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1958-03-19 第28回国会 衆議院 運輸委員会陸運に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十九日(水曜日)     午後一時二十八分開議  出席小委員    小委員長 有田 喜一君       濱野 清吾君    井岡 大治君       下平 正一君    中居英太郎君       松原喜之次君    眞鍋 儀十君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備部         長)      山口 喜雄君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君  小委員外出席者         議     員 永山 忠則君         議     員 山本 友一君         議     員 小山  亮君         警  視  長         (警察庁警備部         警ら交通課長) 内海  倫君         労働事務官         (労政局労政課         長)      坂本 一衛君         労働事務官         (労働基準局監         督課長)    鈴木 健二君         建 設 技 官         (計画局都市建         設課長)    奥田 教朝君         警  視  長         (警視庁交通部         長)      富永 誠美君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運交通行政特に神風タクシー問題)に関す  る件      ————◇—————
  2. 有田喜一

    有田小委員長 これより会議を開きます。  本日は陸運、特に神風タクシー問題について前回に引き続いて調査を、進めたいと存じますが、これより本会議が開かれますので、暫時休憩いたしたいと思います。本会議終了後直ちに再開いたしますからお含み願います。暫時休憩いたします。     午後一時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時五十二分開議
  3. 有田喜一

    有田小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  まず警察庁当局より説明を聴取いたします。内海警ら交通課長
  4. 内海倫

    内海説明員 一応全国的な観点から自動車事故状況を申し上げます。その中からさらに当面問題になっておりますタクシー事故状況を申し上げたいと思います。  昨年二十二年一年間を通じましての全国交通事故と称するものは十四万六千八百三十三件、死亡数におきまして七千五百七十五人、負傷者は十二万四千五百三十件というような数字を示しております。前年度と比較いたしましても相当量の増加を示しておるのであります。これらの事故原因と申しますか、主たる責任者を追及してみますと、やはりその七八%が自動車によって起された事故であります。そのほかは原動機つき自動車、あるいは自転車、荷車、軌動車、歩行者、こういうようなものが相次いでおりますが、八割近いものが自動車によって起されております。その原因にわたりましては、それぞれいろいろな原因があげられますが、大部分はやはり自動車運転者の所為に基くもの、こういうふうに見ることができます。こういうふうな自動車事故の中で全国タクシー事故がどういう状況であるかと申しますと、件数におきまして一万二千四百十件、死者におきまして二百五十九名、傷者におきまして九千百二十七人、こういうふうなものが全国タクシー事故発生状況になっております。  これらが他の車との関係においてどういうふうな状態になるか、これを調べてみますと、やはり小型乗用自動車営業用というものが最も事故率としては高くて、千台当りについて全国的に見ますと、タクシーと認められる小型乗用自動車事故が二百七十四件というふうな高率を示しております。その次が普通乗用自動車営業用、多分これは大部分がハイヤーになっておろうかと思いますが、これが百四十四件、それから次ぎまして普通貨物自動車営業用のものが百二十八、次いで自家用の貨物自動車が百二十というふうなもので、かなり高い率を示しております。とりわけ円タクと称せられる種類のものが各自動車事故の中におきましても一番高い率を示しておる、こういうことが言えるかと思うのであります。  タクシー事故が最も多く起きるのを時期的に見ますと、やはり新年である一月、それから春である三、四月であります。それから夏の最中、七、八月、次いで年末の十二月、こういうふうなときに大体事故が多くなっておりまして、これらの原因としましては、タクシー稼働率が非常に高くなることと、運転手の疲労が相当増加するために、こういうふうな事五故になって現われておったというふうに認められるのでありえます。  全国的な統計につきましてのタクシー概要並びに一般自動車事故概要は以上申し上げた通りでございます。
  5. 有田喜一

    有田小委員長 次に労働省鈴木監督課長説明を求めます。
  6. 鈴木健二

    鈴木説明員 労働省、特に基準局といたしまして、従来タクシー運転手労働条件に関しましてとって参りました処置につきまして御説明申し上げます。  タクシー運転手につきましては、その業務の特殊性から、これを一般労働時間にするということが非常に困難な点がございましたので、昭和三十一年七月までは一日十時間、一週六十時間、こういう制度でやってきたわけでございます。従いましてそういう制度を設けてきた場合には、一昼夜交代制をとる場合には一日二十時間、こういう勤務体制であったわけでございますが、これを昭和三十一年七月以降改めまして、この特例を撤廃いたしまして、タクシー運転手一般労働者と同じように、基準法原則に返しまして一日八時間、基準法三十六条の労使の協定がない場合には一日八時間、こういう、原則に返したわけでございます。従ってその原則に返した後におきましては、御存じと思いますが、一昼夜交代制の場合には一日稼働時間が十八時間、実労働時間が十六時間、こういうふうな形態が主として行われるようになった。こういうふうに特例を撤廃いたしますと同時に、われわれといたしましては、この労働時間を厳守すると同時に、時間外労働をやった場合の割増し賃金の支給、仮眠施設の設置、健康診断の実施、賃金台帳整備、こういう事柄をあわせて指導いたしたわけでございますが、その結果、一応実情に即した就業規則監督署に提出されるようになった、労働時間管理が従来非常にルーズであったものが非常に厳格になってきた、割増し賃金が支払われるようになった、仮眠施設が漸次整備されてきた、こういうふうな結果を見ているわけでございます。以上、基準局としてとりました労働時間からの規制について一応御説明申し上げました。
  7. 有田喜一

  8. 富永誠美

    奥田説明員 都市交通対策につきまして、簡単に御説明申し上げます。道路整備一般的に申しますと、五カ年間で九千億の資金計画をもちまして三十三年度から実施する予定で立てております。その中には、地方単独事業も含まれております。そのうち、一級国道に重点を置いておりますので、都市内における事業量は概略四〇%ぐらいのものと想定されます。その事業の重上は、前申し上げましたように一級国道整備にございますが、そのほか踏み切り除去、ことに都市内における鉄道との平画交差をなくするような事業を重点的に施行して、事故防止に努めておる次第でございます。なおこの道路整備計画と直接関連はございませんけれども、市街地における、ことに大都市における駐車が非常に交通阻害をしておりますので、この前の国会において御審議願いました駐車場法をこの二月から施行いたしまして、まず東京から駐車場整備にかかる段取りをしております。都市内の交通に関連いたしまして工事交通を非常に阻害いたしますのは、舗装工事などは主として臨時就労対策事業でもってやっておりますために、早急に事業効果を上げ得ないために、相当交通を阻害しておると思いますが、それはできるだけ時間外勤務などの方法を労働省にお願いいたしまして、短期間に仕上げるように努力いんしております。なお舗装の材料といたしましても、早強セメントを使うとか、あるいは真空養生工法とかいうものを採用いたしまして、工事期間の短縮をはかっております。それから舗装に関連いたしましてしばしば問題になりますのは、地下埋設物の掘さくの問題でございますけれども、これは年度の初めに地下埋設物占用者道路管理者との間でもって地区ごとに協議を持ちまして、一年間に掘さくする順序などを協定して、なるべく同時に施工するように努力いたしております。なお舗装をいたしました区間につきましては、五年以内は同一個所を掘さくしないように事前に十分協議するように通達をいたしております。そのほか、警察庁の方にも協力願いまして、道路標識整備とか、あるいは屋外広告物法取締りによりまして、道路交通の安全をはかるように努力しております。
  9. 有田喜一

