専門家ばかりではなしに、電力、火力、また日本において原子力問題を調査しておりますメーカー各グループからの参加をお願いいたしました。幸い、と申しますか、発足する一カ年間半前から、耐震構造研究者は、火力の研究者と共同いたしまして、新しい形の火力発電所の耐震性の問題を調査しておりました。それが一昨年の末にちょうど終りまして、最終報告書を作り上げたときに、この新しい問題が起ったのでございます。従って、耐震構造の面では、火力各電力会社の技術陣並びに火力方面のメーカー・グループ耐震構造専門家の間に、お互いに顔見知りにもなっておりましたので、新しい委員会の発足も非常にたやすかったのであります。そのようなわけで編成されました小委員会の顔ぶれは、東京大学、早稲田大学、工業大学、京都大学、大阪大学、また東京建築研究所、あるいは電源開発東京電力、中部車力、関西電力、日本原子力研究所、あるいは東芝、日立、三菱、昭和電工といったような各方面の原子力研究者、並びに建設方面では清水建設、鹿島建設、大林組あるいは原子力研究所などの各代表者三十五名をもって編成いたしましたが、常時協力者が参加しておりましたので、委員会への出席は五十名ないしは七十名に達したのでございます。従って、小委員会と申しましても非常な大委員会であり、新聞紙上、いささか小さな範囲で御用研究を、やっているのじゃないかというような批判もあったようでありますけれども、私どもとしては、むしろ公開の研究を進めていた、こういう立場でおります。非常な委員各位の御熱意によりまして、調査は順調に進みまして、その資料もここに持ってきておるのでございますが、わずか三月から十一月までの間でありますけれども、調査資料は実にこのくらいの高さに達しております。カバンに入っておりますけれども、出しますのもいかがかと思いますので、省略いたします。  そのようなわけで、準備いたしましたうちで、まず地盤について申し上げます。耐震構造という観点からは、やはり地震の危険度のあるところ、ないところというのが、一番の問題でありますが、東海村については、幸いに地震の危険度が非常に薄い。東海村の近辺には地震の記録はございませんでした。大きな地震としては、福島県の磐城沖、東海村からは百キロ以上も離れております。そういうのと、九十九里沖というところに大きな地震の震源が見当るのですけれども、東海村付近は非常に恵まれたところである、これが第一の利点であります。それとまた地盤状況でございますが、東海村の地盤は表面層は砂でありますけれども、下部二十メートルほど参りますと、泥岩——岩と言うのにはちょっとやわらかいですけれども、頁岩あるいは泥岩と申しますけれども、粘土の非常に固まった地層になっております。その上部は、相当かたい砂利層であります。原子炉を置く場合には、地表から約十三メートルくらい下りましたかたい砂利層の上に置くことが一番適当である、こういう判定を私ども持ちました。地盤につきましては、その程度でございます。  なお、仕様書として、建物に強度を与える上に、どの程度の強さを与えるかということでございますが、御承知のように、現在の日本の建築法規では、建物を設計するときに、建物の重量の二割の横の力を加えて設計いたします。たとえば、こういうものがある。これが十トンであるとしますと、これを耐震的にするために、二トンの横の力を加える。こういう方向で、二割を加えますから、震度〇・二で設計すると申しておりますが、動力炉の場合に一番問題になるのは、やはりコールダーホール特有の圧力容器の中にありますグラファイトの積層体、黒鉛の積み重ねであります。これがくずれるということは、燃料棒を損傷し、また加熱を招き、炭酸ガスの流れを阻害して、温度上昇を招くというようなことがあるので、この黒鉛の積層体をどう強めるかというような点について、さまざま考えました。もちろん英国型のコールダーホール型そのままでも、相当の力を持っておることは考えますけれども、われわれが予想するといいますか、われわれとしては、もっともっと強くしたい。どのくらいにするかという点ですけれども一応基準として、普通に設計しておる〇・二よりもぐっと大きく三倍に高めまして、〇・六を基準として、高いところではさらに割増しするというような方法設計しようじゃないかというようなことを考え、さらにまたグラファイトを積み重ねたものが、そのままでは不安があるので、まわりをタンクのようなもので固めてしまう、そういうことによって、安全度を期待しようというような構想を検討いたしました。これを圧力容器の中に納めますけれども、圧力容器にもまた地震力が働きます。そういう場合に、どういう力が起って、英国型に比べてどういう補強をしなければならないかというような点をこまかく追及し、準備しておきました。それとまた、熱交換器という高いボイラーがあります。ボイラーというよりは、これはむしろ外観においては煙突状のものであります。これについても十分の注意を必要とする。しかし、全体として大事なことは、これらをいかにまとめるかということであります。コールダーホール型の特徴と申しますと、圧力容器のまわりを、先ほどお話がありましたように、放射線を防止するために、生体遮蔽のために、厚いコンクリートで囲っております。この厚いコンクリートはその厚さが三メートルにも達する強力なものでございますから、このまわりのコンクリートの力を利用すれば、正力容器をささえる上にも非常に有利であり、また熱交換器をささえるにも右利である、こういうような点を検討いたしまして、われわれの設計としては、全体を非常にこまかくし、そうして生体遮蔽コンクリートの強さを利用して圧力容器をささえてしまい、熱交換器をささえてしまう。そうすると、地震時の震動は非常に小さくなるので、これを結んでおりますガスダクトも相当容易に設計できるのではないか。と申しますのは、圧力容器自体はどんな地震があっても安全にできるでしょうけれども、ガスダクトのような長いものは、地震のときに割合震動をすると損傷を起しやすいという点もあるので、ガスダクトについては特に注意しなければならない、このような考え方を持ちました。そうして、これらの強さについては、英国に参りまして、公社と詳しく打ち合せをした結果、さらに日本で考えた以上の強さを与える仕様書を作成したわけでございます。けれども、このような考え方で、さまざまの構想のもを各員部分設計を詳しく完了いたしまして、構造学的にはこれでいける、しかし、核反応的にどうかという問題を残したまま、英国に参ったわけでございます。英国に参りまして、まず公社と打ち合せをいたしました。これは主として仕様書をどうするかという点について懇談いたしました。英国で第一に問題になりましたのは、圧力容器熱交換器及びこれを結んでおりますガスタクト、これは放射性の炭ガスが回る第一次の回路ですけれども、この回路に十分の力を入れようじゃないかという、ことで これらの回路については、水平に〇・六の強さを与えると同時に、上下に〇・三の、目上方の三割の上の方への力、下に引く力を考えて設計する、こういうような強さで、日本で考えていたとき以上の安全を期することにいたしました。それと、ガスダクト自体は特に安全を期したいというので、地検にはその日方の二倍、二・〇の震動を考える、上下動にもこれに対応する設計をするという、いまだ例がないと言っていいかと思いますが、その程度の強い要求をいたしました。そのほか、また地震の場合には、刈る程度地震動を感ずれば、制御棒がひとりでに落ちて、自動的に動力炉を停止する。まだある程度大きくなれば、制御棒のほかに緊急の制御装置、停止装置をつけて、これと地震計とを直結するというような二重の安全の方策をとりました。それからまた、当然のことでありますけれども、英国においても、また日本においても、今後実験が進められていくと思いますけれども、日本において行われた実験の結果にとっては、その結果を取り入れて設計を修正する、こういう条項も仕様書に入れて各社に渡したわけでございます。  次に各社との具体的な設計の折衝について申し上げますと、現在における英国の、つまりコールダーホール型の研究というのは、先ほどお話がありましたように、公社からは離れて、各メーカーがやっておる次第でございます。というのは、実用炉としてメーカーにまかしてあるというので、メーカーはそれぞれ独自の研究陣を持って、構造面で見ますならば、プレッシャー・ヴェッセルの構造をどうするか、溶接をどうするか、あるいはグラファイトを抑えております台をどうするかというような点について、それぞれが研究し、それぞれが適当な大学の先生と連絡をとるというようなことで研究を進めておる状況でございまして、技術陣は相当強力と申すことができます。折衝の初期においては、熱心に耐震設計を進めてはおりましたけれども、何といっても、日本から渡された注文書だけで計算をさせられる、設計をさせられるというような気持があったらしく、これで地震に持つのかというような自信もなく、不安のまま設計を進めたようでございます。しかし、われわれが先方と話し合いをし、そうして、こういうふうにすることはどうだというような意見を出しますと、先方ではそれに沿って設計を直してみる、非常にうまくまとまるというような事実もありましたので、第一回、二画と回を重ねて懇談するにつれて、次第に先方の理解が高まりまして、また熱意も高まって、これなら大丈夫いけるという強い確信をしまいには持つようになりました。そして、われわれの意見を聞きたいから、なお長く滞在してくれというような希望もありまして、初期の予定は四週間でありましたけれども、六週間滞在して、ロンドンを離れる前日まで、先方設計した結果をこちらが見るというような状況でございました。非常なしり上りの好調であり、現在における彼らの熱意をもってするならば、十分まかしてもよろしいのじゃないか、こう考える次第でございます。しかし、耐震構造の経験のないという不安もありますので、先方では日本側に対して、実施設計を作る場合には共同して、日本側の協力によって設計をまとめたいという強い希望を表明しおります。従って、初めは、向うに参りまして相手にされないということがあると、まことに困ったものだと思っておりましたが、幸にも非常に信頼してくれて、実施設計の場合には十分の協力のもとに設計を進める見通しもついたわけでございます。  このような点から、私どもは、現状におきまして、英国側に設計さしても十分安全な日本向けの発電所の設計が可能であるという見通しをつけたわけでございまして、現地における団長への報告でも、「英国側各グループの耐震設計については、日本側と協力して今後細部にわたる設計を進めたい希望を強く表明しているが、この線に沿って努力するならば、英国原子力発電所の導入については、耐震工学上何らの不安はないものと確信する」、不安はないという信念を得て、このような返事を申し上げることができました。初めには、われわれの判定が会社側の希望に沿わないというようなこともあり得るのではないかということでありましたのですけれども、幸いにもこのような結論を、あちらに参りました六名の団員の一致した結論として答申することができたわけでございます。  以上で報告を終ります。
  8. 齋藤憲三

    齋藤委員長 次に、坂参考人の御発言を願います。
  9. 坂田昌一

    坂田参考人 坂田でございます。ただいまは、調査団の方々の詳細な御報告があったわけでございますが、私は本日少し一般的な問題についてお話しを申し上げたいと思うのでございます。私は、このリストにも書いてございますように、昨年米、日本学術会会議におきまして原子力問題委員会という委員会委員長をしております。この原子力問題委員会という、委員会は、原子力の三原則を提唱いたした歴史を持っておるわけでございますが、この三原則に沿って日本原子力開発がすこやかに発達して、一ときも早く日本国民全体のためになるような成果が上げられるようにということを希望しながら、この原子力問題を学界としていろいろ考えておるわけでございます。ことに学界全体の意向をここで取りまとめまして、原子力委員会とかあるいは政府に絶えず勧告等を申し上げましたり、あるいは諮問に応じてお答えしたりしているわけでございますか、本日は国会のお招きを受けましたので、これは特にコールダーホールに限りませんで、一般動力炉の輸入問題というような問題が昨年来起って参りましてから、学術会議委員会がどういうことをしてきたか、そういうことを御紹介する形で、私の意見とかあるいは希望とかを申し述べたいと存ずる次第でございます。  昨年、コールダーホール改良型の動力炉の輸入の問題が起ったわけでございますが、学術会議では、一般動力炉の輸入の問題を考えます場合の基本的な考え方というようなものを、学界全体でたびたび公聴会等を開きましてまとめたのでございます。その結果、動力炉というものが輸入されるとしたならば、これが日本の全体の将来にわたっての長期的な原力開発の中でどのような役割を演ずるかということを、その役割をはっきりさせた上でやっていただきたい、そういうことをまず原子力委員会に申し入れたわけでございます。昨年、政府原子力委員会におかれまして、発電用原子炉開発のための長期計画というものが発表されたわけでございます。ただいまコールダーホール改良型の輸入等の問題が検討されておりますのも、この観点からやられているのであろうと思うのでございます。  私が最初に出し上げたいと思いますのは、私どもは、今申しました原子力委員会の長期計画というものの案を昨年の秋、学術会議の方にちょうだいいたしまして、これは非常に重要な問題であると思いまして、東京と、京都で二回原子力関係専門方々にお集まりいただきまして、各方面の方々といろいろ議論いたしはした。その結論は、昨年の十二月の二十日に原子力局長の方にお届けしてあるわけでございますが、その際出て参りましたおもな意見はどういう点であったかということを、まず御紹介いたしないと思います。  発車用原子炉の問題というものが、日本原子力開発の基本計画のその一として発表されているわけでございますが、私どもが希望いたしましたことは、日本全体の長期的な計画の中で、発電用原子炉の問題がどのような役割を演ずるかということが明らかになるような、そういう計画を出していただきたかったわけでございまして、全体の計画の中のこの部分だけが出ておるということは、将来ほかの、たとえば国産原子炉の開発の問題でございますとか、あるいは平和利用に伴う放射能障害の問題でありますとか、あるいは技術負の養成の問題でありますとか、融合反応の問題でありますとか、もっとさらに基礎的な科学の開発の問題、そういったようなものも含めて、日本会体の将来にわたっての原子方開発計画というものが作られるであろうと思われるのでございますけれども、この中の動力問題だけがただ一つ出ておるということは、将来そういうものが現われるかもしれませんが、ほかのものとの関連というものがよくわかりませんし、この問題だけがほかの問題と切り離されて議論され、また実行に移されるために、いろいろな障害が起ってくるのではないかということを心配しておりまして、そういう点について、できるだけ早く全体にわたっての計画をお立ていただきたい、そういうことを申しましたのが第一点でございます。  それから第二点は、これは先ほどから、このコールダーホール原子炉等につきましては、かなり実用に近いと申しますか、かなり希望の持てるような発電用原子炉であるということが言われておりますけれども、しかしやはり今日、発電用原子炉の問題の中には、採算性の問題にいたしましても、また安全性の問題とかその他いろいろな点におきましても、かなり不確定な要素というものがたくさんございます。まあこれはコールダーホールに限りません。コールダーホールなどは一番いい方だと思いますけれども、非常に不確定な要素がたくさんございますので、こういうものの基礎の上にこの長期計画というものが立てられているということ、ことにあの計画は、十八年の将来にわたって書かれておるわけでございますが、こういう点は、この方面の学問が非常に日進月歩の進歩を示しているという点から申しまして、長期計画という点で出されておるのは工合が悪いのではないか。むしろこういうふうな仮定の上に立って、この動力炉の輸入が行われた場合に、どういう具体的な問題が起ってくるか、それを具体的にどういうふうに解決したらいいか、そういうふうな形で出していただいた方がよかった、そういうふうなことをこの第二点で申し上げたわけでございます。  この長期計画の問題というものは、とにかく日本の将来にとって非常に重要な問題でございますので、この問題は、ことしの二月に東京で開かれました原子力シンポジウムの際にも、パネル・ディスカッション等が行われまして、いろいろな議論が出たわけでございますが、その際にもただいま申しましたような意見というものが相当出ておるわけでございます。こういうふうなことを申し上げますと、学界の中では、一体この原子力の長期計画についてどういうふうな考え方を持っているのか、そういう考え方というものは、ほかの方面の考え方とかなり出違っているのではないか、そういうふうな御印象をお受けになるかもしれませんけれども、私どもの考えといたしましては、原子力の問題についての長期計画というものを立てていく場合に、またそれの中の一環として動力炉の問題等の議論をいたします場合に、非常に重要な基本的な観点あるいは基本的な考え方というものが必要になってきます。この考え方というものは、さらにこれまで私どもがいろいろ科学とか技術とかに対して持っておりましたような常識とはかなり違った——原子力というものにかなり特徴的なものがございまして、その特徴的なものをしっかりとつかんだ上で、日本原子力の将来というものをどういうふうにしたらいいか、あるいは長期計画をどういうふうに立てたらいいか、あるいは動力炉の輸入の問題をどういうふうに考えていったらいいかということを考えないといけないと思うのです。この原子力委員会の案は、先ほど申し上げましたように、これが今日の日本のともかく長期的な問題を考える基礎になっておると思いますけれども、現在のままのその一だけが出されておる形でございますと、これは原子力委員の万も、またこういう案をお作りになりました原子方局の方々も、おそらくそういうふうにはお考えになっていらっしゃらないだろうと思うのでございますが、私どもがこの案だけを拝見いたしまして受けますところの印象では、原子力の技術というものが今日ほぼ完成に近いものである、そういうふうなことが基本になっております。そうしてコールダーホールの輸入でありますとか、あるいはPWRの輸入でありますとか、そういう幾つかの炉を輸入して、順々にこういうものを動かしていけば、採算がとれ、外貨の収支もよくなっていくし、またエネルギー問題の解決もできる、そういうふうな考え方の上に立っておるように見えるわけでございます。これに対しまして、学界の方面におきまして、この長期計画の問題を、特に全般的な問題として取り上げてもらいたいという要望が強くございますのは、学界側の基本的な考え方の中には、原子力に関する技術というものは、あるものはもうかなり実用化に近いものがあるかもしれませんけれども、全般的に申しまして、これはかなり未完成の技術であり、そしてそこには不確定要素もたくさんございますし、また非常に日進月歩が激しいものでございますから、たとえば十八年先まで現在の情勢のままで計画が立てられますと、その間に思わぬ新しい事態にぶつかって、計画全体を根本的に改めなければならないというふうな新事態に逢着するのではないか、そういうふうな点が一つ心配されるわけです。もちろんほかの技術でございましたならば、これまでの技術の発展でございましたならば、ある程度まで実用化の領域に近づいておりますものが、将来それを少し改良するとかなんとかいうことによって実際の実用になっていくわけでございますけれども、この原子力の問題というのは、非常に新しい事態というものが次々に現われて参りまして、この新しい技術的発展というものが前の技術を全く陳腐化してしまうような、そういう性格を持っております。従って、今日では、発電用原子炉と申しますか、ウラニウムの分裂反応を使う原子炉自身につきましても、将来非常に画期的な発展が現われて参るでありましょうし、またそれだけではなくして、もっともっと新しい可能性、たとえば融合反応、つまり水素の原子力の平和利用というような問題が突如として実用化するかもしれない、そういうふうな事態も長期計画の中に組み入れて、そういう長期計画というものとにらみ合せて、いろいろな将来の問題を考えなければならぬだろうと思うのであります。新しい可能性につきましては、ただ単に融合反応の問題だけではございませんで、さらに基礎的な科学の中には、いついかなる形で突如として人類全体の技術を根本的に革新するかもしれないような新しい問題の芽がたくさん含まれておるわけでございます。たとえば反物質と物質とが消滅いたしますときに出て参りますような巨大なエネルギー、こういうものが実用化するというふうなことは、今日では全く夢物語かもしれませんけれども、しかし、原子力の歴史を見ましても、原子核の構造というものがわかりましたのが一九三二年でありますし、分裂反応がわかりましたのが一九三八年であります。そのころまだ実用と縁もゆかりもないような全く基礎的な問題でありましたものが、突如として現在のような偉大な技術的な革新の要素として現われて参っておることを考えましたならば、こういう未完成の技術であり、そして新しい可能性というものが絶えず現われてくるということを考えて、いろいろな問題に対して処理していかなければ、突如としてそういう事態に遭遇いたした際に、私ども戸惑いしなければならないようなことになっても非常に困りますし、ことに非常に巨額な金を使って研究を進めなければならない問題でございますから、いろいろな面というものを同時に考えながら、将来新しい事態が起ったときにいつでも計画を変更できるような、これまで考えられました常識以上のフレキシブルなものとして考えなければならぬ、そういうふうな点があるだろうと思うのでございます。  それからもう一つは、先ほどコールダーホールの問題に関係いたしましても安全性の問題がいろいろ議論されましたが、この安全性の処理という問題は非常な大問題でございます。現在の方式の原子力発電というものが行われて参りました場合に、世界全体が、かなりの部分の重力を原子力発電によってまかなう、そういうことになって参りました場合に、原子炉の中で燃焼いたしました燃えかすの放射性の灰をどういうふうに処理したらいいかということ、たとえば三百万キロワットの発電だといたしましたならば、一年間に原爆にすれば五千発の原爆が爆発いたしましたときと同じ量の灰が出るわけで為りますから、こういうものをどういうふうに処理するかという問題は、かなり真剣に今の計画の中で、これはもちろん日本だけの問題ではございませんで、世界的な問題として処理していかなければならぬのではないか、そういうふうに考えられるわけでございます。  ともかくそういう原子力という問題が未完成の技術であり、しかも新しい技術的発展というものが次々に非常に大げさな形で起ってくる、また新しい可能性というものが、現在は全く隠れておりますような基礎研究の分野から次々に現われてくるということ、また安全性の問題というものが人類全体の非常に大きな問題として取り上げられなければならない、この三つの観点というものが、原子力の開発を考えて参ります場合の基本的な観点として非常に重要なんではないかということ、これが今の長期計画の問題に関して私どもの委員会で検討いたしました際のいろいろな意見をまとめるに当りまして気つきました点でございます。こういう点は決して私どもだけが申しておることではございませんで、こういう観点というものによって原子力開発が進められるということは、今年の九月に国際連合の主催で第二面の原子力平和利用会議がジュネーヴで開かれますけれども、この第二回ジュネーヴ会議のプログラムを見ますと、ちょうどこういうような観点からスケジュールが組まれております。もちろん原子力発電炉の問題は最も重要な問題でございますが、それと同様な重要性を持って、融合反応の問題でありますとか、あるいは基礎物理学の問題でありますとか、安全性の問題、ことに安全性の問題は、原水爆のフォールアウトの問題調査等についての国連の科学委員会の基礎の上になされることになっております。そういう観点からいたしまして、この九月から開かれるジュネーヴ会議というものは、国際的な原子力開発の進展の上に非常に重要な契機となるのではないかと思います。この直後に国際原子力機関の第二回総会か開かれまして、この動力炉に関連のある燃料の分配の問題とかそういったような問題が議論されることになっておりますが、この原子力の開発の世界的な歴史の上で、ジュネーヴ会議とかあるいは国際原子力機関というものが非常に重要な役割を演じてきて起るという点から考えまして、この次の会議というものも、非常に世界的に重要な会議であろうというふうに考えられるわけでございます。私どもの観点と申しますか、原子力というものが未完成な知識であり、新しい可能性というものをはらんでおり、安全性というものが非常に重要である、そういう観点から長期的な計画というものを考えます場合に出て参りますところの結論というものは、ただいまも繰り返して申しますように、いろいろなほかの面——発電や原子力の開発という問題も重要な問題でございますが、それ以外のいろいろな面、融合反応とかあるいは安全性とかあるいは基礎科学態勢の確立とかその他の問題でございますとか、そういうふうなものが非常に重視されなければならない。ことに将来非常に大きな技術的発展のポテンシャルを持っておりますところの基礎科学の態勢日本において確立するということは、日本原子力に限りませんで、科学技術態勢の確立のために、現在科学技術振興の声が非常に盛んでございますが、これは最も重要な点ではないかと思われるわけでございます。この点に関しましては、少し問題がそれますけれども、第三期の学術会議におきまして、長期計画委員会というものがございまして、これは有澤席巳博士が委員長をしておられました委員会でありますが、ここで基礎科学態勢の確立についての五要綱というものが作られまして、それが政府に勧告されております。これは国会等でもあるいはそういうものがお日に触れるかと思いますので、どうかその節は、特にこの委員会等では十分御援助いただきたいとお願いする次第でございます。それから、そういうふうな観点からいたしますと、私どもの委員会で、初代委員長の藤岡委員長の時代に立てられました原子力の三原則というものが非常に重要視されるわけでございます。最近動力炉の問題と関係いたしまして、動力協定の締結というふうなことがだんだん日程に上ってきておりますが、この際にも、どうかこの三原則のような問題をできるだけ最大限に重視してお考えいただきたいということでございまして、ことに先ほど申し上げましたように、この秋重要な第二回の原子力平和利用の国際会議がジュネーヴで開かれますし、また国際原子力機関の第二回総会というものもございますので、この成果というものが世界的な空気を非常に変えるであろうということをお考えの上で、私どもといたしましては、できればそのあとにこの協定というものを結んでいただいた方がよろしいのではないかといふうに考えておるわけでございますが、これは私個人の意見でございます。  それから次に申し上げたいことは、この原子方の問題におきましては、安全性の問題というのが非常に重要な問題であるということに関係してでございます。この安全性の問題は、国民全体に直接関係いたしますようなきわめて重要な問題でございますので、一たび事故が起きたりいたしますと、そのために区原子力の開発がおくれてしまったりするようなことがあっては困るわけでございますし、この安全性の問題というのは、原子力開発というものをやっていく上にまず最初に十分検討されなければならない問題であったのではないかと思われるわけでございます。従って、最近になりまして、これは私どもももっと早くからこの問題について、原子力委員会とかあるいは政府とかにもっと適切な勧告等をしていたらよかったというふうに反省いたしておる次第でございますが、最近私どもの委員会が中心になりまして、あと学術会議の申にございますところの原子力関係専門家のいろいろな委員会を動員いたしまして、原子力関係いたしましたこの安全性というものについての基本的な考え方というものをまとめ、これによりまして、この安全性についてどういう手を国家として打たなければならないか、あるいは科学技術者がこの安全性の問題についてどういうふうに考えなければならないか、そういうふうなことを考えまして、この原子力委員公等に今後この申し入れをしたい、あるいはまた各方面にこういう点の重要性を広めたいというふうに考えておるわけでございます。この安全性の問題は、最近大型の炉が輸入されるようになりましてからなおさらこの問題が重要なのでございまして、今からこの問題と取り組むというのはいささかどろなわ式の感じがするわけでございますけれども、ともかくまずこの安全性というものの議論の上に、動力炉輸入の問題等もその観点を取り入れていろいろお考えいただかなければならぬのではないかと思うのでございます。ところが、これまで原子力委員会あるいは政府等でお考えになっておりますのは、昨年の秋ごろになりまして、原子炉とかあるいは放射性物質の取扱い等につきましての規則、法律などができております。もちろんこの法律などはよくいろいろのことが考えられてでき上っておるものでございますけれども、しかしこの安全性の問題というのは、ただこの法律によって許可してある、たとえばハザード・リポートというものを出して、それに従って許可すればよろしいというふうなものではございませんで、設計段階においても、また運転段階においても、ずっと国民全体が見守らなければならない非常に重要な問題であると思うのでございます。私どものところでまとめましたこの安全性に関しましての基本的な考え方といたしましては、まずこの安全性の概念というものが、ただ単に科学技術的な概念ではなくて、安全といこうもののはかりにかけますときの片方に乗っけますものは社会的な問題でございまして、そういう点を考えなければならないということ。それからまた原子炉の安全性というものは、ただ原子力施設の四七の安全性というものだけに終るものではなくて、この固有の安全性のほかに、これに対する人間的ないろいろな要素、人的要素というものが非常に重要であります。このことはこの前のジュネーヴの平和会議におきまして、アメリカの原子力委員会の安全保護委員会のテーラー博士、その他安全保護の問題をアメリカで早くから真剣に考えておられる方々が発表された安全性の問題についての観点の中に書いてあることでございまして、日本原子力産業会議から出ております原子力資料の中でも、第二号に出た資料でございますが、この中で、この固有の安全性のほかに、人的要素というものが非常に重要である、そういうことが書かれております。また非常にこの原子力炉というものが安全とは言われても、固有の安全性というものをできるだけ完全なものにしても、なお未知の要素のために、非常にいろんな危険な事態が起ってくる可能性があるのであります。その中に書いてある言葉を引用いたしますと、将来ほんとうに安全な原子炉ができるまでは、十年間安全に運転したあとでも、第一日目の慎重さをもって運転しなければならぬということです。そういうことが今のアメリカの原子力委員会の安全保護委員会の報告の中に書いてございます。私どもは、特に日本におきましては、これを平和的な目的だけに利用するということを三原則の前文にもうたってあるわけでございます。安全性の問題は、アメリカ等においては、今申しましたように非常にこの安全性の問題が慎重に扱われておりましても、なお最初の開発が軍事的開発と結びつきましたためにいろいろな無理が行われておりますけれども、日本の場合は、全く平和的な問題でございますから、最初にはできるだけ厳格な条件でこの安全性の問題を考える。これがだんだん経験を積むにつれまして——経験と出しますのは、日本国内はもとより、国際的な経験によってだんだんこういうふうにゆるめていってもいいんだということがわかるにつれて、これをゆるめていく、そういうふうな方式をとらなければならないだろう、そういうふうな観点を最も基本的な観点の一つとして出しております。この原子炉の安全性の問題に関しましての資料は、これは各方面にいろいろ考えいただかなければならないと思います。明日実は私どもの方の委員会を開くことになっておりますので、この委員会で最終的な案ができ上りましたならば、皆様方にもなるべくお配りしたいと考えておるのでございます。きょうは時間もあまりございませんので、詳しくは申し上げません。最後に、先ほど調査団の方々から、コールダーホール型炉の安全性、特に耐震性の問題につきましてこの御報告があったわけでございます。この調査団の方々が、非常にこの安全性の問題について慎重な態度をおとりになりまして、あちらでイギリス方々とも十分御検討になったようでございますが、私どもが特にここで希望いたしますことは、これはコールダーホール型炉の問題には限らないわけでございます。日本原子力開発というものが、平和利用というものを目的として、また三原則といこうものに従って開発されなければならないというふうな観点からいたしまして、また特に安全性の問題というものが、国民全体の生命と申しますか、に非常にかかわりのありますような重要な問題に連なっておりますので、この問題を御調査になりました結果というものを、先ほどのお話では、あまり公開して、非常に広い範囲で議論するということもむずかしいようなお話がございしまたけれども、私たちが希望いたしますところは、なるべくこれを、衆知を集めて議論できるように、公開して議論していただけたら、非常にこれまでの御努力というものも実際に実を結ぶのではないかと考えるわけでございます。委員会にかなり人がたくさん入っておるというふうなお話でございましたけれども、とにかくこの委員へ方式というのと、それから学界方式というものは、かなり性格が違っておりますし、安全性の問題のように、また今後基礎的な研究を続けていかなければならないような問題におきましては、なるべく学界方式をとって、十分基礎的な問題についての検討を進めていくということが、国民全体の福祉に役立つのではないかと思うのでございます。いろいろむずかしい点もあるかと思いますけれども、ここで特に希望を述べさせていただいた次第でございます。  大へん長くなりましたが、私の意見並びに希望をこれで終りたいと思います。
  10. 齋藤憲三

