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1958-02-06 第28回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十二年十二月二十日  齋藤憲三君が委員長に、秋田大助君、有田喜一  君、菅野和太郎君、中曽根康弘君、前田正男君、  岡良一君及び志村茂治君が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和三十三年二月六日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 齋藤 憲三君    理事 秋田 大助君 理事 有田 喜一君    理事 菅野和太郎君 理事 中曽根康弘君    理事 前田 正男君 理事 岡  良一君       小平 久雄君    須磨彌吉郎君       南  好雄君    山口 好一君       石野 久男君    佐々木良作君       田中 武夫君    滝井 義高君       原   茂君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       吉田 萬次君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁企         画調整局長)  鈴江 康平君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁調         査普及局長)  三輪 大作君  委員外出席者         科学技術庁事務         次官      篠原  登君     ――――――――――――― 昭和三十二年十二月三十日  委員宇田耕一君が死去された。 昭和三十三年一月二十七日  橋本登美三郎君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員木崎茂男君辞任につき、その補欠として橋  本龍伍君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 昭和三十二年十二月二十日  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案(  岡良一君外八名提出、第二十六回国会衆法第四  十七号) の審査を本委員会に付託された。 昭和三十三年一月十八日  阿武山原子炉設置反対に関する陳情書  (第五四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術行政に関する件  科学技術庁関係予算に関する問題      ――――◇―――――
  2. 齋藤委員長(齋藤憲三)

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件につきまして、調査を進めます。  本日は、先般の理事会における申し合せに従いまして、まず正力国務大臣より、科学技術行政に関する所信を承わり、次いで昭和三十三年度科学技術庁関係予算説明を聴取することといたしたいと思います。正力国務大臣
  3. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 科学技術振興のための昭和三十三年度における基本的施策について申し上げます。  近時における世界科学技術の進展は、まさに画期的な段階に達しており、従来の宇宙観すら一新されねばならぬ時期に遭遇している。その成果の影響は、人類文化の各般に及んでいるが、なかんずく、生活水準向上産業活動の活淡化に寄与するところはきわめて大なるものがある。このような時期に際会して、天賦の資源に恵まれぬわが国が、世界先進諸国に伍しつつ、なお文化国家建設の理念を追求するためには、国内資源を最も有効に利用し、輸出を飛躍的に伸長せしめなければならない。そうしてこれを可能ならしめる最も重要な方策科学技術振興であり、もって生じる研究成果がその強力な推進力になるものといえよう。しかし、戦後におけるわが国科学技術水準は、遺憾ながら、いまだ低位にあるというのほかなく、これを向上せしめることこそ刻下の急務であるといわねばならない。  これに対処するため、政府がその重要政策の一環として科学技術振興を大きく掲げたことは、当然のこととはいいながら、御同慶にたえない。この大目的を達成するために、種々の方策が考えられるのであるが、当面の施策として科学技術庁が、新年度実現化を期している施策は、次のごときものである。  まず、科学技術振興基本的政策を確立し、国の諸施策にこれを十分に浸透させる目的で、新たに総理府審議機関として科学技術会議を設ける。その構成は内閣総理大臣議長として、大蔵、文部、経済企画科学技術関係各省庁の長のほか、常勤二名を含む学識経験者四名からなり、その審議事項としては、科学技術に関する長期的かつ総合的な目標の設定、国家的にみて特に重要と認められる研究推進日本学術会議からの意見についての検討等が考えられるが、これら以外の基本的な科学技術振興方策についても、この会議最高方針を力強く審議していただきたいと考えている。  次に、原子力平和利用推進については、現在までの研究により予想以上の成果を上げ得たので、日本原子力研究所においては、従来の試験的研究を並行して、新年度においては、さらに実験用動力炉導入し、原子力実用化への強力な一歩を踏み出すこととした。導入すべき動力炉型式等について、なお検討すべき分野が残されているが、これが設置され、稼働を開始する時期が至れば、わが国原子産業にも巨大なるともしびが点ぜられることとなろう。なお、一般動力炉及び燃料導入については、関係諸国一般協定を締結するため、引き続き折衝を行うており、近くその妥結が見込まれている。また、原子燃料公社については、その探鉱促進し、精錬施設整備強化せしめることとして、原子燃料国産化の緒を開かしめるとともに、昭和三十二年度設置した放射線医学総合研究所においても、放射線障害防止及び放射線利用による治療の研究等を行うために、その施設人員整備充実に力を注いでいる。  また、原子力利用と並び称される電子技術振興方策については、さしあたり、科学技術庁付属機関として、関係行政機関職員及び学識経験者からなる電子技術審議会設置することとし、この審議会をして、電子技術に関する基礎研究応用研究研究成果実用化等の各分野につき総合的な検討を行わしめ、もって今後のわが国電子技術振興方策を樹立する所存である。  さらに、科学技術基礎応用両面にわたって、独自の存在価値を示してきた株式会社科学研究所を、特殊法人理化学研究所仮称)に改組して、その伝統的な研究業務を強化充実せしめるとともに、これに新技術開発業務を付加することにより、従来、企業化に伴う経済的な不安が大きいために、机上に眠っていた優秀な新技術を関発企業化せしめることとして、研究産業との橋渡しの役割をも果させることとした。このような開発に伴う危険を負担する機構は、わが国においては新しい制度であり、この面においても、従来の科学研究所の輝かしい業績にまさるとも劣らぬ成果を期待したい。  その他、昭和三十二年に設けられた日本科学技術情報センターは、外国最新知識導入国内科学技術研究成果の普及、その啓発宣伝のための業務に関し、資料の収集、整備等を着々と行なってきたのであるが、新年度においては全面的にその活動を開始することになる。他方、当庁所属航空技術研究所金属材料技術研究所も、施設人員面において所要増強を行なったので、それぞれの面における国内技術水準向上に大なる貢献を果すものと期待している。  なお、如上の具体的な施策のほかに、国として科学技術振興をはかるために忘れられてならない最も重要な問題は、科学技術教育振興と、科学技術者待遇改善に関する方策である。科学技術教育については、別途主管官庁において、振興方策も講ぜられることになっているが、わが国における科学技術水準低下の遠因が、学校教育における文科偏重の風に大きく災いされたことに思いをいたし、今後とも、均衡のとれた文教制度を確立するための強力な政策が強く望まれる。このような制度のもとにおいて初めて科学技術尊重風潮も生まれ、優秀な科学技術者科学技術とが育成されるものであることは言うをまたない。また、この風潮を積極的に推進する方策としては、科学技術者待遇改善を行うことが肝要であり、技術革新的傾向から民間企業体科学技術者はある程度優遇されているとしても、国家及び地方公共団体研究公務員待遇先進諸国に比して著しく劣り、その研究意欲を阻害していることはいなめない事実である。この弊を除去するための方策も目下検討を進めており、関係方面協力を得て合理的に解決したい所存である。  以上要するに、目ざましい世界先進諸国科学技術水準におくれることなき体制を樹立するための諸方策につきるる述べたのであるが、もとよりこれのみで十二分の効果を期しているわけではなく、以上の諸施策基盤にして、より一そう世界の現状に即応した科学技術振興政策を樹立し、もって産業基盤の確立、輸出振興等わが国刻下の要請にこたえたき所存であり、この面における国会議員各位を初め、関係方面の御協力を心から望む次第である。
  4. 齋藤委員長(齋藤憲三)

  5. 原田政府委員(原田久)

