運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-03-12 第28回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十二日(水曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 赤澤 正道君    理事 生田 宏一君 理事 畠山 鶴吉君    理事 濱野 清吾君 理事 山本 友一君    理事 井岡 大治君 理事 松尾トシ子君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       小泉 純也君    原 健三郎君       小山  亮君    下平 正一君       松原喜之次君    眞鍋 儀十君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    大堀  弘君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  尾村 偉久君         高等海難審判庁         長官      長屋 千棟君  委員外出席者         大 蔵 技 官         (主計官)   鹿野 義夫君         厚 生 技 官         (大臣官房国立         公園部計画課         長)      千家てつ麿君         運輸事務官         (観光局計画課         長)      蜂須賀国雄君         運 輸 技 官         (観光局整備課         長)      重松 敦雄君         建設事務官         (計画局都市計         画課長)    小林 忠雄君         参  考  人         (内閣観光事業         審議会会長代         理)      平山  孝君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月十二日  委員池田禎治君辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十日  南島線敷設に関する請願田中幾三郎紹介)  (第一五一四号)  同(中井徳次郎紹介)(第一五一五号)  松戸市、小山間鉄道敷設に関する請願(臼井  莊一君紹介)(第一五二八号) 同月十一日  関西本線電化促進等に関する請願田中伊三次  君紹介)(第一八一〇号)  千代川駅昇格に関する請願田中伊三次君紹  介)(第一八一一号)  枕崎線知覧町内停車場位置に関する請願(床次  徳二君紹介)(第一八八九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  海難審判法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二三号)  観光に関する件      ————◇—————
  2. 赤澤正道

    赤澤委員長 これより会議を開きます。  この際小委員会設置についてお諮りいたします。理事会で御決定いただいたのでありますが、陸運に関する小委員会及び海運に関する小委員会をそれぞれ設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤澤正道

    赤澤委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 赤澤正道

    赤澤委員長 それではさよう決定いたします。後刻公報をもって御指名いたします。     —————————————
  5. 赤澤正道

    赤澤委員長 次に観光に関し調査を進めます。  この際お諮りいたします。本件について参考人として、学識経験者であります観光事業審議会会長代理平山孝君より御意見を伺いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 赤澤正道

    赤澤委員長 それではさよう決定いたします。  質疑の通告がありますからこれを許します。畠山君。
  7. 畠山鶴吉

    畠山委員 私は今回特に観光に関する問題につきまして、関係各省の御意見を拝聴して、観光問題が現在のようなやり方でよいか、各官庁にまたがっておりますので、関係官署の御意見をはっきりとお伺いしたいのでございます。  第一点に大蔵省観光面に対する融資業者の種別に対しての御意見をお伺いしたいと思います。——それでは大蔵省関係の方がまだ見えておらないようでありますので、見えるまでの間、観光審議会会長代理平山参考人に、今日までの国際ホテル建設に対する資金面営業面、それから経営方面についての実態をお伺いしてみたいと思います。
  8. 平山孝

    平山参考人 私全般的のホテル関係実態面につきまして、まとまったものを本日用意をいたしておりません。ただ私は東京駅の八重洲口国際観光会館を作っておりまして、そこにはなはだ小さなものでございますが、国際観光ホテルを経営いたしております。これは主として観光事業に対していささかでも貢献をいたしたいという気持で作りましたものでございます。全体の建物のうちの約三分の一をホテルに充てておるのでありますが、その面につきましては昭和二十八年に開発銀行その他から借金をいたしましてこれを建設いたしたのでありますが、しかし何分にも金利相当にかさみます。日本におきましてホテルが非常に高いという評判が各国の間にございます。これはアメリカとの比較でなくして、むしろ欧州との比較であろうと思うのでございますが、御承知のようにアメリカ人は大部分欧州に旅行いたします。欧州ホテルに泊りまして、それからまた日本に参りまして日本ホテルに泊りますと、日本ホテルが非常に高いということを言われるのでございます。これは一つは、私のところでもそうでございますが、大体建設をいたすにつきまして約八億ほどの借金をいたしておりまして、その八億ほどの借金の大体の金利が約一割に当っております。そういたしますると、年々八千万円の利子を払わなければならない。こういうような状態にございます。しかして私のホテルでは大体八〇%というものは外国人で、ことに私のところは二流のホテルでございますから、東南アジア方面の方が大部分泊っておられるのでございますが、日本人の利用客というものが非常に少くわずか二割、ときによりますと二割を多少上回ることもございますが、その程度でございます。従いましてちょうどただいまくらい、十二月から一月、二月、いわゆる外国人の来ないシーズンオフになりますと、ホテルというものはがたりと客が減ります。そこで収入も非常に減る、こういうことになります。欧州諸国では、大体ホテル建設につきましては国家が低利融資をいたしております。聞くところによりますと、大体利子が三分ないし三分、そして建設費の半分までは補助をする、期間が大体二十年、こういうことになっておりまするが、日本では開発銀行その他で拝借をいたしましても——これは拝借するのになかなか骨が折れるのでありますが、拝借するといたしましても、期間が大体七年、そして金利が大体一割、こういうことになります。しかも外国の方は内国つまり国内の人々がふだんでもみな泊るのでありますから、必ずしも外国人相手だけでなくてもいいわけでございます。ところが日本におきましてはどうしても外国人がほとんど大部分を占める。それがシーズンオフになりますとがたりと落ちる。こういうようなことで、ホテル経営といたしましては非常に困難が伴うというのが実情でございます。それがためにどうしてもホテル部屋代その他が高くなる。それがヨーロッパと比較されまするからして、参りました外国人日本ホテルは非常に高いというようなことを言うようになるのだろうと思うのでありまして、その原因はこういうところにあるのでございます。ホテル全般経営状態等につきまして統計を持って参ればよかったのでありまするが、ここに観光局の方もおられまするが、ペイしているホテルというのは、これは観光局の調べでございますが、総資本に対する利益率がわずかに六・三%というような状態にございまするので、帝国ホテルのごとき非常に古くて相当償却したというようなところはよろしゅうございますが、その他新しくできまするところは非常に困難の状態にある、こういうことでございます。
  9. 畠山鶴吉

    畠山委員 今平山参考人から営業上の問題について話を伺いました。そこで、資金の問題について開発銀行から相当の金額を融資を受けたようですが、その融資を受ける場合において開発銀行はどういう扱いをしてくれたか、どのぐらい期間がかかったか、この借入金に対して、関係各省はどの省がどういうふうに協力してくれたかというような点についてお伺いしてみたいと思います。
  10. 平山孝

    平山参考人 私のところの具体的な例でよろしゅうございましょうか。
  11. 畠山鶴吉

    畠山委員 よろしゅうございます。
  12. 平山孝

    平山参考人 私のところの具体的な例といたしましては、国際観光会館を建てますのに大体八億の借金をいたしたのでございますが、このうち開発銀行から拝借しましたのが一億五千万でございます。そしてその一億五千万拝借するにつきましては、経済企画庁から大蔵省の方へ融資に関するワクの中に入れていただきまして、そうして開発銀行に折衝をして拝借した、こういうことになるのです。
  13. 畠山鶴吉

    畠山委員 その金の借り入れに対して、つまり申し込んでどのぐらいの期間に一億五千万の金が入手できるようになったか。今申し上げておるこれに対して、一体どこが親切に丁寧に世話をやってくれたかということを伺いたい。
  14. 平山孝

    平山参考人 これは運輸省観光局に非常に骨を折っていただきまして拝借をいたしたのでございます。期間はどのぐらいかかりましたか、かれこれ半年ぐらいではなかったかと記憶しております。
  15. 畠山鶴吉

    畠山委員 参考人にあまりお尋ねしては恐縮ですから、順次お尋ねしたいと思うのですが、そこでまず運輸省計画課長あるいは重松整備課長に伺いますが、観光事業が今運輸省厚生省通産省にまたがり、そのほかにもまたがっておりますが、各省がなわ張り争いといいますかそういうような形になっていて、今後観光事業がこれでいいか、これでもって観光事業が先ほど平山参考人からお話のあったように、一つホテルを建てるにもなかなか容易ならぬことである。これには私は在来から知っておりますが、厚生省国立公園関係、あるいは環境衛生関係一般旅館関係許可権を持っております。それから運輸省ホテル整備法によるところの監督をされている。通産省国際的ホテル許可権を持っているような立場にありますが、同じような業種のうちで三つの省がこれを分断してやっておりますが、これで将来の国際観充の面を推進する上にいいのかということを、率直な意見関係各省から順次御意見を聞いてみたい。まず観光局計画課長からお伺いしてみたいと思います。
  16. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 お答え申し上げます。観光行政につきましてはただいま御指摘がありましたように、国立公園関係厚生省が持っております。なお道路につきましては建設省が持っておりますし、文化財保護につきましては文部省が持っておるわけであります。なお中央に観光事業審議会がございまして、関係各省に建議または勧告するような機関ができております。従いまして、総理府の方で各省間の調整連絡をしておるのでございます。ただいま御指摘ありましたように、非常に観光につきましては関連する面が多うございまして、たとえば運輸省でございますと、観光の面でも交通関係におきましては、観光局がやるのではなくて、海運、あるいは陸運につきましては別の面の監督もしておりますし、そういう面で同じものが違った観点から行政が行われておりますので、御指摘のような点はございますが、非常にむずかしい問題がありまして、これにつきましては関係各省と十分打ち合せいたしまして、観光行政効果を上げていきたいというふうに存ずる次第でございます。
  17. 畠山鶴吉

