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1958-04-02 第28回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 赤澤 正道君    理事 生田 宏一君 理事 濱野 清吾君    理事 山本 友一君 理事 井岡 大治君    理事 松尾トシ子君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       塚原 俊郎君  早稻田柳右エ門君       池田 禎治君    石村 英雄君       小山  亮君    多賀谷真稔君       中居英太郎君    中島  巖君       松原喜之次君    山口丈太郎君       眞鍋 儀十君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    辻  英雄君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君         日本国有鉄道常         務理事     久保 亀夫君         日本国有鉄道常         務理事     吾孫子 豊君         日本国有鉄道参         与         (営業局長)  磯崎  叡君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 四月二日  委員稻田柳右エ門君、上林與市郎君、下平正  一君及び辻原弘市君辞任につき、その補欠とし  て篠田弘作君、多賀谷真稔君、石村英雄君及び  松原喜之次君が議長指名委員に選任された。 同日  委員篠田弘作辞任につき、その補欠として、  早稻田柳右エ門君が議長指名委員に選任さ  れた。     ――――――――――――― 四月一日  第五北川丸遭難名遺族国家補償に関する陳情  書外二十四件  (第八一二号)  南海丸遭難者遺族補償等に関する陳情書  (第八一五  号)  江若間の鉄道敷設促進等に関する陳情書  (第八七三号)  関西本線電化促進に関する陳情書外一件  (第八七四号)  海上輸送力増強等に関する陳情書  (第八七六号)  伊丹飛行場国際空港実現に関する陳情書外二  件(第八  七八号)  北陸本線五箇年計画工事促進に関する陳情書  (第八八八号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運日本国有鉄道経営等)に関する件      ――――◇―――――
  2. 赤澤正道

    赤澤委員長 これより会議を開きます。  本日は陸運に関して調査を進めます。質疑の通告がありますから、順次これを許します。多賀谷君。
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 引き続き質問いたしたいと思いますが、まずこの前労働省より、現在の機関車労組法的性格公労法要求をしておる資格要件を備えた労働法上の組合である、こういう言明があり、また国鉄当用もそれを是認されたわけでありますが、そこで三十六条協定労働組合を相手に協定を結ばれておるかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  4. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 三十六条協定につきましては、労働組合支部の名において締結しておりますものと、それから職員代表という名において締結しておりますものと二通りございます。
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうしますと、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合に、機関車労組はこの労働組合に合致し、さらに機関車労組の各支部といいますか、そういった単位では協定ができると解釈してよろしいでしょうか。
  6. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 そのように考えております。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうしますと二十四条協定もそういうようにされるつもりでありますか。
  8. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 三十六条協定を結びます相手方と、二十四条協定を結びます相手方と、相手方として別に違ったものとは思っておりませんが、ただ実際問題といたしまして、二十四条協定につきましては大事な点で意見食い違いがありますので、今まで結んでおらないのでございます。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大事な点といいますのは内容の点ですか。
  10. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 さようでございます。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、たとえば内容が現在行われております国労の賃金控除協定と同じよう協定内容であれば、機関車労働組合の分会あるいは支部単位として協定を結ぶ、こう考えてよろしいでしょうか。
  12. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 結ばざるを得ないと考えております。
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実は機関車労組青函支部闘争委員長名で、中央の機関車労組闘争委員長あて照会が来ておるのですが、それは本運輸委員会において、辻原委員質問に対して小倉総裁より、基準法に基く、たとえば二十四条の協定については団交もやる、こういうお話であったけれども、こちらの方で申し出をいたしましたところが、それが全然拒否されたという照会が来ておるわけです。これは内部的なものでありますが、そういうことは今後ない、かように考えてよろしいでしょうか。
  14. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま御指摘のありましたものと同じよう性格のものが、ただいま現在調停委員会にかかっておるものがございますので、今後はその問題は解決できると思っておりますが、今調停委員会のお手数をわずらわしておるわけでありますから、一応そちらとの語もいたさなければならないと思いますが、今後の実際の処置といたしましては解決することができる、かように考えております。
  15. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ぜひ一つそうして、できる部分だけでもどんどん解決していっていただきたい、かようにお願いしておきます。  そこで労働省にお尋ねいたしますが、地方公企体労働委員会があるわけですが、この委員会には機労組合支部はいろいろな形でその手続に参与する、あっせんとかあるいは調停とかの手続に参与する資格があるかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  16. 辻英雄

    辻説明員 機労支部手続に参加できると考えております。
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 現在地方公労委にいろいろあっせんとか、そういったものが申請されております。それに対してはほとんど当局の方では出頭されていないようでありますが、一体それはどういう理由でありますか。
  18. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 地方調停委員会に対しましては、前回お話のありました公労法上の団体交渉については、私どもこれを拒否する正当な事由があると考えて拒否しておりますので、団交一般について調停あるいは協約結びようがない、そういう意味調停をしていただいても、いわゆる団交事項については意味がないから、原則的には調停に応ずることは御遠慮申し上げたい、こういうことを一応地方調停委員会に対して申し上げておりますが、しかし重ねて調停委員会から来るようにと出頭を求められたというような場合にお断わりした例はございません。一応私ども団交に対する考え方ということを、それぞれの調停委員会に申し上げてはおるのでありますけれども、こちら側のそういう申し入れに対して、調停委員長の方でそれにもかかわらず出てこいとおっしゃられたような場合に、お断わりするというようなことはいたしておりません。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 団交相手方がないとか、あるいは労働協約のいろいろの協定締結者適格性を欠く、こういう問題の起らないところでやはりそういう申請があった場合には、何も断わられる理由はないと思いますが、どうですか。
  20. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 おっしゃる通りだと私は思っております。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ことにあっせん調停とは違いますけれども、まあ一応あっせんをされる。そしていろいろな形で現実問題としては案が出た。これは団交という形式をとられなくても、当事者がのめばできるわけです。しかも協定適格者の書いてない場合には、ことにそういうことができると思いますから、そういう場合には積極的に参加されてもいいのじゃありませんか。
  22. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま先生のおっしゃる通りだと思いますが、私の方としましては、今の四条三項違反状態に対して、団交は拒否するのだという筋道を通していきたい、こういう気持を強く持っておりますために、いわゆる団交事項については、一応お断わりするという言い方をしておるわけでございます。しかし今先生の御指摘通り、その主体的な条件において公労法に必ずしもこだわらないでいいというような問題については、委員会の方からお話があった場合、あっせんについても調停と同様これに応ずるという考え方で行くつもりでおります。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、労使間の問題が今までかなり対立しておりました点が、実際問題としてはだんだん円滑になりつつあるわけですが、一歩進んで、あなたの方は裁判で主張されておりますから、本部本部という問題はなかなかむずかしいでしょうけれども地方支部における現実列車運行の問題とか、あるいは定員の問題とか、厚生需給物資の問題は、今まで地方支部でおやりになっているし、またこれらの問題を話し合われても、あなた方が主張されておる点は何らくずれるということもないと思うのですが、そういう点については今後話し合いをされるかどうか、お聞かせ願いたい。
  24. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 この点は前回も申し上げたつもりでありますが、私どもとしましては、公労法上の団交事項基準法上の協定等に属する問題と、はっきりけじめをつけていきたい。そういう考え方で従来も臨んでおりましたので、現在の公労法違反状態ということにつきましては、組合の下都機関も含めて、やはり責任があるというふうに考えざるを得ないために、その点についてはどこまでもけじめをつけていきたいという気持でおります。しかしながらこれも前回申し上げたことでございますが、機関車労働組合組合員国鉄職員であるという点において、他の組合所属組合員と異なっておる点はございませんので、職員としての立場における陳情なり話なりはもちろん聞くつもりでおりますし、現在のゆがめられた労使関係をあらゆる機会を通して早く正常化したいことは私どもの念願でございますから、けじめはつけますが、実際上の職員としての立場における話は十分いたしまして、組合が早く正常化されることを期待いたしたいと考えております。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ちょっと労働省にお聞きいたします。公労法上の団体交渉というのと基準法上の協定前提にする団体交渉というのは違う、こうおっしゃっておりますが、一体違うのですか、どうですか。
  26. 辻英雄

    辻説明員 基準法の三十六条なり二十四条に基きます協定は、基準法立場から見ますと、必ずしも団体交渉であることを要件とはいたしておりません。ただ組合があります場合に、組合が三六協定内容につきまして使用者交渉をいたします場合には、それが団体交渉である場合も当然含まれていると思いますけれども、事の本体としては二十四条なり三十六条が労組法にいう団体交渉条件とした制度であるというふうには考えられない、そうではないということを申し上げている趣旨かと思います。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 もちろん三十六条とか二十四条は労働組合でなくともできるのですから、これは団体交渉条件にしていないでしょう。しかし労働組合とやる場合はやはり団体交渉でしょう。
  28. 辻英雄

