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佐々木政府委員(佐々木義武)
○佐々木
政府
委員
前々から
原子力委員会
の強化という問題がございまして、非常に事務量と申しますか、問題が具体的になるに従いまして山積して参りましたので、常時これを処理する必要が昔に比して非常に多くなったわけでございます。従いまして、週に一回二回という勤務でなく、できますれば、全員
常勤
で専心この問題に当っていただきたいというのが念願でございまして、実は今度の
予算
もその趣旨を貫いておったわけでございます。ただ
予算
が決定いたしましてから、藤
岡委員
の転勤の問題が起きまして、その後任の問題がございました。
予算
を組みましたときには、あくまでも
常勤
という線で貫きまして、自後藤岡先生が転勤したのでございますので、その後の後任の問題に関しましては、先ほど
大臣
からお話がありましたように、現在の学会との
関係
あるいは核融合の問題等の最も練達者を選びたいという
大臣
の御
方針
でございまして、菊池先生が一番適任じゃないかというので、むしろ
常勤
の線の重要性以上に、そちらの考えの方がこの際重要じゃなかろうかという観点から、先ほど
大臣
がおっしゃったような結果になった次第であります。
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1958-02-06 第28回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年十二月二十日
齋藤憲三
君が
委員長
に、
秋田大助
君、
有田喜一
君、
菅野和太郎
君、
中曽根康弘
君、
前田正男
君、
岡良一
君及び
志村茂治
君が
理事
に当選した。 ――
―――――――――――
昭和
三十三年二月六日(木曜日) 午前十時五十五分
開議
出席委員
委員長
齋藤
憲三
君
理事
秋田
大助
君
理事
有田
喜一
君
理事
菅野和太郎
君
理事
中曽根康弘
君
理事
前田
正男
君
理事
岡
良一
君 小平 久雄君 須磨彌吉郎君 南 好雄君 山口 好一君 石野 久男君
佐々木良作
君 田中 武夫君 滝井 義高君 原 茂君
出席国務大臣
国 務 大 臣
正力松太郎
君
出席政府委員
科学技術政務次
官 吉田
萬次
君
総理府事務官
(
科学技術庁長
官官房長
)
原田
久君
総理府事務官
(
科学技術庁企
画調整局長
) 鈴江 康平君
総理府事務官
(
科学技術庁原
子力局長
)
佐々木義武
君
総理府技官
(
科学技術庁調
査普及局長
) 三輪 大作君
委員外
の
出席者
科学技術庁事務
次官 篠原 登君 ――
―――――――――――
昭和
三十二年十二月三十日
委員宇田耕一
君が死去された。
昭和
三十三年一月二十七日
橋本登美三郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任され た。 同日
委員木崎茂男
君辞任につき、その補欠として橋 本
龍伍
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
昭和
三十二年十二月二十日
原子力委員会設置法
の一部を改正する
法律案
(
岡良一
君外八名提出、第二十六回
国会衆法
第四 十七号) の審査を本
委員会
に付託された。
昭和
三十三年一月十八日
阿武山原子炉設置反対
に関する
陳情書
(第五四号) を本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
科学技術行政
に関する件
科学技術庁関係予算
に関する問題 ――――◇―――――
齋藤委員長(齋藤憲三)
1
○
齋藤委員長
これより
会議
を開きます。
科学技術振興対策
に関する件につきまして、
調査
を進めます。 本日は、先般の
理事会
における申し合せに従いまして、まず
正力国務大臣
より、
科学技術行政
に関する
所信
を承わり、次いで
昭和
三十三
年度
科学技術庁関係予算
の
説明
を聴取することといたしたいと思います。
正力国務大臣
。
正力国務大臣(正力松太郎)
2
○
正力国務大臣
科学技術振興
のための
昭和
三十三
年度
における
基本的施策
について申し上げます。 近時における
世界
の
科学技術
の進展は、まさに画期的な段階に達しており、従来の
宇宙観
すら一新されねばならぬ時期に遭遇している。その
成果
の影響は、
人類文化
の各般に及んでいるが、なかんずく、
生活水準
の
向上
、
産業活動
の活淡化に寄与するところはきわめて大なるものがある。このような時期に際会して、天賦の
資源
に恵まれぬ
わが国
が、
世界先進諸国
に伍しつつ、なお
文化国家建設
の理念を追求するためには、
国内資源
を最も有効に利用し、
輸出
を飛躍的に伸長せしめなければならない。そうしてこれを可能ならしめる最も重要な
方策
が
科学技術
の
振興
であり、もって生じる
研究成果
がその強力な
推進力
になるものといえよう。しかし、戦後における
わが国
の
科学技術
の
水準
は、遺憾ながら、いまだ低位にあるというのほかなく、これを
向上
せしめることこそ刻下の急務であるといわねばならない。 これに対処するため、
政府
がその
重要政策
の一環として
科学技術
の
振興
を大きく掲げたことは、当然のこととはいいながら、御同慶にたえない。この大
目的
を達成するために、種々の
方策
が考えられるのであるが、当面の
施策
として
科学技術庁
が、新
年度
に
実現化
を期している
施策
は、次のごときものである。 まず、
科学技術振興
の
基本的政策
を確立し、国の諸
施策
にこれを十分に浸透させる
目的
で、新たに
総理府
に
審議機関
として
科学技術会議
を設ける。その構成は
内閣総理大臣
を
議長
として、大蔵、文部、
経済企画
、
科学技術
の
関係各省
庁の長のほか、
常勤
二名を含む
学識経験者
四名からなり、その
審議事項
としては、
科学技術
に関する長期的かつ総合的な目標の設定、
国家
的にみて特に重要と認められる
研究
の
推進
、
日本学術会議
からの意見についての
検討等
が考えられるが、これら以外の
基本
的な
科学技術振興方策
についても、この
会議
で
最高方針
を力強く審議していただきたいと考えている。 次に、
原子力平和利用
の
推進
については、現在までの
研究
により予想以上の
成果
を上げ得たので、
日本原子力研究所
においては、従来の
試験的研究
を並行して、新
年度
においては、さらに
実験用動力炉
を
導入
し、
原子力実用化
への強力な一歩を踏み出すこととした。
導入
すべき
動力炉
の
型式等
について、なお
検討
すべき
分野
が残されているが、これが
設置
され、稼働を開始する時期が至れば、
わが国原子
万
産業
にも巨大なるともしびが点ぜられることとなろう。なお、
一般動力炉
及び
燃料
の
導入
については、
関係諸国
と
一般協定
を締結するため、引き続き折衝を行うており、近くその妥結が見込まれている。また、
原子燃料公社
については、その
探鉱
を
促進
し、
精錬施設
を
整備
強化せしめることとして、
原子燃料国産化
の緒を開かしめるとともに、
昭和
三十二
年度
に
設置
した
放射線医学総合研究所
においても、
放射線
の
障害防止
及び
放射線利用
による治療の
研究等
を行うために、その
施設
、
人員
の
整備充実
に力を注いでいる。 また、
原子力利用
と並び称される
電子技術
の
振興方策
については、さしあたり、
科学技術庁
に
付属機関
として、
関係行政機関
の
職員
及び
学識経験者
からなる
電子技術審議会
を
設置
することとし、この
審議会
をして、
電子技術
に関する
基礎研究
、
応用研究
、
研究成果
の
実用化等
の各
分野
につき総合的な
検討
を行わしめ、もって今後の
わが国
の
電子技術振興方策
を樹立する
所存
である。 さらに、
科学技術
の
基礎応用両面
にわたって、独自の
存在価値
を示してきた
株式会社科学研究所
を、
特殊法人理化学研究所
(
仮称
)に改組して、その伝統的な
研究業務
を強化充実せしめるとともに、これに新
技術
の
開発業務
を付加することにより、従来、
企業化
に伴う経済的な不安が大きいために、机上に眠っていた優秀な新
技術
を関発
企業化
せしめることとして、
研究
と
産業
との橋渡しの役割をも果させることとした。このような
開発
に伴う危険を負担する機構は、
わが国
においては新しい
制度
であり、この面においても、従来の
科学研究所
の輝かしい業績にまさるとも劣らぬ
成果
を期待したい。 その他、
昭和
三十二年に設けられた
日本科学技術情報センター
は、
外国最新知識
の
導入
、
国内科学技術研究成果
の普及、その
啓発宣伝
のための
業務
に関し、
資料
の収集、
整備等
を着々と行なってきたのであるが、新
年度
においては全面的にその
活動
を開始することになる。他方、当
庁所属
の
航空技術研究所
、
金属材料技術研究所
も、
施設
、
人員面
において
所要
の
増強
を行なったので、それぞれの面における
国内技術水準
の
向上
に大なる貢献を果すものと期待している。 なお、如上の具体的な
施策
のほかに、国として
科学技術
の
振興
をはかるために忘れられてならない最も重要な問題は、
科学技術教育
の
振興
と、
科学技術者
の
待遇改善
に関する
方策
である。
科学技術教育
については、別途
主管官庁
において、
振興
の
方策
も講ぜられることになっているが、
わが国
における
科学技術水準低下
の遠因が、
学校教育
における
文科偏重
の風に大きく災いされたことに思いをいたし、今後とも、均衡のとれた
文教制度
を確立するための強力な
政策
が強く望まれる。このような
制度
のもとにおいて初めて
科学技術尊重
の
風潮
も生まれ、優秀な
科学技術者
と
科学技術
とが育成されるものであることは言うをまたない。また、この
風潮
を積極的に
推進
する
方策
としては、
科学技術者
の
待遇改善
を行うことが肝要であり、
技術革新的傾向
から
民間企業体
の
科学技術者
はある程度優遇されているとしても、
国家
及び
地方公共団体
の
研究公務員
の
待遇
は
先進諸国
に比して著しく劣り、その
研究意欲
を阻害していることはいなめない事実である。この弊を除去するための
方策
も目下
検討
を進めており、
関係方面
の
協力
を得て合理的に解決したい
所存
である。 以上要するに、目ざましい
世界先進諸国
の
科学技術水準
におくれることなき体制を樹立するための諸
方策
につきるる述べたのであるが、もとよりこれのみで十二分の効果を期しているわけではなく、以上の諸
施策
を
基盤
にして、より一そう
世界
の現状に即応した
科学技術振興政策
を樹立し、もって
産業基盤
の確立、
輸出
の
振興等
、
わが国
刻下の要請にこたえたき
所存
であり、この面における
国会議員各位
を初め、
関係
各
方面
の御
協力
を心から望む次第である。
齋藤委員長(齋藤憲三)
3
○
齋藤委員長
次に
原田官房長
。
原田政府委員(原田久)
4
○
原田政府委員
お手元にお配りしてあります
資料
に基きまして、
昭和
三十三
年度
科学技術振興予算
の
重要事項
につきまして、
予算関係
を御
説明
させていただきます。
資料
の第一ページに
事項