    齋藤委員長 次に、山田参考人に御発言を願います。
  11. 山田太三郎

    ○山田参考人 山田でございます。最初コールダーホール改良型炉の導入につきまして、意見を述べさしていただきます。この原子力発電日本で、ぜひ必要であるという前提に立ちますならば、現在の段階で最も適しておると考えられますものはコールダーホール型炉でありますので、これを入れることは非常にけっこうなことだというふうに考えられます。要するに、水泳を覚えます際には、畳の上ではだめでありまして、水の中へ飛び込むことが必要であるというのと全く同じで、われわれも現物を手に持たなければとうてい具体的な推進ができないという見地からいたしまして、けっこうなことだと思うのであります。なお、経済性におきましても、それほど現在の火力発電と違わないということでありますので、ますますよろしいと思うのでありますが、若干これに付帯条件があるかと思います。私は詳しく存じておりませんけれども、やはり安全性の問題が非常に重要であろうと思います。一時コールダーホール型炉が危険であるという説が流布されたことがございますが、その大きな根拠は、アメリカ型との比較におきまして、イギリス型の原子炉は、コンテイナーを持っていない。例の大きな収容する容器を持っておらないという点にあったわけであります。アメリカ型はこれを持っておりますが、イギリス型にはないというような点が大きな特徴であったわけであります。元来、イギリス原子炉天然ウランを使っておりますために、何らか核的に問題が起りましたときにも、暴走する可能性というものは少いということから考えますと、その意味ではイギリス型にはコンテイナーは要らないのだということが言えるかと思います。アメリカ型では、いわゆる原子炉の制御棒だけでは余分の中性子を吸収しきれなくて、もっとほかの中性子を殺す方法をとったりなんかして苦しいことをしておりますから、そういう意味では、アメリカ正の方に危険性が若干あるというふうにも言えるのであります。しかし、反面、イギリスコールダーホール改良型は、燃料として金属の燃料を使っております。これが何らかの原因によりまして空気に触れますと、ひどい問題になるという可能性を持っておるのであります。これに比べまして、アメリカの濃縮ウラン型の燃料は、酸化ウランの形式になっておりまして、こういう意味でいきますと、金属燃料のイギリス型に比べまして、有利であるというような利害得失がお互いにございます。そういうことからいきますと、大体両方の、安全度というか危険度の基準というものはないのですが、一応五十歩百歩というか、五十対と五十くらい、あるいはちょっとイギリス型を有利に見ましても、六十対四十くらいという感じになるのであります。ところが、アメリカ型の方は、コンテイナーを持っておりますために、この危険が相当程度緩和されるわけでありまして、むしろ安全性の面におきましては、アメリカ型の方が、コンテイナーをつけた場合には有利になるというようなことになるかと思います。  なお、耐震性につきましても、アメリカ型の原子炉は非常にコンパクトでありまして、潜水艦用としても使われておるようなタイプでありまして、この場合には爆雷といったような非常な衝撃も対象としてデザインできておるはずでありますから、その面から有利になるということが言えると思います。この意味でいきますと、先ほど経済よりもむしろ安全を重視されるというお話がございましたが、調査団の方におかれましては、このコンテイナーというものをイギリス型につけるということについて、どのような考慮を払われたかというようなことについてお伺いしたいと思うのであります。もちろん、コンテイナーがあっても百パーセントではないということは言えるわけでありますけれども、相当程度の危険を防ぎ得るということは明らかであります。原子炉の容器あるいはパイピング等が破れる——破れるということがあり得るかどうかわかりませんが、あり得るといたしまして、その際に、もし運悪く制御棒が働かないというような非常に意地の悪い複合事項を考えてみますと、これは相当問題になり得るということになると思うのであります。次に、このコールダーホール型の原子炉の燃料がもし中で曲ってしまったというような場合を考えてみまして、これにつきましては、もちろん取り出すような装置もついておるわけでありますが、現在運転をしておりますコールダーホール炉があまりうまいものでないのかもしれないのですか、これを魚釣りと称して、非常な危険を冒しまして、原子炉の中の燃料を取り出すというような作業が行われておるそうであります。そういうことから考えてみますと、耐震性の面からいきましては、明らかに原子炉の上の方から燃料を供給する方がいいのですが、そういったような工合の悪い事故が起った場合には、むしろ逆の方がいいのではないか、そういうような利害得失をどのようにお考えになっておったのであろうかというようなことをお伺いしたいと思うのであります。なお次に、このコールダーホール型の原子炉経済性でありますが、これは、新鋭火力に比較しまして、大きな差がないということは非常にけっこうなことでございます。しかし、原子力発電の区原価が非常に不確定なのであるということは、アメリカあたりで盛んにいわれておるわけでありまして、その根拠は、要するに燃料サイクルのコストというものが非常に不明確であるということによるのでございます。日本に導入します原子炉は、燃料の形になったものを導入しましてそれで幾ら、それから、かりに使い切りました燃料をイギリスに送りますと幾らというように、値段が非常にはっきりしておるのであります。しかしながら、原子力委員会で発表されております長期計画によりますと、運転開始後二年目くらいで、自分で鉱石を輸入して、原子炉用の燃料を作るというようなことになっておるのでございます。そういう場合になりますと、少し話が変ってくるのではないか、すなわちイギリスが割合に安く原子燃料を提供できるのは、イギリス全体の非常に大きなスケールの中でのことでありまして、日本でやり始めますと、これは必ずしもイギリスで示したような価格でできるということは考えられないと思うのであります。なおもし使用済みの燃料を化学処理いたしまして、プルトニウムをとるというような計画を考えていきますと、これまた化学処理工場の規模が適当な大きさでありませんと、経済的になりませんので、そういう場合にも、現在考えられております経済価格ではないということが考えられます。もしかりにイギリスで作られました燃料を入れまして、使用済み燃料をイギリスにまた返すということになりますと、これは非常に極端な表現をいたしますと、日本には何も根が残らないで、原子炉の中を燃料が素通りしていくということになってしまうのであります。原子力発電の発展の過程といたしまして、プルトニウムが非常に重要であるということは、長期計画にも書かれておりますが、肝心の長期計画にはこの化学処理工場をいかにしてやっていくかというようなことについては触れられておらないのであります。そうなりますと、少し検討を要するのではないかというふうに考えております。  なお、このコールダーホール型炉の国産化をどんどんやっていくべきかどうかということになりますと、これは若干問題がありまして、このタイプが果してどの程度将来性を持っておるかということを検討しなければならないと思います。先ほど一本松さんのお話にもありましたが、イギリスではなるほど一連の計画を立てまして、秩序整然とやっていっておるわけでありますが、これはイギリスでありまして、日本が全くイギリスの行き方をするのがいいかどうかということについても、検討を要する点があるだろうと思います。現在、原子炉としてものになるといわれておりますのは、イギリスコールダーホール改良型とそれからアメリカのBWR、あるいはPWRというようなタイプでございますが、しかしユーラトムでは第二の方法といたしまして、天然ウラン・重水型いうことに相当目をつけておるのであります。この天然ウラン重水型は、ソ連でも手をつけておりますし、最近アメリカでもやりかけましたか、しかし欧州のスエーデン、あるいはノルウエーといったようなところ、あるいはカナダがこのタイプについて非常に力を入れておるのでありまして、特に天然ウラン・重水型でガス冷却にしたタイプといったものは、将来性が相当あるのではないか。特にこの燃料サイクルの値段、すなわち化学処理というものがもしも非常に高いものであるという前提に立ちますと、重水型の原子炉におきましては、原子炉の中で燃料を相当長い時間燃すことができる利点が出て参ります。イギリスの場合には、これを、先ほど一本松さんのお話がございましたが、三千メガワットデー・パー・トンという程度、これは大体ウラン一トンが石炭一万トンに相当する程度に燃焼させるということでございますけれども、カナダではこれを約三倍くらいまで燃す、そのかわり燃し終ったウランは使わないで、一応捨ててしまうというようなことを考えております。こんなようなことにいたしますと、例の原子力委員会の十八カ年の長期計画に起きまして、燃料鉱石の輸入量といったようなものも、とたんに数分の一に減るというようなことになって参ります。なお、プルトニウムの利用という面におきまして、原子力委員会計画におきましては、非常に増殖炉を重視されております。しかし、これにつきましては、最近の報告では、サー・ジョン・コックロフトが、例の核融合反応は、多分熱中性子原子炉の発達と競合することは考えられないだろうけれども、高速増殖炉の発達にはちょうど対抗するかもしれないということを言っておりますように、高速増殖炉につきましては、相当長い先の問題でありまして、そのころにいろいろと違った問題が起ってくる可能性があります。それよりもなお急ぎますことは、むしろプルトニウムをいかに利用するかということでございまして、イギリス型の原子炉の欠点は、非常に比出力が小さい。すなわちウランの目方当りに出します電力が小さいという点であります。大体二・二メガ・パー・トンというような、一トン当り二千二百キロというような値でありまして、これをかりにプルトニウムで濃縮いたしました燃料を使いますと、この五倍くらい、あるいは三倍くらいの比出力に上げることは当然可能になると思うのであります。そういうような形にいたしますと、これは非常に悪い批評なんだろうと思うんですが、十八カ年という長い計画を立てた根拠が、外貨収支がバランスするときまで計算したんじゃないかというような悪い批判もあるのであります。これに対しまして、はるかに短い時期におきまして、外貨収支面でこのプルトニウムを使いますと有利になるということが考えられるのでございます。時間があまりございませんので……。
  12. 齋藤憲三