    辻説明員 団体交渉の一部に入ると思います。
  29. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今お話通りです。公労法上の団体交渉というのと、基準法協定を結ぶ場合に前提としている団体交渉というのとは違わないのです。何か非常に違った形だというようお話がありましたが、違わないのです。国鉄はどういうようにお考えですか。
  30. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 三十六条協定も二十四条協定も、今さら申し上げるまでもないことでありますが、労働基準法が八時間労働あるいは週休ないし賃金全額払い原則に対して、例外として免責の手続として定められた制度であって、目的は限定されておりますし、それから協定締結形式の点においては、今労働省の御当局が御説明になりました通り一般団交とは違ってもよいことになっております。そういうよう一般団交とは目的も限定されており、方法も違いがあるという意味で別の取扱いをしていこう。そして団交事項の方につきましては、これは公労法の本法の中にはっきりワクを示された条項であり、そのワクを示した公労法の中の四条三項というものに違反した状態が現在の機労にあるわけでございますから、公労法原則に基く一般団交だけはあくまでお断わりをする。しかし基準法の方は、ただいま申し上げましたよう意味で別に考えていこうというのが国鉄当局考え方でございます。
  31. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今労働省は、労働組合の場合は団体交渉だとおっしゃっているのです。三十六条、二十四条のただし書きの協定は何も団体交渉前提としていない。それは労働組合でなくともできるのだ。しかし労働組合協定をする場合には前提として団体交渉だ、こういうことになるわけです。しかも公労法団体交渉事項という中にやはり含まれるわけです。労働時間あるいは賃金というものの一部の中に三十六条あるいは二十四条の協定は大体含まれるわけです。何も関連性がないわけではない。立体的、有機的に関連性があるわけです。それをなぜ三十六条あるいは二十四条の場合の話し合い団体交渉でないとおっしゃるのですか。その理論的な根拠を問うているわけです。
  32. 辻英雄

    辻説明員 私の申し上げましたのがやや不十分だったかと思いますので、補足させていただきますが、私も先生の御意見と同じでございまして、三十六条なり二十四条なりの交渉組合当事者として行います場合には団体交渉であるということにつきましては、私もさように考えております。ただ今お話が出ておりますのは、一般団体交渉と違った性質を帯びたものであるということのお話でございまして、従来たとえば国鉄旧法時代交渉単位制のありました時代におきまして、下部機関区等におきまして、一般団体交渉に基きます協定というもの、あるいは協約というものは、交渉委員長の名において結ばれておったわけでございますが、ただいまの二十四条協定あるいは三十六条協定と申しますのは、そういう時代のやはり支部委員長の名前で結ばれておる。そういう慣行も現実としてずっと行われてきたわけでございまして、団体交渉の中には当然含まれますけれども、やや違った性質を帯びたものであるというふうに、両当事者の間で観念されて取り扱われてきておることは事実であります。
  33. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 交渉単位制があった時代にそういう解釈をされるのは当然でしょうが、交渉単位制がなくなっているのですから、なくなった現実に立っては、やはり一般労組法考え方をすべきです。交渉単位制というものは何かといえば、いわば一つ制限規定です。その制限規定が取り払われてさらに制限規定があるような話をするというのは、きわめて労働省として解釈がおかしいじゃないか。しかも三十六条協定の中に、基準法施行規則の十六条は、三十六条協定労働協約による場合を言っておる。労働協約による場合の協定というのは対労働組合との協定ということになる。ですから交渉単位制のあったときの解釈をされても、これは通りませんよ。
  34. 辻英雄

    辻説明員 私は交渉単位制のありました時代と現在とが一切同じであるということを申し上げておるのではございませんで、交渉単位制のありました時代でも、そういう考え方で扱われておったということを一つ申し上げましたわけでございます。それから今この三十六条協定労働協約である場合といいますのは、組合当事者であります場合には、いかなる場合でも労働協約であるというわけにも必ずしも参りませんので、労組法の定めております形式的な条件等も満たしております場合には、労働協約である場合もあるという前提労働基準法施行規則はできておるものと考えます。
  35. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 しかし労働協約というものは、厳密に労組法上検討すれば、あるいは署名とかあいるは期日の問題とか、いろいろあるでしょう。そこでとにかく協定を結ぶということは結局団体交渉でしょう
  36. 辻英雄

    辻説明員 さようでございます。
  37. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ですから、今お聞き及びのように、やはり公労法上の団体交渉なんです。ただ目的が限定しておるか限定しないかということは別です。それは確かにおっしゃるように、基準法の方は目的が限定されておる。しかし一般の方はされてない。そうしますと、目的を限定した団体交渉はおやりになる……。
  38. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもの限本的な考え方をもう一度聞いていただきたいと思うのでございますが、現在の機関車労組というものが、少くとも公労法の適用を受ける組合であるということは間違いないことであり、その公労法違反しておるという事実もこれまた否定できない事実である。そういう状態である以上、私ども違反状態を正してもらいたい、違反でないようにしてもらいたいということを強く要求しておるわけでございます。ところがそのこちら側の要求に対して、現在の状況というものは、組合はあくまであらゆる手段をもってこれと争っていくという形になっております。そういう状態のもとにおいて、そういう私ども立場から見ますれば、あるいは言葉は適当を欠くかもしれませんが、信義に反した状態にある。そういう状態にあるにもかかわらず、法律違反が全然行われていないのと同じよう取扱いをするということは、私どもとしては絶対に認めるわけにはいかない。そういう意味公労法のいわゆる一般団体交渉については、現在の状態が改められない限り、どこまでもお断わりするという立場をとらざるを得ないのでございまして、ただ基準法上の協定につきましては目的も限定されておりますし、また性格も違うように考えられますので、その限度においては窓口を開いておるつもりでおりますけれども、それ以外の点まで全部何ら違法な状態を含んでおらない場合と同じように取り扱うということだけは、これはどうしても私ども立場上できない、さように考えておりますし、またそういう考え方に立ちまして訴訟においても争っておるというのが現状でございます。
  39. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 公労法にいたしましても、あるいは労組法にいたしましても、基準法にいたしましても、労働者保護法なんです。このことを基本的に考えていただかなければならぬ。使用者の恣意的な解釈によって戦術的に使われてはたまらない、それを防御するのがいわば労組法であり、公労法であり、あるいはまた基準法である。だから基準法の場合は団体交渉ではないとおっしゃるけれども、今お話よう労働省が、団体交渉公労法上の団体交渉と何ら差異がない、これはあえて言うならば、目的が限定されておるだけだ、こういうことでありますから、団体交渉という点については何ら公労法と変らないというのが労働省の一貫した態度です。国鉄当局気持はわからぬことはありませんよ。しかし法律解釈とは違うのです。気持法律解釈とをごっちゃにされてお話しになると、われわれ非常に迷惑をするわけです。やはり基準法の方は労働省組合の場合とは団体交渉であるというのですから、団体交渉である、こうお認め願いたい、これは国鉄総裁どうですか。
  40. 小倉俊夫

    小倉説明員 その点につきましては、ただいま吾孫子常務からお話したのと私は全然意見が同じでございます。ただ先ほど来御質問を伺っておりますが、結局これは解釈の問題にもつながるのでございまして、かりに相手方がこれは団体交渉である、こう解釈されましても、結局その話し合い窓口——私の方では窓口と考えておりますが、それを限定される範囲はやはり三十六条、二十四条の範囲でございまして、それを直ちに団体交渉なるがゆえに、全般的な公労法上の団体交渉事項まで広げるということはこれは絶対ないのでございますから、それはあまりに実効のない食い違いじゃないかとかように考えます。
  41. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、相手方がどう思おうと、それは三十六条あるいは二十四条協定以外には及ばぬ、こういう意味ですか。それからもう一つは、労働省は御存じのように、労働法の一応行政官庁としての解釈をされるところです。だから労働省解釈団体交渉と言っておるのですから、その点まずお認めになるかどうか、それから聞いていきたい。
  42. 小倉俊夫

    小倉説明員 前々から申し上げますように、私ども公企体でございますから、政府見解を有権的なものとして考えておるのでございます。ただ今までくどくど申し上げましたのは、それが職員代表という意味でいたしましても、それからそれが労組との話し合いだから団体交渉といいましても、実際の効果は同じでございまして、実は私ども機労といたしまして全組織が違法状態でありますから、これについて正常な姿に復帰するまでは、公労法上のいわゆる団体交渉事項については、団体交渉はできないという建前に立っておるのでございます。しかしながら地方下部において三十六条協定、あるいは二十四条協定範囲につきましては、そこに労働組合法上の組合がございましたら、それと交渉いたしますが、それにつきましては労働法上の広い意味団体交渉として考えることも可能でございます。しかしながらそれなるがゆえに、一般公労法上の団体交渉を私どもの方でで義務づけられておるということには考えませんが、その部分だけを取り上げてみれば広い意味団体交渉に入る、こう解釈してもよろしいかと存じます。
  43. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大体政府機関であるから有権的な労働省見解に従うということですから、団体交渉である、こう確認なさったものと思うわけです。  実は本日時間もありませんし、さらにこれから論理を展開していきますと、大きな問題に入るし、また時間も非常にかかりますから、本日はこれで保留しておきたい、かように思います。
  44. 赤澤正道