と前
年度予算
額(A)、三十三
年度
予算要求額
(B)と
差引増減額A
―Bと三つの欄が設けてあります。ただいまその(B)の欄を中心に、
外事項ごと
に御
説明
をさせていただきます。 まず
一般
の部でございますが、
科学技術振興長期計画作成
という
事業
に伴いまして、
所要経費
二百十四万九千円が
計上
されております。これは後刻御
説明
いたします
科学技術会議
などの
審議事項
の
内容
になるものを用意いたしたいというものでございます。 2の
試験研究
の
促進
でございますが、内談を申し上げますと、多数
部門
の
協力
を要する
試験研究助成
でございます。これは前
年度
クロレラの
研究
につきまして
補助金
二千五百万円を出した
経費
でございますが、この種多数
部門
の
協力
を要する
研究
につきましては、終りから三行目の7の
総合的重要研究促進特別措置
というので空欄がございますが、この中で、
政府案
といたしましては
経済基盤強化資金
の中の
科学技術振興費
から、
補正予算
を組んで
要求
したいと考えております
事項
に、この多数
部門
の
協力
を要する
試験研究助成
の項目が入るという観点に立ちまして、今回は
計上
することを取りやめた次第でございます。 次に(2)の
在外研究員
の
派遣
でございます。これは従来から当庁がやっておりました、
関係各省
の
研究員
の
海外派遣
の
経費
でございますが、
増員
が認められまして四千二百二十二万八千円、前
年度
に比べまして千二百九十五万三千円の増に相なりました。 (3)でございますが、
所属試験研究機関
の
整備
といたしまして、(イ)の
航空技術研究所
は
現金予算
として十一億二千五百六十二万三千円、
債務負担行為額
として十五億八千万円ほど
計上
されておりまして、これを前
年度
に比べますと、
現金
にいたしまして二億五千八百四十一万二千円、
債務負担行為
といたしまして一億円の増でございますが、
内容
といたしましては、
遷音速風洞強力装置
という
施設
を
整備
する
経費
が
内容
になっております。人質につきましては、同
研究所
は現在八十四名おりますが、三十名の増を見まして百十四名に相なる
予定
でございます。 (ロ)の
金属材料技術研究所
でございますが、これは一昨年発足した
研究所
で、三十三
年度
は第三年目に当るわけでございます。その
予算
といたしまして、
現金予算
四億一千三百四十六万三千円、
債務負担行為
一億三千九百万円
計上
されておりまして、前
年度
に比較いたしまして、
現金
において一億九千九百五十三万円、
債務負担行為
におきまして一億三千九百万円の増でございます。
人員
は四十名の増が認められておりまして、現在員八十名と合せまして百二十名に相なる
予定
でございます。 次に、
研究成果
の
活用促進
について申し上げます。その
内訳
といたしまして、新
技術開発機関
の創設でございます。これは前年来新
技術開発機関
という
独立機関
を
設置
する
構想
で進めておりましたが、今回
特殊法人理化学研究所
の
設置
に関連いたしまして、同
研究所
内で同種の
目的
、機能を果す
部門
を
設置
する
経費
といたしまして八千万円
計上
いたされた次第でございます。 (2)の
特許発明
の
奨励
及び
実施化
でございますが、これは前年とほぼ
同額
の二千三百四万七千円でございます。ただし、七十一万三千円減になっておりますのは、
補助金
三%減の
一般
的な取扱いに従ったものでございます、 4の
科学技術調査
及び
情報活動強化
でございます。まず
内訳
の(1)の
科学技術
に関する
調査活動強化
でございますが、これは前年と
同額
でございますが、
庁費
、旅費の五%減を受けまして、百九十四万七千円に相なった次第でございまして、九万七千円の減でございます。 (2)の
日本科学技術情報センター
でございます。これは昨年発足いたしました
特殊法人
の
機関
でございますが、八千万円
計上
されまして、一千万円の増でございます。
人員
につきましては現在六十名ほどおりますが、三十名ほど増加をする
予定
になっております。 (3)の
科学技術アタッシェ
の
増強
でございますが、
原子力関係
といたしまして、一名ウイーンに
派遣
する
予算
が
外務省分
として
計上
されておりますが、当庁の
要求
でございますので、ここに
計上
してございます。 うの
資源
に関する
調査活動強化
でございますが、
経費
といたしましては二千百十五万円
計上
されまして、前
年度
に比べまして六百八十二万九千円の増でございます。
事業内容
といたしましては、
資源
に関する諸般の
調査活動
を続けて参っておりますが、それを
基本
にいたしまして、総合的な取りまとめをいたす
経費
がおもなる
内容
となっております。 6の
科学技術会議
(
仮称
)
設置
でございます。これはすでに御承知かと思いますが、先刻の
大臣
の
構想
にもありましたような
内容
の
審議機関
を
総理府
に
設置
するものでございます。その
経費
といたしまいして一千五十七万四千円、
内訳
といたしましては
常勤議員
の給与とか、あるいは初度
調弁費
などを含めたものでございます。 7の
総合的重要研究促進特別措置
、これは先刻御
説明
申し上げましたように、
経済基盤強化資金等
に含めて
大蔵省
に
計上
ということに相なっております。 8の
電子技術振興
でございますが、
電子技術審議会
を
設置
いたしまして、その
経費
といたしまして三十四万八千円を
計上
上しております。 次に、9の
特殊法人理化学研究所
(
仮称
)
設置
でございますが、二億五千万円
計上
いたされまして、前
年度
に比べまして一億円の増に相なっております。 以上
一般
の部の
合計
を申し上げますと、
現金
にいたしまして二十億五千五十二万九千円、
債務負担行為
にいたしまして十七億一千九百万円、計三十七億六千九百五十二万九千円、前
年度
に比べまして、
現金
において六億五千四百九十八万五千円の増、
債務負担行為
におきまして二億三千九百万円の増でございます。 次に、
原子力
の部を御
説明
申し上げます。 1の
日本原子力研究所
でございますが、この
経費
といたしまして、
現金
四十五億円、
債務負担行為
三十一億六千百四十万円
計上
されまして、前
年度
に比べまして、
現金
において四億二千百七十六万一千円の増、
債務負担行為
におきまして十六億二千二百十四万五千円の増でございます。
内容
といたしましては、
原子力研究所
の
建設維持運営費
のほかに、特に
動力試験炉
の
経費
を含んでおります。
動力試験炉
といたしましては一億円の
現金
と二十四億円の
債務負担行為
を含んでおります。なお、
日本原子力研究所
につきましては、現在四百五十名の
人員
を擁しておりますが、三百名の
増員
が
内容
に含まれております。 2の
原子燃料公社
でございますが、
現金予算
といたしまして十二億五千万円、これを前
年度
に比べますと、
現金
において五億九千九百十二万八千円の増、
債務負担行為
におきまして四億二千七百四十二万円の滅でありまして、
探鉱
製錬等の諸
事業
を
推進
する
内容
のものでございます。 3の
原子力技術者
の
海外派遣
でございますが、この
予算
といたしまして…千四百七十七万円
計上
されておりまして、前
年度
同
経費
に比べまして千五百六十三万円減になっております。
内訳
といたしましては、前
年度
は三十名で、本
年度
は二十二名がこの分として
計上
されておりますが、ほかに
原子力研究所
の方と
燃料公社
の方にそれぞれ五名及び三名の
原子力技術者
の
派遣経費
が含まれておりますので、実質的には前
年度
と同数の
人員
を
派遣
することに相なっております。 4の
核燃料物質等
の
購入経費
といたしまして、前
年度
に比べまして四百三十六万二千円の増の六千四百六十九万一千円が
計上
されております。 5の
原子力平和利用研究
でございますが、これは
民間
各
方面
に
原子力関係
の
研究
を補助し、あるいは委託する
経費
でございます。
現金
にいたしまして四億七千万円、
債務負担行為額
といたしまして一億円、前
年度
に比べまして、
現金
においては一億五千三百四十万円の増、
債務負担行為
におきましては二億二千百八十万円の減でございます。 6の
核原料物質
の
探鉱費
三千万円
計上
されております。前年
同額
でございますが、前
年度
は通産省に
探鉱奨励金
としてついておったものを、
原子力関係予算
として、今回は
科学技術庁
に
計上
したものでございます。 7の
放射能測定調査研究
の
経費
といたしまして三千六百二十四万九千円、前
年度
に比べまして三百二十五万二千円の増に相なっております。 次に、8の
国立機関
の
試験研究費
でございますが、これは
関係各省
の
原子力関係研究
をいたします
経費
を一括
計上
いたしまして、各
省庁
に移しかえをする
経費
が
内容
となっておりますが、その
予算
といたしまして六億七千百五十六万九千円で、前
年度
に比べまして、
現金
において一億六千二百八十八万円の増、
債務負担行為
において二億六千三百九十五万八千円の減でございます。 9の
放射線医学総合研究所
でございますが、これは
現金
において五億六千九百三十三万五千円、
債務負担行為
において一億二千万円でございまして、前
年度
に比べまして、
現金
において四億二千五百七十六万四千円の増、
債務負担行為
において三億二千七百五十六万七千円の減でございます。
内容
といたしましては、
研究所
の設備その他を充実していくものとなっております。なお
定員
につきましては、現在四十名おりますが三十名の増が含まれております。 あとの
原子力委員会
、
原子力局事務処理費
は、
説明
を省略させていただきます。 以上計、
原子力
の部といたしまして、
現金予算
七十七億二百五十四万八千円、
債務負担行為
三十三億八千百四十万円、計百十億八千三百九十四万八千円が
計上
されたわけでございます。 次に、前
年度
の比較を申し上げますと、
現金
において十七億六千三百十六万二千円の増、
債務負担行為
におきまして三億八千百四十万円の増に相なっております。 雑件といたしまして、
技術士法
の施行に要する
経費
あるいは
一般行政事務処理費
、
人件費等
がございますが、
説明
を省略させていただきます。 ただ、申し添えておきたいことは、
科学技術庁
の
一般職員
といたしまして、
定員
で五十九名の増、
特別職
で三名の増でございます。 以上
合計
を申し上げますと、
現金
において九十八億六千七百五十九万七千円、
債務負担行為
で五十一億四十万円、計百四十九億六千七百九十九万七千円と相なり、前
年度
に比べまして
現金
において二十四億四千五百四十六万三千円の増、
債務負担行為
において六億二千四十万円の増、計三十億六千五百八十六万三千円の増に相なっておる次第でございます。 以上、
予算関係
の
説明
を終らせていただきます。
齋藤委員長(齋藤憲三)
5
○
齋藤委員長
以上をもちまして
科学技術行政
に関する
正力国務大臣
の
所信
の表明並びに
昭和
三十三
年度
科学技術庁関係予算
の
説明
は終りました。 これより
質疑
に入ります。
質疑
は、通告に従いまして順次これを許します。
岡良一
君。
岡委員(岡良一)
6
○
岡委員
私は、
