○辻原
委員 私もただいまの問題で、
山口委員あるいは
池田委員からるる話がありました通り、この席上で
法律的な論争をあなたとかわそうとは思いません。ただ
池田委員も言われたように、百歩譲って、
公共性の特に高い国鉄企業の中における労使の問題は、これはただ単に労使間の問題だけでなくして、国民に与える影響がきわめて甚大であるという立場において、われわれとしては黙過できないのであります。そういう
意味において、あなた方がただ通り一片のと申しては失礼でありますが、
法律をたてにとって云々されておりますことは、少くとも民間企業であるならばそういうことは許されない問題がひそんでおると思う。そういった観点からずっとただいまあなた方のお話を承わったのでありますが、あなた方のお
考えをもってしてはますますどうにもならぬ
状態に追い込んでいる、こういう感が深い。そこで申し上げたいのであります。今池町君が指摘いたしました副総裁名をもっての機労に対する通達一二四九号の問題であります。あなた方は機労と国労とは態度が違うから、機労に対しては苛酷な態度でよいのだというふうな認識に立たれていると思いますけれ
ども、この通達自体はすでに苛酷を通り越して、無用の挑発と刺激を与えていると思います。特に問題となるのは第三項であります。内容のいかんを問わず一切の賃上の話し合いに応じない。この影響か、今ではただ話はしない、さようなことは万々あるまいと思うがと言われますけれ
ども、しかし実際上の問題として、こういう通達が出たから、
管理の側にある者は、機労の人たちと話をすれば自分のためにならぬというような印象のもとに、ことさらに機労の組合員をボイコットしているような事態が今日生まれておるのであります。人間の常識をもって
考えれば間々そういうことがあり得る。このことが一体どういうところに影響を来たしているか。そういうような苛酷な
方法、苛酷な手段でもって組合に対処していけば、組合もおのずからそれに対応する手段をとらざるを得ない。それが今日機労のとっている非協力運動だと思う。これは私は当然だと思う。よい悪いということ以外に、一方がやれば一方もやる。労使の
関係というものはやはりそういうような立場にあると思う。そこで
考えなければならぬことは、もちろんあなた方の言うように労の側の求めなければならぬこともあるでしょう。しかしながらそれ以前に
考えなければならぬことは、あなた方は重大な国鉄というものをまかされている経営者である、経営者は国民から負託された国民に対する安全の保障、しかも国家の保証を受けて国民の税金を国鉄の経営のために使っているのでありますから、国民から上った血税に対してむだをしないという経営上の重大な責任があります。それに影響を及ぼしているのに、それを放置していることはわれわれ黙過できないのであります。その直接の原因となっているのはこの通達なんです。裁判において判決が出た、それによって団交しない、このことについては本質的な議論がありますが、ここでは一応それはおくといたしまして、それ以上のことはこれは刺激を与え挑発を求める以外の何ものでもないじゃありませんか。私はそれを特に言いたいのであります。今
池田君も言われたように、正常な団交が公式的に行われなければ、何がしかの話し合いをやって行き請っている事態を解決することも、経営者として
考えていかなければならない道じゃありませんか。それをやったからといって一体どこから
法律違反になるのか、どこからそういうつまらぬことはやめておけという議論が出ますか。すみやかに紛争の事態を解決し、不正常な事態を解決して労使を正常な
関係に戻す、そのためにはあらゆる手段を尽すことがどこから文句が出るか。もしかりに文句が出るとすれば、それは一方の議論に立って事をますます紛糾させんとする人たちだけです。少くとも事を円満に正常に戻そうとするものは、何人もあなた方がする手段については文句を言わない。正常のためにする努力についてはだれも文句を言わない。あなた方のやっていることは逆なんです。かような無用の混乱を引き起す、労使の間で特に問題を持ち損していくという、そういう
一つのものの
考え方、感覚というもの自体が間違っているということを、この際私は指摘しておきたい。どうです、話し合いに応じない、
陳情にも応じない、こういうことではなしに、もっと胸襟を開いて、いわゆる腹のある組合に対する態度というものを、あなた方はこの際とるお
考えがありますか。この種の通達を今後何らかの形において撤回いたしていく用意がありますか、この点を私は承わっておきたい。