    有田小委員長 以上で関係当局よりの説明は終りました。  質疑の通告がありますから、これを許します。眞鍋儀十君。
  10. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 神風タクシーの問題が取り上げられましてから、非常に世間の注目を引くようになりまして、私は、不幸にしてこの問題が起りましたけれども、結果的に申しますと、これを機縁として将来お互いが戒心するようなこととなりまして交通行政の将来にかえって貢献するところさえあるのではないかと、非常に喜んでおるわけでございますが、もう少しお伺いをいたしまして当局意見もただしてみたいと思います。それはこの問表をいただいたわけですけれども、どうも私にはこの表が信じられないほど件数が多いと思う。もう少しこの問題を掘り下げて参りませんと、世界一の事故件数を誇示しておるような統計は、私どもにはまだ納得がいかない。そのことをただすうちに今後この件数減少するという道が開かれていけば、なおさらけっこうだと思います。大体今もお話がございましたように、運転者事故というものをみずから起していくのですけれども、こういうことも一つ考えてみなければならぬのではないでしょうか。このことなかりせばこの事故は起らなかったかもしれない、こういうことを一つ考えてみる必要がある。たとえば今もお話しになりました道路の掘り返しのことで、現在までは自然填圧で掘り返したところはそのままにしておいて、それを車の通ることによって地ならしができるだろう、その地ならしができたころ今度は舗装にかかる、こういう填圧を持っておる間に、その上を通りかかった自動車がハンドルを切りそこなって問題の事故になる、こういうことも考えられますので、このことなかりせばこの事故が起らなかったというような問題について、お互いで考えておかなければならぬと私は思う。この面からこの間ちょっと触れたのですけれども、満足な御答弁を得られておりませんが、軌道内を自動車が通るということはいけないことになっておるわけですが、この事故件数の中には、自動車軌道内を走っておったことによって取り上げられた問題が入ってきておるかどうか。たとえば警視庁でお出しになったものでもよろしい、あるいは警察庁でお出しになったものでもよろしいが、軌道内を走っておったために規則違反でこの事故件数の中に入れられておるというようなものもありますかどうか、それを一つ伺ってみます。
  11. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 お手元に差し上げました資料は、起りまた交通事故につきまして調査をいたしましたもので、従いまして軌道内を走っておりまして起りました交通事故につきましてもこれを含んでおるのであります。警察庁から差し上げました……
  12. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 ちょっと待って下さい、私の質問を誤解していらっしゃる。軌道内を走っておったそのこと自体違反という、その違反件数がこの中に人っておるかと申し上げておるです。
  13. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 今申し上げましたように交通事故は全部入っております。従って軌道の中を走っておったことが主たる原因で、交通事故が起っておったと思われるものは、通行区分違反という中に入っておるのであります。
  14. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 私の申し上げることと少し違うのです。軌道内を自動車が走っておったこと、そのこと自体違反として事故件数の中に入れていらっしゃるかどうかということをお尋ねしておるのです。軌道内で走っておったときに起した事故というのじゃないのです。
  15. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 交通事故と申しますのは、要するに何か衝突その他が起りまして、物的の損害が起った、あるいは人に死傷を与えたという場合をいうのであります。交通違反交通事故とは一応区別して統計をとっております。交通事故統計の中には、事故の起ったものだけを入れる、こういう建前であります。
  16. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 それでわかりました。事故というものと違反というものとを区別していらっしゃるならそれでよろしいのです。道路取締法の中には規則がございますが、これは交通取締り巡査の虫の居どころで左右される。気に入らなければ、この軌道内を走っておったものは一応取調べを受けておるのです。ところが取締法施行令の第十四条には、軌道内の通行に対しては「車馬用は、やむを得ない場合の外、軌道敷内を通行してはならない。」となっておるので、虫の居どころが悪ければ、軌道内をやむを得ない場合でなしにお前は通っておるということで、呼ひ出しをかけられてしぼり上げられるのですが、こういう問題については規則とかなんとかということよりも、取締り手かげんで、そこまで厳重におやりになるといったことは、少し私は行き過ぎじゃないかと思ったのです。けれども事故件数の中にはそれが入っておらぬとおっしゃるなら、それでよろしゅうございます。  それからスピード違反のことですが、これはこの事故の中に件数としておそらく入っておるでしょう。おるでしょうが、スピード違反の中で、ここの場所でいつでもストップウオッチで検査をされるという、そこでひっかかった分もこの件数の中に入っておりますかどうですか。
  17. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 これは違反件数の中にはそういうものは入っておると思いますが、これは交通事故で人にけがをさしたり何かしたような場合に、具体的にその原因を調べてみますと、スピードが出過ぎておったというようなものがスピード反ということで出て参るので、おそらくその場合には、その現場でストップウオッチではかっておったということはあるまいと思います。これは運転手の供述わるいはメーター等を調べまして、そういう結果が出ておるもの、かように考えております。
  18. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 私どもが見ておりますと、陰に隠れておって、それにひっかかって相当運転手が油をしぼられておるようであります。それはむろんオーバーしているのですから、免許状を幾日問か取り上げられるということとは仕方がないと思いますけれども、少し意地が悪過ぎるという印象を与えられますし、そこはオーバーしても事故を起さないような場所で、いつも試験をされてひっかかるようでありますので、なるべくお役所もその意地の悪そうな取締りよりも、もう少し教導していくような形でやっていただきたい。これは私の感情を申し上げたわけであります。  そこで今度は信号のことですが、上野から芝日に参ります昭和通り信号があるわけですが、その上野から芝口の方に出て参ります方向には、ノン・ストップで非常に調子よくいくが、今度は逆に芝口から上野に参りますと、それがみなひっかかっていくというふうにできていないか、そんな感じがいたしますが、あの信号はどういうふうになっているでしょうか。
  19. 富永誠美

    富永説明員 御質問上野から芝日への昭和通り信号は、多く系統式信号になっておるわけであります。系統式信号とは、ある速度——多分あすこは四十キロだと思いますが、その速度で行けば大体ひっかからない。途中で赤信号にならないというふうな仕組み系統式信号と申しております。従って大体その速度に乗っていくときはうまくいきますが、場合によりまして事が非常に渋滞しまして、その結果その速度が由ない場合には、系統式と申しましてもそれだけの速度の波に乗らないわけでありますから、たまたま赤信号でとまってしまうということがあるわけあります。結局はこちらの予定しております速度に、現実には乗らない場合に、そういうことになる場合が間々あるのではないか、こういうふうに考えます。
  20. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 これは機械のために交通がじゃまされるようなことがあってはいかぬと思う。どうもきちんとます目のように同じ距離でできておれば、右からいっても左からいっても、行きも帰りも同じ信号で間に合うが、ます目距離が一定していない、そこへ持ってきて機械のためにきちんと何分ごとに赤が出る、青が出る、そういうふうに仕組んであれば、順調にいくときだけはいいが、総合して考えるとあの仕組みのために、あのコースはあるよりはない方がむしろスムーズにいくのではないかという感情をみな持っているのです。これは昭和通りを私は例に引きましたが、建設省からもおいでになっておるが、どうでしょう。信号というものに対しては、もう少し新しいアイデアというものが出てこないものでしょうか。たとえばどこか指令塔なら指令塔というものがあって、その指令塔電動設備を持って、たとえばラッシュ・アワーのときにはこういう時間で、こういう仕組みで、こういうスピードで流させてやるとか、あるいはこちらの必要のないときには休んでおってもよいが、そのつどその調子に合わせてこの信が動いていく、こういうように指令塔か何かの上で電動設備をもって、スムーズにコースを流していくという、新しい考え方のもとに、会度のたとえば一級国量なり、国でおやりになるものについてのアイデアはありませんか。
  21. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 ごもっともな御意見であります。昭和通りの問題につきましては、一応四十キロならば四十キロで走れば係統式信号になるようにいたしておりますが、これはもちろん交通の実際の状況に応じまして、三十五キロで走れば系統式になる、あるいは三十七キロで走れば系統式になるというように、機械の装置に操縦をすればよろしいのであります。従ってそういうような事例もあることと存じますので、交通の実際の状況に応じて系統式に流れるように、元来系統式信号機を設けましたのはそういう趣旨でございますから、そういうふうにいたして参りたい。なお大きな国道等における交通の流れをスムーズにいたしますために、ただいまお述べになりましたような事柄は、私どもとしても十分に研究いたしまして、実施できるものをできるだけ早く実施して参りたいと考えております。
  22. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 何か新機軸を出していただかないと、進駐軍がこちらに参りましたときに、日比谷の交差点で機械交通をやらせましたところが、進駐軍の方でそれはいけないと言われた。機械にまかせておけばスムーズな交通ができないというので、さすがの機械文明の発達しておるメリケンですら、機械にたよらなかったという話があります。どうも私が見ておりますと、伝号のために交通があるような感じを持っておりますので、もう少し御研究を願う必要があろうと思います。この前中しましたまん中のところを花壇に使ったり、自動車置場にしたりしてありますものを一本の車線にして、それを流れる方向が時間によって西向きなり東向きなりする。そうすれば一本道路がふえたことになるというお話を申し上げたのですが、これなどもそのまん中の線が今の時間はどっちに向いて流れていいか、こういうことがまず問題になってきます。今はラッシュだから西から東に向く。けれども夕方は東から西がラッシュだから東から西に行くのだ。一本の道路の上を右に行く時間と左に行く時間とありますので、混乱するのではないかという問題が起ってくるわけです。ところがそういう場合には地下あかりを埋めて、その地下に埋めたあかりが青をさしておる方向はどっち向きだ、赤をさしておる方向はどっち向きだ、地下に埋め込んだあかり方向によってその道路方向がきまるというように、信号合理化といいますか、こういう問題については大いに今後御研究になって、少しでも、交通事故を減らすというお考え方があれば、私は非常に事故の面において助かってくるのではないかと思っております。  もう一つ照明の問題ですが、国道においては国自身がその国道を建設する際、適当な照明をその道路に付属して初めから設計しておくことが必要だと思いますが、今度の間道にはその照明の点はどういうふうになっておりますでしょうか。
  23. 富永誠美

    奥田説明員 現在道路照明義務制になっておりませんので、全般的には考えておりませんが、橋梁であるとか、隧道であるとか、特殊な構造物につきましては施設いたしております。
  24. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 近代国家高速道路として建設いたしておりますところは、大体橋梁その他今あなたのおっしゃったもの以外に、私どもから見れば必要以上な光度をもって照明されておるように思います。この照明が完全に設計されるということも、事故減少を来たす一つの私は理由になることと思いますので、その照明のどういう形でいくかというようなことは別問題ですが、たとえば道路の方だけが照明されればいいのですから、それに従ってその照明器具つけ方ども、それは専門家がおのおの研究をすることだろうと思いますが、私はどうしても橋葉その他以外にも、一般道路に対しても照明は欠かしてはならない。今後の道路の設計のときには必ず照明の点も入れておいていただきたい、こう要望いたすものでございます。むろん運転手素質の問題とか、あるいはその人たちがみずから招いた事故が大部分であるに相違ございませんので、運転手の教養あるいは向上といいますか、そういう画にもむろん事故減少させるためには手を尽させなければならぬことはもとよりでありますが、やはりお役所自体逆転手に対しましてただパト・カーをふやしたとか、白バイをふやしたとかいうことだけでなしに、平素からこの人たちをはぐくみ育てて事故を少くするというような親心というが、あたたかい気持がなければならぬと思うので、徳育の問題と申しますか、この面にもやはり今後は相当力を尽していかなければなるまいと存じます。たとえば日本がどうしてこんなに事故が多いか、この事故を減らす一つの道徳上の考え方は浮んでこないか。外国で事故が少いというのは、運転手自分が先に通ろうと考えるか、相手方を先に通そうと考えるか、問題はたったこれだけの差です。それでこれだけをのみ込ませれば、この事故原因というものは相当減っていくに相違ない。わすかに相手方を先に通すか、自分が先に抜けようか、問題としてはこういうようにきわめて簡単なもののようですけれども、それが事故減少の上に数字となってどれくらいの効果を上げるかということを考えていただきますれば、やはりこれは運転手教育と申しますか、徳育の問題などにも一つ力を入れて、それで事故減少をはかっていかなければならない問題だと思います。これは国柄は違いますけれども。たとえばオランダにおいて交通巡査がおらぬ。交通巡査がおらぬので、事故起りはしないかというと、私の国は赤と青との信号機があると、こういう赤と青の信号は世界中どこでもあるじゃないかといえば、赤というものはとまるのだ、青というものは進むのだ。そんなことは子供に聞いてもわかるじゃないかといえば、赤と青の信号があって、青は進め、赤はとまれというふうにわかっていれば交通巡査は要らぬじゃないか、赤の信号はとまりだよ、青の進号は進むのだよ、そういうことが信号そのものでおわかりになれば、その上にまた交通巡査がおってあれは青だから進めとか、赤だからとまれとか、そういうことを言う必要はないのじゃないか、従って交通巡査は不必要だ、こういうことをいうわけであります。そういうことを考えると、やはり運転手に対する教育と申しますか、あるいは徳育というか、運転手素質を向上させる面でも、役所は相当あたたいか気持をもってこれを導いていくと、いうことが大事でないかと思いますが、こういう事故を起さないために、運転手に対して、その人格の向上とか、陶冶とか、こういう面に対しては、平素どういうことを役所としては指導しておられるわけでしょうか。何か具体的なことがありましたら、一つお教えを願いたいと思います。
  25. 内海倫