正力国務大臣
がただいま表明されたその
御所信
の中で、特に
科学技術振興
の
基本的政策
を確立するために、新たに
科学技術会議
を設けるという点、さらに
原子力
の
平和利用
を
推進
するために
実験用動力炉
を
導入
して、その
分野
の拡大をはかるという点及び
科学技術
の
基礎
、
応用両面
にわたって、さらに積極的な
措置
をはかるがために、
特殊法人理化学研究所
を
設置
いたしたいという
御所信
、この
御所信
について、果してただいま御
説明
の
予算
が、これらの
構想
を実現するに足るかどうかということについて、率直な御
答弁
を承わりたいと思います。 その前にお伺いいたしたいのでありますが、
正力国務大臣
は、かねてから
科学立国
ということが自分の
政治的信念
であるということを常にこの
委員会
で申されておったのであります。ところが三十三
年度
予算要求額
、そのうちにおける
科学振興費
の
総額
は一体幾ばくであるのか。そうしてそれの諸
外国
、特にアメリカ、英国、西ドイツ、フランス、
ソ同盟等
との
科学技術振興
に使っている総
予算
との
比率
、あるいはまたそれぞれの各国の総
予算
内における
科学技術振興費
との
比率
、こういう点についてまず
技術庁
の
担当者
から御報告を願いたいと思います。
正力国務大臣(正力松太郎)
7
○
正力国務大臣
ただいま
岡委員
から、最初にまず数字的に
説明
をして、それから
科学技術振興
のわれわれのいわゆる大
方針
を述べよというお話でございますが、数字の
説明
をする前に、まず、私の大
方針
はただいま申し上げた通りでありますが、もう少しこれを具体的に申し上げますと、実は今度の
予算
で果してお前の大理想を達成することができるかどうかという御質問で、これはまことに痛み入りますが、私どもはこの
予算
でわれわれの思うておるところを大体達し得る――実は現
内閣
においても、
科学技術
については非常に好悪を持ってやりまして、
予算会議
でも一番初めに話がついたのは
科学技術庁
であります。それほど
大蔵省当局
もこれに対しては非常な関心と
好意
を持ってやったのでありまして、むろん
岡委員
の言われた趣意から見ると、だいぶ遠いところがあるかもしれませんが、とにかく
日本
の今日の財政において、これだけになったことは、非常に私は大奮発なりと信じます。 なおここに書いてある
予算総額
はたしか百五十何億だと思いますが、そのほかにまだ
重要政策促進
の、いわゆるたな
上げ資金
というものがあります。それは大体二十億くらい
研究資金
に取れるのじゃないか、これはまだ額は確定していません。とにかくそういう金が出し得ることになっています。それですから、それがもしも二十億取れるとなれば、百七十億という
予算
が取れますので、昨年に比較すると、本
年度
はたしか五十億と思いますが、増になるわけでありますから、要するに現
政府
としては、最大なこれに注意と
好意
とを持ってやったということを申し上げます。
岡委員(岡良一)
8
○
岡委員
科学技術庁
からいただいた
資料
によれば、
自然科学関係
の
研究費
は、米国は
日本
の約五十倍、ソ連は約三十倍、それは
予算
の
実額
。そこで総
予算
に対する
比率
は、
日本
は一九五五年に相なっておりますが、大体二%を下回っておる。ところが他の国々においては、三%なりあるいは五%に近いということになっておる。そこで今の
正力国務大臣
の御
答弁
についてさらに確認をしておきたいことは、それでは
経済基盤強化
の基金として
予算
に
計上
されておる分の中から、二十億程度は、今後
日本
の
科学技術振興
のための
研究費
として、確保し得るというお約束がいただけるかということ。 もう一つは、なるほど
大蔵省
がずいぶん多額な支出について快く応じてくれた、これは
政府
の
科学技術振興
に対する熱意の現われである、こうおっしゃっておられる。しかしながら、今申しましたように、
科学
の
先進国
における
予算
は、
総額
においても、総
予算
との
比率
においても、
日本
に比べては非常に大きいということ、これはあなたの方の役所から出された
資料
で示されておる。しかも、たとえば本
年度予算
で、平
年度
にすれば約三百億近い
軍人遺族
の
恩給費
というものが組まれておる。
日本
は何で
一体いくさ
に負けたか、物量で負けたといわれますが、最後のとどめは
科学
の力によってとどめを刺されておる。してみれば
科学技術振興
というものには、まだまだ
予算的努力
があってもいいのじゃないか。これらのいろいろの要素を考え合せますと、あなたの日ごろの
科学立国
というその大
方針
が、
予算
的な努力においては全く看板倒れじゃないか、私はかように申し上げたい。この点もう一ぺん承わっておきたいと思います。
正力国務大臣(正力松太郎)
9
○
正力国務大臣
実は、今度の
予算
につきましては、先ほど申し上げました通りに、
政府
は非常にこの
予算
の工面をいたしてくれたのでありまして、私どもの
要求
額に大体近いところまできたのであります。ところが、御承知の通りに、
日本
は、私は
科学立国
を叫んで参りましたが、これまだ二、三年のことでありますので、十年立ちおくれております。従って、あの
先進国
に十年おくれているから、これだけの大きな
予算
にきたということは、私は決して
外国
に対して恥かしくないと思うのであります。御承知のごとく、たとえて言うたならば、どうしても
科学技術振興
のためには、
一般
国民の
科学
思想の養成と、
科学
に重点を置いた教育
制度
を完備しなくちゃならぬ。それが今までなかなかそこまで目がさめてこなかった。ようやく今年、今まで文科系七、理工科系三のものを、この四月から文部省も五、五まで持ってきたのです。そういうふうにようやくここまできたのですから、
予算
ばかりとりましても、なかなかこれに伴う
研究
者数が急にそういきませんから、私は、今日の
科学技術
に対して、文部省も
方針
を改めてくれた、来
年度
からはこれはまたさらにずっといき得ると思います。 そういうふうに
科学技術
に重点を置いた教育
制度
の改正が何としても前提になりますものですから、そうたくさん
予算
ばかりとれないようなわけでありますがそれにしても昨年より五十億もよけいにふえておるのでありますから、われわれ役所としても、このくらいでもやむを得ぬかと思うのであります。
岡委員(岡良一)
10
○
岡委員
もう一つ、
経済基盤強化
基金の中から、
科学技術振興
のための
研究費
として、二十億は特に期待できるのでしょうか。
正力国務大臣(正力松太郎)
11
○
正力国務大臣
私は期待できると思うております。これはまだきまっておりません。とにかく経済
基盤
のうちから二十億前後のものは出得ると思うております。
岡委員(岡良一)
12
○
岡委員
なるほど
科学技術
の
振興
といえば、問題は人であることは当然です。従って、今後、理科あるいは工科系統の人の養成に力点を置いて将来に備えていかなければならないことは当然ですが、しかし、現在、たとえば東大の理学部を見ても、あるいは工学部を見てもですが、あそこには講座が合せて約八十強あるでしょう。助手の
定員
、助教授の
定員
、講師の
定員
を見ても万百くらいではないかと私は思うのです、ですから、結局理工科で学校を卒業してみたところで、
基礎研究
に残る者がいない。
基礎研究
はサラリーのいい
民間
会社の方へ行ってしまう。
基礎研究
に残っても、学位をもらってこれから
研究
をしなければならぬという段階では、学位というものを看板にして高い給与の方へ行ってしまう。こういうようなことは今年からでもやれることなんです。今年からでももっと
予算
を張り込んで、
基礎研究
の
分野
において幾らでも人の養成はやれる。今年の四月から卒業する者を
研究
分野
にかかえ込むことはできると私は思うのです。そういう点で、人の養成、今から
学校教育
は理科、工科に重点を置くといったところで、それは四年先、五年先、単科大学だって三年先の話です。現在でもやれることについて、私は
政府
の努力というものが足らないんじゃないかと思う。
科学技術庁長
官として、これは当然
科学技術教育
というものと不可分な問題であるから、こういう点についてやはり
予算的努力
については十分な関心とともに、閣議等においても御主張があってしかるべきだと私は思う。そういう御努力については、
正力国務大臣
はなされたのかどうか。
正力国務大臣(正力松太郎)
13
○
正力国務大臣
今お話しした通りに、
科学立国
については、どうしても人の問題、従って学校の
研究員
、
研究所
の
研究員
、こういうものの
待遇改善
が何よりも必要であります文部省の方は文部
大臣
がやっております。私も微力ながら幾分の応援をしたつもりでおりますが、まず私どもの方の
関係
として、公務員の
研究員
、それについて
予算
を六千万円とりました。これでこの
待遇改善
を四月からはかります。
岡委員(岡良一)
14
○
岡委員
この問題は、
科学技術教育
の問題でありますので、
委員長
においても、文部
大臣
等
関係
大臣
の御出席をごあっせんいただいた上で、いずれ十分に私どもの方で
検討
したいと思います。 そこで
科学技術会議
の問題でありますが、これに
大臣
として非常に大きな希望を託されておられるようであります。そこでまずお尋ねをいたしたいことは、この
科学技術会議
というものは、国防
会議
というものがありますが、これと比較して、機構の上において、運営の上において、その権威において、どういうものでありましょうか、この点を一つお聞かせを願いたい。
正力国務大臣(正力松太郎)
15
○
正力国務大臣
国防
会議
とは多少違っております。国防
会議
には
民間
人は入っておりません。この
科学技術会議
には
民間
人を入れております。しかも常設の
学識経験者
二名、非
常勤
を二名と、
民間
人四名を入れております。これは、私どもがこの主張をした重点は、どうしても
科学技術
立国、
科学技術
をやるについては、
日本
におけるエキスパートをここに持ってこなければしょうがない、もちろん最高
機関
として
内閣
において決定をするのですが、この前にどうしても、これは
関係
閣僚だけではいかぬ、これに学識経験のある
民間
人を入れたい、そうして、先ほど述べたように、これに常設の人を入れるというのが、今度力説したところであります、それによって初めて私は
日本
の重大
政策
というものをきめ得る、また重大
政策
を
促進
し得る、こう信じておるわけであります。
岡委員(岡良一)
16
○
岡委員
民間
人をこの
会議
の議員に委嘱されるという
構想
は、私どもも非常に賛成なんですよ。ただしかし、その結果、この
科学技術会議
というものの権威というもの、あるいは閣議に対する
会議
の決定の影響力というもの、これがもちろん一番重大な関心事です。
民間
人を入れてよりよき決定が出される。それが閣議に対して大きな影響を与えるという点から考えまして、
総理府
にこれを付置されるという
構想
になっております。
総理府
には、
原子力委員会
も付置されている。売春対策
審議会
も付置されておる。そうして国防
会議
は、法律に基いて独自な事務局を持っております。ところがこの
科学技術会議
設置
法の要綱では、庶務は
科学技術庁
が処理するということになっている。こういう点からいたしますと、
科学技術会議
が、その掲げる
目的
、すなわち