    畠山委員 今私のお尋ねしているのは、道路建設省だ、あるいは国立公園厚生省だというのではなくして、一つのものが三カ所に分れているが、これでいいのか、これで国際観光の面が推進されていくのかということをお伺いしております。
  18. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 ごもっともな御意見でございますが、現在旅館につきましては、環境衛生の面から厚生省が見ております。なお運輸省としましては観光面から国際観光ホテル整備法という法律もございまして、観光面から見ているわけでございます。ただいま御指摘のごとく、これが一本になればけっこうだと思いますが、現在の段階といたしましては、各省寄り寄り相談いたしまして、検討している段階でございます。
  19. 畠山鶴吉

    畠山委員 計画課長の話はどうも非常にばくとしている。私もっとこまかい実際の問題を伺いたいのですが、きょうは各省にまたがって質問をいたしたいと思いますから、このくらいにいたします。  そこで重松整備課長に今後の方針を伺いたい。今平山参考人からお話のあったように、昨年度は開発銀行を通じて、貸金をしたのは帝国ホテル一件だ。それ以外にはいろいろなうわさが上っておりますが、この融資の面、つまり援助協力という面が一つもありませんが、これでもって実際の国際観光ホテル担当している観光局としていいものか。私は先般欧米各国を歩いてみまして、日本外国一緒にしようということは考えませんけれども、こんなような状態ではますます日本地位が落ちるばかりで、観光事業というもの、また外貨獲得という点が、とうてい望まれないように考える。それは今計画課長にお伺いしたように、ばらばらになっているから、どこも力を入れてないのじゃないか、ただ場当りでもって月日を送っているような観光政策をやっているのではないかという感があるのですが、この点について一つ重松さんにお伺いしてみたい。
  20. 重松敦雄

    重松説明員 お答えいたします。ただいま御指摘のように本年度の開発銀行融資は今のところ帝国ホテル一件きまったばかりでございます。私の方といたしましては十数件と思いますが、開発銀行の方にあっせんの労をとっているのでありますけれども、きまったのは帝国ホテル一件だけでありまして、まだあと二件か三件が今きまりかけているような状況でありまして、三月中にはきまるのではないかと思っているのです。ただいま島山先生のおっしゃったような、ただ行政が両方に分れているからということでなくして、私たちの考えておりますのは開発銀行によるホテルに対する融資が雑の中に入っておりまして、観光ホテルのための整備というような柱がこの開発銀行融資の中に一本立っておりませんので、ただ最後の雑という中にこのホテルに対する融資が入っておりますので、どうしてもあと回しと申しますか、重要視されないという点から、こういうように融資の道がなかなかうまくいかないのでありまして、今後は関係方面と折衝いたしまして、この開発銀行融資の中に観光事業に対する融資と申しますか、そういう柱を一本ぜひ立ててもらって、もっと積極的に融資をやっていきたい、こういうように考えております。
  21. 畠山鶴吉

    畠山委員 今の回答ははなはだばくとしている。そのくらいのことなら前から知っているのです。この融資の面について雑という言葉でしたが、これは昭和二十六年に金融面の措置について、一応丙種であったものを甲種の面まで引き上げたのです。甲種の面に取り扱うことに私どもは努力して参ったのですが、その後いつの間にかまたけ落されて、雑の中へ入れられたように聞いております。それは一体どういう関係で、せっかく何十年か一番ビリケツに置かれた金融面甲種扱いにするまで持っていったものを、どうして落されたかという点について一つお尋ねしてみたい。
  22. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 一般市中銀行につきましては甲種になっておったのでございますが、開銀につきましてはなっておりませんでしたので、その問題につきましては、開銀については扱いは変っておりません。
  23. 畠山鶴吉

    畠山委員 それは蜂須賀さんは前のことをよく御存じなかったからそういうことになるのですが、私はかりにどこがどうであっても甲の地位まで引き上げたものをいつの間にか雑に落されて、そのまま今日までいるということはおかしいというのです。それでは観光局はこういう面に対して、実際どういう仕事をされているのかということになるのです。
  24. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 お答えいたします。一般市中銀行については現在も甲種に扱っておりますが、開銀につきましては、財政融資でございますので、なかなか甲に扱ってくれませんので、現在の段階では、ただいま整備課長からお話がありましたように、何とか開銀について現在の国際収支の改善その他の中に入っているのを、もう少しウエートをつけまして、柱にするなり、観光面を前面に出すなりして、開銀融資を積極的にはかりたいというふうに考えております。
  25. 畠山鶴吉

    畠山委員 どうも納得いきません。今平山参考人より外国融資金利期間の問題についてお話もあったので、私も平山参考人の言われたことを今度よく調査をして参ります。しかし日本外国とあまり違い過ぎる。そこで私は大蔵省にお伺いしてみたいのでございますが、大蔵当局におかれましても、日本観光問題はただいたずらに遊ぶために唱えているのではなく、国際親善外貨獲得という面で、いろいろの国際的関係考えられて、この面を推進しなければならない段階に至っていると思う。話はよけいなことかもしれませんが、今世の中で一番こわいのは税務署だ。大蔵省は取り上げることばかりは実に力を入れて、国民の血の出るような税金を、自殺するようなところまで取り上げているようです。しかし取り上げることはけっこうだと思うけれども、商売にしても一方だけでいいというものではありませんから、もうける方も、国民の経済が成り立つような方法も考えていただかなければならないと思うのです。そうするには、今どうしても日本は一億に近い国民がともかく生活をしていき、また国際的の仲間入りをして世界に立とうという場合においては、観光面による収入以外に何ものもない。しかるに、お伺いすればどうもまま子扱いにして業者には一つも力を貸してもらえない。早くいえばどうも他人扱いにされておるようですが、これらの点について根本的に改正するお考えはあるものかないものかお伺いしたいことと、今申し上げたように、ホテルの業界についてはばらばらになって、それすら一本にならない、また金融面に至ってはなお一本にならないというようなことになっておりますが、何か開発の道を開くお考えはないでしょうか、お尋ねしてみたいと思います。
  26. 鹿野義夫

    鹿野説明員 観光について、大蔵省といたしましても国際収支の面その他重要な問題があるということは先生も御指摘のように考えておるわけであります。ただ観光予算まま子扱いにしているようではないかとおっしゃられたのですが、私らといたしましては、むしろ観光の基礎的な条件があまりにも現在の日本ではみじめな状態にあるのではないか。よく新聞雑誌にも観光業者の方も漏らしておられるように、まず第一にほんとうにやってもらいたいのは、まっ先に目にするのはだれが何といっても道路関係じゃないかというようなお話があるくらいで、観光客を誘致しても、誘致した観光客が満足して帰って、さらに帰られて後宣伝されて、再び大きくなって来られるというような意味での、観光客が来られたときの基本的な施設の整備という問題がやはり第一じゃないか。その場合に考えられますのは、今申し上げましたように道路だとか、あるいは日本の重要な公園整備とか、さらにホテルの問題が出てくるだろうと思います。国として最も力を入れて、今おっしゃられましたように取り上げた税金をどこに使うかという場合ですと、国として現在まっ先にやらなければならぬ道路整備重点が置かれる。来年の予算についても、そういう意味での道路重点化ということが取り上げられているわけです。それは言いのがれになるかもしれませんが、広くいえば、観光の基礎的な条件整備するという面に十分役立つという気持においては当然考えられるのではないかと思います。あるいはまた国立公園関係整備につきましても、去年より相当程度増額をしております。また輸送力等観光の面において、実際どれだけ外貨の問題に関してすぐに寄与し得るか疑問だと思いますが、長い面では相当効果があるだろうというふうに思います。輸送の面につきましても今年は取り上げることになっておりますから、全体といたしまして決して観光予算まま子扱いにした考えは持っておらないと思うのでございます。ただ観光協会に対する補助金などを減らしているのではないかという御反論があるかと思いますが、その点はやはり民間一緒に協力してやっていく事業でありますので、今までの醵出金その他についても示そう民間に協力していただく面が多分にあるのではないかと思います。補助金関係全体に対してできるだけ整理していきたいという面から、運輸省観光予算に関する面を除きましてはそれほど増額をしなかったのでありますが、まあそういったような考え方であります。
  27. 畠山鶴吉

