○
松原小
委員 ここで誤解されぬように申し上げておきますが、私は
事故防止の
対策はあらゆる面からやらなければならぬという考えを持っておる。また
大臣は非常に気にしておられるようでありますけれ
ども、需給というものをよく検討して、
ハイヤー、
タクシーをふやすべきときにはふやし、減らすべきときには減らすというだけの弾力性のある政策をもって臨まなければならないということも、私は考えておるわけであります。従いましてたとえば
先ほど言われた一日何キロ走らなければならぬというようなノルマを作ることはいけない。
固定給は
先ほど言ったように非常に少い。実際は三千円、四千円、はなはだしいところでは二千円の
固定給があるところも知っております。従ってそういうような
給与体系の
改善とか、やはり
事故の撲滅に多少とも役立つものは何でもやっていくということには賛成であって、それについては後日詳細に私
どもの
意見も申し述べますし、また
対策本部ないし
運輸省できまった案に対して検討をいたすのにやぶさかではないのです。進んで私はそのことをやりたいと思っておるのですけれ
ども、ただ抜本塞源的にその
対策を立てるためには、この
事故の真因を把握した上でやらなければ、
世間がやかましく言うからそれにこたえるというようなやり方では、
運輸省としてあまりにも
権威がないのではないか、こういう考え方を申し上げておるのでございます。少くとも
ハイヤー、
タクシーの
事故はやや減りぎみであるる、
交通量はだんだん増加してきたけれ
ども、はイヤー、
タクシーの
事故は減っている、こういう認識をもあわせて持ちつつ
対策を講じ、そうしてこれば満足すべきではないから、さらに減らすためにはどういう
対策をとるかという考え方で
一つやってもらいたいと思うのであります。
そこでもう
一つ申し上げたいのですが、われわれは
昭和七、八、九年ぐらいに実に
ハイヤー、
タクシーで苦い経験を経ておる。実は私個人もその
状況のために
タクシーに足を踏み込むような運命になったわけです。それは何かといえば、事実上一人一車の制度であった。それが非常に競争を苛烈にいたしまして、
神風タクシーどころか、殺人
タクシーになった時代があるのです。企業は不健全になりますし、乗客は迷惑するし、社会一般に迷惑をかけた時代がある。そこで直営
タクシーという、つまり
営業の免許を持った者が安定経営ができるような
台数ということを目標に、今日の
タクシーがどうやらその以前よりは
改善されておる。その沿革をお知りにならぬ方が、実はこの閥も、二十年
事故をやらぬで
タクシー、
ハイヤーの
運転手だった者に
一つ免許をすればいいじゃないか。なるほどその一点だけ考えればいかにももっともらしいのです。従って
大臣がそれは自分も賛成だと言われたということを新聞で見たわけでありますけれ
ども、これは制度としてそういうことになると、所期の目標とは全く違った現象が起ってくることを認識してもらわないと、
事故は非常なふえ方になって、
事故防止どころか、大へんなことになる。総じて一般論から申しますと、企業が小さければ小さいほど悪いのです。大体一人の
運転手に一台の車で
営業を許した場合、必ずスペアをやっておる。そういう経済力を持ち、信用もあり、いい経験を持った人というのはそんなにたくさんおりません。約二万五千ないし三万人の
タクシーの
運転手の中で、おそらく二百人か三百人なんです。ところが一台
営業を許すとどういうことになるかというと、そのうちにやはり二台も三台も五台も持つ人ができ、途中で失敗して
営業を投げ出す人ができるという現象が起きて、結局一人の学
営業所が五人とか十人とかの
運転手を雇うようなことが必ず出てくる。そういたしますと、一台持ち、スペア一台雇った場合に一番はなはだしいのですが、封建的な労務
対策がここに起って参ります。現に
東京ではやはり二十台、三十台の小さな
タクシーが相当にございます。これはあまり好ましくないのです。今さら仕方がないといえばそうでありますけれ
ども、それらのところでは労働組合を作ろうと思ったら頭からつぶされるのです。あるいは自分の縁故者を中に入れておき、あるいは特別
関係の者を入れておき、そして労働組合を作ろうとすれば頭からぶちこわしてかかる。こういうことで、三百二十社のうち労働組合が名目だけでもできておるものは八十社足らずで、そのうち労働組合らしい労働組合は三十社くらい、こういう
状況になっておる。これがまた
自動車事故の
原因となるような
労働条件を作っておるのです。そこで確固たる労働組合があって企業も安定しておる中で労働組合が活動して、営
業者の勝手気ままなことをやらせないようにすることによって、
事故防止の
対策も公正に講ぜられるような場が初めてできるのです。こういう
意味で、営
業者が小さければ小さいほどよくない。営
業者が小さければ
業者の数がふえます。その数がふえればふえるほど、これを統制して規制することがだんだん
行政的にむずかしいわけであります。そういうことがございますので、こういう点しっかりとした認識を持った上で、今後たとえば新免を許すような場合にも関連するのですが、あまり零細な企業は大局的から見て許さぬ方がよろしい、こういうふうな考えになるのでございます。
事故防止の具体策は、
タクシー、
ハイヤーにおきましてもこれは必要であります。他の面でも必要であります。これらの具体策については、
先ほど申し上げたようにもっと
研究しようではありませんか。われわれもそれに協力するにやぶさかではございません。しかしこの間の
委員会で議論のあったように、零細企業を許すというようなことは、もう大へん悪い経験をすでに過去においてしておりますから、そんな経験をなめるようなおそれのある考え方で臨んでいただきたくない、かように考えておるのであります。この点は専門の
自動車局長以下に
大臣がお聞きになれば、私と同じような
意見であろうかと思いますから、その点はよく
研究されまして、考えを正しい方に是正してもらいたい、かように思うのであります。