科学技術
に関する
基本
的な
政策
なり
科学技術
に関する長期的な目標の設定なり、こういった重大な国策の具体的な決定というものを、ほんとうに閣議が十分に尊重し、これを実施するということにおいて、
総理府
に付置された売春対策
審議会
などというものと同列な形で、いわゆるこれまでの
審議会
風な扱いがされたのでは、せっかくの
構想
は、私は事実上名
目的
なものになるという心配を持つわけなんです。この点についてさらに
正力国務大臣
としては、この
機関
の権威、その決定がいかに総理
大臣
及び閣議によって尊重されるかということについての見通し、確信のほどをお示し願いたい。
正力国務大臣(正力松太郎)
17
○
正力国務大臣
この
科学技術会議
というものに私どもが非常に期待をしておりますことは、要するに今まで
総理府
にいろいろなものがありましても、それは閣僚が加わっておりません。おっても一名です。今度は経済閣僚も入れれば、文部省――つまり御承知ように私は
科学技術庁長
官としてで、やはり教育に関することは文部
大臣
が握っておりますから、文部
大臣
も入れる。私も一員として入る。また経済問題も伴うから大蔵
大臣
も入れる。そうして総理をこの長にするということにするし、なおまた入る四人の
民間
人も
大臣
と同様な
待遇
にしたいと今考えておりますので、この法案を今練っておるわけであります。
予算
面ができますれば、なおこれから法案をいずれ提案いたしますから、これを御審議願いたいと思うのであります。この法案のいかんということがこの実効を上げるかどうかの僕はかぎじゃないか、こう思っておりますから、どうぞその法案について十分御審議していただきまして――それによって
科学技術庁
の本能が果し得るかどうかということは、私はこの法案によってきまると思いますから、その際は何分の御
協力
をお願いいたしておきます。
岡委員(岡良一)
18
○
岡委員
法案といわれますが、この
予算
の
説明
を見れば、
科学技術会議
の
予算
も若干
計上
されておる。あるいは
仮称
理化学
研究所
の
予算
も
計上
されておる。ところが
科学技術会議
設置
に関する
法律案
なりあるいはまた科研を理化学
研究所
に改組しようという
法律案
なり、
予算
を執行すべき裏づけとなる根拠的な法規というものは何も提出されていない。これは私は非常に無責任だと思う。
予算
の
説明
をされるならば、この
予算
の執行はこのような機構において、このような運営をするのだという、
予算
執行の根拠となる法律というようなものの提出をなぜなさらないのですか、一体これはいつなさるおつもりなんですか。
正力国務大臣(正力松太郎)
19
○
正力国務大臣
この
予算
を
大蔵省
へ請求するときにも、われわれの方で大体の法案の意義をいろいろ話しております。そうして、目下練っておりますので、今月のおそくも二十日ごろまでには提案できる、こういうふうに今急いでおります。これは前申し上げました通りに、ほかの
審議会
と違う点は、第一に
常勤
の人がほかの
審議会
には――
原子力委員会
はありますが、ほかにありません。それとその
原子力委員会
も閣僚は私一人でありますけれども、これには
関係
閣僚がみな入っておるという点であります。従って、閣議においてもこの決定は相当重んぜられるものと信じております。
岡委員(岡良一)
20
○
岡委員
科学技術庁
からいただいたこの
資料
を見ると、提出
予定
は、大体
科学技術会議
設置
法案、
科学技術庁
設置
法の一部を改正する
法律案
、理化学
研究所
法案は二月十四日に閣議提出の
予定
と相なっております。今、
正力国務大臣
の御
答弁
によれば、二月二十日までということになっておりますが、私どもの党といたしましても、
予算
の執行のために必要な
法律案
の提出なくして
予算
の審議というものをわれわれに
要求
するということは、従来の最もあしき慣行である今度の国会においては、あくまでも両々相携えて御提出を願いたいという強い態度を持っております。二月二十日までには必ず
科学技術会議
設置
法案等、
予算
の執行に必要なる根拠法規というものは御提出になるというお約束をいただけますか。
正力国務大臣(正力松太郎)
21
○
正力国務大臣
約束せよとおっしゃってあれなんですが、自分は必ず出すつもりでおります。
岡委員(岡良一)
22
○
岡委員
正力国務大臣
のその言明を私は信頼して、ぜひ一つ二十日までにはお出し願いたいということを重ねて強く
要求
いたします。 そこで、私この
科学技術会議
をお作りになることは年越しの
構想
でありまするし、私ども
委員会
といたしましても決議をいたしたわけであります。ただその際、私どもなお若干の疑義を持っておるのは、
原子力委員会
との
関係
であります。
原子力委員会
と
科学技術会議
の運営の関連、これは一体どうしたものであろうかということについては、私どもも非常に頭を痛めておるわけです。
原子力委員会
の任務については、
原子力
基本
法の第五条にも、「
原子力
の
研究
、
開発
及び利用に関する
事項
について企画し、審議し、及び決定する。」こうはっきりうたわれておる。これは
原子力委員会設置法
の第三条において、また重ねて、これらの決定については、
内閣総理大臣
に報告をし、総理
大臣
はこれを尊重しなければならぬという手続規定もあるわけです。ところが一方
科学技術会議
――この要綱というものをいただきましたが、それを見れば、
内閣総理大臣
がみずから
議長
となる、そうして
科学技術
に関する長期的な目標の設定に関することなどについて、いわば
科学技術振興
の重要なる
事項
について、これを諮らねばならないということになっておるわけです。そういたしますると、事実上の運営として、
原子力委員会
が何らか重要なる
事項
を決定し、
内閣総理大臣
に報告をする、
内閣総理大臣
はそれを尊重しなければならない。しかし
科学技術会議
があるということになれば、
原子力委員会
の決定というものは、さらに
科学技術会議
に諮らねばならない。そうして
科学技術会議
の決定によって、初めて
施策
として実施に移されるということになると、少くとも
科学技術振興
の中心的な重要な
政策
である
原子力
政策
というものについては、いわば屋上屋を架すような運営になるという点、この点は私どもはどういうふうに運営上やっていくかということで非常に関心を持っておるわけなのです。この点について、
正力国務大臣
はどういう
構想
をお持ちでしょうか。
正力国務大臣(正力松太郎)
23
○
正力国務大臣
ただいまの御質問、まことにごもっともな御質問であります。そうして、私どもも、このことについては相当
研究
しておりますので、もちろん
原子力
基本
法はあくまで尊重しなければなりません。当然です。ですから、
原子力
に関したことは、もちろん
原子力委員会
で決定をまずさせます。ところが、御承知の通り、これはどうしても経済を伴うことでありますから、この
原子力
プロパーの問題についてはきめますが、ほかの
事業
と関連する場合、総合的な場合には、それを
科学技術会議
にかけるつもりでおりまして、
原子力
だけの問題についてはどこどこまでも
原子力委員会
を尊重していくつもりでおります。従ってその間の調節で、事実上においてそういう不合理なことはできないで済む、こうこう考えでおります。
岡委員(岡良一)
24
○
岡委員
それでは具体的に、たとえば
原子力委員会
が
日本原子力研究所
に
動力試験炉
を置くということは、
日本
の
科学技術
全般にわたる重要な問題であろうと私は思うのであります。その
動力試験炉
を置いて、試験炉の運転に習熟するだけでなく、それが
動力炉
国産化のための道を開くものであるとすれば、やはり
動力試験炉
のために必要な金属材料など、あるいは設計なり、その他その地盤の
調査
なり、あらゆる
科学
分野
にわたってやはり新しい
研究
が必要になってくる、こういうようなことで、
一般
的に
原子力
プロパーと申されるけれども、
原子力
の具体的な実施計画というものは、およそあらゆる
科学
の
分野
にわたる可能性が十分にあるわけです。一体プロパーであるのかどうであるのかということは、だれがどういう基準でおきめになるのですか、そこのところを一つはっきりさしていただきたい。
正力国務大臣(正力松太郎)
25
○
正力国務大臣
ただいまの御質問まことにごもっともな御質問でありますが、どこまでがプロパーか、またどこまでがほかと
関係
あるかということになってきますが、いずれにしてもまず
原子力委員会
を第一に尊重する、かりにこれを
科学技術会議
にかけても意見が合わぬとすれば、
原子力委員会
にもう一ぺん再考を促すという程度でいきたいと思いまして、どこどこまでも
原子力委員会
を尊重していきます。ただ、私ども今でも意に
予算関係
でほかにも
原子力委員会
は相当にいかぬ点があるのでありますから、そういうような点の調整は
科学技術会議
に諮りたい、こう思っておるのであります。少し不十分かもしれませんが……。
岡委員(岡良一)
26
○
岡委員
いずれにいたしましても、いずれ
科学技術会議
設置
法案なるものは御提出になるわけですから、そのときにもっと具体的に十分私どもの意見を申し上げ、皆さんの御見解をただしたいと思います。 そこで、
原子力委員会
の問題が出ましたが、私は過去二カ年間の
原子力委員会
というもののあり方を見て、若干不満を持っておるわけです。その一つの大きな不満の原因は、
原子力委員会
が発足をしたときに、
日本
に第三の火をともし、その第三の火を中心に、
原子力
の
振興
を通じて、
日本
の国民はそれに非常に大きな期待を寄せられておったはずです。ところが、任期に満たないで湯川博士がおやめになる。今また藤岡博士がおやめになるというようなことで、この
原子力委員会
のいわば人事というものが、任期に満たないで御自身の御都合でおやめになるというような人事異動があるということ、私は個々の
委員
が適格であるかどうかということを申し上げるのではありませんが、そういうふうな人事異動があるということ、そのことだけでも私は
委員
の諸君の
原子力委員会
に対する権威の自覚が足らぬと思う。同時にこれは
原子力
委員長
としても、私は十分考えていただかなければならないことだと思う。
委員長
は全部の
委員
を
常勤
にしようというような
構想
も漏らしておられたことがある。ところが今度は藤
岡委員
のあとに擬せられておる東大の教授については、その一身上の事情から非
常勤
でいこうというようなことも新聞では伝えられておる。これらの経緯をもっとはっきりしていただきたいことと、そうしてもっと
原子力委員会
というものを権威あらしめ、任期までは断じてとどまって、自己の
委員
としての責任を果す、こういうふうな運営を、
委員長
としては当然やるべきだと思う。この点について、過去のあなたの自己批判を率直にお聞かせを願いたい。
正力国務大臣(正力松太郎)
27
○
正力国務大臣
ただいまの御質問につきましては、実は私の考えも
岡委員
の考えも大体同じことだと思うのですが、湯川
委員
がやめましたのは、全く健康上の理由です。実はそのもっと前にやめたいということだったのです。しかし、もう少しやってもらいたいということに対して、これ以上は健康上どうしてもいかぬということで、湯川博士は健康上の理由です。しかも就任のときからすでに健康が悪いから、就任をどうだろうという話があったのです。ありましたけれども、どうしてもとにかく出て下さい。
