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坂田参考人 坂田でございます。ただいまは、
調査団の
方々の詳細な御報告があったわけでございますが、私は本日少し
一般的な問題についてお話しを申し上げたいと思うのでございます。私は、このリストにも書いてございますように、昨年米、
日本学術会
会議におきまして
原子力問題
委員会という
委員会の
委員長をしております。この
原子力問題
委員会という、
委員会は、
原子力の三原則を提唱いたした歴史を持っておるわけでございますが、この三原則に沿って
日本の
原子力開発がすこやかに発達して、一ときも早く
日本国民全体のためになるような成果が上げられるようにということを希望しながら、この
原子力問題を学界としていろいろ考えておるわけでございます。ことに学界全体の意向をここで取りまとめまして、
原子力委員会とかあるいは
政府に絶えず勧告等を申し上げましたり、あるいは諮問に応じてお答えしたりしているわけでございますか、本日は国会のお招きを受けましたので、これは特に
コールダーホールに限りませんで、
一般に
動力炉の輸入問題というような問題が昨年来起って参りましてから、学術
会議の
委員会がどういうことをしてきたか、そういうことを御紹介する形で、私の
意見とかあるいは希望とかを申し述べたいと存ずる次第でございます。
昨年、
コールダーホールの
改良型の
動力炉の輸入の問題が起ったわけでございますが、学術
会議では、
一般に
動力炉の輸入の問題を考えます場合の基本的な考え方というようなものを、学界全体でたびたび公聴会等を開きましてまとめたのでございます。その結果、
動力炉というものが輸入されるとしたならば、これが
日本の全体の将来にわたっての長期的な原力開発の中でどのような役割を演ずるかということを、その役割をはっきりさせた上でやっていただきたい、そういうことをまず
原子力委員会に申し入れたわけでございます。昨年、
政府の
原子力委員会におかれまして、発電用
原子炉開発のための長期
計画というものが発表されたわけでございます。ただいま
コールダーホール改良型の輸入等の問題が検討されておりますのも、この観点からやられているのであろうと思うのでございます。
私が
最初に出し上げたいと思いますのは、私どもは、今申しました
原子力委員会の長期
計画というものの案を昨年の秋、学術
会議の方にちょうだいいたしまして、これは非常に重要な問題であると思いまして、東京と、京都で二回
原子力関係の
専門の
方々にお集まりいただきまして、各方面の
方々といろいろ議論いたしはした。その結論は、昨年の十二月の二十日に
原子力局長の方にお届けしてあるわけでございますが、その際出て参りましたおもな
意見はどういう点であったかということを、まず御紹介いたしないと思います。
発車用
原子炉の問題というものが、
日本の
原子力開発の基本
計画のその一として発表されているわけでございますが、私どもが希望いたしましたことは、
日本全体の長期的な
計画の中で、発電用
原子炉の問題がどのような役割を演ずるかということが明らかになるような、そういう
計画を出していただきたかったわけでございまして、全体の
計画の中のこの
部分だけが出ておるということは、将来ほかの、たとえば国産
原子炉の開発の問題でございますとか、あるいは平和利用に伴う
放射能障害の問題でありますとか、あるいは技術負の
養成の問題でありますとか、融合反応の問題でありますとか、もっとさらに基礎的な科学の開発の問題、そういったようなものも含めて、
日本会体の将来にわたっての原子方開発
計画というものが作られるであろうと思われるのでございますけれども、この中の動力問題だけがただ
一つ出ておるということは、将来そういうものが現われるかもしれませんが、ほかのものとの関連というものがよくわかりませんし、この問題だけがほかの問題と切り離されて議論され、また実行に移されるために、いろいろな障害が起ってくるのではないかということを心配しておりまして、そういう点について、できるだけ早く全体にわたっての
計画をお立ていただきたい、そういうことを申しましたのが第一点でございます。
それから第二点は、これは先ほどから、この
コールダーホールの
原子炉等につきましては、かなり実用に近いと申しますか、かなり希望の持てるような発電用
原子炉であるということが言われておりますけれども、しかしやはり今日、発電用
原子炉の問題の中には、採算性の問題にいたしましても、また安全性の問題とかその他いろいろな点におきましても、かなり不確定な要素というものがたくさんございます。まあこれは
コールダーホールに限りません。
コールダーホールなどは一番いい方だと思いますけれども、非常に不確定な要素がたくさんございますので、こういうものの基礎の上にこの長期