    畠山委員 今お話の点も、たびたび委員会等で伺っている話ばかりで、それでは一つも進歩がないと思います。この際お尋ねしたいことは、かりに三十三年度の予算にいたしましても、観光五カ年計画による予算を計上いたしましても、ほとんど消されております。むろんこの全部を受け入れてもらうということは考えておりませんし、またまま子扱いをしないというお話ですが、お話にあったような国立公園整備とか、道路整備とかいうものは世界を歩いてみましても、また大蔵当局の方々も方々視察されておられるでしょうから、よくわかっていると思いますが、旅行者というものは、もちろん道は必要ですが、まず泊るところがあるか、いいホテルがあるか、安い値段で泊れるかということが一番重点なんです。国立公園問題とか、いろいろな文部省の史跡の問題は、これはうっちゃっておいても、当然せねばならぬ保護法になっております。私の今指摘するのは、今までのやり方ではとうていだめだということです。それにはどうしても大蔵省がこれらの問題を本腰で取り上げていただく。早く言えば大きなタイをつりたいのだ、ドルをつりたいのだけれども、えさ代ぐらいは出してもらわなければ大きなドルはつれない。世界二十何億の金持ちの国民相手にどうしても戦わなければならない。それには今までのような考えではいかぬと思うから、お願いやら意見を述べて、これを実行してもらうようにしていただきたいと思うのです。これらの点について今説明になったことでは納得できないし、今までも年じゅう伺っていることですが、大蔵省はこれに対して、今までの開発銀行ワクの問題にしても、また正預金部資金も必要とあれば、何とかこれを考えてやろうというようなお考えはできないものでしょうか、伺いたいと思います。
  28. 鹿野義夫

    鹿野説明員 先生がおっしゃられましたように、先ほど述べましたことも今まで再三申し上げたことと同じ趣旨を申し上げたわけでございまして、やはりほんとうに基本的な問題は依然としてそこにあるのではないかと思います。ただ先生がおっしゃられましたホテルの問題その他についての抜本的な対策はないかということにつきましては、私説明員として担当範囲を若干逸脱いたしますが、やはり国の直接の補助金とか、そういう問題だけではなかなかホテル事業とは結びつかないわけであります。やはり融資の問題となる。融資の問題としてはどういう長期低利融資の道が開けるかという御質問になるかと思うのですが、そういう問題になりますとはなはだ申しわけないと思うのでありますが理財局、銀行局の問題になりまして、私もはたではいろいろ聞いておりますが、責任のある御説明をいたしかねるので、あらためて何か金融関係担当者をお呼び願いたいと思います。ただ知っている範囲のことを補足して申し上げますれば、開銀関係などにつきましても、従来もある程度そういう道が開けて、三十一、三十二年度ともホテル関係では二億ないし三億程度の金が出ているやに聞いております。またことしも開銀とかその他の資金以外に、一般資金としても三十二年度の繰り延べが若干増額している。ただし内容的にはいろいろと事情があって、ほんとう一般的な観光方面に回せる資金がどれだけあるかということについては、私の聞きましたところではなかなか余裕が十分ではないやに聞いておりますけれども、抜本的な対策をということでございますので、やはり担当の者をお呼び下さってお尋ね下さればと思います。
  29. 畠山鶴吉

    畠山委員 筋が違うからよく説明ができでないというのですが、今お話のうちにありましたように、現在国際ホテル建設しようというのに二億や三億のそれこそはした金で、一軒のホテルができるものだという解釈を持っていることが根本的に間違っているのじゃないか。今少くとも当局に出願しておるホテルは、大体小さいので十億前後じゃないですか。それなのにどうも国家の予算が二億や三億で全般的な問題を扱おうということでは、まるでどうも赤ん坊がおとなの仕事をするようなことになりまして、そういう考え自体が間違っている。外国の例を出して恐縮ですが、外国では、どんな町に行っても一番いい場所で一番大きな家が建っているのはホテルなんです。そのホテル融資はみな国農家がやっているのです。それに比べて日本はあまりに貧弱というか、考えが違うのじゃないか。ということは、もう戦争後平和国家として日本建設している段階にあるのに、昔のような排他的考えを持ってこの問題を取り扱っていただくようなことでは、とうてい進歩しないのです。業者の方は何とかりっぱなものを建てようということにきゅうきゅうとしているのですが、これから上はどうしても政府の協力をいただかなければならない。同時にパーセンテージ問題が出ませんが、実際に国際ホテルを建てていこうというのであったならば、自己資金五割に、低利資金を五割ぐらい少くともこれに対して貸すぐらいの考えと用意をしてもらわなければ、よいホテルはできないのじゃないか、かように考えますが、これらは資金部とは違うといいますがどうお考えになりますか、お尋ねしてみたいと思います。
  30. 鹿野義夫

    鹿野説明員 ホテルの自己資金がどの程度でなければならないかという御議論になりますと、私はなはだその点十分なる見識を持っておりませんのでお答えしにくいのでございますが、ただホテル建設資金が一億や二億の問題ではどうにもならぬので、もっと大きく抜本的な対策をとるべきじゃないかという御趣旨には、事実ホテルに国が相当力を入れてやるというのにはなかなか一億や二億の金では済む問題ではないというふうに考えます。ただ国としても観光が重要な問題であるということはよくわかっておりますが、いろいろな面で資金需要が非常にふえるものですから、十分な資金がさき得るかどうかということにつきましては今後十分検討をした上でないとお答えいたしかねる問題じゃないかと思います。
  31. 畠山鶴吉

    畠山委員 今の鹿野さんの説明はごもっともでありますが、私の要望するところは現在の考えではいけないから、新たに根本的な考えをしてもらいたいということなんですが、ぜひ一つ何かの会合の際、今までのようなことではいけないからこうしてやろうではないか、こうしなければいけないのではないかという点まで一つ御配慮を願いたいと思います。  運輸大臣がお見えになりましたので、お尋ねしてみたいと思います。運輸大臣はこのホテル整備法なんかに関連しましていろいろお考えを持っておるようでありますが、大臣がホテル整備法の改正について意見を述べられた内容を先般お伺いして、ごもっともだと思います。しかしこのごもっともな点を裏づけるためには運輸省並びに大蔵当局のこれに対する助成方法が完備しなければ、大臣は法律改正の案を出されましたが、これはマッチしないと思う。先ほども大臣の見えないときにお話ししたのですが、ホテル整備法関係は運輸大臣であり、また一般旅館厚生省であり、それから純粋のホテル通産省が持っておる。この三つになっておりまして、何だかお互いに勢力争いみたいな立場に置かれておるようですが、いやしくも国際観光ホテル担当しております運輸大臣としてはこの資金面について大蔵当局にこれに対して資金の協力をもっと十分にしてもらわなければならぬ。今もお話ししたが、まま子扱いみたいな扱いにされている資金面では、この問題は解決しないと考えておりますが、大臣の所見を拝聴したいと思います。
  32. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 国際ホテル整備法については、これから一番方を入れなければならぬのは、洋式ホテルもそうですけれども、日本スタイルのホテルを作っていく。これに私は今努力をしているところですが、いずれにいたしましても先立つものは金であることは申すまでもありません。そこで私は現在の金融情勢、現在の経済情勢から見まして、ホテルというものは、国家がこれに対して援助をする、あるいは開銀等を通じて援助するということでなければなりませんが、開銀資金と申しましても、そうホテルばかりに獲得もできません。これは実情を申し上げるのです。ですから自己資金によってやっていただくことを希望いたしますが、先般も申し上げました通り、国会が済みましたならば、観光局長なりにわれわれが話をして、生命保険などに一応当ってみようということを考えており、成功せしめたいと思う。やはり長期にして安い金を得ることが必要だ。しかし今日におきましてはやはり自己資金においてやっていただく。その割合はどうすればよろしいか。今仰せのように半分でやるのがよろしいか。これは多いほどよろしい。しかし現在のところは自己資金が多い。これはどういうふうな経路をたどっておるのか、私はまだ詳しいことは知りませんが、あの表など見ると自己資金が多い。そこでホテル整備法の見地からいたしますならば、これはやはり一面におきましては登録旅館として確保していくと同時に、やはり税制の上においてこれが助成をしていくということはやらなければならぬと思っております。もう一つ最後に申し上げておきたいことは、旅館のことは厚生省、国際ホテル整備運輸省、これもどうも一緒にしたらいいと思いますけれども、厚生省の方は主として環境衛生から考えており、こちらは観光というところからホテル整備法考えておる。もっともホテルと申しましても、衛生設備の悪いホテルには外国人は泊りませんから、われわれもその方面から見なければなりませんけれども、現在のところ多少の分野のあるということは御了承を願っておきたいのであります。
  33. 畠山鶴吉