原子力委員会
としては、今、
日本
ではあなたに出てもらうのが何よりも必要だ。それではからだの健康の許すまでやろうと、初めに約束しておることでありますから、これは全く本人の意思でもない、全く意思に反して健康上やめたということを了承していただきたい。それからなお藤
岡委員
の方は、これは実は国際
会議
に行っても、
日本
の
原子力
の事情をよく知った藤
岡委員
をやった方が便利じゃないかという点も考慮したのでありまして、
原子力
のためにこういう人を国際
会議
に出すということが便利じゃないかという点も考慮したのでありまするし、またほかにちょっと適任者があまり見当らなかったので、それでやったわけであります。それからなお
原子力
委員
を全部
常勤
にしたいというのは、私は全部
常勤
にしたいという考えは初めから持っていません。それはなぜかというと、
常勤
にすると人を得ることができぬ場合があるのです。今までの
業務
も
常勤
の人は全部やめてこなければならぬ。そういうことはまた人を得るゆえんでもないから、やはり
常勤
と非
常勤
と二つ置かなければならぬと考えておるのであります。とても
常勤
にきめたらなかなか人を得るにむずかしい点がありますから、これは
岡委員
もさだめし御承知のことと思いますが、そういう事情も御了解いただきたい。
岡委員(岡良一)
28
○
岡委員
それではここに
科学技術庁
予算
として
計上
されている
原子力委員会
に必要な
経費
、これには四名の
委員
は
常勤
ということで、四という数字が載せられておりまするが、これはどうなるのですか。
佐々木政府委員(佐々木義武)
29
○佐々木
政府
委員
前々から
原子力委員会
の強化という問題がございまして、非常に事務量と申しますか、問題が具体的になるに従いまして山積して参りましたので、常時これを処理する必要が昔に比して非常に多くなったわけでございます。従いまして、週に一回二回という勤務でなく、できますれば、全員
常勤
で専心この問題に当っていただきたいというのが念願でございまして、実は今度の
予算
もその趣旨を貫いておったわけでございます。ただ
予算
が決定いたしましてから、藤
岡委員
の転勤の問題が起きまして、その後任の問題がございました。
予算
を組みましたときには、あくまでも
常勤
という線で貫きまして、自後藤岡先生が転勤したのでございますので、その後の後任の問題に関しましては、先ほど
大臣
からお話がありましたように、現在の学会との
関係
あるいは核融合の問題等の最も練達者を選びたいという
大臣
の御
方針
でございまして、菊池先生が一番適任じゃないかというので、むしろ
常勤
の線の重要性以上に、そちらの考えの方がこの際重要じゃなかろうかという観点から、先ほど
大臣
がおっしゃったような結果になった次第であります。
岡委員(岡良一)
30
○
岡委員
いや、私は
常勤
にするということによっていろいろな制約がある、そのために人という問題では十分な選任ができがたいということも、事実上あることはわかるのです。しかしこれは、そうすれば
予算
は補正なさるわけですか。
佐々木政府委員(佐々木義武)
31
○佐々木
政府
委員
常勤
非
常勤
の問題は、実は法律用語と申しますよりは、給与の支払いの方式の問題でございまして、菊池先生の給与の支給の方法は、今までのような支給方法のままで行きますと、もちろん非
常勤
という範疇に入りますが、あるいは支給の方法を変えますと、
常勤
というふうな考え方も成り立つのじゃなかろうかという感じもいたしまして、
常勤
非
常勤
というその言葉自体の問題には、
予算
面からいたしますと、すぐその場で変えなければこの
予算
に対して違反であるというふうには考えなくてもよろしいのではなかろうかと思います。四月以降の問題は、
予算
が成立するということになりますので、それまでに十分この問題は考えて処理いたしたいと思います。
岡委員(岡良一)
32
○
岡委員
まあとにかくそういう問題は、私どももよく
研究
してみたいし、金額もわずかではありますが……。 そこで、この
予算
書で、
原子力技術者
の
海外派遣
に必要な
経費
、これが前
年度予算
額よりも本
年度
の
要求
額が一千五百万円ばかり減っておりますが、これはどういう理由に基くのでしょうか。
佐々木政府委員(佐々木義武)
33
○佐々木
政府
委員
実はこの
予算
の減りましたのは、表面上ただ減ったのでありまして、実質は昨年と全然変化はありません。と申しますのは、昨
年度
は
原子力研究所
並びに公社等の留学生の分が官庁
予算
面に載っておりまして、そうしてその中から一部支出することになったのを分けまして、今
年度
は官庁の方は官庁の分、公社並びに
原子力研究所
の方は
原子力研究所
の方に移しかえをした。
内容
に関しましては、
派遣
費等に関しましては、全然去年と同様であるというふうに御理解願いたいと思います。
岡委員(岡良一)
34
○
岡委員
何といたしましても、この
原子力
に関する限りは、やはり
外国
の試験結果というものをできるだけ摂取する努力が必要だと思うのです。この点特に
正力国務大臣
にお伺いをいたしたいのですが、
大臣
はしばしば言明されるけれども、まだ実現に至っていないことは、ソ連邦の、これは
原子力
のみならず、
科学技術
に関する先進的な試験結果を摂取する努力というものがあっていいのではないか。岸総理は、
科学
によって人が支配されるのではなく、人が
科学
を支配すべきだというキャッチ・フレーズを言っておられる。こういう抽象的な言葉を、今私どもの
政策
の場に下ろしてくれば、アメリカかソ同盟かという対立は、これは人為的なものなんです。
科学
的真理というものは、これは国境を越えたものである。しかも現にわれわれが常識としてどうしても納得せざるを得ない事態というものは、現実は明らかに、ソ同盟においては、新しい
科学技術
というものが、アメリカよりも優位であるのではないかということが現実に立証されておる。こういう方向に向って、人為的な米ソの対立というふうなものを越えて、そういうものに支配されないで、
日本
の
科学技術振興
というものについて、もっとソ同盟なり中共なり、こういう
方面
に手を差し伸べて、文化協定を結び、
科学技術者
の交流をやるというようなことを
政府
みずからがやるべきではないかと私は思う。現にあれだけソ連邦ぎらいのアメリカでも文化協定を結び、大量な
科学技術者
の集団的な交流の実現が現実化しようとしておる。このとき
日本
としては、当然むしろ積極的にこういう方向へ努力をすべきではないかと思う。この点、
正力国務大臣
の御所見はいかがでしょうか。
正力国務大臣(正力松太郎)
35
○
正力国務大臣
お話の通りに、
科学技術
の面では国境はありません。従って、ほんとうにこれはソ連にいい点がありとしますれば、それは考えますが、今までのところはアメリカもやっておりますが、それよりもむしろ今度はイギリスの方もだいぶやっておるわけでありますから、必ずしもアメリカ一辺倒というわけではありません。そういうわけですから、ソ連の点もなお
研究
しまして、これはソ連の特徴で非常にいいということになれば、むろん考えます。
岡委員(岡良一)
36
○
岡委員
あなたのお答えは、去年から見るとだいぶ後退しておる。去年はわかりました。ソ同盟もやりましょう。中共とも手を結びましょう。今度は
研究
いたします。(笑声)一体いつの間にどういう理由で後退されたのですか。その点一つはっきりとお答え願いたい。
正力国務大臣(正力松太郎)
37
○
正力国務大臣
私は別に昨年より後退したとは思っておりません。同じことですから、あるいは言葉が足りなかったら訂正をいたします。私はちっとも後退をいたしておりません。なおやはり去年も
研究
するつもりでおったのですから、どうぞ御了承願います。
岡委員(岡良一)
38
○
岡委員
私は、
研究
の段階ではなくして、ICBMなりスプートニクなり、その規模等を見て、明らかにやはり――というのは、ICBMとかスプートニクというようなものも、やはりソ同明全体の
科学
的な
水準
の大きく高まったその底辺の上に立てられたピラミットの頂点がスプートニクとICBMであると思う。そう
日本
でも理解すべきだと思う。してみると、
研究
の余地はないと思う。
日本
の
技術
振興
のためにはどんどんあなたが音頭をとって、
日本
の
科学技術者
を文化交流の意味において
派遣
をする、それくらいの
施策
をあなたは積極的にとるべきだと思う。もう
研究
の余地はありません。いかがですか。
正力国務大臣(正力松太郎)
39
○
正力国務大臣
御趣意はまことに同感であります。まだ
研究
の余地は私はあると思っておりますから、どうぞ……。
岡委員(岡良一)
40
○
岡委員
いずれ外務
大臣
等にもお尋ねをいたしたいと思いますが、もう一つ昨年この
委員会
で決議をいたしました。その決議の
内容
は、
原子力平和利用
の
開発
を
推進
するために、アジア諸国が協議会を持ちたい、こういう
構想
の決議をしたわけです。これには当然若干の
予算
が伴うものと思いますが、本
年度
計上
の
予算
の中ではどこにこれが入っておるでしょうか。
佐々木政府委員(佐々木義武)
41
○佐々木
政府
委員
アジア
原子力
会議
の開催に関しまして、昨年の秋に当
委員会
で御決議のありましたことは、十分承知しておるのでございます。ただ、その問題を何省で扱い、
予算
をどういうふうにすべきかという問題に関しましては、いろいろ
関係方面
、特に外務省と相談いたしまして、しばしば会合を重ねたのであります。やはりこれは国連等との関連の問題も十分考慮をしなければならぬ問題でありますし、あるいはアジアの諸国の実態と申しますか、現状等も考慮すべき要がありますので、外務省でこれを処理すべきが至当ではないかというふうに判断いたしまして、外務省の方で
予算
を組んで、最後まで
大蔵省
に折衝を続けたように聞いておるわけでございます。結果におきまして、その
予算
がついたかどうかつまびらかではございませんが、私の不正確ながら聞き及んだところによりますと、その
予算
は本
年度
の
予算
には載っていないというふうに聞いております。しかしこれはなお正確なところは確かめてみたいと思っております。
岡委員(岡良一)
42
○
岡委員
これは、もう
委員会
としては年の暮早々に集まって、とにかくぜひということでわざわざ外務
大臣
にも
正力国務大臣
にも
委員長
その他代表者がお目にかかって、実現方を強く要望したことは御記憶の通りです。局長のお話によると載っておらないという。まことにけしからぬと私は思うのだが、決議案の取扱いを
正力国務大臣
はどうなさるおつもりですか。
正力国務大臣(正力松太郎)
43
○
正力国務大臣
実は、御趣意についてだいぶ努力しましたが、外務省としては、まあとにかくこれは外務省の問題でもないが、
科学技術庁
だけの問題ではないから、よく一つ考えておこうというので、特に幾らかというとまだはっきりしないというような事情であります。従って、このアジア
会議
の
予算
としてはついていないわけです。しかしこれは外務省には相当の
予算
がありますので、あるいは何かここに方法がないかと思っておりますけれども、まだついていないことは事実であります。
岡委員(岡良一)
44
○
岡委員
この
原子力
の問題は、国内において
原子力
政策
を
推進