    原田政府委員 お手元にお配りしてあります資料に基きまして、昭和三十三年度科学技術振興予算重要事項につきまして、予算関係を御説明させていただきます。  資料の第一ページに事項と前年度予算額(A)、三十三年度予算要求額(B)と差引増減額A―Bと三つの欄が設けてあります。ただいまその(B)の欄を中心に、外事項ごとに御説明をさせていただきます。  まず一般の部でございますが、科学技術振興長期計画作成という事業に伴いまして、所要経費二百十四万九千円が計上されております。これは後刻御説明いたします科学技術会議などの審議事項内容になるものを用意いたしたいというものでございます。  2の試験研究促進でございますが、内談を申し上げますと、多数部門協力を要する試験研究助成でございます。これは前年度クロレラの研究につきまして補助金二千五百万円を出した経費でございますが、この種多数部門協力を要する研究につきましては、終りから三行目の7の総合的重要研究促進特別措置というので空欄がございますが、この中で、政府案といたしましては経済基盤強化資金の中の科学技術振興費から、補正予算を組んで要求したいと考えております事項に、この多数部門協力を要する試験研究助成の項目が入るという観点に立ちまして、今回は計上することを取りやめた次第でございます。  次に(2)の在外研究員派遣でございます。これは従来から当庁がやっておりました、関係各省研究員海外派遣経費でございますが、増員が認められまして四千二百二十二万八千円、前年度に比べまして千二百九十五万三千円の増に相なりました。  (3)でございますが、所属試験研究機関整備といたしまして、(イ)の航空技術研究所現金予算として十一億二千五百六十二万三千円、債務負担行為額として十五億八千万円ほど計上されておりまして、これを前年度に比べますと、現金にいたしまして二億五千八百四十一万二千円、債務負担行為といたしまして一億円の増でございますが、内容といたしましては、遷音速風洞強力装置という施設整備する経費内容になっております。人質につきましては、同研究所は現在八十四名おりますが、三十名の増を見まして百十四名に相なる予定でございます。  (ロ)の金属材料技術研究所でございますが、これは一昨年発足した研究所で、三十三年度は第三年目に当るわけでございます。その予算といたしまして、現金予算四億一千三百四十六万三千円、債務負担行為一億三千九百万円計上されておりまして、前年度に比較いたしまして、現金において一億九千九百五十三万円、債務負担行為におきまして一億三千九百万円の増でございます。人員は四十名の増が認められておりまして、現在員八十名と合せまして百二十名に相なる予定でございます。  次に、研究成果活用促進について申し上げます。その内訳といたしまして、新技術開発機関の創設でございます。これは前年来新技術開発機関という独立機関設置する構想で進めておりましたが、今回特殊法人理化学研究所設置に関連いたしまして、同研究所内で同種の目的、機能を果す部門設置する経費といたしまして八千万円計上いたされた次第でございます。  (2)の特許発明奨励及び実施化でございますが、これは前年とほぼ同額の二千三百四万七千円でございます。ただし、七十一万三千円減になっておりますのは、補助金三%減の一般的な取扱いに従ったものでございます、  4の科学技術調査及び情報活動強化でございます。まず内訳の(1)の科学技術に関する調査活動強化でございますが、これは前年と同額でございますが、庁費、旅費の五%減を受けまして、百九十四万七千円に相なった次第でございまして、九万七千円の減でございます。  (2)の日本科学技術情報センターでございます。これは昨年発足いたしました特殊法人機関でございますが、八千万円計上されまして、一千万円の増でございます。人員につきましては現在六十名ほどおりますが、三十名ほど増加をする予定になっております。  (3)の科学技術アタッシェ増強でございますが、原子力関係といたしまして、一名ウイーンに派遣する予算外務省分として計上されておりますが、当庁の要求でございますので、ここに計上してございます。  うの資源に関する調査活動強化でございますが、経費といたしましては二千百十五万円計上されまして、前年度に比べまして六百八十二万九千円の増でございます。事業内容といたしましては、資源に関する諸般の調査活動を続けて参っておりますが、それを基本にいたしまして、総合的な取りまとめをいたす経費がおもなる内容となっております。  6の科学技術会議仮称設置でございます。これはすでに御承知かと思いますが、先刻の大臣構想にもありましたような内容審議機関総理府設置するものでございます。その経費といたしまいして一千五十七万四千円、内訳といたしましては常勤議員の給与とか、あるいは初度調弁費などを含めたものでございます。  7の総合的重要研究促進特別措置、これは先刻御説明申し上げましたように、経済基盤強化資金等に含めて大蔵省計上ということに相なっております。  8の電子技術振興でございますが、電子技術審議会設置いたしまして、その経費といたしまして三十四万八千円を計上上しております。  次に、9の特殊法人理化学研究所仮称設置でございますが、二億五千万円計上いたされまして、前年度に比べまして一億円の増に相なっております。  以上一般の部の合計を申し上げますと、現金にいたしまして二十億五千五十二万九千円、債務負担行為にいたしまして十七億一千九百万円、計三十七億六千九百五十二万九千円、前年度に比べまして、現金において六億五千四百九十八万五千円の増、債務負担行為におきまして二億三千九百万円の増でございます。  次に、原子力の部を御説明申し上げます。  1の日本原子力研究所でございますが、この経費といたしまして、現金四十五億円、債務負担行為三十一億六千百四十万円計上されまして、前年度に比べまして、現金において四億二千百七十六万一千円の増、債務負担行為におきまして十六億二千二百十四万五千円の増でございます。内容といたしましては、原子力研究所建設維持運営費のほかに、特に動力試験炉経費を含んでおります。動力試験炉といたしましては一億円の現金と二十四億円の債務負担行為を含んでおります。なお、日本原子力研究所につきましては、現在四百五十名の人員を擁しておりますが、三百名の増員内容に含まれております。  2の原子燃料公社でございますが、現金予算といたしまして十二億五千万円、これを前年度に比べますと、現金において五億九千九百十二万八千円の増、債務負担行為におきまして四億二千七百四十二万円の滅でありまして、探鉱製錬等の諸事業推進する内容のものでございます。  3の原子力技術者海外派遣でございますが、この予算といたしまして…千四百七十七万円計上されておりまして、前年度経費に比べまして千五百六十三万円減になっております。内訳といたしましては、前年度は三十名で、本年度は二十二名がこの分として計上されておりますが、ほかに原子力研究所の方と燃料公社の方にそれぞれ五名及び三名の原子力技術者派遣経費が含まれておりますので、実質的には前年度と同数の人員派遣することに相なっております。  4の核燃料物質等購入経費といたしまして、前年度に比べまして四百三十六万二千円の増の六千四百六十九万一千円が計上されております。  5の原子力平和利用研究でございますが、これは民間方面原子力関係研究を補助し、あるいは委託する経費でございます。現金にいたしまして四億七千万円、債務負担行為額といたしまして一億円、前年度に比べまして、現金においては一億五千三百四十万円の増、債務負担行為におきましては二億二千百八十万円の減でございます。  6の核原料物質探鉱費三千万円計上されております。前年同額でございますが、前年度は通産省に探鉱奨励金としてついておったものを、原子力関係予算として、今回は科学技術庁計上したものでございます。  7の放射能測定調査研究経費といたしまして三千六百二十四万九千円、前年度に比べまして三百二十五万二千円の増に相なっております。  次に、8の国立機関試験研究費でございますが、これは関係各省原子力関係研究をいたします経費を一括計上いたしまして、各省庁に移しかえをする経費内容となっておりますが、その予算といたしまして六億七千百五十六万九千円で、前年度に比べまして、現金において一億六千二百八十八万円の増、債務負担行為において二億六千三百九十五万八千円の減でございます。  9の放射線医学総合研究所でございますが、これは現金において五億六千九百三十三万五千円、債務負担行為において一億二千万円でございまして、前年度に比べまして、現金において四億二千五百七十六万四千円の増、債務負担行為において三億二千七百五十六万七千円の減でございます。内容といたしましては、研究所の設備その他を充実していくものとなっております。なお定員につきましては、現在四十名おりますが三十名の増が含まれております。  あとの原子力委員会原子力局事務処理費は、説明を省略させていただきます。  以上計、原子力の部といたしまして、現金予算七十七億二百五十四万八千円、債務負担行為三十三億八千百四十万円、計百十億八千三百九十四万八千円が計上されたわけでございます。  次に、前年度の比較を申し上げますと、現金において十七億六千三百十六万二千円の増、債務負担行為におきまして三億八千百四十万円の増に相なっております。  雑件といたしまして、技術士法の施行に要する経費あるいは一般行政事務処理費人件費等がございますが、説明を省略させていただきます。  ただ、申し添えておきたいことは、科学技術庁一般職員といたしまして、定員で五十九名の増、特別職で三名の増でございます。  以上合計を申し上げますと、現金において九十八億六千七百五十九万七千円、債務負担行為で五十一億四十万円、計百四十九億六千七百九十九万七千円と相なり、前年度に比べまして現金において二十四億四千五百四十六万三千円の増、債務負担行為において六億二千四十万円の増、計三十億六千五百八十六万三千円の増に相なっておる次第でございます。  以上、予算関係説明を終らせていただきます。
  6. 齋藤委員長(齋藤憲三)

    齋藤委員長 以上をもちまして科学技術行政に関する正力国務大臣所信の表明並びに昭和三十三年度科学技術庁関係予算説明は終りました。  これより質疑に入ります。質疑は、通告に従いまして順次これを許します。  岡良一君。
  7. 岡委員(岡良一)

    岡委員 私は、正力国務大臣がただいま表明されたその御所信の中で、特に科学技術振興基本的政策を確立するために、新たに科学技術会議を設けるという点、さらに原子力平和利用推進するために実験用動力炉導入して、その分野の拡大をはかるという点及び科学技術基礎応用両面にわたって、さらに積極的な措置をはかるがために、特殊法人理化学研究所設置いたしたいという御所信、この御所信について、果してただいま御説明予算が、これらの構想を実現するに足るかどうかということについて、率直な御答弁を承わりたいと思います。  その前にお伺いいたしたいのでありますが、正力国務大臣は、かねてから科学立国ということが自分の政治的信念であるということを常にこの委員会で申されておったのであります。ところが三十三年度予算要求額、そのうちにおける科学振興費総額は一体幾ばくであるのか。そうしてそれの諸外国、特にアメリカ、英国、西ドイツ、フランス、ソ同盟等との科学技術振興に使っている総予算との比率、あるいはまたそれぞれの各国の総予算内における科学技術振興費との比率、こういう点についてまず技術庁担当者から御報告を願いたいと思います。
  8. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 ただいま岡委員から、最初にまず数字的に説明をして、それから科学技術振興のわれわれのいわゆる大方針を述べよというお話でございますが、数字の説明をする前に、まず、私の大方針はただいま申し上げた通りでありますが、もう少しこれを具体的に申し上げますと、実は今度の予算で果してお前の大理想を達成することができるかどうかという御質問で、これはまことに痛み入りますが、私どもはこの予算でわれわれの思うておるところを大体達し得る――実は現内閣においても、科学技術については非常に好悪を持ってやりまして、予算会議でも一番初めに話がついたのは科学技術庁であります。それほど大蔵省当局もこれに対しては非常な関心と好意を持ってやったのでありまして、むろん岡委員の言われた趣意から見ると、だいぶ遠いところがあるかもしれませんが、とにかく日本の今日の財政において、これだけになったことは、非常に私は大奮発なりと信じます。  なおここに書いてある予算総額はたしか百五十何億だと思いますが、そのほかにまだ重要政策促進の、いわゆるたな上げ資金というものがあります。それは大体二十億くらい研究資金に取れるのじゃないか、これはまだ額は確定していません。とにかくそういう金が出し得ることになっています。それですから、それがもしも二十億取れるとなれば、百七十億という予算が取れますので、昨年に比較すると、本年度はたしか五十億と思いますが、増になるわけでありますから、要するに現政府としては、最大なこれに注意と好意とを持ってやったということを申し上げます。
  9. 岡委員(岡良一)