    齋藤委員長 次に、橋口参考人の御発言を願います。
  13. 橋口隆吉

    橋口参考人 橋口でございます。私、最後でございますので、今までお話になりましたことと、多少重複する点があるかと思いますが、一応お話しする予定で参りましたことについて、全部申し上げたいと思います。私が申し上げたいと思いますことは、三つの問題に関連してでございます。第一の問題は燃料問題でございまして、第二の問題は安全性の問題、それから第三の問題は調査団の調査結果の公表ということと、それから安全性を検討する組織といったふうな問題に関してでございます。まず第一の燃料問題でございますが、燃料問題は非常に範囲が広いわけでございます。今日申し上げたいと思いますのは、コールダーホールに関連した問題だけに限ることにいたします。限るといたしましても、申し上げたいことが四つほどでございますが、まず第一番目にバーン・アップの保障という問題でございます。これは先ほど一本松さんからもお話がございましたように、今回の調査団が非常によく調査してこられまして、今後もさらに折衝を続けるというふうに伺っております。その点はぜひ十分にやっていただきたいと思うのであります。このバーンアップの保障という問題は、経済性の問題だけではございませんので、事故とか災害にもつながる問題でございます。つまり、使用中に燃料が破損をいたしましたり、変形いたしました場合に、さらに燃焼を続けることができなくなるということだけならば損害は少いわけでありますが、それが原因となりまして、事故が起ったり、さらに災害が起るというふうなことがありますと、非常に重大な問題になりますので、この点をよく今後も折衝していただきたいと思うわけでございます。それから燃料の第二の問題といたしまして、燃料の国産化という問題でございます。燃料は、申すまでもなく、原子炉の心臓部でございますので、これはできるだけ早く国産化したいとわれわれは考えておる次第でございます。過日の新聞報道によりますと、ウイーンの国際原子力機関によりまして、燃料の供与ということが行われる時期が、案外近いというふうな印象を受けるわけでございます。このような機運によりまして、核原料物質を輸入いたしまして、わが国の技術によって燃料を精錬加工する方向に強力に進めていただきたいと思うのでございます。この問題は今非常にむずかしい問題になっております免責条項の問題それから、それと関連いたしまして、燃料を国家の所有にするかあるいは民間の保有にするかというふうな問題とも関連して参ると思うのでありますが、国産ということによりまして、こういうふうなむずかしい問題をかなり簡単にすることができるというふうに考えております。燃料の問題の第三といたしまして、使用済み燃料の問題であります。使用済み燃料は、さしあたりは英国に返すというふうに伺っておりますが、できれば国内にとどめておくことにいたしまして、早急に再処理工業の建設を進めてほしいと思うのであります。これは次に申し上げますプルトニウムによるウランのエンリッチメントの問題、あるいはさらに将来のブリーダーの問題と関連いたしまして、非常に重要であると考える次第でございます。燃料問題の第四といたしまして、今申しましたプルトニウムによるウランのエンリッチメントの問題であります。これは私個人といたしまして、機会あるごとに繰り返して方々で申し上げているのでございますが、これは日本にとってきわめて重要な問題であると考えるのでございます。それは、天然ウランあるいは低濃縮ウランを使用する日本といたしましては、プルトニウムが必然的に生産されるわけでございます。このプルトニウムは、増殖炉用として使用いたしますためには、まだ未解決の問題がかなりたくさんございまして、今すぐにこれを使うというわけには参りませんけれども、ウランにごく少量のプルトニウムを加えまして、プルトニウムによって強化いたしましたいわば低濃縮燃料というものを作りまして、これを使用するということは、ほとんど問題がないと考えられるのでございます。そういうふうな方法によりまして、低濃縮燃料を使うということは、動力炉の開発に非常に有利でありまして、コールダーホール改良型も将来その方向に進む可能性がありますし、米国型の動力炉もこういう方向で進める可能性があるわけでございます。これは原子力政策の問題といたしまして、プルトニウム問題を十分考えていただきたいと思うのであります。燃料問題はそのくらいにいたしまして、次に、安全性の問題でございます。コールダーホール改良型炉の安全性につきましてはいろいろたくさんな問題がございますが、大きく浮び上っておりますのに地震の問題、それからウィグナー・エフェクトとか燃料のオーバー・ヒーティングとかいう問題があります。もちろんそのほかにもいろいろたくさんございますが、あとの方で申し上げました問題につきまして、ちょっと私の意見を申し上げたいと思います。ウィグナー・エフェクトとか燃料のオーバー・ヒーティングという問題に関連いたしましては、よくウインズケール事故と災害という問題が引き合いに出されるわけであります。これに関しましては、先ほど一本松さんから詳細な御説明がございましたように、ウインズケールと同じような事故コールダーホール改良型炉で起るとは考えられないのでございます。それは原子炉の構造が著しく違っておりますし、炉の温度コールダーホール改良型では非常に高くなっておりますので、そういう事故が起ることはほとんど考えられないわけであります。しかし、私がここで申し上げたいと思いますことは、ウインズケールと同じ事故という意味じゃございませんで、英国が経験いたしましたウインズケール事故における教訓と申しますか、そういう言葉は適当でないかもしれませんが、いわば教訓というふうなものを十分味わい考える必要があるという点でございます。別の言葉で申しますと、ウィンズケールでそうでありましたように、事故というものは予期しないときに予期しないところで起るということでございます。英国政府ウインズケール事故に対しまして組織いたしました調査委員会の報告によりますと、ウインズケールの炉が建設されましたときにウィグナー・レリーズについてはほとんど知られていなかったと言っております。建設されて、そういう問題が起ってから研究が始められたわけでありますが、その後ウインズケール事故が起りますまでに、いわゆるウィグナー・レリーズを八回やっております。しかし、その間に英国がやりましたこの問題に関する研究とか対策が十分であったしとは決して思えないのでありまして、そのことが今度の事枚の間接的な原因になっているというふうに考えられるのであります。ウインズケール事故は、今から考えてみますと、あるいは結果論としてはあれはもう当然起るにきまっている事故だというふうなことを言われる方もあるのでありますが、それは起ってしまってからそう言えるのでありまして、起る前にそう言えたかどうかはきわめて疑問だと思うのであります。コールダーホール改良型に関しましては、ウィグナー・レリーズとかそういう問題はほとんどないわけでありますが、今日予想されてない別な問題が起るかもしれないという点であります。何らか別な原因で燃料がオーバー・ヒートされるとか、あるいは燃料が破損するとか、そういうふうなことが起らないとは言えないわけであります。こういうふうな点に常に細心の検討と注意を意らないということが、私が申しました意味でのウインズケールの教訓というにとでございます。もちろんこういうふうなことは、御関係の方は十分お考えになっておいでのことでございまして、今さらあらためていう必要もないかと思いますが、こういう問題は、幾ら注意しても注意し過ぎるということはないと思いますので、私も強調したいと思うのでございます。第十三番目に、調査団の調査されました結果の公表という問題と、それから安全性を検討する組織ということについて多少意見を申し上げたいと思います。調査団が非常に詳細な調査をしてこられたわけでございますが、私どもの希望といたしましては、これを何らかの形で公表していただきたいと思うのでございます。これは専門の学者がそれを検討することができるようにするためというふうな意味でございます。もちろん商業的な秘密でありますとか、あるいは商業道徳というふうな問題がございますので、いろいろむずかしい点があると思いますが、それに対しましても、また緩和する方法とか、回避する方法とかいろいろあると思いますので、できるだけのことをしていただきたいと思うのでございます。先ほど坂田先生からもちょっとお話がございましたが、学術会議原子力特別委員会におきましては、坂田先生の方の原子力問題委員会と共同いたしまして、原子炉等の安全性を検討する組織というふうなものを作らなければならないということを長い間議論し、考えてきたわけでございます。それがどういう組織であるべきかということに関しまして、ほぼ成案を得まして、実は昨日原子力特別委員会で、原子力特別委員会としての結論がほぼ出たのでございます。それが明日、おそらく同じ問題が原子力問題委員会の方で議論されるのだと思います。この結論は、もちろんしかるべき筋を通しまして関係方面に出されるはずになっておりますので、私がそれを今日申し上げる時期ではございませんが、これに関連いたしましてちょっと申し上げますと、たとえば、その結論におきましては、原子炉の設置の申請がありました場合に、その原子炉の安全性を認定するための専門的な組織を提案しております。そういうふうな組織を作る必要があるということを言っているわけであります。これはただの、災害を予想されない建築の場合でも——災害を予想されないという言葉はちょっとまずいかもしれませんが、放射能とかそういうふうな特殊な災害を予想されない建築においても、これはある許可を必要とするわけでございまして、そういう許可をするための認定と申しますか、そういうものをする専門的な組織が必要であるというふうなことを、結論の一つとして言っておるわけであります。これは学術会議で議論はいたしましたけれども、もちろん学術会議が何らか関係したいとか、あるいは学術会議と直接関係のある組織にしたいとか、そんなふうなことを考えているのでは全然ございませんので、日本としてそういう組織を持つ必要があるということを言っているわけでございます。むしろ既存のほかの機構とは独立した権限を持っておるものの方がいいということすら言っているわけであります。こういうふうな権限と同時に、またそういうことをするだけの具体的な能力を持った組織ができまして、第三者の立場から調査の結果を判断するというふうなことが行われるのが望ましいように思うのであります。しかし、まだ現在はそういう組織ができておりませんので、今度の場合には、少くとも学界あるいは専門学者に対しまして十分それを検討する機会を与えられるという意味で、公表していただきたいと思うのであります。これが日本全体の放射能に対する安全性の問題を一番正しく進める方向ではないかと考えている次第でございます。
  14. 齋藤憲三

    齋藤委員長 以上をもちまして、参考人各位の御意見発表は一応終りました。引き続き質疑を行います。質疑は通告に従いまして、順次これを許します。田中武夫君。
  15. 田中武夫

    ○田中(武)委員 参考人方々に、二、三の御質問を申し上げたいと思います。まず最初に、安川参考人にお伺いをいたしたいと思います。今回のイギリス調査に行かれました目的は、どういうところにありましたか。もちろん動力炉を輸入して原子発電をする経済的な立場から行かれたのだと思うのですが、先ほど武藤参考人は、経済的な面ではなくて学術的な面から渡英した、こういうようなお話もありました。今回の調査団の行かれました目的、並びに一昨年石川調査団が行きましたが、それとの関連等についてお伺いいたしたいと思います。
  16. 安川第五郎

    安川参考人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、一昨年石川ミッションが参りまして、まずコールダーホールのタイプの原子力発電設備が、果して日本に導入して適当であるやいなやということを、技術的並びに経済的の調査をされたわけであります。その簡単な結論を拝聴したところによると、これは日本に導入すべき最も適当した原子力発電設備の一つである。ただし、これは無条件ではない。経済的その他の技術的の要素はそういうような結論に到達するが、ただ日本イギリスと違うところは、イギリスにはほとんど地震のおそれというものがない。日本は世界でも有名な地震国である。だからイギリスの現在の構造のものをそのまま日本に持ってきたんでは、安全度が保証できないので、これに対する相当の研究と、その結果による設備の変更を必要とすることを条件として、コールダーホール・タイプの原子力発電設備は日本に導入すべきである、こういうような結論に私は拝聴したわけであります。それがまず動機となって、地震に対するいろいろの研究機関というものが、先ほど武藤氏からお話がありましたように、国内にできて、いろいろ研究もされ、また実験等もされたわけであります。しかし、これは先方の構造の詳細を知るよしもなく、ただ、こっちで一つの構造を想像の上で、こういう点に弱いところがあるからこれをどうして補強するか、実際実験してみると、これでもって目的は達成されるか、されないかとかいうような方法で進められるはかなかったわけであります。私がこのたび関係した原子力発電株式会社は、事実こういうような問題を解決するとともに、それが適当であるならば、まず最初日本に一基を一輸入して、それを実験的に実施をしたい。これが果して予定通りの成績が上るということがわかれば、これはおそらく各電力会社が時勢の必要に応じて、みずから重力質源として原子力を使うようになるだろうが、まずその結論を実際に実証をするまでは、特殊な会社組織にして一会社が専有してやるべき問題じゃないということで、この原子力発電会社が各方面の出資によってできたわけであります。そういうような歴史といきさつによって、われわれとしてはまずこの会社の第一歩として、イギリスコールダーホール改良型炉についての購入の準備をすべきである。果してこれが石川ミッションの報告通りに、日本に導入してよろしいかどうか。それには条件が前からついておる地震に対する対震構造が可能であるかどうか、そのほかの安全度が果して保証できるかということを、もっと具体的に調査し、また値段等についてももっと正確な数字を握って、果して日本に導入してこれが将来電力会社の企画するような発電設備になり得るという見通しがつくならば、まずこの会社で一応その一基を購入して実験的にやるべきだ、こういうことでその資料を集め、十分確かめる。もし確かめられたらば、果してどのくらいの値段で、自体的にどういう設計でわれわれの要求を満足し得ることになるかという詳細を先方から提出させるように準備することが、このたびの訪英団の目的でありました。そういうような意味で、一カ月の滞在のうちの大部分は、先方の権威者と接触して、以上申し上げる点を確かめ、これがやや見通しがついたとたんに、われわれの仕様書というものの作成に全力を上げる。この仕様書が調製された上で、これをイギリスの製造会会社に渡して、これにかなう見積りその他設計の詳細を七月の末に提出しろということを注文して帰ってきたわけであります。われわれミッションのやりましたことと、われわれが出発するときの目標と私としては全く一致しておると信じております。
  17. 田中武夫

    ○田中(武)委員 簡単に私質問しますから、時間もないようですからお答えも簡単でけっこうでございます。  今おっしゃいましたように、今回の目的動力炉購入準備のためである、それに関連するようなことを調査した、こういうことのようであります。それで七月の末に云々と言われておりますが、先ほどの坂田参考人のお話では、ことしの夏第二回国際原子力会議が開かれるからそれ以後でもいいじゃないか、こういったような御意見だったように聞いたのですが、坂田さんそうでしたね。
  18. 坂田昌一

    坂田参考人 そうです。
  19. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういたしますと、安川さんいかがでしょうか。坂田参考人と若干意見の食い違いがあるようでございますが、急ぐ必要があるんでしょうか。それとも第二回国際原子力会議後、事実が明らかになってからでもけっこうじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  20. 安川第五郎

    安川参考人 七月三十一日を期して向う見積書の提出を求めたことは、今申し上げた通りであります。しからば、その見積書が出て、すぐにそこで注文でも決定するかというと、なかなかそうはいかぬと思います。先ほどからいろいろ各参考人からの御注文がありましたように、安全度その他重要なことは十分日本国民の納得するような方法でもってチェックをして、その上で先に進めてもらいたいという御希望があります。私もしごく同感で、決して会社が単独で、独断的に、これが適当だからすぐ注文に進もうというようなことは考えておりません。それですから、七月一ぱいに向う見積書が出たとしても、これの審査には相当時日を要する、これがうまく順調に運んで、この製造会社設計が一番安全であって適当である、値段もこれならばあまり不合理でないという決定ができるのは、十月か十一月じゃないか、こういうふうに考えておりますので、先ほどのジュネーヴの会議が八月ですか九月ですか、にあるとすれば、多少その時日の食い違いはあるかもしれませんが、われわれはそんなに、何もかも急いで一足飛びに注文に運ばなければならぬというほどの迫った考えは持っておりません。もしそれが必要であれば、私は相当期間は猶予を持ってもいいと思っております。
  21. 田中武夫

    ○田中(武)委員 佐々木局正長、今、安川参考人もあのように言われましたが、政府としてはいかがでしょうか。動力協定の現実の締結の時期、こういうものについて、いわゆる夏の第二回国際原子力会議後でもいいじゃないかという意見、また安川参考人は事実上そういうことになるだろう、こういったようにも聞いたわけですが、政府としてはどう考えておりますか。
  22. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この席からお答えさせていただきます。対英動力協定の問題ですが、私どもの正力大臣もしばしば国会でお話しております通り、最大の問題は、何と申しましても、輸入する動力炉が安全であるかどうかという点が一番の中心問題でございますので、安川ミッションが帰りました上、この点を十分確かめまして、そうして確信を持ちましたらば、それに伴いました対策、補償の問題その他法律的な事項等を検討いたしまして、できますればできるだけ早目に協定の調印に入りたいというふうに考えておりますけれども、ただいまの段階では、その時期がいつかという点に関しましては、まだはっきりした考えを持って起りません。
  23. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いつかということについて、はっきり考えを持っていない、こういうことじゃなしに、第二回国際原子力会議以降でもいいか悪いか、こういうことなんです。
  24. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいまの段階では、ジュネーヴの会議と対英協定の問題を関連づけては考えておりません。
  25. 田中武夫

    ○田中(武)委員 まだ佐々木局長の意見には私意見はありますが、きょうは参考人の方にお伺いしたいと思いますので、次に進みたいと思います。次に、一本松参考人にお伺いしたいと思いますが、私途中で入って参りましたので失礼いたしましたが、ちょうど私が入って参りましたときにお話があったのが、何か四円五十銭、こういうようなお話を入ったときにちょっと聞いたんです。これは原子力発電のキロワット当りの原価じゃなかったかと思うのですが、そうなんでしょうか。もしそうだとするならば、この四円五十銭の内訳というか、原子力発電の電力料が四円五十銭でできる、こういう見通しをつけられた内容、こういうふうな原価計算で出されたか、一つお伺いしたい。
  26. 一本松たまき

    一本松参考人 お答えいたします。今ちょうど四円五十銭ぐらいと申し上げましたのは、キロワット・アワー当りの単価であります。これは計算方法がいろいろありまして、その計算条件によって相当変るものではありますが、大体常識的には四円五十銭程度と考えられておるものであります。どういう点が違うかと申しますと、原子炉の寿命というような問題、これを私たち二十年と見ておる。初め十五年でしたものが、みんな二十五年なりそれ以上持ちますので、平均を二十年として計算をしたわけであります。これは今度の調査の結果多少よくなるのではないかと思うのでありますが、こういう点はまだ完全にこうだという点が少し残っております。それから、金利などの点につきまして、まだ確定いたしておりません。一応われわれは六分五厘とか七分とか、日本で借りますときには開発銀行から幾ら借りられるかというようなことによって、金利全体の影響がいろいろ変るわけであります。それからまた大きく変りますのは、どのくらい一年に稼働するか、これも大体七五%とか、その程度を一応仮定しまして、そうして最後の問題としましては、大体それが幾らでできるか、つまり総建設費が幾らかかったかという問題になるのでございますが、これはまた仕様書がはっきり出ませんとわからないのでありますけれども、一応われわれの出発前の目標があるわけであります。そういうものをある程度仮定いたしまして計算しましたものが四円五十銭、こういうことなんであります。今度向うに参りましていろいろなことを聞いて参りました結果は、それとそう大差はないものであろうという見当をつけてきたわけであります。正確なことは向う見積書が出ませんと、今申されないわけであります。
  27. 田中武夫

    ○田中(武)委員 わかりました。この減価償却とか技術的なことは私はわかりませんが、私がお伺いしたいのは、四円五十銭の原価の申にいわゆる補償費というもの考えられておるか、どうか。現在たとえば水力発直の関係で佐久間ダムとか何とかダムというようなときにも、私聞きましたら、一番頭を悩ますのは、やはり補償問題だそうであります。それが最初の予定よりかいつも多くの金を使っておる、こういうことです。ことにまだ一部では大きな危険を感じておる原子力発電の問題です。従って、この大きな動力炉を作るとなれは、たとえば学術実験用のおもちゃのようなものを宇治に作る、あるいは阿武山に作る、こういうときでも地元のあの状況をごらんになればわかるように、大きな動力炉を作るということになれは、相当な問題が起ると思う。もし話がついたとしても、相当な補償費、これに関連する費用等が要ると思うのですが、四円五十銭の中にはそういうものを考えられての値段か、それともそういうものは入っていないのでしょうか。
  28. 一本松たまき

    一本松参考人 具体的な問題になるわけでありますが、どこに置くかという問題もからむわけでありますけれども、今私たちは東海村を一応予定いたしております。東海村につきましてのいろいろな補償費は考えておりますし、それからまた今お話の中にありました補償の問題に対しましても、これはある程度の保険をしかけるというようなことを考えております。
  29. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それじゃある程度の補償というか、これは考えられた上の値段だ、こういうことですね。そこでお伺いしたいのですが、今、東海村というお話が出ましたし、武藤参考人は参考意見を述べられる際に、地震に対する安全性の問題で、東海村では従来地震の震源地となったようなことはない、地震がない場所である、こういうふりに言われた。そのときに武藤参考人にお伺いしようと思っておったのですが、これはお二人のどちらでもけっこうですか、東海村にきまっておる、こういうことを私寡聞にして初めてお伺いしたのですが、これはどこかでおきめになったのですか。そういうところをきめるところは、一体どこに権限があるのでしょうか。
  30. 一本松たまき

    一本松参考人 一応私たちといたしましては東海村を予定いたしはして、原子力局、公益事業局の方にここを予定させていただきたいという届書は出しております。
  31. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大臣がありませんので局長にお伺いしますが、この動力原子炉の設置の場所、そういうものは一体どこできめるのですか。
  32. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 実際に設置する際の法律的な手続から申し上げますと、最終的には、原子炉規制法に基きまして、原子力発電会社から正式な申請書類が参った際に最終的に決定することになるわけでありますけれども、ただいまの段階では、事前に原子力研究所並びに原子力発電会社からの説明をお聞きいたしまして、ただいま予定される地点が適当な地点ではなかろうかというふうに、委員会では、最終決定とは言えませんけれども、話し合っております。
  33. 田中武夫

    ○田中(武)委員 局長の話では、予定地というか、そういうことに聞いたのです。そうすると、今の原価計算とか耐震性の問題は仮定の上に立った研究だ、こういうふうにも考えられるのですが、私のお伺いしておるのは、こういう動力原子炉をどこに置く、こういうことを最終的に決定する権限を持つのはどういう機関か、こういうことを聞いておる。そういう機関ですでに東海村というものが決定しておるのかどうか。
  34. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 先ほども申しましたように、法律の建前から参りますと、原子力委員会が最終決定をいたします。そうです。委員会が決定いたしまして、内閣に報告を申しまして、そして閣議で決定されることになると思います。
  35. 岡良一

    ○岡委員 関連して。原子炉規制法によれば、原子炉の設置の許可権は内閣総理大臣にあるはずです。従って、内閣総理大臣が、あるいは原子力委員会意見を聞き、特に安全性が重大な要件ですから、先ほど来の参考人の御主張のように、安全性に関する諮問委員会等公正なものを設けて、この意見を聞くなり、こういう妥当な取り計らいの上できまるはずです。ところが、先ほど来一本松さんのお話を聞いても、武藤さんのお話を聞いても、この東海村がすでに既定の事実になっておる。そうして原子力局長は予定されておると言う。しかも、あなた方が英国へ行かれて、そうしてその耐震設計というものについては、こちらで実験をして組まれた耐震設計というものは、東海村の地盤、東海村の地震の頻度というものを前提として組まれておる。もし所が違えば、これは全部変えてしまわなければならないという可能性さえもあるわけです。そういう内閣総理大臣の権限に属するものを予定として、しかも国の会会社の正規な代表団が購入についての予備的な折衝に、そういう予定にして、内閣総理正大臣の権限を侵すようなそういう仮定の事実の上に立って耐震性の設計その他についても堂々と交渉せられる、こういうことはあり得ることなんですか。
  36. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 お答え申し上げます。先ほど安川団長のお話の中にはなかったように考えますが、こういう具体的な炉の問題になって参りますと、どうしても立地がどこかという点、ある程度予定を立てませんと、話が具体的にならないのは御承知の通りだろうと思います。従いまして、先ほど私が申し上げましたように、最終決定はまだいたしておりませんけれども、一応の予定をして参りませんと具体的な話になりませんので、一応ただいまの段階では予定いたしまして、そうして具体的な話し合いに入ったというふうに考えております。
  37. 岡良一

    ○岡委員 それでは、原子力委員会は、原子力発電会社からの申請というか申し出があったときに、一体いつどういう基準でこれがよかろうということをと御決定になったのですか、その資料一つ——資料というよりも、ここではっきりさせて下さい。
  38. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 その資料等はただいま持っておりませんので、あらためまして提出いたしますが、時日といたしましては、去年の出発前ですから、たしか十二月ごろだと思います。
  39. 岡良一

    ○岡委員 それでは、どういう基準によって重海村が妥当であろうという結論を出されたのですか、その基準をお示し願いたい。
  40. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 これは原子力研究所が、原子力研究所の敷地に予定されました一部に動力炉を置きます際には、こういう地点がいいんじゃなかろうかというふうにあらかじめ予定して調査をしておった地点があるわけでございまして、その地点についてさらに原子力発車会社の方で技術者を派遣いたしましていろいろボーリングその他の調査をいたしました結果、なるほど原子力研究所の言われますように、非常に適地じゃなかろうかというふうなお話がございまして、そこで原子力委員会といたしましては、原子力研究所並びに原子力発車会社のスタッフにそれぞれ別個に聞きただしまして、いろいろ検討しました結果、ただいまの段階では非常に適地として考えてよいのではなかろうかというふうに話し合ったわけであります。
  41. 岡良一