  45. 中島巖

    中島(巖)委員 私は鉄道建設関係について質問いたしたいと思うのでありますが、まだ大臣、監督局長がお見えでないようでありますが、国鉄建設局長がお見えだということでありますので、鉄道建設局長の方へお伺いいたしたいと思います。若干問題はあと先になりますけれども、確か昨年度の四月三日の鉄道建設審議会において、調査線と申しますか、別に法律には調査線ということはありませんが、調査を開始すべき線といたしまして十六線が決定いたしたわけであります。この十六線の調査は大体完了したのであるか、あるいはすでに結論をお聞きできる段階にあるか、この点をお伺いしたいと思います。
  46. 小倉俊夫

    小倉説明員 調査線につきましては、私の方で調査を現在続けておるという段階でございまして、線によりましては全部完了いたしたわけでもございません。
  47. 中島巖

    中島(巖)委員 そういたしますと、昨年度は四月の三日に鉄道建設審議会を開いたようでありますが、本年は審議会を開くのは——これは運輸省ではないから、あなたの方にお聞きしてもおわかりにならないでしょうな。
  48. 小倉俊夫

    小倉説明員 私の方ではわかりかねます。
  49. 中島巖

    中島(巖)委員 そこでで三十二年の四月三日の鉄道建設審議会におきまして、前の十三線の調査線のうち十線を建設着手線とし、それから興浜、芦別、水見の三線の着工の時期及び方法については、開発計画は、予算の規模等を勘案して決定する、こういうことになっておるのですが、これから見ますと、前の十六線とこの三線と十九線が現在調査中、こういうように了承してよろしいですか。
  50. 小倉俊夫

    小倉説明員 昨年度に着工線に入りました十一線と昨年度新たに調査線になりました十六線とは、そこで多少の差がございます。と申しますのは、着工線になっております十一線の方が優先的であるということでございますが、十一線の中にもやはり手が回りかねて着工までいかず調査の線もございますが、それらは優先的に調査をいたしたいと思います。新しく調査線になりましたものよりも優先的に調査あるいは測量等をいたさなければならぬ、こう思っておりますが、ただいま先生のおっしゃいましたように広い意味調査ということでございますれば、十一線のうち三線と、それからあと新しく調査に加わりました十六線と、両方合せて十九線になるかと存じます。
  51. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで三十二年度から建設すべき新線というものはただいま申し上げたようなわけできまったのですが、その前に工事の継続中の建設線というものは十五線あるわけなんですが、この十五線はいつ建設すべき線と鉄道建設審議会で決定した線であるか、お伺いしたいと思います。
  52. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいまの継続縦の十五線につきましては、実はその着工の時期がいろいろずれておりまして、各線別に違いますが、ただいま資料を持ち合せておりませんので、十五線が各線別にいつから着工したか、あるいは先生が御質問になりましたように、いつの審議会でにスタートが決定したかということは、ちょっと調査させていただきたいと思います。
  53. 中島巖

    中島(巖)委員 私の質問する目的は、建設線あるいは調査線に決定しましても、名前だけで非常に工事期間がかかっておりますので、この十五線はいつの鉄道建設審議会で建設線と決定したかということをお聞きしたいと思うのです。たしかこれは昭和二十七年ごろじゃないかと思うのです。そこで問題はこの予算との関係になるわけでありますが、昨年度建設線として決定した十線ですか、これは本年度若干でも工事にかかったわけであるかどうか。工事と申しましてもその意味は非常に広いわけでありまして、調査中でも工事と言いえるでしょう。しかし実際問題として請負に出したか出さぬかというようなことがその線を引くことになるのでありますが、本格的の工事にかかっておるのかどうか、あるいは準備作業中なのかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。
  54. 小倉俊夫

    小倉説明員 その前に、この建設線が遅々として進まないのではないかというお気持ようでございますが、実はその通りでございまして、現在の継続を完成いたしますにつきましても非常に巨大な資金が必要でありまするし、そのほかに着工線が加わり、さらに調査線が加わるといこうことになりますと、どうしても全体の完成年度は延びざるを得ないのでございますが、やはり地元の方々が非常な熱意を持ちまして、ぜひ調査、測量あるいは着工しろというふうなお話でございますので、その熱意に引かされまして、薄く広くなりがちで、各線の進行がおくれておるということはまことに申しわけない次第だと考えます。昨年度着工線に上りましたただいまの十一線につきましても、鋭意すみやかにほんとうの請負工事にも出したい、こう考えておりますが、予算の関係その他でなかなか手が回りかねまして、ただいまの段階では設計、測量という段階でございます。できるだけ早く請負に付し、着工いたしたいと努力中でございます。
  55. 中島巖

    中島(巖)委員 そうすると、今の副総裁お話によりますと、昨年度の十一線はまだ全然工事に着手はしておらぬ、予算の関係でやむを得ない、それから非常に薄く広くなる形だと、こういうような御答弁のように了解したわけです。そこで私の聞いた範囲では、昨年決定した建設すべき新線の工事費というふうなものは、大体昨年度決定したものだけで八百五十億くらい必要だろう、それから旧来からの継続工事中のものが約二百三十億くらい必要だろう、こういうようなものを合計して一千八十億くらい要るのじゃないかということを聞いているのですが、大体そういうように了承してよろしいでしょうか。
  56. 大石重成

    ○大石説明員 お答えいたします。継続工事費の総計が二百五十九億、新規着手の工事費が四百三十五億、工事費だけを継続、新規合計いたしまして六百九十四億、そのほかに車両費、総係費を加えまして合計七百九十億こういう数字でございます。
  57. 中島巖

    中島(巖)委員 八百億という数字をお伺いしたのですが、そうしますとこの建設予算というものは、昭和二十七年度から計上されておりますが、昭和三十二年度まで六カ年間に二百八十億計上されているわけです。そうすると一カ年平均が約四十六、七億という数字になるわけですが、八百億と申しますと大ざっぱに見て今までの平均の建設予算であると二十年近くかかるというように考えるのです。そこで、こういうように建設線をたくさん敷いて、先ほど副総裁からお話があったように、薄く広くなって非常に年限がかかってしまうわけなんですが、問題は昨年調査線として決定しましたこの十六線を、本年度建設線として相当取り上げるお考えであるかどうか、この点を監督局長にお伺いいたしたい。
  58. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。この調査線十六線につきましては、御承知の通りに昨年の四月三日の第二十回の鉄道建設審議会でそういうことを御決定になっておりますが、そのときにもこの調査線に関しましてはその御答申に、右の調査を開始すべき新線については調査の結果、予算の規模及びすでに着工中の路線の進捗状況等に応じ、交通経路の形成、資源の開発、国民経済上の効果等を勘案し、その必要度に応じ、逐次着工の選定を行うものとする、こういうことでこの調査線調査が決定になっております。従いましてこの御建議に基きまして目下国有鉄道においてこの十六線の調査をいたしておりまして、この調査は近くでき上ることと思います。そういたしましてその調査の結果によって再び鉄道建設審議会にお諮りいたしまして、今御指摘ような予算の規模及びすでに着工中の路線の進捗状況とのにらみ合せにございますので、特に今後の建設費の見通しをも立てました上でその着工を御決定になるので、今のところこの調査十六線についてはまだ調査中でございまして、着工が決定されておるのではございません。さような事情でございます。
  59. 中島巖

    中島(巖)委員 そういう点でなくて、私の質問せんとするところは、建設線もしくは調査線というふうになっておりますけれども、非常に予算が少くて、ただいま申し上げましたように、すでに決定しておる建設線の建設だけでも、過去の平均予算からいえば二十カ年間もかかるという状態にあるわけであります。そこで昨年度調査線に入ったものをさらに建設線とするということになると、今の予算の三倍も四倍もが必要となるわけで、従って予算の計画と建設の計画とがマッチしていかねばならぬというふうに考えるわけであります。  そこで具体的な問題に入るわけなんですが、実は私長野県なんですが、長野県に昨年調査線といいますか、調査すべきものと決定した線に飯田—下呂線というのがあるわけです。おそらくあるだろうと思うのですが、そこで問題は、鉄道敷設法によりますと別表の七十三でもって岐阜の中津川から下呂に至る鉄道というものが、はっきりと第一条の予定線に入っておるわけであります。それから飯田と中津川の間は別表の六十に飯田より分岐して三留野に至る鉄道というようにはっきりとうたってあるわけなんです。非常にこまかい話になりましたが、肝心なところですから、そこを一つよく調べていただきたいと思うのです。こういうよう法律の別表ではっきりうたってある。私飯田だからいずれにしても早くあけてもらいたいのですが、今地元では非常に問題になっておる。こういう法律があるにもかかわらず、あなたの方で飯田—中津川—下呂線というものを昨年調査されることに決定したわけなんです。そして一部では来年にも煙を吐いた汽車が走るような宣伝をしたりして大騒ぎをしておる。そうするとまた三留野の関係が騒ぎ出しまして、このごろ一週間ほどの県議会において飯田—三留野線、つまり法律別表六十にある飯田—三留野線を調査してくれということを議決しておる。おそらくあなたの方にその書類が来ておると思うのです。そこでこういうような問題はどのように取り扱われておるか。いろいろ時間の関係でほかの委員に迷惑をかけるといけませんので、一緒に質問いたしますけれども、もし飯田—中津川—下呂というものを調査線として取り上げられるならば、やはり法律改正をして飯田—三留野というものを取り消しておいて——調査線にするために地元で非常なトラブルを起して県会の議決までして騒ぎをしておる、こういうように思うのですが、これらの取扱い方法について監督局長より御意見を承わりたいと思うわけです。
  60. 權田良彦