計画というものが立てられているということ、ことにあの
計画は、十八年の将来にわたって書かれておるわけでございますが、こういう点は、この方面の学問が非常に日進月歩の進歩を示しているという点から申しまして、長期
計画という点で出されておるのは工合が悪いのではないか。むしろこういうふうな仮定の上に立って、この
動力炉の輸入が行われた場合に、どういう具体的な問題が起ってくるか、それを具体的にどういうふうに解決したらいいか、そういうふうな形で出していただいた方がよかった、そういうふうなことをこの第二点で申し上げたわけでございます。
この長期
計画の問題というものは、とに
かく日本の将来にとって非常に重要な問題でございますので、この問題は、ことしの二月に東京で開かれました
原子力シンポジウムの際にも、パネル・ディスカッション等が行われまして、いろいろな議論が出たわけでございますが、その際にもただいま申しましたような
意見というものが相当出ておるわけでございます。こういうふうなことを申し上げますと、学界の中では、一体この
原子力の長期
計画についてどういうふうな考え方を持っているのか、そういう考え方というものは、ほかの方面の考え方とかなり出違っているのではないか、そういうふうな御印象をお受けになるかもしれませんけれども、私どもの考えといたしましては、
原子力の問題についての長期
計画というものを立てていく場合に、またそれの中の一環として
動力炉の問題等の議論をいたします場合に、非常に重要な基本的な観点あるいは基本的な考え方というものが必要になってきます。この考え方というものは、さらにこれまで私どもがいろいろ科学とか技術とかに対して持っておりましたような常識とはかなり違った——
原子力というものにかなり特徴的なものがございまして、その特徴的なものをしっかりとつかんだ上で、
日本の
原子力の将来というものをどういうふうにしたらいいか、あるいは長期
計画をどういうふうに立てたらいいか、あるいは
動力炉の輸入の問題をどういうふうに考えていったらいいかということを考えないといけないと思うのです。この
原子力委員会の案は、先ほど申し上げましたように、これが今日の
日本のとも
かく長期的な問題を考える基礎になっておると思いますけれども、現在のままのその一だけが出されておる形でございますと、これは
原子力委員の万も、またこういう案をお作りになりました原子方局の
方々も、おそらくそういうふうにはお考えになっていらっしゃらないだろうと思うのでございますが、私どもがこの案だけを拝見いたしまして受けますところの印象では、
原子力の技術というものが今日ほぼ完成に近いものである、そういうふうなことが基本になっております。そうして
コールダーホールの輸入でありますとか、あるいはPWRの輸入でありますとか、そういう幾つかの炉を輸入して、順々にこういうものを動かしていけば、採算がとれ、外貨の収支もよくなっていくし、また
エネルギー問題の解決もできる、そういうふうな考え方の上に立っておるように見えるわけでございます。これに対しまして、学界の方面におきまして、この長期
計画の問題を、特に全般的な問題として取り上げてもらいたいという要望が強くございますのは、学界側の基本的な考え方の中には、
原子力に関する技術というものは、あるものはもうかなり実用化に近いものがあるかもしれませんけれども、全般的に申しまして、これはかなり未完成の技術であり、そしてそこには不確定要素もたくさんございますし、また非常に日進月歩が激しいものでございますから、たとえば十八年先まで現在の情勢のままで
計画が立てられますと、その間に思わぬ新しい事態にぶつかって、
計画全体を根本的に改めなければならないというふうな新事態に逢着するのではないか、そういうふうな点が
一つ心配されるわけです。もちろんほかの技術でございましたならば、これまでの技術の発展でございましたならば、ある
程度まで実用化の領域に近づいておりますものが、将来それを少し
改良するとかなんとかいうことによって実際の実用になっていくわけでございますけれども、この
原子力の問題というのは、非常に新しい事態というものが次々に現われて参りまして、この新しい技術的発展というものが前の技術を全く陳腐化してしまうような、そういう性格を持っております。従って、今日では、発電用
原子炉と申しますか、
ウラニウムの分裂反応を使う
原子炉自身につきましても、将来非常に画期的な発展が現われて参るでありましょうし、またそれだけではなくして、もっともっと新しい可能性、たとえば融合反応、つまり水素の
原子力の平和利用というような問題が突如として実用化するかもしれない、そういうふうな事態も長期
計画の中に組み入れて、そういう長期