    畠山委員 大臣は今このホテル整備法に対して、個人資金ということと、それから生命保険等を利用して、その方面から何か方法をとりたいという御意見です。もちろんそれはけっこうでありますが、私のお尋ねすることはそういうような個人的問題を考えてやると、外国人の満足できるところの宿泊の裏づけができない。外国へ行ってきますと、日本ホテルは高いということです。高いということは、資金面がうまくいっていないから高いということなんですが、やはり政府は、自己資金が五割であったら少くも五割くらいの低利資金ホテル建設に対しては必要に応じて融資をしてやろう、それ以上のことはお互いにやりくりをしなければとうていホテルはできない。また同時にやりくりしてできましても、赤字財政になって、利益があるというまでにはむずかしい商売でありますから、まずこれらの点を考えまして、運輸大臣がこれをもっと根本的にいろいろな事情を推察願ってやっていただくならば、一つの模範にもなろうし、大きく見ますれば国際親善の一助にもなろうし、また外貨獲得にもなろうという大きな問題だと私は思うのです。この際個人としては、機会があったらどんな思いをしても、どんな苦労をしてもやりたいという決意は持っておりますけれども、何しろ資金面が、今ホテル相当のものを建てるには莫大な金がかかるために、これが実行に移せなかった。それで今までのように観光局の御意見もしばしば伺っておりますが、私も観光局に対しては観光部時代からいささか今日まで続けておりますので、あらゆる事情は知っておりますけれども、今日はもう現実の問題になっておりますので、先般の運輸大臣のホテル整備法の所管問題につきましてもいろいろ意見が出まして、ホテル通産省によこせとか、あるいはこういう営業厚生省によこせとかいったような場合におきましても、微力ではありましたが、まず運輸省においてこれを強く推進してもらうということを条件にしたのでございまして、今さらそういう通り一ぺんの言葉だけを私はお伺いしたくないのですが、この際大臣に一つ何らかの措置を根本的に考えてもらいたいということなんです。
  34. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 率直に申しますれば、今預金部資金を出すとか、国家資金ホテルに出すとかいうことは困難であります。ほかに電力もあるし、鉄鋼もあるし、あるいは国鉄にも出してもらわなければならぬ。それでありますから今近くにやると言うことはこれは私はできないことは申し上げない。しかし開銀を通じて今私は努力をいたしております。現に大阪はできておりますし、あるいはまた京都あたり、その他各方面にも申し込みがありまして、これをやらすつもりでおりますが、今直ちにはそうでございますから、私は一応この生命保険などから考えてもらったらいいのじゃないかということで、これは一つその団体と懇談をしてやってもらう。しかし何分にもなかなかホテルの経営はむずかしいのです。これはあなたも御経験であって、あなたの方はなかなか健全経営をやっておられるので私も敬意を表しますが、建てたところでこれをどうして維持していくかということで、これはなかなかむずかしいのです。それでございますから、重点的に、ほんとう民間の資力のある人に対して私は開銀の援助をしていこう、こういうのです。このごろは流行的に、だれもかれも登録旅館の申請をしておるのです。私は率直に申しますが、これはストップしてもらわぬと困る。重点的に、ほんとうに資力のある人、まあ有名な実業家とか、あるいは地方における資力のある人、これに対して開銀がバックしていくというので、現実の問題でいくしか仕方がないと思うのでありまして、私はちゃちな、ちっぽけなものはやらさぬつもりでおります。やるならば、今畠山さんが仰せのように、五十億、百億の、これはジュネーヴあたりにあるようなホテルに負けないようなものをやるということに、私は今日努力をしたいと思っておるのでございます。
  35. 畠山鶴吉

    畠山委員 今の大臣のお話は、非常にわかったところもありますが、わからないところがあるのです。開発銀行ホテルにだけ金を出すわけにいかないということ、それはごもっともでわかっておりますが、ホテルに出した金は昨年度帝国ホテルに対して三億五千万円一件出したきりなんです。私に言わせるならば、帝国ホテルあたりは日本の代表ホテルであって、社会面においても信用の面においても、これらのホテルはむしろ開発銀行から出さなくも、自己資金でできるホテルじゃないかくらいに思っているのです。その安全なホテルへ一件出しただけで、その他のものはそのままとめられておるということ自体が、根本的に政策的におかしいのじゃないかと思う。ただホテルばかりに金を出そうなんということはもちろん考えておりませんでしょうが、しかしホテル建設に対しても、今大臣が言われたように、必要に応じてこれはどうしても建てなければならぬというようなホテルに対しては、やはりそれに相応するところの金額を出す用意がなければ、ただいたずらにやれやれと言ったところでこの問題は取り上げられる問題ではなかろうと思う。それを掘り下げてお考えいただくのでなければ、この問題は今後何年これを継続いたしましてももう五十歩百歩で、さっぱり前へ進まない、大英断をやっていただかなければならない。そこで生命保険の問題その他いろいろありましょうが、私は開発銀行あるいは預金部資金あたりも、国家がこれはどうしても必要であるというような場合には、これらの点を考慮に入れていただくところまで大臣等のお骨折りを願うのでなければいけないのじゃないかと思いますので、今までのありきたりの考えでなくしてやっていただきたいということを申し上げて、これに対して大臣のお気持を拝聴したいと思うのです。
  36. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 開銀資金ホテルに回っているのは今御指摘の通りです。三十三年度は今開銀と相談をいたしておりますが、これも重点的になるだろうと思います。しかしその重点的にもやるということの道がやはりついているということでありますならば、ホテルの充実はできるだろうと私は思いますが、国家資金預金部資金は、これは私が政治力があれば取れるのかもしれませんが、その点は将来私は努力をいたします。また大蔵大臣にもこの観光事業に理解を持ってもらって、金を出してもらうようにわれわれも努力をいたしていくことはここに申し上げたいのでありますが、現実の問題といたしましてはそういう事情になっているということを一つ御了承願っておきたいのであります。
  37. 畠山鶴吉

    畠山委員 大臣の話は一応そのくらいにしていただきまして、経済企画庁の調整局長さんが見えておるようですので、そちらに伺います。先ほど会議の前にいろいろ話も出たのでございますが、開発銀行融資等につきましては、経済企画庁に大へん御心配をしていただいておるようでございまして、ありがとうございます。そこで今申し上げましたように一年に一件しか融資をしていないなんということになると、ちょうどお化けが出たかというような感がいたしますので、これでは国際的親善あるいは外貨獲得というようなことを実際にお考えになっていただいているのか、これは考えていただかなければならない。今世界の広いところを歩いてみますと、日本のような島国根性であってはいけないのだ。戦争後十数年もたっております今日、今までのような経済のやり方だけではいけないと思いますので、この点について企画庁として一つ特に御配慮していただきたいことと、お考えをお伺いしてみたいと思うのです。
  38. 大堀弘

    ○大堀政府委員 私どもの方としましては、政府資金融資の基本的な方針を関係各省と相談をいたしまして、毎年きめておるわけでございます。開発銀行につきましても、その運用方針によって、それぞれ所管省であります大蔵省、あるいは産業の所管である各省、また融資の当事者である開発銀行が個々のケースと、その方針によって貸付をしておるわけでございます。ただいまお尋ねの観光関係につきましては、方針としては国際収支の改善に寄与する効果が顕著であるもの、また確実なものに対しては開銀融資を行うという方針を出しております。それによって、過去におきまして選別の結果、ただいまお話がありましたような実績が出ておるわけであります。むろん資金ワク全体がきまっておりますのと、いろいろと政策の上でございますものですから、希望通り百パーセント、たくさん出していくというわけにもいかぬと思いますけれども、重点的に国際収支改善のために、観光振興に必要なものについては考えていってしかるべきであり、また過去におきましても、そういう見地から金のワク内でそれが実行されている、こういうふうに考えております。今後私どもとしましては、やはり観光収入をふやしていくことも重要なことでございますから、全体の金の許す範囲においては十分考えて参るようにしていきたい、こう思っております。
  39. 畠山鶴吉

    畠山委員 今大堀局長さんからのお話は、表通りを歩いたようなまことにけっこうな回答だと思うのですが、私が先ほどから各省にお願いしておることは、掘り下げてやっていただかなければいけない。一年間にホテルに貸し出した金が一件、日本が幾ら小さい国といえども、日本じゅうでただ一つだけやっていたのでは、かりに十こしらえるのには十年かかるわけです。そんなスピード時代ではなかろうと思うのです。とにかく飛行機でさっと回れるという時代に、一年に一つこしらえて、それで各省が万全とされていることは、何とも私は言葉に尽せない問題があろうかと存じますが、私の指定された時間もそろそろ参りましたので、結論に入りたいと思いますが、今お尋ねしていきますと、経済企画庁がこの問題について大きな役割を果していただいておるように伺っておるのでございますが、どうか今後そういう小さな考えでなく、世界の大きなドルをつるのだから、もっと大きな考えをしていただきまして、必要に応じてそれに準じたお考えを願いたいということを大蔵御当局と経済企画庁の皆さんにお願いをしなければ、今後の観光事業はだめだと私ははっきり言えます。幾ら百万言うまいことを並べてもだめだ。だめならいっそこんな苦労をしないでよしてしまった方がいいかと思うくらいであります。  そこで今度は厚生省の環境衛生部長さんが見えているようですが、今までお話ししたような点を考慮していただき、同時に厚生省国立公園の問題につきまして、先ほどお話がありましたけれども、地方に行ってみますと、まだ何らの措置がしてないという声が高いのでございますが、これらは今どういうふうになっておりますか、お尋ねしたいと思います。
  40. 尾村偉久