    ○權田政府委員 今の御指摘の線につきましては、確かに別表にそういうふうに記載はしてあります。飯田—三留野間並びに中津川—下呂間、こういう敷設法別表予定線の二本について、これを飯田—下呂線として調査線として調査を行え、こういう御決定になっておるわけであります。従いまして今国鉄をして調査させておりますのは、飯田—三留野間の敷設表別表の予定線の調査と、中津川—下呂間の別表予定線の調査をあわせて行なっておるわけであります。この調査の結果、これはどうなりまするか、いろいろ経過地その他ルートの選定等に当りまして、これは今後慎重に研究をいたさなければなりませんけれども、その結果においてこれが敷設法別表の線を著しく逸脱するのでありますれば、御指摘ように、かりにそれを実施するというならば別表改正の問題が起ってくるわけであります。従いまして今後そういう問題については、なお調査の結果を待って十分検討をいたしたい、かように考えておる次第でありますが、調査線の対象としては飯田—三留野線並びに中津川—下呂線、これを飯田—下呂線として調査いたしておる次第でございます。
  61. 中島巖

    中島(巖)委員 監督局長の御答弁からいたしますと、飯田—三留野線並びに飯田—中津川の画線を調査しておる、つまり比較調査をしておる、調査の結果飯田—中津川が適当という場合においては法律改正をする、こういうように了承してよろしいのですか。
  62. 權田良彦

    ○權田政府委員 今申し上げましたのは、飲田—三留野線という別表予定線と中津川—下呂線、これはちょうど飯田—三留野—中津川—下呂、こういう交通系絡に既設線を差しはさんでなるわけであります。その線の経済調査をしておるわけでありまして、もしかりにこれの全経路を変更するような必要が起るといたしますれば、その際には敷設法別表を改正しなければならぬかどうかの議論が起る場合がある、こういうことを仮定の上で申し上げたのでありまして、今直ちに敷設法を改正してこれをやるのだということを申し上げたのではないのであります。これは調査の結果を待たなければわかりませんけれども、飯田—三留野—中津川—下呂という、既設線をはさんだ交通系絡線としていかにあるべきものか、若干の経過地変更ということは別表改正まで至らないで済む場合もありますので、この点を十分詰めませんと、今にわかに御指摘よう——私は直ろに改正して実施するということを申し上げておるのではないのでありまして、そういうことも研究問題の一つである、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  63. 中島巖

    中島(巖)委員 どうもあなたの答弁がすっきりせぬのですがね。先ほどの御説明によりますと、中津川と三留野は間に二、三の駅があって近接してはおりますけれども、ルートが違うわけなのです。そこで今私のお尋ねするのは、本年度どの線を調査したのか、こういうお尋ねをしておるわけなのです。あとの御答弁では飯田—三留野、中津川—下呂の調査をしておる、こういうことであったが、そうすると中津川—飯田というのは調査をしておるようにも受け取れるのです。前の答弁は、飯田—三留野、飯田—中津川、両方を比較調査しておるというようにお聞きしたのですが、実際はどういう調査をされたか、その点一つお伺いしたい。
  64. 權田良彦

    ○權田政府委員 国鉄調査をさせましたのは、飯田—三留野、中津川—下呂、これについて調査をさせたのであります。この建設線を調査いたしますときに、他の線でもそうでありますけれども、経済比較というものを飯田—三留野間においてもいたしますし、中津川—下呂間においてもいたす。だから飯田—三留野間と中津川—下呂間とを比較するのではないのであります。おのおの調査をいたします。ただ私が今申し上げましたのは、交通系絡としては飯田—三留野間と、三留野—中津川の既設線の間を、飯田—三留野、中津川—下呂という交通機間をもあわせて検討しておる、こういうことでありまして、調査線の対象としては飯田—三留野間について調査をし、このためにはまたこの線自体の比較数線の調査もしておると思うのであります。また同時に中津川—下呂についても同じよう調査をしておる、こういうふうに私は思っております。
  65. 中島巖

    中島(巖)委員 ちょっとくどいようですが、地元では、飯田—三留野は全然調査はしておらぬのだ、飯田—中津川を調査しているのだ、こういうように新聞でも書いてあったり、みな了解しておるのですが、今局長のお話をお伺いすると、この鉄道敷設法の別表によりまして、飯田—三留野、三留野—中津川、中津川—下呂、これを主体として調査をしておる、その他比較線も調査をしておると思う、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  66. 權田良彦

    ○權田政府委員 飯田—三留野線を調査いたしますのに、いろいろ比較線も調査しております。また中津川—下呂線も調査しておる。この飯田—三留野、中津川—下呂というものをあわせて調査線として調査しておる、こういうのが事実であります。
  67. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで、これは国鉄にお伺いした方が手っとり早いと思うのですが、ただいま小倉総裁お話によると、昨年度の十六線の調査線は、まだ調査ができておらぬということですが、昨年四月三日に鉄道建設審議会を開いたように記録にあるわけです。そうしますと、調査ができておらぬとすれば、おそらく審議会も開けぬだろうと思うのですが、大体いつごろ調査が完了になる予定ですか。それともいろいろ政治的配慮で、調査はできておるにもかかわらず発表せずにおるわけなんですか。聞くところによると、審議会内容をなかなか発表しないそうでありますが、審議会と国会とは性質が違うのだから、国会の質問に対しては、むしろ内容をはっきり発表してもらって、論議を戦わして、その上で審議会が決定するという方向に持っていっていただかないと、全く国会無視の形になってしまうと思う。いろいろ質問が重複したと思いますけれども、昨年の十六線の調査は完了したのかどうか、いつごろ完了する見込みか、その完了と同時に国会で質問すればその内容を発表できるのかできないのか、この二点をお答え願いたいと思います。
  68. 權田良彦

    ○權田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、四月三日の鉄道建設審議会調査をしろ、こういうことにきまったわけでありまして、それを受けまして国鉄調査をいたしておりますが、この十六線のうちにはすでに調査のできたものもございます。また近く調査が完了するものもございます。しかしいずれにいたしましても調査線でございますので、全線の調査がそろいませんことには、この調査十六線全体を御議論願えないわけでございます。鉄道建設審議会からのそういういきさつでございますので、調査が完了いたしますればこれを鉄道建設審議会に報告いたしまして、いろいろ御審議をわずらわさなければならぬ、こういうことになっております。鉄道建設審議会は、敷設法によりまして会長の方で御招年になることになっておりますので、これはどういう御都合であるか私どももつまびらかにいたしませんが、鉄道建設審議会が開かれれば、当然私どもはこの調査の結果をまとめて報告しなければならぬ。またその調査はいつごろというお話でございますが、私が了知しております限りにおいては、近く完了するのではないか、かよう国鉄から聞いておるわけであります。調査内容自体については、そういうものができ上りますれば——この調査は経済調査でございますから、この線は一体どういう線でどういう経済効果があって、対象とする荷物なり旅客はどれくらいある、どういう見通しになるという数字が明らかになりますので、その点については、調査ができ上ればその線の調査内容について、国会で御質疑にお答えすることは当然であると思っております。もし御質問がございますれば、でき上りましたときにお答えする段取りになると思います。
  69. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちょっと関連質問。その調査の問題ですが、それはまだ完了していないのですか。
  70. 小倉俊夫

    小倉説明員 全部につきまして完了はいたしておりません。大部分につきまして調査が完了したものもございますし、ただいま進行中のものもございますが、全部が完了したというところまでは至っておりません。
  71. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それは大へんなことだと思うのです。去年きめられた十六線について、今までの運輸委員会の答弁では、年度内に完了をして審議会の方にその結果は報告できる、こういうことであった。年度が変ってきょう四月二日になって完了したものもあり、進行中のものもある、そういうことになりますと、今まで言い切られていたことと食い違ってくるではありませんか。それはどういうことになっているのですか。
  72. 權田良彦