計画というものとにらみ合せて、いろいろな将来の問題を考えなければならぬだろうと思うのであります。新しい可能性につきましては、ただ単に融合反応の問題だけではございませんで、さらに基礎的な科学の中には、いついかなる形で突如として人類全体の技術を根本的に革新するかもしれないような新しい問題の芽がたくさん含まれておるわけでございます。たとえば反物質と物質とが消滅いたしますときに出て参りますような巨大な
エネルギー、こういうものが実用化するというふうなことは、今日では全く夢物語かもしれませんけれども、しかし、
原子力の歴史を見ましても、原子核の構造というものがわかりましたのが一九三二年でありますし、分裂反応がわかりましたのが一九三八年であります。そのころまだ実用と縁もゆかりもないような全く基礎的な問題でありましたものが、突如として現在のような偉大な技術的な革新の要素として現われて参っておることを考えましたならば、こういう未完成の技術であり、そして新しい可能性というものが絶えず現われてくるということを考えて、いろいろな問題に対して処理していかなければ、突如としてそういう事態に遭遇いたした際に、私ども戸惑いしなければならないようなことになっても非常に困りますし、ことに非常に巨額な金を使って
研究を進めなければならない問題でございますから、いろいろな面というものを同時に考えながら、将来新しい事態が起ったときにいつでも
計画を変更できるような、これまで考えられました常識以上のフレキシブルなものとして考えなければならぬ、そういうふうな点があるだろうと思うのでございます。
それからもう
一つは、先ほど
コールダーホールの問題に
関係いたしましても安全性の問題がいろいろ議論されましたが、この安全性の処理という問題は非常な大問題でございます。現在の方式の
原子力発電というものが行われて参りました場合に、世界全体が、かなりの
部分の重力を
原子力発電によってまかなう、そういうことになって参りました場合に、
原子炉の中で燃焼いたしました燃えかすの放射性の灰をどういうふうに処理したらいいかということ、たとえば三百万キロワットの発電だといたしましたならば、一年間に原爆にすれば五千発の原爆が爆発いたしましたときと同じ量の灰が出るわけで為りますから、こういうものをどういうふうに処理するかという問題は、かなり真剣に今の
計画の中で、これはもちろん
日本だけの問題ではございませんで、世界的な問題として処理していかなければならぬのではないか、そういうふうに考えられるわけでございます。
とも
かくそういう
原子力という問題が未完成の技術であり、しかも新しい技術的発展というものが次々に非常に大げさな形で起ってくる、また新しい可能性というものが、現在は全く隠れておりますような基礎
研究の分野から次々に現われてくるということ、また安全性の問題というものが人類全体の非常に大きな問題として取り上げられなければならない、この
三つの観点というものが、
原子力の開発を考えて参ります場合の基本的な観点として非常に重要なんではないかということ、これが今の長期
計画の問題に関して私どもの
委員会で検討いたしました際のいろいろな
意見をまとめるに当りまして気つきました点でございます。こういう点は決して私どもだけが申しておることではございませんで、こういう観点というものによって
原子力開発が進められるということは、今年の九月に国際連合の主催で第二面の
原子力平和利用会議がジュネーヴで開かれますけれども、この第二回ジュネーヴ
会議のプログラムを見ますと、ちょうどこういうような観点からスケジュールが組まれております。もちろん
原子力発電炉の問題は最も重要な問題でございますが、それと同様な重要性を持って、融合反応の問題でありますとか、あるいは基礎物理学の問題でありますとか、安全性の問題、ことに安全性の問題は、原水爆のフォールアウトの問題
調査等についての国連の科学
委員会の基礎の上になされることになっております。そういう観点からいたしまして、この九月から開かれるジュネーヴ
会議というものは、国際的な
原子力開発の進展の上に非常に重要な契機となるのではないかと思います。この直後に国際
原子力機関の第二回総会か開かれまして、この
動力炉に関連のある燃料の分配の問題とかそういったような問題が議論されることになっておりますが、この
原子力の開発の世界的な歴史の上で、ジュネーヴ
会議とかあるいは国際
原子力機関というものが非常に重要な役割を演じてきて起るという点から考えまして、この次の
会議というものも、非常に世界的に重要な
会議であろうというふうに考えられるわけでございます。私どもの観点と申しますか、
原子力というものが未完成な知識であり、新しい可能性というものをはらんでおり、安全性というものが非常に重要である、そういう観点から長期的な