    ○岡委員 それでは、原子力委員会は、原子力研究所を建てるために、いろいろその土地の条件調査せられ、その調査の結果得たデータというものが、原子力発電所を設ける場合においても一応差しつかえがなかろうとういう結論になって、そこで原子力委員会は、委員会の決定としてまず予定地としては東海村を認めよう、こういうことを御決定になったのですか。
  42. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 先ほど申し上げましたように、法律上正式な決定はまだいたしておりません。それは具体的にこの炉を買うというふうにきまりまして、そうして申請が米ました際に、最終的には法律上決定いたさなければならぬ段階になろうと思いますが、ただいまの段階では、まだ買うやら買わぬやらもはっきりせぬ、従って、一つの予定立地かなければ話が具体的にならないという必要に迫られまして、地盤とか気象とかいろいろな条件をデータで勘案しました結果、ただいまの予定地が適当じゃなかろうかというふうに考えたわけであります。
  43. 岡良一

    ○岡委員 そこで、一応原子力委員会が、決定ではないが、予定地としては東海村を認めるという意向を、いわば承認をされた、承認をされたということは、事実上決定という取扱いと、参考人の御意見を聞くと感じられる。そこで東海村の地震の頻度なり地盤の形なり、そういうことを基礎としてデータを作って、そうしてロンドンへ行って向うのメーカーと交渉された、しかし、それは日本政府の決定ではないということになれは、いつまたひっくり返るかもわからないということですね。そうすれば、原子炉の安全性、原子炉の耐震設計というものはまな新しく組み直さなければならないかもしれないことになるわけです。そういう点で、原子炉の設置については、特許権が内閣総理大臣にある。原子炉の重要性、特に公衆災害の影響の大規模なことにかんがみて、内閣総理大臣に許可権を、認めておるのがわれわれ国会の意思なんです。ところが、そういうような重要な問題について総理大臣の計同権の先に、あなた方がただ内々のしで、話し合いで一応東海村がよかろう、そこで東海村を基礎として、そうしてそのデータに基く耐震設計をやる、向うでも交渉する仕様書まで出すという段取りにまできている。一体こういうような手続は、まさしく原子力局なり原子力委員会が、事前に内閣総理大臣にはかることなく、いわば内閣総理大臣の権限というものを完全にあなた方は無視しておるということではありませんか。
  44. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 繰り返して御説明いたしますが、私の趣旨は先ほどお話しました通りでございまして、法律的な手順からいたしますと、原子力発電へ社から申請が参りまして、そうしてこういう土地にこういう炉を設けたいが許可してもらえないかという、法律に従いました申請が来ました際に、それを決定いたしまして内閣総理大臣に報告し、総理大臣が閣議の必要があれば閣議決定をして、最終的にきめるというふうな段階に相なろうかと思います。ただし、ただいまの段階ではまだそこまで、参りませんので、あらかじめ予定地として、こういう炉が入るのに具体的な条件を整えるためには、どうしてもおる個所を予定しませんと具体的にたりませんので、一応予定いたしまして、そうしていろいろの検討をいたしたというふうのは、これはやむを得ない事情じゃなかろうかというふうに考えております。
  45. 田中武夫

    ○田中(武)委員 引き続いて質問します。今のお話を聞いていると、とにかく折衝する場合に、予定地がなければできないから、一応予定地を東海村とした、だが、それはまだ決定せられていないし、まだそういう段階に立ち至っていない、こういうようなことだと思うのですが、何か言われることに矛盾があると思うのです。一体それでは東海村ということについては、どの程度の確実性というか、それがあるのですか。
  46. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいままで検討しましたところでは、原子力委員会としては、先ほど申しましたように、最終決定はいたしていませんけれども、土地そのものは非常に適地であるとういうふうに認めておるわけでございます。
  47. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは、内閣総理、大臣が最終的に、閣議に諮って決定はするが、それ以前に、原子力委員会で内定というか、そういうことで、東海村を出せば閣議で絶対にきまるという見通しなんですか。またそういうことについて、東海村の現地の人たちというか、その代理の人たち意見を何か聞かれましたか。もしこの炉を入れるときになってから、ここは研究原子炉が置かれているから、おそらく東海村では今度の原子炉問題については何も反対はなかろう、こう簡単に考えておられるのか、その点いかがですか。もしかりにきまっても、現地の方でいろいろ問題がありとするならば、きまったものだからといってこれを押しつけるのか。押しつけ得ないとするならば、今研究し、調査して帰られた事態が全部仮定の上に立ったものだということで、くつがえることになると思うのですが、そういうところはいかがですか。
  48. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいま予定しておりますのは、原子力研究所が自分の敷地として予定した場所でありまして、国といたしましても、その個所には原子炉を設置するのがよろしかろうというふうにあらかじめきめてある個所でございます。従いまして、全然新しい土地であれば、あるいは御指摘のようなことがあろうと思いますけれども、一応原子力研究所で、そこには動力炉だろうがあるいは動力試験炉だろうが、研究所でやる際にはそこでやるべきでなかろうかというふうに考えている場所でございますので、その地点を調査いたしますと、先ほど申し上げましたように非常に適地のように考えられますので、一応その地点を予定してよろしかろうというふうに、委員会では話し合ったわけであります。
  49. 田中武夫

    ○田中(武)委員 原子力研究所の敷地内だから、何を持っていってもいい、こういうふうに考えておられるのですか。
  50. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 決してそういうわけではございません。やはり炉の一つ一つに関しまして、法律では許可を与えることになっておりますから、許可を与えます際には、事前に十分に調査をいたしまして、誤まりないように処したいと思っております。
  51. 田中武夫

    ○田中(武)委員 事前に十分調査をして誤まりないようにしたいというが、今、現実に東海村の地元の人たちに、動力原子炉をここに持ってくることについての意見を聞かれたことがあるのかないのか。
  52. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 現地方々意見と申しますと、どういうふうなことか知りませんけれども、少くとも県の知事等にはいろいろお話し申し上げてございます。もちろん、知事といたしましても、さっき申し上げましたように、最終的な決定の事項ではございませんから、いいとか悪いとかいう段階ではないと思います。
  53. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは、ともかく原子力研究所の敷地内だし、研究炉も置いておるから問題なかろう、こう適当に判断されたと了解してよろしゅうございますな。
  54. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 問題なかろうというふうに簡単に考えたわけでは毛頭ありません。ただ、先ほどから申し上げましたように、地盤なり気象なり、その他いろいろな土地選定のための条件がございますので、そういう条件をいろいろ聞いてみますと、ここが適地であろうというふうに判断をしたわけでございます。
  55. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私の言っているのは、東海村付近の住民の意思の問題であります。
  56. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 これは、最終的にきまります際には、お説のようにあれは国有地でございますから、直接土地の購入に伴う補償の問題等はないわけでございますけれども、こういうように安全性の問題に関しては重要な問題をはらんでいることでございますので、具体的に、最終的にきめます際には、もちろん土地の関係者と申しますか、これがどういう範囲の方かはっきりしませんけれども、そういう方たち原子力発電所等で十分話し合って、そうして了解を得た上で着手することになるのではなかろうかと考えております。
  57. 齋藤憲三

    齋藤委員長 田中委員に申し上げますが、時間も大へん経過いたしておりますので、なるべく参考人に対して御質疑をお進め願います。
  58. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで、委員長のなにもありますから、参考人に聞いて、あなたには後日あらためて聞くことにいたしますが、しかし、今あなたの言われているのは、やはり現地の人たちの考思というものを無視して考えておられる。いよいよとなったら関係の者の意見を聞くともし聞いて反対があったらどうするのか。それではこの調査等がみな仮定の上に立った、こういうことになると思うのです。その問題については、また後日にやりたいと思います。  そこで、武藤参考人にお伺いしたいのですが、耐震設計の問題について、何か向うにまかしておいてもよかろうと思うと、こういうようなことを言われたのですが、どうなのですか。この設計の決定権は向うにあるのですか。それに対してまたこちら側、日本側はどういった、希望を述べる程度なのか。その耐震性の設計の問題、これの決定権がいずこにあって、日本調査団の意見等はどの程度の、何といいますか、強いファクターを占めておるか、そういう点を一つ……。
  59. 武藤清

    武藤参考人 この設計は、ああいう式類の設計設計者が責任を持つということになっております。その関係で、注文を受けました会社が全部の責任をとることになる。それで、日本の発注者側の発電会社はその設計をレビューする、検討する、こういう建前でおります。従って、会社側としては、向う設計を検討して承認を与えるという立場をとる仕様書になっております。これは、実際問題としては、英国側では日本側の全面的協力を希望しておりますから、文字に表われているレビューするという限度以上に日本側が指導することになると思います。しかし、表面、契約上の面ではあくまで英国側、メーカー側に責任がある、このように私技術的に考えますけれども、なお会社側からその点について御答弁いただきたいと思います。
  60. 一本松たまき

    一本松参考人 ただいま武藤先生のおっしゃった通りなんです。仕様書向う設計をレビューする、つまり検討して、これならばいいという承認を与えて初めて作られる、そういう順序になっております。
  61. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうしますと、設計の決定権は設計者側にあるからあちらがやる、だが、それを受け付けるかどうかということの最終決定はこちら側にある、そういうことなのですか。設計が気に入らなければ断わることができる、こういうことですが。
  62. 一本松たまき

    一本松参考人 表面上はそうなっております。おっしゃる通りになっております。しかし、実際問題としましては、事前に十分設計内容の検討をお互いにやり合うということになると思います。しかし、これは仕様言に書きますときは、やはり筋道の通りに書いてあるわけであります。
  63. 田中武夫

    ○田中(武)委員 表面上だとか実際上だとか言われておるのは、何か武藤参考人の御意見の中に、向うにまかしておいてもよかろう、こういう言葉があったのがわれわれちょっと気になって、何かたよりないな、こういうように思うわけです。それはその程度にしておきます。最後に、坂田参考人にお伺いしたいのですが、坂田参考人は、先ほどいわゆる原子力平和利用の三原則、民主、自主、公開の原則を強調せられました。私たちももちろんこれを強く主張しておるわけです。そういう点から考えて、私は実は今日なおそういうことを言うのはおかしいじゃないかと言われるかもしれませんが、原子力発電株式会社ができておりますけれども、やはりこういう原子力三原則から考えて、重要な動力炉計画及び将来日本経済その他に大きな関係のある原子力発電、こういうようなものは、一般民間でやるべきでなく、公社とか国みずからがやるべきだというような意見を私は持っているのですが、三原則を強調せられた先生のお立場から、どういうようにお考えになるでしょうか。
  64. 坂田昌一

    坂田参考人 一般的な問題として、何とお答えしていいかわかりませんけれども、とにかく少くとも安全性の問題に関係いたしましては、結局何かの形で国家が責任を負わなければいけないんじゃないかということを考えております。
  65. 齋藤憲三

    齋藤委員長 前田正男君。
  66. 前田正男

    ○前田(正)委員 はなはだおそくなりまして失礼いたしました。私、途中でほかの委員会に採決がありましたので、全部の参考人方々の御意見を聞いておりませんので、おもに安川団長にごく一般的な問題を簡単にお尋ねしたいと思います。この原子力発電株式会社というものが設立され、とりあえず暫定的に共同で原子力発電をされるということは、われわれも賛成でありますが、これはやはりさっきからその場所の仮定の問題を言っておられますけれども、実はやはりこの発電会社の目標としておられるのは、イギリスとアメリカから当初試験的に原子炉を買おうというような、国産ですぐ作るのではなくて、そういうものを輸入して発電してやろうという計画のものでありますから、これはやはりイギリスとアメリカとの一般協定が結ばれるという仮定の上に立ってやっておられることであろうと私は思うのであります。ところが、最近免責条項とか何かいろいろな問題から、イギリスとの一般協定がおくれて、この国会に出す必要はないのじゃないかというような意見も出てきたり何かしておって、安川団長が行かれて、先ほど来聞いておりますと、仕様書から見積りをとるというようなお話でしたが、そういうことになると、当然製造家との間にもいろいろ相談しなければならぬでしょうし、また場合によると、イギリス製造グループの諸君もこちらへ来て、いろいろと日本の製造家の諸君との間の話し合いもしなければならぬ。その他いろいろな問題が起ってくるのでありまして、七月の末に見積りを出せと言われても、日本が発電炉を買い得るという状態でなければ、この話はできないのじゃないか。ところが買い得る状態ということは、発電会社ができたことが買い得る状態ではなくて、条約が国家間で要するに締結されるということが買い得る条件であると思うのであります。そこで買い得る条件であるところの条約問題について、そういうふうな世間で、この国会でなくてもいいとかあるいはまた免責条項が片づくまで当分の間ほうっておけばいいとか、あるいは安全性の問題が片づくまでほうっておけばいいとか、いろいろな意見があるのでありますけれども、そういうような免責条項とか安全性の問題とかいうことではなしに、その日本イギリスとの間に燃料とかあるいは原子炉を賢い得るという状態を作るということがまず第一の問題であって、その条約に免責条項とか安全性とかいろいろ問題が関連してくるのではないか、だからこの条約を作ろうという意思の方が先でなければならぬと思うのであります。そういう点についてどうも一般的には違った考え方を述べておる人もときどきあるようでありますけれども、団長として行かれました安川さんとしては、私はまず買い得る状態を作るための一般協定というものを一日も早く結ぶべきである、こういうようにお考えになっておると思うのでありますが、どういうようにお考えになっておるか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  67. 安川第五郎

    安川参考人 ただいまの御質問は、当然前田委員の御意見通りでありまして、せっかくここまで話が進んでおりますけれども、結局最悪の場合を考えてどうも一致点は見出せぬので、悪い結果を想像してみると、結局いつ協定が調印されるかわからぬというようなことでは、これはもう話は進められぬことは私も覚悟をしております。しかし、協定の問題は、事外交にも関しまするし、また多分に政治性が織り込まれなければならぬ問題で、われわれのような開発を目的としておる営利会社の幹部として、これを早く協定を結んでもらいたいとか、あるいはこういう条件をぜひ織り込んでいただきたいとかいうようなことを申し上げて、いささかでも交渉に悪い影響があるということは、非常に慎しまなければならぬと思って、協定問題にはあまり私見といえども申し上げぬことにいたしたのであります。ただいまの御質問がありましたので、私の考えを申し上げると、むろんこのお話を予定通り進めるためには絶対に協定先行しなければならぬ。まずそれは見積りを出すくらいまでは、あるいは先方が覚悟をすれば、協定がどっちにいくかわからぬままでも、出すだろうと私は予期しておりますが、それから先の工作はどうしてもこの協定の目鼻がつかぬうちはちょっと手が打てないんじゃないか、それかといってここまできた話を順調に進めるために、ある条件はがまんしてでも、早く協定を進めていただきたいということは私から申し上げたくないのであります。これはなかなか影響するところが、未来永劫に響くわけでありますから、十分政治的、外交的に慎重な態度をとって将来禍根の残らぬような方法でうまく協定を結んでいきたい、そのためにこの商談が多少あるいは半年なり一年なり延びても、それは会社としてがまんする覚悟でおります。しかしこれは結局協定がととのわぬ、極端なことをいえば未来永劫この協定はできないということになれば、これはもう大問題で、これは私らもやはり相当の覚悟をしなければならぬ問題だと思います。いずれは協定がととのうということであれば、半年や一年急いで妙な協定をしていただくよりも、十分将来の見通しをつけた上で協定を慎重に結んでいただきたい、これが私の率直な考えであります。
  68. 前田正男

    ○前田(正)委員 そこで、その協定の問題は、その協定の内容で免責条項等いろいろ問題にたっておるようでありますけれども、われわれはそんな条約上の問題はこれからの国家間の交渉の問題でありますから、われわれとしても、国家の強力な態度で、今お話のように工合の悪い条件なんか入れてもらいたくないのでありますけれども、この協定を結ぶということは、要するに日本において国産ができない段階においても、とりあえず外国から原子炉を買ってきまして発電をしようということが、この協定の第一であります。まあ原子力発電会社ができたということは、これは民間としての発電をしようという意思決定でありますけれども、要するに国家として、原子力の発電をしようということの決定ということになれば、まず条約を承認されるということが第一だと思うのであります。そこで、私たちはこの条約を承認することの国家的な意思をきめるということは、これは原子力の発電をしようということでありますが、この問題において一番問題になるのは、その原子力の発電をしようということによるいろいろな影響、特に安全性だとがそういった問題に対するところの国家の責任、保障という問題が出てくるわけであります。そこで私たちはこの原子力の発電をするということは、将来原子力が平和利用ということに限られる以上はどうせ原子力の発電をしなきゃならぬ、従って、その中で一番問題の起る安全についての政府の責任ということになってくれば、燃料の問題があるから、原子力平和利用というものを一番初めに始めるときの原子力基本法のそのときから、私たちは、原子力燃料は燃料公社というものでやって、その燃料等から一番危険の起りそうなところの責任、安全性というものは、公社である政府機関、いわゆる政府で責任を持たなきゃいけない、従って、この燃料というものは国家が取り扱うべきものであるというふうなことで、現在まで原予力の平和利用というものを推進してきておるのであります。最近よく燃料の国家管理がどうとかいうようなことは、この一般協定の免責条項のことから起ってきたというふうに新聞で非常に誤報しておりますけれども、こんなことは全然誤まりであります。これは一般の免責条項なんということは今起った問題でありまして、私たちは、この燃料の問題というものを国家所有にすベきかどうかということは、一番初めに原子力基本法を作るときから原子力燃料をどう取り扱うかということで公社の問題を取り扱ってきたのであります。これは当然私たちはいつまでも永久にこうあるべきとは思いませんけれども、少くとも皆さん方が原子力の発車をされるのに、当分の間は共同の形態でやろうということで原子力発覚の共同会社を作っておられるのであります。将来原子力燃料というものが非常に安定してきて、また一般の商品として売買されて、非常に不安定でなくなり、皆さん自身もこういうふうな共同の発電会社を作らなくても、原子力発電というものが普通の火力発電と同じように心配なくやれる、こういう時代が来たならば、それは燃料の取扱い方というものも、またその安定性についての政府の責任というものも変ってくるし、また条約自身も変ってくると私は思います。条約自身も、国際原子力機関ができたり、あるいはその他の関係で変ってくると思うのであります。ところが、私たちのはなはだ遺憾に思っておりますのは、この燃料の問題について、安川さん自身も属しておられるところの原子力産業会議だとか、そういった方面からも異論があるとか、あるいは安川団長のお帰りになりましたときの記者会見のときの話にも、民有の方がいいとかいうふうなことをしゃべっておられるのであります。これは、なるほど将来の問題としては、そういう安全性ができたときは別問題でありますけれども、現在の段階において、われわれは、原子力平和利用というものを推進してきた、この現在の国民に対する国家の責任という立場から見て、私は、現段階においては、当然燃料は国家所有でやらなければならぬ、こう考えておるのであります。その問題が解決しないと、原子力発電といいますか、原子力というものは安全であるということが世界的に解決されるまでの間は、日本とアメリカ、イギリスとの間でも当分条約は結べない。さっきのお話のように、半年や一年くらいでなしに、とにかくこれが安全だということが確認されるのは、原子力発電会社が解散されて、各電力会社が発電されるときだと思いますが、それは数年後だろうと思いますし、あるいは十年後かもしれませんし、それまでの間は、これはとにかくわれわれが主張してきたように、国家が責任をとらなければならないということであります。安全性の問題がなくなるという時代は、なかなか来ないと思うのであります。あるいは五年ないし十年というものは、協定も結ばれないという立場でいるということでは、この発電会社自身の運営というものは成り立たないのではないかと思うのであります。その点について安川団長の御意見を伺いたいと思います。
  69. 安川第五郎

    安川参考人 先ほど申し上げましたように、この問題については、私はあまり強い主張とか会社を代表した意見とかは申し上げたくない、実はこの問題については今まで触れずにおったのでありますが、たまたま羽田に到着すると同時に、新聞記者会見の席で、こういう問題が日本の国内に起っておるが、あなたはどういう考えかと言うから、私は個人的に、それは国家管理よりも民営の方を希望するということを、率直に私の個人的な意見として申し上げたまでであります。それじゃどういう根拠でそういう意見を言ったかというと、ただいま前田委員からるる法律上の問題と、従来燃料公社などが創立されたいきさつ、歴史等から、当然これは国家の管理でなければやっていかれない、また協定もこの線でなければ成立し得る見通しはつかないというようなお話をるる承わって、しごくごもっともと思います。だから、法律上あるいは手続上の問題については私はかれこれ申し上げる材料を持つでおりませんが、ただ実際問題として、燃料を国家管理にして、一体うまく燃料の日本における独立生産、燃料の改良ということが、徹底的に、外国と対抗して行い得るやいなやという実際問題を考えると、私も多少実業界で、これとは全然違う品物ではありますがやってきた経験と、それから最近原子力研究所——これはほとんで政府機関と申し上げていい特殊法人でありますが、これを運営した経験からいって、政府の管理じゃなかなか遅々として思うように動きがとれぬのじゃないかというような、私の体験と感想から出た希望を申し上げたまでであります。しかし、協定問題は、ただ希望だけで、その希望が通されると限ったものではない。いろいろ外交問題、政治問題があることでありますから、私はこれをどこまでも民営でなければできないという主張をするわけじゃありません。ただ私の経験等からして希望を申し上げたまでにすぎませんから、どうかこの線に沿って、十分各方面から検討されて、慎重な態度で協定問題を解決していただきたい。ただ急ぐためにやむを得ずこういりような条件でも成立を早めるというようなことのないように、私はお願いしたいと思います。
  70. 前田正男