    岡委員 科学技術庁からいただいた資料によれば、自然科学関係研究費は、米国は日本の約五十倍、ソ連は約三十倍、それは予算実額。そこで総予算に対する比率は、日本は一九五五年に相なっておりますが、大体二%を下回っておる。ところが他の国々においては、三%なりあるいは五%に近いということになっておる。そこで今の正力国務大臣の御答弁についてさらに確認をしておきたいことは、それでは経済基盤強化の基金として予算計上されておる分の中から、二十億程度は、今後日本科学技術振興のための研究費として、確保し得るというお約束がいただけるかということ。  もう一つは、なるほど大蔵省がずいぶん多額な支出について快く応じてくれた、これは政府科学技術振興に対する熱意の現われである、こうおっしゃっておられる。しかしながら、今申しましたように、科学先進国における予算は、総額においても、総予算との比率においても、日本に比べては非常に大きいということ、これはあなたの方の役所から出された資料で示されておる。しかも、たとえば本年度予算で、平年度にすれば約三百億近い軍人遺族恩給費というものが組まれておる。日本は何で一体いくさに負けたか、物量で負けたといわれますが、最後のとどめは科学の力によってとどめを刺されておる。してみれば科学技術振興というものには、まだまだ予算的努力があってもいいのじゃないか。これらのいろいろの要素を考え合せますと、あなたの日ごろの科学立国というその大方針が、予算的な努力においては全く看板倒れじゃないか、私はかように申し上げたい。この点もう一ぺん承わっておきたいと思います。
  10. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 実は、今度の予算につきましては、先ほど申し上げました通りに、政府は非常にこの予算の工面をいたしてくれたのでありまして、私どもの要求額に大体近いところまできたのであります。ところが、御承知の通りに、日本は、私は科学立国を叫んで参りましたが、これまだ二、三年のことでありますので、十年立ちおくれております。従って、あの先進国に十年おくれているから、これだけの大きな予算にきたということは、私は決して外国に対して恥かしくないと思うのであります。御承知のごとく、たとえて言うたならば、どうしても科学技術振興のためには、一般国民の科学思想の養成と、科学に重点を置いた教育制度を完備しなくちゃならぬ。それが今までなかなかそこまで目がさめてこなかった。ようやく今年、今まで文科系七、理工科系三のものを、この四月から文部省も五、五まで持ってきたのです。そういうふうにようやくここまできたのですから、予算ばかりとりましても、なかなかこれに伴う研究者数が急にそういきませんから、私は、今日の科学技術に対して、文部省も方針を改めてくれた、来年度からはこれはまたさらにずっといき得ると思います。  そういうふうに科学技術に重点を置いた教育制度の改正が何としても前提になりますものですから、そうたくさん予算ばかりとれないようなわけでありますがそれにしても昨年より五十億もよけいにふえておるのでありますから、われわれ役所としても、このくらいでもやむを得ぬかと思うのであります。
  11. 岡委員(岡良一)

    岡委員 もう一つ、経済基盤強化基金の中から、科学技術振興のための研究費として、二十億は特に期待できるのでしょうか。
  12. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 私は期待できると思うております。これはまだきまっておりません。とにかく経済基盤のうちから二十億前後のものは出得ると思うております。
  13. 岡委員(岡良一)

    岡委員 なるほど科学技術振興といえば、問題は人であることは当然です。従って、今後、理科あるいは工科系統の人の養成に力点を置いて将来に備えていかなければならないことは当然ですが、しかし、現在、たとえば東大の理学部を見ても、あるいは工学部を見てもですが、あそこには講座が合せて約八十強あるでしょう。助手の定員、助教授の定員、講師の定員を見ても万百くらいではないかと私は思うのです、ですから、結局理工科で学校を卒業してみたところで、基礎研究に残る者がいない。基礎研究はサラリーのいい民間会社の方へ行ってしまう。基礎研究に残っても、学位をもらってこれから研究をしなければならぬという段階では、学位というものを看板にして高い給与の方へ行ってしまう。こういうようなことは今年からでもやれることなんです。今年からでももっと予算を張り込んで、基礎研究分野において幾らでも人の養成はやれる。今年の四月から卒業する者を研究分野にかかえ込むことはできると私は思うのです。そういう点で、人の養成、今から学校教育は理科、工科に重点を置くといったところで、それは四年先、五年先、単科大学だって三年先の話です。現在でもやれることについて、私は政府の努力というものが足らないんじゃないかと思う。科学技術庁長官として、これは当然科学技術教育というものと不可分な問題であるから、こういう点についてやはり予算的努力については十分な関心とともに、閣議等においても御主張があってしかるべきだと私は思う。そういう御努力については、正力国務大臣はなされたのかどうか。
  14. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 今お話しした通りに、科学立国については、どうしても人の問題、従って学校の研究員研究所研究員、こういうものの待遇改善が何よりも必要であります文部省の方は文部大臣がやっております。私も微力ながら幾分の応援をしたつもりでおりますが、まず私どもの方の関係として、公務員の研究員、それについて予算を六千万円とりました。これでこの待遇改善を四月からはかります。
  15. 岡委員(岡良一)

    岡委員 この問題は、科学技術教育の問題でありますので、委員長においても、文部大臣関係大臣の御出席をごあっせんいただいた上で、いずれ十分に私どもの方で検討したいと思います。  そこで科学技術会議の問題でありますが、これに大臣として非常に大きな希望を託されておられるようであります。そこでまずお尋ねをいたしたいことは、この科学技術会議というものは、国防会議というものがありますが、これと比較して、機構の上において、運営の上において、その権威において、どういうものでありましょうか、この点を一つお聞かせを願いたい。
  16. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 国防会議とは多少違っております。国防会議には民間人は入っておりません。この科学技術会議には民間人を入れております。しかも常設の学識経験者二名、非常勤を二名と、民間人四名を入れております。これは、私どもがこの主張をした重点は、どうしても科学技術立国、科学技術をやるについては、日本におけるエキスパートをここに持ってこなければしょうがない、もちろん最高機関として内閣において決定をするのですが、この前にどうしても、これは関係閣僚だけではいかぬ、これに学識経験のある民間人を入れたい、そうして、先ほど述べたように、これに常設の人を入れるというのが、今度力説したところであります、それによって初めて私は日本の重大政策というものをきめ得る、また重大政策促進し得る、こう信じておるわけであります。
  17. 岡委員(岡良一)

    岡委員 民間人をこの会議の議員に委嘱されるという構想は、私どもも非常に賛成なんですよ。ただしかし、その結果、この科学技術会議というものの権威というもの、あるいは閣議に対する会議の決定の影響力というもの、これがもちろん一番重大な関心事です。民間人を入れてよりよき決定が出される。それが閣議に対して大きな影響を与えるという点から考えまして、総理府にこれを付置されるという構想になっております。総理府には、原子力委員会も付置されている。売春対策審議会も付置されておる。そうして国防会議は、法律に基いて独自な事務局を持っております。ところがこの科学技術会議設置法の要綱では、庶務は科学技術庁が処理するということになっている。こういう点からいたしますと、科学技術会議が、その掲げる目的、すなわち科学技術に関する基本的な政策なり科学技術に関する長期的な目標の設定なり、こういった重大な国策の具体的な決定というものを、ほんとうに閣議が十分に尊重し、これを実施するということにおいて、総理府に付置された売春対策審議会などというものと同列な形で、いわゆるこれまでの審議会風な扱いがされたのでは、せっかくの構想は、私は事実上名目的なものになるという心配を持つわけなんです。この点についてさらに正力国務大臣としては、この機関の権威、その決定がいかに総理大臣及び閣議によって尊重されるかということについての見通し、確信のほどをお示し願いたい。
  18. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 この科学技術会議というものに私どもが非常に期待をしておりますことは、要するに今まで総理府にいろいろなものがありましても、それは閣僚が加わっておりません。おっても一名です。今度は経済閣僚も入れれば、文部省――つまり御承知ように私は科学技術庁長官としてで、やはり教育に関することは文部大臣が握っておりますから、文部大臣も入れる。私も一員として入る。また経済問題も伴うから大蔵大臣も入れる。そうして総理をこの長にするということにするし、なおまた入る四人の民間人も大臣と同様な待遇にしたいと今考えておりますので、この法案を今練っておるわけであります。予算面ができますれば、なおこれから法案をいずれ提案いたしますから、これを御審議願いたいと思うのであります。この法案のいかんということがこの実効を上げるかどうかの僕はかぎじゃないか、こう思っておりますから、どうぞその法案について十分御審議していただきまして――それによって科学技術庁の本能が果し得るかどうかということは、私はこの法案によってきまると思いますから、その際は何分の御協力をお願いいたしておきます。
  19. 岡委員(岡良一)