    ○尾村政府委員 第一に旅館業法との関連があるかと思います。今国際観光旅館整備法と、それから旅館業法とこの二つが法的に規制しておるわけでございますが、ただこの旅館業法の方では今の観光目的とか、あるいはこれがどういうお客が必ず泊るというふうな形で分けておりませんので、ホテル旅館、簡易宿所、下宿というふうに、構造、設備の様式によってこの四種類に分けて、それぞれの最低といいますか、そういう分類されたものの属する最低の公衆衛生の立場からの衛生措置の基準というようなことで規制するのを目的にいたしております。これによりまして、旅館に泊った公衆が公衆衛生上非常なまずいことにならぬようにという基準を施行する、かような形で許可営業にいたしまして、営業許可をおろしておる、こういう形になっております。そこで現在全部合せまして約六万軒許可をしておるわけでございますが、このうちのホテルにつきますと今約百六軒、これが法によりましてホテル、いわゆる洋式旅館というものでございまして、これが百六軒、一般旅館が五万二千軒ほどございますが、このうち国際観光旅館といたしまして登録されておりますものが、私の方で調査いたしまして現在のところつかんでおりますのは、ホテルの方では今の百六軒のうちの約七割近い六十九軒が属しておるかと思います。それから旅館の方ではこれは一割強の五万二千軒中約六百軒——五日九十八軒、こういうふうになっております。従いましてこれら和式旅館、それから洋式旅館の中で、さらに国際観光という観光政策の上からの任務を付与いたしまして、こういうふうな別の形でさらに分類されておる、こういう形になっておりまして、従って同じ国がやる法律が二つあってはおかしいという点はございましょうけれども、実質的には内外人を問わず最低の衛生措置というものは洋式旅館ならこれだけ、和式旅館ならこれだけというのは一本であって、それにそれぞれ特殊な任務を与えてそれにプラスする、そのようなのがやはり適当ではないかと考えておりますが、ただしいてこれを一本の法律にいたすといたしますれば、旅館の中でさらに国際観光、大部分外人が泊るかもわからぬという種類の任務を入れた国際観光の和式旅館の最低基準、あるいは国際観光の洋式旅館の最低基準というものを、さらに種類をふやしまして、これらの衛生基準をきめるという方法もありますが、これはしかし大した意味がないのではないか。むしろ衛生基準中心のものは今のような程度で引いておきまして、先ほどからのお話のように、外人が泊る場合の、日本人と違った慣習等に合せて満足のいくようにという全般的の観点からプラスしたものが、ほかの観光政策と一本になった整備法の方が適当ではないかというふうにわれわれは存じておりまして、今のところこれを取り入れて一本化する方がよろしいとは存じておらぬわけであります。  それから国立公園との関係でございますが、これは私自身の所管でなくて、きょう国立公園部の課長が参っておりますが、これが同じ厚生省といいましても、今と同じことでございまして、国立公園地帯の中には、今度は旅館という形で最低の規制はもちろん必要でございますが、さらに国立公園地帯観光方策とマッチしたような形でいろいろ助成をしなければならぬわけでございますが、これは今のところ特別な助成は考えておりませんで、むしろ国際観光の方で、一本でやる、こういうことになっております。ただ重要なことは、これらの国際観光旅館について外人が一番困っておりますのは、やはり清涼な飲料水とそれから便所、さらに少し落ちますがバス——浴室の関係でございます。この三つの条件がそろいませんと、いろいろと不都合の点が多いというふうに聞いておりますので、これは旅館業法の中で助成はいたしておりませんが、一般環境衛生施設といたしまして、国際観光旅館のある地帯全体が水洗便所化できる、あるいは井戸水を直接個々にくみあげるのではなくて、水道が引かれるということが、観光旅館それ自身の整備費を非常に軽減すると同時に、一番理想的な形になると思いますが、この方が極力そういうような観光地帯に優先的にこれらの整備費を——これは補助金もついておりますが、それから上水道の場合には、特別な公営企業債のワク獲得いたしまして、全部割り当てるようになっておりますが、公共団体がやる場合にはそういうことを十分考慮に入れて現在でも配付等を考えております。ただ直接民間企業そのものに与えるという形は、一切考えておりませんが、実質はある程度役に立っている、かように存じております。
  41. 畠山鶴吉

    畠山委員 時間がありませんから、厚生省問題はお伺いすることができませんが、とにかく環境衛生問題の法律も制定しましたし、法律化していろいろむずかしい問題がたくさん出て参ろうと思いますが、今後またこれらの問題につきまして、一段と健全なものにしていただきたいことを特にお願いをいたします。  最後に私は、建設省の都市計画課長さんが見えておるようですから、簡単にお伺いしてみたいと思います。憲法九十五条による特別都市の法律が制定されて、約十年近くになんなんとする今日、これに対して国は援助をしなければならないという規定があるにもかかわらず、その主管たる建設省は何らの援助の措置を講じられておらないが、実際の問題はどうなっているかについてお伺いしてみたいと思います。
  42. 小林忠雄

    ○小林説明員 ただいま御質問がございました特別部市計画の問題でございますが、現在一般的に都市計画は都市計画法に基いておりますが、そのほかに何らかの特別な措置を定めております特別な都市計画法が十五ございます。その十五の中には広島、長崎等の平和都市の建設法でありますとか、あるいは横須賀、呉、佐世保、舞鶴等の旧軍港市転換法でございますとか、各種ございますが、観光都市と名前のついております特別法は七つございます。しかし通常この七つのほかに、芦屋、軽井沢など八都市あるわけでございますが、これらの観光都市と名のついております都市のうち、京都を除きました分につきましては、これらの法律昭和二十五年及び二十六年にできておりますので、二十五年から三十三年までの第一期の事業計画を、各都市の要望等をまとめまして立てておるわけでございますが、その総事業量は街路につきましては総計四億五千五百八十四万円でございますが、昭和三十二年度までの国庫補助対象となりましたもの、及び各市の都市計画税等を投入いたしました事業の実績は、三億一千百八十七万八千円でありまして、全体の進捗率は六八%になっております。これは街路分についてだけでございますが、実はお話のように、必ずしもこれらの都市に対して、国家が非常に余分の助成を都市計画関係でしておらないということは、ある程度事実でございますが、実は戦災復興の特別都市計画事業というものが、昭和三十三年度で終了をいたします。戦後十年間の都市計画事業の国費の使い方はもっぱら戦災都市の復興ということに重点が置かれておりましたために、それ以外の都市につきましては、やや力が及ばなかった点があるのでございますが、この戦災復興も三十三年度で終了いたしますので、その他の都市につきましても三十三年度以降は、従来よりははるかに余分の助成がなし得るであろう、このように考えられるのでございます。
  43. 畠山鶴吉

    畠山委員 今御説明のことは、私の伺ってることと少し筋違いなんですが、私は今御指摘になりました八観光都市にしてもいいのですが、これに対する助成はどういうことをしているか。三億幾らとか、四億幾らという数字がありましたが、私の見るところでは、この八都市に対して個々には何ら措置が講ぜられていないと思う。同時にこの都市は一年に二回、総理大臣に対して計画収支の報告をしなければならない義務を負わされていながら、何らの措置が講ぜられていないが、ただ二面税的にどうとかいうのじゃなく、これに対して実際に何らか援助、補助ができておるかということですが、できていないと思うのです。できていたならば、どことどこがどういうような性質によってできているかということを伺いたい。
  44. 小林忠雄

    ○小林説明員 これらの八都市に関します法律によりますというと、これらの都市に関します都市計画事業は、すべてこれらの法律に基く特別な事業だということになっておりますので、ただいま御説明申し上げました数字は、法律的にはすべてこれらの特別法に基く補助だということに、法律的にはなっております。
  45. 畠山鶴吉

    畠山委員 その特別の法という仕事は、どういう仕事ができておりますか。
  46. 小林忠雄

    ○小林説明員 まずその内容は街路、公園、区画整理、下水道というようなものでございますが、そのほか来年度の事業といたしましては京都に国際観光会館というようなものを、京都市が中心になって建設をいたしますが、そのうち国際会議場として建設される分が六千万円ほどございまして、その分のうち三分の一の国庫補助考えております。それ以外の都市につきましては広島、長崎につきましては平和記念堂とか、そういうような建築物に補助をいたしましたが、それ以外の観光八都市につきましては街路、公園、下水道、区画整理事業というような、他の都市で一般の都市計画事業として行われておりますものが、これらの法律に基く特別都市計画事業ということで、法律上は執行されておるわけであります。
  47. 畠山鶴吉

    畠山委員 一つの例を出して恐縮ですが、熱海あたりは非常に観光客が多いし、外人も非常にたくさん来られるので、これらの都市はむしろ法律がなくも、今御指摘のような点くらいは当然政府がやるべき問題じゃないですか。私はこれらの都市に対してあらたまった法律によるところの規定をやったのじゃないと思うのですが、どうですか。
  48. 小林忠雄

    ○小林説明員 確かに御指摘のような点があるわけでございますが、これらの観光という点から申しますと、必ずしもこれらの法律のあります都市のみが必ずしも観光客が多いというわけではございませんで、たとえば日光でございますとか、あるいは六大都市等は、数からいえばこれらの都市に劣らないだけの観光客があると思います。予算配分の点につきまして、こういう国会で御制定になりました特別な法律がございますので、できるだけ重点的な補助金のつけ方をしたいということで考慮いたしておりますが、他の都市よりも非常に余分なものをつけるというようなことは、道路整備の全国的な計画からいって必ずしも容易でございませんが、できるだけいろいろ努力はいたしておりますし、今後とも努力をいたすつもりでおります。
  49. 畠山鶴吉