    ○前田(正)委員 それでは時間がありませんので、今の問題はもう少し問題としたいところがあるのでありますが、また別の機会にお願いしまして、もう一点だけ最後にお聞かせ願いたいと思うのであります。先ほど来安川団長並びに一本松団長あたりからも、イギリスの炉の経済性の問題をお話しされ、また一本松団長からは、仮定の計算に基くキロワット当りの単価の値段が発表されておったのでありますが、いずれまたその内容の仮定の条件等も、できたら一つ書類でこの委員会にいただきたいと思うのであります。しかし、問題は、この経済性ということになりますと、単にイギリスコールダーホールの単価というものを出されて、それと単に現在の新鋭火力との門の経済性というものたけを、検討されるというのは、少し手落ちがあるのではないか。原子力発電会社としてこういうふうな発電をされたいということならば、当然それはイギリスのものも検討されなければいかぬでしょうか、そのほかに、これと同じようなものを作っておるところのアメリカであるとか、あるいはまたフランスであるとか、あるいはドイツもそうでありますか、また現在イタリアにおいても国際入札で比較検討しておるようでありますが、少くともアメリカのこれに対する見積りをとられて、比較検討されるということが当然必要ではないか。それでないと、これは果して経済性があるかどうか、同じような資料条件において——その形式の度はコールダーホールと違うかもわかりませんが、その単価とか経済性という問題に対しては、当然このコールダーホール・タイプか有利であるかどうかということを比較検討すべきではないかと思うのであります。しかもなお、発電会社で民間の資本でやるということになっておりますけれども、その金は、相当政府関係の方の融資だとか、あるいはまた外賃について借款をされるについては、当然国家がある程度保証しなければならぬとか、いろいろな問題が起ってくるのでありますから、単にイギリス三つグループだけ比較検討されるのでなしに、その他の国との間の経済性について比較検討され、国民にやはりコールダーホールはこういうふうな値段だ、あるいはアメリカの方が災い値段が出ても、コールダーホールならこういう点において、たとえば安全性においていいとか、あるいは燃料のサイクルの立場からいいとか、とにかくお互いに比較検討されなければならぬと思うのであります。値段の比較をすると、多分アメリカの方が安い値段が出てくる。これは理正論的にわれわれは考えられるのでありますが、しかし必ずしも安い値段が国家に有利かどうかということも疑問でありますけれども、一応原子力発電会社としては、東海村にどれだけの電力を起さなければならぬということを考えておるのでありますから、それに伴っては広く比較検討さるべきだと思うのであります。団長としては、その点どういうふうにお考えになっておるか、お尋ねしたい。
  71. 安川第五郎

    安川参考人 これも御説ごもっともに拝聴いたしました。しかし、イギリスの式のものは、計算はともかくとして、コールダーホールは、これは一応試験的な設備と申すべきでありましょうが、とにかく十方キロ程度のものがすでに運転を開始して、相当その結果というものが技術的、経済的に実績が現われておる。ただいま雑談中のものは、これはまただいぶ容量も大きくなります。でありますから、おそっらくコールダーホールの半分の設備よりも、もっと経済性は有利になるものとわれわれは判断せざるを得ないわけであります。一方アメリカが今運転を始めておるというのはシッピングポート一つと申し上げていいかと思うのですが、これも容量は六万キロというのでありますけれども、われわれが視察した日も、不幸にして全部炉はシャット・タウンをされて起る。ほとんどこれは半分以上研究の方で使われておるような形で、先生に聞いても、これはコストその他は問題にならぬ、第一、建設費が予定よりも莫大に、何倍というほどかかっておるということは、ウェスティングハウスのその方の相当の技術者が極力弁明をして、初めから十分な計画を立ててやったのではない。さあやろうとしたところが、図面が完成しない。材料はきているが、図面が完成しないためにいたずらに時日を経過しておる。そういうような初めての仕事であるために、いろいろの大へんな手違いが起って、こんなに高くなったのだ、そういう弁明をしたところから見ても、いかにその建設費が高くかかったか、また運転費にしても、今の段階ではわずか一〇%か二〇%のロード・ファクターでは、これは計算にならぬことは大よそ想像がつく。そのほかドレスデンに建設中のは約三割程度完成いたしておりますが、これは、聞くところによると、建設費が予算よりも相当狂っておる。その狂っただけのコスト高は全部工事をやっているゼネラル・エレクトリックがかふる。コンモンウェルスは約束の四千五百万ドルですか、それよりも一歩も金は出さぬで済むのだ、こういうこともコンモンウェルスの担当者は言っておるくらいで、これは相当コストは高くかかっておる。またウエスティグハウスも、普通のプラントとして今やっているヤンキー、これは私は実地を見る時日がなくて、話だけ聞いたのですが、ドレスデンほどは工事が進んでいない。そのほかはサンフランシスコの付近のバレシトスに五千キロのGEの試験用の原子力発電所運転しておりましたが、これは容量からいっても五千キロ程度であって、全く試験用の発電設備であって、経済上はもう聞くだけやぼというような格好で、あまり調べもいたしませんでした。今そういうような段階だから、まず第一基としてはコールダーホールに結局は集中するだろう。それはオープン・ビッドで、あらかじめ全部引き合いを出してとるが筋合いでありましょうが、これは先ほど申し上げるようないろいろな調査団のいきさつからいって、今さらまたアメリカとイギリスと比較研究するという手数を省いた方が実際的だろうということで、われわれは予定の行動を踏襲したようなわけで、もし会社かもう一基備えなければならぬということであれば、これは当然私はアメリカ式の原子力発電所を考えなければならぬ、こう考えております。
  72. 田中武夫

    ○田中(武)委員 議事進行——幸い今、正方国務大臣が見えたのですが、先ほどから問題に会っております東海村の問題について、大臣の所見を聞きたい。でなければ、今、参考人諸氏から話を伺っておる件につきましても、いわゆるイギリスへ参っての調査の前提が東海村ということを予定して調査せられた。耐震性の問題にいたしましても東海村だ、こういうことでありますので、もしその東海村の問題が、先ほどの佐々木局長の答弁のようであるなら、それでは東海村が変るならもう一ぺん適宜をやり直すのか、こういうことになると思うのです。従って、どういう点から東海村を予定せられたか、東海村ということを前提としてどういう点から調査されたか、そうい、点について正力委員長から責任ある所信を聞いた上で質問を続けていってもらいたい、こう思います。
  73. 齋藤憲三

    齋藤委員長 田中委員にちょっとお諮りいたしますが、坂田参考人が所要のために退席を求められております。原茂君が特に坂参考人に質問要求をされておりますから、この際、原茂君に質問を許したいと思いますが……。
  74. 田中武夫

    ○田中(武)委員 はい、けっこうです。
  75. 齋藤憲三

    齋藤委員長 原茂君。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がないところ、まことに申しわけありません。一点坂田先生にお伺いしておきたいと思うのは、先ほど一般的な立場から三つ四つ意見をお伺いしたわけなのですが、結論的に言いますと、まだ現在の原子力発電そのものか、コールダーホール改良型にしましても未完成であり、可能性を十分含んでおるものだという意味で慎重を期すべきだという御意見に拝聴いたてたわけであります。その全体の慎重にすべきだという御意見の中に、ちょうど今私が先生にお伺いしようと思ったことを前田委員から実は今発言されたわけなのですが、やはりイギリスにのみ現在の調査研究の対象を求めずに、諸外国の現在計画中のもの、あるいは研究中のものに対して、もう少し十二分の比較検討をすべきだ、こういう立場で、先生からも、やはり慎重に現在この問題を解決しようとなさるなら、発言があってよろしかったんじゃないかと思いましたので——現在日本よりあとから計画しながら、すでに早く進んでおるイタリアの北部か何か忘れましたが、発電炉の問題もありますし、そういったものも、やはりできるなら現地における調査等も行なって、これとコールダーホールの比較検討をすべきだということを当然先生のお立場からお考えになってもいいのじゃないか、こう思いますので、もし必要があるなら、単にイタリアのみでなくて、フランス、ドイツ等も比較検討の対象になさるべきだと思います。これに対して、その必要性を一点先生さらお伺いしたいのと、すでにそのような調査といいますか、研究を、先生の今おやりになっております原子力問題の委員長という立場から、この研究の磯関がすでに何らかの研究、比較検討をなさっておられるのか、これが第二点。もう一つは、やはり慎重の上にも慎重を期そうとなさるなら、現在の段階でただ米英のいわゆる民主主義グループといわれる側にのみこの研究対象を求めている今の日本の現状が、どうしても私どもにすると、非常に心もとない、実際には半分だけしか見ていない、大きく言うとそういう感じがするわけです。こういう点から、やはり外交技術上の問題等は、先生の立場からは考慮なさらずに、ずばりといえば、ソ連の発電に対しても、相当の何か入手できる機会があって研究をされておられるのか、あるいはもしその自由もなく、十分な研究ができないというならば、この原子力問題研究委員長というお立場からは、むしろ積極的に原子力委員会なり政府なりに対して、ソ連の原子力発電に対する調査研究が進められるように、十二分な資料が得られるように勧告をなさるべきではないかというふうに考えますので、その三点について御意見をお伺いしたい、こう思ってお呼びとめしたわけです。
  77. 坂田昌一

    坂田参考人 大体ただいまの御意見のように、私もそういうようにしなくちやいけないと思うのですが、先ほど申しましたように、私の観点は、現在の原子力というものに対する私たちの考え方で、それがたとい発電用の原子炉の問題にいたしましても、非常に未確定の要素もございますし、今後どんどん急速に進歩していくということを考えに入れないといけない。しかし、そのほかに、またさらに新しい可能性というものが基本礎的な学問の研究の中から絶えず現われてきて、そのこと自身が原子力態勢あるいは科学技術の態勢というものを根本的に変えてしまうような事態が起らないとも限らないということも考慮に入れなくちゃいけないと思います。それからもう一つは、安全性の問題というのは、この原子炉の問題につきましては特に重要に考えなければならない。そういう三つの観点から、この原子力の問題は見なければならないのだ、そういうことを申し上げたわけでございますが、そういう観点からいたしまして私がまず最初に申し上げましたことは、昨年の暮れ原子力委員会のお出しになりました長期計画というものが、動力炉の問題だけに限定されての議論をされておりますので、そういう点をさらにもっと広い観点からしていただきたい、そういうことであったわけであります。今の御質問の第一点は、その中のさらに動力炉の問題についても、いろいろな国でどういうような状態において行われているかということも十分検討しなければならないということ、これは私も当然そうしなければならないことだと思います。ことに最後の第三点に関連しておっしゃいましたように、政治的な問題を離れて、世界中のあらゆる国における原子力の開発状況はどういうふうなものであるかということを調査しなければならないと思っておりますが、それには私が先ほど申しましたように、この九月のジュネーヴ会議というのは、非常にそういうことが出そろってくる時期ではないか。それを見て私たちはかなりいろいろな点が検討できるのではないかというふうに考えております。まあ私どもの学術会議の方におきましても、いろいろ調査等をいたさなければならないわけでございますけれども、御承知のように、学術会議は非常に弱体でございまして、委員等もすべて兼任の者が大部分でございますし、調査費等もございませんので、あまり十分なことができませんので、なかなか十分職責が果せませんのを大へん遺憾に思っております。こういう点も科学振興と関連させまして、何分にも御援助いただきたいと思います。第二点はどういうことだったのでしょうか、どうも恐縮ですが、ちょっと私聞き漏らしたのですが……。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 第二点は、そういう今やっておられる研究委員長という立場から、もう少し先ほどの御発言の中に、久国を比較検討するというような、たとえばイタリアならイタリアをもう少し慎重に実際やっておるところを研究調査すべきだという立場が強調されてよかったのじゃないか、こういうふうに考えましたので、その点の御発言のないことをお聞きしたのです。
  79. 坂田昌一

    坂田参考人 お説の通りで、そういうふうに私たちも努力したいと思いますし、また機会あるごとに原子力委員会等においても、そういう点を考えていただきたいということをお願いしたいと思います。
  80. 齋藤憲三

    齋藤委員長 先ほどの田中委員の発言に対し、正力国務大臣より発言を求められておりますので、この際これを許します。正力国務大臣。
  81. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 原子力動力炉の敷地につきましては、御承知のごとく、最初原子力研究所の敷地をきめることでずいぶん論議され、研究もして、そうして東海村にきめたのであります。その東海村にきめるときに、研究炉ばかりでなく、動力炉もあそこでやろう、つまり動力炉研究炉と両方置くという意味で原子力委員会が決定したものであります。従って、今度も大体その方針に沿うておりましたけれども、しかし、なおコールダーホール型の実際を見て、絶対に場所をほかに変更することはできないというわけでもないのですから、まだ決定的にはきめてはおりません。しかし、大体そこにやろうという方針をきめております。
  82. 田中武夫

    ○田中(武)委員 研究炉を東海村に置かれる際にあわせて動力炉のことも考えた、しかし、東海村に決定したものでもない、こういうような御意見だと思います。そこで、それを安川さんにお伺いしますが、あなた方調査団は、頭から東海村という上に立って検討なされた。そして、そういう上に立っての調査をして来られた、こういうように格参考人の御意見を拝聴したわけです。これは一体あなた方が東海村というものの上に立ってなにせられたのか、あるいは今、正力委員長がおっしゃったように、そういう意思があったので東海村ときめて来られたのか。おなた方の先ほどの参考意見では、東海村に確定しておる。その確定しておる東海村の上に立って調べてきた耐震性の問題あるいは補償の問題もそうだったと思うのです。そうだとしたならば、一体東海村ということについては、どっちが主導権を持って設計書をこしらえたのか、それからまた今、正力委員長が言われたように、もしこれに決定していないということであれば、もしかりに他に変るということがあるとすれば、今回の調査はもう一ぺんやり直す、こういうことになるのですか。
  83. 安川第五郎

    安川参考人 少し誤解があるように思うのは、武藤さんから、東海村は地震が少いということから、会社としてはもう東海村に置くときめたというようなふうにお考えになったように拝察するのでありますが、これは決して会社はまだ決定されないものを決定したがごとく取り扱った覚えはないのであります。ただ、先方と折衝する上において、全然敷地をどこに置くのやらわからぬ、その地質はどういう地質のところかわからぬ、環境は、水の関係だしとかその他がどういう立地条件であるやらわからぬというのでは、これはいかに何でもコンストラクションのコストというものは立てようがない。詳しくいえば、非常な詳細な地質調査まで持っていかなければ、向う計算の根拠は立たぬわけであります。それでありますから、決定しないまでも、ある一つの予定地をこしらえて持っていかないと、これはもう計算にならぬのだから、一応今のところでは、東海村が第一候補にあげて差しつかえないという内示を当局から受けたのをもとにして、今までできた研究所でやった地質調査資料をもってわれわれも先方に当った、それでこういうところを予定してでいる、しかしこの敷地はまだ決意正したわけではないから、いよいよ購入する場合にはどこに敷地が移るやらわからぬ、移る場合にはこの敷地の変更についてのコストの変更は認める。しかし、第一回のコストのエスティメーションは、この敷地に置くものと定して出してもらいたい。そのほか仮は、敷地のみならず、いろいろその後においてわれわれはまた変更を加えなければならぬ必要が起るかもしれません。そういう変更に対しては価格の変動は許す。七月三十一日までに出したものをどこまでも、お前の方はこのコストでやると言ったから、変更を加えても、このコストは動かさぬ、こういう意味ではない。将来の変更は、いろいろ立地条件その他で変更を加えることができるという、ことをうたって、見積りを出させてありますから、もし東海村ができない、これには動力炉は置けない、ほかのところに設けなければならぬということになれば、その点だけを変更することは、これは両方の話し合いで簡単にできることで、全部の交渉をもう一ぺんやりっ直す必要はさらにないのであります。その点、誤解のないように願います。
  84. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は言葉じりにこだわるわけではないのですが、先ほど私の質問に対して一本松参考人は、われわれは東海村を予定している、こういったような意味のことをはっきり言われたと思う。また武藤参考人も、耐震性の問題についての先ほどの御発言のときに、東海村ということに重点を置いて説明された。また私が一本松参考人に価格のことをお伺いしたときもそうだ。そこで、われわれは東海村を予定して云々、こういうことであったので、それでは一体東海村ということをだれがきめたのだ、こういうところからこの問題が出てきったのです。そこで、お伺いしたいのですが、もちろん交渉する場合に、全然予定地がなければ折衝もできないと思う。従って、予定地としての東海村というのはこれはわかるのです。だがそれをあなた方が自主的に考えられたのか。当局から先ほど指示があった云々、こういうことであったと思うのですが、それでは正力国務大臣にお伺いするが、原子力発電株式会社調査団に対して、東海村というものを前提としろという指示を出されたのか、指示をなされたのはどういう根拠に立ってなされたのか、当然閣議において総理大臣が決定しなければならない問題について、あらかじめ国務大臣があなたの責任の上でそういうような内示をせられたのかどうか、そういう点を明らかにしていただきたい。
  85. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 原子力会社から今度イギリスコールダーホール炉を買いに行くについては、敷地を東海村へ予定してよろしいかという話が実はありました。それに対しまして、私は先ほど申し上げたごとく、最初あそこを指定するときに、すでに研究炉とともに動力炉を置くという前提のもとにあれをきめたわけであるから、むろん今の通りに原子力委員会としてはあそこに置く予定にしておるのだ、しかし、また実際において、あれは最後の決定ではないのだから、まだあそこを予定地として交渉してもよかろうという返事を会社へしたわけであります。
  86. 田中武夫

    ○田中(武)委員 えらくくどいようですが、もう一点だけ。正力国務大臣の話では、研究康子炉を置くとときに、すでに動力炉については検討したから、東海村を最初から予定したようにおっしゃった。ところが、今のお話では、会社側から東海村としていいかということであったので、それでいいとと、こう言った。その根拠は、先ほど言ったように、研究用の原子炉を置くときに動力用の原子炉についても検討したからそうであった、こうおっしゃった。そうするとどうなんですか、会社側の方が自主的、指導的な立場から東海村をきめて言うてきたのか、それともあなたの方からサゼスチョンされたのか、どっちなんですか。
  87. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先ほども申しましたごとくに、会社側の方から、今度英国コールダーホール炉を買いに行くについては、敷地として東海村を予定してよろしいかという話であった。それですから、先ほど申し上げたごとく、東海村はわれわれが研究炉を置くときにすでに予定したのであるから、こっちの方針としてはそれでいくのだという返事をしたわけです。
  88. 齋藤憲三

    齋藤委員長 岡良一君。
  89. 岡良一

    ○岡委員 時間もたち失したから、ごく簡潔にお尋ねをいたしますから、簡潔にお答弁いただいてけっこうです。そこでまず東海村の話が出ましたが、私は動力炉をどこに設置するかということは、安全性と不可分の問題だと思うのです。そこで訪英調査団委員会資料を見ますと、大体三万坪ないし五万坪、こういうふうに敷地の広さを設定せられておる。これは安全性ということを考えて御決定になったものですか、その点を一つ安川さんあるいは一本松さんに……。
  90. 安川第五郎

    安川参考人 それは、敷地としては、炉の占める面積とか、付属建屋の面積とかいうものを入れれば、あるいは何万坪要るのか数字は私はよく記憶しませんが、そう大した面積は要らないと思います。しかし、これを建設工事をやるということになりますと、材料の置場だとか、工事場だとかいうようなことで、とても三万、四万というような数字では私はできないと思います。それから、原子炉と人家との一定の距離というものは、これはどこの国に行って見ましても、ある程度の距離は必要でありますから、決して建屋プロパ一の面積でいいということはと言えないのですが、おそらく、三万、四万という数字は、建屋の占める面積を指定したものと私は考えております。
  91. 岡良一

    ○岡委員 それでは、この三万坪ないし五万坪という敷地の広さというものは、安全性は何ら考えない、ただ建設のために所要な敷地、こう理解していいのですか。
  92. 一本松たまき

    一本松参考人 イギリスにおきましても、原子炉の敷地は案外小さいのであります。五万坪とか、大きいところで十万坪程度であります。しかし、今の安全性の見地から、モニター施設というのをやっております。
  93. 岡良一

    ○岡委員 それはあとで聞きますから。
  94. 一本松たまき

    一本松参考人 それで、東海村におきましても、原子炉を置きますところは、三万坪程度でいける、モニター施設でそのことを補充していきたいと考えております。
  95. 岡良一

    ○岡委員 ただ敷地の問題は、この間パネルの席上で、どなたから非常に有益な資料を図解していただいたのですけれども、これはここに持ってきておる科学朝日に載っておりますが、現にアメリカのアリゾナ州の国立研究所の敷地は、ここに来て見ていただいてもいいし、差し上げてもいいのですが、水戸、日立も一ところにおさまるような、実に大きなところです。東海村というのは、これじゃかけらにも見えないようなところになっておる。こういう大きな敷地をとっておる。それから、あなた方ごらんになったと思うが、英国では、コールダーホールウインズケールの最短距離の駅は、急行列車もとまらない。こんな距離でしょう。あるいは、あなた方はおそらく帰りにアメリカでごらんになったと思うが、ゼネラル・エレクトリックのバレシトスにしても、あるいはサンタ・スザンナの山奥のノースアメリカンの動力実験炉にいたしましても、全く西都劇に出てくるような人跡まれなところに作っておる。ところが東海村あたりは、この間私ども行って参りましたが、あれでは——アメリカ、英国でさえも、この位置というものには非常に考慮を払っておる。これはひとえに安全性というものを考えている。そういう意味で、東海村という位置、そしてその敷地というものは、安全性という観点から妥当でございますか。モニターをすると言われますが、モニターをしたって、有害な放射能がまき散らされてしまった結果では、何にもならないのです。だから、ああいうところで、あれだけの敷地でもって動力炉というものを置くのは、安全性の見地から非常な冒険だと思います。あなた方は安全であると思われますか。イエスかノーかだけお聞きすればいい。
  96. 一本松たまき