するという場合でも、これはもう対外的な折衝というものが常につきまとうわけです。ところが、さて一つの問題が起ると、これを外務省がやるのか
科学技術庁
の持ち分かということで、結局その問題によって双方が責任を回避するような状態が起り得れば、国会の決議にしたところで実現を見ないというようなことになる。こういうことは、
科学
予算
、
原子力
予算
そのものの根本にかかる重大な問題だと思う。これだけではないのですが、この点やはり
科学技術庁
は
原子力
の
研究
に関する
予算
の配分をして、各省がそれを
計上
するというが、しかしもっと
日本
の
原子力
なら
原子力
の
推進
のために必至な
予算
については、独自な決意と勇気を持ってこの
予算
を一本に
要求
し得るというふうな態勢に持っていくべきじゃないかと思うのです。この点いかがでしょう。
正力国務大臣(正力松太郎)
45
○
正力国務大臣
まことに御趣旨には私も同感でありますから、今後せいぜいその趣旨に努めるようにいたします。
岡委員(岡良一)
46
○
岡委員
これは
委員会
としては非常に大きな関心を持っておる問題であり、ぜひとも実現をしなければならないというくらいな意気込みを持っている問題でありますので、当然一つ
科学技術庁
においても十分な関心を持っていただきたいということを強く希望しておきます。 そこで、先ほどの
所信
の表明の中に、
仮称
、理化学
研究所
の
設置
ということがありました。これについてでありますが、これは
構想
としては非常にけっこうだと思う。ただしかし、本
年度
にそのために
計上
されておる
予算
は、
大蔵省
から出資金として三億三千万円、うち
技術
開発
資金としての八千万円というものが含まれておる、こういう状態です。私どもが
科学研究所
なり、あるいは理化学
研究所
なり、こういうものが必要であるという
構想
を強く申し上げたい理由は、一つには私どもが大学を出たときに当時大河内さんが所長をしておられた理研というものは、
日本
の
科学
者のメッカであった。そしてこれが仁科さんの指導に至るまできわめて当然な発展を遂げた。ところが、それが総司令部の指令によって一個の五百万円の株式会社に転落をした。その後
民間
の出資等も若干あったとは言いながら、どうやら三十年には法律を改正して
政府
も一億ばかりの出資をすることが認められた。そこで今度はこれを
特殊法人
に変えよう、そうして理化学
研究所
にしようという、私はこの
構想
にはもろ手をあげて賛成です。しかし三億三千万円を本
年度
出資いたしましても、
民間
の出資を合せてわずかに十一億です。理化学
研究所
というものの使命が一体どこにあるかということをもっと皆さんが十分に把握していただけば、これだけでは何もできないと思う。要するに
日本
における
基礎研究
というものは、ある
科学
の
分野
ではかなり高度なものがあると思う。ただ、
日本
の学者は、論文を書いて学界へ発表すれば足りる。
日本
の若い
研究
者は学位論文をもらえば、それをいわば肩書きにして、よりよき俸給を求めて
産業
界に去る。ここに
日本
の
科学技術振興
というものの大きなボトル・ネックがあるわけです。従って、
日本
の
基礎
分野
における
研究
の達成というものを一つの目標に結びつけて、その応用化なり工業化をはかっていくブリッジが、
日本
の
科学技術振興
のためには当然必要なことだと思う。しかも、その機構も、私は
特殊法人
というような形態がよかろうと思う。公務員に縛られていては、なかなか
研究
する人も能事の発揮というものは望みがたい事情も多々あるので、
特殊法人
という形態もまことに格好な形態だと思う。ただしかし三億三千万円、
総額
十一億、これでは
日本
の
科学
分野
における
研究
を応用化なり、工業化に持っていくという機構としては、私は非常に少い
予算
であるといわなければならない。せっかく国務
大臣
が
所信
表明の中で、
科学技術
の
基礎
、
応用両面
にわたって云々という御抱負を漏らしておられますが、この御抱負がこれくらいのことでできますか。どうなんですか。
正力国務大臣(正力松太郎)
47
○
正力国務大臣
ただいまのお話は、まことにごもっともなお話です。実は私も、今度は
特殊法人
になって、相当の
予算
を
要求
しましたが、これを小さくされたことは遺憾に思います。しかし今年はまずこれでやって、それから来年はさらにとれるという自信もあります。実はそれで私自身も
研究所
へ行って見てきました。行ってみて、その実情をつぶさに見て、在来の功績、またこれからの必要を痛感したような次第であります。来年は相当の
予算
をこれにとるつもりでおります。そうして御趣旨に沿いたいと思っております。
岡委員(岡良一)
48
○
岡委員
そこで、私は非常な矛盾を感ずるのです。
予算
書の五百四十六ページです。ここに工業
技術
院というものがある。これは通産省所管、ここでは年間
要求
予算額
は三十四億五千八百万円です。何をやっておるかということを調べてみますと、私どもが調べた範囲内においては、熱管理とか、計量の測定とか検定とか、その他もろもろの
研究
なり分析なりということのほかに、
予算
の費目を見ると、あるいは電子の
予算
を
計上
したり、
外国
の図書を買ったり、その中には
原子力
の図書があったりということで、それから特別
研究費
とかなんとかいうような費目で、非常に
基礎
分野
にわたっておる。
基礎
の達成点を、応用なり工業化へ持っていこうという旗じるしのもとに発足しようとする
科学研究所
なりあるいは理化学
研究所
、これは出資金わずか十一億円で発足しようという。一方通産省所管にこういうものがある。なるほど検出なり分析なり、そういう管理的な
分野
というものは、通産省にあってもいいと思う。しかし、とにかく膨大な
予算
を持っておって、
人員
もこれは四千名です。科研は、私もこの間行ってみましたが、四百名余です。こういう形です。
日本
は資金が乏しい、
施設
も足りない、人も足りない。足りないならば、足りない資金なりこの乏しい
施設
なり
人員
というものを、
科学
振興
の名において、
科学
的に、合理的に、効率的に運営するというならば、単に
科学研究所
、理化学
研究所
に来年は資金をふやすというのではなしに、こういう機構の矛盾をこの際根本的に解決をして、そうして乏しい
予算
、乏しい
施設
なり少い
人員
を能率的に、
基礎
から応用へ、工業化へという方向へうんとがんばってもらう、こういう機構の改革が伴わない限り、ただ科研だけを強化しようとすることだけでは、私はあなたが表せられる
所信
の
目的
は果せないと思う。どう思われますか。
正力国務大臣(正力松太郎)
49
○
正力国務大臣
今のお話も私は実は全く同感なんです。元来
科学技術会議
を設けたという趣旨はそこにあるのです。大体
日本
はセクショナリズムがあまり強過ぎます。御承知の通り、あのアメリカのような陸海空ですら、セクショナリズムの打解ということがいわれております。ところで、
日本
はもっと小さくセクショナリズムがある。これを打破するのが、どうしてもぼくは
日本
の急務だと思います。その意味において、今度
科学技術会議
を設けて、そうして各
技術
者といろいろ閣僚も
関係
して、そうしてそのセクショナリズムを大きく打破したい思っております。
岡委員(岡良一)
50
○
岡委員
そういう御
構想
であれば、今年が見のがされてしまっておるという状態は、遺憾な点だと思う。
科学技術会議
が設けられる。あなたの御趣旨によれば、文部
大臣
を加えて
日本
の若い人たちの
科学技術
の
水準
を高める。もう一つは理化学
研究所
等をもっと充実させて、もっと資金を入れて
基礎
から応用へ、工業化へ、実用化へという橋渡しをするように十分にやる、ということをこの
科学技術会議
というものが使命とするということならば、私はあなたの御所見を伺いたいのだが、当然
科学技術
省の
設置
というものが結論として出てくると思う。
内閣総理大臣
を
議長
とする
科学技術会議
がある。そこで国の
科学技術振興
に関する最高的な
方針
がきまる。実施官庁としての
科学技術
省が現在各
省庁
にまたがっておる。試験所、
研究所
等において、それらの各
省庁
に必要欠くべからざるものはやむを得ないとしても、
基礎研究
等の
分野
にわたるものや必要でないものは、これを
科学技術
省が統合する。企両庁を入れる。そうしてこの
科学技術会議
の決定された
科学技術
の
振興
というものは、事実上はワンマン・コントロールです。あなたのような実行力もあり、雄大な
構想
を持った長官が、今度は省の
大臣
となって大いに一つやっていくというような
科学技術
省というところまで機構の統一をはかっていくということが、当然今後の
科学技術振興
のために、官庁の割拠主義を打破するために、必要な
構想
であり、結論であると思う。
科学技術
省の
設置
についての
大臣
の御
構想
はどうでしょうか。
正力国務大臣(正力松太郎)
51
○
正力国務大臣
今のお話で私も全く同感であります。またかねて私は
科学技術者
を作らなければならぬということも、これもずっと前から言っております。だから私はこの
科学技術会議
ができれば当然そこへ行くものと思って、それを主張しておるのです。とにかく何としても
科学技術
のセクショナリズムを破らなければいけません。私は
科学技術庁長
官として第一にやった仕事は、各
研究所
の実態
調査
です。何がゆえに実態
調査
をしたか。つまりこれは
科学技術
の発達をするにはどうしても
研究
のむだを、――むだというと語弊があるかもしれませんが、つまり重複というか、これを避けなければいけない。それについては、どうしても将来
科学技術
省へ持ってこなければならない。
科学技術
省へ持ってこようということは、なかなか一足飛びにいかない。この
科学技術会議
ですっかり話をする、そうすればそこへくると私は思っております。
岡委員(岡良一)
52
○
岡委員
一つの
資料
を申し上げれば、とにかく
日本
の各商社が
技術
援助契約によって
外国
に支払っておる支払いの総計、
日本
も受け取っておりますが、受け取りと支払いの差額、いわば支払い超過額が、
昭和
二十九年には千二百四十六万ドル、三十年には千六百六十万ドル、三十一年には二千六百万ドル、三十二
年度
は大体三千八百五十三万ドル、四年の間に三倍にふえておるのです。こういうふうな形で
日本
のメーカーというものが盲
目的
に
外国
の商社に対して高いロイアルティを払い、あるいはノー・ハウに対する支払いをどんどん出し、三倍もふえておる。しかも金額にすればとにかく四十何億から現在は百四十億、こういう高い
技術
料を
外国
に支払いながら、しかも国内における
技術
政策
というものについては、先ほど来科研について申し上げても、また
科学技術会議
が当然解決すべき諸問題についても、きわめて努力が足らぬと私は思う。あなたは閣議で大蔵
大臣
なり通産
大臣
に対して、
日本
の自主的な
科学技術振興
のために抑制する
措置
について強く発言する責任が当然あると思うのですが、一体こういうことについてあなたはどう思われますか。
正力国務大臣(正力松太郎)
53
○
正力国務大臣
それは
日本
のように十年も
外国
からおくれておる国においては、過渡的な時代においては当分は仕方ないと思います。それで早く
外国
の
技術
を入れる。それと同時に、
日本
も
基礎研究
を進めたいということは先ほどからたびたび申し上げておる通りです。そうして、どうしても