    岡委員 法案といわれますが、この予算説明を見れば、科学技術会議予算も若干計上されておる。あるいは仮称理化学研究所予算計上されておる。ところが科学技術会議設置に関する法律案なりあるいはまた科研を理化学研究所に改組しようという法律案なり、予算を執行すべき裏づけとなる根拠的な法規というものは何も提出されていない。これは私は非常に無責任だと思う。予算説明をされるならば、この予算の執行はこのような機構において、このような運営をするのだという、予算執行の根拠となる法律というようなものの提出をなぜなさらないのですか、一体これはいつなさるおつもりなんですか。
  20. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 この予算大蔵省へ請求するときにも、われわれの方で大体の法案の意義をいろいろ話しております。そうして、目下練っておりますので、今月のおそくも二十日ごろまでには提案できる、こういうふうに今急いでおります。これは前申し上げました通りに、ほかの審議会と違う点は、第一に常勤の人がほかの審議会には――原子力委員会はありますが、ほかにありません。それとその原子力委員会も閣僚は私一人でありますけれども、これには関係閣僚がみな入っておるという点であります。従って、閣議においてもこの決定は相当重んぜられるものと信じております。
  21. 岡委員(岡良一)

    岡委員 科学技術庁からいただいたこの資料を見ると、提出予定は、大体科学技術会議設置法案、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案、理化学研究所法案は二月十四日に閣議提出の予定と相なっております。今、正力国務大臣の御答弁によれば、二月二十日までということになっておりますが、私どもの党といたしましても、予算の執行のために必要な法律案の提出なくして予算の審議というものをわれわれに要求するということは、従来の最もあしき慣行である今度の国会においては、あくまでも両々相携えて御提出を願いたいという強い態度を持っております。二月二十日までには必ず科学技術会議設置法案等、予算の執行に必要なる根拠法規というものは御提出になるというお約束をいただけますか。
  22. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 約束せよとおっしゃってあれなんですが、自分は必ず出すつもりでおります。
  23. 岡委員(岡良一)

    岡委員 正力国務大臣のその言明を私は信頼して、ぜひ一つ二十日までにはお出し願いたいということを重ねて強く要求いたします。  そこで、私この科学技術会議をお作りになることは年越しの構想でありまするし、私ども委員会といたしましても決議をいたしたわけであります。ただその際、私どもなお若干の疑義を持っておるのは、原子力委員会との関係であります。原子力委員会科学技術会議の運営の関連、これは一体どうしたものであろうかということについては、私どもも非常に頭を痛めておるわけです。原子力委員会の任務については、原子力基本法の第五条にも、「原子力研究開発及び利用に関する事項について企画し、審議し、及び決定する。」こうはっきりうたわれておる。これは原子力委員会設置法の第三条において、また重ねて、これらの決定については、内閣総理大臣に報告をし、総理大臣はこれを尊重しなければならぬという手続規定もあるわけです。ところが一方科学技術会議――この要綱というものをいただきましたが、それを見れば、内閣総理大臣がみずから議長となる、そうして科学技術に関する長期的な目標の設定に関することなどについて、いわば科学技術振興の重要なる事項について、これを諮らねばならないということになっておるわけです。そういたしますると、事実上の運営として、原子力委員会が何らか重要なる事項を決定し、内閣総理大臣に報告をする、内閣総理大臣はそれを尊重しなければならない。しかし科学技術会議があるということになれば、原子力委員会の決定というものは、さらに科学技術会議に諮らねばならない。そうして科学技術会議の決定によって、初めて施策として実施に移されるということになると、少くとも科学技術振興の中心的な重要な政策である原子力政策というものについては、いわば屋上屋を架すような運営になるという点、この点は私どもはどういうふうに運営上やっていくかということで非常に関心を持っておるわけなのです。この点について、正力国務大臣はどういう構想をお持ちでしょうか。
  24. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 ただいまの御質問、まことにごもっともな御質問であります。そうして、私どもも、このことについては相当研究しておりますので、もちろん原子力基本法はあくまで尊重しなければなりません。当然です。ですから、原子力に関したことは、もちろん原子力委員会で決定をまずさせます。ところが、御承知の通り、これはどうしても経済を伴うことでありますから、この原子力プロパーの問題についてはきめますが、ほかの事業と関連する場合、総合的な場合には、それを科学技術会議にかけるつもりでおりまして、原子力だけの問題についてはどこどこまでも原子力委員会を尊重していくつもりでおります。従ってその間の調節で、事実上においてそういう不合理なことはできないで済む、こうこう考えでおります。
  25. 岡委員(岡良一)

    岡委員 それでは具体的に、たとえば原子力委員会日本原子力研究所動力試験炉を置くということは、日本科学技術全般にわたる重要な問題であろうと私は思うのであります。その動力試験炉を置いて、試験炉の運転に習熟するだけでなく、それが動力炉国産化のための道を開くものであるとすれば、やはり動力試験炉のために必要な金属材料など、あるいは設計なり、その他その地盤の調査なり、あらゆる科学分野にわたってやはり新しい研究が必要になってくる、こういうようなことで、一般的に原子力プロパーと申されるけれども、原子力の具体的な実施計画というものは、およそあらゆる科学分野にわたる可能性が十分にあるわけです。一体プロパーであるのかどうであるのかということは、だれがどういう基準でおきめになるのですか、そこのところを一つはっきりさしていただきたい。
  26. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 ただいまの御質問まことにごもっともな御質問でありますが、どこまでがプロパーか、またどこまでがほかと関係あるかということになってきますが、いずれにしてもまず原子力委員会を第一に尊重する、かりにこれを科学技術会議にかけても意見が合わぬとすれば、原子力委員会にもう一ぺん再考を促すという程度でいきたいと思いまして、どこどこまでも原子力委員会を尊重していきます。ただ、私ども今でも意に予算関係でほかにも原子力委員会は相当にいかぬ点があるのでありますから、そういうような点の調整は科学技術会議に諮りたい、こう思っておるのであります。少し不十分かもしれませんが……。
  27. 岡委員(岡良一)

    岡委員 いずれにいたしましても、いずれ科学技術会議設置法案なるものは御提出になるわけですから、そのときにもっと具体的に十分私どもの意見を申し上げ、皆さんの御見解をただしたいと思います。  そこで、原子力委員会の問題が出ましたが、私は過去二カ年間の原子力委員会というもののあり方を見て、若干不満を持っておるわけです。その一つの大きな不満の原因は、原子力委員会が発足をしたときに、日本に第三の火をともし、その第三の火を中心に、原子力振興を通じて、日本の国民はそれに非常に大きな期待を寄せられておったはずです。ところが、任期に満たないで湯川博士がおやめになる。今また藤岡博士がおやめになるというようなことで、この原子力委員会のいわば人事というものが、任期に満たないで御自身の御都合でおやめになるというような人事異動があるということ、私は個々の委員が適格であるかどうかということを申し上げるのではありませんが、そういうふうな人事異動があるということ、そのことだけでも私は委員の諸君の原子力委員会に対する権威の自覚が足らぬと思う。同時にこれは原子力委員長としても、私は十分考えていただかなければならないことだと思う。委員長は全部の委員常勤にしようというような構想も漏らしておられたことがある。ところが今度は藤岡委員のあとに擬せられておる東大の教授については、その一身上の事情から非常勤でいこうというようなことも新聞では伝えられておる。これらの経緯をもっとはっきりしていただきたいことと、そうしてもっと原子力委員会というものを権威あらしめ、任期までは断じてとどまって、自己の委員としての責任を果す、こういうふうな運営を、委員長としては当然やるべきだと思う。この点について、過去のあなたの自己批判を率直にお聞かせを願いたい。
  28. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 ただいまの御質問につきましては、実は私の考えも岡委員の考えも大体同じことだと思うのですが、湯川委員がやめましたのは、全く健康上の理由です。実はそのもっと前にやめたいということだったのです。しかし、もう少しやってもらいたいということに対して、これ以上は健康上どうしてもいかぬということで、湯川博士は健康上の理由です。しかも就任のときからすでに健康が悪いから、就任をどうだろうという話があったのです。ありましたけれども、どうしてもとにかく出て下さい。原子力委員会としては、今、日本ではあなたに出てもらうのが何よりも必要だ。それではからだの健康の許すまでやろうと、初めに約束しておることでありますから、これは全く本人の意思でもない、全く意思に反して健康上やめたということを了承していただきたい。それからなお藤岡委員の方は、これは実は国際会議に行っても、日本原子力の事情をよく知った藤岡委員をやった方が便利じゃないかという点も考慮したのでありまして、原子力のためにこういう人を国際会議に出すということが便利じゃないかという点も考慮したのでありまするし、またほかにちょっと適任者があまり見当らなかったので、それでやったわけであります。それからなお原子力委員を全部常勤にしたいというのは、私は全部常勤にしたいという考えは初めから持っていません。それはなぜかというと、常勤にすると人を得ることができぬ場合があるのです。今までの業務常勤の人は全部やめてこなければならぬ。そういうことはまた人を得るゆえんでもないから、やはり常勤と非常勤と二つ置かなければならぬと考えておるのであります。とても常勤にきめたらなかなか人を得るにむずかしい点がありますから、これは岡委員もさだめし御承知のことと思いますが、そういう事情も御了解いただきたい。
  29. 岡委員(岡良一)

    岡委員 それではここに科学技術庁予算として計上されている原子力委員会に必要な経費、これには四名の委員常勤ということで、四という数字が載せられておりまするが、これはどうなるのですか。
  30. 佐々木政府委員(佐々木義武)