    一本松参考人 シンポジュームでのお話は伺いましたが、アリゾナとか、アメリカにおける研究、これはいろんな施設をやりまして、いろんな実験をやるところの施設であります。イギリスにおきましては、実際の発電所をやります場合には、近いところにも人家もありますし、東海村に比べてどうにもならぬというほどの差はないと、私たち現地をずっと見て参りました。それからアメリカにおきましても、将来動力炉を置く場合には、都市にきわめて近いところに置くつもりである。そのときには、土地も非常に限定されてくるということです。
  97. 岡良一

    ○岡委員 原子力発電は、アメリカは実用化のためにやっておる。たとえばシカゴの郊外のドレスデンであります。私どもドレスデンで、コンモンウェルス・エジソンの建設の事務をやっておる人に聞いてみた。あなた方は、土地の条件に何を条件とされておるか。動力炉はまず人口の稀薄なところで、あそこは半径一マイルくらいのところで五人以下なんですよ。そうすると、東海村と大へんな差異じゃありませんか。あなた方が出張して見学されたら、安全性という問題については、こういうことをよくやはり見てもらわなくちゃいかぬ。一体東海村は、こういう実例にかんがみて、果して安全性の立場から安当でしょうか。人口の密度という点で、どういうふうに御計算をされて、安全だという判定を一体されましたか。東海村とその周辺の人口密度というものを、どういうふうに判定されたか。
  98. 一本松たまき

    一本松参考人 ドレスデンにつきましては、私たちも参りまして、その土地を十分に見ました。あすこは約百万坪もある土地の中に作って、将来それをふやそうというふうにしております。その土地を選んだということにつきましては、これが初めのものであるから、慎重を期してこういう所にやったということも、おっしゃった通りであります。しかし、将来の原十方発電所は必ず都市の近くに置くということを私は聞いて参りました。それから、イギリスなどの現在建てております所、及び予定しております所の状態を東海村に比べますと、非常な差異はない、そういうふうに考えております。
  99. 岡良一

    ○岡委員 将来は安全工だと言われますが、将来は安全になってもらわなければ困るので、将来でなく、現在のところを私は聞いておる。特に今、こうして大きな犠牲を払った日本人とすれば、国民感情としても、安全性という問題には非常な関心を注いでおるわけでしょう。そういうときに、万一の事故に備えて、まず土地の広さとその設置場所、位置というようなものについては、私は安全性という立場から顧慮されなければならないと思う。東海村を決定する手続のいかんは別といたしましても、私はこれでは安全性という立場からは少しも顧慮され、おらないと思う。安全性という立場から顧慮されたならば、安全であるということの納得のいく基準をお示し願いたい。五万坪で安全というなら安全であるとか——人口密度は、東海村は一体どれだけあるのですか、それをはっきりお示し願いたい。
  100. 一本松たまき

    一本松参考人 五万坪ということに、私たちはそうこだわっておるわけじゃありません。あれは、御承知のように両方に松林がずっとありまして、これは農林省の関係あるいは保安林の関係で、あれを切らないようにしておりますし、その両方の松林の真中の一番都合のいい所に、約五万坪ほどの土地を選定しておるのでありまして、その周囲には相当な広い空間があるわけであります。それの比較の数字を示せとおっしゃいますが、これはまたあとで調べましてお知らせすることにいたします。
  101. 岡良一

    ○岡委員 あなた方は、アメリカ、アメリカとよくアメリカのことを言われますが、アメリカの原子力委員会が公表しておる「大型原子力発電所の大事故の理論的可能性と結果」、これはお読みになったと思うが、この中でも、アメリカの大規模な動力炉の設置の条件というものが書いてある。これでは、大体敷地の面積は半径二千フィート——五万坪ですよ。それ以上ですよ。しかも、それは大都市、人口百万ぐらいと想定し、その大都市から三十マイル離れていなければならない。こういうことも想定しておる。今、水戸や日立や、あるいはその周囲には、この三十マイル以内に合わせれば、百万以上の人口が占めているじゃありませんか。こういうデータを見ますと、あなた方は、その位置、敷地の広さ、人日密度等の関連に起ける安全性というものは、何ら考慮されておらないと申し上げるより私は仕方がないのです。
  102. 一本松たまき

    一本松参考人 初期のものに、平方根何とかというむずかしい式がありましたことは私もよく知っておりますが、今日は、アメリカにおきましても、さような数字は再検討する段階になっておると伺っております。アメリカのことというよりは、イギリスの方のことを、私たち当面の対象としまして、そのイギリス状態にさらに安全になるように、数倍の、安全度を加えたものを作っていきたい、こういう考えであります。
  103. 岡良一

    ○岡委員 イギリスの安全度といえば、あなた方、ウインズケールからコールダーホールに行かれたと思うが、それまでの間に何軒の人家が見えますか。イギリスイギリスと言われますが、とにかく向うの人は、安全性ということに対しては、人跡まれなる、しかも大都市から全く離れた所ということを条件にしていることは、いなめないと思うのです。そういう意味で、東海村を選ばれるということは、原子力委員会としても一応予定して、それを承認されたということは軽率だと思うのです。先ほど来の話を聞いても、行かれる前に東海村を選ばれたときには、その東海村の位置あるいはその敷地、またその人口密度については、安全性という観点からは何らの御検討がないということが一応明らかになったわけです。それから、先ほど参考人のどなたかもおっしゃいましたが、今度はコンテイナーはつけられないのですか。
  104. 一本松たまき

    一本松参考人 コンテイナーの問題につきましては、先ほど山田さんから御指摘がありました。これはわれわれも最も重要と考えまして、十分にコンテイナーの問題を研究いたしました。と申しますのは、安全に関するあらゆる問題が、みなこのコンテイナーの問題にからんでおるからでありまして、先ほど山田さんも、燃料が全部溶けてくる、それからダクトがこわれてくる、こういう意地の悪い事故が重なって、起ったときは相当問題じゃないか、こういうふうにおっしゃいましたが、そういう事故イギリスにおいてはもう起らないように、それぞれのところで抑えてあるから、大丈夫なんだというふうに私ども説明を受けたのでありますけれども、安全の問題の重要性にかんがみまして、それだけでは十分ではないから二重、三重上の安全度を増して、コンテイナーなしでも十分にいけるという確信を持たなくちゃならぬということで、あらゆる調査をいたしたわけであります。その結果燃料が溶けるという問題に対しまして、これはコントロールつまり制御棒かおりないとか、温度が非常に上るとか、通風がきかなくなるとか、いろいろな問題があるわけであります。この燃料が溶けることに対しましては、今度はあらゆる後備装置というものをつけて、たとえばファンがとまると温度が上るので、ファンがとまらないように、モーターの電源が切れると電気がとよるからく電源のほかにスチームで回す。温度のある限りはそれを回す。さらにもう一つバッテリーを置いて、最悪の場合には、それらがみんな悪くなってもなお遺伝を続けていく、そういうふうな何段もの後備装置を備えて、燃料の溶けることのないように十分の努力を払ったわけであります。それは仕様書にも書いてあります。それから次の問題のダクトがこわれる、これもさっき武藤先生がおっしゃったのでありますが、このところは五フィートばかりのダイヤの相当長い鋼鉄管でありまして、この部分がこわれてはいけませんので、これがこわれないように、地震の力からいっても2gというような非常に大きな力にも耐え得るように十分がんじょうなダクトを作って、これがこわれないように、イギリスでやっているよりははるかに丈夫なものを作りました。そうして、そのダクトがこわれてもなお燃料が溶けるに至らないように、空気の自然循環においてもそれが確保されるというように二重、三重の大事をとっております。それから、その上にさらにエマージェンシー・シャット・ダウン、緊急時のときにはリアクターをどうしてもとめてしまうという装置をいたしております。そういう三段がまえで燃料が溶けないように十分に厳重に縛ってあるものが、それが同時に起るということはきわめてまれなことでありますが、その上にエマージェンシーのときでも最後のところをきちっと縛ってありますので、われわれの炉はイギリスにおけるよりも数倍の安全性があるというふうに考えております。それでコンテイナーを置く必要はないというふうにわれわれは考えております。もちろん各国の状態を見ましたときもみなそういうことでございまして、イギリスにおいてはもちろんのこと、フランスにおいてやっておりますものもつけない。今つけておるのは試験用のもので、将来濃縮ウランを使うからつけるのだ、二台目の大規模の十五万キロ程度のものになったときにはコンテイナーは要らない、つけない、ガスクール型にはコンテイナーをつけない、つける必要がないのだ、こういうことを非常にはっきり申しております。イタリアにおきまして注文しておるものにおいてもコンテイナーはつけない。こういうように大体どこの国においてもこれをつける考えはないようでありまして、われわれは二重、三重の安全度をとった方式で安全を期しておるわけであります。
  105. 岡良一

    ○岡委員 アメリカは非常にコンテイナーを重要視しておるようであります。フランスも、私の聞いたところでは、やはりコールダーホール型にはコンテイナーをつけておる。そこで、私は安川さんにお聞きしたいのでありますが、それは先ほども申しましたように、万一を心配すれば飛行機にも汽車にも乗れないと言えるかもしれせんが十原子力の災害というものの公衆に及ぼす影響の大規模であることは、周知の事実であります。そういうことで、これは一つのことわざのような通り言葉になっておると思います。要するに失敗をしてからやり直しをしたのではだめだということです。原子炉に関する限りは、失敗をしてもまたやり直せばよいじゃないかというような安易な考え方ではなくて、念には念を入れる。特に日本の場合は、万一のことがあった場合日にはやはり日本の今後のと原子力開発というものに非常に大きな障害になるわけでありますので、そういう意味で私どもは念には念を入れるという立場から、このコンテイナーというものが必要だと思います。今、英国のお話もありましたけれども、英国は、私の率直な感じでは、原子炉の安全基準というものに対しては、日本よりも非常に後進国だと思います。コールダーホールにおける従業員の健康管理というものは、二カ月に一ぺんも検査をしておらず、常置のお医者さんは二人しかおりません。あんなことで原子炉の安全というものが保たれるはずがない。そこでウインズケール事故が起ったものだから、あわてふためいて二月十日に英国の下院でホルトという議員が、もっと政府原子炉の安全基準について考える必要があるのじゃないかと申したところ、これに対して動力省のホロビンという政府次官が、なるほどこれまで政府は安全基準について十分な関関心を払っておらなかった、そこで今後は安全を守るために、原子炉に対しては検査強化制度などを適用するためにも、安全を中心とする立正法措置を講じなければならないと言っており、これが十一月ごろに法制化されるといわれております。こういうふうにあなた方が安全だ、安全だと言っおる国の方が、あんぜん基準について事実今、国会でそういうことが問題になっておる。しかも安全だと思っていたが、ウインズケール事故が起って国会で問題になって、今から安全基準について立法措置をしようというのが英国の現状ですよ、あなた方はこういう事実を公正に見て、その上で日本の独自な立場から、独自国民感情から、安全性というものについてはほんとうに念には念を入れるということならば、私は当然安易な考え方を捨てて、コンテイナーを入れるということは当然だと思います。この点、安川先生はいかがですか。
  106. 安川第五郎

    安川参考人 むろんコンテイナーがどうしても必要である、それでなければ安全性について安心ができないということであれば、これはつけざるを得ないでありましょうが、われわれの断定では、コールダーホール型にコンテイナーをこしらえるということは、単にイギリスだけではなくて、むしろ一般の技術者から見て、あまりに金ばかりかけて、極端な表現を申し上げるかもしれませんが、屋上屋を重ねて、あんなばかなにとをしてというような結果になりはせぬかというような気がしたので、コンテイナーは設けない、またイギリス側としても、コンテイナーなどを問題に出しても、ほとんど問題にしないくらいに、これの必要性は認めておりません。コンテイナーは省くことに決定して、仕様書を差し出したわけであります。これはもっと日本でも、安全性については重要な問題だから、各方面で検討していただいてコンテイナーをつけなければ、これらは認めがたいというような意見に国論がなれば、これはまた会社としては考え直さなければならぬことだろうと思っております。
  107. 岡良一

    ○岡委員 敷地も狭い、位置も、非常に人口のどちらかというと稠密な地域という条件では、当然私は念には念を入れるという意味で、ぜひコンテイナーの点もお考え願いたい。そういうふうに、原子力に対する危険性について、どちらかといえば鈍感な人たち意見をあなた方取り入れて、そうして万一あとに悔いを残すようなことになったら私は重大な問題だと思うのです。そこで先ほど一本松さんからウィンズケールの事故について若干御説明がありました。実は私あなた方に期待したのは、お帰りになってから、ウインズケール事故の原因のほんとうのところを私はお聞きしたかった。これはなるほど炉の形式においてはコールダーホール改良型とは違っておりますけれども、やはり原子炉の安全性という問題に関しては、非常に教訓的事実だと思うのです。そういう点でウインズケールの炉は、今あれは二基とも閉鎖しておりますか、そうして牛乳の買い上げも現在やはり続行しておりますか。
  108. 一本松たまき

    一本松参考人 昨年の十月十日だったかと思いますが、あの事故が起りまして以来、あそこには二基ありまして、一基に事故が起ったのでありますが、今は二基ともとめております。いろんな調査をいたしておることと考えます。
  109. 岡良一

    ○岡委員 実は事故の原因に私ども非常な関心を持っておるのです。別に私ども専門の自然村学者ではありませんのでよくわかりませんけれども、とにかく政府の方でも白書を発表されて、そうしてウィグナー・レリーズに関連する事故であるということが項目別に説明された。ところが、それに関連して、英国の原子科学者からは非常な反論が出ておるわけですね。どんな反論がどこから出ておるかと申しますと、英国の「原千科学省たちは、本件に関する報告書中の「驚くべき誤謬」を訂正するよう首相に要請している。責任者エドウィン・プラウデン卿を通じて問題の誤謬について話合おうとする彼らの要求が拒否されたため、原因不明のつまま非難を受けねばならない当事者たちの怒りは項点に達した。」これは原子力産業会議からいただいた海外事情という資料です。それで、このウィンズケールの労働組合の指導者であるスタンレー・メイン、この人はやはりテクニストだと思うんですが、この人は首相に覚書を提出しておる。その中で最後にこういうことを申しておるわけです。「報告書の中で、この施設の破壊事故に責任ありと個人的に指摘された或る科学者は、加熱の決定を下したときその場所にいなかった。」いずれにしても、この報告書の中の事実の誤謬を指摘し、そうして最後にメイン氏はこの原子力公社総裁のエドウィン・プラウデン卿にこういう公開状送っておる。「数多くの実質的諸項目にわたって誤りを犯し、不十分なデータに関して早まった結論を下し、非難をするという不明朗さに抗議する——言い換えれば、張本人となるより身代りになることを怖れるからである。こういうように、私は英国人としてはずいぶん思い切った公開状だと思うんですね。一体政府の発表した事故の白書というものは、これによって完全に不合定されている。誤謬だ。だから堂々公開の席上で話し合おうというのだけれども、英国原子力公社は拒否したというのが実態なんです。これは論争は十二月の論争です。その後あなた方一月に行かれて、二月、何かこれに結末が出ましたか、やはり政府のウィンズケールの事故に関する白書ということで政府が固執しておるとすれば、私どもはやはりその事故の原因というものは現在まだ非常に不分明なものをたくさん残しておると解せざるを得ないのです。その点はいかがでございましょう。
  110. 一本松たまき

    一本松参考人 ウィンズケールの事故につきましては、公式の政府の発表は三都にわたっておったと思うのでありますが、あの報告書通りであって、それが誤謬であるとか何とかいようなことは、私たち聞きましたところでも、これは絶対に正しいものであるということでありました。今の不平といいますか、つまり申し入れを政府の方にされたということにつきましても、聞いてみましても、なかなかはっきりしたことはわからないのでありますけれども、まああの結末は、急従業員のとった措置に誤まりがあった、そういうことが一部にあるわけであります。そのあることに対して、従業員は相当一生懸命やっておるのに、どうも責任をかぶせられたということに対しての不平を申し入れられたということは聞きました。しかし、それがその結果どうということは、私たちよう伺えませんでした。しかし、現地におきましては、コールダーホールにおきましても、その他のところにおきましても、きわめて平静な態度でみんな仕事をいたしておりましたので、さようなことをあまり感じませんでした。
  111. 岡良一

    ○岡委員 不平のあるないということを私は申し上げておるのではないのですよ。問題は、先ほども申しましたように、いわゆる政府の白書なるものか「数多くの実質的諸項目にわたって誤りを犯し、不十分なデータに関して早まった結論を下し、非難をするという不明朗さに抗議する。」これはやはり英国原子力科学者の良心に立った抗議だと私は思います。政府は、軍事的理由もありましょうし、いろいろな理由から発表をためらっておることも私ども了解ができる。しかし、問題は、そういう上すべりな議論をごらんになって、政府の発表した白書がそのままである、こう単純におきめになったというところに、私は問題があると思うのです。それは、たとえばアメリカの原子力委員会の、先ほど示しました大型の原子力発電所事故の原因について探究しておる中でこういうことがある。たとえばたくさん起り得る理由を並べてあるが、長い期間にわたって、放射線が物質の物理的ないし化学的性質に及ぼす累積的影響は非常にわかっておらない、場合によっては重大な故障が起るかもしれないと言っておる。私はウィンズケールとこれを結びつけて技術的な討論をするわけではありませんが、物質が長い間放射能の照射を受けた場合における物理的な化学的な性質の変化というものがわかっておらぬ、ここに事故の原因を解くかぎがあると思う。そうすれば、まだ一年五カ月有余運転をしたという、それだけの経験では、私は累積的な影響というものはわからないと思います。ウィグナー・レリーズ自体がウィンズケールの炉を運転してから見出されたものです。しかも十年近い間に八回やっておる。そして十年目には同様な方法をやったけれども事故が起った。そこにアメリカ原子力委員会の、中性子の照射の蓄積的な影響による物理的な化学的な変化というものはわかっておらないということが事実上証明されているのではないか。こういう点は、私は専門でありませんで、ただ文献を読んで感ずることですが、ここにおられる橋口先生なり皆さんに十分御研究願いたいと思います。それから、私先ほど承わっておりますと、皆さん口をそろえて、行かれた方は、英国の方は絶対大丈夫だ、だからコンティナーなども要らない、こういうふうなお話です。それでは、英国は一体なぜ一月の初めの免責条項の修正を申し入れたのでしょう。そこまで英国が安全だとするならば、あんなものを持ち出す必要はないじゃないですか。あんなものを持ち出して協定を頓挫させる必要はないじゃないでしょうか。英国がどういう理由でああいう修正を持ち出してきたかということは、これはコールダーホール改良型の炉の安全性とも私は非常に密接な関係があると思うのですよ。日本コールダーホール改良型をもらいたい、そこで、やるにはやるが、これをのめ、こうして出してきた。それも一般的な抽象的な免責規定ではない。燃料に限って、免責規定を出したということは、英国自体が、あなた方がいかに大丈夫だ、大丈夫だと言われたところで、この炉の持つ潜在的な危険性というものを前提として出してきていると私どもは感ぜざるを得ないじゃありませんか。一体英国はなぜああいう免責条項の修正を持ち出されたのですか。あなた方は現地に行かれたのですから、この間の事情にも多少触れておられると思いますが、その点どういうふうに思いますか。
  112. 一本松たまき

    一本松参考人 ただいまの前段の方の御質問にお答えいたします。つまり放射能の障害というような問題に対しては、深く研究しなくちゃならない、ことにウィンズケールのような予期せざる事故も起るのであるから、慎重を期さなくてはならない、こういう御意見はまことに賛成であります。それでありますので、われわれとしては、安全問題に関しましては、きょうも最初に申し上げましたように、基本方針としまして安全第一でやっていきたい、さらに研究も進めていきたい、技術員養成もしたい、モニター方式なども十分文献等で研究していきたい、こういう方針でやってみるつもりでおります。ただ現段階におきましては、もうそういうことを並行して努力してみることによって、このコールダーホール炉の導入は差しつかえない、そういうふうに判断いたしております。免責条項の方は私は……。
  113. 安川第五郎

    安川参考人 免責条項とこの安全度の確保との関関連性について御質問がありましたが、これはちょっと私からお答えがしにくいのでありまして、果してイギリスが、ウィンズケールの事故があったから、あわてて免責条項を入れたのか、それとも入れる意思がもともとあって入れたのか、そこらは私にはいかにも判断がつかないのであります。ただ時期的に疑えば疑う余地があることは私も十分認めます。なお、交渉中に、この免責条項については一口も私の口からは出しておりませんし、また先方も動力協定の問題については一言も発言をしたことがありません。先ほど申し上げたように、これは非常に政治的に微妙な問題であるので、向うから問題を出さない以上は、こちらからも触れないというところで、終始免責条項については、私は先方の意中を探ったことはありません。ここで、どういう動機で免責条項を主張するのか、そこらは私の口からは弁明申し上げる材料を持っておりません。
  114. 岡良一