計画というものを考えます場合に出て参りますところの結論というものは、ただいまも繰り返して申しますように、いろいろなほかの面——発電や
原子力の開発という問題も重要な問題でございますが、それ以外のいろいろな面、融合反応とかあるいは安全性とかあるいは基礎科学
態勢の確立とかその他の問題でございますとか、そういうふうなものが非常に重視されなければならない。ことに将来非常に大きな技術的発展のポテンシャルを持っておりますところの基礎科学の
態勢を
日本において確立するということは、
日本の
原子力に限りませんで、科学技術
態勢の確立のために、現在科学技術振興の声が非常に盛んでございますが、これは最も重要な点ではないかと思われるわけでございます。この点に関しましては、少し問題がそれますけれども、第三期の学術
会議におきまして、長期
計画の
委員会というものがございまして、これは有澤席巳博士が
委員長をしておられました
委員会でありますが、ここで基礎科学
態勢の確立についての五要綱というものが作られまして、それが
政府に勧告されております。これは国会等でもあるいはそういうものがお日に触れるかと思いますので、どうかその節は、特にこの
委員会等では十分御援助いただきたいとお願いする次第でございます。それから、そういうふうな観点からいたしますと、私どもの
委員会で、初代
委員長の藤岡
委員長の時代に立てられました
原子力の三原則というものが非常に重要視されるわけでございます。最近
動力炉の問題と
関係いたしまして、動力協定の締結というふうなことがだんだん日程に上ってきておりますが、この際にも、どうかこの三原則のような問題をできるだけ最大限に重視してお考えいただきたいということでございまして、ことに先ほど申し上げましたように、この秋重要な第二回の
原子力平和利用の国際
会議がジュネーヴで開かれますし、また国際
原子力機関の第二回総会というものもございますので、この成果というものが世界的な
空気を非常に変えるであろうということをお考えの上で、私どもといたしましては、できればその
あとにこの協定というものを結んでいただいた方がよろしいのではないかといふうに考えておるわけでございますが、これは私個人の
意見でございます。
それから次に申し上げたいことは、この原子方の問題におきましては、安全性の問題というのが非常に重要な問題であるということに
関係してでございます。この安全性の問題は、
国民全体に直接
関係いたしますようなきわめて重要な問題でございますので、一たび
事故が起きたりいたしますと、そのために区
原子力の開発がおくれてしまったりするようなことがあっては困るわけでございますし、この安全性の問題というのは、
原子力開発というものをやっていく上にまず
最初に十分検討されなければならない問題であったのではないかと思われるわけでございます。従って、最近になりまして、これは私どもももっと早くからこの問題について、
原子力委員会とかあるいは
政府とかにもっと適切な勧告等をしていたらよかったというふうに反省いたしておる次第でございますが、最近私どもの
委員会が中心になりまして、
あと学術
会議の申にございますところの
原子力関係の
専門家のいろいろな
委員会を動員いたしまして、
原子力に
関係いたしましたこの安全性というものについての基本的な考え方というものをまとめ、これによりまして、この安全性についてどういう手を国家として打たなければならないか、あるいは科学技術者がこの安全性の問題についてどういうふうに考えなければならないか、そういうふうなことを考えまして、この
原子力委員公等に今後この申し入れをしたい、あるいはまた各方面にこういう点の重要性を広めたいというふうに考えておるわけでございます。この安全性の問題は、最近大型の炉が輸入されるようになりましてからなおさらこの問題が重要なのでございまして、今からこの問題と取り組むというのはいささかどろなわ式の感じがするわけでございますけれども、とも
かくまずこの安全性というものの議論の上に、
動力炉輸入の問題等もその観点を取り入れていろいろお考えいただかなければならぬのではないかと思うのでございます。ところが、これまで
原子力委員会あるいは
政府等でお考えになっておりますのは、昨年の秋ごろになりまして、
原子炉とかあるいは放射性物質の取扱い等につきましての規則、法律などができております。もちろんこの法律などはよくいろいろのことが考えられてでき上っておるものでございますけれども、しかしこの安全性の問題というのは、ただこの法律によって許可してある、たとえばハザード・リポートというものを出して、それに従って許可すればよろしいというふうなものではございませんで、
設計の
段階においても、また
運転の
段階においても、ずっと