    ○佐々木政府委員 前々から原子力委員会の強化という問題がございまして、非常に事務量と申しますか、問題が具体的になるに従いまして山積して参りましたので、常時これを処理する必要が昔に比して非常に多くなったわけでございます。従いまして、週に一回二回という勤務でなく、できますれば、全員常勤で専心この問題に当っていただきたいというのが念願でございまして、実は今度の予算もその趣旨を貫いておったわけでございます。ただ予算が決定いたしましてから、藤岡委員の転勤の問題が起きまして、その後任の問題がございました。予算を組みましたときには、あくまでも常勤という線で貫きまして、自後藤岡先生が転勤したのでございますので、その後の後任の問題に関しましては、先ほど大臣からお話がありましたように、現在の学会との関係あるいは核融合の問題等の最も練達者を選びたいという大臣の御方針でございまして、菊池先生が一番適任じゃないかというので、むしろ常勤の線の重要性以上に、そちらの考えの方がこの際重要じゃなかろうかという観点から、先ほど大臣がおっしゃったような結果になった次第であります。
  31. 岡委員(岡良一)

    岡委員 いや、私は常勤にするということによっていろいろな制約がある、そのために人という問題では十分な選任ができがたいということも、事実上あることはわかるのです。しかしこれは、そうすれば予算は補正なさるわけですか。
  32. 佐々木政府委員(佐々木義武)

    ○佐々木政府委員 常勤常勤の問題は、実は法律用語と申しますよりは、給与の支払いの方式の問題でございまして、菊池先生の給与の支給の方法は、今までのような支給方法のままで行きますと、もちろん非常勤という範疇に入りますが、あるいは支給の方法を変えますと、常勤というふうな考え方も成り立つのじゃなかろうかという感じもいたしまして、常勤常勤というその言葉自体の問題には、予算面からいたしますと、すぐその場で変えなければこの予算に対して違反であるというふうには考えなくてもよろしいのではなかろうかと思います。四月以降の問題は、予算が成立するということになりますので、それまでに十分この問題は考えて処理いたしたいと思います。
  33. 岡委員(岡良一)

    岡委員 まあとにかくそういう問題は、私どももよく研究してみたいし、金額もわずかではありますが……。  そこで、この予算書で、原子力技術者海外派遣に必要な経費、これが前年度予算額よりも本年度要求額が一千五百万円ばかり減っておりますが、これはどういう理由に基くのでしょうか。
  34. 佐々木政府委員(佐々木義武)

    ○佐々木政府委員 実はこの予算の減りましたのは、表面上ただ減ったのでありまして、実質は昨年と全然変化はありません。と申しますのは、昨年度原子力研究所並びに公社等の留学生の分が官庁予算面に載っておりまして、そうしてその中から一部支出することになったのを分けまして、今年度は官庁の方は官庁の分、公社並びに原子力研究所の方は原子力研究所の方に移しかえをした。内容に関しましては、派遣費等に関しましては、全然去年と同様であるというふうに御理解願いたいと思います。
  35. 岡委員(岡良一)

    岡委員 何といたしましても、この原子力に関する限りは、やはり外国の試験結果というものをできるだけ摂取する努力が必要だと思うのです。この点特に正力国務大臣にお伺いをいたしたいのですが、大臣はしばしば言明されるけれども、まだ実現に至っていないことは、ソ連邦の、これは原子力のみならず、科学技術に関する先進的な試験結果を摂取する努力というものがあっていいのではないか。岸総理は、科学によって人が支配されるのではなく、人が科学を支配すべきだというキャッチ・フレーズを言っておられる。こういう抽象的な言葉を、今私どもの政策の場に下ろしてくれば、アメリカかソ同盟かという対立は、これは人為的なものなんです。科学的真理というものは、これは国境を越えたものである。しかも現にわれわれが常識としてどうしても納得せざるを得ない事態というものは、現実は明らかに、ソ同盟においては、新しい科学技術というものが、アメリカよりも優位であるのではないかということが現実に立証されておる。こういう方向に向って、人為的な米ソの対立というふうなものを越えて、そういうものに支配されないで、日本科学技術振興というものについて、もっとソ同盟なり中共なり、こういう方面に手を差し伸べて、文化協定を結び、科学技術者の交流をやるというようなことを政府みずからがやるべきではないかと私は思う。現にあれだけソ連邦ぎらいのアメリカでも文化協定を結び、大量な科学技術者の集団的な交流の実現が現実化しようとしておる。このとき日本としては、当然むしろ積極的にこういう方向へ努力をすべきではないかと思う。この点、正力国務大臣の御所見はいかがでしょうか。
  36. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 お話の通りに、科学技術の面では国境はありません。従って、ほんとうにこれはソ連にいい点がありとしますれば、それは考えますが、今までのところはアメリカもやっておりますが、それよりもむしろ今度はイギリスの方もだいぶやっておるわけでありますから、必ずしもアメリカ一辺倒というわけではありません。そういうわけですから、ソ連の点もなお研究しまして、これはソ連の特徴で非常にいいということになれば、むろん考えます。
  37. 岡委員(岡良一)

    岡委員 あなたのお答えは、去年から見るとだいぶ後退しておる。去年はわかりました。ソ同盟もやりましょう。中共とも手を結びましょう。今度は研究いたします。(笑声)一体いつの間にどういう理由で後退されたのですか。その点一つはっきりとお答え願いたい。
  38. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 私は別に昨年より後退したとは思っておりません。同じことですから、あるいは言葉が足りなかったら訂正をいたします。私はちっとも後退をいたしておりません。なおやはり去年も研究するつもりでおったのですから、どうぞ御了承願います。
  39. 岡委員(岡良一)

    岡委員 私は、研究の段階ではなくして、ICBMなりスプートニクなり、その規模等を見て、明らかにやはり――というのは、ICBMとかスプートニクというようなものも、やはりソ同明全体の科学的な水準の大きく高まったその底辺の上に立てられたピラミットの頂点がスプートニクとICBMであると思う。そう日本でも理解すべきだと思う。してみると、研究の余地はないと思う。日本技術振興のためにはどんどんあなたが音頭をとって、日本科学技術者を文化交流の意味において派遣をする、それくらいの施策をあなたは積極的にとるべきだと思う。もう研究の余地はありません。いかがですか。
  40. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 御趣意はまことに同感であります。まだ研究の余地は私はあると思っておりますから、どうぞ……。
  41. 岡委員(岡良一)

    岡委員 いずれ外務大臣等にもお尋ねをいたしたいと思いますが、もう一つ昨年この委員会で決議をいたしました。その決議の内容は、原子力平和利用開発推進するために、アジア諸国が協議会を持ちたい、こういう構想の決議をしたわけです。これには当然若干の予算が伴うものと思いますが、本年度計上予算の中ではどこにこれが入っておるでしょうか。
  42. 佐々木政府委員(佐々木義武)

    ○佐々木政府委員 アジア原子力会議の開催に関しまして、昨年の秋に当委員会で御決議のありましたことは、十分承知しておるのでございます。ただ、その問題を何省で扱い、予算をどういうふうにすべきかという問題に関しましては、いろいろ関係方面、特に外務省と相談いたしまして、しばしば会合を重ねたのであります。やはりこれは国連等との関連の問題も十分考慮をしなければならぬ問題でありますし、あるいはアジアの諸国の実態と申しますか、現状等も考慮すべき要がありますので、外務省でこれを処理すべきが至当ではないかというふうに判断いたしまして、外務省の方で予算を組んで、最後まで大蔵省に折衝を続けたように聞いておるわけでございます。結果におきまして、その予算がついたかどうかつまびらかではございませんが、私の不正確ながら聞き及んだところによりますと、その予算は本年度予算には載っていないというふうに聞いております。しかしこれはなお正確なところは確かめてみたいと思っております。
  43. 岡委員(岡良一)

    岡委員 これは、もう委員会としては年の暮早々に集まって、とにかくぜひということでわざわざ外務大臣にも正力国務大臣にも委員長その他代表者がお目にかかって、実現方を強く要望したことは御記憶の通りです。局長のお話によると載っておらないという。まことにけしからぬと私は思うのだが、決議案の取扱いを正力国務大臣はどうなさるおつもりですか。
  44. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 実は、御趣意についてだいぶ努力しましたが、外務省としては、まあとにかくこれは外務省の問題でもないが、科学技術庁だけの問題ではないから、よく一つ考えておこうというので、特に幾らかというとまだはっきりしないというような事情であります。従って、このアジア会議予算としてはついていないわけです。しかしこれは外務省には相当の予算がありますので、あるいは何かここに方法がないかと思っておりますけれども、まだついていないことは事実であります。
  45. 岡委員(岡良一)

    岡委員 この原子力の問題は、国内において原子力政策推進するという場合でも、これはもう対外的な折衝というものが常につきまとうわけです。ところが、さて一つの問題が起ると、これを外務省がやるのか科学技術庁の持ち分かということで、結局その問題によって双方が責任を回避するような状態が起り得れば、国会の決議にしたところで実現を見ないというようなことになる。こういうことは、科学予算原子力予算そのものの根本にかかる重大な問題だと思う。これだけではないのですが、この点やはり科学技術庁原子力研究に関する予算の配分をして、各省がそれを計上するというが、しかしもっと日本原子力なら原子力推進のために必至な予算については、独自な決意と勇気を持ってこの予算を一本に要求し得るというふうな態勢に持っていくべきじゃないかと思うのです。この点いかがでしょう。
  46. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 まことに御趣旨には私も同感でありますから、今後せいぜいその趣旨に努めるようにいたします。
  47. 岡委員(岡良一)