    内海説明員 私の方の立場からは、今先生のおっしゃったような点は、きわめて大事な問題であると考えておりまするし、またそういう道徳教育といいますか、あるいは交通道徳の十分な認識ということによって、事故の上に相当いい結果をもたらすことも予想できるわけであります。現在各警察本部におきましては、それぞれの県の状況によりまして、いろいろな方策は講じております。たとえば、警視庁の例で申し上げまするならば、警視庁の警察官が各事業場に参りまして、運転手諸君と懇談の形でいろいろ問題を話す。あるいは事故状況説明して、こういう事故はこういうことで起ったのだから、こういうふうにしようじゃないかというふうな話し合いも、しばしば繰り返しております。また各署単位に運転手に一定期日ごとに集まってもらって、参加する人の都合の悪いときは困難でありますが、集まれる人にできるだけ集まってもらって、この席上でいろいろ話をする。あるいは交通違反を犯しましたような人に対して、役所式に申しますとと受講命令と申しておりますが、その内容は、やはり事故を起さないように、あるいは交通法令を守れば事故は起きずに済むじゃないかというふうなことで、繰り返しそういうような処置もとっておるような次第であります。また交通安全協会というもの、これは各都道府県みな持っておりますが、いずれも民間組織として民間人によって結成されておるものでありますが、こういう機関を通じて、あるいは会合で、あるいはいろいろな運動を通じて、運転手諸君に対してそういう意味の、大げさにいえば宣伝、さらにそういう交通道徳を意識してもらうという努力はいたしておる次第であります。ただ遺憾なことは、何と申しましても多数の運転手諸君であり、しかもそれぞれ職場で働いておる人でありますから、警察側でこれをとらえて十分に話をしていくということは、事実上非常に困難な問題があるわけであります。従って私どもが期待しておるところは、各事業場単位に、事業主によってそういう意味の、いわゆる交通道徳を守るということに関する指導あるいは教育というものが、大いに期待されておるわけでありますし、また私どもが少くとも諸般の事故を通じて見ておる点からみますと、運転手諸君がそういうふうな無謀な操縦、あるいは先ほど先生の言われたように、自分が人を押しのけても一歩先に出るということの裏には、もちろん運転手諸君の個人的な問題もあろうと思いますけれども、やはり生活が安定しない。あるいは少しでも水揚げを多くいたしたいというふうなことの精神的影響といいますか、あるいは心理的な影響、こういうものによって、そういうふうなことが相当行われておると考えられますので、そういう点につきましては、さらに各面から事業主体の方で十分に教育をされ、また訓育されることが望ましい、そういうことを私どもは大いに期待しておる次第であります。
  26. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 けっこうなことです。やはりそういうふうにして教育をしていただきたいと思います。  この神風タクシーの問題が起りまして以来、運転手に対する非難攻撃の声は、ごうごうたるものがあります。ありますけれども、また一方考えてみますと、よそではベース・アップに三千三百円ほしいと要求しているところもありますのに、固定給が三千円しかもらえないでおるような運転手を、どうこれから導いていって事故を少くするかということは、これはお互い一つ研究課題でなければならないと思う。ことに大衆道徳と、申しますか、一般国民もまたこれに大いに協調しなければなりますまい。そういう意味でこの交通規則ども運転手を取り締るといったようなことだけでなしに、一般大衆にも、守らなければならぬ一つの道徳の標準と申しますか、そういうものもやはり並行していくのでなければ、運転手だけ責めるのは私は酷だと思う。ことに規則などはあまりむずかしいことを言わないで、民主時代になりますと、もっとくだけた表現の方がいいのではないかと私は思う。イギリスの交通規則の中に、歩行者横断の場合に関する規則がこう書いてある。路面の、白線上では、警察官による交通整理が行われていない限り、君に交通優先権があります。しかし慎重であってほしい。こういう言い方は、陰に隠れておってオーバーだと言って罰金を取ったり、あるいは軌道の中を走っておったからといって、虫の居どころでつかまえて油をしぼる、こういったような行き方から比べてみますと、どうも役所の方に、少しあたたか味が足りないのではないかという感じが起きる。こういうことをされると反抗心が起ってくる。私は社会の一般大衆も、交通問題について道徳心を向上させていかなければならぬことはもちろんでありますが、お役所の方も、もう少しあたたかい気持で、これらの人を教導していただきたいと思うのです。あの人たち事故を起して、事故にもよりますけれども、免許証を取り上げられて、一週間なり十日なり預かられる。それから幾日間か営業停止がくる。行政罰のほかに刑事罰が折り重なってくるようですが、この行政罰と刑事罰とを、二つ重ねて運転手を処分しなければならぬのでしょうか。何かそこを一つにして、効果のあるものはありませんでしょうか。
  27. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 交通事故等を起しました場合に、一方において刑事上の処分を受け一方において運転免許の停止というような行政処分を受ける、二重処分であるので、この点を何とか考える方法はないかという御質問でございました。御承知のように刑事上の処分といいますものは、要するに自分の責めに帰すべき行為によって他人に負傷を与え、あるいはその他死亡せたというようなことは、これはやはり建前として刑事上のそれぞれ責任を持つ、この行き方は、これは一方においてあるわけであります。行政上の処分の方は、そういう事故を起した運転手が、依然として継続して運転をしておれば、交通事故という面から見まして将来に危険がある、運転をすることが適当でないと思われるような場合に探せられるもので、それぞれその目的とするところは、おのずから異なっているものがあると存ずるのであります。ただ私どももいたずらにこの運転免許証の停止をするという、それだけをもって足りるとは考えておりません。そこで私どもとしましては、運転免許の停止処分をするかわりに、たとえば講習を受けさせる、そして交通法規の足りない点を十分に再教育する、あるいは技術の未熟な者には技術の面で講習を受けさせるというように、受講命令といっておりますが、できるならばそういう方法によってこの事柄の改善をはかって参りたい。現在この受講命令と申しますのは、免許停止三十日未満の事案にかかるものについて適用をいたしておるのであります。これは免許の停止処分にかえて講習を受けさせる、こういうやり方をとっております。今後もこういう行き方をさらにでき得る限り広げて参りたい、かように考えております。
  28. 眞鍋儀十

    眞鍋小委員 大へん長い時間をとりまして済みませんが、この事故のデータが発表されまして以来、世界的に日本の交通状態が非常に劣悪だということが暴露されて参りましたので、これはひとりタクシー運転手だけで事済む問題とは考えられませんので、むろん事故を起しました運転手に対する再教育なりその他の問題については必要でありますが、政府としても一つ交通行政の建前から、今後どういうふうにしたら事故を起さないで、正常運転で汚名を取り返せるかという点について御研究を願い、また御実行に移していただきたい。これで私の質疑を終ります。
  29. 濱野清吾

    ○濱野小委員 議事進行。私どもいただいた資料の中に、ハイヤー、タクシー交通違反検挙数、昭和三十二年というのがございますが、これは警察庁の三十二年一カ年のお調べでございますか。書いてないからわからないのですが、警視庁管内だけですか。それでは、いただいた資料の第三表は警視庁管内の三十二年度ですね。  そこでお伺いしますけれども、今神風タクシーの問題について原因の追及と申しますか、そのためにこうした小委員会の議事が進んでいるのでありますが、この問題については原因は錯雑としていろいろあろうかと思います。しかし私どもが都内の交通を客観的に見てみる場合は、まず交通規則違反と、そこの統計にあります事故件数とがどういうふうにからみ合っているか、これが警視庁ならばすぐに出てくるはずであります。ただ事故車両の種類とか事故件数とかいうものを簡単に記録しただけではなしに、この事故件数がどういう原因によって生まれているかということを広く統計の上に出していただくと、神風タクシー原因の追及については明確なる資料が得られるのではないか。件数で申し上げますと、これは警視庁管内だそうでありますが、三十二年中に検挙件数総計が大体十万件ある。その区別は、速度違反がその半分に近い四万一千三百六十四、道路標識違反が一万一千七百余ある。その他駐車違反が八千余ある。それから併進、後退、転回違反等が、五千幾らある。こういうふうに違反をして検挙された件数のうちで、事故としてここに表が出ておりますが、事故としてからみ合った因果関係件数はどの数字を表示するか、こういうことをつかんでいきませんと、その分析検討というものは非常に不十分だと思います。これは課長さんはおわかりだろうと思いますが、交通違反件数のうちで事故としてここへ出てきたものは何件か、こういうふうに出てきますので、これは非常に明瞭になってくる。元来神風タクシーはだれでもやろうと思ってやっている者はないので、この神風タクシーが出てきたのは、第一にこれは道路問題から出てきておりますよ。大体日本の今の膨大な自動車数が限られたる小さい路線容量の中にひしめき合っているのですから、もう少し建設省が文化国家だとかなんとか言っていずに、産業の成長とともに次代をになっていくような道路計画を、たとえば首都圏建設でもいいですから、とうに打ち出してまじめに路線容量というものを大きくしていく、こういう考えがなければ、だんだん経済の成長とともに自動車が多くなってくることは必須なんです。自動車はどんどん多くなっていくのに、道路の上を走るところの路線容量が非常に小さいのであります。総括的に言ってこれが第一の原因で、こうした原因はやはり路線容量が小さ過ぎるということなのです。それ以外に大きな原因はない。これができさえすれば何でもないのでありますが、しかしこの場合、そういう議論をしたって仕方がありませんので、せめて規則違反とここに記録されました事故件数とはどういうふうにからみ合っているかということを警視庁出してもらうと、これは逆転手の疲労の結果とか、あるいはオーバー労働の結果とか、あるいは賃金が安いとか、いろいろな原因はありましょうけれども、大体責任の帰着がここに来ている。そしてかりに違反件数事故件数とがマッチしているのだということになってくると、ほとんど運転手の責任において事故を起したようになります。しからば何のために運転手がこうした事故を起すか、こういうふうに追及していきませんと、この委員会の使命はなかなか達せられない。ですから警視庁関係でお出しになったこの統計を、違反検挙数というばかりではなしに、違反の事実が事故件数に何%だけからんでいるかということを速度違反道路標識違反駐車違反というように区別して統計をとってくると、この審議も比較的科学的に進んでいくであろうと思います。ですから委員長役所の方から資料を至急にとってもらいたい。そうでないと、ここで抽象的な議論をしたって、われわれは追及に非常に手間取って、しかも正確なものをつかめませんから、お願いいたします。
  30. 有田喜一