    ○岡委員 わかりました。もう一問だけ……。
  115. 齋藤憲三

    齋藤委員長 橋日参考人が帰られるということで、原委員が橋口参考人武藤参考人に質問したいということですから……。
  116. 岡良一

    ○岡委員 けっこうです。
  117. 齋藤憲三

    齋藤委員長 それでは原茂君。
  118. 原茂

    ○原(茂)委員 武藤先生と橋日先生にお答え願いたいと思います。先ほど橋口先生の御意見をお伺いしておりましたら、重要な問題なので、調査結果の公表をしてもらいたい、そのあとで、安全性の問題にからめて、やはり検討するための一つの機関を設けるべきだ、こういうお話がありました。そこでお伺いしたいのですが、その安全性というようなもののみに今限定されたわけですけれども、私は調査結果の公表をしますと同時に、その中を三つなり四つに分けまして、そういった検討をする一つの機関をお持ちになる、あるいは学究的、学者的な研究方式といいますか、そういう委員会等を作れという御意思だと思うのです。その場合には、やはり単に安全性のみをとらえないで、たとえばリアクターライフ等も十五年が二十年になったという報告もなされておるのですが、そういうこととがほんとうに正しいのかどうかということと、それからこれは武藤先生にも関係があるのですが、ただいままで論じられてきましたように、一応東海村を仮定して耐震性等を検討されたようですが、やはり真に安全性というものをお考えになるなら、あの東海村の土地が一番耐震的に安全性が高いのかどうか、あすこよりもっといわゆる耐震性という意意味からいって理相思的な土地があるかもりしれないというようなことをやはり調査するということが、前段にすでに行われていなければいけなかったのじゃないか。いきなり先生方の立場で東海村を仮定しろと言われたから仮定したといって今日これが進んでいきますと、いやでも七月末に見積りが来ますが、来てするするっと、忘れていると既成の事実になって、東海村に、何か一番理想的なところなんだという形で設置されてしまう危険がある。ほんとうの意味で広く炉の安全度というものを高めていくとするならば、この耐震性の問題に関してもやはり全然フリーな立場で、どこが一番耐震性という意意味からいうと安全度が高いのかということを、東海村に拘泥しないで、もっと理想的な土地があるなら調査すべきだと私は思うんです。そういう方法をこれからも行う必要があるのではないかと思います。この点をあとから武藤先生にお伺いしたいと思うのですが、やはり橋口先生もせっかく公表せよというお話でございましたから、そういった十五年が二十年に寿命が延びたということを簡単にうのみにしていいのか、耐震性の問題からいっても、やはりもっと広い先生方の研究できる委員会等をお作り願って、そうしてこういったものを部門別にじっくりと一つ研究する方かいいんじゃないか、こういうふうに考えますので、両先生から一つ意見をお聞かせ願いたい。
  119. 橋口隆吉

    橋口参考人 ただいまの御質問でございますが、私が先ほど申し上げましたときに、公表という問題とそれから組織を作っていただきたいという問題を二つ一緒にお話申し上げましたので、多少言い方が悪かったかと思うのでございますけれども、公表という問題は別に安全性に限るわけではございませんので、安全性以外の点でも、たとえば経済性の問題にいたしましても、いろいろ検討すべき問題がたくさんあると思うのでございます。公表という意味は、結局、日本全体、国民全体が納得するために公表するわけでありまして、実際上は専門の学者が実際の検討はすることになると思いますけれども、とにかく公表という形によりまして国民が納得するというところが重要だと思うのであります。それからもう一つ、組織ということを申し上げましたのは、これは実は先ほど申し上げますときにもちょっとお断わりしたのでございますが、学術会議で昨日原子力特別委員会の方では審議を終りまして、原子力問題委員会の方では、多分明日あるようでございますが、さらに、これは私が申し上げるのは筋ではございませんので、その企画に、そういうことを議論をいたしますことに参与をいたしました一人といたしまして、そういう考え方を申し述べたわけでございます。これは実は学術会議の中に安全性に関する小委員会というのができまして、特に安全性の問題を取り上げましたので、安全性ということに重点を置かれたことを申し上げたわけでございます。別に安全性だけに限るという意味ではございません。しかし、この原子炉を設置することの可否を審査するとか、その認可を与えるというふうな場合には、やはり安全性ということが一番重大な問題になりますので、そこに重点があることは当然だと思うのであります。先ほど申し上げましたように、そういう組織は、日本といたしましてどういうところに属し、またどういう人的構成がいいかというふうなことは、今後十分検討する必要があるわけで、学術会議といたしましては別に具体的なところまでは触れておりません。抽象的に、こういうことが望ましいということだけを申しております。
  120. 武藤清

    武藤参考人 第一に、地震に対する安全性の問題についてお答え申し上げます。日本の全地域にわたりまして、耐震的の、逆に言いますと、危険度という観点から研究が積まれておりますが、耐震上、地震の危険度がどうなっているかということにつきましては、詳細な研究地震研究所を中心として行われました。その結果を生かしまして、建築基準法の施行令においても、全国を三つの区分に分けまして、最大級の地震を考え、また中級のところ、そしてまたきわめて安全なところ、このように分けておりまして、現在の段階においてどこが一番安全かということは、直ちに申し上げ得る状態でございます。たとえば、九州は非常に安全である、続いてまた北海道の太平洋から離れた地域は非常に安全である、こういうふうなことがわかっており、最も危険なところは東京から東海道、そして紀州の南、四国の南部、こういうように危険地域の図面ができております。そういう図面で大綱はきまることでございますから、たとえば九州の熊本方面というようなところに地域を選定すれば、まず大ざっぱに言って相当安全であるということがわかり、さらにまたその場所によって精細なる地盤の状況ということの調査も可能であると思います。東海村については、前から地盤調査なども行なっておりまして、さらにどの程度の安全度であるか、あるいは地盤構成がどうであるか、こういったような調査も済んでおるわけでございます。もっとも何か問題がありますと、そういう調査は常に行われておるのでありまして、東京地域にいたしますと、これは建設省及び東京都か中心になって、東京都の地震危険度という観点からの地盤調査を完了しております。それからまた、横浜においても、大阪、名古屋というように地域別の調査も行われております。そのような同様の調査が東海村においても行われておるということを申し上げます。それで、東海村を中心として、あの程度の地盤であれば、動力炉を設置した場合にどのくらいの強さが必要か、こういうことを私たちは検討しました。というのは、地盤がきまりませんと、その先がきまらないし、注文も出せない。一応ある予定地を作り、ある地震を推定して、それに対して安全なのを一設計させるということになります。従って、敷地が変更になった場合には、あらためてまたいかなる基準によって設計すべきかということを再検討することは当然だと考えております。次に公開の問題について申し上げます。私たち研究は、いつも公開を中心としておりまして、大学における研究、すべての研究結果は公開しておるようなわけであります。ですが、今度参りましたのは設計調査であって、研究ではないのであります。設計調査に参りまして、先方に申し上げたことも、またわれわれ団員の間でもはっきり申し合せたことは、コンフィデンシャルなことは、トレード・シークレットに関することは絶対に口外しない、忘れる、こういう前提が何より大事である。これはエンジニアであれば当然おわかりいただけると思うのですが、たとえば、動力炉黒鉛積み重ねにしましても、あれが二十センチ角で、高さ六十センチというデータは公表されております。約六寸角、三尺のものか、こうただ並べてあると思っておりましたが、実は少し組員であって、斜めにねじってあるというようなことが、昨年秋の特許のリリーズで公表されたことかわかりました。かりにそういうことを日本の留学生がコールダーホールで去年夏見てきた場合、日本に来たコールダーホール炉はこうなっておるぞというようなことを公表したら結果はどうなるか、非常に不徳義な結果になるわけであります。それとは違いますけれども、われわれあちらに参りましても、たとえばグラファイト自身だけにつきましても、ある社においてはこういう考案を持っておる、ある社においてはこういう考案を持っておるというような商業上の発明に類するものを全部さらけ出してくれております。判定の資料にしてくれております。それを申し上げますことは、現在の段階においてというのは三社が競争設計をする段階において、一社の特許に類することが他社に筒抜けになるというのはうまくないし、また考えてみると、それが研究の結果、常識的に判明するまでは、日本においても流すということは徳義心としてよくないんじゃないかというような、非常に私たち道義的責任を負わされて迷惑しておるのです。英国のグラファイトに対する研究状態が、ある社においてはこう出ておる、ある社においてはこう出ておるというようなことを、たとえば日本のメーカーに流すこと自体がすでに不徳義な点があり、こういう点を自粛するという申し合せで私たちすべて今度当っております。従って、当然公表していい限界を常識で考えて、なるべく皆さんに理解していただこうというっ努力はしております。従って、私ども昨日学術会議の特別委員会に参りまして、私も各員でございますが、コールダーホール調査結果を、あるリミットされた、制限された専門家の常識に訴えて報告書を申し上げたいということを申し入れまして、時間をとっていただきましたけれども不幸にもあまり長い時間をいただけませんでした。もしも長い時間いただけるならば、十分納得のいく——ある限界を考えて納得のついく説明をしたいと思う。またきょうお会いいたしましたときに、坂田さんに申し上げたのは、あなた方は公表、こう言っておるけれども、無制限な公表はできないのだけれども、学術会議委員会のようなところへ出て説明してくれというようなことであれば、喜んで出ますから、そういう取り計らいをしてほしいということを耳打ちしたわけであります。それをいかにも私が公表を拒否したようにとられましたけれども、公表を拒否するどころか、明日は第一生命ホールで講演会をいたしますし、十分ある程度の実を持った耐震設計の内容を申し上げるつもりでおります。これは一般公開ですけれども、しかし、それにはやはり限界があって、こういう考え方でいけば大丈夫というようなところを申し上げるつもりでおります。前に準備しておりました地震対策小委員会方々には、帰朝早々さっそくにお集まりいただきまして、相当詳細に先方のことを申し上げました。そういうような事情で、適当に処置しなければ、無制限公開ということはできない事情であることはおわかりいただけると思います。そんな事情でございます。
  121. 原茂

    ○原(茂)委員 今の武藤先生の前段の御説明に対して少し納得いかないのですが、かつて日本全土のほかの理由による必要から地盤の調査等も行なってきた、あるいは三つに分けて強震、中震、軽震といいますか、地盤全体か大した地震のないところ、あるところというような調査もできている、こうおっしゃるのですが、私はそういう大まかなかってのデーターがどうあろうとも、そういうことではなくて、安全性を確保するという、念には念を入れる立場から言うなら、今この動力炉を作るという必要があるから、その動力炉を作るというなら、その安全性を確保したいという必要の上に立って、やはり一応目標を東海村なりあるいはその他地震があまりなかったという過去の経歴の土地を何個所か選んで、そこの地盤を完全に調査するということをやらないといけないと思う。先ほどの東海村の御説明ですと、何か十二、三メートル下へ行くと砂利層がある、その下へ行くと硬泥土——硬い泥の固まった状態になっているというお話ですが、その状態が一番理想的であるならばいい、そうでなくて、もっと違った地盤で、いわゆる耐震の意意味からは理想的な土地があるかもしれません。それは私は知りませんが、あるとすれば、動力炉を作るという必要性の上に立って、一ぺん調査をするということがこれからでも行われる必要がないかということをお伺いしたわけですから、そういうふうな意味でもう一度御説明を願いたいのが一点。それから、後段のことに関しては橋口先生にお伺いしたいのですが、今調査結果の公表というのをするにはするのだけれども、特定の技術者あるいは学者といいますか、学術会議の特にこの方の委員の方々だけに集まっていただいて、それでもある部分を残して説明はするつもりだ、こういう程度の公開のことを今お話になったわけです。しかも、そういうふうにしなければいけない前段の説明としては、私は今度は調査に行ったのではない、設計を見に行ったのだ、こうおっしゃったわけです。いやしくも先生方の立場で設計を見ることは、この技術全体に対する調査を含んでいることは常識なんでありまして、行く資格が、調査である、設計を見るんだというふうに、出発の前からその資格を分けて規定して行ったものではないと思います。そういう立場から言うと、やはり調査とかあるいは設計を見に行ったのだといったことで何か違ったものをかぶせる態度でなく、先ほどお帰りになった坂田さんなどとお話になったそうで、どういう誤解があったか知りませんが、公開をしないと感じたらしいとおっしゃるが、今お話になったニュアンスからも、私はどうもまだ前段の説明の中に少しこだわった感じをお持ちになっているのじゃないか、こう思うのです。やはり公開ということはどこまでも公表をなんで、公表する中にも、国際的な信義その他の理由から、ここだけは言えません、こういうことはちっとも差しつかえないので、それを前提にして最小限度必要なものだけに限って公表する。どこまでも公表ということを原則として公表するのだという態度で、もう少しおおらかな気持で、学界方式といいますか、どれがどういう内容か私は知りませんが、調査あるいは設計を見てこられた結果、全体をもっと広く、皆さん先生方だけでなくて、やはりこの国に残っておられた他の先生方にも十二分にあらゆる角度から検討してもらおうという謙虚な態度の方が、安全性を確保し、経済性を高めるという意味からいっても、私は重要ではないかと思います。この点は橋口先生に、私が今申し上げているような立場でこの公表ということをお考えになっているのか、先ほど御説明のあった武藤先生の言う公表の程度でよろしいとお考えになっているのかを率直お伺いしたいと思います。
  122. 橋口隆吉

    橋口参考人 武藤先生が言われましたことで、英国に行かれた目的がというお話、実は私よくわからをないのでございますが、そこは私が言おこうとすることと重大な関係はございませんから。つまり、重大な問題は、商業道徳とか商業的な秘密とか、そういう問題が一番重要だと思います。それでこれは私最初に申し上げましたときにも、そういうことがあるから、そういうとを考慮する必要があるということは申し上げたわけでございます。たとえば、先ほど武藤先生が例に引かれましたように、グラファイトの積み方にしましても、特許をとるということがあったわけであります。それが事前に公表されてしまえば、公知の事実ということになりまして、特許がとれなくなるわけでございます。こういうふうな問題があるわけでありまして、そういう商業的な道徳ないしは秘密を破ってまで公表するということをわれわれが要求しているわけではございません。われわれが申し上げておりますのは、先ほど非常に地象的な言葉で申しましたけれども、それは何らかの方法によって緩和ないしは回避することができるであろうということを申し上げたわけであります。その方法は、具体的にはいろいろあると思いますので、具体的な点までは申しませんが、一例をあげますならば、先ほどお話がありましたように、この点は数字をあげることはできないとか、そういうことはどこが商業道徳に反するかということがはっきりしていれば、そこを伏せて、その他を公表していただくということをできるだけやっていただきたいというふうに考えるわけであります。それからもう一つ別の方法といたしましては、これも単なる例でございますから、その例にこだわるわけではございませんが、たとえば商業道徳的に公表できない問題でも、それを言わないでは全然判断ができないというふうなこともあるかもしれません。そういうふうな場合には、一つの考え方といたしまして、ごく少数の人に公開いたしまして、その人の判断、そのあるグループの判断をそれより広い範囲の人は信頼する、つまりそういうことが信頼できるような人にその判断をまかせるというふうな形も一つ方法ではないかと思います。ただ、その場合に、そういう人の選び方が問題でありまして、その選び方さえ当を得ていれば、不明朗な点は残らないと思います。そういう意味で何もかもさらけ出すということは事実上お願いしてもできないことでありますので、そこまで言っているわけではございません。ただ国民を納得させるという根本的な考え方が重要だと私は思っております。
  123. 武藤清

    武藤参考人 補足させていただきます。公開についての考え方は全く同感で、私たちこちらで先方に参りました者と第一に打ち合せしたことは、できるだけ説明して、皆さんの理解を高めようじゃないか、従って機会あるごとにそれぞれが説明をしよう、こういう打ち合せになっております。しかし、全部をさらけ出せ、耐震的に疑問があるからわれわれに検討させろ、こういうことでは困るから、こういうお話をしただけでございます。その裏の話がぽんと表に出ましたものですから、ちょっと誤解を招く点があったかと思いますが、その点釈明いたします。それと地盤の耐震的性状判断、こういう問題はやはり相当の期間も要るものであり、現在のところでは、東海村につきましては、原子力研究所がその予算のもとにあそこの地域をずっと調査しております。まだ終了してはおりません。相当長期間かかるものであり、しかも自然地震を待つというような条件も必要と相なっておりますから、地震に対しても震源と地動、どこに震源があったらどういう地動があるか、こういうようなこともあり、かなり期間を与えていただかなければならぬ性質のものでございます。そういうことで地震対策としては、すでに原子力研究所の研究費で調査をしておりました資料をもとにして判定する、こういう立場をとりました。
  124. 原茂

    ○原(茂)委員 これは正方さん、それから安川さんに一つお答え願いたいのです。今、橋口先生がおっしゃったような公表するということを一つはっきり御答弁願って、急速に行なっていただきたいので、それをおやりになるかどうか。これが一点。それから今の検討の措置を一つ講ずるように、委委員会等の形式でできるだけこれも設置をする、こういうことに対しての御答弁、これが二点。それからもう一点は、今の武藤先生の最後の御説明ですが、先ほどからも論議になっている東海村というものが一応出たわけですが、これをきめたのも、先ほど皆さんの御答弁を聞いていますと、別に十二分な研究の上に、この地殻期が絶対安全な地盤であるという確信の上に立って、委員会あるいは内閣総理大臣がおきめになった場所ではないわけですから、今何もあれだけに拘泥して、あとの作業をやめないで、七月末に見積りの来るまで——来てからでなくて来るまでに、同時的にやはり他のもっと理想的な地下の地盤のあるところがあるかないかを、動力炉を設置するという必要性の上に立って調査を進めていくということは、私は当然やるべきだと思うのです。この点、三つに関して、一つ安川さんから、前段の二つは大臣から御答弁願いたいと思います。
  125. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 安全性の点について公表するというお話は、私も同感であります。何にしましても、原子力委員会のもとに安全性調査会がありますから、そこの意見もよく聞きまして、原子力委員会にも相談してきめる、そういう御趣旨には私は賛成です。
  126. 安川第五郎

    安川参考人 敷地の問題は、先ほどから申し上げましたように、何も東海村に限定したというわけでなく、まあ一応見積りを提出させる基準として、東海村を向うに指示しただけでありますので、これはまたよく原子力委員会原子力局等とお打ち合せをして、できるだけ全国に候補地を求めて——これは地震が少いだけで標準にすべきものではないのです。いろんな立地条件が必要になりますので、そういうことを総合して、決して東海村に限定して進もうという考えは毛頭ありませんので、御意思に沿うようにできるだけ進めたいと考えております。
  127. 齋藤憲三

    齋藤委員長 岡良一君。
  128. 岡良一

    ○岡委員 武藤さんにお伺いする前に、地震の問題で会社の態度が非常に納得かいかないのですが、それは今度北イタリアの方で国際入札で新しい動力炉を入れることになったことは、御存じの通りです。あのときに北イタリアに三カ所の候補地をあげた。その中でかって地震の絶対起らなかったところ、これを条件として地域の設定をしておる。イタリアもやはり地震国ですから、日本と同じように、第二次の動力炉については、そういうストリクトな、シビアーな、とにかく設計の前に地震の起らないところ、こういう態度で、動力炉というものが、万一の場合にも公衆に重大な犠牲を払わしめてはならぬという立場から選んでおる。ところがあなた方は、地震は関東の大地震というので、東海村にあるといえば、国民一般はやはり非常に地震ということに縣念を持つわけです。ただ相対的には、なるほど東海村には、東京に比べれば地震がないとしても、まずその東海村というものをきめて、そこでこれまでの地震の強度なり地震の頻度なり、そうして万一地震が起ったらというふうに、その土地をきめるときに、日本の場合、特に地震という問題には関心を持つ。そのことは同時に、炉の安全性というものに関心を持つことになるわけです。ところがあなた方は、東海村にきめちまってから、さて地震対策だ、地震対策だといわれる。私は真にあなた方か炉の安全性というものを大きく大前提に置かれるならば、まず地震のないところ、あるいはその頻度や強度が過去の経験に徴して最も少いところ、こういう方式で選んでいくのが、安全性というものを尊重する人たちの当然な行き方だと思う。現にイタリアはそれをやっておる。あなた万は全然それをやっておらない。ここに私どもはあなた方が炉の安全性に対して一体どれだけの関心を持っておられるかということに対する大きな危惧を持つのです。これを安川さんはどういうふうに考えておられますか。
  129. 安川第五郎

    安川参考人 われわれの態度が、安安全についてはなはだ考慮が足らぬと申されれば、これは言もありません。今おっしゃった通りに、一応東海村を予定地として見積を徴収さしたことは事実でございます。しかし、くれぐれも申し上げるように、これに固執するわけでないのであります。また地震という立場だけから考えれば、さっき武藤さんからもくれぐれも御報告があったように、どんなひどい地震があってもこれに危険を伴わない炉が可能であるということから見れば、そう地震のつみを重点に置く必要はない、ほかの方の立地条件もあわせて考えなければならない、こういう考えでおります。今後はこれらを十分総合して、敷地の問題は、われわれがこうだと思っても認可がなければできない仕事でありますので、決して東海村を、どこまでもこれでなければならぬということを主張するつもりは毛頭ありません。
  130. 岡良一

    ○岡委員 それから武藤先生にお伺いいたしますが、実際に黒鉛のブロックをお使いになって実験をされたことがありますか。あるとすれば、どれくらいの大きさのものでなさいましたか。そうしてそれは何回なされましたか。その点です。
  131. 武藤清