    岡委員 これは委員会としては非常に大きな関心を持っておる問題であり、ぜひとも実現をしなければならないというくらいな意気込みを持っている問題でありますので、当然一つ科学技術庁においても十分な関心を持っていただきたいということを強く希望しておきます。  そこで、先ほどの所信の表明の中に、仮称、理化学研究所設置ということがありました。これについてでありますが、これは構想としては非常にけっこうだと思う。ただしかし、本年度にそのために計上されておる予算は、大蔵省から出資金として三億三千万円、うち技術開発資金としての八千万円というものが含まれておる、こういう状態です。私どもが科学研究所なり、あるいは理化学研究所なり、こういうものが必要であるという構想を強く申し上げたい理由は、一つには私どもが大学を出たときに当時大河内さんが所長をしておられた理研というものは、日本科学者のメッカであった。そしてこれが仁科さんの指導に至るまできわめて当然な発展を遂げた。ところが、それが総司令部の指令によって一個の五百万円の株式会社に転落をした。その後民間の出資等も若干あったとは言いながら、どうやら三十年には法律を改正して政府も一億ばかりの出資をすることが認められた。そこで今度はこれを特殊法人に変えよう、そうして理化学研究所にしようという、私はこの構想にはもろ手をあげて賛成です。しかし三億三千万円を本年度出資いたしましても、民間の出資を合せてわずかに十一億です。理化学研究所というものの使命が一体どこにあるかということをもっと皆さんが十分に把握していただけば、これだけでは何もできないと思う。要するに日本における基礎研究というものは、ある科学分野ではかなり高度なものがあると思う。ただ、日本の学者は、論文を書いて学界へ発表すれば足りる。日本の若い研究者は学位論文をもらえば、それをいわば肩書きにして、よりよき俸給を求めて産業界に去る。ここに日本科学技術振興というものの大きなボトル・ネックがあるわけです。従って、日本基礎分野における研究の達成というものを一つの目標に結びつけて、その応用化なり工業化をはかっていくブリッジが、日本科学技術振興のためには当然必要なことだと思う。しかも、その機構も、私は特殊法人というような形態がよかろうと思う。公務員に縛られていては、なかなか研究する人も能事の発揮というものは望みがたい事情も多々あるので、特殊法人という形態もまことに格好な形態だと思う。ただしかし三億三千万円、総額十一億、これでは日本科学分野における研究を応用化なり、工業化に持っていくという機構としては、私は非常に少い予算であるといわなければならない。せっかく国務大臣所信表明の中で、科学技術基礎応用両面にわたって云々という御抱負を漏らしておられますが、この御抱負がこれくらいのことでできますか。どうなんですか。
  48. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 ただいまのお話は、まことにごもっともなお話です。実は私も、今度は特殊法人になって、相当の予算要求しましたが、これを小さくされたことは遺憾に思います。しかし今年はまずこれでやって、それから来年はさらにとれるという自信もあります。実はそれで私自身も研究所へ行って見てきました。行ってみて、その実情をつぶさに見て、在来の功績、またこれからの必要を痛感したような次第であります。来年は相当の予算をこれにとるつもりでおります。そうして御趣旨に沿いたいと思っております。
  49. 岡委員(岡良一)

    岡委員 そこで、私は非常な矛盾を感ずるのです。予算書の五百四十六ページです。ここに工業技術院というものがある。これは通産省所管、ここでは年間要求予算額は三十四億五千八百万円です。何をやっておるかということを調べてみますと、私どもが調べた範囲内においては、熱管理とか、計量の測定とか検定とか、その他もろもろの研究なり分析なりということのほかに、予算の費目を見ると、あるいは電子の予算計上したり、外国の図書を買ったり、その中には原子力の図書があったりということで、それから特別研究費とかなんとかいうような費目で、非常に基礎分野にわたっておる。基礎の達成点を、応用なり工業化へ持っていこうという旗じるしのもとに発足しようとする科学研究所なりあるいは理化学研究所、これは出資金わずか十一億円で発足しようという。一方通産省所管にこういうものがある。なるほど検出なり分析なり、そういう管理的な分野というものは、通産省にあってもいいと思う。しかし、とにかく膨大な予算を持っておって、人員もこれは四千名です。科研は、私もこの間行ってみましたが、四百名余です。こういう形です。日本は資金が乏しい、施設も足りない、人も足りない。足りないならば、足りない資金なりこの乏しい施設なり人員というものを、科学振興の名において、科学的に、合理的に、効率的に運営するというならば、単に科学研究所、理化学研究所に来年は資金をふやすというのではなしに、こういう機構の矛盾をこの際根本的に解決をして、そうして乏しい予算、乏しい施設なり少い人員を能率的に、基礎から応用へ、工業化へという方向へうんとがんばってもらう、こういう機構の改革が伴わない限り、ただ科研だけを強化しようとすることだけでは、私はあなたが表せられる所信目的は果せないと思う。どう思われますか。
  50. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 今のお話も私は実は全く同感なんです。元来科学技術会議を設けたという趣旨はそこにあるのです。大体日本はセクショナリズムがあまり強過ぎます。御承知の通り、あのアメリカのような陸海空ですら、セクショナリズムの打解ということがいわれております。ところで、日本はもっと小さくセクショナリズムがある。これを打破するのが、どうしてもぼくは日本の急務だと思います。その意味において、今度科学技術会議を設けて、そうして各技術者といろいろ閣僚も関係して、そうしてそのセクショナリズムを大きく打破したい思っております。
  51. 岡委員(岡良一)

    岡委員 そういう御構想であれば、今年が見のがされてしまっておるという状態は、遺憾な点だと思う。科学技術会議が設けられる。あなたの御趣旨によれば、文部大臣を加えて日本の若い人たちの科学技術水準を高める。もう一つは理化学研究所等をもっと充実させて、もっと資金を入れて基礎から応用へ、工業化へ、実用化へという橋渡しをするように十分にやる、ということをこの科学技術会議というものが使命とするということならば、私はあなたの御所見を伺いたいのだが、当然科学技術省の設置というものが結論として出てくると思う。内閣総理大臣議長とする科学技術会議がある。そこで国の科学技術振興に関する最高的な方針がきまる。実施官庁としての科学技術省が現在各省庁にまたがっておる。試験所、研究所等において、それらの各省庁に必要欠くべからざるものはやむを得ないとしても、基礎研究等の分野にわたるものや必要でないものは、これを科学技術省が統合する。企両庁を入れる。そうしてこの科学技術会議の決定された科学技術振興というものは、事実上はワンマン・コントロールです。あなたのような実行力もあり、雄大な構想を持った長官が、今度は省の大臣となって大いに一つやっていくというような科学技術省というところまで機構の統一をはかっていくということが、当然今後の科学技術振興のために、官庁の割拠主義を打破するために、必要な構想であり、結論であると思う。科学技術省の設置についての大臣の御構想はどうでしょうか。
  52. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 今のお話で私も全く同感であります。またかねて私は科学技術者を作らなければならぬということも、これもずっと前から言っております。だから私はこの科学技術会議ができれば当然そこへ行くものと思って、それを主張しておるのです。とにかく何としても科学技術のセクショナリズムを破らなければいけません。私は科学技術庁長官として第一にやった仕事は、各研究所の実態調査です。何がゆえに実態調査をしたか。つまりこれは科学技術の発達をするにはどうしても研究のむだを、――むだというと語弊があるかもしれませんが、つまり重複というか、これを避けなければいけない。それについては、どうしても将来科学技術省へ持ってこなければならない。科学技術省へ持ってこようということは、なかなか一足飛びにいかない。この科学技術会議ですっかり話をする、そうすればそこへくると私は思っております。
  53. 岡委員(岡良一)

    岡委員 一つの資料を申し上げれば、とにかく日本の各商社が技術援助契約によって外国に支払っておる支払いの総計、日本も受け取っておりますが、受け取りと支払いの差額、いわば支払い超過額が、昭和二十九年には千二百四十六万ドル、三十年には千六百六十万ドル、三十一年には二千六百万ドル、三十二年度は大体三千八百五十三万ドル、四年の間に三倍にふえておるのです。こういうふうな形で日本のメーカーというものが盲目的外国の商社に対して高いロイアルティを払い、あるいはノー・ハウに対する支払いをどんどん出し、三倍もふえておる。しかも金額にすればとにかく四十何億から現在は百四十億、こういう高い技術料を外国に支払いながら、しかも国内における技術政策というものについては、先ほど来科研について申し上げても、また科学技術会議が当然解決すべき諸問題についても、きわめて努力が足らぬと私は思う。あなたは閣議で大蔵大臣なり通産大臣に対して、日本の自主的な科学技術振興のために抑制する措置について強く発言する責任が当然あると思うのですが、一体こういうことについてあなたはどう思われますか。
  54. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 それは日本のように十年も外国からおくれておる国においては、過渡的な時代においては当分は仕方ないと思います。それで早く外国技術を入れる。それと同時に、日本基礎研究を進めたいということは先ほどからたびたび申し上げておる通りです。そうして、どうしても研究所のむだを排除するということをとらなければならない。要するに先ほどからたびたび繰り返し申し上げておるように、セクショナリズムを破らなければいけません。ところが、これはなかなか言うは易く行うはかたしですが、それだから今度の技術会議ができて、これがほんとうの力強いものになるかどうかということは、セクショナリズムを破り得るかどうか、こう考えております。今の日本技術には、外国技術を学ばなければならない点が多々あるのです。だから目的は前申す通りで、私はこの前の国会でも申し上げた通りに、どうしても科学技術省を作るのだ、その前提だといって、その中間に、いろいろ考えた結果が、この際科学技術会議を設けた方がよかろうということになった。この科学技術会議を作ることについても、御承知のごとくほんとうに万難を排したのです。なかなかこれはめんどうだったのです。科学技術会議を作ることすらめんどうなくらいですから、あとのセクショナリズムを破るのはなかなか容易ではありません。しかし、国家のためにこれはぜひやりたいと思っております。
  55. 岡委員(岡良一)