    有田小委員長 濱野君の御意見、もっともと思います。関係開庁といいますか、警視庁でやってくれますか。——それでは警視庁ですみやかに今の分析の表を出していただきたいと思います。委員長として要求いたしておきます。
  31. 松原喜之次

    ○松原小委員 眞鍋君の質疑に関連いたしまして、簡単に二、三聞いておきたいと思います。これもやはり濱野委員のおっしゃったように真実をはっきり把握しないと、ほんとうの適当な結論が出ないという趣旨でお尋ねするのです。と申しますのは、第一番に先ほど小型乗用車と普通の乗用車と営業車に分けて、一千台当り去年は二百七十四、二百四十四、これに対して普通の営業用のトラックが百十二、自家用トラックが百二十、こういう件数をあげられておるのですが、これは走行キロとの関連においてどういうふうになりますか。
  32. 内海倫

    内海説明員 走行キロについてはとっておりません。従って登録台数について調べたわけであります。
  33. 松原喜之次

    ○松原小委員 そうするとこういうことになるのですね。登録されておってもたまにしか働かないような自動車事故件数が少ないからといって、ちっともいばることはできない。従ってこれはやはり稼動キロ数と事故との関連を把握することが事故の多少をほんとうに知る尺度になる。従って今後それを出されるときにはそういう観点で出してもらいたい、こういうふうに思うのです。これはしっかりとしたデータによるそういう数字は出ないと思いまするけれども、これは推定数でほぼわかると思うのです。ですからできるだけ詳細にそういうものもほしいと思います。  もう一つ事故中には、たとえば軌道交通機関のごときは、そこで事故を起してもそれは大体被害者の方に責任があるので、その軌道営業車の方にはあまり責任がないのだという態度で終始しておるように私ども考えております。ところが自動車の場合にはたとい被害者の方に責任がある場合でも、自動車事故のうちに入っている、区別がついていないと思う。そうであるかどうか第一に聞かしてほしいし、もしそうであるならば少くともその区別はつけけないと、ほんとうの事故の的確な把握ができないと思います。  それからもう一つ運転者の中にたととえば色盲の方は交通信号関係上、免許を下付するに当って検査しておられるようでありまするけれども、この色盲とあまり隔たないほどのその他の欠陥のある人間が一つも検査されないで、そうして免許状を付与されておる。こういう点について今後一つ何とかやる方法がないものかどうか。これは結果においてもわかります。つまり事故を起す運転手は非常に慎重に、自分でも事故を起すということをおそれて自覚しておるのだけれども、身体あるいは神経系統のどこかに欠陥があるために、起す運転手は非常に起すという傾向があるのです。これらに対して行政上、取締り上相当の工夫を要する。だからこういう点で何とか考えられないものかどうか。  それからもう一つ、たとえば警視庁管下でスピード制限が一番問題になっておる神風タクシーについて、よく走る場所で一体四十キロ・スピード期間限が多いのか、あるいは三十五キロ制限が多いのか、一番多いところで、たとえばそれをこせば車外に何か赤い電燈でもつく。ところによって制限速度が違いますから、一番多いところでそれをやるというような工夫もできないものかどうか。私はできると思うのですが、それが不適当かどうかというようなことも一つ考えてみられたらどうか。これは非常に早まったようなことを申し上げるようでありますけれども、いろいろの結論を出すについて、そういうことも一つの考えられる点でありまするから、きょうは専門家がいらっしゃるところで、そのことをお聞きしておけばけっこうだと思うのです。
  34. 内海倫

    内海説明員 最初の御質問の走行キロと、それから事故との関係でありますが、確かに御説のように走行キロが非常に多ければ、また事故の起る可能性も多いわけであります。そういう意味では自家用自動車タクシーとの比較をいたしますれば、確かにタクシーの方か走行キロは多い、こういうふうに私どもも想像いたし得るのであります。しかしながらその走行キロを単位として、これを調べてみるということはすでに御了承になっておりますように、なかなか容易にはできない問題だと考えます。従って結局はその趨勢をある程度見る以外になかろうかと考えております。ただ私どもタクシーの問題について、持に問題として見ておりますることは、やはりタクシー事故というものが非常にきびしい稼働率のもとに起っておる。いわば自動車の動き方ということにおいて、きわめて特色を持った動き方をしておるものである。しかもそれが、たとえばほかの問題で、比率の問題であるとか、あるいは。パーセンテージの問題であるというのであれば、そういう点で論議され得るわけでありますが、たといそれが走行キロの多いものではありましても、現実に事故の形になって現われておるその事故、ことに死者を出し負傷者出しておるその事実については、どうしてもこれは問題を見ていかなければならぬ。しかもそれが走行キロの問題とは別に、そういう性格を持った車が特に比較的高い率の事故を起しておるという点から問題を取り上げて、これに対する対策をやはりいたしておくということが必要ではないか、こういう意味で比率の問題とは別個に、やはり現実に起っておる事故を見つめて、その事故率の非常に高いタクシーに対する対策が必要でまあろう、こういうふうに考えております。なお、先生の言われますような観点で、できるだけの努力をしてみまして、なおそういう傾向も知るように努力はいたしたい、かように考えます。  次に第二番目に御質問になりました自動車運転者事故は、たとえばこれを歩行者との関係でいえば、歩行者に相当責任があって、なお事故が起きた場合にも運転者の責任になるのではないか。これも事実そういう場合もないではない。またところによっては、相当歩行者あるいはその他の車の責任に帰すべきものがありますが、全部そうした事故につきましては、たとえば自動車自動車との関係におきましては、これはわれわれで言いまする第一原因車になるものを事故の方に掲げておりますので、自動車自動車関係あるいは自動車とその他の車両の関係におきましては、全部原則として第一原因車を事故の力にとっております。  なお人との関係につきまして言いますと、これも原則的にそういう措置をとっておりますが、ただ人との関係におきましては、一般的な注意義務ということにおいて、歩行者よりかなり大幅に運転者の責任を加重しておることは事実であります。従ってたとえば法定速度で走っておりましても、わき見運転をするとか、あるいは前に人がいるのを発見したにかかわらず徐行しなかったとか、あるいはたとい子供が飛び出たような場合でありましても、運転手に同情すべき余地は大いにあろうと思いますけれども、かなり運転手の責任を加重した形において追及することは、現状においてはやむを得ないと考えております。次に身体適性の問題でありますが、私も御意見に全く同感でございます。現在私どもの方でやっておりますのはいずれも医師の診断書を一緒に添付させまして、それによって一応の身体適性を見ますほか、各試験場におきまして、あるいは色盲、あるいは遠視、近視その他手足等の動く状態を見ておりますが、率直に申し上げましてアメリカなり先進諸外国の適性試験の設備と比較いたしますと、日本の場合は劣っておると考えます。ただ私も命を受けましてアメリカの実情を調べて参ったのでありますが、アメリカにおいて行なっております実際の運転試験というものは、また逆に日本よりもかなりルーズであり、簡単な格好である。私その点を詳しく追及してみましたところ、これは高等学校の時代においてすでに相当きびしい訓練を受け、そういう面の適性についても調べておる。そういうものの一つの証明書というふうな形のものを提示することによって、試験がかなり簡単になるわけであります。高等学校ではそういうものが義務教育のようになっておるようでありますが、それ以外の者についてどういう措置をとっておるか、その点についてはなお私十分調べておりません。設備などの状態におきましては、日本にはまだまだ今後研究する余地がある。そういう面につきましては私どもも真剣に今対策を考えております。今年度の予算が通りますれば、ごくわずかでありますがそういう面の研究設備も設けたいと思っております。そういう意味でいささかでも身体障害がある者については発見をしていきたいと考えております。
  35. 富永誠美

    富永説明員 東京でスピードの多いところは四十キロというキロ数が多いようであります。それから市内に入りますと三十二キロ、またほんとうの都心あたりは二十五キロ、やや閑散な郊外になりますと五十キロ、それから今度近く府中の一部には道路交通取締法最高の六十キロも認めていきたいという状況になっております。  それから前の委員さんにお答えしたいと思います。詳しくは資料でお送りしますが、大体わかっておりますので、事故原因と法令違反関係を申し上げたいと思います。ハイヤー、タクシー自動車事故の二一%を占めておる、東京では最高でありますが、そのうち最も多いのは速度違反であります。そしてこの事故原因と申しますのは、われわれの言葉でいえば第一当事者、自動車側に責任があるもののみでありますから、この事故に上っておるものは全部法令に違反して事故になった数字であります。そのうち最も多いのが速度違反で二九・七%、それから、ほとんどがスピード違反を伴いますが、優先交通の無視とか徐行不履行とか、結局先を急ぐということの事故が非常に多いわけであります。これは他の自動車と比較しまして非常に高い数字を示しておるという状況になっております。それから交通取締り状況ですが、ハイヤー、タクシーは昨年一カ年で十万三千七百四十四件、これは法令違反であります。これも種別で申しますとやはり速度違反が非常に大きくて、四万一千三百六十四件、大体四割になっております。詳しい資料はまたあとで差し上げたいと思います。
  36. 松原喜之次