    ○權田政府委員 これもすでによく御承知の通り、この調査線を御決定になりまして直ちに調査に入ったのでありますが、線数から申しましても十六線という多くの線の調査は、今回が初めてでございます。前回、御承知の通り窪江線と美幸線との関係で、敷設法上は十三線でありますが、十一線の調査をいたしたことがあります。続いて十六線でありますので、鉄道建設審議会に間に合うように努力をいたしたわけであります。また先ほど申し上げましたように、鉄道建設審議会に御報告しなければならないので、今度開かれる審議会に間に合わせるつもりでやっておるのであります。事柄の性質上何月何日までというわけには参りませんが、鋭意調査をさせまして、若干予定がずれておくれたことは申しわけないのでありますけれども、今間に合うよう督促しておりますので、近くでき上ると私は思っておるのであります。
  73. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この鉄道敷設法に記載されている鉄道予定線、昨年の鉄道審議会において論議せられたことは、旧来からこの敷設法の別表に載せられているものは再検討を要する、そしてこの敷設法の別表に記載されているものが今日の経済事情及び交通事情等から勘案して必ずしも適当でない、従ってこれを再検討した結果、あらためて調査線及び着工線を決定する、こういう論議がかわされて、それによって新しく調査線がきまり着工線がきまった。これは私の質問に答えておるわけでありますが、その他のものについてはまたあらためてそのうちに再検討する、こういうよう意味の御答弁を伺ったのであります。そういたしますと、従来から答弁をなさった点と、今日中島委員との間にかわされております論議とは、これまた若干の食い違いを見せていると思うのでありますけれども、その関連性はどうなんですか。
  74. 權田良彦

    ○權田政府委員 この敷設法別表の線の問題でございますが、これは事柄を分けて申し上げた方が御了解願えるかと思うのであります。一つは、敷設法別表追加の問題があるわけでございます。この点につきましては、実は私どもの方からも建設審議会に諮問をいたしまして、建設審議会でもずっと御検討中でございます。御承知の通りに昭和二十八年でございましたか、敷設法別表改正で多分十三線ばかりの追加をいたして、国会で御審議願って法律改正をしていただいたことがありますが、あのときの事情でよくおわかりの通りに、この建設審議会は小委員会をお持ちになっておりまして、その小委員会の付託事項になっております。あれは小委員会が第一回の答えをお出しになったのをああいう姿で御審議願ったのでありまして、なお鉄道敷設法別表の改正に対する答申の中で、これは昭和二十八年にあったわけでありますが、次の線は保留にする、継続して審議をするのだということで、これは今日なお鉄道建設審議会をお開きになるたびに小委員会で御審議になっております。従いまして私どもとしては、この建設審議会の別表改正の御意見がまとまって御答申がいただけますれば、これに従って法律改正の手続をとって、国会で御審議をわずらわしたいと思っておりますが、実はまだその御答申が出ませんために、保留になった線、さらにその後のいろいろな新しい交通事情から御希望の線もございますので、そういうものを事務的に比較検討はいたしておりますが、そういう手続をとる段階まで審議が熟していない、こういうことでございます。これが前回もここで私がお答えした問題であります。  もう一つの問題は、このいわゆる十一線の調査線なりあるいは十六線の調査線なりを御決定になるいきさつ、また十一線を御着工と決定された内容がいろいろ線別に違っておりますが、そのときの御議論の経過から、今御指摘ように交通機関が新しい時代に入っておりますので、他の交通機関との関係、特に将来の道路計画との関係を吟味すべきであるという御意見がございまして、これはごもっともでございますので、建設審議会でもその点を熱心に御討議になりまして——この御議論が出たのは第二十回以前でありまして、十八回、十九回ごろからこういう御審議が始まっておりますが、これは私ども関係各省がそこに出ておりますので、そういう関係方面からいろいろ資料ももらいまして建設審議会にもお出しして、他の交通機関なり道路計画等と一線ずつ突き合せてございます。その結果一つは、たとえば白棚線、これは戦争中営業をやめておりまして、戦後復活する線で、例の三十線の中に入った線でございますが、これについては建設審議会で、これは鉄道で復活しないでいわゆる自動車専用道路で復活するということで、すでにそういう自動車の専用道路に切りかえて開業しておるものもございます。それからまた十一線、十六線を選び出すときにも、そういう事情判断の上、これはいろいろ考えてみたが、鉄道が最も適切であるということでお選びになったのでありまして、従いまして今のきまりましたものについては、そういうものの検討は済んでおるわけでございます。従いまして残る問題は、先回も申し上げましたように、なお敷設法別表には六千キロになんなんとする未成線があるわけでございまして、この線を将来どうするか。いわゆる次の段階でこれの始末を考えます場合に、いろいろそういう問題をもあわせて慎重に検討していく、こういうことになると存ずるのでございます。
  75. 中島巖

    中島(巖)委員 大臣がお見えになったようでありまするので、今の続きを監督局長質問いたしたいのですが、あと回しにいたしまして、大臣に質問いたしたいと思うのであります。ただいま大臣お留守でこの経過を御承知ないと思いますので、簡単にアウトラインを御説明して、それから大臣の答弁をわずらわしたい、かように考えるわけであります。  現在質疑応答いたしておりますのは、鉄道建設関係についていろいろ質問をいたしておったわけであります。昨年度までに建設すべき線ということで鉄道建設審議会から答申のあった線が二十五線か二十六線あるのですが、今当局から御説明を聞くと、すでに決定しておるものだけで約八百億を要する。今までの昭和二十七年からの予算関係から見錢と、平均しますと、四十六、七億にしかなりませんから、今まで決定しておる線だけでまだ約二十カ年を要するというよう状態なんです。そこで昨年度十六線を調査すべき線として取り上げたわけであります。取り上げたとすれば、それ相当の必要性があるものと思うのでありますが、この問題は、結局結論的に申し上げますれば資金関係の問題だと思うのであります。大臣はどういうお考えを持っておるか、資金関係について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  76. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 仰せのように、要するころは資金関係であることは事実でございます。本年は九十億ということで努力をいたしておるのでありますが、将来ともこの国鉄の財政で新しい事業をやる。今のところは御承知のように、国鉄、五カ年計画で老朽施設の改善をやっておりますが、今後大蔵省と協議をいたしまして、できるだけ資金を獲得して鉄道の建設計画を遂行していくということは、私は努力をいたすつもりでございますが、本年は先ほど局長からもお答えいたしておりまするが、九十億ということで新線を建設していく、こういうことであります。資金を獲得するにつきましては私も懸命にやっておりますが、制約せられるところが多うございまして残念でございますが、仰せのように資金の獲得ということに、国鉄と協力して全力を上げるということは仰せの通りでございます。
  77. 中島巖

    中島(巖)委員 どうも要領を得ぬのですが、新線建設ということについて質問しておるわけなんです。そこで本年度は運輸当局としては——これはもちろん鉄道建設審議会で決定することになっております。事務当局の方からそれぞれの答申案が出て、その答申案に基いて決定すると思うのです。ところが何だかどうも今までの状態、それから現在の工事の進捗状況なんかから見まして、何と申しますか、選挙宣伝に使うようなにおいが非常に強くて、しかも予算とすでに決定した建設線の建設費とにらみ合せ、さらに昨年度決定した調査すべき十六線、こういうようなものを見ると、調査線だ、あるいは建設線だと騒いでおっても、昨年度の建設線の十何線かがまだ一つも工事に着手しておらぬ、こういう状態なんです。そこで質問をしぼりまして、こういう予算状態であり、すでに二十五線も建設すべき線と決定しておるにもかかわらず、本年度は、昨年度決定した調査線の十六線のうちから建設線を何本か取り上げるお考えであるかどうか、この点をお伺いしたい。
  78. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 仰せのよう鉄道監督局長の方で一応下調べもしておりますが、結局するところ建設審議会の議を経ていかなければならぬのでございまして、これはいつ開きますか、近いうちに開かなければならぬと思いまするが、審議会の決定によって実行していかなければならぬと思います。このわれわれの新線建設の取扱いにつきましては、何と申しましても地方における産業経済の発達、それから地方の公衆の利便をはかるということにほかならないのでございまして、何かの意図を持ってやっておるということはないはずでございます。
  79. 中島巖

    中島(巖)委員 先ほど監督局長からも、審議会の会長が招集するというようなことを言われ、近く開くだろうと言われておりますが、現在審議会の会長はなくなって、ないのでしょう。ですから、大臣の方で審議会を開くわけにはいかぬのじゃないですか。
  80. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 従来の例によりますと与党の総務会長が会長になっておるようでございますが、この間総務会長がなくなり、また交代をいたしておりますから、今度開かれたときにその会長が決定することだと思いますが——砂田重政氏の後任は佐縢榮作氏ということに発会になりました。国会の御承認も得ておるはずでありますから、この会長が審議会においておきめ下さることと思います。慣例はそういうふうになっておるのでございます。
  81. 中島巖