研究所
のむだを排除するということをとらなければならない。要するに先ほどからたびたび繰り返し申し上げておるように、セクショナリズムを破らなければいけません。ところが、これはなかなか言うは易く行うはかたしですが、それだから今度の
技術
会議
ができて、これがほんとうの力強いものになるかどうかということは、セクショナリズムを破り得るかどうか、こう考えております。今の
日本
の
技術
には、
外国
の
技術
を学ばなければならない点が多々あるのです。だから
目的
は前申す通りで、私はこの前の国会でも申し上げた通りに、どうしても
科学技術
省を作るのだ、その前提だといって、その中間に、いろいろ考えた結果が、この際
科学技術会議
を設けた方がよかろうということになった。この
科学技術会議
を作ることについても、御承知のごとくほんとうに万難を排したのです。なかなかこれはめんどうだったのです。
科学技術会議
を作ることすらめんどうなくらいですから、あとのセクショナリズムを破るのはなかなか容易ではありません。しかし、
国家
のためにこれはぜひやりたいと思っております。
岡委員(岡良一)
54
○
岡委員
日本
が十年のおくれを取り返すために、
外国
の高度に進んだ
技術
についてはこれを学ばなければならない、それには当然ノー・ハウあるいはロイアルティの支払いも必要です。私はこれを全面的に否定するわけではありません。しかし、こう申し上げては失礼だけれども、
正力国務大臣
は職業野球なりテレビの御経験からものを言っておられるのではないかと私は思うのです。現に
日本
の日立は、戦前はほとんど
技術
料を支払わないであれだけ充実した中央
研究所
を持って、戦後岩手の
技術
提携はしておるようですが、
日本
のメーカーとしては一流の地位を築いておるではありませんか。名前は申し上げませんが、関西でテレビを作っておる工場をこの間見た。ある会社は、オランダのフィリップスと
技術
提携をしておるが、ある会社は全然自力で旋盤もみんな作っておるのです。しかし、それででき上ってくる商品は大体において変らないと言われておる。だからおくれを取り返すという限度におけるロイアリティの支払い、
技術
提携というようなものはやむを得ないと思います。ただ、
日本
のメーカーなり
産業
資本家が自己の利に急いで、ただ盲
目的
に
外国
の
技術
の高い
技術
料を支払って
技術
を
導入
するということは、現に
日本
で自力でやっておるところもあるのですから、十分考えなければならないことではないでしょうか。どうでしょうか。
正力国務大臣(正力松太郎)
55
○
正力国務大臣
その点はごもっともですけれども、事実おくれておることは何としても事実なんです。それでありますから、私は
基礎研究
ということに力を入れなくてはならない、同時に
外国
のものも入れなくてはならないということで、これは実は私はただテレビや職業野球の経験で申すのではありません。幾多の専門家の意見を聞いての話です。
日本
が幾ら競争しようと思っても、おくれておるから、そのおくれを取り返すために一時的には仕方なかろうという専門家の多数の意見があります。なるほど日立も相当すぐれておりますが、今、
日本
のメーカーは何でもかんでも高い金を払ってもというように考えておるのではありません。
日本
のメーカーはみな自覚しております。そういうわけでありますから、決して御心配のようなことはないと思っております。
岡委員(岡良一)
56
○
岡委員
それではこういうふうにうなぎ上りに四年の間に三倍もノー・ハウに対する支払いなり、あるいはロイアルティの支払いがふえていくという状態は、放任して差しつかえない、あなたはそうおっしゃるのですか。
正力国務大臣(正力松太郎)
57
○
正力国務大臣
放任しておるわけじゃありません。ありませんが、今日の階段ではやむを得ぬと見ております。しかし先ほど申し上げました通り、
日本
の
技術
者も相当自覚してきました。たいぶ
技術
が進んできた。放任はしておりません。何でもかんでも、もうかればいいから
外国
の通りにしておけばいいというわけじゃありません。ことに
原子力
の問題については、御承知の通りに、いろいろな点に制肘を加えております。またそれが今日
日本
の
原子力
がうまくいっておるゆえんだと思っております。
石野委員(石野久男)
58
○石野
委員
関連して一つ。今、
岡委員
からお話がありました
日本
の
技術
を効率的に高めるためのいろいろな機構の問題とか、
政府
の資金または
民間
の資金をどういうふうに効率的に使うかということは、今重大な問題だと思うのです。機構の問題と資金の問題とからんで、
日本
の
科学技術
の各
分野
においてのセクショナリズムは、アメリカのそれよりももっとひどいものがある、こういう
大臣
の話がありました。私もその通りと思うのです。そこで、従来の官庁の間におけるあるいは
民間
におけるそういう問題について、これを急速に改めることは非常に至難なことだろう。しかし、それはやらなければいけない。そういう立場に立って、特に今日
原子力関係
の問題――今、
大臣
は
原子力
の問題は非常によくいっておるとおっしゃいましたけれども、私は必ずしもそんなにうまくいっているとは思わない。特に私はここで、
大臣
が
科学技術庁
の長官として、また
原子力
問題に非常に熱意を持っておられるだけに、
原子力
についての
大臣
の考え方を聞いておきたい。それは、たとえば炉を新しく入れるという問題についてもそうですし、あるいは
原子力関係
に対する
産業
会議
というものが幾つかあります。非常におくれておる
日本
の
科学技術
の段階において、一足飛びに、とにかく
外国
に追いつき追い越そうとする今日の段階で、今現に
民間
におけるところの
原子力
産業
会議
というものが幾つかあるわけです。あるいはまた炉を入れるについても、ずいぶんとせり合いがあるということについては、捨てておけないことじゃなかろうか。もしこれを放任しておいたならば、ただいま
岡委員
から問題にされておりましたように、ロイアルティの問題、ノー・ハウについてのむだ使いというものは、これはもっともっと激しい形で出てくるだろう、こういうふうに私は思うのです。そこで私は、
科学技術
の全般的な問題はすでに
岡委員
からの話もありましたけれども、今日私たちが一番大事な
原子力
に
関係
する
研究
の統合化、統一化、これを
政府
はもとより
民間
も含めてやらなければならぬ段階じゃなかろうかと思う。特に昨年人工衛星が飛んだ。この人工衛星の問題について、われわれはアメリカとソ連の間のいろいろな問題を見、また聞いております。ただ私たちがしろうと考えで特に政治的な立場から考えた場合に、アメリカもソ連も
技術
的に個々の
科学
者の頭がそう違っているとは思わない。問題は、結局どういうふうにして
研究
を統合したかということにかかってきていると思う。アメリカにおけるところの三軍の競合というものが、ソ連の統一化した組織化された
研究
に負けたということは、私たちがしろうと考えしても間違いじゃなかろうと思います。私たちが今
原子力
問題で
世界
に追いつき追い越そうというときには、どうしてもこの問題を
国家
的にもまた
民間
も一切を含めて統一的に統合的にやらなければならぬと思うのだが、これについて
大臣
はどういう考えを持っておるか、またどういうふうにしようとしておるかということを、ここでは明確に聞いておきたいと思います。この問題は非常に大事なので、思いつきだけではなしに、
大臣
が積極的に考えていることをここではっきり
委員会
に明示してもらいたい。
正力国務大臣(正力松太郎)
59
○
正力国務大臣
ただいまのことですが、何かいかにも放任でもしてあるかのようなお考えですが、決して放任はいたしておりません。それからまた
民間
の方でも
産業
会議
が一つにまとまってやっております。それからなおまたわれわれ何もかにも
外国
依存ではありません。国産炉も今着々やっておりますので、再来年にはでき上るという考えでおります。ただここでアメリカに対して今度は
動力炉
を注文いたしましたのは、イギリスの発電会社は非常に発電
技術
が進んでおるから、コールダーホールから一つ買いたい。それからどうしても今度は実験の
動力炉
を一つ入れてみたいということでやりますが、それと同時に、国産炉についても非常に急いでおります。そういうわけで、決して放任しておるわけでもなし、何もかも
外国
依存ではありません。
岡委員(岡良一)
60
○
岡委員
あと実は
原子力平和利用
に関する
予算
と正力さんの
御所信
について、かなりお尋ねをしたいことがありますが、時間もなんでありますから、今日はこれで質問を保留いたします。ただ、とにかく
外国
に立ちおくれておるからといって、
日本
の
産業
資本家が盲
目的
に
外国
の
技術
に依存するという状態を
政府
が放任するということは、ほんとうに
日本
の
技術
振興
をはかるゆえんでないことは私が申し上げるまでもないと思う。ただ外資
導入
法等の法律に基いてロイアルティの支払い等についての許可という事務は、どちらかというと、為替
関係
の観点から取り扱われる傾向が強い。中には
技術
関係
についても専門家が入っておるのでございますが、
日本
の
科学技術
を
振興
するという立場において、このような
技術
を
日本
に
導入
することがいいか悪いかという判断については、十分な判定が下されていないのが私は現在の姿であると思う。この点はぜひ
科学技術庁
としても十分御
研究
いただいて、
科学技術振興
のためになる効用のある
技術
については喜んで買い入れてもいいでしょうが、
産業
資本の利益追求のための
技術
提携というようなものは、十分にコントロールするという
措置
を御考慮願いたいということを私は強く
要求
いたしまして、質問は保留いたします。
石野委員(石野久男)
61
○石野
委員
今、
大臣
からの
答弁
では、ほっておかないんだということを言われた。私も
大臣
がそういう点については非常に熱意を持っておるということはよくわかっておるわけです。ただ画一的にどうこうせいということじゃないけれども、ただいまも
岡委員
からの話があったように、
産業
資本その他いろいろな
関係
者がそれぞれ恣意に基いてわれ先にと競争し合っておるという実情があることは、これはいなめない実情なんです。そういう問題について、ただ
産業
会議
が一つできておるからそれでいいというふうにわれわれは考えないわけです。実情はそれらのものを全部統御するだけの力があるわけじゃないのだから、ここで一番大事なことは、
大臣
が中心になって、今、
岡委員
も言ったように、
産業
界のそういうせり合いをどういうふうにして統御していくか、コントロールするかという問題が今非常に大事だろうと思う。これはもちろん今の
日本
の資本主義経済機構の中における問題とかち合ってきますから、非常にむずかしい問題ではありましょうが、しかしそれについて
大臣
の確固たる
方針
が聞かれないと、われわれがここで一生懸命話しても、ぬかにくぎをさしておるようなものであって、ちっともきき目が出てこない。そういう点についての
大臣
の
所信
をはっきり聞かしてもらいたいということです。
正力国務大臣(正力松太郎)
62
○
正力国務大臣
実は今まで何か放任しておるかのごときお話がありましたが、全然放任しておるわけじゃないのです。ただ私はこの
民間
の燃えてきた
原子力