    ○松原小委員 事故を何とかして最小限度まで減さなければならないという希望をわれわれ初めから持ち、そのためにこの小委員会が主としてこの問題に携わっておるのですから、その問題は初めからわかっておるのです。従ってハイヤー、タクシー事故が少くない、絶対数が多いから、それでハイヤー、タクシーに向ってその事故防止に中心を置いていかなければならないという点も、ちっとも反対ではないのです。けれども物事は真実を残るくまなく把握した上で対策を立てなければならないという意味で、対策は必要ないからそういう数字を引っぱり出すのだという意味ではないのですよ。しかしたとえば一日五、六十キロ走る車が百台あったところで、五、六千キロです。けれども一日四百キロ走るタクシーでは十五台で同じキロ数になるわけです。だからほんとうにその走行キロと比べてみて、どれほどハイヤー、タクシー事故が自家用よりも多いのか、あるいはトラックより多いのか、私は交通量から三輪自動車が一番問題だと思っているのですが、三輪自動車より多いのか、そういう点をはっきり把握しておくことは、やはり事故防止の上に非常に必要なことではないか、     〔小委員長退席、濱野小委員長代理着席〕 こういう意味で、そういう必要はないので、悪いことがあるのだからその方を直していくので、問題点はそうないのだという考え方でなしに、ハイヤー、タクシー運転手といえども、キロ数からいえばそうめちゃくちゃに事故が多いということはないけれども、全体として多いからもっと気をつけねばいかぬ、もっと防止法をよく考えねばいかぬ、こういうふうに持っていく方が私は正しい行き方ではないかという意味から、この数字を問題にしておるのですから、そのつもりで、事故を観察するに当ってそういう点も組み入れて、観察を今も将来もすべきではないかということを申し上げておるのです。ぜひその点は一つ取り入れてもらいたいと思うのです。
  37. 濱野清吾

    ○濱野小委員長代理 小山君。
  38. 小山亮

    ○小山亮君 二点だけお伺いしたいと思います。警視庁の方に御答弁を願いたいのですが、大資本で経営されております自動車関係の会社は、運転手を採用するような場合には厳重な適性検査をやるわけなのです。血液の検査をやるとか、頭脳検査をやるとか、あるいは目とか耳とか非常に厳重な検査をやるのです。でありますから相当速力をもって走る車を使う者は、免状を受けるときに相当な適性検査がなければならぬと私は思いますが、たとえば軽自動車、三輪車のようなああいうようなものを使う場合、あるいはオートバイなんというものに乗ります場合にも  これを込めまして、もっと十分な適性検査をおやりになる方がいいのではないかと私は思うのです。設備がないとおっしゃるが、これはもうこれだけの多くの被害があるのですから、国からの予算を取ってでも十分な検査をする必要がありはしないか。それから先ほど松原君も触れましたが、事件が起きますと、同じような事件を二度も三度も繰し返しているような人がありますが、そういうような人に対してはやはり適性検査、血液検査までして、蛋白が多いとかいろいろなことをいいますが、そういうような十分な検査をして、もしその仕事に適当でないならば、他に職を転じさせるとかなんとかいうふうに考えなければならないのではないかと思います。これが一点、そういう点に対するお考えを伺いたい。  それからもう一つは、これだけ事件が起っておりますのも、交通取締りの衝に当っておられる警視庁が、われわれから聞かれるまでもなく、あなた方がこれに対する対策を持っておいでのはずなのです。これほど問題になっておるにもかかわらず、もし責任のある衝において何らの策もなかったのだということであるならば、これは私は相当非難されると思いますが、すでにあなた方にはどうしたらいいか、できるかできないかは別としまして、こういうことをやれば確かにこういう事故がなくなるのだ、少くなるのだ、しかし予算の関係でできない、しかしこれだけのことをしてくれれば、こういう方法をとれば、少くともあなた方としては事故防止に対する責任がとれるという突き詰めた案がおありだと思いますが、もしそういう案があればそれを発表していただいて、その案を私どもが中心にいろいろ考えた方が早いのではないか、こう思いますので、もしこの二点について御答弁願えたら伺いたいのです。
  39. 内海倫

    内海説明員 警視庁からのというお話でございましたが、警察庁の方からまずお答え申し上げます。もし具体的な点で、ございましたならば警視庁の方からお答え申し上げます。  適性検査の問題につきましては先ほども申しました通り、私どもの現在の適性試験というものの施設なりあるいはその方法なりも、決して十分なものではございません。これは率直に申し上げまして不十分でございます。これにつきましては私どもも早くから各都道府県に対しまして、そういう設備を設けるようにということを言っておるのであります。ことに一昨年運転免許の制度を改正いたしまして、いわゆる第二種免許、これは主としてお客を乗せるような車を運転するものに対する免許でございますが、これの免許一の交付については、特にその適性試験を厳重に行うようにという指示はいたしておるのであります。各県でもそれぞれ目下いろいろな角度からこれの充実をはかるべく努力をいたしておりますが、まことに遺憾なことは、やはり各県の予算並びに国から補助いたします予算の面の制約を受けまして、現在も十二分にはいっておりません。あわせてその上に、これも御承知のように非常に受験者が多いわけです。正確な数字を記憶いたしておりませんが、警視庁の試験場におきましては一日に二千、三千というふうな受験者が参ります。これをこなすためにはどうしてもそういう点が若干粗漏になるおそれを私ども感じております。そういう意味におきましてそういうふうな受験者を何らかの形で制限するような方法はないかということすらも考える。     〔濱野小委員長代理退席、小委員長着席〕 最もいい方法は試験場をたくさん開設して、試験官をたくさん確保するならば、そういう迷惑をかけることなしに可能になるのですが、これまた予算に関連をして参りまして、今のところ容易な問題ではないわけです。警視庁におきましては今年四月ごろを目標にして、試験場の移転並びにできるだけ設備の整った試験場の設置を急いでおりますので、今よりもかなり改良されるものと考えております。しかしお説のように今後におきます特に営業用の車両あるいはスピードの速い車等を運転する者を含んで、適性検査については一そう強化いたしたい、かように考えております。  次に事故防止のための私どもの対策でございますが、私どもとしましてもかなり対策ついては検討いたしております。すでに昭和三十年に内閣に事故防止対策本部が設置されまして、何と申しましても交通事故防止については、ひとり私ども警察だけではいかんともしがたい面がありますので、建設省、運輸省初め関係各省の主管者をもって構成する事故防止対策委員会におきまして根本的に討議いたしまして、その結論に基いて実施を現にはかっております。これは各省ごとにやっております。私どもの方の対策といたしましても、さきに免許制度を改正して、その適格者を得るような方策を講じ、あるいは取締り用の装備を強化して取締り合理化をはかる、あるいは信号機、標識等をできるだけ予算の最大限までいたしまして、その増設をはかる、あるいは必要なところにつきましては、あるいは可能なところにつきましては区画線あるいはセンター・ラインというようなものを設けますほか、横断歩道等につきましても区画線を設けまして、これのとまれ安全のための措置を講ずる。一方安全運動を展開いたしまして、安全協会と表裏一体となりまして安全運動の展開によって安全教育をはかっておる次第であります。しかしながら率直に申しまして私どもの手の届かない問題が解決されることがまことに望ましいし、また事故防止をする上にもその点が大事になっております。今回タクシーの問題が国会に おいても取り上げられ、政府におきましても事故防止対策本部に自動車部会を設けて取り上げられたのでありますが、これは一つタクシー事故を追及して、これが大部分がやはりスピード違反あるいは先ほど警視庁の部長から申しましたようなことを原因として事故が起っておる。これをさらに追及していきますと、結局一説にはノルマといわれます。またそうでなくても相当無理な運転をさせられておることから非常なハイ・スピードで走る、あるいは稼働率を高めることによって収益をはかろうとするというふうな問題でこれが取り上げられておるということは、私はこのための一つの大きな対策になっておるのだろうと思います。しかし同時にまた道路の状態あるいは交通環境と申しますか、実際に自動車を運転していくその周囲の状況、たとえば広告あるいはネオン・サイン、あるいは樹木というふうなものが、相当運転手の標識を判断する上にも妨害になり、あるいは心身の疲労の上にも相当影響がある、そういう意味で、こういうものに対する対策、あるいは狭い道路が一そうひどく狭められるというふうな状態、たとえば商店が店を突き出す、あるいは自動車をそのまま放置する、こういうふうなことにより狭い道路がさらに狭められておるような実態、こういう面も大いに改善されなければならない。あるいは道路の穴ぼこの状態、あるいは工事のために掘り返れさる、こういう問題も解決されなければならない。さらに突っ込んで言うならば、道路の許容量と交通量との相関問題というものも合理化されなければならない。こういう諸種のものに対する対策があわせ行われることを期待して、また事故防止対策本部でもそういうことが議せられておるのでありますが、そういうあらゆるものを総合したときに、初めてほんとうの意味の事故防止というものが姿を一新して現われると思います。ただ、しかしもう一度私どもが申し上げたいことは、特に東京、大阪等の大都市におきまして、交通事故の最も中心をなすものは遺憾ながらタクシーであります。この問題が解決して参りますと、相当現在の交通事故の様相は変ってくるのではないか。ことに、これは統計とかあるいは教字をもって表現することは困難でありますが、実際に取締りに当っております現場の意見を徴しますと、事故そのものにはなっておりませんが、ああいうふうなかなりハイ・スピードな、あるいは非常に無理をした運転が、他の車等の運行の上に相当大きな影響を与えておることも否定できない事実であります。もちろんそのことは、他の車が円タクに与えておることも事実ででありますが、しかしそういう度合いが相当高いことも遺憾ながら認めざるを得ないと思います。  それから次に、先ほど他の先生からお話のありましたオート三輪などの事故も、確かに最近非常に増加いたしております。これなどにつきましても、私どもとしてはその取締りの面において、あるいは運転手の教養の面において、十分対策を講ぜなければならないと思っておりますが、ともかく一つ一つ片づけていく以外に、このほんとうの事故防止の対策というものは実現できないのではないか。なぜならば、結局道路を急に広げるということも容易なことでございません。交通量を一定限度に押えるといこうとも、少くとも現状においては困難であろうと思いますので、結局現在出現しておる交通の実態に正面からぶつかって、これを少しでも事故減少せしめるような対策をとる、こういうことをやらなければならない。なお私どもとしましては、私どもの権限の、従って任務の範囲にあります取締りはもちろん、交通規制の合理化、あるいは運転免許試験の合理化、あるいは安全運動の展開、そういう面については今後も一そう真剣な、今までもはなはだ潜越な言い方でありますが努力をして参っておりますが、さらに一そうの努力をいたしたいと考えております。
  40. 小山亮