    中島(巖)委員 そこでもう一点だけお尋ねしておきますが、結局旧来の例を見ると、予算関係も何もなしに、むやみに建設すべき線だとか、あるいは調査すべき線だとか決定しておるようであります。これは結局大蔵省、経済企画庁なんかと合議いたしまして、そして予算とにらみ合せて恒久性のある建設計画を立てるべきではないかと思うのです。たとえば今度の道路整備五カ年計画のように、それぞれの関係機関と合議して、今後五カ年間の鉄道建設費の総額はこれだけだ、その予算はどういう部門とどういう部門から出すのだ、新線はこれこれの線だ、こういう計画性を持たずに建設線だ、予定すべき線だ、予算の裏づけは何もないのだ、こういう状態では——すでに建設すべく決定している総工費だけでも向う二十カ年間もかかるというよう状態なのですが、相当財政の裏づけのあるような新五カ年計画ともいうようなものを立案する意思があるのかどうか。従来のように予算の見通しもなく、建設線だあるいは調査線だといって今まで通りふやして、できもせぬものをむやみと不渡り手形みたいなものを発行していくのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  82. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 新線に関する計画はあるのであります。これは立てられております。ただその資金につきましては、毎年これをきめていくということでございまして、大体の行くべき方向はきまっておるわけでございます。何々計画という五カ年計画というようなものとは違いますけれども、しかし一定の方向によって計画は立てられておるのでございます。
  83. 中島巖

    中島(巖)委員 私の質問するのは、方向や計画ばかり立てたって、資金の裏づけが、来年は一千億くるのだかあるいは何百億くるのだかお先まっ暗でしょう鉄道建設はその年その年の大蔵省との折衝のワクだけでやっていくという状態で、一方建設審議会は将来の予算におかまいなしに、建設すべく線だとか、あるいは調査すべき線だとかいうようなものをむやみにきめていくというのが現在の状態である。従って予算の裏づけをするように大蔵省や経済企画庁や運輸省が中心になって会議をして、予算の裏づけのある新五カ年計画とか新十カ年計画というものを立てるお考えはないか、こういうことをお伺いいたしておるわけでございます。
  84. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 ただいまも申しましたように計画は立てております。ただ予算の獲得につきましては単年度において何十億、こういうふうにして大蔵省と協議をしてやっておるわけでございます。本年の九十億は、私どもの理想であります百三十億には遠かったことは事実でございますが、決して資金の裏づけなくしてやっておるわけではございません。ただそれが単年度になっておるという点は、また御批判のあるところだと思いますけれども、この点は全く無資金、無計画でないということは御了承を願いたいと思います。
  85. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちょっと大臣にお尋ねいたしますが、今の中島委員質問に関連してですけれども、さきに鉄道監督局長から御答弁があったのですが、鉄道敷設法に基いて別表に記載されておるのは、これは二、三年前にすでに鉄道審議会で、経済事情の変化その他があって、必ずしもそのものずばりではない、適当なものもあるし不適当なものもある、だからこれはもう一度あらためて着工線及び調査線、予定線を検討した結果、着工すべきものと調査すべきものとに分けて、そうして実行に移すようにした、たしかこういう御答弁をいただいていたのです。きょうの局長の答弁では、何かそれが若干あと戻りしたような御答弁のようにも、さっきの答弁でも受け取れるので、私は納得できない。どうも従来から鉄道建設というのは計画ではなくて、中島委員も言われるように、予算も何も使わない、ただ政治計画線として不渡り手形がどんどん発行されていく、こういうようなものが原因をして一応の整理をしなければならない、こういうことになったというふうに私は聞いているのですけれども、どうもそこのところが今までとは違ったような答弁に見受けられますが、省内の意思統一はどういうふうになされているか、これを一つ聞きたい。それからもう一つは青函連絡鉄道にしても、四国—淡路の縦貫鉄道にしても、昨年予定線にはなったが、その後調査のための予算もつけられておりまして、本年も幾らかの予算がつけられておるようでありますが、その予算が幾らついておるのかということもお答えを願いたい。またこれは調査線になったのか、あるいは着工線になったのか、この辺の御決定はどうなんです。これについてもついでに承わっておきたいと思います。
  86. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 鉄道敷設法の別表の中にはでき上っているものもあります。しかし全体として日本の鉄道の見取図というものでございまして、これはそのままに置いてあるのでございますが、これがやがては建設審議会においていろいろピック・アップされるとか、調査をされるようになっておると私は存じております。この鉄道敷設法についていろいろ改正をせよという御議論もありますが、今のところはそのままに置いておるわけでございます。それから青函海峡トンネルでございますか。あれはたしか一億の調査費を計上しております。これは着工目標として調査をすることになっておるのでございまして、何分画期的な事業でございまするから、ああいう大きな技術を要しまするものはやはりその調査に相当の金もかかる、専門家の言うところによりましても、私どもはそういうふうに信じまして、とりあえず一億円を計上いたしておる次第でございまして、これをやっていくという決心、計画には変りはないのでございます。
  87. 中島巖

    中島(巖)委員 どうも今までの質疑応答を通じてみますと、全く無計画というのか、予算の裏づけはない、そのつどきめるというようなことだ。すでに建設した線だけでも、従来の平均予算からいけば二十カ年近くもかかる、こういうよう状態のときに、調査すべき線として設定したかせぬかわからぬような線を、来年にも煙を吐いた汽車が来るような宣伝をしたり、それから署名運動なんかも開始して、十万名の署名運動なんということを私どもの地元ではやっておるのであります。今お聞きするとそれが調査線にも入っておらぬ。こういうよう状態で非常にその宣伝がひどくて、今考えると、大宅壮一流に言えば一億総白痴というような変な現象を呈しておる、こういう状態なのですが、そこで大臣に希望することは、やはりこういうものははっきりすべきであるし、それから鉄道敷設法ももう改正せねばならぬ段階に立ち至っておりますし、やはり予算の裏づけのあるところの整備計画を大蔵省その他とともに合議して立つべきだ、こういうように考えるのですがこれに対して先ほどと重複した質問になるようでありますけれども、もう一度大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  88. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 御趣旨のところは私もよくわかります。ただ今のところ本年は資金が九十億、これは理想としましては最初申し上げたように百三十億いけば、建設の突っ込み方も鋭くなるはずでございますけれども、現在いろいろの事情によりまして九十億ということでできたわけでございまして、その点は私も決して満足はいたしておりません。よけい取れるほど促進されるということは事実でございます。しかし現在の計画としては、この単年度においてこの予算を計上して実行していくということは御了承を願いたいと思います。
  89. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで最後に政府としての意見をお聞きしたいと思います。ただいま質問した具体的な問題に入るわけですが、飯田—三留野、中津川—下呂、これを調査されておる、こういうことをお伺いしたわけなんですが、これは国土開発縦貫自動車建設法によるところの高速自動車道の予定路線で法律で決定しておるのです。こういうようなところに対する重複投資をということになるのですが、政府はそういうようなことをされるお考えがあるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  90. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 ただいまの御指摘の線は調査線になっておる、それから道路とあわせてやっていく、こういうふうに考えているのでありまして、おのずから分野と申しますか、使命も違ってきておりますから、その点は総合的に考えておるわけでございます。
  91. 赤澤正道

  92. 石村英雄

    石村委員 大臣に簡単なことでまずお尋ねしておきたいと思うのですが、今日鉄道の輸送に当りまして、木材とかまきとかの輸送の超過料金を、非常に鉄道はきびしくお取りになるという問題でございます。御承知のようにまきあるいは木材というものは、乾燥度合いによって非常に重量の違うものですが、これを十五トン車へ積んで送る、そうすると途中で鉄道の方でお調べになって十五トン半あった、そうすると五百キロというような運賃はないからというので、これを一トンに切り上げ、そうして罰金的な四トン分の追加料金をお取りになる、こういうことで大へん業者の方ではやかましく不平を言っておるわけなんですが、これに対する大臣のお考えをお尋ねしたいと思うのです。なぜそんな罰金のような超過料金を取ることを認めておるかという点これをたとえて言えば、われわれが店屋へ行って何か砂糖でも買う場合に、その砂糖を売るところにははかりがない、店員がおってお客さんと店員とでこれは一斤あるだろう、一斤でございましょうと言って一斤八十円なら八十円で買って帰る際に、店屋の出口で取っつかまってはかられる、そうするとこれは百七十匁あった、十匁一斤よりは多いのだ、この店では四十匁単位で売っておって、十匁なんというものは売りませんから、四十匁分の二十円の四倍の八十円をちょうだいいたします。例としてはこういうことになるわけです。これはたとえ話ですが、そういうふうに運賃を罰金的にお取りになるのはどういうわけですか。大臣はこういう鉄道のやり方をどういうお考えで是正せられるのか、一つ大臣のお考えを伺いたいと思います。
  93. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 今御指摘の事柄は、鉄道営業法による運輸規程がございますから、それによって国鉄はやっておるのでございまして、現在のところそれによって国鉄がやっておる以上は、私はこれを是認せざるを得ないのであります。その是非につきましては、私は規定通りやっておられるのでございますから、今これをどうするということの態度はとっておりません。
  94. 石村英雄