    岡委員 日本が十年のおくれを取り返すために、外国の高度に進んだ技術についてはこれを学ばなければならない、それには当然ノー・ハウあるいはロイアルティの支払いも必要です。私はこれを全面的に否定するわけではありません。しかし、こう申し上げては失礼だけれども、正力国務大臣は職業野球なりテレビの御経験からものを言っておられるのではないかと私は思うのです。現に日本の日立は、戦前はほとんど技術料を支払わないであれだけ充実した中央研究所を持って、戦後岩手の技術提携はしておるようですが、日本のメーカーとしては一流の地位を築いておるではありませんか。名前は申し上げませんが、関西でテレビを作っておる工場をこの間見た。ある会社は、オランダのフィリップスと技術提携をしておるが、ある会社は全然自力で旋盤もみんな作っておるのです。しかし、それででき上ってくる商品は大体において変らないと言われておる。だからおくれを取り返すという限度におけるロイアリティの支払い、技術提携というようなものはやむを得ないと思います。ただ、日本のメーカーなり産業資本家が自己の利に急いで、ただ盲目的外国技術の高い技術料を支払って技術導入するということは、現に日本で自力でやっておるところもあるのですから、十分考えなければならないことではないでしょうか。どうでしょうか。
  56. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 その点はごもっともですけれども、事実おくれておることは何としても事実なんです。それでありますから、私は基礎研究ということに力を入れなくてはならない、同時に外国のものも入れなくてはならないということで、これは実は私はただテレビや職業野球の経験で申すのではありません。幾多の専門家の意見を聞いての話です。日本が幾ら競争しようと思っても、おくれておるから、そのおくれを取り返すために一時的には仕方なかろうという専門家の多数の意見があります。なるほど日立も相当すぐれておりますが、今、日本のメーカーは何でもかんでも高い金を払ってもというように考えておるのではありません。日本のメーカーはみな自覚しております。そういうわけでありますから、決して御心配のようなことはないと思っております。
  57. 岡委員(岡良一)

    岡委員 それではこういうふうにうなぎ上りに四年の間に三倍もノー・ハウに対する支払いなり、あるいはロイアルティの支払いがふえていくという状態は、放任して差しつかえない、あなたはそうおっしゃるのですか。
  58. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 放任しておるわけじゃありません。ありませんが、今日の階段ではやむを得ぬと見ております。しかし先ほど申し上げました通り、日本技術者も相当自覚してきました。たいぶ技術が進んできた。放任はしておりません。何でもかんでも、もうかればいいから外国の通りにしておけばいいというわけじゃありません。ことに原子力の問題については、御承知の通りに、いろいろな点に制肘を加えております。またそれが今日日本原子力がうまくいっておるゆえんだと思っております。
  59. 石野委員(石野久男)

    ○石野委員 関連して一つ。今、岡委員からお話がありました日本技術を効率的に高めるためのいろいろな機構の問題とか、政府の資金または民間の資金をどういうふうに効率的に使うかということは、今重大な問題だと思うのです。機構の問題と資金の問題とからんで、日本科学技術の各分野においてのセクショナリズムは、アメリカのそれよりももっとひどいものがある、こういう大臣の話がありました。私もその通りと思うのです。そこで、従来の官庁の間におけるあるいは民間におけるそういう問題について、これを急速に改めることは非常に至難なことだろう。しかし、それはやらなければいけない。そういう立場に立って、特に今日原子力関係の問題――今、大臣原子力の問題は非常によくいっておるとおっしゃいましたけれども、私は必ずしもそんなにうまくいっているとは思わない。特に私はここで、大臣科学技術庁の長官として、また原子力問題に非常に熱意を持っておられるだけに、原子力についての大臣の考え方を聞いておきたい。それは、たとえば炉を新しく入れるという問題についてもそうですし、あるいは原子力関係に対する産業会議というものが幾つかあります。非常におくれておる日本科学技術の段階において、一足飛びに、とにかく外国に追いつき追い越そうとする今日の段階で、今現に民間におけるところの原子力産業会議というものが幾つかあるわけです。あるいはまた炉を入れるについても、ずいぶんとせり合いがあるということについては、捨てておけないことじゃなかろうか。もしこれを放任しておいたならば、ただいま岡委員から問題にされておりましたように、ロイアルティの問題、ノー・ハウについてのむだ使いというものは、これはもっともっと激しい形で出てくるだろう、こういうふうに私は思うのです。そこで私は、科学技術の全般的な問題はすでに岡委員からの話もありましたけれども、今日私たちが一番大事な原子力関係する研究の統合化、統一化、これを政府はもとより民間も含めてやらなければならぬ段階じゃなかろうかと思う。特に昨年人工衛星が飛んだ。この人工衛星の問題について、われわれはアメリカとソ連の間のいろいろな問題を見、また聞いております。ただ私たちがしろうと考えで特に政治的な立場から考えた場合に、アメリカもソ連も技術的に個々の科学者の頭がそう違っているとは思わない。問題は、結局どういうふうにして研究を統合したかということにかかってきていると思う。アメリカにおけるところの三軍の競合というものが、ソ連の統一化した組織化された研究に負けたということは、私たちがしろうと考えしても間違いじゃなかろうと思います。私たちが今原子力問題で世界に追いつき追い越そうというときには、どうしてもこの問題を国家的にもまた民間も一切を含めて統一的に統合的にやらなければならぬと思うのだが、これについて大臣はどういう考えを持っておるか、またどういうふうにしようとしておるかということを、ここでは明確に聞いておきたいと思います。この問題は非常に大事なので、思いつきだけではなしに、大臣が積極的に考えていることをここではっきり委員会に明示してもらいたい。
  60. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 ただいまのことですが、何かいかにも放任でもしてあるかのようなお考えですが、決して放任はいたしておりません。それからまた民間の方でも産業会議が一つにまとまってやっております。それからなおまたわれわれ何もかにも外国依存ではありません。国産炉も今着々やっておりますので、再来年にはでき上るという考えでおります。ただここでアメリカに対して今度は動力炉を注文いたしましたのは、イギリスの発電会社は非常に発電技術が進んでおるから、コールダーホールから一つ買いたい。それからどうしても今度は実験の動力炉を一つ入れてみたいということでやりますが、それと同時に、国産炉についても非常に急いでおります。そういうわけで、決して放任しておるわけでもなし、何もかも外国依存ではありません。
  61. 岡委員(岡良一)

    岡委員 あと実は原子力平和利用に関する予算と正力さんの御所信について、かなりお尋ねをしたいことがありますが、時間もなんでありますから、今日はこれで質問を保留いたします。ただ、とにかく外国に立ちおくれておるからといって、日本産業資本家が盲目的外国技術に依存するという状態を政府が放任するということは、ほんとうに日本技術振興をはかるゆえんでないことは私が申し上げるまでもないと思う。ただ外資導入法等の法律に基いてロイアルティの支払い等についての許可という事務は、どちらかというと、為替関係の観点から取り扱われる傾向が強い。中には技術関係についても専門家が入っておるのでございますが、日本科学技術振興するという立場において、このような技術日本導入することがいいか悪いかという判断については、十分な判定が下されていないのが私は現在の姿であると思う。この点はぜひ科学技術庁としても十分御研究いただいて、科学技術振興のためになる効用のある技術については喜んで買い入れてもいいでしょうが、産業資本の利益追求のための技術提携というようなものは、十分にコントロールするという措置を御考慮願いたいということを私は強く要求いたしまして、質問は保留いたします。
  62. 石野委員(石野久男)

    ○石野委員 今、大臣からの答弁では、ほっておかないんだということを言われた。私も大臣がそういう点については非常に熱意を持っておるということはよくわかっておるわけです。ただ画一的にどうこうせいということじゃないけれども、ただいまも岡委員からの話があったように、産業資本その他いろいろな関係者がそれぞれ恣意に基いてわれ先にと競争し合っておるという実情があることは、これはいなめない実情なんです。そういう問題について、ただ産業会議が一つできておるからそれでいいというふうにわれわれは考えないわけです。実情はそれらのものを全部統御するだけの力があるわけじゃないのだから、ここで一番大事なことは、大臣が中心になって、今、岡委員も言ったように、産業界のそういうせり合いをどういうふうにして統御していくか、コントロールするかという問題が今非常に大事だろうと思う。これはもちろん今の日本の資本主義経済機構の中における問題とかち合ってきますから、非常にむずかしい問題ではありましょうが、しかしそれについて大臣の確固たる方針が聞かれないと、われわれがここで一生懸命話しても、ぬかにくぎをさしておるようなものであって、ちっともきき目が出てこない。そういう点についての大臣所信をはっきり聞かしてもらいたいということです。
  63. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 実は今まで何か放任しておるかのごときお話がありましたが、全然放任しておるわけじゃないのです。ただ私はこの民間の燃えてきた原子力に対する熱意を燃え立たせたいという考えがあったのでありまして、決して放任しておるわけではありません。いずれそれに対する統制方法については、なおよく研究いたします。要するにこういう機会に盛り上った機運をなるたけ盛り立てたいという考えでおったことは事実であります。
  64. 田中(武)委員(田中武夫)