    ○小山亮君 今の交通事故防止対策本部というのはいつできたのですか。そしてこれはどのくらいの省が入っておって、一番中心になっておる責任者はだれなんですか。
  41. 内海倫

    内海説明員 事故防止対策本部は昭和三十年の五月に発足いたしております。本部は内閣に設置されまして、内閣に設置されました当時は内閣の官房長官が対策本部長ということで、関係省といたしましては警察庁、運輸省、建設省労働省、文部省、大蔵省、自治庁、法務省、なお落ちているかもしれませんが、等の各部局長が委員になりまして、それから関係の主管課長が幹事になりまして設置されたものであります。先ほど私の申しました交通事故防止対策要綱というのは、三十年の六月二十九日に、対策本部の決定として閣議にもかけられてきまったのであります。現在は、事故防止対策本部の本部長は総務長官になっております。事務上の処理は内閣審議室において処理されております。
  42. 小山亮

    ○小山亮君 昭和三十年にこの対策本部ができて、今日までだんだん事故が減っておるならとにかく、ふえておるということになると、こういうものの責任者の責任というものがきわめて重大になるのじゃないか。ただこんなものを作って、要綱だけ作って何もしない。取締りの方は警視庁か何かにだけまかせておって、建設省道路の修理も急がない。今東京都内を通ってみて、至るところで道路の掘り返されているくらい、われわれ危険を感ずるものはありません。水道を引くからといって掘り上げる。それが終ると電線を埋める。今度はまた電燈会社が掘る。地下鉄をやる。こんなことをやっておったら、今後何十年たったって東京の道路は掘り切れませんよ。こういうでたらめな、無計画なことをやっておって、取締りだけをやって、運転手はけしからぬ、警察は何をしておるかでは、これは交通事故防止なんかできっこない。しかしこれほど各省の連中が寄っておって、どうしてこれができないのか。たとえば運転手の給与問題だってそうです。労働省が入っておるのです。いつも口を開けば大きなことを言う労働大臣がなぜ、こういう問題にくちばしをいれて、こんなひどいノルマのないように積極的に働きかけないのかということを私は不思議に思うのです。これが今国会の問題にされたことは、こういうものを内閣が作っておりながら、まことに無能であって、することを何もしていなかったということを追及されるのと同じだと思う。この点は私どももあらためて内閣にこの責任を追及するつもりでありますが、どうか関係官庁におかれましても、実際その衝に当って十分に現場を知っておいでになるのですから、どうしたらいいかということをほんとうに具体的に案をお考え願いたい。私は労働条件を向上させることが絶対条件だと思う。これはどうしてもやらなければならぬ問題だと思いますので、この点に私は力を入れますが、道路関係の方々も、あるいはその他の関係の方方も、この対策本部に入っておいでになる方々は、やはり相当強い責任を持ってこの防止を懸命にやっていただきたいと思うのです。今のお話だと警視庁だけにまかしておくようなやり方で、ほかの省はずいぶん無責任きわまるように私は思うが、こういう点に対して、警視庁からこれを聞こうということは無理ですが、もし建設省その他関係官庁の代表の方がおいでだったらその所信を伺いたい。
  43. 富永誠美

    奥田説明員 道路整備が大へんおくれておりまして、最近重点的に道路整備を取り上げて着工いたしましたので、非常に各所でもって工事が相重なって行われておるために、交通上非常に御迷惑をかけておると思いますが、このやり方につきましては、交通を阻害しないように、十分関係方面等に連絡いたしまして実施いたす所存でございます。なお道路の掘りこわし関係は、道路地下を占用しておりますガス、水道初め電気でありますとか、いろいろな施設がありますので、それらにつきましては個々で施設しないで、共同でもって地下の管路を整備するようなことも目下研究しております。
  44. 小山亮

    ○小山亮君 それを対策本部でやるのでしょう。それをやらないのですか。
  45. 富永誠美

    奥田説明員 私の方でも対策本部の方に関係しておりますが、本部でまず取り上げました問題は、鉄道等の踏み切り除却の問題を第一に取り上げまして、第二の問題として、事故防止対策の問題をただいま取り上げて検討いたしております。
  46. 小山亮

    ○小山亮君 これは繰り返しますが、そういうことを総合的にどう処置していくかというがために、こういう対策本部ができているのじゃないでしょうか。関係各省がみんな寄っているのはそれがためでしょう。それを三十年から三十三年の今日まで、まだそれに対する連結がつかぬということなら、あなた方は自分の職務に対する自分の義務を果しておいでにならないのじゃないですか。なぜこういうような問題を総会言的に話し合いをつけてやるというふうな処置をおとりにならないのですか。東京都と建設省だけでも連絡がまだついていないようですね。いつつけるのですか。
  47. 富永誠美

    奥田説明員 事業の実施につきましては、建設省から補助金の出ておりますものにつきましては、そのつど個所について協議しております。そのほか東京都におきましても、三十億近い事事費でもって単独で事業をやっておりますが、さらにさきに申し上げました通り事業が失業対策と関連してやっておりますために、非常に時間がかかっている点もございますので、それをなるべく、材料や工法などを検討いたしまして、早急にやるように努力いたしております。それから地下埋設物の掘さくの問題は、地区ごと関係者でもって協議会を持ちまして、それが個々ばらばらに掘さくしないように、年度初めに協議して実施しております。
  48. 有田喜一

    有田小委員長 井岡君。
  49. 井岡大治

    ○井岡小委員 眞鍋さんなり松原さん、あるいは小山さんから、総括的な問題を御質問なさっておりましたので、私は具体的に二、三質問してみたいと思います。  警察庁の方のお話なり、あるいは今までなぜ事地検が起るかという原因について御答弁なさっておりました中に、一番大きな問題は、やはり現在のノルマの状態から来る疲労、こういうものが一番大きいのじゃないか、こういうように考えられるわけであります。そこでます第一点にお聞きしたいのは、労働条件の中で、固定給と歩合給というものがどういう比率になっているか。これは平均でけっこうですから、労働省の方から一つお伺いいたしたいと思います。
  50. 鈴木健二

    鈴木説明員 運輸省でお調べになった調査の結果によりますと、タクシーの総収入が大体二万八千円程度、そのうち基本給の占める割合が一七%、歩合給の占める割合が七三%、その他諸手当の占める割合が一〇%、これは全部の自動車会社をとったわけではございませんで、昭和三十一年十月から昭和三十二年三月に至る六カ月間の六十四社の統計でございますが、全体を通じまして、固定的給与が二七%になるわけでございまして、基本給が七%、諸手当が一〇%、しかし基本給与と申しましても、諸手当のうちのどの程度までを基本的給与に入れるかの算定によりましても、いろいろ違おうと思います。従っていろいろの調査の結果を見ますと、大体二七、八%から三七、八%というものが固定的な給与ではないか、こういうふうに考えております。
  51. 井岡大治

    ○井岡小委員 他の交通関係ですね、たとえば都電とか国鉄、こういう交通関係の今のいわゆる基本給と諸手当——と申しますか、歩合、これらの関係はどんな工合になっておりますか。
  52. 鈴木健二

    鈴木説明員 私の方でそういう点で資料を持ち合しておりませんので、後ほど調べまして申し上げます。
  53. 井岡大治

    ○井岡小委員 やはりそこに問題があると思うのです。基準法はそういうようには書いてないわけなんですね。基準法は、第一条に「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充すべきものでなければならない。」と、こううたっておる。それを労働省の方でお調べになっておらない。従って現在われわれが毎日乗って聞いてみますと、大体日給は百円ぐらいだ、こう言うのですよ。こういうような状態では、やはりどうしても歩合給にたよらなければならぬ結果になる。私は労働省としては当然こういう問題を把握されなければ、事故対策の一環にならないと思うのですが、この点はどういうようにお考えになりますか。
  54. 鈴木健二

    鈴木説明員 労働省といたしましては、労働条件が非常に高いということは非常に望ましいことでございますが、法作執行と申しますか、行政取扱いの面から見ますと、労働省としての労働提議の両は、労働条件の最低を確保するというところに、労働省としての任務がある。従ってそれ以上のことにつきしては、労働者個人の問題、あるいは労使の問題、あるいは経営者の問題、こういう形でとらえていただかなければ、行政としてはやっていけない。こういうふうな考えで労働基準法はできておるわけでございまして、基準法上は、固定給与を期持しなければならない、こういうふうな規定はないわけでございまして、そういう観点から、そういうふうな詳細な資料を私の方ではとっておらないわけであります。
  55. 井岡大治

    ○井岡小委員 今の労働省の建前からいって、そういうものを当然持っておくべきだと思うのです。単に法律でこうきまっておるから、われわれとしては持っておらないのだっていいのだということでは、私は労働省としての役割は果しておらないと思うのです。  まあ、それはそれとして、それではお聞きしますが、基準法の二十七条の「出来高払制その他の請負制で、使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の資金の保障をしなければならない。」ところがこの一定の保障というものは、一日の日給が百円である場合、一時間では何ぼになるのですか、十何円しかならない。こういうものが第一条の規定とどういうように関連を持つかという点を考えれば、私はかなり労働省としては重要な関心を持たなければならないと思うのです。従ってこの点について何かお考えがありますか。
  56. 鈴木健二