    石村委員 もちろん鉄道が規定によってやっておられるということはわれわれも了解するのですが、そのような罰則的な料金を取るということが妥当であるかどうか、それに対する大臣のお考えを聞いておるので、鉄道が規定通りやっていないかどうか聞いておるわけじゃない。これは悪意があって十五トン半のものを十五トンだと言って送ったというなら、罰則も必要かもしれません。しかし荷を送るときには鉄道の者も立ち会っておるわけです。そうして十五トンだろう、これでよろしかろうと言うて送る。ところが途中ではかってみるとそれが十五トン五百キロあったというので、これは規定によって四倍——正確に言えば三倍ということになるかもしれませんが、四倍の超過料金を取る。これは実際十五トン半の運賃をお取りになるなら、常識的に考えてだれも文句を言いません。それを半トンを切り上げて一トンにして、そうしてその三倍を取る、これは一種の懲罰的な料金だと思うのですよ。これが送る場合に鉄道の者が立ち会っていない、あるいはごまかして詐欺的に十五トン半のものを十五トンだと言って送ったのなら、それは罰金的に四倍取られたってやむを得ないかもしれません。しかし鉄道の送る仕事をする方が、大体からいえばはかりがあるのが当然だと思うのです。しかしそんな大きなはかりはなかなか全鉄道の駅に備えるわけにもいかないという事情もあると思いますが、悪意でないものを四倍も取るというような取り方ですね、そのことに対する大臣のお考えを聞いておきたいと思うのです。
  95. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 わかりました。今の御指摘の問題は、別に懲罰的とか罰則的ではございませんで、一種の増し運賃とも見るべきものでありまして、あなたの御解釈ように私は考えておらないのでございます。
  96. 石村英雄

    石村委員 罰則でないといっても、五百キロのものを一トンに切り上げることがまず問題だと思うしそうしてそれを四倍にする。送るのが一トンなら正確に言えば三倍ということになるか知らぬが、料金を納める方からいえば四倍という感じになると思うのですが、それだけ取って、それは罰則じゃないとはどういうわけなんです。五百キロ超過したから五百キロ分の運賃を取るというなら、これは罰則ではないでしょう。また単位計算の関係で一トンにするということもあるいはやむを得ないかもしれません。一トン分を切り上げて取るというならこれは何も罰則ではございません。しかしそれを一トン分にして、そうしてそれの三倍を増し運賃として取る、これは罰則でありませんとおっしゃっても通用いたしません。だれが考えましても三倍も取られて罰則でないとどうして言えますか。五百キロ分の運賃をそのままお取りになるなら、超過したのだからこれは当然のことで、これは罰則ではございません。しかし切り上げて、しかも三倍、出す方から言えば四倍という感じを持つ、そういう運賃を取って、これは罰則でないから当然でございますと言う大臣の御答弁は、常識はずれだと言わざるを得ないと思うのです。大臣はやはり罰則だとはお考えにならないのですか。
  97. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 私は増し運賃だと考えておりますが、そういう取扱いの詳細につきましては、国鉄からお答えを申し上げて御了承を願えることだと思います。
  98. 石村英雄

    石村委員 それは実際の取扱いについては国鉄当局から御説明を聞きたいと思います。しかしこれは罰金でない、増し運賃だ。運賃をふやすのだから増し運賃だという御説明かもしれませんが、当りまえの量に対する料金なら、それは追加分の増し運賃かもしれません。しかしそれを四倍にしておいてこれは増し運賃でございます。それは運賃かもしれないが、取ることは罰金的なことだと言わなければなりません。どういうわけでそれが罰則でないという理由が運輸大臣の判断から生まれるのですか。
  99. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 私は別にこれは法律的な罰則でない、そういうふうに考えております。
  100. 石村英雄

    石村委員 それは罰金とかなんとかいえば、裁判所が裁判して判決を下してでなければ罰金でないかもしれませんが、世間の考えでは常識的にこれは一種の罰金だと考えておるわけです。何も裁判所で判事から判決を受けてこれを出すわけではありません。従ってこれは罰則的なものだ、こう考えるわけですが、まあ運輸大臣がどうしてもそれは罰則でないと言われれば、常識問題で、運輸大臣の常識をわれわれは疑うということになるだけですから、この押し問答はやめますが、それでは国鉄当局の御説明をお願いしたいと思います。
  101. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま大臣からお話がございました通り、この増し運賃の問題は、荷主の方々からいろいろお話のあることは事実でございます。おっしゃる通り非常に過酷だということも、率直に申し上げましてときどきございます。私どもの方といたしましても、できるだけこれを荷主側にとってもあまり不利でないように、また私どもといたしますと実は自衛上——ことに木材関係は非常に荷くずれが多いわけでございます。増し積みをしたことによります荷くずれ、それから十五トン車に積載できないような重量を積んだことによって、ハネが折損するというようなことによりまして、非常に運転事故の原因になりやすいというような建前からいたしまして、私どもの方といたしましてもある程度これは厳格にやらなければならないという二つの要請をあわせまして、実は一昨年になりますが、だいぶ今までのやり方を緩和いたしまして、ただいまおっしゃいました十五トン車を例にとりますと、五百キロでございませんで、七百五十キロくらいまでは増し運賃をいただいておりません。そのうち百二十キロくらいまでは全然無賃でございます。七百五十キロ以下でございますと、私どもは車扱いにつきましては一トン未満の計算をいたしませんで、これは一トンに切り上げるわけであります。従って七百五十キログラムと申しますのは、十五トン車の百分の五でございます。貨車の百分の五未満につきましては今おっしゃいました三倍の増し運賃をいただきませんで、規定のトン数だけの運賃でそのまま輸送するわけでございます。しかしながらそれ以外になりますと、七百五十キログラム以上超過する、重量に対して百分の五以上超過いたしますと、それは実際には発見いたしますとその場でもっておろさなければならない。すなわち超過部分だけおろしまして、別な貨車でもってそれを輸送するわけです。従いましてこれらにつきましては、先ほどおっしゃいました通り増し運賃をいただいておりますが、元来車扱い貨物につきましては、先ほど店屋で買物される例を御引例になりましたけれども、実は小口扱いの貨物と車扱い貨物とは扱いが違っておるわけであります。小口扱い貨物はほとんど一件の荷主さんばかりでございまして、ちょうど郵便局の窓口と同じように、私どもの方でそれの目方をはかりまして運賃を計算いたしまして輸送する。従って小口貨物を積んだりおろしたりする責任は全部国鉄側にございます。ところが車扱いの貨物につきましては、今おっしゃいました通り、木材とかまきとか石炭とか鉱材とか、非常に大量の貨物でございまして、大体常時出荷される荷主が大部分でございます。従いましてまた荷物の重さも非常に重いというようなことで、私どもが各駅でそれをおはかりいたしまして、貨物をお引き取りするというだけの能力がございませんので、車扱い貨物につきましては積みおろし料金をいただきませんで、オン・レールだけの運賃をいただくわけでございます。従いまして鉄道営業米法によります鉄道運輸規程によりまして、車扱い貨物につきましては、そのトン数を荷主が御申告下さることになっておるのでございまして、御申告されました重量につきましては荷主が責任を負われるという約束に、実は省令できまっておりますが、なっておるわけでございます。従いまして本来ならばたとえば石炭とか鉱石になりますと、ほとんど荷主自身がはかりではかる設備を持っておられます。木材などになりますと、実は私どもの方の貨物掛がしろうとの目で見ましても、ぬれている木材とかわいている木材の重量の差別は、なかなかわからぬということで、荷主側が、この木材は十五トンだといって御申告になれば、さようでございますかということで、十五トンとして運賃を計算しましていただいておるわけでございます。外側から見て非常に側板からはみ出しているということはわかりますけれども、たとえば側板の下に非常にしめった重い木材が入っておるなどということはなかなかわかりませんし、また現実にわかりましても、一体どれくらい重いかということを見るのは、しろうとの目ではなかなか困難だということで、これは全部荷主におまかせしておるわけでございます。もし荷主側がそういう御設備がない場合には、私どもの方にはかりがございます。全国で約二百六十カ所ぐらい貨車ことはかるはかりを持っております。従いまして、全国の貨物駅は約四千ございますが、約十六、七駅に一駅、橋ばかりを備えた駅があるわけでございます。従いましてその駅ではかってくれという御要望がございますれば、かりに御申告だけの運賃をいただきまして、はかりましたあとで運賃を精算するという制度も開かれておるわけでございます。現に年間に十五万件くらいは秤量を私どもの方に委託される荷主があるわけでございます。こういう荷主にとりましては、いわゆる過積みという問題は全然起らないわけでございます。従いまして私どもといたしましては、極力はかりをもっと増備するということと、荷主側でも極力その秤量を私の方にはかってくれという御委託をしていただきたいということを申し上げておるわけでございますが、荷主側といたしましても、始終出荷されておって、荷主でもって大部分目分量でわかっておるということで、実はほとんど秤量を委託されないというような現状でございます。最近の例から申しましても、実は十五トン車に二十トンくらいお積み下さっても、外から見てもほとんどわからないというような例もございまして、これらは運賃上多少問題もございますので、その点につきましては、私の方の運転保安という建前からいたしまして、あまりに極度の過積みに対しましては、ある程度増し運賃をちょうだいいたしておりますが、先ほど申しました通り、百分の五以内、十五トン車につきましては七百五十キログラム以内は、普通運賃だけしかいただいておりません。
  102. 石村英雄