    ○田中(武)委員 先ほどの岡委員の御質問に関連して、一言だけ希望を述べて、御意見を承わりたいと思うのです。今、外国との技術提携あるいは技術導入の問題が出ておりますが、今、岡委員が申されましたように、各会社が、いわゆるもうけんがための技術提携、技術導入をやっているということは明らかであります。正力大臣は、読売新聞がかって出された「日本の婿殿」という本をお読みになったかどうか。あれを読むと、技術提携ということによって、日本産業はまさにひさしを貸しておもやをとられるという状態である、将来は憂うべきものであるということに結論がきておるわけなんです。そういうような観点から見ましても、またあるいは電子工業関係を見ましても、アメリカのRCAというような一社に対して日本の数社が提携し、お互いに国内において競争しておる。そうすると、今、剛委員が言われたように、現在すでにロイアルティの支払いが大きな負担になってきておるという事実があるわけなんです。そういう点については、どういうふうに見ておられますか。またどういう考えを持っておられますか。
  65. 鈴江政府委員(鈴江康平)

    ○鈴江政府委員 外資導入の件に関しましては、科学技術庁もその審議に加わっておるわけでございます。御承知のように、外資審議会と申しますのは、大蔵省、通産省等産業官庁、並びに外務省も加わっておりますし、民間も入っておるわけでございますが、科学技術庁といたしましては、事務次官がその委員の一員に加わっておるわけでございます。
  66. 田中(武)委員(田中武夫)

    ○田中(武)委員 大臣に聞いておるんです。要らぬのことを言わないでもらいたい。そういう点、大臣技術庁長官としてどういうふうに考えておるか、それだけ伺いたい。
  67. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 とにかく今鈴江政府委員が言いましたように、どうしてもやはり外資導入の点で押えていった方がいいと思って、今やっております。
  68. 田中(武)委員(田中武夫)

    ○田中(武)委員 外資導入の点で押えるという、そこにコントロールの仕方もあると思うのです。しかし私の申し上げておるのは、あなたの関係しておる読売新聞社が出しておるところの「日本の婿殿」という本を一ぺんお読みになったら、日本産業全体の状況がよくわかると思うのです。将来、民族産業といいますか、日本産業は憂うべき状態を迎えるだろう、こういうことなんです。こういうことに対して、技術提携あるいは技術導入という問題を、あなたは技術庁長官としてどんなふうに考えておるかということなんです。
  69. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 この問題については、今のところはまず外資導入の点で押さえていくのが一番いいと私は思います。  それといま一つ、一面においては、幸いここに民意が非常にあふれてきたのだから、そのあふれているところでやらせたい。今読売新聞社の本の話が出ましたが、私はまだ読んでおりませんが、今はそれよりほかにないのじゃないでしょうか。しかし、その点についてはなお考究いたします。御趣意についてはよくわかりました。
  70. 田中(武)委員(田中武夫)

    ○田中(武)委員 外資の点でコントロールすることはわかるのです。私の申し上げているのは、日本技術はどう考えても外国のどこここに劣っている、これはある程度あるかもしれません。しかし今日では、先ほど岡委員が言われたように、そういう技術のおくれということよりも、もうけんがための提携が多いということなんです。岡委員がそれに対して、大臣、独善のお答えじゃないか、こういうことを言ったときに、大臣は、これは自分一人の意見ではない、技術者の意見もよく聞いて言っておるんだと言われたのです。私の言っておるのはそういう提携とか技術導入とかのけじめを――大局から見て、決して日本技術がおくれているのじゃない、あるいは若干おくれている点があるかもしれないが、日本の国内技術をもってそれに追いつけるならばその必要はないのじゃないか、こう思うわけです。ただ、日本技術では絶対に追いつけないというもののみを考えればいいんじゃないか。そういう点について基本的な考え方を聞かしてもらいたいということなんです。
  71. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 申すまでもなく、私の考えておるのは、日本技術では追いつけないものだけということであります。日本技術で追いつけるものに、何のために外資を導入するのか。外資を入れたってそんなに安くできはしません。事実また日本技術も買われつつあるのです。外国から来るものはだんだん減ってきておるのです。新しいものだけ入れておるのです。日本技術も、先ほど日立という話が出ましたが、日立もなかなか進んでおります。アメリカでできるものは、日本でもできます。だから、それはアメリカのものを買ってやる、そういうことをほっておいては大へんだと言いますが、外国から買っては、今のロイアルティがあるから、なかなか安くいきません。日本でできるものはやはり日本でやる。しかしこれは私どもの考えでは、なおよく研究します。いずれにしてもなるたけ外貨を使わぬようにしなければなりませんから、その点を十分考究いたします。
  72. 田中(武)委員(田中武夫)

    ○田中(武)委員 ただいま大臣がおっしゃたような方針技術庁長官としてはやられる、そういうことならけっこうです。間違えぬようにしてもらいたいと思います。
  73. 石野委員(石野久男)

    ○石野委員 ただいまの問題で大事なことは、やはり外貨を使う場合になるべくこれをどこかで監督し、むだな競争をさせないようにすることがどうしても必要だと思います。これは一つ大臣は、先ほども答弁がありましたので、私はそうやってくれると思いますが、もう一度確認しておきたいということが一つ。  それからもう一つ、今までロイアルティを払って、とにかく技術提携とかいろいろなことをやりました。もう長い間にわたってここ昭和二十四、五年ごろからやっておる。それに関連するいろいろな資料の中から、その技術提携によって、海外との貿易の量で実際に損得がどういうふうに出ておるかという資料計算がもうそろそろあるだろうと思いますが、そういうものがもしあればここで言ってもらいたいし。なければその資料を提示してもらいたい。われわれがロイアルティを払っておる部分と、それを基準にして海外へ輸出してどれだけもうけておるのであるか、今日ではむしろもうけどころではなく、損になってしまっておる、もう何の役にも立たなくなってしまった、そういうものもあるのじゃなかろうかと思います。そういう点が明確になっておれば、この機会に一つ発表してもらいたい。
  74. 正力国務大臣(正力松太郎)

    正力国務大臣 その点の調査もまだ十分ないから、なおよく調査いたします。いずれにしても、日本で大ていのものはできるようになってきましたから、御心配のようなことは割合に私はなくなったろう、こう思っておりますが、なおよく研究いたします。
  75. 石野委員(石野久男)

    ○石野委員 それではただいまのところまだ資料はないようですが、おそらく資料はまとめられてあるのだろうと思いますから、一つこの資料委員会へ出してもらいたい。資料要求をしておきます。
  76. 鈴江政府委員(鈴江康平)

    ○鈴江政府委員 ただいまの点でございますが、そういった集計はなかなか困難でございまして、大体日本銀行がやることになっております。しかし、技術導入によって果して外貨がどれだけかせげたかどうかということは、非常に判定が困難な問題であります。たとえば、ナイロンのごときは従来日本でなかったものでございますから、それによってどれだけの外貨をかせいだかということははっきりするのでございますが、他面エバグレーズというような生地がございますが、木綿の輸出は従来日本でやっております。その技術加工をしたためによく売れただろうということは推察されるのでありますが、それが従来木綿が売れた実績にプラスどれだけの効果を上げたかということは、数字の上では出てこないのでございます。そういう点で、こういう集計は通産省なりあるいは大蔵省で貿易統計はやっておりますが、技術導入に直接結びついたというものは、おそらく提出するのが困難ではないだろうかという見通しでございます。
  77. 石野委員(石野久男)

    ○石野委員 ただいまそういう資料の提出は非常に困難だろうというお話です。それは私も、ここまではこれで、これだけのものはこういうふうに出たというびしっとしたものは、もらわなくていいと思います。大体の傾向が出ればいいと思います。それからロイアルティの及ぼす範囲というものも、おそらく契約によってきまっておるのだろうと思います。だからそのロイアルティの中では、ここまではロイアルティの範疇に入っておるし、これ以上のものについてはもうそれとは関係なしにわれわれのものになるというものがあるはずです。だから、従来技術提携によってわれわれが全然着目していなかったもので、あらためて広げたものがあるとすれば、それでばっと入ってくるものもあるだろうということもわかっております。しかし現実にドルやボンドを相当多額に払っているものがあるわけです。そういうものが今後の日本産業界においてどういうような役割を果すかということは、われわれにとって重大な問題です。ですからこれをきめるときは、必要だからといってどんどん払っていって、あとはわかりませんとほうりっぱなしにされたのでは、これでは全然政治は出てこないと思います。ですから、そういう問題は、とにかくあなた方がいろいろ操作して、技術的には問題があるだろうけれども、それをわれわれにわかりやすいように資料にして出してもらいたい。
  78. 岡委員(岡良一)

    岡委員 一つ石野委員要求を敷衍して私も要求しておきたい。それは、現在ロイアルティあるいはノー・ハウの形で為替関係日本銀行に要求をしておる日本の商社、相手方の商社並びにその件名ですね、どういう内容のものであるか。これはわかるはずなんです。そうして、でき得べくんば、それらの内容についてあなた方が、――次官が審議会に入っておるというならば当然技術庁として対策があってしかるべきだ。このものは、日本科学技術振興上有効なものであるかどうかということについての技術庁としての御見解、またこれだけのものでもなかなか大へんな仕事ですから、きょうあすとは申しませんが、ぜひ資料として出していただきたい。
  79. 齋藤委員長(齋藤憲三)

    齋藤委員長 この際御了承を願っておきます。すなわち、前国会における本委員会におきまして、各地の科学技術の実情を調査するため派遣委員の報告は、これを参考のため日本会議録に掲載いたしたいと思います。右御了承を願います。  本日の議事はこの程度にとどめ、明七日午前十時より開会し、質疑を続行いたします。これにて散会をいたします。     午後零時五十二分散会      ――――◇―――――