    畠山委員 時間が参りましたので最後に一言申し上げたいと思いますが、今の話では納得できないのです。これは幾ら聞いても同じなのです。やるべきことをやるのは当然のことで、特別都市に対するお考えがないということを指摘しているのですから、それをしてもらわなかったら法律は必要ないのですよ。それを所管であるところの建設省は、御迷惑でも何らかの裏づけ措置を作ってもらいたいということをお願いいたします。この問題は非常に多岐にわたっておりまして、きょうは皆様に言いにくいことをたくさん申し上げましたが、要するに今までのようなおざなりでこの問題を取り上げていっていただいたのではだめだということです。どうかお互いに話し合っていただきまして、国際的に見ても恥かしくないようなものを一つ一つでも建設してもらいたい。さっきの融資の問題にしても、一年に一つやっていばっているようですが——いばっているわけでもないでしょうが、それで一ぱいだというのでは困るのです。日本は小さいといえども、どうも何だか恥かしいような気持もしますし、それではいけないと思います。どうかこの観光問題は、日本の経済安定と外貨獲得と貿易の振興のために、どうしても一段の御協力を願いたいという気持からいろいろ申し上げた次第でございますが、時間が参りましたので、私は他は次会に譲りまして、本日はこれで終りたいと思います。
  50. 赤澤正道

    赤澤委員長 観光に関する質疑は本日はこれにて終了いたします。平山参考人におかれましては、御多忙のところ本委員会に御出席下さいまして、大へんありがとうございました。この席より厚く御礼を申し上げます。     —————————————
  51. 赤澤正道

    赤澤委員長 次に海難審判法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これを許します。井岡君。
  52. 井岡大治

    ○井岡委員 先般海難審判法の一部を改正する法律案について御提案をいただいたわけですが、その御提案の中に、最近海難の審判が非常に多い、そこでこれを最も能率的に処理するために副理事官を置く、そうして所要手続をとって事件の早急な解決をはかりたい、こういうことでございましたが、多くなっている実績等、一応数字がありましたら具体的に一つお示しを願いたい。
  53. 中村三之丞

    ○中村国務大臣 この改正は今御了解下さった通りでございますが、海難の状況とかあるいはその審判の経過、これは長官から詳しく申し上げます。
  54. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 処理状況を説明するようにという御質問でございましたので、お答えいたします。今までの実績をお話し申し上げますと、理事官の受理いたしました事件が、昭和二十八年度には一万二千四百八十六件ございましたが、漸増いたしまして、二十九年度には一万三千四百四十件、三十年度には一万四千七百三十八件、三十一年度には一万五千九百三十二件、三十二年度には一万七千六百九十七件、これはまだ三十二年度は終っておりませんから一部推定でございますが、そういうことになっております。それがどういう工合に処理されておるかと申し上げますと、こまかいことを抜きまして、処理した件数は一万一千二百九十七件でございます。大体受けた事件の九〇%以上を処理しておりますが、前年からの繰り越しがございますので、結局二十八年度には九千百二十一件の残件がございます。それから二十九年度には、処理しました件数が一万三千百六十四件で、大体処理しておるのですが、やはり繰り越しがございますので、九千三百九十七件を残しております。三十年度におきましては、一万三千二百六十四件処理いたしまして、一万八百七十一件を残しております。三十一年度におきましては、一万五千百十八件処理いたしまして、一万一千六百八十五件というものが残って翌年に繰り越しとなっております。三十二年度には、先ほど申し上げましたように一部推定でございますが、大体一万五千二百五十四件処理できまして、一万四千百二十八件が次年度へ繰り越しという形になっておるのでございます。
  55. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで少しこまかくなりますが、副理事官をお置きになった趣旨がそういうことでございますので、概略でよろしゅうございますからお答え願いたいのですが、副理事官で処理でき得るとお考えになっておる件数、これがどのくらいありますか。
  56. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 これもやはり従来の事件処理に要する一人分の分量が大体ございますから、それによって算出いたしますと、簡易審判を諸求するものが、約二百二十件になります。事態軽微その他の理由によって、審判不要、すなわち刑事事件ですと不起訴という形になるものが千三百五十件ございます。そのほかの約八千五百件というものは、しけで貨物がぬれたとかいうような事件、それからここの理事官から向うの理事官に移す処理をいたします件数、これを合せまして八十五百件、大体、これくらいを今度の副理事官で処理していこう、こういう考え方でございます。
  57. 井岡大治

    ○井岡委員 お考えはけっこうなのですが、御説明の中にも算出ということが出ておりましたが、これはお考えだけでなしに、私は実績をお尋ねしておるのです。実績がわかりましたらお教えいただきたい。
  58. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 副理事官はまだ置いておりませんので、実績というものは、これからできるので、わからぬわけであります。
  59. 井岡大治

    ○井岡委員 そうではないと思うのです。簡易副理事官に適当する者、こういう者があるという考え方で副理事官をお置きになりましたのですから、これは算出でなくて実績ではございませんけれども、ある意味における実績、いわゆる軽微な事件ということになれば、これは一つの実績ということにもなりはせぬかと思うのですが、言葉が適当であるかどうかは別として、とにかくお教え願いたい。
  60. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 事実簡易審判をやっております理事官それ自身がこれに当って、一人の審判官でやっておる事件がございます。その実績はちょっとここに持ってきませんので、後ほどお知らせいたします。
  61. 井岡大治

    ○井岡委員 そうしますと、そのお考えでやれば大体事件が残らずにやっていけるというお考えですか。
  62. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 剛理事官が理事官を助けて今後やっていきますと、その年に受理した件数は、ちょっとそれを上回るくらいの処理能力があると思うのです。そういう算定をしておるわけでございます。
  63. 井岡大治

    ○井岡委員 官庁の方はえてして法律を改正なさるときには、そういうお言葉をお使いになるわけなんですが、私は必ずしもそういうことにならないのじゃないかと思うのです。と申しまするのは、今の理事官は二十六名ですね。そのほかに副理事官を何名くらいお置きになるお考えであるか、この点をまず聞いておきたい。
  64. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 七名でございまして、各地方海難審判庁及びその支部、七カ所ございますが、一カ所に一人ずつ置く考えでございます。
  65. 井岡大治

    ○井岡委員 七名置いて七カ所に一名だけお置きになる。なかなか私はそれは無理ではないかと思うのですが、それでおやりになれるということでありますので、私はあえてその問題は追究しないでおきましょう。  そこで事務的な問題をもう少し尋ねてみたいと思うのです。十条に「海難審判庁事務官は、上司の命を受けて、海難審判庁の事務を掌る。」というように載っておりますが、この事務官が上司の命を受けてやる事務というのは、どういう事務ですか。
  66. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 これは書類の整備だとか、あるいは各方面へ照会を出したりするような、事件に関する書類の作成とか、あるいは保管、送達というようなことがおもでございます。
  67. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると副理事官は、審判庁のどういう方からこれを任命するのですか。
  68. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 これは海難審判庁事務官でございます。事務官から、後ほど御説明申し上げようと思いますが、それに適当する学職経験を持った者を登用するという考えでございます。
  69. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると事務官の数は増員されるお考えですか。
  70. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 それだけ減るわけです。その点が非常に痛いのですけれども、大蔵省予算を要求いたしましたが、どうしても予算定員がいただけませんので、事務官の数はそれだけ減るわけです。組みかえるわけでございますから……。それなら手が余っておったのかとおっしゃられると、別に余っておるということは申し上げられないのですが、しかし一番重点的に、理事官の取調べや証拠収集を円滑にするために、副理事官を置きまして、まずこの方も整備いたしまして、事務官のそういう数が減るわけでございますから、どうしても仕事は今までよりも多くなって参りますけれども、何とかこれは能率を上げて努力していきたいという考えでございます。なかなか私の努力が足りないので、予算定員がいただけないために、こういう苦しいやり方をいたしておるのであります。
  71. 井岡大治

    ○井岡委員 私は先ほどそういう方法でおやりになるのですかと聞いたら、長官はやれると申されるものですから、私は本年の予算を見ましたら、定員がふえていない。そこでどこから副理事官を選任、されるのかとお尋ねしたら、結局やはりそこだという。私は事務官の方が各審判所で余っておるとは考えておりません。私たちの調べたところでは、かなり手が不足しておるのじゃないかと思うのです。その中からさらに七名を引き抜くということになりますと、なるほど審判事務はある意味においてはかどっていくかもしれませんけれども、やはり審判事務を処理する、いわゆる事務的な問題、こういう面から再び遅滞が起ってくるのじゃないかと思うのですが、この点はどうなんですか。
  72. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 裁判所と検事局あるいは検察庁との関係なんですけれども、小さいところですし、審判庁とその付属機関である理事所との間は、いろいろ仕事の融通ということはございませんけれども、やつておるわけでございますが、裁判所では裁判官一に対する、書類なんかを処理する書記官の数はずっと多いのでございます。一番多いところは二倍半の人員を持っておりますので、私のところは従来審判の書記が〇・八しかございませんで、少くとも審判官一に対して一の人員がほしいというところで、だんだんと充実して参りましたが、昭和三十三年度の予算定員を要求いたしまして、いただけませんので、これは常勤職員を組みかえまして、そして書記を五名ふやしました。それで書記というのはもともと海難審判庁事務官ですから、事務官が五人ふえたという形なんであります。そして二人だけは、どうしても七人と五人ですから足りないという形なんですが、そういうところへ融通をつけて、事件を能率的に処理していこうという考えでおります。
  73. 井岡大治