    鈴木説明員 先ほどの資料の点について、現在私の方に手持ちがないと申し上げたのでありまして、私どもの方には統計調査部というのがございまして、各業種別に固定的な給料その他の詳細な資料がございます。ただいま私が手元に持っておらない、こういうふうな点で御了承願います。  法律の問題といたしますと、今御指摘の二十七条は、出来高払い制の場合に、労働者の責めに帰せざるべき事由で実収賃金が相当大幅に動いては労働者に非常に気の毒であるから、その実収賃金がそう変動しないように、こういう趣旨で設けられたものでありますが、法律問題といたしましては、それでは幾ら保障給を設けなければならないかという規定はないわけでございます。しかしわれわれといたしまして、法律の問題を離れて、賃金制度として考えます場合には、現在タクシー等で行われております歩合給、しかも刺激性の強い歩合給というものはごく一部の原始的な産業を除いて、近代的労務管理形態としてはきわめてまずいものである、こういうふうな考えを持っておりますし、労働者が日々月々同じように努力しながらも、その給与が違ってくるということは、経営危険までも労働者に課しておる制度であって、きわめて好ましくない制度であると考えておりますけれども、法律の執行の面として、こういう制度をとっているからこれを処罰する、これに対してどうこうするということはできないということを申したのでございます。
  57. 井岡大治

    ○井岡小委員 私は処罰とかなんとか言っていないのですよ。こういう法律である限りにおいて、今あなたがお述べになっておられたような精神であるから、行政指導をおやりになる意思があるかどうかということなんです。
  58. 鈴木健二

    鈴木説明員 今申しましたように、このハイヤー、タクシーの問題につきまして、これを労働条件としてとらえるという見方も確かにあると思いまするが、こうした経営危険までも労働者に課するという給与制度をとるということは、一つの企業経営そのもののやり方の問題ではないかという見方もあるわけでございまして、これはやはり労働条件の面からとらえると同時に、企業経営のあり方そのものの、正しいか正しくないかという両面からとらえて問題の処理をはかっていかなければならない、こういうふうに考えております。
  59. 井岡大治

    ○井岡小委員 経営権の問題をそんなにウエートを置いてお考えになる必要はないですよ。法律で保障してやれといっている。これがやっておられないとするならば、処罰をするよりは行政指導をやるという気持にならなければいけないと思うのです。それから今あなたは今度の事故の問題が労働条件にあるように言われておる。しかしながら経営その他の問題もあるのだと言われておりますが、先ほどからのお話を聞いておいでになったらよくおわかりになると思うのです。いわゆるノルマの方針がとられておるために、労働者に対して、あるいは運転者に対してかなり重労働をしいておる。そこからくる身体の疲労というものからきておるのじゃないか、こう言われておる。そういうふうに言われておるとするならば、三十年からあなた方もお入りになってこの問題を研究なさっておるとするならば、今までこれを等閑視されておること自体があなた方としては私はどうかと思うのです。ですから、私はこういう問題について行政指導をなさる意思があるかどうか、こういうのです。
  60. 鈴木健二

    鈴木説明員 今申し上げたのは、経営権があるからという意味でなくて、経営のやり方自体の問題としても取り上げなければならないので、行政指導は、経営そのものを指導する運輸省と労労省と両方でやるべきだ、こういう意味で申し上げたわけであります。
  61. 井岡大治

    ○井岡小委員 そうしますと大臣にお尋ねしますが、二十八条に「行政管庁は、必要であると認める場合においては、一定の事業又は職業に従事する労働者について最低賃金を定めることができる。」こういうようにうたっているわけです。大臣は、この間何か新聞で見ますと、業者に対してノルマの方針だけではいけない、こういうように警告をなさっておいでだったと思うのです。従って労働省と御相談なさって、現在のタクシー、ハイヤーの運転手の賃金というものが、いわゆる交通事故にかなり影響している、こうお考えになっておいでになるのですから、相談なさっておやりになる御意思がありますか。
  62. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 私はおっしゃる通りをねらったのです。ただいまこの委員会においてもお話道路その他ありますが、私はそこをねらったのです。従いましてこのノルマの問題に関する資料は自動車局で調べさせました。その結果今世間でも発表されておるところなんです。この間業者を集めましたのは、私は一応この神風タクシーの問題は重大な問題になって、やはりあなた方業者も一つ考えてもらわなければならぬという意味で、自主的にお考えを願いたいということを申しました。そしてそれに対しての座談が一部の新聞に幾らだということが出ておりますけれども、これはまだ向うから私の方へ公式に言ってきておりません。そこで私の希望は、この事故対策本部の自動車部会というものを設けられておりまするから、ここに各省の関係者もおりますし、労働者の諸君もいるのですから、ここで今早急に一応の基準——この固定給とかノルマの問題は、一応ここで研究してもらってやってもらいたいというふうに私は希望をいたしておるのであります。もっともこれが今審議中の最低賃金法案、この政府原案は御承知のように地域的な業者協定で、これにも私は関係してくると思うのです。しかし私の解釈は、労働基準法によりますと、これは一つの請負制である。請負制というものはやはり最小限の保障給がなければならぬ。そしてそこに歩合制度を設ける。これは私はその通り行かなければならぬ。その例は保険の勧誘員にもありますし、漁船にもございます。そういうようなものも今私自身も研究し、自動車局にも研究してもらっておるのでありますが、重点をそこに置いて、事故対策本部の自動車部会で運輸省の原案を中心として各省関係においてやっていただきたい、こういうふうに私は思っておるのであります。
  63. 井岡大治

    ○井岡小委員 今の大臣のお言葉からさらに発展をして、それでは大臣は、免許の基準の中に労働条件を具備しておらなければ免許はしない、こういうようにお考えになられるかどうか。
  64. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 新規免許の際には、でき得る限り労働条件あるいは就業規則、これらも標準にいたしております。
  65. 井岡大治

    ○井岡小委員 その標準でなく、これらが入っておらなければ免許しない、こういうようにお考えになっておるかどうか、こういうふうに尋ねている。
  66. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 その点につきましては、先ほどお話がありました三十年の事故防止対策本部によりまして審議をいたしました結果、就業規則を審議の対象にするということで、自後の免許は実施いたしております。就業規則の中にはそういったような勤務時間あるいは給与というものも出てくるわけでございます。
  67. 井岡大治

    ○井岡小委員 そこで今度はもう一ぺん労働省にお尋ねするのですが、運輸大臣はかなり明確に出来高払いの保障について、明確な線を打ち出しておいでになった。同時にまた最低賃金そのものについてもやりたい、こういうように言っておいでになる。そこでこれをどうするか。最低賃金を実施する場合にいろいろ方法があるでしょうけれども、法律で一つの底をこしらえるということも必要でしょう。しかし今政府が出しておる法案はそういうことになっておらない。業者間協定あるいは地域協定、こういうことになっておりますから、この二十九条で最低賃金に関する事項を審議させるため中央には賃金審議会及び地方には地方賃金審議会を置く、こういうふうにうたっているわけです。ですから中央並びに地方に賃金審議会を置いて、これらの出来高払いあるいは最低賃金の保障、こういうものをやるようにお考えになっておいでかどうか、行政指導されるかどうか。
  68. 鈴木健二

    鈴木説明員 現在最賃法を国会に提出いたしておりますのは、この基準法に基く最賃法に関する規定を削って、新しい法案を出しておるわけでございます。最賃法のねらうところは、最低の賃金というものを何らかの形できめる、一口に申せばそういうことでございまするが、先ほど申し上げましたようにタクシー運転手さんの平均給与は二万八千円で、そういう観点から申しますると、給与の額そのものは最賃という観点から取り上げるべきではなくして、この問題はやはり賃金制度、非常に累進的な歩合給を設けておる、こういうふうなところに問題がありますので、賃金制度そのものの問題でございますので、いわゆる最賃法の角度から取り上げることが適当であるかどうかについては、私は疑問を持っております。従って私どもといたしましては、こういう組織に対しましては一定の固定的給与を設ける、その上に特殊な業態でありまして、管理、監督の責任にある者がいつも目をつけているわけじゃございませんので、ある程度合給というものも設ける必要があると思います。その歩合給もあまり刺激的な要素の少い歩合給にしていただいて、固定給と歩合給を併用したような形の賃金制度が最も適当なんじゃないか。こういう観点から事故防止対策本部の自動車部会人で、運輸省その他とどういう形のものがいいかということを現在協議をしているわけでございます。
  69. 井岡大治

    ○井岡小委員 最賃法の定義については、私はあなたと若干見解を異にしております。しかしそのことを私きょうは論議しようとは思っておらない。運転者の賃金制度というものが、いわゆるノルマによってまかなわれておる。そのために非常に疲労度が多い。ですからその疲労度を何とかなくするようにしなければいけない、こういう立場でものを考えております。従って最賃の問題に対する定義は別として、いわゆる賃金審議会を設ける、あるいは自動車賃金審議会でも、名前はどうでもいいですが、とにかくそういうようなものを設けて、一定の基準を設けてやる、こういうようにしてやることが私は親切だと思うのです。またそうしなければ、今のような状態に野放しにしておったのでは、決してこれはよくならないと思う。たとえば私の調べた実例では、あなたの力にどういう手続をとられておるかは知りませんが、こういうのがあるのです。みな臨時雇にして六カ月が来たらみな首切ってしまう、こういう制度でやっておられる会社がたくさんある。なぜこういうことにするかというと、いわゆる本雇にすれば給与を上げていかなければいかぬ、だから六カ月の臨時雇にしている、そうして六カ月が来たら事故一つもない、欠勤は一つもない、こういう者でも全部首切ってしまう、そうしてあくる日にまたもう一度雇い直す、こういう制度をとっておる。こういう点をあなた方はどうお考えになるかということです。こういう点が私は非常に大事だと思いますので、一つの賃金審議会、こういうものを設ける意思があるかどうか、これを聞きたい。
  70. 鈴木健二