国民全体が見守らなければならない非常に重要な問題であると思うのでございます。私どものところでまとめましたこの安全性に関しましての基本的な考え方といたしましては、まずこの安全性の概念というものが、ただ単に科学技術的な概念ではなくて、安全といこうもののはかりにかけますときの片方に乗っけますものは社会的な問題でございまして、そういう点を考えなければならないということ。それからまた
原子炉の安全性というものは、ただ
原子力施設の四七の安全性というものだけに終るものではなくて、この固有の安全性のほかに、これに対する人間的ないろいろな要素、人的要素というものが非常に重要であります。このことはこの前のジュネーヴの平和
会議におきまして、アメリカの
原子力委員会の安全保護
委員会のテーラー博士、その他安全保護の問題をアメリカで早くから真剣に考えておられる
方々が発表された安全性の問題についての観点の中に書いてあることでございまして、
日本原子力産業
会議から出ております
原子力資料の中でも、第二号に出た
資料でございますが、この中で、この固有の安全性のほかに、人的要素というものが非常に重要である、そういうことが書かれております。また非常にこの
原子力炉というものが安全とは言われても、固有の安全性というものをできるだけ完全なものにしても、なお未知の要素のために、非常にいろんな危険な事態が起ってくる可能性があるのであります。その中に書いてある言葉を引用いたしますと、将来ほんとうに安全な
原子炉ができるまでは、十年間安全に
運転した
あとでも、第一日目の慎重さをもって
運転しなければならぬということです。そういうことが今のアメリカの
原子力委員会の安全保護
委員会の報告の中に書いてございます。私どもは、特に
日本におきましては、これを平和的な
目的だけに利用するということを三原則の前文にもうたってあるわけでございます。安全性の問題は、アメリカ等においては、今申しましたように非常にこの安全性の問題が慎重に扱われておりましても、なお
最初の開発が軍事的開発と結びつきましたためにいろいろな無理が行われておりますけれども、
日本の場合は、全く平和的な問題でございますから、
最初にはできるだけ厳格な
条件でこの安全性の問題を考える。これがだんだん経験を積むにつれまして——経験と出しますのは、
日本国内はもとより、国際的な経験によってだんだんこういうふうにゆるめていってもいいんだということがわかるにつれて、これをゆるめていく、そういうふうな方式をとらなければならないだろう、そういうふうな観点を最も基本的な観点の
一つとして出しております。この
原子炉の安全性の問題に関しましての
資料は、これは各方面にいろいろ考えいただかなければならないと思います。明日実は私どもの方の
委員会を開くことになっておりますので、この
委員会で最終的な案ができ上りましたならば、皆様方にもなるべくお配りしたいと考えておるのでございます。きょうは時間もあまりございませんので、詳しくは申し上げません。最後に、先ほど
調査団の
方々から、
コールダーホール型炉の安全性、特に耐震性の問題につきましてこの御報告があったわけでございます。この
調査団の
方々が、非常にこの安全性の問題について慎重な態度をおとりになりまして、あちらで
イギリスの
方々とも十分御検討になったようでございますが、私どもが特にここで希望いたしますことは、これは
コールダーホール型炉の問題には限らないわけでございます。
日本の
原子力開発というものが、平和利用というものを
目的として、また三原則といこうものに従って開発されなければならないというふうな観点からいたしまして、また特に安全性の問題というものが、
国民全体の生命と申しますか、に非常にかかわりのありますような重要な問題に連なっておりますので、この問題を御
調査になりました結果というものを、先ほどのお話では、あまり公開して、非常に広い範囲で議論するということもむずかしいようなお話がございしま
たけれども、私
たちが希望いたしますところは、なるべくこれを、衆知を集めて議論できるように、公開して議論していただけたら、非常にこれまでの御努力というものも実際に実を結ぶのではないかと考えるわけでございます。
委員会にかなり人がたくさん入っておるというふうなお話でございまし
たけれども、とに
かくこの委員へ方式というのと、それから学界方式というものは、かなり性格が違っておりますし、安全性の問題のように、また今後基礎的な
研究を続けていかなければならないような問題におきましては、なるべく学界方式をとって、十分基礎的な問題についての検討を進めていくということが、
国民全体の福祉に役立つのではないかと思うのでございます。いろいろむずかしい点もあるかと思いますけれども、ここで特に希望を述べさせていただいた次第でございます。
大へん長くなりましたが、私の
意見並びに希望をこれで終りたいと思います。