に対する熱意を燃え立たせたいという考えがあったのでありまして、決して放任しておるわけではありません。いずれそれに対する統制方法については、なおよく
研究
いたします。要するにこういう機会に盛り上った機運をなるたけ盛り立てたいという考えでおったことは事実であります。
田中(武)委員(田中武夫)
63
○田中(武)
委員
先ほどの
岡委員
の御質問に関連して、一言だけ希望を述べて、御意見を承わりたいと思うのです。今、
外国
との
技術
提携あるいは
技術
導入
の問題が出ておりますが、今、
岡委員
が申されましたように、各会社が、いわゆるもうけんがための
技術
提携、
技術
導入
をやっているということは明らかであります。正力
大臣
は、読売新聞がかって出された「
日本
の婿殿」という本をお読みになったかどうか。あれを読むと、
技術
提携ということによって、
日本
の
産業
はまさにひさしを貸しておもやをとられるという状態である、将来は憂うべきものであるということに結論がきておるわけなんです。そういうような観点から見ましても、またあるいは電子工業
関係
を見ましても、アメリカのRCAというような一社に対して
日本
の数社が提携し、お互いに国内において競争しておる。そうすると、今、剛
委員
が言われたように、現在すでにロイアルティの支払いが大きな負担になってきておるという事実があるわけなんです。そういう点については、どういうふうに見ておられますか。またどういう考えを持っておられますか。
鈴江政府委員(鈴江康平)
64
○鈴江
政府
委員
外資
導入
の件に関しましては、
科学技術庁
もその審議に加わっておるわけでございます。御承知のように、外資
審議会
と申しますのは、
大蔵省
、通産省等
産業
官庁、並びに外務省も加わっておりますし、
民間
も入っておるわけでございますが、
科学技術庁
といたしましては、事務次官がその
委員
の一員に加わっておるわけでございます。
田中(武)委員(田中武夫)
65
○田中(武)
委員
大臣
に聞いておるんです。要らぬのことを言わないでもらいたい。そういう点、
大臣
は
技術庁
長官としてどういうふうに考えておるか、それだけ伺いたい。
正力国務大臣(正力松太郎)
66
○
正力国務大臣
とにかく今鈴江
政府
委員
が言いましたように、どうしてもやはり外資
導入
の点で押えていった方がいいと思って、今やっております。
田中(武)委員(田中武夫)
67
○田中(武)
委員
外資
導入
の点で押えるという、そこにコントロールの仕方もあると思うのです。しかし私の申し上げておるのは、あなたの
関係
しておる読売新聞社が出しておるところの「
日本
の婿殿」という本を一ぺんお読みになったら、
日本
の
産業
全体の状況がよくわかると思うのです。将来、民族
産業
といいますか、
日本
の
産業
は憂うべき状態を迎えるだろう、こういうことなんです。こういうことに対して、
技術
提携あるいは
技術
導入
という問題を、あなたは
技術庁
長官としてどんなふうに考えておるかということなんです。
正力国務大臣(正力松太郎)
68
○
正力国務大臣
この問題については、今のところはまず外資
導入
の点で押さえていくのが一番いいと私は思います。 それといま一つ、一面においては、幸いここに民意が非常にあふれてきたのだから、そのあふれているところでやらせたい。今読売新聞社の本の話が出ましたが、私はまだ読んでおりませんが、今はそれよりほかにないのじゃないでしょうか。しかし、その点についてはなお考究いたします。御趣意についてはよくわかりました。
田中(武)委員(田中武夫)
69
○田中(武)
委員
外資の点でコントロールすることはわかるのです。私の申し上げているのは、
日本
の
技術
はどう考えても
外国
のどこここに劣っている、これはある程度あるかもしれません。しかし今日では、先ほど
岡委員
が言われたように、そういう
技術
のおくれということよりも、もうけんがための提携が多いということなんです。
岡委員
がそれに対して、
大臣
、独善のお答えじゃないか、こういうことを言ったときに、
大臣
は、これは自分一人の意見ではない、
技術
者の意見もよく聞いて言っておるんだと言われたのです。私の言っておるのはそういう提携とか
技術
導入
とかのけじめを――大局から見て、決して
日本
の
技術
がおくれているのじゃない、あるいは若干おくれている点があるかもしれないが、
日本
の国内
技術
をもってそれに追いつけるならばその必要はないのじゃないか、こう思うわけです。ただ、
日本
の
技術
では絶対に追いつけないというもののみを考えればいいんじゃないか。そういう点について
基本
的な考え方を聞かしてもらいたいということなんです。
正力国務大臣(正力松太郎)
70
○
正力国務大臣
申すまでもなく、私の考えておるのは、
日本
の
技術
では追いつけないものだけということであります。
日本
の
技術
で追いつけるものに、何のために外資を
導入
するのか。外資を入れたってそんなに安くできはしません。事実また
日本
の
技術
も買われつつあるのです。
外国
から来るものはだんだん減ってきておるのです。新しいものだけ入れておるのです。
日本
の
技術
も、先ほど日立という話が出ましたが、日立もなかなか進んでおります。アメリカでできるものは、
日本
でもできます。だから、それはアメリカのものを買ってやる、そういうことをほっておいては大へんだと言いますが、
外国
から買っては、今のロイアルティがあるから、なかなか安くいきません。
日本
でできるものはやはり
日本
でやる。しかしこれは私どもの考えでは、なおよく
研究
します。いずれにしてもなるたけ外貨を使わぬようにしなければなりませんから、その点を十分考究いたします。
田中(武)委員(田中武夫)
71
○田中(武)
委員
ただいま
大臣
がおっしゃたような
方針
で
技術庁
長官としてはやられる、そういうことならけっこうです。間違えぬようにしてもらいたいと思います。
石野委員(石野久男)
72
○石野
委員
ただいまの問題で大事なことは、やはり外貨を使う場合になるべくこれをどこかで監督し、むだな競争をさせないようにすることがどうしても必要だと思います。これは一つ
大臣
は、先ほども
答弁
がありましたので、私はそうやってくれると思いますが、もう一度確認しておきたいということが一つ。 それからもう一つ、今までロイアルティを払って、とにかく
技術
提携とかいろいろなことをやりました。もう長い間にわたってここ
昭和
二十四、五年ごろからやっておる。それに関連するいろいろな
資料
の中から、その
技術
提携によって、海外との貿易の量で実際に損得がどういうふうに出ておるかという
資料
計算がもうそろそろあるだろうと思いますが、そういうものがもしあればここで言ってもらいたいし。なければその
資料
を提示してもらいたい。われわれがロイアルティを払っておる部分と、それを基準にして海外へ
輸出
してどれだけもうけておるのであるか、今日ではむしろもうけどころではなく、損になってしまっておる、もう何の役にも立たなくなってしまった、そういうものもあるのじゃなかろうかと思います。そういう点が明確になっておれば、この機会に一つ発表してもらいたい。
正力国務大臣(正力松太郎)
73
○
正力国務大臣
その点の
調査
もまだ十分ないから、なおよく
調査
いたします。いずれにしても、
日本
で大ていのものはできるようになってきましたから、御心配のようなことは割合に私はなくなったろう、こう思っておりますが、なおよく
研究
いたします。
石野委員(石野久男)
74
○石野
委員
それではただいまのところまだ
資料
はないようですが、おそらく
資料
はまとめられてあるのだろうと思いますから、一つこの
資料
を
委員会
へ出してもらいたい。
資料
要求
をしておきます。
鈴江政府委員(鈴江康平)
75
○鈴江
政府
委員
ただいまの点でございますが、そういった集計はなかなか困難でございまして、大体
日本
銀行がやることになっております。しかし、
技術
導入
によって果して外貨がどれだけかせげたかどうかということは、非常に判定が困難な問題であります。たとえば、ナイロンのごときは従来
日本
でなかったものでございますから、それによってどれだけの外貨をかせいだかということははっきりするのでございますが、他面エバグレーズというような生地がございますが、木綿の
輸出
は従来
日本
でやっております。その
技術
加工をしたためによく売れただろうということは推察されるのでありますが、それが従来木綿が売れた実績にプラスどれだけの効果を上げたかということは、数字の上では出てこないのでございます。そういう点で、こういう集計は通産省なりあるいは
大蔵省
で貿易統計はやっておりますが、
技術
導入
に直接結びついたというものは、おそらく提出するのが困難ではないだろうかという見通しでございます。
石野委員(石野久男)
76
○石野
委員
ただいまそういう
資料
の提出は非常に困難だろうというお話です。それは私も、ここまではこれで、これだけのものはこういうふうに出たというびしっとしたものは、もらわなくていいと思います。大体の傾向が出ればいいと思います。それからロイアルティの及ぼす範囲というものも、おそらく契約によってきまっておるのだろうと思います。だからそのロイアルティの中では、ここまではロイアルティの範疇に入っておるし、これ以上のものについてはもうそれとは
関係
なしにわれわれのものになるというものがあるはずです。だから、従来
技術
提携によってわれわれが全然着目していなかったもので、あらためて広げたものがあるとすれば、それでばっと入ってくるものもあるだろうということもわかっております。しかし現実にドルやボンドを相当多額に払っているものがあるわけです。そういうものが今後の
日本
の
産業
界においてどういうような役割を果すかということは、われわれにとって重大な問題です。ですからこれをきめるときは、必要だからといってどんどん払っていって、あとはわかりませんとほうりっぱなしにされたのでは、これでは全然政治は出てこないと思います。ですから、そういう問題は、とにかくあなた方がいろいろ操作して、
技術
的には問題があるだろうけれども、それをわれわれにわかりやすいように
資料
にして出してもらいたい。
岡委員(岡良一)
77
○
岡委員
一つ石野
委員
の
要求
を敷衍して私も
要求
しておきたい。それは、現在ロイアルティあるいはノー・ハウの形で為替
関係
で
日本
銀行に
要求
をしておる
日本
の商社、相手方の商社並びにその件名ですね、どういう
内容
のものであるか。これはわかるはずなんです。そうして、でき得べくんば、それらの
内容
についてあなた方が、――次官が
審議会
に入っておるというならば当然
技術庁
として対策があってしかるべきだ。このものは、
日本
の
科学技術振興
上有効なものであるかどうかということについての
技術庁
としての御見解、またこれだけのものでもなかなか大へんな仕事ですから、きょうあすとは申しませんが、ぜひ
資料
として出していただきたい。
齋藤委員長(齋藤憲三)
78
○
齋藤委員長
この際御了承を願っておきます。すなわち、前国会における本
委員会
におきまして、各地の
科学技術
の実情を
調査
するため
派遣
委員
の報告は、これを参考のため
日本
の
会議
録に掲載いたしたいと思います。右御了承を願います。 本日の議事はこの程度にとどめ、明七日午前十時より開会し、
質疑
を続行いたします。これにて散会をいたします。 午後零時五十二分散会 ――――◇―――――