    ○井岡委員 お考えは、私は非常に御努力なさることについては敬意を払うわけです。むやみやたらに人をふやす必要もないと思うのですが、法律の改正の趣旨が、事件を遅滞なく処理していきたいというために法律の改正を行われるわけなんです。ところが片方の方では、なるほどその法律の改正に基いたような措置は講じられておるように見えるわけですが、いわゆる理事官にしても副理事官にしても、一人では仕事はできない、必ずわき役が必要なんです。そのわき役が私は事務官であろうと思うのです、あるいは検察官であろうと思うのです。こういう人に不足を生じてきたのでは、これはかえって仕事がおくれるのではないか、こういうように思うのです。この点はどういうようにお考えですか。
  74. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 副理事官が処理いたしまする事件は、簡易な事件なのでありまして、審判官は一人でやるという非常に簡易な事件で、一般理事官が用意をして審判に立ち会うということよりも、ずっと事件数といいますか、仕事の量は非常に少い、日にちが一般のものが十日かかるものとすれば、三日あったらば処理できるというものでございます。これには別にわき役は要らぬのであります。自分で処理できる、そういうところで融通をつけていこう、こういう考えであります。非常に苦しいのですけれども……。
  75. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほどの長官の答弁と今の答弁は、これはだいぶ食い違いがある、矛盾している。先ほど長官は、一般の裁判所の方では書記が二・幾らで、私のところは〇・八だ、だから事務官の増員を大蔵省の方に願ったのだ、こうおっしゃっておられる。それで今夜はこれは苦しいのですけれどもといって、苦しくたってこれでやっていけるのだと言われることは、私にはどうしても納得がいかない。これは長官正直に、できませんならできませんとおっしゃった方が、私は国民をだまさなくていいのじゃないかと思うのですが、どうなんです。
  76. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 私は別にちょろまかそうという考えお話ししているのじゃなくて、どうしても人がいただけないので、審判庁の方のつまり裁判所の書記官という方は組みかえでふやして、一対一にやっといたしたわけであります。ところが理事官の方はやはり足りない、だからこれは理事官も足りないし事務官も足りないわけなんです。だから両方をふやさなければ、あなたのおっしゃるような算術は合わないわけです。ですけれども、それを何とか能率を上げて、そういう理事官の仕事は副理事官という形でやる、簡易については、事務官をつけなくてもやる事件ですからやれるのだ、そういうことで能率を上げていこう、だけれどもこれで十分にたまっている事件を——非常に繰り越しの事件が多いのです。これははなはだ申しわけないのですけれども、従来からなかなか人が足りぬものですから、だんだんと残ってきたので、これまで処理していくことはとうていできませんが、やっと一年に受ける事件だけは何とかこなしていこうという考えで私はおるので、やっていけますということを申しておるわけでございます。
  77. 井岡大治

    ○井岡委員 委員長の方から、きょうは簡単に願いますと、こういうことでありますから、私は本日はこれでやめますが、私は今の御答弁で、もっとこの問題は根本的に究明していく必要があると思いますので、もちろん大臣も今お聞きになった通りですから、次会は委員長の方に大蔵省の方を呼んでいただくようにお願いして、本日はこれで打ち切ります。
  78. 赤澤正道

  79. 小山亮

    小山(亮)委員 ちょっと簡単にお伺いいたしたいのです。長官にお伺いしますが、最近頻発する小型定期旅客船の遭難について、現行法令だけでは非常に不備だと思うのです。これを改正する必要があると私は思うのですが、あなたは審判庁長官として、いろいろ審判された経過から見られて、どういうふうにお考えでしょうか、御意見を承わりたい。ことにあなたは海難防止対策の方で、そういう防止会をやっておる責任者でおられますから、特にこの点について御意見を伺いたい。
  80. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 この問題については、むしろ小山先生の方がベテランでございますが、私の職責として、海難審判法の一条に、審判によって原因を明らかにして、海難防止に寄与しなければいけないということがきめてあります以上、ただ結論だけ出して、そのままで——まあ人の手もありませんし、そういうことは法律できめてありませんから、海難防止にみずから乗り出すということはできませんので、外郭団体みたいな日本海難防止会というものを作りまして、そこへ裁決の結論を流しまして、個々の事件についていろいろ検討して、これはこういうところがいかぬのだから、こういうところに建議して法規を直してもらおう、新しい法規を作ってもらおうというようなことをいたしております。特に法規が不備であるから、これを何とか直すような意見はないかというお考えでございますが、それについては二、三意見を持っております。余談でございますが、ここで申し上げますと、下関から漁に出ていきます以西底びき網漁船というのがございます。これが下関を出ていきますときに、できるだけ長く向うへ行って、できるだけたくさん魚をとって帰ろうといたしますために、その漁に必要な物資または氷というようなもの、それから魚を入れる魚箱、こういうものを非常に多量に積んで参ります。それが船の能力以上に積み上げて、桟橋を離れると船がぐらっと十度も十五度も傾くような状態で出ていくような場合がございます。これらの漁船が玄界灘を冬季に北風のきついときに横波を食って走っておりますと、転覆した例がたくさんございます。こういうことは、やはり漁船の小さいものには、満載喫水線法とか何とかいうことが、実施されておりませんけれども、実施すべきじゃないか。基準はあるのです。調べた結果、この船はこれ以上積んでは危ないぞというものは一応出してあるのです。ところが法規では、それ以上に積んだら罰するとか積んではいかぬというはっきりした法規はまだないわけです。従いまして漁業をやっておる、つまりその船の持ち主、会社はそういう無理な状態で船を出すわけです。これを海難防止会で取り上げまして、これは何か取締り法規を作るべきじゃないか、こういう議論が出ました。ところがそこへ出てきております漁業関係委員は、それでは困る、それでは商売できない、もうからぬ、そういうことをやられたら、日本の漁業というものは成り立たぬのだ、こういう主張をするわけです。それで私の方でいろいろ結論を出しまして、ここは悪い、あそこは悪いといって防止会で取り上げて、そういう工合にすべきだということを言ってみても、今申し上げたように、業者はそういうことでは非常に困る、商売できない、これは自由にまかしておいてくれという。自由にまかしておくと、そういう無理をする。だからある程度の規制が必要ではないかということを感じました。その他小さな旅客船なんかにおいても、北川丸事件なんかで申し上げますと、結局定員が八十四名のところに二百二十九人乗せておる。これで平穏なところをただまっすぐ走れば別にひっくり返るような状態ではありませんが、これが波風がありましたり潮がありましたり、あるいは非常に急速に大きなかじをとりますと、ひっくり返るおそれがあるわけであります。これについても、ただいままでの旅客船の定員というものは、お客を乗せる場所の容積、面積というものから押えまして、その設備によってきめております。それがために何人以上乗せたならばこの船は復原力をなくしてあぶないのだ、これ以上は積んではいけないというような規定がないわけです。ところがこの点につきましては昭和三十一年の船舶安令法の改正によりまして、五トン以上の旅客船は船の復原力をもってこれ以上はいかぬということがきめられるようになりましたけれども、新しく作る船はそれを勘定してちゃんときめるのだということでござ  いますが、在来船につきましてはどっちかというと野放しになっておるわけです。それで今言いましたような北川丸事件が起ったわけです。だからこういう在来船についても、やはり客を乗せるものはある程度の制限の規定をしなければいけないのじゃないかというような点もございます。その他いろいろございますけれども、現実の今取り上げております事件についてはここでは申し上げられませんので、以上の点でお答えにかえます。
  81. 小山亮