    鈴木説明員 今こ先生のおっしゃいましたように、固定的給与について一定の率を設けるということは非常に大切なことと思いますが、これを賃金審議会というふうな形のものではなくて、現在せっかくやっております自動車部会、そういうところでこの固定給の率あるいは歩合給の率、こういうものを十分研究してきめたい、こういうふうに考えております。
  71. 井岡大治

    ○井岡小委員 その場合現在のいわゆる役人だけでおやりになっておるのでなく、当然やはり実務をしておる者から、その委員会にあるいは参考として呼ばなければ、ほんとうの賃金システムというものは出てこないのではないか、こう思うのです。この点についてどうお考えになりますか。
  72. 鈴木健二

    鈴木説明員 いわゆる最低賃金をどの線にきめるかということになりますと、いろいろ専門家意見が必要と思いますが、全体の給与の中に固定的給与はどの程度の比率を占めるのが適正かということは、大体常識的に判断できるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  73. 井岡大治

    ○井岡小委員 常識的に判断ができるのであれば、あなた方は今日までこういう労働条件の中で呻吟しておる運転手に対して、何らの手当をしておらないじゃないですか。常識的判断ということをお考えになるなら、労働行政を担当しておるあなた方としては当然何らかの処置をとられるべきだと思うが、とられましたか。
  74. 鈴木健二

    鈴木説明員 常識的に考えられる線と申しましても、それは先ほど申しましたように、その線で経営が成り立っていくかどうかというふうな、いろいろな問題がありますので、関係当局と協議しておるわけでございます。われわれも労働省だけの立場から申しますと、いわゆる保障給と申しますか、そういう割合は大体六割程度が正しいのではないかという観点から、従来東京管内で基準局だけの線で業界を指導したことはございます。ある程度こちらの方に向ってきたわけでございますが、基準法上きめ手がないわけでございまして、これを守らなければどうこうという問題でもないわけでございますので、ある程度こちらに向かって参りましたけれども、十分な成果は上げられなかった、こういう結果に相なったのであります。
  75. 井岡大治

    ○井岡小委員 成果が上らなかった原因というのはどこにあるのですか。
  76. 鈴木健二

    鈴木説明員 われわれが指導いたしまして、この程度のいわゆる保障給を設けてもらいたいというのも単に勧奨だけでございまして、向うが守らなければそれっきりになる、そういう点から十分なる成果を上げられなかったのであります。
  77. 井岡大治

    ○井岡小委員 どういう理由で勧奨に応じなかったか、原因というものはどこにあるか、こう聞いておる。私は何も勧奨に応じなかった、どうにもできないのだということを聞いているのではない、勧奨したが応じなかった原因というものがどこにあるのか、こう聞いておる。
  78. 鈴木健二

    鈴木説明員 いろいろあろうかと思いますが、根本的にはやはり現在の給与制度をもっていく方が企業利潤と申しますか、俗な言葉で申しますと非常にもうかる、従って何も権限のない者の言うことを聞いて、利潤を少くする必要はないのじゃないか、こういう考えがそこにあったろうと考えております。
  79. 井岡大治

    ○井岡小委員 そうすると今まで事故防止対策本部に、そのことを率直にあなたの方から御提案なさったことはありますか。
  80. 鈴木健二

    鈴木説明員 そういうことがございましたなので、事故防止対策本部その他を通じまして、たとえばこういう労働条件と申しまするか、給与体系をとらなければ何か行政処分をする、営業停止をする、こういう強い措置をとれないものだろうかどうだろうかということを、たびたび協議したことはございます。
  81. 井岡大治

    ○井岡小委員 それはどこで協議されましたか。
  82. 鈴木健二

    鈴木説明員 主として事故防止対策本部でございます。
  83. 井岡大治

    ○井岡小委員 運輸省の方にお尋ねしますが、今労働省の方では、事故防止対策本部にそういう提議をして協議をした、こうおっしゃっておるのですが、その協議をされた結果、運輸省はどういうようにお考えになられたのですか。
  84. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 この問題につきましては、経営者の面につきましては私ども労働者と経営者の面につきましては労働省関係がございますので、それぞれの立場に従いまして事故防止対策本部の実施を推進いたしました。たとえば現在問題になっております固定給対歩合給の問題にいたしましても、東京陸運局長並びに東京の所轄する基準局長が、歩合給とその関係を是正するような勧告をその後すぐ出しております。それから最近におきましても東京陸運局長が、その点につきまして実に再度勧告をいたしておるような次第でございます。
  85. 井岡大治

    ○井岡小委員 その勧告の写しがあれば次に出していただきたいと思います。  もう一つ尋ねますが、年次有給休暇をどのくらいとっておりますか。
  86. 鈴木健二

    鈴木説明員 ここに的確な数字の持ち合せはございませんが、年次有給休暇は労働者からの請求があった場合に使用者が与えるということになっておりますが、あまりとっていないと想像されます。
  87. 井岡大治

    ○井岡小委員 一部の会社ではかなり事業主の方から勧奨してとらしておいでのようですが、総体的にはあなたのおっしゃったようにほとんどとっていないということだと思う。それは事業主が、労働者が請求したときに渡すのだ、こういうように言ってしまえばそれまでのものです。しかしながら実際は、年次有給休暇というものは一年間ノルマで働いておったのでは、非常に疲労度が重なってくる、だから何とか休ませてやろう、こういうのが年次有給休暇の趣旨だと思う。そうであるならば当然こういう問題についても労働省は行政指導をやって、とらしてやるというような制度をとらなければならぬと思うが、その点どうなんです。
  88. 鈴木健二

    鈴木説明員 お説の通りと思います。
  89. 井岡大治

    ○井岡小委員 お説の通りということでありますならば、今後事故防止対策本部へあなた方の方からそういう問題を具体的に提案なさいますか。
  90. 鈴木健二

    鈴木説明員 労働時間、休日、有給休暇、すべて総合的に考えて提案いたしたいと思っております。
  91. 井岡大治

    ○井岡小委員 それからこの有給休暇と関連して、先ほど眞鍋さんが、運転手は二重処分だ、こう言っておいでになります。その点について私はいろいろ意見を持っておりますが、それはそれとして了承しても、実際は二重処分でなくて三重処分になっている。と申しますのは、自動車運転手は月給制ではありません。今こちらがお答えになっておられた、また私が申し上げておりますように、ほとんどノルマの状態なんです、出来高払いなんです。ですから行政処分を受けて停止を命ぜられる、取り上げられたら運転できませんから、二十日であれば三十日分の給料はもらえないということになる。この点を考えていただかなければ問題は解決しないと思う。そこで私は警察庁の方についてはあとで質問いたしますが、この点について労働省は休業補償の行政指導をする意思があるかどうか。警察庁の方は、事故を起した運転手に再びあくる日から運転さしたのでは、精神状態に動揺を来たしておるから、また重ねて事故を起すだろうだからこの機会に休ませてやって、そうして事業命令を出して何とか指導したい、こうおっしゃっておられる。これはある意味において適切なことだと思すます。あまり長くなりますと運転の勘が鈍ってきますから、このためにまた事故起りますが、それはそれとして、一応そういう御趣旨であるならば、休業手当、補償、こういうものを法律は定めておるのですから、行政指導をする意思があるかどうか。
  92. 鈴木健二

    鈴木説明員 いわゆる地上勤務、下車勤務の勤務の実態によって判断が違うと思いまするが、基準法二十六条が想定しておりますような休業状態であれば、当然休業手当は払わなければならぬ、こういうように考えております。
  93. 井岡大治

    ○井岡小委員 基準法二十六条の想定しておる休業手当というのは、休業の場合において使用者は休業期間中当該労働者出しておるわけです。ですからこの休業の状態というのは一方において受講するわけです。ですから単にそういう考え方だけをあなた方がおとりになるのでなくて、事故の条件がこういうところにあるとするならば、あたたかい解釈をして、これに当てはまるか当てはまらないかということでなく、事故を起して停止命令を受けたのだ、そうして受講命令が出ておるのだ、こういう者については、これは事業場として責任を負わなければならない問題なんです。ですから雇用主がこれに対して休業手当を出すように指導する意思があるかどうか、こう言っておるのです。
  94. 鈴木健二

    鈴木説明員 今先生がおっしゃいましたのは、運転手違反を起して休業した場合、こういう意味でございますか。
  95. 井岡大治

    ○井岡小委員 違反でなくて事故です。警察庁の方は違反事故と分けておいでですね。ですから事故を起してたとえば人を殺す、こういう場合、これはそのまま乗せていったのではかなり動揺があるのです。だからまた再び事故を起すのではないか、こういうおそれがある。そういうことで警察庁の方では一応免許を取り上げて、三十日間の休業を命じておるわけです。ですからその命じられて受講しておるのに、一方で事業主が休業補償してやると、その人たちは非常に生活にゆとりが出てくる、こういうことです。というのは、いわゆる二重処分だと言っておるけれども、私が三重処分だと言っておるのはそこにあるのです。ですから指導なさる意思があるかどうか、こういうことなんです。
  96. 鈴木健二

    鈴木説明員 二十六条の、そういう場合に、これが使用者の責めに帰すべき事由に当るかどうかにつきましては、法律解釈といたしましては、当らないのじゃないかと考えておりますので、当らないというふうに考えられるものを指導して払わすということは無理ではないか、こういうふうに思っております。
  97. 井岡大治

    ○井岡小委員 私と見解がだいぶ違いますけれども委員長の方から次会にしてもらいたい、こういうことですから、私は本日はこれで打ち切りますが、もう一度まだ建設省それから警察がありますから、次会もこのメンバーで一つお願いいたします。
  98. 有田喜一

    有田小委員長 承知いたしました。  だいぶ時間もたちますので、本日はこの程度にしておきまして、残余の質疑は次会に行うこととし、これにて散会いたします。    午後、五時十一分散会