    石村委員 その積みおろしを鉄道がやっていないと言ったって、それは積みおろし作業についてやらないというだけの話で、何も輸送について鉄道がやらぬというわけじゃないのです。そのことと過積みの問題は別だと思う。そうして橋ばかりを用意しておるということですが、これは今の数字をおあげになったように、まだはかりのない駅がたくさんあるわけです。その駅にはかりがあればそれを使用しろ、そうしてちゃんとはかって送るというならわかりますが、その駅にないときに申告しろ、こう言ったって途中の駅ではかるということにすぎないと思うのです。それでは意味をなさない。どうしてもはかりを使用しなければいかぬといいましても、積み駅にはかりを置いておって、そうしてこのはかりを使用しなければ受け取らぬとか、それではからなければいかぬというのならわかりますが、その駅にはかりがない。はかりがある駅でそんな積み方をして、そして文句を言ったというなら、それは業者の方が悪いと思うのです。それはやらない。そのやる駅に、はかりがないわけです。業者の方も四倍取られていいわけじゃないのですから、なるべくそんなことのないようにしたいのですが、駅の方がしろうとでわからぬというように、業者といっても、この木材がこの程度にぬれたら幾ら目方がふえるということはわかるものじゃありません。ただ長年の経験で、千束まきを積むなら九百束にするとかなんとか、ある程度の見当はたつでございましょうが、それは正確にわかるわけじゃございません。それを四倍取るというのはひど過ぎるのじゃないか。あまりにひどい。はかりを全部備えつけておって、そうして鉄道の方ではかって受け取るというのならわかりますが、鉄道で積みおろし作業——それは鉄道はなさらぬかもしれぬが、輸送というときには受け取られたということと同様でございましょう鉄道がどんなに規則をお出しになっておっても、この規則通りにやっておるからかまわぬじゃないかということは、権力を握っておる者の言うことであって、実際の業者の立場からいえば、そんなことは了承はできないわけです。これは鉄道が同じように並んで、片方の鉄道の方はサービスをしてよくはかって、そんなことのないようにする鉄道が同時に走っておれば、その方に行くにきまっておりますけれども国鉄一本ではいやでも国鉄に頼まざるを得ぬ。頼むと、やれ規則でございます、途中ではかってみて、こいつは超過しておる、こいつは四倍取るぞというのは、とにかくあまり過酷ではないか、こう考えるわけです。あなた方の御説明では、ただおれたちの方では規則を作ってこうやっておるからいいじゃないかという御答弁にすぎないとしか判断できないわけであります。鉄道と言ったって一つの商売です。お客さんにサービスするために文句があるならば、はかりを備えてちゃんとはかって輸送せられればいい。石炭を送ったりなんとかいうような大企業の人は、自分のところにちゃんとはかりを持ってやるでしょうが、まきとか木材を送る地方の業者は零細業者でありまして、そんな大きなはかりを自分で買ってはかって積み出すということはできません。三倍ですか、正確に言えば三倍ということになるでしょうが、出す方から言えば四倍取られたという感じになるのですが、その三倍あるいは四倍というものを、もっと軽くすることをお考えにならないですか。どうしてもそういう形を改めさせなければならない、こう言ったところで、はかりがないものですから、その四倍取られるのがいやなら、勢い安全率をうんとかけて、千送れるものは六百束あるいは五百束というように送らざるを得ないことになってきます。まきなんかのような運賃が価格に非常に大きなウエートを持つ場合には、業者としては打撃的な運賃になってくるでございましょう。またそれをちゃんと業者が損をせぬようにやるということになれば、都会の消費者は高いまきを買わなければならぬことにならざるを得ません。この点鉄道当局としても御一考願いたいと思うのです。
  103. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまのお言葉まことにごもっともでございますが、最近の改正におきまして、先ほども申しました通り百分の五までは増し運賃をいただかない。しかもそのうちの百二十キログラムまでは運賃をいただかないというところまで実は変えて参ったのでございます。もう一点申し上げますと、今までは百分の五以上につきましては、一車に積みました場合に、一車分の運賃をそのままいただいておったわけでございますが、今回は、一トン未満につきましては一トン分だけの運賃、すなわち私の方では一車を使用いたしますが、運賃は超過した部分だけのトン数の運賃だけしかいただかないというふうな、相当実は大幅な改正をごく最近いたしたばかりでございまして、その後、はかりもぼつぼつではございますができてきておりますので、私の方といたしましては、荷主方になるべく秤量の委託をしていただきたい、すなわち、今おっしゃった通り、まきとか木材の方々が御自分であの高価な橋ばかりをお作りになるのは不可能なことはよくわかっておりますので、できるだけ秤量の委託をしていただきたい、そういたしますれば、増し運賃の問題は全く起りませんで、私の方がはかりましたままの運賃計算で、もちろん不足いたしますれば不足分をいただきますし、超過いたしておりますれば超過した部分だけお返しするという制度、そういう精算制度でございますので、そういう制度をぜひ御利用願いたいということも実は申し上げておるわけであります。
  104. 石村英雄

    石村委員 三倍取られるという考え方は、何を基礎に三倍お取りになることに御決定になっておるのですか。これは二倍でもいいと思う。一倍半でもいいと思う。それを三倍におきめになった理由はどこにあるか。
  105. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 増し運賃の割合につきましては、いろいろ計算の仕方もございますが、大体旅客の場合におきましても、貨物の場合におきましても、不足部分の三倍という今までの大体通例によっておるというわけでございます。
  106. 石村英雄

    石村委員 旅客なら、これは切符を買って乗るということはわかり切った話ですよ。切符を買わずに乗れば、罰則的に取られたって文句は言えないと思うのです。ちゃんと運賃を払って、そうしてこれは十五トンであろうと思って十五トン送った。それがたまたまオーバーしたというのですから、旅客の例とこの増し運賃と——これは増し運賃じゃありませんよ、罰則運賃です。罰則運賃を三倍にきめた同じ理由で、同じ考えでおきめになるということは納得いきません。
  107. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 正確に申しますれば、超過した部分が百分の五以上でございますと、私の方でそれを小口扱いにして送ることがなかなか不可能でございますので、それをまた一車の貨車を使いまして輸送するわけでございます。もちろん荷主側から御要望があれば別でございますが、何もお話がなければ超過した部分を今の貨車からおろしまして、そうしてそれを別な貨車に積みまして、そうして終着駅までお送りするという輸送制度をとっております、その際に今まででございますと、たとえば一トンしか超過していなかったという場合でも、もし十トン車を使いますれば、私の方では十トン車分の三倍の運賃をいただいておったのでございますが、今回改めましてその超過部分だけの運賃に直した。従いまして今の御説明ような点でありますと、私どもの方から言いますと荷主側の負担は非常に軽くなったというふうに見ているわけでございます。
  108. 石村英雄

    石村委員 そうすると現在は超過しておったら必ずおろして、そうして別に送っていられるわけなんですか。
  109. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 現在では一トン以上超過いたしますと、超過部分につきましては必ず貨車からおろしまして、これは駅長だけでなしに、その方面の専門の技術者も寄りまして、そこで正確にはかりまして、十五トン車を超過してもし十七トン積んであったといたしますると、二トン分をおろしまして、そうしておろされた貨車をもう一ぺん十五トンであるということを確認いたしまして、そして二トン分については別に貨車を仕立てまして、運賃は二トン分の運貸を基礎にいたしまして三倍の増し運賃をつけて輸送しておったわけであります。今まではもしその二トン分を十トンの貨車に積んだといたしますると、十トン分の貨車の運賃とそれの増し運賃をいただいておったわけでありますが、今回の改正でそれを二トン分だけの運賃にとどめたわけでありまして、その点は非常に私どもといたしましては改良したつもりでおったわけであります。
  110. 石村英雄

    石村委員 その改正はいつごろからおやりになったのですか。
  111. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 三十一年の九月からでございます。
  112. 石村英雄

    石村委員 いろいろ以前に比べれば、だいぶサービスをなさるようになったようですが、三倍という問題は相当な高率な罰則的なものだとわれわれは考えざるを得ません。これに対してもさらに御検討下さって、はかりを全部備えるに越したことはありませんが、なかなかそうも国鉄も、高いはかりでしょうからいきかねるかと思うのです。その点も考えて、輸送上のサービスということも深く、今後さらに三倍を二倍にするとかあるいは一倍半にするとか、その他別の方法でサービスをするとか御考慮をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  113. 赤澤正道

    赤澤委員長 本日はこの程度にいたし、これにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後零時三十四分散会