    武藤参考人 日本で建築研究所で実験をいたしました。その実験は、日本コールダーホール黒鉛の積み方がどうなっておるかということがわからないままに、想像を重ねながら、こんなだろうということで物を作り、そうして実験をいたしたのであります。それの基準といいますか、それの得た収穫は、大きさで申しますと、二分の一の縮尺正で、実物の二分の一、すなわち十センチ角のブロックを主体として、高さが三十センチ、これを約一メートル角に積み重ねて、そのものに横に力を加えるという方法で実験をし、御承知のようにコールダーホールにはレフレクターと称する燃料棒の入らない黒鉛部分がまわりにございます。そのレフレクターを考えて実験をし、またレフレクターをとって実験をするというようなことを繰り返した。ところが、その間の情報として、英国の構造はちょっと違うぞというような情報も入り、違えたもので実験をするというようなことをいたしました。それらの結果として最大の収穫は何かといいますと、炉を変形する、何度傾けばどこの辺にどういう傷が出るかというような変形の性質をつかまえたということが、今日の設計においてもそのまま生かせることとなっている。英国においても同じような研究をいたしました。それは、英国における研究の時期は昨年の春でございまして、日本からの耐震設計のスペシフィケーション、仕様書がまだ届かないうちである。英国で想像したものは、日本側でおそらく震度〇・三と出てくるだろう。想像ですが、〇・三までやればよかろうというので、〇・三の力を加えたときにどうなるということを確かめております。それで安全だという実験をして——これは相当大規模の、三十トンの実物の黒鉛を積み重ねたもので実験をいたしております。それで、実験の済んだあと、それを解体してしまった。そのあとわれわれの要求というのは、〇・三というようなものではなしに、実際に炉体の設計では〇・七五程度をかける要求になっておりますが、〇・七五ではわからないという段階です。しかし、実際設計では、黒鉛自体の強さではなしに、そのまわりに置くタンク状の鉄の構造によって全体をささえるという方法をとりましたから、鉄のタンクどのくらい傾くか、この傾きの場合に、中のグラフアイトが損傷しないかどうかといったような資料に実験結果が使われる、こういうことになるわけであります。
  132. 岡良一

    ○岡委員 日本でやられたのは、高さ一メートル五〇、直径も一メートル五〇というのですか、そうでないかどうかで御答弁願いたい。
  133. 武藤清

    武藤参考人 大体その程度であります。
  134. 岡良一

    ○岡委員 それから、あなた方向うへ行かれまして、活動状況について御報告しておられる。それを見ますと、大体今先生の御報告のようなこともあるわけですが、結局英国でも実験については、いわば静力学的な実験をしておる。その結果得た数字を各産業グループに渡す。産業グループ数字的な検討はやっておるだけで、しかし実際黒鉛を積んでの実験というものはやっておらないと思う、この報告を見る限りは。日本でも一回しかやっておらない。ただまわりを包んだか、包まないかで——私も若干自然科学の分野に身を置いておるのですが、私どもは物を実際に評価するときは、やはり相似率というものを考える。ですから、モルモットで実験をする、ウサギでやる、場合によったらサルにやって、人間に応用するというふうに、絶えず段階を上げて、私どもはやはり確実な実験の成果というものを求め、またそういうカーブをわれわれは求めるというのが、自然科学者としての私どもの従来の行き方なんです。ところが、今の御報告を聞きましても、また英国で取り扱われておる事実を見ても、ただ数字的な検討はされる。しかし、一回やそこらの、しかも小規模な実験から相似率か出せるかどうか。地震工学とかそういう特殊な分野なら別でございますか、私どもの概念からはちょっと理解しがたいのですがね。その辺もう少し念入りにやっていく必要があるのではないか、もっとだんだん規模を高めたところを、相似率曲線を求めながら、安全性というものもやはり科学的に把握する、この努力が足らないのではないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  135. 武藤清

    武藤参考人 昨年の春の計画で、日本で行われました実験が、ただいま申し上げたものでございます。そのほかに別途現在進行中、準備中の実験かございます。原子力平和利用補助金によりまして、黒鉛のブロックの積層体についての実験の準備が進行中でございます。これは昭和電工と建築研究所において行われる予定でございます。それがおそらくある結果を出すと思いますが、それとは別個に発電会社においても、グラファイトの積層体の部分についての実験を予定しております。これは最初仕様書の中では、実物について英国側に実験を要求するかもしれないという仕様書の内容でありましたですが、積算士の問題もあるので、また実験を実施する場合のことも考えて、日本でやることが最も適当だろうという考えのもとに、注文者において実験を行った結果によって、グラファイトの積み方、積層体の改良を申しつける、こういう項目が挿入してありますが、会社においては実物のものについて実験を行い、万遺憾なきを期する予定でおるように考えます。
  136. 岡良一

    ○岡委員 そうすれば、向うへはこちらのいろいろなアイデアを持って行かれた。向う向うでやはり実験の結果に基くデータがある。これをつき合わして数学的に検討されたものであるか。さらに向う仕様書等に基いて、ほんとうに安全であるかないかという大規模実験はこれからやる。そこで安全性に関しても会社自体としての地震工学的の立場からの安全性というものは、そこで初めて結論が出る、そういうわけですね。
  137. 武藤清

    武藤参考人 現在の段階設計するとすれば、どうしても安全度を高めなければならないという破目に追い込まれます。それで、実験によって合理化し、そうして設計改良するという努力は、いかなる場合でも継続されるものでありまして、これは単に黒鉛の積層体ばかりでなしに、その他の構造部分についても、たくさんの実験が英国においても、また日本においてもなされることと考えます。
  138. 岡良一

    ○岡委員 私が聞いているのは、原則的なことを聞いているのじゃないのですよ。ただ、地震工学の立場からする、特にグラファイトの積み重ねの安全性、耐震性というものは、まだ安全性は確実に把握されておらない。それはそうだと思う。一回くらいの小規模実験で、大規模の実用炉においてそれが安全であるかないかというようなことはわかるはずがない。だから、ややもう少し規模の大きなものにおいて、いろいろなあなた方のアイデアにおける積み重ねのやり方をやりながら、順次震動実験をやり、相似率の曲線を出して、これならば実用炉で安全だという結論が出る。これは自然科学者の当然の行き方でしょう。だから、初歩しかしておらない。これからやるんだ、それが地震工学の場合からのあなた方のお考えですか。ここのところはそうじゃないんだ、これで安全だというならそれでいいんですが、そこのところをお聞きしているんです。
  139. 武藤清

    武藤参考人 実験研究をしないで安全だと言うのではありませんで、当然研究というものは重ねられることを前提と考えております。しかし、現在のところ十分安全な設計が可能であるという見通しを、類似した構造物から類推して、と申しますのは、耐火レンガの積み重ねた炉体あるいはレンガ造というようなものからも類推される。そういうことから、われわれは英国に渡しました仕様書の耐震的計算要求で強度的にはある程度満足させることができ、さらに耐震経験によってその詳細を直し、また日本及び英国における実験をあわせて改良する、こういう立場で安全が確保される、こう考えております。
  140. 岡良一

    ○岡委員 どうも、私くどくどしくお伺いするのじゃないですが、先生の今のお話も、耐震設計の安全性はこれからの問題だ、まだまだ実験を重ねて、そうして確信を得るんだ、なぜならば、さっき申し上げたように、日本内地においても一メートル五〇くらいの小さなもので、ほんとうに大型の実用炉に適用し得る、実用炉が安全であるという相似率曲線は私は出ないと思うのです。英国はやってみたかというと、英国も一回しかしておらない。こちらの持っていったアイデアと向うのそれまでに研究しておったデータと突き合せた数字的検討しかしておらない。これでは、科学者としての立場からは、さらにもう少し大規模な実験を重ねて、そこで相似率曲線をしっかり把握して、大型の実用炉でも大丈夫だ、そこに移るまでの段階にあるだ、それはこれからの仕事だ、こう私は理解するのです。そういうことですか、そうでないかということを私はお伺いしておるのです。
  141. 武藤清

    武藤参考人 先ほども申し上げましたように、これから実験を重ねて確信のある設計をすることを仕様書の中でうたっております。会社側の決心の現われだと思いますが……。
  142. 岡良一

    ○岡委員 この間パネルで竹山さんが言っておられることも、私は非常に傾聴に値すると思うのですが、こういうお考えはありませんでしょうか。結論から申しますと、原子炉は初めてのことでもあり、耐震設計といってもいろいろ問題がある。そこで向うからやはり原子炉専門家も呼ぶ。日本は、地震になると先生のような世界一流の権威がおられる。この人たちが共同作業で、ほんとうの安全性を把握するこの作業を一年でも二年でもやって、その上で今度はどんな地震にも狂いのこないりっぱなコールダーホール改良型炉日本のアイデアの上に作っていく、これが一番賢明であり、正しい方法ではなかろうかということを示唆しておられるのです。私はこの御意見は科学者の非常に良心的な御意思見だと思って傾聴したのですが、この点、武藤先生どう思われますか。
  143. 武藤清

    武藤参考人 先ほど簡単に申し上げましたが、先方において調査中に、各会社とも実際設計に当っては日本側の協力を求めて完成をしたい、こういう強い希望を表明しておりました。従って、具体的に契約段階になりませんと、どういう過程で進めるかということははっきりしませんけれども、現在のところ英国の各社とも日本の協力によって完成したい、こういう強い希望を持っております。
  144. 岡良一

    ○岡委員 まだまだ地震工学的には、お話を伺っても、安全性というものが確かめられたと私は今のお話では承われないので、自後もっとわれわれの納得し得る研究を積んで、実験を積んでいただきたいということを私は強く希望いたします。それから、ここにいただきました資料に、耐震設計として具体的な事実が書いてあります。グラファイト・ブロックを互いにキーを入れて内部を固める、あるいは炉心の外囲をガーターで締めつけて一体化するということが書いてあります。私ども粗末な物理学の頭ですが、一体ガーターで締めつければ、応力の分布の不均衡起ってくるはずです。それから、キーを入れればここに応力の集中が起ってくるでしょう。それが先ほど申しましたように高温、高圧の中で、しかも中性子が長い年月の間永続的に照射されるときに、このキーになるもの、あるいはガーターになるものの物質の化学的な、そして理学的な変化というものがわからない。これが重大な事故の原因になるかもしれないということをアメリカは指摘しておる。こういうように工夫としては、私は非常によくお考えになったはずだと思いますが、そこまで応力の不均衡が起ってくる、分布の不均衡が起ってくる、応力の隻中が起ってくる、高温高圧の中で、まだ世界がアンノーンな、未知な中性子の永続的な照射がそこに加えられてくるということです。これに対して、地震工学的にはこれでいいのだ、絶対大丈夫だということをあなたがほんとうに科学者としての立場から言い切られるものでしょうか。
  145. 武藤清

    武藤参考人 ブロックの積み重ねをくさびを入れて固めるという考え方は、どちらかと言いますと、つまりブロックだけでも十分安全にしようという用心が一つ入っております。それをまたまわりから締めたものを、ガーターと称するたがをはめることによって固めてささえるという二段がまえで補強をするように注文を出したのであります。これは日本研究しております間に、竹山さんなどから強く提案された。つまり一つでは不安だ、ブロック自体も固めよう、そしてまた全体も固める方法をとろうというようなことで、そういう二重の安全度を意味する構造でございますが、計算書はそこでガーターとまわりの押え方というようなものについての計算を突き合せてございます。それで、応力度として、力としてあまり大きいものではなく、これは今持ってきておりますからごらんに入れることもできますけれども、あまり大きいものではございません。それで、今の案でも、ある社の案でもそのままいける、十分安全に設計ができるということは数学的には見えおりますけれども、念を入れその部分を実験することが望ましい、こう会社において考えております。
  146. 岡良一

    ○岡委員 もう時間もないので切り上げたいと思うのですが、各国をお回りになって、原子炉、特に動力炉設設の場合、その国の政府が安全性について、どういうふうな取り計らいをやっておるかということもいろいろ御見学になったと思うのですが、各国の実情についてはどういうふうなことですか。
  147. 一本松たまき

    一本松参考人 安全性につきましては、完全にこれが安全でなくてはいかぬという立場をとることはもとよりでございますが、その具体的な問題はやはり補償となって現われてくるのじゃないかと思うのであります。そういう意味から申し上げますと、ある程度の災害に対しましては、私たちはそういうことはないと考えているのであります。やはり万一の場合を考えまして、そういうものに対しましては、ある一定額につきましては会社が責任をとる、その額につきましては各国とも事情が違うようでありますが、さらにその額をこえた非常に大きなナショナル・カタストロフィと申しますか、国家的災害、非常な大きな予想されないようなことが万一あるならば、国家がその責任をとるというふうな感じのように思っております。
  148. 岡良一

    ○岡委員 この問題はいずれ正力委員長と明日でも特にお話をしたいと思いますが、特許のようなもので、日本でも炉のグラフアイトの積み重ねでは新しいアイデアが幾つかあるといいますが、やはりこれは向うに持っていかれて、向うのメーカーに示されて、向うと突き合せて最終的な結論に達せられたわけですか。
  149. 武藤清

    武藤参考人 炉体自体がちょっと複雑な問題がからんでいるというのは、熱膨張に対しては自由に膨張ができる。ただし、地震が来たら、膨張性の部分もとまらなくてはいけないというふうな難点がございます。これを中心としての考案が幾つとなく英国においてもなされております。私たち耐震構造の解決にもそういう幾多の考案を必要としております。そこで、日本の国内においても、申し上げるまでもないのでありますけれども、十数件の特許が会社の名前において申請してあります。そして、英国に参りまして設計改良を視察いたし、ヒントを与えましたときにも、こういうような考案を日本では持っておる、これを使えばこの点が解決できるではないかというようなヒントを与えました。なお、英国においてもさまざまの点において幾多の新しい考案を示して、これではどうだというようなこととで持って参りました。
  150. 岡良一

    ○岡委員 私がお聞きしているのは、日本地震に対する対策についていろいろ御工夫いただいた新しいアイデア、これは全部向うの人に示す、こういう構造でしたらいい、そして実験的にはこういうデータが出た、これを全部向うに示して話し合いを進められたのか。それはそれで日本会社が特許を申請しているものだから、とにかくそれは伏せてある、あるいはある部分は伏せてあるという形の交渉をされたのか、さっき特許のことでいろいろな商業上の秘密とかいうようなことを言われましたので私は心配してお聞きするのですが、全部向うへさらけ出して示されたか、それで交渉されたのですか。
  151. 武藤清

    武藤参考人 どういう設計英国でやるかということを想像しながら、われわれの研究は進めました。従って、英国において最終的に今予想される設計の線は、私たち日本で最善と思う線のものでございます。それに関係する問題を解決するための考案は、こうしたらどうだというときには、日本ではこういう考えを持っているということを出さなければならぬものですから、それは向うに出してこういう方法でいけば解決するじゃないか、なるほどということで特許が使われることになると思います。
  152. 岡良一

    ○岡委員 それでは重ねてお伺いしまますが、現在の安全小委会と申しますか、耐震設計を一生縣命やっていただいておられる皆さんで、一応特許的な新しい発明ができた、これは今日本会社が特許申請中というような取扱いをしておるけれども、その特許の秘密内容は、向うへ行かれたときには全部さらけ出して、そして向うにもベターがある、こちらにもベターがあるというので出して、ベストを求める努力をされた、こういうふうに理解していいですね。
  153. 武藤清

    武藤参考人 実際に使って解決している大きいところは、二つだと思います。二つははっきりとしております。そのほかは、こう直したらどうだというようなヒントを与えておりますが、その回答は必ずしも一つではなく、また彼は彼の考えで日本よりもよりベターな案をおそらく持ってくるのじゃないか。われわれとしても詰まらぬ——詰まらぬといっては何ですが、考案をさらけ出すのもいかがかと思うようなものは出さずにおりますが、重要なもの二つは先方にこれを使って、こういう考え方でやったらどうだというように勧めております。
  154. 岡良一

    ○岡委員 最後に、私お伺いいたしますが、またそのほか同僚の委員の諸君もお尋ねをいたしましたけれどもまずこの東海村を予定地として一応決定されたという手続は、妥当ではないと思うのです。これは原子力委員会あるいは内閣総理大臣の権限というようなものをただ便宜的にそう手軽に取り扱われるという考え方の中に、この動力炉というものの安全に対する無関心さがあると私は思う。それから、東海村という場所の選び方が妥当か、あるいはその周辺の人口密度等を、ドレスデン等の例もあなた方は知っておられるはずだから、考慮に入れて、十分公衆災害を防ぐというような意味における人口密度というようなものについても何ら御調査をしておられない。コンテイナーは、大丈夫であるといわれるから、要らない、こう言っておられますけれども、しかし、原子炉が万一災害を及ぼすときには、ことに不慮な大きな災害を及ぼすということは、英国自身が免責条項の中に出して日本と接衝したときに言ってきているのです。ですから、そういう事情を、いわば英国自身が潜在的危険性をわれわれに示唆しておる。それは念には念を入れるという意味で、コンテイナーについても御考慮願わなくちゃいかぬと思う。それからこの耐震の設計も、今承わりました程度では、まだまだ耐震的な設計というものも、安全性に関する確信はこれからだ。これから向うの協力を得て、もっともっと大規模の実験をやった上で確かめるということです。一本松さんはさっきから安全だ、安全だと言っておられますけれども、専門武藤さんの今のお話では、まだまだ確かめる余地が多分に残されておる、私はそう理解いたします。それぞれ申し上げればきりがありませんが、私はこれは安川さんの善意を信頼するのですけれども、実はこういうことがあるのです。それは、この間水戸でNHKが主催をいたしまして、今度東海村にコールダーホール改良型炉が来る、その安全性について何か公開討論会をやった。ところが、この公開討論会の方へ、日本原子力発電所の、しかも技術担当の幹部の方が相談をされて、そうしてちゃんと筋書を書いて、発言の用意をさせて、水戸の東電支社の諸君を差し向けておる。そしてNHKへ来て、さらに自分に都合の悪いところは、修正ができないかというような申し入れをしておるということを私は聞いておる。もしこういうことがあれば、実に原子力発電会社ひいては日本原子力発電のためにも実に遺憾千万なことだと思う。こういうことを社長は御存じでしょうか。
  155. 安川第五郎

    安川参考人 水戸で公開討論会があったことは私も承知いたしております。しかし、どういう内容であったかは、私は不幸にして拝聴しておりません。ただいま何かむやみに修正を要請したかのようなお言葉がありましたが、そういうことは全然ないと私は信じております。何か事実があれば取り調べはいたしますが、そういうことはおそらくないと私は信じております。
  156. 岡良一

    ○岡委員 そういうことなんです。私はこの人の名前も一応聞いてはおります。しかし、こういう席上では発表いたしません。ただ、安川社長は非常に善意をもって、日本原子力発電のためには非常な御賢明な御奔走をいただいておることには、実は若干の私としての批判はあるにしても、敬意を表しておるつもりであります。しかし、東海村に近い水戸市で行われた炉の安全性というみんなが非常な関心を持っておるテーマをとらえての公開討論会に、あなたの部下の人が発言の内容の打ち合せをする。そうしてその打ち合せを済ましたものを公開討論会に立てるというような事実がある。それは一時間半ばかりの録音だったものだから、一時間に縮めるためにNHKは編集をしておるらしい。そういう過程の中でやはり発電会社に都合の悪いことは言わないようにしてくれという申し入れがあったんじゃないかと思う。こういうような形で、この問題は国民がほんとうに公正な立場において、安全だと納得させることがまず肝要だと思う。そうしていざ発電をさせてみる、運転をさせてみて、やはり安全であるという認識を国民に持たせることが、日本原子力発電のための今日の大前提だと思う。それをあなたの会社自体がそういう作意を持って、国民の世論を安全の方へ引きずつていこうというようなことがもしあったとすれば、私はこれはまことに会社のためにも、日本原子力発電のためにも非常に遺憾だと思う。もしそういう事実があった場合には、やはり社長としても、大きな問題ですから、日本原子力発電にかかわる問題にも関係しますから、厳重に処置してもらわなければならぬ。そういうことなく、ほんとうにさっきからよく言っておりますが、隠さないで、——原子力基本法には、公開、自由、平和とうたっておるから、隠さないで、我田引水のような作意を弄さないで、堂々とありったけ資料を出して、国民の審判、あるいは専門の権威者の審判に付する、そうして最後の結論を得る、こういう御努力を会社としてもぜひ一つしていただきたいということを最後にお願いをいたしまして、大へん長らくでございましたが、どうもありがとうございました。
  157. 一本松たまき

    一本松参考人 ただいま水戸の録音のお話が出ましたから、私関係いたしております者として一言申し上げます。これはNHKからそういう申し入れがありましたので、出ていってお話をしてこいということを私命令いたしました。しかし、その間、お話になったようなことは絶対にないということを私は信じておりますし、もしそういうことがありましたら、よく取り調べまして、十分こちらの方でも考えたいと思います。また、先ほど安全の問題について十分の確信がないというふうにおっしゃいましたが、われわれとしましては、きょうは十分われわれの考えておりましたことを申し上げたわけでありまして、ことにコンテイナーの問題に対して、向うが言うからこれは要らないんだ、そういうふうにおとりになったのかもしれませんが、私はその理由として幾つかのバック・アップの点、あるいはさらに二重、三重の安全設備があるからこれは要らないのである、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  158. 齋藤憲三

    齋藤委員長 参考人よりの意見聴取は、この程度にとどめます。参考人各位には、長時間にわたり、しかも貴重なる御意見を賜わりまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、私より厚く御礼を申し上げる次第であります。
  159. 齋藤憲三

    齋藤委員長 この際、参考人出席要求に関する件につきましてお諮りいたします。すなわち、日本原子力研究所の運営の実情について、明十九日、午後一時三十分より参考人意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     —————————————
  160. 齋藤憲三

    齋藤委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。本日の議事はこの程度にとどめ、次会は明十九日、午後一時三十分より、ただいま決定いたしました参考人から意見を聴取することといたします。これにて散会いたします。午後三時四十二分散会