○
佐々木(良)
委員 もしほんとうに
科学技術の
振興を
考えられるならば、国務大臣としての
正力大臣は、むしろ
科学技術庁の
長官なんかより行政管理庁の
長官になられた方が手っとり早いと思います。これは言うまでもないと思いますけれ
ども、行政官庁の中で
技術官吏と一般事務官との
状態をごらんになってごらんなさい。それで
科学技術振興をやれだの、それから一般に
科学技術者の待遇改善をやれということ、そういうことを言う者
自身、資格がないでしょう。それは私は痛感されると思います。そういう
状態であるから、また現在の
行政府に、悪いけれ
ども、あまり
程度の高い
技術屋は集まりがたい
状態に実際になっておる。しかもなお
行政府におきましては、ほとんど明治時分からの保安行政監督面がそのまま行政権限として残されております。これであなた一体
仕事ができるか。これはテレビをやられて——ああいうテレビなんかは新しいものだから、明治時代にはなかったから取締りはあまりなかったかもしれぬけれ
ども、電気一つとってみても、これは我田引水で悪いようですが、電気
技術者の一番いいのはみんな
民間におる。それを
民間に対する行政面の監督は全部役所の
程度の低いのがこまかくやらなければならぬことになっている。それでもって
科学技術を発達させろだとか
振興しろだとか、そういうことはおこがましくて私は
お話にならないと思う。それからもう一つ、同じような
意味で、たとえばこれも電気で恐縮なのですけれ
ども、ヒューズが一本飛んで、それをちょっとでもいじって電気をつけたら、これは罰金か何かでひどい目にあいますよ。それでもって一般
民間人の
科学技術的な常識を高めようと思ったって高められるわけがない。私はこの辺に常識的な、根本的な
科学技術対策の問題があると思うのです。従いまして、本気になって
政府が問題を提起するならば、やはりますみずからをおさめなければ、人をおさめるだのという大きなことを言える資格はないわけでありますので、まずその政策を立てる
行政府自身が、
科学技術的な
振興についてものを言えるような格好に出直してきてからにしてもらいたい。そうしないと、一般
民間の方がむしろ迷惑です。できもせぬ
程度の低いのが、
科学技術云々という波に乗って官僚的な権限を振り回して、じたばたつまらないことをぐずぐず言われたら、正直な話、ますます困る。十分一つお気をつけ願いたい。
一つ例をとりますが、たとえばいろいろな行政が乱れ、そうして最近その面の
予算措置の変更もあったようで、これはいいような、おかしいような格好でありますけれ
ども、たとえば
補助金政策なら
補助金政策というものがある。これが少しルーズに流れている、そうしてこれがルーズに流れようとすると、何とかこれをルーズに流れないように取締りをうんと強化しなければならぬ、そうすると今度は会計検査院が強引にのさばり出してくる、強引にのさばり出してくることはいいけれ
ども、これまでひまでひまでしょうがなかった一番末端のチンピラ役人
どもが一般の役所に出ていって、三十万や五十万のものをがんがんと洗い立ててわあわあ言って、そうしてしかも官吏としてわれわれが見るに忍びないような格好で圧力を加えてくる。
目的は今言いましたように官紀の紊乱を粛正するという
意味で、その本筋は正しい。正しいけれ
ども、自分
自身がまだそういうことをする資格のない者にそういう権限を持たせれば、これは子供に刃物を持たしたような、まことに危険な
状態に相なるわけであります。私は、今度の
科学技術の
振興政策なるものは、まことに
方向はいいし、正しいのでありますけれ
ども、これと同じような弊を生み出さないように、十分に一つ気をつけていただきたいのであります。今、御承知のように、役所の中では
技術官吏は逼塞しておりまして、ふんまんやる方ないものがあります。しかも今言いましたように、
程度は高くないと言ったら悪いかもしれないけれ
ども、大体そういうことだから、あまり
程度は高くないに違いない。それが一般
民間の方は、今世界の趨勢に基いて、ぐんぐんと
技術的な向上を求めて、ことしの卒業生で見てごらんなさい、就職でも、一般文科系統よりも
技術系統の方がよほど就職率はいい。大体月給も高い。わあわあ言わなくても、ちゃんと行くべきところへ行っておる。そういうところに、役所の方からつまらない者が火をつけて、今のような
振興に名をかりて取締りみたいなことをすると、これはむしろ船をうしろ向きに戻すような結果になるということを、私は心から心配するものであります。従いまして、何とか
会議というようなものもいいかもしれませんけれ
ども、その中でまっ先にやってもらいたいことは、ほんとうに行政面における
技術監督のやり直し、
技術監督のいろはからの
考え直し、現在なら現在の電気
技術行政の中でほんとうに
民間にまかせられないもの、
政府として、官吏として監督しなければならない線、それから同時に監督する者の質的向上を十分にできるように措置、これがとられてからでないと、あまり大きな声で
行政府からわあわあ言ってもらいたくないと私は思います。十分一つ御考慮願いたいと思います。
それから時間がなさそうでありますから、南極観測隊につきまして、むしろ
科学技術センターとしての御
所見を伺いたかったのでありますけれ
ども、あとで時間がありましたら伺うことにしまして、ほかにしましょう。
先ほど同僚の
岡委員から、
日本科学技術情報センターの
お話が出ておりました。これを一つ、
正力大臣
自身の口から私ははっきり聞いておきたいと思います。
情報センターの設置
自身はいいことでありますし、この
活動がだんだん本格的になることはいいことであります。しかし私がこれでも同じように心配するのは、
科学技術の紹介ということをめぐって、
日本の行政官庁、あるいはこれに類するものの中に、もうすでに強引なるセクトと派閥が生まれつつあるということでありまして、むしろこのことは、私は費用の非常な乱費と、それから総合的な
機能を発揮し得ない結果になることをおそれるものであります。御承知のように、国会
図書館には国会
図書館で、
科学技術の紹介なり、あるいは
研究なり、あるいは
情報センターに似たような
仕事なりをしようとする動きが現にあって、そして
予算を要求し、今度におきましても二千五百万円
程度が
予算にあげられております。これは大体五千万円
程度になるという話を聞いております。同じような
意味で、統一されるならば、されなければならぬ問題に、
特許庁の似たような、特許に
関係のある
技術面の
資料整備の問題がありまして、この
関係にやはり同じように二千五、六百万円が計上されているように聞いております。私
どもは国会
図書館と
科学技術図書館の創立ということにつきまして、その辺の
事情を少々聞いてみましたところが、さっぱりお互いに
連絡もなければ相談もないし、そうして全然総合的な運用もされておらない。おのおの勝手に、それこそ競争みたいな格好でやられようとしておる。
先ほど聞いてみますと、
外国図書並びに
雑誌をどれだけ入れるかどうかというような話があった。私は
雑誌なんかは
相当部数が
重複して入ってもいいと思いますが、しかしながら、それを紹介したり
翻訳したりする
仕事は、もう少し本格的な総合がされて、そして
運営のよろしきを得るならば、私は
相当な効果をこれからでも上げ得ると思います。聞くところによりますと、アメリカにおきましても最近海外
技術情報センターというものができたそうでありますけれ
ども、これは現実に
技術図書館と共同作業的な格好で
仕事を進めておるようであります。従いまして、私は今後このものがどういうふうに
運営されるのか、本格的に
科学技術図書館を
科学技術図書館として総合されるような
方向にこの
情報センターを持っていかれるつもりがあるのか。
情報センターは
情報センターとして、ほかのものは別として、当面の
活動だけを行なおうとされるのか、この
基本的な
運営の
方針、
考え方をまず伺いたいと思います。