    小山(亮)委員 海難事件は昭和二十七年から二十九年とあります三年間の統計だけをとってみましても、累年ふえるのですね。減らないでふえている。二十七年には獲数で二千六百九十隻、それから二十八年には三千二百十四隻、二十九年には三千六百九十九隻、こういうふうにだんだんふえておりまして、平均して一年に遭難船舶は大体三千隻になって、トン数でいくと百五十五万トン、大したものなんです。それから全損で全然船がくなってしまうのが平均約四百二十隻で、国家の損失というものは二十億円です。これの平均としまして、この遭難で海上で死ぬ者が千人、これは海上保安庁の統計です。あなたの方の統計をいただきますと、これは審判にかかったものだけの数だけでありますから、この数が非常に少くて、約二六、七%でありまして、それ以外のものは海事審判所の審判にかかっておらない。そこで船舶安全法によりますと、第一条には「日本船舶ハ本法二依り其ノ堪航性ヲ保持シ且人命ノ安全ヲ保持スルニ必要ナル施設ヲ為スニ非ザレバ之ヲ航行ノ用ニ供スルコトヲ得ズ」、こうあります。そうしますと老朽船であるとか、あるいは著しく復原性が怪しい船はバラストを積んだり、タンクに水を張れというようなことで、南海丸のような応急処置のようなことをして、大切な人命を預かる船の運航を許すということはこれは法令には辛うじて合せるようにしたかもしれないけれども、私はこれは非常な罪悪だと思う。危険なものということは乗る人は知らないのですからね。ところが責任のある官庁であるとか、あるいは責任のある造船所の技師であるとかいうくろうとが、これで安全なものだとして作って、しかも宣伝して金を取って乗せる。これは何にも知らない人が乗るのは当りまえです。少くもそういう復原性というものに対して非常に怪しい、不安であるということを知っておるのは、検査をした人なんです。言いかえればお役所の役人、なかんずく運輸省の船舶局関係の管下の検査官というものは知っておられるわけです。知っておられてこういうふうな船に乗せてこんな遭難が起った。起るべくして起ったということになると、私はその責任というものはなかなか重大なものだと思うのです。従って私はこの船舶安全法というものを改正する必要がありはしないかと思うのです。一つの例をとってみますと、施行規則の第四十条には最大の搭載人員というものがきめてあります。きめてありますが、そのきめ方は、「船舶設備規程ノ定ムル所ニ依ル」ということによって、容積や何かからだけで割り出して船の定員をきめますと、ある場合には船の経営が全然成り立たない場合がある。実情に即しない。しからば定員よりどれだけよけいに乗せたらいいかということは、大いに実際問題として考慮する余地がありはしないか。業者が経営の成り立つように定員を変えてやるということが必要である。と同時に、非常に船の堪航性を越えてでたらめに人を乗せておる事実がありますが、こういうものに対しては何か取締りの方法がなければならぬと思うのです。たとえて申しますと、昭和二十四年の八月の五日に富士山麓の河口湖の事件というものがございました。これなんかも、定員が十名です。小さな六メートルばかりの長さの船で、定員の十名のところに客が四十七名乗せてあります。それから昭和二十三年の八月の二十八日に北海道の洞爺湖ですが、これもわずかに四トンの船、定員二十八名ですが、それに対してお客を四十五名乗せておる。これが転覆しました。河口湖事件では死んだ人が十五人、洞爺湖事件では十四名死亡です。それから昭和二十四年の十一月の五日の熊本県の日奈久では、船も小さくて、これはやぐらでこぐ船ですが、長さが八メートル、幅がニメートルの船で、これで六十二名乗せております。それで転覆して死亡した人は二十四名、これは船のふちがほとんど水面すれすれになるまで乗せたというのですから、実に乱暴な話です。昭和二十九年の十月八日に相模湖事件というのがありました。これはまだ御記憶に新たなところだと思うのですが、これは長さ十一メートルの小さな船です、それが二十一名の定員のものを七十七名乗り込ました。そしてこれが転覆しまして、中学生が二十二名死んだ。さらに昭和二十年の十一月六日に定期旅客船の第十東予丸という百六十二トンの今治から尾道に通う船ですが、これが伯方町木ノ浦の沖で沈没しました。これなんかも戦場から帰ってきた復員の兵隊さんが約五百名以上乗っているのです。定員が二百九名のところに二倍半乗って転覆しました。そうして四百十五名死んでおる、こういうのを見ましても、船が沈むまで乗せるということはばかな話なんで、私はある程度の定員というものがどこかで定められなければならぬと思うのですが、何か方法はないのですか。そういうことを海難防止会なんかでお考えになったことがありますか、伺いたい。
  82. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 先ほども申し上げましたように、今までの旅客定員のきめ方が、旅客のおる場所の面積と容積とを基準にして、国際的にきまっております。安全法というのは御承知のように、条約の議定書によってきまっておりますので、これは各国同じように扱っておるわけです。しかしながら先ほども申し上げましたように、昭和三十一年の何用でしたかに安全法の改正をいたしまして、翌三十二年二月から復原力の計算をいたしまして、これもやはり定員の算定の基礎にしております。その規定は五トン以上の旅客船についてはすべてこれを適用する、ただしこれはこれから作る船だけだ、こういうことなので、在来の船はそういうことが野放しになっておるのでございますから、そういう在来の船にもやはり適用するということが必要じゃないかと私は思っております。
  83. 小山亮

    小山(亮)委員 たとえば南海丸のようなあれだけの船が、船級からいいますと三級なんです。百トン以上の漁船ですと二級なんです。しかるに南海丸のような四百四十四人も人を乗せる、しかも快速を誇る船が三級です。ですから船長は乙種二等運転士、これは普通の汽船に乗る船乗りとしては一番低い資格の船長が乗っておる。こういう点からいいましても、この旅客船であって、大ぜいの客を乗せていくような船は、平水航路は別ですが、少くとも日トン以上くらいの鋼船であれば、あるいは鋼船でない場合も木船でもそうでしょうが、もう少し資格を持っている人が乗るようにしたら安全度が増すのじゃないか。というのは、船員の過失によって起るとところの海難は海難件数で一番多いのですから、そこで言いますとやはり船員の注意力が欠けておる。それから船員に、技術の面もありますが、いろいろな海上気象であるとか、その他電信などについての知識が欠如しておる場合もあり得るのですから、この点で多数の人命を預かる船には、もう少し高い免状を持った人が乗れるようにしてやったらどうか。それから下級の免状をもっととりやすいように、もっとだれでもがとりやすいようなふうに間口を広げてやる。何か講習なんかも開いて、これを育成する機関を作ってやったらどうか。むしろ農林省あたりが漁船の機関士その他を多額の金を出して育成しておるのに、海運関係に直接関係のある運輸省の方が、そういう点においてはまことに不親切で、商船学校があるからそこを出てこいといったような格好でやっておるのが私は間違いだと、こう思うのです。この点についても審判庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
  84. 長屋千棟

    ○長屋政府委員 小山先生の御説ごもっともでございます。私今日まで二十八年間この仕事に携わっておりまして、いろいろのそういう事件を扱った結果、今小山先生のおっしゃったような、旅客船については、たとい三級船であっても遠海航路の船であっても、乙種の免状の者でいいということに規定はなっておりますけれども、それではやはり基礎技術といいますか、経験といいますか、あるいは基礎学術といいますか、そういうものが足りませんので、甲種の免状を持った者をこれに当てるべきじゃないかという意見を持っております。これは折に触れて運輸省あたりへも進言しておるわけでございます。それからもう一つ、快速船ということを先ほどお伺いしましだが、この快速船というのがくせ者なんでありまして、やはりスピードを出すためには船の大きさがそれに相当して大きくなければいかぬ。ところが内海の小さな客船は、業者が非常に大きな会社は少いのでございまして、わずかな資金を繰り回して船を作る。従ってスピードは、客を乗せるのだから速くなければいかぬ。ところがそのスピードに相当する大きさの船を作ることはできない。従って小さな船を極度に鋭い形、シャープな船体にいたしまして、幅を狭くしてスピードを出すようにする。客を大ぜい乗せなければならぬから、甲板の上には大きな客室を乗せなければならぬ。またお客に乗ってもらうためには美観をよくしなければならぬというような点から、非常な無理をいたします。法規には違反しておりませんでも、もうぎりぎりのところまで行っておるような船が多いのでございます。従いましてやはりこういうことを、それではいかぬ、そういう船ではいかぬのだと言ってしまったのでは日本のようなこういう島の間を行ったり来たりいたしますのに、どうしても船を用いなければなりませんから、事業が萎靡してしまう。従ってそれは政府から補助でもして合同さして、大きなものにして、そういうやり繰った船を使わぬようにしてやらなければならぬというような点もございます。そういうことは感じておりますが、海難防止一点張りから私が議論いたしますと、すぐそれでは日本海運業というものは萎靡してしまう、もう商売上ったりだということで、ある程度で妥協するというところに行っているのです。それが全部船員にしわ寄せしてくるのが困る。そういう怪しげな船を何とかうまく航海していかなければならぬ。危いときには出ないようにして……。ところがああいう旅客船とか連絡船とかいうものは、ちょっと天気が悪いからもう行かぬのだといったのでは、全然連絡船の価値がないわけです。従ってこれには大きな、多少無理をしても歩けるような船をあてがってやらなければいかぬ。ところがそれがぎちぎちの船であるがために、多少の無理をしたときに、もうだめだ、避難しようと思っても、もうおそいということが起るわけです。そこのところは資本とか、あなたは船のことをやっておられるからおわかりでしょうけれども、金とのかね合いで、私の言う海難防止一点張りではなかなか通らぬところがある。それはもう少し根本を考えてもらわなければならぬ。海運政策、あるいは私の声を大きくして言いたいことは、海難政策というものを立ててほしい。これはあくまで商売というものを無視するのじゃないけれども、ここまではぎりぎりだ、これ以上のことは幾ら金もうけでもふんばってはいかぬというところを、海難政策というものから一つはっきりしたものを作ってもらいたい、こういう工合に私は感じておるわけです。
  85. 赤澤正道

    赤澤委員長 残余の質疑は次会に行うこととし、本日はこれにて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。     午後一時一分散会